JP2005516044A - モノクローナル抗体の鼻内投与によるブドウ球菌の鼻コロニー形成を阻止又は緩和する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明はブドウ球菌による鼻コロニー形成を阻止及び緩和するためのモノクローナル抗体、及び前鼻孔におけるそれらの使用方法を提供する。
Description
関連出願に対する相互参照
本願は2001年12月21日出願の米国仮出願60/341,806(代理人整理番号7787.6003)に基づき、かつその利益を主張する。この仮出願の開示全体を信頼し、参照として本明細書に組み入れる。
本願は2001年12月21日出願の米国仮出願60/341,806(代理人整理番号7787.6003)に基づき、かつその利益を主張する。この仮出願の開示全体を信頼し、参照として本明細書に組み入れる。
序論
ブドウ球菌の感染は、特に病院、学校、及び診療所における、罹患率及び死亡率の大きな原因である。特に危険性の高い患者には、乳児、高齢者、免疫不全者、免疫抑制者、及び頻繁な入院を必要とする慢性疾患を有する者が含まれる。さらに、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の多剤耐性株の出現はそのような感染の適時の阻止及び治療に対する関心及び必要性を増大させる。実際、"Overcoming Astionicro Oral Resistance"と題する近年の世界保健機構(World Health Organization)の報告は、薬剤耐性の増加レベルは、最近10年の医学の進歩を侵食するように脅かしているというその懸念を詳述する。生じた問題のうちには入院患者における感染がある。合衆国のみにおいて、毎年約14,000名の人々が病院内で獲得された薬剤耐性細菌、いわゆる、院内感染の結果として感染及び死亡している。全世界では、院内感染の60%もが薬剤耐性細菌によって生じる。
ブドウ球菌の感染は、特に病院、学校、及び診療所における、罹患率及び死亡率の大きな原因である。特に危険性の高い患者には、乳児、高齢者、免疫不全者、免疫抑制者、及び頻繁な入院を必要とする慢性疾患を有する者が含まれる。さらに、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の多剤耐性株の出現はそのような感染の適時の阻止及び治療に対する関心及び必要性を増大させる。実際、"Overcoming Astionicro Oral Resistance"と題する近年の世界保健機構(World Health Organization)の報告は、薬剤耐性の増加レベルは、最近10年の医学の進歩を侵食するように脅かしているというその懸念を詳述する。生じた問題のうちには入院患者における感染がある。合衆国のみにおいて、毎年約14,000名の人々が病院内で獲得された薬剤耐性細菌、いわゆる、院内感染の結果として感染及び死亡している。全世界では、院内感染の60%もが薬剤耐性細菌によって生じる。
黄色ブドウ球菌によって生じる感染において、黄色ブドウ球菌の主要生態学的適所及び宝庫はヒト前鼻孔であると思われる。ブドウ球菌の鼻内輸送は感染の疫学及び病因において重要な役割を果たす(13、22、31、48、66、69、70、72)。健常被験者において、これらの黄色ブドウ球菌鼻内輸送の3つのパターンは経時的に区別することができる:約20%の人々は永続的保持者であり、約60%は断続的保持者であり、かつ約20%は見かけ上は黄色ブドウ球菌を保持したことがない(31)。
ブドウ球菌の鼻内輸送は黄色ブドウ球菌に感染する重要な危険因子である。最も危険性の高い患者は、集中治療室(ICU)において連続血液透析で入院もしくは外来手術を受けている者、HIV感染者、AIDS患者、火災の犠牲者、治療もしくは疾患によって自然免疫が低下している人々、慢性的に病気もしくは衰弱した患者、老人集団、免疫系が未成熟の乳児、及び血管内装置を有する人々である(13、22、24、31、32、38、48、70、72)。ICU患者の研究の1つ(18)において、入院時に752名の患者のうちにの166名(22%)が黄色ブドウ球菌鼻保菌者であることが見出された。ブドウ球菌感染を発症する可能性は非保菌者におけるものよりもこれらの患者において有意に高かった(p<0.0001、相対危険性59.6)。その後のブドウ球菌感染30症例のうち28症例において、鼻孔にコロニー形成する黄色ブドウ球菌株と感染から単離された株との間に同一性が見出された。さらにより顕著には、Mestら(42)は、ブドウ球菌の鼻保菌について陰性である465名の患者の群においては6例のみが黄色ブドウ球菌感染者(1.3%)であるのと対し、黄色ブドウ球菌の鼻培養が陽性であるICUに収容された19名の患者のうち5名(26%)がその後ブドウ球菌感染を発症したことを示した。
Changら(12)は、肝臓移植ユニットに収容された84名の肝硬変患者を研究した。全体として、39名(46%)が黄色ブドウ球菌の鼻保菌者であり、非保菌者では4%のみであることと比較して、これらの患者の23%がその後黄色ブドウ球菌感染を発症した。HIV患者の研究(48)は、49%(296名のうちの114名)の患者が黄色ブドウ球菌について少なくとも1つの陽性鼻培養を有していたことを示した。201名の患者のうちの34パーセントは鼻キャリアであるものと考えられ、これらのうちの38%が持続性保菌者であり、62%が断続的保菌者であった。これらの患者のうちの13において21例の黄色ブドウ球菌感染の発症が生じた。分子株タイピングにより、7名の感染患者のうち6名について、感染部位から単離された黄色ブドウ球菌の株が既に鼻孔から培養されているものと同じであることが判明した。鼻黄色ブドウ球菌保菌患者は有意に黄色ブドウ球菌感染を発症する傾向が強かった(P=0.04;オッズ比、3.6;寄与危険度、0.44)。この知見は、著者をして、鼻保菌がHIV患者における黄色ブドウ球菌感染の重要な危険因子であると結論付けさせた(48)。
上に論じられるように、抗生物質耐性はブドウ球菌感染における主な問題であり続け、その上、前鼻孔がこれらの株の主要生態学的ニッチである。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)は十分に文書化された公衆衛生の問題である。養護ホームにおいて実施された研究の1つにおいて、滞在者の29%が鼻孔内に黄色ブドウ球菌を担持し、単離されたもののうち31%がMRSAであった(34)。別の術後腹腔内感染の研究においては、MRSAが術後腹腔内感染における原因性病原体であり得、これが鼻コロニー形成に関連し得るものと結論付けられた(22)。
現在の技術ではブドウ球菌鼻コロニーを消失するのにムピロシン軟膏が用いられる。実際、ムピロシンのような抗生物質は黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性及び耐性株の両者の鼻保菌の根絶において鼻内抗菌剤として成功裏に用いられている(21、32、38、62、70)。しかしながら、黄色ブドウ球菌のムピロシン耐性株が多くの異なる地理学的領域において出現している(14、17、19、37)。したがって、これらの考察に基づくと、黄色ブドウ球菌及び他のブドウ球菌の鼻保菌を阻止又は緩和する非抗生物質処置に対する当該技術分野における必要性が存在する。特には、哺乳動物の鼻孔を直接指向する処置に対する当該技術分野における必要性が存在する。
発明の簡単な説明
本発明のさらなる目的及び利点は、部分的には以下の説明において示され、部分的には説明から明らかであるか、又は本発明の実施によって学習することができる。本発明の目的及び利点は添付の請求の範囲において特に指摘される要素及び組合せによって実現又は達成される。
本発明のさらなる目的及び利点は、部分的には以下の説明において示され、部分的には説明から明らかであるか、又は本発明の実施によって学習することができる。本発明の目的及び利点は添付の請求の範囲において特に指摘される要素及び組合せによって実現又は達成される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両者が例示的及び説明的のみのものであり、請求されるもののような本発明を制限するものではないことは理解されるべきである。
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付の図面は、本発明の態様を示し、かつこの説明と共に本発明の本質を説明する役目を果たす。
本発明は、ブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止又は緩和する目的での、ブドウ球菌感染の合併症の危険性が特に高い者へのモノクローナル抗体(MAb)の投与に関する。危険な状態の集団には、非常に若い者、非常に高齢の者、ブドウ球菌感染に感染しやすくする様々な状態の患者、又は退院前のあらゆる患者が含まれる。退院前処置としてのMAbの使用は院内獲得ブドウ球菌株の共同社会蔓延の阻害に役立つ。本発明のMabの投与は、既存のブドウ球菌鼻コロニー形成の緩和及びブドウ球菌鼻コロニー形成の阻止を含む複数の有益な効果を有し得る。本発明のMAbは、包括的感染制御プログラムの一部として、集団におけるMRSA鼻コロニー形成の、したがって、蔓延及びその後の疾患の減少又は予防に用いることもできる。
上述のように、前鼻孔はブドウ球菌の主要貯蔵所であり、ブドウ球菌鼻コロニー形成とコロニー形成された個体におけるその後のブドウ球菌感染との間に強い相関が示されている。コロニー形成された者の近くの個体に鼻コロニー形成を、又はブドウ球菌感染さえ、広めることも可能である。本発明はコロニー形成された個体におけるブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び/又は緩和し、それにより、処置された個体におけるその後の感染の機会を減少させる。本発明は、全身にわたる上皮細胞のコロニー形成の阻止又は緩和に用いることもできる。さらに、個体におけるコロニー形成の減少は一般集団におけるブドウ球菌感染の頻度全体を減少させる。共同社会におけるブドウ球菌感染の全体的な減少は、抗生物質耐性ブドウ球菌株、例えば、MRSAの出現を考えると、特に重要である。鼻コロニー形成の減少による新たなブドウ球菌感染数の減少は、次に、一般集団内に新規耐性株が出現する割合を低下させる。
本発明は、前鼻孔の黄色ブドウ球菌コロニー形成の緩和及び/又は阻止に単一のMAb及びMAbの組合せの両者を使用する方法を含む。本発明のMAbには、抗リポタイコ酸MAb、抗ペプチドグリカンMAb、及び他のブドウ球菌抗原に特異的なMAb、並びにこれらのMAbの変種が含まれる。これらの変種には、同一の抗原結合部位を含むが修飾Fc領域を含むこれらのMAbのFc突然変異体が含まれる。本発明は、上に列挙されるものを含む、ブドウ球菌抗原に特異的なキメラMAb、及びそれらの使用方法も含む。一態様においては、これらのMAbを正常な、又は鼻にコロニー形成されたヒト被験者又は他の哺乳動物の鼻孔に投与し、前鼻孔のブドウ球菌コロニー形成を阻止又は緩和する。そのような処置はコロニー形成された個体にとって有益であるだけではなく、一般集団におけるブドウ球菌貯蔵所をも減少させ、したがって、その後のブドウ球菌感染を減少させ、かつ上に論じられる薬剤耐性黄色ブドウ球菌の蔓延を制限する。したがって、患者集団、例えば、入院患者、保健医療提供者、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、又は他の家畜動物(herded animal)の全て又は一部への投与はその集団の全体的な健康を高めることができる。
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、哺乳動物の鼻孔にブドウ球菌の抗原に対するMAbを投与してブドウ球菌による鼻孔のコロニー形成を阻止又は緩和することによってブドウ球菌感染を治療するための方法に関する。本発明の別の態様においては、全身にわたる部位での上皮細胞への付着、それらのコロニー形成、又は感染を阻止又は緩和するのに抗−LTA MAbを用いることができる。これらの部位には、鼻、皮膚、目、口、及び気道が含まれる。これらのMAbは単独で、又は組み合わせて投与することができる。
本発明の一態様は、哺乳動物の鼻孔にブドウ球菌の抗原に対するMAbを投与してブドウ球菌による鼻孔のコロニー形成を阻止又は緩和することによってブドウ球菌感染を治療するための方法に関する。本発明の別の態様においては、全身にわたる部位での上皮細胞への付着、それらのコロニー形成、又は感染を阻止又は緩和するのに抗−LTA MAbを用いることができる。これらの部位には、鼻、皮膚、目、口、及び気道が含まれる。これらのMAbは単独で、又は組み合わせて投与することができる。
「抗体」という用語は、ここで用いられる場合、完全長抗体及びそれらの一部を含む。抗体は4本のポリペプチド鎖、2本の軽鎖及び2本の重鎖を有する。各々の鎖は2つの領域、可変領域(抗原認識及び結合を付与する)及び定常領域(局在化及び細胞相互作用に関与する)に分割される。抗体の一部は、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、SFv、scFv(一本鎖Fv)といった断片を含み、それは無傷の抗体のタンパク分解性開裂、例えば、パパインもしくはペプシン開裂によって産生されるものであっても、無傷の重鎖及び軽鎖のcDNAが重鎖及び軽鎖の断片を別々に、もしくは同じポリペプチドの一部として産生するように操作されている組換え法によって産生されるものであってもよい。本発明の一態様においては、抗体は、それらの抗体がブドウ球菌抗原と結合するように、少なくとも1つの重鎖可変領域及び1つの軽鎖可変領域を含む。
本発明のMAbはヒト及び非ヒト動物抗体に相当する抗体配列、及びそれらのハイブリッドを包含する。「キメラ抗体」という用語は、ここで用いられる場合、別の分子、例えば、ヒト抗体から誘導される定常領域に融合する、動物抗体、例えば、ラット又はマウス抗体から誘導される可変領域を有する抗体を含む。キメラ抗体のタイプの1つ、「ヒト化抗体」は、ヒト可変領域の既知配列と(可能な限り)一致するように(突然変異生成又はCDRグラフト化によって)改変された可変領域を有している。CDRグラフト化は、所望の特異性を有する抗体からのCDRをヒト抗体のFRにグラフト化し、それにより非ヒト配列の多くをヒト配列で置換することを含む。したがって、ヒト化抗体は公知ヒト抗体の配列と(アミノ酸配列において)より緊密に一致する。マウスモノクローナル抗体をヒト化することにより、ヒト抗マウス抗体、すなわちHAMAの応答の厳格性が低下する。本発明は、さらに、HAMA応答を、可能な限り、回避する完全長ヒト抗体を含む。
キメラ及びヒト化抗体の生成を含む、MAb肺列の操作に関する指針は、一般に、Molecular Cloning: A Laboratory Manualに加えてCurrent Protocols in Molecular Biology(58、74))に記載されており、本発明の配列の操作により具体的に関連する指針は、Antibody Engineering,、及びAntibodies: A Laboratory Manual(75、76)に見出すことができ、これらの全ては参照することにより組み込まれる。
本発明は「修飾抗体」を含み、これは、ここで用いられる場合、例えば、短縮又は修飾された抗体エンコーディング遺伝子によってコードされるタンパク質又はペプチドを含む。そのようなタンパク質又はペプチドは本発明の抗体と同様に機能し得る。他の修飾、例えば、ブドウ球菌による鼻コロニー形成を阻止又は緩和する能力を含む、エフェクタ機能を強化し得る他の配列の付加も本発明のうちにある。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列へのアミノ酸の付加、抗体のアミノ酸配列におけるアミノ酸の欠失、抗体アミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の代替アミノ酸での置換、及びアイソタイプ又はクラスの切り替えが含まれる。
一態様においては、抗体をそのFc領域において細菌タンパク質への結合を防止するように修飾することができる。Fc領域は、通常、免疫系のアクセサリー細胞の結合部位を提供する。抗体が細菌に結合し、それらを覆うとき、これらのアクセサリー細胞は覆われた細菌を認識し、感染に応答する。アクセサリー細胞が結合する場所に近いFc領域に細菌タンパク質が結合する時、これらの細胞の正常な機能が阻害される。例えば、プロテインA、黄色ブドウ球菌の細胞膜内に見出される細菌タンパク質はアクセサリー細胞結合部位に近いIgGのFc領域に結合する。そのように行う上で、プロテインAはこれらのアクセサリー細胞の機能を阻害し、したがって、細菌の消失が妨害される。この抗菌免疫応答の妨害を回避するため、本発明の抗体のFc部分をアクセサリ細胞への結合を保持しながらプロテインAの非特異的結合を防止するように修飾することができる。
抗体のこれらの様々な形態に照らして、本発明の抗体には完全長抗体、それらの断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び修飾抗体が含まれ、他に指示されない限り包括的に「MAb」と呼ばれる。
本発明のMAbは「抗原」に結合し、これは、ここで用いられる場合、ポリペプチド配列、非タンパク質分子、又は免疫系が認識することができるあらゆる分子である。抗原は完全サイズのブドウ球菌タンパク質もしくは分子、又はそれらの断片であり得、ここで、断片は完全長タンパク質未満をコードする組換え体cDNAから産生されるか、又は完全サイズの分子もしくはタンパク質から誘導される。そのような断片は酵素プロセス、例えば、タンパク分解又は加水分解によって産生することができる。抗原はブドウ球菌タンパク質のエピトープを含むポリペプチド配列であってもよく、そのエピトープはタンパク質の直線ポリペプチド配列と連続していなくてもよい。発現のため、当該技術分野において公知の手順により、抗原をコードするDNA配列を同定し、単離し、クローン化し、かつ原核もしくは真核細胞に移行させることができる(57)。抗原は合成で生成された巨大分子又は免疫応答を誘発するそれらの断片であってもよい。抗原はブドウ球菌タンパク質アミノ酸配列の一領域と100%同一であってもよく、又は少なくとも95%同一、もしくは少なくとも90%同一、もしくは少なくとも85%同一であってもよい。抗原は、未変性ブドウ球菌分子又はタンパク質に結合する抗体を誘発することが可能である限り、ブドウ球菌分子又はタンパク質アミノ酸配列との同一性がより低くてもよい。表面抗原は、その抗原が無傷の細菌全体の配置にあるとき、すなわち、その抗原が細胞質の内部にないときに抗体に接近可能な抗原である。病原性抗原(それらのうちの幾つかは表面抗原である)は宿主において疾患を生じる病原性プロセスに関与する抗原である。病原性抗原には、例えば、LTA、ペプチドグリカン、毒素、海馬采、鞭毛、及び接着抗原が含まれる。接着抗原はブドウ球菌が鼻孔の表面に接着する能力に介在する。抗原はブドウ球菌の非タンパク性成分、例えば、炭水化物又は脂質であってもよい。例えば、ペプチドグリカン及びリポタイコ酸はブドウ球菌の細胞壁に見出される2つの非タンパク性抗原である。抗原には、それらが免疫応答を誘発する限り、非タンパク性分子の断片が含まれ得る。
「エピトープ」という用語は、ここで用いられる場合、抗体が結合するブドウ球菌抗原の領域を指す。エピトープは直線ポリペプチド鎖又は細胞表面巨大分子内で連続していてもよく、又はアミノ酸配列もしくは非タンパク性分子の断片の2つ以上の非隣接領域を含んでいてもよい。
抗体は、その抗体がELISAアッセイによるシグナルを背景シグナルの少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍高く示す場合、抗原又はエピトープに結合、又は特異的に結合すると言われる。
ここで用いられる場合、「処置」は既存のコロニー形成のあらゆる認識可能な、医学的に有意義の、又は統計的に有意の減少、改善、緩和、又は根絶に加えて、将来的なコロニー形成に対する阻止又は予防を包含する。「医学的に有意義の」処置は、患者の状態を改善し;患者の予後を改善し;患者の罹患もしくは死亡数を低下させ;又は患者集団のうちで、ここで取り組んでいる細菌感染からの罹患の発生率もしくは死亡率を低下させるあらゆる処置を包含する。「統計的に有意な」結果の具体的な決定又は同定は用いられる統計的検定に依存する。当業者のある者は用いられるあらゆる統計的検定の文脈において、その試験自体のパラメータによって決定された統計的に有意の結果を容易に認識することができる。これらの公知統計的検定の例には、これらに限定されるものではないが、X2検定(カイ二乗検定)、スチューデントt検定、F検定、M検定、フィッシャー正確検定、二項正確検定、ポアソン正確検定、分散の一元もしくは二元反復測定分析、及び相関効率の算出(Pearson及びSpearman)が含まれる。
本発明のMAbは、そのMAbがブドウ球菌に曝される前、それと同時、又はそれ以後に投与されるとき、その曝露がブドウ球菌の意図的な点滴投与の結果であろうと一般的な曝露の結果であろうと、ヒト又は非ヒト哺乳動物の鼻腔内のコロニー数を減少させることができる場合、ブドウ球菌鼻コロニー形成を「緩和する」と言われる。例えば、MAbは、鼻組織の試料から成長させることができる細菌コロニーの数がそのMAbの投与の後に減少する場合、コロニー形成を緩和するものと考えられる。MAbは、ここに記載される鼻コロニー形成アッセイにおけるように、コロニーの数を少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%減少させるとき、コロニー形成を緩和する。100%の緩和を示す別な用語は「根絶(eradication)」である。
MAbは、鼻孔への意図的な点滴投与によるものであろうと他の方法によるものであろうと、そのMAbがブドウ球菌に曝露される以前、又はそれと同時に投与されるとき、哺乳動物の鼻コロニー形成を防止することができる場合、ブドウ球菌コロニー形成を「阻止する」と言われる。MAbは、ここに記載される鼻コロニー形成アッセイにおけるように、対照哺乳動物と比較して本発明のMAbで試験される哺乳動物から採取される鼻組織の試料又は鼻スワブから長期間、例えば、12時間以上、18時間以上、又は24時間以上ブドウ球菌コロニーが成長できない場合、コロニー形成を阻止する。
臨床又は獣医学の環境において、患者における鼻ブドウ球菌コロニー形成の有無は適切な細菌培地で鼻スワブを培養することによって決定され、しばしば濃縮工程を含む。これらの培養物をブドウ球菌コロニーの有無について採点する。このタイプの定性アッセイ系においては、ブドウ球菌コロニー形成の阻止と緩和とを区別することが困難であり得る。したがって、定量アッセイ、例えば鼻スワブ、の目的で、処置試験の時点で鼻コロニー形成について陰性である鼻コロニー形成の危険性が高い患者が長期間、例えば、12時間以上又は24時間以上鼻コロニー形成について陰性のままである場合、MAbはコロニー形成を「阻止する」。患者から採取される陽性培養物の頻度に認識可能な減少を生じるか、又は本発明のMAbを投与する以前にブドウ球菌について既に陽性である患者から鼻腔を拭うことによって回収される黄色ブドウ球菌の数を有意に低下させる場合、MAbは患者におけるブドウ球菌鼻コロニー形成を「緩和する」。
本発明の目的は院内感染を含む黄色ブドウ球菌感染の頻度を低下させることであるため、有効量の点滴投与にはブドウ球菌感染、例えば、全身感染又は外傷もしくは手術部位での感染の可能性における認識可能な、医学的に有意義の、又は統計的に有意の減少を示すのに十分なものが含まれる。そのような実証には、例えば、動物研究又は、未熟な乳児、入院もしくは外来手術を受けている者、火災の犠牲者、留置カテーテル、ステント、関節置換等を受けている患者、高齢患者、及び免疫系が遺伝的、化学的又はウイルス的に抑制されている者を含む、危険性の高い患者の臨床試験が包含される。
したがって、本発明のMAbはブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び/又は緩和するために投与する。「有効量」のMAbの投与(点滴投与)は:1)投与後少なくとも12時間、ブドウ球菌による鼻コロニー形成がないこと、2)鼻孔内のブドウ球菌の数の認識可能な、医学的に有意義な、もしくは統計的に有意の減少、又は3)鼻孔から採取される陽性培養物の頻度の認識可能な、医学的に有意義な、もしくは統計的に有意の減少、又は4)ブドウ球菌感染の頻度の認識可能な、医学的に有意義な、もしくは統計的に有意の減少のいずれかを示す哺乳動物を生じる。
「点滴投与(instillation)」は、有効量のMAbを哺乳動物の鼻孔に提供することが可能なあらゆる送達系を包含する。代表的かつ非限定的な形式には、液滴、スプレー、粉末、エアロゾル、ミスト、カテーテル、チューブ、シリンジ、クリーム用塗布具(applicator)粒子、ペレット等が含まれる。1種類以上の本発明のMAbを含有する組成物を含むキットであって、その組成物に適切な送達装置もしくは塗布具、例えば:カテーテル、チュープ、噴霧器、シリンジ、アトマイザー、又はクリーム、粒子、ペレット、粉末、液体、ゲル等のための他の塗布具を含むキットも本発明に包含される。
本発明は様々な鼻送達ビヒクル及び/又は担体を用いて実施することができる。そのようなビヒクルは鼻腔内への点滴投与後の鼻腔内のMAbの半減期を増加させる。これらの担体は天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、リポソーム、及び半固形剤形を包含する(41、44、45、55、56、61、63、64)。天然ポリマーには、例えば、タンパク質及び多糖が含まれる。半合成ポリマーは修飾天然ポリマー、例えば、キトサンであり、これは天然多糖、キチンの脱アセチル化形態である。合成ポリマーには、例えば、デンドリマー、ポリホスホエステル、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリスチレンスルホネート(PSSA)、及びポリ(ラクチドコグリコリド)が含まれる。半固形剤形には、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、及びローションが含まれる。これらの担体はMAbのマイクロカプセル封入に用いることも、MAbに共有結合させることもできる。
一態様において、本発明のMAbは担体粒子を含むか、又はそれに共有的もしくは非共有的に結合し、これは鼻孔に適用するために粉末、スプレー、エアロゾル、クリーム、ゲル等として処方されていてもよい。一態様においては、これらのMAbは、粘膜接着剤を含んでいてもよい可溶性フィルム中の担体粒子コアにコーティングされる。担体粒子コアは不活性であっても可溶性であってもよい。
本発明はMAbを薬学的に許容し得る担体と共に含有する医薬組成物をも開示し、これは、例えば、粉末、クリーム、又は液体であり得る。薬学的に許容し得る担体には、無菌の液体、例えば、水、石油、動物油、植物油、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む油が含まれる。適切な医薬担体はRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition(56)(これは参照として組み入れる)に記載される。
さらなる態様においては、MAbを、それらの投与に先立ち、ポリマー、例えば多糖、又は抗体に共有結合するあらゆる担体に結合させる。この結合は抗体価を高め、それにより抗体の有効性を高めるのに役立つ。
本発明の別の態様は、呼吸器ウイルス感染患者、移植患者、HIV感染患者、火傷患者、血管内装置を有する患者、及び二次感染にかかりやすいような他の患者において、MAb及び上記調製品を投与することによって二次ブドウ球菌感染を阻止又は緩和する方法である。
本発明の方法は、様々な莢膜型のいずれをも含むブドウ球菌のあらゆる臨床的単離体に加えて、メチシリン、バンコマイシン、ムピロシン及び他の抗生物質に耐性である株による鼻コロニー形成の阻止又は緩和をも含む。さらに、本発明は、健康管理環境から解放された人々、ブドウ球菌の抗生物質耐性株の主要保菌者における鼻コロニー形成を阻止することにより、共同社会へのブドウ球菌の抗生物質耐性株の蔓延を阻害するさらなる利点を有する。
微生物付着において役割を果たす抗原がMAbが指向するブドウ球菌抗原のうちにある。宿主組織への微生物付着は多くの病原体によるコロニー形成において重要な早期工程である。微生物が宿主の非特異的機械的防御を貫入した後、それらは幾つかの異なるリガンドを用いて宿主の様々な表面受容体に結合する。黄色ブドウ球菌の幾つかの表面分子が細菌の細胞への初期付着において潜在的に役割を果たすことが同定されている;これらには、タイコ酸、リポタイコ酸(1、2、7、10、15、16、65、68)、プロテインA(23)、フィブロネクチン結合タンパク質(43、53)、コラーゲン結合タンパク質(23)、及びフィブリノーゲン結合タンパク質(27、40)が含まれる。これらの付着因子は黄色ブドウ球菌が鼻粘膜細胞(3、28、58)、傷つけられた、もしくは破損した皮膚(5、50、51)、及び内皮細胞(26、60)に結合し、それにより鼻コロニー形成又は他の感染を開始するのに介在し得る。これらの因子のそれらの特異的受容体への結合を研究するため様々なモデル系が開発されている(5、28、30、57)。これらの因子/受容体相互作用の妨害は、しばしば、様々な組織へのブドウ球菌付着の阻止を生じる。本発明は前鼻孔内での付着において役割を果たすブドウ球菌抗原に対するMAbを提供する。
加えて、本発明のMAbを結合する抗原は病原性において役割を果たすことがある。例えば、ペプチドグリカン及びLTAは協同して全身性ショックを生じ得る。本発明のMAbを結合する抗原は細菌の生存において役割を果たすこともある。例えば、ペプチドグリカン分子の変更は抗生物質耐性を付与し得る。リポタイコ酸も二価カチオンの補充に関与し、これも生存を強化する。したがって、本発明のMAbは前鼻孔におけるブドウ球菌の病原性及び/又は生存を低下させることができる。
抗体はブドウ球菌の全身感染の排除において非常に有効である(我々のデータ(示されず)、及び9、52、54)。ポリクローナル抗体研究は、抗体ベースのアプローチがフィブリノーゲンへのブドウ球菌の付着の排除に有効であり得ることを示してる(51)。フィブロネクチンへの黄色ブドウ球菌の付着は、ヒト血漿から精製された抗ブドウ球菌免疫グロブリンG(IgG)抗体によってアンタゴナイズされた(67)。付着の阻止は用いられるブドウ球菌単離体へのIgG結合の程度に直接関連付けられた。さらに最近、ブドウ球菌のフィブロネクチン結合タンパク質(黄色ブドウ球菌付着の1つ)に対するラット抗体が固定化フィブロネクチンへの放射標識黄色ブドウ球菌の付着を減少させた(59)。重要なことには、付着を阻止した抗体はオプソニン作用を誘導するそれらの能力も維持していた(59)。ウシ乳腺に由来する始原上皮細胞を用いる別の研究においては、全細胞ブドウ球菌ワクチンで免役したウシから採取した血清が上皮細胞へのブドウ球菌の結合を阻害した(49)。
したがって、血清又は血漿から抽出された幾つかのポリクローナル抗体はブドウ球菌の付着及びコロニー形成を阻止することが示されている。しかしながら、鼻コロニー形成を阻止する抗ブドウ球菌MAbはこれまで記載されたことはない。既知特異性を有するMAbは変化する効力及び血液担持病原体の問題を回避し、特定のブドウ球菌標的を指向させて交差反応性の危険性を低下させることができる。加えて、ポリクローナル抗体とは異なり、MAbは標準分子生物学技術によって様々なFcタンパク質又は修飾Fcタンパク質を提示するように修飾することができる。このタイプの修飾は特定の病原体に対する抗体の有効性にとって非常に重要なものであり得る。例えば、黄色ブドウ球菌が体液性免疫応答を逃れる機構の一部は抗体のFc部分に結合するプロテインAの能力である。この結合相互作用は細菌の消失に介在する抗体の能力を低下させる。
加えて、IgG抗体のアイソタイプは体内での抗体の局在化及び身体の様々な免疫調節細胞、例えば、T細胞、樹状細胞、及びマクロファージとのその相互作用に対する顕著な効果を有することがある。修飾組換え抗体は、同じ結合活性を有しながら体内で異なる機能性を有する抗体を創出できるという利点を有する。この修飾は、例えば、可変領域を代替IgG定常領域と融合させ、したがって、抗体のアイソタイプを変化させることによって達成される。
モノクローナル抗ブドウ球菌抗体の使用は様々な細菌抗原に結合する様々な特異的MAbの提示を可能にする。したがって、一態様において、本発明は黄色ブドウ球菌によるコロニー形成を緩和又は阻止し、最終的には黄色ブドウ球菌の鼻保菌を減少させるための方法であって、これらのMAbの1種類以上を哺乳動物の鼻孔に直接点滴投与することによる方法を提供する。抗生物質に対する耐性を発生するため、このアプローチはブドウ球菌の長期及び短期管理の両者において最も有効であることを立証することができる。外来環境又は院内環境の両者において鼻粘膜への黄色ブドウ球菌の付着を確実に阻害することができる処置から、生じる費用節減は院内感染を緩和又は阻止すること及び共同社会への抗生物質耐性微生物の蔓延を減少させることの両者により著しいものである。
本発明の一部として、抗ブドウ球菌MAbが我々の研究室で開発され、かつキメラ化されている。具体的には、実施例1及び2に示され、かつ連続番号09/097,055(参照することにより明確に組み込まれる)に記載されるように、キメラ抗ブドウ球菌リポタイコ酸(「LTA」)モノクローナル抗体(A110)が既に評価されている。リポタイコ酸MAbは、上皮細胞へのブドウ球菌の初期付着におけるリポタイコ酸の役割を示唆する報告(1、2、10、15、16、65)に基づいて評価された。多くの研究は、LTAによる細菌の結合が真核細胞への多くのグラム陽性菌の付着の介入における第1工程であり得ることを示している(1、6、11、25、46、65)。LTAに対する抗体はフィブリン血小板凝血塊へのブドウ球菌の付着を阻止することができる(15)。Yokoyamaら(71)は、ヒト血清中に存在する黄色ブドウ球菌LTAに対する抗体が粘膜でのコロニー形成を阻止し得ることを示唆した。Yokoyamaの研究は、ブドウ球菌に自然に曝露されている患者において産生されるポリクローナル抗ブドウ球菌抗体の役割に取り組んでいた。Yokoyamaはここで説明されるように産生されたMAbを用いることも、鼻腔内適用にMAbを用いる方法を開示することもしなかった。背景としてのこれらの研究及び我々が産生させた抗ブドウ球菌MAbを用いて、本発明は、さらに、前鼻孔内での黄色ブドウ球菌のコロニー形成の緩和又は阻止において有効である単一のMAb又はMAbの組合せを提供する。
一態様において、本発明のMAbはヒトの鼻孔内に滴下する。抗体の鼻腔内投与は幾つかの状態の処置において有効であるものとして文献内で報告されている。IgA対IgG MAbの効力の比較において、Mazanecらは、抗センダイウイルス抗体の鼻腔内適用がウイルスでの鼻腔内抗原投与に対する有意の防御を付与し、これら2種類のアイソタイプの効力が等価であることを示した(39)。ヒトボランティアの歯への抗ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)特異的モノクローナル抗体の局所適用は常在性S.ミュータンスの再コロニー形成を防止した(36)。この防御は抗体適用の3日後には見られた。細菌感染の異なるモデルにおいて、静脈内免疫グロブリン(IVIG)の鼻腔内投与が肺炎のマウスモデルにおいて有意の抗ブドウ球菌活性を発揮した(54)。この研究においては、肺内での細菌の成長を阻害するため、ポリクローナルIVIGをより多量に導入して鼻を介する肺への送達を確実なものとした。したがって、これらの研究は、細菌の鼻コロニー形成を阻止又は緩和するための鼻粘膜へのMAb投与の利点を認識してはいなかった。
加えて、本発明のMAbは、病原体に対する抗体活性を強化する免疫応答における正常支持機構とは無関係に作用する。そのような支持機構の一例は補体カスケードである。MAbが宿主に全身的に導入されるとき、MAbは循環し、最終的に抗原に特異的に結合する。これが生じるとき、MAb/抗原複合体は次に補体経路の活性化を誘発する。最終的に、補体カスケードの活性化によって生じるタンパク質がMAbに結合し、次にそれが病原体、例えば、細菌の表面上の特異抗原に結合する。これらの補体タンパク質がMAbに結合するとき、細菌は食細胞による破壊についてマークされる。対照的に、本発明のMAbは鼻孔に投与される。宿主のこの場所においては、MAbは補体カスケードに接近することがない。それよりも、いかなる支持機構の助けもなしにブドウ球菌のコロニー形成を直接阻止及び緩和する能力が本発明のMAbに独特の特性である。
本発明のMAbは、ムピロシン及びバシトラシンのような抗生物質;リソスタフィン、シソジム、ムタノリシン、及びセロジルムラミダーゼのような抗ブドウ球菌剤;ナイシンのような抗菌ペプチド;並びに他のランチビオティクス、又はあらゆる他のランチオン含有分子、例えば、ナイシンもしくはサブチリンを含む他の抗菌性抗ブドウ球菌剤と共に投与することができる。
提供される開示を参考にして、本発明のMAbの投与は当業者のノウハウ及び経験のうちにある。特に、必要とされるMAbの量、適切な担体との組合せ、投与スケジュール及び量は、クレームされた発明から逸脱することなしに、当該技術分野における標準的な知識に基づいて広範囲に変化し得る。例えば、投与は毎日1ないし4回の範囲をとることができ、1投与当たり0.1ないし20mgをもたらす。具体的には、典型的な投与スケジュールにおいて、投与されるMAbの量は1投与当たり0.1−3mgで1日当たり2−4回であり、この投与は108個黄色ブドウ球菌の種菌で有効であることが公知であるものであり、この細菌の量は動物モデルにおいて100%コロニー形成を保証することが公知であるものである(30)。そのような投薬計画は手術のために入院している患者、ブドウ球菌感染にかかりやすくする様々な条件にある患者、回復期にある患者、免疫系が未熟な乳児、又は患者の退院前に対して有効である。患者は予防又は他の処置を必要とするあらゆるヒト又は非ヒト哺乳動物である。代表的な患者には、ヒト及び非ヒト動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類;肉牛及び乳牛、バッファロー、ラクダを含む反芻動物の他に毛皮動物、群れをなす動物、実験動物、動物園の動物及び家畜、犬小屋及び馬屋の動物、家庭内ペット、並びに獣医学的動物を含む、黄色ブドウ球菌又は他のブドウ球菌の感染又は保菌を受けやすいあらゆる哺乳動物が含まれる。
本発明を、当業者に本発明の実施方法を教示する以下の例によってさらに説明する。以下の例は本発明を単に説明するものであり、本発明の特定の態様の様々な有益な特性を開示するものである。以下の例は請求される発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
1米国出願09/097,055、及び本願と同時に出願される、Multifunctional Monoclonal Antibodies Directed to Peptidoglycan of Gram-positive Bacteria,と題する関連出願(これらの両者は参照することにより明確に組み込まれる)を参照のこと。
2A120は、本願と同時に出願され、かつ参照することにより明確に組み込まれる、Opsonic Monoclonal and Chimeric Antibodies Specific for Lipoteichoic Acid of Gram Positive Bacteriaと題する関連出願に開示されるキメラMAbである。
3n.t.=未だ試験しておらず
4受付番号PTA−2492で、2000年9月21日にATCCに寄託。
5別名QED 15702(Biosciences, Inc.)
6別名QED 15703(Biosciences, Inc.)
7別名QED 15704(Biosciences, Inc.)
8これらのMAbは、本願と同時に出願され、かつ参照することにより明確に組み込まれる、Multifunctional Monoclonal Antibodies Directed to Peptidoglycan of Gram-positive Bacteriaと題する関連出願にも開示されている。
他のMAb、特には、ブドウ球菌の付着、生存又は病原性に関与する他のエピトープを指向するMAbが同様に本発明に包含される。
2A120は、本願と同時に出願され、かつ参照することにより明確に組み込まれる、Opsonic Monoclonal and Chimeric Antibodies Specific for Lipoteichoic Acid of Gram Positive Bacteriaと題する関連出願に開示されるキメラMAbである。
3n.t.=未だ試験しておらず
4受付番号PTA−2492で、2000年9月21日にATCCに寄託。
5別名QED 15702(Biosciences, Inc.)
6別名QED 15703(Biosciences, Inc.)
7別名QED 15704(Biosciences, Inc.)
8これらのMAbは、本願と同時に出願され、かつ参照することにより明確に組み込まれる、Multifunctional Monoclonal Antibodies Directed to Peptidoglycan of Gram-positive Bacteriaと題する関連出願にも開示されている。
他のMAb、特には、ブドウ球菌の付着、生存又は病原性に関与する他のエピトープを指向するMAbが同様に本発明に包含される。
実施例1
MAb A110は黄色ブドウ球菌及び表在性ブドウ球菌(S. epidermidis)全体と結合する
これまでに、1998年7月15日出願の米国出願09/097,055(参照することによりここに組み込まれる)に記載されるように、抗ブドウ球菌LTAモノクローナル抗体(A110)が開発され、キメラ化され、かつ試験されている。このMAbは、現在、臨床試験のための調製におけるGMP条件の下で製造されている。我々はこのMAbの反応性を試験し、表2に示されるように、黄色ブドウ球菌5型(SA5)及び8(SA8)全体の他に、非常に毒性の高い2型単離体Hayを含む幾つかの型の表在性ブドウ球菌全体と結合することを見出した。
MAb A110は黄色ブドウ球菌及び表在性ブドウ球菌(S. epidermidis)全体と結合する
これまでに、1998年7月15日出願の米国出願09/097,055(参照することによりここに組み込まれる)に記載されるように、抗ブドウ球菌LTAモノクローナル抗体(A110)が開発され、キメラ化され、かつ試験されている。このMAbは、現在、臨床試験のための調製におけるGMP条件の下で製造されている。我々はこのMAbの反応性を試験し、表2に示されるように、黄色ブドウ球菌5型(SA5)及び8(SA8)全体の他に、非常に毒性の高い2型単離体Hayを含む幾つかの型の表在性ブドウ球菌全体と結合することを見出した。
表2のデータは、プロテインGカラム(Pharmacia)で精製したA110を用いて作成した。全細胞ELISAアッセイを行い、生菌に結合するMAbの能力を測定した。黄色ブドウ球菌5型、5−USU型、8型、表在性ブドウ球菌株Hay、及びS.ヘモリチクス(S. hemolyticu)を含む様々な型の細菌をこのアッセイにおいて用いることができる。一晩プレート培養からの細菌を35mlのTryptic Soy Broth(TSB)に移し、穏やかに振盪しながら37℃で1.5−2.0時間成長させた。次に、1800−2000×gで15分間、室温で遠心することによって細菌をペレット化した。上清を除去し、0.1%ウシ血清アルブミンを含有する35−45mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(PBS/BSA)に細菌を再懸濁させた。遠心によって細菌を再度ペレット化し、上清を廃棄して、細菌を650nmで65−70%の透過パーセントまでPBS/BSAに再懸濁させた。この懸濁液から、無菌の0.9%塩化ナトリウム(Sigmaカタログ番号S8776、又は等価品)で細菌をさらに15倍に希釈し、この懸濁液100μlを平底無菌96ウェルプレートの複製ウェルに添加した。
試験しようとする各々のMAbを0.05% Tween−20及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合プロテインA(プロテインA−HRP、Zymed Laboratories)を1:10000希釈で含有するPBS/BSA(PBS/BSA/Tween/プロテインA−HRP)で所望の濃度まで希釈した。プロテインA−HRPは使用前に室温で30−60分間MAbに結合させ、それによりMAb−プロテインA−HRP複合体を生成させて、黄色ブドウ球菌の表面上に見出されるプロテインAへのMAbの潜在的な非特異的結合を最小化した。一般には、試験MAbの幾つかの希釈を各々のアッセイにおいて用いた。各々のMAb希釈から50μlのMAb−プロテインA−HRP複合体を複製ウェルに添加し、細菌及びMAb−プロテインA−HRP複合体の混合液をオービタルシェイカーで穏やかに回転(50−75rpm)させながら37℃で30−60分間インキュベートした。
インキュベーションに続いて、1800−2000×gで遠心することによりプレート内で細菌をペレット化した。上清をウェル及び200μlのPBSから注意深く除去した。BSA含有0/05%Tween-20(PBS/BSA/Tween)を全てのウェルに添加して非結合試薬を希釈した。遠心によって細菌を再度ペレット化し、上清を除去した。100マイクロリットルのTMB基質(BioFx, Inc. カタログ番号TMBW-0100-01)を各ウェルに添加し、室温で15分間反応を進行させた。100μlのTMB停止試薬(450nm Stop Reagent; BioFx, Inc.カタログ番号STPR-0100-01)を添加することによって反応を停止させた。450nmフィルタを装着したマイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を決定した。このアッセイにおいては、発色の強度が細菌へのMAbの結合に直接比例していた。対照ウェルは細菌及びMAbなしのプロテインA−HRPを含んでいた。
この改変全細胞ELISAプロトコルを用いて、ペルオキシダーゼ標識プロテインAを精製A110と混合した後、ATCCからそれぞれ受付番号12602及び12605で得られた黄色ブドウ球菌5型(SA5)及び黄色ブドウ球菌8型(SA8)と反応させた。両黄色ブドウ球菌抗原型はA110 MAbに結合した。黄色ブドウ球菌抗原型5及び8が通常ヒトの感染に関連するため、この知見も重要であった。このプロテインAアッセイを用いて、14型肺炎球菌に対するMAbは表在性ブドウ球菌又は黄色ブドウ球菌5型への結合を示さなかった。
1生菌へのMAbの結合を測定する改変ELISA。黄色ブドウ球菌の表面上のプロテインAはFc部分を介してMAbを結合するため、我々のイムノアッセイは表面プロテインAへのA110の非特異的結合を回避するように改変した。
2正常マウス血清(NMS)及び肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)14型(Pn14)に由来する多糖と反応するモノクローナル抗体は反応せず、したがって、陰性対照として用いた。
実施例2
MAb A110は幾つかのグラム陽性菌に由来するLTA単離体に結合する
A110は幾つかのグラム陽性菌に由来するリポタイコ酸単離体にも結合する。表3は、プレートウェルが標準技術を用いて黄色ブドウ球菌、S.ミュータンス、S.ピオゲネス(S. pyogenes)及び枯草菌(B. subtillus)を含む異なるグラム陽性菌から単離されたLTAでコーティングされている、上記によって改変されたELISAからのデータを示す。HRPに結合したヤギ抗ヒト重鎖及び軽鎖抗体を二次抗体として用いた(Zymed Inc.)。明らかに、A110は試験した全ての細菌に由来するLTAに結合した。
2正常マウス血清(NMS)及び肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)14型(Pn14)に由来する多糖と反応するモノクローナル抗体は反応せず、したがって、陰性対照として用いた。
実施例2
MAb A110は幾つかのグラム陽性菌に由来するLTA単離体に結合する
A110は幾つかのグラム陽性菌に由来するリポタイコ酸単離体にも結合する。表3は、プレートウェルが標準技術を用いて黄色ブドウ球菌、S.ミュータンス、S.ピオゲネス(S. pyogenes)及び枯草菌(B. subtillus)を含む異なるグラム陽性菌から単離されたLTAでコーティングされている、上記によって改変されたELISAからのデータを示す。HRPに結合したヤギ抗ヒト重鎖及び軽鎖抗体を二次抗体として用いた(Zymed Inc.)。明らかに、A110は試験した全ての細菌に由来するLTAに結合した。
下記実施例3−5は黄色ブドウ球菌によるマウス前鼻孔のコロニー形成を阻止するMAbの能力を評価する。実施例6は結合体としてのデキストランの添加のコロニー消失に対する効果を示す。実施例3−5は適用前の細菌とMAbとの予備混合物を含むので、下記実施例7は、MAbを最初に前鼻孔に、次いで細菌を導入するとき、開示される抗LTA及び抗ペプチドグリカンMAbも有効であることを示す。実施例8は、鼻に適用されるMAbが、コロニー形成が抗体適用前に確立されたときでさえ、コロニー形成を緩和できることを示す。実施例9は、マウスの鼻全体におけるMAbの保持に対する異なる担体物質の効果を示す。実施例10はPSSA中のMAbが確立されたブドウ球菌コロニー形成を単回投与で緩和できることを示す。
実施例3
MAb A110と黄色ブドウ球菌とのプレインキュベーションは鼻コロニー形成を阻止する
Kiserらは、鼻コロニー形成に影響を及ぼすブドウ球菌因子を研究するため、マウスにおいてブドウ球菌鼻コロニー形成モデルを開発した(30)。このモデルを用いて、我々は生理食塩水(PBS)中のA110の鼻腔内点滴投与が黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び/又は緩和することを示した。簡潔に述べると、ストレプトマイシン耐性黄色ブドウ球菌5型を高塩度Columbia寒天で成長させ、莢膜形成を促進した。それらの細菌を無菌生理食塩水で洗浄して培地成分を除去し、抗ブドウ球菌MAb又は無関係対照MAbを様々な濃度及び組合せで含有する生理食塩水中に〜108個微生物/動物の投与量で再懸濁させた。1時間のプレインキュベーションの後、細菌を再ペレット化し、生理食塩水又は抗体含有生理食塩水のいずれかに、動物投与量当たり10μlの最終容積で再懸濁させた。ストレプトマイシン含有水で24時間維持されているマウスを麻酔で落ち着かせた。鼻と接触させることなしにピペット操作することによってマウスの鼻孔内にブドウ球菌を点滴投与した。
MAb A110と黄色ブドウ球菌とのプレインキュベーションは鼻コロニー形成を阻止する
Kiserらは、鼻コロニー形成に影響を及ぼすブドウ球菌因子を研究するため、マウスにおいてブドウ球菌鼻コロニー形成モデルを開発した(30)。このモデルを用いて、我々は生理食塩水(PBS)中のA110の鼻腔内点滴投与が黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び/又は緩和することを示した。簡潔に述べると、ストレプトマイシン耐性黄色ブドウ球菌5型を高塩度Columbia寒天で成長させ、莢膜形成を促進した。それらの細菌を無菌生理食塩水で洗浄して培地成分を除去し、抗ブドウ球菌MAb又は無関係対照MAbを様々な濃度及び組合せで含有する生理食塩水中に〜108個微生物/動物の投与量で再懸濁させた。1時間のプレインキュベーションの後、細菌を再ペレット化し、生理食塩水又は抗体含有生理食塩水のいずれかに、動物投与量当たり10μlの最終容積で再懸濁させた。ストレプトマイシン含有水で24時間維持されているマウスを麻酔で落ち着かせた。鼻と接触させることなしにピペット操作することによってマウスの鼻孔内にブドウ球菌を点滴投与した。
一般には、動物をストレプトマイシン含有水で維持しながら4ないし7日後、動物を屠殺し、鼻を外科的に取り外して解剖した。鼻腔組織を0.5%Tween-20を加えた生理食塩水中で激しく渦攪拌して付着細菌を遊離させ、その生理食塩水をColumbia血液寒天及びストレプトマイシンを含むトリプシン処理ダイズ寒天に塗布してコロニー形成を決定した。
この手順に従い、ストレプトマイシン耐性黄色ブドウ球菌5型(SA5、1ないし3×108/マウス)を生理食塩水又はA110を含有する生理食塩水(2−3mg精製IgG/1−3×108個細菌のマウス投与量)中で1時間プレインキュベートした。プレインキュベーションの後、細菌をペレット化し、生理食塩水又はA110を含有する生理食塩水(10μl/マウス投与量)に再懸濁させた。各々10匹のマウスに生理食塩水中のSA5又はA110中のSA5を鼻内点滴投与した。表4は、PBS中のA110の鼻腔適用がブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び緩和することを示す3つの実験を表にする。
実施例4
鼻コロニー形成の阻止は抗ブドウ球菌抗体の存在に特異的である
我々のMAbで得られた鼻コロニー形成の阻止が抗ブドウ球菌抗体に特異的であることを確認するため、無関係の対照キメラ化IgGのブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止する能力を試験した。対照はMedi493、RSVに対するキメラIgG1 MAbであった(29、MedImmune)。同じ実験において、ブドウ球菌の黄色ブドウ球菌表面抗原に特異的なMAbであるMAb-11-232.3もコロニー形成を阻止するその能力について試験した。マウスをUV不活性化全黄色ブドウ球菌で免役することによってMAb-11-232.3(QED Biosciences)を産生させ、そのMAbは次にペプチドグリカンに結合することが示された。この実験は上述の通りに行い、それらの結果は表5に示すが、これは生理食塩水中のMAb-11-232.3がマウスにおいてブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び緩和したが、生理食塩水中の抗RSV MAbに効果はなかったことを示す。
鼻コロニー形成の阻止は抗ブドウ球菌抗体の存在に特異的である
我々のMAbで得られた鼻コロニー形成の阻止が抗ブドウ球菌抗体に特異的であることを確認するため、無関係の対照キメラ化IgGのブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止する能力を試験した。対照はMedi493、RSVに対するキメラIgG1 MAbであった(29、MedImmune)。同じ実験において、ブドウ球菌の黄色ブドウ球菌表面抗原に特異的なMAbであるMAb-11-232.3もコロニー形成を阻止するその能力について試験した。マウスをUV不活性化全黄色ブドウ球菌で免役することによってMAb-11-232.3(QED Biosciences)を産生させ、そのMAbは次にペプチドグリカンに結合することが示された。この実験は上述の通りに行い、それらの結果は表5に示すが、これは生理食塩水中のMAb-11-232.3がマウスにおいてブドウ球菌鼻コロニー形成を阻止及び緩和したが、生理食塩水中の抗RSV MAbに効果はなかったことを示す。
表5は、コロニー形成したマウスの数及びコロニー形成したマウス当たりの回復したコロニーの数の両者が抗黄色ブドウ球菌表面抗原MAbによる抗体特異的様式において減少したことを示す。生理食塩水対照及び無関係のキメラ化IgG対照群における全てのマウスは黄色ブドウ球菌がコロニー形成したが、MAb-11-232.3群においては8匹のマウスのうちの3匹のみがコロニー形成した。MAb-11-232.3群におけるマウス当たりの回復したコロニーの数は他の2つの群と比較して減少した。したがって、この効果は抗ブドウ球菌表面抗原MAbに特異的であり、ブドウ球菌上の表面プロテインAへの抗体結合の一般的な結果そのものではなかった。黄色ブドウ球菌ペプチドグリカンに対するさらなるMAb、MAb-11-248.2及びMAb-11-569.3(QED Biosciences)を産生させたが、これらは上述のような黄色ブドウ球菌コロニー形成に対する同様の阻害効果を示すはずである。上述のin vivoマウスモデルにおけるMAb-11-248.2及びMAb-11-569.3の有効性を確認する研究が進行中である。
実施例5
ブドウ球菌を結合するFc変異体MAbも鼻コロニー形成を阻止する
我々は、ブドウ球菌プロテインAへのFcドメインの正常な結合を阻害するようにFc領域が修飾されているA110の一形態も開発している。Fc変異体抗体を産生するため、プロテインAに正常に結合するIgG1のCH3ドメインを変異させた。具体的には、所望の変異及び親(非変異)DNA鎖を消化する制限エンドヌクレアーゼDpnlを含む2つの相補的オリゴヌクレオチドの使用に基づく突然変異生成法(47,8)をStratagen, Inc.によって提供されたプロトコルに従って用いた。突然変異生成プロセスに用いられた2つのオリゴヌクレオチドの配列は以下の通りである:
IgG1Fc3S:5’-GCTCTGCACAACCGCTTCACGCAGAAGAGCC-3’(配列番号3)及び
IgG1Fc3AS:5’-GGCTCTTCTGCGTGAAGCGGTTGTGCAGAGC-3’(配列番号4)。
ブドウ球菌を結合するFc変異体MAbも鼻コロニー形成を阻止する
我々は、ブドウ球菌プロテインAへのFcドメインの正常な結合を阻害するようにFc領域が修飾されているA110の一形態も開発している。Fc変異体抗体を産生するため、プロテインAに正常に結合するIgG1のCH3ドメインを変異させた。具体的には、所望の変異及び親(非変異)DNA鎖を消化する制限エンドヌクレアーゼDpnlを含む2つの相補的オリゴヌクレオチドの使用に基づく突然変異生成法(47,8)をStratagen, Inc.によって提供されたプロトコルに従って用いた。突然変異生成プロセスに用いられた2つのオリゴヌクレオチドの配列は以下の通りである:
IgG1Fc3S:5’-GCTCTGCACAACCGCTTCACGCAGAAGAGCC-3’(配列番号3)及び
IgG1Fc3AS:5’-GGCTCTTCTGCGTGAAGCGGTTGTGCAGAGC-3’(配列番号4)。
プラスミドpSUN29、ヒトIgG1コーディング領域を含むpSL1180プラスミド(Pharmacia)をこの突然変異生成プロセスのテンプレートとして用いた(図1)。IgG1Fc3S及びIgG1Fc3ASオリゴヌクレオチドをpSUN29、dNTP、反応バッファー、及びPfuTurbo DNAポリメラーゼと合わせた。反応をQuickchange Mutagenesis System(Stratagene)に記載される通りに行った。Dpnl消化の後、サンプルを水で1:10に希釈し、2μlを製造者の指示に従ってUltracompetent XL2 Blue細胞(Stratagene)の形質転換に用いた。十分に単離された個々の細菌コロニーの一晩培養物からのプラスミドDNA精製(Qiagen)の後、DNAインサートを含むプラスミドクローンをEcoRI及びNotIを用いる診断用制限酵素消化を用いて同定した。次に、適切なサイズ(〜1000bp)のインサートを含むプラスミドのDNA配列が所望の変異、H435R及びY436Fを含むことを確認した。これらのアミノ酸はヒトIgG3アイソタイプの相同位置で見出されるものと一致する。重鎖定常領域の最終コンセンサスDNA及びアミノ酸配列を図2に示す。
突然変異IgG1定常領域をA110可変領域と合わせてMAb A110 Fcを作製した。具体的には、プラスミドpSUN30を制限エンドヌクレアーゼEcoRI及びNotI(New England Biolabs)で消化し、突然変異IgG1コーディング配列を含むDNA断片をQiaquickスピンカラムDNA/ゲル単離システム(Qiagen)を用いてゲル精製した。プラスミドpJRS334はMAb A110をコードするcDNA配列を含む哺乳動物発現プラスミドである。プラスミドpJRS334をEcoRI及びNotIで消化し、ベクター主鎖断片を上述のQiaquickスピンカラムシステムを用いてゲル精製した。このpJRS334プラスミド主鎖、及びIgG1変異体インサートを製造者の指示(New England Biolabs)にしたがってライゲートし、ライゲーション産生物でXL2blue細胞(Stratagene)を形質転換した。プラスミドクローンを個々の細菌クローンの一晩培養物からQiaprepシステム(Qiagen)を用いて精製した。次に、適切なサイズ(〜1000bp)のインサートを含むプラスミドのDNA配列を、ABIシーケンサーを用いる蛍光標識DNA配列決定によって決定した。プラスミドpSUN31は正しいサイズ及び配列のA110抗体のFc変異体、A110 Fcを含んでいた。図3はpSUN31の模式的なプラスミドマップを示す。
pSUN31をトランスフェクトしたCOS細胞がA110 Fc抗体を産生するのかどうかを決定するのにELISAによる抗体産生測定を用いた。簡潔に述べると、このアッセイにおいては、抗ヒトIgG抗体を96ウェルプレートのウェルに結合させる。トランスフェクトしたCOS細胞からの上清をこれらのウェルに加え、次いで抗ヒトκHRP結合抗体を添加する。HRP部分の存在は、HRPの存在下でのインキュベーションの後に450nmで測定可能な吸光度を有するTMB基質(Kirkgaard & Perry Laboratories)を用いて検出する。したがって、96ウェルプレートのウェルは、上清がヒトIgGドメイン及びヒトκドメインの両者を含む抗体を産生する場合にのみ、バックグランドを上回る450nmでの吸光度を有する。
製造者によって記載されるように、Superfect(Qiagen)を用いて6ウェル組織培養セルにおいて、1ミリグラムのプラスミドpSUN31をCOS細胞にトランスフェクトした。3日後、上清をELISAによる抗体産生測定においてアッセイした。抗体産生ELISAアッセイは、PBS中のヤギ抗ヒトIgG抗体(Pierce)の1:500希釈液でコーティングした、96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorp F8;Nunc, Inc.)からの8ウェル列において行った。これらのプレートをフィルム(「感圧フィルム」Falcon、Becton Dickinson)で覆い、4℃で一晩インキュベートした。
プレートを洗浄溶液(イミダゾール/NaCl/0.4%Tween-20)で1回洗浄し、100μlの培養上清を2つのウェルに添加して、プレート回転装置上、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄溶液で5回洗浄した。サンプル希釈液(PBS中の10%FBS)で1:800に希釈した、100μlのヤギ抗ヒトκHRP結合体(Southern Biotechnologies)をサンプルに添加し、プレートをプレート回転装置上、室温で30分間インキュベートした。サンプルを洗浄溶液で5回洗浄し、100μLのTMB発色基質(Kirkgaard & Perry Laboratories)をウェル毎に添加して、プレートをプレート回転装置上、室温で5分間インキュベートした。100μLのQuenchバッファー(Kirkgaard & Perry Laboratories)で反応を停止させ、各々のウェルの450nmでの吸光度を自動マイクロタイタープレートELISAリーダー(Ceres UV900HI、Bio-tek、Winooski、Vermont)を用いて決定した。
陽性対照として、親抗体A110をこのアッセイに含めた。このアッセイは、pSUN31でのCOS細胞のトランスフェクションがヒトIgGドメイン及びヒトκドメインの両者を含む抗体の産生を生じることを示す(図4を参照)。
次に、上清を、黄色ブドウ球菌リポタイコ酸(LTA)及び黄色ブドウ球菌プロテインA(SpA)に結合する発現した抗体の能力についてアッセイした。親抗体A110に対して、Fc変異抗体A110 Fcは、LTAに結合する能力は保持しながら、もはやプロテインAには結合しないものと予想される。
活性アッセイは、PBS 100μl中の1.0μg黄色ブドウ球菌LTA(Sigma)、0.2μg SpA(Sigma)、又は0.1μg SpA(Sigma)でコーティングされている、96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorp F8;Nunc, Inc.)からの8ウェル列において行った。陰性対照として、ウェルを1.0μg BSAでコーティングした。これらのプレートを感圧フィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄溶液(イミダゾール/NaCl/0.4%Tween-20)で1回洗浄し、100μlの培養上清を2つのウェルに加えて、プレート回線装置上、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄溶液で5回洗浄した。サンプル希釈液(PBS中の10%FBS)で1:800に希釈した、100μlのヤギ抗ヒトκHRP結合体(Southern Biotechnologies)を各ウェルに添加した後、プレート回転装置上、室温で30分間インキュベートした。サンプルを洗浄溶液で5回洗浄した後、100μLのTMB発色基質(Kirkgaard & Perry Laboratories)をウェル毎に添加し、プレートをプレート回転装置上、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルのQuenchバッファー(Kirkgaard & Perry Laboratories)で反応を停止させ、各々のウェルの450nmでの吸光度値を自動マイクロタイタープレートELISAリーダー(Ceres UV900HI、Bio-tek、Winooski、Vermont)を用いて決定した。陽性対照として、pJRS334、親抗体A110をコードするプラスミド、でトランスフェクトした哺乳動物細胞からの上清を用いた。このアッセイは、pSUN31でのCOS細胞のトランスフェクションが黄色ブドウ球菌LTAに結合する能力は保持するものの黄色ブドウ球菌プロテインAにはもはや結合しない組換え抗体の産生を生じることを示す(図5)。このアッセイは、親抗体A110がプロテインAに結合し、それに対してFc領域に2つのアミノ酸変化を有する変異抗体、A110 Fc、は結合しないことも確証する。
pSUN31プラスミドで安定にトランスフェクトされている細胞株を生成した。具体的には、CHO細胞をエレクトロポレーションにより、PvuI制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs)で消化することによって直線化されているpSUN31でトランスフェクトした。簡潔に述べると、25μgの消化したpSUN31プラスミドDNAを1×107 CHO細胞と、0.4cmキュベット内の総容積800μLのPBS中で混合し、250mA、960μFのパルスに晒した。細胞を100mlの非選択培地MDM、10%血清(Hyclone)で希釈し、100μlを10、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加えた。24時間後、培地を96ウェルプレートから除去し、750μg/ml G418を含有する選択培地、MDM、10%血清と置き換えた。コロニーが出現した後、黄色ブドウ球菌プロテインAへの結合不能及び黄色ブドウ球菌LTAへの継続する結合能力をチェックすることにより、上清を抗体の産生についてアッセイした。
安定なトランスフェクタントの抗体産生及び活性アッセイは上述のように行った。これらのアッセイは、このプラスミド構築体での細胞のトランスフェクションが、LTAに結合する能力は保持するがプロテインAにはもはや結合しないヒト化キメラFc変異抗体、Ac110 Fcを産生する安定な細胞株の産生を生じ得ることを示す。
A110 Fc処置群の全ての動物が黄色ブドウ球菌によってコロニー形成したととしても、A110 Fc抗体は、抗体を細菌と共に投与したとき、黄色ブドウ球菌による鼻コロニー形成を緩和した。特に抗体処置マウスにおいて、鼻当たりのコロニーの平均数は生理食塩水処置マウスと比較して大幅に減少した。
実施例6
MAb A110の結合はその有効性を増加させる
各抗体/担体結合体上での抗原結合部位の数(すなわち、結合価)を増加させるため、我々はMAbを様々な担体物質と結合させている。我々はこの抗体結合を公知抗体及びブドウ球菌鼻コロニー形成のコロニー形成を阻止することが可能なあらゆる発見されたMAbについて行った。この結合手順はLeesら(35)に記載される通りに行った。簡潔に述べると、以下のようなヘテロライゲーション技術を用いて抗体をアミノエチルカルバミルデキストラン(AECMデキストラン)に結合させた。N−ヒドロキシクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA、Bioaffinity Systems、Roscoe、ILから購入)を用いて抗体をアセチルチオ化し、大過剰のN−ヒドロキシクシンイミジルヨードアセテート試薬(Bioaffinity Systems)を用いてAECMデキストランをヨードアセチル化した。抗体を4−8倍モル濃度過剰のSATAと1−2時間反応させた。AECMデキストラン及び抗体の両者の標識を0.15M HEPES、2mM EDTA、pH7.3において行った。標識された抗体及びデキストランを脱塩し、30−60:1のモル比で混合した。pHを7.5に上昇させ、ヒドロキシルアミン中25mMとして反応を一晩進行させた。S400HR(Pharmacia)カラムでのゲル濾過クロマトグラフィーによって非結合抗体を除去した。1.4OD/mg/mlを用いて280nMでの光学密度を決定することにより結合体のタンパク質濃度を測定した。デキストラン濃度はMonsignyら、1988の方法を用いて決定した。0.2μ Millex GV装置(Millipore)を用いて結合体を無菌濾過した。
MAb A110の結合はその有効性を増加させる
各抗体/担体結合体上での抗原結合部位の数(すなわち、結合価)を増加させるため、我々はMAbを様々な担体物質と結合させている。我々はこの抗体結合を公知抗体及びブドウ球菌鼻コロニー形成のコロニー形成を阻止することが可能なあらゆる発見されたMAbについて行った。この結合手順はLeesら(35)に記載される通りに行った。簡潔に述べると、以下のようなヘテロライゲーション技術を用いて抗体をアミノエチルカルバミルデキストラン(AECMデキストラン)に結合させた。N−ヒドロキシクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA、Bioaffinity Systems、Roscoe、ILから購入)を用いて抗体をアセチルチオ化し、大過剰のN−ヒドロキシクシンイミジルヨードアセテート試薬(Bioaffinity Systems)を用いてAECMデキストランをヨードアセチル化した。抗体を4−8倍モル濃度過剰のSATAと1−2時間反応させた。AECMデキストラン及び抗体の両者の標識を0.15M HEPES、2mM EDTA、pH7.3において行った。標識された抗体及びデキストランを脱塩し、30−60:1のモル比で混合した。pHを7.5に上昇させ、ヒドロキシルアミン中25mMとして反応を一晩進行させた。S400HR(Pharmacia)カラムでのゲル濾過クロマトグラフィーによって非結合抗体を除去した。1.4OD/mg/mlを用いて280nMでの光学密度を決定することにより結合体のタンパク質濃度を測定した。デキストラン濃度はMonsignyら、1988の方法を用いて決定した。0.2μ Millex GV装置(Millipore)を用いて結合体を無菌濾過した。
予備実験は、高分子量デキストランに結合したA110が非結合A110と比較して有意に大きな黄色ブドウ球菌の凝集を誘導したことを示している。我々は上述の手順によってA110をデキストランに結合させ、下記表7に示されるようにこの結合MAbを我々の鼻コロニー形成アッセイにおいて試験している。
A110のデキストランへの結合は鼻コロニー形成を阻止及び/又は緩和する抗体の能力を高めた。具体的には、コロニー形成したマウスの数が8/8(対照)からデキストラン結合サンプルにおいては5/8に低下した。さらに、依然として陽性である5匹のマウスについては、回復したコロニーの数が数倍低下した。
実施例7
鼻孔へのMAbの前点滴投与は鼻コロニー形成を阻止する
上述の全ての例においては、鼻点滴投与の前にPBS中のMAbを黄色ブドウ球菌と共にプレインキュベートした。これが臨床環境を完全に模倣し得ていないことを認めて、MAbをマウスの鼻に前点滴投与し、次いで細菌点滴投与をすることができ、かつ依然としてコロニー形成を阻止するかどうかを調べた。2つの実験(表8及び9に要約される)において、マウスを麻酔し、PBS中のA110を鼻孔内に点滴投与した。10分後、黄色ブドウ球菌を鼻孔内に点滴投与した。5日後、マウスを屠殺し、鼻をプレート化して黄色ブドウ球菌の存在を検出した。
鼻孔へのMAbの前点滴投与は鼻コロニー形成を阻止する
上述の全ての例においては、鼻点滴投与の前にPBS中のMAbを黄色ブドウ球菌と共にプレインキュベートした。これが臨床環境を完全に模倣し得ていないことを認めて、MAbをマウスの鼻に前点滴投与し、次いで細菌点滴投与をすることができ、かつ依然としてコロニー形成を阻止するかどうかを調べた。2つの実験(表8及び9に要約される)において、マウスを麻酔し、PBS中のA110を鼻孔内に点滴投与した。10分後、黄色ブドウ球菌を鼻孔内に点滴投与した。5日後、マウスを屠殺し、鼻をプレート化して黄色ブドウ球菌の存在を検出した。
上述のものと同じ方法で、我々の抗ペプチドグリカンMAb(MAb-11-232.3)のうちの1つの前点滴投与も調べた。この実験の結果を表10に示す。
1この群からの1匹の異常に高度コロニー形成した動物はスチューデントT検定によって排除された。
これらの実験は、MAbを鼻孔内に前点滴投与し、次いで多量の黄色ブドウ球菌種菌を用いた抗原投与後の鼻コロニー形成を阻止及び緩和することが可能であることを示す。コロニー形成の阻止の有効性は上述のような同時インキュベーションよりも前点滴投与で低いが、これは鼻孔内に点滴されたバッファー中のMAbの極端に短い半減期のためであると思われる。実際、我々は、点滴後5分で、90%のMAbがもはや鼻孔内で検出できないことを決定している(データは示さず)。我々は、MAbの半減期を実質的に増加させる目的で、MAbの様々な処方での鼻孔への送達における研究を積極的に追求している。
実施例8
生理食塩水中のMAbの複数回投与による鼻適用は予め確立された鼻コロニー形成を緩和する
我々は、確立された黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成の緩和を援助するのにMAbを用いることも提唱する。この目的に向けて、A110の鼻点滴が確立された鼻コロニー形成を緩和できるかどうかを決定することを試みた。マウスに6×107個の黄色ブドウ球菌を点滴した。細菌点滴の1及び3日後、生理食塩水又は生理食塩水中のA110をコロニー形成マウスの鼻孔内に点滴した。第5日に、マウスを屠殺し、黄色ブドウ球菌の存在のために鼻をプレート化した。
生理食塩水中のMAbの複数回投与による鼻適用は予め確立された鼻コロニー形成を緩和する
我々は、確立された黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成の緩和を援助するのにMAbを用いることも提唱する。この目的に向けて、A110の鼻点滴が確立された鼻コロニー形成を緩和できるかどうかを決定することを試みた。マウスに6×107個の黄色ブドウ球菌を点滴した。細菌点滴の1及び3日後、生理食塩水又は生理食塩水中のA110をコロニー形成マウスの鼻孔内に点滴した。第5日に、マウスを屠殺し、黄色ブドウ球菌の存在のために鼻をプレート化した。
この例は、コロニー形成個体の鼻孔内にMAbを点滴することにより、確立された鼻コロニー形成を根絶及び緩和すること可能であったことを示す。
実施例9
MAbへの粘膜付着性ポリマーの添加は鼻孔内の保持時間を改善する
鼻粘膜の急速な消失は鼻治療薬の投与における主要な技術的障害である。ヒトの鼻における物質の消失時間は約12−15分であるが、粘膜流動が前鼻孔に対してより後方に存在する上皮細胞上の繊毛によって生じる牽引性に依存するため、鼻の前方1/3においては消失はよりゆっくりと生じる(4、33)。したがって、黄色ブドウ球菌コロニー形成の阻止において有効な鼻濃度を維持するのにMAbの頻繁な投与が必要となり、これは治療費用の増加につながり得る。粘膜付着性ポリマー、例えば、セルロース及びポリスチレン誘導体、キトサン、シクロデキストリン、並びにポリ−L−アルギニンが様々な策略において鼻に投与される薬物の保持時間を増加させるのに用いられている(41、45、63、64)。しかしながら、これらの送達系の大多数は担体薬物の全身吸収に焦点が当てられており、鼻粘膜における滞在時間及び活性の増加に明確に合わされてはいない。MAbの滞在時間を大幅に増加させ、かつそれらの活性を保存する鼻送達系は開発中であり、その目標は1日に1ないし4回の投与のみを必要とするものである。
MAbへの粘膜付着性ポリマーの添加は鼻孔内の保持時間を改善する
鼻粘膜の急速な消失は鼻治療薬の投与における主要な技術的障害である。ヒトの鼻における物質の消失時間は約12−15分であるが、粘膜流動が前鼻孔に対してより後方に存在する上皮細胞上の繊毛によって生じる牽引性に依存するため、鼻の前方1/3においては消失はよりゆっくりと生じる(4、33)。したがって、黄色ブドウ球菌コロニー形成の阻止において有効な鼻濃度を維持するのにMAbの頻繁な投与が必要となり、これは治療費用の増加につながり得る。粘膜付着性ポリマー、例えば、セルロース及びポリスチレン誘導体、キトサン、シクロデキストリン、並びにポリ−L−アルギニンが様々な策略において鼻に投与される薬物の保持時間を増加させるのに用いられている(41、45、63、64)。しかしながら、これらの送達系の大多数は担体薬物の全身吸収に焦点が当てられており、鼻粘膜における滞在時間及び活性の増加に明確に合わされてはいない。MAbの滞在時間を大幅に増加させ、かつそれらの活性を保存する鼻送達系は開発中であり、その目標は1日に1ないし4回の投与のみを必要とするものである。
最初の研究は4つの目的とする粘膜付着性ポリマー:キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ−L−アルギニン、及びPSSAの相対効力を評価した。A110を0.5%(w/v)のこれらのポリマーと混合し、マウスの鼻に滴下により加えるとき、生理食塩水投与と比較した鼻MAb保持における増加をポリ−L−リジンを除く全てについて観察した。投与後1時間の最大保持がPSSA溶液で達成され、生理食塩水−MAb処置した鼻の43%に対して78%であった。3時間で、PSSA−Abミクロスフェアは最大保持を示し続け、生理食塩水中の抗体の15%と比較して46%残存であった。投与後の様々な時間で鼻を抽出し、PBS/Tween-20で洗浄し、LTA結合ELISAアッセイにおいて抗体を測定した。光学顕微鏡による試験で、PSSAとA110を混合するプロセスが10ないし50μmのおおよそのサイズ範囲を有する微粒子を形成することが発見された。微粒子の存在は、封入された抗体が鼻からよりゆっくりと除去されるという観察に基づくと、重要なものであり得る。
PSSA又はキトサンと混合されているA110の鼻腔消失を3時間にわたって測定し、図6に示されるように、生理食塩水−MAb投与と比較した。キトサン(CS)及びPSSAはマウスの鼻における抗体の保持を長期化した。これらのポリマーの主な保持活性は投与後の最初の1時間以内に生じるものと思われ、生理食塩水での64%と比較してPSSAで事実上100%及びキトサンで82%である。鼻からのA110消失の速度は3種類のビヒクルの全てについて投与後1ないし3時間で均等化されるものと思われ、これは図6におけるこれらの時点間のキトサン及びPSSAサンプル線の等しい傾斜によって示される。しかしながら、処置後最初の1時間にわたるこの保持の相違は3時間での鼻内の抗体量の多大な絶対的相違につながり、これはこの時点でのPSSA処置マウスに残留する抗体量と比較したキトサン処置マウスに残留する抗体量との広がりによって示される。
抗体とPSSA及びCSとの処方において多くの変数が試験されており、これには:ポリマー分子量、ポリマー濃度、ミクロスフェアサイズ、及び塩濃度が含まれる。図7は、CS濃度の増加が鼻内での抗体の保持を増加させなかったことを示す。図8は、鼻内の抗体保持に対するポリスチレン−Abミクロスフェアサイズの効果を示す。この図における表示はミクロスフェア合成において用いられたPSSAのパーセントを示し、ミクロスフェアサイズと相関する。ミクロスフェアサイズは0.25%が50μm、0.5%が25μm、及び1.0%が0.5ないし1.0μmと見積もられた。この図において示されるように、ミクロスフェアサイズは鼻内での抗体の保持を変化させず、広範囲のサイズのミクロスフェアが有効であり得ることが示唆される。図9A及び9Bは、塩の濃度及びタイプがミクロスフェア中のAbの封入能力に影響を及ぼすことを示す。これらの図においては、水、PBS、又は硫酸ナトリウムを互いに比較した。水が最低の封入能力を有し、硫酸ナトリウムが最高封入能力を有していた。最後に、図10は、抗体保持に対するPSSAの分子量の効果を示す。PSSA分子量の差は抗体保持に対してほとんど効果がなかった。
粘膜付着性ポリマーは他の組成物、例えば、クリーム処方と合わせることができる。図11が示すように、クリーム処方単独又は粘膜付着性ポリマーとの組合せは粘膜付着性ポリマー単独と同様の様式でMAbの鼻保持を長期化する。
図6の結果は、粘膜付着性ポリマーがMAbの鼻保持を多くの時間長期化し、それにより黄色ブドウ球菌の鼻コロニー形成を阻止するのに必要な反復投与の頻度をおそらくは減少させることを示す。図6に示されるデータは最も有効な処方、0.5%の500,000MW PSSA及び0.5%の460,000MW CS(PROTOSAN G-213)を表す。送達方法が鼻の堆積及び保持もたらす可能性があるため、様々な鼻スプレー装置をMAb送達に対するそれらの影響について評価する。これらの治療全ての組合せを試験し、鼻MAb保持に最適の処方を決定する。
実施例10
PSSA中のMAbの単回投与による鼻適用は予め確立された鼻コロニー形成を緩和する
PSSA中に単回投与されたMAbの効力を鼻黄色ブドウ球菌コロニー形成のためのコットンラット(cotton rat)動物モデルにおいて試験した。これは前に記載されているマウス鼻コロニー形成モデルの変形である。4ないし6週齢Sigmadon hispidisコットンラットをこのモデルにおいて用いた。同時に、2%NaClを含有するColumbia寒天(CSA)に凍結ストックからの黄色ブドウ球菌MBT5040株を接種した。MBT5040は組織から単離された臨床MRSA株である。この株はWalter Reed Army Medical Center(WRAMC)に由来する。MBT5040のメチシリン最小阻害濃度(MIC)は>36μg/mlである。特定の細菌株用の薬物のMICはその特定の細菌株の正常な成長を阻害する薬物の最小濃度である。CSAプレート上での成長は細菌周囲の莢膜形成を促進し、それは次に鼻腔のより効率的なコロニー形成を生じる。
PSSA中のMAbの単回投与による鼻適用は予め確立された鼻コロニー形成を緩和する
PSSA中に単回投与されたMAbの効力を鼻黄色ブドウ球菌コロニー形成のためのコットンラット(cotton rat)動物モデルにおいて試験した。これは前に記載されているマウス鼻コロニー形成モデルの変形である。4ないし6週齢Sigmadon hispidisコットンラットをこのモデルにおいて用いた。同時に、2%NaClを含有するColumbia寒天(CSA)に凍結ストックからの黄色ブドウ球菌MBT5040株を接種した。MBT5040は組織から単離された臨床MRSA株である。この株はWalter Reed Army Medical Center(WRAMC)に由来する。MBT5040のメチシリン最小阻害濃度(MIC)は>36μg/mlである。特定の細菌株用の薬物のMICはその特定の細菌株の正常な成長を阻害する薬物の最小濃度である。CSAプレート上での成長は細菌周囲の莢膜形成を促進し、それは次に鼻腔のより効率的なコロニー形成を生じる。
点滴の当日、サンプルの透過パーセントが650nMで約10%になるまでコロニーを無菌PBS(1ml/点滴しようとする動物)に掻き取ることにより黄色ブドウ球菌MBT5040をCSAプレートから採取した。細菌を遠心によってペレット化した後、無菌PBSの10μl/動物に再懸濁させた。コットンラットを筋肉内送達した200μlのケタミン(25mg/kg)、ロンプン(2.5mg/kg)、及びアセプロマジン(2.5mg/kg)で鎮静化した。
各々5匹のコットンラットの2つの群に上述のように109個黄色ブドウ球菌MBT5040を点滴した。6日後、一方の群に20μ容積でPSSA中に処方した100μgのA110を一回鼻投与した。PBS中の1%PSSA溶液を等容積のPBS中の10mg/mL A110と、各々の成分の最終濃度が0.5%PSSA及び5mg/mL A110となるように混合することによってPSSA−MAb懸濁液を調製した。これら2つの溶液を一緒に混合して直ちに10秒間渦攪拌し、平均で約0.5μmないし10μmのサイズを有する微粒子を形成した。
PSSA中のMAbの点滴の24時間後、鼻を採取し、コロニー形成についてチェックした。動物はCO2吸入によって屠殺した。鼻を外科的に取り外して解剖し、0.5%Tween-20を含有する500μlの無菌PBS中で十分に渦攪拌してコロニー形成している細菌を遊離させた。50ないし100μlのPBSを様々なタイプの寒天プレート上に塗布し、実際のコロニー形成を決定した。具体的には、MBT5040黄色ブドウ球菌がナフシリン及びストレプトマイシン耐性であったため、鼻コロニー形成全体はトリプシン処理ダイズ寒天(TSA)に加えて7.5%NaCl、ナフシリン、及びストレプトマイシンプレートでのコロニー形成単位(「CFU」)として測定した。次に、存在するのであれば、血液寒天又はTSA+7.5%NaCl上のコロニーのいずれが黄色ブドウ球菌であるのかを決定するのに微生物学的試験を用いた。
実施例11
LTAを結合するヒト抗体
上述のような処置の間のHAMA応答を最小化するのにマウス抗体をヒト化するかわりに、当業者は完全にヒトである保護抗LTA抗体を単離することができる。当業者が完全なヒト組換え抗体を産生するのに用いることができる幾つかの公知代替方法が存在する。その1つはファージ提示技術を用いた抗体の産生である(79、83)。具体的には、ヒトRNAを用いてバクテリオファージの表面上に発現する抗体重鎖及び軽鎖断片のcDNAライブラリを生成する。これらのライブラリは所望の抗原(すなわち、LTA)に対する探索に用いることができ、次に、表面上に発現する抗体のため、結合するファージが単離される。抗体発現のため、可変領域をコードするDNAを配列決定し、クローン化する。
LTAを結合するヒト抗体
上述のような処置の間のHAMA応答を最小化するのにマウス抗体をヒト化するかわりに、当業者は完全にヒトである保護抗LTA抗体を単離することができる。当業者が完全なヒト組換え抗体を産生するのに用いることができる幾つかの公知代替方法が存在する。その1つはファージ提示技術を用いた抗体の産生である(79、83)。具体的には、ヒトRNAを用いてバクテリオファージの表面上に発現する抗体重鎖及び軽鎖断片のcDNAライブラリを生成する。これらのライブラリは所望の抗原(すなわち、LTA)に対する探索に用いることができ、次に、表面上に発現する抗体のため、結合するファージが単離される。抗体発現のため、可変領域をコードするDNAを配列決定し、クローン化する。
ヒト抗体を産生する別の方法は「ヒト化」マウスを用いる。これらのトランスジェニックマウスは、抗原の接種でそれらがヒト抗体を産生するように、ヒト抗体遺伝子複合体の一部で置換されているそれら自身の抗体遺伝子を有している(77、79、80、81、83)。生じる抗体産生細胞を、次に、特異的モノクローナル抗体産生細胞株を確立するため、標準ハイブリドーマ技術に組み込むことができる。
組換えヒト抗体は、強い抗LTA応答を有するヒトボランティアから抗体産生B細胞を単離することによっても産生できる。蛍光発色セルソーター(FACS)及び蛍光標識LTAを用いて、抗LTA抗体を産生する細胞を他の細胞から分離することができる。次に、RNAを抽出し、反応性抗体可変領域の配列を決定することができる(78、82)。大規模ヒト組換え抗体産生のため、機能性可変領域のDNA配列を合成するか、又は哺乳動物発現ベクターにクローン化することができる。
結論
したがって、実施例3−5は、MAbs A110、MAb-11-232.3、及びA110 Fcがマウスの鼻孔に点滴投与されたときに黄色ブドウ球菌でのコロニー形成を阻止及び/又は緩和することを示す。これらの抗体のアイソタイプも黄色ブドウ球菌のコロニー形成を阻止及び/又は緩和するこの能力をおそらくは共有する。実施例6は、モノクローナル抗体がデキストランのような担体に結合されるとき、この効果が増強されることを示す。実施例7は、鼻孔内にMAbを前点滴投与し、かつ依然として同じマウスにおける鼻コロニー形成を阻止することが可能であることを示す。この例は、A110及びMAb-11-232.3を一緒に前点滴投与することがこれらのMAb単独のいずれかの点滴投与よりも良好であり得ることも示す。実施例8は、コロニー形成したマウスの鼻孔内のA110の2回の点滴投与が実験の最後にコロニー形成したマウスの数を緩和したことを示し、MAbの鼻点滴投与が黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成の阻止だけではなく確立された鼻コロニー形成の緩和にも有効であり得ることが示唆される。実施例9は、担体がマウスの鼻全体におけるMAbの保持時間に対する効果を有することを示す。実施例10は、コロニー形成したコットンラットの鼻に単回投与されたPSSA中A110が確立されたブドウ球菌コロニー形成を有効に緩和できることを示す。
したがって、実施例3−5は、MAbs A110、MAb-11-232.3、及びA110 Fcがマウスの鼻孔に点滴投与されたときに黄色ブドウ球菌でのコロニー形成を阻止及び/又は緩和することを示す。これらの抗体のアイソタイプも黄色ブドウ球菌のコロニー形成を阻止及び/又は緩和するこの能力をおそらくは共有する。実施例6は、モノクローナル抗体がデキストランのような担体に結合されるとき、この効果が増強されることを示す。実施例7は、鼻孔内にMAbを前点滴投与し、かつ依然として同じマウスにおける鼻コロニー形成を阻止することが可能であることを示す。この例は、A110及びMAb-11-232.3を一緒に前点滴投与することがこれらのMAb単独のいずれかの点滴投与よりも良好であり得ることも示す。実施例8は、コロニー形成したマウスの鼻孔内のA110の2回の点滴投与が実験の最後にコロニー形成したマウスの数を緩和したことを示し、MAbの鼻点滴投与が黄色ブドウ球菌鼻コロニー形成の阻止だけではなく確立された鼻コロニー形成の緩和にも有効であり得ることが示唆される。実施例9は、担体がマウスの鼻全体におけるMAbの保持時間に対する効果を有することを示す。実施例10は、コロニー形成したコットンラットの鼻に単回投与されたPSSA中A110が確立されたブドウ球菌コロニー形成を有効に緩和できることを示す。
マウスにおける鼻コロニー形成の阻止及び/又は消失の最も有効な用量及びスケジュールを決定するために、特定の送達方法、特定の投薬及び抗体投与のタイミングが採用される。このデータから、ヒト被験者に加えて他の哺乳動物における臨床試験のために投与量及びスケジュールが開発される。
当業者は、ブドウ球菌の鼻コロニー形成を阻止するモノクローナル抗ブドウ球菌抗体がここに列挙される抗体のみに限定されるものではなく、本発明が表面抗原を含む黄色ブドウ球菌の他の抗原に結合するMAb、及びそれらのアイソタイプ、並びに哺乳動物の鼻孔に存在する他の細菌に対するMAbも含めようとすることを理解するであろう。当業者は、これらの抗体が修飾Fc領域を有するMAbを含むことも理解するであろう。そのような他のMAbの有用性は、キメラ化抗RSVモノクローナルIgG抗体で処置されたマウスの対照群と比較してブドウ球菌抗原に特異的な抗体が測定される効果を生じることを確実なものとすることによって決定される。
以下の刊行物は参照することによりここに明確に組み込まれる。
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本発明の他の態様は本明細書の考察及びここに開示される発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は単に例示にすぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び精神は以下の請求項によって示すことを意図している。
Claims (37)
- ブドウ球菌の少なくとも1つの抗原に特異的に結合する少なくとも1つのモノクローナル抗体及び粘膜付着性担体を含む組成物であって;
鼻内点滴による該組成物での患者の処置の結果、
a)投与後少なくとも12時間、ブドウ球菌による鼻のコロニー形成を生じないか、
b)鼻孔内のブドウ球菌コロニー数の認識可能な減少を生じないか、
c)鼻孔から採取される陽性培養物の頻度の認識可能な減少を生じないか、又は
d)ブドウ球菌感染の頻度の認識可能な減少を生じないことを特徴とする、前記組成物。 - 少なくとも1つのモノクローナル抗体がマイクロカプセル封入されている、請求項1に記載の組成物。
- 粘膜付着性担体がキトサンを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 粘膜付着性担体がポリスチレンスルホネートを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 粘膜付着性担体がヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がキメラ及びヒト化モノクローナル抗体から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がヒトのものである、請求項1〜6のいずれか1項に組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がキメラ及びヒト化モノクローナル抗体から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がヒトのものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がA110、A110 Fc、MAb-11-232.3、MAb-11-248.2、MAb-11-569.3、A120、及び99-110FC12 IE4から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がIgG、IgA、及びIgMから選択されるヒト重鎖定常領域を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がIgG1ヒト重鎖定常領域を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体が修飾Fc部分を含み、該修飾がFc部分を介するモノクローナル抗体の非特異的結合を減少させるものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、SFv、及びscFv.から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がブドウ球菌表面抗原に特異的に結合する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がLTAに特異的に結合する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体がペプチドグリカンに特異的に結合する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも1つのモノクローナル抗体が病原性抗原及び付着抗原から選択されるブドウ球菌表面抗原に特異的に結合する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
- 非同一アミノ酸配列を有する多数のモノクローナル抗体を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物及び薬学的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
- 有効量の請求項21に記載の医薬組成物を患者の鼻孔に点滴投与することを特徴とする、患者の治療方法。
- 液滴、スプレー、粉末、エアロゾル、ミスト、ゲル、ローション、クリーム、ペースト、粒子、又はペレットから選択される形態で組成物を点滴投与する、請求項22の方法。
- 組成物が粘膜付着剤を含む、請求項22又は23の方法。
- 組成物が、分子、ポリマー、及び粒子から選択される担体に結合する、多数のモノクローナル抗体分子を含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物が、該少なくとも1つのモノクローナル抗体を含有するか、又は担持するミクロスフェアを含む、請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物が担体を含み、該担体に少なくとも1つのモノクローナル抗体がマイクロカプセル封入されている、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物が、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、及びリポソームから選択される担体を含む請求項22〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物が、ポリホスホエステル、デンドリマー、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリスチレンスルホネート、及びポリ(ラクチドコグリコリド)、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、タンパク質、又は多糖から選択される担体を含む、請求項22〜28のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物がキトサンを含む、請求項22〜29のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物がポリスチレンスルホネートを含む、請求項22〜30のいずれか1項に記載の方法。
- 組成物が該少なくとも1つのモノクローナル抗体に共有結合する多糖を含む、請求項22〜31のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1つの抗ブドウ球菌剤の点滴投与をさらに含む、請求項22〜32のいずれか1項に記載の方法。
- 抗ブドウ球菌剤がリソスタフィン及びナイシンから選択される、請求項33に記載の方法。
- 有効量の請求項21記載の医薬組成物を患者の既にコロニー形成した上皮表面に適用することを含む患者の治療方法であって、
該治療の結果、
a)処置した上皮表面のブドウ球菌コロニー形成の減少を生じるか、又は
b)ブドウ球菌感染の頻度の認識可能な減少を生じることを特徴とする、
前記方法。 - 既にコロニー形成した上皮が鼻、皮膚、目、口、及び気道から選択される、請求項35に記載の方法。
- 既にコロニー形成した上皮が鼻の前鼻孔である、請求項36に記載の方法。
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