JP2005514053A6 - グラム陽性細菌のリポタイコ酸に特異的なオプソニン性モノクローナルおよびキメラ抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、グラム陽性細菌のリポタイコ酸(LTA)に結合するモノクローナル抗体を包含する。これらの抗体はまた、細菌全体にも結合し、in vitroでその細菌の食作用および殺菌を促進する。本発明はまた、ヒト配列を有する抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体)を提供する。本発明はまた、本発明に含まれる3種の抗体の可変領域についても記載しており、それら同士の顕著な相同性を提示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2001年12月21日付けで出願された米国仮特許出願第60/343,503号(弁理士の事務処理番号7787.6008)に基づくものであり、その利権を主張する。この仮出願の開示内容全体は、参照により本明細書に援用され、組み入れられるものとする。また、本出願は、米国特許第5,571,511号、米国特許第5,955,074号および米国特許出願第09/097,055号(1998年6月15日出願)にも関連し、それらは全て、参照により特に本明細書に組み入れられるものとする。
発明の分野
本発明は、免疫学および感染症の分野において、グラム陽性細菌、特に表面にリポタイコ酸を有する細菌に特異的な抗体に関する。本発明は、モノクローナル抗体およびキメラ抗体、ならびにそれらのフラグメント、領域および誘導体を包含する。本発明はさらに、それらの抗体のオプソニン活性を増大させる可変領域の配列に関する。本発明の抗体は、診断、予防および治療の用途に使用可能である。
細菌感染症を撲滅するための薬剤の探索は長い間にわたって行われており、なかなか困難を極めている。抗体の開発は、切断術に伴う敗血症が50%の死亡率であった時代に遡る。しかし、今日の課題は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属のメンバーのような抗生物質耐性細菌がぞくぞくと出てきていることである。
スタフィロコッカスは、特に厄介である。何故ならば、それらは通常ヒトや動物に棲息し、ヒトの罹患率や死亡率の重大な原因だからである。スタフィロコッカスは、皮膚や粘膜の内壁によく蔓延しているので、理論上は、局所的感染症および全身的感染症の双方を引き起こすようになっている。スタフィロコッカスの中でも、コアグラーゼ陽性細菌であるS.アウレウス(S.アウレウス)(黄色ブドウ球菌)およびコアグラーゼ陰性種であるS.エピデルミディス(S. epidermidis)(表皮ブドウ球菌)の2つが最も問題である。事実、S.アウレウスは、最も有毒なスタフィロコッカスであり、健常な宿主および免疫不防備状態の宿主の双方において、重篤な、死に至ることも多い疾患を引き起こす。S.エピデルミディスは、免疫応答が損なわれている患者や、外来で腹膜透析を継続的に受けている患者および中心静脈カテーテルから非経口的に栄養供給している患者などの治療に外来性の物体を体内に配置することが必要な患者の院内感染の主な原因の1つとなっている(25)。事実、S.エピデルミディスは、現在では、新生児の院内敗血症の一般的な原因と考えられており、感染は、非経口的に栄養供給している早産乳児で起こる場合が多い。さらに、近年では、新生児の感染へのS.エピデルミディスの関与は劇的に増大している。事実、誕生後7日目以降(産後の細菌暴露の尺度)に細菌性敗血症と診断された新生児10人当たり、6人がS.エピデルミディスに感染している。新生児でのスタフィコッカス感染を治療しないと、2〜3日で多臓器不全が起こったり死に至る可能性がある。抗生物質は部分的にしか効果がなく、残念なことに、スタフィロコッカスの多剤耐性株が増大していることから、抗生物質治療はますます効果が薄くなっている。
また、抗生物質耐性の問題は非常に重大なので、素人向けの新聞にも載るようになった。例えば、The Washington Postの「Microbe in Hospital Infections Show Resistance to Antibiotics」1997年5月29日;The Washington Timesの「Deadly bacteria outwits antibiotics」, 1997年5月29日を参照されたい。そして、この懸念は、科学文献によって裏付けされている。L. Garrett, The Coming Plague, 「The Revenge of the Germs or Just Keep Inventing New Drugs」, 第13章, 411-456頁, Farrar, StrausおよびGiroux, NY, 編. (1994)を参照されたい。1つの研究では、敗血症乳児の血液培養物から単離されたスタフィロコッカスの大部分が複数種の抗生物質に対して耐性であった(10)。別の研究では、メチシリン耐性S.アウレウスが記載されている(31)。臨床的な単離物間での抗生物質耐性の出現により、治療は困難なものになっていることは間違いない(18)。
他の可能性のある治療経路は、抗体の投与である。抗体は、細菌上の抗原を認識してそれに結合し、そうして食作用と呼ばれるプロセスにより細菌の除去すなわち「クリアランス」を促進することによって細菌の攻撃から防護する。そこにおいて、食細胞(主に好中球とマクロファージ)は、侵入してきた細菌を同定し、飲み込み、続いて破壊する。しかし、細菌は、例えば食細胞が付着できない「カプセル」を作り出したり、侵食している食細胞を実際に毒死させる毒素を産生する、といった食作用を回避するための機構を発達させてきた。抗体は、例えば、その毒素に結合してそれらを中和することによって、これらの防御に打ち勝つ。最も重要なことは、抗体が、「オプソニン化」と呼ばれるプロセスにおいて、それ自体がそのカプセルに結合して覆い、細菌を食細胞に対して極めて誘引性なものにし、血流からのクリアランス速度を増大させることができる点である。
しかし、投与抗体の使用を混乱させているのは、文献での報告が対立していることである。例えば、Fattomらの免疫化の研究では、S.エピデルミディスのオプソニン化は、S.アウレウスやスタフィロコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)などのカプセル化グラム陽性細菌と同様に、特定のカプセルのタイプに関連していることが実証された (6)。別の研究では、Timmermanらが、オプソニン性モノクローナル抗体を誘導するS.エピデルミディスの表面タンパク質を同定した(39)。また、Timmermanらは、S.エピデルミディスの異種株に結合する他のモノクローナル抗体を同定したが、同種株に対して産生させたモノクローナル抗体だけがオプソニン性であり、したがって、オプソニン化は同種株に対してだけ増大され、他の異種株では増大されなかった。したがって、FattomらおよびTimmermanら、ならびに他の分野に基づけば(そして、米国特許出願第5,571,511号および同第5,955,074号に述べた本発明者ら自身による研究と対比すれば)、S.エピデルミディスおよびS.アウレウスの複数種の株に対して広く反応性である抗体はそれぞれの株に対してオプソニン性を有するとは予期しないだろう。このことは、ゴアグラーゼ陽性およびコアグラーゼ陰性の双方のスタフィロコッカスに結合する抗体に特に当てはまる。
上記の問題をさらに増悪させているのは、スタフィロコッカス属が持つ共通の表面抗原の役割が明らかになっていないことである。例えば、リポタイコ酸およびタイコ酸はS.アウレウスの細胞壁の大部分を構成するが、リポタイコ酸およびタイコ酸に対する抗体が防護作用を持つ可能性があることについては、これまで全く認識されていなかった。事実、抗タイコ酸抗体は対照として用いられることが多かった。例えば、Fattomらは、タイコ酸およびS.ホミナス(S. hominus )に対して誘導した抗体を対照として用いて、S.エピデルミディスのタイプ特異的多糖に対して誘導した抗体のオプソニン活性を調べた。タイプ特異的抗体はオプソニン性が高いが、抗タイコ酸抗体は抗S.ホミナス抗体とは機能的に異なるものではなかった(6)。
同様に、Kojimaらにおいては、著者らは、カプセル状多糖に対する抗体の防護作用/コアグラーゼ陰性スタフィロコッカスによるカテーテル関連菌血症に対する付着を評価し、特に、タイコ酸を発現するS.エピデルミディスの一株を対照として用いた(16);436頁のMaterials and Methods、左欄、第1パラグラフ;右欄、第3パラグラフを参照されたい)。その後のTakedaらの研究(38)では、著者らは、抗タイコ酸抗体の有用性について、次のよなさらに明確な結論を下した:タイコ酸に対しては抗体を生起するがPS/Aに対しては生起しないように設計された免疫プロトコールは、菌血症に対しても心内膜炎に対しても防護作用をもたらさなかった (38)。
したがって、グラム陽性細菌、特にS.アウレウスやS.エピデルミディスなどのスタフィロコッカスによる感染に対する防護における抗体の役割は明確になっておらず、当業界では、そうした細菌感染に対して防護し、かつそうした感染に対するそうした抗体の役割の解明に役立つモノクローナル抗体が必要とされている。また、当業界では、そのような抗体を配列分析して、結合およびオプソニン活性が増大している抗体が同定かつ/または作製できるようにすることも必要とされている。
発明の概要
本発明は、広義には、グラム陽性細菌のリポタイコ酸(LTA)に結合する、反応性で、オプソニン性であり、防護作用を有するモノクローナルでキメラの抗体を包含する。この抗体はまた、細菌全体にも結合して、食作用を増進し、細菌をin vitroで死滅させ、in vivoでの致死性感染からの防護を増強する。本発明はさらに、共通して高度な配列相同性を有する、LTAに対するオプソニン性抗体を包含する。本発明はまた、2以上の異なる抗LTA抗体に由来する可変領域を有する抗体も包含する。
定義
本明細書では、用語「抗体」には、全長抗体およびその部分が含まれる。全長抗体は、1対、またはより一般には2対のポリペプチド鎖をもち、各対は、軽鎖と重鎖とを含む。それぞれの重鎖または軽鎖は、2つの領域、すなわち可変部(抗原に対する認識および結合を付与する)と(局在化および細胞間相互作用と関連のある)定常部とに分けられる。したがって、全長抗体は、一般に、2箇所の重鎖定常部(HCまたはCH)、2箇所の重鎖可変部(HVもしくはVH)、2箇所の軽鎖定常部(LCまたはCL)、および2箇所の重鎖可変部(LVまたはVL)を含む(図2)。1本または複数の軽鎖は、λ鎖でもκ鎖でもよい。したがって、本発明の実施形態では、抗体は、少なくとも1箇所の重鎖可変部および1箇所の軽鎖可変部を含み、抗体が抗原を結合するようになっている。
本発明の別の態様は、相補性決定領域、すなわちCDRと、フレームワーク領域、すなわちFRとを交互に含む可変部を含む。CDRは、可変部内の配列であり、一般に抗原特異性を付与する。
本発明は、抗原結合を付与するのに十分な可変部配列を含む抗体部分も含む。抗体部分には、それだけに限らないが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、SFv, scFv(1本鎖Fv)が含まれ、パパイン切断やペプシン切断など、無処置抗体のタンパク分解切断によって生成されているものも、あるいは無処置の重鎖および軽鎖のcDNAを操作して、重鎖および軽鎖の断片を別々に、または同じポリペプチドの部分として生成する組換え法によって生成されているものも含まれる。
本発明に包含されるMAbは、ヒト抗体、ヒト以外の動物の抗体、およびその組合わせに対応する抗体配列を含む。本明細書では、用語「キメラ抗体」には、ラットやマウスの抗体など、動物の抗体由来のその可変部が、別の分子、たとえばヒト抗体由来の定常部ドメインと融合している抗体が含まれる。キメラ抗体の1種である「ヒト化抗体」は、既知のヒト可変部配列と(できる限り)一致するように(突然変異誘発またはCDR移植によって)変更された可変部を有する。CDR移植は、所望の特異性を備えた抗体のCDRをヒト抗体のFRに移植し、それによって大部分の非ヒト配列をヒト配列と交換するものである。したがって、ヒト化抗体は、(アミノ酸配列が)既知のヒト抗体の配列によりしっかりと一致する。マウスモノクローナル抗体のヒト化によって、ヒト抗マウス抗体、すなわちHAMAへの応答の程度が低減される。本発明はまた、HAMA応答を可能な限り回避する完全なヒト抗体も含む。
改変抗体は、たとえば、切断または改変された抗体コード遺伝子によってコードされているタンパク質またはペプチドが含まれる。そのようなタンパク質またはペプチドは、本発明の抗体と同様に機能し得る。ブドウ球菌による鼻腔での集落形成をブロックまたは軽減する能力を含むエフェクター機能を強化し得る、別の配列の付加などの他の改変も本発明の範囲内である。そのような改変には、たとえば、抗体のアミノ酸配列へのアミノ酸の付加、抗体のアミノ酸配列におけるアミノ酸の欠失、抗体アミノ酸配列中の1個または複数のアミノ酸の代替アミノ酸による置換、アイソタイプスイッチ、およびクラススイッチが含まれる。
ある実施形態では、抗体のFc領域を、細菌タンパク質に結合しないように改変してもよい。Fc領域は通常、好中球、マクロファージ、他の補助細胞、補体複合体、および免疫系の受容体への結合部位を提供する。抗体が細菌に結合し、オプソニン化すると、補助細胞が覆われた細菌を認識し、感染応答する。細菌タンパク質が、補助細胞の結合位置の近くでFc領域に結合すると、補助細胞の正常な機能が阻害される。たとえば、黄色ブドウ球菌の細胞膜に見られる細菌タンパク質であるプロテインAは、IgGのFc領域の補助細胞結合部位付近に結合する。プロテインAは、そうする際に、こうした補助細胞の機能を阻害し、したがってこの細菌の排除が妨害される。この抗細菌免疫応答の妨害を回避するために、補助細胞への結合を失うことなく、プロテインAの非特異的な結合を妨げるよう本発明の抗体のFcタンパク質を改変することができる(15)。
このような様々な形態を考えて、本発明の抗体には、全長抗体、抗体部分、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、および改変抗体のクローンが含まれる。別段の指示がない限り、一まとめにして「MAb」と呼ぶ。
用語「エピトープ」とは、本明細書では、抗体がLTAに結合する、LTAの1箇所または複数の領域を指す。結合される領域は、その分子と連続する部分でも、そうでなくてもよい。
用語「抗原」とは、本明細書では、ポリペプチド配列、非タンパク質分子、または免疫系が認識することのできる任意の分子を指す。抗原は、完全な大きさのブドウ球菌タンパク質もしくはその分子でも、またはその断片でもよく、断片は全長に満たないタンパク質をコードしている組換えcDNAから生成するか、あるいは完全な大きさの分子もしくはタンパク質に由来する。そのような断片は、タンパク質分解などの酵素的プロセシングによって生成し得る。抗原は、ブドウ球菌タンパク質のエピトープを含むポリペプチド配列でもよく、エピトープは、そのタンパク質の線状のポリペプチド配列と連続していなくてもよい。抗原をコードしているDNA配列は、当業者によく知られている手順によって同定、単離、クローン化し、原核生物または真核生物細胞に形質移入して、発現させることができる(25)。
抗原またはそのエピトープは、ブドウ球菌分子もしくはそのタンパク質のアミノ酸配列の領域に100%同一であってもよく、あるいは少なくとも95%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも85%同一であってもよい。抗原は、ブドウ球菌分子もしくはそのタンパク質のアミノ酸配列との同一性が95%、90%、または85%未満でもよいが、ただし、それでも未変性のブドウ球菌分子もしくはそのタンパク質に結合する抗体を誘い出すことができるものとする。ペプチド抗原の同一性パーセントは、たとえば、Devereuxら(Nucl. Acids Res. 12: 387、1984)による記載があり、University of Wisconsin Genetics Computer Group(UWGCG)から入手できるGAPコンピューター・プログラム、バージョン6.0を使用し、標的抗原もしくはエピトープの配列とブドウ球菌配列の類似部分を比較して決定することができる。GAPプログラムは、SmithおよびWaterman(Adv. Appl. Math 2: 482、1981)によって改定されたNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48: 443、1970)のアラインメント法を利用するものであり、本明細書に記載のタンパク質もしくは核酸配列の同一性パーセントの決定に応用できる。GAPプログラム用の好ましいデフォルト・パラメーターは、以下のものを含む。すなわち、(1)SchwartzおよびDayhoff編、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、National Biomedical Research Foundation、353〜358ページ、1979年に記載されているような、(一致についての1、不一致についての0の値を含む)ヌクレオチド用単項比較行列と、GribskovおよびBurgessのNucl. Acids Res. 14: 6745、1986の加重比較行列;(2)ギャップ毎の3.0のペナルティーおよび各ギャップ中の記号毎の追加の0.10ペナルティー;ならびに(3)末端のギャップについてはペナルティーなし。
あるいは、最高で10もしくは20単位の短い領域、または、たとえば抗体配列間の比較的相同性の高い領域の簡単な比較では、ペプチドもしくはヌクレオチド配列の定められた領域についての同一性パーセントは、一致するアミノ酸またはヌクレオチドの数を、並べ合わせた配列の全長で割り、100%を掛けて決定することができる。MAb鎖中、たとえばCDR内またはその隣に1個、2個、または3個のアミノ酸の挿入またはギャップが存在する場合では、その挿入またはギャップを1件のアミノ酸不一致としてカウントする。
抗原は、表面抗原および/または病原性抗原および/または付着性抗原でよい。表面抗原は、抗原が無傷の全細菌(whole bacterium)の形態を取っている、すなわち抗原が細胞質の内側に入っていないときに、抗体に接近できる抗原である。病原性抗原は、発病過程に関与し、宿主に疾患を引き起こす抗原である。病原性抗原には、たとえば、LTA、ペプチドグリカン、毒素、線毛、鞭毛、および付着性抗原が含まれる。付着性抗原は、ブドウ球菌細菌が前鼻孔の上皮表面など上皮表面に付着する能力を媒介する。抗原は、炭水化物や脂質など、ブドウ球菌の非タンパク質成分でもよい。たとえば、ペプチドグリカンおよびリポテイコ酸は、ブドウ球菌の細胞壁に見られる2種の非タンパク質抗原である。抗原は、それが免疫応答を惹起する限り、非タンパク質分子の断片を含み、または包含していてよい。
本明細書では、抗原には、LTAに対する抗体応答を惹起し得る分子が含まれる。抗原は、LTAそのものでも、またはその断片もしくは一部でもよい。抗原は、構造類似性によりLTAに結合する抗体を誘発する無関係な分子であってもよい。したがって、LTAへの結合は、例えば、本明細書に参照により組み入れる米国出願番号09/893615号に記載されているような、ペプチドエピトープ模倣体に結合することにより評価してもよい。本発明のある実施形態では、抗原は、細菌表面のLTAに結合する抗体を誘発する。
本明細書において用いる場合、抗原は、LTAに特異的な抗体も含む抗体に特異的に結合する任意の分子である。したがって、本発明の抗原は、本明細書に記載のモノクローナル抗体、MAb-391.4、M110、M120、A110、A120、A120aおよびA120bのいずれかに結合する抗原を含む。
抗体は、ELISAアッセイなどのアッセイによって、バックグラウンドシグナルの少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、さらに少なくとも10倍、すなわち、非特異的結合に対して得られるシグナルの少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍のシグナルが抗体から得られる場合、抗原、エピトープ、またはタンパク質に特異的に結合するとされる。抗体は、メタノール固定した細菌ELISAまたは生細菌ELISAによって、バックグラウンドシグナルの少なくとも1.5倍、2倍、または3倍のシグナルが抗体から得られる場合、細菌に特異的に結合するとされる。
「増強された食作用」とは、本明細書では、この適用例の方法または他の同等のアッセイによって分析したところの、バックグラウンドレベルを上回る食作用の増大を意味する。価値があるとみなされるレベルは、細菌の種類や感染の重症度を含む特定の感染状況に応じてかなり様々であろう。たとえば、増強された食作用活性について、ある実施形態では、増強された応答は、バックグラウンド食作用の80%または85%増またはこれを上回るものであり得る。他の実施形態では、増強された応答は、バックグラウンド食作用の90%または95%増を上回るものであり得る。増強された食作用は、バックグラウンド食作用の50%、55%、60%、65%、または70%増またはこれを上回るものである場合もある。他の実施形態では、増強された食作用は、バックグランド食作用または非特異的もシクは非オプソニン制御抗体による食作用に比較して食作用活性が統計学的に有意な増強を含む。
「統計学的に有意」な結果の具体的な決定および特定は、正確な統計学的試験による。当業者は、一連の何らかの統計学的試験を用いてその試験のパラメーターにより決定される統計学的に有意な結果を容易に認識することができる。高知の統計学的試験の例としては、限定する意味ではないが、χ2試験(χ二乗テスト)、スチューデントT試験、F試験、M試験、フィッシャーイグザクト試験(Fisher Exact Test)、ビノミアルイグザクト試験(Binomial Exact Test)、ポイソンイグザクト試験(Poisson Exact Test)、分散分析の1方向または双方向反復測定、相関係数の算出(PearsonおよびSpearman)などが挙げられる。
MAbは、抗原n結合して食細胞への抗原の接着を促進することにより食作用を増進させる場合、「オプソニン活性」を有している。本明細書では、好中球が媒介するオプソニン性貪食殺菌活性を測定するアッセイによって、オプソニン活性を評価してもよい。
本発明のMAbは、全身および局所のブドウ球菌感染の治療に有用である。本明細書中、「治療」とは、既に起こった感染の減少、緩和または「軽減」、ならびに将来的な感染に対する「防御」または呼ぼうを含む。この点で、意図的なブドウ球菌の滴下注入によって曝そうが、全身に曝そうが、ブドウ球菌に曝す前、それと同時、またはその後にMAbを投与するとき、哺乳動物の鼻孔中の集落数を減少させることができれば、本発明のMAbによる治療は、ブドウ球菌の鼻腔集落形成を「軽減」するという。たとえば、以下に記載の鼻腔集落形成動物モデルでは、MAbまたはMAb集合体は、集落形成の程度、または鼻腔組織のサンプルから成長し得る細菌集落の数が、MAbまたはMAb集合体の投与後に低減される場合、集落形成を軽減するとみなされる。MAbまたはMAb集合体は、本明細書に記載の鼻腔集落形成アッセイにおいて、集落数を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも90%に減少させるとき、集落形成を軽減する。100%の軽減は、根絶と呼んでもよい。
意図的な滴下注入によってであろうが、他の方法によってであろうが、ブドウ球菌に曝す前またはそれと同時に鼻孔に投与するとき、ヒトまたはヒトでない哺乳動物の鼻腔集落形成を妨げることができれば、MAbは、ブドウ球菌の集落形成を「ブロック」するという。本明細書に記載の鼻腔集落形成アッセイでは、本発明のMAbで処置した哺乳動物から取った鼻腔組織サンプルから成長し得るブドウ球菌集落が対照哺乳動物よりも、12時間以上や24時間以上などの長期間にわたり存在しない場合、MAbは、集落形成をブロックする。MAbは、本明細書に記載の鼻腔集落形成アッセイにおいて、集落形成のある動物の数が対照動物より減少する場合も、集落形成をブロックしている。たとえば、物質およびグラム陽性細菌を投与した後、集落形成のある動物の数が対照動物の少なくとも25%、少なくとも50%、および少なくとも75%に減少する場合、あるいは処置した個体から取ったサンプルから成長し得る集落が、12時間以上や24時間以上などのより長い期間にわたり存在しない場合、MAbは、集落形成をブロックするとみなされる。
臨床的には、鼻腔スワブを適切な細菌用培地で培養して、ヒトの患者における鼻腔集落形成の有無を判定する。そのような培養物に、ブドウ球菌集落の有無によって得点をつける。この種の定性アッセイ系では、ブドウ球菌集落形成のブロックと軽減が区別し難いかもしれない。したがって、鼻腔スワブなどの定性アッセイの目的では、集落形成前の徴候を示さないヒト患者において、12時間以上または24時間以上などのより長い期間にわたりその後の集落形成を防止する場合、MAbは集落形成を「ブロック」する。本発明のMAbの投与前にすでにブドウ球菌陽性であるヒト患者から取った陽性培養物の数が識別可能に減少する場合、MAbは、集落形成を「軽減」する。
ワクチンは、グラム陽性細菌に対する防御オプソニン抗体の産生を刺激する場合、防御免疫応答を付与すると考えられる。オプソニン抗体の産生は、ワクチンを投与しておいた被験者の血清中に、ワクチンを投与していない対照よりもそのような抗体が存在しているかどうかで測ることができる。血清中に防御オプソニン抗体が存在するかどうかは、本明細書に記載の活性アッセイ、または他の同等のアッセイによって測ることができる。オプソニン性食作用殺菌アッセイを使用する場合では、試験血清によって対照血清より少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%多く細菌が死滅していれば、免疫が強化したとみなす。
発明の詳細な説明
本発明は、グラム陽性スタフィロコッカス属のリポタイコ酸(LTA)に結合する、モノクローナル抗体ならびにキメラ、ヒト化および完全ヒト抗体、ならびにそれらのフラグメント、誘導体および領域を含むマウス抗体を提供する。グラム陽性細菌は、グラム陰性細菌とは違って、細胞壁の構造の違いによってグラム染色を取り込む。グラム陰性細菌の細胞壁は、2枚の向かい合うリン脂質−タンパク質リーフレットのユニークな外膜からなり、内側のリーフレットでは通常のリン脂質であるが、外側のリーフレットでは極めて毒性の強いリポ多糖体である。グラム陽性細菌の細胞壁は、それに比べて非常にシンプルであり、2つの主要な構成要素であるペプチドグリカンとタイコ酸、ならびにさらに別の炭水化物およびタンパク質を含み、種によって異なる。
さらに、グラム陽性細菌の結合のベースはLTAの存在であり、LTAはグラム陽性細菌の細胞壁の主な構成成分であって高度に保存されているので、特許請求する本発明の抗体は、グラム陽性細菌に対して広範に反応性である。この広範な反応性のために、本発明の抗体は、グラム陽性細菌の上皮細胞(例えばヒト上皮細胞)への結合を遮断可能にする(50〜54)。最後に、これらの抗体は、広範なオプソニン活性を示し、したがって、グラム陽性細菌の食作用および殺菌を増大させる。したがって、本発明は、グラム陽性細菌により引き起こされる細菌感染の診断、予防および/または治療のための、広範に反応性で、オプソニン性で、かつ防護作用を有する抗体を提供する。
本発明の抗体を生起させたグラム陽性スタフィロコッカス属の中でも、S.アウレウス(コアグラーゼ陽性細菌)およびS.エピデルミディス(コアグラーゼ陰性細菌)を対象とする。
本発明の3種のモノクローナル抗体(M110、M120およびMAb-391.4)はLTAに強く結合する。M110およびM120はまた、S.エピデルミディスに対して高いオプソニン活性を示すが、MAb-391.4もそれほどではないがS.エピデルミディスに対してオプソニン性である。M120はまた、S.アウレウスに対して非常にオプソニン性が高い。M110は、米国特許出願第09/097,055号(1998年6月15日出願)(参照により本明細書に組み入れられる)に詳細に記載されているように、エピデルミディスHay株全体で免疫したマウスから誘導したものであった。ハイブリドーマのスクリーニングにおいて、1つのクローン(ハイブリドーマ96-105CE11 IF6系、抗体M110を産生する)の抗体は、Hay株、S.エピデルミディスの全3種のステレオタイプ、S.ヘモリティカス(S. hemolyticus)、S.ホミナス(S. hominus)およびS.アウレウスの2種のステレオタイプなどのグラム陽性細菌には非常に強く結合するが、グラム陰性対照であるヘモフィルス・インフルエンザ(Haemopholus influenza)には結合しないことが判った(米国特許出願第09/097,055号を参照)。
M120は、S.アウレウスLTAのコンジュゲートで免疫したマウスから誘導したものであった。1つのクローン(00-107GG12 ID12、抗体M120を産生する)の抗体は、LTAに強く結合することが判明し、S.アウレウス5型およびS.エピデルミディスHay株に対してオプソニン性であった。
MAb-391.4は、QED Biosciencesからのものであり、紫外線殺菌S.アウレウス全体で免疫したマウスから誘導したものであった。
M110、M120および391.4の可変領域を配列決定して比較したところ、驚くべきことに、アミノ酸レベルで88%の同一性(203/230)があることが明らかになった。さらに、S.エピデルミディスに対してオプソニン性が高い抗体であるM110とM120との間の同一性レベルは96%(220/230)であることが判った。3種の異なるマウスにおいて、2種の異なるタイプの細菌からの3種の異なる抗原調製物を用いて生起させた3種のモノクローナル抗体間のこの相同性レベルは、先例をみないことであったと思われる。この知見が如何に意外なことであったかを理解するためには、免疫系における抗体のコレクションがどれほど広範で多様性に富むのかを考えてみればよい。
免疫系は、多数のB細胞から構成され、それらは各々、特異性が異なる抗体を保有しているが、特定の抗原に対して特異的であるのは僅かに1/10,000〜1/1,000,000個のB細胞だけである。外来性の抗原(例えば細菌の表面に見られるもの)が血流に侵入すると、適切なB細胞がその抗原を認識し、次にリンパ節に侵入し、そこで急速に分裂して、同一の特異性を有する多くの子孫を産生する。しかし、この急速に分裂しているB細胞は、体細胞突然変異も受ける。体細胞突然変異によって、約半数のB細胞が、再構成された重鎖および軽鎖の遺伝子に突然変異を獲得し、突然変異は主に可変領域の相補性決定領域(CDR)で起こる。抗原への結合能を保持している突然変異B細胞は抗体を産生し続けるが、抗原に結合しなくなったものはアポトーシスを受ける。抗原が宿主から清掃されると、親和性突然変異(affinity mutation)と呼ばれるプロセスにおいて、非常に高い結合親和性を有するB細胞だけが生き残る。生き残った活性化B細胞は分裂して、プラズマ細胞(寿命が短く抗体を分泌する)と記憶B細胞(抗原が再導入されると急速に刺激され得る膜結合抗体を有する、寿命が長いリンパ球)になる。
体細胞突然変異および親和性突然変異のプロセスによって、元の活性化B細胞よりも高い親和性を有し、かつそれとは異なるアミノ酸配列を有する免疫グロブリンを含む子孫B細胞が生じる。したがって、外来抗原によって活性化された単一のB細胞は、親和性と免疫グロブリンのアミノ酸配列が異なっている多くの子孫を作り得る。
これらのプロセスのために、一般には、同一の抗原で免疫した2匹の動物は、極めて異なる抗体レパートリーを作り出すと考えられる。Nickersonとその共同研究者達は、同一の血液型群A抗原に対してほぼ同じ結合を示すマウスモノクローナル抗体とヒトモノクローナル抗体とが、重鎖および軽鎖のCDRにおいて15%および37%の同一性しか示さないことを示して、この概念を実証した(55)。共にインフルエンザウイルスの血球凝集素に結合する2種の抗体のX線結晶構造学研究から、それらには56%の配列同一性しかないが、両者とも同じエピトープに対してほぼ同じ親和性で、かつ同じ向きで結合することが明らかになった(56)。
免疫系は、特定の抗原に結合するようにではなく、できるだけ広範囲の抗原特異性と重複性をもたらすように進化してきたと見なされてきた(55)。したがって、多数の子孫B細胞が免疫した抗原に対して特異的になり得るので、同じマウスから誘導された抗体は、特異性は高いが相同性は低い可能性がある、とういうことになる。しかし、それらの子孫を増幅および体細胞突然変異させると、群内でより高い相同性を有する抗体群が生じるが、それらは群同士の相同性は非常に低い。2匹以上の異なるマウスにおいて同じ免疫原に対して生起させた抗体は、必然的に相同性がずっと低い。何故ならば、それらには共通する子孫B細胞がないからである。
本発明の3種の特定の抗体M110、M120およびMAb-391.4は、異なるマウスにおいて生起させたものではなく、異なる免疫原で生起させたものであった。すなわち、A110は、S.エピデルミディス全体に対して生起させたものであり、M120は、精製しコンジュゲート化したS.アウレウスのLTAに対して生起させたものであり、MAb-391.4は紫外線殺菌S.アウレウス全体に対して生起させた。しかし、これらの抗体は異なるマウスにおいて異なる免疫原調製物に対して生起させたものであったが、重鎖および軽鎖の可変領域においてアミノ酸レベルで88%の同一性がある。この高度な相同性から、LTAが高度に抗原性で高度に保存されたエピトープを含み、そのエピトープには上記3種の抗体が非常に類似した様式で結合することが示唆される。このエピトープおよび結合様式が、上記のモノクローナル抗体の高いオプソニン活性に関与している可能性がある。
MAb-391.4ならびにM110およびM120のヒト/マウスキメラ抗体(それぞれA110およびA120と命名)を、オプソニン活性について試験した。MAb-391.4、A110およびA120は、それぞれ、S.エピデルミディスHay株に対して高レベルのオプソニン活性を示した(また、米国特許出願第09/097,055号も参照されたい)。
MAb A110は、現在のところ、臨床治験用の調製においてGMPの条件の元で製造されている。MAb A110についてのさらなる開示は、米国仮特許出願第60/341,806号およびその関連出願である「Methods for Blocking or Alleviating Staphylococcal Nasal Colonizaton by Intranasal Application ofMonoclonal Antibodies」(それと同時に出願)(両者は参照により特に本明細書に組み入れられる)に提示されている。
したがって、本発明の1つの態様は、グアグラーゼ陽性細菌(S.エピデルミディス)およびゴアグラーゼ陰性(S.アウレウス)細菌の両者を含むグラム陽性細菌のLTAに結合し、かつ、そうした細菌のオプソニン化を増大させる抗体に関する。これらの抗LTA抗体としては、M110、M120およびMAb-391.4などのモノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体A110、A120、A120aおよびA120b、ならびにキメラ、ヒト化、完全ヒト型の抗体、抗体フラグメントおよび修飾抗体を含む他のモノクローナル抗体が含まれる。
本発明の1つの態様において、上記で述べたように、上記抗体は、本発明の抗LTA抗体に由来する領域ならびにヒト抗体の領域からなるキメラマウス/ヒト抗体である。キメラまたは他のモノクローナル抗体は、それらが抗マウス抗体を開発しなくても済む、という点で有利である。少なくとも1つの研究において、マウス抗TNF(腫瘍壊死因子)モノクローナル抗体を投与した患者は、投与した抗体に対して抗マウス抗体応答を起こした(5)。治療レジメンに対するこのタイプの免疫応答は、一般にヒト抗マウス抗体応答すなわちHAMA応答と呼ばれており、治療の有効性を低下させ、さらには治療を完全に無効にしてしまうこともある。ヒト化またはキメラ・ヒト/マウスモノクローナル抗体は、HAMA応答を有意に低下させ、治療効果を増大させることが示されている(19)。
したがって、本発明の1つの態様において、キメラ重鎖は、ヒト重鎖IgG、IgA、IgMまたはIgDの定常領域の少なくとも一部に連結されている、本発明の抗LTA抗体の重鎖可変領域の抗原結合領域を含む。このヒト化またはキメラ重鎖は、ヒト軽鎖κまたはλ定常領域の少なくとも一部に連結されている、抗LTA抗体の軽鎖可変領域の抗原結合領域を含むキメラ軽鎖と組み合わせることができる。代表的な実施形態としては、それらに限定するものではないが、ヒトIgG1定常領域に融合されているマウス重鎖可変領域と、ヒトκ軽鎖定常領域に融合されているマウス軽鎖可変領域とを有する抗体が挙げられる。
本発明のキメラ抗体および他のMAbは、一価、二価、または多価の免疫グロブリンとすることができる。例えば、一価のキメラ抗体は、上記で述べたように、ジスルフィド結合を介してキメラL鎖と結合されているキメラH鎖により形成される二量体(HL)である。二価値のキメラ抗体は、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して結合されている2つのHL二量体によって形成される四量体(H2L2)である。多価のキメラ抗体は、鎖の集合体(担体(carrierまたはscaffold)を有していても有していなくてもよい)をベースとすることができる。
本発明のMAbとしては、2種の異なる抗体に由来する重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が含まれる。1つの実施形態では、この重鎖および軽鎖の可変領域は、同じ分子(例えばLTA)に結合する2種の抗体に由来する。代表的な実施形態としては、A120a(A110由来の重鎖可変領域とA120由来の軽鎖可変領域とを有するヒト/マウスキメラ抗体);およびA120b(A120由来の重鎖可変領域とA110由来の軽鎖可変領域とを有するヒト/マウスキメラ抗体)が挙げられる。さらに別の代表的な実施形態としては、MAb-391.4由来の重鎖可変領域と、A110もしくはA120由来の軽鎖可変領域とを含む抗体、ならびにMAb-391.4由来の重鎖可変領域とA110もしくはA120由来の軽鎖可変領域とを含む抗体が挙げられる。
さらに別の態様において、本発明は、LTAに結合し、かつ可変領域においてアミノ酸レベルまたは核酸レベルまたはそれらの両者で高度な相同性を示すオプソニン性モノクローナル抗体のコレクションである。1つの実施形態では、このコレクションは、M110、M120、それらのヒト/マウスキメラ型のもの、A110、A120およびMAb-391.4のうちの1つ以上を含む。1つの態様において、可変領域のアミノ酸配列は、上記で定義したように、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である。
上記の抗体に加えて、本発明はまた、上記の抗体をコードする遺伝子のDNA配列を包含する(例えば、図5、6および9;配列番号11、13〜15、19および20を参照、ならびにそのDNAによりコードされるポリペプチド(例えば、図5、6および10;配列番号10、12、16、17、21および22を参照)も包含する。それらの図面には、相補性決定領域(CDR)、抗体内の超可変アミノ酸配列(通常はこれが抗原と相互作用する)を含む、A110、A120およびMAb-391.4の重鎖および軽鎖の可変領域が示されている。上記で述べたように、A110とA120との間のDNA配列およびアミノ酸配列の相同性が大きな特徴である。それらの抗体間では、アミノ酸レベルで94%の相同性(216/229)、DNAレベルで96%の相同性(662/687)がある。このことから、これらの抗体には配列および構造に類似性があることが示唆される。
本発明は、全長抗体およびそれらの部分、ならびにこれらのMAbに関連するCDRおよびFRのペプチド配列およびそれらをコードするDNA配列を包含する。本発明はさらに、これらの配列に相同なDNA配列およびペプチド配列を包含する。1つの実施形態では、これらの相同なDNAおよびペプチド配列は約70%同一であるが、他の実施形態では、約75%、80%、85%、88%、90%および95%またはそれ以上同一な配列が含まれる。上記で示したように、DNA配列およびペプチド配列の両者について同一性のレベルを決定することは、当業者では周知である。
図10Aに示すように、A110、A120および391.4の軽鎖可変領域(それぞれ配列番号16、10および21)のアライメントから、95〜106個のアミノ酸が同一であること、すなわち全体的にみて89%以上同一であることが示される。CDRにわたる領域内(軽鎖可変領域のアミノ酸24〜96)では、%同一性は約93%(73個のアミノ酸のうち68個)である。全体的な同一性が多少低い軽鎖可変領域であってもLTAに特異的に結合するMAbを形成すると予期され、したがって、本発明の範囲内である。CDR自体は少なくとも88%の同一性を示し、特にCDR1(アミノ酸24〜33)、CDR2(アミノ酸49〜55)およびCDR3(アミノ酸88〜73)は、9/10、7/7および8/9の同一なアミノ酸を示す。同様に、CDRを囲んでいるフレームワーク領域(FR)もまた、高度に保存されている。配列番号16、10および21のアミノ酸1〜23は86%を超える同一性(一致するアミノ酸は20/23)を;アミノ酸34〜38は約93%の同一性(14/15)を;アミノ酸56〜87は約93%の同一性(68/73)を;そしてアミノ酸97〜106は70%の同一性を示す。
同様に、図10Bにおいて、A110、A120および391.4の重鎖可変領域(それぞれ配列番号17、12および22)のアライメントからもまた、高度な配列同一性が示される。単一のアミノ酸のギャップおよび挿入を単一点ミスマッチとして見なすと、配列番号17、12および22は、全体で86%の同一性を示す(同一なアミノ酸が108/125)。全体的な同一性が幾分低い重鎖可変領域もはやり、LTAに特異的に結合するMAbを形成すると予期され、したがって、本発明の範囲内である。同一性の程度は、CDR1の前にあるFR領域からCDR3の前にあるFR領域において高く、特に、配列番号17、12および22のアミノ酸16〜101の96塩基領域は8個のミスマッチ、すなわち91%の同一性を示す。CDR1はそれ自体、10個のアミノ酸(アミノ酸26〜35)について91%の同一性を示し、CDR2(アミノ酸50〜69)は、19個のアミノ酸について約89%の同一性を示す。CDRを囲んでいるフレームワーク領域もまた、高度に保存されている。配列番号17、12および22のアミノ酸1〜25は92%の同一性を示し(一致するアミノ酸が23/25);アミノ酸36〜49は14個のアミノ酸について100%の同一性を示し;CDR2とCDR3の間のFR領域(アミノ酸70〜101付近)は約87%の同一性を示し(31〜32のアミノ酸について);アミノ酸115〜125は90%の同一性を示す。
したがって、1つの態様において、本発明は、1) 配列番号10、12、16、17、21もしくは22またはそれらの特定領域に対して高い配列相同性を示し、かつ2)LTAに特異的に結合するMAbの可変領域の全体または一部として機能することができるポリペプチド(MAbなどの大きなポリペプチドの領域を含む)を包含する。1つの実施形態では、そのようなポリペプチドは、配列番号10、12、16、17、21または22のいずれかを含むか、それらの配列に対して少なくとも70%、75%、77%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、93%、95%同一である。しかし、本発明の範囲に含まれるポリペプチドは、LTAに特異的に結合するMAbの可変領域の全体または一部として機能することができるならば、配列番号10、12、16、17、21または22に対して100%未満、99%、95%、90%、80%以下同一とすることができる。
別の実施形態では、本発明の範囲に含まれるポリペプチドは、配列番号10、16または21のいずれかのアミノ酸24〜96を含むか、そのアミノ酸に対して少なくとも70%、75%、77%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、93%、95%同一である。別の実施形態では、そのようなポリペプチドは、1)配列番号10、16もしくは21のアミノ酸24〜33、49〜55および88〜73;または2)配列番号12、17もしくは22のアミノ酸26〜35もしくは50〜69を含むか、そのアミノ酸に対して少なくとも70%、75%、77%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、93%、95%同一であり;かつ、LTAに特異的に結合するMAb内のCDRまたはその部分として機能することができる。別の実施形態では、そのようなポリペプチドは、1) 配列番号10、12、16、17、21もしくは22のアミノ酸1〜23、34〜38、56〜87および97〜106;または2) 配列番号12、17もしくは22のアミノ酸1〜25、36〜49、70〜101もしくは115〜125を含むか、そのアミノ酸に対して少なくとも70%、75%、77%、80%、81%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、93%、95%同一であり;かつ、LTAに特異的に結合するMAb内のフレームワーク領域またはその部分として機能することができる。
本発明はさらに、多きなポリペプチド、MAb、MAbのコレクション、またはMAbの集合体として、LTAに特異的に結合するMAbの可変領域の全体または部分として機能することができる様々な上記の配列のいずれかのコレクション;ならびに予防、治療における、または医薬組成物もしくは医薬剤を製造するためのそれらの使用を包含する。本発明はさらに、LTAに特異的に結合するMAbの可変領域の全体または部分として機能することができる上記の配列のいずれかをコードする任意の非天然のRNA、DNAまたはそれらのベクター;ならびに、そのような核酸を保有または発現するプラスミド、ウイルス、細菌、酵母、微生物、細胞系、トランスジェニック植物もしくは動物を含む。したがって、本発明は、1)細胞(細菌、酵母、微生物、真核細胞系、トランスジェニック植物もしくは動物を含む)を、2)本発明のMabまたは関連するポリペプチドのいずれかの発現を指令することができる少なくとも1つの組換え核酸と組み合わせて含む、Mab、軽鎖、重鎖およびそれらの部分の産生系を企図する。
したがって、本発明はさらに、異なるマウスにおいて異なる免疫原調製物に対して抗体を生起させ、その抗体の可変領域を配列決定し、可変領域を比較し、その可変領域内で高度な相同性を有する抗体を同定することによる、高度に抗原性で高度に保存されているエピトープの一般的な同定方法を含む。
本発明のDNA配列は、当業界で周知の手順により、同定、単離、クローニング、および発現させるために原核もしくは真核細胞へ輸送することができる。そのような手順は、Molecular Cloning: A LaboratoryManualならびにCurrent Protocols in Molecular Biology (44, 45)に概略的に記載されており、それらは参照により本明細書に組み入れられる。本発明の配列の操作により具体的に関連する手引きは、Antibody EngineeringおよびAntibodies: A LaboratoryManual (64, 65)に見ることができ、それらは共に、参照により全体が本明細書に組み入れられる。特定の実施形態では、CDRは、当業界で一般的な技法を用いて、そのCDRが無傷の抗体と同じ結合特異性を保持するようにヒト抗体フレームワーク領域にグラフトすることが可能である。上記で述べたように、CDRがヒトのフレームワークにグラフトされている抗体は、「ヒト化」されているという。ヒト化抗体および完全ヒト型の抗体は、一般にはヒト定常領域も含み、それにより、ヒト由来である抗体の割合をできるだけ高くし、HAMA応答をできるだけ抑える。
さらに、モノクローナルおよびキメラ抗体とヒト化および完全ヒト型の抗体の両者を含む本発明の抗体のDNAおよびペプチド配列は、抗体の「誘導体」のベースを形成し得、そうした誘導体としては、例えば、末端切断型または改変型の遺伝子によりコードされるタンパク質またはペプチドが挙げられる。そのようなタンパク質またはペプチドは、本発明の抗体と同様に機能し得る。細菌の食作用および/または死滅を含むエフェクター機能を増大させることが可能な他の配列の付加などの他の修飾もまた、本発明の範囲内である。
本発明はまた、上記の抗体(モノクローナルもしくはキメラ、ヒト化、または完全ヒト型のもののいずれか)を、製剤学的に許容される担体と共に含む医薬組成物を開示している。あるいはまた、この本発明の医薬組成物は、単離された抗原、エピトープ、またはそれらの部分を、製剤学的に許容される担体と共に含むことができる。
製剤学的に許容される担体は、水、油(石油、動物油、植物油、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む)などの無菌の液体とすることができる。食塩水、デキストロース水溶液、およびグリセロール溶液もまた、液体担体として、特に注射溶液用の液体担体として使用可能である。好適な製剤学的担体はRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版(13)(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
さらに、本発明は、各種の送達用ビヒクルおよび/または担体を用いて実施することが可能である。そのようなビヒクルは、保存、ならびに投与(限定するものではないが、皮膚、創傷、眼、肺、または鼻もしくは胃腸管の粘膜への適用を含む)、または鼻孔への吸入もしくは通気の際のMAbの半減期を増大させることが可能である。これらの担体は、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、リポソーム、および半固形剤形を含む(21、29、33、35、36、46)。天然ポリマーとしては、例えば、タンパク質および多糖が挙げられる。半合成ポリマーは、修飾された天然ポリマーであり、例えばキトサン(天然多糖の脱アセチル化形態)、キチンが挙げられる。合成ポリマーとしては、例えば、ポリホスホエステル、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリスチレンスルホネート、およびポリ(ラクチドコグリコリド)が挙げられる。半固形の剤形としては、例えば、デンドリマー、クリーム、軟膏、ジェルおよびローションが挙げられる。また、これらの担体は、MAbをマイクロカプセル化するのに用いることも可能であり、あるいはMAbに共有結合してもよい。
最後に、本発明は、スタフィロコッカス属生物などのグラム陽性細菌に感染している、または感染していると疑われる患者の治療方法を提供する。この方法は、抗LTA免疫グロブリン(モノクローナル、キメラ、ヒト化、または完全ヒト型のもの、ならびにそれらのフラグメント、領域および誘導体のいずれか)を含む医薬組成物の治療上有効量と製剤学的に許容される担体とを投与することを含む。患者は、予防または他の処置が必要なヒトまたはヒト以外とすることができる。代表的な患者として、S.アウレウスまたは他のスタフィロコッカス属またはグラム陽性細菌に感染しているかその菌の保菌者である哺乳動物に被験体が挙げられ、例えば、ヒト、ならびにマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類、反芻動物(肉牛および乳牛を含む)、バッファロー、ラクダ、ならびに毛皮動物、草食動物、実験動物、動物園の動物、畜産動物、預けられている動物(kenneled and stabled animals)、愛玩動物および家畜動物(veterinary animals)などのヒト以外の動物である。
治療上有効量とは、感染の治療において軽減、補助または予防(prophylaxis or preventative)効果のある尺度を提供すると妥当に考えられる量である。治療上有効量は、細菌感染を遮断するのに十分と考えられる量とすることができる。同様に、治療上有効量は、細菌感染を緩和するのに十分と考えられる量とすることも可能である。上記または下記に記載するような治療は、メインとなるものであってもよいし、あるいは別の治療の補助治療であってもよく、例えば、スタフィロコッカス感染、別の薬剤により起こる感染または無関連の疾患のための抗生物質療法が挙げられる。事実、他の抗生物質との併用療法は、特に本発明内で企図されるものである。
本発明のさらに別の実施形態は、抗LTA抗体(モノクローナル、キメラ、ヒト化または完全ヒト型のいずれか)と製剤学上許容される担体とを含む医薬組成物の予防上有効量を投与することを含む、そのような感染の予防方法である。
予防上有効量とは、グラム陽性細菌による感染の予防のある尺度を提供すると妥当に考えられる量である。上記または下記に記載するような治療は、メインとなるものであってもよいし、あるいは別の治療(例えば抗生物質治療)の補助治療であってもよく、例えば、スタフィロコッカス感染、別の薬剤により起こる感染または無関連の疾患のための抗生物質療法が挙げられる。事実、他の抗生物質との併用療法は、特に本発明において企図されるものである。
本発明の抗体および医薬組成物は、静脈内、腹腔内、体内注射、関節内、脳室内、髄腔内、筋肉内もしくは皮下注射、または鼻腔内、皮膚、皮内、膣内、経口、または任意の他の有効な投与方法により投与可能である。この組成物はまた、例えば特定の感染領域への筋肉内もしくは皮下注射により局所的に投与してもよい。投与は、医薬組成物をスワブ適用、液浸、浸漬、または拭取により患者に直接投与することを含むことができる。この治療剤はまた、留置カテーテル、心臓バルブ(cardiac valve)、脳脊髄液シャント、関節プロテーゼ、他の身体へのインプラント(埋設物)などの患者の身体内に配置しようとする物体、またはグラム陽性細菌により感染する危険もしくはそうした感染を患者に導入する危険がある他の物体、用具もしくは器具に適用することも可能である。
本発明の組成物(モノクローナル、キメラ、ヒト化または完全ヒト型のいずれかである抗LTA抗体を含む医薬組成物)による治療の特に有益な成果は、グラム陽性細菌のLTAの導入により起こるサイトカイン放出の低下であると思われる(49)。当業界で現在認知されているように、LTAは、例えば腫瘍壊死因子α、インターロイキン6およびインターロイキンγをはじめとするサイトカインを誘導する(例えば(37)を参照)。したがって、本発明の組成物は、次の3つのレベルで防護を増大させることが可能である:(1)細菌上のLTAに結合して、表皮細胞への内部結合を遮断し、後続の細菌侵入を予防すること;(2)細菌上のLTAに結合して、細菌のオプソニン化ならびに組織および/または血液からの細菌のクリアランスを増大させること;ならびに/または(3)LTAに結合し、サイトカイン放出を部分的もしくは完全に遮断し、炎症応答をモジュレートして、ショックおよび組織破壊を防止防すること。
本発明を概略的に説明してきたが、本発明は、抗生物質耐性グラム陽性細菌の発達に関して「技術背景」で記載した可能性のある深刻な問題の幾つかを克服することは明らかである。上記で述べたように、スタフィロコッカス属およびストレプトコッカス属(例えばS.フェーカリス(S. faecalis))は抗生物質に対して徐々に耐性を増してきており、近年ではバンコマイシン耐性株が蔓延していることから、抗生物質療法はすっかり効果のないものになっている。
本発明の特定の態様を、以下の「材料および方法」ならびに特定の「実施例」に従う形態で示す。これらは単に説明のためにすぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは勿論である。
細菌
5型黄色ブドウ球菌は、受託番号49521でATCCに寄託されている。
表皮ブドウ球菌株Hayは、1990年12月19日に受託番号55133でATCCに寄託されている。
ハイブリドーマ
ハイブリドーマ96-105CE11IF6(M110)は、1997年6月13日に受託番号HB-12368でATCCに寄託されている。
ハイブリドーマ00-107GG12 ID12(M120)は、2001年8月13日に受託番号PTA-3644でATCCに寄託されている。
ハイブリドーマ391.4は、2001年12月18日に受託番号PTA-3932でATCCに寄託されている。
アイソタイプ決定アッセイ
アイソタイプは、Zymed Laboratories(カタログ番号90-6550)から入手したマウス免疫グロブリンアイソタイプ・キットを使用して決定した。
結合アッセイ
本発明の結合アッセイでは、免疫グロブリンは、ブドウ球菌全細胞(whole cell)調製物またはLTAやPepGなどの細菌細胞壁成分調製物と共にインキュベートする。結合アッセイは、凝集アッセイ、凝固アッセイ、比色アッセイ、蛍光結合アッセイ、または当業者に知られている他の適切なアッセイでよい。特に適切なアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA)である。結合は、直接に検出するが、当業者に知られている競合もしくは非競合結合法を使用して間接的に検出することもできる。
ブドウ球菌全細胞調製物、LTA調製物、PepG調製物、またはこれら調製物の組合せは、標準の技術を使用して、プレート、ウェル、ビーズ、マイクロビーズ、パドル、プロペラ、または棒状物を含むがこれに限らない適切な固体担体に固定することができる。固体担体は、たとえば、ガラスまたはプラスチックで構成されていてよい。本発明のある実施形態では、固体担体は、マイクロタイタープレートである。
一般に、結合アッセイには、次の段階が必要である。まず、固定した調製物を免疫グロブリン供給源と共にインキュベートする。アッセイの一実施形態では、免疫グロブリン供給源は、たとえば、組織培養上清や、腹水、血漿、血清、全血、体組織などの生体サンプルである。別の実施形態では、当業者に知られている手段によって、その供給源から免疫グロブリンをさらに単離または精製してもよく、精製または単離した免疫グロブリンをその後のアッセイで使用する。結合の量は、試験サンプルの結合を陰性対照の結合と比較して決定する。陰性対照は、抗原特異的な免疫グロブリンを含まない任意のサンプルであると定める。結合アッセイでは、試験サンプルで認められた結合の量が陰性対照の結合量を上回るとき、結果が陽性結合反応となる。陽性の結合であることは、単一の陽性/陰性の結合反応から判定しても、一連の結合反応の平均から判定してもよい。一連の結合反応に、固定された抗原に特異的に結合する免疫グロブリンを測定済みの量だけ含有するサンプルを含め、それによって検量線を作成することができる。この検量線を使用して、未知のサンプル中の抗原特異的な免疫グロブリンの量を定量化することができる。
アッセイの代替実施形態では、抗体を固体担体に固定し、細菌調製物への結合能によって未知の免疫グロブリンサンプルの特徴付けを行う。上で論じたアッセイの別の態様を適宜利用する。
実施例で使用した詳細な結合アッセイを以下で述べる。
生細菌ELISA(LBE):抗体の生細菌への結合能を測定するために、LBEアッセイを実施した。黄色ブドウ球菌5型、5-USU型、8型、表皮ブドウ球菌株Hay、および溶血連鎖球菌を含む、様々な種類の細菌をアッセイに使用してよい。終夜培養したプレート培養物を35mlのTryptic Soy Broth(TSB)に移し、穏やかに振盪させながら37℃で1.5〜2.0時間増殖させた。次いで、室温で15分間、1800〜2000×gの遠心分離にかけて、細菌をペレット状にした。上清を除去し、細菌を、0.1%のウシ血清アルブミンを含有する35〜45mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA)に再懸濁した。細菌を遠心分離によって再びペレット状にし、上清を破棄し、細菌をPBS/BSAに再懸濁して、透過率(%T)を650nmで65%〜70%とした。その懸濁液から、細菌を0.9%の無菌塩化ナトリウム(Sigmaカタログ番号S8776、または等価物)に加えて、さらに15倍に希釈し、この懸濁液100μlを平底無菌96ウェルプレートの一連のウェルに加えた。
試験する各抗体は、Tween-20を0.05%および西洋ワサビペルオキシダーゼ結合プロテインA(プロテインA-HRP、Zymed Laboratories)を8000分の1希釈で含有するPBS/BSA(PBS/BSA/Tween/Prot A-HRP)に加えて所望の濃度に希釈した。プロテインA-HRPを、使用前に室温で30〜60分間かけて抗体に結合させ、それによって抗体-プロテインA-HRP複合体を生成して、黄色ブドウ球菌の表面上に見られるプロテインAに抗体が非特異的に結合し得る可能性を最小限に抑えた。一般に、各アッセイにおいて数段階の希釈度の試験抗体を使用した。各抗体希釈度のものから、50μlの抗体-プロテインA-HRP複合体を一連のウェルに加え、細菌と抗体-プロテインA-HRP複合体の混合物を、回転式振盪機で穏やかに回転させながら(50〜75rpm)37℃で30〜60分間インキュベートした。
インキュベートした後、室温で10〜15分間1800〜2000×gの遠心分離にかけて、細菌をプレート中でペレット状にした。ウェルの上清を慎重に除去し、0.05%のTween-20を含有するPBS/BSA(PBS/BSA/Tween)200μlをすべてのウェルに加えて、結合していない試薬を希釈した。遠心分離によって細菌を再びペレット状にし、上清を除去した。PBS/BSA/Tween 200μlを全ウェルに再度添加して上述の通り遠心分離して再度ペレットにした。上清を除去して、100μlのTMB基質(BioFx, Inc.カタログ番号TMBW-0100-01)を各ウェルに加え、基質の加水分解を室温で15分間反応を進行させた。100μlのTMB停止試薬(450nm Stop Reagent、BioFx, Inc.カタログ番号STPR-0100-01、または同等のもの)を加えて反応を停止させた。450nmフィルターを装着したマイクロプレートリーダーを使用して、各ウェルの吸光度を求めた。
このアッセイでは、発色の強度が、抗体の細菌への結合に正比例した。対照ウェルは、細菌およびプロテインA-HRPを抗体なしで含んでいた。
メタノール固定した細菌についてのイムノアッセイ:熱で死滅させた細菌を、0.9%の無菌塩化ナトリウム(Sigmaカタログ番号S8776、または等価物)に、650nmでの透過率(%T)70〜75%で懸濁させた。10ミリリットルの細菌懸濁液を、0.9%の無菌塩化ナトリウムに加えて15倍希釈し、次いで10〜15℃で15分間、1800×gの遠心分離にかけてペレット状にした。上清を破棄し、ペレットを15mlのメタノール(MeOH)に再懸濁した。100マイクロリットルの細菌-MeOH懸濁液を、Nunc Maxisorpストリップウェル(Nuncカタログ番号469949)の各ウェルに分注した。MeOHを蒸発させ、細菌をプラスチック製ウェルに固定した。細菌でコートされたストリップウェルをプラスチック製の袋に入れて室温の暗所で保管し、調製して2カ月以内に使用した。
抗体を評価するため、細菌でコートされたプレートを、0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)で4回、以下のように洗浄した。約250μlのPBS-Tを各ウェルに加えた。プレートの緩衝液を流しの上ではじいて除去し、残りの緩衝液を、プレートを逆さにし、吸収紙の上で叩いて除去した。抗体をPBS-Tに加えて希釈し、次いでウェルに加えた。上清、腹水、または精製した抗体を、実施例で示す希釈度で試験した。対照ウェルにはPBS-Tのみを入れた。抗体を加えた後、ウェルを室温の無風環境で30〜60分間インキュベートした。ウェルを再度PBS-Tで4回洗浄した。次いで、95マイクロリットルの検出抗体を各ウェルに加えた。検出抗体は、次のもの、すなわち、どれも西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合し、PBS-T中に6千分の1希釈されている、ウサギ抗マウスIgG3、ウサギ抗マウスIgM、またはヤギ抗ヒトIgG(γ特異的)(それぞれ、Zymedカタログ番号61-0420、61-6820、62-8420)のうちの1つである。
室温でさらに30〜60分間インキュベートした後、ウェルをPBS-Tで4回洗浄し、各ウェルに100μlのTMB基質溶液(BioFx#TMBW-0100-01)を入れた。プレートを室温の暗所で15分間インキュベートし、100μlのTMB停止溶液(BioFx #STPR-0100-01)を加えて結合反応を停止させた。Molecular Devices Vmaxプレートリーダーを使用して、各ウェルの吸光度を450nmで測定した。
プロテインAを用いるイムノアッセイ:MAbの黄色ブドウ球菌への結合を評価するために、イムノアッセイ法を、上述のメタノール固定した細菌向けに改変した。黄色ブドウ球菌は、表面にプロテインAを発現させており、プロテインAは、γグロブリン重鎖の定常部に強力に結合するので、抗体のプロテインAへの非特異的な結合が、偽陽性の結果を生じる可能性がある。イムノアッセイ用ウェルは、上述のように細菌でコートしたが、この難点を克服するために、細菌でコートしたウェルに抗体を加える前に、MAbを、HRPに結合させ組換え型プロテインAの溶液(Zymed Laboratoriesカタログ番号10-1123)と共にインキュベートし、PBS-Tに加えて10000分の1希釈した。結合反応を室温で30分間進行させた。ウェルをPBS-Tで4回洗浄し、各プロテインA-HRP-MAb混合物の溶液100μ1をそのウェルに加えた。前処理によって得られるプロテインA-HRPの存在は、MAbの黄色ブドウ球菌上のプロテインAへの結合を低減させた。さらに、プロテインA-HRPの重鎖定常部への結合は、MAb上の抗原結合部位を妨害せず、それによって黄色ブドウ球菌または他の細菌についてMAbを評価することが可能になる。
プロテインA-HRP-MAbの溶液を、コートされたウェルの中で、室温で30〜60分間結合させた。次いで、上述のように、ウェルをPBS-Tで洗浄し、TMB基質溶液を加え、アッセイを完了した。
LTAについてのイムノアッセイ:MAbのLTAへの結合は、黄色ブドウ球菌LTA(Sigmaカタログ番号2515)でコートしたウェルを用いるイムノアッセイによって測定した。PBS中1μg/mlのLTA溶液100マイクロリットルを一連のNunc Maxisorpストリップウェルに分注し、室温で終夜インキュベートした。PBS-Tで4回洗浄して、結合していない物質をウェルから除去した。次いで、PBS-Tに加えて希釈した抗体をウェルに加え、上のメタノール固定した細菌についてのイムノアッセイで述べたようにアッセイを続行した。
PepGについてのイムノアッセイでは、Nunc Maxisorpストリップウェルのプレートを、0.1Mの炭酸緩衝液(pH9.2〜9.6)中5〜10μg/mlのPepG溶液(S. Fosterより贈与)100μlを用い、室温で一晩かけてコートした。PBS-Tで4回洗浄して、結合していない抗原をプレートから除去した。PBS-Tで希釈した抗体を、ウェルに加え、メタノール固定細菌についてのイムノアッセイについて上記した通りアッセイを行なった。
活性アッセイ
抗原に結合する抗体は、必ずしもオプソニン化を強化し、または感染からの防御を増強するものではない。したがって、オプソニン化アッセイを使用して、抗体の機能活性を判定した。
オプソニン化アッセイは、比色アッセイ、化学発光アッセイ、蛍光もしくは同位元素標識取込みアッセイ、細胞性殺菌アッセイ、または物質の潜在的なオプソニン性を測定し、それによって反応性の免疫グロブリンを同定する、当業者に知られている他の適切なアッセイでよい。オプソニン化アッセイでは、感染性の病原および真核生物細胞と、試験しようとするオプソニン性物質、もしくはオプソニン性を増強するとされる物質を加えたオプソニン性物質とを共にインキュベートする。
ある実施形態では、オプソニン化アッセイは、細胞性殺菌アッセイである。このin vitroアッセイでは、細菌などの感染性病原、食細胞、および免疫グロブリンなどのオプソニン性物質を共にインキュベートする。貪食能または結合能を有する真核生物細胞を細胞性殺菌アッセイに使用してもよい。ある実施形態では、食細胞は、マクロファージ、単球、好中球、またはこれらの細胞の組合せである。古典経路と副経路の両方によるオプソニン化を促進するために補体タンパク質を含めてもよい。
抗体のオプソニン化能は、インキュベーション後に残存する感染物質の量または数によって決定される。インキュベートした後に残る感染性病原体の数が少ないほど、試験した抗体のオプソニン活性は大きい。細胞性殺菌アッセイでは、オプソニン活性は、試験される抗体をその一方のみが含む2件の類似アッセイの生存細菌数を比較することによって測定する。あるいは、オプソニン活性は、サンプル抗体と共にインキュベートする前後の生存生物体の数を測定して決定する。抗体存在下でインキュベートした後の細菌数の減少は、陽性のオプソニン化活性を示す。細胞性殺菌アッセイでは、適切な細菌増殖条件下でインキュベート混合物を培養して、オプソニン化が陽性であることを判定する。インキュベート前とインキュベート後のサンプル、または免疫グロブリンを含有するサンプルとそれを含まないサンプルとを比較して、生存細菌が減少していれば、陽性反応である。
好中球媒介オプソニン性食作用殺菌アッセイ:このアッセイは、PMN分離培地(Robbins Scientificカタログ番号1068-00-0)を使用する沈降によって成体静脈血から単離した好中球を使用して実施した。40マイクロリットルの抗体、血清、または他の免疫グロブリン供給源を、様々な希釈度で丸底マイクロタイタープレートの一連のウェルに加えた。次いで、40マイクロリットルの好中球(ウェルあたり約2×106細胞)を各ウェルに加えた後、直ちに約3×104個の対数期半ばの細菌(表皮ブドウ球菌株Hay、ATCC 55133、または5型黄色ブドウ球菌、Uniformed Services University of the Health SciencesのS. Wilson より贈与)の入った10μlのTryptic Soy Broth(Difcoカタログ番号906374、または等価物)を加えた。最後に、免疫グロブリンを除去したヒト血清10μlを活性補体の供給源として加えた。(免疫グロブリンは、アッセイに使用する前に、血清をプロテインGアガロースおよびプロテインLアガロースと共にプレインキュベートすることによって、ヒト血清補体から除去した。このように免疫グロブリンを除去すると、補体中の抗ブドウ球菌抗体の濃度が最小限に抑えられ、それによって補体溶液中にもともと存在する抗体によって引き起こされる細菌の死滅が低減される。)
プレートを一定に激しく振盪させながら37℃でインキュベートした。ゼロ時間目、すなわちサンプル抗体を最初に加えたとき、および2時間のインキュベート後に、10μlの一定量を各ウェルから採取した。各サンプル・ウェルから収集した各アリコート中の生存細菌数を決定するために、各アリコートを、0.1%のBSA水溶液に加えて20倍希釈し(PMNを溶解するため)、すばやいピペット操作によって激しく混合し、血液寒天プレート(Remel、カタログ番号01-202、または等価物)上で、37℃で終夜培養した。オプソニン活性は、2時間で採取したサンプルから観察された細菌集落数と、0時間で採取したサンプルから観察された細菌集落数とを比較して測定した。IPI Minicountコロニーカウンターを使用して集落を数えた。
鼻腔集落形成アッセイ:黄色ブドウ球菌のマウス鼻腔集落形成モデルは、Kiserらの研究に基づくものであった(47)。簡潔に述べれば、ストレプトマイシン耐性5型黄色ブドウ球菌を高塩分コロンビア寒天(Difco)上で増殖させて、莢膜の形成を促進する。細菌を無菌生理食塩水(0.9%のNaCl水溶液)で洗浄して培地成分を除去し、様々な濃度および組合せの抗ブドウ球菌MAbまたは無関係の対照MAbを含有する生理食塩水(0.9%のNaCl水溶液)に、約108細菌/動物投与量で再懸濁する。1時間プレインキュベートした後、細菌をペレット状にし、最終体積を動物投与量あたり10μlとして生理食塩水または抗体含有生理食塩水のどちらかに再懸濁する。ストレプトマイシン含有水で24時間飼育したマウスを麻酔によって鎮静する。鼻に接触させないピペット操作によって、ブドウ球菌をマウスの鼻孔に滴下注入する。
動物をストレプトマイシン含有水で飼育しながら4〜7日経過後、動物を屠殺し、鼻を外科的に取り出し、解剖する。鼻腔組織を0.5%のTween-20を加えた食塩水(0.9%のNaCl水溶液)中で激しくボルテックスして、付着性細菌を遊離させ、この生理食塩水を、ストレプトマイシンを含有するコロンビア血液寒天(Remel)およびtryptic soy agar(Difco)上に播いて、集落形成があるかを判定する。
これまで述べてきた本発明は、実施例を参照することによってより深く理解されよう。以下の実施例は、単なる例示目的のためであり、いかようにも本発明の範囲を限定しないものと解釈すべきである。
実施例1
ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体の作製
マウスをS.アウレウス由来のリポタイコ酸(LTA)のコンジュゲートで免疫することにより、該LTAに対して抗体を生起させた。以下に述べるようにして調製したLTAコンジュゲートLTA/PspA、LTA/SIA/TTおよびLTA/GMBS/TTを使用した。
各コンジュゲートを調製するために、まずLTAを、次のようにしてチオール基で誘導体化した。S.アウレウスのLTA(Sigma Chemical Co.)を、本質的にはFischerら(9)に記載されているようにして精製した。精製したLTAを水で4mg/mlに希釈した。100μlの0.75M HEPES、10mM EDTA、pH 7.5および100μlの0.1M SPDP(Pierce)を、1mlのS.アウレウスのLTAに添加した。反応物を室温で4時間インキュベートし、次に55μlの0.5M DTTを添加し、溶液を2mM EDTA(pH5)(2回×1L)に対して4℃にて一夜透析した。この反応物は、DTNBアッセイ(2)で測定したところ、1.2mL容量中に0.27mMのチオールまたは0.32μmolのチオールを生じていた。
LTA/PspAコンジュゲートは、次のようにして調製した。3μgの肺炎球菌表面タンパク質A(PspA;188μlの16mg/mlのPBS溶液;本質的にはWorthamら(43)により記載されているようにして調製したもの)を、25μlの0.75M HEPES、10mM EDTA(pH7.3)および17μlの0.1Mヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミジル(SIA;Bioaffinity Systems)と合わせ、室温で2時間インキュベートした。次に、溶液の容量を、10mM酢酸ナトリウム、0.15M NaCl、2mM EDTAで2mlにし、次にUltrafree 4装置(30kDaのカットオフ;Amicon)を用いて最終容量が約150μlまで濃縮した。次に、得られたヨードアセチルPspAを400μlのLTA-SHと合わせた。pHを、1M HEPES(pH8)で8まで上昇させ、反応を4℃で一夜進行させた。
次に、溶液を1×60cmのS-200HRカラム(PBS中の0.1%のデオキシコレート(DOC)で平衡化してあるもの)で分画した。ゲル粒子外部粒子容量画分をプールし、食塩水(0.15M NaCl)に透析してDOCおよびPBSを除去したところ、280nmでの吸光度は0.14であった。コンジュゲート溶液中のタンパク質の濃度は、BCAアッセイ(Pierce Chemical Company)によれば0.66mg/mlであり、コンジュゲート溶液中のリン酸塩の濃度は、リン酸アッセイ(1)によれば0.88mMであった。
LTA/SIA/TTコンジュゲートは次のようにして調製した。4μgの破傷風毒素(TT;14.5mg/mlを280μl;SmithKline Beecham)を2M NaClで4mlに希釈したものを、カットオフが30kDのUltrafree4限外濾過フィルター(Millipore)を用いて50μlまで濃縮した。得られた溶液を2M NaClで250μlまで希釈した(TT/2M NaCl)。75μlの0.25M HEPES、2mM EDTA(pH 7.5)および8μlのN-ヒドロキシスクシンイミドヨード酢酸塩(SIA;Bioaffinity Systems, Roscoe, IL)を125μlのTT/2M NaClに添加した。反応物を室温で2時間インキュベートし、次に2M NaClで約2mlまで希釈した。次に、溶液をUltrafree4限外濾過フィルターを用いて150μlまで濃縮した。
150μlの得られた生成物(ヨード酢酸化したTT)を400μlのLTA-SHと合わせた。反応物を4℃で一夜インキュベートする。反応物を、1×60cmのSephacryl S-200HRカラム(Pharmacia)(PBS中の0.1%のデオキシコレートで平衡化してあるもの)で分画した。LTA/SIA/TTコンジュゲートを含むゲル粒子外部粒子容量画分をプールし、食塩水に透析してDOCおよびPBSを除去したところ、280nmでの吸光度が0.77であった。コンジュゲート中のTTの収量は、BCAアッセイ(Pierce Chemical Co.)によれば0.77mg/mlであった。コンジュゲート溶液中のリン酸塩の濃度は、リン酸アッセイ(1)によれば0.77mMであった。
LTA/GMBS/TTコンジュゲートは次のようにして調製した。4μgのTT(14.5mg/mlを280μl;SmithKline Beecham)を2M NaClで4mlに希釈したものを、カットオフが30kDのUltrafree4限外濾過フィルター(Millipore)を用いて50μlまで濃縮した。得られた溶液を2M NaClで250μlに希釈した(TT/2M NaCl)。75μlの0.15M HEPES、2mM EDTA(pH7.5)および8μlのN-ヒドロキシスクシンイミドγ酪酸マレイミド(GMBS;Bioaffinity Systems, Roscoe, IL)を125μlのTT/2M NaClに添加した。反応物を室温で2時間インキュベートし、次に2M NaClで2mLに希釈した。次に、溶液を、Ultrafree4限外濾過フィルターを用いて150μlまで濃縮した。
この濃縮溶液に、400μlのLTA-SHを添加し、IM HEPES(pH8)でpHを8まで上昇させた。反応物を4℃で一夜インキュベートした。反応物を、1×60cmのSephacryl S-200HRカラム(Pharmacia)(PBS中の0.1%のデオキシコレートで平衡化してあるもの)で分画した。LTA/GMBS/TTコンジュゲートを含むゲル粒子外部粒子容量画分をプールし、食塩水に透析してDOCおよびPBSを除去した。TTの収量は、BCAアッセイ(Pierce Chemical Co.)によれば0.83mg/mlであり、コンジュゲート溶液中のリン酸塩の濃度は、リン酸アッセイ(1)によれば1.45mMであった。
コンジュゲートの各々におけるLTAの存在は、生成物のウエスタンブロットを行い、続いて12% SDS-PAGE電気泳動を行うことにより確認した。
24匹の約4ヶ月齢の老齢雌性BALB/cマウスを6群に分け、10μg(A群、C群およびE群)または1μg(B群、D群およびF群)のLTA/PspA(A群およびB群)、LTA/SIA/TT(C群およびD群)またはLTA/GMBS/TT(E群およびF群;表1)で免疫した。
Figure 2005514053
免疫は全て、50%のRIBIアジュバント溶液として皮下投与した。マウスは、初回免疫の21日後に追加免疫を行い、初回免疫の79日後に2回目の追加免疫を行った。追加免疫は、初回免疫について記載されているようにした行った。初回免疫の0日後、21日後、35日後、79日後、94日後および119日後に、眼から採血した。21日後および35日後に採取した血清を、ELISAによりLTAに対する抗体について試験した(表2)。
Figure 2005514053
35日目および79日目に採取した血清も、ELISAによりLTAに対する抗体について試験し、94日目に採取した血清はELISAにより、そしてS.エピデルミディスHay株およびS.アウレウスに対するLBEアッセイで試験した(表3)。
Figure 2005514053
ELISAアッセイおよびLBEアッセイの結果に基づいて、E群およびF群の個々のマウスから得た94日目および119日目の血清を、ELISAにより、そしてS.アウレウスに対するオプソニンアッセイにおいて試験した(表4)。
マウス1396(LTA/GMBS/TTで免疫したもの)を選択した。この理由は、このマウスから得た血清は、抗LTA ELISAにより強いシグナルを示し、かつS.アウレウスに対してオプソニン作用を示したからである。マウス1396は、134日目に再度追加免疫し、141日目に犠牲にし、脾臓を摘出し、ハイブリドーマの作製に使用した。
Figure 2005514053
ハイブリドーマは、Shulman, WildeおよびKohler;ならびにBartalおよびHirshaut(34, 48)の一般的な方法により調製した。マウス1396から得た全部で2.08×108個の脾細胞を、2.00×107個のSP2/0マウス・ミエローマ細胞(ATCCカタログ番号:CRL1581l)と混合し、遠心分離(400×g、室温で10分間)によりペレット化し、無血清培地で洗浄した。上清を除去してほぼ乾燥し、細胞混合物の融合は、滅菌した50ml容遠心分離コニカル内で、1mlの温(37℃)ポリエチレングリコール(PEG;mw 1400;BoehringerMannheim)を60〜90秒間かけて添加することにより行った。PEGは、無血清培地を1、2、4、8、16および19mlの段階的な容量でゆっくり添加することにより希釈した。ハイブリドーマ細胞懸濁液を培地に穏やかに再懸濁し、細胞を遠心分離(500×g、室温で10分間)によりペレット化した。上清を除去し、細胞を10%の熱不活性ウシ胎仔血清、0.05mMのヒポキサンチンおよび16μMのチミジンを補充したRPMI 1640培地(HT培地)に再懸濁した。100μlのハイブリドーマ細胞を96ウェル組織培養皿の96個のウェルにプレートした。8個(プレートAの第一列)に、約2.5×104個のSP2/0細胞(100μl中)を加えた。SP2/0細胞は、24時間後に添加される選択培地による死滅についての対照とした。
ハイブリドーマを調製した24時間後、10%の熱不活性ウシ胎仔血清、0.1mMのヒポキサンチン、0.8μMのアミノプテリンおよび32μMのチミジンを補充した100μlのRPMI 1640(HAT培地)を各ウェルに添加した。
ハイブリドーマを調製した48時間後、プレートAの第一列中のSP2/0細胞は死滅したように見えた。このことは、HAT選択培地が未融合のSP2/0細胞をうまく死滅させたことを示している。
ハイブリドーマを調製した10日後、全てのウェルからの上清を、ELISAにより、メタノール固定したS.アウレウスのLTAと反応性である抗体の存在について試験した。この予備アッセイの結果に基づいて、12個のウェルからの細胞を24ウェル培養皿に移した。3日後、これらの培養物からの上清を、ELISAにより、LTAに結合する抗体の存在について再試験した。
8種の培養上清についての吸光度の値は、0.100未満であった。しかし、ハイブリドーマ培養物00-107GG12からの上清で得られた吸光度の値は4.000であった。この培養物を、さらに評価を行うために増殖させ、2枚の96ウェル培養皿にクローニングした。クローニングは、15%のウシ胎仔血清、5%のハイブリドーマSFM(Life Technologies)および100μg/mlのカナマイシンを補充したRPMI 1640中で生細胞が4.5個/mlになるように細胞懸濁液を希釈することにより行った。
10日後、ハイブリドーマクローンからの上清を、ELISAにより、S.アウレウスのLTAへの結合について試験した。1つのクローンID12だけがLTAに強く結合し、吸光度は3.500であった。これに対して、残りの上清の吸光度の値は0.220未満であった。ハイブリドーマクローン00-107GG12 ID12を増殖させ、低温保存した。アイソタイプの決定から、元のハイブリドーマ(00-107GG12)およびそのクローン(00-107GG12 ID12)の両者が、κ軽鎖を有するマウスIgG2a重鎖であることが明らかになった。ハイブリドーマ00-107GG12 ID12により産生されたモノクローナル抗体をM120と命名した。
実施例2
M120のオプソニン活性
オプソニンアッセイは、実質的には上記の「Neutrophil-mediated Opsonophagocytic Bacteriacidal Assay」という標題で記載されているようにして行った。M120を、実質的にはMEP Hypercel gel(BiSepra)の製造元により記載されているようにして腹水から精製した。33mlの緩衝液A(50mM Tris、5mM EDTA、pH 8)を17mlのマウス腹水に添加し、次に、A462ローターを用い、Eppendorfモデル5810R遠心分離機で4000rpmにて15分間遠心分離した。溶液をWhatman GD/XP PES 0.45μメンブラン(カタログ番号:6994-2504)を用いて濾過したところ、濾過後の希釈腹水の容量は47mlであった。溶液を1cm×7cmのMEPハイパーセルカラム(緩衝液Aで平衡化してあるもの)に1.8ml/分の速度でローディングした。OD280が0.05未満になるまで、カラムを緩衝液Aで、次に緩衝液A+25mMカプリル酸ナトリウムで洗浄した。次に、OD280が0.05未満になるまで、カラムを水で洗浄した。カラムを緩衝液B(50mM酢酸ナトリウム、5mM EDTA、pH4)で溶出させ、溶出液を70滴/分の速度で回収した。主要ピーク(プールA)およびその後縁部(プールB)を別々にプールし、PBS(2回×2L)で4℃にて透析した。透析した溶液をMillex GV装置(Millipore)を用いて滅菌濾過した。OD280によれば、プールAは3.2mg/mlの抗体を含み、プールBは0.25mg/mlの抗体を含んでいた。
まず、S.アウレウス5型に対してM120のオプソニン活性を測定した(表5)。
Figure 2005514053
次に、S.エピデルミディスHay株に対するM120のオプソニン活性を測定した(表6)。このアッセイもまた、上記で「Neutrophil-Mediated Opsonophagocytic Bactericidal Assay」という標題で記載されているようにして行った。
Figure 2005514053
同様のアッセイを用いて、S.エピデルミディスHay株に対するMAb-391.4のオプソニン活性を測定した(表7)。かくして、MAb-391.4(紫外線殺菌S.アウレウスに対して生起させたもの)は、S.エピデルミディスHay株に対して強いオプソニン活性を有する。
Figure 2005514053
実施例3
M120可変領域のクローニング
全RNAを、4×106個の凍結00-107 GG12 ID12ハイブリドーマ細胞から、Midi RNA単離キット(Qiagen)を用い、製造元の手順に従って単離した。RNAを0.03U/μgのPrime RNaseインヒビター(Sigma)を含有する10mM Tris、0.1mM EDTA(pH8.4)に溶解して、最終濃度を0.25μg/μlとした。
図3に、可変領域の遺伝子をクローニングするための戦略を示す。全RNA(2μg)を、Superscript II-MMLV逆転写酵素(Life Technologies)ならびにマウスκ鎖特異的プライマー(JSBX-18;配列番号5)およびマウス重鎖特異的プライマー(JSBX-25A;配列番号6)を用い、製造元の手順に従ってcDNAへ変換した(プライマーの配列については図4を参照)。次に、第一鎖cDNA合成産物を、Centricon-30濃縮装置(Amicon)を用いて精製した。回収したcDNAの40μlのうち、5μlをPCR用の鋳型DNAとして用いた。典型的なPCR増幅反応物(50μl)は、鋳型DNA、30ピコモルの適切なプライマー(軽鎖にはJSBX-9A、11Aおよび18、配列番号3〜5;重鎖にはJSBX-1、4およびJSBX-25A、配列番号1、2および6)、2.5ユニットのExTaqポリメラーゼ(PanVera)、1×ExTaq反応緩衝液、200μMのdNTP、2mMのMgCl2を含む。鋳型を、96℃で3分間の初期インキュベーションにより変性させた。産物を、96℃で1分、60℃で30秒、72℃で30秒の熱サイクルを30回行うことにより増幅した。成功した反応物からのPCR産物を、Nucleospin PCR精製システム(Clontech)を用い、製造元の手順に従って精製した。
次に、DNAを配列決定するために、PCR産物(それぞれ約400塩基対)を、細菌ベクターpGEM T(Promega)にクローニングした。PCR断片を、製造元の手順に従い、3:1のインサート:ベクターのモル比を用いて、pGEM T(T/A型のクローニングベクター)に連結した。連結反応物の半量(5μl)を用いて、製造元の手順に従ってUltracompetent XL1Blue細胞(Stratagene)を形質転換した。DNAインサートを含むプラスミドを含んだ細菌クローンを、DraIIIとBsiWI(重鎖のクローンの場合)またはDraIIIとEcoRV(軽鎖のクローンの場合)(New England Biolabs)による診断制限酵素消化を用いて同定した。次に、適切な大きさ(約400bp)のインサートを含むプラスミドのDNA配列を決定した。A120の重鎖の配列を含むプラスミドをpJSB16-6と命名し、A120の軽鎖の可変領域を含むプラスミドはpJSB17-23と命名した。軽鎖および重鎖の可変領域の最終的なコンセンサスDNA配列を、それぞれ図5および図6に示す。
M110およびM120の両者の可変領域の配列が得られたら、それらを比較した。相同性は、DNAレベルでもアミノ酸レベルでも顕著であった。図9に示すように、DNAレベルでは96%の相同性があり、687個の塩基のうち662個が同一であった。さらに、図10に示すように、アミノ酸レベルでは、94%の相同性があり、225個のアミノ酸のうち216個が同一であった。上記で述べたように、M120はS.アウレウスのLTAに対して生起させたものであり、M110はS.エピデルミディスHay株に対して生起させたものであった。両者の抗体は、S.アピデルミディスに対してもS.アウレウスに対してもオプソニン活性を示す。M110とM120の可変領域には高レベルの相同性があることから、これらの抗体のオプソニン能に寄与する共通する構造モチーフが示唆されるであろう。
実施例4
組換えキメラマウス/ヒト抗体分子の作製
次に、組換えキメラマウス/ヒト抗体分子を作製するために、重鎖および軽鎖の可変領域を、哺乳動物発現プラスミドベクターにサブクローニングした。M120抗体のヒト/マウスキメラをA120と命名し、M110抗体のヒト/マウスキメラをA110と命名する(1998年6月15日出願の米国特許出願第09/097,055号を参照)。
後記で述べるように、CMV転写プロモーターの制御下で組換え抗体分子を発現するベクターを設計した。キメラの重鎖は、重鎖可変領域とヒトIgG1定常ドメインとの融合体として発現される。キメラ軽鎖は、軽鎖可変領域とヒトκ鎖定常領域との融合体として発現される。キメラ軽鎖のcDNAは、可変領域とヒトκ定常領域との間にマウスκイントロンを含む。スプライシング後、可変領域はヒトκ定常領域のエキソンと融合されるようになる。哺乳動物細胞におけるベクターの選択マーカーは、ネオマイシン耐性(G418に耐性)とする。
M120の可変領域の遺伝子断片を、PCRにより、断片を発現ベクターへのクローニングに適合するようにするプライマー(図4を参照、JSBX-46〜JSBX-49、配列番号7〜9および18)を用いて再増幅した。重鎖の前方プライマー(JSBX-46;配列番号7)は、重鎖のリーダーのC末端をコードする5’テイルとクローニングのためのBsiWI制限部位とを含み、一方、重鎖の後方プライマー(JSBX-47;配列番号8)は、クローニングのための3’EcoRI制限部位を付加する。このことにより、重鎖可変領域とヒトIgG1定常領域との間にグルタミン(E)とフェニルアラニン(F)の2つのアミノ酸が付加される。軽鎖前方プライマー(JSBX-48;配列番号9)は、軽鎖のリーダーの2つのC末端アミノ酸をコードする5’テイルおよびクローニングのためのAgeI制限部位を導入する。軽鎖後方プライマー(JSBX-49;配列番号18)は、連結領域-κエキソンスプライス連結のための3’DNA配列と、その後ろにクローニングのためのBstBI制限部位を付加する。可変領域は、プラスミドDNAから、ベクターpJSB16-6(重鎖可変領域の場合)およびベクターpJSB17-23(軽鎖可変領域の場合)を用いて再増幅する。PCR反応は、上記に記載されているようにして行った。96℃で3分間インキュベートした後、PCRパラメーターは、58℃で30秒、70℃で30秒および96℃で1分の熱サイクルを30サイクルとした。
重鎖可変領域のPCR産物を、BsiWIおよびEcoRI(New England Biolabs)で消化し、Nucleospin PCR精製カラム(Clontech)を用いて製造元が記載しているようにして精製し、Takara連結キット(Panvera)を用い製造元の手順に従って、BsiWI/EcoRI/PflMIで消化しゲル精製したpJRS383ベクターに連結した。次に、連結混合物をXL1Blue細胞(Stratagene)に形質転換して、プラスミド哺乳動物発現ベクターpJSB23-1を得た(図7)。軽鎖可変領域のPCR産物(約350bp)をAgeIおよびBstBI(New England Biolabs)で消化し、Nucleospin PCR精製カラム(Clontech)を用い、製造元により記載されているようにして精製した。軽鎖可変領域の断片は、Takara連結キット(Panvera)を用いて製造元の手順に従って、 AgeI/BstBI/XcmIで消化しゲル精製したpJRS384に連結した。連結混合物をXL1Blue細胞(Stratagene)に形質転換して、哺乳動物発現プラスミドpJSB24を得た(Figure8)。
A110抗体の配列とA120抗体の配列は類似性があるので、バイシストロン性プラスミド内にA120の重鎖および軽鎖の可変領域を含む哺乳動物細胞発現プラスミド、ならびにA110の重鎖可変領域をA120の軽鎖可変領域とつなぎ合わせるプラスミドおよびA110の軽鎖可変領域をA120の重鎖可変領域とつなぎ合わせるプラスミドを構築して、各種の抗体の結合特性およびオプソニン特性を調べることにした。バイシストロン性ベクターの構築は段階的に行い、A120の重鎖および軽鎖の可変領域を、既にA110の軽鎖および重鎖の可変領域を含んでいるバイシストロン性ベクター(pJRS354、図11)にクローニングし、A110の軽鎖可変領域、重鎖可変領域またはそれらの両者を置き換えた。プラスミドpJRS354はClaIおよびXhoI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、バックボーン断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにしてゲル精製した。プラスミドpJSB24はClaIおよびXhoI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、軽鎖可変領域断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにして精製した。次に、これらの断片を、Takara連結キット(Panvera)を用いて製造元の手順に従って連結させた。得られたバイシストロン性発現ベクターpJSB25-3(図12)は、A120抗体の軽鎖可変領域とA110抗体の重鎖可変領域とを含んでおり、次にこのベクターを、可変領域の配列を確認した後で、形質転換哺乳動物細胞中で抗体産生させるのに用いた。
2つの他のバイシストロン性プラスミドを、同様にして構築した。プラスミドpJSB25-3はBspEIおよびNotI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、バックボーン断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにしてゲル精製した。プラスミドpJSB23-1はBspEIおよびNotI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、重鎖可変領域断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにしてゲル精製した。これらの断片を、Takara連結キット(Panvera)を用いて製造元の手順に従って連結させた。得られたバイシストロン性発現ベクターpJSB26(図13)は、A120抗体の軽鎖および重鎖の可変領域を含んでおり、次に、そのベクターを、形質転換哺乳動物細胞内で抗体産生させるのに用いた。
プラスミドpJRS354はBspEIおよびNotI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、バックボーン断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにしてゲル精製した。プラスミドpJSB23-1はBspEIおよびNotI(New England Biolabs)で消化し、その消化産物をアガロースゲルで分離し、重鎖可変領域断片を切り出し、Nucleospinゲル断片DNA精製カラム(Clontech)を用いて製造元により記載されているようにしてゲル精製した。これらの断片を、Takara連結キット(Panvera)を用いて製造元の手順に従って連結し、XL1Blue細胞(Stratagene)に形質転換した。得られたバイシストロン性ベクターpJSB27(図14)は、A120抗体の重鎖可変領域とA110抗体の軽鎖可変領域とを含んでおり、次に、そのベクターを、形質転換哺乳動物細胞内で抗体産生させるのに用いた。
実施例5
A120およびA110の抗LTAヒト/マウスキメラ抗体の比較
抗LTAヒト/マウスキメラ抗体A110は、米国特許出願第09/097,055号(参照により本明細書に組み入れられる)に先に記載されている。抗LTAヒト/マウスキメラ抗体A110およびA120の結合活性を、LTAに対してELISAで比較した。
A120上清の希釈物を、精製したA110抗体の希釈物と、上記で「Binding Assays」という標題、「Immunoassay on LTA」という副題で記載されているような免疫アッセイにおいて比較した。簡単に説明すると、96ウェルプレートのウェルを、1μg/mlのS.アウレウスのLTAで室温にて3時間被覆した。洗浄後、精製したA110抗体またはA120の上清のPBS-T中の希釈物を四連のウェルに加え、室温で30〜60分間インキュベートした。洗浄後、HRPコンジュゲートγ特異的ヤギ抗ヒトIgG(1:5000に希釈したもの)を各ウェルに加え、室温で30〜60分間インキュベートした。二次抗体を除去し洗浄した後、100μlのTMB基質を各ウェルに添加し、室温で15分間インキュベートした。次に、100μlのTMB停止試薬を各ウェルに添加して反応を停止させ、各ウェルの450nmでの吸光度を測定した。この抗LTA ELISAアッセイの結果を表8に示す。
Figure 2005514053
このアッセイから、モノクローナル抗体A120が、A110と同様に、S.アウレウスのLTAに結合することが示される。これら2つの抗体の結合親和性を比較するために、A120をProtein G Ultralink(Pierce)を用いて製造元の手順に従って精製し、これら2つの抗体を、二次ELISAアッセイにおいてLTAへの結合について試験した。
精製したA110抗体およびA120抗体の希釈物を、ELISAアッセイにおいて、実質的に上記と同じプロトコールを用いて、LTAへの結合について比較した。精製した抗体の希釈物を用いた抗LTA ELISAのデータを表9に示す。
Figure 2005514053
これらのデータから、A110が、S.アウレウスのLTAに対してA120よりも高い親和性を有することが実証される。この違いは、125ng/mlの抗体濃度において特に顕著であり、そこで、A120は0.422のELISAシグナルを示し、A110はほぼ10倍高いシグナルを示す。
実施例6
抗LTA抗体A110およびA120のオプソニン活性の比較
精製したヒト/マウスキメラA110およびA120、ならびにマウスM120のMAbを、上記で「Neutrophil-Mediated Opsonophagocytic Bactericidal Assay」という標題で記載されているようにして、それらのオプソニン活性についてアッセイした。簡単に説明すると、精製したA110抗体、A120抗体またはM120抗体の希釈物を、マイクロタイタープレートのウェル内で好中球(PMN)と合わせた。対数増殖中期の細菌を各ウェルに加え、続いて免疫グロブリン飢餓ヒト血清(補体(C‘)の供給源となる)を加えた。サンプルを37℃で2時間インキュベートし、次に血液寒天にプレートし、一夜インキュベートして、残存する生細菌の数を求めた。オプソニン活性は「%死滅」として表すが、これは次の式に従って求める:%死滅=100%−N2hr/N0hr[式中、N2hrは、抗体、PMNおよびC’と共に2時間インキュベートした後で形成されるコロニーの数であり、N0hrは、0時間インキュベートした後で形成されるコロニーの数である]。対照の反応物には上記の成分を含めなかった。表10に、A110、A120およびM120の抗体についてのオプソニン活性アッセイの結果を示す。
Figure 2005514053
これらのデータから、A110、A120およびM120のMAbが、本明細書で記載されているオプソニン活性において等しく活性であることが実証される。したがって、A120を作製するためのM120のキメラ化は、この抗体のオプソニン活性にはほとんど、または全く影響はなく、2つの異なる抗LTAキメラ抗体A110およびA120は同等に活性である。
実施例7
組換えキメラマウス/ヒトA120抗体の一過的産生
プラスミドpJSB25、pJSB26およびpJSB27を、6ウェル組織培養ウェル内でSuperfect (Qiagen)を用いて製造元により記載されているようにして、IMDM+10%ウシ胎仔血清中で増殖させたCOS細胞にトランスフェクトした。2日後、上清を、キメラ抗体の産生および発現された抗体のS.アウレウスLTA抗原への結合能についてアッセイした。
抗体産生アッセイは、1:500の希釈度のヤギ抗ヒトFc(Pierce)で被覆した96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorp F8;Nunc, Inc.)の8ウェルずつのストリップで行った。プレートを感圧フィルムで覆い、4℃で一夜インキュベートした。次に、プレートを洗浄溶液(Imidazole/NaCl/0.4%Tween-20)で一回洗浄した。次に、100μlの培養上清希釈物を二連ずつのウェルに適用し、プレートローテーターで室温にて60分間インキュベートした。プレートを洗浄溶液で7回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG H+L-HRP(Zymed)コンジュゲートをサンプル/コンジュゲートの希釈率1:4000で希釈した。100μlをサンプルに加え、次にプレートローテーターで室温にて60分間インキュベートした。サンプルを上記のようにして洗浄し、次に100μL/ウェルのTMB展開基質(BioFx)と共に、室温で1分間インキュベートした。結合反応を、100μL/ウェルの停止緩衝液(BioFx)で停止させ、450nmでの吸光度の値を自動マイクロタイタープレートELISAリーダーを用いて測定した。このアッセイ(図15を参照)から、細胞をこのプラスミド構築物でトランスフェクトすると、ヒトIgGとκドメインの両者を含む分子を産生する細胞が得られることが実証される。
次に、上清を、発現された抗体のリプタイコ酸への結合能についてアッセイした。この活性アッセイは、PBSを用いて1μg/mLのS.アウレウスのLTA(Sigma)で被覆した96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorp F8;Nunc, Inc.)の8ウェルずつのストリップで行った。プレートを覆い、4℃で一夜インキュベートした。次に、プレートをPBSで一回洗浄した。次に、100μlの培養上清希釈物を二連ずつのウェルに適用し、プレートローテーターで室温にて60分間インキュベートした。プレートを洗浄溶液で7回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG H+L-HRP(Zymed)をサンプル/コンジュゲートの希釈率1:4000で希釈し、100μlをサンプルに加え、次にプレートローテーターで室温にて60分間インキュベートした。サンプルを上記のようにして洗浄し、次に100μL/ウェルのTMB展開基質(BioFx)と共に、プレートローテーターで室温で10〜15分間インキュベートした。結合反応を、100μL/ウェルの停止緩衝液(BioFx)で停止させ、450nmでの吸光度の値を自動マイクロタイタープレートELISAリーダーを用いて測定した。ポジティブ対照として、元のヒト/マウスキメラ抗体A110(プラスミドpJRS354により産生させたもの)を用いた。このアッセイ(図16)から、細胞をこのプラスミド構築物でトランスフェクトすると、S.アウレウスLTA抗原に結合する分子を産生する細胞が得られることが実証される。
これらのデータから、LTAに対して生起させたキメラ抗体がスタフィロコッカス属に対してオプソニン性であり、かつスタフィロコッカス属からの生存を増大させることが実証される。さらに、この抗体は、血液からのスタフィロコッカスのクリアランスを促進する。したがって、LTAに対する抗体は、スタフィロコッカス感染に対する予防および治療の可能性を提供し、抗LTA抗体を誘導するLTAもしくはLTAのペプチドミメオトープを用いるワクチンもまた、予防の可能性があるだろう。
実施例8
LTAに結合するヒト抗体
当業者であれば、上記のようにマウス抗体をヒト化して処置中のHAMA応答を最低限に抑える代わりに、完全ヒト型の防護作用のある抗LTA抗体を単離することができる。当業者であれば、完全ヒト型の組換え抗体を作製するのに使用可能な周知の別の戦略が沢山ある。1つは、ファージ提示法(59、63)を用いた抗体の作製である。具体的に述べると、ヒトRNAを用いて、バクテリオファージの表面に発現させた抗体の重鎖断片および軽鎖断片のcDNAライブラリーを作製する。これらのライブラリーは、対象の抗原(すなわちLTA)に対してプローブするのに使用でき、続いて、(表面に抗体が発現されているので)結合するファージを単離する。可変領域をコードするDNAを配列決定し、抗体の発現についてクローングする。
ヒト抗体を作製するためのもう1つの方法は、「ヒト化」マウスを用いることである。これらのトランスジェニックマウスは、それら自身の抗体遺伝子が、ヒトの抗体遺伝子複合体の一部で置き換えられており、抗原を接種すると、ヒト抗体を産生する(57、59、60、61、63)。次に、得られた抗体産生細胞を、特定のモノクローナル抗体産生細胞系を樹立するために、標準的なハイブリドーマ法で用いることができる。
組換えヒト抗体はまた、しっかりした抗LTA応答を有するヒトのボランティアから抗体産生B細胞を単離することによっても作製される。蛍光活性化セルソーティング(FACS)および蛍光標識LTAを用いれば、抗LTA抗体を産生する細胞を他の細胞から分離することができる。次に、RNAを抽出し、反応性抗体の可変領域の配列を決定することができる(58、62)。機能性の可変領域のDNA配列は、合成するか、または大規模ヒト組換え抗体産生用の哺乳動物発現ベクターにクローニングすることができる。
結論
マウスで、S.アウレウスのLTAに対してモノクローナル抗体を生起させた。ELISAアッセイにおいてLTAに強く結合した抗体を産生する1つのハイブリドーマをさらにサブクローニングした。ハイブリドーマサブクローン00-107GG12 ID12は、LTAに強く結合するκ軽鎖を有するIgG2aモノクローナル抗体を産生した。このハイブリドーマにより産生される抗体をM120と命名した(実施例1)。
M120を、オプソニン食細胞殺菌アッセイにおいて、S.アウレウス5型およびS.エピデルミディスHay株に対するオプソニン活性について試験した。この抗体を、PMNおよび補体(抗S.アウレウス抗体および抗S.エピデルミディス抗体を飢餓しているヒト血清から誘導したもの)と混合し、次に、細菌に対する活性を試験した。M120は、S.アウレウスに対してもS.エピデルミディスに対してもオプソニン活性を示し、200μg/mlで95%のS.アウレウスおよび平均で82%のS.アウレウスを死滅させた(実施例2、表5および6)。MAb-391.4は紫外線殺菌S.アウレウスに対して生起させたものであるが、これを、同様のアッセイにおいてS.エピデルミディスHay株に対するオプソニン活性について試験したところ、81.9%の死滅率を示した(表7)。
次に、M120の可変領域をクローニングおよびサブクローニングし、配列を別の抗LTA抗体M110と比較した。驚くべきことに、M110およびM120は、アミノ酸レベルで約94%の配列同一性、ヌクレオチドレベルで約96%の配列同一性を有することが判明した。第3の抗LTA抗体であるMAb-391.4についても、配列決定し、これら他の2つのものと比較した。これら3つの抗体は、アミノ酸レベルで88%の配列同一性を示す。この高レベルの配列同一性から、これらの抗体がLTA上の共通するエピトープに結合することが示唆され得る(実施例3、図9および10)。次に、M120またはM110のいずれかの重鎖可変領域をヒトIgG1定常領域と融合させて、およびM120またはM110のいずれかの軽鎖可変領域をヒトκ軽鎖定常領域と融合させて、ヒト/マウスキメラ抗体を作製した。M120のヒト/マウスキメラをA120と呼び、M110のヒト/マウスキメラをA110と呼ぶ。これら2つの抗体間には類似性があるので、A110の重鎖とA120の軽鎖とを含む抗体(A120aと命名)を作製した。同様に、A110の軽鎖とA120の重鎖とを含む抗体(A120bと命名)も作製した(実施例4)。
ヒト/マウスキメラ抗体A120およびA110を、ELISAアッセイにおいて、LTAへの結合能について試験した。どちらのキメラ抗体もLTAに強く結合し、このことから、マウスの定常領域をヒトの定常領域で置き換えても、これらの抗体の結合特性にほとんど影響がないことが示される(実施例5、表8および9)。次に、S.エピデルミディスHay株に対するオプソニンアッセイにおいて、キメラ抗体A110およびA120ならびにM120のオプソニン活性を比較した。これら3つの抗体は全て、少なくとも94%のS.エピデルミディス死滅率を示した。これらの結果から、これらのキメラ抗体がS.エピデルミディスに対してオプソニン性が強く、また、それらがヒトにおけるHAMA応答が低下しているために、グラム陽性細菌による感染症を撲滅するための好適な治療用分子に違いないことが示される(実施例6、表10)。
最後に、3つのキメラ抗体A120、A120aおよびA120bをCOS細胞で産生させ、S.アウレウスのLTAに対する結合能について試験した。3つのキメラ抗体は全て、ELISAアッセイにおいてLTAに結合し、A120とA120aが最も強い結合を示した。これらの結果から、M110とM120とがLTA上の類似するまたは部分的に重なり合うエピトープに結合し、これは、両者に由来する可変領域を有する抗体がこの抗原への結合能を保持しているからであることが示唆される。これらの結果から、LTA上の特定のエピトープが、S.アウレウスおよびS.エピデルミディスに対してオプソニン性である抗体を生起することができることが示すことができる。このエピトープは、他のものよりもずっとアクセスし易いか、あるいは結合している抗体が細菌のオプソニン化に必要な因子を引き付けるように理想的に位置するように配置されていると思われる。
これまでは、モノクローナル抗体が食作用を増大させるか否かについては不明であった。何故ならば、用いられたポリクローナル血清は、細菌表面上の多くの異なるエピトープに結合する多くの異なる抗体を含んでおり、この集合的な結合および活性の総和が血清の全体的な活性を説明していた可能性があるからである。本明細書において、本発明者らは、細菌表面上の単一のエピトープに結合するモノクローナル抗体が、その細菌に対してオプソニン性であり得ることを実証している。また、LTAに対して生起させたモノクローナル抗体がそうした活性を有し得ること、そして、それらの抗体が多数の異なるタイプのグラム陽性細菌に対してオプソニン性であり得ることも実証した。
さらに、本発明者らは、3種の異なるモノクローナル抗体(1つはS.エピデルミディス全体に対して生起させたもの、1つは精製しコンジュゲートしたS.アウレウス由来LTAに対して生起させたもの、1つは紫外線殺菌S.アウレウス全体に対して生起させたもの)は、顕著な相同性の程度を示す。異なるマウスにおいて類似する抗原に対して生起させたモノクローナル抗体間のこのレベルの相同性は、これまでは示されていなかった。事実、長い間、身体に非常に広範な抗体レパートリーを提供するために、抗体は、非常に異なる決定基を用いて同一の抗原への結合能を進化させてきたと考えられてきた。M110、M120、およびMAb-391.4の可変領域間の相同性レベルから、LTAに対してオプソニン性の抗体がほぼ同一の結合様式を用いてほぼ同一のエピトープを認識すること、そして、この結合様式がそれらの機能活性にとって重要であることが示され得る。さらに、抗体が結合するエピトープは、S.エピデルミディスとS.アウレウスとの間で高度に保存されていると思われ、グラム陽性細菌の(全部ではないとしても)大部分に共通していると思われる。したがって、このエピトープに対するモノクローナル抗体は、広範囲の細菌に対して広くオプソニン性である可能性があり、研究者は多くのグラム陽性細菌に対して広範なオプソニン活性および防護活性を有する幾つかの抗体が開発できるようになる。
以下の引用文献は、参照により特に本明細書に組み入れられる。
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こうして本発明を十分に説明してきたが、当業者であれば、本発明が、過度の実験を行わずとも、本発明の精神および範囲から逸脱することなしにある範囲の等価物および条件内で実施可能であることが理解されよう。さらに、本発明は特定の実施形態および実施例に照らし合わせながら説明してきたが、本発明者らは、さらなる改変が可能であると考える。本出願は、上記で述べた一般原理に従う本発明のどのような別形態、使用または適用も包含しようとするものである。
本発明の他の実施形態は、当業者であれば、本明細書で開示されている詳細内容および実施から考慮すれば明らかであろう。詳細内容および実施例は単なる例示にすぎず、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示されるものとする。
グラム陽性細菌の細胞壁におけるリポタイコ酸(LTA)の概略図である。 重鎖定常領域(CH)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖定常領域(CL)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体領域を示す図である。可変領域内の相補性決定領域(CDR)は、黒棒で示してある。 A120の重鎖および軽鎖の可変領域についてのcDNAクローニング戦略を示す図である。 可変領域のフラグメントを増幅するのに用いたオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号1〜9および18)を示す図である。 A120の軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号10)およびポリヌクレオチド配列(配列番号11)を示す図である。 A120の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号12)およびポリヌクレオチド配列(配列番号13)を示す図である。 A120の重鎖を発現するpJSB23-1プラスミドを示す図である。 A120の軽鎖を発現するpJSB24プラスミドを示す図である。 A110の軽鎖可変領域のcDNA(配列番号14)、A120の軽鎖可変領域のcDNA(配列番号11)および391.4の軽鎖可変領域のcDNA(配列番号19)のアライメントを示す図である。いずれか2つの配列の間で異なるヌクレオチドは枠で囲んである。 (B)A110の重鎖可変領域のcDNA(配列番号15)、A120の重鎖可変領域のcDNA(配列番号13)および391.4の重鎖可変領域のcDNA(配列番号20)のアライメントを示す図である。いずれか2つの配列の間で異なるヌクレオチドは枠で囲んである。 A110の軽鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号16)、A120の軽鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号10)および391.4の軽鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号21)のアライメントを示す図である。相補性決定領域(CDR)には下線を付し、いずれか2つの配列間で異なるアミノ酸は枠で囲んである。 (B)A110の重鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号17)、A120の重鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号12)および391.4の重鎖可変領域のポリペプチド配列(配列番号22)のアライメントを示す図である。相補性決定領域(CDR)には下線を付し、いずれか2つの配列間で異なるアミノ酸は枠で囲んである。 A110の重鎖および軽鎖の可変領域を発現するpJRS354バイシストロン性プラスミドを示す図である。 A110の重鎖可変領域およびA120の軽鎖可変領域を発現するpJSB25-3バイシストロン性プラスミドを示す図である。 A120の重鎖および軽鎖の可変領域を発現するpJSB26バイシストロン性プラスミドを示す図である。 A120の重鎖可変領域およびA110の軽鎖可変領域を発現するpJSB27バイシストロン性プラスミドを示す図である。 キメラ抗体産生ELISAの結果を示す図である。図示の抗体は全て、ヒト/マウスキメラである。A110は、共にA110由来の重鎖および軽鎖の可変領域を含む。A120は、共にA120由来の重鎖および軽鎖の可変領域を含む。A120aは、A110由来の重鎖可変領域とA120由来の軽鎖可変領域とを含む。A120bは、A120由来の重鎖可変領域とA110由来の軽鎖可変領域とを含む。 S.アウレウスのLTAに結合するキメラ抗体を決定するための実験の結果を示す図である。用いた抗体は、図15と同じものとする。
【配列表】
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Claims (39)

  1. 少なくとも1つの軽鎖と少なくとも1つの重鎖とを含むMAbであって、
    該少なくとも1つの軽鎖は、配列番号16、10および21から選択される軽鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含み;
    該少なくとも1つの重鎖は、配列番号12、17および22から選択される重鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含み;そして
    該MAbはLTAに特異的に結合するものである、上記MAb。
  2. 同一性の%が少なくとも80%である、請求項1に記載のMAb。
  3. 同一性の%が少なくとも90%である、請求項1に記載のMAb。
  4. 配列番号10、12、16、17、21および22から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変領域を含む、請求項1に記載のMAb。
  5. 少なくとも1つの軽鎖、少なくとも1つの重鎖、またはこの両方がキメラまたはヒト化されている、請求項1に記載のMAb。
  6. 少なくとも1つの軽鎖、少なくとも1つの重鎖、またはこの両方がヒトのものである、請求項1に記載のMAb。
  7. 重鎖定常領域を含み、その定常領域はヒトIgG、IgA、IgMまたはIgD配列を含む、請求項1に記載のMAb。
  8. Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、SFv、scFvを含む、請求項1に記載のMAb。
  9. 配列番号16、10および21から選択される軽鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、LTAに特異的に結合するMAb内の可変領域もしくはその部分として機能することができる、上記ポリペプチド。
  10. 配列番号10、16または21のアミノ酸24〜33、49〜55および88〜73から選択される配列と少なくとも88%の同一性を有する少なくとも1つの領域を含み、その領域が、LTAに特異的に結合するMAb内のCDRもしくはその部分として機能することができる、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. 配列番号10、16または21のアミノ酸1〜23、34〜38、56〜87および97〜106から選択される配列と少なくとも82%の同一性を有する少なくとも1つの領域を含み、その領域が、LTAに特異的に結合するMAb内のフレームワーク領域もしくはその部分として機能することができる、請求項9に記載のポリペプチド。
  12. 請求項9に記載のポリペプチドを含む、MAb軽鎖。
  13. キメラ、ヒト化またはヒト型である、請求項12に記載のMAb軽鎖。
  14. ヒトκまたはλ配列を含む軽鎖定常領域を含む、請求項12に記載のMAb軽鎖。
  15. 配列番号12、17および22から選択される重鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、LTAに特異的に結合するMAb内の可変領域もしくはその部分として機能することができる上記ポリペプチド。
  16. 配列番号12、17または22のアミノ酸26〜35および50〜69から選択される配列と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも1つの領域を含み、その領域が、LTAに特異的に結合するMAb内のCDR領域もしくはその部分として機能することができる、請求項15に記載のポリペプチド。
  17. 配列番号12、17または22のアミノ酸1〜25、36〜49、70〜101および115〜125から選択される配列と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも1つの領域を含み、その領域が、LTAに特異的に結合するMAb内のフレームワーク領域もしくはその部分として機能することができる、請求項15に記載のポリペプチド。
  18. 請求項15に記載のポリペプチドを含むMAb重鎖。
  19. キメラ、ヒト化またはヒトのものである、請求項18に記載のMAb重鎖。
  20. ヒトIgG、IgA、IgMまたはIgD配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項18に記載のMAb重鎖。
  21. 少なくとも1つの軽鎖と少なくとも1つの重鎖とを含むMAbであって、
    LTAに特異的に結合し、かつ
    その少なくとも1つの軽鎖は、配列番号10、16または21のアミノ酸24〜33、49〜55または88〜73から選択される配列を含む少なくとも1つのCDRを有する可変領域を含むか、あるいは
    その少なくとも1つの軽鎖は、配列番号12、17または22のアミノ酸1〜25、36〜49、70〜101または115〜125から選択される配列を含む少なくとも1つのCDRを有する可変領域を含む、上記MAb。
  22. A110、A110b、A120、A120bおよび391.4から選択される少なくとも1つの可変ドメインを含む、請求項21に記載のMAb。
  23. 請求項22に記載のMAbを発現するハイブリドーマ細胞系。
  24. 請求項1に記載の1つ以上のMAbと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  25. S.エピデルミディス(S. epidermidis;表皮ブドウ球菌)およびS.アウレウス(S. aureus;黄色ブドウ球菌)に対してオプソニン性である、請求項24に記載の医薬組成物。
  26. グラム陽性細菌のペプチドグリカン(PepG)に結合する少なくとも1つの抗体をさらに含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 請求項24に記載の医薬組成物を投与することを含む、患者の治療方法。
  28. 組成物が鼻孔間投与される、請求項27に記載の方法。
  29. 医薬組成物が、グラム陽性細菌のペプチドグリカン(PepG)に結合する少なくとも1つの抗体をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. 組成物が鼻孔間投与される、請求項29に記載の方法。
  31. a) 抗LTA抗体を誘導する少なくとも1つのLTAまたはLTAのペプチドミメオトープに特異的に結合する少なくとも1つのMAbを選定し、
    b) その少なくとも1つのMAbの軽鎖可変領域のポリペプチド配列を決定し、
    c) 配列番号16、10および21から選択される軽鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド配列を選定し、
    d) その少なくとも1つのMAbの重鎖可変領域のポリペプチド配列を決定し、
    e) 配列番号12、17または22から選択される重鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド配列を選定し、
    f) ステップc)のポリペプチド配列を含む軽鎖を、ステップe)のポリペプチド配列を含む重鎖と組み合わせること、
    を含む、請求項1に記載のMAbの作製方法。
  32. a) 抗LTA抗体を誘導する少なくとも1つのLTAまたはLTAのペプチドミメオトープに特異的に結合する少なくとも1つのMAbを選定し、
    b) その少なくとも1つのMAbの軽鎖可変領域のポリペプチド配列を決定し、
    d) 配列番号16、10および21から選択される軽鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド配列を選定すること、
    を含む、請求項9に記載のポリペプチドの作製方法。
  33. a) 抗LTA抗体を誘導する少なくとも1つのLTAまたはLTAのペプチドミメオトープに特異的に結合する少なくとも1つのMAbを選定し、
    b) その少なくとも1つのMAbの重鎖可変領域のポリペプチド配列を決定し、
    d) 配列番号12、17または22から選択される重鎖可変領域と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド配列を選定すること、
    を含む、請求項15に記載のポリペプチドの作製方法。
  34. 請求項9に記載のポリペプチドをコードする精製された核酸。
  35. 請求項15に記載のポリペプチドをコードする精製された核酸。
  36. 1)細胞と、2)請求項1に記載のMAbの発現を指令できる1つ以上の組換え核酸とを含む産生システム。
  37. 抗原性が高くかつ高度に保存されているエピトープの同定方法であって、
    a) 免疫原に特異的に結合する様々なMAbを選定し、
    b) そのMAbの可変領域のポリペプチド配列を決定し、
    d) 少なくとも2つのそのMAbのポリペプチド配列における同一性を有する領域を同定すること、ここで、該領域は、1)軽鎖可変領域の少なくとも70%の同一性、重鎖可変領域の少なくとも70%の同一性、可変領域内の3つの相補性決定領域(CDR)と比較して少なくとも70%の同一性、可変領域内の少なくとも2つのCDRと比較して少なくとも75%の同一性、1つのCDRにおいて少なくとも80%の同一性、ならびに可変領域のフレームワーク領域(FR)において少なくとも70%の同一性のうち少なくとも1つを含むものである、
    を含む上記方法。
  38. 請求項1に記載の様々なMAbを含む、LTAに結合するMAbのコレクション。
  39. M110、M120、391.4、またはそれらのキメラもしくはヒト化誘導体のうちの1つ以上を含む、請求項38に記載のコレクション。
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