JP2005514603A - 高感度コード化検出システム - Google Patents

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Abstract

分析物を高感度で多重検出するための組成物と方法を開示する。開示する組成物(検出部と呼ぶ)は、望む標的と相互作用する特異的結合分子を担体内のブロック群と結合させることによってこの検出を行なう。ブロック群は複数のブロックで構成されており、異なるブロックが組み合わさることによって所定の検出部に対するコードとなる。ブロックは検出可能であり、各検出部は、その検出部に対応するブロック群によって他の検出部から区別することができる。ブロック群をコード化することにより、比較的少数のブロックを用いるだけで区別できる検出部の数が大きく増加する。検出負荷は、このように多数のブロック群を用いる場合でも低いままに留まる。というのも、検出中にはブロック同士を互いに区別する必要があるだけだからである。標的から発生する信号を効果的に増幅するため、ブロック群を構成する各タイプの多数のブロック分子を担体の中に存在させることができる。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2001年11月6日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第60/332,982号の利益を主張する。2001年11月6日に出願された出願番号第60/332,982号、2001年5月7日に出願された出願番号第09/850,539号、2001年8月13日に出願された出願番号第09/929,266号は、その全体が本明細書に援用される。
本発明は、全体として分子の検出の分野に関するものであり、より詳細には、異なった複数の分子を単一のアッセイで検出する分野に関する。
組織学的切片や細胞調製物に含まれるタンパク質の分析が、組織化学の方法、免疫組織化学の方法、蛍光抗体法を用いて日常的に行なわれている。さまざまな色素で標識した抗体を用いて蛍光抗体法を実行することにより、細胞材料中に存在する2種類または3種類の異なった抗原、さらには4種類の異なった抗原さえも同時に検出することが可能になっている。将来は、時間分解蛍光を用いて免疫蛍光法を拡張することにより、同時に6〜12種類の異なった抗体を検出することが可能になろう。同様に、インサイチュ・ハイブリダイゼーション法において蛍光でRNAを検出することにより、細胞材料中に存在する2〜4種類の異なったRNAを検出することができる。この方法も、時間分解蛍光によって6〜12種類の異なったRNAを検出できるように拡張することが可能である。
より多くのタンパク質またはRNAを同時に細胞学的に検出できる高感度法が必要とされている。理論的には、20〜50種類の異なったタンパク質(またはRNA)の濃度を同時に測定することにより、非常に多くの情報が、正常な成長、疾患の諸段階、薬物治療または遺伝子治療に対する応答における動的な細胞プロセスの特別な状態に関して、あるいは環境に曝露されたり、それ以外の意図的な介入または不注意による介入があったりした結果としての動的な細胞プロセスの特別な状態に関して得られるはずである。
同時に比較的多数のタンパク質を同定してその濃度を測定すること(プロテオミクスと呼ばれる)によって細胞を研究するというのは、現在のところ非常に時間のかかる仕事である。2次元(2D)ゲル電気泳動法は、多数のタンパク質の発現を研究するための有効なツールであるが、この方法は細胞をその場で分析するのに適していない。一般に、2Dゲル分析を1回行なうのに何千もの細胞が必要とされる。異種組織サンプルにおいてさまざまなタンパク質の発現プロファイルを同定するには、少数の細胞で発現したタンパク質を分析する能力が必要とされよう。この能力は、異形成細胞または前癌性細胞を含んでいる可能性のある組織学的サンプルまたは細胞サンプルの分析と非常に関係が深い。そのような細胞はがんへと発展する前段階である可能性があるため、10〜50個の細胞からなる小さなフォーカスとして存在しているときに同定し、腫瘍が生じる可能性がないようにする必要がある。残念なことに10〜50個の細胞から得られるタンパク質の量は2Dゲル分析には不十分であるため、放射性同位体を用いてそのタンパク質に標識したとしても問題がある。
質量分析は、タンパク質を分析するための別の強力な方法である。しかし少数の細胞を含むサンプル中に存在しているタンパク質を直接分析することは、従来の質量分析法だと感度が不足するために不可能である。従来技術を用いて組織サンプルを質量分析するには最低で10,000個の細胞が必要とされる。
マイクロアレイ・ハイブリダイゼーションの実験結果を分析するのに現在用いられている方法では、2色の信号を読み出すシステムを利用している。例えばSchena, M.、Shalon, D.、Davis, R.W.、Brown, P.O.(1995年)、「相補的DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現パターンの定量的観測」、Science、第270巻、467-470ページには、1つの組織から調製したcDNAを染料cy3で標識し、別の組織からのcDNAを染料cy5で標識する実験が記載されている。標識反応を行なわせた後、標識された2種類のDNAを混合し、表面にcDNAのマイクロアレイを有するスライド・ガラスの表面と接触させることによってハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション反応が終了すると、マイクロアレイの表面を洗浄してハイブリダイズしなかった材料を除去し、cy3とcy5の蛍光強度を別々に記録できるよう設計されているスライド・ガラス共焦点走査装置で走査する。蛍光強度は、2つの異なったコンピュータ・ファイルとして保存される。次にコンピュータ・ソフトウエアを用い、DNAマイクロアレイ上の個々のドット・アドレスにおけるcy5に対するcy3の蛍光比を計算する。この実験設計は、2つのサンプル間のmRNAの発現比を比較するときには非常にうまくいく。
Gygi, S.P.、Rist, B.、Gerber, S.A.、Turecek, F.、Gelb, M.H.、Aebersold, R.(1999年)「同位体でコード化したアフィニティ・タグを用いた複合タンパク質混合物の定量的分析」、Nature Biotechnology、第17巻、994-999ページには、生物起源の複雑な混合物に含まれる個々のタンパク質を正確に定量し、それと同時にそのタンパク質の配列を同定するための方法が記載されている。この方法は、同位体コード化アフィニティ・タグ(ICATs)と呼ばれる新しいタイプの化学試薬と、質量分析とに基づいている。上記論文の著者たちは、1つの生物の2つの異なる実験状態からタンパク質を抽出し、タンパク質をすべて含む2つの調製物のそれぞれを質量の異なる2種類のチオール反応性ICATタグで標識した。標識したこれら2つのタンパク質調製物を混合し、液体クロマトグラフィで分離し、質量分析によって検出した。それぞれのタンパク質のピークについて、質量分析によりタンパク質を同定するとともに、2つのタンパク質の量の比を測定することができた。
本発明の要約
本明細書に記載されているのは、多数の分析物を感知して検出するための組成物と方法である。そのためのシステムは、1ダース、あるいは数百にものぼる分析物を同時に検出できるように設計されている。分析物は、どのような状況においても検出することができる。例えば分析物は、懸濁液中の細胞の表面、細胞をこすったものの表面、組織学的切片の表面、DNAマイクロアレイの表面、タンパク質マイクロアレイの表面、ビーズの表面に存在している可能性があるし、複雑なサンプルを研究する必要のあるその他の状態で存在している可能性もある。この明細書に開示した組成物(この明細書では検出部と呼ぶ)は、特異的結合分子(この分子が望む標的と相互作用する)を担体内のブロック群に結合させることによってこの検出を行なう。ブロック群は複数のブロックで構成されており、異なるブロックが組み合わさることによって所定の検出部に対するコードとなる。ブロックは検出可能であり、それぞれの検出部は、対応するブロック群によって他の検出部と区別できる。ブロック群をコード化することにより、比較的少数のブロックを用いるだけで区別できる検出部の数が著しく増大する。例えば20個のブロックから5種類の異なるブロックを組み合わせてブロック群にすることにより、区別できる組み合わせが15,504通りになる。このように多くのブロック群があっても検出の手間は変わらない。というのも、検出中にはブロック同士を互いに区別する必要があるだけだからである。標的から発生する信号を効果的に増幅するため、ブロック群を構成しているそれぞれのタイプのブロック分子を担体中に多数存在させることができる。
本発明の1つの目的は、単一のサンプル中または一群のサンプル中の異なった多数の分析物を間接的に検出することを可能にする組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、単一のサンプル中または一群のサンプル中の異なった多数のタンパク質を間接的に検出することを可能にする組成物を提供することである。
発明の詳細な説明
生物材料中のタンパク質、DNA、RNAを検出するのに現在用いられている方法では、標的としてほんのいくつかの分析物しか使用されていない。多数の分析物を同時に検出できる方法が必要とされている。いくつかのマイクロアレイ法では、サンプル同士を物理的に離して表面の異なるアドレスに配置することにより、この多重化の問題を解決している。しかし興味の対象であるサンプル中の分析物がすべて単一のアドレスまたは位置に存在していて物理的に離すことができないようなタイプの分析もある。例えば組織切片の表面において細胞位置が比較的正確にわかるようにして同時に40種類のタンパク質を検出したい場合がある(かなり正確にとは、タンパク質を細胞数が20個以下しか離れていない精度で検出することを意味する)。このタイプの情報は、例えばある細胞群が悪性トランスフォーメーションをしたかどうかを判断する上で有益である可能性がある。
本発明の組成物と方法に関するさまざまな実施態様により、タンパク質、DNA、RNA、炭水化物、あるいは興味の対象である任意の他の分析物を、これら分析物のそれぞれに対して特異的な認識部分(特異的結合分子と呼ぶ)を用いて検出することができる。例えばタンパク質分析物に対して有効な認識部分は、そのタンパク質に存在するエピトープに対して特異的な抗体であり、核酸分析物に対して有効な認識部分は、相補的核酸プローブである。
本明細書に開示した組成物(この明細書では検出部と呼ぶ)は、その後に行なう検出が容易になるように最適化された任意の分子タグ群を含む担体がもとになっている。分子タグをブロックと呼び、ブロックの集合をブロック群と呼ぶ。担体は、共有結合によって特異的認識分子と結合することが好ましい。特異的認識分子のことは、特異的結合分子と呼ぶ。検出部は、直接的または間接的に結合する認識分子であるため、バイオアッセイにおいてレポータとして使用することができる。ブロックは、その化学的組成を変えることによって最適化できる。そのため例えば質量分析によって互いに効果的に分離することが可能である。質量分析によって分離されるブロックは、分子量が互いに異なる。信頼性よく分離できるよう、質量差は明確であることが好ましい。質量分析による分離を行なうため、担体にレポータ信号を取り付けることができる。その場合、変化した形態のレポータ信号が有する質量-電荷比の値の違いを利用して担体を区別し、検出することができる。
本明細書に開示した組成物と方法の個々の要素を指すのに特別な用語を使用しているが、そのような用語によって要素の範囲や性質が制約を受けることはないものとする。逆に、この明細書における要素に関する定義、説明、図、実施例、あるいはこれら以外の言及によって、要素の範囲や性質が規定されるものとする。
材料
A.検出部
検出部には、1種類以上の特異的結合分子と、担体と、ブロック群が結合している。ブロック群はブロックの集合である。検出部は、この明細書に記載した方法においてブロック群を標的分子に結合させるのに使用される。担体としては、ブロック群を特異的結合分子に結合させるのを容易にする任意の分子または構造体が可能である。具体例としては、ビーズ(例えばマイクロビーズ、ナノビーズ);リポソーム;粒子(例えば微粒子、ナノ粒子);ポリマー(例えば分枝状ポリマー構造体)などが挙げられる。有用な検出部には3つのタイプがある。すなわち、リポソーム検出部、デンドリマー検出部、ビーズ検出部である。担体はさまざまな物質で製造することができる。具体的には、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、炭化フッ素、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリアミノ酸、制御放出されるポリマー、ゲル、不溶性ポリマー、生分解性ポリマー、単層、二層、小胞、リポソーム、膜、樹脂、マトリックス、繊維、分離媒体、クロマトグラフィ支持体、ヒドロゲル、ポリマー、プラスチック、雲母、金、ビーズ、マイクロビーズ、ナノビーズ、マイクロスフェア、ナノスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子、ケイ素、ガリウムヒ素、有機金属、無機金属、半導体、絶縁体、微小構造体、ナノ構造体などが挙げられる。
担体は、有効な任意の形態を持つことができる。具体的には、ビーズ、瓶、皿、円板、コンパクト・ディスク、繊維、光ファイバー、織り繊維、成形ポリマー、粒子のほか、ビーズ、粒子、プローブ、キャップ、棒、ペグ、プラグ、ロッド、筒状体、ワイヤー、フィラメント、チューブ、ロープ、触毛、つなぎ綱、鎖、毛細管、容器、壁、縁部、角部、シール、チャネル、へり、格子、グリッド、アレイ、ノブ、段、アーム、歯状体、綱、表面、層、フィルム、ポリマー、膜をミニチュア化した形態のもの、ミクロン・スケールの形態にしたもの、ナノメートル・スケールの形態にしたもの、超分子形態にしたものなどが挙げられる。
本明細書に開示した検出部は、担体と任意のブロック群の両方を備えている。任意のブロック群を有する検出部を、多彩なブロックを分離できる方法と組み合わせることにより、極めて多重化したアッセイを実行することが可能になる。
本明細書では検出部の各要素は1個であるとしているが、検出部は、どの要素であれ、その要素を複数個含んでいてもよい。例えば1つのブロック群を含む検出部は、同じブロック群を複数(すなわちそのブロック群を構成するブロックのコピーを複数)備えることができる。しかし特に断わらない限り、検出部に関して単数形の特異的結合分子は単一の分子を意味する。
ビーズは有効な形態の担体である。ビーズは適切な任意の物質から形成することができるが、ポリマーで形成することが好ましい。ビーズは、例えばアクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、炭化フッ素、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリアミノ酸、制御放出されるポリマー、不溶性ポリマー、生分解性ポリマーで形成することができる。ビーズは望む任意のサイズにすることができる。ビーズの可能な大きさは、例えば直径が約0.2ミクロン〜約250ミクロン、直径が約1ミクロン〜約250ミクロン、直径が約2ミクロン〜約250ミクロン、直径が約5ミクロン〜約250ミクロン、直径が約10ミクロン〜約250ミクロン、直径が約20ミクロン〜約250ミクロン、直径が約30ミクロン〜約250ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約200ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約150ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約100ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約80ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約50ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約40ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約30ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約20ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約15ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約10ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約5ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約2ミクロン、直径が約0.2ミクロン〜約1ミクロン、直径が約1ミクロン〜約200ミクロン、直径が約1ミクロン〜約150ミクロン、直径が約1ミクロン〜約100ミクロン、直径が約1ミクロン〜約80ミクロン、直径が約1ミクロン〜約50ミクロン、直径が約1ミクロン〜約40ミクロン、直径が約1ミクロン〜約30ミクロン、直径が約1ミクロン〜約20ミクロン、直径が約1ミクロン〜約15ミクロン、直径が約1ミクロン〜約10ミクロン、直径が約1ミクロン〜約5ミクロン、直径が約1ミクロン〜約2ミクロン、直径が約2ミクロン〜約200ミクロン、直径が約2ミクロン〜約150ミクロン、直径が約2ミクロン〜約100ミクロン、直径が約2ミクロン〜約80ミクロン、直径が約2ミクロン〜約50ミクロン、直径が約2ミクロン〜約40ミクロン、直径が約2ミクロン〜約30ミクロン、直径が約2ミクロン〜約20ミクロン、直径が約2ミクロン〜約15ミクロン、直径が約2ミクロン〜約10ミクロン、直径が約2ミクロン〜約5ミクロン、直径が約3ミクロン〜約200ミクロン、直径が約3ミクロン〜約150ミクロン、直径が約3ミクロン〜約100ミクロン、直径が約3ミクロン〜約80ミクロン、直径が約3ミクロン〜約50ミクロン、直径が約3ミクロン〜約40ミクロン、直径が約3ミクロン〜約30ミクロン、直径が約3ミクロン〜約20ミクロン、直径が約3ミクロン〜約15ミクロン、直径が約3ミクロン〜約10ミクロン、直径が約3ミクロン〜約5ミクロン、直径が約5ミクロン〜約200ミクロン、直径が約5ミクロン〜約150ミクロン、直径が約5ミクロン〜約100ミクロン、直径が約5ミクロン〜約80ミクロン、直径が約5ミクロン〜約50ミクロン、直径が約5ミクロン〜約40ミクロン、直径が約5ミクロン〜約30ミクロン、直径が約5ミクロン〜約20ミクロン、直径が約5ミクロン〜約15ミクロン、直径が約5ミクロン〜約10ミクロン、直径が約10ミクロン〜約200ミクロン、直径が約10ミクロン〜約150ミクロン、直径が約10ミクロン〜約100ミクロン、直径が約10ミクロン〜約80ミクロン、直径が約10ミクロン〜約50ミクロン、直径が約10ミクロン〜約40ミクロン、直径が約10ミクロン〜約30ミクロン、直径が約10ミクロン〜約20ミクロン、直径が約10ミクロン〜約15ミクロン、直径が約20ミクロン〜約200ミクロン、直径が約20ミクロン〜約150ミクロン、直径が約20ミクロン〜約100ミクロン、直径が約20ミクロン〜約80ミクロン、直径が約20ミクロン〜約50ミクロン、直径が約20ミクロン〜約40ミクロン、直径が約20ミクロン〜約30ミクロンである。
ビーズのサイズとビーズのサイズ幅について特定の値を示したが、明示はしていないもののビーズのサイズとサイズ幅の個々のすべての値が考慮されており、ビーズのサイズとサイズ幅の個々のすべての値がここには記載されているものとする。同じ検出部の集合または同じアッセイの中で担体として使用するビーズは、サイズと体積を同じ値または似た値にすることができる。しかしこのようにする必要はなく、サイズや体積が異なったビーズを使用することができる。同じサイズとは、サイズが参照サイズの約5%の範囲に収まっている(サイズの許容される広がりが約10%である)ことを意味する。同じ体積とは、体積が参照体積の約5%の範囲に収まっている(体積の許容される広がりが約10%である)ことを意味する。似たサイズとは、サイズが参照サイズの約30%の範囲に収まっている(サイズの許容される広がりが約60%である)ことを意味する。似た体積とは、体積が参照体積の約30%の範囲に収まっている(体積の許容される広がりが約60%である)ことを意味する。ビーズは球形であることが好ましいが、そうなっている必要はない。この点に関し、ビーズの直径について言及する場合でもビーズが球形であることを意味してはおらず、本明細書では、ビーズの“直径”とは最長次元の長さを意味する。
リポソームは、主として二層のリン脂質で構成された人工的構造体である。コレステロールと脂肪酸もこの二層構造体の中に含めることができる。リポソームに蛍光タグを付け、外面を特異的認識分子でコーティングすることができる(Truneh, A.、Machy, P.、Horan, P.K.、1987年、「フローサイトメトリーとイメージングのための多色免疫蛍光マーカーとしての抗体担持リポソーム」、J. Immunol. Methods、第100巻、59-71ページ)。しかし蛍光リポソームをバイオアッセイで使用する場合には、蛍光タグを検出する方法による制約がある。蛍光によって活性化する細胞ソーターは一般に2つまたは3つの異なる励起-放出波長を持っているため、顕微鏡は一般に3つまたは4つの励起-放出フィルタを有する。この明細書に開示したリポソーム検出部では、リポソームが任意のブロック群の担体として機能する。任意のブロック群を取り付けたリポソーム検出部を、複数のブロックを互いに分離することのできる方法と組み合わせることにより、非常に多重化したアッセイを行なうことが可能になる。
リポソーム(単層の小胞など)は、確立した方法を利用して製造される。そのため、あらかじめ選択した検出法による検出によく適した化学的性質を有する非常に多数(数千個)のブロック分子を内部区画に収容することができる。
個々のタイプのリポソーム検出部には特異的結合分子が結合する。結合は、直接的でも間接的でもよい。直接的結合の一例は、二層リン脂質の表面に共有結合した抗体を含むリポソームである。間接的結合の一例は、表面に共有結合した任意配列の核酸を含むリポソームである。これらオリゴヌクレオチドは、塩基の相補性により、特定の特異的結合分子に結合する特定のオリゴヌクレオチドを認識するように設計されている。このようにしてリポソーム検出部は一般的試薬となり、望む任意の結合分子と間接的に結合させることができるようになる。
多重標識DNAプローブとして使用できるデンドリマーの合成法が報告されている(Schchepinov, M.S.、Udalova, I.A.、Bridgman, A.J.、Southern, E.M.、1997年、Nucleic Acids Res.、第25巻、4447-4454ページ)。デンドリマーにブロック群を結合させてデンドリマー検出部を形成することができる。
B.ブロック群
ブロック群は、検出部の担体に結合させることのできるブロックの集合(セット)である。異なる検出部に異なるブロック群を使用することにより、検出部を互いに区別することができる。ブロック群は、1つのセット内の個々のブロック群をそのセット内の他のブロック群から区別できるようなセットにおいて使用する場合に特に有効である。そのようなブロック群のセットは、1つのセット内のそれぞれの検出部をそのセット内の他のブロック群から区別できるような検出部のセットにおいて使用する場合に有効である。これは例えばそれぞれの検出部について(例えばブロック群のセットとは)異なるブロック群を用いることによって実現できる。
ブロック群のセットは、望む関係または有効な関係を有するブロック群で構成することができる。一般に1つのセット内のブロック群は互いに特別な関係を持つことができる。例えばブロック群のセットのメンバーは、セット内の個々のブロック群をそのセット内の他のブロック群から区別できるように互いに関係づけることが可能である。これは例えば、それぞれが異なるブロックの組成を有するブロック群を用いることによって実現される。ブロックの組成とは、ブロックのアイデンティティと量のいずれかまたは両方を意味する。アイデンティティのみに基づくブロックの組成のことを、ブロックのアイデンティティ組成と呼ぶ。量のみに基づくブロックの組成のことは、ブロックの量組成と呼ぶ。アイデンティティと量の両方に基づくブロックの組成のことは、ブロックの全体組成と呼ぶ。ブロック群のアイデンティティ組成とは、そのブロック群内のブロックのアイデンティティを意味する。ブロック群の量組成とは、そのブロック群内のブロックの量を意味する。ブロック群の全体組成とは、そのブロック群内のブロックのアイデンティティと量を意味する。
ブロックのアイデンティティによって特定の1つのブロックが決まるが、特定の1個のブロック分子が決まることはない。したがってペプチドAGSLADPGSLR(配列ID番号4)からなるブロック分子は、ペプチドAGSLADPGSLR(配列ID番号4)からなる別のブロック分子と同じアイデンティティであるが、ペプチドALSLADPGSGR(配列ID番号5)からなるブロック分子とはアイデンティティが異なる。
ブロックの量とは、1つのブロックの分子数を意味する(分子の数は、質量またはモル(サブモル単位も含まれる)などの適切な指標または便利な指標で表わすことができる)。実用上は、1つのブロック群内のブロックは、同じアイデンティティを有する複数のブロック分子で構成することができる(すなわち1つの検出部内では、ブロック群の各ブロックは複数の物理的分子で表現することができる)。しかし簡単化のため、同じアイデンティティを有する複数のブロック分子の集合は単数形のブロックとして表わす。1つのブロック群内で使用される個々のブロックの量は、例えばブロック群内の異なるブロック同士の量の比を決める上で重要である可能性がある。例えば1つのブロック群をアイデンティティが異なる3つのブロックで構成し、1つのブロックが他の2つのブロックの2倍の量存在するようにできる。ブロック同士で量または比がこのように異なることは、本明細書に記載した組成物および方法のいくつかの実施態様において見られる。しかし1つのブロック群内に存在する個々のブロックの量に差があることで何らかの効果が生まれる必要はない。例えば本明細書に記載した組成物および方法のいくつかの実施態様においては、1つのブロック群内のブロックの量または比ではなくアイデンティティを検出して分析する。この明細書に記載した組成物および方法の別の実施態様においては、1つのブロック群内のブロックのアイデンティティと量の両方、またはアイデンティティと比の両方を検出して分析することができる。
ブロック群内のブロックの量組成は同じでも異なっていてもよい。すなわち1つのブロック群内の個々のブロックは実質的に同じ量であってよく、あるいは1つのブロック群内の1つ以上のブロックの量が異なっていてもよい。個々のブロックが実質的に同じ量存在しているブロック群は、均等量組成であると呼ぶ。実質的に同じ量とは、量の差が約10%以下であることを意味する。1つのブロック群内で1つ以上のブロックが他のブロックと異なった量存在しているブロック群は、不均等量組成と呼ぶ。異なる量とは、量の差が約20%以上であることを意味する。ブロック群が均等量組成であるブロック群のセットは、均等量組成ブロック群セットと呼ぶ。1つ以上のブロック群が不均等量組成であるブロック群のセットは、不均等量組成ブロック群セットと呼ぶ。
1.固定数ブロック群セット
ブロック群内のブロックのアイデンティティ組成はさまざまな方法で変えることができる。特に、ブロック群セットは、そのセット内の異なるブロック群についてブロックのアイデンティティ組成がどのように異なっているかによって特徴づけることができる。例えばブロック群セット内のブロック群は、同数の異なるブロック(すなわちアイデンティティが異なるブロック)で構成することができる。これを固定数ブロック群セットと呼ぶ。例えばそれぞれが3つの異なるブロックで構成されているブロック群セットが存在しうる。各ブロック群のアイデンティティ組成(すなわちそのブロック群を構成する3つのブロックのアイデンティティ)は、セット内の各ブロック群について異なっているようにできる。よりわかりやすくするため、各ブロック群が、10個のブロック(この例ではA、B、C、D、E、F、G、H、I、Jとして同定される)から選択した3つの異なるブロックで構成されているブロック群セットを考えよう。このセット内のブロック群のアイデンティティ組成は以下のようにすることができる。
ABC、ABD、ABE、ABF、ABG、ABH、ABI、ABJ、ACD、ACE、...AGJ、AHI、AHJ、AIJ、BCD、BCE、BCF、BCG、BCH、BCI、BCJ、BDE、BDF、...EIJ、FGH、FGI、FGJ、FHI、FHJ、FIJ、GHI、GHJ、GIJ、HIJ。
ブロック群のすべてが正確に3つの異なるブロックで構成され、AAB、ADD、AAAなどの組み合わせは除かれていることに注意されたい。除外した組み合わせは、1つのブロックだけ、あるいは異なった2つのブロックだけからなるアイデンティティ組成である。順序は問題にならないことにも注意されたい。ABCというアイデンティティ組成を有するブロック群は、アイデンティティ組成がACBであるブロック群と同じである。この説明は、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックを含むブロック群セットに関係していることを理解されたい。ブロック群セットは、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックよりも少ないブロックで構成することもできる。ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックよりも少ないブロックを有する固定数ブロック群セットは、やはり固定数ブロック群セットと呼ぶ。
固定数ブロック群セット内のブロックの量組成は同じでも異なっていてもよい。すなわち1つのブロック群内の個々のブロックは実質的に同じ量であってよく、あるいは1つのブロック群内の1つ以上のブロックの量が異なっていてもよい。したがって固定数ブロック群セットとしては、均等量組成ブロック群セットまたは不均等量組成ブロック群セットが可能である。上記の固定数ブロック群セットを利用して具体例を示すと、不均等量組成固定数ブロック群セットには以下のようなブロック群が含まれることになろう。A2BC、A2BD、A2BE、A2BF、A2BG、A2BH、A2BI、A2BJ、ACD、ACE、...AGJ、AHI、AHJ、AIJ、2BCD、2BCE、2BCF、2BCG、2BCH、2BCI、2BCJ、2BDE、2BDF、...EIJ、FGH、FGI、FGJ、FHI、FHJ、FIJ、GHI、GHJ、GIJ、HIJ。ただしブロックの前の数字はそのブロックの相対量を表わす。この具体例では、ブロックBは他のブロックの2倍の量存在している。
2.変動数ブロック群セット
ブロック群セット内のブロック群はさまざまなブロックを異なった数組み合わせて構成することもできる。これを変動数ブロック群セットと呼ぶ。変動数ブロック群セットは、ブロック群ごとにブロックの数が異なっていてもよい。変動数ブロック群セットは、例えば、2つのブロックからなるブロック群と、3つのブロックからなるブロック群;あるいは、3つのブロックからなるブロック群と、4つのブロックからなるブロック群と、5つのブロックからなるブロック群;あるいは、1つのブロックからなるブロック群と、2つのブロックからなるブロック群と、3つのブロックからなるブロック群;あるいは、2つのブロックからなるブロック群と、4つのブロックからなるブロック群と、5つのブロックからなるブロック群を含むことができる。これらは単なる例示であり、変動数ブロック群セットは、ブロック群ごとに幅広いブロック数を含むブロック群を持つことができる。例えば異なる2つのブロックからなるいくつかのブロック群と異なる3つのブロックからなる他のブロック群を含むブロック群セットが存在しうる。各ブロック群のアイデンティティ組成(すなわちそのブロック群を構成する2つまたは3つのブロックのアイデンティティ)は、セット内の各ブロック群ごとに異なっていてもよい。よりわかりやすくするため、各ブロック群が、10個のブロック(この例ではA、B、C、D、E、F、G、H、I、Jとして同定される)から選択した2つまたは3つの異なるブロックで構成されているブロック群セットを考えよう。このセット内のブロック群のアイデンティティ組成は以下のようにすることができる。
AB、AC、AD、AE、AF、AG、AH、AI、AJ、BC、BD、BE、...GH、GI、GJ、HI、HJ、IJ、ABC、ABD、ABE、ABF、ABG、ABH、ABI、ABJ、ACD、ACE、...AGJ、AHI、AHJ、AIJ、BCD、BCE、BCF、BCG、BCH、BCI、BCJ、BDE、BDF、...EIJ、FGH、FGI、FGJ、FHI、FHJ、FIJ、GHI、GHJ、GIJ、HIJ。
すべてのブロック群が正確に2つまたは3つの異なるブロックで構成され、BBなどの組み合わせは除かれていることに注意されたい。除外した組み合わせは、1つのブロックだけからなるアイデンティティ組成であり、このブロック群セットの範囲外である。順序は問題にならないことにも注意されたい。ABCというアイデンティティ組成を有するブロック群は、アイデンティティ組成がACBであるブロック群と同じである。この説明は、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックを含むブロック群セットに関係していることを理解されたい。ブロック群セットは、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックよりも少ないブロックで構成することもできる。ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックよりも少ないブロックを有する変動数ブロック群セットは、やはり変動数ブロック群セットと呼ぶ。しかし同数のブロック(例えば3つのブロック)を有するブロック群を残して他のすべてのブロック群を除外した“変動数”ブロック群セットは固定数ブロック群セットになろう。
変動数ブロック群セット内のブロックの量組成は同じでも異なっていてもよい。すなわち1つのブロック群内の個々のブロックは実質的に同じ量であってよく、あるいは1つのブロック群内の1つ以上のブロックの量が異なっていてもよい。したがって変動数ブロック群セットとしては、均等量組成ブロック群セットまたは不均等量組成ブロック群セットが可能である。上記の変動数ブロック群セットを利用して具体例を示すと、不均等量組成変動数ブロック群セットには以下のようなブロック群が含まれることになろう。A2B、AC、AD、AE、AF、AG、AH、AI、AJ、2BC、2BD、2BE、...GH、GI、GJ、HI、HJ、IJ、A2BC、A2BD、A2BE、A2BF、A2BG、A2BH、A2BI、A2BJ、ACD、ACE、...AGJ、AHI、AHJ、AIJ、2BCD、ABCE、2BCF、2BCG、2BCH、2BCI、2BCJ、2BDE、2BDF、...EIJ、FGH、FGI、FGJ、FHI、FHJ、FIJ、GHI、GHJ、GIJ、HIJ。ただしブロックの前の数字はそのブロックの相対量を表わす。この具体例では、ブロックBは他のブロックの2倍の量存在している。
変動数ブロック群セットの別の形態として、そのセット内の1つのブロック群だけにブロックの所定の組み合わせまたは下位組み合わせがすべて含まれるブロック群がある。したがってそのようなブロック群セットでは、2つのブロックからなるブロック群がABというアイデンティティ組成を有するのであれば、他のどのブロック群もABという組み合わせを含んでいてはならない。例えばアイデンティティ組成がABCというブロック群はそのセットには存在しないが、ブロック群の組成がACD、BCD、AC、BCであるブロック群はそのセットに存在していてもよい。上記のブロック群セットを利用すると、2つのブロックからなるブロック群としてABとIJを含む組み合わせの繰り返しだけがないブロック群としては以下のものが挙げられよう。ACD、ACE、ACF、ACG、ACH、ACI、ACJ、ADE、ADF、...AGJ、AHI、AHJ、BCD、BCE、BCF、BCG、BCH、BCI、BCJ、BDE、BDF、...EGH、EGI、EGJ、EHI、EHJ、FGH、FGI、FGJ、FHI、FHJ、GHI、GHJ。しかしABC、ABD、ABE、ABF、ABG、ABH、ABI、ABJ、AIJ、BIJ、CIJ、DIJ、EIJ、FIJ、GIJ、HIJは含まれない。組み合わせの繰り返しがないこのような変動数ブロック群セットは、そのセット内の異なるブロック群同士の違いを大きくするのに有効である可能性がある。
3.変動量ブロック群セット
ブロック群内のブロックの量組成はさまざまな方法で変えることができる。特に、ブロック群セットは、そのセット内の異なるブロック群についてブロックの量組成がどのように異なっているかによって特徴づけることができる。例えばブロック群セット内のブロック群は、量の異なるブロックで構成することができる。これを変動量ブロック群セットと呼ぶ。そのようなセットは不均等量組成である。例えばそれぞれ量が異なる3つのブロックで構成されているブロック群セットが存在しうる。各ブロック群の量組成(すなわちそのブロック群を構成する3つのブロックそれぞれの量)は、セット内の各ブロック群について異なっているようにできる(アイデンティティ組成もブロック群相互間で異なっていてよい)。よりわかりやすくするため、各ブロック群が、5個のブロック(この例ではA、B、C、D、Eとして同定される)から選択した量の異なる3つのブロックで構成されているブロック群セットを考えよう。このセット内のブロック群の全組成は以下のようにすることができる。
ABC、ABD、ABE、BCD、BCE、CDE、2ABC、2ABD、2ABE、2BCD、2BCE、2CDE、3ABC、3ABD、3ABE、3BCD、3BCE、3CDE、4ABC、4ABD、4ABE、4BCD、4BCE、4CDE、A2BC、A2BD、A2BE、B2CD、B2CE、C2DE、A3BC、A3BD、A3BE、B3CD、B3CE、C3DE、A4BC、A4BD、A4BE、B4CD、B4CE、C4DE、AB2C、AB2D、AB2E、BC2D、BC2E、CD2E、AB3C、AB3D、AB3E、BC3D、BC3E、CD3E、AB4C、AB4D、AB4E、BC4D、BC4E、CD4E、
2A2BC、...2C2DE、2A3BC、...2C3DE、2A4BC、...2C4DE、3A2BC、...3C2DE、3A3BC、...3C3DE、3A4BC、...3C4DE、4A2BC、...4C2DE、4A3BC、...4C3DE、4A4BC、...4C4DE、2AB2C、...2CD2E、2AB3C、...2CD3E、2AB4C、...2CD4E、3AB2C、...3CD2E、3AB3C、...3CD3E、3AB4C、...3CD4E、4AB2C、...4CD2E、4AB3C、...4CD3E、4AB4C、...4CD4E、
2A2B2C、...2C2D2E、2A3B2C、...2C3D2E、2A4B2C、...2C4D2E、3A2B2C、...3C2D2E、3A3B2C、...3C3D2E、3A4B2C、...3C4D2E、4A2B2C、...4C2D2E、4A3B2C、...4C3D2E、4A4B2C、...4C4D2E、
2A2B3C、...2C2D3E、2A3B3C、...2C3D3E、2A4B3C、...2C4D3E、3A2B3C、...3C2D3E、3A3B3C、...3C3D3E、3A4B3C、...3C4D3E、4A2B3C、...4C2D3E、4A3B3C、...4C3D3E、4A4B3C、...4C4D3E、
2A2B4C、...2C2D4E、2A3B4C、...2C3D4E、2A4B4C、...2C4D4E、3A2B4C、...3C2D4E、3A3B4C、...3C3D4E、3A4B4C、...3C4D4E、4A2B4C、...4C2D4E、4A3B4C、...4C3D4E、4A4B4C、4A4B4D、4A4B4E、4B4C4D、4B4C4E、4C4D4E。
ブロックの前の数字はそのブロックの相対量を表わす。この具体例では、ブロックの量を整数比にしたが、ブロック群中またはブロック群同士でのブロックの相対量は整数にする必要はなく、同じ間隔で量が異なっている必要さえない。したがってブロック群セットは、例えば相対量が1、1.25、1.8、2.4であるブロックを含んでいてよい。
すべてのブロック群が正確に3つの異なるブロックで構成され、AAB、ADD、AAAなどの組み合わせは除かれていることに注意されたい。除外した組み合わせは、1つのブロックだけ、あるいは異なる2つのブロックだけからなるアイデンティティ組成であり、このブロック群セットの範囲外である。順序は問題にならないことにも注意されたい。ABCというアイデンティティ組成を有するブロック群は、アイデンティティ組成がACBであるブロック群と同じである。この説明は、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックを含むブロック群セットに関係していることを理解されたい。ブロック群セットは、ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成のブロックよりも少ないブロックで構成することもできる。ブロック群セットの基準に合致する可能なすべてのアイデンティティ組成および/または量組成のブロックよりも少ないブロックを有する変動量ブロック群セットは、やはり変動量ブロック群セットと呼ぶ。
C.ブロック
ブロックは、担体に結合させて特異的に検出することのできる分子または部分である。特に、異なるブロックが検出の際に区別できるようになっていなくてはならない。ブロックは、一般に、レポータ信号で構成されている、あるいはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は、この明細書の別の箇所で説明するが、検出できるよう、断片化、分解、反応、誘導体化が可能な分子、あるいは他の方法で修飾または変更が可能な分子である。ブロックとしては、例えばオリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ペプチド、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識、レポータ信号が可能である。
ブロックは、適切な任意の検出法を利用して検出することができる。多数の分子検出法が公知であり、この明細書に開示した方法において使用することができる。ブロックは、例えば核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、表面増強ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、蛍光、リン光、化学発光、共鳴ラマン、マイクロ波、質量分析、あるいはこれらの任意の組み合わせで検出することができる。ブロックは、例えば質量分析によって分離および/または検出することができる。ブロックは、蛍光、リン光、化学発光を放出する寿命の違いによって区別することができる。ブロックの組成および特徴は、選択した検出法に適合している必要がある。
ブロックは、同重核ブロックにすることができる。同重核ブロックは2つの特徴を有する。第1に、同重核ブロックは、セット内のすべての同重核ブロックが似た特性を有する(例えば質量-電荷比が似ている)ようなセットで使用される。特性が似ていることにより、同重核ブロックを、1つ以上の特性を欠く他の分子から分離することが可能になる。第2に、セット内のすべての同重核ブロックを断片化、分解、反応、誘導体化し、あるいは他の方法で修飾して、そのセット内の異なる同重核ブロックを区別することができる。同重核ブロックは、例えば断片化すると、電荷は似ているが質量が異なる断片が生成する。同重核ブロックは、レポータ信号の1つの形態である。
ブロックは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)によって放出させ、飛行時間(TOF)型質量分析によって分離し同定(デコード)することができる。MALDI-TOFによる検出を行なうためにはブロックとしてペプチド核酸が可能である。この場合、質量分析で分離してそれぞれ別に検出することができるよう、各ブロックは質量を異なった値にする。そのためには、塩基組成と質量タグの数(例えばPNAに結合させた8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸モノマーの数(Griffin, T.J.、W. Tang、L.M. Smith、「ペプチド核酸アフィニティMALDI-TOF質量分析による遺伝子解析」、Nat. Biotechnol.、1997年、第15巻(12)、1368-1372ページ))を組み合わせ、多重分析におけるブロック・セットの質量スペクトルを最適化するとよい。
ブロックとしては、核酸配列に特異的にハイブリダイズすることのできる分子も可能である。そのためにはペプチド核酸ブロックを使用することができる。オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸のブロックは任意の配列でよい。唯一の条件は、核酸配列にハイブリダイズすることである。各ブロックは、核酸配列とブロックの間に特異的かつ安定なハイブリダイゼーションが起こる任意の長さのものが可能である。この目的には10〜35個の長さのヌクレオチドが好ましい。最も好ましいのは、長さが15〜20個のヌクレオチドである。
1.レポータ信号
ブロックは、一般に、レポータ信号で構成されている、あるいはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は、検出できるよう、断片化、分解、反応、誘導体化が可能な分子、あるいは他の方法で修飾または変更が可能な分子である。修飾したレポータ信号の検出は、質量分析によって行なうことができる。この明細書に開示したレポータ信号は、メンバーの質量-電荷比(m/z)が同じであるセットで使用することができる。こうすることにより、質量-電荷比に基づいてレポータ信号を感度よく他の分子からフィルタまたは分離することが容易になる。レポータ信号は、そのレポータ信号を修飾し、その修飾されたレポータ信号を同定することのできる任意の構造を持つことができる。レポータ信号は、分子中に少なくとも1つの優先的な結合破断点が生じるように構成することができる。同じ分子量を持ち、任意に選択した複数の内部断片化点を有するレポータ信号セットを構成し、断片化の際にそのセットの各メンバーが一意的な相関を有する娘断片群を生成させるようにすることができる。便宜上、検出のために断片化、分解、反応、誘導体化したレポータ信号、あるいは他の方法で修飾したレポータ信号を、断片化したレポータ信号と呼ぶ。
有用なレポータ信号は、ペプチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、オリゴマー、炭水化物、ポリマー、これら以外の天然または合成のポリマーなどのサブユニット、あるいはこれらの任意の組み合わせを鎖にしたもので構成されている。特に有効な鎖はペプチドであり、この明細書ではレポータ信号ペプチドと呼ぶ。サブユニットとサブユニットからなる鎖は、ポリマーと多量体からなる鎖の関係と似ている。多量体は互いに結合してポリマーを形成する。同様に、サブユニット同士が結合することで、サブユニットからなる鎖を形成する。有用なレポータ信号は、似た複数のサブユニットまたは互いに関係した複数のサブユニットの鎖で構成されている。これらはホモ鎖またはホモポリマーと呼ばれる。例えば核酸はホスホヌクレオチドで構成されており、ペプチドはアミノ酸で構成されている。
レポータ信号は、ヘテロ鎖またはヘテロポリマーで構成することもできる。ヘテロ鎖は、鎖を構成しているサブユニットが互いに異なったタイプである鎖、あるいはポリマーを構成している多量体が互いに異なったタイプであるポリマーである。例えばヘテロ鎖をグアノシン-アラニンにすることができる。これは、1つのヌクレオシド・サブユニットと1つのアミノ酸サブユニットで構成されている。本明細書に開示した組成物、セット、方法では、異なるタイプのサブユニットの任意の組み合わせを使用できることを理解されたい。要求される特性を有する任意の分子をレポータ信号として使用することができる。有効なレポータ信号は、タンデム質量分析で断片化することができる。
レポータ信号は、セット内のすべてのレポータ信号が似た物理的特性を持つようなセットで使用することができる。似た(あるいは共通の)特性を有することで、レポータ信号を1つ以上の特性を欠く他の分子から区別および/または分離することが可能になる。セット内のレポータ信号は、例えば質量-電荷比(m/z)を同じ値にすることができる。すなわちセット内のレポータ信号は同重核である。そのため質量-電荷比に基づいてレポータ信号(および/またはそのレポータ信号を結合させたタンパク質)を他の分子から正確に分離することができる。このフィルタ操作を行なうと、このシステムにおける信号対雑音比(S/N)が大きく増加する。そのため感度が向上し、かつ正確な検出が可能になる。このように調整したレポータ信号セットは、ブロック群セットおよび/または検出部セットで使用することができる。そのため(レポータ信号セットからのブロックを含む)このようなブロック群セットを検出部セットで使用することができる。
レポータ信号セットは、任意の数のレポータ信号を含むことができる。レポータ信号セットは、例えば1個、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上、200個以上、300個以上、400個以上、500個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。レポータ信号の数と幅について特定の値を示したが、明示はしていないもののレポータ信号の数と幅の個々のすべての値が考慮されており、レポータ信号の数と幅の個々のすべての値がここには記載されているものとする。
レポータ信号セットは、鎖またはポリマーで構成されたレポータ信号で構成することができる。レポータ信号セットはホモセットにすることができる。これは、このセットが1種類のレポータ信号で構成されていること、すなわちレポータ信号がホモ鎖またはホモポリマーで構成されていることを意味する。レポータ信号セットはヘテロセットにすることもできる。これは、このセットが複数の異なるレポータ信号で構成されていること、あるいは異なるタイプの鎖またはポリマーで構成されたレポータ信号で構成されていることを意味する。特別なタイプのヘテロセットは、そのセットが異なるホモ鎖またはホモポリマー(例えば1つのペプチド鎖と1つの核酸鎖)で構成されたセットである。別の特別なタイプのヘテロセットは、鎖自体がヘテロ鎖またはヘテロポリマーになったセットである。さらに別のタイプのヘテロセットは、ヘテロ鎖/ヘテロポリマーとヘテロ鎖/ヘテロポリマーの両方で構成されたセットである。
さまざまな特性を共通の物理的特性として利用し、レポータ信号をこの共通特性を欠く他の分子から分離することができる。例えば共通特性として有効な他の物理的特性としては、質量、電荷、等電位点、疎水性、クロマトグラフィ特性、密度などが挙げられる。セット内のレポータ信号が共有する物理的特性は、単なる特徴または部分(例えばビオチンなどのアフィニティ・タグ)が存在しているということではなく、レポータ信号の全体特性(例えば全質量、全電荷、等電位点、全体の疎水性など)であると好ましい。このような特性は、この明細書では“全体”特性と呼ぶ(したがってセット内のレポータ信号は、“共通全体特性”を共有していると考えられよう)。レポータ信号は、アフィニティ・タグなどの特徴または部分を持ちうること、またそのような特徴または部分が(例えば質量に寄与することによって)共通全体特性に寄与しうることを理解しておく必要がある。しかしそのように限られていて孤立した特徴または部分は、共通全体特性の唯一の基礎としては機能しないであろう。
役に立つ共通の全体特性は、サブユニット異性体という特性である。この特性は、少なくとも2つのレポータ信号(レポータ信号は一般にサブユニット鎖で構成されており、そのサブユニット鎖はサブユニットで構成されており、その関係は、例えばポリマーと、ポリマーを構成するユニットの間の関係に似ている)からなるセットがサブユニット異性体で構成されている場合に生じる。したがってこのセットをサブユニット異性体またはサブユニットのための異性体と呼ぶことができよう。サブユニットについてはこの明細書の別の箇所で説明するが、レポータ信号は、任意のタイプの鎖で構成することができる。その鎖は例えばペプチド、核酸、ポリマー(一般)であり、これらはそれぞれ、アミノ酸、ホスホヌクレオチド、多量体(一般)で構成されている。それぞれのタイプのサブユニット内には、一般に、同じタイプのサブユニットであるが互いに異なった複数のメンバーが存在している。例えば“アミノ酸”タイプのサブユニットには、例えばアラニン、チロシン、セリンなどの多数のメンバー、あるいはアミノ酸の他の任意の組み合わせが存在している。
レポータ信号セットがサブユニット異性体である場合、あるいはサブユニット異性体で構成されている場合には、このセットの個々のサブユニットが、このセット内の他のすべてのサブユニットのサブユニット異性体であることを意味する。異性体とは、サブユニットの鎖を形成するのに使われるサブユニット(すなわちサブユニットの分布または構成)は同じであるが、鎖を形成するサブユニットの接続が全体として異なっていることを意味する。そこで例えば第1のレポータ信号がアラニン-セリン-リシン-グルタミンという鎖であり、第2のレポータ信号がアラニン-リシン-セリン-グルタミンという鎖であり、第3のレポータ信号がアラニン-セリン-リシン-プロリンという鎖であるというものを考えることが可能であろう。レポータ信号セットが第1のレポータ信号と第2のレポータ信号を含む構成の場合には、このセットはサブユニット異性体である。というのも、第1のレポータ信号と第2のレポータ信号は構成要素が同じである(すなわちそれぞれがアラニンを1個、セリンを1個、リシンを1個、グルタミンを1個有する)が、それぞれの鎖は接続が異なっているからである。しかしレポータ信号セットが第1と第2と第3のレポータ信号を含む構成である場合には、このセットは異性体ではない。というのも、第1と第2の鎖はプロリンを持たず、第3の鎖はグルタミンを持たないため、それぞれの鎖の構成要素が同じではないからである。
別の具体例は以下のようなものである。すなわち、第1のレポータ信号がアラニン-グアノシン-リシン-アデノシンという鎖であり、第2のレポータ信号がアラニン-アデノシン-リシン-グアノシンという鎖であり、第3のレポータ信号がアラニン-セリン-リシン-プロリンという鎖であるもの。レポータ信号セットが第1のレポータ信号と第2のレポータ信号を含むように構成されている場合には、このセットはサブユニット異性体であろう。というのも、第1のレポータ信号と第2のレポータ信号は構成要素が同じである(すなわちそれぞれがアラニンを1個、グアノシンを1個、リシンを1個、アデノシンを1個有する)が、それぞれの鎖は接続が異なっているからである。しかしレポータ信号セットが第1と第2と第3のレポータ信号を含む構成である場合には、このセットは異性体ではない。というのも、第1と第2の鎖はプロリンまたはセリンを持たず、第3の鎖はグアノシンまたはアデノシンを持たないため、それぞれの鎖は構成要素が同じではないからである。この具体例は、ヘテロ鎖からなるセット、あるいはヘテロ鎖を含むセットを構成することことができ、その場合にもそのセットをサブユニット異性体と見なしうることを示している。
レポータ信号の共通特性がアフィニティ・タグではない場合が役に立つ。しかしそのような場合でも、レポータ信号は、別の共通特性を有するのであればアフィニティ・タグも含むことが可能である。実際、別の共通特性が存在していて、その共通特性を共有するレポータ信号をこの共通特性を持たない他の分子から分離するのにその共通特性を用いることができる(実際、本明細書に開示したいくつかの実施態様ではその共通特性が用いられる)のであれば、レポータ信号はすべて同じアフィニティ・タグを共有することができる。このことを念頭に置くと、クロマトグラフィまたは他の分離法を用いて共通特性に基づいてレポータ信号を分離する場合には、アフィニティが、特徴または部分(例えばアフィニティ・タグ)の存在に基づいているのではなく、レポータ信号の全体的な物理的特性に基づいていることが有効である。本明細書では、共通特性とは、成分(レポータ信号)のセットに共有されている特性である。すなわち成分は特性を“共通に”備えている。1つのセット内のレポータ信号は多数の特性を共有している可能性があることを理解しておく必要がある。しかし本明細書では、レポータ信号の共通特性とは、共通特性を共有するレポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別および/または分離するために本明細書に開示した方法で使用される共通特性だけを意味する。
1つのセット内のレポータ信号は、そのセット内の異なるレポータ信号を区別するために断片化、分解、反応、誘導体化すること、あるいは他の方法で修飾または変更することが可能である。レポータ信号を断片化し、電荷は似ているが質量が異なる断片を生成させることができる。レポータ信号を断片化して電荷と質量の異なる断片を生成させることもできる。このような変化により、それぞれのレポータ信号を、レポータ信号の断片が有する質量-電荷比の違いことによって区別することができる。それが可能なのは、1つのセット内の断片化されていないレポータ信号は同重核であるにもかかわらず、異なるレポータ信号の断片はそうなってはいないからである。したがって本明細書に開示されたレポータ信号の重要な特徴は、レポータ信号は互いに似た特性を有するが、修飾したレポータ信号は区別可能であるという点である。
レポータ信号の断片ごとに質量分布が異なっているようにすることは、多数の方法で実現できる。例えば同じ構造のレポータ信号(例えば同じアミノ酸配列を有するペプチド)は、重い同位体(例えば重水素(2H)、三重水素(3H)、17O、18O、13C、14C)の配置状態を変えることによって構成することができる。なお使用するのは安定な同位体が好ましい。セット内のすべてのレポータ信号は所定の重い同位体を同数含んでいるが、レポータ信号ごとにその配置状態が異なる。そのようなレポータ信号セットの一例は、A*G*SLDPAGSLR、A*GSLDPAG*SLR、AGSLDPA*G*SLR(配列ID番号2)である。なお*は、アミノ酸が少なくとも1つの重い同位体で置換されていることを示す。一価の親イオンと、切れやすいDP結合の位置で断片化した後の帯電した主要な1つの娘に関し、PAGSLR+、PAG*SLR+、PA*G*SLR+(配列ID番号2のアミノ酸6〜11)という3つの区別可能な主要な娘イオンが存在する。
同様に、全体構造が同じレポータ信号(例えば同じアミノ酸配列を有するペプチド)は、メチル化、リン酸化、イオウ化を行なったり、メチオニンの代わりにセレノ-メチオニンを用いたりすることにより、修飾や置換基の配置状態が異なる構成にすることができる。セット内のすべてのレポータ信号は、所定の修飾をされたものを同数含んでいるが、レポータ信号ごとにその配置状態が異なる。そのようなレポータ信号セットの一例は、AGS*M*LDPAGSMLR、AGS*MLDPAGSM*LR、AGS*MLDPAGS*M*LR(配列ID番号3)である。ただしS*はセリンではなくホスホセリンを意味し、M*はメチオニンではなくセレノ-メチオニンを意味する。一価の親イオンと、切れやすいDP結合の位置で断片化した後の帯電した主要な1つの娘に関し、PAGSMLR+、PAGSM*LR+、PAGS*M*LR+(配列ID番号3のアミノ酸7〜13)という3つの区別可能な主要な娘イオンが存在する。
組成が同じ(例えば同じアミノ酸で構成されている)レポータ信号は、レポータ信号のサブユニットまたは成分の順番を変えることによって構成することができる。セット内のすべてのレポータ信号は、サブユニットまたは成分の数が同じになるが、レポータ信号ごとにサブユニットまたは成分の配置状態が異なる。そのようなレポータ信号セットの一例は、AGSLADPGSLR(配列ID番号4)、ALSLADPGSGR(配列ID番号5)、ALSLGDPASGR(配列ID番号6)である。一価の親イオンと、切れやすいDP結合の位置で断片化した後の帯電した主要な1つの娘に関し、PGSLR+(配列ID番号4のアミノ酸7〜11)、PGSGR+(配列ID番号5のアミノ酸7〜11)、PASGR+(配列ID番号6のアミノ酸7〜11)という3つの区別可能な主要な娘イオンが存在する。
組成が同じ(例えば同じアミノ酸で構成されている)レポータ信号は、そのレポータ信号の異なる位置に不安定な結合または切れやすい結合を持つように構成することができる。セット内のすべてのレポータ信号は、サブユニットまたは成分の数と順序が同じになる。不安定な結合または切れやすい結合が特定のサブユニット間または成分間に存在している場合、そのレポータ信号のサブユニットまたは成分の順序は、不安定な結合または切れやすい結合を生じさせるサブユニットまたは成分を除いて同じにすることができる。レポータ信号融合体で使用するレポータ信号ペプチドでは、質量分布が異なるこの形態を使用することが好ましい。このようなレポータ信号セットの一例は、AGSLADPGSLR(配列ID番号4)、AGSDPLAGSLR(配列ID番号7)、ADPGSLAGSLR(配列ID番号8)である。一価の親イオンと、切れやすいDP結合の位置で断片化した後の帯電した主要な1つの娘に関し、PGSLR+(配列ID番号4のアミノ酸7〜11)、PLAGSLR+(配列ID番号7のアミノ酸5〜11)、PGSLAGSLR+(配列ID番号8のアミノ酸3〜11)という3つの区別可能な主要な娘イオンが存在する。
これらモードのそれぞれを1つ以上の他のモードと組み合わせ、レポータ信号の断片中の質量分布を変えることができる。例えば重い同位体の配置状態が異なることを、不安定な結合または切れやすい結合を異なる位置に配置したレポータ信号で利用することができる。質量分布の違いは別の方法でも実現できる。例えばレポータ信号にはさまざまな位置に多彩な修飾を導入することができる。有効な修飾の例をいくつか挙げると、アセチル化、メチル化、リン酸化、メチオニンの代わりにセレノ-メチオニンにすること、イオウ化などがある。同様の原理を用い、レポータ信号において電荷分布をさまざまにすることができる。質量分布の違いと電荷分布の違いの両方をレポータ信号セットにおいて利用することができる。
レポータ信号は、切れやすい結合と不安定な結合の組み合わせも含むことができる。こうすることによって区別可能な信号の組み合わせを増やすこと、あるいは検出を容易にすることができる。例えば不安定な結合を用いて同重核断片を放出させ、切れやすい結合を用いてタンパク質をデコードすることができる。
セレン置換を利用してレポータ信号の質量を変えることができる。セレンはメチオニンのイオウと置換することができ、その結果としてセレノメチオニンという修飾されたアミノ酸が得られる。セレンはイオウよりも約47質量単位重い。質量分析を利用するとセレノメチオニンとメチオニンを特定の比で組み込んだペプチドまたはタンパク質を同定することができる。セレン/イオウの比がわかっている小さなタンパク質やペプチドは、セレノメチオニンとメチオニンを特定の比で組み込む化学合成によって製造することが好ましい。より大きなタンパク質やペプチドは、セレノメチオニンとメチオニンを望む比で挿入する大腸菌発現系あるいは他の任意の発現系から産生させることができる(Hendrickson他、「多重波長異常回折(MAD)による分析用に作られたセレノメチオニル・タンパク質:三次元構造を直接決定するためのビヒクル」、Embo. J.、第9巻(5)、1665-1672ページ、1990年;CowieとCohen、「イオウの代わりにセレンを含む活性な改変タンパク質の大腸菌による生合成」、Biochimica et Biophysica Acta、第26巻、252-261ページ、1957年;Oikawa他、「メタロチオネインのセレン・アナログであるメタロセレノネイン:銅イオンとの複合体の合成とキャラクテリゼーション」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第88巻(8)、3057-3059ページ、1991年)。
レポータ信号のいくつかの形態は、1個以上のアフィニティ・タグを含むことができる。そのようなアフィニティ・タグにより、標識したタンパク質、レポータ信号、レポータ信号の断片を検出、分離、ソーティングしたり、これらの対して他の操作を行なったりすることができる。このようなアフィニティ・タグは、レポータ信号を他の分子から分離することを可能にするレポータ信号セットの共通特性とは別のもので、(その共通特性の基本ではなく)その共通特性に付加されるものである。このようなアフィニティ・タグはむしろ、共通特性に基づいてレポータ信号を分離する手段としてではなく、この明細書に開示した方法を実施する前に、あるいはその方法の一部としてサンプルに操作を行なうことを可能にする別の目的に役立つ。レポータ信号は、アフィニティ・タグなしにすること、あるいはアフィニティ・タグを1個にすること、あるいはアフィニティ・タグを2個以上にすることができる。レポータ信号が多数のアフィニティ・タグを有する場合には、所定のレポータ信号上のタグをすべて同じにすること、あるいは異なるアフィニティ・タグの組み合わせにすることが可能である。ここまでとこの明細書の別の箇所で説明した原理に従い、アフィニティ・タグを用いてレポータ信号上に質量および/または電荷をいろいろな状態に配置することができる。アフィニティ・タグは、PCT出願公開WO 00/11208に記載されているアフィニティ標識の使用法と同様の方法で、レポータ信号と合わせて用いることができる。
ペプチド-DNA共役体(Olejnik他、Nucleic Acids Res.、第27巻(23)、4626-4631ページ、1999年)、合成されたPNA-DNA構造体、特殊なヌクレオチド(WO 00/04036の光開裂可能な汎用ヌクレオチドなど)を、この明細書に開示した方法においてレポータ信号として使用することができる。有効な光開裂可能な結合は、MarriottとOttl、「光開裂可能なヘテロ二官能架橋試薬の合成と応用」、Methods Enzymol.、第291巻、155-175ページ、1998年にも記載されている。
光開裂可能な結合は、レポータ信号において(と、レポータ信号とともに使用するのに)有用である。というのも(検出を行なうために)レポータ信号を正確かつ制御された形で断片化し、レポータ信号が結合した検出部から(したがって検出部が結合している分析物から)レポータ信号を正確かつ制御された形で放出させることができるからである。光開裂可能な結合はいろいろなものが知られているため、レポータ信号において、またレポータ信号とともに使用できるようその結合を適合させることができる。光開裂可能なアミノ酸は市販されている。例えばFmocで保護されていてわずかに修飾された光開裂可能なフェニルアラニン(Fmoc-D, L-βPhe(2-NO2))が利用可能である(カタログ番号0011-F;イノヴァケム社、トゥーソン、アリゾナ州)。ニトロ基をフェニルアラニン環に導入すると、紫外光(波長約350nm)への曝露によってアミノ酸が断片化する。窒素レーザーは約337nmの光を放出するため、断片化に使用できる。使用するこの波長によってペプチドの残部に大きなダメージが発生することはない。
Fmocの合成はペプチド合成の一般的な方法であり、光開裂可能なFmoc誘導体アミノ酸は、この方法を利用してペプチドに組み込むことができる。光開裂可能なアミノ酸は任意のレポータ信号の中で、あるいは任意のレポータ信号とともに使用できるが、ペプチド・レポータ信号において特に有効である。
レポータ信号において光開裂可能な結合を使用することと、レポータ信号とともに光開裂可能な結合を使用することは、以下の実施例に見ることができる。真新しいプラスチック基板(例えばコンパクト・ディスク(CD))上の材料は、MALDI源イオン・トラップを用いてその表面から直接測定することができる。例えば瞬間凍結させた組織サンプルの薄い切片をCDの表面に結合させることができよう。検出部(例えば光開裂可能な結合を通じてレポータ信号が結合している担体に結合している抗体)を組織の表面に結合させることができる。組織内の特定の成分を認識することにより、検出部のいくつかがその成分と結合する(過剰な検出部は続く洗浄ステップで除去する)。次に、紫外光を照射することによってレポータ信号を検出部から放出させると、MALDIイオン・トラップ装置を用いてそのレポータ信号を直接検出することができる。例えばジスルフィド結合法を利用して(レポータ信号を含む)ペプチド配列CF*XXXXXDPXXXXXR(配列ID番号1)を検出部内の担体に結合させることができる。MALDIレーザーの紫外光源に曝露すると修飾されたフェニルアラニンF*の位置でペプチドが開裂し、XXXXXDPXXXXXRレポータ信号(配列ID番号1のアミノ酸3〜15)が放出される。次にレポータ信号をDP結合の位置で断片化すると、帯電した断片をこの明細書の別の箇所で説明したようにして検出することができる。
光開裂可能な結合をレポータ信号に組み込み、この明細書に記載した方法でレポータ信号を断片化するのに使用することもできる。例えば光開裂可能なアミノ酸(例えば光開裂可能なフェニルアラニン)をペプチド・レポータ信号内の望む任意の位置に組み込むことができる。光開裂可能なフェニルアラニン(F*)を含むXXXXXXF*XXXXXRなどのレポータ信号は光開裂可能である。次に適切な波長の光を用いてレポータ信号を断片化し、帯電した断片を検出することができる。検出のために(例えば表面から)レポータ信号をイオン化するときには、顕著な光開裂を起こさないMALDIレーザー(例えば2.94μmのEr:YAG)を用いてイオン化を行ない、第2のレーザー(例えば337nmの窒素)を用いてレポータ信号を断片化することができる。この場合にはXXXXXXFXXXXXR+が光開裂してXXXXXR+が生成することになる。第2のレーザーは任意の位置でレポータ信号イオン・パケットと交差することができる。そのためには質量分析器の真空系を変更するのが直接的な方法である。
多数の光開裂可能な結合を同じレポータ信号または検出部の中で、あるいは同じレポータ信号または検出部とともに使用して多彩な効果を実現することができる。例えば異なる波長の光で開裂するさまざまな光開裂可能な結合をレポータ信号または検出部の異なる部分で使用し、本発明の方法の異なる段階において開裂させることができる。断片化の波長が異なることで連続的処理が可能になる。すると例えば複数の放出・断片化法を組み合わせることができるようになる。
一例として、2つの光開裂可能なアミノ酸Z(開裂波長が赤外光)とF*(光開裂可能なフェニルアラニン、開裂波長が紫外光)を含むペプチドは、XZXXXXXXF*XXXXXXRの形態に構成することができる。ただしアミノ末端は、公知の化学反応を利用して担体または他の分子に結合させる。レポータ信号は、検出部を適切な波長の光(ここでは赤外光)に曝露することにより、したがって結合をZの位置で開裂させることにより、検出部から放出させることができる。親イオンを選択してイオン・トラップに保管しておくと、適切な波長の光(ここでは紫外光)に曝露することによってレポータ信号を断片化し、娘イオン(XXXXXXR+)を生成させることができる。この娘イオンは検出して定量することが可能である。
D.特異的結合分子
特異的結合分子は、特定の分子または部分と特異的に相互作用する分子である。特異的結合分子と特異的に相互作用する分子または部分をこの明細書では分析物と呼ぶ。役に立つ分析物は、タンパク質とペプチドである。分析物という用語は、分離した分子と、そのような分子の一部(例えば特異的結合分子と特異的に相互作用するタンパク質のエピトープ)の両方を指すことを理解する必要がある。抗体、受容体/リガンド・ペアの一方、合成ポリアミド(DervanとBurli、「ポリアミドによる配列特異的DNAの認識」、Curr. Opin. Chem. Biol.、第3巻(6)、688-693ページ、1999年;WemmerとDervan、「DNAの副溝のターゲッティング」、Curr. Opin. Struct. Biol.、第7巻(3)、355-361ページ、1997年)、核酸プローブのほか、特異的結合アフィニティを有する他の分子は、レポータ結合分子のアフィニティ部分として役立つ特異的結合分子の実例である。
特定の分析物と特異的に相互作用する特異的結合分子は、その分析物に対して特異的であると言われる。例えば特異的結合分子が特定の抗原と結合する抗体である場合には、特異的結合分子はその抗原に対して特異的であると言われる。抗原は分析物である。特異的結合分子を含む検出部も特定の分析物に対して特異的であると言うことができる。特異的結合分子としては、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、オリゴヌクレオチドのいずれかが可能である。有用な結合タンパク質は、DNA結合タンパク質である。有用なDNA結合タンパク質は、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフである。これらモチーフは、同じ特異的結合分子の中で併存することができる。
特異的結合分子として有用な抗体は、市販品として入手すること、あるいはよく知られた方法を利用して製造することができる。例えばJohnstoneとThorpe、『現代の免疫化学』(ブラックウエル・サイエンティフィック・パブリケーションズ社、オックスフォード、イギリス国、1987年)、30〜85ページには、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を製造するのに役立つ一般的な方法が記載されている。この本全体に、アッセイ系で抗体を使用するための一般的な方法や原理が多数記載されている。
ジンクフィンガーの特性、ジンクフィンガー・モチーフ、これらの相互作用については、Nardelli他、「ジンクフィンガー-DNA認識:部位特異的突然変異誘発による塩基特異性の分析」、Nucleic Acids Res.、第20巻(16)、4137-4144ページ、1992年;Jamieson他、「変化したDNA-結合特異性を有するジンクフィンガーのインビトロでの選択」、Biochemistry、第33巻(19)、5689-5695ページ、1994年;ChandrasegaranとSmith、「キメラ制限酵素:次に来るのは何か?」、Biol. Chem.、第380巻(7-8)、841-848ページ、1999年;Smith他、「キメラ制限酵素の基質特異性に関する詳細な研究」、Nucleic Acids Res.、第27巻(2)、674-681ページ、1999年に記載されている。
特異的結合分子の1つの形態は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体である。このような特異的結合分子は特定の核酸配列を検出するために設計されており、その目的で使用される。したがってオリゴヌクレオチド特異的結合分子のための分析物は核酸配列である。分析物としては、より大きな核酸分子中のヌクレオチド配列が可能である。オリゴヌクレオチド特異的結合分子は、レポータ結合プローブと分析物の間に特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを形成するものであれば任意の長さでよい。この目的では10〜40個の長さのヌクレオチドが好ましく、ヌクレオチド16〜25個の長さのオリゴヌクレオチド特異的結合分子が最も好ましい。オリゴヌクレオチド特異的結合分子としてはペプチド核酸が有用である。ペプチド核酸は、DNAと安定なハイブリッドを形成する。そのためその後に増幅操作と検出操作を行なっている間、ペプチド核酸特異的結合分子は標的配列にしっかりと付着することができる。
この役に立つ効果は、オリゴヌクレオチド特異的結合分子においてGasparro他、Nucleic Acids Res.、第22巻(14)、2845-2852ページ、1994年が記載している三重螺旋化学結合法を利用することによっても得ることができる。要するに、オリゴヌクレオチド特異的結合分子は、標的配列にハイブリダイズするときに三重螺旋を形成するように設計されている。これは、一般に知られているように、ホモプリン優勢標的配列またはホモピリミジン優勢標的配列のいずれかを選択することによって実現されることが好ましい。特異的結合分子を構成するマッチング・オリゴヌクレオチド配列は選択した標的配列と相補的になるため、それは、それぞれホモピリミジン優勢配列またはホモプリン優勢配列である。(Gasparroらが記載している三重螺旋プローブに対応する)特異的結合分子は、化学的に結合したソラーレン誘導体を含んでいる。特異的結合分子が標的配列にハイブリダイズすると、三重螺旋が形成される。三重螺旋を短い波長の紫外線に曝露することにより、プローブが標的配列に架橋するのをソラーレン誘導体が媒介する。
E.分析物
本明細書に開示した方法では、分析物(analytes)を一般に検出、測定、分析の対象として利用している。分析物としては、検出、測定、分析することになる任意の分子または分子の一部が可能である。分析物は物理的に分離された分子である必要はなく、より大きな分子の一部であってもよい。分析物としては、生物分子、有機分子、化学薬品、組成物のほか、本明細書に開示した方法を適用できる他の任意の分子または構造体が挙げられる。ある種の分析物には、本明細書に開示した方法のある形態がこの方法の他の形態よりも適していることを理解すべきである。分析物は標的分子とも呼ばれる。
有用な分析物は生物分子である。生物分子としては、タンパク質、ペプチド、酵素、アミノ酸修飾物、タンパク質のドメイン、タンパク質のモチーフ、核酸分子、核酸配列、DNA、RNA、mRNA、cDNA、代謝物、炭水化物、核酸のモチーフなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。この明細書では、“生物分子”と“生体分子”は、生物起源の任意の分子、分子の一部、多分子集合体、組成物のことを意味し、生物起源の任意の分子、分子の一部、多分子集合体、組成物に関係している。生体分子としては、生物起源の分子と関係する完全に人工的な分子も可能である。
ここまでと本明細書の別の箇所で“タンパク質”の検出に関して説明してあるが、本明細書に開示した方法と組成物には、タンパク質、ペプチド、タンパク質の断片、ペプチドの断片が含まれる。したがってこの明細書でタンパク質に言及する場合には、文脈から明らかに異なることがわかるのでなければ、タンパク質、ペプチド、タンパク質の断片、ペプチドの断片について言及しているものとする。
F.分析物サンプル
本明細書に開示した方法では、任意の供給源からの任意のサンプルを用いることができる。一般に、分析物サンプルは、分析物を含むサンプル、あるいは分析物を含んでいる可能性のあるサンプルでなくてはならない。適切な分析物サンプルの具体例としては、細胞サンプル、組織サンプル、細胞抽出液、別のサンプルから精製した成分または分画、環境サンプル、培養物サンプル、体液、バイオプシー・サンプルなどが挙げられる。他の多数のサンプル源が知られている、あるいは他の多数のサンプル源を開発することができ、そのうちの任意のものを本明細書に開示した方法で使用することができる。本明細書に開示した方法で使用するのに役立つ分析物サンプルは、細胞サンプルと組織サンプルである。分析物サンプルとしては、複雑なもの、単純なもの、あるいはその中間のものが可能である。例えば分析物サンプルは生物分子の複雑な混合物(例えば組織サンプル)を含んでいてもよく、分析物サンプルは高精製タンパク質調製物または1種類だけの分子であってもよい。
G.タンパク質サンプル
任意の供給源からの任意のサンプルを本明細書に開示した方法で使用することができる。一般に、タンパク質サンプルは、タンパク質分子を含むサンプル、あるいはタンパク質分子を含んでいる可能性のあるサンプルでなくてはならない。適切なタンパク質サンプルの具体例としては、細胞サンプル、組織サンプル、細胞抽出液、別のサンプルから精製した成分または分画、環境サンプル、培養物サンプル、体液、バイオプシー・サンプルなどが挙げられる。他の多数のサンプル源が知られている、あるいは他の多数のサンプル源を開発することができ、そのうちの任意のものを本明細書に開示した方法で使用することができる。本明細書に開示した方法で使用するのに役立つタンパク質サンプルは、細胞サンプルと組織サンプルである。タンパク質サンプルとしては、複雑なもの、単純なもの、あるいはその中間のものが可能である。例えばタンパク質サンプルはタンパク質の複雑な混合物(例えば組織サンプル)を含んでいてもよく、タンパク質サンプルは高精製タンパク質調製物または1種類だけのタンパク質であってもよい。
H.捕獲アレイ
捕獲アレイ(この明細書ではアレイとも呼ぶ)としては、固体基板上に固定化された複数の捕獲タグが挙げられる。捕獲タグは、その固体基板上の特定可能な位置または所定の位置に固定化されることが好ましい。この場合、複数の捕獲タグとは、それぞれが異なる構造を有する多数の捕獲タグを意味する。アレイ上の所定のそれぞれの位置(この明細書ではアレイ要素と呼ぶ)は、1種類の捕獲タグを備えることができる(すなわちその位置のすべての捕獲タグは同じ構造を有する)。それぞれの位置には、多数の同じ捕獲タグが存在することになろう。アレイ内で構造の異なる捕獲タグを空間的に分離することにより、捕獲タグに結合することになる分析物を別々に検出して同定することが可能になる。ブロック群が捕獲アレイ内の所定の位置で検出された場合、それはそのアレイ要素に対応する分析物が標的サンプル中に存在していたことを意味する。
捕獲アレイで使用するための固体基板としては、捕獲タグを直接的または間接的に結合させることのできる任意の固体材料が挙げられる。そのような材料として、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、炭化フッ素、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリアミノ酸、制御放出されるポリマー、ゲル、不溶性ポリマー、生分解性ポリマー、樹脂、マトリックス、繊維、クロマトグラフィ支持体、ヒドロゲル、ポリマー、プラスチック、雲母、金、ビーズ、マイクロビーズ、ナノビーズ、マイクロスフェア、ナノスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子、ケイ素、ガリウムヒ素、有機金属、無機金属、半導体、絶縁体などがある。固体基板は、有効な任意の形態を持つことができる。具体的には、フィルム、膜、ビーズ、瓶、皿、円板、コンパクト・ディスク、繊維、光ファイバー、織り繊維、成形ポリマー、粒子、プローブ、キャップ、棒、ペグ、プラグ、ロッド、筒状体、ワイヤー、フィラメント、チューブ、ロープ、触毛、つなぎ綱、鎖、毛細管、容器、壁、縁部、角部、シール、チャネル、へり、格子、グリッド、アレイ、ノブ、段、アーム、歯状体、綱、表面、層、薄膜などが挙げられる。固体基板の有効な形態はコンパクト・ディスクである。
捕獲アレイは単一のユニットまたは構造であることが好ましいが、必ずしもそうなっている必要はない。捕獲タグ・セットは、任意の数の固体支持体上に配置することができる。例えば極端な例を1つ挙げると、それぞれの捕獲タグを別々の反応管または反応容器に固定化することができる。アレイは、上記のように多彩な支持体組成からなる非浸透性または浸透性の支持体の上に構成することができる。アレイ上のスポットのサイズと密度は、利用する方法と材料によって大きく異なる。
抗体や他のタンパク質を基板に固定化する方法はよく確立されている。固定化は、標準的な固定化化学反応を利用し、活性化した表面、カルボキシル化した表面、ヒドロキシル化した表面に例えば結合させることによって実現できる。結合剤の具体例としては、臭化シアノゲン、スクシンイミド、アルデヒド、塩化トシル、アビジン-ビオチン、光架橋可能な薬剤、エポキシド、マレイミドがある。役に立つ結合剤はグルタルアルデヒドである。これら結合剤とそれ以外の結合剤、ならびに結合させる際のその使用法は、『タンパク質の固定化:基礎と応用』、Richard F. Taylor編(M. デッカー社、ニューヨーク、1991年);JohnstoneとThorpe、『現代の免疫化学』(ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ社、オックスフォード、イギリス国、1987年)の209-216ページと241-242ページ;『固定化されたアフィニティ・リガンド』、Craig T. Hermanson他編(アカデミック・プレス社、ニューヨーク、1992年)に記載されている。抗体は、抗体上の自由なアミノ基を基板内に存在している反応性側鎖と化学的に架橋させることによって基板に結合させることができる。例えば抗体は、架橋剤としてグルタルアルデヒドまたはカルボジイミドを用いることにより、自由なアミノ基またはカルボキシル基を含む基板に化学的に架橋させることができる。この方法では、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドの存在下で、遊離した抗体を含む水溶液を固体基板とともにインキュベートする。グルタルアルデヒドと架橋させるには、緩衝溶液(例えばpHが7.4の0.1Mカコジル酸ナトリウム)中で反応物を2体積%のグルタルアルデヒドとともにインキュベートするとよい。他の標準的な固定化化学反応も当業者に知られている。
オリゴヌクレオチドを固体基板に固定化する方法はよく知られている。オリゴヌクレオチド捕獲タグは、確立された結合法を利用して基板に結合させることができる。適切な結合法が、例えばPease他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第91巻(11)、5022-5026ページ、1994年;Khrapko他、Mol. Biol. (Mosk)(USSR)、第25巻、718-730ページ、1991年;Fodorらに付与されたアメリカ合衆国特許第5,871,928号;Brennerに付与されたアメリカ合衆国特許第5,654,413号;Peaseらに付与されたアメリカ合衆国特許第5,429,807号と同第5,599,695号に記載されている。カゼインでコーティングされたスライド上に3'-アミン・オリゴヌクレオチドを固定化する方法が、Stimpson他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第92巻、6379-6383ページ、1995年に記載されている。オリゴヌクレオチドを固体基板に結合させる有効な方法が、Guo他、Nucleic Acids Res.、第22巻、5456-5465ページ、1994年に記載されている。
平面アレイ法が長年にわたって使用されてきた(Shalon, D.、S.J. Smith、P.O. Brown、「複合DNAサンプルを分析するための、2色蛍光プローブ・ハイブリダイゼーションを用いたDNAマイクロアレイ・システム」、Genome Res.、1996年、第6巻(7)、639-645ページ;Singh-Gasson, S.他、「ディジタル・マイクロミラー・アレイを用いた、光制御オリゴヌクレオチド・マイクロアレイのマスクなしの製造」、Nat. Biotechnol.、1999年、第17巻(10)、974-978ページ;Southern, E.M.、U. Maskos、J.K. Elder、「オリゴヌクレオチド・アレイへのハイブリダイゼーションによる核酸配列の分析と比較:実験モデルを用いた評価」、Genomics、1992年、第13巻(4)、1008-1017ページ;Nizetic, D.他、「ヒトのX染色体と21番染色体の巨大挿入ライブラリの構成、アレイ化、高密度スクリーニング:参照ライブラリとしての潜在的利用法」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1991年、第88巻(8)、3233-3237ページ;Van Oss, C.J.、R.J. Good、M.K. Chaudhury、「硝酸セルロースとそれ以外の膜にDNA(サザン)とタンパク質(ウエスタン)をブロッティングするメカニズム」、J. Chromatogr.、1987年、第391巻(1)、53-65ページ;Ramsay, G.、「DNAチップ:その現状」、Nat. Biotechnol.、1998年、第16巻(1)、40-44ページ;Schena, M.他、「並列ヒトゲノム分析:マイクロアレイに基づいた1000個の遺伝子の発現モニタリング」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1996年、第93巻(20)、10614-10619ページ;Lipshutz, R.J.他、「高密度合成オリゴヌクレオチド・アレイ」、Nat. Genet.、1999年、第21巻(1補)、20-24ページ;Pease, A.C.他、「高速DNA配列分析のための、光によって生成するオリゴヌクレオチド・アレイ」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1994年、第91巻(11)、5022-5026ページ;Maier, E.他、「オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーションによる自動化された配列フィンガープリント分析へのロボット技術の応用」、J. Biotechnol.、1994年、第35巻(2-3)、191-203ページ);Vasiliskov, A.V.他、「共重合によりチップ上にゲル固定化化合物のマイクロアレイを製造する方法」、Biotechniques、1999年、第27巻(3)、592-594ページ、596-598ページ、600ページ;Yershov, G.他、「オリゴヌクレオチド・マイクロチップ上でのDNAの分析と診断」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1996年、第93巻(10)、4913-4918ページ)。
アレイ内のオリゴヌクレオチド捕獲タグは、互いに似たハイブリッド安定性を持つように設計することもできる。するとそのような捕獲タグに対する断片のハイブリダイゼーションがより効率的に行なわれ、ハイブリダイゼーションのミスマッチが減少することになろう。オリゴヌクレオチド捕獲タグのハイブリッド安定性は、熱力学で知られている公式と原理を利用して計算することができる(例えばSanta Lucia他、Biochemistry、第35巻、3555-3562ページ、1996年;Freier他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第83巻、9373-9377ページ、1986年;Breslauer他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第83巻、3746-3750ページ、1986年を参照のこと)。オリゴヌクレオチド捕獲タグのハイブリッド安定性は、例えば捕獲タグを化学的に修飾することにより(Nguyen他、Nucleic Acids Res.、第25巻(15)、3059-3065ページ、1997年;Hohsisel、Nucleic Acids Res.、第24巻(3)、430-432ページ、1996年)、互いにより似た状態にすることができる。ハイブリッド安定性は、特別な条件下でハイブリダイゼーションを実行することによっても向上させることができる(Nguyen他、Nucleic Acids Res.、第27巻(6)、1492-1498ページ、1999年;Wood他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第82(6)巻、1585-1588ページ、1985年)。
オリゴヌクレオチド捕獲タグのハイブリッド安定性を向上させる別の手段は、捕獲タグの長さを変化させることである。こうすることにより、それぞれの捕獲タグのハイブリッド安定性が調節されるため、すべての捕獲タグは(可能な限り)似たようなハイブリッド安定性を持つようになろう。捕獲タグにヌクレオチドを1個付加したり、捕獲タグからヌクレオチドを1個削除したりすると、その捕獲タグのハイブリッド安定性が決まった量だけ変化するため、捕獲アレイ中の捕獲タグのハイブリッド安定性は等しくならないことを理解しておく必要がある。このような理由で、本明細書で使用するハイブリッド安定性が似たという表現は、捕獲タグのハイブリッド安定性が何らかの形でより似た状態になること(別の表現をするならば、捕獲タグのハイブリッド安定性の違いが何らかの形で少なくなること)を意味する。
異なるハイブリダイゼーション条件にさらされる可能性のあるハイブリッド安定性が似た捕獲タグを捕獲アレイの区分または区画にグループ化することにより、オリゴヌクレオチド捕獲タグがサンプル断片にハイブリダイゼーションしたり結合したりする効率を向上させることもできる。このようにして、特定のクラスの捕獲タグについてハイブリダイゼーション条件を最適化することができる。
I.捕獲タグ
捕獲タグは、その捕獲タグを有する化合物または複合体の捕獲または分離に使用できる任意の化合物である。捕獲タグとしては、特定の分子または部分と特異的に相互作用する化合物が可能である。捕獲タグと特異的に相互作用する分子または部分は分析物になることができる。分析物という用語は、分離した分子と、そのような分子の一部(例えば特異的結合分子と特異的に相互作用するタンパク質のエピトープ)の両方を指すことを理解する必要がある。抗体、受容体/リガンド・ペアの一方、合成ポリアミド(DervanとBurli、「ポリアミドによる配列特異的DNAの認識」、Curr. Opin. Chem. Biol.、第3巻(6)、688-693ページ、1999年;WemmerとDervan、「DNAの副溝のターゲッティング」、Curr. Opin. Struct. Biol.、第7巻(3)、355-361ページ、1997年)、核酸プローブのほか、特異的結合アフィニティを有する他の分子は、捕獲タグの実例である。
特定の分析物と特異的に相互作用する捕獲タグは、その分析物に対して特異的であると言われる。例えば捕獲タグが特定の抗原に結合する抗体である場合、捕獲タグはその抗原に対して特異的であると言われる。抗原は分析物である。捕獲タグとしては、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、オリゴヌクレオチドのいずれかが可能である。有用な結合タンパク質は、DNA結合タンパク質である。有用なDNA結合タンパク質は、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフである。これらモチーフは、同じ特異的結合分子の中で併存することができる。
レポータ結合剤の親和部分として有用な抗体は、市販品として入手すること、あるいはよく知られた方法を利用して製造することができる。例えばJohnstoneとThorpe、『現代の免疫化学』(ブラックウエル・サイエンティフィック・パブリケーションズ社、オックスフォード、イギリス国、1987年)、30-85ページには、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を製造するのに役立つ一般的な方法が記載されている。この本全体に、アッセイ系で抗体を使用するための一般的な方法や原理が多数記載されている。
ジンクフィンガーの特性、ジンクフィンガー・モチーフ、これらの相互作用については、Nardelli他、「ジンクフィンガー-DNA認識:部位特異的突然変異誘発による塩基特異性の分析」、Nucleic Acids Res.、第20巻(16)、4137-4144ページ、1992年;Jamieson他、「変化したDNA-結合特異性を有するジンクフィンガーのインビトロでの選択」、Biochemistry、第33巻(19)、5689-5695ページ、1994年;ChandrasegaranとSmith、「キメラ制限酵素:次に来るのは何か?」、Biol. Chem.、第380巻(7-8)、841-848ページ、1999年;Smith他、「キメラ制限酵素の基質特異性に関する詳細な研究」、Nucleic Acids Res.、第27巻(2)、674-681ページ、1999年に記載されている。
捕獲タグの1つの形態は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体である。このような捕獲タグは特定の核酸配列を検出するために設計されており、その目的で使用される。したがってオリゴヌクレオチド捕獲タグのための分析物は核酸配列である。分析物としては、より大きな核酸分子中のヌクレオチド配列が可能である。オリゴヌクレオチド捕獲タグは、捕獲タグと分析物の間に特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを形成するものであれば任意の長さでよい。この目的では10〜40個の長さのヌクレオチドが好ましく、ヌクレオチド16〜25個の長さのオリゴヌクレオチド捕獲タグが最も好ましい。オリゴヌクレオチド捕獲タグとしてはペプチド核酸が有用である。ペプチド核酸は、DNAと安定なハイブリッドを形成する。そのためその後に増幅操作と検出操作を行なっている間、ペプチド核酸捕獲タグは標的配列にしっかりと付着することができる。
この役に立つ効果は、オリゴヌクレオチド捕獲タグにおいてGasparro他、Nucleic Acids Res.、第22巻(14)、2845-2852ページ、1994年が記載している三重螺旋化学結合法を利用することによっても得ることができる。要するに、オリゴヌクレオチド捕獲タグは、標的配列にハイブリダイズするときに三重螺旋を形成するように設計されている。これは、一般に知られているように、ホモプリン優勢標的配列またはホモピリミジン優勢標的配列のいずれかを選択することによって実現されることが好ましい。捕獲タグを構成するマッチング・オリゴヌクレオチド配列は選択した標的配列と相補的になるため、それは、それぞれホモピリミジン優勢配列またはホモプリン優勢配列である。(Gasparroらが記載している三重螺旋プローブに対応する)捕獲タグは、化学的に結合したソラーレン誘導体を含んでいる。捕獲タグが標的配列にハイブリダイズすると、三重螺旋が形成される。三重螺旋を短い波長の紫外線に曝露することにより、プローブが標的配列に架橋するのをソラーレン誘導体が媒介する。
J.サンプル・アレイ
サンプル・アレイとしては、固体基板上に固定化された複数のサンプル(例えば発現サンプル、組織サンプル、タンパク質サンプル)が挙げられる。サンプルは、その固体基板上の特定可能な位置または所定の位置に固定化されることが好ましい。サンプル・アレイ上の所定のそれぞれの位置(本明細書ではサンプル・アレイ要素と呼ぶ)は、1種類のサンプルを備えることができる。サンプル・アレイ内で異なるサンプルを空間的に分離することにより、サンプルに結合することになる検出部(またはブロック群、またはブロック)を別々に検出して同定することが可能になる。検出部がサンプル・アレイ内の所定の位置で検出された場合、それはその検出部に対応する分析物が、そのサンプル・アレイ要素に対応するサンプル中に存在していたことを意味する。
サンプル・アレイで使用するための固体基板としては、捕獲タグを直接的または間接的に付着させることのできる任意の固体材料が挙げられる。そのような材料として、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、炭化フッ素、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリアミノ酸、制御放出されるポリマー、ゲル、不溶性ポリマー、生分解性ポリマー、樹脂、マトリックス、繊維、クロマトグラフィ支持体、ヒドロゲル、ポリマー、プラスチック、雲母、金、ビーズ、マイクロビーズ、ナノビーズ、マイクロスフェア、ナノスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子、ケイ素、ガリウムヒ素、有機金属、無機金属、半導体、絶縁体などがある。固体基板は、有効な任意の形態を持つことができる。具体的には、フィルム、膜、ビーズ、瓶、皿、円板、コンパクト・ディスク、繊維、光ファイバー、織り繊維、成形ポリマー、粒子、プローブ、キャップ、棒、ペグ、プラグ、ロッド、筒状体、ワイヤー、フィラメント、チューブ、ロープ、触毛、つなぎ綱、鎖、毛細管、容器、壁、縁部、角部、シール、チャネル、へり、格子、グリッド、アレイ、ノブ、段、アーム、歯状体、綱、表面、層、薄膜などが挙げられる。固体基板の有効な形態はコンパクト・ディスクである。
サンプル・アレイは単一のユニットまたは構造であることが好ましいが、必ずしもそうなっている必要はない。サンプル・セットは、任意の数の固体支持体上に配置することができる。例えば極端な例を1つ挙げると、それぞれのサンプルを別々の反応管または反応容器に固定化することができる。サンプル・アレイは、上記のように多彩な支持体組成からなる非浸透性または浸透性の支持体の上に構成することができる。アレイ上のスポットのサイズと密度は、利用する方法と材料によって大きく異なる。サンプルおよびサンプルの成分を基板に付着させる方法または固定化する方法はしっかりと確立している。
サンプル・アレイの有効な形態は、小さな組織サンプルが基板に載った組織アレイである。そのような組織マイクロアレイが存在しており、コホートにおいて乳がんの研究に使用されている。本明細書に開示した方法は、例えば複数のサンプル中の複数の分析物を調べるのに使用できる。サンプル・アレイを例えばさまざまなレポータ信号で標識し、次に支持体全体を質量分析の供給領域に導入してMALDIで調べることができる。
K.デコード用タグ
デコード用タグは、コード用タグまたはレポータ分子を直接または間接に結合させることのできる任意の分子または部分である。デコード用タグにブロックを結合させ、そのブロックを間接的に検出部に結合させることができる。デコード用タグとしては、オリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識が可能である。
有用なデコード用タグは、オリゴヌクレオチド・コード用タグに特異的にハイブリダイズさせることのできる分子である。最も有用なのは、ペプチド核酸デコード用タグである。オリゴヌクレオチド・デコード用タグまたはペプチド核酸デコード用タグは任意の配列にすることができる。唯一の条件は、コード用タグにハイブリダイズすることである。それぞれのデコード用タグは、コード用タグとデコード用タグの間に特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを形成するものであれば任意の長さでよい。そのためには10〜35個の長さのヌクレオチドが好ましく、ヌクレオチド15〜20個の長さのデコード用タグが最も好ましい。
デコード用タグを含むブロックは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)によって放出させ、飛行時間(TOF)型質量分析または別の検出法によって分離して同定することができる。デコード用タグとしては、コード用タグにハイブリダイズすることのできる任意のオリゴマー分子が可能である。例えばデコード用タグとしては、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)分子が可能である。
L.コード用タグ
コード用タグは、デコード用タグが結合することのできる任意の分子または部分である。コード用タグとしては、デコード用タグを結合させるのに役立つ任意のタイプの分子または部分が可能である。有用なコード用タグは、オリゴマー、オリゴヌクレオチド、核酸配列のいずれかである。コード用タグとしては、ストレプトアビジンやビオチンなど、結合ペアのメンバーも可能である。その場合コグネイト・デコード用タグがその結合ペアの他方のメンバーである。コード用タグは、ある種のブロックに直接結合するように設計することもできる。例えばオリゴヌクレオチド・コード用タグは、ペプチド核酸レポータ信号などの(ペプチド核酸からなるブロックである)ペプチド核酸ブロックと直接相互作用するように設計することができる。
オリゴマー・コード用タグのオリゴマー塩基配列としては、RNA、DNA、修飾したRNA、修飾したDNA、修飾した骨格ヌクレオチド様オリゴマーなどが可能であり、具体的にはペプチド核酸、メチルホスホン酸DNA、2'-O-メチルRNA、2'-O-メチルDNAが挙げられる。オリゴマー・コード用タグまたはオリゴヌクレオチド・コード用タグは任意の配列にすることができる。唯一の条件は、(好ましくはハイブリダイゼーションによって)デコード用タグにハイブリダイズすることである。この明細書に開示した方法では、複数のコード用タグを単一の担体または分析物に結合させることができる。
それぞれのオリゴヌクレオチド・コード用タグは、コード用タグとデコード用タグの間に特異的かつ安定なハイブリダイゼーションを形成するものであれば任意の長さでよい。そのためには10〜35個の長さのヌクレオチドが好ましく、ヌクレオチド15〜20個の長さのコード用タグが最も好ましい。
担体として使用される分枝状DNAが一般に知られている(Urdea、Biotechnology、第12巻、926-928ページ、1994年;Horn他、Nucleic Acids Res.、第23巻、4835-4841ページ、1997年)。本明細書では、分枝状DNA分子のテールとは、分枝状DNA分子のうちで分析物と相互作用するように設計した部分のことを意味する。テールは、特異的結合分子である。一般に、それぞれの分枝状DNA分子はテールを1つだけ持つ必要がある。分枝状DNAの枝部(本明細書では、分枝状DNAのアームとも呼ぶ)は、コード用タグ配列を含むことができる。オリゴヌクレオチド・デンドリマー(またはデンドリマーDNA)も一般に知られている(Shchepinov他、Nucleic Acids Res.、第25巻、4447-4454ページ、1997年;Orentas他、J. Virol. Methods、第77巻、153-163ページ、1999年)。この明細書では、オリゴヌクレオチド・デンドリマーのテールとは、デンドリマーのうちで分析物と相互作用するように設計した部分のことを意味する。一般に、それぞれのデンドリマーはテールを1つだけ持つ必要がある。デンドリマーのデンドリマー鎖は、本明細書ではオリゴヌクレオチド・デンドリマーのアームと呼び、コード用タグ配列を含むことができる。
M.レポータ分子
レポータ分子は、特異的結合分子にコード用タグを結合させる分子である。特異的結合分子とコード用タグは、共有結合によって結合すること、あるいは互いに束縛することができる。本明細書では、分子は、直接的または間接的に共有結合で結びついたときに結合状態にある。間接的結合の1つの形態は、リンカー分子を介する結合である。コード用タグは、確立されているいくつかの結合反応のうちの任意の反応によって特異的結合分子と結合することができる。例えばHendrickson他、Nucleic Acids Res.、第23巻(3)、522-529ページ、1995年には、オリゴヌクレオチドを抗体に結合させるのに適した方法が記載されている。このレポータ分子は、PCT出願WO 00/68434に記載されているレポータ分子の機能的等価物であり、その中に記載されているように、本明細書に記載した組成物および方法と組み合わせて使用することができる。
本明細書では、1つの分子は、一方の分子(から)のループが他方の分子(から)のループを通過するときに他方の分子に束縛されていると言う。2つの分子は、互いに束縛しているときには共有結合していない。束縛は、マグカップの取っ手によってできる穴を通過する閉鎖ループになった紐のアナロジーで視覚化することができる。一般に、分子の一方または両方がループのまわりを自由に回転できるように束縛を設計することができる。
N.アフィニティ・タグ
アフィニティ・タグは、アフィニティ・タグを有する化合物または複合体を、アフィニティ・タグを持たない化合物または複合体から分離するのに使用できる任意の化合物である。アフィニティ・タグとしては、ある化合物(例えばリガンド結合分子または抗体)と結合または相互作用する他の化合物(リガンドまたはハプテン)が可能である。アフィニティ・タグと捕獲要素の間(例えば、ハプテンと抗体の間、またはリガンドとリガンド結合分子の間)のそのような相互作用が特異的相互作用であることも有効である。アフィニティ・タグとしては、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、オリゴヌクレオチドのいずれかが可能である。好ましい結合タンパク質はDNA結合タンパク質である。有用なDNA結合タンパク質は、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフである。これらモチーフは、同じ特異的結合分子の中で併存することができる。
核酸プローブに関して現われるアフィニティ・タグは、Syvnen他、Nucleic Acids Res.、第14巻、5037ページ、1986年が記載されている。有用なアフィニティ・タグとしては、核酸に組み込むことのできるビオチンが挙げられる。この明細書に開示した方法では、アフィニティ・タグをレポータ信号に組み込むことにより、そのレポータ信号を基板に捕獲すること、あるいは付着させること、あるいは結合させることができる。このように捕獲すると、単純にレポータ信号を洗浄したり処理したりすることによってレポータ信号を他の分子から分離することや、方法の全体または一部を自動化することができる。
ジンクフィンガーもアフィニティ・タグとして使用することができる。ジンクフィンガーの特性、ジンクフィンガー・モチーフ、これらの相互作用については、Nardelli他、「ジンクフィンガー-DNA認識:部位特異的突然変異誘発による塩基特異性の分析」、Nucleic Acids Res.、第20巻(16)、4137-4144ページ、1992年;Jamieson他、「変化したDNA-結合特異性を有するジンクフィンガーのインビトロでの選択」、Biochemistry、第33巻(19)、5689-5695ページ、1994年;ChandrasegaranとSmith、「キメラ制限酵素:次に来るのは何か?」、Biol. Chem.、第380巻(7-8)、841-848ページ、1999年;Smith他、「キメラ制限酵素の基質特異性に関する詳細な研究」、Nucleic Acids Res.、第27巻(2)、674-681ページ、1999年に記載されている。
検出部またはブロックを基板上に捕獲したいのであれば、いくつかの方法で実現できる。1つの方法は、アフィニティ・ドックを基板に付着または結合させるという方法である。アフィニティ・ドックは、検出部またはブロック上のアフィニティ・タグとの結合または相互作用によって検出部またはブロックが付着するのを媒介する化合物または部分である。基板上に固定化されたアフィニティ・ドックにより、基板上に検出部またはブロックを捕獲することができる。このような捕獲は、続くステップを邪魔する可能性のある分子を洗い流す便利な手段となる。捕獲された検出部またはブロックは、基板から放出させることもできる。これは、アフィニティ・タグを解離させることによって、あるいは光開裂可能な結合(例えば検出部またはブロックと基板の間、あるいはブロックと担体の間の結合)を壊すことによって実現できる。
本明細書に開示した方法で使用するための基板(支持体)としては、この明細書に開示した要素を付着または結合させることのできる任意の固体材料が挙げられる。基板材料の具体例として、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、炭化フッ素、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメラート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリアミノ酸、制御放出されるポリマー、ゲル、不溶性ポリマー、生分解性ポリマー、樹脂、マトリックス、繊維、クロマトグラフィ支持体、ヒドロゲル、ポリマー、プラスチック、雲母、金、ビーズ、マイクロビーズ、ナノビーズ、マイクロスフェア、ナノスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子、ケイ素、ガリウムヒ素、有機金属、無機金属、半導体、絶縁体などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。固体基板は、有効な任意の形態を持つことができる。具体的には、フィルム、膜、ビーズ、瓶、皿、円板、コンパクト・ディスク、繊維、光ファイバー、織り繊維、成形ポリマー、粒子、プローブ、キャップ、棒、ペグ、プラグ、ロッド、筒状体、ワイヤー、フィラメント、チューブ、ロープ、触毛、つなぎ綱、鎖、毛細管、容器、壁、縁部、角部、シール、チャネル、へり、格子、グリッド、アレイ、ノブ、段、アーム、歯状体、綱、表面、層、薄膜などが挙げられる。
O.質量分析器
この明細書に開示した方法では、レポータ信号などのブロックや、変化した形態のブロックまたはレポータ信号を分析するのに質量分析器を使用することができる。質量分析器は一般的に利用されており、そのような装置とその操作法は当業者に知られている。質量分析器に組み込まれた断片化システムが市販されている。具体的なシステムとしては、液体クロマトグラフィ(LC)やキャピラリー電気泳動(CE)が挙げられる。
質量分析器の主要な要素としては、(a)1つ以上の供給源、(b)1つ以上の分析装置および/またはセル、(c)1つ以上の検出装置が挙げられる。供給源のタイプとしては、エレクトロスプレー・イオン化(ESI)とマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)がある。分析装置およびセルのタイプとしては、四重極質量フィルタ、六重極衝突セル、イオン・サイクロトロン・トラップ、飛行時間(TOF)などが挙げられる。検出器のタイプとしてはマルチチャネル・プレート(MCP)やイオン増倍器が挙げられる。この明細書に開示した方法で使用する際に役立つ質量分析器は、Krutchinsky他、「新規なMALDIイオン・トラップ質量分析器を用いたタンパク質の高速自動同定」、質量分析と関連トピックに関する第49回ASMS会議(2001年5月27日〜31日)、ロックフェラー大学、ニューヨーク、ニューヨーク州に記載されている。
2つ以上の分析装置/セルを有する質量分析器はタンデム質量分析器として知られている。2つのタイプのタンデム質量分析器(“空間タンデム”質量分析器と“時間タンデム”質量分析器)と、これらのタイプのハイブリッドおよび組み合わせが存在している。イオンが2つ以上の分析装置/セルを通過するタンデム質量分析器は、空間タンデム質量分析器として知られている。空間タンデム質量分析器では空間的に並べた要素を使用し、イオンが各要素を通過するときにイオンに順番に作用を及ぼす。イオンが主として1つの分析装置/セルに留まるタンデム質量分析器は、時間タンデム質量分析器として知られている。時間タンデム質量分析器では、1つの空間に含まれるイオンに対して次々に操作を行なう。ハイブリッド・システムやこれらのタイプの組み合わせが知られている。質量分析器の中で興味の対象となる特定の質量-電荷比を選択する性能は、一般に(質量-電荷比の重心を、興味の対象である選択したイオンの全幅半値で割った値として決まる)分解能によって特徴づけられる。したがって分解能は、分析装置から検出装置へと移動するイオンの質量-電荷比の分布の狭さを示す指標である。この明細書では、このような分解能に言及するときは、一般に、質量分析器が狭い範囲の質量-電荷比だけを通過させる能力について言及していることに注意されたい。
本明細書に開示した方法で使用する際に役立つ質量分析器はタンデム質量分析器であり、具体的には空間タンデム質量分析器が挙げられる。空間タンデム質量分析器の利用法の一例は、同重核レポータ信号をまず最初にフィルタ用四重極を通過させ、そのレポータ信号を(好ましくは衝突セル内で)断片化すると、飛行時間(TOF)段階でその断片を識別し、検出することができるというものである。このような装置ではサンプルを供給源(例えばMALDIイオン供給源)の中でイオン化し、帯電したイオンを生成させる。主として1価の親イオンを生成させるようなイオン化条件であると好ましい。第1の四重極Q0をラジオ周波数(RF)モードだけで動作させ、帯電したすべての粒子に対してイオン・ガイドとして作用するようにする。第2の四重極Q1をRF+DCモードで動作させ、(レポータ信号の質量-電荷比が含まれる)狭い範囲の質量-電荷比だけを通過させる。この四重極により、興味の対象である質量-電荷比が選択される。衝突セルで囲まれた四重極Q2をRFモードだけで動作させ、イオン・ガイドとして作用するようにする。レポータ信号の断片化が望ましい場合には、四重極Q2を取り囲む衝突セルにガスを充填して適切な圧力にし、衝突によって誘導される解離により、入ってくるイオンを壊すことができる。衝突ガスは化学的に不活性なものが可能であるが、反応性ガスも使用することができる。有用な分子システムでは、切れやすい結合、不安定な結合、あるいはその組み合わせを含むレポータ信号を利用し、これらの結合がQ2衝突セルにおいて優先的に壊れるようにする。
MSNにすることが可能なタンデム装置を本明細書に開示した方法で使用することができる。一例として、第1段フィルタ(MS)を用いて分子セットを選択し、これら分子を光開裂させてレポータ信号セットを生成させ、第2段(MS/MS)を用いてこれらレポータ信号を選択し、衝突による断片化によってこれらレポータ信号を変化させ、飛行時間(MS3)によって検出を行なう方法が考えられる。他の多くの組み合わせが可能であり、本明細書に開示した方法をそのようなシステムで使用するのに適合した形にすることができる。当業者であれば、例えば段数を増やすことや、レポータ信号の断片を分析することを思いつくであろう。
方法
本明細書に開示した検出部は、1回のアッセイでサンプル中の多数の分析物を検出する方法で使用することができる。この方法は、標的分子をコード化した後、そのコード化した信号をデコードすることに基づいている。このコード化/デコードにより、標的分子の持つ化学的および物理的特性とは関係なく標的分子の検出が行なわれる。この明細書に開示した方法は、基本的形態では、1つ以上の検出部(検出部は、特異的結合分子と、担体と、複数のブロックからなるブロック群とを備えている)を1つ以上の標的サンプルに結合させ、ブロックを検出することによってブロック群を検出する操作を含んでいる。検出部には特異的結合分子を通じて標的サンプル中の標的分子が結合する。一般に、検出部は1つ以上の標的分子に対応し、ブロック群は1つ以上の検出部に対応する。したがって特定のブロック群が検出されるというのは、対応する検出部が存在していることを示す。逆に、特定の検出部が検出されるというのは、対応する標的分子が存在していることを示す。
この間接的な検出では、本質的に任意の化学的および物理的特性を持つことのできるブロック群を介在させることにより、標的分子の持つ化学的および物理的特性とは関係なく標的分子の検出が行なわれる。特に、ブロック群(とそのブロック群を構成する複数のブロック)は検出に役立つ特性を持つことができ、1回のアッセイにおけるブロック群とブロックは互いに非常に規則的かつ構造化された関係を持つことができる。検出のときに問題になるのは、標的分子(そのもの)の特性ではなく、ブロック群とブロックの(自由に選択した)特性である。
有用なブロックは同重核ブロックとレポータ信号(レポータ信号も同重核であってよい)である。同重核ブロックには2つの重要な特徴を有する。第1に、同重核ブロックは、セット内のすべての同重核ブロックが似た特性を有する(例えば質量-電荷比が似ている)ようなセットで使用される。特性が似ていることにより、同重核ブロックを、1つ以上の特性を欠く他の分子から分離することが可能になる。第2に、セット内のすべての同重核ブロックを断片化、分解、反応、誘導体化し、あるいは他の方法で修飾して、そのセット内の異なる同重核ブロックを区別することができる。同重核ブロックは、例えば断片化すると、電荷は似ているが質量が異なる断片が生成する。
本明細書に開示した組成物と方法は、PCT出願公開WO 00/68434に記載されている多重タグ分析システムと組み合わせて使用することができる。基本的に多重タグ分析には、1つ以上のレポータ分子を1つ以上の標的サンプルに結合させること、1つ以上のデコード用タグをレポータ分子に結合させることと、デコード用タグを検出することが含まれる。レポータ分子は、標的サンプル中で標的分子と結合する。レポータ分子は、(標的分子と特異的相互作用をさせるための)特異的結合分子と(デコード用タグと特異的相互作用をさせるための)レポータ・タグで構成されている。一般に、レポータ分子は1つ以上の標的分子に対応し、デコード用タグは1つ以上のレポータ分子に対応する。したがって特定のデコード用タグが検出されたということは、対応するレポータ分子の存在を示している。逆に、特定のレポータ分子の存在は、対応する標的分子の存在を示している。多重タグ分析については、PCT出願公開WO 00/68434に十分に記載されている。
検出部に分析物を結合させた後、本明細書に開示した方法では2つの基本的なステップを行なうことが可能である。レポータ分子としてのブロックを存在している可能性のある他の分子から分離するフィルタ操作または選択操作または分離操作を行なうステップと、さまざまなレポータ信号を区別する検出ステップである。レポータ信号は、レポータ信号が共通に有するが存在している他のほとんどの(好ましくはすべての)分子には存在していないいくつかの共通特性に基づいて、他の分子から区別および/または分離することができる。次に、分離したレポータ信号を処理および/または検出し、さまざまなレポータ信号を互いに区別できるようにする。本明細書に開示した方法の好ましい形態には、レポータ信号を興味の対象である分析物に結合させる操作が含まれる。レポータ信号を検出すると、対応する検出部が結合した分析物が検出されることになる。したがってこの明細書に開示した方法は、分析物を標識して検出する一般的な方法である。
本明細書に開示した方法の好ましい形態には、同重核レポータ信号としてのブロックを質量-電荷比に基づいて他の分子からフィルタし、そのレポータ信号を断片化してさまざまな質量の断片を生成させ、その質量-電荷比に基づいてそのさまざまな断片を検出する操作が含まれる。この方法は、タンデム質量分析器を用いると最もうまく実行される。2つのタイプの質量分析器(“空間タンデム”質量分析器と“時間タンデム”質量分析器)と、これらのタイプのハイブリッドおよび組み合わせが存在している。空間タンデム質量分析器では空間的に並べた要素を使用し、イオンが各要素を通過するときにイオンに順番に作用を及ぼす。時間タンデム質量分析器では、1つの空間に含まれるイオンに対して次々に操作を行なう。空間タンデム装置では、同重核レポータ信号をまず最初にフィルタ用四重極を通過させ、そのレポータ信号を(好ましくは衝突セル内で)断片化し、飛行時間(TOF)段階でその断片を識別し、検出する。このような装置ではサンプルを供給源(例えばMALDIイオン供給源)の中でイオン化し、帯電したイオンを生成させる。主として1価の親イオンを生成させるようなイオン化条件であると好ましい。第1の四重極Q0をラジオ周波数(RF)モードだけで動作させ、帯電したすべての粒子に対してイオン・ガイドとして作用するようにする。第2の四重極Q1をRF+DCモードで動作させ、(レポータ信号の質量-電荷比が含まれる)狭い範囲の質量-電荷比だけを通過させる。この四重極により、興味の対象である質量-電荷比が選択される。衝突セルで囲まれた四重極Q2をRFモードだけで動作させ、イオン・ガイドとして作用するようにする。四重極Q2を取り囲む衝突セルにガスを充填して適切な圧力にし、衝突によって誘導される解離により、入ってくるイオンを壊す。衝突ガスは化学的に不活性なものが可能であるが、反応性ガスも使用することができる。有用な分子システムでは、切れやすい結合、不安定な結合、あるいはその組み合わせを含むレポータ信号を利用し、これらの結合がQ2衝突セルにおいて優先的に壊れるようにする。
本明細書に開示した方法は、MALDI-QqTOF質量分析器を利用する場合に特に適している。この方法により、分析物の多重検出を非常に高い感度で行なうことが可能になる。有用なタンデム質量分析器は、Loboda他、「MALDI-QqTOF質量分析器の設計と性能」、第47回ASMS会議、ダラス、テキサス州、1999年;Loboda他、Rapid Comm. Nass Spectrom.、第14巻(12)、1047-1057ページ、2000年;Shevchenko他、Anal. Chem.、第72巻、2132-2142ページ、2000年;Krutchinsky他、J. Am. Soc. Mass Spectrom.、第11巻(6)、493-504ページ、2000年に記載されている。このような装置では、サンプルを供給源(例えばMALDI)の内部でイオン化して帯電したイオンを生成させる。主として1価の親イオンを生成させるようなイオン化条件であると好ましい。第1の四重極Q0と第3の四重極Q2はRFモードだけで動作させるため、帯電したすべての粒子に対するイオン・ガイドとして作用する。第2の四重極Q1はRF+DCモードで動作させ、特定の範囲の質量-電荷比(あるいは実際には狭い質量-電荷比)だけを通過させる。この四重極により、興味の対象である質量-電荷比(m/z)が選択される。四重極Q2を取り囲む衝突セルにガスを充填して適切な圧力にすると、衝突によって誘導される解離により、入ってくるイオンを壊すことができる(衝突ガスは化学的に不活性なものが可能であるが、反応性ガスも使用することができる)。有用な分子システムでは、切れやすい結合、不安定な結合、あるいはその組み合わせを含むレポータ信号を利用し、これらの結合がQ2衝突セルにおいて優先的に壊れるようにする。
MALDI源は、本明細書に開示した方法において有用である。というのも、アレイ、ビーズ、微細加工された装置、組織サンプルなどの不均一な環境からのサンプルの多重分析が容易になるからである。そのような装置の一例が、Qin他、「マトリックス支援レーザー脱離/イオン化によってペプチドを分析するための実用的なイオン・トラップ質量分析器」、Anal. Chem.、第68巻、1784-1791ページ、1996年に記載されている。むらなくアッセイを行なうためにはエレクトロスプレー・イオン化(ESI)源が非常に好ましい。LCシステムへのインターフェイスとなるエレクトロスプレー・イオン化源装置が市販されている(例えばPE-SCIEX社のQSTARや、マイクロマス社のQ-TOF)。ESI源は多価のイオンを生成させる傾向があり、2価のイオンが本明細書に開示した方法において最も一般的であることに注意されたい。このような2価のイオンは従来技術において周知であり、この明細書に開示した方法にとってまったく制約にはならない。TOF分析器と四重極分析器は、セクター分析器よりも好ましい検出器である。フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴(FT-ICR)質量分析器などの時間タンデム型イオン・トラップ・システムも、本明細書に開示した方法で使用することができる。
多数の要素がこの明細書に開示した方法の感度に寄与する。フィルタ四重極Q1によって狭い質量-電荷比を選択して他の質量-電荷比を除外することで、非ゲルマン・イオンからの背景が有意に減少する。例えば質量-電荷比の分布幅が3000Daであるサンプルでは、2Daという質量-電荷比通過ウインドウをこの分布に対して適用することで、信号対雑音比を少なくとも3000/2=1500倍改善することができる。親イオンを四重極Q1によって選択した後、その親イオンを好ましくは帯電した1個の娘イオンに断片化することは、親イオンを多数の娘イオンに断片化するシステムよりも有利になる。例えば20個の娘イオンに断片化される親イオンは、平均して親イオンの20分の1の強度の信号を発生させることになる。親イオンから娘イオンが1つだけ発生するシステムでは、信号のこの低下がない。
本明細書に開示した方法で使用するためのこの好ましいシステムは高使用率であるため、そのままでよい統計データを素早く集めることができる。同重核の親からなる1つのセットを用いる場合、多重化検出は、フィルタ用四重極を走査することなく実現される(しかしそのような走査は、標識した多数のタンパク質を含む複雑なタンパク質サンプルを1回で分析するのに有効である)。エレクトロスプレー源は連続的に動作することができ、MALDI源は数kHzで動作することができ、四重極は連続的に動作し、飛行時間型分析器は興味の対象である質量-電荷比の全領域を数kHzでの繰り返し速度で捕獲することができる。したがってこのシステム全体では、1秒につき数千個の測定データを取得することができる。多重化アッセイにおけるスループットの利点について述べると、飛行時間型分析器は、最終段階に関して四重極分析器よりも優れている。というのも飛行時間型分析器は、四重極分析器の場合にイオンに対して必要な走査(またはステッピング)を行なうのとは異なり、同じ1回のデータ取得ですべての断片イオンを検出するからである。
飛行経路に沿ってレーザー・ポートを付加するなどして装置を改良すると、追加したレーザーによって光化学プロセスや光物理的プロセス(例えば結合の選択的開裂、選択的イオン化)を通じてできた断片化通路とタンパク質が交差できるようになる。フィルタ段階の後にレーザーを用いてタンパク質を断片化すると、非常に高スループットのTOF-TOF装置(50kHz〜100kHzのシステム)を使用できるようになろう。
本明細書に開示した方法は、バルク・サンプルを単純化するため、多段階検出システムの初段に導入する前にそのサンプルの開裂、処理、断片化のいずれかを行なう方法との適合性がある。本明細書に開示した方法は、望む任意のサンプル(例えば生の抽出液や断片化したサンプル)とも適合性がある。
本明細書に開示した方法の一態様では、検出部(したがって検出部の表面でブロック群を構成する複数のブロックであるレポータ信号)を分析物に結合させて検出および/または定量を行なう。検出部内の特異的結合分子が分析物と相互作用し、したがって検出部(とレポータ信号)が分析物に結合する。本明細書に開示した方法により、着目の分析物を検出する感度と精度が向上する。本明細書に開示した方法の好ましい形態では、多段検出システムを利用して非常によく似た特性を有する分子を検出する分解能を向上させている。この方法は少なくとも2つの段階を含んでいる。初段はフィルタリングまたは選択であり、その操作によりレポータ信号の持つ固有の特性に基づいてレポータ信号(すなわち存在している分子の一部)を通過させたり選択したりすることで、他のすべての分子から区別することが可能になる。続く段階では、初段でフィルタされたレポータ信号をさらに分離および/または検出する。この方法で重要な点は、レポータ信号の多重化セットをフィルタによって選択し、次いで開裂させ、あるいは分解し、あるいは反応させ、あるいは修飾して、さらに先の段階でレポータ信号の同定および/または定量を実現することである。特異的結合分子と検出された娘断片の間には対応が存在している。
本明細書に開示した材料と方法の形態と実施態様
本明細書に開示した組成物と方法は、実施態様に関する以下の説明によってさらによく理解することができよう。
分析物の検出方法を開示する。この方法は、特異的結合分子と、担体と、ブロック群(ただしブロック群は複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる)とをそれぞれが含む1つ以上の検出部を、1つ以上の標的サンプルに結合させ、上記ブロック群を検出する操作を含んでいる。レポータ信号は共通特性を持つことができる。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。共通特性としては質量-電荷比が可能である。その場合、レポータ信号は質量を変えることによって変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。レポータ信号の質量は、断片化によって変えることができる。レポータ信号は、電荷を変えることによっても変えることができる。
共通特性としては質量-電荷比が可能である。その場合、レポータ信号は質量を変えることによって変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。ブロック群は、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。ブロック群は10個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。
レポータ信号としては、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、ポリマー、オリゴペプチド、ペプチド核酸のいずれかが可能である。レポータ信号には特異的結合分子を付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号に異なった特異的結合分子を付着または結合させることができる。レポータ信号にはデコード用タグを付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号に異なったデコード用タグを付着または結合させることができる。レポータ信号はペプチドを含むことができる。ペプチドは質量-電荷比が同じでよい。ペプチドは同じアミノ酸組成にすることができる。ペプチドは同じアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、配置状態の異なる重い同位体を含むことができる。それぞれのレポータ分子は、配置状態の異なる置換基を含むことができる。それぞれのペプチドは、異なるアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、異なる位置に不安定な結合または切れやすい結合を持つことができる。
レポータ信号は、タンパク質またはペプチドに結合させることができる。共通特性により、標識したタンパク質を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。共通特性がアフィニティ・タグである必要はない。1つ以上のアフィニティ・タグをレポータ信号に結合させることができる。
ブロックは同じ量の組成物を含むことができる。すべてのブロックが同じ量の組成物を含んでいる必要はない。複数の検出部に1つ以上の標的サンプルを結合させることができる。その場合、それぞれの検出部のブロック群は組成の異なる複数のブロックを含むことができる。それぞれのブロック群は、同数のブロックを含むことができる。すべてのブロック群が同数のブロックを含んでいる必要はない。それぞれのブロック群は、異なるアイデンティティ組成のブロックを含むことができる。ブロックは同じ量の組成物を含むことができる。すべてのブロックが同じ量の組成物を含んでいる必要はない。アイデンティティ組成が同じブロックを含むブロック群は、組成物の量が異なるブロックを含むことができる。
ブロックとしてはペプチド核酸が可能である。ブロックは、核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる。核酸配列の長さは、ヌクレオチド10〜35個にすることができる。核酸配列の長さは、ヌクレオチド15〜20個にすることができる。ブロックは、以下のグループの中から選択した方法を用いて検出することができる。その方法とは、核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、表面増強ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、蛍光、リン光、化学発光、共鳴ラマン、マイクロ波、質量分析、質量分析電気泳動クロマトグラフィ、あるいはこれらの任意の組み合わせである。
ブロックは、MALDI-TOF質量分析によって検出することができる。ブロックとしては同重核ブロックが可能である。複数の検出部に1つ以上の標的サンプルを結合させることができる。その場合、各検出部のブロックは異なっていてもよい。すべての検出部のすべてのブロックは質量-電荷比を同じ値にすることができる。ブロックは、質量と電荷のいずれかまたは両方を変えることによって変化させることができる。変化した形態のブロックは、その変化した形態のブロックの質量-電荷比の違いによって互いに区別することができる。
担体は、ビーズ、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、分枝状ポリマー構造体からなるグループの中から選択することができる。担体としてはビーズが可能である。担体としてはリポソームまたはミクロンビーズが可能である。リポソームとしては単層の小胞が可能である。小胞は平均直径を150〜300ナノメートルにすることができる。リポソームは内径を200ナノメートルにすることができる。担体としてはデンドリマーが可能である。デンドリマーは、DNA、RNA、PNAからなるグループの中から選択した巨大分子と接触させることができる。巨大分子としては、長さがヌクレオチド20〜300個のオリゴヌクレオチドが可能である。
特異的結合分子は、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、オリゴヌクレオチドからなるグループの中から選択することができる。特異的結合分子としては結合タンパク質が可能である。結合タンパク質としてはDNA結合タンパク質が可能である。DNA結合タンパク質は、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフからなるグループの中から選択したモチーフを含むことができる。
特異的結合分子としてはオリゴヌクレオチドが可能である。オリゴヌクレオチドは、長さをヌクレオチド10〜40個にすることができる。オリゴヌクレオチドは、長さをヌクレオチド16〜25個にすることができる。オリゴヌクレオチドとしてはペプチド核酸が可能である。オリゴヌクレオチドは、標的配列との間に三重螺旋を形成することができる。オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドを標的配列と共有結合させることのできるソラーレン誘導体を含むことができる。
特異的結合分子としては抗体が可能である。抗体はタンパク質と結合することができる。ブロックとしては、オリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識、あるいはこれらの任意の組み合わせが可能である。特異的結合分子と担体は共有結合することができる。担体とブロックは共有結合することができる。特異的結合分子は第1のオリゴヌクレオチドを含むことができ、担体は、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることのできる第2のオリゴヌクレオチドを含むことができる。第1のオリゴヌクレオチドは、タンパク質に結合する抗体に結合することができる。
本明細書には、特異的結合分子と担体とブロック群(ただしブロック群は複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる)を含む分析物を検出するための組成物も開示してある。レポータ信号は共通特性を持つことができる。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
共通特性を質量-電荷比にし、質量を変えることによってレポータ信号を変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。レポータ信号の質量は、断片化によって変えることができる。レポータ信号は、電荷を変えることによっても変えることができる。共通特性を質量-電荷比にし、電荷を変えることによってレポータ信号を変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。ブロック群は、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。ブロック群は10個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。
レポータ信号としては、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、ポリマー、オリゴペプチド、ペプチド核酸のいずれかが可能である。レポータ信号には特異的結合分子を付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号に異なった特異的結合分子を付着または結合させることができる。レポータ信号にはデコード用タグを付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号に異なったデコード用タグを付着または結合させることができる。レポータ信号はペプチドを含むことができる。ペプチドは質量-電荷比が同じでよい。ペプチドは同じアミノ酸組成にすることができる。ペプチドは同じアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、配置状態の異なる重い同位体を含むことができる。それぞれのレポータ分子は、配置状態の異なる置換基を含むことができる。それぞれのペプチドは、異なるアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、異なる位置に不安定な結合または切れやすい結合を持つことができる。
レポータ信号は、タンパク質またはペプチドと結合させることができる。共通特性により、標識したタンパク質をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。共通特性がアフィニティ・タグである必要はない。1つ以上のアフィニティ・タグをレポータ信号に結合させることができる。担体は、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、分枝状ポリマー構造体からなるグループの中から選択することができる。担体としてはリポソームが可能である。リポソームとしては単層の小胞が可能である。小胞は平均直径を150〜300ナノメートルにすることができる。リポソームは内径を200ナノメートルにすることができる。
担体としてはデンドリマーが可能である。デンドリマーは、DNA、RNA、PNAからなるグループの中から選択した巨大分子と接触させることができる。巨大分子としては、長さがヌクレオチド20〜300個のオリゴヌクレオチドが可能である。特異的結合分子は、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、オリゴヌクレオチドからなるグループの中から選択することができる。特異的結合分子としては結合タンパク質が可能である。結合タンパク質としてはDNA結合タンパク質が可能である。DNA結合タンパク質は、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフからなるグループの中から選択したモチーフを含むことができる。
特異的結合分子としてはオリゴヌクレオチドが可能である。オリゴヌクレオチドは、長さをヌクレオチド10〜40個にすることができる。オリゴヌクレオチドは、長さをヌクレオチド16〜25個にすることができる。オリゴヌクレオチドとしてはペプチド核酸が可能である。オリゴヌクレオチドは、標的配列との間に三重螺旋を形成することができる。オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドを標的配列と共有結合させることのできるソラーレン誘導体を含むことができる。特異的結合分子としては抗体が可能である。抗体はタンパク質と結合することができる。ブロックは、オリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識、ならびにこれらの任意の組み合わせからなるグループの中から選択することが可能である。
ブロックとしてはペプチド核酸が可能である。ブロックは、核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる。核酸配列の長さは、ヌクレオチド10〜35個にすることができる。核酸配列の長さは、ヌクレオチド15〜20個にすることができる。ブロックは、以下のグループの中から選択した方法を用いて検出することができる。その方法とは、核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、表面増強ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、蛍光、リン光、化学発光、共鳴ラマン、マイクロ波、質量分析、質量分析電気泳動クロマトグラフィ、あるいはこれらの任意の組み合わせである。
ブロックは、MALDI-TOF質量分析によって検出することができる。特異的結合分子と担体は共有結合させることができる。担体とブロックは共有結合させることができる。特異的結合分子は第1のオリゴヌクレオチドを含むことができ、担体は、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることのできる第2のオリゴヌクレオチドを含むことができる。第1のオリゴヌクレオチドは、タンパク質に結合する抗体と共役することができる。ブロックとしては同重核ブロックが可能である。
本明細書には、複数の検出部を備える検出部セットも開示してある。それぞれの検出部は、特異的結合分子と、担体と、ブロック群とを含んでいる。ただしブロック群は複数のブロックを含んでおり、それぞれのブロック群は組成が異なる複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる。それぞれのブロック群は同数のブロックを含むことができる。すべてのブロック群が同数のブロックを含んでいる必要はない。それぞれのブロック群は、異なるアイデンティティ組成のブロックを含むことができる。ブロックは同じ量の組成物を含むことができる。すべてのブロックが同じ量の組成物を含んでいる必要はない。アイデンティティ組成が同じブロックを含むブロック群は、組成物の量が異なるブロックを含むことができる。レポータ信号は共通特性を持つことができる。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
共通特性を質量-電荷比にし、質量を変えることによってレポータ信号を変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。レポータ信号の質量は、断片化によって変えることができる。レポータ信号は、電荷を変えることによっても変えることができる。共通特性を質量-電荷比にし、電荷を変えることによってレポータ信号を変えることができる。変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別することができる。
検出部セットを含むレポータ信号は、レポータ信号セットを含むことができる。その場合にレポータ信号セットは、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。レポータ信号セットは10個以上の異なるレポータ信号を含むことができる。レポータ信号としては、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、ポリマー、オリゴペプチド、ペプチド核酸のいずれかが可能である。レポータ信号は、特異的結合分子に付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号は、異なる特異的結合分子に付着または結合させることができる。
レポータ信号はデコード用タグに付着または結合させることができる。その場合、それぞれのレポータ信号は、異なるデコード用タグに付着または結合させることができる。レポータ信号は、質量-電荷比が同じペプチドを含むことができる。ペプチドは同じアミノ酸組成を持つことができる。ペプチドは同じアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、配置状態の異なる重い同位体を含むことができる。それぞれのレポータ分子は、配置状態の異なる置換基を含むことができる。それぞれのペプチドは、異なるアミノ酸配列を持つことができる。それぞれのペプチドは、異なる位置に不安定な結合または切れやすい結合を持つことができる。
レポータ信号は、タンパク質またはペプチドに結合させることができる。共通特性により、標識したタンパク質を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。共通特性がアフィニティ・タグである必要はない。1つ以上のアフィニティ・タグをレポータ信号に結合させることができる。
本明細書には、複数のブロック群を含むブロック群セットも開示してある。ただしそれぞれのブロック群は複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は共通特性を備えている。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
本明細書には、複数のブロックを含むブロック・セットも開示してある。ただしブロックはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は共通特性を備えている。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
本明細書には、検出部セットを含むキットも開示してある。ただし検出部セットは複数の検出部を備えており、それぞれの検出部は、特異的結合分子と、担体と、ブロック群とを含んでいる。ただしブロック群は複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は共通特性を持つことができる。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
本明細書には、検出部セットと標的サンプルを含む混合物も開示してある。ただし検出部セットは複数の検出部を含んでおり、それぞれの検出部は、特異的結合分子と、担体と、ブロック群とを含んでいる。ただしブロック群は複数のブロックを含んでおり、ブロックはレポータ信号を含んでいる。レポータ信号は共通特性を持つことができる。この共通特性により、レポータ信号を、この共通特性を欠く分子から区別または分離することができる。ただしレポータ信号は変えることができ、変えられた形態のそれぞれのレポータ信号は、変えられた他のすべての形態のレポータ信号から区別することができる。
A.実施例1
4095種類の抗体をビーズ1個につき1つの特異的抗体となるようにして用いた単一のタンパク質サンプルのコンビナトリアル・コード化ビーズ分析。結合タンパク質の読み出しは直接的である。この実施例では、検出部は、抗体と質量タグが結合したビーズを含んでいる。ビーズが担体であり、抗体が特異的結合分子であり、質量タグがブロック群を構成するブロックである。質量タグは同重核レポータ信号である。簡単化のため、この実施例では検出部を“ビーズ”と呼ぶ。しかしこの“ビーズ”は、抗体と質量タグが結合したビーズである。
1.12種類の同重核質量タグを混合することによって多数の組み合わせを作り、その中から同重核質量タグ(すなわち同重核ブロック、より詳細には同重核レポータ信号)の唯一の組み合わせを共有結合させることにより、いろいろなクラスのビーズ(すなわちいろいろなクラスの検出部)を別々の容器に用意する。タグの可能な組み合わせの数は4095である。次に、コード化したそれぞれのクラスのビーズ(すなわちそれぞれのクラスの検出部)を誘導体化して特異的抗体を共有結合させる。このプロセスを合計で4095種類の異なる抗体に対して繰り返す。ビーズ/質量タグ/抗体が合体した構造体が1つのビーズ検出部になる。
2.2〜4095種類のうちの任意の種類のビーズ検出部(1種類につき100個のビーズ)を1つの反応容器の中で混合し、生物サンプルと接触させる。生物サンプルは、細い針による前立腺からの吸引物に由来する細胞ライセートを含んでいる。
3.ビーズを洗浄し、凝集または集合化が起こらないようにしてMALDIプレート上に広げ、マトリックスでコーティングする。プレートを質量分析器の中に入れる。この質量分析器は、レーザー・ショットを個々のビーズに対し、ビデオ・ガイダンスを用いて確実に、あるいはラスター・マトリックスを用いて確率的に向けることができる。
4.タグをデコードするため、タンデム質量分析器の中でMALDI分析を行なう。そのとき四重極装置を利用して単一イオン・フィルタリングを行ない、その後に衝突段でイオンを断片化し、最後に、元の単一イオンから生成するペプチド断片のTOF質量分析を行なう。第2段においては、TOF測定の信号対雑音比が従来のMS実験よりもはるかに大きい。それぞれのクラスのビーズの表面で起こる質量タグの唯一の組み合わせ(すなわちブロックの唯一の組み合わせ)をMS/MS質量スペクトルからデコードする。
5.次に質量分析器を単一次元MS-TOFモードに切り換え、新しいシリーズのレーザー・ショットを同じビーズに対して実行し、以前にデコードした単一ビーズの表面に抗体が結合したタンパク質のスペクトルを収集する。
6.可動段を移動させ、異なる4095種類のクラスそれぞれのビーズが少なくとも1回、好ましくは複数回にわたって調べられるよう、MALDIプロセスのステップ4と5を合計で30,000個のビーズについて繰り返す。
B.実施例2
4095種類の抗体をビーズ1個につき1つの特異的抗体となるようにして用い、32種類のタグでコード化したタンパク質サンプルのコンビナトリアル・コード化ビーズ分析。この実施例では、検出部は、抗体と質量タグが結合したビーズを含んでいる。ビーズが担体であり、抗体が特異的結合分子であり、質量タグがブロック群を構成するブロックである。質量タグは同重核レポータ信号である。簡単化のため、この実施例では検出部を“ビーズ”と呼ぶ。しかしこの“ビーズ”は、抗体と質量タグが結合したビーズである。この実施例では、多重タグ分析とこの明細書に開示した方法を組み合わせる。
1.12種類の同重核質量タグを混合することによって多数の組み合わせを作り、その中から同重核質量タグ(すなわち同重核ブロック、より詳細には同重核レポータ信号)の唯一の組み合わせを共有結合させることにより、いろいろなクラスのビーズ(すなわちいろいろなクラスの検出部)を別々の容器に用意する。タグの可能な組み合わせの数は4095である。次に、コード化したそれぞれのクラスのビーズを誘導体化して特異的抗体を共有結合させる。このプロセスを合計で4095種類の異なる抗体に対して繰り返す。
2.ビーズを1つの反応容器の中で混合し、複雑な生物サンプルと接触させる。このサンプルは、以前に調製したコード化した32種類のサンプルの混合物を含んでいる。32個のサンプルのそれぞれは、PCT出願公開WO 00/68434に記載されているように、特異的結合分子とオリゴヌクレオチドを含む32種類の異なるレポータ分子のうちの1つを用いて共有結合による標識を行なうことによってコード化する。
3.サンプルを結合させた後、ビーズを洗浄し、32種類のPNA-ペプチド・キメラ・デコード用タグを含む溶液に接触させる。32種類のPNA-ペプチド・キメラは互いに同重核であり、それぞれが、タンパク質サンプルに結合した唯一の対応するレポータ分子を特異的に認識することができる。
4.ビーズを洗浄し、MALDIプレート上に広げ、マトリックスでコーティングする。プレートを質量分析器の中に入れる。この質量分析器は、レーザー・ショットを個々のビーズに対し、ビデオ・ガイダンスを用いて確実に、あるいはラスター・マトリックスを用いて確率的に向けることができる。
5.ビーズ・タグのデコード(すなわち検出部のデコードまたはブロック群のデコード)を行なうため、MALDI-TOF分析をタンデム質量分析器の中で実施する。そのとき四重極装置を利用して単一イオン・フィルタリングを行ない、その後に衝突段でイオンを断片化し、最後に、元の単一イオンから生成するペプチド断片のTOF質量分析を行なう。それぞれのクラスのビーズの表面で起こる質量タグの唯一の組み合わせをMS/MS質量スペクトルからデコードする。
6.次に四重極装置の単一イオン・フィルタを(同重核である)32種類のPNA-ペプチド・キメラ・デコード用タグの質量に切り換え、新しいシリーズのレーザー・ショットを同じビーズに対して当て、単一ビーズの表面に抗体が結合した32種類のタグ・タンパク質の信号スペクトルを収集する。したがってタグ・デコード分析により、単一のビーズに結合した唯一の抗体に結合する標識したタンパク質について、あらかじめ混合した32種類の生物サンプルすべてに対応する信号プロファイルが生成する。デコード用タグによって関係するサンプルが同定され、ビーズ・コード化タグ(すなわちビーズ上のブロック)によってビーズが同定されるため、関係するタンパク質が同定される。
7.可動段を移動させ、異なる4095種類のクラスそれぞれのビーズが少なくとも1回、好ましくは複数回にわたって調べられるよう、MALDIプロセスのステップ4と5を合計で30,000個のビーズについて繰り返す。
8.分析により、32サンプルについての1回の実験で32×4095=131,040通りのタンパク質発現値からなるタンパク質プロファイルが生成する。しかし合計で30,000個のビーズを分析しているため、ほとんどの抗体についてかなり過剰なサンプリング(3〜7倍)が存在している(データ点の合計数は32×30,000=960,000)。
C.実施例3
4095種類の抗体をビーズ1個につき1つの特異的抗体となるようにして用い、32種類のタグでコード化したタンパク質サンプルのコンビナトリアル・コード化ビーズ分析。この実施例では、検出部は、抗体と質量タグが結合したビーズを含んでいる。ビーズが担体であり、抗体が特異的結合分子であり、質量タグがブロック群を構成するブロックである。質量タグは同重核レポータ信号である。簡単化のため、この実施例では検出部を“ビーズ”と呼ぶ。しかしこの“ビーズ”は、抗体と質量タグが結合したビーズである。この実施例は実施例2と似ているが、この実施例では、デコード用タグとビーズ・コード化用タグ(すなわち質量タグ)が同じ同重核セット(すなわちデコード用タグと質量タグはすべて同重核である)に属している。
1.同重核である12種類のPNA-ペプチド質量タグを混合することによって多数の組み合わせを作り、その中から同重核質量タグ(すなわち同重核ブロック、より詳細には同重核レポータ信号)の唯一の組み合わせを共有結合させることにより、いろいろなクラスのビーズ(すなわちいろいろなクラスの検出部)を別々の容器に用意する。タグの可能な組み合わせの数は4095である。次に、コード化したそれぞれのクラスのビーズを誘導体化して特異的抗体を共有結合させる。このプロセスを合計で4095種類の異なる抗体に対して繰り返す。
2.ビーズを1つの反応容器の中で混合し、複雑な生物サンプルと接触させる。このサンプルは、以前に調製したコード化した32種類のサンプルの混合物を含んでいる。32個のサンプルのそれぞれは、PCT出願公開WO 00/68434に記載されているように、特異的結合分子とオリゴヌクレオチドを含む32種類の異なるレポータ分子のうちの1つを用いて共有結合による標識を行なうことによってコード化する。
3.サンプルを結合させた後、ビーズを洗浄し、32種類のPNA-ペプチド・キメラ・デコード用タグを含む溶液に接触させる。32種類のPNA-ペプチド・キメラは互いに同重核であり、それぞれが、タンパク質サンプルに結合した唯一の対応するレポータ分子を特異的に認識することができる。さらに、32個のPNA-ペプチド・キメラは、ビーズをコード化している12個の質量タグと同様、同じ同重核セットのメンバーでもある(すなわちこれらキメラは質量タグと同重核である)ため、合計で44個の成分が同重核になる。
4.ビーズを洗浄し、MALDIプレート上に広げ、マトリックスでコーティングする。プレートを質量分析器の中に入れる。この質量分析器は、レーザー・ショットを個々のビーズに対し、ビデオ・ガイダンスを用いて確実に、あるいはラスター・マトリックスを用いて確率的に向けることができる。
5.ビーズ・タグのデコード(すなわち検出部のデコードまたはブロック群のデコード)を行なうため、MALDI-TOF分析をタンデム質量分析器の中で実施する。そのとき四重極装置を利用して単一イオン・フィルタリングを行ない、その後に衝突段でイオンを断片化し、最後に、元の単一イオンから生成するペプチド断片のTOF質量分析を行なう。それぞれのクラスのビーズの表面で起こる質量タグの唯一の組み合わせをMS/MS質量スペクトルからデコードする。同じ四重極装置の読み出しにより、PNA-ペプチド・キメラ・デコード用タグを同定することができる。したがって同じ読み出しの一部として、(32個のサンプルから)1個のビーズの表面に抗体が結合した32個のタグ付きタンパク質の信号スペクトルが得られる。したがって多重タグ・デコード分析により、1個のビーズに結合した唯一の抗体に結合する標識したタンパク質について、あらかじめ混合した32個の生物サンプルに対応する多重タグ分析信号プロファイルが生成する。デコード用タグによって関係するサンプルが同定され、ビーズをコード化するタグ(すなわちビーズ上のブロック)によってビーズが同定され、したがって関係するタンパク質が同定される。
6.可動段を移動させ、異なる4095種類のクラスそれぞれのビーズが少なくとも1回、好ましくは複数回にわたって調べられるよう、MALDIプロセスのステップ4と5を合計で30,000個のビーズについて繰り返す。
分析により、32サンプルについての1回の実験で32×4095=131,040通りのタンパク質発現値からなるタンパク質プロファイルが生成する。しかし合計で30,000個のビーズを分析しているため、ほとんでの抗体についてかなり過剰なサンプリング(3〜7倍)が存在している(データ点の合計数は32×30,000=960,000)。
本明細書に開示した本発明が本明細書に説明した特定の方法、プロトコル、試薬に限定されることはなく、別の形態でもよいことを理解する必要がある。本明細書で用いた用語は特定の実施態様を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定する意図はないことも理解する必要がある。本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ画される。
本明細書と添付の請求項では、特に断わらない限り、単数形には複数形も含まれることに注意する必要がある。したがって例えば“1個の宿主細胞”には複数のそのような宿主細胞が含まれ、“その1つの抗体”は、1つ以上の抗体や当業者に知られているその等価物を意味しているといった具合である。
本発明は、本発明の好ましい実施態様に関する上記の詳しい説明、その説明に含まれる実施例や、図面とその前後の説明を参照することによってより容易に理解できよう。特に断わらない限り、本発明が特定の合成法、バイオテクノロジーの特定の組み換え法、特定の試薬に限定されることはなく、これらはもちろん別の形態でもよいことを理解する必要がある。また、本明細書で使用する用語は特定の実施態様を説明することだけを目的としており、その用語によって本発明を制限する意図がないことも理解する必要がある。
本明細書では、範囲は、“約”を付けた1つの特定の値から、“約”を付けた別の特定の値までで表現することができる。そのように範囲を表現する場合、別の実施態様にはその1つの特定の値から別の特定の値までが含まれる。同様に、“約”を前に付けて数値をおおまかに表現する場合には、特定した値は別の実施態様を形成することを理解する必要がある。さらに、それぞれの範囲の端点は、他方の端点との関係で重要であると同時に、他方の端点とは独立にも重要である。“場合によっては”は、その後に説明する事象または状況が起こらない可能性があり、説明にはその事象または状況がが起こる場合と起こらない場合が含まれることを意味する。
本明細書には、本明細書に開示した組成物の調製に使用する成分とその組成物そのもののほか、本明細書に開示した方法で使用する成分が開示してある。これらの材料ならびにその他の材料が本明細書に開示されており、これら材料の組み合わせ、一部、相互作用、集合などが開示してある場合や、これら材料の組み合わせや順番のそれぞれについて明示的に開示する必要がない場合にも、本明細書においては個々のものが具体的に考慮され、説明されているものと理解する必要がある。例えばある特定の検出部、担体、ブロック群、ブロックについて開示して議論し、多数の分子(例えば検出部、担体、ブロック群、ブロック)に対してなすことのできる多数の修飾について議論している場合、具体的に考えているのは、特に断わらない限り、検出部、担体、ブロック群、ブロックのあらゆる組み合わせと順序の1つ1つについてであり、可能な修飾についてである。したがって分子のクラスA、B、Cと分子のクラスD、E、Fが開示され、分子の組み合わせの一例A-Dが開示してある場合には、たとえ個々のものに言及されていなくとも、個々のものがすべて考慮されている。これは、組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、C-Fが考慮され、開示されていることを意味する。同様に、これらの任意の一部または組み合わせも開示されている。したがって、例えば全体の一部であるA-E、B-F、C-Eが考慮され、開示されていることになろう。この考え方は、本明細書のすべての点、例えば本明細書に開示した組成物の製造方法と使用方法におけるステップなどに当てはまる。したがって実行可能ないろいろな追加ステップが存在している場合、本明細書に開示した方法の具体的な任意の実施態様または実施態様の組み合わせにおいて、その追加ステップのそれぞれを実行できるものと理解する必要がある。
特に断わらない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は、本明細書に開示した発明の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本発明を実施したりテストしたりする際には本明細書で説明したのと似た、あるいは同等な任意の方法や材料を使用することが可能であるが、ここには好ましい方法、装置、材料が説明してある。本明細書で引用した文献や材料は、明確に援用されているものとする。先行の発明があるために本発明がそのような開示に先行する資格はないということを自白すると解させるものは、本明細書にはまったく存在しない。
当業者であれば、ルーチンの実験以上のものは利用せずに、本明細書で説明した本発明の具体的な実施態様に対する多くの等価物を思いついたり確認したりすることができよう。そのような等価物は添付の請求項に包含される。
本明細書に開示した検出部の要素を示すダイヤグラムである。検出部101は担体102で構成されており、その担体に特異的結合分子103とブロック群104が結合する。ブロック群104は複数のブロック105で構成されている。

Claims (116)

  1. 分析物を検出する方法であって、
    特異的結合分子と、担体と、複数のブロックを含むブロック群とをそれぞれが含む1つ以上の検出部を、1つ以上の標的サンプルに結合させ、
    上記ブロック群を検出する操作を含む前記方法。
  2. 前記複数のブロックが同じ量の組成物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数のブロックが必ずしも同じ量の組成物を含まない、請求項1に記載の方法。
  4. 複数の検出部に1つ以上の標的サンプルが結合し、各検出部のブロック群が、組成の異なる複数のブロックを有する、請求項1に記載の方法。
  5. 各ブロック群が同数のブロックを有する、請求項4に記載の方法。
  6. 各ブロック群が必ずしも同数のブロックを含まない、請求項4に記載の方法。
  7. 各ブロック群が、アイデンティティ組成の異なるブロックを有する、請求項4に記載の方法。
  8. 前記複数のブロックが同じ量の組成物を含む、請求項4に記載の方法。
  9. 前記複数のブロックが必ずしも同じ量の組成物を含まない、請求項4に記載の方法。
  10. アイデンティティ組成が同じ複数のブロックを有するブロック群が、量組成が異なる複数のブロックを有する、請求項4に記載の方法。
  11. 前記複数のブロックがペプチド核酸である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記複数のブロックが、オリゴヌクレオチド・レポータ・タグに特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記オリゴヌクレオチド・レポータ・タグの長さがヌクレオチド10〜35個である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記オリゴヌクレオチド・レポータ・タグの長さがヌクレオチド15〜20個である、請求項12に記載の方法。
  15. 核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、表面増強ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、蛍光、リン光、化学発光、共鳴ラマン、マイクロ波、質量分析、質量分析電気泳動クロマトグラフィ、あるいはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法によって上記ブロックを検出することが可能である、請求項1に記載の方法。
  16. MALDI-TOF質量分析によって前記複数のブロックを検出できる、請求項1に記載の方法。
  17. 前記複数のブロックが同重核ブロックである、請求項1に記載の方法。
  18. 複数の検出部に1つ以上の標的サンプルが結合し、各検出部のブロック群が、組成の異なる複数のブロックを有する、請求項17に記載の方法。
  19. すべての検出部のすべてのブロックが同じ質量-電荷比を有する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記複数のブロックは、その質量と電荷のいずれかまたは両方を変えることによって変化させることができ、変化した形態のブロックは、その変化した形態のブロックの質量-電荷比の違いによって互いに区別することが可能である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記担体は、ビーズ、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、分枝状ポリマー構造体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
  22. 前記担体がビーズである、請求項1に記載の方法。
  23. 前記担体がリポソームまたはマイクロビーズである、請求項1に記載の方法。
  24. 前記リポソームが単層の小胞である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記小胞の平均直径が150〜300ナノメートルである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記リポソームの内径が200ナノメートルである、請求項21に記載の方法。
  27. 前記担体がデンドリマーである、請求項1に記載の方法。
  28. 前記デンドリマーを、DNA、RNA、PNAからなる群から選択される巨大分子と接触させる、請求項27に記載の方法。
  29. 前記巨大分子が、長さがヌクレオチド20〜300個のオリゴヌクレオチドである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記特異的結合分子が、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、オリゴヌクレオチドからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
  31. 前記特異的結合分子が結合タンパク質である、請求項1に記載の方法。
  32. 前記結合タンパク質がDNA結合タンパク質である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記DNA結合タンパク質が、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフからなる群の中から選択されるモチーフを含む、請求項31に記載の方法。
  34. 前記特異的結合分子がオリゴヌクレオチドである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記オリゴヌクレオチドの長さがヌクレオチド10〜40個である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記オリゴヌクレオチドの長さがヌクレオチド16〜25個である、請求項33に記載の方法。
  37. 前記オリゴヌクレオチドがペプチド核酸である、請求項33に記載の方法。
  38. 前記オリゴヌクレオチドが標的配列との間で三重螺旋を形成する、請求項33に記載の方法。
  39. 前記オリゴヌクレオチドが、そのオリゴヌクレオチドを標的配列と共有結合させることのできるソラーレン誘導体を含む、請求項33に記載の方法。
  40. 前記特異的結合分子が抗体である、請求項1に記載の方法。
  41. 前記抗体がタンパク質と結合する、請求項40に記載の方法。
  42. 前記ブロックが、オリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識、あるいはこれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  43. 前記特異的結合分子と上記担体が共有結合する、請求項1に記載の方法。
  44. 前記担体と上記ブロックが共有結合する、請求項1に記載の方法。
  45. 前記特異的結合分子と上記担体が共有結合する、請求項44に記載の方法。
  46. 前記特異的結合分子が第1のオリゴヌクレオチドを含み、上記担体が、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることのできる第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  47. 前記第1のオリゴヌクレオチドが、タンパク質と結合する抗体と結合する、請求項46に記載の方法。
  48. 特異的結合分子と、担体と、ブロック群とを含む分析物を検出するための組成物。
  49. 前記担体が、ビーズ、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、分枝状ポリマー構造体からなる群から選ばれる、請求項48に記載の組成物。
  50. 前記担体がリポソームである、請求項48に記載の組成物。
  51. 前記リポソームが単層の小胞である、請求項50に記載の組成物。
  52. 前記小胞の平均直径が150〜300ナノメートルである、請求項51に記載の組成物。
  53. 前記リポソームの内径が200ナノメートルである、請求項50に記載の組成物。
  54. 前記担体がデンドリマーである、請求項48に記載の組成物。
  55. 前記デンドリマーを、DNA、RNA、PNAからなる群から選択される巨大分子と接触させる、請求項54に記載の組成物。
  56. 前記巨大分子が、長さがヌクレオチド20〜300個のオリゴヌクレオチドである、請求項55に記載の組成物。
  57. 前記特異的結合分子が、抗体、リガンド、結合タンパク質、受容体タンパク質、ハプテン、アプタマー、炭水化物、合成ポリアミド、オリゴヌクレオチドからなる群から選ばれる、請求項48に記載の組成物。
  58. 前記特異的結合分子が結合タンパク質である、請求項48に記載の組成物。
  59. 前記結合タンパク質がDNA結合タンパク質である、請求項58に記載の組成物。
  60. 前記DNA結合タンパク質が、ジンクフィンガー・モチーフ、ロイシンジッパー・モチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフからなる群の中から選択されるモチーフを含む、請求項58に記載の組成物。
  61. 前記特異的結合分子がオリゴヌクレオチドである、請求項48に記載の組成物。
  62. 前記オリゴヌクレオチドの長さがヌクレオチド10〜40個である、請求項61に記載の組成物。
  63. 前記オリゴヌクレオチドの長さがヌクレオチド16〜25個である、請求項61に記載の組成物。
  64. 前記オリゴヌクレオチドがペプチド核酸である、請求項61に記載の組成物。
  65. 前記オリゴヌクレオチドが標的配列との間で三重螺旋を形成する、請求項61に記載の組成物。
  66. 前記オリゴヌクレオチドが、そのオリゴヌクレオチドを標的配列と共有結合させることのできるソラーレン誘導体を含む、請求項65に記載の組成物。
  67. 前記特異的結合分子が抗体である、請求項48に記載の組成物。
  68. 前記抗体がタンパク質と結合する、請求項67に記載の組成物。
  69. 前記ブロックが、オリゴヌクレオチド、炭水化物、合成ポリアミド、ペプチド核酸、抗体、リガンド、タンパク質、ハプテン、ジンクフィンガー、アプタマー、質量標識、あるいはこれらの任意の組み合わせである、請求項48に記載の組成物。
  70. 前記ブロックがペプチド核酸である、請求項48に記載の組成物。
  71. 前記ブロックが、オリゴヌクレオチド・レポータ・タグと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項48に記載の組成物。
  72. 前記オリゴヌクレオチド・レポータ・タグの長さがヌクレオチド10〜35個である、請求項71に記載の組成物。
  73. 前記オリゴヌクレオチド・レポータ・タグの長さがヌクレオチド15〜20個である、請求項71に記載の組成物。
  74. 核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、表面増強ラマン散乱、表面プラズモン共鳴、蛍光、リン光、化学発光、共鳴ラマン、マイクロ波、質量分析、質量分析電気泳動クロマトグラフィ、あるいはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法によって上記ブロックを検出することが可能である、請求項48に記載の組成物。
  75. MALDI-TOF質量分析によって上記ブロックを検出できる、請求項48に記載の組成物。
  76. 前記特異的結合分子と上記担体が共有結合する、請求項48に記載の組成物。
  77. 前記担体と上記ブロックが共有結合する、請求項48に記載の組成物。
  78. 前記特異的結合分子と上記担体が共有結合する、請求項77に記載の組成物。
  79. 前記特異的結合分子が第1のオリゴヌクレオチドを含み、上記担体が、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることのできる第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項48に記載の組成物。
  80. 前記第1のオリゴヌクレオチドが、タンパク質と結合する抗体と結合する、請求項79に記載の組成物。
  81. 前記ブロックが同重核ブロックである、請求項48に記載の組成物。
  82. 複数の検出部を備える検出部セットであって、
    各検出部が、特異的結合分子と、担体と、複数のブロックを含むブロック群とを含み、それぞれのブロック群が組成の異なる複数のブロックを有する前記セット。
  83. 各ブロック群が同数のブロックを有する、請求項82に記載のセット。
  84. 各ブロック群が必ずしも同数のブロックを含まない、請求項82に記載のセット。
  85. 各ブロック群が、アイデンティティ組成の異なるブロックを有する、請求項82に記載のセット。
  86. 前記複数のブロックが同じ量の組成物を含む、請求項82に記載のセット。
  87. 前記複数のブロックが必ずしも同じ量の組成物を含まない、請求項82に記載のセット。
  88. アイデンティティ組成が同じ複数のブロックを有するブロック群が、量組成が異なる複数のブロックを有する、請求項82に記載のセット。
  89. 前記複数のブロックがレポータ信号を含み、
    このレポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性によってレポータ信号をこの共通特性を欠く分子と区別すること、あるいは分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別できる、請求項82に記載のセット。
  90. 前記共通特性が質量-電荷比であり、前記レポータ信号は、その質量を変えることによって変えられており、変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別できる、請求項89に記載のセット。
  91. 前記レポータ信号の質量が断片化によって変えられている、請求項90に記載のセット。
  92. 前記レポータ信号が変化することによってその電荷も変化する、請求項90に記載のセット。
  93. 前記共通特性が質量-電荷比であり、前記レポータ信号は、その電荷を変えることによって変えられており、変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別できる、請求項89に記載のセット。
  94. 2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上の異なるレポータ信号を含む、請求項89に記載のセット。
  95. 10個以上の異なるレポータ信号を含む、請求、請求項89に記載のセット。
  96. 前記レポータ信号が、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、ポリマー、オリゴペプチド、ペプチド核酸のいずれかである、請求項89に記載のセット。
  97. 前記レポータ信号に特異的結合分子が付着または結合しており、各レポータ信号に異なる特異的結合分子が付着または結合している、請求項89に記載のセット。
  98. 前記レポータ信号にデコード用タグが付着または結合しており、各レポータ信号に異なるデコード用タグが付着または結合している、請求項89に記載のセット。
  99. 前記レポータ信号がペプチドを含み、そのペプチドが同じ質量-電荷比を有する、請求項89に記載のセット。
  100. 前記ペプチドが同じアミノ酸組成を有する、請求項99に記載のセット。
  101. 前記ペプチドが同じアミノ酸配列を有する、請求項100に記載のセット。
  102. 各ペプチドが、配置状態の異なる重い同位体を含む、請求項101に記載のセット。
  103. 各レポータ信号ペプチドが、配置状態の異なる置換基を含む、請求項101に記載のセット。
  104. 各ペプチドが異なるアミノ酸配列を有する、請求項100に記載のセット。
  105. 各ペプチドが、異なる位置に不安定な結合または切れやすい結合を有する、請求項100に記載のセット。
  106. 前記レポータ信号がタンパク質またはペプチドと結合している、請求項89に記載のセット。
  107. 前記共通特性により、標識したタンパク質をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができる、請求項89に記載のセット。
  108. 前記共通特性がアフィニティ・タグである、請求項89に記載のセット。
  109. 1つ以上のアフィニティ・タグにレポータ信号が付着している、請求項108に記載のセット。
  110. 複数のブロック群を含んでおり、
    各ブロック群は、レポータ信号を含む複数のブロックを含んでおり、
    上記レポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性により、レポータ信号をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別できる、ブロック群のセット。
  111. 複数のブロックを含んでおり、
    上記ブロックはレポータ信号を含んでおり、
    上記レポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性により、レポータ信号をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別できることを特徴とするブロックのセット。
  112. 検出部のセットを含むキットであって、
    複数の検出部を含んでおり、
    各検出部は、特異的結合分子と、担体と、複数のブロックを含むブロック群とを含む前記キット。
  113. 前記複数のブロックがレポータ信号を含み、
    このレポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性により、レポータ信号をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別できる、請求項112に記載のキット。
  114. 検出部のセットと標的サンプルとを含み、
    この検出部のセットは複数の検出部を含んでおり、各検出部は、特異的結合分子と、担体と、複数のブロックを含むブロック群とを含んでいる混合物。
  115. 前記複数のブロックがレポータ信号を含み、
    このレポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性により、レポータ信号をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別できる、請求項114に記載の混合物。
  116. 分析物を検出する方法であって、
    特異的結合分子と、担体と、ブロック群とをそれぞれが含む1つ以上の検出部を1つ以上の標的サンプルに結合させ、
    上記ブロック群を検出する操作を含み、
    上記ブロック群は複数のブロックを含んでおり、そのブロックはレポータ信号を含んでおり、そのレポータ信号は共通特性を持ち、この共通特性により、レポータ信号をこの共通特性を欠く分子から区別または分離することができ、
    上記レポータ信号は変えることができ、変えられた形態の各レポータ信号は、変えられた他のすべてのレポータ信号から区別でき、
    上記共通特性は質量-電荷比であり、上記レポータ信号は、その質量を変えることによって変えられ、変えられた形態のレポータ信号は、その変えられた形態のレポータ信号の質量-電荷比の違いによって区別でき、
    上記レポータ信号の質量は断片化によって変えられ、
    上記ブロック群は10個以上の異なるレポータ信号を含み、
    上記レポータ信号はペプチドを含み、そのペプチドは、同じ質量-電荷比、同じアミノ酸組成、同じアミノ酸配列を持ち、各ペプチドは配置状態の異なる重い同位体を含むことを特徴とする方法。
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