JP2005512054A - 呼気試験 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は小腸の状態を評価するための診断試験に関するものであり、より具体的にはそれを行なうための呼気試験の使用に関する。
小腸の内膜は、個体の健康および幸福において特に重要な役割を果たしている。そのものは、ヒトの身体における栄養素の取り込みのための主な界面である。大部分のエネルギー取り込みは、小腸に在る刷子縁(brush border)による。該刷子縁の表面積は、腸管内腔中に隆起する絨毛として知られる構造によって最大となる。
ある具体的な態様において、本発明は哺乳動物またはヒトの小腸の内膜の状態を評価する方法に関し、好ましくは
該哺乳動物またはヒトの絶食期間を許容し、
最初の呼気標本を採取し、
指標酵素の許容され得る標識被験基質を投与し(ここで、該指標酵素は小腸に在る腸細胞の刷子縁上で特異的に発現する)、
該指標酵素は実質的に全ての哺乳動物またはヒトの個体群の要素中で恒常的に発現したりおよび存在し、
該標識被験基質を投与後に、1つ以上の更なる呼気標本を採取し、
該呼気標本中の標識二酸化炭素のレベルを確認し、そして、
該被験基質の摂取後の標識二酸化炭素の変化を算出する、
方法、に関すると言うことができる。
最初の呼気標本を採取し、
許容され得る標識被験基質を投与し(ここで、該被験基質はスクロースおよびマルトースからなる群から選ばれる)、
該標識被験基質を投与後に、1つ以上の更なる呼気標本を採取し、
該呼気標本中の標識二酸化炭素のレベルを確認し、
該被験基質の摂取後の標識二酸化炭素の変化を算出し、そして、
該変化を標準と比較して、該評価を行なう、
方法に関すると述べることができる。
(実施例1)
ラットにおける胃腸炎疾患のメトトレキセートモデル
物質および方法
動物
16の成体雄性スプレーグ・ドーリーラットを、研究の期間中、周囲の温度を25℃で、且つ12時間の明−暗周期でテクニプラスト(Techniplast)社製代謝ケージ中に個別に収容した。8ラット(平均体重は、182.4±2.8g)は、3日間の連続した朝に(すなわち、プロトコールの1、2および3日目)、0.9%塩化ナトリウム中のメトトレキセート(Lederle Laboratories, Baulkliam Hills, NSW, 豪州)(2.5mg/kg)の皮下注射を用いて処置した。ラットは、7日間のプロトコール期間中、18%カゼイン食餌を摂食させ、そして自由に水を与えた。残りの8ラット(平均体重は、211.3±4.8g)は、最も重いものから最も軽いものまでメトトレキセート処置のラットに体重を一致させ、そして該7日間のプロトコールの毎日にそれらのメトトレキセート処置対応物によって同量の18%カゼイン食餌を摂食させた。
13C−スクロース呼気試験は、該プロトコールの7日目の朝8時から全てのラットについて行なった。ラットは、標本収集の10分前に、カスタムビルド呼気収集チャンバー(1リットルのパイレックス容器;図1)中に入れた。8分後に該チャンバーを閉じ、そして残りの2分間、人工空気を該チャンバーに入口から供給した。気流は、この2分間の期間中にCO2のチャンバーをフラッシュするのに十分とした。呼気標本収集時には、入口および出口にフィットさせた2方向タップを2分間閉じ、ラットによって呼息されたCO2を蓄積させた。
ラットを、7日目の午後にCO2麻酔下、頚部の脱臼によって犠牲にした。該腹部を正中切開によって開口し、そして該肝臓および胃を切除した。該胃の内容物を、リン酸緩衝生理食塩水(pH 6.0)を用いて十分にフラッシュした。該小腸を氷冷スラブ上に置き、そして3個の切片に分割した。該十二指腸は、胃−十二指腸接合部から十二指腸空腸窩(the ligament of Treitz)までの腸を含有し;十二指腸窩から盲腸までの残りの腸を半分に分割して、同じ長さの空腸および回腸を得た。4cm部を各腸切片から切除し、そしてこのものを液体窒素中で素早く冷蔵し、その後、スクラーゼ活性の測定まで−70℃のフリーザーに移した。各切片の更なる1cmを切除し、そしてこのものをメタカーン(methacarn)固定液中で2時間固定し、70%エタノールに48時間移し、そして組織学的な分析のために、パラフィンワックス中に包埋した(Howarthらによる(1996))。
十二指腸、空腸および回腸由来の組織を、ShiraziおよびBeechley(1991)の方法における第1の2工程に従って、スクラーゼ活性のアッセイのために調製した。要するに、二糖類分解酵素を含有する刷子縁膜を、低浸透圧ショックによって単離し、続いて遠心分離を行なった。酵素調製物のアリコート(3×1mL)を、各ラットの十二指腸、空腸および回腸から得た。解凍するまで、アリコートを液体窒素中に保存し、そしてDahlqvist(1968)の方法によってスクラーゼ活性についてアッセイした。このアッセイは、該酵素調製物に公知の量のスクロース(基質)を30分間かけて添加すること、およびグルコースオキシダーゼを用いてこの期間中に遊離するグルコースの量を測定することを含む。次いで、酵素活性は、該酵素調製物のタンパク質濃度に関連した。これは、Bradford(1976)の方法(該方法は、ウシ血清アルブミンの標準曲線を用いて、該標本中のタンパク質の含有量を確認する)によって決定した。結果として、十二指腸、空腸および回腸の刷子縁膜の代表的なスクラーゼ活性は、37℃、pH6.0で加水分解した基質のμmol/タンパク質mg/時間として測定した。
パラフィンワックス中の組織標本を21μmで横方向に切片し、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色して腸粘膜の構造を曝露し、そして光学顕微鏡によって検査した(Howarthらによる1996)。腸損傷の半定量的な組織学的評価を用いて、小腸の3個の切片における損傷重傷度の総スコアを得た。0〜3個の範囲に及ぶ重傷度スコアを11個の組織学的な特徴について割り付け(表1)、従って、該最大重傷度スコア(33)は最も激しい損傷を示す(Howarthらによる1996)。
表1.メトトレキセート誘発性腸損傷についての重傷度スコアを導くのに使用する組織学的なパラメータ
全ての統計学的な試験の有意性は、p<0.05で設定した。
呼気 13 CO 2 分析
呼気標本は、V410データ収集システムを備えた同位体比質量分析計(IRMS;Europa Scientific, ABCA 20/20, Crewe, 英国)によって分析した。呼気標本の同位体質量分析はデルタ値としての結果を表し、このものは炭酸カルシウムの国際予備規格であるPee-Dee Belemnite石灰石(South Carolina, 米国)(Renesらによる(1997))に相対的な標本中の13C/l2Cの比率(千分率)を意味する。呼気13CO2のベースラインレベルは、スクロースの摂取前に収集した呼気標本のデルタ量を平均化することによって測定した。次いで、13C−スクロース呼気試験からの結果を、間隔サンプリングの期間中、呼気収集の各時点についてのベースラインからの13CO2レベルの変化(すなわち、ベースラインを超えるデルタ量(delta over baseline:DOB)として算出した。「オーバータイムでの呼気13CO2レベルの変化」曲線下の面積(AUC)を、台形則:
AUC=Σ[(DOBt1+DOBt2)/2]×(t2−tl)
を用いて算出した。
AUCデータは、平均値±SEMとして提示する。
スクラーゼ活性をタンパク質(37℃、pH6.0で加水分解した基質μmol/タンパク質mg/時間)に対する比活性として表し、そして平均値±SEMとして提示した。コントロール群またはメトトレキセート処置群のいずれかにおける腸の3個の切片からのスクラーゼ活性を、一元配置分散分析(one-way analysis of variance)およびボンフェローニの多重比較検定(Bonferroni post-hoc test)を用いて比較した。コントロールラットと比較したメトトレキセート処置ラットの十二指腸、空腸および回腸におけるスクラーゼ活性の有意差は、対応のないt−検定を用いて検出した。
組織学的な重傷度スコアを算出し、そして平均値およびレンジとして提示した。対応のない2群の間のノンパラメトリック・マン・ホイットニー検定(unpaired non-parametric Mann-Whitney two-sample test)を用いて、腸の各切片についてのメトトレキセート処置ラットとコントロールとの重傷度スコアを比較した。
ピアソンの偏差積率相関(Pearson's Product-Moment Correlation)を用いて、呼気13CO2レベル(AUC)と小腸の個々の切片(すなわち、十二指腸、空腸および回腸)のインビトロスクラーゼ活性との間の関係を調べた。加えて、呼気13CO2レベル(AUC)をまた、全小腸の平均的なスクラーゼの活性(これは、各切片が示す腸の長さに比例した十二指腸、空腸および回腸のスクラーゼ活性を表し、そしてそれら3つの結果をまとめることによって算出した)に相関させた。
13 C−スクロース呼気試験
図2は、プロトコールの7日目でのコントロールラットおよびメトトレキセートラットにおいてスクロース摂取後の240分間にわたって生成する呼気13CO2レベル(DOB)の増大を比較する。メトトレキセート処置ラットにおいて観察されるAUC(AUC=4.7±0.56)は、コントロールラットのAUC(AUC=15.2±1.2;p<0.001)よりも有意に低かった。
スクラーゼ活性(37℃、pH6.0で加水分解した基質(μmol)/タンパク質mg/時間での比活性)は十二指腸および空腸において同程度であり、そしてコントロールラットの回腸においては有意に低かった(p<0.05;図3)。メトトレキセート処置後の7日目には、スクラーゼ活性は、腸の全ての3切片において有意に低下した(p<0.0005)。メトトレキセート処置ラットにおける腸の3切片の間ではスクラーゼ活性の有意差は全くなかった(p>0.05)。
メトトレキセート処置ラットは、該小腸の全ての3切片においてコントロールラットよりも有意に高い重傷度スコアを示した(p<0.05)(表2)。図4は、メトトレキセートが空腸絨毛構造に及ぼす影響の例を示す。
表2.コントロールラットおよび7日前にメトトレキセート処置したラットに由来の小腸切片の重傷度スコア
*は、コントロールの重傷度スコアからの有意差を示す(p<0.05)。
十二指腸、空腸、回腸および全腸(これは、全ての3切片由来のデータをプールすることによって導く)のスクラーゼ活性を、13C−スクロース呼気試験の結果(AUC)に相関させた(表3)。小腸におけるスクラーゼ活性レベルおよびスクロース摂取後の呼気13CO2レベルの間の最も強い関係を、全腸由来のスクラーゼ活性の表現を用いて見出した。
表3.コントロールラットおよびメトトレキセート処置ラットにおいて、天然スクロースの摂取後の小腸スクラーゼ活性および呼気13CO2レベルの間の関係を示す相関係数
小腸による13C−基質の消化および吸収、並びに続く肝臓中での該13C−産物の代謝により、呼気中で測定可能な13CO2の産生を生じる(Koetseらによる1999;Schoellerらによる1980)。ベースラインレベルに対する呼気13CO2の増大は、小腸による13C−基質の消化および吸収を反映する(Koetseらによる1999;Hieleらによる1988;Macleanらによる1983;Schoellerらによる1980)。
物質および方法
被験者
該研究は、年齢が19〜37齢(平均年齢は22+2齢)で平均体重が65.2+3kgの10の健康で非喫煙の成人(男性:n=2;女性:n=8)を補充した。被験者は、胃腸疾患または肝臓疾患の知られる病歴を全く有しない。該実験に先立ち、該3週間の抗生物質および非ステロイド性抗炎症薬の使用を行ない、そして該実験の保証付き排除に先立ち、急性のアルコール消費を行なった。
被験者は、別々の機会に、水(100mL)中に溶解したスクロース(AnalaR, BDH, MERCK Pty Ltd, Victoria, 豪州)(20g、40gおよび60g)を摂取した。これらの呼気試験の順序は、各被験者にランダムとした。該呼気試験がスクラーゼ活性の抑制を検出することができるかどうかを測定するために、2有志者に、粉砕し且つ水(30mL)中に溶解したスクラーゼインヒビター(アカルボース錠剤、Glucobay(登録商標))(2×100mg)を摂取させ、その直後に水(70mL)中に溶解したスクロース(20g)を摂取させた。
全ての被験者に、試験前の最小8時間および該試験期間の3時間の期間中、絶食を要求した。該被験溶液の摂取の30分後に、少量の水を与えた。被験者は、該被験溶液の摂取直前に、2個のベースライン呼気標本を提供した。該被験溶液の摂取後に、呼気標本を3時間中15分毎に収集した。身体的な活動は、3時間の実験期間中、特に呼気収集時点では避けた。目的(end)の呼息呼気標本は、5×10mLのガラスチューブ(Exetainer, Labco Limited, High Wycombe, 英国)中にストローを通して呼息することによって提供した。これらのチューブは呼気水素含有量の分析のために使用して呼気被験基質の吸収不良を検出し、そして残りの2つのチューブは13CO2分析のために使用してスクラーゼ活性を測定した。
ヒト被験者によって提供された呼気標本は、ガスクロマトグラフィー(Quintron, Model DP Microlyzer, E. F. Brewer Company, Wisconsin)によって水素含有量を分析した。ベースラインを>20百万分率(ppm)だけ超える呼気水素の増大は、基質の吸収不良および続く常在性結腸細菌による発酵を示すものと採られている(Permanらによる1978;Davidsonらによる1985)。
用量応答関係
スクロース摂取後180分間にわたるAUCは、スクロースの用量を20gから40gに(p<0.01)、およびスクロースの用量を20gから60gに(p<0.001)増大させた場合に、有意に増大した。スクロースの用量を40gから60gに増大させた場合には、AUCは変化しなかった(図5)。
スクロース(20g)を摂取させ且つスクラーゼインヒビター(200mg)を摂取させない2水素産生被験者の呼気13CO2(AUC)レベルおよび水素(ppm)レベルを、表4に報告する。インヒビターであるアカルボースが存在する場合には、AUCはそれぞれ57%および93%だけ減少し、一方で呼気水素はそれぞれ最大68ppmおよび79ppmにまで増大した。
表4.スクロース(20g)の摂取に対して応答する際の、スクラーゼインヒビターが呼気13CO2レベルおよび水素レベルに及ぼす影響
摂取した13C−スクロースの用量を20gから40gに、および20gから60gに(40gから60gへの場合は除く)増大させた場合に、呼気13CO2レベルは有意に増大した。被験者は公知の胃腸疾患または肝臓疾患を全く有せずに全て健康であるので、該摂取したスクロースの完全な消化および吸収を仮定した。従って、これらの結果は、スクラーゼ酵素に利用可能な13C−スクロースの量が増大するにつれて、その結果産物の生成が増大することは、呼気13CO2レベルの増大によって反映されるが、最適レベルは20〜40gの間であり得ることを示唆する。
メトトレキセートの異なる経時治療方式がラットに及ぼす影響
3群のラット(n−8)を、メトトレキセートを用いないかまたはメトトレキセートを4日間もしくはメトトレキセートを7日間用いるかのいずれかで、上記実施例1と同様に処置した。該ラットは、240分まで15分間隔で上記の通り、呼気試験した。この結果を、図6に見ることができる。4日間のメトトレキセート処置が7日間のメトトレキセート処置と比較してスクラーゼ活性に及ぼす影響の大きさの明らかな素量的な(quantal)差違が存在する。
アカルボースレベルの変化が 13 CO 2 呼気試験に及ぼす影響
スクロース呼気試験を、13C−スクロースと一緒に摂取したある範囲の濃度のアカルボースを用いて、健康なヒト(n=10)について行なった。実験操作は、実施例2において使用するのと同様とした。経時標本を、摂取の時点から180分まで15分間隔で採取した。該結果を図7に示すことができる。
胃腸炎および胃粘膜炎を有する患者についての予備的データ
実施した試験は、実質的に上記実施例2において記載する通りとした。
図8は、胃腸炎を有する3アボリジニの子供においてスクロース呼気試験の間に呼息された13CO2のパーセントを示す。図9は、10健康なアボリジニの子供の群における同一パラメータを示す。健常者と比較した損傷した粘膜を有する者の間では明白な区別が存在する。病気の子供は、150分間の被験期間にわたってほとんどシグナルを示さない。
粘膜炎についてのマーカーとしてのスクロース呼気試験
方法および物質
被験者
全ての患者は、胃腸疾患または肝臓疾患の公知の病歴を全く有しておらず、そして非糖尿病であった。身長および体重がそれぞれ150.7±3.7cmおよび45.4±3.2kgである5〜17齢(11.2±0.8齢(yr)、平均値±SEM)である26健康な子供(男性:n=11、女性:n=16)を、該研究のために補充した(表6)。コントロール被験者は、試験前の4週間、抗生物質、抗ヒスタミン薬および非ステロイド性抗炎症薬の摂取を断った。
表6.コントロール(n=26)および患者(n=8)の性質。癌診断に関して評価した(n=14)化学療法のサイクル数を示す。
全ての被験者は、試験前の終夜および試験期間の最小4時間の間に、絶食することを要求した。ほんの少量の水を試験期間中に許し、そして少量の食事を4時間後に許した。身体的な活動は、最小に保った。全ての患者において各試験日に、体重および身長を記録した。
26コントロール被験者は、期間内の5時間、2つの完全試験(complete tests)(これは、SIPおよびSBTから構成される)を行なった。両方の完全試験は、各間に最小1週間を空けて2個の別々の機会で行なった。SIPおよびSBTの平均値を、2つの別々の機会(試験1および試験2)、並びに該2つの機会の合わせた平均(TM)として算出した。
患者に1サイクルの化学療法の間参加するように依頼し、そしてできるだけ、第2のサイクル中、該試験を繰り返すように依頼した。4または5個の完全試験のコースを、化学療法のサイクル中に行なった。ベースライン試験を、HD−化学療法の投与の5日前までに行ない(試験1);HD−化学療法の投与後の24時間以内に1日目の試験を行ない(試験2);化学療法後の3〜5日目に行ない(試験3);および化学療法後の6〜9日目に行なった(試験4)。試験5は、試験4を行なった後に、粘膜炎が臨床的に診断された場合にのみ行ない、そして新たな化学療法のサイクルを開始する前に完結させた。8評価可能な癌患者は、14サイクルの化学療法の最終的な評価に寄与した。粘膜炎は互いに独立したあるサイクルの化学療法において発生することができるので、各サイクルの化学療法を個別に評価した。化学療法のサイクルにおける粘膜の発生は、腫瘍学の医師によって独立して評価した(以下を参照)。化学療法のサイクルにおいて臨床的に粘膜を発生しない患者群は「非粘膜炎」と標識し、そして化学療法のサイクルの間に粘膜炎を発生した群は「粘膜炎」と標識した。
1.口腔粘膜の評価
a)口腔粘膜が桃色外形からより白色の外形に変化したか?
b)潰瘍が存在するか?その場合に、数はいくらかおよびそれらが位置するのはどこか?(これは、重傷度を示す)
c)口腔潰瘍と合わせて別の炎症が存在するか?(これは、感染症を示す)
d)患者は歯肉炎を有するか?
e)ヘルペス潰瘍形成が存在するか?口腔の前側に臨床的に見られるか?
2.可能ならば、患者を鼻経路について評価する。
3.肛門の周りの会陰上皮を評価する−隆起、圧通、痛み、潰瘍が存在するか?
4.腹腔の検査:
a)腹腔の鼓腸(bloating)、
b)腹腔の膨満、
c)白痢?頻度?一貫性(consistency)?
d)痛み、
e)腸雑音。
全ての被験者は、試験開始前に彼らの膀胱から排尿した(試験前の標本)。L/Rドリンク(これは、ラクツロースシロップ(Dupholac, SOLVAY-DUPHOV, B. V., オランド国)(7.5mL)およびL−ラムノース(SIGMA, Sigma-Aldrich, 独国)(1.1g)を含有し、そして水(92.5mL)と混合する)を摂取した(t=0時間)。次の5時間の間に排尿された全ての続く尿を収集した。被験者がt=5時間時に膀胱から排尿することができない場合には、排尿された次の尿を収集した。各被験者についてそれぞれの試験日での全ての尿を貯蔵し、そして保存剤としてチメロサール(thiomersal)(10g/L)(0.1mL)を含有する容器中に保存した。次いで、尿の容量を測定し、アリコート(12mL)し、そして分析まで−20℃で保存した。
SIP試験に対してt=1.5時間(SBTベースライン)時に、被験者はストローを用いて3×10mLのガラスチューブ(Exetainer, Labco Limited, High Wycombe, 英国)中に呼息し、標本が目的(end)の呼息からの呼気を含むことを確認した。SBTベースラインサンプリング後に、被験者は水(100mL)中に溶解した13C−スクロース(AnalaR, BDH, MERCK, Pty Ltd, Victoria, 豪州国)(20g)を直ちに摂取した。次いで、3組の呼気標本を、3時間の間、15分毎に採取した。呼気13CO2を分析して、小腸の消化/吸収能を測定した(実施例1)。
アリコートした尿の標本(2mL)を、半分の容量の混合ベッドイオン交換マトリックス(アンバーライト(Amberlite)MB-1樹脂;BDH; Rohm & Haas Company; 米国)を用いて2回処理し、次いでこのものを0.2μmフィルターを通して通過させた。尿糖濃度23に応じて、標本を1/10以上にまで希釈した。尿中のラクツロースおよびラムノースの濃度を、ロイヤル・ダーウィン・ホスピタル(Royal Darwin Hospital)(ダーウィン、豪州国)において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Dionex DX500システム;Dionex Corporation;Sunnyvale, California, 米国)によって測定した。簡単に、炭水化物を、ガードカラムを適合させたカルボパック(Carbopac)PA10アニオン交換カラムを用いて分離した。単糖類の溶出は、最初の7分間、40mM NaOHのアイソクラチック溶出を用いて達成した。7.01分時に、二糖類の溶出のために、このものを100mM NaOHにまでステップアップさせた。19分時に、該カラムを200mM NaOHを用いて5分間洗浄した。完了操作は、流速が0.8mL/分で29分間かけて行なった。クロマトグラムを積分し、そしてピークネット(Peaknet)4.3ソフトウェア23を用いてプロットした。
L/R比(log10)=
((回収ラクツロース%/回収ラムノース%))×100)log10
呼気標本(10mL)を、V410データ収集システムを備えた同位体比分析計(IRMS; Europa Scientific, ABCA 20/20, Crewe, 英国)を用いて13CO2について分析した。結果はデルタ値として提示し、このものは炭酸カルシウムの国際予備規格であるPee-Dee Belemnite石灰石(South Carolina, 米国)(MatthesおよびHayesによる(1979))と比較した13C/l2C比を意味し、これは高い精度で千分率として標本中で読み取る。
1元配置ANOVAをフィッシャー(Fisher)-LSD post-hoc検定と組み合わせて用いて、コントロール群(n=26)、非粘膜炎群(n=8)および粘膜炎群(n=6)の間の全分析についての有意性を測定した。2元配置ANOVAは、SIPおよびSBTについて試験1(T1)および試験2(T2)に関するコントロール被験者の性別および年齢を因子として使用した。L/R比はログ変換して、データを正規化した。p<0.05である場合に、統計的有意差を考慮した。全てのデータを、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表した。
コントロール
該26コントロール被験者のT1およびT2についての平均L/R比は、それぞれ0.572±0.023および0.562±0.029であった。該2つの試験間には、有意な差違は全く観察されなかった。性別および年齢は、T1およびT2についてのL/R比の結果に有意な影響を全く有しなかった。L/Rについて平均した結合平均値(combined mean(TM))は0.57±0.021であり、そしてレンジは0.35−0.79(±2標準偏差(SD))であった。
評価した14の化学療法の完了サイクルのうち、6患者は化学療法のサイクルにおいて粘膜炎を発症し(43%)、そして8は発症しなかった(57%)。これは、医師によって個別に診断される。化学療法後の6〜9日目に(試験3)、化学療法のサイクルにおいて粘膜炎を発症した2患者は、粘膜炎の重傷が原因で被験方法を完了することができなかった(n=4)。
表8.ベースラインでの全被験者の小腸バリヤーおよび吸収機能の評価
粘膜炎は化学療法の一般的な副作用であることがこれまでに示されており、化学療法処置を受けている癌患者の60%までにおいて生じる。粘膜炎は、胃腸(GI)管における病変の潰瘍化を特徴とし、その結果化学療法剤は、速い細胞代謝回転速度を有するセルライン(例えば、GI上皮)に影響を及ぼす(Morelliらによる1996;IjiriおよびPottenによる1983;Ikunoらによる1995)。アポトーシスの増大および増殖の低下が主因で、化学療法が絨毛を平滑末端化(blunting)し、陰窩を浅くし(shallow)そして陰窩細胞の低増殖(hypoproliferation)を引き起こすことが、小腸において知られる(IrijiおよびPottenによる1983;Ikunoらによる1995;Xianらによる2000;Keefeらによる2000)。
メトトレキセート処置ラットにおける葉酸による抑制
方法
実験上の設計
16雌性SPF Dark Agoutiラットを個々の代謝ゲージ中に収容し、そして半合成カゼインベースの食餌および新鮮な水を自由に与えた。食物および水の摂取量、並びに体重を、毎日測定した。0および24時間時に、MTX(1.5mg/kg、i/m)を2回注射した。葉酸カルシウムを、MTX注射2時間前およびその間に、8ラットの飲料水(10mg/m2)に加えた。8ラットにはMTXを与えたが、葉酸処置は全く行なわず、そして4コントロールラットは全く処置しなかった。各処置群由来の4ラットを最初の化学療法の72時間後に殺し、そして他の4は120時間後に殺した。SBTは、化学療法前、並びに最初の化学療法の52時間後および100時間後に企図した。
呼気13CO2レベルは、小腸のスクラーゼ活性の指標である。SBTは、化学療法前およびその後に企図した。
ラットを3時間絶食させ、そしてこのものを15分間収集チャンバー中に入れて順化させて、次いでベースライン標本をエキセテイナー(exetainer)中に集めた。
ラットを、天然13C−スクロース(1g/mL)を含有するスクロース溶液(1.0mL)を用いてガバージュした。
呼気標本を、ガバージュ後に30、60および90分間隔で収集し、そして同位体比質量分析計(PDZ-Europa ABCA)によって13CO2について分析した。
スクラーゼ活性を、呼気グルコース濃度の見積もりのためにグルコースオキシダーゼ方法の改変法(Dahlqvistによる1968)を用いて測定した。
葉酸を与えていないラットの食物摂取量および体重は、化学療法後に減少した(データは示さない)。SBT結果は、MTX処置の52時間後での葉酸投与は、粘膜損傷を減弱することを示す(図12)。図13は、非葉酸群と比較して葉酸群におけるスクラーゼ活性の破壊の有意な低下を示す(52時間後でp<0.0012、100時間後でp<0.0136)。該データは、空腸スクラーゼ活性の結果(図14)および組織MPO中での上昇の防止(図15)によって示される。72時間後のMTX処置した非葉酸群は、葉酸群およびコントロール群に対して有意に相違した(p<0.01)。
葉酸なしでMTXを用いて処置することにより、処置後t0〜96時間まで食物摂取量の有意な20%の低下を生じた(データは示さない)。
葉酸なしでMTXを与えたラットの体重は、化学療法後に減少した。
炎症性マーカーであるミエロペルオキシダーゼは、72時間後で葉酸を与えていないMTX処置ラットにおいて有意に高かった。
SBTは、小腸の機能が化学療法の結果として損なわれることを示した。
葉酸の投与は、非葉酸のMTX処置ラットにおいて観察される空腸スクラーゼ活性の低下を防止した。
絨毛の高さの測定は、葉酸を経口投与すると構造上、損傷が減毒されることを示した。
葉酸カルシウムは、スクラーゼ活性、MPOレベル、組織学的な変化およびスクロース呼気試験によって測定される通り、小腸粘膜に対する損傷を全体として防止した。該SBTは、小腸の機能不全を追跡するための非侵襲的であって且つ簡単で価値ある方法を与える、本研究において使用する唯一の方法である。SBTは、小腸の機能の統合的な測定法を与え、そしてこのものを用いて予防的なまたは寛解的な補助療法の有効性を評価することができる。将来、該SBTは、処置の間の栄養状態を最適化するために目的に合わせた化学療法治療法式について客観的方法を与え、これにより化学療法の衰弱性の影響を潜在的に低下することができる。
5−フルオロウラシル処置ラットにおける粘膜炎
化学療法誘発性の小腸粘膜炎は、癌患者、特に代謝拮抗薬物を受けている患者において重大な副作用である。スクロース呼気試験(SBT)は、損傷および修復の間の小腸の機能をインビボで評価するための新規な方法である。我々はここで、5−フルオロウラシル(5−FU)の単独注射を用いる化学療法誘発性粘膜炎のラットモデルを記載する。
10雌性ダーク・アゴウチ(Dark Agouti)ラットに、5−FU(150mg/kg)を腹腔内注射し;そして3ラットを5−FU処置の48時間後、72時間後に殺し、および4ラットを96時間後に殺した。2コントロールラットは、5−FUを用いて処置しなかった。スクロース呼気試験(SBT)は、小腸(SI)スクラーゼ機能の指標として13C−スクロースのガバージュ後に呼気中の放出13CO2を測定することによって、化学療法前および殺す前に企図した。組織標本を、スクラーゼ酵素測定、並びに空腸および回腸由来の組織学的評価のために、SIから収集した。
食物摂取量は5−FU注射の24時間後に11.1±0.3g/ラット/日から5.3±0.4gにまで低下し、そして注射の72時間後には最も低く(4.7±0.7g)、そして96時間後では増加し始めた(6.4±0.8g)。SBTは、酵素機能の低下が化学療法の76時間後に最も激しく;13CO2の産生速度の曲線下面積(AUC)が72時間後では化学療法前のAUCよりも有意に低かった(それぞれ、7.02±0.16および2.02±0.25;p<0.01、ノンパラメトリックANOVA)。回腸スクラーゼ活性は72時間後では54.9±0.9の正常なレベルから7.52±0.82グルコースnmol/分/cmにまで低下し、そして化学療法の96時間後にレベルが増大し始めた。空腸および回腸組織の組織学的な重傷度スコアは、最も激しい損傷が48時間後に生じ(平均値は、それぞれ13および17である)、損傷が主に陰窩に限定されることを示した。重症度スコアは、空腸および回腸のそれぞれについて72時間後では8および12であり、そして96時間後では5および8であった。
該SBT測定およびスクラーゼ酵素測定は、最大の機能的な損傷が化学療法の72時間後に起こることを示す。最も激しい組織学的な損傷は、化学療法の48時間後に陰窩中で起こった。SBTは、SI機能を評価するための価値あるインビボ方法である。1回用量の5−FU処置は、機構的な研究およびインターベンションの研究にとって適当な小腸粘膜炎の簡便なモデルを提供する。
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Claims (18)
- 哺乳動物またはヒトの小腸の内膜の状態を評価する方法であって、
最初の呼気標本を採取し、
許容され得る標識被験基質を投与し(ここで、該被験基質はスクロースおよびマルトースからなる群から選ばれる)、
該標識被験基質の投与後に、1つ以上の更なる呼気標本を採取し、
該呼気標本中の標識二酸化炭素のレベルを確認し、
該被験基質の摂取後の標識二酸化炭素の変化を算出し、そして、
該変化を標準と比較して、該評価を行なう、
該方法。 - ヒトまたは動物は胃腸炎を患っている、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 胃腸炎は感染性物質が原因である、請求項2記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- ヒトまたは動物は粘膜炎を患っている、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- ヒトを評価し、そして該ヒトは化学療法を受ける、請求項5記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- ヒトは子供である、請求項5記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- スクロースを使用し、そしてこのものは13Cで標識する、請求項6記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 標識CO2のレベルを内部標準に対して測定する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 標識は13Cであって、そして12Cに対する13Cの比率を測定する、請求項8記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 標識スクロースを投与する、請求項9記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 呼気標本は標識被験基質の最初の摂取の30分以上後に採取する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 呼気標本は標識被験基質の最初の摂取の60分以上後に採取する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 呼気標本は標識被験基質の摂取の45分後および3時間後の間に採取する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 更に呼気H2を測定する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 2つ以上の更なる呼気標本を採取する、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- 蓄積標識CO2を確認する、請求項15記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- ヒトまたは動物は標識被験基質を投与する前に絶食させる、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
- ヒトまたは動物は、標識被験基質を投与する前に標準的な食餌を摂食させる、請求項1記載の小腸の内膜の状態を評価する方法。
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