JP2005511644A - 核酸およびカチオン性アミノグリコシドの組成物ならびにそれを使用および調製する方法 - Google Patents

核酸およびカチオン性アミノグリコシドの組成物ならびにそれを使用および調製する方法 Download PDF

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Abstract

核酸およびカチオン性アミノグリコシドを含む組成物ならびにそれを使用する方法が提供される。本発明の組成物は核酸がカチオン性アミノグリコシドと複合体化されることを特徴とし、ここで、核酸は凝縮される。ある態様において、カチオン性アミノグリコシドはカチオン性アミノグリコシド系抗生物質である。組成物は、標的化部分、核局在化ペプチドもしくは核標的化ペプチド、エンドソーム溶解ペプチドなどの官能基、ならびに/または1種類もしくは複数の種類の脂質および/もしくはポリマーの1つまたはそれ以上をさらに含んでもよく、ここで、脂質は核酸をカプセル化するように提供されてもよい。本発明はまた、核酸-アミノグリコシド組成物を使用および調製する方法を提供する。

Description

政府の権利
米国政府は、米国立衛生研究所からの助成金5-R44-CA81660-03に従って本願において一定の権利を有し得る。
発明の分野
本発明の分野は、一般的に、核酸複合体化のためのカチオン性化学種の使用、さらに詳細には、核酸複合体化のためのカチオン性アミノグリコシドの使用に向けられている。このような複合体は、細胞への核酸および/または遺伝子産物の導入に使用することができる。
発明の背景
インビトロおよびインビボで外来遺伝子を送達および発現するために多くの方法が用いられている。これらの方法として、化学的方法(リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、中性またはアニオン性リポソーム、カチオン性化学種(例えば、カチオン性リポソーム)、および標的化ポリリジン結合体など)、物理的方法(マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、およびバイオバリスティック(biobalistic))、ならびに生物学的方法(ウイルスベクター) が挙げられる(Felgner(1993)J.Liposome Res.,3:3-16)。
実際的見地から言えば、理想的な遺伝子送達ベクターには以下の特徴がなければならない。(1)遺伝子送達ベクターはDNAを保護し、効率的および効果的に細胞に送達しなければならない(好ましくは、特異的に特定の細胞タイプに送達しなければならない);(2)遺伝子送達ベクターは無毒でなければならない;および(3)遺伝子送達ベクターは大量生産が容易でなければならない。現行のベクターシステムは、これら全ての必要条件を十分に満たしていない。
例えば、アデノウイルスは高効率の遺伝子導入ベクターであり、様々なタイプの細胞に一過的に感染することができる。操作されたアデノウイルスは宿主に対して比較的安全であると考えられ(Rosenfeldら(1992)Cell,68:143-155;Engelhardtら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:6196-6200)、他の組換えウイルスベクターと比較して、アデノウイルスは大量生産が比較的容易である。しかしながら、最近の前臨床試験および臨床試験から、その免疫原性について重大な懸念が提起されている。このウイルスベクターは、治療に関連する炎症、中和抗体の産生、および宿主におけるウイルス特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答のために高用量で使用できず、反復して投与することができない (Crystalら(1994)Nature Genetics,8:42-51)。
レトロウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)は分裂細胞への効率的および安定なトランスフェクションを媒介し、恐らく、非分裂細胞へのトランスフェクションを媒介する(Miller(1990)Hum Gene Ther,1:5;Kotin(1994)Hum Gene Ther,5:793-801)。しかしながら、比較的低いウイルス力価が双方の系の大きな技術的制約であった。
前述のように、核酸を安定化し、パッケージングし、核酸のトランスフェクションを増大させようとカチオン性化学種が用いられている。このような方法は、核酸をカチオン(通常、ポリアミンなどのポリカチオン)で凝縮させることを含む。カチオン性リポソームおよび標的化ポリリジン結合体も研究されている(Felgnerら(1991)Nature,349:351-352;Curielら(1991)Proc Natl Acad Sci USA,88:8850-8854)。しかしながら、カチオンに基づく多くの方法が存在するが、毒性、免疫原性、および標的能力の欠如を含む多くの重大な欠陥を持つ。
従って、改良された核酸/遺伝子産物組成物およびこのような組成物を標的細胞に送達するためにこのような組成物を使用する方法を提供することが必要とされる。関心対象となっているのは、安全、すなわち、治療的に無毒であり(すなわち、本発明の組成物は治療的に許容されるレベルの毒性を有する)、効果的に核酸を凝縮することができ、高いトランスフェクション効率を達成することができ、付加的な「抗菌」治療を提供することができる、このような組成物の開発である。本発明は、このような必要性および他の必要性に応える。
発明の概要
核酸およびカチオン性アミノグリコシドを含む組成物ならびにそれを使用する方法が提供される。本発明の組成物は、核酸がカチオン性アミノグリコシドと複合体化されることを特徴とし、ここで核酸は凝縮される。特定の態様において、カチオン性アミノグリコシドは、静菌作用または殺菌作用を有するカチオン性アミノグリコシドである。様々なカチオン性アミノグリコシドが本発明での使用に適しており、代表的なカチオン性アミノグリコシドとして、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、シソマイシン、およびネチルマイシンなどのカチオン性アミノグリコシドが挙げられるが、これに限定されない。本発明の組成物は、少なくとも、(1)治療的に無毒であること(すなわち、治療的に許容されるレベルの毒性)、(2)治療的に許容されるレベルの免疫原性であること、(3)効果的な治療処置を行うのに十分なトランスフェクション率であること、(4)製造が容易であること、および(5)最小限の製造コストであることを特徴とする。組成物は、標的化部分、核局在化ペプチドもしくは核標的化ペプチド、エンドソーム溶解ペプチド(endosomolytic peptide)などの官能基、ならびに/または核酸と相互作用し、従ってトランスフェクションを促進するように提供される1種類もしくは複数の種類の脂質および/もしくはポリマー(すなわち、治療的に許容される1種類もしくは複数の種類の脂質および/もしくはポリマー)の1つまたはそれ以上をさらに含んでもよい。本発明の組成物は、肺、非経口(すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、気管内)、経口、鼻、腹腔内、眼球内、頭蓋内、座薬、皮膚、経皮、および頬を含むが、これに限定されない、様々な手段を用いて被検体または細胞に送達または投与されてもよい。本発明はまた、核酸-アミノグリコシド複合体または組成物を使用および調製する方法を提供する。
従って、本発明の核酸-アミノグリコシド複合体または組成物は、核酸および/または遺伝子産物を細胞に導入する手段を提供し、それにより、様々な目的で産物を細胞に投与する方法を提供する。これらの送達装置は、薬学的製剤として、すなわち、賦形剤担体と共に投与することができる。
前述の核酸-アミノグリコシド複合体は従来の任意の経路を介して投与することができるが、多くの態様において、エアロゾル化され、肺経路を介して送達される。
本発明の1つの局面は、治療的に許容できない免疫応答を生じない核酸組成物を提供することである。
本発明のさらに別の局面は、治療的に無毒の核酸組成物を提供すること、すなわち、本発明の組成物が治療的に許容されるレベルの毒性を有することである。
本発明のさらに別の局面は、臨床的に有効な治療を提供するのに十分に高いトランスフェクション効率を有する核酸組成物を提供することである。
本発明のさらに別の局面は、静菌作用または殺菌作用をももたらすことができる核酸組成物を提供することである。
1つの利点は、核酸製剤が無毒であること、すなわち、本発明の組成物が治療的に許容されるレベルの毒性を有することである。
さらに別の利点は、核酸とカチオン性アミノグリコシドとの相互作用によって、高いトランスフェクション効率を有する凝縮された核酸が提供されることである。
さらに別の利点は、本発明の核酸複合体によって静菌治療または殺菌治療が提供されることである。
本発明のこれらのおよび他の局面、利点、ならびに特徴は、以下で説明される発明の詳細を読めば当業者に明らかになると思われる。
定義
本明細書で使用する「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は特に指定のない限り同義とみなされ、DNA、RNA、ならびに/またはバックボーンが変化した、および/もしくは天然塩基から修飾された塩基を含むDNAもしくはRNA、またはその任意の混合物を含む。本発明による核酸はまた、任意の鎖構造(例えば、一本鎖、二本鎖、もしくは三本鎖ポリヌクレオチド構造、またはその混合物)を含んでもよい。また、核酸は、直線構造または環状構造(例えば、プラスミド、ファージミド、コスミドなど)を含んでもよい。本発明の核酸は、天然に生じるものでもよく、合成または半合成により生成されたものでもよい。
本明細書で使用する「遺伝子産物」という用語は、本発明の方法を用いて細胞内に、または細胞に導入された核酸から生成されたオリゴペプチド、ペプチド、またはタンパク質を意味する。
「治療」、「治療する」などという用語は、一般的に、望ましい薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることを意味するように本明細書で用いられる。この効果は、疾患もしくはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的な効果でもよく、ならびに/または疾患および/もしくは疾患に起因する副作用を部分的または完全に治癒するという点で治療的な効果でもよい。1つの態様において、本明細書で使用する「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を含み、以下を含む:
(a)疾患にかかる可能性があるが、疾患を有すると診断されていない被検体において、疾患またはその症状が生じないようにすること;
(b)疾患またはその症状を阻害すること(すなわち、疾患の発症を止めること);または
(c)疾患を緩和すること(すなわち、疾患またはその症状を後退させること)。別の態様において、本明細書で使用する「治療」は、正常な生物学的プロセスを阻害または増強するための任意の使用を含む。
本明細書で同義に用いられる「カチオン性アミノグリコシド」および「ポリカチオン性アミノグリコシド」という用語は、本明細書では、少なくとも1つのアミン基を有する炭水化物を含む正に荷電した高分子を意味し、既知のカチオン性アミノグリコシドまたは今のところ特定されていないカチオン性アミノグリコシドを含む。本発明における使用のためのカチオン性アミノグリコシドはサイズが異なってもよいが、一般的に、約300〜約800ダルトンの平均分子量を有する。本発明のカチオン性アミノグリコシドは生理学的pHでポリカチオン性であり、塩基性で水溶性の分子であり、静菌能力または殺菌能力も有してよい(すなわち、宿主を傷つけることなく細菌、菌類、または他の有害な微生物を破壊、またはその増殖を阻害することができる)(例えば、アミノグリコシド系抗生物質)。本発明での使用に適したカチオン性アミノグリコシドとして、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、シソマイシン、およびネチルマイシンが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で使用する「凝縮された」という用語は、核酸(例えば、DNA分子)が多価カチオン性化学種と静電気的に相互作用して、核酸(例えば、DNAのランダムコイル)の物理的体積が約10-3〜約10-6になる(ランダムコイルからコンパクトな粒子に移行する)現象を意味する。多価カチオン性化学種はDNAを静電気的に凝縮することができるだけでなく、電荷の90%を超えるものが中性になった時にDNAの三次構造を壊すこともできる。このようなDNA(すなわち、多価カチオン性化学種で凝縮されたDNA)はヌクレアーゼによる分解を受けにくい。
特定の態様の詳細な説明
本発明が説明される前に、本発明は説明される特定の態様に限定されず、従って、もちろん変更してもよいことが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で用いられる用語は特定の態様を説明することだけを目的とし、限定することを目的としていないことも理解されるべきである。
値の範囲が定められている場合、その範囲の上限と下限との間の、間のそれぞれの値(特に文脈によってはっきりと規定されていない限り下限の単位の1/10まで)、ならびにその述べられた範囲内の他の任意の述べられた値または間の値が本発明に含まれることが理解される。これらの狭い範囲の上限および下限は独立してこの狭い範囲に含まれ、この狭い範囲もまた、述べられた範囲においてはっきり限定して排除される任意の限界に応じて本発明に含まれる。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、含まれる限界のいずれかまたは両方を排除する範囲も本発明に含まれる。
特に指示のない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験において、本明細書で説明されるものと同様のまたは等価な任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料を今から説明する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきりと規定されていない限り複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
方法および/または材料を開示および説明するために、本明細書に記載の全ての刊行物が参照として本明細書に組み入れられ、方法および/または材料に関連して刊行物が引用される。本明細書で議論される刊行物は、単に、本願の出願日前の刊行物を開示するために示される。本明細書には、先行発明に基づいて本発明がこのような刊行物に先行する権利がないことが認められると解釈されるものは何もない。さらに、示された公開日は実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日を別個に確認する必要がある場合がある。
発明の一般的な局面
本発明は、核酸およびカチオン性アミノグリコシドの複合体を標的細胞に効果的にトランスフェクトするための組成物および効率的な方法を提供する。少なくとも部分的に、核酸がこのような複合体に存在する時に凝縮した形状をとるために、本発明の方法によって高いトランスフェクション効率が達成される。本発明で用いられるカチオン性アミノグリコシドは任意の従来のカチオン性アミノグリコシドでもよく、特に、静菌能力または殺菌能力を有するカチオン性アミノグリコシドが関心対象となる。核酸との複合体化時に、このような静菌能力または殺菌能力を有するカチオン性アミノグリコシドの使用が、トランスフェクションを増大させる核酸凝縮を都合よく達成し、複合体化された核酸に由来する治療効果に加えて、治療剤としてさらに作用し得ることは当業者に明らかであると思われる。核酸は内因性タンパク質の発現を妨げてもよく (例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、任意のタンパク質(好ましくは、治療用遺伝子産物)をコードおよび発現してもよい。
従って、本発明の核酸-カチオン性アミノグリコシド複合体は、細胞に標的化された薬剤として使用することができる。これらの複合体には、インビボでの核酸およびその結果として生じる遺伝子産物の細胞への導入に非常に多くの利点がある。
まず最初に、これらの複合体または組成物は、裸のDNAと比較して約100%またはそれ以上と高くトランスフェクション効率を増大させ、用量を減らすことができる。一般的に、トランスフェクション効率を、裸のDNAと比較して約100%〜約200%と高く増大させることができ、約500%〜約1,000%またはそれ以上と高く増大させることができる。従って、本発明の複合体は、使用される特定のアミノグリコシドに応じて、裸のDNAのトランスフェクション効率と比較して約100%〜1000%またはそれ以上、トランスフェクション効率を増大させることができる。カチオン性アミノグリコシドは核酸の凝縮を容易にする。これにより、ヌクレアーゼに対する安定性が高まり、主に負に荷電した細胞表面との相互作用、最終的に細胞のトランスフェクションが容易になる。これにより、標的細胞での核酸濃度が増大し、用量を減らすことが可能になる。
第2に、従来のカチオン性アミノグリコシド(例えば、わずかな毒性しか示さない、もしくは全く毒性を示さない、または治療的に許容されるレベルの毒性を示すことが知られているアミノグリコシド)を用いた態様では、その結果として、本発明の複合体の毒性も最小限にされるか、または治療的に許容されるレベルを示す。例えば、ある特定のアミノグリコシドは、特定の投与量でヒトにおいて忍容性が認められるように、治療的に許容されるレベルの毒性を示すか、または毒性を示さない。ここで、これらのある特定のアミノグリコシドは、治療的に許容されるレベルで本発明での使用に適している。例えば、トブラマイシンエアロゾルは、嚢胞性繊維症に関連した肺感染症を治療するための吸入投与について米国食品医薬品局により認可されており、この場合の投与量は300mgである。同様に、有害なまたは許容できない治療作用なく、ある特定のアミノグリコシドを高用量で静脈内および皮下に送達できることが知られている(例えば、正常な腎機能を有する患者では、ゲンタマイシン:5mg/kg体重/日;アミカシン:15mg/kg/kg体重/日)。従って、DNA送達にアミノグリコシドを用いると、他のポリカチオン性分子に付きものの毒性なく高用量が可能である(例えば、Physicians'Desk Reference,2001を参照のこと)。
第3に、核酸と複合体化させるのに静菌作用または殺菌作用を有するカチオン性アミノグリコシドが用いられる場合、核酸-カチオン性アミノグリコシド複合体は、トランスフェクトされた核酸および使用されたアミノグリコシドの両方によって治療的に作用することができる。
第4に、脂質および/またはポリマー分子を本発明の組成物に取り入れるか、または含ませることによって、トランスフェクション効率をさらに増大させることができる。
第5に、本発明の組成物は、様々な手段または経路(肺、非経口(すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、気管内)、経口、鼻、腹腔内、眼球内、頭蓋内、座薬、皮膚、経皮、および頬が挙げられるが、これに限定されない)を用いて被検体または細胞に送達または投与することができる。
本発明のこれらのおよび他の利点は、従来の非ウイルス性核酸送達法の欠点の多くを克服する。さらに、この送達システムには、インビボで核酸および遺伝子産物を細胞に導入する物理的手段またはウイルス手段に関連する欠点の多くがない。
核酸-アミノグリコシド複合体
前述のように、本発明は、核酸がカチオン性アミノグリコシドと組み合わされた時に凝縮されるような、核酸およびカチオン性アミノグリコシドを含む複合体を提供する。本発明に従ってアミノグリコシドと複合体化、または別の方法で結合することができる核酸として、センスまたはアンチセンスポリヌクレオチドを挙げることができる。例えば、使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは標的DNAの発現を選択的に阻害することができる。例えば、ウイルス配列に相補的であり、抗ウイルス治療(例えば、肝炎、AIDSウイルス感染、パピローマウイルス感染などの治療)に用いられるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、カチオン性アミノグリコシドと複合体化させることができる。遺伝子治療にアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることは文献で報告されている(例えば、SteinおよびChang(1993)Science 261:1004を参照のこと)。同様に、リボザイムRNAをカチオン性アミノグリコシドと複合体化させ、遺伝子発現研究または遺伝子治療に使用することができる。
本発明の1つの態様において、本発明は、高分子量(「HMW」)ポリヌクレオチド分子の効率的な複合体化を提供する。本明細書で使用する「高分子量」ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが宿主細胞に導入された時に転写される少なくとも1つのコード配列を含むポリヌクレオチド分子を意味する。この転写によってmRNA分子が生成され、次いで、mRNA分子は翻訳されてポリペプチドまたはタンパク質が生成されるか、または転写によってアンチセンスRNA分子が生成される。HMWポリヌクレオチドのコード配列の転写は、好ましくは、シス作用調節エレメント(例えば、エンハンサー配列、オペレーター配列など)の制御下にあり、ポリヌクレオチドはまた、リボソーム結合部位、開始コドン、ならびに転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルも含む。従って、本明細書で使用するHMWポリヌクレオチドの定義は、このような調節エレメントを含むポリヌクレオチドを意味すると一般的に理解される。HMWポリヌクレオチドはまた、トランスフェクションに用いられるポリヌクレオチドに一般的に見られるような複製起点などの他のエレメントを含んでもよい。
本発明は、大きなベクター(安定なエピソーム維持を可能にする配列が作動可能に組み込まれたベクターおよび多重遺伝子カセットをコードするベクターを含む)の効率的な複合体化を提供する。これは、エピソーム構築物の場合、宿主細胞ゲノムへの所望の核酸の組込みがトランスフェクションプロセスに悪影響を及ぼすことがあるので重要である。同様に、これは、多重遺伝子カセットの場合、コードされる遺伝子の同等の調節を容易に達成することができるので重要である。
本発明による使用に適している可能性のある核酸は、約10塩基と小さなサイズから約100キロベースまたはそれ以上、通常、約10塩基〜約50キロベース、さらに通常、約3キロベース〜約15キロベースでサイズが異なってもよい。
本発明の多くの態様において、核酸は、標的細胞において発現させようとする1つまたはそれ以上の遺伝子を含むエピソームエレメント(例えば、プラスミド)を含む。宿主細胞の複製機能により認識される複製起点を含むエピソームエレメントが染色体外エレメントとして細胞内で安定に維持され、それにより、エレメントにコードされる遺伝子が安定に発現される。一般的に、これらの遺伝子によって、標的細胞は異種発現産物を産生するか、または表現型が変化する。エピソームエレメントが宿主細胞により認識される複製起点を含まない場合、発現産物は一過的にしか産生されない。
前述のように、本発明の核酸はDNA、RNA、またはその混合物を含んでもよく、直線構造または環状構造を含んでもよい。核酸はまた一本鎖でも複数の鎖でもよく、センスまたはアンチセンス核酸配列を含んでもよい。多くの態様において、核酸は、前述のように約10塩基〜約100キロベースまたはそれ以上、通常、約10塩基〜約50キロベース、さらに通常、約3キロベース〜約15キロベースのサイズを有するDNA構築物を含む。一般的に、このようなDNA構築物は、標的細胞において発現させようとする1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。DNA構築物はまた、これらの遺伝子を発現させる適切な調節配列を含んでもよく、さらに、必要に応じて、これらのDNA構築物が標的細胞において自立複製する配列を含んでもよく、適切な選択マーカーも含んでもよい。一般的に、これらの遺伝子は、調節可能なプロモーターの制御下で発現される。
本発明のDNA構築物は、一般的に、治療用遺伝子産物または所望の遺伝子産物を生成する1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。このような遺伝子産物の例として、治療用リンホカイン、サイトカイン、ホルモン、細胞接着分子、酵素または酵素阻害剤、受容体、イオンチャンネル、転写因子、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ、および宿主において免疫応答を生じさせる細胞抗原が挙げられるが、これに限定されない。または、DNA構築物は、自殺遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、アンチセンスRNAをコードする遺伝子、または細胞アポトーシスを誘導または抑制する遺伝子を含む。
本発明のアミノグリコシド複合体化DNA構築物がコードすることができるリンホカインおよびサイトカインの例として、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、インターロイキン1〜14、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、白血病抑制因子、アンフィレグリン(amphiregulin)、アンギオゲニン、ベータセルリン、カルシトニン、毛様体神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン3および4、神経成長因子、コロニー刺激因子-1、内皮細胞成長因子、エリスロポエチン、酸性線維芽細胞成長因子および塩基性線維芽細胞成長因子、肝細胞成長因子、ヘパリン結合EGF様成長因子、インシュリン、インシュリン様成長因子IおよびII、インターフェロンα、β、およびγ、ケラチノサイト成長因子、マクロファージ炎症性タンパク質αおよびβ、ミッドカイン、オンコスタチンM、RANTES、幹細胞因子、トランスフォーミング成長因子αおよびβ、ならびに血管内細胞成長因子が挙げられるが、これに限定されない。細胞接着分子の例として、インテグリン、カドヘリン、セレクチン(selecting)、および免疫グロブリンスーパーファミリーの接着分子(例えば、VCAM、ICAM、PECAM、およびNCAM)が挙げられる。腫瘍抑制遺伝子の例として、p53、DCC、Rb、およびMTS1が挙げられる。当業者は、他の遺伝子も本発明に使用できることを理解するだろう。
さらに、DNA構築物は、一般的に、細胞内での構築物の複製、ならびに構築物にコードされる遺伝子の転写および翻訳を調節することができる調節エレメントを含む。核酸のインビボ送達に使用するために、これらの調節エレメントは組織特異的であることが有用なこともある。「組織特異的プロモーター」または「組織特異的転写調節配列」という用語は、他の細胞より標的組織の細胞において選択的に、または高レベルで誘導される転写調節配列、プロモーター、および/またはエンハンサーを示す。例えば、腫瘍細胞特異的プロモーターとして、特定の細胞タイプまたは腫瘍細胞において選択的に、または高レベルで誘導されるプロモーターが挙げられる。組織特異的プロモーターは当技術分野において周知であり、例として、α-アクチンプロモーター(Shani(1986),Mol.Cell.Biol.,6:2624);エラスターゼプロモーター(Swiftら(1984),Cell,38:639);α-フェトプロテインプロモーター(Krumlaufら(1985),Nature,319:224-226);β-グロビンプロモーター(Townesら(1985),EMBO J.,4:1715);ヒト成長ホルモンプロモーター(Behringerら(1988),Genes Dev.,2:453);インシュリンプロモーター(Seldenら(1986),Nature,321:545)、および前立腺特異的プロモーター(Allisonら(1989),Mol.Cell.Biol.,9:2254)が挙げられるが、これに限定されない。
本発明で用いられる核酸のタイプにかかわらず、核酸は、前述のようにカチオン性アミノグリコシドと組み合わされるか、または複合体化される。当業者に周知なように、大部分のアミノグリコシドは生理学的pHでポリカチオン性、すなわち、中性から酸性のpHで正に荷電している高分子であり、従って、本発明の組成物の最適有効範囲は中性から酸性のpHである。本発明のカチオン性アミノグリコシドは、一般的に、約300〜800ダルトンの分子量を有し、天然に生じるものでもよく、合成または半合成により生成されたものでもよい。
説明したように、本発明で用いられるカチオン性アミノグリコシドは関心対象の核酸と組み合わされる。すなわち、アミノグリコシドおよび核酸は安定な複合体を形成し、ここで、複合体化された核酸はカチオン性アミノグリコシドと組み合わされた時に凝縮される。本発明の製剤のカチオン性アミノグリコシドは、核酸の負電荷とアミノグリコシドの正電荷の静電気的相互作用によって核酸と相互作用する。従って、この核酸/アミノグリコシド複合体は細胞への機能的核酸の送達を容易にする。
アミノグリコシドに対する核酸の量は様々な要因によって変化する。要因として、使用される特定のタイプの核酸、使用される特定のタイプのアミノグリコシドなどが挙げられるが、これに限定されない。一例として、本発明の特定の態様では、核酸:アミノグリコシドの比は約1:0.001〜約1:1000であるが、これに限定されない。この比の範囲は例示にすぎず、もちろん、必要に応じて変化してもよい。
従って、使用されるアミノグリコシドは核酸を凝縮することができ、ここで、凝縮の程度は様々な要因によって変化してもよい。要因として、使用される特定の核酸および特定のアミノグリコシド、最終pHなどが挙げられるが、これに限定されない。一般的に、核酸は約1000倍〜約1,000,000倍またはそれ以上に凝縮される。言い換えると、核酸分子、例えば、DNAは、多価カチオン性化学種と静電気的に相互作用して、DNAランダムコイルの物理的体積が約10-3〜約10-6になる(ランダムコイルからコンパクトな粒子へ移行する)。多価カチオン性化学種はDNAを静電気的に凝縮することができるだけでなく、電荷の90%を超えるものが中性になった時にDNAの三次構造を壊すこともできる。前述のように、このようなDNA(すなわち、多価カチオン性化学種で凝縮されたDNA)はヌクレアーゼによる分解を受けにくい。
特定の態様において、本発明のアミノグリコシドは静菌性または殺菌性を有する。言い換えると、本発明のアミノグリコシドは、例えば、タンパク質合成を阻害することによって、宿主を傷つけることなく、細菌、菌類、または他の有害な微生物を破壊、またはその増殖を阻害することができる。従って、本発明において用いられるアミノグリコシドは多くの要因について選択することができる。要因として、アミノグリコシドが関心対象の核酸を複合体化および凝縮する程度ならびに(一般的に、特定の疾患状態または感染症に対する)アミノグリコシドの治療有効性が挙げられるが、これに限定されない。例えば、核酸が、例えば、嚢胞性線維症に罹患している個体に遺伝子治療を施すために選択された核酸である場合、嚢胞性線維症に関連する感染症を治療するのに従来用いられるアミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシンおよびトブラマイシン)を核酸との複合体化に使用することができ、従って、2つの治療法が提供される。言い換えると、核酸によって遺伝子治療を行うことができ、アミノグリコシドによって静菌治療または殺菌治療を行うことができる。
本発明により様々なカチオン性アミノグリコシドを使用することができる。代表的なカチオン性アミノグリコシドとして、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、シソマイシン、およびネチルマイシンが挙げられるが、これに限定されない。
本発明の特定の態様において、製剤はまた、安定性、効力、および/またはトランスフェクションを強化するための1種類またはそれ以上の種類の脂質またはポリマー(すなわち、治療的に許容される脂質)も含む。1種類またはそれ以上の種類の脂質は、凝縮された核酸をカプセル化する小胞またはリポソームを形成するように提供されてもよい(しかしながら、相互作用の他の形も本発明により意図される)。特に、カチオン性リポソームが関心対象となり、都合よいことに、このようなカチオン性リポソームは負に荷電した細胞表面と融合し、従って、トランスフェクションを促進する。核酸をカプセル化するのに様々な治療的に許容される脂質を使用することができ、1種類またはそれ以上の種類の特定の脂質が様々な要因について選択される。要因として、標的細胞、特定の核酸/アミノグリコシド複合体などが挙げられるが、これに限定されない。
例えば、インビトロでの様々な細胞株のトランスフェクションには、リポフェクチン(ギブコビーアールエル(Gibco BRL),Gaithersburg,Md.)が首尾よく用いられている(Felgnerら(1987),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,84:7413-7417)。リポフェクチンは、カチオン性脂質DOTMA(N-塩化[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム)およびDOPE(ジオレイルホスファチジルエタノールアミン)を1:1のモル比で用いて形成される。この製剤を用いて調製されたリポソームは、核酸の負電荷とカチオン性リポソーム表面の正電荷の静電気的相互作用によってDNAと自発的に相互作用すると考えられる。このDNA/リポソーム複合体は組織培養細胞と相互作用し、細胞への機能的DNAの送達を容易にする(Felgnerら,前記)。
Behrら((1989),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,86:6982-6986)およびBarthelら()(1993),Cell Biol,12:553-560)は、DNAを培養細胞に導入するのにリポポリアミン(DOGS,スペルミン-5-カルボキシ-グリシンジオクタデシルアミド)を使用することを報告している。リポポリアミンは、天然ポリアミンであるスペルミンと脂質を化学結合させることによって合成される。例えば、DOGSは、スペルミンおよびジオクタデシルアミドグリシンから作られる(Behrら,前記)。DOGSはカチオン性脂質層上でDNAを自発的に凝縮させ、核酸脂質粒子を形成する。このリポスペルミンにより被覆されたDNAは高いトランスフェクション効率を示す(Barthelら,前記)。
多価カチオン性脂質を含むカチオン性リポソームは、通常、一価脂質を含むものより優れたトランスフェクション活性を示し、従って、これも本発明において関心対象となる(Behrら,(1989)Proc Natl Acad Sci USA,86:6982-6986;Hawley-Nelsonら(1993)Focus,15:73-79)。例えば、リポフェクトアミン(LipofectAMINE)(ギブコビーアールエル,Gaithersburg,MD,USA)はリポフェクチン(ギブコビーアールエル)より一貫してトランスフェクション活性があり(Howley-Nelsonら,前記)、従って、本発明において使用することができる。
全てのカチオン性脂質分子は以下の4種類の異なる機能ドメインを含む:1つまたはそれ以上の正に価電した頭部基、様々な長さのスペーサー、リンカー結合、および疎水性アンカー。最も知られているカチオン性脂質の頭部基は、置換の程度が異なる1つのアミン基または複数アミン基を含む(例外としてアミジン基は含まない)(Ruysschaertら(1994),Biochem Biophys Res Commun,179:280-285)。アミン基は、メチル基またはヒドロキシエチル基で置換した第1級アミンから第4級アンモニウムまで多岐にわたる。場合によっては、数種類の異なるタイプのアミノ基が1個のカチオン性脂質に同時に存在する(塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DOGS)およびトリフルオロ酢酸2,3-ジオレオイルオキシ-N-(2(スペルミンカルボキシアミド)-エチル)-N,N-ジメチル-1-プロパナミミウム(propanamimium)(DOSPA))(Behrら,前記;Hawley-Nelsonら,前記)。荷電した基の数は一価から多価まで多岐にわたる。
Figure 2005511644
カチオン性脂質の頭部基は、リポソームとDNAとの相互作用およびリポソーム-DNA複合体と細胞膜または細胞の他の成分との相互作用を担う。この相互作用はトランスフェクション活性に必要不可欠であり、治療の毒性に寄与することがある。
本発明での使用に適した脂質の例として、例えば、ホスファチジルコリン(天然ホスファチジルコリンおよび合成により調製されたホスファチジルコリン)、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、糖脂質、ガングリオシド、およびセレブロシド(例えば、ダイズリン脂質)などの既知の小胞形成化合物またはリポソーム形成化合物が挙げられる。他の適切な脂質として、形成されるリポソームに所望の特性を付与することができる、ステロイド、コレステロール、脂肪族アミン(例えば、長鎖脂肪族アミン)およびカルボン酸、長鎖サルフェートおよびホスフェート、ジアセチルホスフェート、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、レチノール、およびイソプレノイド化合物が挙げられる。
同様に、変化した脂肪族部分(例えば、ヒドロキシル基、炭素分枝鎖、環式誘導体、芳香族誘導体、エーテル、アミド、多価不飽和誘導体、ハロゲン化誘導体)、または変化した親水性部分(炭水化物、グリコール、ホスフェート、ホスファミド、第4級アミン、サルフェート、スルホニル、カルボキシ、アミン、スルフヒドリル(sulphydryl)、イミダゾール基、およびこのような基の組み合わせを含む)を含む合成リン脂質を、本発明において使用可能な前述の脂質の代わりに使用することができ、またはそれと混合することができる。リポソーム調製での使用に適した脂質は文献において周知であり、例えば、米国特許第4,201,767号;米国特許第4,235,877号;米国特許第4,241,046号;米国特許第4,261,975号;および米国特許第4,394,448号(これらの全てが、その全体が参照として取り入れられる)において説明されている。
通常、活性のあるカチオン性リポソーム製剤は、超音波処理またはマイクロフルイダイゼーション(microfluidization)により調製された小さな単層リポソームである(Felgnerら(1987)前記)。場合によっては、単純なボルテックス(Felgnerら(1994),前記)またはエタノール溶媒からの脂質溶液の希釈(Behrら(1989),前記)によって調製された多重膜リポソームも活性がある。通常、カチオン性リポソームは、カチオン性両親媒性物質および中性「ヘルパー」脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。DOPEは、二重層を形成しないカチオン性脂質が安定なカチオン性リポソームを形成するのに必要とされる。これらとして、カチオン性コレステロール誘導体(Farhoodら(1992),前記;Gaoら(1991),前記)、リポポリリジン(Zhouら(1991),前記)、および一部の二本鎖カチオン性界面活性剤(Roseら(1991),前記)が挙げられる。大部分の二本鎖カチオン性脂質は単独でリポソームを形成するか、またはDOPEまたは他の脂質との混合物としてリポソームを形成することができる。
本発明は、組成物の効力および安定性に対する所望の効果(すなわち、治療的に許容される効果または治療的に有効な効果)をもたらす任意の脂質、ポリマー、または組み合わせ(例えば、脂質およびデンドリマーを含むカチオン性ポリマー)の1つまたはそれ以上の使用を含む。特定の態様において、1種類またはそれ以上の種類の脂質を他のカチオン性ポリマーと組み合わせることができる(例えば、カチオン性デンドリマー/カチオン性脂質およびポリ-L-リジン/カチオン性脂質など)。
リポソーム調製後、リポソームは、任意の従来の技法を用いて、所望のサイズ範囲を得るために大きさに従って分類することができる((例えば、本明細書に参照として取り入れられる、米国特許第4,737,323号を参照のこと)。
本発明の核酸-アミノグリコシド複合体の使用
凝縮された核酸-アミノグリコシド複合体は、本開示を読めば当業者に明らかなように多くの異なる潜在的な用途を有する。例えば、本発明の核酸-アミノグリコシド複合体は、1つまたはそれ以上の欠損遺伝子を発現する細胞または動物を作成するのに使用することができる。結果として生じた細胞または動物は、潜在的な治療剤の効力を評価するためのインビトロモデルまたはインビボモデルとして使用することができる。
本発明の核酸-アミノグリコシド複合体のさらなる有用性は、治療用産物をコードするDNAまたは構築物を細胞に導入するのに使用できること、または内因性産物の転写を抑制するのに使用できることである。治療用産物は、例えば、アンチセンスRNAまたはリボザイムRNA分子でもよく、治療用タンパク質でもよい。本明細書で使用する「治療用タンパク質」は、宿主に投与された時に、または宿主の細胞において発現された時に、宿主に治療上の利益をもたらすペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を意味する。核酸送達はインビボでもよく(この場合、核酸-アミノグリコシド複合体は宿主動物(好ましくは、ヒト)に直接導入される)、エクスビボでもよい(この場合、最初に、単離された細胞が核酸-アミノグリコシド複合体でトランスフェクトされ、次いで、宿主動物に再導入される)。ヒトにおけるエクスビボ核酸送達は、その全体が本明細書に参照として取り入れられる、米国特許第5,399,346号に記載されている。核酸送達の概要については、Tolstoshev(1993),Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.,33:573-96(これもその全体が本明細書に参照として取り入れられる)も参照のこと。
本発明の核酸-アミノグリコシド複合体の薬学的製剤
目下説明されている核酸-アミノグリコシド複合体または組成物(標的化部分、核局在化ペプチドもしくは核標的化ペプチド、エンドソーム溶解ペプチドなどの官能基、および/または凝縮された核酸をカプセル化する小胞もしくはリポソームを形成し、従って、トランスフェクションを促進するように提供される、1種類もしくは複数の種類の脂質/ポリマー(すなわち、治療的に許容される1種類もしくは複数の種類の脂質/ポリマーの1つまたはそれ以上を含んでもよく、または含まなくてもよい)は、従来の抗生物質を投与するのに用いられる実質的に任意の手段によって被検体に投与することができる。生理活性化合物を動物に投与するための様々な送達システムが当技術分野において周知である。本発明の組成物は、様々な手段(肺投与、非経口投与(すなわち、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、気管内投与)、経口投与、鼻投与、腹腔内投与、眼球内投与、頭蓋内投与、座薬投与、皮膚投与、経皮投与、および頬投与が挙げられるが、これに限定されない)を用いて被検体または細胞に送達または投与することができる。使用される特定の送達システムは治療しようとする部分の位置によって決まり、位置を決定し、適切な送達システムを選択することは十分に当業者の技術範囲内である。本発明の特定の態様において、核酸-アミノグリコシド複合体は肺導入によって送達され、多くの場合、核酸-アミノグリコシド複合体はエアロゾル吸入装置によって患者に投与される。
アミノグリコシド-核酸複合体は、リン脂質などの他の賦形剤を伴って、または伴わずに、液体製剤として、または乾燥粉末として、または液体に懸濁された粒子として気道に送達することができる。乾燥粉末吸入製剤は、肺深部に吸入させるのに適した空気力学的サイズ(一般的に、約1〜3マイクロメートル)の粒子を含んでもよく、中心気道に沈着させるためにより大きな空気力学的サイズの粒子を含んでもよく、口または鼻腔に沈着させるためにさらに大きなサイズの粒子を含んでもよい。乾燥粉末はまた、治療剤の流動および分散を助ける担体粒子も含んでよい。
液体の核酸-アミノグリコシド複合体または組成物がエアロゾル吸入装置によって患者に投与される別の態様において、本発明の製剤は、携帯型で、手で持てる、電池式の装置(例えば、AERx装置(アラジム(Aradigm),Hayward,CA))を用いて患者に投与される。または、本発明の製剤化は機械式(非電子式)装置を用いて行うことができる。使用可能な特定の装置が、1996年8月13日に発行された米国特許第5,544,646号および1995年4月11日に発行された米国特許第5,404,871号にさらに詳細に開示され、両方とも本明細書に参照として取り入れられる。
エアロゾルは、核酸-カチオン性アミノグリコシド複合体または組成物を膜の孔に押し付けて通過させることによって作成することができ、膜の孔のサイズは約0.25〜6マイクロメートルである。孔がこのサイズを有する場合、孔から流出してエアロゾルを生じる粒子の直径は約0.5〜12マイクロメートルである。薬物粒子は、粒子をこのサイズ範囲内に保つことを目的とした空気の流れと共に放出することができる。約800〜約4000キロヘルツの振動数を生じる振動装置を使用することによって、小さな粒子の作成が容易になる。当業者は、約0.5〜12マイクロメートルの直径を有するエアロゾル化粒子を提供することが目的であることを念頭に入れて、薬物が放出される孔のサイズ、振動数、圧力などのパラメーター、および製剤の密度および粘性に基づく他のパラメーターに、ある程度の変更を加えることができることを理解するだろう。
本発明の製剤は、患者の肺表面から循環系への複合体の輸送を促進するのに有効な量の肺胞界面活性タンパク質を含んでもよい(例えば、1991年4月9日に発行された米国特許第5,006,343号(これは本明細書に参照として取り入れられる)を参照のこと)。
本発明の製剤は、例えば、約20〜200psiを用いて開口部から押し出されて、粒径が約0.5〜12マイクロメートルのエアロゾルを形成できるように、低粘性の液体製剤として提供されてもよい。
本発明の1つの態様において、低沸点、高揮発性の噴霧剤が、本発明の核酸-アミノグリコシド複合体および薬学的に許容される賦形剤と組み合わされる。核酸-アミノグリコシド複合体は、噴霧剤中の懸濁液または乾燥粉末として提供されてもよく、別の態様では、噴霧剤に溶解した状態で溶解されてもよい。これらの製剤は両方とも、唯一の開口部として弁を有する容器に容易に入れることができる。噴霧剤は高揮発性であるので(すなわち、沸点が低いので)、容器の内容物は圧力がかかった状態である。
本発明の別の製剤によれば、核酸-アミノグリコシド複合体は単独で乾燥粉末として提供され、さらに別の製剤によれば、核酸-アミノグリコシド複合体は溶液製剤で提供される。吸入器はまた、乾燥粉末製剤用であっても液体製剤用であっても、気道の望ましい部分における標的化された沈着を達成するために、吸入の流速、吸入量、またはその両方を制御する手段を有してもよい。
肺内経路を介して患者に吸入および送達することができる核酸-アミノグリコシド複合体のエアロゾル化形態を生成することが可能な任意の製剤を本発明に関して使用することができる。
経口剤形の組成物の調製において、例えば、経口液体調製物(例えば、懸濁液、エリキシル剤、および液剤)の場合、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤など、または経口固形調製物(例えば、散剤、カプセル、および錠剤)の場合、担体(例えば、デンプン、糖、賦形薬、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤など)などの任意の通常の薬学的媒質を使用することができる。錠剤およびカプセルは投与が容易なので最も有利な経口剤形であり、この場合、固形の薬学的担体が間違いなく用いられる。所望であれば、錠剤は標準的な技法によって糖衣および腸溶性にすることができる。
注射による非経口投与の場合、調製物は、適切な溶液に溶解した、薬学的に許容される形態の核酸-アミノグリコシド複合体を含んでもよい。注射可能な懸濁液もまた、適切な液体担体、懸濁剤、等張性を調節する薬剤、防腐剤などを用いて調製することができる。非経口投与可能な組成物を調製する実際の方法および被検体への投与に必要な調整は当業者に周知であり、例えば、「Remington's Pharmaceutical Science」、第15版、Mack Publishing Company、Easton、PA(1980)(これは本明細書に参照として取り入れられる)でさらに詳細に述べられている。
局所投与の場合、担体は調製物に応じて様々な形をとってもよく、クリーム、包帯、ゲル、ローション、軟膏、または液体でもよい。
座薬は、リポソームと脂質ビヒクル(例えば、カカオ脂、カカオバター、グリセリン、ゼラチン、またはポリオキシエチレングリコール)を混合することによって調製される。
治療に用いられる組成物の有効量は、様々な要因(例えば、治療目的、投与経路、患者の状態など)によって決まる。従って、臨床医は、最適な治療効果を得るために必要に応じて投与量を滴定し、投与経路を変更することが必要である。
さらに、本発明による核酸-アミノグリコシド複合体は、特定の疾患の治療において使用するのに適した他の医薬品と組み合わせてインビボで投与することができる。例えば、核酸-アミノグリコシド複合体が、標的細胞を特定の薬物に対して感受性にする「自殺遺伝子」を含む場合、その薬物と共に核酸-アミノグリコシド複合体を同時投与することが望ましいこともある。核酸をカプセル化するためにリポソームを使用する本発明の複合体の態様の場合、薬物もリポソームでカプセル化されてもよいが、そうする必要はない。
用量
遺伝子治療の用量は様々な要因によって決まる。要因として、特定の遺伝子の活性、治療されている特定の遺伝子欠陥または疾患、付随するまたは同時に生じる病気または疾病、使用される核酸のタイプおよび量、所望の遺伝子発現レベル、患者に対する安全性および効力および利便性およびコストのバランスが挙げられるが、これに限定されない。一例として、非常に活性のある化合物を生成する遺伝子の場合、または局所投与の場合、用量はマイクログラム範囲でよいが、これに限定されない。経口投与される治療剤の最大用量はグラム範囲でもよいが、例えば、吸入用量は、通常、数十ミリグラム/日の範囲に限られる。これらの用量は例示にすぎず、もちろん、必要に応じて異なってもよい。
本発明の核酸-アミノグリコシド複合体は、インビトロ、インビボ、エクスビボでの標的細胞へのトランスフェクションに使用することができる。標的細胞は任意の細胞でよい。多くの場合、細胞は脂質二重層からなる細胞膜を有する。しかしながら、このような脂質二重層は必要条件でない。一般的に、標的細胞は真核細胞を含み、一般的に、哺乳動物細胞、より一般的にはマウス細胞またはヒト細胞を含む。
トランスフェクションがインビトロで行われる場合、適量の本発明の核酸-アミノグリコシド複合体が標的細胞を含む細胞培地に添加される。本発明の核酸-アミノグリコシド複合体組成物の適量は106個の細胞につき約0.01μg〜約25μgに及んでもよい。しかしながら、当業者は、この量が、特定の標的細胞の不安定性、トランスフェクションに対する標的細胞の耐性、特定の核酸のサイズ、核酸がリポソームにさらにカプセル化されるかどうか、特定の遺伝子の活性、遺伝子発現の所望のレベルなどの要因に応じて異なってもよいことを理解するだろう。
結果として生じたトランスフェクト細胞は様々な用途に使用することができる。例えば、この細胞は、組み込まれた核酸によりコードされるポリペプチド(例えば、所望の哺乳動物遺伝子産物)を発現させるのに使用することができる。同様に、核酸の組み込みによって、特定の遺伝子欠陥を発現する細胞が得られる場合、この細胞は、特定の遺伝子欠陥に対する提案された治療の効力を研究するためのモデルとして使用することができる。または、インビトロトランスフェクションによって、ある遺伝子欠陥を補償する遺伝子またはアンチセンスRNA、リボザイムなどの部分、もしくは治療用タンパク質をコードする遺伝子が組み込まれる場合、これらの細胞は遺伝子治療を必要とする宿主に投与することができる(例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと。この開示は参照として本明細書に組み入れられる)。
核酸-アミノグリコシド複合体がインビボで使用される場合、このような治療を必要とする宿主に投与される。インビボでの使用での別のバリエーションは、遺伝子欠陥(例えば、疾患研究に有用なトランスジェニックマウスまたは「ノックアウト」マウス)の作成に用いられることである。患者における治療の一例は、CFTR遺伝子をコードするDNA構築物が前述のようにトブラマイシンなどのアミノグリコシドと複合体化され(リポソームにカプセル化されてもよい)、嚢胞性線維症患者の標的細胞と組み合わされる場合である。嚢胞性線維症欠損遺伝子の機能を回復させる前述の治療効果に加えて、核酸と共に用いられるアミノグリコシドは、さらなる治療的緩和(すなわち、特に、この患者集団におけるグラム陰性細菌感染の治療の場合、前述のような静菌作用または殺菌作用)をもたらすことができる。
インビボまたはインビトロでのトランスフェクション効率は標準的な方法によって測定することができる(Sambrookら(1989), Molecular Cloning:a Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照のこと)。例えば、インビトロで細胞にトランスフェクトされたアミノグリコシド複合体化DNA構築物にコードされる遺伝子の発現は、RNA転写物の生成を測定するノザンブロッティングまたはRNA PCRによって、ならびにタンパク質産生を検出および測定するウェスタンブロッティング、免疫沈降、およびインサイチュー免疫組織化学によって研究することができる。宿主細胞染色体へのDNAの組込みはPCRまたはサザンブロッティングによって確かめることができる。インビボで治療された組織がトランスフェクトされた遺伝子を含むかどうか、またはトランスフェクトされた遺伝子の遺伝子産物を発現しているかどうかを確かめるために、同じ方法が用いられる。これは、好ましくは、関心対象の組織の生検試料において行われる。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明を作成および使用する方法を完全に開示および説明するために示されるが、本発明と考えられるものの範囲を制限すると意図されない。使用される数値(例えば、量、温度、濃度など)に関する精度を保証するように努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差が占められるはずである。特に定めのない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧であるか、または大気圧に近い。
実施例1:核酸-アミノグリコシド複合体の調製
プラスミドDNAおよび3種類の異なるプロトタイプアミノグリコシド(ネオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン)を別々のバイアルに入れて2倍に希釈し、所望の最終濃度にした。モル過剰のDNAを含む製剤では、希釈したアミノグリコシド溶液を、軽くボルテックスしながらピペットを用いてDNAに添加した。モル過剰のアミノグリコシドを含む製剤では、DNAを軽くボルテックスしながらアミノグリコシド溶液に添加した。製剤を特徴付けの前に約30分間放置した。
実施例2:核酸およびアミノグリコシドの複合体化の有効性
核酸-アミノグリコシドの複合体を前述の方法に従って調製し、次いで、核酸がアミノグリコシドと複合体化されたことを確認するためにアガロースゲル電気泳動を用いて分析した。
詳細に述べると、プラスミドDNAが5〜100mMのネオマイシン、トブラマイシン、およびゲンタマイシンと複合体化されるように、3種類の異なるアミノグリコシドに対して様々なDNA用量を有する複合体を調製した。結果から、ゲル遅延が用量依存的に増加したことが分かった。これは、DNAがアミノグリコシドと複合体化されたことを示唆している。
実施例3:核酸-アミノグリコシド複合体の安定性
核酸-アミノグリコシドの複合体を前述の方法に従って調製し、次いで、エンドヌクレアーゼDnaseIで攻撃した。
結果から、DNAとアミノグリコシドの複合体化がヌクレアーゼ分解に対して耐性であるか、ヌクレアーゼ分解に対する安定性を付与したことが分かった。
実施例4:インビトロトランスフェクション
核酸-ゲンタマイシンの複合体を前述の方法に従って調製し、そのトランスフェクション効率をA-549細胞において評価した。
結果を図1に示す。結果から、複合体は、裸のDNAと比較してトランスフェクション効率が増加したことが分かった。
本発明は、最も実際的な、かつ好ましい態様と考えられるものにおいて本明細書で示され、説明された。しかしながら、本開示を読めば、本発明の範囲内で逸脱がなされてもよく、当業者に明らかな変更が加えられることが理解される。
裸のDNAを用いたトランスフェクションと比較した、アミノグリコシド系抗生物質ゲンタマイシンと複合体化されたDNAがトランスフェクションに及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (28)

  1. 細胞を核酸でトランスフェクトするための組成物であって、
    核酸;および
    カチオン性アミノグリコシドを含み、
    核酸がカチオン性アミノグリコシドとの相互作用により凝縮される、組成物。
  2. カチオン性アミノグリコシドが静菌性であり、300ダルトン〜約800ダルトンの平均分子量を有する、請求項1記載の組成物。
  3. 水をさらに含み、生理学的pHを有する、請求項1記載の組成物。
  4. カチオン性アミノグリコシドが、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、シソマイシン、およびネチルマイシンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
  5. 核酸が生物学的に活性なアミノ酸配列をコードする、請求項1記載の組成物。
  6. エアロゾル化され、空気力学的直径が約0.5マイクロメートル〜約12マイクロメートルのエアロゾル粒子からなる、請求項1記載の組成物。
  7. 核酸がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1記載の組成物。
  8. 核酸が、少なくとも1つのコード領域を含む高分子量ポリヌクレオチドである、請求項1記載の組成物。
  9. エアロゾル粒子が約2マイクロメートル〜約6マイクロメートルの空気力学的直径を有する、請求項6記載の組成物。
  10. カチオン性アミノグリコシドについてヒト細胞へ移入する場合と比較して、200%を超える効率でヒト細胞をトランスフェクトする能力を特徴とする、請求項1記載の組成物。
  11. 肺、非経口、経口、鼻、腹腔内、眼球内、頭蓋内、座薬、皮膚、経皮、および頬からなる群より選択される手段によって細胞に投与されるように設計された薬学的製剤に製剤化される、請求項1記載の組成物。
  12. 標的化部分、核局在化ペプチド、およびエンドソーム溶解ペプチドからなる群より選択される少なくとも1つの官能基をさらに含む、請求項1記載の組成物。
  13. 少なくとも1つの治療的に許容される脂質をさらに含む、請求項1記載の組成物。
  14. 治療的に許容される脂質が、核酸をカプセル化するリポソームを含む、請求項13記載の組成物。
  15. 凝縮が核酸の物理的体積を約10-3〜約10-6にすることを含む、請求項1記載の組成物。
  16. 細胞をトランスフェクトする方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)核酸およびカチオン性アミノグリコシドを含む組成物と細胞を接触させる段階;および
    (b)核酸が細胞内に入るような期間および条件下で、組成物と細胞を接触させたままにする段階。
  17. カチオン性アミノグリコシドとの相互作用によって核酸が凝縮される、請求項16記載の方法。
  18. 凝縮が核酸の物理的体積を約10-3〜約10-6にすることを含む、請求項17記載の方法。
  19. 核酸が、治療的に有効な生物学的に活性なアミノ酸配列をコードする、請求項16記載の方法。
  20. 製剤をエアロゾル化し、エアロゾルを患者の肺に吸入させことによって接触が行われる、請求項19記載の方法。
  21. エアロゾルが、空気力学的粒径が約2マイクロメートル〜約6マイクロメートルの粒子を有する、請求項20記載の方法。
  22. カチオン性アミノグリコシドが、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、シソマイシン、およびネチルマイシンからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
  23. 組成物が、少なくとも1つの治療的に許容される脂質をさらに含む、請求項22記載の方法。
  24. 脂質が、核酸をカプセル化するリポソームである、請求項23記載の組成物。
  25. インビボ、インビトロ、およびエクスビボからなる群より選択される環境で接触が行われる、請求項16記載の方法。
  26. 組成物が接触前にエアロゾル化され、被検体への組成物の肺送達によって細胞と接触する、請求項16記載の方法。
  27. 治療方法であって、以下の段階を含む方法:
    空気力学的直径が約0.5マイクロメートル〜約12マイクロメートルのエアロゾル粒子を生じるように、核酸およびカチオン性アミノグリコシドを含む製剤をエアロゾル化する段階;
    エアロゾルを患者の肺に吸入させる段階;および
    核酸が細胞をトランスフェクトし、治療有効量の生物学的に活性なアミノ酸配列を発現するような期間および条件下で、吸入されたエアロゾルと細胞を接触させる段階。
  28. 組成物を膜の孔に押し付けて通過させることによってエアロゾル化が行われ、エアロゾルが約2〜約6マイクロメートルの粒径を有する、請求項27記載の方法。
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