JP2005511601A - 第vii因子ポリペプチドおよび組織プラスミノゲン阻害剤を含む薬学的組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤を含む組成物、並びに出血の発症を治療するための該組成物の使用に関する。
Description
本発明は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤を含む薬学的組成物に関する。また本発明は、出血の発症を被っている被検体を治療または予防するための薬剤の製造のための、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせの使用に関する。また本発明は、被検体における出血の発症を治療するための方法、および被検体における血餅形成を増強するための方法に関する。また本発明は、これらの化合物を含むキットに関する。
止血は、血管壁に対する傷害後に循環血液に暴露される組織因子(TF)と総FVIIタンパク質質量の約1%に相当する量で循環血液中に存在するFVIIaとの間の複合体の形成によって開始される。この複合体は、TFを有する細胞に固着され、細胞表面においてFXをFXaに、およびFIXをFIXaに活性化する。FXaは、プロトロンビンをトロンビンに活性化し、これがFVIII、FV、FXI、およびFXIIIを活性化する。さらに、この止血における初期段階で形成される限られた量のトロンビンが、血小板を活性化する。血小板に対するトロンビンの作用に続き、これらは形を変えて、それらの表面に電荷をもったリン脂質を露出する。この活性化された血小板の表面は、さらなるFX活性化および完全なトロンビン生成のための鋳型を形成する。活性化された血小板表面でのさらなるFXの活性化は、活性化された血小板の表面上に形成されたFIXa-FVIIIa複合体を介して起こり、次いでFXaは、プロトロンビンをトロンビンに変換するが、依然として表面上にある。次いで、トロンビンは、フィブリノーゲンを、不溶性であり、かつ初期の血小板栓を安定化するフィブリンに転換する。このプロセスは、TFを発現または暴露する部位に区画化、すなわち局在化され、これにより、凝固系が全身で活性化するリスクを最小にしている。栓を形成する不溶性のフィブリンは、FXIIIで触媒されるフィブリン線維の架橋によってさらに安定化される。
FVIIaは、主に単一鎖の酵素前駆体として血漿中に存在し、これがFXaによって、その2本鎖の活性型のFVIIaに切断される。組換え活性型第VIIa因子(rFVIIa)は、前止血性(pro-haemostatic)の薬剤として開発されている。rFVIIaの投与は、抗体形成のために凝固因子産物で治療することができない出血を有する血友病被検体において、迅速かつ非常に有効な前止血性の応答を提供する。また、第VII因子を欠損する出血被検体または正常な凝固系を有するが、過剰の出血を受けている被検体は、FVIIaでうまく治療することができる。これらの研究において、好ましくないrFVIIaの副作用(特に血栓塞栓症の発症)には、遭遇しなかった。
外因的に余分に投与されたFVIIaは、活性化された血小板表面においてトロンビンの形成を増大させる。これは、FIXまたはFVIIIを欠損しているために完全なトロンビン形成のための最も有力な経路を欠いている血友病被検体において起こる。また、減少した数の血小板または機能に欠陥がある血小板の存在下では、余分なFVIIaが、トロンビン形成を増大させる。
組換えヒトFVIIaの商業的な調製物は、NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, Denmark)として販売されている。NovoSeven(登録商標)は、血友病AおよびBの患者における出血の発症の治療のために指定されている。NovoSeven(登録商標)は、有効かつ信頼できる出血の発症の治療のための、市場において入手可能な唯一の組換えFVIIaである。
また、フィブリン溶解の調節は、循環系の正常な機能の遂行にとって重大である。よって、プラスミノゲンを活性化することが可能な血清プロテアーゼ(例えばウロキナーゼまたはtPA)の活性は、血餅形成および溶解が確実に起こることが可能なように慎重に調節されなければならない。かかるコントロールを媒介する一つの手法は、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤の合成を調節することに関する。プラスミノゲンアクチベーター阻害剤1(PAI-1)は、このような天然に存在するtPAの生理学的阻害剤の一つである。
手術または大きな外傷に関連して過度に出血し、輸血の必要がある被検体は、いかなる出血も受けていない被検体よりも多くの合併症を発病することが周知である。しかし、ヒトの血液または血液製剤(凝固欠陥の治療のための血小板、白血球、血漿に由来する濃縮物等)の投与を必要とする中程度の出血もまた、ヒト・ウイルス(肝炎、HIV、パルボウイルス、およびその他の現在未知のウイルス)を伝達するリスクに関連した合併症を引き起こすかもしれない。大量の輸血を必要とする広範囲の出血は、肺および腎機能の障害を含む多臓器不全の発症を引き起こすかもしれない。一旦被検体がこれらの重篤な合併症を発症すると、多くのサイトカインおよび炎症反応の関与するイベントのカスケードが開始され、どのような治療も極めて困難となり、残念なことにうまくいかないことが多い。したがって、手術並びに大きな組織損傷の治療における主な目的は、出血を避けること、または最小限にすることである。このような出血を避けるため、または最小限にするためには、フィブリン溶解酵素によって容易に溶解されない安定かつ堅固な止血栓の形成を確実にすることが重要である。さらに、このような栓または血餅の迅速かつ効率的な形成を確実にすることが重要である。
FVIIaの短い半減期(2.5時間)により、一定レベルの止血能を維持するために一回以上の投与が必要とされるため、今日、出血の発症を受けている被検体、例えば外傷被害者および手術に関連して出血している被検体は、数回のFVIIaの注射または注入によって治療されることが多い。より迅速な出血の阻止は、このような被検体に対して重要な利益となろう。そうなれば、出血を止めて止血を維持するために必要な投与回数が減少するであろう。
欧州特許第225.160号(Novo Nordisk)は、凝固因子の欠陥または凝固因子阻害剤によって引き起こされるものではない出血障害の治療のための、FVIIa組成物および方法に関する。
欧州特許第82.182号(Baxter Travenol Lab.)は、被検体において、血液凝固因子の欠損または血液凝固因子に対する阻害剤の効果に対向する際に使用するための第VIIa因子の組成物に関する。
国際特許公開番号WO 93/06855(Novo Nordisk)は、FVIIaの局所適用に関する。
欧州特許第82.182号(Baxter Travenol Lab.)は、被検体において、血液凝固因子の欠損または血液凝固因子に対する阻害剤の効果に対向する際に使用するための第VIIa因子の組成物に関する。
国際特許公開番号WO 93/06855(Novo Nordisk)は、FVIIaの局所適用に関する。
出血の発症を受けている被検体、例えば、出血の発症が、手術、外傷、またはその他の形態の組織損傷;多回輸血された被検体における凝固障害を含む誘発性凝固障害;肝機能の低下(「肝疾患」)を含む、先天性または後天性の凝固または出血の障害;血小板機能の欠陥または血小板数の減少;必須の凝固「化合物」(たとえば、血小板またはフォン・ビルブラント因子タンパク質)の欠乏または異常;フィブリン溶解の増大;抗凝固療法または血栓溶解療法;または幹細胞移植によるものである被検体の治療を改善する必要性が、当該技術分野においてなお存在する。
改善され、信頼性があり、かつ広く適用できる以下の方法、凝固を増強するか、安定な止血栓の形成を増強するかもしくは確実にするか、または治療される被検体のための便宜を増強するか、または被検体、特にトロンビン生成が損なわれている被検体において完全な止血を達成する方法に対する必要性が、当該技術分野において残っている。また、出血の阻止時間が短縮された方法に対する要求もある。
本発明の1つの目的は、出血の発症および凝固障害の治療または予防において有効に使用することができる組成物を提供することである。
本発明の第2の目的は、出血の発症の治療もしくは予防において、または凝血原として、有効に使用することができる単一の単位投与量形態の組成物を提供することである。本発明の別の目的は、相乗効果を示す組成物、治療方法、またはキットを提供することである。
本発明の第2の目的は、出血の発症の治療もしくは予防において、または凝血原として、有効に使用することができる単一の単位投与量形態の組成物を提供することである。本発明の別の目的は、相乗効果を示す組成物、治療方法、またはキットを提供することである。
本発明のさらなる目的は、凝固系の高レベルの全身での活性化などの実質的な副作用を示さない組成物、治療方法、またはキットを提供することである。
本発明のその他の目的は、本明細書を読むことによって明らかになるであろう。
本発明のその他の目的は、本明細書を読むことによって明らかになるであろう。
第1の側面において、本発明は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤を含む薬学的組成物を提供する。
第2の側面において、本発明は、出血の発症のための治療剤を含むパーツのキット(a kit of parts)であって、
a)第1の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;
b)第2の単位投与量形態の、tPA阻害剤の調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;および
c)前記第1および第2の単位投与量形態を含むための容器手段
を含むキットを提供する。
a)第1の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;
b)第2の単位投与量形態の、tPA阻害剤の調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;および
c)前記第1および第2の単位投与量形態を含むための容器手段
を含むキットを提供する。
第3の側面において、本発明は、被検体における出血の発症を治療するための薬剤の製造のための、tPA阻害剤と組み合わせた第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの使用を提供する。さらなる側面において、本発明は、被検体の出血の発症を治療するための薬剤の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用を提供する。
その異なる態様において、薬剤は、完全な止血を得るために必要な時間を減少させるため、止血を維持するために必要な時間を減少させるため、凝固時間を減少させるため、血餅溶解時間を延長するため、および血餅強度を増大させるためのものである。
異なる態様において、薬剤は、手術、外傷、またはその他の形態の組織損傷;多回輸血された被検体における凝固障害を含む凝固障害;肝機能の低下(「肝疾患」)を含む、先天性または後天性の凝固または出血の障害;血小板機能の欠陥または血小板数の減少;必須の凝固「化合物」(たとえば、血小板またはフォン・ビルブラント因子タンパク質)の欠乏または異常;フィブリン溶解の増大;抗凝固療法または血栓溶解療法;幹細胞移植による出血の発症を受けている被検体を治療するためのものである。1つの一連の態様において、出血は、脳、内耳領域、目、肝臓、肺、腫瘍組織、消化管などの器官において起こり;別の一連の態様において、これは、出血性胃炎および大量の子宮出血などにおけるびまん性出血である。別の一連の態様において、出血の発症は、急性関節血症(関節の出血)、慢性血友病性関節症、血腫(たとえば筋肉、腹膜後、舌下、および咽頭後)、その他の組織における出血、血尿(腎尿管(renal tract)からの出血)、大脳出血、手術(たとえば、肝切除)、抜歯、および胃腸出血(たとえば、UGIの出血)を有する被検体における手術または外傷と関連した出血である。1つの態様において、薬剤は、被検体における、外傷、または手術、または血小板の数もしくは活性の低下による出血の発症を治療するためのものである。
さらなる側面において、本発明は、被検体における出血の発症を治療するための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに出血を治療するために有効である方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、被検体における凝固時間を減少させるための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに凝固時間を減少させるために有効である方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は被検体における止血を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに止血を増強するために有効である方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、被検体における血餅溶解時間を延長するための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに血餅溶解時間を延長するために有効である方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、被検体における血餅強度を増大させるための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに血餅強度を増大させるために有効である方法を提供する。
本方法の1つの一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、単一の単位投与量形態で投与される。
別の一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態の形で投与される。その一連の態様において、第1の単位投与量形態および第2の単位投与量形態は、15分を超えない時間の間隔で投与される。
別の一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態の形で投与される。その一連の態様において、第1の単位投与量形態および第2の単位投与量形態は、15分を超えない時間の間隔で投与される。
さらなる側面において、本発明は、出血の発症のための治療剤を含むキットであって、
d)単一の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの有効な量、およびtPA阻害剤の有効な量、および薬学的に許容されるキャリア;および
e)前記単一の単位投与量形態を含むための容器手段
を含むキットを提供する。
d)単一の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの有効な量、およびtPA阻害剤の有効な量、および薬学的に許容されるキャリア;および
e)前記単一の単位投与量形態を含むための容器手段
を含むキットを提供する。
本発明の1つの一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、第VII因子関連ポリペプチドである。本発明の1つの一連の態様において、第VII因子関連ポリペプチドは、第VII因子アミノ酸配列変異体である。1つの態様において、第VII因子関連ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、本明細書に記載されるように「インビトロ加水分解アッセイ」で試験したときに、少なくとも約1.25である。
本発明の1つの一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、第VII因子である。1つの態様において、前記第VII因子は、ヒト第VII因子である。1つの態様において、第VII因子は、ウシ、ブタ、イヌ、ウマ、マウス、またはサケの第VII因子である。別の態様において、第VII因子は、組換えによって作製される。別の態様において、第VII因子は、血漿に由来する。好ましい態様において、第VII因子は、組換えヒト第VII因子である。本発明の1つの一連の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、その活性型である。本発明の1つの好ましい態様において、第VII因子は、組換えヒト第VIIa因子である。
1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対する抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、ヒトtPAに対する抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対するモノクローナル抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対するポリクローナル抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対するヒト化抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対する完全にヒトの抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、tPAに対するヒト抗体である。1つの態様において、tPA阻害剤は、小さな有機分子である。1つの態様において、小さな分子のtPA阻害剤は、経口投与に適している。1つの態様において、小さな分子のtPA阻害剤は、約5キロダルトン未満の分子量を有する。さらなる態様において、tPA阻害剤は、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、またはそのフラグメント、ポリペプチド、オリゴペプチド、または短いペプチドから選択される。tPAを阻害する小さな有機分子または短いペプチドの例は、米国特許第5,159,938号に見出される。1つの態様において、tPA阻害剤は、天然に存在しないtPA阻害剤である。
1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、約100:1から約1:100(w/w 第VII因子:tPA阻害剤)の間の質量比で存在する。
1つの態様において、第VII因子関連ポリペプチドは、野生型の第VII因子(すなわち、米国特許第4,784,950号に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチド)と比較して、20以下のアミノ酸が、置換され、欠失され、または挿入されたアミノ酸配列変異体である。別の態様において、第VII因子変異体は、野生型の第VII因子と比較して、15以下のアミノ酸が置換され、欠失され、または挿入され;その他の態様において、第VII因子変異体は、10以下のアミノ酸、例えば8、6、5、または3アミノ酸が置換され、欠失され、または挿入されている。1つの態様において、第VII因子変異体は、以下のリストから選択される:L305V-FVIIa、L305V/M306D/D309S-FVIIa、L305I-FVIIa、L305T-FVIIa、F374P-FVIIa、V158T/M298Q-FVIIa、V158D/E296V/M298Q-FVIIa、K337A-FVIIa、M298Q-FVIIa、V158D/M298Q-FVIIa、L305V/K337A-FVIIa、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVIIa、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVIIa、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVIIa、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、およびS336G-FVII。
さらなる態様において、第VII因子関連ポリペプチドは、天然のヒト凝固第VIIa因子と比較して、組織因子非依存的な活性が増大している。別の態様において、活性の増大は、基質特異性の変化を伴わない。本発明の別の態様において、組織因子に対する第VII因子関連ポリペプチドの結合は、損なわれておらず、第VII因子関連ポリペプチドは組織因子に結合したときに、少なくとも野生型の第VIIa因子の活性を有する。
1つの好ましい態様において、第VII因子ポリペプチドおよびtPA阻害剤は、組換えヒト第VIIa因子およびtPAに対するモノクローナル抗体である。
1つの態様において、哺乳類の血液において凝固時間が減少する。別の態様において、哺乳類の血液において止血が増強される。別の態様において、哺乳類の血液において血餅溶解時間が延長される。別の態様において、哺乳類の血液において血餅強度が増大する。1つの態様において、哺乳類の血液は、ヒトの血液である。別の態様において、哺乳類の血液は、正常なヒトの血液であり;1つの態様において、血液は、トロンビン生成が損なわれている被検体からの血液である。1つの態様において、血液は、1つまたは複数の凝固因子の欠損を有する被検体からの血液であり;別の態様において、血液は、1つまたは複数の凝固因子に対する阻害剤を有する被検体からの血液であり;1つの態様において、血液は、フィブリノーゲンの濃度が低下した被検体からのものであり;1つの態様において、血液は、tPA阻害剤を欠損したヒトの血液である。1つの一連の態様において、血液は、血漿である。
本発明の1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、組成物に含まれる唯一の止血性薬剤である。別の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、組成物に含まれる唯一の活性な止血性薬剤である。別の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、被検体に投与される唯一の凝固因子である。本発明の1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、患者に投与される唯一の活性な薬剤である。1つの態様において、組成物は、実質的にトロンビンまたはプロトロンビンを含まず;別の態様において、組成物は、実質的にFXを含まず;別の態様において、組成物は、実質的にFXaを含まない。
別の態様において、薬学的組成物は、静脈内投与、好ましくは注射または注入、特に注射のために製剤化される。1つの態様において、組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤またはキャリアを含む。
本発明の1つの態様において、組成物は、単一の単位投与量形態であって、単一の単位投与量形態は、両方の凝固因子を含む。本発明の1つの態様において、組成物は、第1の単位投与量形態として第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、および第2の単位投与量形態としてtPA阻害剤の調製物を含み、かつ前記第1および第2の単位投与量形態を含むための容器手段を含むパーツのキット(kit-of-parts)の形態にある。1つの態様において、組成物またはキットは、適用できるものとして、それぞれ組成物または分離した成分を投与するための説明書をさらに含む。
本発明の1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、単一の投与量形態で投与される。本発明の1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態の形で投与される。
本発明の1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、同時に投与される。別の態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、逐次投与される。1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、15分、好ましくは10分、より好ましくは5分、より好ましくは2分を超えない時間の間隔で投与される。1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、2時間まで、好ましくは1〜2時間、より好ましくは1時間まで、より好ましくは30分〜1時間、より好ましくは30分まで、より好ましくは15〜30分の時間の間隔で投与される。
1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの有効な量は、約0.05 mg/日〜約500 mg/日(70 kgの被検体)である。1つの態様において、tPA阻害剤の調製物の有効な量は、約0.01 mg/日〜約500 mg/日(70 kgの被検体)である。
1つの態様において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、約100:1から約1:100(w/w 第VII因子:tPA阻害剤)の間の質量比で存在する。
本発明の1つの態様において、薬学的組成物は、単一の単位投与量形態であり、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、並びにtPA阻害剤の調製物、並びに薬学的に許容されるキャリア、安定剤、洗浄剤、中性塩、抗酸化剤、保存剤、およびプロテアーゼ阻害剤のリストから選択される1つまたは複数の成分から本質的に成る。
本発明の別の態様において、薬学的組成物は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、並びに薬学的に許容されるキャリア、安定剤、洗浄剤、中性塩、抗酸化剤、保存剤、およびプロテアーゼ阻害剤のリストから選択される1つまたは複数の成分から本質的に成る第1の単位投与量形態;並びにtPA阻害剤の調製物、並びに薬学的に許容されるキャリア、安定剤、洗浄剤、中性塩、抗酸化剤、保存剤、およびプロテアーゼ阻害剤のリストから選択される1つまたは複数の成分から本質的に成る第2の単位投与量形態を備えた、パーツのキット(kit-of-parts)の形態にある。
さらなる態様において、被検体はヒトであり;別の態様において、被検体は、トロンビン生成が損なわれており;1つの態様において、被検体は、フィブリノーゲンの血漿濃度が低下しており(たとえば、多回輸血された被検体であり);1つの態様において、被検体は、第VIII因子またはFIXの血漿濃度が低下している。
別の側面において、本発明は、唯一の凝固タンパク質として第VII因子で被検体を治療したときと比較して、第VII因子応答性症候群に罹患している被検体における止血を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに止血を増強するために有効である方法に関する。
別の側面において、本発明は、被検体におけるトロンビン形成を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともにトロンビン形成を増強するために有効である方法に関する。
別の側面において、本発明は、唯一の凝固タンパク質として第VII因子で被検体を治療したときと比較して、第VII因子応答性症候群に罹患している被検体におけるトロンビン形成を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともにトロンビン形成を増強するために有効である方法に関する。
別の側面において、本発明は、唯一の凝固因子タンパク質として第VII因子を被検体に投与したときに必要な投与回数と比較して、第VII因子応答性症候群に罹患している被検体における止血を達成するために必要な凝固因子タンパク質の投与回数を減少させるための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに凝固因子タンパク質の投与回数を減少させるために有効である方法に関する。
別の側面において、本発明は、第VII因子応答性症候群に罹患している被検体における出血を治療する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに出血を治療するために有効である方法に関する。
1つの態様において、第VII因子は、ヒト組換え第VIIa因子(rFVIIa)である。別の態様において、rFVIIaは、NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S、Bagsvaerd、Denmark)である。
別の側面において、本発明は、哺乳類の血漿におけるフィブリン血餅形成を増強するための薬剤の製造のための、tPA阻害剤と組み合わせた第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの使用に関する。
別の側面において、本発明は、被検体におけるフィブリン血餅形成を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、当該第1および第2の量は、ともに出血を治療するために有効である方法に関する。
手術または大きな外傷に関連して過度に出血したために輸血の必要がある被検体は、いかなる出血も受けてていない被検体よりも多くの合併症を発病する。しかし、中程度の出血でも、ヒトの血液または血液製剤(凝固欠陥の治療のための血小板、白血球、血漿に由来する濃縮物等)の投与を必要とする場合、このことが、ヒト・ウイルス(肝炎、HIV、パルボウイルス、およびその他の現在未知のウイルス)並びに非ウイルス病原体を伝達するリスクと関連しているので、合併症を引き起こすかもしれない。大量の輸血を必要とする広範囲の出血は、肺および腎機能の障害を含む多臓器不全の発症を引き起こすかもしれない。一旦被検体がこれらの重篤な合併症を発病すると、多くのサイトカインおよび炎症反応の関与するイベントのカスケードが開始され、どのような治療も極めて困難となり、残念なことにうまくいかないことが多い。大量の血液の損失を経験している患者は、臨床的に不安定になる。このような患者は、心房細動を受けるリスクがあり、これにより心臓活動の致命的な停止;腎機能障害;または肺における流体の血管外遊出(いわゆる「湿性肺」またはARDS)に至る可能性がある。したがって、手術並びに大きな組織損傷の治療における主な目的は、出血を避けること、または最小限にすることである。このような望ましくない出血を避けるため、または最小限にするためには、フィブリン溶解酵素によって容易に溶解されない安定かつ堅固な止血栓の形成を確実にすることが重要である。さらに、このような栓または血餅の迅速かつ効率的な形成を確実にすることが重要である。
また、血小板減少症の(血小板の数または活性が低下した)被検体は、トロンビン生成が損なわれているとともに、フィブリン栓の安定化が不完全であるため、早期に溶解されやすい止血栓を生じる。さらに、大きな外傷または器官損傷を受け、その結果、頻繁に輸血が行われた被検体は、血小板数が低下するとともに、フィブリノーゲン、第VIII因子、およびその他の凝固タンパク質のレベルが低下することが多い。これらの被検体は、トロンビン生成が損なわれている(または低下している)。したがって、これらの被検体は、止血に欠陥があるか、または効率的でないため、タンパク分解酵素によって容易かつ早期に溶解されるフィブリン栓を形成することになり、加えてこのような酵素は、広範な外傷および器官損傷によって特徴づけられる状況において広範囲に放出される。
また、組織における出血は、血腫の形成を引き起こす可能性もある。(とりわけ頭蓋内および脊髄の)血腫の大きさは、神経機能の損失の程度、リハビリの困難さ、および/またはリハビリ後の神経機能の永久的な障害の重症度および程度と密接に関連がある。最も重篤な血腫の結果は、これらが脳に位置するときに見られ、この場合患者の死亡につながることさえあり得る。
したがって、出血の治療における主な目的は、最短時間で止血を行い、これにより、失血を最小限にしておくことである。
したがって、出血の治療における主な目的は、最短時間で止血を行い、これにより、失血を最小限にしておくことである。
したがって、本発明は、このような治療を必要とする被検体における出血の発症を治療するための、有益な治療組成物、治療の使用、および治療方法を提供する。かかる組成物、使用、および方法は、止血が行われる前に失血を少なくすること、手術の間に必要とされる血液を少なくすること、止血が行われるまで血圧を許容されるレベルに保持すること、血圧を迅速に安定化すること、治療された患者の回復時間を短縮すること、治療された患者のリハビリ時間を短縮すること、脳血腫を含む血腫の形成を減少させたり血腫を小さくしたりすること、迅速に出血を抑止すること、出血の停止および止血の維持のために必要な投与回数を減少させることなどの有益な効果に関与しているであろう。
tPA阻害剤の調製物と組み合わせて、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、たとえば第VIIa因子の調製物を投与することにより、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれかを単独で投与したときの凝固時間、血餅の堅固さ、およびフィブリン溶解に対する耐性と比較して、凝固時間の短縮、より堅固な血餅、およびフィブリン溶解に対する耐性の増大がもたらされる。
また、tPA阻害剤の調製物と組み合わせて、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、たとえば第VIIa因子の調製物を投与することにより、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれかを単独で投与したときの状況と比較して、出血の抑止を行うための時間は短縮され、止血を維持するための投与回数も減少する。本発明は、tPA阻害剤の調製物、および第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の同時または逐次の投薬における有益な効果を提供する。本発明に従った薬学的組成物は、単一の組成物の形態であってもよいし、または多成分性のキット(パーツのキット(kit-of-parts))の形態であってもよい。本発明に従った組成物は、ヒトなどの霊長類を含む哺乳類において、治療的および予防的な凝血原として有用である。本発明は、ヒトを含む被検体における出血の発症を治療する(予防的に治療することまたは予防することを含む)ための方法をさらに提供する。
第1または第2または第3などの単位用量が、本明細書にわたって言及される場合常に、これは、投与の好ましい順序を示すのではなく、単に便宜上の目的で使用されるだけである。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、およびtPA阻害剤の調製物の組み合わせは、短い凝固時間、止血栓の迅速な形成、および安定な止血栓の形成を確実にする有利な製品である。第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせは、堅固な、安定な、かつ迅速に形成される止血栓の形成を確実にする有利な製品であることが、本発明の発明者によって見出された。
本発明の発明者は、第VIIa因子およびtPA阻害剤の組み合わせが、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれか単独よりも効率的に、血餅の堅固さを増大させることができることを示した。また、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせが、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれか単独よりも効率的に、正常なヒト血漿におけるインビトロでの血餅溶解時間を延長することができることが示された。また、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせが、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれか単独よりも効率的に、正常なヒト血漿における半分の血餅溶解時間を延長することができることが示された。また、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせが、第VIIa因子またはtPA阻害剤のいずれか単独よりも効率的に、正常なヒト血漿におけるフィブリン溶解、特にtPA介在性のフィブリン溶解から血餅を保護することができることが示された。このように、凝固を増強することにより、被検体における出血をさらに有効に治療することができる。
理論に縛られることは望まないが、完全なトロンビン生成は、堅固で安定な止血栓を形成するため、およびこれによる止血の維持のために必要であると考えられている。このような栓のフィブリン構造は、形成されるトロンビンの量および初期のトロンビン生成速度の両方に依存的である。トロンビン生成が損なわれている状況では、浸透性の高い多孔性のフィブリン栓が形成されている。通常フィブリン表面に存在するフィブリン溶解性酵素は、このようなフィブリン栓を容易に溶解する。また、安定なフィブリン栓の形成は、トロンビンによって活性化される第XIIIa因子の存在に依存的であり、したがって完全なトロンビン生成にも依存的である。さらに、近年記載されたトロンビン活性化可能なフィブリン溶解性阻害剤(thrombin activatable fibrinolytic inhibitor)、TAFIは、その活性化のためにかなり多量のトロンビンを必要とする。したがって、トロンビン形成が完全に十分ではない状況では、TAFIが活性化されず、その結果、正常なフィブリン溶解活性により正常に溶解されるよりも容易に溶解される止血栓が形成されることがある。血小板数の減少を伴う状況の血小板減少症では、外因性の余分の第VIIa因子の投与によって、より迅速なトロンビン生成が開始される。しかし、全体のトロンビン生成は、高濃度の第VIIa因子によってさえ正常化されない。
フィブリノーゲンの血漿濃度が低下した被検体(多くの外傷または広範な手術の結果として多回輸血された被検体)では、完全なトロンビン活性化は起こらない。このとき、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤を組み合わせて投与することによって、より有効な止血が達成される。
血小板減少症の被検体は、トロンビン生成が損なわれているとともに、フィブリン栓の安定化が不完全であるため、早期に溶解されやすい止血栓を生じる。さらに、大きな外傷または器官損傷を受け、その結果、頻繁に輸血が行われた被検体は、血小板数が低下するとともに、フィブリノーゲン、第VIII因子、およびその他の凝固タンパク質のレベルが低下することが多い。これらの被検体は、トロンビン生成が損なわれている(または低下している)。加えて、フィブリノーゲンのレベルの低下は、ネガティブに第XIII因子の活性化を妨害する。したがって、これらの被検体は、止血に欠陥があるか、または効率的でないため、タンパク分解酵素によって容易かつ早期に溶解されるフィブリン栓を形成することになり、加えてこのような酵素は、広範な外傷および器官損傷によって特徴づけられる状況において広範囲に放出される。
被検体の止血を維持するための完全な能力を備えた完全に安定化された栓の形成を容易にするために、本発明に従った組成物が投与される。この組成物は、血小板数が低下した被検体、並びにフィブリノーゲンおよび/またはその他の凝固タンパク質の血漿レベルが低下した被検体において、特に有益である。
第VII因子ポリペプチド:
本発明を実施する際、出血を予防または治療するために有効な任意の第VII因子ポリペプチドが使用され得る。これには、血液もしくは血漿に由来するか、または組換え手段によって産生された第VII因子ポリペプチドが含まれる。
本発明を実施する際、出血を予防または治療するために有効な任意の第VII因子ポリペプチドが使用され得る。これには、血液もしくは血漿に由来するか、または組換え手段によって産生された第VII因子ポリペプチドが含まれる。
本発明は、たとえば米国特許第4,784,950号(野生型ヒト第VII因子)に開示されるアミノ酸配列を有するものなどの第VII因子ポリペプチドを含む。幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、たとえば米国特許第4,784,950号(野生型第VII因子)に開示されるヒト第VIIa因子である。1つの一連の態様において、第VII因子ポリペプチドは、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも約70%の、ヒト第VIIa因子の特異的な生物学的活性を示すポリペプチドを含む。1つの一連の態様において、第VII因子ポリペプチドは、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約100%、好ましくは少なくとも約120%、より好ましくは少なくとも約140%、および最も好ましくは少なくとも約160%の、ヒト第VIIa因子の特異的な生物学的活性を示すポリペプチドを含む。1つの一連の態様において、第VII因子ポリペプチドは、米国特許第4,784,950号に開示される野生型の第VII因子の配列と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示すポリペプチドを含む。
本明細書で使用される「第VII因子ポリペプチド」は、第VII因子、並びに第VII因子関連ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。「第VII因子」の用語は、野生型ヒト第VII因子(米国特許第4,784,950号に開示される)のアミノ酸配列1〜406を有するポリペプチド、並びにたとえばウシ、ブタ、イヌ、マウス、およびサケの第VII因子などのその他の種に由来する野生型第VII因子を含むことが意図されるが、これらに限定されず、前記第VII因子は、血液もしくは血漿に由来するか、または組換え手段によって産生される。これには、ある個体から別の個体に存在し、起こり得る、第VII因子の天然の対立遺伝子の変異体がさらに含まれる。また、グリコシル化またはその他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択した宿主細胞および宿主細胞の環境の性質に依存して変化し得る。また、「第VII因子」の用語は、第VII因子ポリペプチドの未切断(酵素前駆体)の形態、並びにタンパク分解処理を受け、それぞれの生物活性の形態を生じた、第VIIa因子と称されるものを含むことが意図される。典型的には、第VII因子は、残基152と153の間で切断されて第VIIa因子を産生する。
「第VII因子関連ポリペプチド」は、ヒト第VII因子と比較して化学的に修飾されている、および/またはヒト第VII因子と比較して1つまたは複数のアミノ酸配列の変化を含む(すなわち第VII因子変異体)、および/またはヒト第VII因子と比較して先端を切断された(truncated)アミノ酸配列を含む(すなわち第VII因子フラグメント)、いずれかの第VII因子ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。このような第VII因子関連ポリペプチドは、ヒト第VII因子と比較して、安定性、リン脂質結合、変化した比活性など、異なる特性を示してもよい。「第VII因子関連ポリペプチド」の用語は、このようなポリペプチドの未切断(酵素前駆体)の形態、並びにタンパク分解処理を受け、それぞれの生物活性の形態を生じた「第VIIa因子関連ポリペプチド」または「活性化された第VII因子関連ポリペプチド」と称されるものを含むことが意図される。
本明細書で使用される「第VII因子関連ポリペプチド」は、野生型ヒト第VII因子と比較して、実質的に同等であるか、または改良された生物学的活性を示すポリペプチド、並びに野生型ヒト第VIIa因子の活性と比較して、第VIIa因子の生物学的活性が実質的に改変されるか、または減少したポリペプチドを含むが、これらに限定されない。これらのポリペプチドは、化学的に修飾された第VII因子または第VIIa因子、および特定のアミノ酸配列の変化が導入されて、ポリペプチドの生物活性が改変されるか、または崩壊した第VII因子変異体を含むが、これらに限定されない。
これには、わずかに改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、たとえばN末端アミノ酸の欠失もしくは付加を含む改変されたN末端を有するポリペプチド、および/またはヒト第VIIa因子と比較して化学的に修飾されたポリペプチドが含まれる。
第VII因子の変異体を含む第VII因子関連ポリペプチドは、野生型第VII因子と実質的に同等であるか、または優れた生物活性を示すか、あるいは、野生型第VII因子と比較して実質的に改変された生物活性を示すか、または減少した生物活性を示すかどうかにかかわらず、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、欠失、または置換により野生型第VII因子の配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
変異体を含む第VII因子関連ポリペプチドは、上述のとおり凝固アッセイ、タンパク分解アッセイ、またはTF結合アッセイの1つまたは複数で試験したときに、同じ細胞タイプで産生される野生型第VIIa因子の比活性の、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、または少なくとも約130%を示すものを含む。
変異体を含み、かつ野生型第VIIa因子と比較して実質的に同等であるか、または改良された生物学的活性を有する第VII因子関連ポリペプチドは、上述のとおり凝固アッセイ、タンパク分解アッセイ、またはTF結合アッセイの1つまたは複数で試験したときに、同じ細胞タイプで産生される野生型第VIIa因子の比活性の、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約110%、より好ましくは少なくとも約120%、および最も好ましくは少なくとも約130%を示すものを含む。
変異体を含み、かつ野生型第VIIa因子と比較して実質的に減少した生物学的活性を有する第VII因子関連ポリペプチドは、上述のとおり凝固アッセイ、タンパク分解アッセイ、またはTF結合アッセイの1つまたは複数で試験したときに、同じ細胞タイプで産生される野生型第VIIa因子の比活性の、約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、および最も好ましくは約1%未満を示すものである。野生型第VII因子と比較して実質的に改変された生物学的活性を有する第VII因子変異体は、TF非依存性の第X因子タンパク分解活性を示す第VII因子変異体、およびTFに結合するが、第X因子を切断しないものを含むが、これらに限定されない。
幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、「インビトロ加水分解アッセイ」(下記の「アッセイ」を参照されたい)で試験したときに、前記第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が少なくとも約1.25である、第VII因子関連ポリペプチド、とりわけ変異体であり;その他の態様において、比は、少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約4.0である。本発明の幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、「インビトロ・タンパク分解アッセイ」(下記の「アッセイ」を参照されたい)で試験したときに、前記第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が少なくとも約1.25である、第VII因子関連ポリペプチド、とりわけ変異体であり;その他の態様において、比は、少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約4.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約8.0である。
幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、たとえば米国特許第4,784,950号(野生型第VII因子)に開示されるヒト第VII因子である。幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、ヒト第VIIa因子である。1つの一連の態様において、第VII因子ポリペプチドは、ヒト第VIIa因子の生物学的比活性の少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも約70%を示す第VII因子関連ポリペプチドである。幾つかの態様において、第VII因子ポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、欠失、または置換により野生型第VII因子の配列とは異なるアミノ酸配列を有する。
野性型第VIIa因子と比較して、実質的に同等であるかまたは優れた生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例は、デンマーク特許出願番号PA 2000 00734およびPA 2000 01360(WO 01/83725に対応する)、およびPA 2000 01361(WO 02/22776に対応する)に記載されるものを含むが、これらに限定されない。野性型第VII因子と実質的に同等であるかまたは改良された生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例は、S52A-FVII、S60A-FVII(lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、およびS336G-FVII;米国特許第5,580,560号に開示される、増大したタンパク分解安定性を示すFVIIa変異体;残基290と291の間または残基315と316の間でタンパク分解により切断された第VIIa因子(Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48: 501-505, 1995);並びに第VIIa因子の酸化型(Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363: 43-54, 1999)を含む。野生型第VII因子と比較して、実質的に減少または改変した生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例は、R152E-FVIIa(Wildgoose et al., Biochem 29: 3413-3420, 1990)、S344A-FVIIa(Kazama et al., J. Biol. Chem. 270: 66-72, 1995)、FFR-FVIIa(Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15: 515-520, 1998)、およびGlaドメインを欠いている第VIIa因子(Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317: 245-249, 1993)を含む。化学的に修飾された第VII因子ポリペプチドおよび配列変異体の非限定的な例は、たとえば米国特許第5,997,864号に記載されている。
血液凝固における第VIIa因子の生物学的活性は、(i)組織因子(TF)に結合する能力、および(ii)第IX因子または第X因子のタンパク分解性切断を触媒して、活性化された第IX因子または第X因子(それぞれ第IXa因子または第Xa因子)を産生する能力に由来する。
本発明の目的のために、第VII因子ポリペプチドの生物学的活性(「第VII因子の生物学的活性」)は、たとえば米国特許第5,997,864号に記載されるとおり、第VII因子が欠損した血漿およびトロンボプラスチンを使用して、血液凝固を促進する調製物の能力を測定することによって定量することができる。このアッセイにおいて、生物学的活性は、コントロール試料と比較した凝固時間の減少として表し、1ユニット/mLの第VII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比較することにより「第VII因子ユニット」に変換する。あるいは、第VIIa因子の生物学的活性は、
(i)脂質膜に包埋されたTFおよび第X因子を含む系において、第VIIa因子または第VIIa因子関連ポリペプチドが、活性化された第X因子(第Xa因子)を産生する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272: 19919-19924, 1997);
(ii)水性系において第X因子の加水分解を測定すること(「インビトロ・タンパク分解アッセイ」、下記を参照されたい);
(iii)表面プラスモン共鳴に基づいた機器を使用して、第VIIa因子または第VIIa因子関連ポリペプチドのTFに対する物理的結合を測定すること(Persson, FEBS Letts. 413: 359-363, 1997);および
(iv)第VIIa因子および/または第VIIa因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定すること(「インビトロ加水分解アッセイ」、下記を参照されたい);および
(v)TF非依存的なインビトロ系においてトロンビンの生成を測定すること
により定量することができる。
(i)脂質膜に包埋されたTFおよび第X因子を含む系において、第VIIa因子または第VIIa因子関連ポリペプチドが、活性化された第X因子(第Xa因子)を産生する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272: 19919-19924, 1997);
(ii)水性系において第X因子の加水分解を測定すること(「インビトロ・タンパク分解アッセイ」、下記を参照されたい);
(iii)表面プラスモン共鳴に基づいた機器を使用して、第VIIa因子または第VIIa因子関連ポリペプチドのTFに対する物理的結合を測定すること(Persson, FEBS Letts. 413: 359-363, 1997);および
(iv)第VIIa因子および/または第VIIa因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定すること(「インビトロ加水分解アッセイ」、下記を参照されたい);および
(v)TF非依存的なインビトロ系においてトロンビンの生成を測定すること
により定量することができる。
「第VII因子の生物学的活性」または「第VII因子の活性」の用語は、トロンビンを生成する能力を含むことが意図され;また該用語は、組織因子の非存在下において、活性化された血小板の表面でトロンビンを生成する能力も含む。
本発明に従って使用してもよい第VIIa因子の調製物は、NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark)であるが、これに限定されない。
本発明に従って使用してもよい第VIIa因子の調製物は、NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark)であるが、これに限定されない。
tPA阻害剤:
本発明は、たとえばtPAに対する抗体、tPAを阻害する小さな分子、並びに他の天然に存在しないタンパク質、ペプチドおよび非タンパク質のtPA阻害剤などのtPA阻害剤を含む。
本発明は、たとえばtPAに対する抗体、tPAを阻害する小さな分子、並びに他の天然に存在しないタンパク質、ペプチドおよび非タンパク質のtPA阻害剤などのtPA阻害剤を含む。
本発明を実施する際、出血を予防または治療するために有効な任意のtPA阻害剤が使用され得る。本明細書で使用される「tPA阻害剤」は、PAI-1ではない全てのtPA阻害剤を含むが、これらに限定されない。「PAI-1」の用語は、天然に存在する全てのtPA阻害剤を含むことを意図する。「tPA阻害剤」の用語は、小さな分子のtPA阻害剤、tPAに対する抗体、および天然に存在しないタンパク質のtPA阻害剤を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「抗体」の用語は、抗原(たとえばヒトtPA)に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子およびそのフラグメントを指すことを意図する。よって、抗原(たとえばヒトtPA)に特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメントも、抗体の定義に含まれる。抗体の抗原結合機能は、完全長の抗体のフラグメントにより果たされ得ることが示されている。「抗体」の用語の範囲内に含まれる結合フラグメントの例は、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る一価のフラグメント;(ii)F(ab)2およびF(ab’’)2フラグメント、ちょうつがい部位でジスルフィド架橋により連結される2つのFabフラグメントを含む2価のフラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから成るFvフラグメント;(v)VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341: 544-546);並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。更に、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、これら2つのドメインは、VLおよびVH領域がペア形成して(単一鎖Fv(scFv)として公知の)一価の分子を形成した単一のタンパク質鎖を作成可能な合成リンカーにより、組換え手法を用いて連結することができる(例えば、Bird et al. (1988) Science 242: 423-426; およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883を参照)。また、かかる単一鎖抗体も、「抗体」の用語の範囲内に含まれることが意図される。単一鎖抗体の他の形態、例えばジアボディ(diabodies)も含まれる。ジアボディは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、短すぎて同一鎖上で2つのドメインの間でペア形成を許容しないリンカーを用いて、これらドメインを別の鎖の相補性ドメインとペア形成させ2つの抗原結合部位を作成した二価の二重特異性(bispecific)抗体である(例えば、Holliger, P., et al. (1993) Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448; Poljak, R. J., et al., (1994) Structure 2: 1121-1123を参照)。
c. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448; Poljak, R. J., et al., (1994) Structure 2: 1121-1123を参照)。
本発明の目的のために、tPA阻害剤の活性は、例えばGadbut et al., Anal Biochem. 1999 May 15; 270(1); 24-32に記載されるように、tPA介在性血餅溶解またはプラスミン介在性血餅溶解を阻害する調製物の能力を測定することにより定量することができる。あるいは、tPA阻害剤の活性は、例えばChandler et al. Clinical Chemistry, 35(5) 787-793 (1989) (「tPA阻害剤アッセイ」) に記載されるように、tPAアミド分解活性の阻害を測定することにより、または当該技術分野で公知の他のアッセイにより定量することができる。
定義
本明細書の文脈において、アミノ酸の3文字または1文字の表記は、表1に示したとおり、これらの慣用的な意味で使用した。明示的に示されない限り、本明細書において言及されるアミノ酸は、L-アミノ酸である。たとえばK337における最初の文字は、野生型第VII因子の示された位置に天然に存在するアミノ酸を表し、たとえば[K337A]-FVIIaは、示された位置に天然に存在する1文字コードKによって表されるアミノ酸が、1文字コードAによって表されるアミノ酸によって置換されたFVII-変異体を示すことが、理解される。
本明細書の文脈において、アミノ酸の3文字または1文字の表記は、表1に示したとおり、これらの慣用的な意味で使用した。明示的に示されない限り、本明細書において言及されるアミノ酸は、L-アミノ酸である。たとえばK337における最初の文字は、野生型第VII因子の示された位置に天然に存在するアミノ酸を表し、たとえば[K337A]-FVIIaは、示された位置に天然に存在する1文字コードKによって表されるアミノ酸が、1文字コードAによって表されるアミノ酸によって置換されたFVII-変異体を示すことが、理解される。
表1:アミノ酸のための略語:
アミノ酸 3文字コード 1文字コード
グリシン Gly G
プロリン Pro P
アラニン Ala A
バリン Val V
ロイシン Leu L
イソロイシン Ile I
メチオニン Met M
システイン Cys C
フェニルアラニン Phe F
チロシン Tyr Y
トリプトファン Trp W
ヒスチジン His H
リジン Lys K
アルギニン Arg R
グルタミン Gln Q
アスパラギン Asn N
グルタミン酸 Glu E
アスパラギン酸 Asp D
アミノ酸 3文字コード 1文字コード
グリシン Gly G
プロリン Pro P
アラニン Ala A
バリン Val V
ロイシン Leu L
イソロイシン Ile I
メチオニン Met M
システイン Cys C
フェニルアラニン Phe F
チロシン Tyr Y
トリプトファン Trp W
ヒスチジン His H
リジン Lys K
アルギニン Arg R
グルタミン Gln Q
アスパラギン Asn N
グルタミン酸 Glu E
アスパラギン酸 Asp D
「第VIIa因子」または「FVIIa」の用語は、交換可能に使用されてもよい。
本明細書の文脈において、「トロンビン生成が損なわれている被検体」は、活性化された血小板表面において完全なトロンビンのバーストを生成することができない被検体を意味し、正常な量および機能の凝固因子、血小板、およびフィブリノーゲン(たとえば、プールされた正常なヒト血漿のもの)を含む、完全に機能する正常な止血系を有する被検体におけるトロンビン生成よりもトロンビン生成の少ない被検体を含み、第VIII因子を欠いた被検体;減少した数の血小板または機能に欠陥のある血小板を有する被検体(たとえば、血小板減少症またはグランツマン血小板無力症または多量に出血した被検体);プロトロンビン、FXまたはFVIIのレベルが低下した被検体;(たとえば、外傷または広範な手術の結果として過剰な出血により)いくつかの凝固因子のレベルが低下した被検体;および、フィブリノーゲンの血漿濃度が低下した被検体(たとえば、多回輸血された被検体)を含むが、これらに限定されない。
本明細書の文脈において、「トロンビン生成が損なわれている被検体」は、活性化された血小板表面において完全なトロンビンのバーストを生成することができない被検体を意味し、正常な量および機能の凝固因子、血小板、およびフィブリノーゲン(たとえば、プールされた正常なヒト血漿のもの)を含む、完全に機能する正常な止血系を有する被検体におけるトロンビン生成よりもトロンビン生成の少ない被検体を含み、第VIII因子を欠いた被検体;減少した数の血小板または機能に欠陥のある血小板を有する被検体(たとえば、血小板減少症またはグランツマン血小板無力症または多量に出血した被検体);プロトロンビン、FXまたはFVIIのレベルが低下した被検体;(たとえば、外傷または広範な手術の結果として過剰な出血により)いくつかの凝固因子のレベルが低下した被検体;および、フィブリノーゲンの血漿濃度が低下した被検体(たとえば、多回輸血された被検体)を含むが、これらに限定されない。
「トロンビン生成のレベル」または「正常なトロンビン生成」は、健康な被検体におけるレベルと比較した、患者のトロンビン生成のレベルを意味する。該レベルは、正常なレベルの割合として示される。本用語は、適切な箇所において、交換可能に使用されてもよい。
「止血系の増強」の用語は、トロンビンを生成する能力の増強を意味する。「止血を増強する」の用語は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む試験試料について測定したトロンビン生成が、同じトロンビン生成アッセイで試験したときの、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドのみ、またはtPA阻害剤のみをそれぞれ含むコントロール試料における個々のトロンビン生成と比較して、延長される状況を含むことが意図される。トロンビン生成は、本明細書の記述のトロンビン生成アッセイに記載されるとおりアッセイすることができる(「アッセイの部分」を参照)。
本明細書において使用される「唯一の」薬剤または因子は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤が、ともに、薬学的組成物またはキットに含まれる唯一の止血剤、活性な止血剤、または凝固因子であるか、あるいは特定の治療の過程において、たとえば特定の出血の発症の過程などにおいて、患者に投与した唯一の止血剤、活性な止血剤、または凝固因子である状況をいう。これらの状況は、その他の止血剤または凝固因子が、適用可能なものとして、1つまたは複数の凝固パラメータに有意に影響を及ぼすように、十分な量または活性で存在しない状況を含むことが理解される。
血餅溶解時間、血餅強度、フィブリン血餅形成、および凝固時間は、患者の止血系の状態をアッセイするために使用される臨床的パラメータである。血液試料は、適切な間隔で患者から採取され、たとえばMeh et al., Blood Coagulation & Fibrinolysis 2001; 12: 627-637; Vig et al., Hematology, Vol. 6 (3) pp. 205-213 (2001); Vig et al., Blood coagulation & fibrinolysis, Vol. 12 (7) pp. 555-561 (2001) Oct; Glidden et al., Clinical and applied thrombosis/hemostasis, Vol. 6 (4) pp. 226-233 (2000) Oct; McKenzie et al., Cardiology, Vol. 92 (4) pp. 240-247 (1999) Apr; またはDavis et al., Journal of the American Society of Nephrology, Vol. 6 (4) pp. 1250-1255 (1995)に記載されるとおり、例えば血栓弾性記録法(thromboelastography)によって1つまたは複数のパラメータがアッセイされる。
「血餅溶解時間を延長する」の用語は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む試験試料について測定した血餅溶解時間が、同じ血餅溶解アッセイで試験したときの、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドのみ、またはtPA阻害剤のみをそれぞれ含むコントロール試料における個々の血餅溶解時間と比較して、延長される状況を含むことが意図される。血餅溶解時間は、上述のとおりアッセイすることができる。
「血餅強度を増大させる」の用語は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む試験試料について測定した血餅強度、たとえば機械強度が、同じ血餅強度アッセイで試験したときの、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドのみ、またはtPA阻害剤のみをそれぞれ含むコントロール試料における個々の血餅溶解時間と比較して、増大する状況を含むことが意図される。血餅強度は、たとえばCarr et al., 1991.(Carr ME, Zekert SL. Measurement of platelet-mediated force development during plasma clot formation. AM J MED SCI 1991; 302: 13-8)に記載されるとおり、または上述のとおり血栓弾性記録法によってアッセイすることができる。
「フィブリン血餅形成を増強する」の用語は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む試験試料について測定したフィブリン血餅形成の速度または程度が、同じ凝固アッセイで試験したときの、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドのみ、またはtPA阻害剤のみをそれぞれ含むコントロール試料における個々のフィブリン血餅形成の速度または程度と比較して、増大する状況を含むことが意図される。フィブリン血餅形成は、上述のとおりアッセイすることができる。
「凝固時間を短縮する」の用語は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む試験試料について測定した血餅形成の時間(凝固時間)が、同じ凝固アッセイで試験したときの、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドのみ、またはtPA阻害剤のみをそれぞれ含むコントロール試料における個々の凝固時間と比較して、増大する状況を含むことが意図される。凝固時間は、一般の当業者に公知の標準的なPTまたはaPTTアッセイによってアッセイすることができる。
「血小板の数または活性の低下」の用語は、被検体の血漿中に存在する血小板(platelet)(血小板:thrombocyte)の数、およびこのような血小板の生物学的な凝固に関連した活性をいう。数の低下は、たとえば血小板破壊の増大、血小板産生の減少、および脾臓における血小板の正常な分画より大きい血小板のプールによるものであり得る。血小板減少症は、たとえば、150,000血小板/マイクロリットルよりも少ない血小板数として定義され;正常な血小板数の上限は、350,000と450,000血小板/マイクロリットルの間であると一般に考えられる。血小板数は、自動化された血小板計数器によって計数されてもよく;これは、当業者に周知の方法である。血小板数の低下による症候群には、血小板減少症、凝固障害(coagulophathy)が含まれるが、これらに限定されない。「活性」には、血小板の凝集、接着、および凝固活性が含まれるが、これらに限定されない。活性の減少は、たとえば糖タンパク質の異常、異常な膜−細胞骨格の相互作用、血小板顆粒の異常、血小板凝固活性の異常、シグナル伝達および分泌の異常によるものであり得る。凝集、接着、および凝固活性を含む血小板活性は、当業者に公知の標準的な方法によって測定され、たとえば、Platelets. A Practical Approach, Ed. S. P. Watson & K. S. Authi: Clinical Aspects of Platelet Disorders(K. J. Clemetson)15: 299-318, 1996, Oxford University Press; Williams Hematology, Sixth Edition, Eds. Beutler, Lichtman, Coller, Kipps & Seligsohn, 2001, McGraw-Hillを参照されたい。血小板活性の低下による症候群には、グランツマン血小板無力症、ベルナール‐スーリエ症候群、抗凝固療法、および血栓溶解療法が含まれるが、これらに限定されない。「低下」は、同じアッセイで測定したときの、正常なプールされた血漿の試料における数または活性と比較した、試験血漿の試料における数または活性をいう。
本明細書において使用される「出血障害」の用語は、出血の発症の際に現れる、先天性、後天性、または誘発性の、細胞または分子起源の任意の欠陥を表す。出血障害の例は、凝固因子欠損(たとえば、凝固因子VIII、IX、XIまたはVIIの欠損)、凝固因子阻害剤、血小板機能の欠陥(たとえば、グランツマン血小板無力症およびベルナール‐スーリエ症候群)、血小板減少症、フォン・ビルブラント病、並びに(たとえば、手術または外傷を受け多回輸血された被検体における)出血および/または輸血による、凝固タンパク質の希釈、フィブリン溶解の増大および血小板数の低下によって引き起こされるもの等の凝固障害を含むが、これらに限定されない。
出血は、循環系の任意の構成要素から血液が血管外遊出することをいう。「出血の発症」の用語は、手術、外傷、またはその他の形態の組織損傷と関連した、望まれない、抑制できない、しばしば過剰の出血、並びに出血障害を有する被検体における望まれない出血を含むことを意味する。出血の発症は、基本的には正常な凝固系を有するが、(一時的な)凝固障害を受けている被検体、並びに先天性または後天性の凝固または出血障害を有する被検体において起こり得る。血小板機能の欠陥を有する被検体における出血は、止血系が、血友病のように、必須の凝固「化合物」(たとえば、血小板またはフォン・ビルブラント因子タンパク質)を欠損しているか、または異常を有しているために、血友病によって引き起こされる出血に関連づけられ得る。たとえば手術または莫大な外傷に関連して広範な組織損傷を受けている被検体では、正常な止血機構は、即時の止血の要求によって圧倒され機能せず、彼らは、基本的には(外傷前または手術前の)正常な止血機構であるにもかかわらず過剰の出血を発症し得る。さらに頻繁に多回輸血されたかかる被検体は、出血および/または輸血の結果として、(一時的な)凝固障害(すなわち、出血および/または輸血による、凝固タンパク質の希釈、フィブリン溶解の増大、および血小板数の低下)を発症する。また出血は、脳、内耳領域、および目などの器官においても起こり得るが;これら器官は、外科的な止血の可能性が制限されているため、満足な止血を達成するのに問題がある領域である。同様の問題は、種々の器官(肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管)からバイオプシーを採取するプロセスにおいて、並びに腹腔鏡手術および根治的な恥骨後前立腺切除術において起こり得る。これら全ての状況において共通することは、手術の技術(縫合、クリップなど)によって止血を実現することが困難なことであり、これは、出血がびまん性である場合(たとえば出血性胃炎および大量の子宮出血)にもあてはまる。また出血は、与えられた治療によって止血の欠陥が誘導される抗凝固療法中の被検体においても起こり得;これらの出血は、急性および大量であることが多い。抗凝固療法は、血栓塞栓性疾患を防止するために行われることが多い。かかる治療は、ヘパリン、その他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたはその他の形態のビタミンK-アンタゴニスト、並びにアスピリンおよびその他の血小板凝集阻害剤、例えば抗体またはその他のGPIIb/IIIa活性阻害剤を含み得る。また出血は、抗血小板剤(たとえば、アセチルサリチル酸)、抗凝固剤(たとえば、ヘパリン)、およびフィブリン溶解剤(たとえば、組織プラスミノゲンアクチベーター、tPA)と組み合わせた治療を含む、いわゆる血栓溶解療法によるものであり得る。また、出血の発症は、急性関節血症(関節の出血)、慢性血友病性関節症、血腫(たとえば筋肉、腹膜後、舌下、および咽頭後)、その他の組織における出血、血尿(腎尿管(renal tract)からの出血)、大脳出血、手術(たとえば、肝切除)、抜歯、および胃腸出血(たとえば、UGIの出血)を有する被検体における手術または外傷と関連した、抑制できない、過剰の出血を含むことが意図されるが、これらに限定されない。出血の発症は、第VIII因子に対する阻害剤;血友病A;血友病Aと阻害剤;血友病B;第VII因子の欠損;tPA阻害剤の欠損;血小板減少症;フォン・ビルブラント因子の欠損(フォン・ビルブラント病);重篤な組織損傷;重篤な外傷;手術;腹腔鏡手術;出血性胃炎;バイオプシー採取;抗凝固療法;上胃腸出血(upper gastroentestinal bleedings:UGI);または幹細胞移植と関連し得るものである。出血の発症は、大量の子宮出血;機械的な止血の可能性が制限されている器官において起こるもの;脳において起こるもの;内耳領域において起こるもの;または、目において起こるものであり得る。「出血の発症」および「出血」の用語は、適切な箇所において、交換可能に使用されてもよい。
本明細書の文脈において、「治療」の用語は、たとえば手術のときなどの予想される出血を防止すること、および出血を阻害または最小限にする目的で、たとえば外傷のときなどのすでに起こっている出血を調節することの両者を含むことが意図される。上述した「予想される出血」は、特定の組織または器官において起こることが予想される出血であってもよいし、または特定されない出血であってもよい。したがって、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、およびtPA阻害剤の調製物の予防的投与は、「治療」の用語に含まれる。
本明細書で使用される「被検体」の用語は、任意の動物、特にヒトなどの哺乳類を意味することが意図され、適切な箇所において、「患者」の用語と交換可能に使用されてもよい。また、本発明は、獣医学の手法の範囲内における第VII因子またはFVII関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の使用を含む。
本明細書において定義された第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、同時に投与されてもよいし、または逐次投与されてもよい。本因子は、単一の投与量形態が両方の凝固因子を含む単一の投与量形態で供給されてもよいし、または第1の単位投与量形態として第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、および第2の単位投与量形態としてtPA阻害剤の調製物を含む、パーツのキット(kit-of-parts)の形で供給されてもよい。第1または第2または第3などの単位用量が、本明細書にわたって言及される場合常に、これは、投与の好ましい順序を示すのではなく、単に便宜上の目的で使用されるだけである。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、およびtPA阻害剤の調製物の「同時」投薬は、単一の投与量形態で凝固因子タンパク質を投与すること、または第1の凝固因子タンパク質の投与に続き、第2の凝固因子タンパク質を、15分、好ましくは10分、より好ましくは5分、より好ましくは2分を超えない時間の間隔で投与することを意味する。何れかの因子が、最初に投与されてもよい。
「逐次」投薬は、第1の凝固因子タンパク質の投与に続き、第2の凝固因子タンパク質を、2時間まで、好ましくは1〜2時間、より好ましくは1時間まで、より好ましくは30分〜1時間、より好ましくは30分まで、より好ましくは15〜30分の時間の間隔で投与することを意味する。2つの単位投与量形態、または凝固因子タンパク質の何れかが最初に投与されてもよい。好ましくは、両製品が同じ静脈内アクセスにより注射される。
1ユニットの第VII因子は、1 mLの正常血漿に存在する第VII因子の量として定義され、約0.5μgタンパク質に相当する。活性化された後は、50ユニットが、約1 gタンパク質に相当する。
「欠損」は、正常な健康な個体のものと比較して、たとえば血漿中の第VII因子の存在または活性が減少することを意味する。本用語は、適切な箇所において、「第VII因子レベルの低下」と交換可能に使用されてもよい。
「APTT」または「aPTT」は、活性化された部分的トロンボプラスチン時間を意味する(たとえば、Proctor RR, Rapaport SI: The partial thromboplastin time with kaolin; a simple screening test for first-stage plasma clotting factor deficiencies. Am J Clin Pathol 36: 212, 1961に記載されている)。
「tPA阻害剤−応答性症候群」は、その必要がある被検体に投与された外因性のtPA阻害剤により、該症候群よって引き起こされる(予想されるか、または存在する)任意の徴候、症状、または疾患が、防止、治癒、または回復され得る症候群を意味する。また、tPA阻害剤−応答性症候群は、本発明に従った組成物で治療することもできる。
「第VII因子−応答性症候群」は、その必要がある被検体に投与された外因性の第VII因子、好ましくは第VIIa因子により、該症候群よって引き起こされる(予想されるか、または存在する)任意の徴候、症状、または疾患が、防止、治癒、または回復され得る症候群を意味する。凝固因子VIII、IX、XIまたはVIIの低下レベル、凝固因子阻害剤、血小板機能の欠陥(たとえば、グランツマン血小板無力症およびベルナール‐スーリエ症候群)、血小板減少症、フォン・ビルブラント病、並びに(たとえば、手術または外傷を受け多回輸血された被検体における)出血および/または輸血による、凝固タンパク質の希釈、フィブリン溶解の増大および血小板数の低下によって引き起こされるもの等の凝固障害が含まれるが、これらに限定されない。
「半減期」は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、またはtPA阻害剤の血漿濃度が、特定の値からその値の半分まで減少するために必要とされる時間をいう。
「一次止血」は、FXaおよびTF:第VIIa因子によるトロンビンの初期の生成、その後の血小板の活性化、および活性化され、接着した血小板による初期のゆるい栓の形成であって、フィブリンによって、最終的に架橋されたフィブリンによってまだ安定化されていない栓の形成を意味する。この栓は、止血プロセスの第二工程の間に形成されるフィブリンによって安定化されない場合、フィブリン溶解系により容易に溶解される。
「二次止血」または「止血の維持」は、活性化された血小板表面において起こり、かつ第VIIIa因子および第VIIIa因子によって触媒される、二次的で、完全かつ主要なトロンビンのバーストまたは生成、その後のフィブリンの形成、および初期の血小板栓の安定化を意味する。フィブリンによる栓の安定化によって、完全な止血がなされる。
「完全な止血」は、出血を有効に停止させ、かつフィブリン溶解系によって容易に溶かされない、傷害部位における安定かつ堅固なフィブリンの血餅または栓の形成を意味する。本明細書の文脈において、止血の用語は、上述の完全な止血を表すために使用される。
調製物中の総タンパク量は、一般に公知の方法によって、たとえば光学密度を測定することによって測定することができる。tPA阻害剤または第VII因子タンパク質(「抗原」)の量は、標準的なElisa免疫アッセイなどの一般に公知の方法によって測定することができる。一般的な用語として、このようなアッセイは、たとえばtPA阻害剤タンパク質を含有する調製物の溶液を、elisaプレート上に固定された抗トロンボモジュリン抗体と接触させ、その後、固定された抗体−tPA阻害剤の複合体を、マーカーを有する抗tPA阻害剤二次抗体と接触させ、その量を第3の工程において測定することによって行われる。各凝固因子の量は、適切な抗体を使用して同様の方法で測定することができる。調製物中に存在する凝固因子タンパク質の総量は、個々の凝固因子タンパク質の量を合計することによって決定される。1つの態様において、調製物は、単離された凝固因子を含む。別の態様において、調製物は、凝固因子IIおよび凝固因子IIa(プロトロンビンおよびトロンビン)および/または第X因子または第Xa因子を本質的に含まない。
本明細書において使用される「単離された」の用語は、それらを合成する細胞から分離された凝固因子、たとえばtPA阻害剤をいう。それらの起源細胞からのポリペプチドの分離は、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、接着細胞の培養物から所望の産物を含む細胞培養培地を除去すること;遠心分離または濾過して非接着細胞を除去することなどを含むが、これらに限定されない。それらが天然に存在する媒体からのポリペプチドの分離は、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、たとえば抗第VII因子または抗tPA阻害剤抗体のそれぞれのカラムなどにおける、アフィニティークロマトグラフィー;疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動的手法(たとえば調製用の等電点電気泳動(IEF))、溶解度の差(たとえば、硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出などを含むが、これらに限定されない。
本発明の範囲内において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の「有効な量」は、疾患およびその合併症を治癒、軽減、または部分的に抑えるために、出血または失血を防止または減少させるのに共に十分である、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、たとえばFVIIa、およびtPA阻害剤の量として定義される。
「第VIIa因子の活性」または「第VIIa因子活性」の用語は、トロンビンを生成する能力を含み;本用語は、組織因子の非存在下で、活性化された血小板の表面においてトロンビンを生成する能力も含む。
略語
TF 組織因子
FVII 第VII因子の単鎖、不活性化型
FVIIa 第VII因子の活性化型
rFVIIa 組換え第VII因子の活性化型
TAFI TAFIの酵素前駆体、不活性化型
tPA 組織プラスミノゲンアクチベーター
TF 組織因子
FVII 第VII因子の単鎖、不活性化型
FVIIa 第VII因子の活性化型
rFVIIa 組換え第VII因子の活性化型
TAFI TAFIの酵素前駆体、不活性化型
tPA 組織プラスミノゲンアクチベーター
化合物の調製:
本発明に使用するために適したヒト精製第VIIa因子は、たとえばHagen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 2412-2416, 1986に記載されているように、または欧州特許第200.421号(ZymoGenetics, Inc.)に記載されているように、好ましくはDNA組換え技術によって作成される。
本発明に使用するために適したヒト精製第VIIa因子は、たとえばHagen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 2412-2416, 1986に記載されているように、または欧州特許第200.421号(ZymoGenetics, Inc.)に記載されているように、好ましくはDNA組換え技術によって作成される。
また、第VII因子は、Broze and Majerus, J. Biol. Chem. 255 (4): 1242-1247, 1980、およびHedner and Kisiel, J. Clin. lnvest. 71: 1836-1841, 1983に記載される方法によって産生されてもよい。これらの方法は、検出可能な量のその他の血液凝固因子を含まずに第VII因子を産生する。さらに精製された第VII因子調製物は、最終精製工程としてさらなるゲル濾過を含むことによって得てもよい。その後、第VII因子を、公知の手段によって、たとえば、tPA阻害剤、Ia、IXa、またはXa等の種々のいくつかの血漿タンパク質によって、活性化された第VIIa因子に変換する。あるいは、Bjoern et al.(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)に記載されているように、第VII因子をMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーカラムに通すことにより、活性化してもよい。
第VII因子関連ポリペプチドは、野生型第VII因子の改変によって、または組換え技術によって産生されてもよい。野生型第VII因子と比較したときにアミノ酸配列が変化した第VII因子関連ポリペプチドは、公知の手段により、たとえば部位特異的突然変異誘発により、天然の第VII因子をコードする核酸におけるアミノ酸コドンを変えることによって、またはいくつかのアミノ酸コドンを除去することによって、野生型第VII因子をコードする核酸配列を改変することによって産生されてもよい。
第VIIa因子またはtPA阻害剤分子の機能に重要な領域の外側に置換を作成し、なおも活性なポリペプチドを生じさせることができることは当業者に明らかであろう。第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチド、またはtPA阻害剤の活性に必須であり、そのために好ましくは置換を受けないアミノ酸残基は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発などの当該技術分野において公知の手法に従って同定されてもよい(たとえば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照されたい)。後者の技術では、分子において正に荷電したすべての残基に突然変異を導入し、得られた突然変異体分子を、凝固剤の架橋活性についてそれぞれ試験し、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定する。また、基質−酵素の相互作用部位は、核磁気共鳴解析、結晶学、または光親和性標識化(photoaffinity lebelling)などの技術によって決定される三次元構造の解析によって決定することもできる(たとえば、de Vos et al., 1992, Science 255: 306-312; Smith et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver et al., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照されたい)。
1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドに交換するための、核酸配列への突然変異の導入は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、部位特異的突然変異誘発によって実施されてもよい。関心対象のインサートを有するスーパーコイル二重鎖DNAベクターと、所望の突然変異を含む2つの合成プライマーを利用する手法が、特に有用である。ベクターの反対の鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、pfu DNAポリメラーゼによって温度サイクリングの間に伸長する。プライマーの取り込みにより、スタガー・ニック(staggered nicks)を含む変異プラスミドが生成される。温度サイクリングの後、メチル化およびヘミメチル化されたDNAに特異的であるDpnIで生成物を処理して、親のDNA鋳型を消化し、突然変異を含有する合成DNAを選択する。また、遺伝子シャッフリングまたはファージディスプレイ技術などの、変異体を作成、同定、および単離するための当該技術分野において公知のその他の手法を使用してもよい。
それらの起源細胞からのポリペプチドの分離は、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、接着細胞の培養物から所望の産物を含む細胞培養培地を除去すること;遠心分離または濾過して非接着細胞を除去することなどを含むが、これらに限定されない。
任意には、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドをさらに精製してもよい。精製は、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、たとえば抗第VII因子抗体カラムなどにおけるアフィニティークロマトグラフィー(たとえば、Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261: 11097, 1986; およびThim et al., Biochem. 27: 7785, 1988を参照);疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動的手法(たとえば調製用の等電点電気泳動(IEF))、溶解度の差(たとえば、硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出などを含むが、これらに限定されない。一般に、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982; およびProtein Purification, J. C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照されたい。精製後、調製物は、宿主細胞に由来する非第VII因子または非第VII因子関連ポリペプチドを、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5%未満、および最も好ましくは約1%未満含む。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、第XIa因子またはトリプシン様の特異性を有するその他のプロテアーゼ、たとえば第IXa因子、カリクレイン、第Xa因子、およびトロンビンなどを用いて、タンパク分解性の切断によって活性化してもよい。たとえば、Osterud et al., Biochem. 11: 2853 (1972); Thomas, 米国特許第4,456,591号; およびHedner et al., J. Clin. Invest. 71: 1836 (1983)を参照されたい。あるいは、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、Mono Q(登録商標)(Pharmacia)などのイオン交換クロマトグラフィーカラムに通すことにより、活性化してもよい。その後、得られた活性化第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドは、後述するように製剤化し、投与することができる。
本発明の範囲内において使用されるtPA阻害剤は、一般に公知の方法に従って、化学合成または組換え手段により産生され得る。抗tPAポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、当業者に周知の方法に従って産生され得る。より具体的には、ポリクローナル抗体は、Harboe and Ingild, In N.H. Axelsen, J. Kroll, and B. Weeks, editors, A Manual of Quantitative Immunoelectrophoresis, Blackwell Scientific Publications, 1973, Chapter 23、またはJohnstone and Thorpe, Immunochemistry in Practice, Blackwell Scientific Publications, 1982(より具体的には27-31ページ)に記載される手法に従って、たとえば、ウサギ(または他の齧歯類)を免疫化することにより作成され得る。
モノクローナル抗体は、たとえばE. Harlow and D. Lane, editors, 1988, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New Yorkの方法に従って調製され得る。それらの起源細胞からの抗体の分離は、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、接着細胞の培養物から所望の産物を含む細胞培養培地を除去すること;遠心分離または濾過して非接着細胞を除去することなどを含むが、これらに限定されない。
任意に、tPA阻害剤は、さらに精製されてもよい。精製は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して実施することができ、上記で詳細に説明したように、たとえば抗tPA阻害剤抗体カラムなどにおけるアフィニティークロマトグラフィー;疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動的手法(たとえば調製用の等電点電気泳動(IEF))、溶解度の差(たとえば、硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出などを含むが、これらに限定されない。
精製後、調製物は、宿主細胞に由来する非tPA阻害剤を、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5%未満、および最も好ましくは約1%未満含む。その後、得られたtPA阻害剤は、後述するように製剤化し、投与することができる。
また、本発明は、獣医学の手法の範囲内におけるこのようなtPA阻害剤および第VII因子ポリペプチドの使用を含む。
また、本発明は、獣医学の手法の範囲内におけるこのようなtPA阻害剤および第VII因子ポリペプチドの使用を含む。
薬学的組成物および使用方法
本発明の調製物は、凝固因子VIII、IX、XIまたはVIIの低下レベル、凝固因子阻害剤、血小板機能の欠陥(たとえば、グランツマン血小板無力症、ベルナール‐スーリエ症候群)、血小板減少症、フォン・ビルブラント病、並びに(たとえば、手術または外傷を受け多回輸血された被検体における)出血および/または輸血による、凝固タンパク質の希釈、フィブリン溶解の増大および血小板数の低下によって引き起こされるもの等の凝固障害を含む(これらに限定されない)出血障害など、任意の第VII因子応答性症候群を治療するために使用することができる。本発明に従った第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む薬学的組成物は、予防的および/または治療的な治療のための非経口投与が主に意図される。好ましくは、薬学的組成物は、非経口的、すなわち静脈内、皮下、または筋肉内に投与され;静脈内が最も好ましい。また、薬学的組成物は、連続的またはパルス状の注入によって投与されてもよい。
本発明の調製物は、凝固因子VIII、IX、XIまたはVIIの低下レベル、凝固因子阻害剤、血小板機能の欠陥(たとえば、グランツマン血小板無力症、ベルナール‐スーリエ症候群)、血小板減少症、フォン・ビルブラント病、並びに(たとえば、手術または外傷を受け多回輸血された被検体における)出血および/または輸血による、凝固タンパク質の希釈、フィブリン溶解の増大および血小板数の低下によって引き起こされるもの等の凝固障害を含む(これらに限定されない)出血障害など、任意の第VII因子応答性症候群を治療するために使用することができる。本発明に従った第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物およびtPA阻害剤の調製物を含む薬学的組成物は、予防的および/または治療的な治療のための非経口投与が主に意図される。好ましくは、薬学的組成物は、非経口的、すなわち静脈内、皮下、または筋肉内に投与され;静脈内が最も好ましい。また、薬学的組成物は、連続的またはパルス状の注入によって投与されてもよい。
本発明に従った薬学的組成物または製剤は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤を含み、単一の単位投与量形態またはパーツのキット(kit-of-parts)の形態のいずれかに製剤化され、好ましくは薬学的に許容されるキャリア、好ましくは水性キャリアまたは希釈剤に溶解される。要するに、本発明に従った使用に適した薬学的組成物は、第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチド、またはtPA阻害剤、またはtPA阻害剤と組み合わせた第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチドを、好ましくは精製した形態で、適切なアジュバントおよび適切なキャリアまたは希釈剤と混合することにより作成される。水、緩衝水、0.4% 生理食塩水、0.3% グリシンなどの種々の水性キャリアが使用され得る。また、本発明の調製物は、傷害の部位に対してデリバリーまたはターゲティングするために、非水性のキャリアを使用して、たとえばゲルの形態またはリポソーム調製物として製剤化することもできる。リポソーム調製物は、たとえば米国特許第4,837,028号、4,501,728号、および4,975,282号に一般に記載されている。本組成物は、慣用的な周知の滅菌技術によって殺菌されてもよい。得られた水溶液は、使用のためにパックしてもよいし、または無菌条件下で濾過して凍結乾燥し、凍結乾燥された調製物を、投与前に滅菌水溶液と混合してもよい。
本組成物は、たとえば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの、pH調整緩衝剤および/または張度調整剤を含む(これらに限定されない)薬学的に許容される補助物質またはアジュバントを含んでいてもよい。
製剤は、1つまたは複数の希釈剤、乳化剤、保存剤、緩衝剤、賦形剤などを更に含んでいてもよく、液体、粉末、エマルジョン、制御された放出などの形態で提供されてもよい。この技術分野の当業者であれば、本発明の組成物を、適切な方法、およびRemington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に開示されたものなど容認されたプラクティスに従って製剤化することができる。したがって、静脈内注入のための典型的な薬学的組成物は、250 mLの無菌のリンゲル溶液および10 mgの本調製物を含むように調剤することができる。
本発明の調製物を含む組成物は、予防的および/または治療的な治療のために投与することができる。治療的な適用において、組成物は、すでに疾患に罹患している被検体に対して、疾患およびその合併症の臨床症状を治癒、軽減、または部分的に抑えるために十分な量で、上述のとおり投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療的に有効な量」として定義される。それぞれの目的のための有効な量は、疾患または傷害の重症度、並びに被検体の体重および全般的な状態に依存する。適切な投与量は、値のマトリックスを構築し、マトリックスにおける異なる点を試験することによって、ルーチン試験を使用して決定され得ることが理解される。
本発明の調製物の局所的デリバリー、たとえば局所的適用は、たとえば噴霧、灌流、二重バルーンカテーテル、ステント、血管グラフトまたはステントへの組み込み、バルーンカテーテルを被覆するために使用されるヒドロゲル、またはその他の充分に確立された方法によって実施され得る。いずれにしても、薬学的組成物は、症状を有効に治療するために十分な調製物の量を提供するべきである。
これらの製剤中の、第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチド、tPA阻害剤、またはtPA阻害剤と組み合わせた第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチドの濃度は、広く変更することができ、すなわち、約0.5重量%未満から、通常少なくとも約1重量%から、15または20重量%程度までであり、選択される特定の投与方法に従って、主に流体体積、粘性等によって選択される。注射または注入、特に注射による投与が好ましい。したがって、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、静脈内投与に適した形態、たとえば、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の両方を1つの投与量形態で含む、溶解され凍結乾燥された粉末または液状製剤である調製物、あるいは第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドを1つの投与量形態で含む、溶解され凍結乾燥された粉末または液状製剤と、tPA阻害剤を別の投与量形態で含む、溶解され凍結乾燥された粉末または液状製剤である調製物のいずれかで調製される。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの量、およびtPA阻害剤の量は、ともに、出血の発症を治療するために有効な総量を含むことが理解される。
本発明の材料が、重篤な疾患または傷害の状況、すなわち生命に脅威となるか、または潜在的に生命に脅威となる状況において一般に使用され得ることを考慮に入れておかなければならない。そのような場合、外来物質を最小限にしていること、並びにヒトにおいて第VIIa因子およびtPA阻害剤の免疫原性が一般的に欠如していることから考えて、治療医師によって、これらの組成物を実質的に過剰に投与することが可能であり、望ましいと感じられるであろう。
予防的適用において、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、およびtPA阻害剤の調製物を含む組成物は、疾患状態または傷害に対する感受性が強いか、あるいはそのリスクのある被検体に投与し、被検体自身の凝固能力を増強する。このような量は、「予防的に有効な用量」であると規定される。第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの量、およびtPA阻害剤の量は、ともに、出血の発症を予防するために有効な総量を含むことが理解される。
本組成物の1回または複数回の投与は、治療医師により選択される用量レベル及びパターンで実施することができる。本組成物は、1日または1週につき、1回または複数回投与されてもよい。このような薬学的組成物の有効な量は、出血の発症に対して臨床的に有意な効果を提供する量である。かかる量は、治療される特定の症状、被検体の年齢、体重、および全般的な健康状態、並びに当業者に明らかなその他の因子に、ある程度依存する。
本発明の組成物は、予想される出血の前、または出血の開始時に、単一の用量で一般に投与される。しかし、与えられる用量および被検体の症状に依存して、好ましくは2-4-6-12時間の間隔で繰り返し(マルチプル用量で)与えられてもよい。
慎重な処置に関連した治療のためには、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、処置を行う前の約24時間以内、並びにその後約7日以上の間、典型的には投与されるであろう。凝固剤としての投与は、本明細書に記載されるとおり種々の経路によるものが可能である。
本組成物は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物、およびtPA阻害剤の調製物の両方を適切な濃度で含む単一の調製物(単一の投与量形態)の形であり得る。また、本組成物は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態から成るパーツのキット(kit-of-parts)の形であってもよい。この場合、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、一方の後に他方が、好ましくは、互いに約15分以内、たとえば互いに10分以内、または好ましくは互いに5分以内、またはより好ましくは互いに2分以内に投与されるべきである。2つの単位投与量形態のいずれも、最初に投与することができる。
本キットは、少なくとも2つの別々の薬学的組成物を含む。本キットは、分離した瓶または分離した箔パケットなど、別々の組成物を含むための容器手段を含む。典型的には、本キットは、別々の成分を投与するための説明書を含む。別々の成分が、異なる投与量形態、異なる投与間隔で好ましくは投与されるとき、または個々の成分の組み合わせの滴定が、処方医師によって要求されるときに、本キットの形態は特に有利である。
本発明に従って投与される第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの量、およびtPA阻害剤の量は、約1:100〜約100:1(w/w)の間で比率を変化させてもよい。したがって、tPA阻害剤に対する第VII因子の比は、たとえば約1:100、または1:90、または1:80、または1:70、または1:60、または1:50、または1:40、または1:30、または1:20、または1:10、または1:5、または1:2、または1:1、または2:1、または5:1、または10:1、または20:1、または30:1、または40:1、または50:1、または60:1、または70:1、または80:1、または90:1、または100:1;あるいは、約1:90〜約1:1の間、または約1:80〜約1:2の間、または約1:70〜約1:5の間、または約1:60〜約1:10の間、または約1:50〜約1:25の間、または約1:40〜約1:30の間、または約90:1〜約1:1の間、または約80:1〜約2:1の間、または約70:1〜約5:1の間、または約60:1〜約10:1の間、または約50:1〜約25:1の間、または約40:1〜約30:1の間であり得る。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの用量は、負荷投与量および維持投与量として、70 kgの被検体に対し、約0.05 mg〜約500 mg/日の野生型第VII因子、たとえば約1 mg〜約200 mg/日、またはたとえば約5 mg〜約175 mg/日に相当する範囲で、被検体の体重、症状、および症状の重症度に依存して変動する。
tPA阻害剤の用量は、負荷投与量またはおよび維持投与量として、70 kgの被検体に対し、約0.05 mg〜約500 mg/日の野生型tPA阻害剤、たとえば約1 mg〜約200 mg/日、またはたとえば約5 mg〜約175 mg/日に相当する範囲で、被検体の体重、症状、および症状の重症度に依存して変動する。
第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせにより、インビトロにおける血餅堅固性アッセイおよびフィブリン溶解時間アッセイにおいて相乗効果を示す。さらに、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の組み合わせにより、安定なフィブリン血餅の形成、半分の血餅溶解時間の増大、血餅強度の増大、およびフィブリン溶解に対する耐性の増大において相乗効果を示す。
本組成物は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤の両方を適切な濃度でを含む単一の調製物の形であり得る。また、本組成物は、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドを含む第1の単位投与量形態と、tPA阻害剤を含む第2の単位投与量形態とから成るキットの形であってもよい。この場合、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤は、好ましくは互いに約1〜2時間以内、たとえば互いに30分以内、または好ましくは10分以内、またはより好ましくは互いに5分以内に、逐次投与されるべきである。2つの単位投与量形態のいずれも、最初に投与することができる。
本発明は、別々に投与されてもよい活性成分を組み合わせて治療することによる、出血の発症の予防または治療、または凝固治療に関するため、本発明は、キット形態で別々の薬学的組成物を組み合わせることにも関する。本キットは、少なくとも2つの別々の薬学的組成物を含む。本キットは、分離した瓶または分離した箔パケットなど、別々の組成物を含むための容器手段を含む。典型的には、本キットは、別々の成分を投与するための説明書を含む。別々の成分が、異なる投与量形態、異なる投与間隔で好ましくは投与されるとき、または個々の成分の組み合わせの滴定が、処方医師によって要求されるときに、本キットの形態は特に有利である。
アッセイ:
第VIIa因子活性の試験:
第VIIa因子活性を試験し、それにより適切な第VIIa因子変異体を選択するために適したアッセイは、簡単な予備的なインビトロ試験として行うことができる:
第VIIa因子活性の試験:
第VIIa因子活性を試験し、それにより適切な第VIIa因子変異体を選択するために適したアッセイは、簡単な予備的なインビトロ試験として行うことができる:
インビトロ加水分解アッセイ
天然の(野生型)第VIIa因子および第VIIa因子変異体(両者とも、これ以降「第VIIa因子」と称する)の比活性をアッセイすることができる。これらは、並行してアッセイし、直接これらの比活性を比較してもよい。アッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp、Nunc, Denmark)で実施される。最終濃度1 mMの色素生産性基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix、Sweden)を、0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50 mM Hepes, pH7.4中の第VIIa因子(最終濃度100 nM)に添加する。405 nmにおける吸光度を、SpectraMaxTM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいないブランクのウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型の第VIIa因子の活性の間の比を算出するために使用する:
比=(A405 nm第VIIa因子変異体)/(A405 nm第VIIa因子野生型)。
天然の(野生型)第VIIa因子および第VIIa因子変異体(両者とも、これ以降「第VIIa因子」と称する)の比活性をアッセイすることができる。これらは、並行してアッセイし、直接これらの比活性を比較してもよい。アッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp、Nunc, Denmark)で実施される。最終濃度1 mMの色素生産性基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix、Sweden)を、0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50 mM Hepes, pH7.4中の第VIIa因子(最終濃度100 nM)に添加する。405 nmにおける吸光度を、SpectraMaxTM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいないブランクのウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型の第VIIa因子の活性の間の比を算出するために使用する:
比=(A405 nm第VIIa因子変異体)/(A405 nm第VIIa因子野生型)。
その結果に基づいて、天然の第VIIa因子に匹敵するか、それよりも高い活性を有する第VIIa因子変異体、たとえば変異体の活性および天然の第VII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、対1.0を超える周辺にある変異体などを、同定することができる。
また、第VIIa因子または第VIIa因子変異体の活性は、第X因子などの生理学的な基質を、最適には100〜1000 nMの濃度で使用して測定してもよく、この場合、第Xa因子の生成を、適切な色素生産性基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定する。加えて、活性アッセイは、生理学的な温度で実行され得る。
インビトロ・タンパク分解アッセイ
天然の(野生型)第VIIa因子および第VIIa因子変異体(両者とも、これ以降「第VIIa因子」と称する)を、並行してアッセイし、直接これらの比活性を比較する。アッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で実施される。0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む100μLの50 mM Hepes, pH7.4中で第VIIa因子(10 nM)および第X因子(0.8μM)を、15分間インキュベートする。次いで、0.1 M NaCl、20 mM EDTAおよび1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50μLの50 mM Hepes, pH7.4を添加することにより、第X因子の切断を停止する。生成した第Xa因子の量は、色素生産性基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(最終濃度0.5 mM)を添加することにより測定する。405 nmにおける吸光度を、SpectraMaxTM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。10分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいないブランクのウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型の第VIIa因子のタンパク分解活性の間の比を算出するために使用する:
比=(A405 nm第VIIa因子変異体)/(A405 nm第VIIa因子野生型)。
天然の(野生型)第VIIa因子および第VIIa因子変異体(両者とも、これ以降「第VIIa因子」と称する)を、並行してアッセイし、直接これらの比活性を比較する。アッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で実施される。0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む100μLの50 mM Hepes, pH7.4中で第VIIa因子(10 nM)および第X因子(0.8μM)を、15分間インキュベートする。次いで、0.1 M NaCl、20 mM EDTAおよび1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50μLの50 mM Hepes, pH7.4を添加することにより、第X因子の切断を停止する。生成した第Xa因子の量は、色素生産性基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(最終濃度0.5 mM)を添加することにより測定する。405 nmにおける吸光度を、SpectraMaxTM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。10分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいないブランクのウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型の第VIIa因子のタンパク分解活性の間の比を算出するために使用する:
比=(A405 nm第VIIa因子変異体)/(A405 nm第VIIa因子野生型)。
その結果に基づいて、天然の第VIIa因子に匹敵するか、それよりも高い活性を有する第VIIa因子変異体、たとえば変異体の活性および天然の第VII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、対1.0を超える周辺にある変異体などを、同定することができる。
トロンビン生成アッセイ:
第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチド、またはtPA阻害剤もしくはtPA阻害剤関連ポリペプチド(たとえば、変異体)がトロンビンを生成する能力は、全ての関連した凝固因子および生理学的濃度の阻害剤および活性化された血小板を含むアッセイで測定することができる(参照により本明細書の開示内容の一部とする、Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543ページに記載される)。
第VII因子もしくは第VII因子関連ポリペプチド、またはtPA阻害剤もしくはtPA阻害剤関連ポリペプチド(たとえば、変異体)がトロンビンを生成する能力は、全ての関連した凝固因子および生理学的濃度の阻害剤および活性化された血小板を含むアッセイで測定することができる(参照により本明細書の開示内容の一部とする、Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543ページに記載される)。
tPA阻害剤活性の試験:
tPA阻害剤活性を試験し、これにより本発明での使用に適切なtPA阻害剤を選択する手段を提供するために適したアッセイは、たとえばChandler et al. Clinical Chemistry, 35 (5) 787-793 (1989) (「tPA阻害剤アッセイ」)または米国特許第6,297,023に記載される簡単なインビトロ試験として、または当該技術分野で公知のその他のアッセイとして行うことができる。
tPA阻害剤活性を試験し、これにより本発明での使用に適切なtPA阻害剤を選択する手段を提供するために適したアッセイは、たとえばChandler et al. Clinical Chemistry, 35 (5) 787-793 (1989) (「tPA阻害剤アッセイ」)または米国特許第6,297,023に記載される簡単なインビトロ試験として、または当該技術分野で公知のその他のアッセイとして行うことができる。
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これは、保護の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。前述の説明において開示される特徴および以下の実施例において開示される特徴は、それぞれ別々に、およびその任意の組み合わせで、本発明を多様な形態で理解するための材料とすることができる。
実施例1
凝固第VIIa因子および抗組織プラスミノゲンアクチベーター抗体(αtPA)を組み合わせることにより、止血性血餅の安定度を改善する
方法:
血餅溶解アッセイ:イノビン(Innovin)(Dade Behring, 2000倍希釈)、rFVIIa(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark;種々の濃度)およびt-PA(American Diagnostics, 8 nM)を含む緩衝液(20 mM HEPES、150 mM NaCl、5 mM CaCl、pH7.4)で10倍に希釈した正常ヒト血漿を、96-ウェルELISAプレートに添加し、650 nMにおける濁度を、室温で時間にわたって測定した。表示した場合には、モノクローナルαtPA(American Diagnostica、種々の濃度)を含有させた。
凝固第VIIa因子および抗組織プラスミノゲンアクチベーター抗体(αtPA)を組み合わせることにより、止血性血餅の安定度を改善する
方法:
血餅溶解アッセイ:イノビン(Innovin)(Dade Behring, 2000倍希釈)、rFVIIa(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark;種々の濃度)およびt-PA(American Diagnostics, 8 nM)を含む緩衝液(20 mM HEPES、150 mM NaCl、5 mM CaCl、pH7.4)で10倍に希釈した正常ヒト血漿を、96-ウェルELISAプレートに添加し、650 nMにおける濁度を、室温で時間にわたって測定した。表示した場合には、モノクローナルαtPA(American Diagnostica、種々の濃度)を含有させた。
結果:
血餅溶解アッセイ:FVIIaの添加により、血餅溶解時間の用量依存的な延長が起こる(図1)。この効果は、10 nMのFVIIaにおいて最適であった。10 nMのFVIIaの存在下にで、αtPAを添加することにより、血餅溶解時間のさらなる延長が起こった(図2)。この効果は、用量依存的であり、1μg/mLのモノクローナル抗体において最適であった。
血餅溶解アッセイ:FVIIaの添加により、血餅溶解時間の用量依存的な延長が起こる(図1)。この効果は、10 nMのFVIIaにおいて最適であった。10 nMのFVIIaの存在下にで、αtPAを添加することにより、血餅溶解時間のさらなる延長が起こった(図2)。この効果は、用量依存的であり、1μg/mLのモノクローナル抗体において最適であった。
結論:
これらの結果は、血漿にFVIIaおよびαtPAを共力剤の形態で添加することにより、血餅のフィブリン溶解に対する耐性が改善されることを証明する。
これらの結果は、血漿にFVIIaおよびαtPAを共力剤の形態で添加することにより、血餅のフィブリン溶解に対する耐性が改善されることを証明する。
Claims (53)
- 第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、および組織プラスミノゲンアクチベーターの阻害剤(tPA阻害剤)を含む薬学的組成物。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子関連ポリペプチドである、請求項1に記載の組成物。
- 前記第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子アミノ酸配列変異体である、請求項2に記載の組成物。
- 請求項2または請求項3に記載の組成物であって、前記第VII因子関連ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が、本明細書に記載されるように「インビトロ加水分解アッセイ」で試験したときに、少なくとも約1.25である組成物。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子である、請求項1に記載の組成物。
- 前記第VII因子が、ヒト第VII因子である、請求項5に記載の組成物。
- 前記第VII因子が、組換えヒト第VII因子である、請求項6に記載の組成物。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、その活性型である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記第VII因子が、組換えヒト第VIIa因子である、請求項8に記載の組成物。
- 前記tPA阻害剤が、5000 kDa未満の分子量を有する小さな有機分子である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記tPA阻害剤が、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、またはそのフラグメントである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記tPA阻害剤が、抗体、またはFab、Fab’ 、F(ab’)2、または抗体のF(v)フラグメントである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項12に記載の組成物。
- 前記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、請求項13に記載の組成物。
- 前記モノクローナル抗体が、完全にヒトの抗体である、請求項13に記載の組成物。
- 前記抗体が、ヒトtPAに対して産生されるものである、請求項12〜15の何れか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物であって、前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、および前記tPA阻害剤が、約100:1から約1:100(w/w 第VII因子:tPA阻害剤)の間の質量比で存在する組成物。
- 注射または注入、特に注射のために適した薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
- 出血の発症のための治療剤を含むパーツのキットであって、
f)第1の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;
g)第2の単位投与量形態の、tPA阻害剤の調製物の有効な量および薬学的に許容されるキャリア;および
h)前記第1および第2の投与量形態を含むための容器手段、
を含むキット。 - 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子関連ポリペプチドである、請求項19に記載のキット。
- 前記第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子アミノ酸配列変異体である、請求項20に記載のキット。
- 請求項20または請求項21に記載のキットであって、前記第VII因子関連ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が、本明細書に記載されるように「インビトロ加水分解アッセイ」で試験したときに、少なくとも約1.25であるキット。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、第VII因子である、請求項19に記載のキット。
- 前記第VII因子が、ヒト第VII因子である、請求項23に記載のキット。
- 前記第VII因子ポリペプチドが、組換えヒト第VII因子である、請求項24に記載のキット。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドが、その活性型である、請求項19〜25のいずれか1項に記載のキット。
- 前記第VII因子が、組換えヒト第VIIa因子である、請求項26に記載のキット。
- 前記tPA阻害剤が、5000 kDa未満の分子量を有する小さな有機分子である、請求項19〜27のいずれか1項に記載のキット。
- 前記tPA阻害剤が、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、またはそのフラグメントである、請求項19〜27のいずれか1項に記載のキット。
- 前記tPA阻害剤が、抗体、またはFab、Fab’ 、F(ab’)2、または抗体のF(v)フラグメントである、請求項19〜27のいずれか1項に記載のキット。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項30に記載のキット。
- 前記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、請求項31に記載のキット。
- 前記モノクローナル抗体が、完全にヒトの抗体である、請求項31に記載のキット。
- 前記抗体が、ヒトtPAに対して産生されるものである、請求項30〜33の何れか1項に記載のキット。
- 請求項19〜34のいずれか1項に記載のキットであって、前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、およびtPA阻害剤が、約100:1から約1:100(w/w 第VII因子:tPA阻害剤)の間の質量比で存在するキット。
- 出血の発症を治療するための薬剤の製造のための、tPA阻害剤と組み合わせた第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの使用。
- 出血の発症を治療するための薬剤の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 前記薬剤が、凝固時間を減少させるためのものである、請求項36または請求項37に記載の使用。
- 前記薬剤が、血餅溶解時間を延長するためのものである、請求項36または請求項37に記載の使用。
- 前記薬剤が、血餅強度を増大させるためのものである、請求項36または請求項37に記載の使用。
- 前記薬剤が、注射または注入、特に注射のために製剤化される、請求項36〜40のいずれか1項に記載の使用。
- 前記出血の発症が、外傷、または手術、または血小板の数もしくは活性の低下によるものである、請求項36〜41のいずれか1項に記載の使用。
- 前記薬剤が、単一の投与量形態である、請求項36〜42のいずれか1項に記載の使用。
- 前記薬剤が、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態の形で調製される、請求項36〜42のいずれか1項に記載の使用。
- 被検体における出血の発症を治療するための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、前記第1および第2の量は、ともに出血を治療するために有効である方法。
- 被検体における凝固時間を減少させるための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、前記第1および第2の量は、ともに凝固時間を減少させるために有効である方法。
- 被検体における止血を増強する方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、前記第1および第2の量は、ともに止血を増強するために有効である方法。
- 被検体における血餅溶解時間を延長するための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、前記第1および第2の量は、ともに血餅溶解時間を延長するために有効である方法。
- 被検体における血餅強度を増大させるための方法であって、その必要がある被検体に対して、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物の第1の量と、tPA阻害剤の調製物の第2の量とを投与することを含み、前記第1および第2の量は、ともに血餅強度を増大させるために有効である方法。
- 前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、および前記tPA阻害剤が、単一の投与量形態で投与される、請求項45〜49のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項45〜49のいずれか1項に記載の方法であって、前記第VII因子または第VII因子関連ポリペプチド、および前記tPA阻害剤が、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの調製物を含む第1の単位投与量形態、およびtPA阻害剤の調製物を含む第2の単位投与量形態の形で投与される方法。
- 前記第1の単位投与量形態および前記第2の単位投与量形態が、15分を超えない時間の間隔で投与される、請求項51に記載の方法。
- 出血の発症のための治療剤を含むキットであって、
a)単一の単位投与量形態の、第VII因子または第VII因子関連ポリペプチドの有効な量、およびtPA阻害剤の有効な量、および薬学的に許容されるキャリア;および
b)前記単一の単位投与量形態を含むための容器手段
を含むキット。
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