JP2005511164A - 一定の送出エネルギー用の任意波形の制御 - Google Patents

一定の送出エネルギー用の任意波形の制御 Download PDF

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Abstract

【課題】 埋め込み可能ディフィブリレータによって検知された負荷インピーダンスを自動的に補償することにより、制御可能なエネルギー量を送出する装置および方法を提供する。
【解決手段】 高速のスイッチング電力変換器技術を使用して、高エネルギーの任意波形を効率的に生成する。線形増幅器と異なり、スイッチング電力変換器は、高エネルギーの波形を、所望の波形のサイズおよび振幅には依存しない効率で送出する。スイッチング電力変換器を使用して所望のエネルギーを患者に送出するICDは、送出するエネルギーを蓄積コンデンサに蓄積する。次いで、変換器は、出力回路の内外で蓄積コンデンサを高速にスイッチングすることにより、このエネルギーを、任意の形状を有する電圧制御されたまたは電流制御された出力波形に変形する。この波形には、ランプ型波形が含まれることが好ましい。

Description

本発明は、包括的には、心臓刺激器に関する。詳細には、この発明は、心臓に送出されて心室細動を停止し、正常な心臓の調律を回復させるディフィブリレーション波形の生成に関する。より詳細には、本発明は、埋め込み可能ディフィブリレータによって検知された負荷インピーダンスを自動的に補償することにより、制御可能なエネルギー量を送出する装置および方法を提供する。
[関連出願の相互参照]
本特許情報開示は、2001年12月3日に出願番号第60/337,135号として出願された「Control of Arbitrary Waveforms for Constant Delivered Energy」という発明の名称の先願の米国仮特許出願の利益を主張する。これによって、この米国仮出願の内容は、参照により本明細書に援用される。
従来技術のICD回路部は、患者の心臓に直接接触した電極に、充電したコンデンサを放電することにより、患者にエネルギーを送出している。それらのICDでは、コンデンサの蓄積エネルギー量を制御することによって、総エネルギーが制限され、この蓄積エネルギー量は、充電電圧を制限する。通常、コンデンサの電圧が既知の値に減衰すると、電気ショックは打切られる。その結果、波形は、一定の傾きを有する指数関数的減衰を示す。この傾きは、波形電圧が最初の波形電圧から最後の波形電圧まで減衰する割合である。したがって、患者の負荷インピーダンスが大きいほど、波形電圧の減衰時間が長くなるので、その患者は、より長い電気ショックを受けることになる。
患者のディフィブリレーション(除細動)を行う埋め込み可能ディフィブリレータ(除細動器)に使用される波形は、これまで、大部分が打切り型指数関数波形であった。打切り型指数関数波形は、コンデンサ(単数または複数)を充電し、全インピーダンスにわたってこのコンデンサを放電することにより生成される。この全インピーダンスには、患者のインピーダンスおよび波形の送出に使用されるリード線のインピーダンスが含まれる。打切りは、非打切り型指数関数波形の長く低い末端部が細動を再び誘発するおそれがあることを考慮して、臨床で使用されてきた。
打切り型指数関数波形には制限があるにもかかわらず、埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ(ICD)の製造業者は、臨床の場面では、打切り型指数関数波形を使用し続けている。さらに、ICD製造業者は、プログラム可能な電気ショック強度を有するICDを長く生産してきた。ディフィブリレーションを行うのに必要な電気ショック強度は、打切り型指数関数波形の時定数(TC)および傾き(T)によって制御される。TCは、ショック電圧が、その開始値の事前に設定された割合にまで減少するのに要する時間として定義される。Tは、その波形の立ち下がり時に残っている立ち上がり電圧の割合である。同じTCを維持しながら波形の継続時間を変更すると、Tが変化することになる。波形の継続時間を一定に保持しながらTCを変更すると、Tが変化することになる。さらに、TCおよび波形の継続時間の双方を変更することによっても、Tは変化することが可能である。
二相性打切り型指数関数波形が導入されるまで、単相性打切り型指数関数波形が一般に使用されていた。二相性波形は、ショックパルスの送出中に、電極への送出極性を反転する静電容量の切換えによって作成される。二相性波形の中には、単相性波形と比較して、低いディフィブリレーション閾値(DT(defibrillation threshold))を有すると考えられるものがある。これは、二相性波形の第1相(phase)が、第2相よりも多くのエネルギーを送出する場合に特にあてはまる。
使用される波形の種類に加えて、単相性波形が使用される場合に、右心室においていずれの電極が陽極として機能するかを決定することも、DTを低くするようである。しかしながら、二相性波形が使用される場合に、このような電極の極性の決定は、ほとんど影響がないようである。しかしながら、臨床医は、一般に、注意しすぎて、二相性波形を使用する場合にも、右心室の電極を陽極としてプログラムする。
Huang等による調査「Defibrillation Waveforms」Nonpharmacological Therapy of Arrhythmias for the 21st Century: the State of the Art, Futura, 1998が結論づけたことは、「したがって、(打切り型指数関数的な)二相性波形は、体内および体外のディフィブリレーションならびに心室および心房のディフィブリレーションに対して、(打切り型指数関数的な)単相性波形よりもディフィブリレーションに有効であるようである」ことである。この同じ調査は、その冒頭のパラグラフにおいて、「犬の体外ディフィブリレーションの場合、上昇ランプ(ascending ramp)からなる波形が、同じ強度の下降ランプ(descending ramp)の波形よりもディフィブリレーションの成功率がはるかに高いことを、Schuder等(Circ Res, 1966, 19:689-694において)は示している」と述べている。この事実にもかかわらず、上昇ランプの調査および/または実施は、ほとんど行われてこなかった。この理由は、下降ランプに類似した波形を生成する方がはるかに容易であるからであり、下降ランプ型の波形は、ディフィブリレーションの効率がはるかに劣るにもかかわらず、臨床では使用されている。
米国特許第5,725,560号において、Brinkは、コンピュータ制御システムにより任意波形を送出する方法を記載している。開示された基本エネルギー変換器のトポロジーは、パルス幅変調制御方式による降圧型電力変換器、すなわちステップダウン型電力変換器である。この型の電力変換器は、エネルギー変換の分野で使用される一般的なトポロジーである。この米国特許第5,725,560号で開発された回路部は、二相性波形を可能にするフルブリッジ(Hブリッジ)のDC−DC変換器として実施される。このシステムは、患者に送出される電圧および電流を監視し、これらのパラメータを制御フィードバックとして使用する。
Weissは、米国特許第5,184,616号において、ICDで使用される任意波形回路を教示している。米国特許第5,725,560号と同様に、フルブリッジ(Hブリッジ)の実施態様を有するスイッチング電力変換器が使用される。この米国特許第5,184,616号は、波形送出中に、各スイッチングサイクル用に所定のパルス幅またはデューティサイクルを備えた制御方式を有する。場合により、適切なタイミングを決定するために、インピーダンスの測定が必要となる。このインピーダンスの測定は、電流を患者に印加し、次いで、印加された電流についての測定印加電圧を計算することにより、定電流源を使用する。フィードバック要素が、フィルタ回路の出力から信号情報を受け取る。この入力に基づいて、回路は、患者への出力が監視されていると推定し、その結果、マイクロプロセッサは、ショック制御線、電荷制御線、およびダンプ制御線を調整することができる。
Imranは、米国特許第4,768,512号において、打切り型指数関数波形を「チョッピング」したもの、または、蓄積コンデンサから送出される指数減衰パルスである一連の高周波から成る打切り型指数関数波形を送出する方法を記載している。この特許では、患者の負荷のフィードバック信号が基準電圧未満に下がると、出力電圧が使用不能にされ、その結果、波形の打切りが行われる。
Brewer等は、さまざまなディフィブリレーション波形の制御および送出に関する多数の特許を付与されている。例えば、米国特許第5,908,442号において、Brewer他は、二相性打切り型減衰正弦波ショックを送出する方法を開示している。連続して動作する2つの放電回路により、二相性波ショックの送出が可能となる。ショックの打切り時刻は、ディフィブリレーションのブレア等価回路(Blair equivalent circuit)モデルを、胸壁、胸郭、肺、および心臓の分布インピーダンスの知識と共に使用して決定される。この方法は、患者の全インピーダンスがショックの送出前に判明している必要がある。
Brewer他は、米国特許第5,991,658号において、患者のインピーダンスまたは抵抗を離散的に繰り返し測定した測定値に基づき、打切り型指数関数波形の傾きを連続的に求める方法を記載している。ディフィブリレーション有効性モデルに基づく最適な傾きが、計算された傾きと等しくなる時点に蓄積コンデンサが減衰した時に、波形は打切られる。
さらに、Brewer他は、米国特許第5,978,706号において、米国特許第5,908,442号に記載したものと類似して、減衰した正弦曲線波形の打切りポイントを連続的に求める方法も教示している。しかし、この特許は、正弦曲線波形の送出には適用されない。この米国特許第5,978,706号は、患者の抵抗の測定を必要とする打切り方法を開示している。具体的には、患者のインピーダンスに基づいて打切り時刻を求めるための事前に計算された設計ルールが実施される。患者のインピーダンスは、波形の送出中に、連続的に測定されて離散的に更新される。この方法は、ショック送出中に実時間でインピーダンスを測定するのではなく、ショックの送出前にインピーダンスを測定することに依拠している。
Lermanは、米国特許第4,574,810号、第4,771,781号、および第5,088,489号において、正弦曲線電流を経胸的ディフィブリレーション(transthoracic defibrillation)パドル/電極に送出し、次いで、その結果生成された電極間の電圧を測定する方法を開示している。次いで、この電圧を使用して、患者の経胸抵抗が求められる。次いで、この抵抗値を使用して、ショックの送出前に、コンデンサを充電する電圧をスケーリングすることにより、続くショックがスケーリングされる。この方法は、波形のピーク電流が制御パラメータとなるので、電流ベースのプロセスと等価である。
Charbonnier他は、米国特許第4,328,808号において、所定の蓄積エネルギーを与えてピーク出力電流を測定することにより、経胸抵抗を計算する方法を提案している。計算は、減衰した正弦波形の送出中に行われる。これらのデータを使用して、送出エネルギーが求められ、抵抗が事前に設定された境界を越えている場合には、警報音がトリガされる。米国特許第5,111,813号では、Charbonneier他は、電流の代わりに「インピーダンス正規化送出エネルギー(impedance normalized delivered energy)」を具体的に述べている。
Gliner他は、米国特許第5,593,427号、第5,601,612号、第5,607,454号、第5,620,470号、第5,735,879号、第5,749,904号、第5,749,905号、第5,776,166号、第5,803,927号、第5,836,978号、第6,047,212号において、打切り型指数関数波形を患者に送出する方法を開示している。パルスが送出されると、蓄積コンデンサの残存電圧が監視される。一定の状況下では、電圧が一定の値に減衰すると、波形またはその第1相が打切られる。一方、ほとんど時間が経過していないか、または、あまりにも多くの時間が経過すると、波形の打切りを早くまたは遅く行うことができる。
LopinおよびAvatiは、米国特許第5,733,310号、第5,769,872号、第5,797,968号、第5,800,462号、第5,800,463号、第5,904,706号、第6,096,063号において、ディフィブリレータの放電の直前に印加される「検出パルス」を使用することにより、患者の抵抗を測定する方法を記載している。このパルスは、電圧として印加され、次いで、その結果生成された電流が測定され、抵抗の計算に使用される。
米国特許第5,201,865号において、Kuehnは、コンデンサが精密抵抗器を通って放電するのに要する時間を測定し、次いで、この時間を、同じコンデンサが患者の負荷を通って放電するのに要する時間と比較することにより、リード線インピーダンスを測定する方法を開示している。
米国特許第5,549,643号および第5,645,573号において、KrollおよびSmithは、コンデンサの電圧が一定の割合だけ減衰するのを最初に待つことにより、コンデンサ放電による打切り型指数関数波形のディフィブリレーションショックの継続時間のタイミングを取る方法を記載している。次いで、この方法は、この割合を越えた一定の継続時間分、波形を延ばす。
「A Controlled-Power Arbitrary Waveform Method of Defibrillation」(2000年3月、パーデュ大学)という題名の博士論文において、Havelは、出力電流も負荷抵抗も測定することなく、負荷への出力電力を瞬時に制御する方法を提示している。この方法は、蓄積コンデンサの電圧をフィードバックパラメータとして使用するパルス幅変調制御方式を使用する。したがって、出力電力は、エネルギー蓄積コンデンサの減衰率を積極的に計算することにより制御される。
Carsten他に発行された米国特許第5,481,238号、Johnson他に発行された米国特許第5,629,842号、およびCharlesに発行された米国特許第5,165,162号には、合成インダクタを降圧レギュレータおよび昇圧レギュレータにおいていかに組み立てることができるかが記載されている。例えば、米国特許第5,629,842号には、米国特許第5,165,162号における、巻き線が巻かれたセグメント化トロイダルコアを有するインダクタを含めて、複数巻きのワイヤから形成されるトロイダルインダクタ部材が記載されている。
通常、ICDは、さまざまなディフィブリレーション波形を提供する能力を有する。主として、これらの波形は、打切り型指数関数波形パルスとして適用される単相性波形または二相性波形のいずれかを有する。しかしながら、臨床では、患者の抵抗の変化を考慮した装置および方法が必要とされている。患者のインピーダンスは、多種多様な原因のいずれによっても変化し、ディフィブリレーション波形パルスは、医師がプログラムしたものよりもはるかに少ないエネルギーしか供給しないことがある。したがって、本発明で開示するように、インピーダンスの変化が存在する状況において、一貫したエネルギー量を供給する新たな方法が必要とされている。
[発明の概要]
本発明は、ICDによって検出された負荷インピーダンスを自動的に補償することにより、制御可能なエネルギー量を患者に送出する構造および方法を概説したものである。
高速のスイッチング電力変換器の出現により、高エネルギーの任意波形を高効率で生成することが可能になった。線形増幅器と異なり、スイッチング電力変換器は、高エネルギーの波形を、所望の波形のサイズおよび振幅には依存しない効率で送出することができる。線形増幅器は、出力に要求される電圧よりも高い電圧の供給を受けなければならない。次いで、ICD回路は、損失要素を通じてこの電圧を必要なエネルギーに下げ、所望の出力電圧または出力電流を達成しなければならない。スイッチング電力変換器を使用して所望のエネルギーを患者に送出するICDは、送出するエネルギーをコンデンサに蓄積する。次いで、変換器は、出力回路の内外で蓄積コンデンサを高速に切換えることにより、このエネルギーを、任意の形状を有する出力電圧波形または出力電流波形に変形する。
本発明を使用した実際のシステムは、変換プロセスにおいて多少のエネルギー損失を受けることになる。この損失は、出力波形の継続時間および形状を最適に制御する機能を介して補償することができる。従来のコンデンサ放電され打切り型指数関数波形よりも少ない送出エネルギーでディフィブリレーションを行ういくつかの波形が、上昇波形を含めて、理論的および臨床的の双方で示されている。理論構築および臨床による証明は、ほとんどの波形が、特定の継続時間においてより効果的にディフィブリレーションを行うことを実証している。
ディフィブリレーションショックの瞬時電力の要件は、ICDの場合、3kW程度である。この電力レベルは、高すぎることから、バッテリから瞬時に引き出すことはできない。したがって、スイッチング電力変換器の場合であっても、任意波形能力を有するICDは、コンデンサなどの別の回路要素にショックエネルギーを事前に蓄積する必要がある。スイッチング電力変換器は、入力に対して出力電圧または出力電流を昇圧するか、または、降圧する能力を有するが、実用上の制約条件が存在する。この変換器から出力される全エネルギーに効率損失を加えたものは、システムに入力されるエネルギーに等しくなければならない。このようなことから、事前に蓄積されたコンデンサ内のエネルギーは、波形送出エネルギーに制約を加える。したがって、このコンデンサのエネルギーが完全に消費された際に波形が歪むことを防止するために、負荷インピーダンスの変化する範囲にわたって、全送出エネルギーを制御する方法が必要とされる。
本発明は、蓄積コンデンサの電圧が、波形の送出中に監視される実施の形態を提供する。エネルギー変換器が、送出電流または送出電圧のいずれかを制御することにより、その変換器から患者にエネルギーを送出する。好ましい波形は、一般に「ランプ」波形と呼ばれ、時間の経過と共に上昇する電圧制御された波形である。別の実施の形態では、ICDは、波形の送出中に、全負荷インピーダンスを測定し、次いで、波形の形状および継続時間を調整して補償を行う。
後に明らかになるように、代替的な波形を使用することにより、標準的な二相性打切り型指数関数波形のディフィブリレーションの有効性を改善することができる。これらの新しい代替的な波形には、単相または多相を有する上昇ランプ波形に加えて方形波形が含まれる。しかしながら、ICDにおいてこれらの波形を実施し、実現可能とするには、効率的でかつ小さな電力変換回路部が必要とされる。
次に、図1を参照して、この発明のICD型システムを構成するディフィブリレータ10ならびにリード線15および16が示されている。図示したリード線は、例示であり、他の特定の形態のリード線もこの発明の範囲内に含まれることに留意されたい。これについては、例えば、米国特許第4,932,407号および第5,174,288号ならびに第5,261,400号を参照されたい。これらの米国特許のすべては、それらの全内容が参照により援用される。心室リード線16は、図示するように、その遠位端に隣接して位置する伸縮螺旋電極26およびリング電極24を有する。この螺旋電極は、絶縁ヘッド27内に格納可能に取り付けられている。電極24および26は、双極心室ペーシング用に、および心室脱分極の検知用に使用される。電極24および26が、双極ペーシングおよび検知用に使用できる一方で、電極26は、デバイスケーシング11の表面と共に使用することができ、この表面は、単極動作と呼ばれる動作において、共通電極または不関電極として機能する。また、心室リード線16は、コイル電極20も保持する。このコイル電極20は、RV(右心室(right ventricular))コイルと呼ばれることもあり、ディフィブリレーションパルスおよび/またはカーディオバージョンパルスを送出する。コイル電極20は、遠位先端が心室の心尖にある場合に、コイル20が右心室に位置するように、リード線16に位置する。また、リード線16は、任意選択で、鎖骨下静脈に位置する上大静脈(SVC(superior vena cava))コイル30も保持することができる。このSVCコイル30は、カーディオバージョンパルスの電位図検知および/または印加に使用することができる。リード線16は、それぞれの同軸コイル導体(図示せず)を保持する。これらの同軸コイル導体は、管状絶縁被覆などの適切な手段によって互いに分離され、リード線の全長にわたって延び、ICDデバイス10と電極20、24、26、および30のそれぞれのものとの間の電気接続を行う。
心房リード線15は、図示するように、その遠位端に隣接して位置する伸縮螺旋電極17およびリング電極21を有する。この螺旋電極は、絶縁ヘッド19内に格納可能に取り付けられている。電極17および21は、双極心房ペーシング用に、および心房脱分極の検知用に使用される。電極17および21が、双極ペーシングおよび検知用に使用できる一方で、電極17は、デバイスケーシング11の表面と共に使用することができ、この表面は、単極動作と呼ばれる動作において、共通電極または不関電極として機能する。この例では、心房リード線15が、カーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの検知および送出に使用されるコイルを備えていないことに留意されたい。これは、本発明と共に有利に使用できるこのような用途が含まれるのを排除することを意味するものではない。
埋め込み可能ICD型デバイス、すなわちディフィブリレータ10は、リード線コネクタ組立品13、14、18、および22がこのデバイス10のコネクタブロック12に挿入された状態で、心房リード線および心室リード線と共に示されている。この心室リード線と共に使用できるディフィブリレーションパルス発生器の具体的な例は、米国特許第4,953,551号に開示されている。他のICD型ユニットを使用することもできる。これについては、カーディオバージョンパルスおよびディフィブリレーションパルスを送出する装置の例示の形態を開示するものとして、米国特許第5,163,427号および第5,188,105号を参照されたい。本明細書で用いる場合、用語「ICD型」デバイスは、不整脈を制御するペーシング治療およびショック治療の双方に適用できるあらゆるデバイスを指す。
図2は、本発明を有効に実施することができる埋め込み可能ICDの概略機能図である。本発明は、多種多様なデバイスの実施態様で有効に実践できると考えられるので、この図は、本発明を具体化できるデバイスの型の例示と解釈されるべきであり、限定するものと解釈されるべきではない。この多種多様なデバイスの実施態様には、心室性不整脈に代えてまたは心室性不整脈に加えて、心房性不整脈を処置する治療を供給するデバイス、抗頻脈ペーシング治療を供給しないカーディオバータおよびディフィブリレータ、カーディオバージョンもディフィブリレーションも供給しない抗頻脈ペーサ、ならびに神経刺激や薬物投与などのさまざまな形態の抗不整脈治療を送出するデバイスが含まれる。
このデバイスには、電極を含んだリード線システムが設けられる。このリード線システムは、図1に示すようなものであってもよい。もちろん、代替的なリード線システムを代用することもできる。図1の電極構成が使用される場合、図示した電極との対応は次のとおりである。電極311は、電極16に対応し、埋め込み可能ICDのハウジングの絶縁されていない部分である。電極320は、電極20に対応し、右心室に位置するディフィブリレーション電極である。電極318は、電極30に対応し、SVCに位置するディフィブリレーション電極である。電極324および326は、電極24および26に対応し、心室における検知およびペーシング用に使用される。電極317および321は、電極17および21に対応し、心房におけるペーシングおよび検知に使用される。
電極311、318、および320は、高電圧出力回路234に接続される。電極324および326は、心室上または心室内に位置し、かつ、R波増幅器(AMP)200に接続される。R波増幅器200は、測定されたR波振幅に応じ調整可能な検知閾値を提供する自動利得制御増幅器の形態を取ることが好ましい。電極324と326との間で検知される信号が、この検知閾値を越えるたびに、R OUT線202に信号が生成される。
電極317および321は、心房上または心室内に位置し、かつ、P波増幅器(AMP)204に接続される。P波増幅器204も、測定されたP波振幅に応じて調整可能な検知閾値を提供する自動利得制御増幅器の形態を取ることが好ましい。電極317と321との間で検知される信号が、この検知閾値を越えるたびに、P OUT線206に信号が生成される。R波増幅器200およびP波増幅器204の一般的な動作は、1992年6月2日にApparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signalsに対して発行されたKeimel他による米国特許第5,117,824号に開示されたものに対応することができる。この米国特許は、その全内容が参照により本明細書に援用される。
スイッチマトリックス208は、利用可能な電極のいずれをデジタル信号解析用の広帯域(0.5〜200Hz)増幅器(AMP)210に接続するかを選択するのに使用される。電極の選択は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ(μP)224により制御される。いずれを選択するかは、要望に応じて変化させることができる。選択されて帯域通過増幅器(AMP)210に接続された電極からの信号は、マルチプレクサ(MUX)220に供給され、その後、A/D変換器222によってマルチビットデジタル信号に変換され、ダイレクトメモリアクセス(DMA)回路228の制御下でランダムアクセスメモリ(RAM)226に記憶される。マイクロプロセッサ224は、デジタル信号解析技法を使用して、ランダムアクセスメモリ226に記憶されたデジタル化信号を特徴付け、この技術において既知の多数の信号処理法のいずれかを使用して、患者の心臓の調律を認識して分類することができる。
ICDの不整脈検出方法には、従来技術の頻脈性不整脈検出アルゴ調律を含めることができる。後述するように、現在利用可能なMedtronic社のICDの心室性不整脈検出法全体が、開示した本発明の好ましい実施の形態による不整脈検出/分類方法の一部として使用される。しかしながら、上記発明の背景の節で解説したような、この技術において既知のさまざまな不整脈検出法のいずれをも、埋め込み可能ICDの代替的な実施の形態に有効に使用することができる。
心室カーディオバージョンパルスおよび心室ディフィブリレーションパルスの送出および同期ならびにそれら送出および同期に関係したタイミング機能の制御に適したシステムの一実施の形態は、本発明の譲受人に譲渡され、1993年2月23日に発行されたKeimelによる米国特許第5,188,105号に、より詳細に開示されている。この米国特許は、その全内容が参照により本明細書に援用される。心房ディフィブリレーションの能力がデバイスに含まれる場合において、心房カーディオバージョンパルスおよび心房ディフィブリレーションパルスの送出および同期ならびにそれら送出および同期に関係したタイミング機能の制御に適したシステムは、1992年10月29日に公開されたAdams他によるPCT特許出願第WO92/18198号、および、1982年2月23日に発行されたMirowski他による米国特許第4,316,472号に見ることができる。これらの双方とも、その全内容が参照により本明細書に援用される。
カーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの生成が必要になると、マイクロプロセッサ224は、補充間隔タイマを使用して、このようなカーディオバージョンパルスおよびディフィブリレーションパルスならびに関連する不応期のタイミングを制御する。カーディオバージョンパルスを必要とする心房もしくは心室の細動または頻脈性不整脈の検出に応答して、マイクロプロセッサ224は、カーディオバージョン/ディフィブリレーション制御回路部230を起動する。カーディオバージョン/ディフィブリレーション制御回路部230は、高電圧充電制御線240の制御下にある充電回路236を介して、高電圧コンデンサ246、248の充電を開始する。高電圧コンデンサの電圧は、V CAP線244を介して監視される。この電圧は、マルチプレクサ220を通る。そして、この電圧が、マイクロプロセッサ224によって設定された所定の値に達したことに応答して、コンデンサフル(C.F.)線254に論理信号が生成され、充電は終了する。その後、ディフィブリレーションパルスまたはカーディオバージョンパルスの送出タイミングが、ペーサタイミング/制御回路部212によって制御される。細動治療または頻脈治療の送出に続いて、マイクロプロセッサは、次に、デバイスを心臓ペーシングに戻し、ペーシングによる次の後続の割り込み、または、検知される心房もしくは心室の脱分極の発生の待ち状態となる。
しかしながら、既知のあらゆるカーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの制御回路部が、本発明と共に使用可能であると考えられる。例えば、カーディオバージョンパルスおよびディフィブリレーションパルスのタイミングおよび生成を制御する回路部としては、1983年5月24日にZipesに発行された米国特許第4,384,585号に開示されたもの、上記で引用したPless他に発行された米国特許第4,949,719号に開示されたもの、およびEngle他に発行された米国特許第4,375,817号に開示されたものを使用することもできる。これらの特許はすべて、その全内容が参照により本明細書に援用される。
図示したデバイスでは、カーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの送出は、制御バス238を介して制御回路部230の制御の下、出力回路234によって行われる。出力回路234は、単相性パルスを送出するのか、それとも二相性パルスを送出するのかの決定、ハウジング311が陰極として働くのか、それとも陽極として働くのかの決定、およびどの電極をパルスの送出に関与させるかの決定を行う。打切り型指数関数波形の送出に関する出力回路234のさらなる詳細については、図3Aを参照されたい。また、本発明の主題である任意波形の送出については、図5を参照されたい。二相性パルス療法の送出用の出力回路部の一例は、Mehraに発行された上記引用特許および米国特許第4,727,877号に見ることができる。この米国特許第4,727,877号は、その全内容が参照により援用される。
単相性パルスの送出の制御に使用できる回路部の一例は、本発明の譲受人に譲渡され、1992年11月17日に発行されたKeimelによる米国特許第5,163,427号に述べられている。この米国特許も、その全内容が参照により本明細書に援用される。一方、1990年9月4日にMehra他に発行された米国特許第4,953,551号または1989年1月31日にWinstromに発行された米国特許第4,800,883号に開示された出力制御回路部も、二相性パルスの送出用に本発明を具体化するデバイスと共に使用することができる。これらの双方の米国特許は、その全内容が参照により本明細書に援用される。他方、米国特許第4,800,883号の図5に示すものに類似した回路部を、本発明の一部として開示することにする。この回路部は、任意波形を生成するのに使用され、例えば、とりわけ上昇ランプ波形および方形波形を生成するのに使用される。
細動が特定されると、一般的な治療では、通常、5ジュールを越える高振幅ディフィブリレーションパルスが送出されることになる。カーディオバージョンの場合には、これより低いレベルのエネルギーを使用することができる。現在利用可能な埋め込み可能ICDの場合と同様に、また、上記引用した参考文献で解説されているものと同様に、1つまたは複数の初期のパルスが細動を終結させるのに失敗した場合に応じて、ディフィブリレーションパルスの振幅を増大できることが考えられる。このような抗頻脈性不整脈治療の事前に設定された治療メニューを説明した従来技術の特許には、上記引用した、Haluska他に発行された米国特許第4,830,006号、Vollmann他に発行された米国特許第4,727,380号、およびHolley他に発行された米国特許第4,587,970号が含まれる。
回路部の残りの部分は、心臓ペーシング治療、カーディオバージョン治療およびディフィブリレーション治療の供給に専用化され、本発明では、従来技術において既知の回路部に対応することができる。ペーシングを行う例示の装置を開示し、その後、カーディオバージョン機能およびディフィブリレーション機能を開示する。ペーサタイミング/制御回路部212は、プログラマブルデジタルカウンタを含む。このプログラマブルデジタルカウンタは、DDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、ならびにこの技術に既知の信号および二腔ペーシングの他のモードに関連した基本時間間隔を制御するものである。また、回路部212は、この技術に既知の任意の抗頻脈性不整脈ペーシング治療を使用して、心房および心室の双方の抗頻脈性不整脈ペーシングに関連した補充間隔も制御する。
ペーシング回路部212によって規定される間隔には、検知されたP波が補充ペーシング間隔(escape pacing interval)のタイミングを再開しない不応期である心房ペーシング補充間隔と、検知されたR波が補充ペーシング間隔のタイミングを再開しない不応期である心室ペーシング補充間隔とが含まれる。これらの間隔の継続時間は、メモリ226に記憶されたデータに応じて、マイクロプロセッサ224によって決定され、アドレス/データバス218を介してペーサタイミング回路部212に伝達される。また、ペーサタイミング回路部212は、マイクロプロセッサ224の制御の下、心臓ペーシングパルスの振幅およびパルス幅も決定する。
ペーシング中、ペーサタイミング/制御回路部212内の補充間隔タイマは、信号線202の信号によって示されるR波および信号線206の信号によって示されるP波の検知時にリセットされ、また、選択されたペーシングモードに応じて、ペーサ出力回路部(Aペース)214および(Vペース)216によるペーシングパルスのタイムアウトトリガ生成時にリセットされる。ペーサ出力回路部214は、電極317および321に接続され、ペーサ出力回路部216は、電極324および326に接続されている。また、補助収縮間隔タイマは、ペーシングパルスの生成時にもリセットされ、それによって、抗頻脈性不整脈ペーシングを含めて、心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。補充間隔タイマによって規定される間隔の継続時間は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224により決定される。R波およびP波の検知によるリセット時に補充間隔タイマに存在するカウント値を使用して、R−R間隔、P−P間隔、R−R間隔、およびR−P間隔の継続時間を測定することができる。これらの測定値は、メモリ226に記憶され、後に詳述するように、本発明と共に使用されて、さまざまな頻脈性不整脈の発生が診断される。
マイクロプロセッサ224は、割り込み駆動型デバイスとして動作し、ペーサタイミング/制御回路部212からの、検知されるP波およびR波の発生に対応する割り込み、ならびに、心臓ペーシングパルスの生成に対応する割り込みに応答する。これらの割り込みは、アドレス/データバス218を介して供給される。このような割り込みに続いて、必要なあらゆる数学的計算がマイクロプロセッサ224によって実行され、ペーサタイミング/制御回路部212によって制御される値または間隔のあらゆる更新が行われる。メモリ226の一部は、一連の測定された間隔を保持できる複数の再循環バッファとして構成することができる。この一連の測定された間隔を、ペース割り込みまたは検知割り込みの発生に応答して解析して、患者の心臓が、現在、心房頻脈性不整脈を示しているのか、それとも心室頻脈性不整脈を示しているのかを判断することができる。
心房頻脈性不整脈または心室頻脈性不整脈が検出され、かつ、抗頻脈性不整脈ペーシング療法が望まれている場合には、抗頻脈性不整脈ペーシング治療の生成を制御するのに適したタイミング間隔が、マイクロプロセッサ224からペーサタイミングおよび制御回路部212にロードされて、その内部の補充間隔タイマの動作が制御され、R波およびP波の検出が補充間隔タイマの再開に効果を有さない不応期が規定される。あるいは、抗頻脈ペーシングパルスのタイミングおよび生成を制御する回路部として、1986年3月25日にBerkovits他に発行された米国特許第4,577,633号、1989年11月14日にPless他に発行された米国特許第4,880,005号、1988年2月23日にVollmann他に発行された米国特許第4,726,380号、および1986年5月13日にHolley他に発行された米国特許第4,587,970号に記載されたものを使用することもできる。これらの米国特許のすべては、その全内容が参照により本明細書に援用される。
現代のICDでは、医師は、一般に提供される治療メニューから、特定の治療をデバイスにプログラムする。例えば、心房性頻脈または心室性頻脈を最初に検出すると、抗頻脈ペーシング治療を選択して、頻脈が診断された一方の腔または双方の腔に送出することができる。頻脈を再度検出すると、より積極的な抗頻脈ペーシング治療を計画することができる。抗頻脈ペーシング治療を繰り返し試みたが、失敗に終わった場合には、より高エネルギーのカーディオバージョンパルスを選択し、続いて送出することができる。頻脈の検出率が増加するにつれて、治療の積極性も増大することから、頻脈治療の終了は、頻脈の検出率によっても変化し得る。例えば、頻脈の検出率が、事前に設定された閾値未満である場合には、カーディオバージョンパルスの送出前に着手し得る抗頻脈ペーシングの試みは少なくなる。従来技術の頻脈検出および処置治療の説明と共に上記で引用した参考文献も同様に、ここに適用することができる。
図3Aおよび図3Bを参照して、図3Aに記載した型の回路を使用して、図3Bの単相性打切り型指数関数波形50が生成されるということが、当業者には認識されよう。図3Aを参照して、ICDバッテリ40は、コンデンサ充電回路41に電圧を供給し、コンデンサ充電回路41は、コンデンサ42にエネルギーを送出する。ディフィブリレーション波形の形成の開始時において、スイッチ44が閉じ、電圧が患者/抵抗46の両端に送出される。この実施の形態では、図3Bに示すように、電圧メータ(V)48によって測定される電圧は、V52およびその後V54に減衰する傾向線によって規定される。この波形のある時点において、スイッチ44が再び開く。したがって、波形は、V54において打切られる。
この実施の形態の方法は、波形50の電圧(V)54が一定のレベルに達すると、波形50を打切ることである。当業者には理解されるように、波形50の電圧は、送出エネルギーに比例する。電圧が、初期電圧(V)52から最終電圧(V)54に減衰するとして、式1は、波形50の開始時においてコンデンサに残っている電圧に対する送出エネルギーを定義する。
Figure 2005511164
ここで、U=エネルギー、C=容量、V=電圧である。
具体的には、式2が、V54に対するエネルギーを定義する。
Figure 2005511164
ここで、U=エネルギー、C=容量、V=電圧である。
上述したように、電圧は、Vに増加し、Vに減少する。具体的には、スイッチ44が開くと、波形は打切られる。本発明の一態様は、波形が打切られるべき時点を決定することである。波形は、コンデンサ42の残存エネルギーを求めることにより打切られる。アルゴ調律としては、任意の所与の初期電圧および最終電圧におけるU1とU2との差が、送出可能なエネルギーの大きさを与える。したがって、エネルギーが、波形の適切な最終電圧で打切られるまでの間、ICDは、必要なエネルギーを負荷に送出することになる。電圧メータ48の電圧が、所望の最終電圧に達すると、スイッチが開き、波形は打切られる。
「固定傾き法(fixed tilt method)」と呼ばれる別の実施の形態では、放電の開始前にコンデンサに印加される立ち上がり電圧量が、設計および製造段階の期間に設定される。傾きは、電圧が波形の経過に伴って減衰する割合として定義される。固定傾き法では、この傾きの割合が、負荷にかかわらず固定のままにされる。これは、インピーダンスが高い患者ほど、コンデンサの放電時間が長くなることを意味する。しかし、波形は、依然として同じ時点で打切られる。したがって、固定傾き法では、送出エネルギーが、固定のままにされる。
いずれの実施の形態でも、医師に必要とされることは、所望のエネルギー(ジュールによる)をプログラムすることだけであり、それによって、プログラムされた値に対応する波形が送出される。
ICDの出力電圧または出力電流が、波形の送出中に積極的に制御されると、新たな問題が発生する。全送出エネルギーが、患者の負荷抵抗に依存するようになる。ICDは、使用可能なエネルギーをコンデンサに事前に蓄積するので、負荷抵抗に依存した特に2つのシナリオが発生し得る。第1に、蓄積されたエネルギーが十分でないことから、所望の波形を送出できない場合がある。あるいは、波形が送出された後に、蓄積コンデンサに使用可能なエネルギーが過剰に存在する場合がある。第1の場合には、波形が歪むかまたはカットオフされる可能性がある。一方、後者の場合には、ディフィブリレーションの成功率をさらに改善する可能性を有するエネルギーが浪費される。
本発明の重要な態様の1つは、1人の患者における負荷の変化または患者ごとに臨床的に見られる負荷の変化にかかわらず、一貫したエネルギー量を患者に送出することを維持することである。この一致により、出力波形の積極的な制御を有するICDは、波形の送出時に可能な限り多くの蓄積エネルギーを使用することが可能になる。医師が、カーディオバージョン治療またはディフィブリレーション治療中に送出する必要のあるエネルギー量(ジュールによる)をプログラムすると、たとえ患者内の負荷インピーダンスがどのようなものであっても、その医師は、このエネルギー量が送出されることを確信すべきである。本発明は、患者の負荷が変化しても、確実にプログラムされたエネルギーが送出される。
図4は、本発明の任意波形を生成するために実施される回路のブロック図である。ICDバッテリ40が、充電トランス60にエネルギーを送出し、次いで、充電トランス60が、コンデンサ42にエネルギーを運ぶ。ディフィブリレーション波形の形成の開始時において、スイッチング電力変換器62が、患者の抵抗/負荷64にかかわらず、コンデンサ42に蓄積されたエネルギーを任意の波形の形状(図5および図6を参照)に変形する。
スイッチング電力変換器62(詳細については、図7を参照)により、デバイスは、コンデンサ42に蓄積されたエネルギーを任意波形の形状に変形するだけでなく、出力電圧をステップダウンさせることが可能になる。開始時に利用可能なエネルギー量が、唯一の制約条件である。ICDは、より多くのエネルギーを生成できないが、本発明によれば、エネルギーが送出される方法、すなわち波形の形状を、さまざまな要件を満たすように調整することができる。したがって、インピーダンス/負荷が変化するという問題は、回路が、任意波形の形状を負荷に対して送出でき、したがって、負荷インピーダンスにかかわらず一貫したエネルギーを送出できることから、本発明によってうまく対処することができる。
現在のICDは、一般に必要とされるものよりも多くのエネルギーによりディフィブリレーションを行う。有用な目標は、送出エネルギーの使用を少なくすること、および/または、利用可能なエネルギーをより効率的に使用することである。この目標が達成できる場合に、そのように装備されたICDは、より低いジュール出力により同じ結果を達成することになる。現在のシステムは、単相性または二相性のいずれかの打切り型指数関数波形によりその結果を達成する。患者のディフィブリレーションを行うのに必要なエネルギー量を削減する理論的基礎に基づく他の波形も示されている。上述したHuangの調査は、必要なエネルギー量の削減を助ける1つの異なる可能性としてランプ波形を挙げている。
図5は、本発明によるランプ波形の図である。この実施の形態では、波形が送出されると、蓄積コンデンサの電圧が監視される。コンデンサは、事前に所定の電圧に充電され、それによって、波形の送出のための所望のエネルギー量を蓄積する。スイッチング電力変換器62(図4)は、送出電流または送出電圧を制御することにより、コンデンサから患者にエネルギーを送出する。好ましい波形は、図5に示すランプ波形と同様に、時間の経過と共に次第に増加する、電圧制御された波形である。パルス幅およびピーク振幅の双方が負荷変動を補償できるようにするために、この波形を一定のスルーレートで制御することができる。エネルギー変換器が、波形の送出中に、コンデンサが一定の値に減衰した時の電圧によって決定される特定のエネルギー量を消費すると、多相性波形(multi-phasic waveform)または多分割波形(multi-segmented waveform)の場合には、波形、すなわちその波形の一部が打切られる。この好ましい波形により、患者の負荷インピーダンスが大きいほど、その患者は、波形70から波形74へ波形を長くし、ピーク電圧72からピーク電圧76へピーク電圧を高くした波形を受けることになる。図5に示すような電圧制御された波形の代わりに、電流制御された出力波形を使用することもできる(図示せず)。電圧制御であろうと電流制御であろうと、依然として、負荷に対して送出される全エネルギー量は、患者の負荷インピーダンスとは無関係に一貫したものとなる。図4を参照して以下に詳述するように、上昇波形の勾配または上昇率を設定すること、ならびに、蓄積コンデンサの充電電圧を調整することおよび波形の打切り時の蓄積コンデンサの電圧を調整することにより、電圧制御された波形または電流制御された波形のいずれもスケーリングされ、これにより、オペレータは、送出される所望のエネルギーを選択することが可能になる。したがって、好ましい実施の形態では、エネルギー変換器は、コンデンサの電圧をインピーダンスに変換せずに測定する。次いで、エネルギー変換器は、送出エネルギーに基づいてパルスを打切る。
図6は、本発明のさらに別の実施の形態において実施されるランプ波形の図である。この実施の形態では、デバイスは、小部分のエネルギー80から82の送出に要する時間にわたって抵抗を測定する。この結果、コンデンサの電圧が一定の割合だけ減衰するのに要する時間の長さが判明する。例えば、デバイスは、コンデンサから1ジュールのエネルギーを消費するのにどれだけの時間を要するかを待って見ることができる。次いで、この時間量に対する出力波形の電圧が判明すると、デバイスは、式3および式4に基づいて抵抗を実時間で計算することができる。この解析に基づいて、エネルギー変換器は、パルス82から84のパルスが延びる量を知り、負荷インピーダンスとは無関係にプログラムされたレベルのエネルギー(ジュール)を送出する。本発明の一態様は、波形の最初の部分の間、送出エネルギーを時間に応じて監視し、次いで、その情報を使用して抵抗を計算する方法である。患者のインピーダンスが判明すると、波形によって送出されるエネルギー量が一致するように、波形の残りの部分の振幅がスケーリングされる。したがって、図6では、デバイスは、ランプ波80から82の最初の部分の間は、一定の率で上昇する電圧を送出する。デバイスが抵抗を計算するのは、ランプのこの部分の間である。次いで、インピーダンスが高い場合には、電圧は、抵抗が低い場合よりも速い率82から84で上昇することになる。いずれにしても、本発明により、変化する負荷および/または未知の負荷に対して、一貫したエネルギー量の送出が可能になる。本発明の有益な実施態様の1つは、時間の経過と共に発生する埋め込み型デバイスの変化および患者抵抗の変化に関するものである。例えば、リード線は、年および他の因子に基づいて負荷または電圧の変化を示すことがあり、患者のインピーダンスは、時間の経過と共に変化することがある。これらの変動にもかかわらず、本発明では、引き続き、送出エネルギー出力を望ましいエネルギー出力と一貫したものとすることが可能である。
次に、この実施の形態で使用される式に移る。エネルギー変換器は、蓄積コンデンサが一定の電圧だけ減衰する波形の間の時間dの長さを最初に測定することにより、この波形の間の抵抗を測定する。この電圧の割合を使用して、送出エネルギーUが計算されて求められる。カウンタ回路が、dである経過時間の追跡を行っている状態で、蓄積コンデンサが一定の閾値に減衰すると、コンパレータ回路は、トリガ信号を送る。スイッチングエネルギー変換器が出力電圧を制御する場合には、抵抗は、以下の式に従って計算される。
Figure 2005511164
上記式において、γは、エネルギー変換器の効率であり、dは、蓄積コンデンサから引き出されるエネルギーUに必要な継続時間であり、V(t)は、波形の電圧であり、制御電圧出力によるショックの送出前に判明している。
スイッチングエネルギー変換器が、出力電流を制御し、同じ方法を使用する場合には、抵抗は、以下の式に従って計算される。
Figure 2005511164
上記式において、I(t)は、送出波形の電流である。患者の抵抗が判明すると、波形による送出エネルギー量が、蓄積コンデンサのエネルギー量と一致するように、送出波形の残りの部分の振幅が計算される。この実施の形態では、電圧が送出されようと電流が送出されようと、スイッチングエネルギー変換器は、波形の初期位置の間でインピーダンスを測定し、次いで、波形の残りの部分の振幅をスケーリングする。
次に図7に移って、スイッチングエネルギー変換器を介して任意波形を実施することに目を向けることにする。スイッチモード電力変換に使用される高周波スイッチング変換器が、この用途に有益である。スイッチング変換器では、リニア電源で使用される連続モードではなく、スイッチングモードでパワートランジスタが使用される。スイッチモード電力変換器は、ステップダウン(降圧)、ステップアップ(昇圧)、または降圧−昇圧の組み合わせとして、その最も簡単な形態で構成することができる。
降圧変換器、すなわちステップダウン変換器は、多くの産業において、DC−DC変換の用途に一般に使用される電力変換回路である。このような回路を記載したものは、例えば、Power Electronics: Converters, Applications and Design, Mohan, Undeland and Robbins, John Wiley & Sons, New Yorkを含めて、多くの文献に見ることができる。この用途において、電気要件には、高い効率と、全体のシステムサイズに対する回路の影響を最小にするための小さなコンポーネントサイズとが含まれる。
本発明による実施態様には、昇圧変換器および降圧−昇圧変換器と比較して、降圧構成が適している。降圧構成は、他の2つの設計に対してインダクタの必要性が最も少ない。
図7の一実施の形態には、変換器が示されている。この実施態様では、DC源電圧が、複数のホールドコンデンサ93で保持される。ステップダウン変換器は、このDC電圧を電力源として使用する。ステップダウン変換器内では、パルス幅変調(PWM)スイッチ96が、抵抗負荷95へのインダクタ/コンデンサフィルタを駆動し、降圧変換器で一般的なように、スイッチ96が閉じると、電流の増加がインダクタ94の値により制御された状態で、電流は、ホールドコンデンサ93から供給される。スイッチ96が開くと、電流は、インダクタ94に流れ続け、ダイオード97に順方向バイアスの負荷をかけ続ける。制御回路は、出力電圧を基準波形と比較し、特定の出力電圧を維持する必要に応じて、デューティサイクルを変更する。パルス制御回路98は、レベルシフト/ハイサイド駆動回路を通じて、変調スイッチ96を駆動する。図示した実施態様では、これは、光ドライバ99によって実現される。他の実施の形態では、これは、駆動回路コンポーネントと共に、絶縁としての絶縁形トランスまたは高電圧半導体デバイスにより達成されることが可能である。基準波形は、アナログ基準値によって供給することもできるし、D/A変換器によって変換されたデジタル化された形態で供給することもできる。図示した制御回路は、誤差増幅器およびパルス幅変調コンパレータによりアナログ方式で実施される。別の実施の形態では、制御回路は、デジタルコントローラにより実施することができる。図示した実施態様では、誤差増幅器は、直線性を得るための高DC利得および制御ループの安定性を得るためのローパスポール(low pass pole)を有する。ホールドコンデンサ93の電圧を監視し、それによって、所与の相の間に正確なエネルギーが送出された時点であって、治療パルスの相の変更が行われるべき時点を決定するために、制御回路部(図示せず)が必要とされる。このホールドコンデンサ93のモニタは、最終相を終了すべき時点を決定することもできる。スイッチは、高電圧BIMOSFET、FET、IGBT、または他のスイッチ技術により実施することができる。好ましい実施の形態では、スイッチは、500kHzでスイッチングする高電流BIMOSFETにより実施される。出力フィルタコンデンサ92は、一般的な0.1の表面実装された高電圧コンデンサである。ダイオード97は、1000Vの範囲の印加電圧のため、高い逆電圧阻止能力を必要とする。また、ダイオード97は、スイッチング損失を低減するために、高速の回復特性も必要とする。ダイオード97の機能は、スイッチ96がオフである時に制御回路部を有効にするために、制御回路部と協働する半導体スイッチにより実施することもできる。同期変換器または共振変換器としての設計は、ダイオード97の代わりにこのようなスイッチを含むことになる。絶縁電源100は、絶縁型トランス、パルストランス、またはブートストラップ電源ポンプにより実施することができる。
スイッチ周波数、ピークインダクタ電流、および出力リップル電圧は、インダクタの要件を規定する。好ましい実施の形態では、インダクタ94は、共通巻き線を有する2つの高磁束粉末コア(トロイド)からなる0.5ccのスタックであり、40アンペアのピークインダクタ電流において共通の9μHを有する約14μHのインダクタンスを提供する。他の材料も同様にインダクタ94に使用することができる。治療パルスの周期およびデューティサイクルは、十分低いので、加熱効果は、インダクタの設計要件には入らない。容積を最小にし、かつ、40アンペアにおけるインダクタンスの変化を制限するために、できるだけ低いコアの透磁率(例えば、14)が必要となる。
このような変換器の実施態様には、出力のフィルタリングが必要とされ、インダクタ94は、このようなフィルタを提供するように埋め込まれる。ICDのサイズに対する影響を最小にするために、インダクタのサイズを小さく維持しなければならない。インダクタンス値を最小にすることは、全体のサイズの縮小に貢献する。変換器設計のパラメータ制約条件は、インダクタンスの最小値を制限する。これ以外に、電気設計制約条件をなおも満たしつつ、物理設計技法を使用して、物理サイズを縮小しなければならない。
高電圧降圧(ステップダウン)変換器90は、埋め込み型ICDデバイスの任意のディフィブリレーション波形発生器に使用することができる。このような変換器の実施には、インダクタ94を含む出力フィルタコンデンサ92が必要とされる。埋め込まれたデバイスのサイズに対する影響を最小にするには、インダクタ94の物理サイズが空間体積効率のよいものでなければならない。変換器設計のパラメータ制約条件は、インダクタ94の最小値を制限することになる。さらに、電気設計制約条件をなおも満たしつつ、物理設計技法を使用して物理サイズを最小にしなければならない。埋め込み型ICDの波形に対するインダクタの電気制約条件には、高いDC電流30アンペアについて、<20ms(ミリ秒)の短い継続時間および±10アンペアのリップル電流という許容範囲が含まれる。したがって、全体のピーク電流は、40アンペアになることがある。加熱効果は、パルスのデューティサイクルが非常に低いので重要ではない。インダクタンスの損失を最小限にしたこのような電流の許容範囲には、低透磁率で高磁束の粉末コアなどの材料を使用することが必要とされる。この材料は、コアの飽和を防止しつつ、DCバイアスの高いレベルを可能にする。コアの飽和を防止するには、磁気バイアスをコアに形成することを使用することもできる。
図8は、図7で述べたインダクタの設計を開発するのに使用される1組の3つの式である。この変換器の実施用のインダクタンスは、10〜20μHの範囲になければならない。デバイスの容積全体に対する影響を最小にするのに妥当なインダクタのサイズは、0.5ccである。低透磁率の材料のトレードオフには、巻き線の1巻きあたりのインダクタンス値を低くすることが含まれる。コアのパッケージ効率をさらに最適にするには、共通巻き線を有するトロイドコアのスタックを実施することができる。所与のコアについて、コアのスタックは、巻き数を少なくすることにより、DCバイアス効果を低減する同じインダクタンスを提供することができる。コアのサイズの直径は、スタックされたコアの長さを長くすることにより、小さくすることができる。この結果、指定されたピーク電流における所与のインダクタンス値に対して、インダクタの容積の小さな改良が行われると共に、よりパッケージ効率のよい縦横比がもたらされる。最後に、インダクタは、外部から1600ガウス未満のDC磁界が印加されている状態で飽和してはならない。粉末コアにエアギャップを分散させることが、この要件にとって理想的である。
ディフィブリレーション波形についてのインダクタの電気制約条件には、高いDC電流(30アンペア)について、短い継続時間パルス(<20ms)および±10アンペアのリップル電流という許容範囲が含まれる。したがって、全体のピーク電流は、40アンペアになることがある。加熱効果は、パルスのデューティサイクルが非常に低いので重要ではない。インダクタンスの損失を最小限にしたこのような電流の許容範囲には、低透磁率で高磁束の粉末コアなどの材料を使用することが必要とされる。この材料は、コアの飽和を防止しつつ、DCバイアスの高いレベルを可能にする。この変換器の実施用のインダクタンスは、10〜20Hの範囲になければならない。デバイスの容積全体に対する影響を最小にするのに妥当なインダクタのサイズは、0.5ccである。低透磁率の材料のトレードオフは、巻き線の1巻きあたりのインダクタンス値を低くすることである。コアのパッケージ効率をさらに最適にするには、共通巻き線を有するトロイドコアのスタックを実施することができる。所与のコアについて、コアのスタックは、巻き数を少なくすることにより、DCバイアス効果を低減する同じインダクタンスを提供することができる。コアのサイズの直径は、スタックされたコアの長さを長くすることにより、小さくすることができる。この結果、指定されたピーク電流における所与のインダクタンス値に対して、インダクタの容積の小さな改良が行われると共に、よりパッケージ効率のよい縦横比がもたらされる。最後に、インダクタは、外部から1600ガウス未満のDC磁界が印加されている状態で飽和してはならない。粉末コアにエアギャップを分散させることが、この要件にとって理想的である。
例えば、40アンペアのピーク電流に対して、14Hのインダクタを0.5ccに近い容積で設計するのに必要な材料は、以下の数式に従ったサイズにすることができる。
Figure 2005511164
ここで、
N=巻き数
L=インダクタンス
s=スタックされたトロイドの個数
=1巻きあたりのコアインダクタンス(μH)を2乗したもの
H=磁化力(エルステッド)
Ip=ピーク電流
le=コアの磁路長
容積=Pl(直径/2)・ht
最小ワイヤゲージを29AWGとする。断熱ワイヤの加熱計算は、これが銅に対して妥当であることを示している。
23巻きで実施される例3を使用したインダクタ94の測定(図8)は、次のようになる。
L@100kHz RDC@100kHz
13.8μH 250オーム
図9は、500kHzのスイッチング周波数で適用した場合のインダクタの電流を示している。図9において、ピークインダクタ電流は、電流スロープに大きな変化がない35アンペア(CH1チョーク電流とラベル付けしている)である。このことおよび他の試験は、この電流の範囲にわたってインダクタンス値が安定していることを示している。インダクタンスは、(Vcsp−Vout)・(時間変化/電流変化)として計算される。したがって、この場合のインダクタンス値は、L=(580−240)・(400nS/14A)=9.7μHとなる。
これは、インダクタが、本明細書の上記で示した計算と一致して動作していることを示す。波形のピークは観察されなかった。これは、この電流レベルにおいて飽和の傾向がないことを示している。さらに、DC磁界の存在下での試験に大きな変化はなかった。
図10は、50オーム負荷に電圧放電を送出した結果生成される上昇ランプ波形を示す図である。この図は、負荷に適用される、本発明と一致したCSP電圧110が、このオシロスコープのトレースに示すように、出力電圧112とラベル付けされた上昇ランプ波形になることを示している。
要約すれば、本発明の「デューティサイクル」の一実施の形態は、ディフィブリレータのエネルギー蓄積コンデンサの電圧を監視しながら、任意波形を被験者に送出することを含む。送出前のこのコンデンサの電圧およびコンデンサのサイズが判明することにより、デバイスの全蓄積エネルギーが判明する。次いで、この蓄積コンデンサの電圧が閾値に減衰した後にこの任意波形を打切ることにより、負荷抵抗にかかわらず、特定のエネルギー量を送出することができる。エネルギーの式は、この明細書(上記)に式1および式2として挙げられている。理想的な(すなわち、効率100%)のステップダウンスイッチング変換器、すなわち降圧スイッチング変換器を使用した場合、電力変換器のデューティサイクルは、出力電圧を入力電圧で割ったものに等しくなる。したがって、入力電圧を監視して打切り時点を決定することに代えて、出力電圧およびデューティサイクルを単に監視するだけで、入力電圧が所定の値に減少する時が計算される。
本発明の別の実施の形態では、波形のエネルギーの小部分が、この場合も、蓄積コンデンサの電圧を監視することにより(または上記監視された「デューティサイクル」方法を使用することにより)送出される。このエネルギーの部分の送出に必要な時間の長さが測定される。次いで、この時間の長さは、電流を制御しているのか、それとも電圧を制御しているのかに応じて、式3または式4(上記)に従った負荷抵抗の計算に使用される。患者の抵抗(またはインピーダンス)が判明し、送出したい波形の形状および継続時間が判明すると、確実に所望される所定のエネルギー量を送出するように、その波形の残りの部分を再スケーリングすることができる。
本発明は、埋め込み可能医療デバイスおよび体外医療デバイスで実施することができ、慢性もしくは急性の不整脈の検出方式および/または心臓治療の送出と共に使用することができる。
上述した特定の実施の形態は、本発明の実施の例示である。したがって、本発明から逸脱することもなく、また添付した特許請求の範囲から逸脱することもなく、当業者に既知の他の手段または本明細書で開示した他の手段を使用できることが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、具体的に開示したものとは別の方法で本発明を実践できることが理解されよう。すべての要素について、その要素を、無限の均等な代替物のいずれの1つとも取り替えることができ、そのうちのいくつかだけが、この明細書で開示されているに過ぎない。
本発明によるICD型システムの図である。 本発明の特徴を実施するようになっているICD型デバイスの機能ブロック図である。 従来のICDに用いられる打切り型指数関数波形の生成に使用される回路のブロック図である。 単相性打切り型指数関数波形の図である。 本発明の任意波形の生成に使用される回路のブロック図である。 本発明の第1の実施の形態として使用されるランプ波形の図である。 本発明の第2の実施の形態で使用されるランプ波形の図である。 本発明の2つの実施の形態を実施するのに使用されるスイッチング電力変換器のブロック図である。 図7で述べたインダクタの設計を開発するのに使用される1組の3つの式である。 500kHzのスイッチング周波数で適用した場合のインダクタの電流である。 50オーム負荷に電圧放電を送出した結果生成される上昇ランプ波形を示す図である。

Claims (20)

  1. デバイスから一定のエネルギーを送出し、心臓細動の状況を終結させるように、波形を制御するシステムであって、
    少なくとも1対の電極の間におけるサブシステムの負荷インピーダンスを、エネルギーの初期部分を送出する継続時間にわたって測定する手段と、
    蓄積コンデンサの電圧が一定の割合だけ減衰するのに要する時間の長さを測定する手段と、
    前記時間の長さに基づいて、電圧制御されたまたは電流制御された出力波形が送出される負荷インピーダンスを計算する手段と、
    前記負荷インピーダンスにかかわらず、事前にプログラムされたレベルのエネルギーを送出するために、前記電圧制御されたまたは電流制御された出力波形を延ばす手段と、
    を備える波形を制御するシステム。
  2. 前記延ばす手段は、電力変換器回路を備える、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  3. 前記分離した電極は、埋め込み可能医療デバイスの導電キャニスタの一部である、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  4. 前記事前にプログラムされたレベルのエネルギーは、1組の事前にプログラムされた離散的なレベルのエネルギーであり、前記1組におけるそれぞれの一連の構成要素は、前記1組におけるその前の構成要素よりも大きな大きさを有する、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  5. 前記電圧制御されたまたは電流制御された出力波形は、上昇振幅波形、二相性波形、下降振幅波形、打切り型波形、多相波形、多相性波形、ほぼ方形の形状の波形の少なくとも1つである、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  6. 前記電圧制御されたまたは電流制御された出力波形を延ばす前記手段は、スイッチング変換器を備える、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  7. 前記スイッチング変換器は、ステップダウン(降圧)変換器、ステップアップ(昇圧)変換器、結合ステップダウン/ステップアップ(降圧−昇圧)変換器の少なくとも1つを備える、請求項6に記載の波形を制御するシステム。
  8. 前記1対の電極は、経皮電極、皮下電極、心外膜電極、心内膜電極、経皮的電極、表面電極、キャニスタ電極、コイル電極、リング電極の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の波形を制御するシステム。
  9. 心臓ディフィブリレータのエネルギー蓄積コンデンサの電圧を監視しながら、被験者に任意波形を送出するシステムであって、
    該蓄積コンデンサに蓄積されるエネルギーの総量を導出するために、前記蓄積コンデンサに蓄積された電圧および該蓄積コンデンサのサイズを求める手段と、
    前記蓄積コンデンサの電圧が閾値に減衰した後に、任意波形を打切る手段と、
    被験者の負荷抵抗にかかわらず、前記打切り型任意波形を介して前記エネルギーの総量のうちの特定の量を送出する手段と、
    を備える任意波形を送出するシステム。
  10. 前記打切る手段は、出力電圧パラメータおよびデューティサイクルパラメータを監視する手段を備える、請求項9に記載の任意波形を送出するシステム。
  11. 患者の心臓の調律を安定化させるように、一定のエネルギーを送出するシステムであって、
    首尾よく不整脈を終結させようとして、任意波形を使用して、患者の心臓組織の一部に送出されている送出エネルギーの一部を監視する手段と、
    前記患者の負荷インピーダンス値を計算する手段と、
    所望の一定のエネルギー量が送出されるように、前記任意波形によって供給される前記送出エネルギーの残りの部分を、該送出エネルギーの該残りの部分の振幅特性をスケーリングすることに基づいて調整する手段と、
    を備える一定のエネルギーを送出するシステム。
  12. 前記監視する手段は、時間に応じて前記送出エネルギーの前記残りの部分を監視する手段を含む、請求項11に記載の一定のエネルギーを送出するシステム。
  13. 前記設定する手段は、前記負荷インピーダンスにほぼ整合させ、それによって、一貫したエネルギー量を送出するために、前記任意波形の電圧パラメータまたは電流パラメータを制御する手段を含む、請求項11に記載の一定のエネルギーを送出するシステム。
  14. 首尾よく前記不整脈を終結したかどうかを判断するために、前記心臓組織の一部を監視するステップと、
    首尾よく前記不整脈を終結していない場合には、請求項11に記載のステップを繰り返すステップと、
    をさらに含む、請求項11に記載の一定のエネルギーを送出するシステム。
  15. 請求項11に記載のステップを繰り返す前記ステップは、前記所望の一定のエネルギー量より大きな大きさの第2の所望の一定のエネルギー量を送出することにより行われる、請求項14に記載の一定のエネルギーを送出するシステム。
  16. 前記負荷インピーダンス値を計算する手段は、前記心臓組織の一部の付近に配置される少なくとも1対の電極を備える、請求項11に記載の一定のエネルギーを送出するシステム。
  17. 組織の一部に、所望される所定かつ一定のエネルギー量を送出する方法であって、
    蓄積コンデンサを充電するステップと、
    組織の一部の付近に配置された少なくとも2つの電極を使用して該組織の一部の負荷インピーダンスを測定するステップと、
    前記蓄積コンデンサに存在する電位の大きさを測定するステップと、
    同時に、前記負荷インピーダンスを再測定するために、前記蓄積コンデンサから前記組織の一部へ、スイッチング電力変換器回路を通じて任意波形を送出するステップと、
    前記再測定した負荷インピーダンスの変化に応答して、所定かつ一定のエネルギー量が、前記組織の一部に最終的に送出されるように、前記任意波形を調整するステップと、
    を含む方法。
  18. 前記任意波形は、上昇振幅波形、二相性波形、電圧制御された波形、電流制御された波形、下降振幅波形、打切り型波形、多相波形、多相性波形、ほぼ方形の形状の波形の少なくとも1つを備える、請求項17に記載の所望される所定かつ一定のエネルギー量を送出する方法。
  19. 自動体外ディフィブリレータ、埋め込み可能医療デバイス、埋め込み可能カーディオバータ、ペースメーカから選択されたデバイスによって実行される、請求項17に記載の所望される所定かつ一定のエネルギー量を送出する方法。
  20. 致死の可能性のある不整脈の肯定的な検出、および、該致死の可能性のある不整脈の終結を目的とする少なくとも1回の低電圧治療に続いて適用される、請求項17に記載の所望される所定かつ一定のエネルギー量を送出する方法。
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