JP2005510570A - 多発性硬化症処置のためのアンタゴニスト抗cd40モノクローナル抗体療法 - Google Patents

多発性硬化症処置のためのアンタゴニスト抗cd40モノクローナル抗体療法 Download PDF

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Abstract

本発明は、インターフェロンおよび抗CD40抗体を中枢神経系に送達することによって、MSの症状を予防または緩和するための方法に関する。インターフェロンとしては、インターフェロン−βおよびそのムテイン(例えば、IFN−βser17)が挙げられる。多発性硬化症を処置するための方法であって、該方法は、処置を必要とする患者のB細胞を、抗CD40抗体と接触させる工程を包含し、該抗CD40抗体は、B細胞分化またはB細胞増殖を阻害する、方法。

Description

本発明は、CD40に対する抗体を単独でかまたは免疫調節剤(例えば、インターフェロン−β−1b)と組み合わせて使用する、ヒトにおけるB細胞およびT細胞媒介性自己免疫疾患の処置に関する。
(発明の背景)
多発性硬化症(MS)は、免疫調節欠損から生じると考えられるいくつかの疾患のうちの1つである。多発性硬化症は、中枢神経系の慢性的障害状態をもたらし、症状は、軽度のしびれから麻痺および視覚の喪失までの範囲に及び得る。ほとんどの患者は、20歳と40歳との間で診断され、従って、一生涯の症状および処置と対面する。この疾患の進行は、推定できず、1人の患者における処置は、別の患者の処置について予測的ではないかもしれない。
組織学的に、その症状は、神経線維を取り囲む脂質鞘であるミエリンの破壊に関係がある。その損傷の結果として、神経インパルスは遅くなるか停止し、筋肉の弱さ、震え、視覚の問題、平衡欠如、疼痛および疲労、ならびに生理学的変化(気分変動、健忘症、および集中困難を含む)のような、身体的症状を生じる。既存の治療法は、所定の患者における症状のうちのいくつかまたはすべてを軽減し得るが、この治療法は、注意深くモニタリングしなければならず、そして症状が悪化するかまたは患者が再発を経験する場合、禁忌状態であり得る。
現在、米国において250,000人〜350,000人が、多発性硬化症とともに生活していると考えられる。多発性硬化症は、患者のほとんどの活動的年月の間を襲うので、患者と家族の両方の生活の質および生産性に対して多大な代価がかかる。症状の早期発症が最も一般的なパターンであるが、ほぼ10%の患者が、50歳を過ぎて最初の症状を経験する。この年齢群において、他の状態の存在によりしばしば複雑である診断は、いくらかの程度の誤診をもたらす。
現在MSについて最も一般的な処置は、β−インターフェロン(IFN−β)であり、これは、免疫系の調節を介してその効果を発揮する。具体的には、β−インターフェロンは、免疫系細胞のレセプターに結合する。しかし、β−インターフェロンは、患者の一部において疾患の進行をほんの一時的に遅くする。
単独でかまたはインターフェロンと組み合わせて、MS患者における疾患の進行を遅くする治療組成物(例えば、抗CD40抗体)について、当該分野で必要性が存在する。
(発明の要旨)
患者における自己免疫疾患を予防または処置するための方法を提供することが本発明の目的であり、この方法は、そのような処置を必要とする患者に、CD40保有細胞(例えば、ヒトB細胞または他の抗原提示細胞)の表面上に位置するヒトCD40抗原に結合可能であるヒトモノクローナル抗体を治療有効量投与する工程を包含し、このCD40抗原へのこの抗体の結合は、単独でかまたは薬学的に受容可能な賦形剤中にあるインターフェロンと組み合わせてかまたはそのインターフェロンと同時投与される、病原性T細胞の刺激(priming)を防ぐ。
患者における多発性硬化症を予防または処置するための方法を提供することが、本発明の別の目的であり、この方法は、そのような処置を必要とする患者に、ヒト抗原提示細胞の表面上に位置するヒトCD40抗原に結合可能であるヒトモノクローナル抗体を治療有効量投与する工程を包含し、このCD40抗原へのこの抗体の結合は、単独でかまたはインターフェロンと組み合わせてかまたはそのインターフェロンと同時投与される、病原性T細胞の刺激(priming)を防ぐ。B細胞媒介性疾患を予防または処置するために患者に投与するための組成物を提供することが、本発明のさらなる目的であり、この組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤中抗CD40抗体および1型インターフェロンを含む。
上記の目的のより好ましい実施形態において、そのモノクローナル抗体は、15B8、20C4、13E4、12D9、または9F7である。モノクローナル抗体15B8は、ヒト抗CD40モノクローナル抗体である。
上記の目的の他の好ましい実施形態において、そのインターフェロンは、1型インターフェロンである。他の好ましい実施形態において、その1型インターフェロンは、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−δ、インターフェロン−ω(インターフェロン−α III)、またはインターフェロン−τ(トロホブラストインターフェロン)である。上記の目的の他の好ましい実施形態において、そのインターフェロンは、インターフェロン−β−1bである。上記の目的の他の好ましい実施形態において、そのインターフェロンは、インターフェロン−β−1aである。
本発明の特定の実施形態において、そのインターフェロンおよび抗体組成物は、三叉神経、臭神経、またはその組み合わせによって神経支配される哺乳動物組織に投与され、そのインターフェロンは、その組織を通って吸収され、その哺乳動物の中枢神経系に輸送される。上記の目的の他の好ましい実施形態において、そのインターフェロンおよび抗体組成物は、静脈内注射により哺乳動物組織に投与される。上記の目的の他の好ましい実施形態において、そのインターフェロンおよび抗体組成物は、皮下注射または筋肉内注射により哺乳動物組織に投与される。
本発明は、哺乳動物における中枢神経系のB細胞媒介疾患または他の抗原提示細胞媒介疾患を予防または軽減するための方法を提供し、この疾患は、インターフェロンを用いる処置に対して応答性であり、この方法は、インターフェロンを含む組成物を、三叉神経、臭神経、またはその組み合わせにより神経支配される哺乳動物組織に投与する工程;および抗CD40抗体を含む組成物をその哺乳動物に投与する工程を包含し、そのインターフェロンは、その組織を通って吸収され、そしてその哺乳動物の中枢神経系に輸送される。
この方法の特定の実施形態において、その組織とは、鼻腔組織、結膜、口腔組織、または皮膚を包含する。この方法の他の実施形態において、インターフェロンを結膜に投与する工程は、インターフェロンを下眼瞼と眼との間に投与する工程を包含する。
この方法のさらなる実施形態において、インターフェロンを皮膚に投与する工程は、インターフェロンを、顔面、額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻側面、上唇、頬、顎、頭皮、またはこれらの組み合わせに投与する工程を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態において、口腔組織にインターフェロンを投与する工程は、舌下投与を包含する。
本発明の方法の他の実施形態において、インターフェロンは、インターフェロン−α(IFN−α)、インターフェロン−β(IFN−β)、およびそれらの生物学的に活性な改変体からなる群より選択され、抗CD−40抗体は、モノクローナル抗体である。
特定の実施形態において、インターフェロンは、ネイティブのヒトIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体である。他の特定の実施形態において、このIFN−β改変体は、ネイティブのヒトIFN−βと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。なおさらなる特定の実施形態において、インターフェロンは、鼻腔の上部3分の1に投与される。
本発明の方法の他の実施形態において、インターフェロンは、小脳、上丘、室周白質、視神経、中脳、橋、嗅球、前嗅覚核、もしくはそれらの任意の組み合わせ、または脊髄、脳幹、皮質構造、皮質下構造、もしくはそれらの任意の組み合わせに輸送される。
特定の実施形態において、インターフェロンは、約0.14nmol/脳1kg重量〜約138nmol/脳1kg重量の投薬範囲で投与される。特定の実施形態において、インターフェロンは、ネイティブのヒトIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体である。
本発明は、多発性硬化症を予防または軽減する方法を提供する。
本発明は、ヒトにおける多発性硬化症のインターフェロン処置の効果を長引かせる方法をさらに提供する。この方法は、ヒトに抗CD40抗体を含有する組成物を投与する工程を包含する。この方法の特定の実施形態において、抗体は、15B8、20C4、13E4、12D9、9F7および5D12からなる群より選択される。
(発明の詳細な説明)
CD40抗原は、B細胞および他の抗原提示細胞(樹状細胞を含む)の細胞表面上で発現される糖タンパク質である。B細胞分化の間、分子は、プレB細胞上で最初に発現され、次いでB細胞が形質細胞になった時に、この細胞表面から消滅する。CD40分子の抗CD40抗体との架橋は、B細胞に対する種々の効果を媒介する。このCD40抗原は、ヒト神経発育因子(NGF)レセプターおよび腫瘍壊死因子α(TNF−α)レセプターに関連することが知られており、このことは、CD40がB細胞活性において重要な機能を有するリガンドに対するレセプターであることを示唆する。
CD40は、免疫応答の重要なエレメントである。そのリガンド(CD40LまたはCD154と呼ばれる)によって抗原提示細胞上にCD40を係合させることによって、サイトカインの産生および同時刺激性分子のアップレギュレートが生じ、これは、Tリンパ球の有効な活性を導く。Bリンパ球上へのCD40の係合は、抗体産生を駆動するB細胞に同時刺激性シグナルを提供する。従って、CD40の係合および引き続くT細胞活性をブロックすることは、抗体および細胞媒介免疫応答を抑制する可能性を有する。
CD40Lは、TNFファミリーのメンバーである。これは、活性化T細胞およびB細胞、ならびに内皮細胞、肥満細胞、好酸球および好塩基球上で発現される。CD40Lは、膜結合形態および可溶性分泌形態の両方として発現される。CD40およびCD40Lの相互作用のいくつかの機能が、同定されている。B細胞において、この相互作用は、クローン伸長、Ig産生、胚中心形成、アイソタイプスイッチング、記憶の誘導および維持、ならびに親和性成熟を調節する。T細胞において、この相互作用は、Tヘルパー細胞および細胞障害性Tリンパ球(CTL)の活性を調節する。マクロファージにおいて、この相互作用は、同時刺激性機能、サイトカイン産生の誘導、一酸化窒素(NO)発生の同時刺激、メタロプロテアーゼ産生の誘導、アポトーシスからの救出を調節する。樹状細胞において、この相互作用は、成熟、サイトカイン産生の誘導、抗原提示および同時刺激性機能を調節する。
CD40−CD40L相互作用の役割は、CD40Lを欠損したヒトおよびマウス、ならびにCD40を欠損したマウスの機能的欠損を研究することによって、一部解明されている。いくらかの効果が見られており、これらとしては、以下が挙げられる:細胞内寄生生物に対する感受性の増大;IFNγおよびIL−12の産生の低下;ペプチド抗原に対してプライムされるT細胞の障害;小胞状樹状細胞ネットワークの減少;胚中心の非存在、およびT細胞依存性抗原に転換されるIgアイソタイプの障害。しかし、T細胞非依存性抗原に応答する正常な抗体が存在する。全体に、その効果は、障害性免疫系を介して媒介される。欠損は、他の系において同定されていない。マウスモノクローナル抗体(5D12)である、抗HuCD40ブロッキング抗体が開発されている。この抗体は、インビトロでのMLR細胞活性およびB細胞活性、ならびにIg産生を阻害する。
5D12のいくつかの効果が、インビトロで研究されている。最初に、5D12は、同系のヒト活性化T細胞で刺激されるヒト末梢血B細胞によって、IgM分泌の阻害を生じる。この抗体はまた、抗CD3活性化Jurkat細胞またはCHO−CD40L細胞によって刺激されるヒト末梢血B細胞増殖の阻害を生じる。DCまたは単球中のCD40を介して刺激されたサイトカイン分泌の阻害もまた、5D12を使用して観察される。初期研究は、実験的なアレルギー性脳脊髄炎(EAE)および多発性硬化症におけるCD40−CD40L相互作用の役割の予備的証拠を提供する。Gerritseら(Proc.Natl.Acad.Sci.,93:2499−2504,1996)は、T細胞発現CD40Lが、MS脳部分に存在することを示した。CD40L+細胞は、活性な外傷(脈管侵潤)においてCD40保有細胞(マクロファージまたは単球)と同時局在化した。抗CD40L抗体は、マウスにおけるEAEを予防または低減することが示されている。Laman(J.Neuroimmunology 86:30−45,1998)は、急性EAEを有するマルモセットモンキーにおけるマクロファージの脈管周囲侵潤において多量のCD40発現を観察した。
本発明は、抗CD40抗体単独または1型インターフェロン(例えば、インターフェロン−β)と組み合わせて抗CD40抗体を使用して、多発性硬化症を処置する方法に関する。連続的な悪化した疾患または有意な副作用を有する患者は、インターフェロン−βを用いた治療を頻繁に中断する。本発明に従って、CD40/CD40L遮断は、インターフェロン−βでの相乗作用抗炎症性効果または免疫調節性効果を有し得、かつ自己抗体(抗甲状腺薬、抗肝性薬など)の頻度を低下させ得る。従って、抗CD40抗体(例えば、15B8)の、インターフェロン−β(例えば、インターフェロン−β−1b)との同時投与は、インターフェロン−β−1bの中断速度を低下させる。
1つの標的患者集団は、以下の全ての患者を含む:(任意の形態のMSの処置のために)現在インターフェロン−β−1bでの処置を受けている患者;インターフェロン−β−1bで、ここ6ヶ月間に少なくとも1回の再発を経験した患者;ベースラインMRIスキャンにおいて少なくとも1回の外傷の増加を伴った患者;および、過去6ヶ月以内に疾患の進行を伴った患者。
第二の標的患者集団は、MSを有するか、またはMSを示唆する臨床的に分離された症候群を有すると新たに診断された、全ての患者を含む。これらの患者は、インターフェロン−β−1bと同時投与される抗CD40抗体(例えば、15B8)で処置される。本発明によれば、CD40/CD40Lの遮断は、インターフェロン−βを用いて、相乗的な抗炎症効果または免疫調節効果を有し得る。インターフェロン−β−1bと抗CD40抗体との同時投与は、インターフェロン−β−1b単独の投与と比較して、明らかなMSの確立までの時間を延長し得るか、またはMSの処置についての効力の増加を生じ得る。
別の標的患者集団は、慢性関節リウマチまたは他の自己免疫疾患を有すると診断された全ての患者を含む。これらの患者は、抗CD40抗体(例えば、15B8)単独またはインターフェロン−β−1bと同時投与される抗CD40抗体で処置される。
別の標的患者集団は、中枢神経系(CNS)腫瘍またはグリオーム(例えば、神経膠星状細胞腫、脳室上衣細胞腫、希乏突起神経膠腫、およびこれらの細胞型の2つ以上の混合物を有する腫瘍)を有すると診断された全ての患者を含む。これらの患者は、インターフェロン−β−1bと同時投与される抗CD40抗体(例えば、15B8)で処置される。
別の標的患者集団は、クローン病、クローン大腸炎または慢性潰瘍性大腸炎を有すると診断された全ての患者を含む。これらの患者は、抗CD40抗体(例えば、15B8)単独またはインターフェロン−β−1bと同時投与される抗CD40抗体で処置される。
別の標的患者集団は、特発性肺線維腫(これは、ウイルス感染または自己免疫疾患の結果として生じ得る)を有すると診断された全ての患者を含む。これらの患者は、抗CD40抗体(例えば、15B8)単独またはインターフェロン−β−1bと同時投与される抗CD40抗体で処置される。
他の標的集団は、他のインターフェロンでの処置を受ける標的を含む。インターフェロン(IFN)は、20を超える異なるタンパク質を包含する分子のファミリーであり、そして抗ウイルス効果、抗増殖効果、抗腫瘍効果および/またはサイトカイン効果を誘導するサイトカインファミリーのメンバーである。IFNは、比較的小さい、種特異的な単鎖ポリペプチドであり、種々の誘導因子(例えば、マイトジェン、ポリペプチド、ウイルスなど)に応答して産生される。ヒトにおいて、IFNは、例えば、I型インターフェロン(−α、−β、−ωもしくは−τ)または2型インターフェロン(−γ)として産生される。合成インターフェロンもまた、当該分野で公知である。例えば、米国特許第6,114,145号(これは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。’145特許によれば、合成インターフェロンポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有し、そして1つの実施形態において、配列番号1のポリヌクレオチドによってコードされる。哺乳動物細胞からの分泌の際に、インターフェロン分子は、標的細胞の表面上のレセプターに結合し、そして一連の事象(これは、標的細胞中のタンパク質の量および活性を変更し得る)を誘発する。このような変更としては、例えば、遺伝子転写または酵素活性における変化が挙げられ得る。
インターフェロンの生物学的に活性な改変体での処置を受ける患者はまた、適切な標的集団でもあり得る。これらの改変体は、インターフェロン(例えば、当該分野で公知であり、そして以下に考察されるような、IFN−α改変体およびIFN−β改変体)の生物学的活性を保持し、そしてこれらの改変体は、そのそれぞれのレセプター部位を結合する能力を保持する。このような活性は、標準的なバイオアッセイを使用して測定され得る。改変体が1型インターフェロンレセプターと相互作用する能力を検出する、代表的なアッセイは、例えば、米国特許第5,766,864号(これは、本明細書中で参考として援用される)中に見出され得る。好ましくは、この改変体は、ネイティブの分子と少なくとも同じ活性を有する。
適切な生物学的に活性な改変体は、インターフェロンポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体であり得る。「フラグメント」によって、インタクトなインターフェロンポリペプチド配列の一部のみからなるタンパク質が意図される。フラグメントは、インターフェロンポリペプチドのC末端欠失またはN末端欠失であり得る。「アナログ」によって、全長ポリペプチドまたはそのフラグメントのいずれかが意図され、ここで、このアナログは、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入または欠失を有するネイティブポリペプチド配列を含む。1つ以上のペプトイド(ペプチド模倣物)を有するペプチドもまた、用語アナログによって包含される(すなわち、国際公開番号WO91/04282を参照のこと)。「誘導体」によって、その活性が保持される限り、ネイティブポリペプチドもしくはそのフラグメント、またはこれらそれぞれのアナログの任意の適切な改変(例えば、グリコシル化、リン酸化または他の外来部分の付加)が意図される。
好ましくは、インターフェロンの天然に存在する改変体または天然に存在しない改変体は、参照分子(例えば、ネイティブのヒトインターフェロン)または参照インターフェロン分子のより短い部分に対するアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%または95%同一であるアミノ酸配列を有する。より好ましくは、これらの分子は、96%、97%、98%または99%同一である。%配列同一性は、ギャップオープンペナルティ12およびギャップ伸長ペナルティ2を用いるアフィンギャップ検索、BLOSUMマトリクス62を使用する、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定される。このSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math.2:482−489、1981において教示される。例えば、改変体は、1〜10アミノ酸残基(例えば、6〜10アミノ酸残基)ほど、5アミノ酸残基ほど、4アミノ酸残基、3アミノ酸残基、2アミノ酸残基またはまさに1アミノ酸残基ほどが、異なり得る。
2つのアミノ酸配列の最適な整列に関して、改変体アミノ酸配列の連続セグメントが、参照アミノ酸配列に対して、さらなるアミノ酸残基または欠失したアミノ酸残基を有し得る。参照アミノ酸配列に対する比較のために使用される連続セグメントは、少なくとも20連続するアミノ酸残基を含み、そして30アミノ酸残基、40アミノ酸残基、50アミノ酸残基またはそれ以上のアミノ酸残基であり得る。保存的な残基置換またはギャップに関する、配列同一性のための較正が、なされ得る(Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを参照のこと)。
この技術は、以下にさらに考察されるように、このような改変体の調製および使用に関する、実質的な指針を提供する。インターフェロンポリペプチドのフラグメントは、一般に、全長分子の少なくとも約10連続するアミノ酸残基、好ましくは全長分子の約15〜25連続するアミノ酸残基、そして最も好ましくは、全長サイトカインポリペプチドの約20〜50またはそれ以上連続するアミノ酸残基を含む。
例えば、保存的アミノ酸置換は、1つ以上の予測された、好ましくは非必須アミノ酸残基にてなされ得る。「非必須」アミノ酸残基は、その生物学的活性を変更することなくインターフェロン(すなわち、IFN−αまたはIFN−β)の野生型配列から変更され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性のために必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、そのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されている置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。このような置換は、保存されたアミノ酸残基についても、保存されたモチーフ内に存在するアミノ酸残基についても、なされない。
あるいは、改変体インターフェロンヌクレオチド配列は、(例えば、飽和変異誘発によって)サイトカインコード配列の全てまたは一部に沿って変異をランダムに導入することによって作製され得、そして得られる変異体は、サイトカインの生物学的活性についてスクリーニングされて、活性を保持する変異体が同定され得る。変異誘発後、コードされるタンパク質は、細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞中で組換え手段によって発現され得る。
あるいは、このインターフェロンは、ペプチドの分野の当業者に公知のいくつかの技術のうちのいずれかによって化学的に合成され得る。例えば、固相ペプチド合成技術を考察する、Liら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2216−2220,1983、StewardおよびYoung,Solid Phase Peptide Synthesis(Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois),1984、ならびにBaraneyおよびMerrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,GrossおよびMeinhofer編,第2巻(Academic Press,New York,1980),3−254頁;ならびに古典的溶液合成を考察する、Bodansky,Principles of Peptide Synthesis(Springer−Verlag,Berlin,1984)ならびにGrossおよびMeinhofer編,The Peptides.Analysis,Synthesis,Biology,第1巻(Academic Press,New York,1980)。このインターフェロンはまた、同時複数ペプチド合成の方法によって化学的に調製され得る。例えば、Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135,1984;および米国特許第4,631,211号を参照のこと。
本発明の方法において用いられるインターフェロンは、トリ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、およびヒトを含むがこれらに限定されない、任意の動物種由来であり得る。このインターフェロンがCNS、脳または脊髄の障害(例えば、MS)の処置において用いられるべき場合、好ましくは、このインターフェロンは、哺乳動物種由来であり、より好ましくは、このような障害について処置を受ける哺乳動物と同じ種の哺乳動物由来である。
(インターフェロン−β)
用語「IFN−β」は、本明細書中で用いられる場合、成熟したネイティブなヒトβ−インターフェロンまたはその任意の生物学的に活性な改変体(これは時々、当該分野で、IFN−β様ポリペプチドといわれる)をいう(例えば、米国特許第4,462,940号を参照のこと)。ヒトのネイティブなIFN−βまたは改変体(これらは、天然に存在してもよく(例えば、IFN−β遺伝子座で生じる対立遺伝子改変体)、または組換え産生されてもよい)は、成熟したネイティブなIFN−β配列と類似であるかまたは実質的に類似である、アミノ酸配列を有する。ネイティブなヒトIFN−βをコードするDNA配列は、当該分野で入手可能である。例えば、Goeddelら,Nucleic Acid Res.8:4057,1980およびTanigachiら,Proc.Japan Acad.Sci.855:464,1979を参照のこと。IFN−βの活性を保持する、IFN−βのフラグメントまたは短縮型形態のIFN−βもまた包含される。これらの生物学的に活性なフラグメントまたは短縮型のIFN−βは、当該分野で周知の組換えDNA技術を用いて全長IFN−βアミノ酸配列からアミノ酸残基を除去することによって生成される。IFN−βポリペプチドは、グリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよい。なぜなら、グリコシル化形態のIFN−βおよびグリコシル化されていないIFN−βの両方が、定量的に類似の比活性を示し、それゆえ、グリコシル部分は、IFN−βの生物学的活性に関与せず、かつこの生物学的活性に寄与しないからである。
本明細書中で包含されるIFN−β改変体としては、ネイティブな成熟したIFN−β配列のムテイン(ここで、生物学的活性に必須ではない1以上のシステイン残基が、意図的に欠失されているかまたは他のアミノ酸(例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第4,588,585号およびEP218825を参照のこと)で置換されて、分子間架橋または誤った分子内ジスルフィド結合形成のいずれかの部位が除去されている)が挙げられる。この型のIFN−β改変体としては、成熟したネイティブなアミノ酸配列のアミノ酸17に見出されるシステインを置換した、グリシン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、またはメチオニンを含むIFN−β改変体が挙げられる。セリンおよびトレオニンは、システインとのこれらの化学的類似性に起因して、より好ましい置換である。セリン置換が最も好ましい。従って、例えば、薬学的有用性を改善する1以上の変異を有するIFN−β改変体もまた、本発明によって包含される。
さらなる変化は、IFN−βをコードするヌクレオチド配列への変異によって導入され得、それにより、そのインターフェロンの生物学的活性を変更させることなく、IFN−βアミノ酸配列における変化をもたらす。従って、ヒトIFN−βとは異なる配列を有するIFN−β改変体をコードする単離された核酸分子は、1以上のアミノ酸の置換、付加または欠失がそのコードされるIFN−ベータに導入されるように、1以上のヌクレオチドの置換、付加、または欠失を、本明細書中に開示される対応するヌクレオチド配列に導入することによって作製され得る。変異は、標準的技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって導入され得る。このようなIFN−β改変体もまた、本発明において用いられ得る。
本発明によって包含される生物学的に活性なIFN−β改変体はまた、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはアルブミンと共有結合しているIFN−βポリペプチドを包含する。
本発明によって包含されるIFN−βの生物学的に活性な改変体は、IFN−β活性(特に、IFN−βレセプターに結合する能力)を保持すべきであるか、または免疫調節活性もしくは抗ウイルス活性を保持すべきである。いくつかの実施形態では、このIFN−β改変体は、ネイティブなIFN−βポリペプチドの少なくとも約25%、好ましくは約50%、そしてより好ましくは約75%またはそれより高い生物学的活性を保持する。ネイティブなIFN−βポリペプチドの活性と比較して活性が上昇しているIFN−β改変体もまた包含される。IFN−β改変体の生物学的活性は、当該分野で公知の任意の方法によって測定され得る。このような活性の例は、Fellousら,Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:3082−3086,1982;Czernieckiら,J.Virol.49(2):490−496,1984;Markら,Proc.Natl Acad.Sci.USA 81:5662−5666,1984;Brancaら,Nature 277:221−223,1981;Williamsら,Nature 282:582−586,1979;Herbermanら,Nature 277:221−223,1979;およびAndersonら,J.Biol.Chem.257(19):11301−11304,1982に見出され得る。
本発明によって包含されるIFN−βポリペプチドおよびIFN−β改変体ポリペプチドの非限定的な例は、Nagataら,Nature 284:316−320,1980;Goeddelら,Nature 287:411−416,1980;Yelvertonら,Nucleic Acids Res.9:731−741,1981;Streuliら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:2848−2852,1981;EP028033B1およびEP109748B1に示される。米国特許第4,518,584号;同第4,569,908号;同第4,588,585号;同第4,738,844号;同第4,753,795号;同第4,769,233号;同第4,793,995号;同第4,914,033号;同第4,959,314号;同第5,545,723号;および同第5,814,485号もまた参照のこと。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。これらの引用はまた、生物学的活性の喪失を伴わずに改変され得る、IFN−βポリペプチドの残基および領域に関する指針を提供する。
本発明の1つの実施形態では、本発明の方法において用いられるIFN−βは、成熟したネイティブなヒトIFN−βポリペプチドである。別の実施形態では、IFN−βは、成熟したIFN−β C17Sポリペプチドである。しかし、本発明は、IFN−βが、本明細書中の他の箇所に記載されたとおりの任意の生物学的に活性なIFN−βポリペプチドまたは改変体である、他の実施形態を包含する。
本発明のいくつかの実施形態において、IFN−βは、組換え産生される。「組換え産生IFN−β」によって、ネイティブIFN−βに相当する生物学的活性を有し、かつ組換えDNA技術によって調製されたIFN−βが意図される。IFN−βは、IFN−βポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって生成され得る。宿主細胞は、ヌクレオチド配列を転写し得、そして所望のタンパク質を生成し、そして原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞)であり得る細胞である。IFN−βの組換え産生の例は、Marnteiら,Nature 297:128,1982;Ohnoら,Nucleic Acids Res.10:967,1982;Smithら,Mol.Cell.Biol.3:2156,1983、ならびに米国特許第4,462,940号、同第5,702,699号、および同第5,814,485号に与えられる(本明細書中に参考として援用される)。
(インターフェロン−α)
用語「INF−α」は、本明細書中で使用される場合、生物学的に活性なヒトα−インターフェロンまたは任意の生物学的に活性なその改変体(時々、当該分野でIFN−α様ポリペプチドと称される)をいう。ヒトαインターフェロンは、少なくとも約14の異なる遺伝子および約16の対立遺伝子によってコードされる、約30タンパク質種のファミリーを含む。このようなIFN−αポリペプチドとしては、IFN−αa、IFN−αB、IFN−αC、IFN−αD、IFN−αH、IFN−αJ、IFN−αJ1、IFN−αJ2、およびIFN−αKが挙げられる。ネイティブヒトIFN−αまたは改変体(天然に存在するもの(例えば、IFN−α遺伝子座で生じる対立遺伝子改変体)であっても組換え産生されたものであっても)は、成熟ネイティブIFN−α配列と類似するかまたは実質的に類似するアミノ酸配列を有する。ヒトIFN−αをコードするDNA配列もまた、当該分野で利用可能である。例えば、Goeddleら,Nature 290:20−26,1981(Genbank登録番号V00551 J00209);Nagataら,Nature 284:3162−320,1980;Bowdenら,Gene 27:87−99,1984(Genbank登録番号NM_000605);およびOharaら,FEBS Letters 211:78−82,1987を参照のこと(これらの全ては本明細書中に参考として援用される)。IFN−αのフラグメントまたはそれらの活性を保持するIFN−αの短縮形態もまた、包含される。IFN−αのこれらの生物学的に活性なフラグメントまたは短縮形態は、当該分野で周知の組換えDNA技術を用いて全長IFN−αアミノ酸配列からアミノ酸残基を除去することによって生成される。IFN−αポリペプチドはさらに、グリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよい。
さらなる変化は、IFN−αをコードするヌクレオチド配列への変異により、IFN−αアミノ酸配列における変化をもたらすことによって、インターフェロンの生物学的活性を変更することなく導入され得る。従って、ヒトIFN−αと異なる配列を有するIFN−α改変体をコードする単離された核酸分子は、1つ以上のヌクレオチドの置換、付加、または欠失を、本明細書中に開示される対応するヌクレオチド配列に導入し、その結果1つ以上のアミノ酸の置換、付加または欠失が、コードされるIFN−αに導入されることにより生成され得る。変異は、標準的な技術により導入され得る。このようなIFN−αの改変体としては、例えば、IFN−α−2a(Roferon−ATM)、IFN−α−2b(Intron ATM)、およびIFN−α con−1(InfergenTM)が挙げられる。本発明の方法において有用な別の改変体は、IFN−α2aであり、これは、例えば、EP43980;Meadaら、PNAS 77:7010,1980;およびLevyら、PNAS 78:6186,1981に開示され;これらは全て本明細書中に参考として援用される。IFN−αのさらなる改変体は、例えば、米国特許第5,676,942号(本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。これらの引用もまた、生物学的活性の損失なしに変更され得る、IFN−αポリペプチドの残基および領域に関する手引きを提供する。
本発明の方法において使用される生物学的に活性なIFN−α改変体はまた、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはアルブミンと共有結合したIFN−αポリペプチドを含む。例えば、米国特許第5,762,923号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
本発明の方法において使用されるIFN−αの生物学的に活性な改変体は、IFN−α活性、特にIFN−αレセプターに結合する能力、または免疫調節活性、抗ウイルス活性、もしくは抗増殖活性を保持しているべきである。いくつかの実施形態において、IFN−α改変体は、ネイティブIFN−αポリペプチドの生物学的活性の少なくとも約25%、好ましくは約50%、そしてより好ましくは約75%以上を保持する。ネイティブIFN−αポリペプチドの活性と比較してその活性が増加しているIFN−α改変体もまた包含される。IFN−α改変体の生物学的活性は、当該分野で公知の任意の方法により測定され得る。このようなアッセイの例は、上に記載される。
本発明のいくつかの実施形態において、IFN−αは、組換え的に産生される。「組換え産生IFN−α」により、ネイティブIFN−αに匹敵する生物学的活性を有し、そして組換えDNA技術により調製されたIFN−αが意図される。IFN−αは、IFN−αポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することにより産生され得る。この宿主細胞は、このヌクレオチド配列を転写し得、そして所望のタンパク質を産生し得る宿主細胞であり、かつ原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞)であり得る細胞である。インターフェロン−cDNAのクローニングおよびその直接的発現(特に、E.coliにおいて)の詳細は、今のところ多くの刊行物の主題である。従って、例えば、組換えインターフェロンの調製は公知である。例えば、Nature 295:503−508,1982;Nature 284:316−320,1980;Nature 290:20−26,1981;Nucleic Acids Res.8:4057−4074,1980、ならびに欧州特許第32134号、同第43980号および211148号を参照のこと。IFN−α−2の組換え産生のさらなる例は、Nagataら、Nature 284:316,1980および欧州特許第32,134号に与えられる。これらの参考文献の全ては、本明細書中に参考として援用される。
(薬学的組成物:インターフェロン)
CNS、脳および/または脊髄におけるインターフェロンの量の治療有効レベルまでの上昇は、治療有効用量のインターフェロンを含む薬学的組成物の投与により得られ得る。「治療有効用量」は、CNS、脳および/または脊髄の関連部分におけるインターフェロンの量を、インターフェロンの所望の生物学的活性を可能にする治療有効レベルまで増加させるという所望の目的を達成するインターフェロンの用量を意図する。
本発明は、嗅神経および/または三叉神経により神経支配された組織に投与する際のCNS、脳および/または脊髄へのインターフェロンの送達のための組成物を使用する。この組成物は、例えば、嗅神経および/または三叉神経により神経支配された組織にインターフェロンを投与するために適切な、任意の薬学的に受容可能な添加剤、キャリアまたはアジュバントを含み得る。好ましくは、薬学的組成物は、CNS、脳および/または脊髄の疾患、障害または損傷の診断、予防または処置において使用され得る。好ましくは、この組成物は、嗅神経および/または三叉神経により神経支配された組織内またはこれらの組織を介するインターフェロンの移動を促進し得る、薬学的キャリア、添加剤、および/またはアジュバントと組み合わせてインターフェロンを含む。あるいは、インターフェロンは、神経細胞損傷部位へのインターフェロンの輸送を補助し得る物質と合わせられ得る。この組成物は、1種または数種のインターフェロンを含み得る。
組成物は、代表的に、薬学的組成物中にインターフェロンと他の成分とを混合した薬学的に受容可能なキャリアを含有する。「薬学的に受容可能なキャリア」によって、インターフェロンの貯蔵、投与、および/または治癒効果を促進するために、当該分野において従来的に使用されるキャリアが意図される。キャリアはまた、インターフェロンの所望されない副作用をいずれも低減する。適切なキャリアは、安定であるべきであり、すなわち、処方物中の他の成分と反応し得ないべきである。キャリアは、処置のために使用される投薬量および濃度で、レシピエントにおいて、有意な局所的有害効果または全身的有害効果を生じないべきである。このようなキャリアは、当該分野において一般的に公知である。
本発明のための適切なキャリアとしては、巨大で安定な高分子に対して従来使用されるキャリアが挙げられ、これらとしては、例えば、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、ポリサッカリド、モノサッカリド、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、不揮発性油、オレイン酸エチル、リポソーム、グルコース、スクロース、ラクトース、マンノース、デキストロース、デキストラン、セルロース、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。
水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールは、特に溶液について、好ましい液体キャリアである。キャリアは、種々の油から選択され得、これらとしては、石油、動物起源、植物起源または合成起源の油(例えば、ピーナツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など)が挙げられる。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、従来の薬学的処理(例えば、滅菌)に供され得、そして従来の薬学的添加物(例えば、保存剤、安定化インターフェロン、湿潤剤、または乳化剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝液など)を含有し得る。
経鼻送達のために処方された組成物は、必要に応じて、臭気剤を含み得る。臭気剤は、インターフェロンと合わされ、芳香感を提供し、そして/または鼻内調製物の吸入を示し、活性インターフェロンの嗅覚感覚上皮への送達を増強する。臭気剤によって提供される芳香感は、快活であるか、不快であるか、またはそうでなければ、悪臭性であり得る。臭気物質レセプターニューロンは、嗅覚上皮に局在化され、これは、ヒトにおいて、鼻腔の上部の数平行cmのみを占める。レセプターを含む嗅覚ニューロン樹状突起の線毛は、かなり長い(約30〜200μm)。10〜30μmの粘液層は、線毛を被覆し、臭気剤は、レセプターに到達するよう貫通しなければならない。Snyderら、J.Biol.Chem.263:13972−13974,1998を参照のこと。臭気物質結合タンパク質(OBP)に対して中程度の親和性から高い親和性を有する親油性臭気剤の使用が、好ましい。OBPは、鼻部分泌において見出される親油性低分子に対して親和性を有し、親油性臭気物質(インターフェロン)の嗅覚レセプターニューロンへの輸送を強化するためのキャリアとして作用し得る。臭気剤は、OBPによるインターフェロンの嗅覚感覚上皮への送達をさらに増強するために、調製物内で親油性添加物(例えば、リポソームおよびミセル)と結合し得る。OBPはまた、親油性薬剤と直接結合し、インターフェロンの嗅覚神経レセプターへの輸送を増強し得る。
OBPに対して高い親和性を有する適切な臭気剤は、テルペノイド(terpanoid)(例えば、セトラルバ(cetralva)およびシトロネロール)、アルデヒド(例えば、アミルシンナムアルデヒドおよびヘキシルシンナムアルデヒド)、エステル(例えば、オクチルイソバレレート)、ジャスミン(例えば、C1S−ジャスミンおよびジャスマル(jasmal))およびジャコウ89が挙げられる。他の適切な臭気剤としては、臭気物質感受性酵素(例えば、アデニル酸シクラーゼおよびグアニル酸シクラーゼを刺激し得る薬剤またはインターフェロンの吸着を増強するように嗅覚系内のイオンチャネルを改変し得る薬剤が挙げられる。
組成物中の他の受容可能な成分としては、等張性を改変する薬学的に受容可能な薬剤(水、塩、糖、ポリオール、アミノ酸、および緩衝液(例えば、ホスフェート、シトレート、スクシネート、アセテート、および他の有機酸またはこれらの塩)が挙げられる)が挙げられるがこれらに限定されない。代表的には、薬学的に受容可能なキャリアは、1つ以上の安定化剤、還元剤、抗酸化剤および/または抗酸化キレート剤もまた含み得る。タンパク質ベースの組成物(特に薬学的組成物)の調製において、緩衝液、安定化剤、還元剤、抗酸化剤およびキレート剤の使用は、当該分野で周知である。Wangら、J.Parent.Drug Assn.34(6):452−462,1980;Wangら、J.Parent.Sci.and Tech.42:S4−S26,1988(補遺);Lachmanら、Drug and Cosmetic Industry 102(1):36−38,40,1968および146−148;Akers,M.J.,J.Parent Sci.and Tech.36(5):222−228,1988;ならびにColowickら、Methods in Enzymology,第XXV巻,第185頁−第188頁,1988を参照のこと。
適切な緩衝液としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩、トリ(ヒドロキシメチルアミノメタン)、コハク酸塩、グリシン、ヒスチジン、種々のアミノ酸の塩など、またはそれらの組み合わせ。Wang(1980)前出(455頁)を参照のこと。適切な塩および等張化剤(isotonicifiers)としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、スクロース、トレハロースなどが挙げられる。キャリアが液体である場合、このキャリアは、経口流体、結膜流体、または皮膚流体と低張性または等張性であり、4.5〜8.5の範囲内のpHを有することが好ましい。キャリアが粉末化した形態である場合、このキャリアはまた、受容可能な非毒性のpH範囲内であることが好ましい。
適切な還元剤(これは、還元型システインの還元を維持する)としては、ジチオトレイトール(DTT;Cleland試薬としても知られる)またはジチオエリトリトール(0.01%〜0.1% wt/wt);アセチルシステインまたはシステイン(0.1%〜0.5%、pH2〜3);ならびにチオグリセロール(0.1%〜0.5%、pH3.5〜7.0);ならびにグルタチオンが挙げられる。Akers(1988)前出(225〜226頁)を参照のこと。適切な抗酸化剤としては、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(sodium formaldehyde sulfoxylate)、およびアスコルビン酸が挙げられる。Akers(1988)前出(225頁)を参照のこと。適切なキレート剤(これは、還元型システインの微量金属触媒酸化を防ぐために微量金属をキレート化する)としては、クエン酸塩、酒石酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(その二ナトリウム塩、四ナトリウム塩、およびカルシウム二ナトリウム塩)、およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。例えば、Wang(1980)前出(457〜458頁および460〜461頁)、ならびにAkers(1988)前出(224〜227頁)を参照のこと。
組成物は、1つ以上の保存剤(例えば、フェノール、クレゾール、p−アミノ安息香酸、BDSA、ソルビトレート、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウムなどを含み得る。適切な安定化剤としては、炭水化物(例えば、トレハロースまたはグリセロール)が挙げられる。組成物は、安定化剤(例えば、1つ以上の微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、スクロース(例えば、組成物の物理学的形態を安定化するため);および1つ以上のグリシン、アルギニン、加水分解コラーゲン、またはプロテアーゼインヒビター(例えば、組成物の化学的構造を安定化するため)を含み得る。適切な懸濁添加剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギネート、コンドロイチン硫酸、デキストラン、マルトデキストリン、デキストラン硫酸などが挙げられる。組成物は、乳化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プルロニック、トリオレイン、ダイズ油、レシチン、スクアレンおよびスクアレン類、ソルビタントリオレエート(sorbitan treioleate))を含み得る。組成物は、抗微生物剤(例えば、フェニルエチルアルコール、フェノール、クレゾール、塩化ベンズアルコニウム、フェノキシエタノール、クロルヘキシジン、チメロゾールなど)を含み得る。適切な増粘剤としては、天然多糖(例えば、マンナン、アラビナン、アルギネート、ヒアルロン酸、デキストロースなど);および合成物(例えば、低分子量およびインターフェロンを懸濁する上述のPEGヒドロゲル)が挙げられる。
組成物は、アジュバント(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、BDSA、コレート、デオキシコレート、ポリソルベート20および80、フシジン酸など、およびDNA送達の場合、好ましくは、カチオン性脂質)を含み得る。適切な糖としては、グリセロール、トレオース、グルコース、ガラクトース、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。適切なタンパク質は、ヒト血清アルブミンである。
好ましい組成物は、以下の1つ以上を含む:可溶化増強添加剤(好ましくは、シクロデキストリン);親水性添加剤(好ましくは、単糖またはオリゴ糖);吸収促進添加剤(好ましくは、コレート、デオキシコレート、フシジン酸、またはキトサン);カチオン性界面活性剤(好ましくは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド);粘度増強添加剤(好ましくは、投与部位での組成物の滞留時間を促進する)(好ましくは、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、アルギン酸、ヒアルロン酸、またはコンドロイチン硫酸);または徐放性マトリックス(好ましくは、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ヒドロゲル、粒状緩慢放出デポシステム(slow release depo system)(好ましくは、ポリラクチド−co−グリコリド(PLG))、デポ泡状物(depo foam)、デンプンミクロスフェア、またはセルロース誘導経頬システム);脂質ベースのキャリア(好ましくは、エマルジョン、リポソーム、ニオソーム(niosome)またはミセル)。組成物は、二重層脱安定化添加剤(好ましくは、ホスファチジルエタノールアミン);膜融合添加剤(fusogenic additive)(好ましくは、コレステロールヘミスクシネート)を含み得る。
舌下投与のための他の好ましい組成物は、例えば、生体接着剤(舌下にインターフェロンを保持するため);舌下に適用されるスプレー、ペイント、または塗薬用スポンジ(swab)を含み;緩慢に溶解するピルまたはロゼンジを舌下に保持するなどである。経皮投与のための他の好ましい組成物は、生体接着剤(皮膚上または中にインターフェロンを保持するため);皮膚に適用されるスプレー、ペイント、化粧用品または塗薬用スポンジなどを含む。
これらのキャリアおよび添加剤のリストは、決して完全なものではなく、当業者は、薬学的調製物において可能である化学物質ならびに局所処方物および非経口処方物において現在可能である化学物質のGRAS(一般に安全であるとみなされる)リストから賦型剤を選択し得る。
本発明の目的のために、インターフェロンを含む薬学的組成物は、単位投薬量で、および溶液、懸濁液、またはエマルジョンのような形態で処方され得る。インターフェロンは、三叉および/または嗅覚ニューロンによって神経支配される組織に、粉末、顆粒、溶液、クリーム、スプレー(例えば、エアロゾル)、ゲル、軟膏、注入、注射、点滴、または徐放性組成物(例えば、ポリマーディスク)として、投与され得る。経頬投与のために、組成物は、従来様式で処方される錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。眼または他の外部組織(例えば、口および皮膚)への投与のために、組成物は、局所軟膏またはクリームとして患者の身体の感染部に適用され得る。化合物は、軟膏(例えば、水溶性軟膏基剤と共に)中またはクリーム(例えば、水中油クリーム基剤と共に)中に存在し得る。結膜適用のために、インターフェロンは、生物分解性または非分解性眼内挿入物で投与され得る。薬物は、マトリックス侵食によって、またはエチレン酢酸ビニルポリマー挿入物におけるように孔を通じて受動的に放出され得る。他の粘膜投与(例えば、舌下)のために、粉末ディスクは、舌下に配置され得る。
投与のための組成物の他の好ましい形態としては、粒状物の懸濁液(例えば、エマルジョン)、リポソーム、インターフェロンを緩慢に放出する挿入物などが挙げられる。薬学的組成物の粉末形態または顆粒形態は、溶液と、および希釈、分散、または界面活性のインターフェロンと合わされ得る。投与のためのさらなる好ましい組成物は、生物接着剤(投与部位にインターフェロンを保持するため);粘膜または上皮に適用されるスプレー、ペイントまたは塗薬用スポンジ;緩慢に溶解するピルまたはロゼンジなどを含む。組成物はまた、凍結乾燥粉末の形態(これは、投与前に溶液、懸濁液、またはエマルジョンに変換され得る)であり得る。インターフェロンを含む薬学的組成物は、好ましくは、膜濾過によって滅菌され、そして単位用量容器または多用量容器(例えば、密封バイアルまたはアンプル)中に貯蔵される。
薬学的組成物を処方するための方法は、一般的に当該分野で公知である。薬学的に受容可能なキャリア、安定剤および等浸透圧電解質(isomolyte)の処方および選択の徹底的な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)(本明細書中で参考として援用される)に見出され得る。
インターフェロンはまた、処置された哺乳動物における薬学的に活性なインターフェロンの存在を延長するために(一般的に1日よりも長い間にわたる)、徐放形態で処方され得る。徐放性処方物の調製の多くの方法は、当該分野で公知であり、そしてRemington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)(本明細書中で参考として援用される)に開示される。
一般的に、インターフェロンは、固体疎水性ポリマーの半透性マトリクス中に封入され得る。マトリクスは、フィルムまたはマイクロカプセルに成形され得る。このようなマトリクスの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリエステル、L−グルタミン酸とγエチルL−グルタミメートとのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556,1983)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号およびEP 58,481)、ポリラクテートポリグリコレート(PLGA)(例えば、ポリラクチド−co−グリコリド)(例えば、米国特許第4,767,628号および同第5,654,008号を参照のこと)、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277,1981;Langer,Chem.Tech,12:98−105,1982を参照のこと)、非分解性エチレン−酢酸ビニル(例えば、エチレン酢酸ビニルディスクおよびポリ(エチレン−co−ビニル酢酸))、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(例えば、Lupron DepotTM、ポリ−D−(−)−3−ヒドロ酪酸(EP 133,988)、ヒアルロン酸ゲル(例えば、米国特許第4,636,524号を参照のこと)、アルギン酸懸濁液など)。
適切なマイクロカプセルとしてはまた、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンメイクロカプセルおよびコアセルベーション技術または界面重合によって調製されたポリメチルメタクリレートマイクロカプセルが挙げられ得る。「Method for Producing Sustained−release Formulations」との表題のPCT公開WO 99/24061(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。ここで、タンパク質は、PLGAミクロスフェア中にカプセル化される。さらに、マイクロエマルジョンまたはコロイド薬物送達システム(例えば、リポソームおよびアルブミンミクロスフェア)がまた使用され得る。Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company Co.,Eaton,Pennsylvania,1990)を参照のこと。他の好ましい徐放性組成物は、生体接着剤(bioadhesive)を使用して、投与部位でインターフェロンを保持する。
薬学的組成物中のインターフェロンと組み合せられ得る任意の基質の中には、CNS中の損傷した神経細胞への、鼻腔の粘膜または上皮を介した、あるいは神経経路、リンパ経路または脈管周囲経路に沿った、インターフェロンの吸収を増強し得る親油性物質がある。インターフェロンは、単独の、もしくはキャリアと組み合せた親油性アジュバントと混合され得るか、または1つまたはいくつかの型のミセルまたはリポソーム物質と合わせられ得る。好ましい親油性物質の中には、カチオン性リポソームがあり、以下の1つ以上を含む;ホスファチジルコリン、リポフェクチン、脂質−ペプトイド結合体、合成リン脂質(例えば、ホスファチジルリジン)など。これらのリポソームとしては、他の親油性物質(例えば、ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS))が挙げられ得る。ミセル添加物(例えば、GM−1ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS))もまた好ましく、これらは、単独でか、または組み合せてインターフェロンと混合され得る。GM−1ガングリオシドは、任意のリポソーム組成物中で1〜10モル%またはミセル構造体においてより高い量で含まれ得る。タンパク質インターフェロンは、特定の構造体中にカプセル化され得るか、または活性インターフェロンの疎水性に依存して、構造体の疎水性部分の一部として取り込まれ得る。
1つの好ましいリポソーム処方物は、Depofoamを使用する。インターフェロンは、「High and Low Load Formulations of IGF−I in Multivesicular Liposomes」との表題のWO公開99/12522(本明細書中で参考として援用される)に開示されるように、多小胞リポソーム中にカプセル化され得る。投与部位でのインターフェロンの平均残留時間は、Depofoam組成物を用いて延長され得る。
(インターフェロンの投与)
用量あたりに投与されるインターフェロンの全量は、生物学的に適切な量(すなわち、治療効果を生成するの十分な量)のインターフェロンを送達するのに十分な範囲内にあるべきである。単位用量のインターフェロンを有する薬学的組成物は、溶液、懸濁液、エマルションまたは徐放性処方物の形態であり得る。単回用量の薬学的組成物の全容量は、例えば、鼻投与について、約10μl〜約100μlの範囲であり得る。適切な容量が、因子(例えば、インターフェロンが投与される組織の大きさおよび組成物中の成分の溶解度)に伴って変化し得ることが明らかである。
特定の組織に単位用量として投与されるインターフェロンの全量は、投与される薬学的組成物の型(すなわち、組成物が、どのような形態(例えば、溶液、懸濁液、エマルションまたは徐放性処方物)であるか)に依存することが認識される。例えば、治療有効量のインターフェロンを含む薬学的組成物が徐放性処方物である場合、インターフェロンは、より高い濃度で投与される。三叉神経によって神経支配された鼻外(extranasal)組織への針なし(needle−free)の皮下投与は、粉末または微粒子として処方される薬剤を皮膚へと加速するための動力として超音波ガスジェットを使用するデバイスの使用によって達成され得る。このような送達方法の特徴は、粒子の特性、薬剤の処方および送達デバイスの気体力学によって決定される。同様に、水性組成物の皮下送達は、針なし様式で、皮膚に浸透し得る強力(high force)ジェットの流体を生成するガス発生動力付き携帯型デバイス(gas−spring powered hand held device)を使用することによって、達成され得る。あるいは、組成物の徐放性を媒介するように処方された皮膚パッチが、三叉神経によって神経支配された組織に神経調節薬剤の経皮送達のために使用され得る。薬学的組成物が治療有効量の試薬または薬剤の組み合せを含む場合、徐放性処方物において、薬剤は、より高い濃度で投与される。
改変体が、本発明のこの実施形態におけるインターフェロンの治療有効用量および投与頻度に関して受け入れられ得ることが当業者に明らかなはずである。投与されるインターフェロンの量は、投与頻度と負に相関している。それゆえ、単回投与用量におけるインターフェロンの濃度の増大、または徐放形態のインターフェロンの場合、平均滞留時間の増大は一般に、投与頻度の減少と結びつく。
本発明の実施において、インターフェロンの治療有効用量およびその投与頻度を決定する際に、さらなる要因が考慮されるべきである。このような要因としては、例えば、組織のサイズ、組織の表面積、疾患または障害の重篤度、ならびに処置されるべき個体の年齢、身長、体重、健康、および身体状態が挙げられる。一般に、組織がより大きいか、または疾患もしくは障害がより重篤である場合、より多い投薬量が好ましい。
いくつかのマイナーな程度の実験は、最も有効な用量および投与頻度を決定するために必要とされ得、これは、本開示が一旦認識されれば、充分に当業者の能力内にある。
ヒトにおけるCNSの障害(神経学的障害、ウイルス障害、増殖障害または免疫調節障害を包含する)の処置について、インターフェロンの治療有効量または治療有効用量は、脳の重量1kgあたり約0.14nmol〜脳の重量1kgあたり約138nmolおよび脳の重量1kgあたり約0.14nmol〜脳の重量1kgあたり約69nmolである。いくつかのレジメンでは、インターフェロンの投与のための治療有効用量としては、脳の重量1kgあたり約0.13〜140nmol/kgが挙げられる。ヒトにおけるCNSの障害(神経学的障害、ウイルス障害、増殖障害または免疫調節障害を包含する)の処置について、IFN−βまたはその生物学的に活性な改変体の治療有効量または治療有効用量は、脳の重量1kgあたり約0.14nmol〜脳の重量1kgあたり約138nmolおよび脳の重量1kgあたり約0.14nmol〜脳の重量1kgあたり約69nmol/kgである。いくつかのレジメンでは、IFN−βの投与についての治療有効用量としては、脳の重量1kgあたり約0.13〜140nmolが挙げられる。
ヒトに対するインターフェロンの治療有効量または治療有効用量は、免疫応答および炎症応答によって特徴付けられる障害または疾患(すなわち、リンパ球による急性または慢性の炎症および/または浸潤をもたらす疾患)の処置または予防のために、このインターフェロンが鼻リンパ管を介して頭部および頸部の種々の組織へと投与される場合、低減され得ることがさらに認識される。これらの実施形態では、インターフェロンは、上記で提供される投薬量範囲で投与され得るが、このインターフェロンはまた、脳の重量1kgあたり約0.02〜約138pmolで投与され得る。あるいは、このインターフェロンは、脳の重量1kgあたり約0.02〜140pmolで投与され得る。同様に、このインターフェロンがIFN−βである場合、その投薬量範囲はまた、脳の重量1kgあたり約0.02〜140pmolであり得る。あるいは、そのインターフェロンは、脳の重量1kgあたり約0.02〜140pmolで投与され得る。
これらの用量は、このインターフェロンがCNSまたはリンパ系に輸送される効率を含む因子に依存する。より多量の総用量は、その薬剤の複数の投与によって送達され得る。
(間欠的投薬)
本発明の別の実施形態では、治療有効用量のインターフェロンを含む薬学的組成物は、間欠的に投与される。「間欠的投与」によって、治療有効用量のインターフェロンの投与、続いて中断期間、これに続いて治療有効用量の別の投与などが意図される。治療有効用量の投与は、例えば、徐放処方物として、連続様式で達成され得るか、またはこれは、例えば、1日あたり1回、2回、3回もしくはより多くの投与として、所望の日投薬量レジメンに従って達成され得る。「中断期間」によって、インターフェロンの連続した徐放投与または毎日の投与の中断が意図される。中断期間は、連続した徐放投与または毎日の投与の期間よりも長くても、またはそれよりも短くてもよい。中断期間の間、関連組織中でのインターフェロンレベルは、処置の間に得られる最大レベルよりも相当下である。中断期間の好ましい長さは、用いられるインターフェロンの有効な用量の濃度および形態に依存する。中断期間は、少なくとも2日間、好ましくは少なくとも4日間、より好ましくは少なくとも1週間であり得、そして一般に、4週間の期間を超えない。徐放処方物が用いられる場合、中断期間は、傷害部位でのインターフェロンのより長い滞留時間に起因して、延長されなければならない。あるいは、有効用量の徐放性処方物の投与頻度は、それに応じて低減され得る。インターフェロンの投与の間欠的スケジュールは、所望の治療効果、最終的には疾患または傷害の処置が達成されるまで、継続し得る。
なお別の実施形態では、治療有効用量のインターフェロンの間欠的投与は、周期的である。「周期的」によって、約1ヶ月から約2〜6ヶ月までの範囲の周期の、投与の中断を伴う間欠的投与が意図される。例えば、投与スケジュールは、有効用量のインターフェロンの間欠的投与であり得、ここで、単回の短期用量が1週間に1回、4週間にわたって与えられ、続いて間欠的投与における3ヶ月間の中断があり、そして単回の短期用量が1週間に1回、4週間にわたって与えられる投与による間欠的投与があり、続いて間欠的投与における2ヶ月間の中断がある、などである。別の例として、単回の短期用量が1週間に1回、2週間にわたって与えられ得、続いて間欠的投与における1ヶ月間の中断があり得、続いて単回の短期用量が1週間に1回、2週間にわたって与えられ得、続いて間欠的投与における1ヶ月間の中断があり得る、などである。被験体へのインターフェロンの周期的な間欠的投与スケジュールは、所望の治療効果、そして最終的には障害または疾患の処置が達成されるまで継続され得る。
(ニューロン輸送)
本発明の方法の1つの実施形態は、このインターフェロンが神経経路に沿ってリンパ系、涙腺、CNS、脳および/または脊髄へと輸送されるような様式での、被験体へのこのインターフェロンの投与を包含する。神経経路としては、ニューロン内もしくはニューロンに沿った輸送、ニューロンに沿って走るリンパ管を通したもしくはこのリンパ管による輸送、ニューロンもしくは神経経路とともに走る血管の脈管周囲空間を通したもしくはこの脈管周囲空間による輸送、ニューロンもしくは神経経路とともに走る血管の外膜を通したもしくはこの外膜による輸送、または血管リンパ(hemangiolymphatic)系を通した輸送が挙げられる。本発明は、血流から脳への血液脳関門を通ることができないかまたはわずかにしか通れないインターフェロンが、リンパ系、CNS、脳および/または脊髄へと送達され得るように、循環器系を通してよりも、神経経路によるインターフェロンの輸送を好む。このインターフェロンは、血液脳関門を一旦通過してCNS中に入ると、リンパチャネルを通して、脈管周囲空間を通して、またはニューロンを通したもしくはニューロンに沿った輸送によって、脳または脊髄の種々の領域に送達され得る。1つの実施形態では、このインターフェロンは好ましくは、このインターフェロンについてのレセプターまたは結合部位を最大密度で有する領域に蓄積する。
インターフェロンを、リンパ系、涙腺、脳、脊髄、または中枢神経系の他の構成要素に輸送するための神経経路の使用は、血液脳関門によって提示される障害を取り除き、その結果、通常はこの関門を横断し得ない医薬が、脳、小脳、脳幹、または脊髄に直接送達され得る。投与されるインターフェロンは、血流および神経経路に吸収され得るが、インターフェロンは、好ましくは、全身には最少の影響を与える。さらに、本発明は、より濃縮されたレベルのインターフェロンの、神経細胞への送達を提供し得る。なぜなら、インターフェロンが、血流中に存在する流体中で希釈されないからである。従って、本発明は、リンパ系、CNS、脳、および/または脊髄にインターフェロンを送達するための、改善された方法を提供する。
(嗅覚神経経路)
本発明の方法の1つの実施形態は、インターフェロンがCNS、脳、および/または脊髄に、嗅覚神経経路に沿って輸送されるような様式での、被験体へのインターフェロンの送達を包含する。代表的に、このような実施形態は、インターフェロンを、嗅覚神経によって神経支配される組織へと、そして鼻腔の内側へと投与する工程を包含する。嗅覚神経経路は、上記のように、主として、鼻腔の上方3分の1の嗅上皮を支配する。嗅覚神経によって神経支配される組織への、インターフェロンの適用は、このインターフェロンを、CNS、脳および/または脊髄の、損傷したニューロンまたは細胞へと送達し得る。嗅覚ニューロンは、この組織を神経支配し、そしてCNS、脳、および/または脊髄の直接の連結を提供し得る(嗅覚ニューロンの、嗅覚における役割に起因すると考えられる)。
嗅覚神経経路を介する送達は、嗅覚神経と共に種々の脳領域に移動し、そしてそこから、CNSの一部(例えば、脊髄)に関連する硬膜リンパ管へと移動する、リンパ管を使用し得る。嗅覚神経に沿った輸送はまた、インターフェロンを、嗅球へと送達し得る。脈管周囲経路および/または血管リンパ管経路(例えば、大脳の血管の外膜内に延びるリンパチャネル)は、嗅覚神経によって神経支配される組織からの、脳および脊髄への治療用インターフェロンの輸送のための、さらなる機構を提供し得る。
インターフェロンは、例えば、嗅上皮を介して、嗅覚神経に投与され得る。このような投与は、細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン)の、前進性および逆行性の、嗅覚神経を通って入るインターフェロンの、脳およびその髄膜へ、脳幹へ、または脊髄への輸送を使用し得る。一旦、インターフェロンが、嗅覚神経によって神経支配される組織の内部または表面に分配されると、このインターフェロンは、この組織を通して輸送され得、そして嗅覚ニューロンに沿って、脳幹、大脳、脊髄、嗅球、ならびに皮質構造体および皮質下構造体を含むCNSの領域へと移動し得る。
嗅覚神経経路を介する送達は、インターフェロンの、粘膜または上皮の内部もしくはこれらを横切る、嗅覚神経内への移動、または嗅覚神経と共に脳に移動し、そしてそこからCNSの一部(例えば、脊髄)に関連する髄膜リンパへと移動する、リンパ管、血管周囲空間、血管外膜、もしくは血管リンパ管内への移動を使用し得る。血管リンパ管は、血管の外側の血管の周りのリンパチャネルを含む。これはまた、血管リンパ系をいう。血管リンパ管へのインターフェロンの導入は、血液中へのインターフェロンの導入を必ずしも必要としない。
(三叉神経経路)
本発明の方法の1つの実施形態は、インターフェロンがCNS、脳、および/または脊髄に、三叉神経経路に沿って輸送されるような様式での、被験体へのインターフェロンの送達を包含する。代表的に、このような実施形態は、インターフェロンを、三叉神経によって神経支配される組織(鼻腔の内側および外側が挙げられる)へと投与する工程を包含する。三叉神経経路は、上記のように、頭部および顔面の種々の組織を支配する。特に、三叉神経は、鼻、洞様毛細血管、口腔および結膜の粘膜または上皮、ならびに顔面の皮膚を神経支配する。三叉神経によって神経支配される組織への、インターフェロンの適用は、このインターフェロンを、CNS、脳および/または脊髄の、損傷したニューロンまたは細胞へ、リンパ系の細胞へと送達し得る。三叉ニューロンは、これらの組織を神経支配し、そしてCNS、脳、および/または脊髄への直接の連結を提供し得る(三叉ニューロンの、通常の化学的な感覚(機械的な感覚、温度の感覚、および侵害受容(例えば、熱種および有害化学物質の検出)が挙げられる)における役割に起因すると考えられる)。
三叉神経経路を介する送達は、三叉神経と共に、橋および他の脳領域に移動し、そしてそこから、CNSの一部(例えば、脊髄)に関連する硬膜リンパ管へと移動する、リンパ管を使用し得る。三叉神経に沿った輸送はまた、インターフェロンを、嗅球へと送達し得る。脈管周囲経路および/または血管リンパ管経路(例えば、大脳の血管の外膜内に延びるリンパチャネル)は、三叉神経によって神経支配される組織からの、脊髄への治療用インターフェロンの輸送のための、さらなる機構を提供し得る。
三叉神経は、大きい直径の軸索(これは、機械的感覚(例えば、接触)を媒介する)および小さい直径の軸索(これは、疼痛および温度の感覚を媒介する)を含み、これらの両方の細胞体は、中脳の半月形(または三叉)の神経節または中脳の三叉神経核に位置する。三叉神経の特定の部分は、鼻孔、口腔および結膜の粘膜および/または上皮に延びる。三叉神経の他の部分は、顔面の皮膚、額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側面、上唇、頬、頤、頭皮および歯に延びる。三叉神経の個々の線維は、大きな束に集まり、脳の下を通って橋の腹側の面に入る。インターフェロンは、例えば、鼻孔、口腔、舌、および/または硬膜の粘膜および/または上皮を介してあるいは顔面、額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側部、上唇、頬、頤、頭皮および歯の皮膚を介して、三叉神経に投与され得る。このような投与は、細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン)の、前進性および逆行性の、三叉神経を通って入るインターフェロンの、脳およびその髄膜へ、脳幹へ、または脊髄への輸送を使用し得る。一旦、インターフェロンが、三叉神経によって神経支配される組織の内部または表面に分配されると、このインターフェロンは、この組織を通して輸送され得、そして三叉ニューロンに沿って、脳幹、大脳、脊髄、嗅球、ならびに皮質構造体および皮質下構造体を含むCNSの領域へと移動し得る。
三叉神経経路を介する送達は、皮膚、粘膜、または上皮を横切って、三叉神経中へかまたはリンパ管、血管周囲の空間、血管外膜、もしくは血管リンパ管(blood vessel lymphatic)中へのインターフェロンの移動を利用し得、この送達は、橋に繋がりかつ橋から髄膜リンパ管に繋がる三叉神経と同じ方向に移動する。この髄膜リンパ管は、脊髄のようなCNSの一部と結合している。血管リンパ管は、血管の外側の血管周囲にあるリンパチャネルを含む。これはまた、血管リンパ系(hemangiolymphatic system)と呼ばれる。インターフェロンの、血管リンパ管中への導入は、必ずしもインターフェロンの血液中への導入ではない。
(神経経路および経鼻投与)
1つの実施形態において、本発明の方法は、鼻腔への投与後に、神経経路(例えば、三叉神経経路または嗅覚神経経路)による送達を利用し得る。鼻腔への投与の際に、三叉神経経路を介する送達は、鼻粘膜および/または上皮を介して、三叉神経またはこの神経と同じ方向に移動する、血管周囲および/もしくはリンパ性チャネルに到達するインターフェロンの移動を利用し得る。鼻腔への投与の際に、嗅覚神経経路を介する送達は、鼻粘膜および/もしくは上皮を介して嗅覚神経またはこの神経と同じ方向に移動する、血管周囲および/もしくはリンパ性チャネルに到達する、インターフェロンの移動を利用し得る。
例えば、このインターフェロンは、細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン性)に、順行性および逆行性で、三叉神経および/もしくは嗅覚神経中へかまたは三叉神経および/もしくは嗅覚神経に沿って、脳、脳幹または脊髄へ到達する輸送を利用する様式で、鼻腔に投与され得る。一旦、インターフェロンが、三叉神経ならびに/または嗅覚神経によって神経支配される鼻粘膜および/もしくは上皮中または鼻粘膜および/もしくは上皮上に分配されると、このインターフェロンは、鼻粘膜および/または上皮を介して輸送し、そして三叉神経および/または嗅覚神経に沿って、脳幹、小脳、脊髄、嗅球ならびに皮質構造および皮質下構造を含むCNS領域中へ移動し得る。あるいは、鼻腔への投与は、血管周辺の空間またはリンパ管中へのインターフェロンの送達をもたらし得、この送達は、橋、嗅球、および他の脳領域に繋がりかつそこから髄膜リンパ管に繋がる三叉神経および/または嗅覚神経と同じ方向に移動する。この髄膜リンパ管は、脊髄のようなCNSの一部と結合している。三叉神経および/または嗅覚神経に沿っての輸送はまた、鼻腔に投与されるインターフェロンを、嗅球、中脳、間脳、髄質、および小脳へ送達し得る。鼻腔に投与されるインターフェロンは、脳の腹側硬膜に進入し得、そして硬膜内のリンパ性チャネル中を移動し得る。
さらに、本発明の方法は、血管周囲の経路および/または血液芽リンパ経路(例えば、大脳血管の外膜内を走るリンパ性チャネル)を使用して、インターフェロンの鼻粘膜および/または上皮から脊髄への輸送のためのさらなる機構を提供する方法で実施され得る。血液芽リンパ経路によって輸送されるインターフェロンは、必ずしも循環に進入しない。ウィリス輪と結合している血管リンパ管ならびに三叉神経および/または嗅覚神経に続く血管もまた、インターフェロンの輸送に関与し得る。
神経経路を利用する鼻腔への投与は、インターフェロンを、リンパ系、脳幹、小脳、脊髄、および皮質構造および皮質下構造へ送達し得る。単独のインターフェロンは、CNS、脳、および/または脊髄中へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリアまたは他の移動促進因子が、インターフェロンの、三叉神経経路および/または嗅覚神経経路中への、ならびに三叉神経経路および/または嗅覚神経経路に沿っての移動を補助し得る。治療インターフェロンの鼻腔への投与は、鼻粘膜および/または上皮から輸送系を通って、脳および脊髄へ、血液脳関門をバイパスし得る。
(神経経路および経皮投与)
1つの実施形態において、本発明の方法は、経皮投与後に、神経経路(例えば、三叉神経経路)による送達を利用し得る。経皮投与の際に、三叉神経経路を介する送達は、皮膚を通って三叉神経またはこの神経と同じ方向に移動する血管周辺および/もしくはリンパ性チャネルに到達する、インターフェロンの移動を利用し得る。
例えば、このインターフェロンは、細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン性)に、順行性および逆行性で、三叉神経へそして三叉神経に沿って、脳、脳幹または脊髄へ到達する輸送を利用する様式で、鼻腔に投与され得る。一旦、インターフェロンが、三叉神経によって神経支配される皮膚中または皮膚上に分配されると、このインターフェロンは、皮膚を介して輸送し、そして三叉神経に沿って、脳幹、小脳、脊髄、嗅球ならびに皮質構造および皮質下構造を含むCNS領域中へ移動し得る。あるいは、経皮投与は、血管周辺の空間またはリンパ管中へのインターフェロンの送達をもたらし得、この送達は、橋、嗅球、および他の脳領域に繋がりかつこれらから髄膜リンパ管に繋がる三叉神経と同じ方向に移動する。この髄膜リンパ管は、脊髄のようなCNSの一部と結合している。三叉神経に沿っての輸送はまた、経皮投与されるインターフェロンを、嗅球、中脳、間脳、髄質、および小脳へ送達し得る。三叉神経の篩骨分枝は、篩状領域に侵入する。経皮投与されるインターフェロンは、脳の腹側硬膜に進入し得、そして硬膜内のリンパ性チャネル中を移動し得る。
さらに、本発明の方法は、血管周囲の経路および/または血液芽リンパ経路(例えば、大脳血管の外膜内を走るリンパ性チャネル)を使用して、インターフェロンの皮膚から脊髄への輸送のためのさらなる機構を提供する方法で実施され得る。血液芽リンパ経路によって輸送されるインターフェロンは、必ずしも循環に進入しない。ウィリス輪と結合している血管リンパ管ならびに三叉神経に続く血管もまた、インターフェロンの輸送に関与し得る。
神経経路を利用する経皮投与は、インターフェロンを、脳幹、小脳、脊髄、および皮質構造および皮質下構造へ送達し得る。単独のインターフェロンは、CNS、脳、および/または脊髄中へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリアまたは他の移動促進因子が、インターフェロンの、三叉神経経路中へ、および三叉神経経路に沿っての移動を補助し得る。治療インターフェロンの経皮投与は、皮膚から輸送系を通って、脳および脊髄へ、血液脳関門をバイパスし得る。
(神経経路および舌下投与)
別の実施形態において、本発明の方法は、舌下投与後に、神経経路(例えば、三叉神経経路)による送達を利用し得る。舌下投与の際に、三叉神経経路を介する送達は、舌下から舌の上皮を横切って、三叉神経またはこの神経と同じ方向に移動する血管周辺および/もしくはリンパ性チャネルに到達する、インターフェロンの移動を利用し得る。
例えば、インターフェロンは、口腔粘膜を通る細胞外または細胞内(例えば、経神経)での前方および後方輸送を使用する様式で、舌下投与され得、その後、三叉神経中に入って三叉神経に沿って脳、脳幹、または脊髄に到達し得る。一旦インターフェロンが舌下投与されると、そのインターフェロンは、CNSの領域(脳幹、脊髄、ならびに皮質構造および皮質下構造を含む)への三叉ニューロンの末梢プロセスによって、口腔粘膜を通って輸送し得る。あるいは、舌下投与は、リンパ管へのインターフェロン送達をもたらし得、そのリンパ管は、三叉神経とともに橋および他の脳領域へと伝わり、そこからCNSの一部(例えば、脊髄)に関係する髄膜リンパ管へと進む。三叉神経に沿った輸送はまた、舌下投与されたインターフェロンを、臭球、中脳、間脳、髄質、および小脳に送達し得る。三叉神経の篩骨枝は、篩状領域に入る。舌下投与されたインターフェロンは、腹側脳硬膜に入り得、そして硬膜内のリンパ管中を伝わり得る。
さらに、本発明の方法は、血管リンパ管経路(例えば、大脳血管の外膜内を通るリンパ管)を使用する様式で実行され得、口腔粘膜下組織から脊髄へのインターフェロン輸送のためのさらなる機構を提供し得る。血管リンパ管経路により輸送されるインターフェロンは、必ずしも循環に入らない。ウィルムス環と関係がある血管リンパ管、および三叉神経に従う血管もまた、インターフェロンの輸送に関与し得る。
神経経路を使用する舌下投与は、脳幹、小脳、脊髄、ならびに皮質構造および皮質下構造へとインターフェロンを送達し得る。インターフェロン単独は、CNS、脳、および/または脊髄へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリアまたは他の輸送促進因子が、三叉神経経路中および三叉神経に沿うインターフェロンの輸送を補助し得る。治療用インターフェロンの舌下投与は、口腔粘膜から脳および脊髄への輸送系を通って、血管脳関門を迂回し得る。
(神経経路および結膜投与)
別の実施形態において、本発明の方法は、結膜投与後の神経経路(例えば、三叉神経経路)による送達を使用し得る。結膜投与の際、三叉神経経路を介する送達は、結膜から結膜上皮を通って三叉神経またはこの神経とともに進むリンパ管に到るインターフェロンの移動を使用し得る。
例えば、このインターフェロンは、結膜粘膜を通りその後三叉神経中に入って三叉神経に沿って脳、脳幹、または脊髄に到達し得る、細胞外または細胞内(例えば、経神経)での前方および後方の輸送を使用する様式で結膜投与され得る。一旦インターフェロンを結膜投与すると、インターフェロンは、CNS領域(脳幹、脊髄、ならびに皮質構造および皮質下構造を含む)中への三叉神経の末梢プロセスによって、結膜粘膜を通って輸送し得る。あるいは、結膜投与は、三叉神経とともに橋および他の脳領域へと進むリンパ管へのインターフェロンの送達をもたらし得、そしてそこからCNSの一部(例えば、脊髄)に関係する髄膜リンパ管への送達をもたらし得る。三叉神経に沿った輸送はまた、結膜投与されたインターフェロンを、臭球、中脳、間脳、髄質および小脳へと送達し得る。三叉神経の篩骨枝は、篩状領域に入る。結膜投与されたインターフェロンは、腹側脳硬膜に入り得、そして硬膜内のリンパ管中を進み得る。
さらに、本発明の方法は、血管リンパ管経路(例えば、大脳血管の外膜内を通るリンパ管)を使用する様式で、実行され得、結膜粘膜下から脊髄へのインターフェロンの輸送のためのさらなる機構を提供し得る。血管リンパ管経路により輸送されるインターフェロンは、必ずしも循環には入らない。ウィルムス環に関係する血管リンパ管および三叉神経に従う血管もまた、インターフェロンの輸送に関与しうる。
神経経路を使用する結膜投与は、脳幹、小脳、脊髄、ならびに皮質構造および皮質下構造にインターフェロンを送達し得る。インターフェロン単独で、CNS、脳、および/または脊髄中へのこの移動を促進し得る。あるいは、キャリアまたは他の輸送促進因子が、三叉神経経路中および三叉神経経路に沿うインターフェロンの輸送を補助し得る。治療用インターフェロンの結膜投与は、結膜粘膜から脳および脊髄への輸送系を通って、血管脳関門を迂回し得る。
(薬学的組成物:抗CD40抗体)
本発明の抗CD40抗体は、本明細書中に考察されるインターフェロン治療も受けている患者において、B細胞媒介疾患または他の抗原提示細胞媒介疾患(例えば、多発性硬化症)を予防または処置するために治療上有効である濃度にて、投与される。この目的を達成するために、抗CD40抗体は、当該分野で公知の種々の受容可能な賦形剤を使用して処方され得る。代表的には、抗CD40抗体は、静脈内注射または非経口投与のいずれかにより投与される。この投与を達成するための方法は、当業者にとって公知である。局所投与または経口投与され得る抗CD40抗体を含む組成物、あるいは皮下投与され得る抗CD40抗体を含む組成物、あるいは粘膜を通って伝達可能であり得る抗CD40抗体を含む組成物もまた、適切である。
患者に投与する前に、調合剤(formulant)が抗体に添加され得る。液体処方物が好ましい。例えば、これらの調合剤としては、油、ポリマー、ビタミン、糖質、アミノ酸、塩、緩衝化剤、アルブミン、界面活性剤、またはバルキング剤(bulking agent)が挙げられる。好ましい糖質としては、糖または糖アルコール(例えば、モノサッカリド、ジサッカリド、ポリサッカリドまたは水溶性グルカン)が挙げられる。サッカリドまたはグルカンとしては、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αシクロデキストリンおよびβシクロデキストリン、可溶性澱粉、ヒドロキシエチル(hydroxethyl)澱粉およびカルボキシメチルセルロース、またはそれらの誘導体が挙げられる。スクロースが最も好ましい。「糖アルコール」は、−OH基を有するC〜C炭化水素として規定され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、およびアラビトールが挙げられる。マンニトールが最も好ましい。上記で言及されるこれらの糖または糖アルコールは、個々にまたは組み合わせて使用され得る。糖または糖アルコールが水溶性調製物中に可溶性である限り、使用される量に対する固定された限定はない。好ましくは、糖または糖アルコールの濃度は、1.0w/v%〜7.0w/v%の間、より好ましくは、2.0w/v%〜6.0w/v%の間である。好ましくは、アミノ酸は、左旋性(L)型カルニチン、アルギニンおよびベタインを含む;しかし、他のアミノ酸が添加され得る。好ましいポリマーとしては、平均分子量2,000〜3,000を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または平均分子量3,000〜5,000を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。凍結乾燥前または再構成後に、溶液のpHの変化を最小にするために、組成物中で緩衝化剤を使用することもまた好ましい。大部分の任意の生理学的緩衝液が使用され得るが、クエン酸(titrate)、リン酸、コハク酸、およびグルタミン酸の緩衝液またはこれらの混合物が好ましい。最も好ましくは、クエン酸緩衝液である。好ましくは、その濃度は、0.01〜0.3モル濃度である。処方物に添加され得る界面活性剤は、EP270,799およびEP268,110に示される。
さらに、抗体は、例えば、それらの循環半減期を増大させるために、ポリマーに共有結合することによって化学的に改変され得る。好ましいポリマーは、ポリオキシエチレンポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で水溶性であり、一般式:R(O−CH−CHO−R(ここでRは水素または保護基(例えば、アルキルもしくはアルカノール基)であり得る)を有する。好ましくは、保護基は、1〜8個の炭素を有し、より好ましくは、保護基は、メチルである。記号nは、正の整数であり、1〜1,000の間であり、より好ましくは、2〜500の間である。PEGは、好ましくは、1,000〜40,000の間、より好ましくは、2000〜20,000の間、最も好ましくは、3,000〜12,000の間の好ましい平均分子量を有する。好ましくは、PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、より好ましくは、このヒドロキシ基は、末端ヒドロキシ基である。このヒドロキシ基は、好ましくは、インヒビター上の遊離アミノ基と反応するように活性化される。しかし、反応性基の型および量は、本発明の共有結合PEG/抗体を達成するために変化され得ることが理解される。好ましいポリマー、およびこのポリマーをペプチドに結合するための方法は、米国特許第4,766,106号;同第4,179,337号;同第4,495,285号;および同第4,609,546号(これら全ては、その全体が本明細書中に参考として援用される)に示される。
水溶性ポリオキシエチル化ポリオールはまた、本発明において有用である。このポリオキシエチル化ポリオールとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などが挙げられる。部分的に、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格が、例えば、動物およびヒトに天然に存在するモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドにおける骨格と同じであるので、POGが好ましい。従って、この分枝は、必ずしも、身体における外来因子として見なされるわけではない。POGは、PEGと同じ範囲の好ましい分子量を有する。POGの構造は、Knaufら、J.Bio.Chem.263:15064−15070,1988に示され、POG/IL−2結合体の議論は、米国特許第4,766,106号に見いだされ、これらの文献はともに、その全体が本明細書中に参考として援用される。
循環半減期を増大させるための別の薬物送達系は、リポソームである。リポソーム調達系を調製する方法は、当該分野で公知である(例えば、Gabizonら、Cancer Research 42:4734,1982;Cafiso,Biochem Biophys Acta 649:129,1981;およびSzoka,Ann Rev Biophys Eng 9:467,1980)。他の薬物送達系も、当該分野で周知である(例えば、Poznanskyら、Drug Delivery Systems(R.L.Juliano,編,Oxford,N.Y.1980),pp.253−315;M.L.Poznansky,Pharm Revs 36:277,1984)。
液体薬学的組成物が調製された後に、変性を予防し、かつ滅菌性を維持するために、これは好ましくは、凍結乾燥される。液体組成物を凍結乾燥するための方法は、当業者に公知である。使用直前に、この組成物は、さらなる成分を含み得る滅菌希釈剤(例えば、リンゲル溶液、蒸留水、または滅菌生理食塩水)で再構成され得る。再構成にあたって、この組成物は、好ましくは、当業者に公知の方法を用いて被験体に投与される。
好ましい投与経路は、非経口であるが、皮下投与および筋肉内投与もまた適切である。非経口投与において、本発明の組成物は、薬学的に受容可能な非経口ビヒクルと会合した、溶液、懸濁液または乳濁液のような単位投薬注射可能形態にて処方される。このようなビヒクルは、本質的に非毒性かつ非治療的である。このようなビヒクルの例としては、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液およびハンクス溶液が挙げられる。非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油およびエチルオレエート)もまた使用され得る。好ましいビヒクルは、生理食塩水中の5%デキストロースである。ビヒクルは、少量の添加物(例えば、等張性および化学的安定性を増すための物質(緩衝化剤および保存剤を含む))を含み得る。
投薬量および投与様式は、個体に依存する。一般に、この組成物は、1μg/kg〜20mg/kgの間の用量、より好ましくは、20μg/kg〜10mg/kgの間の用量、最も好ましくは、1mg/kg〜7mg/kgの間の用量にて抗体が与えられるように、投与される。適切には、この組成物は注入物としてまたはボーラス用量として与えられて、ボーラス用量の後に10〜20倍および4〜6時間、循環レベルが増大する。連続注入もまた、ボーラス用量の後に使用され得る。もしそうであれば、この抗体は、5〜20μg/kg/分の間、より好ましくは、7〜15μkg/kg/分の用量にて注入され得る。適切な処置レジメンは、WO00/27428およびWO00/27433(これらは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。
さらに適切な処方物および投与経路は、以下に、および米国特許第5,874,082号(本明細書中に参考として援用される)において議論される。代表的には、抗体は、静脈内または非経口的にかのいずれかで、注射によって投与される。局所的または経口的に投与され得るか、または粘膜を通して伝播され得る組成物を得ることもまた可能であり得る。抗体を含む組成物は、皮下投与され得る。
患者に投与する前に、処方剤(formulant)が、抗体に加えられ得る。液体処方剤が好ましい。例えば、処方剤としては、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤またはバルキング剤が挙げられ得る。好ましくは、炭水化物としては、糖または糖アルコール(例えば、モノサッカリド、ジサッカリドまたはポリサッカリド)、または水溶性グルカンが挙げられる。サッカリドまたはグルカンとしては、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロール、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αシクロデキストリンおよびβシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプンおよびカルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物が挙げられ得る。スクロースが、最も好ましい。「糖アルコール」は、−OH基を有するC〜C炭化水素として定義され、これには、ガラシトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールおよびアラビトールが挙げられる。マンニトールが、最も好ましい。上記のこれらの糖または糖アルコールは、別々にまたは組み合わせて使用され得る。糖または糖アルコールが水性調製物に対して可溶性である限り、使用される量に対して固定された限定はない。好ましくは、糖または糖アルコールの濃度は、1.0w/v%と7.0w/v%との間であり、より好ましくは2.0w/v%と6.0w/v%との間である。好ましくは、アミノ酸は、左施性(L)形態のカニチン(canitine)、アルギニン、およびベタインを含む;しかし、他のアミノ酸が加えられてもよい。好ましいポリマーは、2,000と3,000との間の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または3,000と5,000との間の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。凍結乾燥の前または再構成の後に、溶液のpH変化を最小限にするために、組成物において緩衝液を使用することもまた好ましい。ほとんどの任意の生理学的緩衝液が使用され得るが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸緩衝液およびグルタミン酸緩衝液、またはそれらの混合物が好ましい。クエン酸緩衝液が最も好ましい。好ましくは、その濃度は、0.01〜0.3モル濃度である。処方物に加えられ得る界面活性剤は、EP 270,799および268,110に示される。
さらに、抗体は、ポリマーへの共有結合によって化学的に改変されて、例えば、その循環半減期を増加し得る。好ましいポリマーは、米国特許第4,179,337号;同第4,495,285号;および同第4,609,546号(これら全ては、その全体が本明細書中に参考として援用される)において開示される。好ましいポリマーは、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で、水に対して可溶性であり、そして一般式:R(O−CH−CHO−R(ここで、Rは、水素、または保護基(例えば、アルキル基もしくはアルカノール基)であり得る)を有する。好ましくは、この保護基は、1個と8個との間の炭素を有し、より好ましくは、この保護基は、メチルである。記号nは、正の整数であり。好ましくは、1と1,000との間であり、より好ましくは2と500との間である。PEGは、1,000と40,000との間、より好ましくは2,000と20,000との間、最も好ましくは3,000と12,000との間の好ましい平均分子量を有する。好ましくは、PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、より好ましくは、このヒドロキシ基は、末端ヒドロキシ基である。好ましくは、インヒビター上の遊離アミノ基と反応するように活性化されるのは、このヒドロキシ基である。しかし、反応性基のタイプおよび量は、本発明の共有結合されたPEG/抗体を達成するように変化し得ることが理解される。
水溶性ポリオキシエチル化ポリオールもまた、本発明に置いて有用である。これらとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などが挙げられる。ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格は、例えば、動物およびヒトにおいて天然に存在するモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドと同じ骨格であることが一部の理由として、POGが好ましい。従って、この分枝は、身体において外来因子として見られる必要はない。POGは、PEGと同じ範囲の好ましい分子量を有する。POGの構造は、Knaufら,J.Bio.Chem.263:15064−15070,1988において見られ、POG/IL−2結合体の考察は、米国特許第4,766,106号において見出され、これらの両方は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
循環半減期を増大するための別の薬物送達系は、リポソームである。リポソーム送達系を調製する方法は、Gabizonら、Cancer Research,42:4734,1982;Cafiso,Biochem.Biophys.Acta 649:129,1981;およびSzoka,Ann.Rev.Biophys.Eng.9:467,1980において考察される。他の薬物送達系が、当該分野で公知であり、そして例えば、Poznanskyら,DRUG DELIVERY SYSTEMS(R.L.Juliano,Ed.,Oxford,N.Y.1980),pp.253−315;M.L.Poznansky,Pharm.Revs.36:277,1984に記載される。
液体薬学的組成物が調製された後、これは好ましくは、分解を防止するためおよび無菌性を保つために、凍結乾燥される。液体組成物を凍結乾燥する方法は、当業者に公知である。使用の直前に、この組成物は、滅菌希釈剤(例えば、リンガー溶液、蒸留水、または滅菌生理食塩水)で再構成され得、この滅菌希釈剤は、さらなる成分を含み得る。再構成されると、この組成物は、好ましくは、当業者に公知の方法を使用して、被験体に投与される。
投与の1つの好ましい経路は、非経口である。非経口投与において、本発明の組成物は、薬学的に受容可能な非経口ビヒクルとともに、溶液、懸濁液またはエマルジョンのような単位投薬注射可能形態で処方される。このようなビヒクルは、本質的に非毒性であり、そして非治療的である。このようなビヒクルの例は、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油およびオレイン酸エチル)もまた使用され得る。好ましいビヒクルは、生理食塩水中の5%デキストロースである。ビヒクルは、少量の添加物(例えば、等張性および化学安定性を向上する物質(緩衝剤および保存剤を含む))を含み得る。
投薬量および投与の様式は、個体に依存する。一般的に、組成物は、抗体が、1μg/kgと20mg/kgとの間、より好ましくは、20μg/kgと10mg/kgとの間、最も好ましくは、0.3mg/kgと7mg/kgとの間の用量で与えるように、投与される。好ましくは、ボーラス用量で与えられて、ボーラス投与の4〜6時間後に、循環レベルを10〜20倍に増加する。連続注入はまた、ボーラス投与後に使用され得る。そのような場合、抗体は、5μg/kg/分と20μg/kg/分との間、より好ましくは、7μg/kg/分と15μg/kg/分との間の用量で注入され得る。
本発明における使用に適切な抗CD40抗体としては、米国特許第5,874,082号;同第6,004,552号;同第6,056,959号;同第5,677,165号;および同第6,051,228号(これらは全て、本明細書中において参考として援用される)に開示されるものが挙げられる。
(製品および製造方法)
本発明はまた、CNS、脳、および/または脊髄への投与のためにインターフェロンおよび抗CD40抗体を提供する製品を含む。この製品は、任意のキャリア(乾燥形態または液体形態のいずれか)とともに本方法に適切な組成物を含む1つ以上のバイアルまたは他の容器を含み得る。インターフェロンおよび抗CD40抗体は、好ましくは、別のバイアル中に供給される。しかし、これらは、同時投与され得るか、または互いに数分、数時間、または数日以内に投与され得る。この製品は、さらに、本発明の方法を実施するために、容器上のラベルの形態で、および/またはこの容器がパッケージングされる箱に含まれる挿入物の形態で、説明書を含む。この説明書はまた、バイアルがパッケージングされる箱に印刷され得る。この説明書は、被験体またはこの分野の作業者が、インターフェロンおよび抗CD40抗体を投与し得るのに十分な投薬量および投与情報のような情報を含む。当該分野の作業者には、任意の医師、看護師、技術者、配偶者、または他の介護者が挙げられることが、予想される。インターフェロンおよび抗CD40抗体はまた、被験体によって自己投与され得る。
本発明に従って、インターフェロンおよび抗CD40抗体は、鼻腔内投与、結膜投与、経皮投与、および/または舌下投与のために適切な組成物または医薬を製造するために使用され得る。例えば、液体組成物または固体組成物は、従来の技術を使用して、いくつかの方法で、製造され得る。液体組成物は、例えば、本明細書中において上記される溶液を形成するために、適切なpHの適切な溶媒(例えば水(緩衝液または他の賦形剤を含む))中にインターフェロンを溶解させることによって、製造され得る。
IFN−βは、多くのインターフェロンと同様に、多くの標的細胞における免疫モジュレーターとして役立つことが報告されている(Hallら、J.Neuroimmunol.72:11−19,1997)。例えば、IFN−βは、マクロファージに対する抗増殖作用を及ぼし、「特定のインターフェロンのマイトジェン刺激」を相殺し、ナチュラルキラー細胞活性を増強して細胞傷害性Tリンパ球の産生の増大を誘導し、そして大型顆粒リンパ球に作用して、キラー細胞活性を増加するようである。さらに、IFN−βは、B細胞の増殖およびIgM、IgG、およびIgAの分泌を増強する。クラスI MHC発現をアップレギュレートして、クラスI制限抗原CD8細胞の提示における増加を生じることが示されている(Hallら、J.Neuroimmunol.72:11−19,1997)。逆に、IFNβは、クラスII表面発現のアップレギュレーションに対して阻害効果を及ぼす。従って、IFN−βの免疫調製活性は、例えば、全身免疫機能、抗原提示、インターフェロン産生、および白血球のCNSへの侵入に影響することを含む(Yongら、Neurology 51:582−689、1998)。本発明の投与方法を使用して、頭部および首部のリンパ管にインターフェロンを直接送達することによって、インターフェロンが、免疫応答を調節し得(すなわち、慢性炎症および急性炎症、創傷治癒、および自己免疫応答に影響し得);リンパ球による機能を調節し得る(注入される組織のリンパ球の浸潤を減少し得る);など。
インターフェロンの免疫調節の役割を考えると、本発明は、免疫応答および炎症応答によって特徴付けられる疾患または障害の処置および/または予防のために、インターフェロン(好ましくは、IFN−β)および抗CD40抗体を、頭部および首部の種々の組織に送達するために使用され得る。特定の興味のある障害または疾患は、多発性硬化症である。
MSは、CNSおよび脊髄の白質において、多くの硬化損傷または斑として提示される(Prineas,Demyelinating Diseases,Elsevier:Amsterdam 1985;Raine,Multiple Sclerosis,Williams and Wilkins:Baltimore,1983;Raineら、J.Neuroimmunol.20:189−201,1988;およびMartin,J.Neural Transmission(補遺)49:53−67,1997)。MS損傷の特徴は、炎症であり、軸索脱髄、軸索変性を示し、そして小さな細静脈の周囲に見出される。これらの特徴は、代表的に、初期において、斑の発生を進展させ、そして血液−脳関門(BBB)における破壊の結果として生じると仮定される。BBB破壊の結果として、種々のリンパ球およびマクロファージからなる浸潤物が、脳に入る。浸潤物は、炎症の減少を引き起こし、一方で、グリア瘢痕組織の存在を増加させ、そして不完全な再髄鞘形成を誘発する(Martin,J.Neural Transmission(補遺)49:53−67,1997)。さらに、この見かけの免疫学的攻撃が、ミエリン鞘だけでなく、CNSミエリン産生に対して不可避な稀突起膠細胞も標的とすることが仮定される。インターフェロンは、MSの症状を効果的に減少させることが公知である。例えば、インターフェロン−β(IFN−β)は、MSを再発−軽減するための処置として興味が持たれている。さらに、自己免疫疾患(例えば、MS)における有効な処置としてインターフェロン−τの使用にも興味が高まっている。例えば、米国特許第6,060,450号(本明細書中において、参考として援用される)を参照のこと。
IFN−βの免疫調製活性は、MSの臨床的症状に影響する。本発明がIFN−β作用の機構によって束縛されないものの、MS患者において確実にする中枢神経系の損傷は、遅延型過敏性応答に起因すると考えられる。これは、細胞媒介応答である。最初に、T細胞は、抗原によって活性化され、そしてリンパ器官に運ばれる(活性化)。次いで、リンパ器官は、これらのT細胞を活性化し、より多くのT細胞をその部位に補充し続ける(補充)。活性化されたリンパ球は、増殖し、そして循環に戻る(増大)。一旦循環に戻ると、活性化リンパ球は、血流を介して移動し、毛細管を裏打ちする内皮細胞を横切る(移動)。これらの移動するリンパ球およびマクロファージは、炎症領域を標的とし、そしてこの炎症領域に誘引される(誘引)。この誘引により、他のリンパ球が、炎症領域に留まり、そして組織が破壊される(組織破壊)。引き続いて、急性応答が(組織破壊によって)抑制され、そして炎症領域の修復(これは、MSにおいて非常に制限されている)が、開始し得る(修復)(Kelley,J.of Neuroscience Nursing 28:114−120,1996)。従って、血液からの活性化リンパ球の移動は、免疫応答を開始し、それによって、活性化リンパ球のBBB提示を可能にする。
IFN−βの免疫調節性活性が、遅延型過敏性応答の拡張段階を阻害することによってIFN−γアップレギュレーションを阻害し、それによってMSの臨床症状に影響を与えることが、証拠によって示唆される。特に、ミエリン損傷の減少は、IFN−β作用の2つの仮説的メカニズム:(1)IFN−γ誘導性のマクロファージ活性化の阻害、および(2)単球のTNF放出の阻害(Kelly,J.Neuroscience Nursing 28:114〜120、1996)の結果として起こるようである。これらの仮説によって説明されるIFN−β作用の潜在的部位としては、全身性免疫機能、抗原提示、インターフェロン産生、および白血球のCNSへの進入が挙げられる(Yongら、Neurology 51:682〜689、1998)。これらの部位の各々は、MSの人体実験および動物実験において詳しく述べられる。
インターフェロンの「有効量」とは、MSの症状および/または潜在的な原因を予防し、処置し、低減し、そして/または改善するのに十分な量である。いくつかの場合において、「有効量」は、これらの疾患の症状を排除し、そしておそらく、疾患自体を克服するのに十分な量である。本発明の重要な局面は、インターフェロンの用量が、抗CD40抗体の投与によって減少され得ることである。さらに、インターフェロン処置は、患者が抗CD40抗体治療をも受ける場合には、より長時間継続され得る。本発明の文脈において、用語「処置」および「治療」などは、既存の疾患の軽減、進行緩徐、予防、減衰または治癒をいう。本明細書中で使用される場合、予防とは、MSの発症を遅延、緩徐、抑制、軽減または緩和することをいう。MSを予防または処置するために、CNS内において有効レベルの活性を提供するのに充分な量のインターフェロンが、非毒性レベルで適用されることが好ましい。本発明の方法は、任意の哺乳動物で用いられ得る。例示的な哺乳動物としては、ラット、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、および、より好ましくはヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の投与方法を用いてMSを処置するためのインターフェロンの有効量は、MSの臨床症状を減少または軽減するのに充分である。例えば、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、MSの動物モデルとして一般に使用される。本発明の方法によって送達されるインターフェロンの治療的有効量は、実験動物(すなわち、ラットまたはマウス)におけるEAEの臨床症状を改善させる程度のものである。ラットにおけるEAEは、以下;0、臨床的に正常;1、弛緩性の尾部麻痺;2、後肢脱力;3、後肢麻痺;4、前肢および後肢の罹患、の0〜4の尺度でスコアされる。本発明の方法によって送達されるインターフェロンの有効量は、疾患症状の発症後に続く数日間の平均累積スコアにおいて、コントロール群と比較して少なくとも30%、40%、50%またはそれ以上の減少がある場合に有効である。
さらに、MSの有効な処置は、拡大身体障害状態スケール(EDSS)、再燃の出現、またはMRIを含むいくつかの代替方法で検査され得る。これらの指標のいずれかが、インターフェロン処置がその有効性を失っていることを示す場合、または症状が再燃する場合は、抗CD40抗体との共同処置が正当化される。本発明に従って、抗CD40抗体処置は、インターフェロンの継続的投与を可能にする。以下の基準のいずれかを満たすことによって、有効な処置が証明される。
EDSSは、MSに起因する臨床的傷害を類別する方法である(Kurtzke、Neurology 33:1444、1983)。8つの機能的系が、神経学的障害のタイプおよび重篤度について評価される。簡単に言えば、処置の前に、以下:錐体、小脳、脳幹、感覚、腸および膀胱、視覚、大脳、などの系における障害が評価される。追跡検査は、規定された間隔で行なわれる。そのスケールは、0(正常)から10(MSによる死)まで及ぶ。完全な1段階の減少は、本発明の文脈において、有効な処置を定義する(Kurtzke、Ann.Neurol.36:573−579、1994);EDSSスコアが5.5より大きい場合、0.5段階の減少も、有効な処置の定義内にある。
再燃は、MSに起因し、そして適切な新しい神経学的異常を伴う新しい症状の出現と定義される(IFN−β MS研究グループ、前出)。さらに、再燃は、少なくとも24時間持続し、少なくとも30日間の安定または改善が先行するはずである。標準的な神経学的検査は、結果として、神経学的評価スケール(Neurological Rating Scale)(Sipeら、Neurology34:1368、1984)の変化に従って、穏やかな再燃、中等度の再燃、または重篤な再燃のいずれかに分類される再燃を生じる。年間の再燃率および再燃しない患者の割合が決定される。治療は、これらの測定値のいずれかについて、処置群とプラシーボ群との間に、再燃しない患者の比率または割合に統計学的有意差が存在する場合、有効であると判断される。さらに、最初の再燃までの時間または再燃の持続期間および重篤度もまた、測定され得る。この点について、治療としての有効性の尺度は、コントロール群と比較した、処置群における最初の再燃までの時間ならびに持続期間および重篤度における統計学的有意差である。
ガドリニウム−DTPAで強調した画像(McDonaldら、Ann.Neurol.36:14、1994)を用いて活性な病変を測定するために、またはT加重技術およびT加重技術を用いて病変の位置および程度を測定するために、MRIが用いられ得る。簡単に言えば、ベースラインMRIが得られる。同じ画面および患者体位が、以下の各々の研究のために用いられる。病変の面積の輪郭が描かれ、そして全病変の面積についてスライスごとに合計される。3つの分析:新たな病変の徴候、活性な病変の出現の比率、および病変面積の変化の割合が行われ得る(Patyら、Neurology 43:665、1993)。ベースラインと比較した個々の患者、またはプラシーボ群に対して処置群において統計的に有意な改善が存在する場合、治療による改善が立証される。
本発明を、有利な実施形態を特に示す以下の実施例を参照することにより、ここに示す。しかしながら、これらの実施形態は、例証であって、本発明を多少なりとも制限するものと解釈されるべきではないことに留意すべきである。
患者集団を、以下の判断基準:インターフェロン−β1bの投与または他のMS治療剤によって不完全に軽減されたMSの症状(有効性の減少に起因して、インターフェロン−β1b処置の中断についての指示(indicia)を含む)に基づいて選択する。これらの判断基準は、MS疾患の活性および進行を測定する標準方法を用いて評価される。患者を選択する好ましい判断基準は、(a)インターフェロン−β1bまたは他のMS治療剤を用いた処置にもかかわらず、先の6ヶ月において少なくとも1回の再発;(b)ベースラインMRIスキャン時に、少なくとも1つの亢進された病変;インターフェロン−β1bまたは他のMS治療剤を用いた処置にもかかわらず、先の6ヶ月と比較した障害における臨床的に有意な進行、である。これらの患者を2つの処置群に分類し、実施例1および2に記載されるように、処置選択肢を与える。
(実施例1)
(抗CD40抗体での処置)
患者を、EDSSスコア、MRIスキャンでの増加している病変の数、およびMRIスキャンでの病変の体積について、ベースラインで評価する。これらの測定値を、1〜2年間の過程にわたって、反復に基づいて得る。患者は、4〜8用量にわたる毎週の静脈内注入によって、0.03mg/kg〜10mg/kgの用量にて1サイクルで、15B8のような抗CD40抗体を受ける。MRIでの増加している病変の頻度および病変体積の減少、ならびに確認された疾患進行を経験している患者の割合の減少における、抗CD40抗体の効力を、一年間隔で評価する。抗CD40抗体を受ける患者の臨床過程およびMRI過程を、一致するプラシーボを受ける患者に対して比較する。
(実施例2)
(抗CD40抗体およびβ−インターフェロンでの処置)
患者を、EDSSスコア、MRIスキャンでの増加している病変の数、およびMRIスキャンでの病変の体積について、ベースラインで評価する。これらの測定値を、1〜2年間の過程にわたって、反復基準で得る。幾人かの患者は、4〜8用量にわたる毎週の静脈内注入によって、0.03mg/kg〜10mg/kgの用量にて1サイクルで、15B8のような抗CD40抗体を受ける。幾人かの患者は、抗CD40抗体を受ける患者と同じタイムコースで、一致するプラシーボを受ける。全ての患者はまた、商業的に認可された用量のβ−インターフェロンを受ける(インターフェロンβ−1b[Betaseron(登録商標)]について、一日おきに皮下で8MIU、インターフェロンβ−1a[Avonex(登録商標)]について、一日おきに筋内で6MIU、またはインターフェロン−1a[Rebif(登録商標)(この研究の時点で、米国において使用が認可されている場合)]について、一日おきに皮下で12MIU)。MRIでの増加している病変の頻度および病変体積の減少、ならびに確認された疾患進行を経験している患者の割合の減少における、抗CD40抗体の効力を、一年間隔で評価する。抗CD40抗体+インターフェロンを受ける患者の臨床過程およびMRI過程を、インターフェロン単独を受ける患者に対して比較する。
(実施例3)
(患者の処置の評価)
実施例1および2に記載されるように処置した患者を、疾患の進行を試験するために評価する。1回の試験で、脳の病変を、MRIで評価する。
第一セットの実験は、インターフェロンを含む他の治療剤に対して難治性である患者における抗CD40抗体単独、または治療中断について高い危険性がある患者におけるインターフェロン−β−1bの連続使用と組み合わせた抗CD40抗体のいずれかの利益を示すための、概念研究の証拠である(臨床的二次終点を伴う、MRIベースの一次終点)。次いで、2回目のIIIフェーズの、単独治療としての15B8 対 インターフェロンまたは酢酸グラチリマー(glatirimer acetate)での処置が失敗した後の追加治療(MRIベースの二次終点を伴う、臨床的終点ベースの一次終点)の中心的研究を実施する。
本発明は、特定の実施形態を参照して記載されてきた。しかし、本願は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によってなされ得る変化および置換を包含することが意図される。
【配列表】
Figure 2005510570
Figure 2005510570

Claims (16)

  1. 多発性硬化症を処置するための方法であって、該方法は、処置を必要とする患者のB細胞を、抗CD40抗体と接触させる工程を包含し、該抗CD40抗体は、B細胞分化またはB細胞増殖を阻害する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、1型インターフェロンまたはその生物学的に活性なフラグメントが、前記処置を必要とする患者に同時投与される、方法。
  3. 前記1型インターフェロンが、β−インターフェロンである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記インターフェロンまたはそのフラグメントが、改変体インターフェロンである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記患者が、再発性多発性硬化症および弛張性多発性硬化症を有する、請求項2に記載の方法。
  6. 前記インターフェロンが、経鼻投与される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記インターフェロンの用量が、0.14nmol/kg〜138nmol/kgの間である、請求項4に記載の方法。
  8. 前記インターフェロンの用量が、間欠的に投与される、請求項4、5、6または7に記載の方法。
  9. 前記インターフェロンの用量が、周期的レジメンで投与される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抗CD40抗体が、1μg/kgと20μg/kgとの間の用量で投与される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の方法。
  11. クローン病を処置する方法であって、該方法は、処置を必要とする患者のB細胞を、抗CD40抗体と接触させる工程を包含し、ここで、該抗CD40抗体は、該抗CD40抗体は、B細胞分化またはB細胞増殖を阻害する、方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、1型インターフェロンまたはその生物学的に活性なフラグメントが、前記処置を必要とする患者に同時投与される、方法。
  13. 前記1型インターフェロンが、β−インターフェロンである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記インターフェロンまたはそのフラグメントが、0.14nmol/kg〜138nmol/kgの間の改変体インターフェロンである、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記インターフェロンの用量が、0.14nmol/kg〜138nmol/kgの間である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記抗CD40抗体が、1μg/kgと20μg/kgとの間の用量で投与される、請求項11、12、13、14または15に記載の方法。
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