JP2005510320A - 音響ノイズが低減された磁気共鳴撮像方法 - Google Patents

音響ノイズが低減された磁気共鳴撮像方法 Download PDF

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Abstract

磁気共鳴撮像方法は1以上のパルスを含むパルスシーケンスを印加する。パルスシーケンスは所定の全「視野」についてのk空間内の最大サンプリングレート及び傾斜磁場パルスの基準時間的パルス形状に基づく固有の走査時間を有する。一連の磁気共鳴信号は空間感度プロファイルを有する受信器アンテナシステムで取得される。アンダーサンプリングされた信号取得は、最大サンプリングレートに対して減少係数だけ減少されたk空間内の所定の減少されたサンプリングレートで、アンダーサンプリングされた磁気共鳴信号を取得するよう印加される。パルスシーケンスは実際の信号走査時間に印加される。実際の信号走査時間は固有の信号走査時簡に減少係数を掛けたものよりも大きい。アンダーサンプリングは、磁気共鳴信号の取得レートを低くし、傾斜磁場パルスのスルーレート及び振幅を低くし、リフォーカスパルスのピークRF磁場を低くすることを可能とする。従ってより低い音響ノイズ及びより低い比吸収率が達成される。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、1つ又はそれ以上のパルスを含むパルスシーケンスを適用する段階を含む磁気共鳴撮像方法に係る。
かかる磁気共鳴撮像方法は、米国特許第4680545号明細書より公知である。
一般的には、磁気共鳴撮像方法は、無線周波(RF)パルス及び傾斜磁場パルスを含むパルスシーケンスを必要とする。RFパルスは、例えば励起パルスとして、及び、リフォーカスパルスとして用いられる。傾斜磁場パルスは、特に、磁気共鳴信号の空間エンコードのために用いられる。RFパルス及び傾斜磁場パルスはいずれも磁気共鳴信号の位相を操作するために印加される。
傾斜磁場パルスをスイッチオン及びスイッチオフすることにより、傾斜磁場コイルの音響振動が生じ、これにより傾斜磁場が印加される。何の手段も講じられなければ、傾斜磁場コイルの音響振動は、雑音、クリック、及びうなりといったうるさい音を生じさせうる。
公知の磁気共鳴撮像方法は、減少されたスルーレート(slew rate)及び正弦波の形状のパルスエッジを有する傾斜磁場パルスを用いる。公知の磁気共鳴撮像方法は傾斜磁場パルスによる音響ノイズを減少させるが、減少されたスルーレート及び正弦波の形状のパルスエッジは走査時間、即ち磁気共鳴画像の再構成に必要な全ての磁気共鳴信号を取得するのに必要な時間、を長くする。従って、公知の磁気共鳴撮像方法は、速い速度で連続的に磁気共鳴画像を生じさせるのには適していない。
本発明は、うるさい大きな雑音を生じさせず、走査時間が短くされた磁気共鳴撮像方法を提供することを目的とする。
この目的は、空間感度プロファイルを有する受信器アンテナシステムにより一連の磁気共鳴信号を取得することを含む本発明による磁気共鳴撮像方法によって達成され、
k空間中での所定の減少されたサンプリングレートでアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号を取得するようアンダーサンプリングされた信号取得が適用され、サンプリングレートは最大(full)サンプリングレートと比較して減少係数(reduction factor)で減少されたものであり、
パルスシーケンスは、固有の走査時間に減少係数を掛け合わせたものよりも大きい実際の信号走査時間中に印加される。
比較を可能とするため、パルスの基準時間的パルス形状が導入される。望ましくは、例えば台形時間的パルス形状等の一般的に用いられる時間的パルス形状が傾斜磁場パルスに対する基準時間的パルス形状として使用されうるが、任意の所定の時間パルス形状が基準時間的パルス形状として使用されうる。RFパルス、特にRF励起パルス及びリフォーカスRFパルスについては、基準パルス形状は例えばその時間的パルス持続時間、ピークRF磁場振幅、及びスピンが当該のRFパルスによってフリップされるフリップ角によって表わされる。尚、フリップ角は、時間的パルス持続時間及びピークRF磁場振幅に依存する。
更に、基準時間的パルス形状は、パルスシーケンス中の夫々の個々の傾斜磁場パルス及び/又はRFパルスに対して異なった又は同じパルス形状を必要としうる。
本発明によれば、磁気共鳴信号は、所定の全「視野」(full "field of view")のために必要なk空間中のサンプリングレートよりも低いサンプリングレートで取得される。減少されたサンプリングレートの結果として、個々のアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号が所定の全「視野」内の異なる空間的な位置からの寄与を含むため、これらのアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号は部分的な空間エンコードのみを有する。別々の空間的な位置に関連する信号寄与は、受信器アンテナシステムの空間感度プロファイルに基づいて、アンダーサンプリングされた磁気共鳴信号から計算される。言い替えれば、受信器アンテナシステムの空間感度プロファイルは、アンダーサンプリングされた磁気共鳴信号中に存在しない更なる空間エンコードを与える。磁気共鳴画像は、アンダーサンプリングされた磁気共鳴信号と、受信器アンテナシステムの空間感度プロファイルを用いることとによって再構成される。
アンダーサンプリングは、最大サンプリングが必要とするであろうものよりも少ないアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号の取得を可能とする。本発明による磁気共鳴撮像方法によれば、パルスシーケンスの走査時間は、k空間内でのサンプリングレートの低下が同じ数の磁気共鳴信号の取得に対して許すよりも減少されないか、全く減少されない。従って、本発明は、磁気共鳴信号がより低い時間的なレートで取得されること、従って、パルスシーケンス中の傾斜磁場パルスの時間的な変化が基準時間的パルス形状よりもゆっくりであることを可能とする。公正な比較のため、固有の(intrinsic)信号走査時間は、傾斜磁場パルス及びRFパルスの時間基準パルス形状についてのみ、実際に用いられるパルスシーケンスと異なるパルスシーケンスについて定義される。即ち、固有の信号走査時間は、実際のパルスシーケンスとして傾斜磁場パルス及びRFパルスの同じ連続を有するが、傾斜磁場パルスは基準時間的パルス形状を有するパルスシーケンスについて計算される。従って、より少ない音響ノイズが発生され、このとき、走査時間は、基準パルス形状とされた傾斜磁場パルスが用いられる場合に必要な固有の走査時間と等しいか、それよりも少ない。特に、実際の信号走査時間は、k空間におけるサンプリングレートの減少が許すよりも少なく減少されるため、音響ノイズは少ない。特に、本発明は、実際の信号走査時間の減少と、異なる状況での音響ノイズの減少との間で最適な妥協を可能とする。例えば、1乃至3ミリ秒で10mTm-1まで上昇する傾斜磁場の勾配が用いられる場合、基準パルスの場合の0.2ミリ秒で21mTm-1の傾斜の勾配と比較して、音響ノイズは約20乃至30dB減少される。
更に、アンダーサンプリングは、同様に長い信号走査時間により、より低い受信器帯域幅を用いて、より低い傾斜磁場振幅を用いることを可能とする。このことは、磁気共鳴信号の信号対雑音比を高める。
アンダーサンプリングの度合いは、最大サンプリングレートに対するk空間内での実際のサンプリングレート又は密度の比率として定義される減少係数によって与えられる。従って、例えば完全なサンプリングに必要な磁気共鳴信号の半分のみがサンプリングされる場合、減少係数は1/2である。より一般的には、減少係数は[0,1]の間隔にある有理数である。
音響ノイズの減少に加え、患者の組織中のパルスシーケンスによって沈着される電磁エネルギーの減少もまた減少される。この電磁エネルギーの沈着は、通常は「比吸収率」と称される量によって表わされる。比吸収率(SAR)は、対象の質量1単位当たりの吸収される無線周波数パワーとして定義される。特に比吸収率は、傾斜磁場パルスのスルーレートの減少によって減少される。また、RFパルスのより低いピークRF磁場は、比吸収率を減少させる。走査時間は磁気共鳴信号のアンダーサンプリングが許容する程度よりも減少されるため、基準パルスシーケンスに対して走査時間を高める必要なしにより低いピークRF磁場を用いつつ、RFパルスの持続時間は所望のフリップ角を達成するよう高められうる。本発明による磁気共鳴撮像方法によって達成される比吸収率の減少は、患者の局所的な体温の不注意により加熱を生じさせる。従って、患者の体温の上昇によって生ずる生理学的に不快な、又は更には有害な効果は軽減され、更には回避される。より低い比吸収率を比較的短い走査時間を用いる可能性と組み合わせることは、例えば1.5Tを上回る磁界強度領域にある、特に約3Tの磁界の、より強い静磁場が用いられるため特に有利である。更に、スルーレートの減少及び/又は傾斜磁場パルスの傾斜振幅の減少は、検査されるべき患者内の末梢神経の刺激を低下させる。
本発明の上述の及び他の面については、従属項に定義される実施例を参照することによって明らかとなろう。
音響ノイズ及び/又は非吸収率の特定の有効な減少は、実際の信号走査時間が固有の信号走査時間に等しいか略等しいときに達成される。この実施では、取得される磁気共鳴信号の数の減少は、信号取得レートを減少させるために完全に用いられ、従って、傾斜磁場パルスの時間的な変化を減少させるため及び/又はリフォーカスRFパルスのピークRF磁場の数を減少させるために使用される。それでもなお、実際の信号走査時間は、固有の信号走査時間をまだ超えていない。
特に、有効なノイズ減少は、基準時間変化よりもゆっくりな時間的な変化を有する傾斜磁場パルスを用いることによって達成される。傾斜磁場パルスを印加するのに必要な時間はより長いが、アンダーサンプリングにより、より少ない磁気共鳴信号が取得されるため、磁気共鳴信号を取得するのに必要な時間は長くならない。
例えば、ノイズ減少は、基準時間的パルス形状中のスルーレートよりも低い傾斜磁場パルスのスルーレートを用いることによって達成される。スルーレートは、音響振動の主要な源のうちの1つであるため、スルーレートを減少させることは音響ノイズをかなり減少させる。
個々の磁気共鳴画像についての取得された磁気共鳴(MR)信号の数は、MR信号のアンダーサンプリングを用いることによって減少される。このようなアンダーサンプリングには、様々な方法で達成されうるサンプリングされた点の数のk空間における減少が関連する。アンダーサンプリングを伴う多くの磁気共鳴撮像方法が提案されてきた。これらの磁気共鳴撮像方法は、アンダーサンプリングされた磁気共鳴信号が同時にk空間中の幾つかのラインに関連し、従って実際にはk空間中の2本以上のラインが並列に取得されるため、しばしば「並行撮像方法」と称される。特に、MR信号は、例えば望ましくは表面コイルである受信器コイルといった幾つかの受信器アンテナに関連する信号チャネルを通じてピックアップされる。幾つかの信号チャネルを通じた取得は、信号走査時間を更に減少させるよう信号の並列取得を可能とする。
アンダーサンプリングにより、サンプリングされたデータは撮像されている対象中の幾つかの位置からの寄与を含む。磁気共鳴画像は、信号チャネルに関連付けられる感度プロファイルを使用して、アンダーサンプリングされたMR信号から再構成される。特に、感度プロファイルは、例えば受信器コイルといった受信器アンテナの空間感度プロファイルである。望ましくは、表面コイルは受信器アンテナとして用いられる。再構成された磁気共鳴画像は、夫々の波長における明るさ/コントラストの変化に関連付けられる多数の空間高調波成分から構成されると考えられてもよい。磁気共鳴画像の解像度は、最も小さい波長で決定され、即ち最も高い波数(k値)で決定される。関連する最も大きい波長、即ち最も小さい波数は、磁気共鳴画像の視野(FOV)である。解像度は、視野の比率とサンプル数によって決定される。
アンダーサンプリングは、k空間中のMR信号の解像度が磁気共鳴画像の解像度に必要とされる解像度よりも粗くなるよう、夫々の受信器アンテナがMR信号を取得することで達成されうる。サンプリングされる最も小さい波数、即ちk空間中の最小のステップサイズは増加され、一方でサンプリングされる最大の波数は維持される。従って、画像解像度は、アンダーサンプリングを適用するときに同じに維持され、一方で最小k空間ステップは増加し、即ちFOVは減少する。アンダーサンプリングは、例えば、磁気共鳴画像の解像度に必要とされるよりも更に広く離間してk空間中のラインが走査されるよう、k空間の走査においてラインを飛ばすことにより、k空間中のサンプル密度を減少させることによって達成されうる。アンダーサンプリングは、サンプリングされる点の数がそれに従って減少されるよう、最大のk値を維持しつつ視野を減少させることによって達成されうる。減少された視野により、サンプリングされたデータは撮像されている対象中の幾つかの位置からの寄与を含む。
特に、受信器コイル画像が、夫々の受信器コイルからのアンダーサンプリングされたMR信号から再構成されるとき、このような受信器コイル画像は減少された視野によって生ずるエイリアシングアーティファクトを含む。受信器コイル画像及び感度プロファイルから、画像中の異なる位置からの受信器コイル画像の個々の位置における寄与は解かれ、磁気共鳴画像が再構成される。このMR撮像方法は、それ自体として頭文字をとったSENSE方法として知られている。このSENSE方法は、国際公開第99/54746−A1号パンフレットに詳述されている。
或いは、アンダーサンプリングされたMR信号は、全視野に対応するk空間のサンプリングを与える結合MR信号へと結合されうる。特に、いわゆるSMASH方法によれば、アンダーサンプリングされたMR信号は、感度プロファイルに従って結合される低次の球面高調波を近似する。SMASH方法は、それ自体として国際公開第98/21600号パンフレットから公知である。
アンダーサンプリングは、空間的にも行われうる。その場合、MR信号の空間解像度は、磁気共鳴画像の解像度よりも低く、磁気共鳴画像の最大の解像度に対応するMR信号は感度プロファイルに基づいて形成される。空間アンダーサンプリングは、特に、例えば個々の受信器コイルからの別々の信号チャネル中のMR信号が、対象の幾つかの部分からの寄与の組み合わせを形成することで達成される。このような部分は、例えば、同時に励起されるスライスである。しばしば、各信号チャネル中のMR信号は、幾つかの部分、例えばスライスからの寄与の線形結合を形成する。この線形結合は、信号チャネルに関連する、即ち受信器コイルの感度プロファイルに関連する。従って、夫々の信号チャネルのMR信号及び夫々の部分(スライス)のMR信号は、感度プロファイルによる夫々の信号チャネル中の対象の幾つかの部分の寄与の重みを表わす感度マトリクスによって関連付けられる。感度マトリクスの反転により、対象の夫々の部分に関連するMR信号が導出される。特に、夫々のスライスからのMR信号が導出され、これらのスライスの磁気共鳴画像が再構成される。
有利には、本発明による磁気共鳴撮像のパルスシーケンスにおいて、傾斜磁場パルスのパルス形状は調整可能である。即ち、信号走査時間は、より高い音響ノイズレベル及び/又は比吸収率を犠牲にして減少されうる。或る検査条件下では、信号走査時間が短いことは、音響ノイズレベル及び/又は比吸収率を低下させるよりも価値がある。特定的な例としては、患者が息を止めている間に走査することを行う磁気共鳴撮像方法、患者の脳内の灌流を撮像することを目的とする磁気共鳴撮像方法、並びに、一般的には検査されるべき患者内の時間的な生理学的過程によって行われる磁気共鳴撮像方法がある。調整可能な実際の信号走査時間は、本発明による磁気共鳴撮像方法を、従来の磁気共鳴撮像方法よりも柔軟なものとする。
本発明の上述の及び他の面は、以下説明する実施例により、また、添付の図面を参照して明らかとなろう。
図1は、本発明が用いられる磁気共鳴撮像システムを示す図である。磁気共鳴撮像システムは、一組の主コイル10を含み、これにより安定した均一な磁場が発生される。主コイルは、例えば、トンネル状の検査空間を囲むよう構築される。検査されるべき患者は、このトンネル状の検査空間へ滑り入れられる。磁気共鳴撮像システムはまた、多数の傾斜磁場コイル11、12を含み、それにより特に個々の方向における時間的な傾斜磁場の形の空間的な変化を示す磁場が発生され、均一な磁場に重畳される。傾斜磁場コイル11、12は、制御可能な電源ユニット21に接続される。傾斜磁場コイル11、12は、電源ユニット21によって電流を印加することによって作動される。傾斜磁場の強さ、方向、及び持続時間は、電源ユニットの制御によって制御される。磁気共鳴撮像システムはまた、夫々、RF励起パルスを発生し、磁気共鳴信号をピックアップする送信及び受信コイル13、16を含む。送信コイル13は、望ましくはボディコイル13として構築され、それにより、検査されるべき対象(の一部)が囲まれうる。ボディコイルは、通常は、検査されるべき患者30が、磁気共鳴撮像システム内に置かれている間にボディコイル13によって囲まれるよう、磁気共鳴撮像装置内に配置される。ボディコイル13は、RF励起パルス及びRFリフォーカスパルスの送信用の送信アンテナとして作動する。望ましくはボディコイル13は、送信されたRFパルス(RFS)の空間的に均一な強度の分布を伴う。通常は、同一のコイル又はアンテナが送信コイル及び受信コイルとして交互に使用される。望ましくは、いわゆるシナジーコイルがボディコイルとして用いられる。更に、送信及び受信コイルは、通常はコイルの形状とされるが、送信及び受信コイルがRF電磁信号のための送信及び受信アンテナとして作用する他の形状も可能である。送信及び受信コイル13は、電子送信及び受信回路15に接続される。
尚、望ましくは別個の受信コイル16が使用される。特に、表面コイル16は、受信コイルとして使用されうる。このような表面コイルは、比較的小さい体積内で高い感度を有する。表面コイルの空間感度プロファイルは、望ましくはボディコイルの均一な感度プロファイルに対して較正される。
表面コイルといった送信コイルは復調器24に接続され、受信される磁気共鳴信号(MS)は復調器24によって復調される。復調された磁気共鳴信号(DMS)は、再構成ユニットに印加される。受信コイルは、前置増幅器23に接続される。前置増幅器23は、受信コイル16によって受信されたRF共鳴信号(MS)を増幅し、増幅されたRF共鳴信号は復調器24に印加される。復調器24は、増幅されたRF共鳴信号を復調する。復調された共鳴信号は、撮像されるべき対象の部分の中の局所的なスピン密度に関する実際の情報を含む。更に、送信及び受信回路15は変調器22に接続される。変調器22、並びに、送信及び受信コイル15は、RF励起及びリフォーカスパルスを送信するよう送信コイル13を作動させる。再構成ユニットは、復調された磁気共鳴信号(DMS)から1又はそれ以上の画像信号を導出し、これらの画像信号は検査されるべき対象の撮像される部分の画像情報を表わす。再構成ユニット25は、実際上は、復調された磁気共鳴信号から、撮像されるべき対象の部分の画像情報を表わす画像信号を導出するようプログラムされるディジタル画像処理ユニット25として構築されることが望ましい。再構成の出力上の信号はモニタ26へ印加され、それによりモニタは磁気共鳴画像を表示しうる。或いは、更なる処理を待っている間、再構成ユニット25からの信号をバッファユニット27に格納することが可能である。
本発明による磁気共鳴撮像システムはまた、例えば(マイクロ)プロセッサを含むコンピュータの形の制御ユニット20を具備しうる。制御ユニット20は、RF励起の実行と、一時傾斜磁場の印加を制御する。特に、本発明によれば、制御ユニットは、読み出し傾斜パルス及び位相エンコード傾斜パルスといった傾斜磁場パルスのパルス形状を調整するようにされる。制御ユニットは、音響ノイズ減少が達成されるようパルスシーケンスをセットアップすることについてのユーザからのコマンドを受信するようにされる。このコマンドを受け取ると、制御ユニットは、k空間のアンダーサンプリングされた走査が適用され、磁気共鳴画像の再構成のために例えばSENSE技術が適用されるよう、パルスシーケンスをセットアップする。更に、パルス形状は、パルスシーケンスの信号走査時間が固有の信号走査時間に略等しいよう調整される。このために、本発明によるコンピュータプログラムは、例えば制御ユニット20及び再構成ユニット25にロードされる。
図2乃至図5は、固有の走査時間に対する実際の信号走査時間の比較の簡単な例を示す。図2乃至図5中、図示的に示され例として示される典型的なパルスシーケンスは、TSEシーケンスである。図2は、この例についての基準TSEパルスシーケンスを表わす。図2中、「Gread」と示されるグラフは、読み出し方向の読み出し傾斜磁場パルスを示し、磁気共鳴信号もまた示されている。グラフGsliceは、スライス選択傾斜磁場パルスを示す。Gencは、位相エンコード傾斜磁場パルスを示す。グラフRFは、無線周波励起及びリフォーカスパルスといったRFパルスを示す。パルスシーケンスは、検査されるべき対象中に磁気スピンを励起するよう例えば90°パルスといった励起RFパルス(RFer,α1)で開始する。RF励起パルス(RFer)は、RF励起パルス(RFer)と同時に印加されるスライス選択傾斜磁場パルス(Gslr)を通じてスライス選択的に作用する。続いて、横磁化成分をリフォーカスするために印加される連続的なRFリフォーカスパルス(Rflr,Rf1r,...Rf4r)(β1)は、スピンエコー磁気共鳴信号を発生するよう印加される。これらのRFリフォーカスパルスにより、一連のスピンエコー磁気共鳴信号(MR1r,MR2r,MR3r,MR4r)が発生する。空間エンコードを行うため、図2のグラフ「Genc」に示すように、位相エンコード傾斜磁場パルス(PE1r,PE2r,...PE8r)及び読み出し傾斜磁場パルス(RG1r,RG2r,RG3r,RG4r及びRG5r)が印加される。読み出し傾斜磁場パルスは、kx方向でのk空間の走査を達成する。続く位相エンコードパルス(PE1r,PE2r,...PE8r)は、ky方向の夫々のシフトを与える。読み出し傾斜磁場パルス及び位相エンコード傾斜磁場パルスの様々なパルス形状の時間的形状は、同じ基準時間的パルス形状を有する。特に、基準時間的パルス形状は、比較的短い固有の走査時間(TR0)を可能とするよう、比較的高いスルーレートを有する。
図2は、一定の繰り返し時間がTRである一般的な4ETL TSEシーケンスについての傾斜磁場及びRF波形を表わす概略的な表現を示す図である。従って、全信号走査時間は、Tscan=N×TRであり、Nは完全な画像マトリクスを取得するのに必要なインタリーブの数である。256符号化された画像マトリクスでは、N=64である。基準パルスシーケンスのこの信号走査時間Tscanは、この4ETL TSEシーケンスについての固有の信号走査時間である。傾斜磁場スルーレートは、この例では最大に設定される。
Figure 2005510320
一般的には、β1=2・α1であり、ただし、β1は、パルス形状、持続時間、t、及びピークRF磁場振幅の関数である180度RFパルスであり、一定の最大の可能な値B1maxμTに等しい。この例では、α1パルスの総数は64であり、完全にエンコードされた走査では、β1パルスの総数は4×64=256である。一定のTRでは、音響ノイズは、傾斜磁場振幅、スルーレート、及び傾斜磁場の傾きに比例する。全ての図は同じ縮尺で示されているとすると、図2中、傾斜磁場の振幅は、TSEシーケンスのパラメータによって必要とされる最初の振幅を表わす。傾斜磁場の立上り時間は、瞬間的であり最大のスルーレートを表わす。一般的には、
Figure 2005510320
となる。
G=傾斜磁場の振幅であり、S=傾斜磁場のスルーレートであり、Nslopes=傾斜磁場の勾配の数である。G、S、Nslopesのいずれか又はこれら3つ全てを減少させると、音響ノイズのかなりの低下が生じうる。
図3中、「Gread」と示されるグラフは、アンダーサンプリングが適用される実際のパルスシーケンスの例における読み出し傾斜磁場パルスのパルス形状を示す。グラフGsliceは、スライス選択傾斜磁場パルスを示す。グラフGencは、位相エンコード傾斜磁場パルスを示す。グラフRFは、無線周波数励起及びリフォーカスパルスといったRFパルスを示す。図3に示すパルスシーケンスは、図2に示す固有の信号走査時間及び基準パルス形状を有するパルスシーケンスと比較して、より低い振幅及びスルーレートを有するより少ない傾斜磁場パルスを有する。横磁化成分をリフォーカスするために印加されるRFリフォーカスパルス(Rf1a,...,Rf2a)の数は、図2に示す基準TSEパルスシーケンス中のRFリフォーカスパルスの数の約半分である。図3中の読み出し傾斜磁場パルス(RG1a,RG2a,RG3a)及びスライス選択傾斜磁場(Gs1a)は、図2に示す基準パルス形状のスルーレートに対して遙かに小さいスルーレートを有する。更に、より少ないスピンエコー磁気共鳴信号(MR1a,MR2a)が発生される。また、位相エンコード傾斜磁場パルス(PE1a,...PE4a)は、より低いスルーレート及び振幅を有する。繰り返し時間TRは、図2の基準パルスシーケンスに対するものと同じである。磁気共鳴信号の数のうちのより少ないもの、この例では半分、が取得されるため、実際の信号走査時間は固有の信号走査時間(Tscan)に等しい。
図3は、図2と同様であるが、読み出し傾斜磁場パルス及びスライス選択傾斜磁場のいずれの傾斜磁場スルーレートも減少される点で異なる。これは、SARが低下されることに加えて、音響ノイズが低下される効果を有する。傾斜磁場スルーレートが低下されるため、傾斜磁場波形をより離間させる必要がある。繰り返し時間TRは一定であり、利用可能な空きの時間があるため、全信号走査時間を犠牲とすることなく、図2に示すように同じTscanに維持したまま、行うことが可能である。この例では、完全なマトリクス取得を行うためにSENSEが用いられる。スルーレートを低下させることの更なる利点は、強い傾斜磁場を用いる高速撮像シーケンスにおいて末梢神経刺激(PNS)の原因となりうる(傾斜)磁場の時間導関数dB/dtを低下させるという効果を有することである。
図4中の「Gread」で示されるグラフは、アンダーサンプリングが適用される実際のパルスシーケンスの例において読み出し傾斜磁場パルスのパルス形状を示す図である。グラフGsliceは、スライス選択傾斜磁場パルスを示す。グラフGencは、位相エンコード傾斜磁場パルスを示す。グラフRFは、無線周波励起及びリフォーカスパルスといったRFパルスを示す。図4に示すパルスシーケンスは、図2に示す固有の信号走査時間及び基準パルス形状を有するパルスシーケンスと比較して、より低い振幅及びスルーレートを有するより少ない傾斜磁場パルスを有する。図4中、読み出し傾斜パルス(RG1a,RG2b,RG3b)及びスライス選択傾斜磁場(Gs1a)は、図2に示す基準パルス形状のスルーレートよりも遙かに小さいスルーレートを有する。更に、読み出し傾斜磁場パルス(RG2b,RG3b)は、振幅が小さくされ、時間が長くなっている。実際の信号走査時間(Tscan)は、固有の信号走査時間に等しい。
図4は、図3と同様のシーケンスを示すが、「Gread」傾斜波形は、ここでは振幅が小さくなり、時間が長くなっている。TRで利用可能な余分な時間は、結果として生ずるエコー間隔の増加を調整するのに用いられる。「Gread」波形を低くし、長くすることの正味の効果は、三つのものがある。
1.傾斜磁場振幅を小さくすることは、音響ノイズを更に減少させる。
2.傾斜磁場振幅を小さくすることは、PNSの可能性を更に減少させる。
3.「Gread」波形を長くすることは、多くの場合により高いSNRを生じさせるより低い取得帯域幅を用いることによって補償される。
SENSE技術は、再び、磁気共鳴画像の再構成のために実際に取得される64×2=128のエンコードステップから完全な256マトリクスを復元するために用いられる。
SARは、図3のものと同一であり(基準シーケンスを用いる走査よりも低く)、音響ノイズ及びPNS電位は、図3のものよりも更に低く、各エコーをサンプリングに用いられる帯域幅がより低くなっているため、SNRは改善される。再び、全走査時間Tscan及び画像解像度/性質は、本質的には図2の基準パルスシーケンスを用いた走査のものと等しい。
図5中の「Gread」で示されるグラフは、アンダーサンプリングが適用される実際のパルスシーケンスの例において読み出し傾斜磁場パルスのパルス形状を示す図である。グラフGsliceは、スライス選択傾斜磁場パルスを示す。グラフGencは、位相エンコード傾斜磁場パルスを示す。グラフRFは、無線周波励起及びリフォーカスパルスといったRFパルスを示す。図5に示すパルスシーケンスは、図2に示す固有の信号走査時間及び基準パルス形状を有するパルスシーケンスと比較して、より低い振幅及びスルーレートを有するより少ない傾斜磁場パルスを有する。図5中、読み出し傾斜パルス(RG1a,RG2b,RG3b)及びスライス選択傾斜磁場(Gs1a)は、図2に示す基準パルス形状のスルーレートよりも遙かに小さいスルーレートを有する。更に、RF励起パルス(Rfeb)及びリフォーカスRFパルス(Rf1b,RF2b)のピークRF磁場は、基準パルスシーケンスと比較して低い。また、図4の例と同様に、読み出し傾斜磁場パルス(RG2b,RG3b)は、振幅が小さくされ、時間が長くなっている。実際の信号走査時間は、固有の信号走査時間に略等しい。
図5は、図4と同様である。この場合、より低いB1を用いるRFパルスが用いられる(α2及びβ2で示される)。
より低いB1を用いることにより、シーケンスのSARを更に減少させる。更に、これはRFパルス帯域幅を減少させることを必要とし、より長い持続時間のRFパルスを生じさせる。この減少された帯域幅の結果として、「Gslice」傾斜磁場もまた振幅が減少される。この振幅の減少は、音響ノイズレベル及びPNS電位の更なる減少を生じさせる。
RFパルスは、持続時間が長くなっているため、より離れて離間している。TR内に残っている残存時間を用いて、RFパルスを更に離間させ、更に「Gread」傾斜磁場波形を長くし低くすることが可能である。この2次的な効果は、音響ノイズレベルの更なる低下と、SNRの更なる上昇の両方を生じさせる。
全ての上述の実施例のように、全取得時間は同じままであり、SENSE方法は、全256マトリクスに対するデータを発生するために用いられる。
この実施におけるPNS電位は、以前の例の場合よりも更に低い。
本発明が用いられる磁気共鳴撮像システムを概略的に示す図である。 固有の走査時間の実際の信号走査時間に対する比較を示す簡単な例である。 固有の走査時間の実際の信号走査時間に対する比較を示す簡単な例である。 固有の走査時間の実際の信号走査時間に対する比較を示す簡単な例である。 固有の走査時間の実際の信号走査時間に対する比較を示す簡単な例である。

Claims (6)

  1. 1つ又はそれ以上のパルスを含み、所定の完全な「撮像視野(field-of-view)」についてのk空間内での最大サンプリングレートに基づく固有の走査時間と、傾斜磁場パルスの基準時間的パルス形状とを有する、パルスシーケンスを印加し、
    空間感度プロファイルを有する受信器アンテナシステムにより一連の磁気共鳴信号を取得する方法であって、
    k空間中で所定の減少されたサンプリングレートでアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号を取得するようアンダーサンプリングされた信号取得が適用され、前記サンプリングレートは前記最大サンプリングレートと比較して減少係数で減少されたものであり、
    前記パルスシーケンスは、前記固有の走査時間に前記減少係数を掛け合わせたものよりも大きい実際の信号走査時間中に印加される、磁気共鳴撮像方法。
  2. 前記実際の信号走査時間は、前記固有の信号走査時間に略等しい、請求項1記載の磁気共鳴撮像方法。
  3. 前記パルスは、前記基準時間的パルス形状に関連する時間的な変化よりもゆっくりとした時間的な変化を有するパルス形状で印加される、請求項1記載の磁気共鳴撮像方法。
  4. 前記パルスシーケンスは傾斜磁場パルスを含み、前記傾斜磁場パルスは前記基準パルス形状に関連する前記スルーレートよりも低いスルーレートで印加される、請求項4記載の磁気共鳴撮像方法。
  5. 前記パルスシーケンスは無線周波(RF)パルスを含み、前記無線周波(RF)パルスは、前記基準パルス形状に関連する前記RF磁場成分よりも小さいRF磁場成分で印加される、請求項4記載の磁気共鳴撮像方法。
  6. 前記パルスのパルス形状は、前記パルスシーケンスの実際の信号走査時間を、前記固有の信号走査時間に前記減少係数を掛け合わせたものと前記固有の信号走査時間との間の範囲内に適応させるよう調整可能である、請求項1記載の磁気共鳴撮像方法。
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