以下、添付の図面を参照しながら、単なる例として実施形態および例について述べる。
図1に、ネットワーク接続されたウェブサイト、例えばワールドワイドウェブ上の航空座席予約システムを実現するための、大容量マルチサーバシステム1の適用例を示す。
図1に示すように、ユーザ5と通信するための外部ネットワーク3(例えばインターネット)をゲートウェイ7に接続することができ、ゲートウェイ7は、ウェブファームによって実現される入口エッジサーバグループ9に接続することができる。入口エッジサーバグループ9は、外部ネットワーク3へのインターフェースを形成する。次いで入口エッジサーバグループ9は、スイッチ11およびファイアウォール13によってウェブエッジサーバグループ15に接続することができ、ウェブエッジサーバグループ15もまた、図1に示すようにウェブファームとして実現することができる。ウェブエッジサーバグループ15は、例えばフライト時間などをチェックするために外部ネットワーク3からシステム1にアクセスするユーザ5によって容易にアクセス可能なウェブページをキャッシュする働きをすることができる。ウェブエッジサーバグループは、いくつかのブレードサーバ(BS)シェルフと、クリティカルなデータを記憶するためのいくつかのネットワークアドレス可能記憶(NAS)シェルフを含むことができる。ウェブエッジサーバグループ15はさらに、別のファイアウォール17によって複数のアプリケーションサーバ19に接続することもでき、これらのアプリケーションサーバ19は、例えばフライト予約の処理を担うものとすることができる。次いでアプリケーションサーバ19は、別のファイアウォール21を介してコンピュータシステム23および25に接続することができ、例えばこれらのコンピュータシステムは、航空座席予約に対する支払いを受領および処理するための金融サービスを含めた、電子商取引サービスである。
理解されるように、図1に関して上述したサーバシステムは、マルチプロセッササーバシステムに関する可能な用途の一例にすぎない。マルチプロセッササーバシステムには多くの様々な用途があり、このシステムは、このような1つまたは限られた数の用途のみでの使用に適用可能なものとは限定されない。そうではなく、本明細書に述べるマルチプロセッササーバシステムは、多くの様々な用途で使用されるように動作可能である。すべては列挙しないがこのような代替用途には、電子商取引ウェブサーバシステム、遠隔通信ネットワークサーバシステム、LANアプリケーションおよびファイルサーバシステム、リモート車両制御システムが含まれる。
図2を参照すると、正面から見たラックシステム31の概略斜視図が示してあり、これは、左右の前部垂直部材32および33と、左右の背部垂直部材34および35を含む。垂直部材は、シェルフ固定具(例えば、ブラケット、スライド、レールなどを装着するための、ねじ、ボルト、クリップなど)を受けるための穴付きで形成することができる。
図2には、ラックシステム31に装着されたブレードサーバシェルフ41の例も示してある。シェルフ41は、シェルフに沿って並んだ複数の情報処理カートリッジ43を搭載するように構成されたキャリアを形成する。
用語「シェルフ」は、本明細書では、ラックシステム31に装着可能な構造であって、1つまたは複数のコンポーネントを搭載してラック装着可能システムの少なくとも一部を形成するように構成された構造を記述するために、従来どおりに用いる。この例では、シェルフ41は3次元であり、高さ(H)、幅(W)、奥行き(D)を有する。この例では、シェルフをラックシステム31内に装着しやすいように、ある寸法(以下、高さHとして述べる)が他の寸法(以下、奥行きDおよび幅Wとして述べる)よりも小さい。幅および奥行きは通常、シェルフの設計を合わせるラックシステムの寸法によって制約されるが、高さに関しては、適切な規格およびパッケージングの問題を考慮した上でなら、より多くの自由があることは理解されるであろう。
各情報処理カートリッジは、少なくとも1つのプロセッサを備える。この例では、各情報処理カートリッジはサーバとして動作可能である。述べる例では、情報処理カートリッジは頑強な閉鎖型モジュールとして構成される。
これからより詳細に述べる例では、情報処理カートリッジは、キャリアシェルフ中に整列したときに矩形のスラブまたはブレードのように見える。したがって、情報処理カートリッジはブレードとして述べることができる。情報処理カートリッジ43は、筐体またはハウジングに入った情報処理モジュールを備え、そのため情報処理モジュールはカートリッジの形をとる。また、これからより詳細に述べる例では、情報処理カートリッジ43はコンピュータサーバとして動作することになるので、サーバブレードとして述べることもできる。したがってこの例の状況では、モジュール、カートリッジ、ブレードの用語を交換可能に使用する。
図示のシェルフ41の例は、16個の情報処理カートリッジ43を搭載するように構成されており、各情報処理カートリッジ43は、シェルフ前部のそれぞれの開口45に、取外し可能に装着することができる。それにより、シェルフ41をラックシステム31から取り外さなくても、情報処理カートリッジをシェルフ41の前部に挿入したり前部から取り外したりすることができる。
この例では、シェルフ41は、4支柱または2支柱のシステムを含めた一般的なラックシステムに装着するのに適した、概して矩形である3次元の筐体またはハウジング47を備える。これは、固定された強固なラック装着イヤー上に、かつ/または単純なスライド/支持システム上に装着することができる。この例は、例えば周知のIEC297およびEIA310仕様規格に定義されている標準的な482.6mm(19インチ)幅のラック(1インチ=25.4mm)向けに設計されており、高さはいわゆる3U(3標準ユニット)の高さに対応する。このような3Uユニットを、例えば奥行き635mm(25インチ)または762mm(30インチ)であるこのような482mm(19インチ)幅のラックシステムに装着するためには、筐体の高さを約130.5mmまでとし、幅を約445mmまでとし、ケーブル管理を除くすべてのハードウェアおよび横板を含めた奥行きを約635mmまでとし、横板の最前部の点から背部装着フィールド交換可能ユニット(FRU)の背部入出力コネクタパネルまでの奥行きを約610mmとして構成すればよい。当然、他のラックシステム向けに設計される他の例では、異なる寸法を有するものとすることができる。
このシェルフ41の例は、いくつかのモジュラーユニットまたはサブシステムを収納する単一の筐体またはハウジング47を有する。これらのモジュラーユニットの大多数はフィールドで交換可能であり、したがってフィールド交換可能ユニット(FRU)と呼ばれる。これらのモジュラーユニットには、情報処理カートリッジ43が含まれる。
シェルフ筐体47は、シート材料(例えば鋼板)から製作することができ、基盤51、2つの側面53および55、前部57、背部59を含むシャーシ部49を形成する。ここで使用する「前部」という語は、シェルフがラックシステム31に装着されているとき使用時にラックシステム31の主要アクセス側にある筐体表面または壁面57を指すために、本明細書での標識として使用するにすぎない。同様に、「背部」「側面」という語も、シェルフがラックシステム31に装着されているとき使用時にそれぞれの位置にくる表面または壁面59、53、55を指すために、本明細書での標識として使用するにすぎない。
情報処理カートリッジ43を収容するための開口45を前面57に形成することができ、また、後で説明するが、他のFRUを収容するための穴も背面59に形成することができる。筐体はさらに、適した固定具(例えばねじ)でシャーシ部49に固定することのできる取外し可能な上部カバー61も備えることができる。前面57および背面59にある穴により、シェルフをラックから取り外さなくても、少なくともいくつかのFRUをその前部または背部を介して適宜シェルフ筐体47に挿入および/または筐体47から除去することができる。前面47および背面59の穴の1つを介してアクセスすることのできない、シェルフに装着されたコンポーネントへのアクセスは、シェルフ筐体47をラックシステム31から取り外してからシェルフ筐体47の上部カバー61を取り外すことによって達成することができる。
図3は、第1の例でのシェルフ41の例の正面図である。シェルフ筐体47のシャーシ49の前面57(図2に示す)に嵌合するプラスチックの前部ベゼル63を提供することができる。前部ベゼル63は、シェルフ筐体47の前部の幅および高さ全体に及ぶ一体の取外し可能部分として形成することができる。別法として前部ベゼル63は、いくつかの別々のコンポーネントまたは成形物を備えることもできる。前部ベゼルは、情報処理カートリッジを識別し番号付けするための企業および製品のブランド印と、バーコードラベルと(すべて図示せず)のための領域を提供することのできる周辺部64を備えることができる。ベゼル63の周辺部64には、1つまたは複数の穴65を形成することができる。ベゼルの穴65は、シャーシの前面にある1つまたは複数の穴(例えばスロット(図3には示さず))と整列するように構成することができる。使用時、空気が穴65を通ってシェルフ筐体47に流入し、その背面59を介してシェルフ筐体47に装着されたFRUに達することができる。穴65を通って流れる空気は、プレナムチャンバ66(図3には示さず)に流入し、処理カートリッジ43の中を流れて背部装着FRUに達する。前部ベゼル63の中央領域67は開けられるようにして、情報処理カートリッジ43を挿入および除去するためにシェルフ筐体47の前面57にある開口45にアクセスできるようにすることができる。情報処理モジュールに対する位置にアクティブなモジュールが装着されていない場合は、ブランキングパネル44などのブランキングパネルまたはフィラーパネルをその位置に配置することができる。ベゼルの指定領域の奥にあるシステムインジケータ・プリント回路板(図示せず)上にLEDインジケータ69を装着し、ベゼルに組み込まれた光ガイドを介してシステムステータスの指示を提供することができる。LEDインジケータを搭載する他のシステムインジケータ板(これも図示せず)を、シェルフ筐体の背部から見えるようにその内部に設けることもできる。
前述のようにこのシェルフの例では、16個までの情報処理カートリッジ43を、シェルフの前面57にあるそれぞれの開口45に据え付けることができる。任意の据え付け形態で実際に据え付けられる情報処理カートリッジ43の数は、必要とされるシステム構成に応じて決まる。図3に示す情報処理カートリッジ43に関係する様々な特徴については後述する。
図4に、図2および3のシェルフユニットの背部を示す。これは、シェルフ筐体47の背部にあるそれぞれの穴72および82に挿入された異なる2つのタイプのFRU71および81(合計4ユニット)を示している。図4に示すFRUは、2つの一体型スイッチ・サービスプロセッサ(CSSP)71および2つの電源ユニット(PSU)81を含む。図4に示す様々な特徴については後述する。
これまで紹介してきた各FRU43、71、81と、シェルフ41の構造とに関するより詳細な記述に進む前に、図3、4、5、6、7を参照しながら、情報処理カートリッジ43、CSSP71、およびPSU81の簡単な説明を続ける。
図5Aに、情報処理カートリッジ43をいくぶん背部から見た斜視図を提供する。図5Bに、同じ情報処理カートリッジ43をいくぶん前部から見た斜視図を提供する。図5Cに、情報処理カートリッジ43の構造の分解組立斜視図を提供する。ここで、用語「背部」は、情報処理カートリッジを据え付けたときの、シェルフ41に対する位置の状況で適用されることに留意されたい(すなわちこの場合、情報処理カートリッジ43の「背部」は、情報処理カートリッジをシェルフ41に挿入したときに最も内側になる部分である)。同様に「前部」は、この状況では、情報処理カートリッジをシェルフ41に挿入したときに最も外側になる部分を指す。
図3、5A、5Bを参照すると、情報処理カートリッジは高さ(h)、幅(w)、奥行き(d)を有する3次元であることに気付くであろう。この例のように情報処理カートリッジがシェルフの端から端までの1次元のアレイ(列)に構成される場合、情報処理カートリッジの効率的なパッキングは、ある寸法(ここでは幅w)が他の寸法(ここでは奥行きdおよび高さh)よりも小さい場合に達成される。特定の例では、例えば処理カートリッジ43の筐体の高さh、幅w、奥行きdは、それぞれ115mm、26mm、315mmである。ただし当然、他の例では異なる寸法を有する場合もある。
この例の情報処理カートリッジ43の筐体101は、概して矩形である6つの面を有することに気付くであろう。便宜上、情報処理カートリッジ43がシェルフ41に装着されたときにラックの前部から見える面を前面102と呼ぶ。反対側の面は背面103と呼ぶ。この例では、この2つの面と、上面104および底面105と、側面106および107は、細長い矩形である。
この例では、情報処理カートリッジは概して矩形である6つの面を有するが、他の例では他の構成を有することもできることは理解されるであろう。例えば、別の例の情報処理カートリッジの側面は、概して矩形ではなく、概して三角形(その場合は情報処理カートリッジには5つの面しかない)や五角形(その場合は情報処理カートリッジには7つの面がある)などとすることもできる。実際、1つまたは複数あるいはすべての辺が湾曲していてもよい。ただし、例えば製造やエンジニアリングやシェルフ内パッキング密度の点で、ここでの構成が利点をもたらすことは理解されるであろう。
この例では、情報処理カートリッジ筐体101は、2つのハウジング部から製作されている。第1のハウジング部109は、例えば金属(例えばプレス加工された鋼)で製作することができ、一方の側面106と、背面103と、上面104の一部とを含むものとすることができる。図5Aでは、金属部109で形成された上面部分に参照1041を付してある。第2のハウジング部110は、例えばプラスチック材料で製作することができ、他方の側面107と、前面102および底面105、ならびに上面104の残りの部分1042とを含むものとすることができる。この例では、使用されるプラスチック材料はポリカーボネート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PCABS)だが、他のABSやナイロンなど、その他多くのプラスチック材料を使用することもできる。金属部109はまた、前面102に対応する部分1021と、底面105の一部に対応する部分1051も含む。これらの部分は、筐体101が完全に組み立てられたときにはプラスチック部110でカバーされる。これらの部分は、図5Cの分解組立図で見ることができる。2つのハウジング部109と110は、ねじ118などの固定具で相互に固定される。
図5Aに示すように、プラスチック上面部1042の長さに沿って溝108が走っている。この溝108は、シェルフシャーシのガイド部材(図5Aには示していないが図8Bおよび8Cを参照されたい)とインターフェースするために設けられる。図5Bおよび5Cに示すように、プラスチック部110の底面105にも同様の溝113が形成されている。この溝113は、シェルフシャーシのガイド部材(図5Bおよび5Cには示していないが図8Dを参照されたい)とインターフェースするために設けられる。
筐体101を提供することは、熟練技術者ではないオペレータでも情報処理カートリッジ43を安全に扱えることを意味する。また、筐体101を使用することにより、情報処理カートリッジは、その内部機構を外部環境から保護するとともにその逆にも保護する頑強なユニットになる。導電性の筐体、例えば金属製の筐体を使用する場合、情報処理カートリッジはそれ自体の電磁遮蔽を備えるものとすることができる。このためには、図5Cに示すように、筐体101に内部電磁妨害(EMI)遮蔽部材116も提供することができる。EMI遮蔽部材は、情報処理カートリッジ43の内部コンポーネント112(図5A〜5Cに関しては詳述しないが後続の図11および18を参照されたい)とプラスチック部110との間に配置することができる。EMI遮蔽部材は、例えば熱結合や接着剤でプラスチック部110に固定することができる。他の例では、プラスチック部に導電層が堆積されているものとすることもでき、あるいは導電プラスチック材料を使用することもできる。この例では、EMI遮蔽部材116には、シェルフシャーシおよび隣接するコンポーネントとよく接触するようにするために電磁妨害(EMI)フィンガ114が設けられている。これらのフィンガ114は、プラスチック部110中のEMIフィンガ穴1141を通って延びる。
図3、5B、5Cに示すように、情報処理カートリッジ43をシェルフ41の穴に挿入してラッチするのを容易にするために、情報処理カートリッジ43の前面102にはインジェクタ/エジェクタハンドル111が組み込まれている。
これらの図に示すように、インジェクタ/エジェクタレバーのハンドル111は、情報処理カートリッジ43の前面の高さのほぼ全体にわたって延び、それにより情報処理カートリッジ43の機械的利点を増大させ、その挿入および排出を容易にする。これらの図にさらに示すように、情報処理カートリッジ43の前面102は、情報処理カートリッジ43中に空気が流れるようにするための穿孔115を有し、これはこの例ではスリットである。金属部109の前面部1021も、情報処理カートリッジ43中への空気流が妨げられないように、前面102の穿孔に対応する穿孔を有する。図3、5B、5Cで、ハンドル111の中間がその両端よりも細くなっていることに気付くであろう。これにより、情報処理カートリッジ43の前面にある穿孔115への空気流に対するハンドル111の遮蔽の影響が低減され、またハンドル111が握りやすくなる。ハンドル111は、情報処理カートリッジの前面から外側に倒すことができ、それによってさらに握りやすくなり、穿孔に対する遮蔽の影響が低減される。他の例では、ハンドル111は、空気をさらに流れやすくするためにオープンフレーム状の構造を有してもよい。
図5Aに示すように、情報処理カートリッジ43の背面103もまた、情報処理カートリッジ43の背部から空気が排出されるようにするための穿孔117を有する。情報処理カートリッジ43の筐体101内には、ファンを配置することができる。この例では、ファンは一体型のラジアルファン(送風機)およびヒートシンクであり、冷却空気を情報処理カートリッジのプロセッサ上に向けて送る。情報処理カートリッジのファンもまた、筐体101内の空気の動きを促進する。LEDインジケータ119(図3および5B)を情報処理カートリッジの前面102に設けて、電源が入っているかどうか、サービス介入が必要かどうか、情報処理カートリッジ43を取り外せるかどうかを示すことができる。シェルフ41内での情報処理カートリッジ43の電気接続のために、コネクタ120、例えば40ウェイ・シングルコネクタアタッチメント(SCA−2)コネクタ(SCSI(small computer systems interface)コネクタ)を、情報処理カートリッジ43の背部に設けることができる。コネクタ120は、筐体101を繰り返しシェルフ41から取り外したりシェルフ41に挿入したりするのに耐えられることが有利である。コネクタ構成は、情報処理カートリッジを収容位置に挿入する間にモジュールがずれるのを防止するためのガイドピン構成を含むことができる。
このように、情報処理カートリッジ筐体の特徴および構造の例について述べた。特定の材料および構造について述べたが、他の例も採用できることは理解されるであろう。実際、この特定の例は処理カートリッジ43についての可能な一形式だけに関係するものであることを理解されたい。次に、図5Dを参照しながら代替構造の例について述べる。
図5Dに、代替の情報処理カートリッジ43をいくぶん背部から見た斜視図を提供する。ここで、用語「背部」は、情報処理カートリッジを据え付けたときの、シェルフ41に対する位置の状況で適用されることに留意されたい(すなわちこの場合、情報処理カートリッジ43の「背部」は、情報処理カートリッジをシェルフ41に挿入したときに最も内側になる部分である)。
この例では、情報処理カートリッジ筐体101は、プレス加工された鋼から製作され、2つのシャーシ部を形成している。第1の部分234は、一方の側面107と、前面102および背面103の一部と、上面104および底面105の一部とを含む。第2の部分235は、他方の側面108と、前面102および背面103の残りの部分と、上面104および底面105の残りの部分とを含む。2つのシャーシ部234と235は、溝236で接し、固定具(図示していないが例えば1つまたは複数のねじ)で相互に固定される。溝236は、筐体101の上面104および底面105に沿って走っており、シェルフシャーシ49のガイドレール(図5には示していないが図8Cを参照されたい)とインターフェースするために設けられる。シャーシ部に固定されたカバー部が、他方の側面106を形成する。ただし別の例では、シャーシ部は溝108以外の部分で接合されてもよいことを理解されたい。その場合は、溝108は完全に一方のシャーシ部中で形成される。別法として、筐体101はいくつかの鋼板で構築することもでき、その場合、各鋼板が面の1つを形成する。
図6に、一体型スイッチ・サービスプロセッサ(CSSP)カートリッジ(またはCSSP)71をいくぶん前部から見た斜視図を提供する。ここで、用語「前部」は、CSSPカートリッジ71を据え付けたときの、シェルフ41に対する位置の状況で適用されることに留意されたい(すなわちこの場合、CSSPカートリッジ71の「前部」は、CSSPカートリッジをシェルフ41に挿入したときに最も内側になる部分である)。
図4および6を参照すると、CSSPカートリッジ71は高さ(h)、幅(w)、奥行き(d)を有する3次元であることに気付くであろう。特定の例では、CSSP71の筐体の高さh、幅w、奥行きdは、それぞれ43mm、202mm、278mmである。ただし当然、他の例では異なる寸法を有する場合もある。
CSSPカートリッジ71のこの例の筐体121は、概して矩形である6つの面を有する。便宜上、CSSPカートリッジ71がシェルフ41に装着されたときにラックの背部から見える面を背面122と呼ぶ。反対側の面は前面123と呼ぶ。この例では、この2つの面ならびに側面126および127は、細長い矩形である。上面124および底面125も矩形だが、前面、背面、上面、底面のように細長くはない。この例では、CSSPカートリッジは情報処理カートリッジ43と同様に、概して矩形である6つの面を有するが、他の例では他の構成を有することもできることは理解されるであろう。
この例では、CSSP筐体121は鋼板で製作されており、底面125、前面123および背面122、側面126および127を含むシャーシ部を形成している。シャーシ部に固定されたカバー部が、他方の上面124を形成している。カバー部は、適した固定具、例えば1つまたは複数のねじ128でシャーシ部に固定される。ただし別の例では、筐体の他の面または部分がシャーシ部およびカバー部を形成することもできることは理解されるであろう。筐体121を提供することは、熟練技術者ではないオペレータでもCSSPカートリッジ71を安全に扱えることを意味する。また、筐体121を使用することにより、スイッチカートリッジは、その内部機構を外部環境から保護するとともにその逆にも保護する頑強なユニットになる。導電性の筐体、例えば金属製の筐体を使用することは、CSSPカートリッジがそれ自体の電磁遮蔽を備えることを意味する。このために、CSSP筐体121には、シェルフシャーシおよび隣接するコンポーネントと確実に良好に接触するようにするためにEMIフィンガ129が設けられる。
図4に示すように、シェルフ筐体の背面にある穴72に対してCSSPカートリッジ71を挿入したり取り外したりするのを容易にするために、CSSPカートリッジ71は2つのD字型ハンドル132を組み込んでいる。ラッチ部材131を、シェルフ筐体の背面に固定(例えばねじを使用して)できる板の上に旋回可能に装着することができる。ラッチ部材131は、ハンドル132のうちの1つを係合させてCSSPカートリッジ71を適所に固定するように構成される。他の例では、情報処理カートリッジと同様にして、CSSPカートリッジ71にインジェクタ/エジェクタハンドルを設けることもできる。図6に示すように、CSSPカートリッジ71の前面123は、CSSPカートリッジ71中に空気が流れるようにするための穿孔133を有する。図4に示すように、CSSPカートリッジ71の背面122は、CSSPカートリッジ71の背部から空気が排出されるようにするための穿孔135を有する。
CSSPカートリッジ71の例えば背面の穿孔部分135の後ろに、少なくとも1つのファンを配置して、CSSPカートリッジ71を通して前部から背部に冷却空気を送ることができる。図示のこの特定の例では、各穿孔セット135の後ろに1つずつ、2つのファンが提供される。図4に示すように、LEDインジケータ137をCSSP筐体121の背面122に設けて、電源が入っているかどうか、サービス介入が必要かどうか、スイッチを取り外せるかどうかを示すことができる。やはり図4に示す2×4スタックRJ−45コネクタ139と一体で、追加のリンクステータス・インジケータを設けることもできる。図4に示すように、電気接続141をCSSPの前面に(すなわち使用時にシェルフ筐体47の内側にくる面に)設けることができる。この例で使用するのに適した接続には、電力接続用コネクタ、シリアル管理データ接続用コネクタ、情報接続用コネクタが含まれる。この例では、情報接続は、例えば1ギガビット(Gb)のイーサネット(登録商標)情報通信プロトコルを使用して実現される。ただし、他のプロトコル、例えばインフィニバンド情報通信プロトコルも等しく使用することができる。コネクタ構成は、CSSPモジュールを収容位置に挿入する間にモジュールがずれるのを防止するためのガイドピン構成を含むことができる。このために、ガイドピンホール142を前面123に提供することができ、ガイドピンホール142にガイドピンを通してモジュール整列の助けとすることができる。
この例では、シェルフユニットの背部で、シェルフ筐体47の背面にある対応する穴72に、任意の一時点で2つまでのCSSP71を装着することができる。ある特定の実装形態で提供されるCSSP71の数は、システム構成および必要性に応じて、さもなければ冗長性のために変わってくる。
CSSPカートリッジ71についての可能な一構成について述べたが、情報処理カートリッジ43と同様、他の例では他の材料および/または構造を採用することもできることは理解されるであろう。
図7に、電源ユニット(PSU)カートリッジ81をいくぶん前部から見た斜視図を提供する。ここで、用語「前部」は、PSUカートリッジ81を据え付けたときの、シェルフ41に対する位置の状況で適用されることに留意されたい(すなわちこの場合、PSUカートリッジ81の「前部」は、PSUカートリッジをシェルフ41に挿入したときに最も内側になる部分である)。
図4および7を参照すると、PSUカートリッジ81は高さ(h)、幅(w)、奥行き(d)を有する3次元であることに気付くであろう。この特定の例では、シェルフ41の背部でFRUの高密度パッキングを可能にするために、PSUカートリッジ81は、概して同様である2つの寸法(以下、幅wおよび奥行きdとして述べる)を有する。特定の例では、PSUカートリッジ81の筐体の高さh、幅w、奥行きdは、それぞれ83mm、202mm、276mmである。ただし当然、他の例では異なる寸法を有する場合もある。
PSUカートリッジ81のこの例の筐体145は、概して長方形だが、「上部」「前部」の辺が切り取られて追加の「上部」「前部」傾斜面が形成されている。したがって筐体145は、概して矩形である5つの面と、概して矩形であり角の1つが切り取られた2つの面とを有する。便宜上、PSUカートリッジ81がシェルフ41に装着されたときにラックの背部から見える面を背面146と呼ぶ。反対の面は前面147と呼ぶ。この例では、PSUカートリッジの幅および奥行きが同様である場合、この2つの面と2つの側面150および151は、細長い形、および角の1つが切り取られた概して矩形の形である。これに対して、上面148および底面149は、やはり矩形であるものの、この例では著しく細長くはない。筐体の上前部に、上前面148aが存在する。したがって、筐体の前部は上辺で傾斜している。ただし、情報処理カートリッジ43と同様、他の例では他の構成を有することもできることは理解されるであろう。
この例では、PSUカートリッジ筐体145は鋼板で製作されており、底面149、側面150および151、前面147および背面146を含むハウジング部を形成している。ハウジング部に固定されたカバー部が、上面148および上前面148aを形成している。カバー部は、適した固定具、例えば1つまたは複数のねじ152でシャーシ部に固定される。ただし別の例では、筐体の他の面または部分がシャーシ部およびカバー部を形成することもできることは理解されるであろう。筐体145を設けることは、熟練技術者ではないオペレータでもPSUカートリッジ81を安全に扱えることを意味する。また、筐体145を使用することにより、PSUカートリッジ81は、その内部機構を外部環境から保護するとともにその逆にも保護する頑強なユニットになる。導電性の筐体、例えば金属製の筐体を使用することは、PSUカートリッジがそれ自体の電磁遮蔽を備えることを意味する。このために、PSU筐体145には、シェルフシャーシおよび隣接するコンポーネントと確実によく接触するようにするためにEMIフィンガ153が設けられる。
図4に示すように、シェルフ筐体の背面にある穴82に対してPSUカートリッジ81を挿入したり取り外したりするのを容易にするために、PSUカートリッジ81は2つのD字型ハンドル156を組み込んでいる。ラッチ部材155を、シェルフ筐体の背面に固定(例えばねじを使用して)できる板の上に旋回可能に装着することができる。ラッチ部材155は、ハンドル156のうちの1つを係合させてPSU81を適所に固定するように構成される。他の例では、情報処理カートリッジと同様にして、PSU81にインジェクタ/エジェクタハンドルを設けることもできる。図7に示すように、PSUカートリッジ81の前面147は、PSUカートリッジ81中に空気が流れるようにするための穿孔157を有する。図4に示すように、PSUカートリッジ81の背面146も、PSUカートリッジ81の背部から空気が排出されるようにするための穿孔159を有する。
PSUカートリッジ81の背面の穿孔部分159の後ろに、1対のファンを配置して、PSUカートリッジ81を通して前部から背部に冷却空気を送ることができる。LEDインジケータ161をPSU筐体81の背面146に設けて、入力電力が良好かどうか、出力電力が良好かどうか、サービス介入が必要かどうか、PSUを取り外せるかどうかを示すことができる。シェルフに接続するために、電気コネクタ163をPSUの前面に(すなわち使用時にシェルフ筐体47の内側にくる面に)設けることができる。この例のPSU81は、PSU81の前面147でSSI−MPS(Server Systems Interface−Midrange Power Supply)準拠の直角コネクタを利用してシェルフ41に接続するのが適している。各PSU81の電力入口83は、電力入力コードが偶然にまたは故意にPSU81から抜き取られるのを防止するために、PSUの背面146上のケーブル/コネクタ保持機構(図示せず)を組み込むことができる。
この例では、シェルフユニット筐体は、2つのホットスワップ可能なAC入力PSU81用のスロットをシェルフユニットの背部に備える。冗長電源を提供するために、両方のPSUスロットを埋める。より一般的には、N+M個の電源を提供することができ、Nは、シェルフに装着されたコンポーネントをサポートするのに必要な最小数の電源ユニットであり、Mは、冗長性をもたらすための0個、1個、またはより多くの選択可能な数の電源である。この例ではN=M=1である。
CSSPカートリッジ71の可能な一構成について述べたが、情報処理カートリッジ43と同様、他の例では他の材料および/または構造を採用することもできることは理解されるであろう。
情報処理カートリッジまたはスイッチの総定数が筐体に合わない場合は、ブランキングパネル/モジュール(例えば図3に示したブランキングパネル44)をすべての未挿入位置にはめ込んで、シェルフの適正な空気流および熱特性、すべてのシェルフコンポーネントのシェルフ余命にとって安全な内部動作温度、電磁両立性(EMC)の封じ込め、静電放電(ESD)の封じ込めを維持する。
情報処理カートリッジ43などの各FRUは有利にも、それ自体の頑強な筐体に収納されて、EMCの封じ込め、ESDの封じ込め、取扱い、格納、移送を容易にすることに留意されたい。各FRUは、フィールドサービス可能または顧客によるサービス可能な部分が内部にないように構成することができるという意味で、「封印された」ユニットとして構成することができる。FRUは、容易にシェルフ筐体にプラグ接続するように、またホットスワップ可能に構成することができる。FRUは、誤った配置およびシェルフ筐体への挿入を防止するために鍵を掛けることができ、ラッチ/ロック機構によって確実にシェルフ中に保持されるように構成される。
前述のFRUの例には、取外し可能媒体は備わっていない。この例では、各情報処理カートリッジ43およびCSSPカートリッジ71の内部に装着された63.5mm(2.5インチ)IDEかつ9.5mmまたは12.7mmプロファイルのハードディスクドライブ(HDD)デバイスによって、内部データ記憶域が提供される。この例では、これらのドライブはFRUと見なされず、ホットスワップ可能ディスクドライブではない。ただし他の例ではそのようにすることもできる。他の例では、情報処理カートリッジは内部ハードディスクドライブなしで構成することもできる。
以下、図8A、8B、8C、8D、および図9A、9B、9Cを参照しながら、シェルフ41およびそれに備わるミッドプレーン171の内部構成について述べる。
図8Aは、カバー61を除去したシェルフ41の例の内部構成を示す概略平面図である。図8Bは、フィールド交換可能ユニットを除去したシェルフ筐体のシャーシ部47を背部上方から見た概略斜視図である。図8Cは、フィールド交換可能ユニットおよび基盤51を除去したシェルフ筐体のシャーシ部47を前部下方から見た概略斜視図である。図8Dは、シェルフ41の基盤51の一部を前部上方から見た概略斜視図である。図9A、9B、9Cはそれぞれ、ミッドプレーン171の正面図、上面図、背面図である。この例では、ミッドプレーンは使用時、シェルフ41内に垂直に装着され、シェルフ41の前部と背部の間のほぼ半分の地点でシェルフ41の幅Wにわたって延びる。
垂直に装着されたミッドプレーン171は、この例では、シェルフ41の端から端まで延び、FRUの電気的相互接続を可能にする。ミッドプレーン171と共に、シェルフ41の前面57および背面59にある様々な穴には、ガイド(例えばレール181)およびキーイング、例えばFRUを筐体およびミッドプレーン171に挿入するためのオフセットコネクタの位置決めを提供することができる。ミッドプレーン171は、筐体内に固く垂直装着することのできる両面または多層プリント回路板(PCB)アセンブリとすることができる。これは、情報処理カートリッジ43上の対応するコネクタ120と電気接続するためのコネクタ175を前部表面172上に搭載することができる。また、CSSP71およびPSU81上の対応するコネクタ141および163それぞれと電気接続するためのコネクタ177および179を背部表面173上に搭載することもできる。様々なコネクタを相互接続するために、ミッドプレーン171上およびミッドプレーン171中に導電トラック(図示せず)を設けることができる。さらにミッドプレーンは、LEDインジケータセット69をそれぞれ搭載する第1および第2のインジケータ板183および184に接続される対応するコネクタを受けるためのコネクタも備えることができる。この例では、ミッドプレーン171はFRUとして構成されず、ホットスワップ可能ではない。空気がシェルフ41の中を流れやすいように、ミッドプレーン171は穿孔されている。ミッドプレーン171は開口185を備えることができ、開口185は、FRU43および81の筐体の開口と協同して、冷却空気がシェルフ41の前部から背部へ通過するための経路を形成する。冷却空気は1つまたは複数のFRU中のファンによって送られるが、ファンは、例えばPSU81中にあり、場合によっては情報処理カートリッジ43中にもある。
プレナムチャンバ床部材94が、ミッドプレーン171の前部からシェルフ筐体の前面57またはシャーシ47まで水平に延びているものとすることができる。この部材94はプレナムチャンバ66のための床を提供し、プレナムチャンバ66には、前部ベゼル中の穴65を介して空気が供給される。図示の例では、この穴は、シェルフ筐体47の前面57にあるスロット形状の穴68である。図示をわかりやすくするためにスロット形状の穴68が示してあるが、ブレード収容位置に整列した複数の穴68を提供してもよい。1つまたは複数の穴68は、プレナムチャンバ66に空気が流れるための通気孔として働くことができるとともに、図5Bおよび5Cに示したブレードのインジェクタ/エジェクタレバー111の上部にあるラッチ部に対するラッチ位置として働くこともできる。プレナムチャンバの上部および側面は、シェルフ筐体47の上部カバー61と側面53および54によって形成される。
プレナムチャンバ床部材94の下面には、複数のカートリッジガイド97を設けることができる。この例では、これらのガイドは、例えばばね鋼などの弾性金属であるばねワイヤ部材を備えるが、これらのばねワイヤ部材は、プレナムチャンバ床部材94の上表面に取り付けられており、それを貫通する複数の穴を通って延び、プレナムチャンバ床部材94の下面で一列のガイド97になっている。図8Bおよび8Cにこの構成を示す。図8Bでは、ばねワイヤ部材98がプレナムチャンバ床部材94の上表面に取り付けられているのが示されている。この例では、ばねワイヤ部材98は2つ1組で構成され、したがって各ばねクリップ98によって2つのガイド97が提供される。図8Cでは、ばねワイヤ部材98の突出部によって形成されたガイド97が、プレナムチャンバ床部材94の下面にあるのが示されている。各ガイド97は有利にも、図5A〜5Cに示した処理カートリッジ43の上面104にあるプラスチック材料中の溝108とインターフェースするように位置して、処理カートリッジをシェルフ41に挿入する間に正しい整列を助け、カートリッジの挿入を容易にする。ばねクリップをガイド97として使用することはまた、処理カートリッジを押し下げて処理カートリッジ43がしっかりと装着されるようにし、製造および動作の耐性を考慮に入れ、オペレータが処理カートリッジを完璧に整列させない場合にその挿入を助ける働きをする。
別のカートリッジガイドの列99を、シェルフ41の基盤51の上表面にも設けることができる。この例では、図8Dに示すようにこれらのガイド99はレール状の形をしているが、これは、シェルフ41の基盤51を通してパンチまたはスタンプすることによって達成することができる。この例では、各ガイドまたはレール99は、基盤51を通る穴100によって分離された一対の垂直部を含む。穴100のサイズは、垂直部の間の幅に対応するものとすることができる。垂直部の分離は、結果として得られるレールの幅全体が情報処理カートリッジ43の下面に形成された溝の幅よりもわずかに狭くなるように選択する。したがって、各ガイド97は有利にも、図5A〜5Cに示した処理カートリッジ43の下面104にあるプラスチック材料中の溝1113とインターフェースするように構成されて、処理カートリッジをシェルフ41に挿入する間に正しい整列を助け、カートリッジの挿入を容易にする。
この例では、ガイド97および99が金属で形成された場合、各情報処理カートリッジ43の上面および下面のプラスチック材料中に溝108および113(図5A〜5B参照)をそれぞれ設けることによって金属とプラスチック材料の組合せが得られ、これにより、摩擦相互作用を小さくして情報処理カートリッジの挿入を容易にすることができる。
例えば、情報処理カートリッジ筐体が金属製である場合、金属同士の相互作用を避けるため、金属のガイドを設けるのは望ましくないことがある。このような場合は例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリテンなど、摩擦係数の低いプラスチック材料でガイドを形成するのが望ましいことがある。プラスチックのレールは、プレナムチャンバ床部材94の下面および/またはシェルフ41の基盤51の上面に取り付けることができる。このような例では、情報処理カートリッジ43の上面および下面の溝は、金属またはプラスチックで形成することができ、なお低摩擦の構成が得られる。
CSSP/PSU仕切り板96をミッドプレーン171の背部に設けることができ、これはシェルフ筐体47の背面59まで水平に延びるものとすることができる。CSSP71を挿入するとき、CSSP71は仕切り板96によって支持される。CSSP71を正しく挿入するための助けとして、CSSP71に接続するためのミッドプレーン171上のコネクタ177に隣接する位置に、CSSPガイドピン178が設けられる。
前面57および背面59に、それぞれの位置88および89を形成することができ、これらの位置に、インジケータLED69を支持する第1および第2のインジケータ板183および184を配置することができる。したがってこれらの位置88および89は、シェルフ筐体47のそれぞれの面を通る穴を備え、それにより、シェルフ筐体47の内側に取り付けられた回路板上に装着されたインジケータLED69がシェルフ筐体の外側から見えるようになっている。
次に、ミッドプレーン171についてより詳細に述べる。
前述のように、ミッドプレーン171はシェルフのすべての要素を共に接続する。この例では、これらの要素には、16個までの情報処理カートリッジ43、2つまでのCSSP71、2つのPSU81、2つのインジケータ板183および184が含まれる。この例では、シェルフ筐体内におけるミッドプレーン171の位置により、ミッドプレーン171はスワップ可能に構成されていない。したがって、システム信頼性を最大限にするために、ミッドプレーンはできるだけ高レベルの信頼性をもたらすように構成する。このためにミッドプレーンは、能動デバイスなしで構成し、優れた設計手法に整合する最小限の数の減結合コンデンサ(理想的には0個)を備えるように構成することが有利である。
ミッドプレーンは、FRUを相互接続するために、様々な電力線および信号線のいくつかの経路をサポートする。
この例では、各情報処理カートリッジ43は、各CSSP71への高速情報信号接続(例えばギガビット(Gb)イーサネット(登録商標)・シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)接続)を有し、各接続は、差分信号の2つの対で構成される。したがって従来方式で、対のバランスを単一の信号層上(すなわちバイア(via)なし)で適切に保つようにこれらの信号の経路の追跡がなされており、このような高周波数の差分信号をサポートする。
さらにこの例では、各情報処理カートリッジ43は、CSSPカートリッジ71へのシリアルコンソール接続を有する。各接続は、送信と返信(TXとRX)の対をなす2つのTTL(トランジスタ−トランジスタ・ロジック)レベル信号で構成される。
また、各PSU81は、CSSPカートリッジ71への管理信号接続(例えばシリアルI2C(Inter−ICバス)接続)を有し、電力を制御し環境パラメータを監視する。I2Cバスは、2つの信号SCLおよびSDL(シリアルクロック線およびシリアルデータ線)で構成される。さらに、PSU81にはI2Cアドレスプログラミングピンが備わる。
各情報処理カートリッジ43およびPSU81は、それぞれのInserted_L信号(すなわちアクティブ・ロー信号)を接地(GND)にプルすることによって、それが挿入されていることをCSSPカートリッジ71に信号で知らせることができる。これらの信号は、ミッドプレーン171を介してCSSPカートリッジ71に供給される。
各PSU81は、5つの12ボルト出力レールを有する。各PSU81からのルーティングは、いずれかの単一のFRUに故障があってもそれが他のいずれかのFRUへの電力を完全に中断することはできないように構成される。
前述のように、ミッドプレーン171には、FRU上のコネクタを受けるための適切なコネクタ構成が設けられる。
この例では、情報処理カートリッジ43は、SCSI(Small Computer Systems Interface)規格で定義されている40ピン・シングルコネクタアタッチメント(SCA−2)コネクタを介してミッドプレーン171に接続する。したがって、ミッドプレーンは対応するコネクタ175を搭載する。
この例では、各CSSPカートリッジ71は、2つの直角20ペア・コネクタ(例えばTyco Electronicsから入手可能な2mmHM−Zdコネクタ)を介してミッドプレーン171に接続する。ミッドプレーン上の対応するコネクタ177は、電力コネクタ付きストレートオス部品である。コネクタに加えて、挿入中にモジュールがずれてピンが曲がるのを防止するためにガイドピン構成が設けられる。ガイドピンはまた、リード接地も提供する。CSSPカートリッジ71はまた、直角125ウェイ5列2mmコネクタを介してミッドプレーン171に接続する。ミッドプレーン171上のコネクタ177は、ストレートオス部品を含む。コネクタに加えて、挿入中にモジュールがずれてピンが曲がるのを防止するためにガイドピン構成が設けられる。
この例では、前述のように各PSU81は、SSI−MPS仕様のコネクタを介してミッドプレーン171に接続する。接触は、シーケンス付けられた信号(S)ピンおよび電力(P)ピンで5P/24S/6Pに構成される。PSU上のコネクタが1450230−1R/Aオスヘッダおよびはんだテールのコネクタの場合は、ミッドプレーン上の対合するコネクタ179は1450540−2垂直レセプタクルの圧入コネクタとすることができる。
この例では、システムの前部および背部にインジケータ板183および184(図8A参照)が設けられ、これらはFRUとして構成される。この例では、これらは3つのシステムレベルインジケータLED69を保持し、FRU識別(FRU−ID)プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)をそれぞれ備える。3つのLED69がインジケータ板上にある。例えば、ユーザがシステムを突き止めるために切り換えることのできる白いロケータLEDと、システムに電源が入っているときを示すための緑色の電源オンLEDと、サービス提供を必要とする故障または他の状況を示すための黄色の要サービスLEDがあるものとすることができる。これらのLEDはCSSP71によって駆動することができる。
この例では、ミッドプレーン171に対する識別情報(FRU ID)が、前部インジケータ板183中のI2C電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)に保持される。CSSP71は、FRU ID EEPROMにアクセスするのに必要なI2C信号に加えて、電流制限された供給もミッドプレーンを介してインジケータ板183および184に提供する。インジケータ板183および184にはまた、I2Cアドレスプログラミングピンも備わる。実装形態に応じて、FRU ID情報は、代わりにまたは追加で背部インジケータ板184に記憶することもできる。
ミッドプレーン171に対するFRU−IDがインジケータ板183と184の一方または両方に保持されるので、ミッドプレーンは完全に受動ユニットとすることができる。FRU−ID PROMは、I2Cバスを介してCSSP71と通信する。バス上の各デバイスは、別々のI2Cアドレスを有する。使用されるEEPROMの、下位の3つのI2Cアドレスビットは、デバイス上のピンとして利用可能であり、抵抗器でプログラムすることを可能にする。このアドレスの最下位ビット(A0)は、対応するコネクタを介してミッドプレーンに渡される。これによりミッドプレーン171は、前部インジケータ板についてはアドレスをローにプルし、背部インジケータ板183についてはハイにプルすることによって、FRU−IDのアドレスを前部と背部のインジケータ板183と184とで異なる方式でプログラムすることができる。これにより、バス上で両方のEEPROMが異なるアドレスで利用可能になる。ミッドプレーンに対するFRU−IDは、前部と背部のどちらのEEPROMに記憶してもよいが、この例では、FRU−IDは前部インジケータ板183上のEEPROMに記憶される。EEPROMは8キロバイトまたはそれ以上とすることができる。
前述のように、ミッドプレーン171は、シェルフ41を通過する冷却空気のための通風経路を提供する開口185を備える。ミッドプレーン171を介してシェルフ41を通過する冷却空気は、情報処理カートリッジ43および電源モジュール81のそれぞれに設けられたファンによって送ることができる。図8B、9A、9B、9Cに示す開口185は、ミッドプレーン171の開口の概略図を形成している。実際には、開口はどんな形でもよく(すなわち一連の大きい開口や、いくつかの小さい穿孔)、様々なフィールド交換可能ユニット43、71、81中の対応する開口または通風穴と整列するようにミッドプレーン上に配置される。このようにして、情報処理モジュール、スイッチ・サービスプロセッサモジュール、電源ユニットモジュール43、71、81中のファンユニットおよび通風開口または穴の詳細構成に応じて、シェルフの前部から背部への空気流の経路をできるだけ効率的に構成することができる。フィールド交換可能ユニット43、71、81中にファンを設けることは、シェルフ41のシャーシ49およびミッドプレーン171に能動コンポーネントがないように維持するという目的に寄与し、それによりコストが最低限に抑えられ、保守が容易になる。また、各フィールド交換可能ユニット中にファンユニットを設けることにより、フィールド交換可能ユニットを挿入および除去するだけで自動的に、シェルフ41に挿入されたフィールド交換可能ユニットの数およびタイプに冷却空気の流れが適合する。
前述のようにこの例では、各FRUは、ユーザによるサービスが不可能なユニットとして設計されている。したがって各FRUは、希望または必要に応じてシェルフ41に挿入したりシェルフ41から取り外したりすることのできる「封印」ユニットをユーザに提示する。FRUが動作不能になった場合、ユーザは、そのFRUを修理のために供給業者またはサービス会社に返すか、動作不能になったユニットを廃棄するかの選択肢だけを有する。FRUはユーザによるサービスが不可能なので、FRUをシェルフ41に挿入したりシェルフ41から取り外したりする際に熟練技術者を採用する必要はない。したがって、各FRUは、熟練者ではない人間がFRUの取扱い中に損傷を加えるのが困難になるべく設計される。さらに、FRUの構成および構造(例えばインジェクタ/エジェクタレバー、情報処理ユニットの筐体の溝など)、シェルフ筐体およびミッドプレーンの構成および構造(例えばFRUの挿入をガイドするためのガイドレール、位置決めピンなど)が、FRUを挿入したり取り外したりしやすくするのに寄与する。
図10に、シェルフ41およびそれに装着されたFRU43、71、81を通る冷却空気の流れの例を示す。
この例では、シェルフ41を通過する冷却空気は、CSSP71およびPSU81内に装着された冷却ファンによって、シェルフ41を通して概して前部から背部への方向に取り入れられる。この例では、2つの別々の冷却空気流経路が形成されている。点線77で流れ経路ααとして示す第1の経路は、CSSP71への冷却空気を提供する。点線78で流れ経路γγとして示す第2の経路は、情報処理カートリッジ43およびPSU81への冷却空気を提供する。
経路ααに沿った冷却空気の流れは、シェルフ筐体47の前面57にある穴65を通ってシェルフ41に入り、プレナムチャンバ66中に流れる。他の穴(図示せず)をシェルフ筐体47の側面53および55に設けて、空気がプレナムチャンバ66中に流れるようにしてもよい。次いでこの空気は、プレナムチャンバ66の中を流れ、ミッドプレーン171の上辺の上を通過して、CSSP71の前面にある穿孔133に到達する。次いで冷却空気はCSSP71の中を通り、その中のコンポーネントに冷却をもたらしてから、CSSP71の背面にある穿孔135を通ってCSSP71の外に出て、それによりシェルフ41から排出される。流れ経路ααに沿ったこの冷却空気の流れは、各CSSP71内に装着されたファン79によって送られる。この例では、1対のファン79が各CSSP71内に提供され、その背面に対して装着されている。
経路ααに沿った空気流は、プレナムチャンバ床部材94があるため処理カートリッジ43の周りを流れることはなく、また、CSSP/PSU仕切り板96があるためPSU81に流れることはない。したがって、この流れ経路ααは、CSSP71に流れる空気が処理カートリッジ43を通る通路によって温まらないようにし、それにより最大限の効率の冷却をCSSP71にもたらす。
経路γγに沿った冷却空気の流れは、情報処理カートリッジ43の前面にある穿孔115を通ってシェルフ41に入る。したがって、空気は情報処理カートリッジ43に入り、そのコンポーネントに冷却をもたらす。情報処理カートリッジ43内の冷却ファン(図示せず)が、情報処理カートリッジのプロセッサ(CPU)に向けて冷却空気を送り、カートリッジ中の空気の流れを方向付け、それにより冷却効率を高める。次いで空気は、情報処理カートリッジ43の背面にある穿孔117を通ってその外に出る。次いで空気はミッドプレーン171の穴185を通過してPSU81に達する。次いでこの冷却空気は、PSU81の前面および上前面にある穿孔157を通ってPSUに入り、そのコンポーネントに冷却をもたらす。図10から理解されるように、PSU81の上面に傾斜背部があることによって、空気をPSU中に取り入れることのできる領域が増大し、それにより、シェルフユニットの中を流れる空気にかかる背圧が減少し、冷却効率の一助となる。経路γγに沿った冷却空気の流れは、PSU81内に装着されたファン85によって送られる。この例では、1対のファン85が各PSU81内に提供され、その背面に対して装着されている。
経路γγを介してPSU81に到達した空気は、すでに処理カートリッジ43の中を通ってきたものである。したがって、このような空気はすでに、処理カートリッジ43の中を通ることによってシェルフ41の外の周囲温度以上に温まっていることになる。しかし、PSU81の冷却要件は一般にCSSP71の冷却要件よりも低いので、このことはPSU81の動作に何ら困難を生じず、PSU81は、すでに温まったこの空気の流れによって適切に冷却される。ミッドプレーン171を通る穴185を通った、すでに温まった空気は、SCCP/PSU仕切り板96があることにより、経路αα中に流れ込んでCSSP71に入ることはない。
当業者には理解されるであろうが、図10に示す構成は例示的なものにすぎず、他の構成も容易に構築することができる。例えば他の構成によれば、プレナムチャンバ66からの冷たい空気と処理カートリッジ43からの温まった空気とを混合して、背部に装着された各FRUに提供することもできる。
次に、図11を参照しながら、情報処理カートリッジ筐体101内に含まれる情報処理カートリッジ43の機能要素について述べる。
情報処理カートリッジ43は、マイクロプロセッサ192を備える(限定しないが、この例で利用できるマイクロプロセッサの一例はUltraSPARC(登録商標)プロセッサである)。マイクロプロセッサは、情報処理カートリッジのマザーボード191上に装着される。
水晶を利用するプログラマブルクロックシンセサイザとして構成された構成可能クロック発生器193を使用して、CPUクロック信号CLKAおよびCLKBを生成することができる。クロック周波数は、ジャンパ設定(図示せず)によって決定することができる。ベクトル割込みコントローラ(Iチップ)194および構成可能コア電圧調整器モジュール(VRM)195が提供される。
この例では、命令実行時にプロセッサ192によって使用されるメモリ手段を、バッファ付きダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の形で提供することができる。例えばこれは、エラー訂正符号(ECC)使用の72ビットデータ経路によるデュアルインラインメモリモジュール(DIMM)196として構成して、情報処理カートリッジのマザーボード191から出たライザーカード上の2つのソケットに設置することができる。メモリ容量は、プロセッサによるアドレス指定可能なメモリ空間に適合するように選択することができる。例えばこの例では、4ギガバイト(4GB)までのアドレス指定可能メモリを提供することができる。I2Cバス197を介したサービス管理バス(SMBus)によって、シリアルプレゼンスディテクト(SPD)自動構成がもたらされる。
この例では、SuperIOと2つのGbイーサネット(登録商標)・メディアアクセス制御(MAC)デバイスとを伴ういわゆるサウスブリッジ・バスブリッジ199を使用したPCIバスアーキテクチャを採用することができる。ただし前述のように、他のバスプロトコル(例えばインフィニバンド)を使用することもできる。マイクロプロセッサ192から32ビットPCIバス198を提供することができる。サウスブリッジ199は、標準的な形のバスブリッジであり、この例では352ピンPBGA(プラスチックボールグリッドアレイ)パッケージ中にパッケージされているが、これは以下の機能を提供する。すなわち、メモリコントローラの初期化を可能にするDIMMのSPD(シリアルプレゼンスディテクト)機能にアクセスするための、I2Cバス197を介したSMバスインターフェースと、Xbus200(これはパケット交換マルチプロセッサバスである)を介してPROM201、リアルタイムクロック(RTC)202、および情報処理カートリッジ・サービスコントローラ(以下、ブレードサービスコントローラ(BSC)と呼ぶ)203にアクセスするためのXbusインターフェースと、IDEディスクドライブ205へのATA−100(ATアタッチメント)IDE接続204を提供するIDE(Integrated Drive Electronics)インターフェースと、コンソール機能を含めたシステム機能をこの実施形態で動作させるのに使用されるBSC203へのサービスバス206上のシリアルコンソールインターフェースである。
ミッドプレーン171への入出力のために、この例では2つのAC結合イーサネット(登録商標)インターフェース207および208が提供され、これらは316ピンPBGA中にパッケージされている。これらのイーサネット(登録商標)インターフェースは、ギガビットイーサネット(登録商標)性能までの動作が可能なPCI取付け式イーサネット(登録商標)MACを提供することができる。物理層は、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)209および210を使用して実現することができる。SERDESデバイスの一例は、Texas Instruments,Inc.製のTLK2201トランシーバである。SERDESデバイスは、差分PECL TX+/−およびRX+/−(正エミッタ結合ロジックの送信および受信)の対を使用して、ミッドプレーン171を介してCSSP71のスイッチ部に通信する。RX+/−の対は、情報処理カートリッジ43においてAC結合することができ、TX+/−の対は、各CSSP71においてAC結合することができる。これにより、情報処理カートリッジ43およびCSSP71のホットスワップが容易になる。
BSC203とCSSP71のサービスプロセッサ部との間の通信のために、非対称シリアル接続211および212を提供することができる。
この例では、休みなく連続して動作するように定められた(rated for 24/7 continuous operation)30GBまたはそれ以上の容量のハードディスク205によって、内部データ記憶域を提供することができる。ハードディスク205には、サウスブリッジ199の一次IDEインターフェースを使用してアクセスする。ハードディスク205は、例えばSolarisオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと、情報処理カートリッジ43内のメインまたはホストプロセッサ(CPU)を使用して情報処理を実施するためのその他のソフトウェアおよびデータを保持することができる。
この実装形態では、BSC203はマイクロコントローラ(例えばHitachi H8マイクロコントローラ)として実現することができる。BSC203は様々な機能を提供することができ、例えばこれらの機能に含まれるのは、情報処理カートリッジについてのブート情報およびFRU−IDを得るためにPROM201およびEEPROM213に二重アクセスすること(情報処理カートリッジおよびCSSP71のための機能)と、情報処理カートリッジ43とCSSP71のサービスプロセッサ部との間のチャンネリング通信と、マイクロプロセッサ192に対するパワーオンリセット(POR)、システムリセット、外部主導リセット(XIR)の制御と、電力LED、要サービスLED、除去可能LED69の制御と、シリアルインターフェースを介してフィールドアップグレード可能ファームウェアをアップグレードすることと、オペレーティングシステムに対するウォッチドッグ機能と、CPUファン214の速度監視と、Xbus200を介したEEPROM215およびオペレーティングシステムとの通信である。
この例では、CSSP71およびPSU81がミッドプレーン171に完全に挿入されるとすぐに、5Vサービスバス(SB)レールによってBSC203に電力を供給することができ、次いでBSC203は、他のDC/DC変換器をオンにして、情報処理カートリッジ43の残りの部分に電力を提供する。5V供給レールを監視する単純な従来型のパワーオンリセット(POR)発生器から、BSCリセット信号を得ることができる。
この例では、OpenBoot(登録商標)PROM(OBP)およびパワーオンセルフテスト(POST)用のブート変数を記憶するために、1メガバイトのフラッシュPROM201を提供することができる。他のOBP変数を、サウスブリッジSMバスポートを通しICバス197を介してアクセス可能な第2の16キロバイト(16kB)I2C PROM215に記憶することもできる。PROM215は、OBP変数用の8キロバイト、および未使用空間8キロバイトを含むことができる。BSC203を介してアクセス可能な16キロバイトI2C EEPROM213は、BSC変数およびFRU−ID変数を含むことができる。このEEPROMは公称で、FRU−ID用の8キロバイトとBSC変数用の8キロバイトに分割される。BSCファームウェアによって、FRU−IDに対する書込み保護が実施される。このような書込み保護は、例えば、保護領域に書き込む命令を確認してもこれらの書込み命令を実施しないことによって行うことができる。
CPU温度および周囲温度を監視するために、環境監視センサ215を提供することができる。このセンサは、BSC203からオンボードI2Cバスを介してアクセス可能とすることができる。
情報処理カートリッジ43には、2つのダイオードコモン化9V電源レール216および217から電力供給することができる。DC/DC変換器218を使用して、情報処理カートリッジ43に必要な電圧レベルを提供することができる。DC/DC変換器218は、個別にヒューズ(219、220)されてからダイオードコモン化(221、222)された、二重9V入力216、217から供給を受ける。FRUが完全に挿入されるとすぐに、5VのDC/DC変換器をオンにすることができ、BSC203とサウスブリッジ199の必要な部分とに電力が供給される(5VSBレール)。電界効果トランジスタ(FET)を使用して、情報処理カートリッジ43の残りの部分への主要5V供給をゲートオフすることができる。DC/DC変換器の出力および主要5V FETは、BSC203がサウスブリッジ199からの信号を介してそれらをオンにするまではオンにしないように構成することができる。サウスブリッジ199を使用して、BSC203がリセット(ウォッチドッグのタイムアウトによって、またはファームウェアのダウンロード後に)されてもDC/DC変換器218の状態が影響を受けないようにすることができる。DC/DC変換器218からの残りの出力が仕様の範囲内である場合、BSC203に対してPWR_GOOD信号をローにアサートすることができる。
サウスブリッジ再開回路が3V3から稼動するように動作可能とすることができ、単純なツェナーダイオードドロッパ回路を使用して5VSB供給から3V3を生成することができる。
FRUが挿入されるとき、突入電流を例えば1A未満に制限することができ、上昇率が所定値(例えば20A/s)を超えないように構成して、ホット挿入を容易にするためのいわゆるソフトスタートをもたらすことができる。この意図は、コネクタへの損傷を防止し、雑音が生成されないようにすることである。ソフトスタートコントローラ223は、電圧レベルのランプアップを制御するものであり、所定の信号(Inserted_L信号)がローにアサートされたときにイネーブルにすることができる。この信号は、コネクタ中のショートピン上にあり、ミッドプレーン171を介して接地(GND、図示せず)に接続される。
この例では、プロセッサインピンジメントファン(プロセッサファン)214が、最高速度で稼動して情報処理カートリッジ43およびファンを冷却するように構成される。プロセッサファンおよびシンクの速度は、BSC203によって、マイクロプロセッサ上の回転速度計感知ピンを使用して監視することができる。ファン速度が所定の速度またはその公称速度の何割か(例えば80%)を下回った場合に、BSC203が警告を発するように構成することができる。ファンの公称速度は、BSC EEPROMの内容の一部として記録しておくことができる。
情報処理カートリッジ43とミッドプレーンとの間の接続は、情報処理カートリッジ43用のミッドプレーンコネクタ120を使用して確立する。この例では、これは84個までの接続(ピン)をサポートし、これらの接続は、SERDES出力224、225、I2C信号226、227、電力216、217を送達する。信号接続は、直角コネクタによって行うことができる。電力接続は、情報処理カートリッジの直角コネクタによって行うことができる。コネクタは、例えば挿入力を小さくすることおよび/またはガイドピンを設けることで、保守容易性を高めるとともに挿入中のモジュールのずれを防止することにより、情報処理カートリッジのホットスワップを容易にするように構成することができる。
プロセッサ192への割込みは、符号化割込みベクトル機構を使用して符号化することができる。Iチップエミュレータ(ICE)228が、割込み集中装置として機能し、すべてのシステム割込みを受け取って、プロセッサ192によって利用可能な割込みベクトル符号に従ってそれらを割込みベクトルとして符号化する。この例では、UltraSPARC(登録商標)プロセッサが使用される場合、割込みベクトル符号化は6ビット割込みベクトル符号に基づくことができる。
次に、図12を参照しながら、一体型スイッチ・サービスプロセッサ(CSSP)71の例について述べる。この例では、各CSSP71は、スイッチ73とシェルフサービスプロセッサまたはシェルフサービスプロセッサ(SSP)74の機能を提供する。
図12に、スイッチ73の機能コンポーネントおよびSSP74の機能コンポーネントを含めたCSSP71の機能コンポーネントの概観を提供する。この例では、スイッチ73に関係するコンポーネントのほとんどはスイッチPCB231上に装着され、SSP75に関係するコンポーネントはSSP PCB232上に提供される。ただし、スイッチPCB321の下方の位置(すなわち、図12に示すSSP PCB232よりも低い位置)にあるコンポーネントは、論理的にはスイッチ73ではなくSSP74に属することに留意されたい。うまく動作するためにこのようなコンポーネント構成が必須というわけではなく、任意の数のコンポーネント板にわたる他の任意のコンポーネント構成を、従来のコンポーネント構成技法を使用して容易に達成できることは理解されるであろう。
まず、図12を参照しながら、CSSP筐体121に含まれるCSSP71のスイッチ部73の機能要素について述べる。
CSSP71上のミッドプレーンコネクタ141が、CSSP71とミッドプレーン171との間の接続を確立する。この例では、これは84個までの接続(ピン)をサポートし、これらの接続は、SERDES出力265〜268、I2C信号310、320、321、322、電力278、279を送達する。信号接続は、2つの20ペア直角コネクタによって行うことができる。電力接続は、直角コネクタによって行うことができる。コネクタは、ボードを例えば小さい挿入力でホットスワップしやすくするように構成することができる。コネクタはまた、保守容易性を高めるとともに挿入中のモジュールのずれを防止するために、ガイドピンを使用する。
スイッチマイクロプロセッサ240が提供されるが、この例では、使用されるマイクロプロセッサは352ピン・テープボールグリッドアレイ(TBGA)パッケージ中にパッケージされたPowerPC(MPC8245)である。このマイクロプロセッサ240は、この例では、1MBから2GBまでのアドレス空間をサポートする。さらに、5個のハードウェア割込み(IRQ)または16個のシリアル割込みを提供する組込みプログラマブル割込みコントローラ(EPIC)も備える。カスケードモード機能付きの4つのプログラマブルタイマがある。この例では、コモディティDIMM242によってプロセッサのためのDRAMメモリを提供することができる。プロセッサ240は32ビットPCIバス241に接続することができ、このPCIバス241は、例えば33MHz/66MHzで動作する。
プロセッサ240へのクロック入力は、クロック発生器(CLK)243によって提供することができる。CLK243は、CPUクロック信号を生成するのに使用される、水晶を利用するプログラマブルクロックシンセサイザとして実現された構成可能クロック発生器(図示せず)を備えることができる。クロック周波数は、ジャンパ設定(図示せず)によって決定することができる。図11の同じコンポーネントに関して述べたのとほぼ同様に動作するベクトル割込みコントローラ(Iチップ)(図示せず)および構成可能コア電圧調整器モジュール(VRM)(図示せず)を提供することができる。
この実施形態では、2つのスイッチASIC(特定用途向け集積回路)244、245が提供される(この例ではBCM5632ギガビットスイッチASIC)。各ASICは、12個のGMIIインターフェース(1ギガビットイーサネット(登録商標))(アップリンクおよびダウンリンク用)と、ASIC244と245の間のチップ間通信(ブリッジング)用の1つの10Gb XGMIIインターフェース246を提供することができる。シリアル化Gbイーサネット(登録商標)データの形をとる16個のGMII 1Gb「ダウンリンク」が、4つのカッドSERDES248〜251を介して提供され、それにより各情報処理カートリッジ43がスイッチ73と通信することができる。8個のGMII 1Gb「アップリンク」が、外部通信のために2つのカッドPHY253および254(この例ではBCM5404ASIC)および背部パネル122上のRJ45コネクタを介して提供される。ASIC244および245は、PCIバス241へのPCIインターフェース(32ビット/33MHz)を介して構成される。
フラッシュPROM256が、マイクロプロセッサのためのリアルタイムオペレーティングシステムおよび管理構成データを記憶することができる。フラッシュPROM256は、この例では、必要なソフトウェアに応じて8MB〜16MBのデータを保持するように動作可能とすることができる。フラッシュPROM256は、オンチップXBus258を介して操作することができる。
やはりXBus258を介して接続してプロセッサ240と通信するように、リアルタイム機能のためのリアルタイムクロック(RTC)259もバックアップ電池と共に提供することができる。
XBus258にはまた、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)260も接続することができる。これは、SSPからアクセスすることのできる、スイッチ73からSSP74への非同期コンソール接続を提供するために、シリアルバス261に接続する。
統合MAC/PHY(メディアアクセス制御/物理)スイッチ271が、PCIバス241へのそれ自体のインターフェースを提供することができる。このMAC/PHYスイッチ271は、10/100イーサネット(登録商標)ハブ272に接続することができる。ハブ272は、SSP74への管理インターフェースと、外部管理ネットワークから所与のCSSP71のスイッチ73およびSSP74への接続とを提供するように動作可能とすることができる。統合MAC/PHYデバイス271からSSP74への接続は、容量結合とすることができる。MAC/PHYデバイス271によって、システム診断のためのループバックモードを提供することができる。ハブ272は、CSSP筐体121の背部パネル122上のRJ45コネクタ273に接続することができる。
8キロバイトのI2C EEPROM262を使用してFRU−IDを記憶することができ、このEEPROM262には、各CSSP71のSSP部74からシリアルバス263およびミッドプレーン171を介してアクセス可能である。EEPROM262の上位2キロバイトは、書込み保護されるように構成することができる。
I2C冗長制御レジスタ(RCR)275を使用して、CSSP71と、シェルフ41の前部パネル57および背部パネル59上に装着されたシェルフレベル・インジケータ69との電力を低下させるための代替冗長経路を提供することができる。I2C RCR275は、このRCRを含むCSSP71のSSP74と、ミッドプレーン171を介して接続された別のCSSP71のSSP74との両方から、I2Cバス276を介してアクセス可能とすることができる。この例では、RCR275として使用するのに適したデバイスは、PhillipsPCF8574ICである。
次に、引き続き図12を参照しながら、CSSP筐体121内に含まれておりSSP PCB232上に提供される、CSSP71のシェルフサービスプロセッサ(SSP)部74の機能要素について述べる。
この例では、スイッチPCB231とSSP PCB232との間の通信は、ボード間コネクタの対298および299によって容易になる。これは、I2C信号、10/100 MAC/PHY出力、および電力のための接続(ピン)をサポートする。前述のように、スイッチPCB231は、スイッチに関連するコンポーネントを搭載し、また、ミッドプレーン171および外部コネクタに接続するためのコネクタと共に、電力、FRU−ID、および環境監視コンポーネントも搭載する。したがってこの例では、ミッドプレーン171への接続または外部接続を必要とするすべてのSSPコンポーネントは、コネクタの対298、299およびスイッチPCB231を介して関連のミッドプレーンまたは外部コネクタにルーティングされる信号経路を有する。
この例では、SSP74は、SSPのプリント回路板(PCB)232上に装着されたマイクロプロセッサ301(例えばPowerPC(MPC8245)プロセッサ)を備える。プロセッサ301はPCIバス302に接続することができ、このPCIバス302は、この例では、例えば33MHz/66MHzで動作する32ビットバスである。
プロセッサ301へのクロック入力は、クロック発生器(CLK)303によって提供することができる。CLK303は、CPUクロック信号を生成するのに使用される、水晶を利用するプログラマブルクロックシンセサイザとして実現された構成可能クロック発生器(図示せず)を備えることができる。クロック周波数は、ジャンパ設定(図示せず)によって決定することができる。図11の同じコンポーネントに関して述べたのとほぼ同様に動作するベクトル割込みコントローラ(Iチップ)(図示せず)および構成可能コア電圧調整器モジュール(VRM)(図示せず)を提供することができる。
プロセッサ301には、DRAMメモリ305を提供することができる。メモリ容量は、プロセッサによってアドレス指定可能なメモリ空間に適合するように選択することができる。この例では、8MBのDRAMメモリが提供される。
統合MAC/PHYスイッチ306が、PCIバス302へのそれ自体のインターフェースを提供することができる。MAC/PHYスイッチ271は、ボード間コネクタ298、299を介して10/100イーサネット(登録商標)ハブ272に接続することができる。MAC/PHYスイッチ306によって、システム診断のためのループバックモードを提供することができる。
8進数UART308および309を、PCIバス302とボード間コネクタの対298、299との間に接続することができる。信号経路は、ボード間コネクタの対298、299から、スイッチPCB231上のミッドプレーンコネクタ141上にあるシリアル接続310まで続くものとすることができる。8進数UART308、309は、SSP74と各処理カートリッジ43との間のシリアル通信を容易にすることができる。
PCIバス302にはデュアルUART(DUART)312も接続することができ、DUART312は、SSP74からスイッチ73への非対称コンソール接続を提供するために、ボード間コネクタ298、299を介してシリアルバス261に接続することができる。DUART312はまた、CSSP筐体121の背面122上の外部コネクタへのI2C接続も有することができる。外部コネクタは、共通オペレーティングシステム/ブートコンソールおよびコマンドポート311を提供することができる。
プロセッサ301にはまた、XBus314を介してフラッシュPROM315も接続することができる。フラッシュPROM315は、マイクロプロセッサ301のためのリアルタイムオペレーティングシステムおよび管理構成データを記憶することができる。フラッシュPROM315は、この例では、必要なソフトウェアに応じて2MBまでのデータを保持するように動作可能とすることができる。
プロセッサ301にはまた、リアルタイム機能のために、XBus214を介してリアルタイムクロック(RTC)316もバックアップ電池と共に接続することができる。RTC316はまた、8キロバイトの不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を提供することもでき、これはこの例ではEEPROMとして実現される。これを使用して、FRU−ID、シリアル番号、その他のFRU情報などの情報を収録することができる。
SSP74と、他のCSSP71やミッドプレーン171やPSU81との間のI2C通信を容易にするために、マルチプレクサ318を提供することができる。マルチプレクサ318は、プロセッサ301への単一のI2C接続を有することができ、また、ボード間コネクタの対298、299およびミッドプレーンコネクタ141を介して、両方のPSU81、ミッドプレーン171、他方のCSSP71への接続を有することができる。
プロセッサ301はまた、他方のCSSP71のSSP74への冗長シリアルリンクを提供するために組込みDUARTも備えることができる。このリンクは外部DUARTを使用して実現することも可能であろうが、組込みDUARTを使用する利点は、他方のCSSPへの接続が信頼性のあるものになり、したがって機能する可能性が高くなることである。組込みDUARTリンクが他方のCSSPへの通信にI2Cマルチプレクサを使用しない場合、SSP−SSPリンクとI2Cリンクの両方についての共通故障モードを回避することができ、組込みDUARTチャネルが両方とも機能しない場合でも、プロセッサ301が機能する可能性が高いと考えられる。
CSSP71には、2つのダイオードコモン化9V電源レール278および279から電力供給することができる。DC/DC変換器281を使用して、CSSP71に必要な電圧レベルを提供することができる。DC/DC変換器281は、個別にヒューズ(285、286)されてからダイオードコモン化(287、288)された、二重9V入力278、279から供給を受けることができる。ホット挿入を容易にするために、ソフトスタートコントローラ283を提供することができる。CSSP71が完全に挿入されるとすぐに、5VのDC/DC変換器(I2C電力調整器)282をオンにすることができる。例えばSSPサービスソフトウェアを介して命令があったとき、適切な信号(ON_L、図示せず)をローにアサートすることによって3.3VのDC/DC変換器をオンにすることができる。3.3V変換器は、電圧が適切な範囲内にあるときに2.5Vおよび1.2Vに対する変換器とプロセッサコア電圧レール(Vcore)をオンにするように構成することができる。
CSSP71が挿入されるとき、突入電流を例えば1A未満に制限することができ、上昇率が所定値(例えば20A/s)を超えないように構成して、ホット挿入を容易にするためのいわゆるソフトスタートをもたらすことができる。この意図は、コネクタへの損傷を防止し、雑音が生成されないようにすることである。ソフトスタートコントローラ283は、電圧レベルのランプアップを制御するものであり、所定の信号(Inserted_L信号)がローにアサートされたときにイネーブルにすることができる。この信号は、コネクタ中のショートピン上にあり、供給のうちの1つが除去されるまでミッドプレーン171を介して接地(GND、図示せず)に接続される。これらの回路は、これらの回路が供給している入力に電力が供給されていない間、電力が供給されていない回路へのどんな漏出もなしに、それらの入力における過電圧に耐えるように構成することができる。ヒューズの溶断や電力レールのダウンなどのせいで電圧がしきい値、例えば2.0Vを下回ったかどうかを、感知回路が検出することができる。DC/DC変換器281は、損傷が生じないように、それらの出力の短絡から保護することができる。
I2C調整器282には、CSSP71がミッドプレーン171に完全に挿入されるとすぐに電流を供給することができる。これは、電圧レベルのランプアップを制御するソフトスタートコントローラ283に接続されたショートピンによって容易にすることができる。他のDC/DC調整器も、例えばSSPソフトウェアによってオンにすることができる。
1対のファン290、291が、CSSP71に冷却をもたらすことができる。ファン290、291は、最高速度で稼動して、内部コンポーネントおよびファンの温度を最低限に抑えることによって温度過昇の状態を防止するように構成することができる。ファン290、291の速度は、SSP74がスイッチ板231上の環境モニタ295を介して監視することができる。ファンの速度が所定の値(例えば公称速度の80%)を下回った場合、環境モニタ295に警告することができる。ファンは、ファン速度の測定を容易にするために、回転速度計の出力を提供することができる。
LEDインジケータ137を提供することができ、これは例えば、緑色の電力LEDと、サービスが必要であることを示す黄色のLEDと、スイッチを取り外してもよいことを示す青色のLEDを備える。CSSP71の背面上の2×4スタックRJ45コネクタ上に統合されたLEDインジケータは、例えば、リンクがあるときは緑色を継続的に示し、リンクがアクティブなときは緑色を点滅させるように構成することができる。
CSSP71の動作保全性を維持するために、環境モニタENV MON295を提供することができる。ENV MON295は、限界レジスタ中に限界値を含むことができ、例えばCSSP筐体121内の温度、12Vおよび3V3を含めたCSSP電力レール、スイッチプロセッサコア電圧、CSSPプロセッサコア電圧、ミッドプレーン171からの2つの9V電力供給レール278および279を監視することができる。限界レジスタ中の電圧限界セットとのウォッチドッグ比較を行うために、DC/DC変換器281の出力をENV MON295のA/D入力に供給することができる。前述のように、ENV MON295は、ファン290および291の動作速度を監視することもできる。ENV MON295は、I2Cバス296を介して両方のCSSPのSSP74と通信することができる。
図8A〜10に示したミッドプレーン171への入出力のために、ミッドプレーンコネクタ141は、4つのカッドSERDES248〜251およびI2Cバス線596からの、16個の1Gbイーサネット(登録商標)接続265〜268を含むことができる。
SSP74は、ミッドプレーン171を介して、I2Cデバイス(FRU−ID EEPROM、8ビット入出力拡張チップ、システムハードウェアモニタ)にアクセスすることができる。
外部入出力のためには、2つのカッドPHY253および254から2×4スタックRJ45コネクタ139(8つのアップリンクを提供する)への、背部パネルGbイーサネット(登録商標)接続を提供することができる。各ポートは、独立した10/100/1000BASE−T(自動折衝)ポートとすることができる。PHYデバイス253、254は、GMIIモードで動作して、ASIC244、245上の8つのギガビットインターフェースからの信号を受け取ることができる。
電源ユニット(PSU)81は、複数のPSU81がシェルフ41中で並列接続されたときに、並列接続ユニットのいずれか1つの故障がシステム動作に影響を及すことがないように構成することができる。さらに、PSUの1つを、入力電力を加えられた状態または加えられない状態で、「動作している」システムに対して据付けまたは除去することができる。出力は過電流保護を有することができる。
PSUは、ミッドプレーン171を介して電源ステータスを提供するためのI2Cインターフェースを有することができる。PSUは、I2Cインターフェースを介して報告を提供する内部温度センサを有することができる。PSUファン速度を監視することもでき、エラーはI2Cインターフェースを介して報告される。過電圧および過電流センサもまた、I2Cインターフェースを介して報告を提供することができる。
次に、図13を特に参照しながら、電源81の例の態様について述べる。
電源(例えば主電源やUPSタイプの保護電源)がケーブルコネクタ83に接続されているとき、変圧器−調整器−整流器回路400が、入力(この例では230/240Vおよび50HzのAC、または110Vおよび60HzのAC)からDC出力(この例では12VのDC)を生成するように動作することができる。
シェルフ41内の適切な冷却信頼性を保証するために、各PSU81は、図7に関して上述したように、PSU筐体の背部にある1対の冷却ファン402、403を有することができる。一方のPSU81の故障に対するフェイルセーフ手段として、各PSU81のファンには両方のPSU81から電力供給することができる。これにより、一方のPSU81がシェルフ41のためのDC供給を生成するように動作しない場合でも、他方のPSU81が動作している限り、シェルフ41のすべてのコンポーネントに正常に電力供給されるだけでなく、両方のPSU81のファンも稼動し続けることができる。
図13に示すように、冷却ファン402、403に関するこの二重電力供給は、変圧器−調整器−整流器回路400から電力供給線404を提供して両方のファン402および403に電力供給することによって実施することができる。また、他方のPSU81からの別々の第1および第2の電力線410、412が、第1および第2のファン402、403への二重化電源をそれぞれ提供することができる。したがって、ファン402には、線404からのダイオードコモン化供給および線410からのダイオードコモン化供給によって電力供給することができる。ダイオード405および411によってそれぞれダイオード保護を提供することができる。ファン402の速度は、速度コントローラ408によって制御することができる。同様に、ファン403には、線404からのダイオードコモン化供給および線412からのダイオードコモン化供給によって電力供給することができる。ダイオード406および414によってそれぞれダイオード保護を提供することができる。ファン403の速度は、速度コントローラ409によって制御することができる。
2つの速度コントローラ408、409は、I2Cバス接続(図13には示さず)を介して受け取られた各CSSP71からのデータ入力によって制御することができる。図13では、シェルフ41の他のFRUのためのDC電力を搬送する電力供給線が、電力線416として示されている。PSUがミッドプレーンコネクタ163を介してシェルフ41に挿入されているとき、PSU81との間のすべての電力接続は、ミッドプレーン171に接続することができる。この例では、PSU81は、PSU81の前面147にある5P/24S/6P構成かつSSI−MPS準拠の直角コネクタ163を介してシェルフに接続する。I2Cインターフェース用のコネクタを設けることもできる。
PSU81をシェルフ41にホット挿入できるようにするために、各ファン402および403のための入力電力線410および412には、ソフトスタートモジュール4131および4132をそれぞれ提供することができる。ソフトスタートモジュール4131および4132は、例えば信号を接地(例えば「対合する」入力線4151および4152)にプルすることによって制御することができる。
2つの入力電力線410および412が、別々のソフトスタートを提供する別々の線である場合、ファン402および403への電力供給のバックアップ方法についての共通故障モードがない。したがって、もしPSU81がDC供給を生成するように動作することができなくなり、第2のPSU81からファン402および403への供給経路中でコンポーネント(例えば電力線やソフトスタートモジュール)が故障した場合でも、シェルフ41が依然として3つのPSUファンの冷却効果を受けるように、ファン402と403の少なくとも一方は動作し続けることができる。
この例では、電源は4つの背部パネルLEDインジケータ137を有する。青色の「除去可能」LEDは、I2Cインターフェースによって駆動することができ、電源をシステムから除去してもよいことを示すことができる。黄色の「要サービス」LEDは、I2Cインターフェースによって駆動することができ、電源が障害状態にあること、すなわち何らかの範囲外出力や温度過昇やシャットダウンを示すことができる。緑色の「DC出力OK」インジケータは、内部電源回路によって駆動することができ、主要12ボルト供給が機能していることを示すことができる。LEDは、個々の出力が電流制限動作モードにあるときは点灯したままとすることができる。緑色の「AC入力OK」インジケータは、内部電源回路によって駆動することができ、AC入力電力が正常動作範囲内にあることを示すことができる。
次に、図14を参照しながら、FRUとシェルフ41のミッドプレーンとの間のデータ接続性の例について述べる。図14には電力送出経路は示していない。しかし、シェルフ41の最大コンポーネント冗長性を容易にするために、各PSU81が独立して各FRUに電力を提供できることは理解されるであろう。
この例では、各処理カートリッジ(ブレード)43は、1対の情報信号接続(例えばGbイーサネット(登録商標)リンク)224、225と、1対のシリアル管理信号接続226、227を介して、ミッドプレーン171に接続する。ミッドプレーン171内の接続は、各イーサネット(登録商標)リンク224がミッドプレーン171から第1のスイッチ73への接続265〜268に向けられ、各イーサネット(登録商標)リンク225がミッドプレーン171から第2のスイッチ73への接続265〜268に向けられるようにすることができる。したがって、各処理カートリッジ43と各CSSP71のスイッチ73との間に1つのイーサネット(登録商標)リンクを確立することができる。ミッドプレーン171内の他の接続は、各シリアル接続226がミッドプレーン171から第1のSSP74への接続310に向けられ、各シリアル接続227が第2のSSP74に向けられるようにすることができる。したがって、各処理カートリッジ43と各CSSP71のSSP74との間に1つのシリアルリンクを確立することができる。前述のように、他の例では、Gbイーサネット(登録商標)以外の情報信号接続(例えばインフィニバンド接続)を採用することもできる。
複数のシリアル接続が、各SSP74を相互に接続することができる。シリアル線320、321が、各SSP74をミッドプレーン171に接続することができ、ミッドプレーン内の接続が、2組の線を共に接続することができる。SSP74からPSU81への制御インターフェースを提供するためには、シリアル線322が、各SSP74をミッドプレーン171に接続することができ、ミッドプレーン171内の接続が、ミッドプレーン171から各PSU81へのシリアル線324に接続することができる。
シェルフ41が図1に関して述べたようなマルチプロセッササーバシステム内で使用されるように構成されたときの、シェルフ41の外部にあるコンピュータシステムとの間におけるシェルフ41のデータおよび制御接続性の例について、図15を参照しながら述べる。
図14に関して上に概要を述べたとおり、この例では、各処理カートリッジまたはブレード43は、処理カートリッジ43からミッドプレーン71へのリンク224および225と、ミッドプレーン171内の接続と、ミッドプレーン171から各スイッチ73へのリンク265〜268との組合せによって形成される情報信号接続(例えば1Gbイーサネット(登録商標)リンク)により、各CSSP71のスイッチ73に接続される。
さらに、この例では、リンク320および321を含むシリアル管理信号接続のセットと、ミッドプレーン171内の接続とが、各CSSP71のSSP74を他方のCSSP71のSSP74に接続する。
シェルフ41の処理カートリッジ43によって実施されるすべての情報処理が外部コアデータネットワーク330と共同で行われる場合に、シェルフ41と外部コアデータネットワーク330との間の外部データ接続性を提供するには、コアデータネットワーク330と、CSSP筐体121の背部パネル122に設けられた8つの1Gbイーサネット(登録商標)ポート139との間に、接続331を形成することができる。
この例では、シェルフ41の制御および構成を実施するのに使用される接続は、コアデータネットワーク330への接続とは完全に分離されている。したがって、第1の外部スイッチ335が、第1のCSSP71の管理(I2C)ポート273に接続することができ、第2の外部スイッチ336が、第2のCSSP72の管理(I2C)ポート273に接続することができる。図12に関して上述したように、管理ポート273は、各CSSP71のスイッチ73とSSP74の両方への管理ネットワークインターフェースを提供することができる。外部スイッチ335、336はそれぞれ、1対のシステム管理サーバ(SMS)338、339のそれぞれに接続することができる。SMSはシェルフ41の動作に必須ではないが、これを使用することは、シェルフ41の最適な動作の助けとなる。通常のマルチプロセッササーバシステムでは、1組のSMS338、339を利用する単一の管理ネットワークの制御下で、コアデータネットワーク330を介して複数のシェルフ41を共に接続することができる。SMSの組338、339には、単一のSMS(ならびに複数のSMS)を含めることもできる。しかし、少なくとも2つのSMSを使用することにより、コンポーネントの冗長性が可能になり、それにより全体的なシステム信頼性が高まる。
この例では、telnetプロトコル制御の下で動作可能なシリアルインターフェース制御343もまた、シェルフ41に接続される。これは、各CSSP筐体121の背部パネル122にあるRJ45コネクタ311を介して、両方のCSSP71のSSP74への共通オペレーティングシステム/ブートコンソール接続を提供することができる。
以上のことから、フレキシブルかつスケーラブルなモジュラーコンピュータアーキテクチャについて述べたことが理解されるであろう。述べた例では、16個までの情報処理カートリッジまたはブレード43を封印FRUとして単一のシェルフ41上に構成することができ、選択されるブレードの数は顧客要件に応じて決まる。各ブレードは、それ自体のプロセッサおよびランダムアクセスメモリを有する。例えば、各情報処理カートリッジにつき最大2ギガバイトのメモリがあり、各ブレードにつき1つのプロセッサがある場合、16個のプロセッサ(16P)(ユニット高さ(1U)あたり5.33個のプロセッサ)と、シェルフあたり合計32GBのメモリを提供することができる。
この例では、シェルフ41は、冗長な一体型スイッチ・シェルフサービスプロセッサモジュール(CSSP)71および冗長な電源ユニット(PSU)81を、ブレード43とは別に組み込んでいる。電源がシェルフに搭載されるので、情報処理カートリッジはコンパクトかつ安価なものに保つことができる。またこの結果、情報処理カートリッジには、ミッドプレーン171を介してDC電力だけで電力供給することができる。
また前述のように、FRU(例えば情報処理カートリッジまたはブレード43、CSSP71、PSU81)はすべて、それ自体はどんな内部FRUも含まずユーザサービス可能なアイテムを含まない、封印ユニットとして構成することができる。FRUの筐体は、FRUの機能コンポーネントすべてを収容するように構成することができ、電気コネクタだけが外部からアクセス可能であり、インジケータLEDは外部からも見ることができる。
これらの要素はすべて、FRUならびにシステム全体のコストを低く抑えるのに寄与することができる。システム機能性をもたらすための封印されたモジュラー式フィールド交換可能ユニットの使用と、能動コンポーネントの数をできるだけ最小限に抑えて設計されたフィールド交換不可能なユニットとによるモジュラー手法が、信頼性を高める。さらに、FRUが故障した場合でも、単にそのFRUを取り替えるだけで簡単に素早く保守することが容易になり、維持費がさらに削減される。
したがって、以上の記述から理解されるように、いくつかの処理カートリッジを搭載するために電源とシェルフサービスプロセッサとスイッチとをモジュラーユニット中に備えるラック装着可能シェルフがであって、処理カートリッジの数は顧客要件に応じて選択することができるシェルフが提供されることにより、フレキシブルかつスケーラブルなコンピュータ構成が提供される。処理カートリッジのプロセッサ間で負荷バランスをとることは、従来の原理を用いるソフトウェアによって実施することができる。
述べた構成は容易に拡張できるプロセッサアーキテクチャを提供し、それにより、この情報処理カートリッジ/情報処理カートリッジキャリアアーキテクチャに基づく完全なシステムによって提供される処理能力は、さらに情報処理カートリッジを追加するだけで中程度から非常に高い容量まで拡張できるものとすることができる。
図16に示すように、シェルフ41からの外部接続の例は、2つのアクティブな情報信号接続(例えばイーサネット(登録商標)接続)350および351と、2つのアクティブな電力接続353と、1対のアクティブ/待機中の管理接続354の形とすることができる。管理接続に関しては、各接続はシリアル接続およびネットワーク(例えばイーサネット(登録商標)やインフィニバンド)接続を含む。入来信号は現在マスタであるどちらかの管理コントローラ(CSSP)に内部ルーティングされることになるので、アクティブと待機中のどちらの接続に接続することも可能である。したがって、シェルフへの接続を最小限に保つことができることが理解されるであろう。さらに、図16に示す構成から、システムは単一のシェルフユニット41を超えてスケーラブルであることも理解されるであろう。
図17に、どのように複数のシェルフを1つ(または複数)のラック内で構成して、より一層高い処理力を提供することができるかを示す。大規模なサーバグループを形成するためのこのようなシェルフ配置は、「ウェブファーム」または「サーバファーム」360と呼ばれることがある。図17に示すように、ウェブファームは、複数のブレード43をそれぞれが搭載する複数のシェルフ41を備える。また、クリティカルなデータのための記憶域、例えば電子メールデータ記憶域をウェブファームに提供するために、複数のネットワーク接続型記憶装置(NAS)373も提供される。記憶すべきクリティカルなデータがない場合、例えばウェブファームがウェブキャッシュサービスのためだけに稼動している場合は、NAS373は必要ない。
ウェブファーム360の管理制御は、1対のシステム管理サーバ(SMS)362によって提供することができる。各SMS362は、リンク366を介して管理ネットワークに接続することができ、また管理コンソール365に接続することができる。SMS362は、1対の管理スイッチ364を介して個々のシェルフ41と通信することができる。各シェルフ41およびNAS373は、接続367を介して各管理スイッチ364に接続することができる。したがって、各シェルフ41およびNAS373には、二重の冗長管理接続を提供することができる。
ウェブファーム360との間のデータフローは、1対のデータスイッチ369によって提供することができる。各データスイッチ369は、リンク370を介して消費者ネットワークに接続することができる。消費者ネットワークは、ウェブファーム360が接続される、より大規模なネットワークとすることができることを理解されたい。このネットワークは、オフィスまたは企業のイントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、または他の任意のネットワークとすることができる。データスイッチとシェルフ41との間の接続は、接続371によって容易にすることができる。各シェルフはそれ自体の切換え機能を有するので、各シェルフ41を直接にデータスイッチ369に接続する必要はないことに留意されたい。NASユニット373をシェルフ41に接続するための接続も提供することができる。データスイッチ369、シェルフ41、NAS373の相互接続に用いられるトポロジは、可能なあらゆるユニット対の間に任意の長さの接続が少なくとも1つある限り、どんなトポロジでもよい。ウェブファーム中の所与の2つのユニット間の最大接続長さを最小限に抑えるように構成された複合トポロジを用いることができる。
複数のNAS373有りまたは無しで複数のシェルフ41を備えるウェブファーム360は、図1に関して上述した入口エッジサーバグループ9、ウェブエッジサーバグループ15、およびアプリケーションサーバ19のいずれかまたはすべてとして適切に使用することができる。
NAS373内にクリティカルなデータ記憶域を提供することに対する別法として、このような記憶域は、処理カートリッジ43の代わりに1つまたは複数のシェルフ41にはめ込まれた1つまたは複数のNASカートリッジ内に提供することもできる。別の方法は、NAS373の代わりにRAIDアレイ(Redundant Array of Inexpensive Disks)などのローカル記憶域をサーバシェルフに提供することである。
このように、複数の自己充足型フィールド交換可能ユニット(FRU)に基づく完全に構成可能なコンピューティングシステムであって、電源および切換え機能を備える単一の処理カートリッジから、協同するように接続されたいくつかのサーバシェルフにわたって拡張する完全なシステム管理機能を備える多重冗長マルチプロセッササーバシステムまでスケーラブルである、コンピューティングシステムの例について述べた。当然、上の記述に指定した特定の特徴の多くは決して限定的なものではなく、通常の技術および普通の一般知識だけを用いて様々な代替形態を生み出すことができることは、当業の読者には容易に明らかになるであろう。以下、上述したシステムに加えることのできる例示的な修正に関する非限定的な例について論じる。
処理カートリッジには、どのソフトウェアを実行すべきかについての制限はない。シェルフまたはファーム内の各モジュールは、同じオペレーティングシステムの下で稼動してもよく、あるいは異なる複数のオペレーティングシステムを使用してもよい。可能なオペレーティングシステムの例には、Sun MicrosystemsのSolaris(登録商標)OSや、Linux(登録商標)、MINIX(登録商標)、Irix(登録商標)などの別のUNIX(登録商標)タイプのOSや、Windows NT(登録商標)、Windows2000(登録商標)、Windows ME/98/95(登録商標)、Windows XP(登録商標)などのMicrosoft OSが含まれる。
また、シェルフまたはファーム内の各処理カートリッジが同じプログラムソフトウェアを実行するように構成する必要もない。例えば、個々の処理カートリッジが例えばファイルサーバソフトウェア、メールサーバソフトウェア、ウェブホスティングソフトウェア、データベースソフトウェア、ファイアウォールソフトウェア、または認証ソフトウェアを実行するように構成することができる。
図4、8、12、13、14に関して、スイッチおよびシェルフサービスプロセッサの機能は単一の一体型スイッチ・サービスプロセッサユニット内に提供するものと上述したが、このことは必須ではなく、別々のスイッチとシェルフサービスプロセッサのフィールド交換可能ユニットを使用してもよい。
1対のPSUと1対のCSSPを提供して二重冗長性を可能にすることができると上述したが、さらにPSUおよびCSSPを提供してFRU冗長性をさらに増大させ、それによって統計的により高い信頼性をもたらすこともできる。
各ブレード中およびCSSP中の電源回路では、一方のPSUが除去されるかオフラインにされるまでに故障ヒューズが検出を免れることによって生じる潜在的な障害を防止するために、ヒューズの後およびダイオードの前に2つの電圧感知回路を提供することができる。このような回路は、回路が供給している入力に電力が供給されていない間に、電力が供給されていない回路へのどんな漏出もなしに、それらの入力における過電圧に耐えるように構成することができる。
特に図11に関して、処理モジュールはUltraSPARC(登録商標)プロセッサに基づくことができると上述したが、このことは限定的ではなく、特定の処理カートリッジに求められるタスクを実施するのに十分な処理能力を有する他の任意のプロセッサを使用することができる。代替プロセッサには、限定しないがIntel x86シリーズおよび互換プロセッサ、AMD x86互換プロセッサ、Alphaプロセッサ、およびPowerPCプロセッサが含まれる。図18に、x86互換プロセッサの特定の例についてより詳細に述べる。図18では、図11のUltraSPARC(登録商標)ベースのシステムの各部に対応する部分には同じ参照番号が付いており、これらについてはここで再び述べない。x86互換プロセッサに基づくシステムでは、プロセッサ378自体はノースブリッジ379を介して、メモリ196およびPCIバス198を含めた他のコンポーネントと通信する。ノースブリッジ379は割込みコントローラも備え、したがって別個の割込み集中装置は必要ない。処理カートリッジの他のコンポーネントは、前述のUltraSPARC(登録商標)ベースのシステムの場合とほぼ同じとすることができる。
各情報処理カートリッジは単一のマイクロプロセッサを備えると上述したが、情報処理カートリッジのそれぞれまたはいずれかが、共通の記憶リソースを共有して同期(ロックステップで)または非同期で動作するように構成された複数のマイクロプロセッサを有することもできるので、これは限定的なケースではない。また、所与の時点でシェルフに挿入されたすべての情報処理カートリッジが同一である必要はなく、異なる様々なブレードアーキテクチャを同時に使用することができる。
この例では、スイッチとシェルフサービスプロセッサの両方の機能を単一のFRUに提供することにより、両方の機能の二重冗長性のための機構が、より少数の異なるFRU中で単一のシェルフ41内に提供される。理解されるように、この2つの機能を単一のFRU内に提供しなければならないという制約はなく、2つの機能を別々のFRUに分割することも当業者には困難ではないだろう。
図13に関して、PSUの冷却ファンのためのバックアップ電力を提供することについて上述した。各ファンへのバックアップ電力供給は他から独立しているものと述べたが、バックアップ電力供給の共通故障モードのリスクが低いか、またはリスクの重要度が低いと判断された場合は、各ファンへのバックアップ供給は他のすべてのファンへのバックアップ供給と共通で提供してもよい。
また、フィールド交換可能サーバブレードを形成する情報処理モジュールは、特別な目的の機能を提供するようにソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアによって構成することのできるプロセッサおよびメモリを備えることができる。例にすぎないが、情報処理モジュールは、ファイアウォールまたは負荷バランサ、暗号化および/または暗号化解除処理、仮想私設ネットワーク(VPN)などのセキュアネットワークへのインターフェース、ワイドエリアネットワーク(WAN)接続性を備える特殊化スイッチ、のうちの1つまたは複数の機能を実施するように構成することができる。
また、記憶ブレードを提供することもできる。記憶ブレードは、ブレードサーバキャリア中のサーバブレード収容位置に装着可能なように構成することができる。記憶ブレードは、サーバブレードキャリア上のキャリアコネクタと相互接続するように構成された記憶ブレードコネクタを備えるものとすることができ、それにより記憶ブレードはサーバブレードと交換可能である。サーバシステム用のキャリアまたはシェルフは、ブレードを収容するための複数のブレード収容位置を備えるように構成することができ、ブレードは記憶ブレードまたは情報処理ブレードとすることができる。サーバシステムは、ブレードを収容すると、この各位置で収容したブレードのタイプに応じて自己構成するものとすることができる。これを達成するために、各ブレード中のブレードサービスコントローラが、シェルフサービスプロセッサと通信してこの構成を実施するように動作可能とすることができる。
可能な最大限のコンピュータ可用性を保証することの一局面は、コンピュータシステムのサービスおよび管理に関係する。具体的には、システムステータスを監視して、監視されたパラメータに応じた制御動作を実施するためのサービス機能および管理機能が、一般に必要とされる。モジュラーコンピュータシステムの種々のコンポーネントを通して階層式にサービス機能を実施するにはどのようにサービス機能を構成すればよいかについての例を次に挙げる。
図11および18に関して上述したように、各情報処理カートリッジ43はブレードサービスコントローラ203を有する。ブレードサービスコントローラ203は、各情報処理カートリッジ43のためのサービス機能のローカルコントローラである。各ブレードサービスコントローラ203は、コネクタ226、227、310を介して各CSSP71のSSP74(図12および15参照)と通信することができるように構成される。SSP74は、各シェルフ41を埋めるためのシェルフレベル・サービス機能を提供し、各シェルフ41はPSU81、CSSP71のスイッチ73、ならびに処理カートリッジ43を含む。各SSP74は、図15に示すように入出力コネクタ273を介して外部システム管理サーバ(SMS)338、339と通信するように動作可能に構成される。システム管理サーバは、1つまたは複数のシェルフ41のためのシステムレベル・サービス機能を提供する。システム管理サーバはまた、コンピュータシステム内のシェルフ41以外のコンピュータシステムモジュール、例えば、個々のサーバユニット、および/またはネットワークアドレス可能記憶(NAS)ユニットなどの信頼できる記憶ユニットに、サービス機能を提供することもできる。
この例では、ブレードサービスコントローラ203は以下のサービス機能を提供することができる。ブレードサービスコントローラ203は通常、それが内部に位置している情報処理カートリッジ43の環境監視を実施するが、この環境監視には、環境モニタ215によってCPU温度および周囲温度を監視すること、DC−DC変換器218からの電源レールを監視すること、プロセッサ冷却ファン214の速度を監視することが含まれる。ブレードサービスコントローラ203はまた、処理カートリッジ43のプロセッサ上で稼動するオペレーティングシステムを監視するためのウォッチドッグ機能を実施することもできる。ブレードサービスコントローラ203はまた、処理カートリッジ43とCSSP71との間の帯域外インターフェースを提供することもできる。帯域外インターフェースは、プロセッサ上で稼動するオペレーティングシステムおよびアプリケーションから独立した、物理的に分離したインターフェースであり、このインターフェースを使用して、ブート時にプロセッサカートリッジパラメータをシェルフSSP74に提供することができる。さらに、ブレードサービスコントローラ203は、LEDサービスインジケータ119を制御するためのローカル機能と、プロセッサへのパワーオンリセット(POR)および外部主導リセット(XIR)を制御するためのローカル機能を提供することもできる。この例では、ブレードサービスコントローラ203は、どんなレベルのインテリジェンスを有する必要もなく、単純なウォッチドッグおよびしきい値タイプの監視動作を実施できるだけで十分である。ただし、ブレードサービスコントローラ203はインテリジェンスを有するように実現してもよく、これは、前述の機能よりも複雑な機能が課される場合に特に有益であろう。
SSP73(一般には2つのSSP73がシェルフ41内に提供されて冗長性がもたらされる)は、この例では以下の機能を提供する。SSP73は通常、シェルフ41のための環境監視を実施し、PSU81、CSSP71、PSU入力を監視する。SSP73はまた、シェルフ中にある各ブレード43のブレードサービスコントローラ203からのデータを集約することもできる。SSP73はまた、電力制御、シェルフサービスインジケータLED69の制御などの局面に関する決定を行って、ブレードサービスコントローラ203に命令を与えるように構成することもできる。この例では、SSP74は個々の処理カートリッジへのソフトウェア展開は担当しないが、代替構成では、この機能をSSP74が提供するようにしてもよい。
SSP74を手動で監視および制御するための機構を提供するために、SSP74は、SSP74の機能およびデータへのアクセスをユーザに提供できるようにするためのユーザインターフェースを有するように構成することができる。ユーザインターフェースアクセスは、外部シリアルインターフェース接続311と外部ネットワーク接続273のうちの一方を介して提供することができる。SSP74は、それ以上高いレベルのサービス制御が提供されない、隔離されたユニットとして機能するように動作可能とすることができる。一般にSSP74は、単一のシェルフ41の動作を管理するのにユーザ介入をほとんどまたは全く必要としない。
SSP74によって故障管理を制御することができ、それにより、故障した処理カートリッジ43は、SSP73によってリモートで再起動することができる(処理カートリッジ43の故障は例えば、ブレードサービスコントローラ203から提供された、処理カートリッジのオペレーティングシステムまたはアプリケーションの障害を示すデータから検出することができ、あるいはスイッチ73中で検出されたエラーから検出することができる)。この例では、処理カートリッジのプロセッサへの外部主導リセット(XIR)を開始することによって再起動するか、あるいは、処理カートリッジのプロセッサへのパワーオンリセット(POR)を引き起こすのに十分な中断を処理カートリッジへの電力供給に生じさせることによって再起動することができる。この例では、故障した処理カートリッジは、所定数の再起動が試みられた後で、永久的に故障したと見なされる。その時点で、SSP74によって無視されることでサービスから除外され、スイッチ73は、この処理カートリッジへのトラフィックは通過させるとともにこの処理カートリッジからのトラフィックはどれも無視するように命令を受ける。SSP74が接続されているより高レベルのサービス制御に、故障の性質が報告される。
前述の機能を実施するために、この例のSSP74は、決定ステップおよびユーザインターフェース提供をサポートするよう、ある程度のインテリジェンスを有するように構成される。
システム管理サーバ(SMS)は、冗長性のために一般にはクラスタ化された対である2つのSMS(338および339)として提供され(図15に示すように)、この例では以下の機能を提供するように構成される。この例のサーバ管理システム338、339の主要な用途は、複数のシェルフ41のための集約管理および監視を提供することである(図17に示すように)。このような集約監視および管理により、単一(クラスタ化された対)のシステム管理サーバが、多数のコンピュータシステムシェルフ41の稼動を監督することができる。
システム管理サーバ(SMS)338、339はまた、システム管理サーバが検出したかまたは特定のシェルフ41のSSP74からそれに報告されたハードウェア故障に応答して、ハードウェア故障フェイルオーバーを実施するように動作可能とすることもできる。さらに、この例のシステム管理サーバ338、339は、個々の処理カートリッジへのソフトウェア展開を実施するように動作可能とすることもできる。代替構成では、システム管理サーバ338、339は、プラットフォーム特有の抽象化を可能にするように動作可能とすることもできる。
プラットフォーム抽象化により、SMS338、339はプラットフォーム特有の抽象化を可能にするように動作可能であり、それにより、ユーザはこれらのサービスを提供する基礎的なハードウェアの知識がなくてもコンピューティングサービスを構成することができることを理解されたい。例えばユーザは、例えば1時間につき1000回の接続を処理することのできるウェブサーバを必要とする。この要件を満たすためにいくつのブレードサーバが必要かをそれらのプロセッサ、メモリサイズなどに基づいて決定するのに十分なプラットフォーム特有データを使用して、SMS338、339を事前構成することができ、SMS338、339は、ユーザ自身がサーバハードウェアの詳細を何も知る必要なしに、この複数のブレードサーバに対してウェブサービスを提供することができる。
システム管理サーバ338、339の動作は、管理ネットワーク366を介して制御することができ、したがって、制御は自動化してもよく(より高レベルのシステム管理を介して)、手動としてもよく(管理ネットワーク366への端末を介して)、これらの混合としてもよい。システム管理サーバ388、399はまた、特定のシステム管理サーバを直接にオペレータ制御するために、管理端末365に直接に接続させることもできる。前述の機能をシステム管理サーバ中で実施するために、システム管理サーバは、決定を行いフェイルオーバーおよび展開の制御を行うのに適した、あるレベルのインテリジェンスを有するように構成することができる。
このように、管理機能およびサービス機能がモジュラーコンピュータシステムの様々なレベルにわたって階層式に分散される構成について述べた。階層構成のサービス機能を実施することにより、所与のサービス機能を最も適切なレベルで実施することができる。例えば、最上レベルのサービスコントローラは、個々の処理カートリッジ内の環境監視に関わる必要はなく、一方でこの最上レベルのサービスコントローラは、複数のシェルフ41の全体的な管理を担うものとすることができる。当業者なら理解するであろうが、本発明の範囲を逸脱することなく、前述の構成にいくつかの代替および修正を行うこともできる。また、本発明の範囲を逸脱することなく、前述のコンポーネントおよび機能のいくつかを、等価なコンポーネントおよび機能で置換または補足することもできる。
以上の実施形態をかなり詳細に述べたが、以上の開示を完全に理解すれば、当業者には多くの変形および修正が明らかになるであろう。頭記の特許請求の範囲は、このような変形および修正をすべて含むと解釈されるものとする。