JP2005508870A6 - 腫瘍学的目的のための体液中の骨シアロ蛋白(bonesialoprotein)の測定方法 - Google Patents

腫瘍学的目的のための体液中の骨シアロ蛋白(bonesialoprotein)の測定方法 Download PDF

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本発明は、翻訳後の糖化が、骨からの正常な骨シアロ蛋白と比較して、アミノ酸TGLAAを含むアミノ酸120〜135の領域において変異し、あるいは不完全である腫瘍細胞からのヒトの骨シアロ蛋白に存在するエピトープに結合することを特徴とする、ヒトの骨シアロ蛋白(BSP)に抗する抗体または複数の抗体に関する。抗体は、腫瘍の病気の診断および予後、特に、初期乳癌の場合の骨転移の診断および予後のための免疫学的検定に用いられる。

Description

本発明は、骨代謝および骨構造の疾病の診断および監視のための、特に、初期の癌の骨転移の診断、予後、予防および治療のための、体液中の骨シアロ蛋白(bone sialoprotein,BSP)の免疫学的測定方法に関する。
骨シアロ蛋白(BSP)は、SDS−PAGEにおいて相対質量が約80kDaを有するホスホリル化された骨糖蛋白である。BSPに対するcDNAは、約33kDaのペプチド配列をコード(code)する(Fisher L.W.et al.(1990),J.Biol.Chem.265,2347−51;US 5 340 934)。BSPはいくつかの基質(matrix)蛋白の一つであり、骨、ぞうげ質、石灰化軟骨などの鉱化組織におけるその発生は限定されている。BSPは骨基質中の非コラーゲン(non−collagenic)蛋白全体の約10〜15%に相当する。それは、ルールとして、ぞうげ質、骨および軟骨の形成に貢献する細胞、例えば、骨芽細胞、発達している骨細胞、肥大性の軟骨細胞、ぞうげ芽細胞およびセメント芽細胞で発現される。
これと並んで、BSPはまた、胎盤のトロホブラストおよびある種の癌細胞、例えば、肺癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌および神経芽腫の初期および二次の腫瘍、多発骨髄種および骨転移によっても形成される。腫瘍によるBSPの発現の程度は、癌の重大さに相関する(waltregny D.et al.,ヒトの乳癌および前立腺眼での内蔵転移と比較して骨転移における骨シアロ蛋白の増加した発現,in J.Bone Miner.Res.,2000,15(5),834−43;Bellahcene,A.et al.,ヒトの初期乳癌において骨シアロ蛋白の発現が骨転移の進展と関連している,in J.Bone Miner.Res.,1996,11,665−670;Waltregny D.et al.,治療院に局限したヒト前立腺癌における骨シアロ蛋白の予後的価値,in Journal of the Nationl Cancer Institute,1998,90,1000−1008;Bellahcene,A.et al.,初期乳癌における骨シアロ蛋白の発現は低生存率と関連する,in Int.J.Cancer,1996,69,350−353)。
ぞうげ質、骨および軟骨に対して、BSPには2つの機能があると考えられている。付着分子として、組織基質上の細胞の付着および散在(dissemination)をもたらすと考えられる。試験管内で、それは生物学的アパタイトの結晶核を形成することから、生体内において鉱化作用に貢献するのではと考えられる。眠らされた(knock−out)マウスにおけるBSP遺伝子のスイッチオフ(switching off)は、骨格の構築および機能の識別しうる崩壊へと導かない。
腫瘍においてBSPはマイクロ石灰化(microcalcification)に参加すると考えられ(Castronovo,V.et al.,マイクロ石灰化に関連する乳癌は鉱化した悪性の細胞であることの証拠,in Int.J.Oncol.,1998,12,305−308)、腫瘍細胞の転移による骨の転移増殖に参加すると考えられる(Bellahcene,A.et al.,初期乳癌における骨シアロ蛋白の発現は低生存率と関連する,in Int.J.Cancer,1996,69,350−353)。初期癌患者の血清中のBSP濃度のレベルは、これらの患者が骨転移を持つあるいは初期腫瘍から生じそうであるかどうかの診断に役立つ(Ina−Alexandra Meier氏の学位テーマ,骨シアロ蛋白(BSP)の測定のための放射免疫測定の進展(″Entwicklung eines Radioimmunoassays zur Bestimmung von Bonesialoprotein(BSP)″),1996,Darmstadt,Technical University(Fachhochschule),Specialist Field Chemical Technology(FB Chemische Technologie);Markus Karmatschek氏の博士論文,ヒトの骨からの骨シアロ蛋白の単離、血清中のその測定に対する放射免疫測定の構成(″Isolierung von Bonesialoprotein aus human Knoshen,Aufbau eines Radioimmunoassays zur dessen Messung in Serum″),1996,Specialist Field of Biotechnology at the Thchnical University of Darmstadt(FB Biologie der Technischen Hochschule Darmstadt);Dial I.J.et al.,初期乳癌患者の上昇した骨シアロ蛋白は骨転移の有力なマーカーである,in Proceedings of ASCO,1998,17,Abstract 461;Diel I.J.et al.,初期乳癌患者の血清の骨シアロ蛋白は続く骨転移に対する予後的(prognostic)マーカーである,in Clin.Cancer Res.,1999,5,3914−19;DE 198 13 633;DE 198 21 533;WO 99/50666)。
最近の仮説によると、BSPはトロホブラストおよびBSPが生成した腫瘍を免疫システムによる攻撃から保護すると考えられている。即ち、BSPは、コンプリメントリシス(complementlysis)の代わりのパス(path)を制限すると知られている補体(complement)システムのH因子に高い親和力で結合する。また、BSPは、それ自身の識別配列(アルギニン−グリシン−アスパアラギン酸塩、RGD)を通して、細胞表面のインテグリンレセプタに特異的に結合できる。BSPの発現の場合、腫瘍細胞は血液中および組織液中のH因子をそれらの細胞の表面に結合する、あるいは、それらの周りで高濃度にすると考えられる。そのようなBSPの母体の血液の補体システムからの保護は、胎盤におけるトロホブラストに対してもなされると考えられる(Fedarko N.S.et al.,骨シアロ蛋白およびオステオポンチンと結合しているH因子は腫瘍細胞の補体を介した(complement−mediated)攻撃の逃避を可能にする,in J.Biol.Chem.,200,275,16666−16672;WO 00/062065)。
さらにまた、BSPの機能が新脈管形成において疑われている。破骨細胞および骨芽細胞の骨基質への付着に従って、基質中のRGD識別配列の細胞壁上のアルファ(v)ベータ(3)インテグリンレセプタへの結合を通して、内皮の細胞の付着、散在および配向が恐らくBSPを介しているということもまた観察されている。即ち、腫瘍の周りでの血管形成は、腫瘍細胞でのBSPの発現と平行して生じる(Bellahcene A.et al.,骨シアロ蛋白はヒトの内皮の細胞の付着および転移を伝え、新脈管形成を促進する,in Cric,Res.2000,86(8),885−91)。
このようにBSPは腫瘍の形成および転移において事件の中心に立っている。従って、RGD配列を介してのBSPの腫瘍および上皮細胞のビトロネクチンまたはインテグリンレセプタへの結合は、拮抗質によって制限されうる(US 6 069 158;US 6 008 213;US 5 849 865;van der Pluijm et al.,骨シアロ蛋白ペプチドは試験管内での癌細胞の骨への付着の有力な抑制物質である,in Cancer Res.,1996,56,1948−1955)。EP 1 084 719 A1は、損傷した骨および結合組織の修復の補助するための活性物質としてBSPを有する薬学(pharmaceutical)組成物を教示する。WO 94/13310は、活性成分として黄色ブドウ球菌の蛋白に結合するBSPを有する組成物を教示する。WO 00/36919は、目的のある監視と、石灰化を促進する腫瘍および結合組織の細胞中のBSPの発現の抑制のための調節要素を開示する。
体液中で、遊離したBSPは補体H因子によって高い親和力で捕捉結合され、BSPは種々のレセプタと結合でき、その測定は扱いにくい。従って、ウサギの中でBSPの種々のペプチド部分構造に抗する抗体が生成され(Fisher,L.W.et al.,ヒトおよびある種の動物モデルの骨基質の非コラーゲン蛋白への抗血清およびcDNAプローブ(probe),Acta Orthop Scand Suppl.,1995,266,61−655)、組換えBSPに抗する抗体が生成され(Stubbs JT 3rd et al., 自然および組換えシアロ蛋白の評価:鉱物に結合し、細胞に付着した領域の描写およびRGD領域の構造解析,J.Bone Miner.Res.,1997,12(8),1210−22)、また、骨から単離されたBSPに抗する抗体が生成され、それら抗体はヒトの血清中でどのBSPも識別することができなかった。SDS−PAGEを通しての血清蛋白の分離の後でのみ、BSPはこれらのウエスタンブロットで検出できる。150kDaの明らかにより大きなH因子分子が恐らくより小さなBSP(約65kDa)を抗体が結合できないところまで遮蔽(mask)する。さらに、H因子は血清中に過剰に存在する(0.5mg H因子/mL、BSPの健康なヒトの場合の20ng/ml血清未満および腫瘍患者の場合の最大160ng/mlと比較して)。H因子との結合のために、試料調製を減らすことなく、体液中のBSPを免疫学的に直接測定することは不可能であると主張されてきた(Fedarko N.S.et al.,骨シアロ蛋白およびオステオポンチンと結合しているH因子は腫瘍細胞の補体を介した攻撃の逃避を可能にする,in J.Biol.Chem.,200,275,16666−16672;WO 00/062065)。次の我々の研究は、そのような試料調製あるいは蛋自分解(splitting)が体液中のBSPの定量を許容するが、得られた値は腫瘍学的目的のために一つの答えが与えられるのも許容しない。
体液中のBSPの免疫学的測定の方法を可能にすることが本発明の目的である。特に、体液中のBSPを直接測定する方法を可能にすることが目的である。骨の初期癌の離れた転移の予後および診断と関連した目的のため、骨転移の診断のため、および、医学的応用のために、BSPに抗する抗体を可能にすることが本発明のさらなる目的である。
この目的は請求項1に係る抗体および体液中のBSPの測定のためのそれらの使用により達成される。ヒトの骨シアロ蛋白(BSP)に抗する抗体は、特に腫瘍細胞からのヒトの骨シアロ蛋白に存在するエピトープに結合し、それの翻訳後の糖化は、骨からの正常な骨シアロ蛋白と比較して、アミノ酸TGLAAを含むアミノ酸120〜135(SWISSPROT:SIALHUMAN,Acc.No.P21815,信号配列なし)の領域において変異し、あるいは不完全である。それらは抗原として骨シアロ蛋白で形成されてもよく、好ましくは、腫瘍細胞からの骨シアロ蛋白で形成され、それは化学的または自然に、糖化において変異したものである。糖化において変異した骨シアロ蛋白は腫瘍細胞の遺伝子操作により形成されることもできる。それはまた、キャリア(carrier)蛋白に適切に結合したときに、アミノ酸TGLAAまたはYTGLAAを含むペプチド抗原に抗して形成されることができる。さらなる実施形態では、抗体は、骨蛋白の正常な糖化ができないドナーの骨材料からの糖化が変異した骨シアロ蛋白によって形成される。補体反応にかかわりがないことから、特にこれらの抗体がヒトの抗体あるいはヒト化(humanized)された抗体である時には、ニワトリのIgY抗体が特に好ましい。
本発明に係る抗体は、体液、特に血清中における腫瘍細胞の骨シアロ蛋白の測定方法に使用することができる。この方法で、骨転移の診断および予後がもたらされうる。もちろん抗体はまた、例えば骨転移の予防および治療のための活性成分として、あるいはまた、診断手段または医薬の生産のためのターゲッティング手段として、診断に用いられてもよく、もし可能なら、医薬の生産に用いてもよい。
本発明のさらなる目的は、本発明の抗体を通した免疫シンチグラフィによる、腫瘍および転移の診断的局限化である。それによって、抗BSP抗体は放射能でマークされ、患者の循環系に注入される。それらは特異的に腫瘍および転移組織と結合し、体内でのそれらの分布は、例えばシンチスキャナを用いて、絵によって表示可能である。
H因子とBSPの複合体に結合するために、抗体は、結合相手に遮蔽されていないBSPのエピトープを識別しなければならない。そのような抗体の生産は、以前は可能ではなかった。本発明は、そのような抗体を可能にする。なぜならその抗体は、折り畳まれた(folded)骨シアロ蛋白(BSP)のイソフォーム(isoform)に抗して検出され、腫瘍細胞からの組み込まれた骨シアロ蛋白によってのみ形成されるエピトープに結合するからであり、それの糖化は、骨からの正常な骨シアロ蛋白と比較して、アミノ酸配列TGLAAまたはYTGLAAを含むアミノ酸120〜135の領域において変異し、あるいは不完全であり、あるいは間違えている。通常は、蛋白上の翻訳後のあるいは複合の糖構造に抗する特定の抗体を得ることはできず、それはそのような糖構造が同様の方法で加えられ、多くの異なる蛋白を形成するからである。同様に、抗体は多くの異なる蛋白のある種の糖構造に抗して反応し、ルールとして、特異的ではなく、重要性もないと考えられる。これは、腫瘍細胞からの骨シアロ蛋白とは異なる。変えられた、あるいは間違えた糖構造は、骨シアロ蛋白の異なる折り畳みをもたらし、アミノ酸あるいはペプチド構造と、多くの残された糖残基の両方に関連する、新しいエピトープを形成する。しかしながら、これらのエピトープは変質した(degenerate)腫瘍細胞からのBSPに特徴的である。
これらのエピトープに抗する抗体は、適用可能なら精製あるいは骨BSPのイソフォームへの吸収を通して、抗原として、糖化において化学的にあるいは自然に変えられたBSPによって生産することができる。好ましくは、抗体は、抗原として腫瘍細胞からのBSPの利用で生産することができる。腫瘍細胞からのBSPは、困難があってのみ、十分な量を単離することができるので、腫瘍細胞の糖化において変異したBSPの遺伝子操作された発現はより抜きの方法である。ある患者は骨材料の中に糖化において変異したBSPを持つことが発見された。これは、これらの患者が、その多くは非常に高齢で深刻な骨粗しょう症を患っているが、少なくとも一部において正常に糖化されていないBSPを生産することを意味する。このBSPはまた、原理的に、本発明の抗体を得るための抗原に適している。部分的に糖化したイソフォームの単離は、BSPの腫瘍イソフォームと同等であるが、記載された手順と類似して実行できる(Karmatschek M.et al.,ヒトの骨シアロ蛋白の向上した精製および均一な放射免疫測定の進展,in Clin.Chem,1997,43(11),2076−82)。
抗体は、マウス、モルモット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ブタ、ヒト、ロバあるいはウマの中で形成することができ、また、全ての哺乳類でも可能である。特に好ましいのはトリの免疫化であり、特にニワトリが好ましい。それは、大きな進化の差に起因して、BSPの腫瘍イソフォームに抗する抗体が特に容易に得られるからである。さらに、IgY抗体の存在は、補体システムの活性化に導かず、それは、H因子とBSPの間の可能な結合に起因して扱いにくくなりうる。本発明の抗体は、H因子と結合しているBSPの腫瘍イソフォームを識別する。
従って、本発明の主題は、腫瘍によって形成されたイソフォームに抗する特別な抗体と、抗体治療あるいはまた免疫シンチグラフィのためのそれら使用である。抗BSP抗体によってもたらされる副次的効果として、抗体と細胞毒または放射性同位体の抱合体(conjugate)の利用における、骨基質および骨細胞に抗する免疫システムの活性化を通しての骨およびぞうげ質の直接および間接のダメージおよび/または直接の破壊が議論されてきている。さらに、免疫シンチグラフィは、骨基質に結合する抗BSP抗体では、想像もできない。基質は放射能でマークされ、腫瘍の局限化は不可能となる。
ヒトのBSPに特異的な抗体は、腫瘍の治療および局限化に適している。それらは、骨基質あるいは骨格およびぞうげ質の細胞を生成するBSPに結合しないか、してもわずかな程度であるからである。本発明の特に好ましい応用では、腫瘍BSPに特異的な抗体が腫瘍の治療に使用され、追加的にH因子との複合体中のBSPを識別させる。腫瘍患者におけるそのような特異的な抗体の応用の後、血液および組織液中の遊離した腫瘍BSPおよびH因子に結合したBSPは中和され、これにより補体活性化に抗する保護が除去され、腫瘍細胞は免疫システムによって破壊のために特異的にマークされ(例えば、補体カスケードの伝統的な(classical)活性化を通して)、例えば、骨基質あるいはぞうげ質に抗する免疫システムの活性化を通しての副次的な効果がなくなってしまう。本発明のさらなる応用は、ヒトの多クローン性の抗BSP抗体がトランスジェニック(transgenic)のヒト化した免疫システムを持つニワトリのタマゴから単離される。
さらに、マウスあるいはニワトリからの単クローン性抗体が適しており、それらは上述の条件を満たし、スクリーニングにより得ることができる。本発明の特異的な応用では、この目的のために、実施例によって説明される単クローン性の細胞系が利用される。さらに、例えば蛋白分解的に(proteolytically)、あるいは遺伝子操作により、抗体のフラグメントから得られるFabフラグメントが適している。
特に、H因子との複合体中のBSPを識別し、骨基質中のBSPに結合しない、ヒト化した多および単クローン性の抗体が適している。しかし、マウスとニワトリの抗体の適用で、ヒトの抗マウス抗体(HAMA)あるいは抗ニワトリ抗体(HACA)を通して期待される特定の治療上の効果がある。HAMAおよびHACAは、生物の腫瘍抗原に対する免疫反応を誘起し、強めることができる。しかし、腫瘍マーカーの測定において、HAMAとHACAの干渉が生じ、それは試験管内の測定方法を崩壊させる。このように、腫瘍マーカーに対してみせかけの高い測定値が生じる。これは、適切な抗体を用いた免疫シンチグラフィあるいは免疫治療の後で発生し、試験管内での正確な腫瘍マーカーの測定は、HAMAおよびHACAの吸収の後でのみなされる。
これらの効果は、ヒト化された抗体の利用を通して抑制されうる。多クローン性のヒト化した抗BSP抗体は、例えば、トランスジェニックニワトリのBSPでの免疫化によって得られ、そのニワトリに対して、胎芽の幹細胞の中で、免疫グロブリン(IgY)のニワトリに特有のFc部分に対する遺伝子領域がヒトに特有のものに交換される(US 5 340 740;US 5 656 479)。ヒト化された抗体はそれからニワトリのタマゴの中に沈積され、卵黄から単離可能である(Mohammed S.M.et al,,遺伝子操作したヒトの抗体のニワトリの卵黄への沈積,Immunotechnology,1998,4:115−125)。
ヒト化した単クローン性の抗体の生産のために、標準的な方法に従って、マウスあるいはニワトリの適切な抗BSP抗体とのハイブリドーマ細胞を得てもよく、また、これらの細胞中に含まれた遺伝子材料から、ヒト化された抗体が組換えを介して進展してもよい(US 5 585 089;US 5 565 332;US 5 225 539;US 5 693 761;US 5 585 089;US 5 530 101)。
本発明のさらなる特徴および利点が、図面を伴う実施例を参照して、これから説明される。
実施例1−ウエスタンブロットにおける腫瘍および骨特異のBSPイソフォームの特性評価
ヒトの骨肉腫細胞系UMR−7,MHH−ES 1、乳癌細胞系MCF−7(エストロゲンレセプタ陽性)および骨から精製されたヒトのBSP(K−BSP)の血清を除去した上澄みが、10%ジェル上で、還元および変性させる条件下で、SDS−PAGEを使って分離され、電気泳動的にニトロセルロースに移された。薄膜は単クローン性のマウスの抗体と培養された。BSPの検出はペルオキシダーゼに結合した山羊の抗ネスミ抗体を通じて、また、X線フィルムの化学発光的検出によりなされた。結果を図1に示す。左側にマーカーの分子量とパスを示した。単一および2個の矢印の頭は骨/骨肉腫のBSPとMCF−7 BSPの異なるふるまいを示す。後者は追加的に高い分子量のバンド(三重の矢印)を含み、それは他のトラックには存在しない。このように、ある腫瘍細胞系からのBSPは、骨からのBSPおよび骨肉腫細胞系からのBSPよりも明らかに高い分子量を有し、これによってこれを越えてさらに高い分子量の第2のイソフォームが観察できる。
実施例2−BSPおよびBSPペプチド部分構造に対するニワトリの免疫による多クローン性抗体の生成
Karmatschekらによって記載された手順に従って患者から単離されたBSPに対してニワトリとウサギが免疫化された。
タマゴの黄身と血清、多クローン性免疫グロブリンが単離され、BSPの様々なペプチド部分構造に対する結合がELISAプロセスにより試された。表1はこのエピトープ地図の結果を示す。これにより、プロプレBPS(リーダー配列を含む)の全317のアミノ酸長のペプチド配列のペプチド部分構造が化学的に合成され、マイクロ滴定プレートに結合され、そのプレート上で抗体が培養された。抗IgY免疫グロブリンあるいは抗ウサギIgY免疫グロブリンとともにペルオキシダーゼと共同での培養と、それに続く基質としての色素体の変性を通しての酵素反応の後に、結合試験がなされた。
Figure 2005508870
結果は、得られたニワトリの抗体はBSPのC末端配列に選択的に結合する一方、ウサギの抗体はより広い領域にわたって結合することを示す。
さらに、BSPのペプチド構造(1)とのウサギの免疫によって、このペプチド部分構造と選択的に反応するが、また、ヒトの骨BSPに特異的である多クローン性抗体(A0001)が得られた。
TyrThrGlyLeuAlaAlaIleGlnLeuProLysLysAlaGlyAsp(位置124〜138) (1)
しかし、後にキャリアとしてウシのサイログロブリンに結合する、例えば(2)などのペプチド部分構造(3)とのウサギの免疫で得られた多クローン性抗体(AKtBSP)は、合成したペプチド部分構造を反応するが、ヒトの骨BSPとは反応しない。これらの抗体は、驚くことに、腫瘍細胞からBSPを排他的に識別する。
TyrThrGlyLeuAlaAla(位置124〜130) (2)
ThrGlyLeuAlaAla(位置125〜130) (3)
研究のために、多クローン性抗体A002(L.W.Fisherから得た)およびA003(van Ryden医師から得た)をさらに用いた。これらの抗体は、ペプチド部分結合(4)または(5)との免疫の後に得られた。
TyrGluSerGluAsnGlyGluProArgGlyAspAsnTyrArgAlaTyrGluAsp(A002) (4)
LeuLysArgPheProValGlnGlyGly (5)
前者のペプチドBSP(位置278〜295)のC末端から生じ、インテグリン型のレセプタに対するBSPのRGD(ArgGlyAsp)識別配列を含む。後者のペプチドはBSP初期構造のN末端から生じた。また、これらのペプチドはそれぞれの部分構造を選択的に識別し、ヒトの骨BSPと特異的に反応した。
実施例3−免疫のための乳癌細胞からの組換えBSPの生成
プラスミドB6−5g(Fisher L.W.et al.,ヒトの骨シアロ蛋白.推定された蛋白配列および染色体の局限化,in J.Biol.Chem.,1990,265(4),2347−51)からヒトのBSPに対する完全なcDNA(シグナルペプチドを除く)がPCRにより増幅され、エピソームの(episomal)真核細胞の発現ベクターpCEP−Pu(Kohfeldt E et al.,プロテオグリカンテスティカン(proteoglycan testican)の細胞外のカルシウム結合モジュールの特性,in FEBS Lett.1997,414(3),557−61)中で複製された。プライマーは以下の(6)および(7)の通りだった。
Nhe I BSP(センス):
5’GCCCGCTAGCCTTCTCAATGAAAAATTTGCATCG−3’ (6)
Not I BSP(アンチセンス):
5’−CAATGACTGCGGCCGCTCACTGGTGGTGGTAGTAATTC−3’’ (7)
プライマーとともに導入されたNhe IおよびNot Iの切り取り(slicing)部位は、発現ベクターPCEP−PUにおける複製に必要であった。このベクターはさらに、蛋白の精製の促進のために、様々なタグ(tag)、即ち、His、Myc、G8Tのある多重複製部位の5’末端においてもたらされた。これらのタグは、プロテアーゼ(即ち第X因子またはエンテロキナーゼ)により蛋白の精製の後で分離できる。正しい読み取り枠が保持されたことが塩基配列決定により確認された。
発現構造物は、とりわけ次のヒトの細胞系へと安定なトランスフェクション(transfection)を伝えるリポソーム(Roche社のトランスフェクション試薬FUGENETM)として導入された:
−胚の腎臓細胞系EBNA−293
−骨肉腫細胞系SAOS−2およびMG−63
−ヒトの乳癌細胞系MCF−7
組換え発現はMCF−7およびEBNA−293中のみで得られた(図2参照)。骨肉腫細胞系はトランスフェクションを繰り返し試みても発現しなかった。
実施例4−変質した細胞および骨BSPからの組換えBSPの糖化の解析
短命な細胞がトランスフェクションの後48時間、2日間の間血清のない媒体中で培養された。FCS中の蛋白が組換えBSPの精製をより困難にしないように、BSP発現細胞は、合流(confluence)の達成(attainment)の後、血清のない条件下で培養された。これらの条件下では、EBNA−293細胞のみが2〜4よりも長く生き残ることができた。組換えBSPの発現はSDS−PAGEおよび免疫ブトッロ法を通して監視された。
血清のない細胞培養の上澄み液の研究は、BSPおよび種々のタグの存在の両方に関して、これら全ての細胞系にウエスタンブロットの陽性信号の結果をもたらした。
トランスフェクションされたMCF−7細胞系の2.5リットルの血清のない培養上澄み液がニッケルのSepharoseTMのカラムにより精製され、それから250μgの均一なHis−myc−EK−BSPが得られた。そのように精製された発現生成物は部分的に糖化(glyglosylated)されたが、BSP配列YT125LPAA中のトレオニンであるトレオニン125の糖化はなかった。
糖解析のために、N−グリカンが酵素的に(enzymatically)組換えBSPまたは骨BSPからペプチドN−グリコシダーゼ F(PNGase F、Roche社)により分離された。酵素は全てのN−グリカン型のアスパラギンからの触媒反応の(cataylytic)分離をもたらした。消化のために、20〜200μgのBSPがエタノールおよび沈殿剤ペレット中で沈殿され、1%SDS、β−メルカプトエタノール、0.1M EDTA中、室温で30分間過剰の酵素とともに培養された。続いてN−グリコシダーゼによる37℃で一晩の消化がなされた。N−グリカン溶液から塩分を除去するために、消化は150mg炭素カラム(Carbograph、Alltech社)を通してなされ、N−グリカンは25%aCNとともに0.05%TFA中に溶解した。
O−グリカンは、キット(Oグリカン放出キット、Glyco社)を用いてヒドラジン分解によってBSPから切り取られた(sliced)。このために、約200μgの塩分のないBSPが24時間凍結乾燥され、アルゴン保護ガス下で50μlのヒドラジン試薬を添加され、60℃で5時間分解および培養された。ヒドラジンは真空化で引かれた。続いて酢酸無水物でNアセチル基の再Nアセチル化がなされた。
N−およびO−グリカンは、特定の末端グリコシダーゼで連続的に消化された、蛍光色素2アミノベンズアミド(Fluka社)および2位のABがマークされた(2−ABmarked)オリゴ糖でマークされ、MALDI−TOF質量分析法により解析された。
解析の議論
ヒトのBSPのアミノ酸配列は、位置88(NTT)、161(NGT)、166(NST)および174(NGS)の4つの潜在的Nアセチル化部位を含む。O−糖化に対して、同等の意見が一致した配列(comparable consensus sequence)は知られていない。全ての同定されたN−グリカン構造は、骨から単離されたBPS上および組換えEBNA−293 BSP上の両方に見つけられた。しかし、N−グリカンの総計におけるそれぞれの構造の百分率の割合には差があった。このように、骨のBSP N−グリカンの主要部分は、トリアンテナリー(triantenary)構造(58%)であり、EBNA細胞系ではテトラアンテナリー(tetraantenary)構造(48%)であった。
組換えBSPのO−糖化部位の限局化のために、O−グリカンは、ノイラミニダーゼ、β−ガラクトシダーゼおよびβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼとの蛋白の連続的消化によって、コア(core)−GaINAcまで、除去された。部分的に糖除去(deglycosylated)蛋白は、それからトリプリンとV8プロテアーゼでの処理でペプチド断片(fragment)へと分解された。MALDI−TOF質量分析法によりペプチドの質量が決定され、一部のペプチドはPSD−MALDI−TOF質量分析法により塩基排列決定された。この方法により、組換えBSPの8つのO−糖化部位について、5つはペプチド211−299(TTTSP・・・QVYR)上、最大3つは配列TGLAAを有するAS120およびAS135間のペプチド上、と決定できた。もちろん、組換えBSPにおいて、配列DATPGTGにおけるトレオニンはO−糖化された。骨BSPに、第3のO−糖化がなされた。組換えBSPに、第3の糖化部位はなかった。恐らく、この糖化部位はTGLAA−BSP部分構造上にある。
実施例5−タマゴの黄身からの抗BSP IgYの生成
治療および免疫シンチグラフィのための抗BSP IgYを、より大量に精製するために、種々の方法が述べられている。AkitaおよびNakaiの方法(Akita E.M.et al.,腸毒素産生性E.coli株で免疫化されたニワトリのタマゴからの免疫グロブリンの生産のための4つの精製方法の比較,in J Immuol Methods.1993,160(2),207−14)は優先的に用いられている。
タマゴ生産に対し、1週間あたり4.5個の生産性を持ち、黄身1つあたり特定のIgYを10mg以上の生産する”Lahmann White”または”LahmannBrown”などの生産性の高い種が用いられている。フロイントアジュバント(Freund’s Adjuvant)中で、ヒトの骨から単離された、または組換えられたBSP抗源に免疫処理がなされ、フロイントアジュバントによって、約0.1mgのBSPの基本的な免疫処理の後で、ブースター注入が6週間毎に与えられる。通常は、これらのニワトリの約30%が免疫処理に反応しない。タマゴが過酢酸を用いて外側から殺菌され、それから割られ、黄身が白身から分離された。それから黄身は、5〜10倍の体積の氷で冷やされたpHが5と5.2の間の蒸留水とともに泡立てられ、2〜5℃で2〜6時間以上培養された。それによって、実質的にリポ蛋白である黄身は粒状となって沈殿した。水の上澄み液はそれからフィルターペーパーを通して綺麗に濾過された(例えばWhatman1番)。
この上澄み液から、直接あるいは親和力クロマトグラフィを通して抗BSP IgYが均一的に精製できる。BSPは、化学的に共有結合で結合しており、Sepharose 4Bカラムを通して、臭化シアンによって活性化され、ヒトの骨から、あるいは組換えしたヒトの細胞系の培養上澄み液から、単離された。1gのIgYを結合するのに、0.5gの固定されたBSP(約5mlのSepharoseTMの共有結合で結合された)が必要である。
結合されたIgYは酸勾配を介して溶出し、その後溶液は中和される。この溶液は、それから、塩分および濃縮した抗体を除去されなければならず、それはクロスフロー(crossflow)法(例えばAmiconTM、100,000ダルトンの収率のらせんフィルターSY 100)で大規模に可能である。
実施例6−BSP H因子複合体(complex)に結合した抗BSP IgYの単離
多クローン性のニワトリの抗体の骨基質中のBSPとのわずかな反応が、H因子との複合体中のBSPと反応するこれらの抗体の選択を通して排除できる。この目的のために、H因子またはBSPは、化学的に共有結合で結合しており、臭化シアンによって活性化されたSepharose 4Bを通して、骨から単離され、あるいは、遺伝子操作され、その後、多くのBSPあるいはH因子がカラムに適用され、結合されるので、基質中の全ての配位子が相手(partner)と複合化する。濾過された黄身抽出物は、それからこの親和力カラムに適用され、実施例4のように、BSP−H因子中の遊離したエピトープに特異的に結合する抗体の分画(fraction)が得られる。
実施例7−トランスジェニックニワトリ中でのヒトの抗BSP抗体の生成
抗BSP IgYは、ヒトの治療あるいは診断において弱点がある。無関係な蛋白反応などの側面に影響が予期され、生物学的な半減期はヒトの抗体と比べてたった12〜24時間にしか至らない。IgYは補体システムを活性化しない。
BSPに抗するヒトの抗体は、特にトランスジェニックニワトリ中で生成でき、その中で、遺伝子ターゲッティングにより、抗体形成の責を負う遺伝子における鳥類の免疫グロブリンに対する定数領域がヒトの免疫クロブリンに対する定数領域で置き換えられた。適切なニワトリの幹細胞およびベクターシステムが米国特許5,340,740、5,656,479および5,464,764に記載されている。BSPとの免疫化の後で、そのようなニワトリはタマゴ中のヒトの抗体の生成物と反応する。
実施例8−ヒトの乳癌細胞系におけるBSPの発現の免疫ブロット法解析
腫瘍細胞系MDA−MB−231(乳癌細胞系、エストロゲンレセプタ陽性)およびT−47−D(乳癌細胞系、エストロゲンレセプタ陽性)が、免疫沈殿バッファで抽出され、BSPがヒトのBSPに抗するウサギの多クローン性抗体混合物A0001で沈殿された。沈殿物は変性の後でSDSジェルに適用され、電気泳動にかけられ、蛋白はニトロセルロース薄膜に移動した。その後、続いて、抗BSPウサギ抗血清A001と単クローン性のマウスの抗BSP抗体(BSP1.2)で免疫着色し、それによって第2の抗体として、ウサギのIgGおよびマウスのIgGに抗するヤギの抗体のペルオキシダーゼ抱合体が採用された。A、Bの両ブロットで、免疫沈殿BSPのバンドは70000ダルトンにおいて明瞭に識別できた。
腫瘍細胞の細胞表面上のBSPの存在の有無を示すために、乳癌細胞系MDA−MB−231およびMCF−7の細胞表面がビオチニル化され、免疫沈殿バッファで抽出され、BSPがヒトのBSPに抗するウサギの多クローン性抗体混合物A0001で沈殿された。沈殿物は変性の後でSDSジェルに適用され、電気泳動にかけられ、蛋白はニトロセルロース薄膜に適用された。それからこの薄膜上のビオチニル化された蛋白は、ECLシステム(Amersham社)において、ペルオキシダーゼとストレプトアビジン(streptavidine)の抱合体で証明された。
実施例8a−乳癌細胞系内および上のBSPの発現
先立つ浸透(permeablisation)の有りおよび無しの両方で、系T−47−DおよびMDA−MB−231のヒトの乳癌細胞が、免疫蛍光法的に(immunofluorescently)蛍光と共役した(conjugated)ウサギの抗ブタBSP抗体とヤギの抗ウサギ抗体とでマークされた。浸透の後、蛍光的にマークされたBSPは両細胞系で識別できる。浸透無しでは、T−47−D細胞系のみで、BSPは免疫蛍光法により証明できた。
実施例9−RT−PCRを介した腫瘍細胞におけるBSP発現の検出
腫瘍細胞系MDA−MB−231(乳癌細胞系、エストロゲンレセプタ陰性)、MCF−7(乳癌細胞系、エストロゲンレセプタ陽性)、T−47−D(乳癌細胞系、エストロゲンレセプタ陽性)および参照細胞としてのヒトの線維芽細胞(HGF)から、mRNAが単離され、逆トランスクリプターゼによって相補的cDNAが生成され、BSPの特異的なプライマー(promer)を持つPCRにより、BSP−cDNAが増幅された。BSP−mRNAの発現は乳癌細胞系MCF−7において特に高く、MDA−MB−231およびT−47−Dの細胞では少なく、また、参照細胞系においては検出できなかった。
実施例10−ヒト化した単クローン性抗体の生成
単クローン性抗体BSP1.2は、その腫瘍BSPとの特異的な結合に起因して、初期腫瘍および転移の治療に使用できる。それによって、抗体はある腫瘍の細胞の表面にBSP上に結合し、例えば補体カスケードの活性化を介して、細胞を破壊して免疫システムを刺激する。同様に、多クローンあるいは単クローン性抗BSP IgYもまた、治療に使用できる。この抗体が用いられると、ヒトの免疫システムはそれ自身の抗体−ヒトの抗マウスIgG抗体(HAMA)あるいはヒトの抗ニワトリIgY抗体(HACA)−の形成に作用する。HAMAおよびHACAは、腫瘍の抗原に対する生物の免疫反応を誘起あるいは強化できる。しかし、腫瘍マーカーの測定において、HAMAとHACAの干渉が生じ、それは試験管内の測定方法を崩壊させる。このように、腫瘍マーカーに対してみせかけの高い測定値が生じる。
このように、ヒト化された単クローン性抗体は、特に治療および免疫シンチグラフィに適している。単クローン性抗BSP抗体を生成するハイブリドーマ細胞系から適切にヒト化された抗体をいかにして導くかについて、複数の方法が説明されている。
実施例11−抗BSP抗体と細胞毒(poison)および放射性同位体との抱合体
発明のさらなる応用では、抗BSP抗体またはそれらのFabフラグメントに、細胞毒および放射性同位体が化学的に共有結合で結合するだろう。ヨウ素125またはヨウ素131などの放射性同位体でマークされた抗体は、免疫シンチグラフィを介しての腫瘍限局化のためのより少量の適用に対して、また、腫瘍の直接破壊のためのより大量の適用に対して、安定である。そのような化学的な抱合体は、例えば抗体のヨウ素125あるいはヨウ素131でのヨウ素化により、生成できる(Garvey,J.S.et al,,免疫学の方法3rded.,W.A.Benjamin Publ.,177,171−182)。放射能免疫治療および免疫シンチグラフィに対する安定な方法の概論はここに記載がある:Vuillez,放射能免疫ターゲッティング:診断および治療での使用,雄牛の癌中で.2000,87(11),813−27。
実施例12−細胞表面でのBSPの発現での腫瘍の治療
BSPが腫瘍細胞の表面で発現するか、生検材料から初めて測定された。腫瘍細胞の表面にBSPが検出できた患者は、ニワトリやマウスの抗BSP抗体、対応するヒト化された抗体、および、これらの抗体の細胞毒あるいは放射性同位体との抱合体による治療に適していると考えられる。
細胞の表面で発現した腫瘍マーカーに抗するように向けられた治療抗体での腫瘍の処置は、技術の状態(state)である。このように、ヒト化された抗体ヘルセプチン(herceptin)により、ヒトの上皮の成長因子のレセプタに抗して、冒されたのが約25%の転移形態中においても、乳癌は成功裏に治療できる(Hotaling TE at al.,ヒト化された抗HER2抗体rhuMAb HER2が、抗体に依存し、細胞を介した(cell−mediated)細胞毒性をFcgR IIIを介して伝える(要約),Proc.Annu.Meet.Am.Assoc.Cancer Res.1996;37:47;Pegram MD et al.,ヒト化された抗HER2抗体のフェーズIII治療院での試みにおける乳癌患者の抗体に依存し、細胞を介した細胞毒性(要約),Proc.Am.Assoc.Cancer Res.1997;38:602)。
ヘルセプチンと同様に、適当な抗BSP抗体は輸液として、例えば、第1の適用において90分の輸液、後で30分の輸液として、適用できる。輸液の頻度および抗体の量は血液中での抗体の半減期(ヒト化された抗体で約6日、ニワトリ抗体で24時間未満)および体重に応じて決められる。
実施例13−細胞あるいはBSP−H因子複合体に結合していない遊離BSPの中和による腫瘍の治療
上述の方法で、患者の腫瘍細胞が細胞表面上に検出できないBSPを発現するか測定された。これらの腫瘍の場合、細胞が血液中あるいは組織液中にBSPを放ち、補体カスケードの代わりのパスの不活性化のために、あるいは、骨組織中への移動のために、例えばH因子の結合を通してこれを用いると仮定される。この腫瘍タイプに対するさらなる可能な尺度は、血液血清中のBSPの増加した濃度(>20ng/ml血清)である。これらの場合、抗BSP抗体は遊離した腫瘍BSPまたはH因子との複合体中の腫瘍BSPの中和のために用いられうる。投与量は、血清中および組織液中に遊離して存在するBSPの量に関して設定できる。治療のために、H因子との複合体中の遊離したBSPのエピトープを識別できる、ニワトリおよびマウスの抗BSP抗体、および、ヒト化された抗BSP抗体が考えられる。また、蛋白分解の消化(Garvey,J.S.et al.,免疫学の方法3rded.,W.A.Benjamin Publ.,1977,256−266)による標準的な手順に沿って調製できる、これらのFabフラグメントも考えられる。また、遺伝子操作されたFabフラグメントは、上記の抗BSP抗体から誘導され、そのような治療に考慮されていく。
このように本発明は、アミノ酸TGLAAを含むアミノ酸120〜135(SWISSPROT:SIALHUMAN,Acc.No.P21815,信号配列なし)の領域において翻訳後のO−糖化を腫瘍hBSPが含まないので、腫瘍細胞のhBSPのエピトープのみに特異的に結合するヒトの骨シアロ蛋白(hBSP)に抗する可能な抗体を作成する。骨からの正常なhBSPとは異なる。抗体は、補体H因子との複合体中における腫瘍遺伝子の血清hBSPを識別でき、このように診断および治療の有用な機器を構成する。
実施例14−透析および前立腺患者の血清の一連のRIA測定
本発明による抗体はELISAにおけるトラッパ(trapper)抗体として用いられ、相対的な一連の測定において、透析患者(”正常な”BSP)と腫瘍に起因してそれぞれ大きく増加したBSP値を有する前立腺患者の血清中のBSPの量が測定された。
本発明によるニワトリの多クローン性抗体によりヒトの骨シアロ蛋白の血清濃度が測定され、それはまた、腫瘍細胞あるいは病気のために強く冒された組織からのヒトの骨シアロ蛋白上に存在するエピトープに結合し、それは、健康な骨からの正常な骨シアロ蛋白と比較して、アミノ酸TGLAAを含むアミノ酸120〜135の領域において変異し、あるいは不完全である、ヒトのBSP上における翻訳後の糖化である。ルールとして、100μlの抗体溶液が125Iでマークされた骨シアロ蛋白と混合された。24時間の4℃での培養の後に、第2の抗体の100μLの溶液が加えられ(ロバの抗ニワトリIgG)、2時間の4℃での培養の後に、反応混合物が2000gで遠心分離され、上澄み液が除去された。PBS中で250μLで洗浄し、続いて遠心分離(2000gで10分)した後に、上澄み液が再び除去され、カウンタ液(counter fluid)の添加後にペレット(pellet)の放射能がガンマカウンタで1分間測定された。
必要な較正曲線を通常の方法で、この場合では4パラメータ曲線アルゴリズムを用いて、作成した。ルールとして、標準値は、0、1.9、3.8、7.5、15、30、60および120μg/L BSPを含む。患者試料への標準物質の添加を通しての分析的な精度の評価は、平均で99%を越える幅の回復をもたらした。較正曲線の例に対するコンピュータプリントアウトが図4に示される。
以下の表にした一連の測定値は、本発明による抗体の助けにより、患者の腫瘍および血清中の変異していないBSPを、定量的に、H因子の存在下で、患者の特定の病気の賞状に依存せず、信頼性高く測定することができる。困難で間違えやすいH因子などの血清蛋白のBSPからの分離は必要ない。特に、腫瘍細胞からのBSPは信頼性高く測定でき、初期腫瘍および転移可能性の予後および評価において重大な進歩をもたらす。
Figure 2005508870
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BSPの腫瘍および骨特有のイソフォームのウエスタンブロットである。 単クローンのマウスの抗BSP抗体を用いての発現構築物(constructs)GST−EK−BSPおよびhis−myc−EK−BSPを有するトランスフェクションされていないEBNA−293細胞(負制御)およびトランスフェクションされたEBNA−293細胞の細胞培養上澄みのウエスタンブロットである。 フィッシャー(Fisher)ら(1991)による明らかにされていないBSPのアミノ酸配列である。 測定較正曲線のためのコンピュータ出力の例である。

Claims (14)

  1. 翻訳後の糖化が、骨からの正常な骨シアロ蛋白と比較して、アミノ酸TGLAAを含むアミノ酸120〜135(SWISSPROT:SIALHUMAN,Acc.No.P21815,信号配列なし)の領域において変異し、あるいは不完全である腫瘍細胞からのヒトの骨シアロ蛋白に存在するエピトープに結合することを特徴とする、ヒトの骨シアロ蛋白(BSP)に抗する抗体または複数の抗体。
  2. 抗原として、化学的または自然に、糖化において変異した骨シアロ蛋白で形成された
    請求項1に記載の抗体。
  3. 抗原として腫瘍細胞からの骨シアロ蛋白で形成された
    請求項1または2に記載の抗体。
  4. 腫瘍細胞の遺伝子操作により、糖化において変異した前記骨シアロ蛋白が形成された
    請求項3に記載の抗体。
  5. キャリア(carrier)蛋白に適切に結合したときに、アミノ酸配列TGLAAまたはYTGLAAを含むペプチド抗原に抗して形成された
    請求項1に記載の抗体。
  6. 骨蛋白の正常な糖化ができないドナーの骨材料からの糖化が変異した骨シアロ蛋白が用いられた
    請求項2に記載の抗体。
  7. ニワトリのIgY抗体である
    請求項1〜6のいずれかに記載の抗体。
  8. ヒトの抗体あるいはヒト化(humanized)された抗体である
    請求項1〜6のいずれかに記載の抗体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の抗体が用いられる、体液、特に血清中における腫瘍細胞からの骨シアロ蛋白の測定方法。
  10. 骨転移の診断および予後のための請求項9に記載の方法。
  11. 医薬の生産のための請求項1〜8のいずれかに記載の抗体の利用。
  12. 活性成分として、請求項1〜8のいずれかに記載の抗体を含む薬学(pharmaceutical)組成物。
  13. 骨転移の予防および治療のための請求項12に記載の薬学組成物。
  14. 診断方法または医薬の生産のためのターゲッティング(targeting)手段としての請求項1〜8のいずれかに記載の抗体の使用。
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