JP2005508569A - 薄膜赤外線透過性導体 - Google Patents

薄膜赤外線透過性導体

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Abstract

赤外線放射に対する透過率が高く導電性の膜を必要とする応用例のために開発されたドープされたカドミウム酸化物(CdO)の膜である。この膜に適切なドーパントには、第III族の元素の任意のものが含まれ、すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム又はタリウムである。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学デバイスにおいて用いられる赤外線透過性の導電性薄膜に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
赤外線領域で動作する電気光学デバイスは、多くが、極めて透過的な導電性薄膜を必要とする。そのようなデバイスには、ビーム・ステアリングのための液晶セル、空間光変調器、光通信のための光学スイッチ、電気光学結晶や光屈折ポリマなどの電気光学デバイスのための透過性導電性電極、波長の長い垂直空乏表面放射レーザ(VCSEL)などが含まれる。インジウムスズ酸化物(ITO)、ZnO、SnO2など従来型の透過性導電性酸化物は、応用例の仕様を充足させることができない。これらの材料は、可視光領域ではほとんどが透過的であるが、赤外線領域では、自由キャリア吸収によって透過が低下する。図6は、ガラス基板上の従来技術によるITO及びZnO膜に関して横軸に波長を縦軸に透過値をプロットしたものである。これら2つの間では一般に透過性が高い方であるITO膜は、約10Ω/□のシート抵抗を有する膜に対しては、1.31μmでは60%未満の透過率を有し、1.55μmでは40%未満の透過率を有する。シート抵抗が約200Ω/□であるITO膜に対しては、1.31μmでは96%未満の透過率を有し、1.55μmでは95%未満の透過率を有する。1.31μmと1.55μmとは、光ファイバ通信及び長波長VCSELの応用例にとっては、重要な値である。ドープされた半導体ウエハ又はエピタキシャル層(ドープされたSi、Ge、GaAs、InP)により、用途が限定されてきた。というのは、これらはスペクトル範囲の全体をカバーしないし、サイズが限定されるし、高価であるからである。
【0003】
従って、赤外線透過性の導電性膜に対する必要性が長い間感じられてきたのである。
従来は、可視領域及び紫外線領域における透過性を必要とするフラットパネル・ディスプレイや太陽電池のために、インジウムがドープされたカドミウム酸化物(CdO:In)の膜が用意された。しかし、これらの膜は、その毒性が広く知られており、従って、従来技術では、そのような膜とは異なる方向の開発が行われてきた。Minami他の論文では、フラットパネル・ディスプレイ及び太陽電池のために10-5Ωのオーダーの抵抗値を有するCdO:In膜が用意されたが、そのCdの毒性のために実際的な用途は存在しないということが述べられている(Minami, Tagatsugu, "New n-Type Transparent Conducting Oxides", Transparent Conducting Oxides, Volume 25, No. 8, August 2000, page 38)。更に、これらの膜は、黄色をしていて、従来技術による外見が透明な透過性膜とは区別されるため、この技術分野の当業者であれば、透過性の膜が必要とされるどのような応用分野においてもそのような膜を用いることはないであろう。
【0004】
スパッタリング、MOCVD、スプレイ熱分解によって、ドープされていないCdOも用意されてきている(Murphy, L.C.S. & Rao, K.S.R.K., "Thickness Dependent Electric Properties of CdO Thin Films Prepared by Spray Pyrolysis Method," Bulletin of Material Science, Vol 22, No 6, pp 953-7 (Oct. 1999); Subramarnyam, T.K et al, "Preparation and Characterization of CdO Films Deposited by DC Magnetron Reactive Sputtering", Materials Letter, Vol.35, pp 214-220, (May 1998); Baranov, AM. et al, "Investigation of the Properties of CdO Films," Tech. Phys. Ltr, 23, (10) pp 805-806 (Oct. 1997))。600から1600nmの波長範囲では、85%もの高い透過性が報告されている(上述のSubramarnyamの218ページを参照)。Baranovらは、更に、可視領域及び紫外線領域に関して透過的な電極を必要とする太陽電池など他の応用例のために、このようなCdO膜を考慮したことを報告している。また、Ferroらは、フッ素がドープされたCdO膜を報告している。しかし、そのような膜の透過率は約90%未満であり、より多くのフッ素が添加されるにつれて透過率が低下する(Ferro, R et al, "F-Doped CdO Thin Films Deposited by Spray Pyrolysis", PMS, State. Sol. (a) 177, P477-483 (200))。図6においてプロットされているデータは、これらの材料が従来技術によるドープされていないITO及びZnO膜と類似していることを示している。
【0005】
ほぼすべての入射赤外光も透過する抵抗率の低い膜に対する必要性が存在する。更に、このような膜を組み入れたシステムにおける損失のために、特に1.31又は1.55μmにおける赤外線スペクトルにおける赤外線の透過率は、これらの材料の実際の使用に関して少なくとも99%でなければならない。
【発明の概要】
【0006】
導電性で赤外線透過性の膜(フィルム)を必要とする応用において用いられるために、ドープされたカドミウム酸化物(CdO)の膜が開発された。この膜に適したドーパントには、第III族の元素(すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなど)の任意のものが含まれる。更に、適切に処理されるのであれば、ドーパントとしてF又はHを用いてそのような膜を用意できると考えられている。
【0007】
この新たなドープされた膜は、約0.5μmから10μmの間の範囲にある赤外線放射に対して実質的に透過的であり、サファイア又はNGOの上の赤外線領域の全体で例外的に高い透過率(1.31ミクロンで99.8%、1.55ミクロンで99.5%;3ミクロンで97%、5ミクロンで93%;10ミクロンで82%)を示す。というのは、ガラスは、その評価された周波数では非常に低い透過率を有する又は透過率を全く有さないからである。これらの測定は、配置(デポジット)された膜を用いてなされた。新たな膜は、約5から約10x10-5Ωの抵抗値を有する。ガラス基板の上に配置されると、この膜は、約200Ω/平方という低いシート抵抗を示す。
【0008】
このような膜を応用可能な例は多く、ビーム・ステアリングのための液晶セル、空間光変調器、光通信のための光学スイッチ、電気光学結晶や光屈折ポリマなどの電気光学デバイスのための透過性導電性電極、波長の長い垂直空乏表面放射レーザなどが含まれる。
【0009】
本発明の上述の及びそれ以外の特徴並びに効果は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【0010】
導電性で赤外線透過性の膜を必要とする応用において用いられるために、ドープされたカドミウム酸化物(CdO)の膜が開発された。この膜に適したドーパントには、第III族の元素(すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなど)の任意のものが含まれる。更に、F又はHがドープされ適切に処理た膜であれば所望の透過率を有すると考えられる。これらのドーパントは、CdOの電子密度を増加させ、それによってCdOをより導電性にすると考えられる。
【0011】
本発明によるフィルムには、以下のように、多くの応用例が存在する。
1)ビーム・ステアリングで用いられる液晶セル、空間光変調器、光通信のための光学スイッチ、特に光ファイバ通信のために1.31μ及び1.55μで動作する光学スイッチのための透過性かつ導電性の電極。
【0012】
2)電気光学結晶及び光屈折ポリマなどの電気光学デバイスのための透過性/導電性電極(電場が光の伝播と平行である縦方向の構成を用いる)。
3)電磁気(EM)又は無線周波数(RF)干渉からの遮蔽(シールド)の向上。
【0013】
4)商用航空機のレーダ制御システムの効率の改善。
5)長波長透過性垂直空乏表面放射レーザ(VCSEL)の上側電極。
6)強誘電及び圧電デバイスのための電極。
【0014】
約120Ω/□のシート抵抗値を達成するために第III族元素をドープされたCdO膜は、赤外線領域全体で高い透過率を有する(1.31μmで99.8%、1.55ミクロンで99.5%;3ミクロンで97%、5ミクロンで93%;10ミクロンで82%)。膜の抵抗値は、約6x10-5から約10x10-5Ω−cmである。これは、現在用いられているそのようなタイプの既知の膜にとって最低の値に属する。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)は、もっとも一般的に用いられているが、2−5x10-4Ω−cmの範囲の電気抵抗値を有する。
【0015】
この膜は、MgO、ガラス、水晶など任意の適切な基板の上に成長させることができる。薄膜成長のための多くの既知の方法が、本発明による第III族元素がドープされたCdO膜を成長させるのに適している。これらの方法には、パルス・レーザ・デポジション(PLD)、スパッタリング、有機金属気相成長法(MOCVD)、スプレイ熱分解、ゾル・ゲル、気相移動、ホットウォール・エピタキシ、密空間気相移動、プラズマ気相成長法(PCVD)、活性反応蒸着、ホスト材料(CdO)とドーパントとに別個の熱源を用いる熱共蒸着法などが含まれる(Handbook of Deposition Technilogies for Films and Coatings, second Edition, Noyes Publications, Bunshah, R.F. 1994を参照)。
【0016】
好適な方法は、パルス・レーザ・デポジション(PLD)である。その理由は、この方法によると、膜の組成及び暑さを正確に制御でき、ドーパントの活性化が容易になるからである。この方法は、"Pulsed Laser Deposition of Thin Films", Chrisey, 1994に詳細が説明されている。特に、実験的なセットアップは、真空チャンバの中に配置されたターゲット・ホルダと基板ホルダとで構成される。気化され基板の上に凝縮される材料の十分に混合された混合物がターゲット・ホルダに配置される。外部エネルギ源として用いられるハイパワー・レーザがターゲットに合焦され、制御された態様で混合物を気化する。レーザ・ビームをターゲットの表面で合焦しラスタさせるのには、さあ光学的コンポーネントが用いられる(上述のChriseyの書物の3ページを参照)。気化される材料の吸収特性によって、用いられるレーザの波長が決定される。パルス幅、反復率及びパルス強度は、特定の応用例に合わせて選択される(上述のBunshahのハンドブックの167ページを参照)。膜の厚さは、パルス時間とターゲットの距離とを変動させることによって制御することができる。このPLDプロセスはにより、これまで、100ないし4000オングストロームの厚さを有する膜が製造されてきている。成長した膜の組成は、ターゲットの組成と実質的に同じである。
【0017】
本発明の特徴を組み入れたCdO膜を用意するには、好適な組成は、ドーパントの重量の約0.5%から約0.6%を含む。この膜は、約20℃から約425℃の温度で成長させることができる。基板の温度は膜の品質に影響し、温度がより高ければ、赤外線及び可視領域における導電性及び透過性が大きくなる。ドープされたCdO膜の成長のための特定の手順を、以下の実例において与えることとする。
【0018】
例1:PLDによるインジウムがドープされたCdO(In:CdO)の成長
In23とCdOとで構成されるセラミック・ターゲットが、MgO基板から約10インチのPLDチャンバのターゲット・ホルダの中に配置される。ターゲットは、重量で1%のIn23の粉末と重量で99%のCdOの粉末とをジャーの中で混合し、このCdO/In23の混合物に体積がほぼ等しい量のメタノールでジャーを充たしてスラリを形成し、同じ体積のセラミック・ビーズ(直径がほぼ1cm)を加えることによって用意される。この混合物は、次に、24時間の間「ロール」されるが、このプロセスは「ボール・ミリング」として知られている。メタノールは、混合物から気化し、ビーズはふるい分けされて除去される。残りの粉末は円柱の形状に圧縮され、高温炉(約1100℃)の中で焼結されて、セラミック・ターゲットが形成される。
【0019】
次に、ターゲットは約5ミリトルのO2部分圧力を有する真空チャンバの中に配置され、チャンバの温度が440℃まで上昇される。ターゲットは、248nmの波長を有し5パルス/秒の周波数で390mJ/パルスのパルス・エネルギを有するKr:Fエキシマ・レーザを用いて照射される。このレーザによってもたらされるエネルギは、パルス継続時間が32ナノ秒のときに1J/cm2である。結果的に形成されるIn:CdOは、厚さが300オングストロームであった。
【0020】
図9は、上述したプロセスを用いて用意されたIn:CdO膜に関するX線回折データを示すプロットである。材料は結晶性であり、(200)の結晶配向を有するドープされていないCdOと同じピークを有している。
【0021】
この膜の導電性及び透過率スペクトルは、透過率測定のためのCaryモデルの器具を用いて測定された。In:CdO膜は、図1ないし図5に示されているように、112Ω/□の導電率と例外的に高い透過率とを有していることがわかった。図2に示されている膜の透過率は、基板の透過率を測定し、膜と基板とを合わせて測定された合計の透過率を基板だけの透過率で割ることによって決定された(図1を参照)。図3a及び3bは、赤外線範囲の一部に対するIn:CdO膜に対する%透過率と波長との関係を示すプロットである。図3aの上側の曲線は、膜がない場合のMgO基板の透過率を示し、図3aの下側の曲線は膜と基板とを合わせた場合の透過率を示している。図3bは、膜の%透過率によって膜と基板とを合わせた%透過率を割って得られる膜の透過率の値を示している。図3a及び3bは、2.5から10ミクロンまでの波長に対する%透過率を示している。図から明らかなように、ドープされたCdO膜は、より低い波長ではほとんど100%の透過率を示し、10ミクロンでも依然として80%前後の透過率を示している。
【0022】
図4では、In:CdO膜の%透過率が従来技術によるITO膜(ガラス基板の上の)と比較されている。図5には、図3bと図4とを組み合わせたものが示されている。両方の膜共に、比較的低いシート抵抗値(In:CdO膜では112Ω/□、ITO膜では141Ω/□)を有している。しかし、ITO膜の光透過率は、In:CdO膜の光透過率よりも著しく低い。図からわかるように、ITO膜の透過率はピークがおよそ1000nmの約99%の位置にあるが、それよりも周波数が低い又は高い光に対して著しく低下する。これと対照的に、In:CdO膜の透過率は、500ないし2000nmの範囲全体で約100%のままで維持されている。更に、In:CdO膜の場合の%透過率は、10ミクロンよりも長い波長では著しく高い。(図5などの図面において約2nmよりも大きな透過率の値の大きな変動は、読取機器における散乱に起因する。)In:CdO膜の場合に特に重要なのは、光ファイバ通信において用いられる周波数レベルである1.31及び1.55ミクロンの場合の高い透過率である。
【0023】
インジウムがドープされたCdO膜と従来技術による導電性膜とを対照させる別の方法として、屈折率(N)と両者の複合屈折率(R)とを比較する方法がある。
複合屈折率(R)は、次の数式から得られる。ただしここで、α=4πk/λ=減衰係数、λ=波長、d=膜の厚さ、I/IO(%透過率)=入射光/透過光である。
【0024】
(数1)
T%=I/IO=e-αd
示唆されているように、特に好適な動作波長は、1.55ミクロンである。
【0025】
図10は、実際の及び複合屈折率を示しているが、これは、インジウムがドープされたCdO及びITO膜に対して可変角度分光偏光解析法(spectroscopic ellipsometry)によって測定されたものである。
【0026】
その波長では、ドープされたCdO膜の実際の屈折率はITO膜(1.3N 0.33)の屈折率の約4倍である。これと対照的に、複合屈折率(R)は、厚さなどの変数を削除して正規化された比較を可能し、ドープされたCdO膜に対して18倍大きな値(0.05に対して0.9)を示している。
【0027】
ガリウムがドープされたCdOは、インジウムがドープされたCdOと類似の性質を有している。他の第III族の元素も、類似の性質を示すはずである。また、気相移動によって用意された膜も、同じように振る舞うように思われる。膜製造の間にチャンバの雰囲気にH2を付加することによって達成される水素ドーピング又は同時ドーピング(co-doping)によると、ここで説明されているように、より低温で(約200℃)で抵抗値の低い成長が可能になる。
【0028】
ドープされたCdO膜の第1の応用は、典型的には約20ミクロンまでの波長で動作するビーム・ステアリングにおいて用いられる液晶セルのための透過性導電性電極、14ミクロンまでで動作する空間光変調器、そして、光ファイバ通信のために1.31μ及び1.55μで動作する光スイッチである。
【0029】
第2の用途は、電場が光の伝播とは平行な横方向の構成を用いた電子光学結晶及び光屈折ポリマなどの電子光学デバイスのための透過性/導電性電極においてである。
従来型の透過性/導電性電極デバイスは、光電気的に活性の材料を挟んでいる2つのPt電極500、502を有している(図7)。Pt電極500、502を介して加えられる電圧により、その間の液晶材料において電荷が生じる。しかし、Pt電極500、502が透過的ではないために、放射504は、電極の面に平行なデバイスの端部を介して運ばれなければならない。従って、収集される放射の量は、電極の間の距離に比例する。必要となる電圧の大きさは電極間の距離が増加するにつれて増大するから、収集される放射の量との間にトレードオフの関係が存在する。電圧の最小化が必要である。更に、Ptは不活性元素であるから材料にうまく接着せず、結果的に離脱又は剥落してしまう。
【0030】
Ptの電極をドープされたCdO電極によって代替することにより、赤外線放射が電極を通過して入射することが可能になる。その理由は、電極が透過性であるからである。このデバイスは、図8に示されているように構成することができる。このように、電極506、508をより近接させることにより、必要となる電圧を低下させることができるより薄いデバイスを作成することができる。更なる効果は、サンドイッチ型の電子光学材料は、ドープされたCdO電極により容易に接着するということである。
【0031】
赤外線信号を用いる応用例では、周囲の電磁気(EM)又は無線周波数(RF)の送信の結果として生じる高周波信号をフィルタリングして除去することによって、より雑音の少ない赤外線信号を受信することで、機能が改善される。CdOがドープされた膜は、この目的に適している。
【0032】
光ファイバ通信に用いられる典型的な周波数は、1.31及び1.55μmである。また、垂直空乏表面放射レーザ(VCSEL)は1.55μmの領域で動作する。この領域での問題を解決する透過性の電極は入手可能ではないから、金属リング電極が用いられる。金属リング電極は効率的でなく、大型のレーザと共には機能し得ない。というのは、大きな必要となるリングは電流を流す表面積が小さく、従って、導通させることができる電流量が限定され、結果的に一様でない電流密度の移動が生じる。このリングは、また、配送される光の一部をブロックする。本発明によるドープされたCdO電極を用いることにより、一様な入射に対して大きな一様の領域が与えられる。というのは、透過性の電極によって光が頂部から入射することが可能となるからである。
【0033】
ドープされたCdO膜は導電性が高いので、赤外線透過が重要ではない強誘電性(例えば、圧電)デバイスのための電極としても用いることができる。従来型のデバイスは、圧電材料にはうまく接着せず従って剥落してしまうPt電極を用いている。ドープされたCdOは、より適合性も、接着性も有している。
【0034】
以上では、本発明の複数の例示的な実施例を示し説明したが、この技術分野の当業者であれば、多くの変形例や別の実施例を想到できるはずである。そのような変形例や別の実施例は、特許請求の範囲において定義されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の特徴を組み入れたIn:CdOに関するX線回折データを、それが取り付けられている基板の透過性と比較したプロットである。
【図2】図1膜の透過性を500μmから3000μmの範囲での基板分の透過性を減算することによって正規化された様子を示している。
【図3】図3a及び図3bから構成されている。図3aは、波長が2.5μmから10μmの場合に基板上のIn:CdO膜に対する%透過性と波長との関係を示すプロットである。図3bは、基板の影響を減算した後の図3aの膜の%透過性を示すプロットである。
【図4】波長が500から2000nmの場合に、比較可能なシート抵抗値について、In:CdO膜の%透過性を従来技術によるITO膜と比較してプロットしたものである。
【図5】波長が0.5から10μmの場合に、図3bと図4とを合成したものである。
【図6】ガラス基板の上の比較可能なシート抵抗値について、従来技術によるITO及びZnO膜と本発明によるインジウムがドープされたCdO膜とにつき、透過性の値と波長とを両軸にとったグラフである。
【図7】従来型の電子光学デバイスの断面図である。
【図8】本発明による電子光学デバイスの断面図である。
【図9】本発明によるIn:CdOに関するX線回折パターンを示している。
【図10】インジウムがドープされたCdO膜とインジウムスズ酸化物膜との屈折率を比較しているグラフである。

Claims (12)

  1. 光電子デバイスを動作させる方法であって、
    赤外線放射をCdO膜を介して透過させるステップと、
    前記放射を電気的読取信号に変換するステップと、
    を含んでおり、前記CdO膜は第III族元素を用いてドープされていることを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記CdOの中のドーパントはインジウムであることを特徴とする方法。
  3. 請求項2記載の方法において、前記ドーパントの濃度は重量の0.5%から6%までの間であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1記載の方法において、前記光電子デバイスは、500から3000nmまでの周波数を有する赤外線スペクトルの中の入射光と共に動作することを特徴とする方法。
  5. 請求項4記載の方法において、前記入射光は約1.31から約1.55μmまでの周波数を有していることを特徴とする方法。
  6. 導電性で赤外線透過性の膜であって、B、Al、Ga、In及びTlで構成されるグループからの少なくとも1つの元素を用いてドープされたCdOを含み、このドープされた膜は、約500から約3000nmの周波数において少なくとも約90%の透過性を有していることを特徴とする膜。
  7. 請求項6記載の膜において、前記ドーパントの濃度は重量の0.5%から6%の間であることを特徴とする膜。
  8. 請求項7記載の膜において、ドーパントとして水素を更に含むことを特徴とする膜。
  9. 請求項6記載の膜において、約1.31から約1.55μmまでの周波数において少なくとも約99%の透過率を有していることを特徴とする膜。
  10. 請求項6記載の膜において、インジウムを用いてドープされたCdOを含むことを特徴とする膜。
  11. 請求項6記載の膜において、RF又はEMI遮蔽特性を提供することを特徴とする膜。
  12. 導電性で赤外線透過性の膜であって、水素又はフッ素の少なくとも一方を用いてドープされたCdOを含み、このドープされた膜は、約500から約3000nmの周波数において少なくとも約90%の透過性を有していることを特徴とする膜。
JP2002580415A 2001-04-06 2002-04-03 薄膜赤外線透過性導体 Withdrawn JP2005508569A (ja)

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