JP2005508298A - アテローム性動脈硬化症及び他の炎症性疾患を処置する方法 - Google Patents

アテローム性動脈硬化症及び他の炎症性疾患を処置する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、アテローム性動脈硬化症及び他の炎症性疾患を処置するために血管内皮性増殖因子受容体(VEGFR)アンタゴニストを利用する方法に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、アテローム性動脈硬化症及び他の炎症性疾患を処置するために血管内皮性増殖因子(VEGFR)を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化症及びその合併症は、米国における主要な死因である。アテローム性動脈硬化症は、動脈の進行性の狭窄及び硬化に関与し、これはやがて異なる組織又は器官において虚血又は梗塞をもたらす。全死因の1/3を占める最も一般的な単一の死因は、冠状動脈に関与し、狭心症及び心臓麻痺をもたらす、アテローム性動脈硬化性心疾患である。発作を引き起こす、脳に対する血液の供給のアテローム性動脈硬化性の障害は、ガンに続く第三の最も一般的な死因である。アテローム性動脈硬化症はまた、他の主要な動脈、例えば腎臓、脚及び腸に対するものの血流を減少させることによってたくさんの深刻な病気を引き起こし、その結果末梢性の動脈疾患を引き起こす。
【0003】
ある程度、アテローム性動脈硬化症は加齢により生じることが知られているが、高コレステロール(高コレステロール血症)、高血圧、喫煙、及びアテローム性動脈硬化症疾患の家系、を含む、この過程を加速させる他の危険因子が同定されている。当該症状はまた、別の障害、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、クッシング症候群、糖尿病、肥満、アルコール依存症、コルチコステロイド治療又はエストロゲン治療に続発しうる。あまり慎重には研究されていないが、他の心疾患の危険因子、例えば高レベルのホモシステイン及び運動不足も、重要な役割を果たしている。尚、高レベルのC-反応性タンパク質は、将来の末梢動脈疾患の高い危険性を予測しうる。
【0004】
様々なアテローム性動脈硬化症の処置が現在存在している。薬物療法が満足のいく処置でないのは、動脈壁に対するひどい損傷が既になされているためである。抗凝固薬は、二次的な凝固及び塞栓形成を最小化すべく使用されてきたが、当該疾患の進行に対してほとんど又は全く効果を有さない。血管拡張薬が症候の緩和を提供するために使用されるが、治療的な価値はない。
【0005】
外科的な処置も、ある高い危険性の状況に利用可能である。バルーン血管形成は、狭窄部の血管を広げ、そして証明されていない血液の供給を促進しうる。最近、金属製のステントエレメントを挿入する新規の技術が、その拡張されて開いた状態で処置された血管壁を永久に維持するために使用されてきた。血管ステントは、ステンレス鋼又は他の金属から作られる小さなメッシュチューブであり、そして心臓外科医によって、罹患した動脈の弱った内壁につっかえをして開いておくために使用される。それらは、詰まった動脈が処置された後の再狭窄を防ぐために、バルーン血管形成と一緒に使用される。心筋に対する血液の供給はまた、血管グラフトバイパスを介して回復しうる。大きなアテローム性で且つ石灰化した動脈の障害物は、動脈内膜切除によって除去することができ、そしてウーブンプラスチックチューブは罹患した末梢血管の全セグメントを置換することができる。
【0006】
いくつかの場合における、アテローム性動脈硬化症の危険因子の1つである高コレステロール血漿の減少に関して、これはダイエット及び/又は薬物の使用の改良によって達成され、それによって当該疾患の致死の危険性を最小化することができる。食事による植物繊維及び食物の他の有効成分の消費は、ヒトの血清コレステロールの減少を達成してきた。
【0007】
アテローム性動脈硬化症は、手足の動脈の狭窄の最も一般的な原因であるが、他の障害も原因となりうる。血塊(血栓)は、心臓又は大動脈又は他の大きな動脈において形成しうる。血塊は遊離し、そしてそれらがより小さな動脈につかえるまで移動しうる(塞栓形成)。あまり緊急性のないコレステロールの塞栓は、コレステロールの微粒子がプラークからはがれ、そして小さな動脈を塞いだ場合に生じる。異なる症状の、膝窩動脈捕捉は、腓筋の拡大がその下にある動脈に対して過剰な圧力を与える場合に、健康な若い個体において主に生じる。膝窩動脈捕捉は、男性において主に生じ;対照的に、レイノー現象は女性において一般的である。この症状において、低温は、痛みのある青又は白い指又はつま先を生じせしめる、一時的な動脈の痙攣を招く。最後に、動脈の炎症(動脈炎)も手足への血流を制限しうる。
【0008】
全身性疾患として、アテローム性動脈硬化症は、体内のあらゆる動脈に影響を及ぼしうる。たとえそうであっても、その損傷は極めて局所的であり、プラークは、ある特定の小さな動脈の伸縮に損傷を与え、同時に近接のセグメントに危害を加えない。例えば、末梢性動脈疾患のプラークは、腕よりも脚においてはるかに一般的である。そして、腹部及び脚において、閉塞は、特定の場所、例えば大動脈及び腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈、及び頚骨動脈において発生しやすい。最大の危険な点は、動脈がより小さな血管内に枝分かれする場所である。
【0009】
アテローム性動脈硬化症は、コレステロールが血液から内皮を超えて動脈の中間層へと通過して始まる。コレステロールが原因ではあるが、全ての形態が原因ではない;事実、損傷は、酸素フリーラジカルの作用によって毒性型へとそれ自身が修飾される血中の「悪玉」コレステロールである、酸化型LDLコレステロールによって開始される。酸化型コレステロールは、動脈壁内の一連の事象を引き起こし、最終的にはアテローム性動脈硬化症へと導く。マクロファージは動脈内に移動し、ここで、それらは酸化型コレステロールを飲み込む。マクロファージが細菌及びウイルスを飲み込むと、それらは微生物を殺すが、コレステロールの場合は逆である。酸化型コレステロールを飲み込んだ後、マクロファージは泡沫細胞へと肥大し、その後死に至り、それらの含有物を放出し、そしてより更なる炎症を刺激し、そして脂肪線条を作る。それに応じて、平滑筋細胞が肥大する。その結果が、炎症中心及び硬い覆いを有するプラークであり、これは動脈チャンネル上に徐々に侵入し、血流を阻止する。プラークが破断して、血流に炎症性のコアを曝露した場合、血小板はプラークに付着し、ここで、それらは血栓症、又は血塊形成を開始する。プラークでなく血塊が、動脈の完全な閉塞の一般的な原因である。
【0010】
血管新生因子は、プラーク内の新生血管形成を介するプラークの成長及びその破断に対する脆弱性を刺激しうる。プラークの新生血管形成の臨床的な重要性は、不安定狭心症を有する患者由来の病変における新生血管形成のより高度な普及の他、破断及び壁の出血を有する患者由来の病変によって理解される。これまでの研究は、血小板由来増殖因子(PDGF)、酸性及び塩基性線維芽細胞増殖因子(それぞれ、aFGF及びbFGF)、アンギオテンシンII、及びトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)、及び炎症性サイトカイン、例えば腫瘍壊死因子−α(TNF-α)及びインターロイキン1βを含む多数のペプチド増殖因子を、血管細胞の活性化に重要であるとして同定してきた。ヒトのアテローム性動脈硬化性プラークにおけるFGFの発現は、平滑筋細胞の蓄積及び病変の不安定性を増大させたが、aFGFのトランスジェニックな発現は、動物モデルにおける新生内膜肥厚を悪化させた。
【0011】
更に、その生物学的な応答が高親和性のVFGF受容体(VEGFR)を介して媒介される、血管内皮増殖因子(VEGF)は、アテローム性動脈硬化症の発症において重要な役割を果たすという証拠が示されている。血管新生因子であるVEGFの高発現は、広範な新生血管形成を伴う全ての閉塞性アテローム性動脈硬化症の病変において検出されてきた。更に、aFGFと同様に、VEGFの投与も動物モデルにおいて新生内膜肥厚を悪化させた。VEGF及びVEGFホモログである胎盤増殖因子(PlGF)も浸潤性プラークにおいて共に存在し、一方、VEGFは凝集によるプラーク内で放出されうる。Moulton等は、Circulation, 99: 1726-32 (1999)において、2つの異なる血管新生阻害剤による長期間の処置が、アポリポタンパク質E欠損(apoE-/-)マウスモデルにおいて内皮の新血管形成及びプラークの成長を低下させ、一方、VEGFの投与はアテローム性動脈硬化性プラークの成長を促進した。
【0012】
浸潤性プラークにおけるそれらの存在に加えて、VEGF及びPlGFは炎症細胞においても共に存在する。これらの増殖因子は、VEGF及びPlGFが共に炎症細胞、すなわち単球/マクロファージの既知の化学誘引物質であり、そして後者の細胞がそれらの受容体であるVEGFR-1を有しているので、他の炎症性疾患における役割を果たしていると思われる。炎症性疾患は、慢性炎症性疾患を含み、これは漸進的で且つ維持された抗自己反応、すなわち自己免疫応答を特徴とし、典型的には組織の炎症の発生、そして、深刻な場合には炎症組織の破壊にいたる。炎症性サイトカインIL-1及びTNF-αは、マクロファージ、単球及び顆粒球と同様に、多数のこれらの炎症性疾患において重要な役割を果たしている。例えば、Dinarello et al., Curr. Opin. Immunol., 3: 941-48 (1991)を参照のこと。
【0013】
炎症性疾患の現在の処置療法は、糖質コルチコイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びRAの場合には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、又はこれらの組み合わせの使用を包含する。負の副作用及び乏しい効果は、これらの治療剤の深刻な欠点であった。TNF-α機能を阻害する新規の抗炎症薬(etanercept, infliximab)は、RAにおける臨床的な使用のために最近になって承認された。
【発明の開示】
【0014】
本発明の簡単な要約
本発明は、受容体に対するVEGF及び/又はPlGFの結合を阻害するVEGFRアンタゴニストを投与することによってアテローム性動脈硬化症及び他の炎症疾患を処置する方法に関する。1つの態様において、当該アンタゴニストは、VEGF及びPlGFがVEGFR-1受容体に対する結合から阻害されるような、VEGFR-1に結合する抗体である。
【0015】
本発明の詳細な説明
血管新生因子、例えばVEGF及びPlGFは、アテローム性動脈硬化症の異なる段階に作用する複数の機構を介してプラークの発達を促進しうる。第一に、両増殖因子は、炎症細胞についての既知の化学誘引物質であり、そしてアテローム性動脈硬化症の病変においてこれらの細胞を補充し、それによって初期段階におけるプラーク成長を媒介し、そして恐らくは後期の段階におけるプラークの不安定化に寄与する。第二に、局所的に分泌された血管新生因子によって誘導されたプラークの新生血管形成は、血管の内腔からの酸素の拡散がプラークの代謝要求を満たすのに不十分であるので、あるサイズを超す病変の成長の必要条件であり得る。第三に、組織因子の発現を介してフィブリン形成を刺激し、凝固を開始するVEGF及びPlGFは、血管透過性及び、フィブリノーゲン、フィブロネクチン及び遊走性の創傷細胞の足場を構成する他のタンパク質を含む、血漿タンパク質の管外溢出を増大することによってプラーク成長に作用し得る。最後に、VEGF及びPlGFは、外来性のVEGFがウサギの頚動脈における突出した内膜肥厚を誘導し、そしてイヌにおける血管損傷後の新生内膜肥厚を悪化させたという発見によって示されるように、平滑筋細胞(SMC)の増殖を刺激する。
【0016】
VEGFはアテローム性動脈硬化症において高度に発現するので、PlGFも、プラークの新生血管形成、マクロファージの補充及びSMCの増殖に対するVEGFの作用を調整することによってアテローム性動脈硬化症の進行における役割を果たしていると思われる。更に、PlGFは、マクロファージの補充及び脂肪線条の形成に対し、後者の細胞がその受容体を発現するので、直接作用を有すると思われる。アテローム性動脈硬化症の発症における血管新生因子VEGF及びPlGFの関与の可能性は、これらの増殖因子への反作用が病変の退行を誘導する可能性があるアプローチを構成し得るので、重要な臨床的な意味を有する。VEGFの受容体が生理学的機能に干渉しないので、VEGFの受容体の抑制は、神経変性を生じさせ得るVEGF自体の抑制よりも治療のためのより良い標的である。
【0017】
VEGF及びPlGFのような血管新生因子はまた、様々な異なる経路により、炎症性疾患を永続させ、そして悪化させ得る。そのような炎症性疾患の主要な例である関節リウマチ(RA)は、この項において例示される。滑膜における血管新生は、RAの発病における初期の事象の1つであり、そして、炎症細胞の浸潤及びパンヌス増殖が新規血管の存在に大きく依存するので、当該疾患の進行において重要である。VEGF及びPlGFは、関節炎の関節に存在する多数の細胞型がこれらの血管新生因子についての1又は複数の受容体型を有すことがあるので、RAの複数の病理学的特徴を媒介し得る。血管細胞(内皮細胞及び平滑筋細胞)は両方のVEGFRを有するが、単球−マクロファージ系の細胞(マクロファージ、単球及び破骨細胞)は、VEGF及びPlGF両方の受容体である、1つのVEGFRのみを発現する。このVEGFRの発現パターンは、VEGF又はPlGFが滑膜の新生血管形成だけでなく、炎症細胞の浸潤及び骨の破壊を媒介し得ることを示す。尚、A型の滑膜細胞が単球系に由来するので、これらの細胞もVEGFRを発現し、そしてVEGF又はPlGFに応じて増殖し得る。
【0018】
VEGFは、胚発生の間の内皮前駆体(血管芽細胞)のin situでの分化及び成人期の間の血管新生の過程、例えば創傷治癒、糖尿病性網膜症、RA、乾癬、炎症性障害、腫瘍の増殖及び転移、に由来する新規血管の新規発生である、血管発生の重要な制御因子である。2つの23kDのサブユニットから成るホモ二量体の糖タンパク質であるVEGFは、血管透過性の強力な誘導因子、内皮細胞の移動及び増殖の刺激因子、並びに新規に形成した血管の重要な生存因子である。VEGFの4つの異なる単量体のイソ型が存在し、これらはmRNAの選択的スプライシングに起因している。これらは、2つの膜結合型(VEGF206及びVEGF189)並びに2つの可溶性型(VEGF165及びVEGF121)を含む。胎盤を除く全てのヒトの組織において、VEGF165は最も豊富なイソ型である。
【0019】
VEGFの生物学的応答は、典型的にクラスIIIの受容体型チロシンキナーゼであって、それらのアミノ末端にある細胞外受容体リガンド結合ドメイン内に複数の、通常5乃至7の免疫グロブリン様ループを有することを特徴とするものである、その高い親和性のVEGFRを介して媒介される。他の2つの領域は、キナーゼ挿入ドメインと称される可変長の親水性インターキナーゼ配列の挿入によって中断される膜貫通領域及び刈る簿記氏末端細胞内触媒ドメインを含む。VEGFRは、Shibuya et al.,Oncogene, 5: 519-524 (1990)にて配列決定されたfms様チロシンキナーゼ受容体(flt-1)又はVEGFR-1、1992年2月20日に出願されたWO92/14248、及びTerman et al., Oncogene, 6: 1677-1683 (1991)に記載され、Matthews et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 88: 9026-9030 (1991)にて配列決定されたキナーゼ挿入ドメイン含有受容体/胎児肝臓キナーゼ(KDR-flk-1)又はVEGFR-2を含むが、他の受容体、例えばニューロピリン-1及び-2もVEGFに結合し得る。別のチロシンキナーゼ受容体、VEGFR-3(flt-4)はVEGFホモログであるVEGF-C及びVEGF-Dに結合し、そしてリンパ管の発生においてより重要である。VEGFRのリガンドは、VEGF及びそのホモログであるPlGF、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びVEGF-Eを含む。
【0020】
一般的に、VEGFR-2は、内皮細胞の増殖、移動、分化、管の形成、血管透過性の増大、及び血管の完全性の増大をもたらす主要なVEGFシグナル伝達因子である。VEGFR-1ははるかに弱いキナーゼ活性を有し、そしてVEGFR-2よりもほぼ10倍高い親和性でVEGFに結合するが、VEGFによって刺激された場合に分裂促進の応答を生じることができない。VEGFR-1も、VEGF誘導型の単球/マクロファージの移動及び組織因子の産生に関与する。
【0021】
VEGFホモログであるPlGFも、VEGFR-1の天然の特異的なリガンドである。二量体の分泌型因子であるPlGFは、絨毛性の細胞栄養芽層、シンシチウム栄養芽層、及び外絨毛性(extravillous)栄養芽層によって大量に産生され、そしてVEGFに対して近いアミノ酸のホモロジーを有する。3つのイソ型、PlGF-1、PlGF-2、及びPlGF-3が存在する。PlGF欠損マウスを用いた研究は、この増殖因子が血管新生自体に関与せず、そのかわりにそれは病理学的状況の間にVEGFの血管新生及び透過性の作用を調整する。
【0022】
本発明は、アテローム性動脈硬化症及び他の炎症性疾患を処置するためにVEGFRアンタゴニストを利用する方法を提供する。本発明のVEGFRアンタゴニストは、抗体、リガンド、ペプチド、DNA、小分子、又は任意な他の適当なアンタゴニストであってもよい。有用であるためには、抗体、リガンド、ペプチド、DNA、又は小分子は、VEGFRリガンドのうちの少なくとも1つによる当該受容体に対する結合を阻止し、そして/あるいはVEGF受容体サブファミリーの活性化を防ぐのに十分でなければならず、これはより高レベルのリガンドから生じる活性化の防止、VEGFR遺伝子増幅、VEGFR転写の増大又はmRNA翻訳の増大、当該受容体の安定性、又は制御されない受容体のシグナル伝達を招く突然変異、を含む。
【0023】
本発明の文脈において、VEGFRの活性化の防止とは、VEGFRの活性化のあらゆる低下を意味する。すなわち、活性化の防止は、VEGFRの活性化を完全に止める必要はない。VEGF受容体のサブファミリーの活性化の防止は、以下の活性のいずれかを防止し得る:受容体の二量体化、VEGFRの自己リン酸化、受容体の内部の細胞質チロシンキナーゼドメインの活性化、並びに、血管発生及び血管新生の制御に関与する多数のシグナル伝達経路の開始。そのようなシグナル伝達経路は、例えば、ホスホリパーゼCγ(PLCγ)経路又はホスファチジルイノシトール3’キナーゼ(PI3-K)/Akt及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を含む。例えば、Larriv e et al., Int'l J. Mol. Med., 5: 447-56 (2000)を参照のこと。
【0024】
好ましいVEGFRアンタゴニストは、VEGF又はPlGFのいずれかがVEGFRに結合するのを阻止するものである。このことは、任意の適当な手段によって達成されうる。例えば、VEGFRに対するVEGFRアンタゴニストの直接結合又はVEGF又はPlGFに対するVEGFRアンタゴニストの直接結合が、VEGF又はPlGFがVEGFRに結合するのを防ぐために利用され得る。VEGFRアンタゴニストがVEGFRに特異的に結合する場合、当該アンタゴニストが、VEGFRの細胞外部分に対して外部から結合することがあり(これは当該リガンドの結合を阻害することもあり、又は阻害しないこともある)、あるいはチロシンキナーゼドメインに対して内部から結合することもあると理解されるはずである。
【0025】
VEGFRに結合するVEGFRアンタゴニストの例は、限定しないが、VEGFRに特異的な生体分子、例えば受容体リボザイム及び抗体(又はその機能的等価物)、VEGFRの細胞質ドメインに直接作用する合成キナーゼ阻害剤、例えば小分子を含む。好ましくは、本発明のVEGFRアンタゴニストは、VEGFRに特異的な生体分子であり、そして更に好ましくは、VEGFRに特異的な抗体、又はその機能的等価物であり、これらの詳細を以下に記載する。あるいは、本発明のVEGFRアンタゴニストは、小分子キナーゼ阻害剤であり;また、この詳細は以下において更に詳細に記載する。
【0026】
VEGFRアンタゴニストが抗体であるという本発明の1つの態様において、当該抗体は、モノクローナル抗体、抗体のフラグメント、抗体の誘導体、キメラ抗体(ある種の抗体由来の定常領域と別の種の抗体由来の可変領域)、ヒト化抗体(ヒト由来の抗体に由来する定常領域と別の種由来の抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域)、又は完全ヒト抗体であってもよい。当該抗体は、一本鎖抗体(scFv)又は当該抗体の合成ホモログであってもよい。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、又は本文から明らかである限り、抗体のドメイン、領域及びフラグメントは、当業界で周知なような標準的な定義に従う。例えば、Abbas et al., Cellular and Molecular Immunology, W. B. Saunders Company, Philadelphia, PA (1991)を参照のこと。本発明のVEGFRアンタゴニスト抗体は、好ましくはモノクローナルである。
【0027】
VEGFRアンタゴニストはまた、抗体のフラグメントであってもよい。当該フラグメントは、全抗体を開裂することによって、又は当該フラグメントをコードするDNAを発現することによって産生されうる。抗体のフラグメントは、Lamoyi et al., J. Immunol. Methods, 56: 235-243 (1983)及びParham, J. Immunol. 131: 2895-2902 (1983)に記載の方法によって調製されうる。本発明において有用な抗体のフラグメントは、全抗体のものと同一の結合特性を有し、又はそれに匹敵する結合特性を有する。そのようなフラグメントは、1又は両方のFabフラグメント又はF(ab')2フラグメントを含むことがある。そのようなフラグメントはまた、一本鎖フラグメントの可変領域抗体、すなわち、scFv、dibodies、又は他の抗体フラグメントを含むことがある。好ましくは、抗体フラグメントは、全抗体の合計6つの相補性決定領域を含むが、全部よりすくないそのような領域、例えば3つ、4つ又は5つのCDRを含むフラグメントも機能的なことがある。当該抗体フラグメントが免役原性であるのに短すぎる場合、それは担体分子と複合されうる。いくつかの適当な担体分子は、キーホールリンペットヘモシアニン及びウシ血清アルブミンを含む。複合は、当業界で知られている方法によって実施されうる。
【0028】
本発明のVEGFRアンタゴニストである抗体は、結合特性が直接的な突然変異、親和性成熟法、ファージディスプレイ、又はチェーンシャッフリングによって向上しているものを含む。親和性及び特異性は、CDRを突然変異させ、そして所望の特性を有する抗原結合部位をスクリーニングすることによって修飾され、そして向上されうる(例えば、Yang et al.,J : Mol. Bio., 254: 392-403 (1995)を参照のこと)。CDRは様々な方法で突然変異される。1つの方法として、個々の残基又は残基の組み合わせをランダム化し、他の点では同一の抗原結合部位群において、全ての20個のアミノ酸が特定の位置に見られるようにするものがある。あるいは、突然変異は、エラープローンPCR法によってCDR残基の範囲を超えて誘導される(例えば、Hawkins et al.,J Mol. Bio., 226: 889-896 (1992)を参照のこと)。重鎖及び軽鎖の可変領域遺伝子を含むファージディスプレイベクターは、E.コリの突然変異誘発菌株において増殖される(例えば、Low et al., J Mol. Bio., 250: 359-368 (1996)を参照のこと)。これらの突然変異誘発法は、当業者に知られている多数の方法のうちの例示である。
【0029】
1つの好ましい態様において、VEGFRアンタゴニストはVEGFR-1に特異的に結合する。特に好ましいものは、VEGFR-1の細胞外とメインに結合し、そしてそのリガンドの1つによる結合を阻止し、そして/あるいはリガンド誘導型のVEGFR-1の活性化を中和する、抗原結合タンパク質である。例えば、MAb6.12は、可溶性で且つ細胞表面発現型のVEGFR-1に結合するscFvである。scFv6.12は、マウスモノクローナル抗体MAb6.12のVL及びVHドメインを有する。MAb6.12を産生するハイブリドーマ細胞系は、ATCC番号PTA-3344として寄託された。当該寄託は、特許手続のための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の条項のもと行われた。これは、寄託日から30年間生存可能な培養物の保持を保証する。当該生物は、ブダペスト条約の条件のもとで、且つ出願人とATCCとの同意に従い、ATCCによって利用可能とされ、これは関連する米国特許の発行により無制限の利用を保証する。寄託された菌株の利用可能性は、任意の政府機関の権限のもと、その特許法に従い許諾された権利に違反して本発明を実施するライセンスとしてみなされるべきではない。
【0030】
VEGFR-2抗体を産生する種々のハイブリドーマも存在する。例えば、ラット抗マウスVEGFR-2モノクローナル抗体(DC101)を産生するハイブリドーマ細胞系は、ATCC HB 11534として寄託され;マウス抗マウスVEGFR-2モノクローナル抗体MAb25を産生するハイブリドーマ細胞系(M25.18A1)は、ATCC HB 12152として寄託され;マウス抗マウスVEGFR-2モノクローナル抗体MAb73を産生するハイブリドーマ細胞系(M73.24)はATCC HB 12153として寄託された。
【0031】
更に、抗VEGFR-1抗体を産生する種々のハイブリドーマが存在しており、これは、限定しないが、ハイブリドーマKM1730 (FERM BP-5697として寄託)、KM1731 (FERM BP-5718として寄託)、KM1732 (FERMBP-5698として寄託)、KM1748 (FERM BP-5699として寄託)、KM1750 (FERM BP-5700として寄託)を含み、これらはWO 98/22616、WO 99/59636、オーストラリアで受理された出願番号AU 1998 50666 B2及びカナダ特許出願番号CA 2328893において開示されている。
【0032】
多くのVEGFRアンタゴニストが当業界で知られている。VEGFRの幾つかの例が、米国特許出願番号07/813,593;07/906,397;07/946,507;07/977,451;08/055,269;08/252,517;08/601,891;09/021,324;09/208,786;及び09/919,408 (全てLemischka et al.);米国特許出願番号5,840,301 (Rockwell et al.);米国特許出願番号08/706,804;08/866,969;08/967,113;09/047,807;09/401,163;及び09/798,689 (全てRockwell et al.);米国特許出願番号09/540,770 (Witte et al.);及びPCT/US01/06966 (Liao et al.)において開示されている。米国特許出願番号5,861,301 (Terman et al.), Terman et al., Oncogene 6:1677-1683(1991年9月)、WO 94/10202 (Ferrara et al.)、及びWO95/21865 (Ludwig)は、VEGFRアンタゴニストを開示しており、そして具体的には、抗VEGFR-2抗体を開示している。更に、PCT/US95/01678 (Kyowa Hakko)は、抗VEGFR-2抗体を開示している。抗VEGFR抗体は米国特許出願番号09/976,787 (Zhu et al.)においても記載されている。米国特許出願番号6,177,401 (Ullrich et al.)、5,712,395 (App et al.)、及び5,981,569 (App et al.)は、有機分子であるVEGFRアンタゴニストを記載している。更に、2つの異なる抗原結合特異性又は部位を有する抗体である二重特異性抗体(BsAb)は、VEGFR-2及びVEGFR-1に対するものが知られている。例えば、米国特許出願番号09/865,198 (Zhu);60/301,299 (Zhu)を参照のこと。
【0033】
更に、VEGFRアンタゴニストの決定のためのアッセイは当業界で周知であり、そして本発明の使用に適した別のアンタゴニストも容易に同定されうる。本発明のVEGFRアンタゴニストは、通常リン酸化の事象に関与する、VEGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害する。したがって、リン酸化アッセイは、本発明に照らしてVEGFRアンタゴニストを決定するのに有用である。チロシンキナーゼ活性についての幾つかのアッセイは、Panek et al.,J Pharmacol. Exp. Thera, 283: 1433-44 (1997)及びBatley et al., LifeSci., 62: 143-50 (1998)に記載されている。更に、VEGFR発現の検出に特異的な方法も利用され得る。
【0034】
本発明の別の態様において、VEGFRアンタゴニストは、リガンド、ペプチド又はDNAである。VEGFRの活性化をもたらさない、任意の適当なリガンドも使用することができ、これは、VEGFRに結合しない、天然リガンドVEGF及び/又はPlGFの突然変異体も含む。当業者が、VEGFRに結合するが、当該受容体を活性化しないVEGF及び/又はPlGF突然変異体を容易に作製しうることは理解されるはずである。また、当該ペプチド又はDNAがVEGFRに結合せず、且つVEGFRを活性化しないという条件で、任意の適当なペプチド又はDNAが本発明に照らして使用され得る。
【0035】
あるいは、VEGFRアンタゴニストは小分子であってもよい。本発明の小分子は、炭素原子及び水素原子の他に、限定しないが、窒素、硫黄、酸素、及びリンを含むヘテロ原子を有する存在物である。小分子内の原子は、共有結合及びイオン結合を介して一緒に結合しており;前者は小有機化合物、例えば、小分子チロシンキナーゼ阻害剤に典型的であり、そして後者は小無機化合物の典型である。小有機分子内の原子の配置は、鎖、例えば炭素−炭素鎖又は炭素−ヘテロ原子鎖、又は炭素原子を含む環、例えばベンゼン、あるいは炭素とヘテロ原子の組み合わせ、すなわちヘテロ環、例えば、ピリミジン又はキナゾリンを表すことがある。環系に結合した小有機分子内の1又は複数の鎖の組み合わせは、置換された環系を構成し、そして2つの環の融合は融合された多環系を構成し、これは単純に多環系として言及され得る。小分子は、天然で見られるあらゆる化合物、例えばホルモン、神経伝達物質、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、脂質及びそれらの誘導体、並びに伝統的な有機合成、バイオテクノロジーによる合成、又はそれらの組み合わせのいずれかによって合成的に作られる化合物、を含む。例えば、Ganesan,Drug Discov. Today, 7(1) : 47-55 (Jan. 2002); Lou,Drug Discov. Today, 6 (24): 1288-1294 (Dec. 2001)を参照のこと。更に、小分子は、例えば脂質及び多糖のポリマーの他に、それらの誘導体、例えばリポ多糖を含む。また、VEGFRの活性化を防ぐ任意の適当な小分子は、本発明に照らして使用され得る。
【0036】
本発明の1つの観点において、VEGFRアンタゴニストは、追加のアミノ酸残基、例えば単離又は精製を容易にするためのペプチドタグ、又はアンタゴニストが発現される任意な特定の宿主における分泌又は膜輸送を促進するためのシグナル配列、に融合されうる。
【0037】
本発明のVEGFRアンタゴニストは、任意の適当な方法によって産生されうる。例えば、VEGFRアンタゴニスト抗体、そして特にモノクローナル抗体は、当業界で知られている方法によって産生されうる。これらの方法は、Kohler and Milstein, Nature 256: 495-497 (1975) and Campbell in"Monoclonal Antibody Technology, The Production and Characterization of Rodent and Human Hybridomas"in Burdon et al., Eds., Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Volume 13, Elsevier Science Publishers, Amsterdam (1985)に記載の免疫学的方法の他に、Huse et al. in Science, 246:1275-1281 (1989)に記載の組換えDNA法を含む。こうして、VEGFRアンタゴニストである抗体を発現する適当なハイブリドーマが作られる。VEGFR抗体アンタゴニストを産生する特異的なハイブリドーマが例示される。
【0038】
あるいは、VEGFRアンタゴニストをコードするDNAは、適切な発現系のベクター内にクローニングされうる。例えば、ヒト軽鎖又はヒト重鎖のいずれかを哺乳類細胞内で発現するよう設計されたHCMVベクターは、本発明の抗体を発現するために利用され得る。(例えば、米国特許番号5,840,299;Maeda, et al., Hum. Antibod. Hybridomas, 2 : 124-134 (1991)を参照のこと)。そのようなベクターは、当該コンストラクトの高レベルの転写のためのプロモーター及びエンハンサー、例えばヒトサイトメガロウイルス(CMV)、複製起点及び哺乳類細胞とE.コリ内で機能的な選択マーカーを含み得る。
【0039】
選択マーカーは、選択培地中で増殖される形質転換宿主細胞の生存又は増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子である。典型的な選択マーカーは、(a)抗生物質又は他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、又はテトラサイクリンに対する耐性を付与し、(b)栄養要求性欠損を補完し、又は(c)天然培地から入手不可能な必須栄養素、例えば、バチルス(Bacilli)の場合、D-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給する、タンパク質をコードする。特に有用な選択マーカーは、メトトレキサートに対する耐性を付与する。例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換した細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培地中の形質転換体の全てを培養することによって最初に同定される。野生型DHFRが適用される場合に適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系であり、これはUrlaub & Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4216 (1980)に記載のように調製され、そして増殖される。当該形質転換細胞は、続いてメトトレキサートレベルの増大に曝露される。これは、DHFR遺伝子の多数のコピー、そして同時に、当該発現ベクターを有する他のDNA、例えばVEGFRアンタゴニストをコードするDNAの多数のコピーの合成をもたらす。
【0040】
ベクターの形質転換及び本発明のVEGFRアンタゴニストの発現にとって好ましい宿主細胞は、哺乳類細胞、例えばCOS-7細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びリンパ系の細胞系、例えばリンパ腫、骨髄腫、又はハイブリドーマ細胞である。他の真核生物の宿主、例えば酵母も代わりに使用され得る。形質転換した宿主細胞は、当業界で知られている方法によって、同化可能な炭素源(炭水化物、例えばグルコース又はラクトース)、窒素源(アミノ酸、ペプチド、タンパク質,又はそれらの分解産物、例えばペプトン、アンモニウム塩等)、及び無機塩源(ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムの硫酸塩、リン酸塩及び/又は炭酸塩)を含む液体培地中で培養される。当該培地は更に、例えば成長促進物質、例えば微量元素、例えば鉄、亜鉛、マンガン等を含む。
【0041】
酵母において遺伝子コンストラクトを発現することが望ましい場合、酵母における使用に適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である。Stinchcomb et al. Nature, 282: 39 (1979); Kingsman et al., Gene, 7: 141 (1979)。trp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠損している酵母の突然変異菌株、例えばATCC番号44076又はPEP4-1、についての選択マーカーを提供する。Jones, Genetics, 85: 12 (1977)。酵母宿主細胞のゲノム内のtrp1損傷の存在は、トリプトファンの不在下での増殖によって、形質転換を検出するのに有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母菌株(ATCC20,622又は38,286)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完される。
【0042】
また、あるいは、VEGFRアンタゴニストをコードするDNAは、ウイルス、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス又はレンチウイルス、に由来するベクター内にクローニングされうる。遺伝子発現は、誘導可能又は誘導不可能な制御配列によって調節される。ベクターはまた、ベクターの維持を保証するための複製起点、1又は複数の選択マーカー、翻訳されたポリペプチドの分泌を宿主細胞の細胞膜周辺腔又は細胞外の培地へと方向付けるのに有用なリーダー配列を含むことがある。
【0043】
VEGFRアンタゴニスト、そして特にVEGFRアンタゴニストであるVEGFR-1のほかの供給源は、細胞表面に結合した受容体である。例えば、VEGFR-1が結合する細胞は、天然にVEGFR-1受容体を発現する細胞、例えば内皮細胞であってもよい。あるいは、完全長の又は短いVEGFR-1が結合する細胞は、VEGFR-1をコードするDNAがトランスフェクションされた細胞、例えば3T3細胞であってもよい。これらの細胞は、当業界で知られている方法に従い、哺乳類から単離されうる。
【0044】
VEGFRアンタゴニストがペプチド又はDNAである態様において、本発明のVEGFRアンタゴニストは、代りに、当業界で知られているような、標準的な固相(又は液相)ペプチド合成法を用いて調製されうる。更に、そのDNAは、市販のオリゴヌクレオチド合成装置を用いて合成され、そして標準的な組換え産生系を用いて組換えにより産生されうる。固相ペプチド合成を用いる産生は、遺伝子にコードされていないペプチドが含まれるべきである場合に必要とされる。
【0045】
本発明のVEGFRアンタゴニストは、予防的及び/又は治療的処置のために投与され得る。治療的な利用において、既に虚血に苦しんでいる患者又は炎症性疾患の結果現在苦しんでいる患者に対し組成物が投与される。したがって、医薬組成物の「治療的に有効な量」は、処置される虚血又は炎症性疾患の進行を停止させ、逆転させ又は低下させるのに十分な量を意味する。この使用に有効な量は、当該疾患の重症度又は患者自身の免疫系の全身状態に依存する。投与スケジュールはまた、病状及び患者の状態により変化し、そして典型的には一日あたり単回の大量瞬時投与又は連続注入から多数回の投与(例えば4〜6時間)、又は処置している医師及び患者の症状によって示されるものに及ぶ。予防的な利用において、本発明のVEGFRアンタゴニストを含む組成物は、現時点で虚血に苦しんでいないが、アテローム性動脈硬化症に苦しんでいる患者又は別の炎症性疾患を有するが、現時点でその効果には苦しんでいない患者のいずれかに投与される。当該医薬組成物の「治療的に有効な量」は、それ故に、処置されるアテローム性動脈硬化症又は他の炎症性疾患の進行を停止させ、反転させ又は低下させるのに十分な量である。この使用においては、同様に正確な量は患者の健康状態及び免役の一般レベルの他、前記の投与スケジュールに依存する。
【0046】
アテローム性動脈硬化症又は他の炎症性疾患を有する哺乳類の同定は、当業者の能力及び知識の十分範囲内である。例えば、臨床的に有意なアテローム性動脈硬化症(又は他の炎症性疾患)に苦しんでいるか、又は臨床的に有意なアテローム性動脈硬化症(又は他の炎症性疾患)の危険性がある、そのいずれかであるヒトの個体は、本発明のVEGFRアンタゴニストの投与に適している。当該技術に熟達した臨床医は、例えば、臨床試験、物理的試験及び病歴/家系の使用によって、個体がアテローム性動脈硬化症又は別の炎症性疾患を有する患者であるか否かを容易に決定し得る。炎症性疾患は多数存在し、そして当業界で周知である。炎症性疾患の例は、限定しないが、関節リウマチ(RA)、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、重症筋無力症、クローン病、自己免疫性腎炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、急性膵炎、同種移植片拒絶、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、敗血症ショック、骨粗鬆症、骨関節炎、及び神経炎症によって誘導される認識欠損、を含む。
【0047】
VEGFRアンタゴニストが、あらゆる哺乳類に投与され得ることは理解されるはずである。具体的には、本発明のVEGFRアンタゴニストは、ヒトに投与され得る。本発明のVEGFRアンタゴニストは、予防又は処置の目的で哺乳類に使用され得る場合、更に医薬として許容される担体を有する組成物の形態で投与されると理解される。本発明の目的のために、VEGFRアンタゴニストはまた、様々な経路、例えば経口、経直腸、局所、又は経皮から、注射又は注入によって、医薬組成物の形態で投与され得る。
【0048】
適当な医薬として許容される担体は、例えば、1又は複数の水、生理食塩水、リン酸緩衝液、デキストロース、グリセロール、エタノール等の他、それらの組み合わせを含む。医薬として許容される担体は更に、微量の補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、保存剤又は緩衝液を有することがあり、これらは結合タンパク質の貯蔵寿命又は有効性を増強する。注射組成物は、当業界で周知なように、哺乳類への投与後に、迅速な放出、徐放又は遅放を提供するように調製されうる。
【0049】
本発明の組成物は、様々な形態であってもよい。これらは、例えば固体、半固体及び液体の剤形、例えば錠剤、丸剤、粉末、溶液、分散液又は懸濁液、リポソーム、座剤、注射可能な溶液及び注入可能な溶液、を含む。
【0050】
そのような組成物は、医薬業界で周知な方法で調製される。組成物を生成するのに、活性成分は通常担体と混合され、又は担体によって希釈され、そして/あるいは担体内に封入され、これらは、例えばカプセル、サチェット、紙又は他の容器の形態内にあってもよい。担体が希釈剤としての役割を果たす場合、それは、活性成分の担体、賦形剤又は培地として働く、固体、半固体、又は液体の材料であってもよい。このように、組成物は、錠剤、ロゼンジ、サチェット、カプセル、エリクシル、懸濁液、エアゾール(固体として、又は液体媒体中)、例えば最大10重量%の活性成分を含む軟膏、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル、座剤、注射溶液、懸濁液、滅菌包装された粉末及び局所用パッチの形態であってもよい。
【0051】
あるいは、VEGFRアンタゴニストはまた、そのようなVEGFRアンタゴニストをコードするDNAとして投与され得る。適当な発現ベクターコンストラクトの例は当業界で知られており、そして既に記載されている。DNA調製法も当業界で知られており、そして既に記載されている。
【0052】
本発明の別の観点において、VEGFRアンタゴニストは、1又は複数の抗アテローム性動脈硬化症薬又は抗炎症薬に化学的又は生合成的に結合されうる。VEGFRアンタゴニストはまた、アテローム性動脈硬化症の任意な他の処置方法又は当業界で知られている炎症性疾患の任意な他の処置方法と組み合わせて投与されることがあり、これらの例は既に記載されている。更に、VEGFRアンタゴニストは、1又は複数のアジュバント、例えばサイトカイン又は他の免役刺激因子と組み合わせて投与され得る。
【0053】
抗炎症薬は、抗炎症活性、鎮痛活性及び解熱活性を発揮するNSAIDを含む。これらは、サリチル酸塩、例えばアスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチルサリチル酸、ジフニサル、アロキシプリン(aloxiprine)、リジン−アセチルサリチル酸塩、ベノリラート(benorilate)、カルシウムカルカサラート(calciumcarcasalate)、及びサルサラート;インドール酢酸、例えばインドメタシン及びプログルメタシン(proglumethacin);アリール−酢酸、例えばブフェキサマック、ジクロフェナック、トルメチン及びスリンダク;ピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン;ピロールアルカン酸、例えばトルメチン;フェニル酢酸、例えばイブプロフェン、フェロプロフェン、フルルビプロフェン、及びケトプロフェン;フェナメート(fenamate)、例えば、ニフルミン酸、メファナミン酸、及びメクロフェナミンサン塩;オキシカム、例えばピロキシカム及びテノキシカム;ナフタレン酢酸、例えばナプロキセン;及び金塩、例えばアウロチオプロパノールスルホン酸塩及びアウラノフィンを含む。副腎皮質ステロイドは、炎症性疾患を処置するために、NSAIDの代わりとなるものである。これらのステロイドは、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、6アルファ−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン及びベタロエタゾンを含む。さらに、糖質コルチコイドの抗炎症作用はきちんと解説されている。
【0054】
本発明は更に、標的又は受容体部分が結合する、本発明のVEGFRアンタゴニストを検討する。標的部分は、結合対の第一のメンバーである。抗アテローム性動脈硬化症は、例えば、そのような対の第二のメンバーと複合され、そしてそれによってVEGFRアンタゴニストが結合する部位へと方向付けられる。そのような結合対の一般的な例は、アビジンとビオチンである。好ましい態様において、ビオチンは、本発明のVEGFRアンタゴニストと複合され、そしてそれによって抗アテローム性動脈硬化症薬又は他の部分(例えば、抗炎症薬)のための標的を提供し、これがアビジン又はストレプトアビジンと複合される。あるいは、ビオチン又は別のそのような部分は、本発明のVEGFRアンタゴニストに結合され、そしてレポーターとして、例えば検出可能なシグナル産生物質がアビジン又はストレプトアビジンと複合される診断系において使用される。
【0055】
したがって、本発明のVEGFRアンタゴニストは、このように当業界で周知の研究、診断、予防、又は処置方法のために、in vivo及びin vitroで使用され得る。当然ながら、本明細書に開示されている本発明の原理の変更が当業者によってなされることが考えられ、そして予想され、そしてそのような修飾が本発明の範囲内に含まれるべきであることが意図される。
【0056】
以下の例は本発明を更に例示するが、決して本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。常用の詳細な記載、例えばベクター及びプラスミドの構築、そのようなベクター及びプラスミド内へのポリペプチドをコードする遺伝子の挿入、宿主細胞内へのプラスミドの導入、並びに遺伝子及び遺伝子産物の発現及びそれらの決定において適用されるものは、Sambrook, J. et al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Pressを含む多数の刊行物から得ることができる。本明細書で言及した全ての引用文献は、それらの全体が組み込まれる。
【実施例】
【0057】
抗VEGFR-1抗体
ラット抗VEGFR-1モノクローナル抗体、MF-1は、標準的なハイブリドーマ技術を介して開発された。8週齢のラットが、腹腔内(i.p.)から、完全フロイントアジュバントと混合した、100μgのVEGFR-1 Fc(定常領域)組換えタンパク質(R & D Systems, Minneapolis, MN)を用いて初回抗原刺激された。続いて、当該ラットは、不完全フロイントアジュバントと混合した同一のタンパク質を用いて、融合の前に3回追加免役された。ハイブリドーマ細胞は、骨髄腫細胞P3x63Ag8.653を、免疫化したラット由来の脾臓細胞及び骨髄細胞と融合することによって産生した。抗VEGFR-1特異的なクローンは、VEGFR-1アルカリホスファターゼ(AP)組換えタンパク質を用いて、ELISAベースの結合及び阻止アッセイにおいて選択された。ポジティブなクローンは、限界希釈によってサブクローニングされた。
【0058】
ハイブリドーマ由来の抗VEGFR-1モノクローナル抗体(mAb)は、無血清培地中での連続供給発酵を介して得られた。mAbは、無血清に条件づけられた培地から、γ結合タンパク質Gセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製された。in vivoでの研究において使用されるmAbは、PYROGENT PLUS(商標)Limulus Amebocyte Lysate kit(BioWhittaker, Walkersville, MD)を用いてエンドトキシンについて試験された。動物研究において使用された全ての抗体調製物が、1.25EU/ml以下のエンドトキシンを含んだ。抗VEGFR-1ポリクローナル抗体は、組換えVEGFR-1 APタンパク質を免役したウサギから産生され、そしてγ結合タンパク質Gカラムによって精製した(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)。
【0059】
VEGFR-1結合アッセイ及びVEGFR/PlGFブロッキングアッセイ
抗VEGFR-1 mAbの免役化学特性は、ELISAベースの結合及びブロッキングアッセイにおいて特徴付けられた。図1は、結合アッセイ由来の結果を示し、そして図2は、ブロッキングアッセイ由来の結果を示す。
【0060】
結合アッセイは、96穴マイクロタイタープレート(Falcon Flexible plate, Becton Dickinson, Bedford, MA)を、穴あたり50ngのVEGFR-1 AP又はVEGFR-2 APタンパク質を用いて4℃で一晩コーティングすることによって実施した。穴は、5%ウシ血清、0.05% Tween20を含む200μlのリン酸緩衝液(ブロッキング緩衝液)を添加し、そして室温(RT)で2時間インキュベートすることによってブロッキングした。穴は、続いて洗浄され(5回)、そしてブロッキング緩衝液中で希釈された、様々な濃度の50μlのmAbと一緒に室温で1時間インキュベートされた。穴は、再び洗浄され(5回)、そして50μlの3, 3', 5, 5'-テトラ−メチルベンジジン(TMB)基質(Kirkegaard and Perry Lab Inc., Gaithersburg, MD)と一緒に室温で15分間インキュベートされた。反応は、50μlの1Mリン酸(H3PO4)を添加することによって停止され、そして穴はマイクロタイタープレート上で、405nmで読み取られた。図1に示すように、MF-1はVEGFR-1に特異的に結合し、そしてVEGFR-2には結合しない。
【0061】
VEGFR-1/VEGF又はPlGFブロッキングアッセイのために、穴は100ngのVEGF又はPlGF (R & D Systems, Minneapolis, MN)を用いて4℃で一晩コーティングされた。穴は上述のようにブロッキングされ、そして次に、様々な濃度のmAbを用いて1時間沈殿させられた100ngのVEGFR-1 APと一緒に室温で1時間インキュベートされた。穴は洗浄され、そしてp-ニトロフェニルリン酸塩(PNPP, Sigma, St. Louis, MO)と一緒にインキュベートされた。色は、室温で30分間発色され、そして次に、マイクロタイタープレート上で405nmで読み取られた。図2Aに示すように、MF-1はPlGFに対するVEGFR-1の結合をブロックし、そして図2Bに示すように、MF-1はVEGFに対するVEGFR-1の結合をブロックする。
【0062】
関節リウマチ(RA)は炎症性疾患の主要な例であり、そしてそれにより当該炎症性疾患を例示する。RAの間のMF-1処置の有効性を研究するために、コラーゲンII(CII)誘導型関節炎(CIA)の自己免疫マウスモデルは、このモデルがヒトにおけるRAの発症と多くの経路において似ていると証明されていたので使用された。
【0063】
8〜10週齢のDBA/1JOlaマウスをHarlan (Horst, The Netherlands)から購入した。全ての実験について、雄と雌の比率は各処置群において0.8〜1.3に維持された。CIAの誘導のために、天然のニワトリコラーゲンII型 (Elastin Products Company, Owensville, USA)を、6℃で一晩攪拌することによって、0.5M酢酸中に2mg/mlで溶解し、そして等量のCFA (Difco, Detroit, USA)中で乳化し、同時にミコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)(0.5 mg/ml)を添加した。マウスは、尾の根元に100μgのコラーゲン−乳濁液/完全フロイントアジュバント(CFA)を1回皮下注射することによって0日目に免疫化された。21日目に、マウスは、0.5mg/mlの天然ニワトリコラーゲンII型を含む100μgの乳濁液/不完全フロイントアジュバント(IFA; Difco, Detroit, USA)を再注射された。10日目から、マウスを計量し、そして関節炎の存在について毎日臨床試験した。疾患の重症度は、各脚について採点システムに従い記録された。
【0064】
ラット抗マウスVEGFR-1抗体(上述のMF-1)は750μg/マウスの腹腔内注射によって10日目(疾患の開始前)に開始され、そしてと殺まで3日ごとに続けられた。コントロールマウスは、等量のラットイムノグロブリン(IgG ; Sigma, St. Louis, USA)を用いて同日に処理された。45日目に、マウスはと殺され、前脚及び後脚が切除され、そしてかかとが後脚から分離された。脚及びかかとは、10%ホルモル中で固定され、ギ酸(31%(v/v)ギ酸及び13%(m/v)クエン酸ナトリウム)中で脱灰され、そしてパラフィン中に包埋された。10μmの切片を調製し、そして組織学的評価のためにヘマトキシリン−エオジンで染色した。当該処置計画を知らない2人の研究者が、標準的な採点プロトコールに従い組織学的スコアを決定した。
【0065】
MF-1処理したマウスは、コントロールのマウスに匹敵するほど正常に体重増加し、これはMF-1がこの研究で使用した量(3日ごとに750μg)では毒性でなかったことを示す。更に、処置マウスの脾臓、肝臓、腎臓、肺及び心臓の解析は、なんの異常も明らかにしなかった。
【0066】
実施例1
本実施例は、初期のアテローム性動脈硬化性プラークの成長におけるVEGFRアンタゴニストの役割を研究する。具体的には、本実施例は、アテローム性動脈硬化症にかかりやすいアポリポタンパク質E欠損マウス(apoE-/-マウス)における抗VEGFR-1抗体による処置効果を研究する。これらのapoE欠損マウスは、高コレステロールの食餌を、マウスがアテローム性動脈硬化症の兆候を示さない5週齢から開始して与えられた。5週目に、マウスは500μgの抗VEGFR-1抗体(上述のラット抗マウス抗体MF-1)又は500μgのコントロールのラットイムノグロブリン(IgG) (Sigma,Borneum, Belgium)を、5週間週に3回注射された。大動脈は灌流され、パラフィン中に包埋され、そして7μmの切片がヘマトキシリン−エオジンにより形態の解析のために染色された。
【0067】
両処置群のマウスは正常に体重増加し(21±1g(抗VEGFR-1処理マウス)対21±1(コントロールIgG処理マウス);n=20, p=NS)、そして脂肪肝を発症した(脂肪重量:1.72±0.11g(抗VEGFR-1処理マウス)対1.69±0.08g(コントロールIgG処理マウス);n=20, p=NS)。抗VEGFR-1による処理は、全血漿コレステロールレベルに影響しなかった(1600±90mg/ml(抗VEGFR-1処理マウス)対1640±14g(コントロールIgG処理マウス);n=20, p=NS)。
【0068】
全てのマウスがマクロファージに富む病変を発症したが、抗VEGFR-1処理は、大動脈起始部にある病変の大きさの2.5倍の縮小をもたらした(断面のプラーク面積:3500±190μm2(抗VEGFR-1処理マウス)対4400±250μm2(コントロールIgG処理マウス);n=10, p=0.009)。
【0069】
抗VEGFR-1処理マウスの病変は、有意に少ないマクロファージを含んでいた(マクロファージマーカーMac-3が占めた面積:5200±600μm2(抗VEGFR-1処理マウス)対12000±1600μm2(コントロールIgG処理マウス);n=10, p=0.01)。内皮は、匹敵するVCAM-1発現のアップレギュレーションによって示されるように、両方の処理群において比較可能なまで活性化された(RNAのコピー数/100コピーのHPRT:1380±320(アテローム性動脈硬化症でない大動脈)〜4080±430(アテローム性動脈硬化症の大動脈)(抗VEGFR-1処理マウス)対1260±130(アテローム性動脈硬化症でない大動脈)〜4580±790(アテローム性動脈硬化症の大動脈)(コントロールIgG処理マウス);n=4, p=NS)。
【0070】
循環している単球の数は、FACS解析によって決定されるように、抗VEGFR-1処理によって有意にダウンレギュレートされ(循環している単球(CD11b+/Gr-1low)の数/μl血液:160±17(抗VEGFR-1処理マウス)対270±45(コントロールIgG処理マウス)、n=12, p=0.03)、同時に循環しているリンパ球レベルにも影響を与えなかった(循環しているリンパ球(CD19+又はCD3ε+)の数/μl血液:1100±130(抗VEGFR-1処理マウス)対1150±290(コントロールIgG処理マウス)、n=12, p=NS)。
【0071】
単球に加えて、顆粒球の循環レベルもダウンレギュレートされ(循環しているリンパ球(CD11b+/Gr-1high)の数/μl血液:980±190(抗VEGFR-1処理マウス)対1670±320(コントロールIgG処理マウス)、n=12, p=0.08)、これは、抗VEGFR-1が炎症細胞に直接働くことを示している。
【0072】
このように、本実施例は、VEGFRアンタゴニストによるアテローム性動脈硬化症の処理を示す。更に、本実施例は、炎症関連細胞、例えばマクロファージ、単球及び顆粒球の減少を示す。
【0073】
実施例2
本実施例は、進行したアテローム性動脈硬化症のプラークの成長におけるVEGFRアンタゴニストの役割を研究する。具体的には、本実施例は、アテローム性動脈硬化症にかかりやすいアポリポタンパク質E欠損マウス(apoE-/-マウス)における抗VEGFR-1抗体による処置効果を研究する。これらのapoE欠損マウスは、高コレステロールの食餌を、5週齢及び20週齢から開始して与えられ、そしてマウスは500μgの抗VEGFR-1抗体(上述のラット抗マウス抗体MF-1)又は500μgのコントロールのラットイムノグロブリン(IgG) (Sigma,Borneum, Belgium)を、5週間週に3回注射された(25週齢まで)。大動脈は灌流され、パラフィン中に包埋され、そして7μmの切片がヘマトキシリン−エオジンにより形態の解析のために染色された。
【0074】
両処置群のマウスは正常に体重増加し(29±1g(抗VEGFR-1処理マウス)対28±1(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=NS)、そして脂肪肝を発症した(脂肪重量:2.14±0.33g(抗VEGFR-1処理マウス)対1.81±0.10g(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=NS)。抗VEGFR-1による処理は、全血漿コレステロールレベルに影響しなかった(1640±90mg/ml(抗VEGFR-1処理マウス)対1500±110g(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=NS)。
【0075】
全てのマウスが、大きな壊死性のコア及び繊維性のキャップを有する進行したアテローム性動脈硬化症を発症したが、抗VEGFR-1処理は、大動脈の起始部にある病変のサイズの22%の縮小をもたらした(断面のプラーク面積:210000±22000μm2(抗VEGFR-1処理マウス)対270000±20000μm2(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=0.03)。初期の病変で見られるように、マクロファージが占めた領域は、抗VEGFR-1処理マウスの病変においてほぼ2倍に減少した(37000±9000μm2対60000±8000μm2(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=0.03)。
【0076】
抗VEGFR-1による処理は、病変のコラーゲン沈着に影響しなかった(コラーゲン色素であるシリウスレッドによって占められた面積:95000±15000μm2(抗VEGFR-1処理マウス)対115000±15000μm2(コントロールIgG処理マウス);n=8, p=NS)。
【0077】
実施例3
本実施例は更に、アテローム性動脈硬化症のプラークの成長におけるVEGFRアンタゴニストの役割を研究する。具体的には、本実施例は、アテローム性動脈硬化症にかかりやすいアポリポタンパク質E欠損マウス(apoE-/-マウス)における抗VEGFR-1抗体による処置効果を研究する。C57BL/6の遺伝的な背景のapoE欠損マウスは、標準的な食餌が与えられ、そして慢性的に抗VEGFR-1抗体で4週間処理された(3日ごとの1mg/腹腔内投与)。マウスは、この処理を6又は10週齢から開始され、そして次に、それぞれ10又は14週齢で大動脈の起始部におけるアテローム性動脈硬化性の病変の決定のためにと殺された。大動脈の起始部が付いている心臓を10%の緩衝化ホルマリン中で固定され、ゼラチン中に包埋され、OCT内で凍結され、そして10μmの切片に切断された。切片はオイルレッドOで染色され、そして切片当たりの平均病変が、最初の500μMの大動脈洞にわたり測定された。
【0078】
6〜10週齢の間に処理されたマウスの場合、中央値の病変の面積は、処理したマウスにおいて、コントロール群と比較して52%に減少した(30,700μm2対63,600μm2;n=5)。10〜14週齢の間に処理したマウスの場合、中央値の病変の面積は、処理したマウスにおいて、コントロール群と比較して52%に減少した(75,500μm2対143,800μm2;n=5)。これらの変化は、抗体処理により全血漿コレステロールレベルの有意な変化なしに観察され、事実、全コレステロールレベルは、10〜14週齢に処理されたマウスにおいてより高かった。このように、コレステロールレベルはこの群において上昇したが、アテローム性動脈硬化症は減少した。
【0079】
したがって、本実施例はVEGFRアンタゴニストによるアテローム性動脈硬化症の処理を例示する。
【0080】
実施例4
本実施例は、抗炎症性疾患の発症及び進行に対するVEGFRアンタゴニストの効果を研究する。RAの間の抗VEGFR1抗体(MF-1)処理の有効性を研究するために、コラーゲンII(CII)誘導型関節炎(CIA)の自己免疫マウスモデルは、このモデルがヒトにおけるRAの発症と多くの経路において似ていると証明されていたので使用された。第9群のマウスは、体重(g±SEM)について評価された。MF-1処理マウスは、コントロールのマウスに匹敵するほど正常に体重増加し(表1、これはMF-1及びコントロール処理マウスにおける体重の解析である)、これはMF-1がこの研究で使用した量(3日ごとに750μg)では毒性でなかったことを示す。更に、処置マウスの脾臓、肝臓、腎臓、肺及び心臓の解析は、なんの異常も明らかにしなかった。
【表1】
Figure 2005508298
【0081】
マウスは、それらの脚及びかかとにおける関節炎の存在について毎日臨床的に評価された。当該研究の終わりに、MF-1による処理は、関節炎の累積発生率を25%に低下させた。臨床的スコアの比較(脚の腫れ、紅班及び硬直を基にした)は、MF-1処理が徐々に臨床的な重症度を低下させたことを明らかにし、これは臨床開始から早くて7日で統計学的に有意となった。追跡期間の終わりには、MF-1処理群の平均臨床スコアは、コントロール処理マウスよりも3倍低かった(2.1±1.0(MF-1処理マウス)対6.4±1.4(コントロール処理マウス)、n=10, P<0.05)。
【0082】
CIAに対する感受性は、高い抗CII抗体の反応と関連していることが明らかとなった。したがって、体液性の応答は、と殺時(免疫化から45日後)にマウスから得られた血清中の抗CII抗体(全IgG)を測定することによって評価された。抗CII抗体の血清レベルは、MF-1処理によって影響を受けなかった(全抗CII IgG(μg/ml):930±200(MF-1処理マウス)対970±170(コントロール処理マウス);n=9, P=NS)。
【0083】
MF-1処理による臨床的な改善は、標準的なプロトコールに従い、前脚及び後脚並びにかかとの組織学的解析によって確認された。と殺の際、コントロール処理群の全マウス(10匹中10匹)が少なくとも1本の脚において関節炎の組織学的兆候を有し、一方、MF-1処理したマウス9匹のうち2匹が疾患の兆候を有さなかった。全ての脚及びかかとの関節は、滑膜の過形成(H)、炎症(I)及びパンヌスの形成(P)の存在及び程度について個々にスコアリングされ、そして加法的なスコア(全ての脚及びかかとのスコアを合計することによって計算した)は、全てのマウスについて決定された。3つのパラメーター(H, I及びP)についての平均加法的組織学的スコアは、コントロール処理群と比較して、MF-1処理群において有意に低下した(H:6.6±1.2(コントロール処理)対2.4±0.9(MF-1処理マウス;I:6.1±1.3(コントロール処理)対2.1±0.9(MF-1処理マウス);P:4.8±1.1(コントロール処理)対1.4±0.7(MF-1処理マウス))。
【0084】
MF-1処理が炎症細胞に直接働くか否かを評価するために、循環している単球及び多形核球の数がFACSによって決定された。MF-1処理は、単球及び顆粒球のレベルを共に低下させ(細胞の数/μl末梢血:単球(CD11b+/Gr-1low):280±65(MF-1処理マウス)対640±200(コントロール処理マウス);n=12, P=0.09;顆粒球(CD11b+, Gr-1high):980±90(MF-1処理マウス)対1650±250(コントロール処理マウス);n=12、P=0.009)、一方、リンパ球レベルはMF-1によって影響されなかった(リンパ球(CD19+又はCD3ε+)の数/μ末梢血:1400±220(MF-1処理マウス)対1200±240(コントロール処理マウス;n=12, P=NS)。
【0085】
炎症を更に評価するために、免役組織学的解析が、全てのマウスにつき、最も深刻に影響を受けた前脚に対して実施された。炎症は、汎用の白血球マーカーであるCD45にポジティブな領域(密度(%)で表す)を測定することによって研究された。平均密度は、MF-1処理群において2倍以上低下し、これはMF-1が炎症細胞の浸潤を低下させた(7.5±1.8%(MF-1処理マウス)対20.3±2.9%(コントロール処理マウス)、n=8;P<0.05)。マクロファージに対する抗体(Mac-3)による連続切片の染色は、炎症細胞の多くがマクロファージ系由来であったことを明らかにした(Mac-3密度:7.7±1.6 %(MF-1処理マウス)対16.0±1.9 %(コントロール処理マウス)、n=8;P < 0.05)。
【0086】
恐らくはMMPによる、骨を保護する軟骨の分解は、RAの間の関節の破壊の重要な特徴である。軟骨のプロテオグリカンの枯渇は、軟骨破壊の最初の兆候の1つであり、これにコラーゲンII型の分解が続く。軟骨破壊を解析するために、かかとの切片が、プロテオグリカンについてサフラニンOで染色された。サフラニンOポジティブな領域は、2つの異なる病変(距骨/踵骨及び脛骨/距骨の界面)にある軟骨によって覆われる骨の長さについて測定され、そして正規化された。MF-1による処理は、両方の位置にあるサフラニンOによって占められた領域の増大によって証明されるように、有意に軟骨の破壊を減少させた(面積(μm2)/距骨/踵骨の界面(μm):90.5±4.3(MF-1処理群)対64.2±6.6(コントロール処理群);面積(μm2)/脛骨/距骨の界面(μm):79.2±2.9(MF-1処理群)対57.3±5.1(コントロール処理群)、n=8, P < 0.05)。
【0087】
滑膜炎の発症における新規毛細血管の成長の重要性は、昔から確立されてきた。これらの新規血管は、酸素、栄養素及び炎症細胞を侵襲性パンヌスに運ぶ。MF-1処理が血管の増大に影響をおよぼしたか否かを決定するために、毛細血管の数が、全てのマウスについて最も深刻に影響を受けた前脚のCD-31染色切片において決定され、そして毛細血管の密度として表された。平均毛細血管密度はMF-1処理マウスにおいて有意に低下し、これは、MF-1が滑膜の新生血管形成を低下させたことを示している(毛細血管の数/mm2:340±64(MF-1処理マウス)対525±25(コントロール処理マウス)、n=8;P<0.05)。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、VEGFRアンタゴニストであるモノクローナル抗体MF-1のVEGFR-1に対する結合特性を図示する。
【図2】図2は、VEGFRアンタゴニストであるモノクローナル抗体MF-1のブロッキング特性を図示する。図2Aは、MF-1がPlGFに対するVEGFR-1の結合をブロッキングするのを示し、そして図2Bは、MF-1がVEGFに対するVEGFR-1の結合をブロッキングするのを示す。

Claims (17)

  1. 哺乳類のアテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、治療的に有効な量の血管内皮性増殖因子受容体(VEGFR)アンタゴニストを当該哺乳類に投与することを含んで成る方法。
  2. 哺乳類の炎症性疾患を処置する方法であって、治療的に有効な量の血管内皮性増殖因子受容体(VEGFR)アンタゴニストを当該哺乳類に投与することを含んで成る方法。
  3. 炎症性疾患が関節炎である、請求項2に記載の方法。
  4. 関節炎が関節リウマチ(RA)である、請求項3に記載の方法。
  5. 哺乳類がヒトである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. VEGFRがfms様チロシンキナーゼ受容体(flt-1)又はVEGFR-1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. VEGFRがキナーゼ挿入ドメイン含有受容体/胎児肝臓キナーゼ(KDR-flk-1)又はVEGFR-2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. VEGFRアンタゴニストがチロシンキナーゼ活性を阻害する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. VEGFRアンタゴニストが抗体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 抗体がヒト抗体の定常領域を含んで成る、請求項9に記載の方法。
  11. 抗体が、マウス抗体の可変領域を含んで成るキメラ抗体である、請求項10に記載の方法。
  12. 抗体が、マウス抗体の相補性決定領域(CDR)及びヒト抗体のフレームワーク領域を含んで成るヒト化抗体である、請求項10に記載の方法。
  13. 抗体が、ヒト抗体の可変性領域を含んで成るヒト抗体である、請求項10に記載の方法。
  14. VEGFRアンタゴニストが、その受容体にVEGF及びPlGFが結合するのを防ぐ、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. VEGFRアンタゴニストが、VEGFRに対するATPの結合を阻害する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. VEGFRアンタゴニストが小分子である、請求項15に記載の方法。
  17. 更にアジュバントを投与することを含んでなる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
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