JP2005508131A - 線維芽細胞成長因子−23分子およびその使用 - Google Patents

線維芽細胞成長因子−23分子およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、線維芽細胞成長因子−23(FGF−23)ポリペプチドおよびこれをコードする核酸分子を提供する。本発明はまた、FGF−23ポリペプチドを産生するための、選択的結合因子、ベクター、宿主細胞、および方法を提供する。本発明はさらに、FGF−23ポリペプチドに関連する疾患、障害、および状態の、診断、処置、改善、および/または予防のための、薬学的組成物および方法を提供する。FGF−23ポリペプチドをコードする核酸分子を含むトランスジェニック非ヒト動物がまた、本発明に含まれる。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、線維芽細胞増殖因子−23(FGF−23)ポリペプチドおよびこれをコードする核酸分子に関する。本発明はまた、FGF−23ポリペプチドを産生するための、選択的結合因子、ベクター、宿主細胞および方法に関する。本発明はさらに、FGF−23ポリペプチドと関連する疾患、障害、および状態の、診断、処置、改善、および/または予防のための薬学的組成物および方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
核酸分子の同定、クローニング、発現、および操作における技術進歩ならびにヒトゲノムの解読は、新規治療剤の発見を大きく加速した。現在、高速核酸配列決定技術は、前例のない速度で配列情報を作製し得、そしてコンピュータ分析と合わされて、ゲノムの一部および全体への重複配列の集合ならびにポリペプチドコード領域の同定を可能にする。既知アミノ酸配列のデータベース編集物に対する推定アミノ酸配列の比較は、以前に同定された配列および/または構造の目印に対して相同性の程度を決定することを可能にする。核酸分子のポリペプチドコード領域のクローニングおよび発現は、構造分析および機能分析のためのポリペプチド産物を提供する。核酸分子およびコードされるポリペプチドの操作は、治療剤としての使用に関して生成物に対して有利な特性を与え得る。
【0003】
過去10年間にわたるゲノム研究における有意な技術進歩にも関わらず、ヒトゲノムに基づく新規治療剤の開発に対する可能性は、未だほとんど実現されていない。潜在的に有利なポリペプチド治療剤をコードする多くの遺伝子またはこれらがコードするポリペプチド(これらは、治療分子に対して「標的」としてはたらき得る)は、未だ同定されていない。
【0004】
従って、診断的な利点または治療的な利点を有する、新規ポリペプチドおよびこれらをコードする核酸分子を同定することが、本発明の目的である。
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、新規FGF−23の核酸分子およびコードされるポリペプチドに関する。
【0006】
本発明は、単離された核酸分子を提供し、この核酸分子は、以下:
(a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列;
(b)ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列;
(c)配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)(a)〜(c)のいずれかの相補体に、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;および
(e)(a)〜(c)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0007】
本発明はまた、単離された核酸分子を提供し、この核酸分子は、
(a)配列番号2に示されるポリペプチドに少なくとも約70%同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(b)配列番号1に示されるヌクレオチド配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列、または(a)の、対立遺伝子改変体またはスプライス改変体をコードするヌクレオチド配列;
(c)少なくとも約25アミノ酸残基のポリペプチドフラグメントをコードする、配列番号1のヌクレオチド配列の領域、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列の領域、(a)のヌクレオチド配列の領域または(b)のヌクレオチド配列の領域であって、ここで、上記ポリペプチドフラグメントは、配列番号2に示されるコードされたポリペプチドの活性を有するか、または抗原性である、ヌクレオチド配列の領域;
(d)少なくとも約16ヌクレオチドのフラグメントを含む、配列番号1のヌクレオチド配列の領域、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列の領域、または(a)〜(c)のいずれかのヌクレオチド配列の領域;
(e)中程度または高度にストリンジェントな条件下で、(a)〜(d)のいずれかの相補体にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;ならびに
(f)(a)〜(d)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される、ヌクレオチド配列を含む。
【0008】
本発明はさらに、単離された核酸分子を提供し、この核酸分子は、
(a)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(b)少なくとも1つのアミノ酸挿入を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(c)少なくとも1つのアミノ酸欠失を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(d)C末端短縮および/またはN末端短縮を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(e)アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、C末端短縮、およびN末端短縮からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、上記コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
(f)少なくとも約16ヌクレオチドのフラグメントを含む(a)〜(e)のいずれかのヌクレオチド配列;
(g)中程度または高度にストリンジェントな条件下で、(a)〜(f)のいずれかの相補体にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;ならびに
(h)(a)〜(e)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0009】
本発明は、単離されたポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;および
(b)ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
本発明はまた、単離されたポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、
(a)必要に応じてさらにアミノ末端メチオニンを含む、配列番号3に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号2のオルソログについてのアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
(d)少なくとも約25アミノ酸残基を含む配列番号2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、ここで、上記フラグメントは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有するか、または抗原性である、フラグメント;ならびに
(e)配列番号2に示されるアミノ酸配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列、または(a)〜(c)の、対立遺伝子改変体またはスプライス改変体のアミノ酸配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
本発明はさらに、単離されたポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、
(a)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
(b)少なくとも1つのアミノ酸挿入を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
(c)少なくとも1つのアミノ酸欠失を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
(d)C末端短縮および/またはN末端短縮を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;ならびに
(e)アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、C末端短縮、およびN末端短縮からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
FGF−23アミノ酸配列を含む融合ポリペプチドもまた、提供される。
【0013】
本発明はまた、本明細書中に示されるような単離された核酸分子を含む発現ベクター、本明細書中に示されるような組換え核酸分子を含む組換え宿主細胞、およびFGF−23ポリペプチドを産生する方法を提供し、この方法は、この宿主細胞を培養する工程、および必要に応じてそのように産生されたポリペプチドを単離する工程を包含する。
【0014】
FGF−23ポリペプチドをコードする核酸分子を含むトランスジェニック非ヒト動物もまた、本発明に含まれる。FGF−23核酸分子は、FGF−23ポリペプチドの発現およびFGF−23ポリペプチドの増加したレベル(これは、増加した循環レベルを含み得る)を可能にする様式で、動物中に導入される。あるいは、FGF−23核酸分子は、内因性FGF−23ポリペプチドの発現を阻害する(すなわち、FGF−23ポリペプチド遺伝子ノックアウトを保有するトランスジェニック動物を作製する)様式で動物に導入される。トランスジェニック非ヒト動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはげっ歯類(例えば、ラットまたはマウス)である。
【0015】
本発明のFGF−23ポリペプチドの誘導体もまた、提供される。
【0016】
本発明のFGF−23ポリペプチドに特異的に結合し得る選択的結合因子(例えば、抗体およびペプチド)が、さらに提供される。このような抗体およびペプチドは、アゴニストであってもアンタゴニストであってもよい。
【0017】
本発明のヌクレオチド、ポリペプチド、もしくは選択的結合因子と1つ以上の薬学的に受容可能な処方剤とを含む、薬学的組成物もまた、本発明によって含まれる。薬学的組成物は、治療有効量の本発明のヌクレオチドまたはポリペプチドを提供するために使用される。本発明はまた、このポリペプチド、核酸分子、および選択的結合因子を使用する方法に関する。
【0018】
本発明のFGF−23ポリペプチドおよびFGF−23核酸分子は、疾患および障害(本明細書中に列挙されるものを含む)を処置、予防、改善、および/または検出するための使用され得る。
【0019】
本発明はまた、FGF−23ポリペプチドに結合する試験分子を同定するために、試験分子をアッセイする方法を提供する。この方法は、FGF−23ポリペプチドを試験分子と接触させて、このポリペプチドへのこの試験分子の結合の程度を決定する工程を包含する。この方法はさらに、このような試験分子が、FGF−23ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定する工程を包含する。本発明はさらに、FGF−23ポリペプチドの発現またはFGF−23ポリペプチドの活性に対する分子の影響を試験する方法を提供する。
【0020】
FGF−23ポリペプチドの発現を調整する方法およびFGF−23ポリペプチドのレベルを調節する(すなわち、増加または減少させる)方法もまた、本発明によって含まれる。1つの方法は、FGF−23ポリペプチドをコードする核酸分子を動物に投与する工程を包含する。別の方法において、FGF−23ポリペプチドの発現を調整または調節するエレメントを含む核酸分子が、投与され得る。これらの方法の例としては、本明細書中にさらに記載されるような、遺伝子治療、細胞治療、およびアンチセンス治療が挙げられる。
【0021】
本発明の別の局面において、FGF−23ポリペプチドは、そのレセプター(「FGF−23ポリペプチドレセプター」)を同定するために使用され得る。種々の形態の「発現クローニング」が、タンパク質リガンドに対するレセプターをクローン化するために広範囲に使用されている。例えば、SimonsenおよびLodish、1994、Trends Pharmacol.Sci.15:437−41ならびにTartagliaら、1995、Cell 83:1263−71を参照のこと。FGF−23ポリペプチドレセプターの単離は、FGF−23ポリペプチドシグナル伝達経路の新規アゴニストおよび新規アンタゴニストの同定または開発に有用である。このようなアゴニストおよびアンタゴニストとしては、可溶性FGF−23ポリペプチドレセプター、抗FGF−23ポリペプチドレセプター−選択的結合因子(例えば、抗体およびその誘導体)、低分子、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられ、これらのうちのいずれもが、1つ以上の疾患または障害(本明細書中に開示されるものを含む)の処置に有用であり得る。
【0022】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される節の表題は、組織的な目的のみのためであり、そして記載される主題を限定するようには解釈されるべきではない。本願において引用される全ての参考文献は、明確に本明細書中に参考として援用される。
【0023】
(定義)
用語「FGF−23遺伝子」または「FGF−23核酸分子」また「FGF−23ポリヌクレオチド」とは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、ATCC受託番号PTA−1617におけるDNAインサートのヌクレオチド配列、および本明細書中で定義される核酸分子を含むかまたはこれらからなる、核酸分子をいう。
【0024】
用語「FGF−23ポリペプチド対立遺伝子改変体」とは、生物または生物の集団の染色体の所定の遺伝子座を占める遺伝子の、天然に存在する可能ないくつかの代替形態のうちの1つをいう。
【0025】
用語「FGF−23ポリペプチドスプライス改変体」とは、配列番号2に示されるFGF−23ポリペプチドアミノ酸配列のRNA転写物中のイントロン配列の選択的プロセシングによって生成される、核酸分子(通常はRNA)をいう。
【0026】
用語「単離された核酸分子」とは、(1)総核酸が供給源細胞から単離される場合にともに天然で見出される、タンパク質、脂質、糖質、または他の物質のうち少なくとも約50パーセントから分離された、本発明の核酸分子、(2)「単離された核酸分子」が天然で連結しているポリヌクレオチドの全てまたは一部に連結していない、本発明の核酸分子、(3)天然では連結しないポリヌクレオチドに作動可能に連結されている、本発明の核酸分子、または(4)より大きなポリヌクレオチド配列の一部として天然には存在しない、本発明の核酸分子をいう。好ましくは、本発明の単離された核酸分子は、いかなる他の混入核酸分子、または天然の環境において見出される他の混入物(これらは、ポリペプチド産生における使用、または治療的使用、診断的使用、予防的使用、または研究的使用を妨げる)も実質的に含まない。
【0027】
用語「核酸配列」または「核酸分子」は、DNA配列またはRNA配列をいう。この用語は、DNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかから形成される分子を含み、この塩基アナログは、例えば、以下であるがこれらに限定されない:4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニル−シトシン、プソイドイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソ−ペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−エチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノ−メチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン(beta−D−mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボニル−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、プソイドウラシル、キューオシン(queosine)、2−チオシトシン、および2,6−ジアミノプリン。
【0028】
用語「ベクター」は、宿主細胞にコード情報を移すために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)をいうように使用される。
【0029】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞の形質転換に適切であり、かつ挿入された異種核酸配列の発現を、指向および/または制御する核酸配列を含む、ベクターをいう。発現としては、転写、翻訳、およびRNAスプライシング(イントロンが存在する場合)のようなプロセスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
用語「作動可能に連結された」は、隣接配列の配置方法をいうために本明細書中に使用される。ここで、このように記載される隣接配列は、その通常の機能を実行するように構成されるかまたは組立てられる。従って、コード配列に作動可能に連結された隣接配列は、コード配列の複製、転写および/または翻訳をもたらし得る。例えば、プロモーターがコード配列の転写を指向し得る場合、このコード配列は、このプロモーターに作動可能に連結されている。隣接配列は、正確に機能する限り、コード配列と連続している必要はない。従って、例えば、翻訳されないが転写される介在配列は、プロモーター配列とコード配列との間に存在し得、そして、このプロモーター配列はなお、このコード配列に「作動可能に連結された」とみなされ得る。
【0031】
用語「宿主細胞」は、形質転換された細胞、または核酸配列で形質転換され得、次いで目的の選択された遺伝子を発現し得る細胞をいうために用いられる。この用語は、この選択された遺伝子が存在する限り、子孫が形態学または遺伝的性質において本来の親と同一であってもなくても、親細胞のこの子孫を含む。
【0032】
用語「FGF−23ポリペプチド」とは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよび関連ポリペプチドをいう。関連ポリペプチドとしては、以下が挙げられる:FGF−23ポリペプチドフラグメント、FGF−23ポリペプチドオルソログ、FGF−23ポリペプチド改変体、およびFGF−23ポリペプチド誘導体。これらは、配列番号2に示されるポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する。FGF−23ポリペプチドは、本明細書中に定義されるように、成熟ポリペプチドであり得、そして調製方法によっては、アミノ末端メチオニン残基を有しても有さなくてもよい。
【0033】
用語「FGF−23ポリペプチドフラグメント」とは、配列番号2に示されるFGF−23ポリペプチドのアミノ末端(リーダー配列を有するかまたは有さない)の短縮化および/またはカルボキシル末端の短縮化を含むポリペプチドをいう。用語「FGF−23ポリペプチドフラグメント」とはまた、FGF−23ポリペプチドオルソログ、FGF−23ポリペプチド誘導体、またはFGF−23ポリペプチド改変体のアミノ末端および/またはカルボキシル末端の短縮化をいうか、あるいはFGF−23ポリペプチド対立遺伝子改変体またはFGF−23ポリペプチドスプライス改変体によってコードされるポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシル末端の短縮化をいう。FGF−23ポリペプチドフラグメントは、選択的RNAスプライシングから生じ得るか、またはインビボプロテアーゼ活性から生じ得る。FGF−23ポリペプチドの膜結合形態はまた、本発明によって意図される。好ましい実施形態において、短縮および/または欠失は、約10アミノ酸、または約20アミノ酸、または約50アミノ酸、または約75アミノ酸、または約100アミノ酸、または100アミノ酸より多いアミノ酸を含む。このように産生されたポリペプチドフラグメントは、約25連続するアミノ酸、または約50アミノ酸、または約75アミノ酸、または約100アミノ酸、または約150アミノ酸、または約200アミノ酸、または200アミノ酸より多いアミノ酸を含む。このようなFGF−23ポリペプチドフラグメントは、必要に応じて、アミノ末端メチオニン残基を含み得る。このようなフラグメントは、例えば、FGF−23ポリペプチドに対する抗体を生成するために用いられ得ることが理解される。
【0034】
用語「FGF−23ポリペプチドオルソログ」とは、配列番号2に示されるFGF−23ポリペプチドアミノ酸配列に対応する別の種由来のポリペプチドをいう。例えば、マウスおよびヒトのFGF−23ポリペプチドは、互いにオルソログであるとみなされる。
【0035】
用語「FGF−23ポリペプチド改変体」とは、配列番号2に示されるFGF−23ポリペプチドアミノ酸配列(リーダー配列を有するか、または有さない)に比べて、1つ以上のアミノ酸配列の置換、欠失(例えば、内部欠失および/もしくはFGF−23ポリペプチドフラグメント)、ならびに/または付加(例えば、内部付加および/もしくはFGF−23融合ポリペプチド)を有するアミノ酸配列を含むFGF−23ポリペプチドをいう。改変体は、天然に存在し得る(例えば、FGF−23ポリペプチド対立遺伝子改変体、FGF−23ポリペプチドオルソログ、およびFGF−23スプライス改変体)か、または人工的に構築され得る。このようなFGF−23−ポリペプチド改変体は、配列番号1に示されるDNA配列から変化しているDNA配列を有する対応する核酸分子から調製され得る。好ましい実施形態において、この改変体は、1〜3、または1〜5、または1〜10、または1〜15、または1〜20、または1〜25、または1〜50、または1〜75、または1〜100、または100よりも多いアミノ酸の置換、挿入、付加および/もしくは欠失を有し、ここでその置換が、保存的であり得るか、または非保存的であり得るか、あるいはその組み合わせであり得る。
【0036】
用語「FGF−23ポリペプチド誘導体」とは、化学的に改変された、本明細書中に定義されるような、配列番号2に示されるポリペプチド、FGF−23ポリペプチドフラグメント、FGF−23ポリペプチドオルソログ、またはFGF−23ポリペプチド改変体をいう。用語「FGF−23ポリペプチド誘導体」とはまた、化学的に改変された、本明細書中に定義されるような、FGF−23ポリペプチド対立遺伝子改変体またはFGF−23ポリペプチドスプライス改変体によってコードされるポリペプチドをいう。
【0037】
用語「成熟FGF−23ポリペプチド」とは、リーダー配列を欠くFGF−23ポリペプチドをいう。成熟FGF−23ポリペプチドはまた、アミノ末端(リーダー配列を有するか、または有さない)および/またはカルボキシル末端のタンパク質分解性プロセシング、より大きい前駆体からのより小さいポリペプチドの切断、N結合型グリコシル化および/またはO結合型グリコシル化などのようなポリペプチドの他の改変を含み得る。例示的な成熟CHLポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列によって示される。
【0038】
用語「FGF−23融合ポリペプチド」とは、本明細書中に定義されるような、配列番号2に示されるポリペプチド、FGF−23ポリペプチドフラグメント、FGF−23ポリペプチドオルソログ、FGF−23ポリペプチド改変体、またはFGF−23ポリペプチド誘導体のアミノ末端またはカルボキシル末端での1つ以上のアミノ酸(例えば、異種タンパク質または異種ペプチド)の融合体をいう。用語「FGF−23融合ポリペプチド」とはまた、本明細書中に定義されるような、FGF−23ポリペプチド対立遺伝子改変体またはFGF−23ポリペプチドスプライス改変体によってコードされるポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端での1つ以上のアミノ酸の融合体をいう。
【0039】
用語「生物学的に活性なFGF−23ポリペプチド」とは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも1つの活性の特徴を有するFGF−23ポリペプチドをいう。さらに、FGF−23ポリペプチドは、免疫原として活性であり得る;すなわち、FGF−23ポリペプチドは、抗体が惹起され得る少なくとも1つのエピトープを含み得る。
【0040】
用語「単離されたポリペプチド」とは、以下のような本発明のポリペプチドをいう:(1)供給源細胞から単離された場合に、共に天然に見出される、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の材料の、少なくとも約50%から分離されたポリペプチド、(2)その「単離されたポリペプチド」が天然において結合されているポリペプチドの全体または一部分に(共有結合性の相互作用または非共有結合性の相互作用によって)結合されていないポリペプチド、(3)天然において結合されないポリペプチドに(共有結合性の相互作用または非共有結合性の相互作用によって)作動可能に連結されているポリペプチド、あるいは(4)天然に存在しないポリペプチド。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その治療用途、診断用途、予防用途または研究用途を妨害する、その天然の環境において見出されるいずれの他の夾雑ポリペプチドまたは他の夾雑物を実質的に含まない。
【0041】
用語「同一性(identity)」は、当該分野で公知のように、2つ以上のポリペプチド分子、または2つ以上の核酸分子の配列の間にあって、これらの配列を比較することによって決定される、関係をいう。当該分野では、「同一性」はまた、核酸分子またはポリペプチドの配列関連性の程度(この場合、おそらく、2つ以上のヌクレオチド配列または2つ以上のアミノ酸配列のストリングの間の一致により決定され得るような)を意味する。「同一性」は、特定の算術モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち、アルゴリズム)によって位置付けられた、ギャップ整列(もし存在するならば)を有する2つ以上の配列のより短い方の間の同一性一致のパーセントを測定する。
【0042】
用語「類似性(similarity)」は、関連の概念であるが、「同一性」とは対照的に、「類似性」とは、同一性適合および保存的置換適合の両方を含む関連性の尺度をいう。2つのポリペプチド配列が、例えば、10/20の同一のアミノ酸を有し、そして残りが全て非保存的置換であるならば、同一性パーセントおよび類似性パーセントは、両方とも50%である。同じ例で、保存的置換であるさらに5つの位置が存在するならば、同一性パーセントは、50%のままであるが、類似性パーセントは75%(15/20)である。従って、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチドの間の類似性パーセントは、これらの2つのポリペプチドの間の同一性パーセントよりも高い。
【0043】
用語「天然に存在する」または「ネイティブ」は、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞などのような生物学的材料に関して使用される場合、天然に見出されかつ人によって操作されていない材料をいう。同様に、「天然に存在しない」または「非ネイティブ」は、本明細書中において使用される場合、天然には見出されないか、または人によって構造的に変更されたかもしくは合成された材料をいう。
【0044】
用語「有効量」および「治療的に有効な量」とは、各々、本明細書中に示されるFGF−23ポリペプチドの1つ以上の生物学的な活性の観察可能なレベルを支持するために使用されるFGF−23ポリペプチドまたはFGF−23核酸分子の量をいう。
【0045】
本明細書中に使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」または「生理学的に受容可能なキャリア」とは、薬学的組成物としてFGF−23ポリペプチド、FGF−23核酸分子、またはFGF−23選択的結合因子の送達を、達成するかまたは増強するのに適切な1つ以上の処方材料をいう。
【0046】
用語「抗原」とは、選択的結合因子(例えば、抗体)により結合され得る分子または分子の一部であって、そしてさらに、その抗原のエピトープに結合し得る抗体を産生するために動物において用いられ得る、分子または分子の一部をいう。抗原は、1つ以上のエピトープを有し得る。
【0047】
用語「選択的結合因子」とは、FGF−23ポリペプチドに対して特異性を有する分子(単数または複数)をいう。本明細書中に使用される場合、用語「特異的」および「特異性」とは、ヒトFGF−23ポリペプチドに結合するがヒト非FGF−23ポリペプチドに結合しない、選択的結合因子の能力をいう。しかし、選択的結合因子が、配列番号2に示されるようなポリペプチドのオルソログ(すなわち、その種間のバージョン(例えば、マウスFGF−23ポリペプチドおよびラットFGF−23ポリペプチド))もまた結合し得ることが、理解される。
【0048】
用語「形質導入」は、1つの細菌から別のものへの(通常、ファージによる)遺伝子の導入をいうために使用される。「形質導入」はまた、レトロウイルスによる真核生物細胞の配列の捕捉および導入をいう。
【0049】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来DNAまたは外因性DNAの取り込みをいうために使用される。そして、細胞は、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されている場合、「トランスフェクト」されている。多数のトランスフェクション技術は、当該分野で周知であり、そして、本明細書中に開示される。例えば、Grahamら、1973,Virology 52:456;Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratories,1989);Davisら、Basic Methods in Molecular Biology(Elsevier,1986);およびChuら、1981,Gene 13:197を参照のこと。このような技術は、1つ以上の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入するために使用され得る。
【0050】
用語「形質転換」は、本明細書中に使用される場合、細胞の遺伝特徴における変化をいい、そして細胞は、改変されて新規DNAを含む場合、形質転換されている。例えば、細胞は、そのネイティブな状態から遺伝的に改変された場合、形質転換されている。トランスフェクションおよび形質導入に続いて、形質転換DNAは、細胞の染色体へ物理的に組み込むことによって細胞のDNAと組み換わり得るか、複製されないエピソームエレメントとして一過性に維持され得るか、またはプラスミドとして独立して複製し得る。細胞は、そのDNAが細胞の分裂と共に複製される場合、安定に形質転換されているとみなされる。
【0051】
(核酸分子および/またはポリペプチドの関連性)
関連する核酸分子が、配列番号1の核酸分子の対立遺伝子改変体またはスプライス改変体を含み、そして上記のヌクレオチド配列のいずれかに相補的である配列を含むことが、理解される。関連する核酸分子はまた、配列番号2のポリペプチドと比較して、1つ以上のアミノ酸残基の置換、改変、付加、および/または欠失を含むか、またはこれらから本質的になるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。このような関連するFGF−23ポリペプチドは、例えば、1つ以上のN結合型グリコシル化部位もしくはO結合型グリコシル化部位の付加および/または欠失、あるいは1つ以上のシステイン残基の付加および/または欠失を含み得る。
【0052】
関連する核酸分子はまた、配列番号2のFGF−23ポリペプチドのアミノ酸残基の、少なくとも約25連続したアミノ酸残基、または約50アミノ酸残基、または約75アミノ酸残基、または約100アミノ酸残基、または約100より多いアミノ酸残基のポリペプチドをコードするFGF−23核酸分子のフラグメントを含む。
【0053】
さらに、関連するFGF−23核酸分子としてはまた、本明細書中に定義されるような中程度にストリンジェントな条件または高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1のFGF−23核酸分子の完全な相補配列とか、または配列番号2に示されるようなアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする分子の完全な相補配列とか、または本明細書中に定義されるような核酸フラグメントの完全な相補配列とか、または本明細書中に定義されるようなポリペプチドをコードする核酸フラグメントの完全な相補配列、とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む分子が挙げられる。ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に提供されるFGF−23配列を用いて調製されて、関連する配列に関して、cDNAライブラリー、ゲノムライブラリー、または合成DNAライブラリーをスクリーニングし得る。既知の配列と有意な同一性を示すFGF−23ポリペプチドのDNA配列および/またはアミノ酸配列の領域は、本明細書中に記載されるような配列アラインメントアルゴリズムを用いて容易に決定され、そしてこれらの領域は、スクリーニングのためのプローブを設計するために使用され得る。
【0054】
用語「高度にストリンジェントな条件」は、配列が高度に相補的であるDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そして有意に不一致な(mismatched)DNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、65〜68℃での、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、または42℃での、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、である。Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,1989);Andersonら、Nucleic Acid Hybridization:A Practical approach、第4章(IRL Press Limited)を参照のこと。
【0055】
よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい−しかし、ハイブリダイゼーションの速度は、影響される。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少させる目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニル−ピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSOまたはSDS)、フィコール、デンハルト溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)、および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpHとは無関係である。Andersonら、Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach、第4章(IRL Press Limited)を参照のこと。
【0056】
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さ、および塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適応させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る:
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致に対して約1℃ずつ減少する。
【0057】
用語「中程度に」ストリンジェントな条件は、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりもより大きい程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、50〜65℃での、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、または37〜50℃での、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミドである。例として、0.015M ナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
【0058】
「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条件との間に完全な区別は存在しないことが、当業者によって理解される。例えば、0.015M ナトリウムイオン(ホルムアミドなし)において、完全に一致した長いDNAの融解温度は、約71℃である。65℃(同じイオン強度)での洗浄において、これは、約6%不一致を許容にする。より離れて関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
【0059】
約20ntまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1M NaClにおける融解温度の適切な概算は、以下によって提供される:
Tm=1つのA−T塩基につき2℃+1つのG−C塩基対につき4℃
6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである。Suggsら、Developmental Biology Using Purified Genes、683(BrownおよびFox(編)1981)を参照のこと。
【0060】
オリゴヌクレオチドに対して高度にストリンジェンシーな洗浄条件は、通常、6×SSC、0.1%SDSにおいて、このオリゴヌクレオチドのTmの0〜5℃下の温度である。
【0061】
別の実施形態において、関連する核酸分子は、配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列に少なくとも約70パーセント同一であるヌクレオチド配列を含むかもしくはこれからなるか、または配列番号2に示されるポリペプチドに少なくとも約70パーセント同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むかもしくはこれから本質的になる。好ましい実施形態において、このヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に、約75パーセント、または約80パーセント、または約85パーセント、または約90パーセント、または約95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセントまたは99パーセント同一であるか、あるいは、このヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるポリペプチド配列に、約75パーセント、または約80パーセント、または約85パーセント、または約90パーセント、または約95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセントまたは99パーセント同一であるポリペプチドをコードする。関連する核酸分子は、配列番号2に示されるポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するポリペプチドをコードする。
【0062】
核酸配列における差異は、配列番号2のアミノ酸配列に関連するアミノ酸配列の保存的改変または非保存的改変を生じ得る。
【0063】
配列番号2のアミノ酸配列に対する保存的改変(およびコードヌクレオチドに対応する改変)は、これらのFGF−23ポリペプチドに類似した機能的特徴および化学的特徴を有するFGF−23ポリペプチドを生成する。対照的に、FGF−23ポリペプチドの機能的特徴および/または化学的特徴における実質的な改変は、配列番号2のアミノ酸配列において置換を選択することによって達成され得、これらの置換は、(a)置換領域における分子骨格の構造(例えば、シートコンフォメーションまたはらせんコンフォメーション)、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の大きさ、の維持に対するその影響において有意に異なる。
【0064】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷にほとんど影響がないか、または全く影響がないような、ネイティブなアミノ酸残基の非ネイティブな残基での置換を含み得る。さらに、ポリペプチド中の任意のネイティブな残基はまた、「アラニンスキャニング変異誘発」に関して以前に記載されたように、アラニンで置換され得る。
【0065】
保存的アミノ酸置換はまた、天然に存在しないアミノ酸残基を含み、これらは、生物系における合成によるよりむしろ化学的ペプチド合成によって代表的に組み込まれる。これらは、ペプチド模倣物、およびアミノ酸部分の他の逆形態または反転形態を含む。
【0066】
天然に存在する残基は、共通の側鎖の特性に基づいてクラスに分けられ得る:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0067】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラス由来のメンバーへの交換を含み得る。このような置換された残基は、非ヒトFGF−23ポリペプチドと相同性であるヒトFGF−23ポリペプチドの領域、またはこの分子の非相同性領域に導入され得る。
【0068】
このような変更を作製する場合、アミノ酸の疎水性親水性指数(hydropathic index)が、考慮され得る。各アミノ酸は、その疎水性特徴および荷電特徴に基づいて疎水性親水性指数が割り当てられる。これらの疎水性親水性指数は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9)およびアルギニン(−4.5)である。
【0069】
タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能を確認する際の、ヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当該分野において一般的に理解されている(Kyteら、1982,J.Mol.Biol.157:105−31)。特定のアミノ酸が類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用され得、そして依然として類似の生物学的活性を維持し得ることが、公知である。ヒドロパシー指数に基づいて変化を起こす際に、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、そして±0.5以内であるものが、なおより特に好ましい。
【0070】
類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的になされ得る(特に、これによって作製された生物学的機能的に等価なタンパク質またはペプチドが、この場合においてと同様に、免疫学的実施形態における使用に関して考慮される場合)こともまた、当該分野において理解されている。タンパク質の最も大きな局所的平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される場合に、その免疫原性および抗原性、すなわち、そのタンパク質の生物学的特性に相関する。
【0071】
以下の親水性の値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性の値に基づいて変化を行う際に、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±l以内であるものが特に好ましく、そして±0.5以内であるものが、なおより特に好ましい。一次アミノ酸配列から、エピトープをまた、親水性に基づいて同定し得る。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」と呼ばれる。
【0072】
所望のアミノ酸置換(保存的であれ非保存的であれ)は、当業者によって、このような置換が所望される時点で決定され得る。例えば、アミノ酸置換を使用して、FGF−23ポリペプチドの重要な残基を同定し得るか、または本明細書中に記載されるFGF−23ポリペプチドの親和性を増加もしくは減少させ得る。例示的なアミノ酸置換は、表Iに記載される。
【0073】
【表1】
Figure 2005508131
当業者は、配列番号2に記載のポリペプチドの適切な改変体を、周知の技術を使用して、決定し得る。生物学的活性を破壊することなく変化され得る分子の適切な領域を同定するために、当業者は、活性のために重要であるとは考えられない領域を標的化し得る。例えば、同じ種由来かまたは他の種由来の、類似の活性を有する類似のポリペプチドが既知である場合には、当業者は、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列を、このような類似のポリペプチドと比較し得る。このような比較を用いて、類似のポリペプチド間で保存される分子の残基および部分を同定し得る。このような類似のポリペプチドに対して保存されていない、FGF−23分子の領域における変化が、FGF−23ポリペプチドの生物学的活性および/または構造にさほど不利に影響を与えるようではないことが、理解される。当業者にはまた、比較的保存された領域においてさえ、化学的に類似のアミノ酸を、活性を維持しながら天然に存在する残基と置換し得ることが公知である(保存的アミノ酸残基置換)。従って、生物学的活性または構造のために重要であり得る領域でさえ、生物学的活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に不利に影響を与えることなく、保存的アミノ酸置換に供され得る。
【0074】
さらに、当業者は、活性または構造のために重要である、類似のポリペプチドにおける残基を同定する、構造−機能研究を再調査し得る。このような比較の観点において、類似のポリペプチドにおける活性または構造のために重要なアミノ酸残基に対応するFGF−23ポリペプチドにおける、アミノ酸残基の重要性を予測し得る。当業者は、FGF−23ポリペプチドのこのような予測された重要なアミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を、選択し得る。
【0075】
当業者はまた、類似のポリペプチドにおける三次元構造に関して、三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。このような情報の観点において、当業者は、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸残基のアライメントを、その三次元構造に関して予測し得る。当業者は、そのタンパク質の表面に存在すると予測されるアミノ酸残基に対する急激な変化を起こさないように、選択し得る。なぜなら、このような残基は、他の分子との重要な相互作用に関与し得るからである。さらに、当業者は、単一のアミノ酸置換を各アミノ酸残基に含む、試験改変体を生成し得る。これらの改変体は、当業者に公知の活性アッセイを使用して、スクリーニングされ得る。このような改変体は、適切な改変体に関する情報を集めるために使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基に対する変化が破壊を生じるか、所望でなく減少するか、または適切でない活性であることを発見した場合には、このような変化を有する改変体は、回避される。換言すれば、このような慣用的な実験から集めた情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が、単独でかまたは他の変異と組み合わせてかのいずれかで回避されるべきであるアミノ酸を、容易に決定し得る。
【0076】
多数の科学刊行物が、二次構造の推定に充てられてきた。Moult,1996,Curr.Opin.Biotechnol.7:422−27;Chouら、1974,Biochemistry 13:222−45;Chouら、1974,Biochemistry 113:211−22;Chouら、1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45−48;Chouら、1978,Ann.Rev.Biochem.47:251−276;およびChouら、1979,Biophys.J.26:367−84を参照のこと。さらに、コンピュータプログラムが、二次構造の推定を補助するために、現在利用可能である。二次構造を推定する1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%より大きな配列同一性または40%より大きな類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の構造トポロジーを有する。タンパク質構造データベース(PDB)の近年の成長は、二次構造(ポリペプチドまたはタンパク質の構造における可能な折り畳みの数を含む)の増強された推定性を提供してきた。Holmら、1999,Nucleic Acids Res.27:244−47を参照のこと。所定のポリペプチドまたはタンパク質において制限された数の折り畳みが存在すること、および一旦、重要な数の構造が解析されると、構造推定は劇的により正確となることが、示唆されてきた(Brennerら、1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:369−76)。
【0077】
二次構造を推定するさらなる方法は、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−87;Sipplら、1996,Structure 4:15−19)、「プロフィール分析」(Bowieら、1991,Science,253:164−70;Gribskovら、1990,Methods Enzymol.183:146−59;Gribskovら、1987,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.84:4355−58)、および「進化学的連鎖」(Holmら、前出、およびBrennerら、前出を参照のこと)を包含する。
【0078】
好ましいFGF−23ポリペプチド改変体としては、グリコシル化部位の数および/または型が配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して変化している、グリコシル化改変体が挙げられる。1つの実施形態において、FGF−23ポリペプチド改変体は、配列番号2に記載のアミノ酸配列より多いかまたはより少ない数のN連結グリコシル化部位を含む。N連結グリコシル化部位は、配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられ、ここで、Xと印されるアミノ酸残基は、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作製するためのアミノ酸残基の置換は、N連結炭水化物鎖の付加のための潜在的な新たな部位を提供する。あるいは、この配列を排除する置換は、存在するN連結炭水化物鎖を除去する。1つ以上のN連結グリコシル化部位(代表的に、天然に存在するグリコシル化部位)が排除され、そして1つ以上の新たなN連結部位が作製される、N連結炭水化物鎖の再配列もまた、提供される。さらなる好ましいFGF−23改変体としては、1つ以上のシステイン残基が、配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して欠失しているか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されている、システイン改変体が挙げられる。システイン改変体は、FGF−23ポリペプチドが、例えば不溶性の封入体の単離の後に、生物学的に活性な配置にリフォールディングされなければならない場合に、有用である。システイン改変体は、一般に、ネイティブタンパク質より少ないシステイン残基を有し、そして代表的には同数のシステイン残基を有し、対合していないシステインから生じる相互作用を最小にする。
【0079】
別の実施形態において、関連する核酸分子は、少なくとも1つのアミノ酸挿入を有し、そしてポリペプチドが配列番号2に記載のポリペプチドの活性を有する、配列番号2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこの配列からなるか、あるいは少なくとも1つのアミノ酸欠失を有し、ここでポリペプチドが配列番号2に記載のポリペプチドの活性を有する、配列番号2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこの配列からなる。関連する核酸分子はまた、ポリペプチドがカルボキシル末端および/またはアミノ末端の短縮を有し、そしてさらにここで、このポリペプチドが、配列番号2に記載のポリペプチドの活性を有する、配列番号2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこの配列からなる。関連する核酸分子はまた、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、カルボキシル末端短縮、およびアミノ末端短縮からなる群より選択される少なくとも1つの改変を含み、そしてここで、ポリペプチドが配列番号2に記載のポリペプチドの活性を有する、配列番号2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこの配列からなる。
【0080】
さらに、配列番号2、あるいは他のFGF−23ポリペプチドのいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドは、同種ポリペプチドに融合してホモダイマーを形成し得るか、あるいは異種ポリペプチドに融合してヘテロダイマーを形成し得る。異種のペプチドおよびポリペプチドとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:FGF−23融合ポリペプチドの検出および/または単離を可能にするエピトープ;膜貫通レセプタータンパク質またはその部分(例えば、細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン);膜貫通レセプタータンパク質に結合する、リガンドまたはその部分;触媒的に活性である、酵素またはその部分;オリゴマー化を促進するポリペプチドまたはペプチド(例えば、ロイシンジッパードメイン);安定性を増加させるポリペプチドまたはペプチド(例えば、免疫グロブリン定常領域);ならびに配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは別のFGF−23ポリペプチドとは異なる治療活性を有するポリペプチド。
【0081】
融合は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは他のIL1ra−Rポリペプチドの、アミノ末端またはカルボキシル末端のいずれかにおいて、なされ得る。融合は、リンカーもアダプター分子も用いずに直接であっても、リンカーもしくはアダプター分子を介してであってもよい。リンカーまたはアダプター分子は、1つ以上のアミノ酸残基であり得、代表的に、約20〜約50アミノ酸残基である。リンカーまたはアダプター分子はまた、DNA制限エンドヌクレアーゼまたはプロテアーゼに対する切断部位を有して設計されて、融合した部分の分離を可能にし得る。一旦構築されると、誘導ポリペプチドは、本明細書中に記載の方法に従って誘導体化され得ることが、理解される。
【0082】
本発明のさらなる実施形態において、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは他のFGF−23ポリペプチドは、ヒトIgGのFc領域の1つ以上のドメインに融合する。抗体は、以下の2つの機能的に独立した部分を含む;抗原を結合する「Fab」として公知の可変ドメイン、ならびに相補的活性化および食作用細胞による攻撃のようなエフェクター機能に関与する、「Fc」として公知の定常ドメイン。Fcは、長い血清半減期を有し、一方でFabは、短寿命である。Caponら、1989,Nature 337:525−31。治療タンパク質と一緒に構築される場合には、Fcドメインは、より長い半減期を提供し得るか、またはFcレセプター結合、プロテインA結合、補体結合、および恐らく、胎盤移入さえものような機能を組み込み得る。同書。表IIは、当該分野において公知の特定のFc融合物の使用を要約する。
【0083】
【表2】
Figure 2005508131
一例において、ヒトIgGのヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域は、当業者に公知の方法を使用して、FGF−23ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれかにおいて、融合し得る。別の例において、ヒトIgGのヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域は、FGF−23ポリペプチドフラグメント(例えば、FGF−23ポリペプチドの推定細胞外部分)のアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれかにおいて、融合し得る。
【0084】
得られるFGF−23融合ポリペプチドは、プロテインAアフィニティーカラムの使用によって、精製され得る。Fc領域に融合したペプチドおよびタンパク質は、融合していない対応物より実質的に長いインビボでの半減期を示すことが見出された。また、Fc領域への融合は、融合ポリペプチドの二量化/多量体化を可能にする。Fc領域は、天然に存在するFc領域であり得るか、または治療品質、循環時間、もしくは減少した凝集のような特定の品質を改善するよう変更され得る。
【0085】
関連する核酸分子およびポリペプチドの同一性および類似性は、公知の方法によって容易に計算され得る。このような方法としては、Computational Molecular Biology(A.M.Lesk編、Oxford University Press 1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(D.W.Smith編、Academic Press 1993);Computer Analysis of Sequence Data(Part 1,A.M.GriffinおよびH.G.Griffin編、Humana Press 1994);G.von Heinle,Sequence Analysis in Molecular Biology(Academic Press 1987);Sequence Analysis Primer(M.GribskovおよびJ.Devereux編、M.Stockton Press 1991);ならびにCarilloら、1988,SIAM J.Applied Math.,48:1073に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
同一性および/または類似性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間での最大の適合を与えるために、設計される。同一性および類似性を決定するための方法は、公共に利用可能なコンピュータプログラムにおいて記載されている。2つの配列間の同一性および類似性を決定するための、好ましいコンピュータプログラム方法としては、GCGプログラムパッケージ(GAP(Devereuxら、1984,Nucleic Acids Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−10)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(Altschulら、BLAST Manual(NCB NLM NIH,Bethesda,MD);Altschulら、1990、前出)から公共に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用され得る。
【0087】
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定のアライメントスキームは、これら2つの配列の短い領域のみの適合を生じ得、そしてこの小さな整列領域は、2つの全長配列間に有意な関連がない場合でさえも、非常に高い配列同一性を有し得る。従って、好ましい実施形態において、選択された整列方法(GAPプログラム)は、特許請求されるポリペプチドの少なくとも50の連続するアミノ酸にわたる整列を生じる。
【0088】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を使用して、配列同一性の百分率が決定されるべき2つのポリペプチドが、それらのそれぞれのアミノ酸の最適な適合(アルゴリズムによって決定される「適合したスパン」)のために、整列される。ギャップオープニングペナルティー(gap opening penalty)(これは、平均対角の3倍として計算される:「平均対角」とは、使用される比較行列(comparison matrix)の対角の平均である;「対角」とは、特定の比較行列によって各完全なアミノ酸適合に対して割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップエクステンションペナルティー(gap extension penalty)(これは通常、キャップオープニングペナルティーの0.1倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62のような比較行列が、このアルゴリズムと組み合わせて使用される。標準的な比較行列もまた、このアルゴリズムによって使用される(Dayhoffら、5 Atlas of Protein Sequence and Structure(補遺3 1978)(PAM250比較行列);Henikoffら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:10915−19(BLOSUM 62比較行列)を参照のこと)。
【0089】
ポリペプチド配列比較のための好ましいパラメータは、以下を含む:
アルゴリズム:NeedlemanおよびWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−53;
比較行列:BLOSUM 62(Henikoffら、前出);
ギャップペナルティー:12
ギャップ長さペナルティー(Gap Length Penalty):4
類似性の閾値(Threshold of Similarity):0
このGAPプログラムは、上記パラメータを用いて有用である。上記パラメータは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチド比較(末端ギャップに対してはペナルティーがないこととともに)のためのデフォルトパラメータである。
【0090】
核酸分子配列比較のための好ましいパラメータは、以下を含む:
アルゴリズム:NeedlemanおよびWunsch,前出;
比較行列:適合=+10,非適合=0
ギャップペナルティー:50
ギャップ長さペナルティー:3
このGAPプログラムはまた、上記パラメータを用いて有用である。上記パラメータは、核酸分子比較のためのデフォルトパラメータである。
【0091】
Program Manual,Wisconsin Package,Version 9,1997年9月に記載されるものを含む、他の例示的なアルゴリズム、ギャップオープニングペナルティー、ギャップエクステンションペナルティー、比較行列、および類似性の閾値が使用され得る。なされるべき特定の選択は、当業者に明らかであり、そしてなされるべき特定の比較(例えば、DNA対DNA、タンパク質対タンパク質、タンパク質対DNA);ならびにさらに、その比較が所定の対の配列間(この場合には、GAPまたはBestFitが一般的に好ましい)であるか、1つの配列と大きなデータベースの配列との間(この場合には、FASTAまたはBLASTAが好ましい)であるかに依存する。
【0092】
(核酸分子)
FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子は、種々の様式(化学合成、cDNAもしくはゲノムのライブラリーのスクリーニング、発現ライブラリースクリーニング、および/またはcDNAのPCR増幅が挙げられるが、これらに限定されない)で容易に得られ得る。
【0093】
本明細書中において使用される組換えDNA法は、一般に、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)および/またはCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、Green Publishers Inc.およびWiley and Sons 1994)に記載されている。本発明は、本明細書中に記載され得るような核酸分子、およびこのような分子を得るための方法を提供する。
【0094】
FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子が1つの種から同定された場合には、この遺伝子の全てまたは一部を、同じ種由来のオーソログまたは関連する遺伝子を同定するためのプローブとして使用し得る。このプローブまたはプライマーを使用して、FGF−23ポリペプチドを発現すると考えられる種々の組織供給源由来のcDNAをスクリーニングし得る。さらに、配列番号1に記載されるような配列を有する核酸分子の部分または全てを使用して、ゲノムライブラリーをスクリーニングし、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子を同定および単離し得る。代表的に、中程度または高いストリンジェンシーの条件が、スクリーニングのために使用されて、このスクリーニングから得られる誤った陽性の数を最小にする。
【0095】
FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子もまた、発現されたタンパク質の特性に基づいて陽性クローンの検出を使用する発現クローニングによって、同定され得る。代表的に、核酸ライブラリーは、抗体または他の結合パートナー(例えば、レセプターまたはリガンド)を、宿主細胞表面において発現および提示されたクローンタンパク質に結合させることによって、スクリーニングされる。抗体または結合パートナーは、所望のクローンを発現する細胞を同定するために、検出可能な標識で改変される。
【0096】
以下に記載される説明に従って実施される組換え発現技術に従って、これらのポリヌクレオチドを産生し得、そしてコードされたポリペプチドを発現し得る。例えば、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列を適切なベクターに挿入することによって、当業者は、多量の所望のヌクレオチド配列を容易に生成し得る。次いで、これらの配列を使用して、検出プローブまたは増幅プライマーを生成し得る。あるいは、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを、発現ベクターに挿入し得る。発現ベクターを適切な宿主に導入することによって、コードされたFGF−23ポリペプチドが、多量に生成され得る。
【0097】
適切な核酸配列を得るための別の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この方法において、cDNAは、酵素逆転写酵素を使用して、poly(A)+RNAまたは全RNAから調製される。次いで、2つのプライマー(代表的には、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするcDNAの2つの別個の領域に対して相補的である)が、TaqポリメラーゼのようなポリメラーゼとともにこのcDNAに付加され、そしてこのポリメラーゼが、このcDNAのこれら2つのプライマー間の領域を増幅する。
【0098】
FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子を調製する別の手段は、Engelsら、1989,Angew.Chem.Intl.2版8:716−34によって記載されるもののような、当業者に周知の方法を使用する、化学合成である。これらの方法としては、とりわけ、核酸合成のためのリン酸トリエステル、ホスホルアミダイト、およびH−ホスホネート方法が挙げられる。このような化学合成のために好ましい方法は、標準的なホスホルアミダイト化学を使用する、ポリマーにより支持される合成である。代表的に、FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAは、数百ヌクレオチド長である。約100ヌクレオチドより長い核酸は、これらの方法を使用して、いくつかのフラグメントとして合成され得る。次いで、これらのフラグメントが一緒に連結されて、FGF−23遺伝子の全長ヌクレオチド配列を形成し得る。通常、このポリペプチドのアミノ末端をコードするDNAフラグメントは、ATGを有し、これは、メチオニン残基をコードする。このメチオニンは、宿主細胞において産生されたポリペプチドがその細胞から分泌されるよう設計されるか否かに依存して、FGF−23ポリペプチドの成熟形態で存在してもそうでなくてもよい。当業者に公知の他の方法が、同様に使用され得る。
【0099】
特定の実施形態において、核酸改変体は、所定の宿主細胞におけるFGF−23ポリペプチドの最適な発現のために変更されたコドンを含む。特定のコドン変更は、発現のために選択される宿主細胞およびFGF−23ポリペプチドに依存する。このような「コドン最適化」は、種々の方法によって(例えば、所定の宿主細胞において高度に発現される遺伝子における使用に好ましいコドンを選択することによって)実施され得る。高度に発現された細菌遺伝子のコドン優先性のための「Eco_high.Cod」のようなコドン度数表を組み込むコンピュータアルゴリズムが使用され得、そしてUniversity of Wisconsin Package Version 9.0(Genetics Computer Group,Madison,WI)によって提供される。他の有用なコドン度数表としては、「Celegans_high.cod」、「Celegans_low.cod」、「Drosophila_high.cod」、「Human_high.cod」、「Maize_high.cod」、および「Yeast_high.cod.」が挙げられる。
【0100】
いくつかの場合において、FGF−23ポリペプチド改変体をコードする核酸分子を調製することが所望であり得る。改変体をコードする核酸分子は、プライマーが所望の点変異を有する部位特異的変異誘発、PCR増幅、または他の適切な方法を使用して生成し得る(変異誘発技術の記載に関しては、Sambrookら、前出、およびAusubelら、前出を参照のこと)。Engelsら、前出によって記載される方法を使用する化学合成もまた、このような改変体を調製するために使用され得る。当業者に公知の他の方法が、同様に使用され得る。
【0101】
(ベクターおよび宿主細胞)
FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子を、標準的な連結技術を使用して適切な発現ベクターに挿入する。ベクターは、代表的に、使用される特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が生じるように、宿主細胞機構と適合性である)。FGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子は、原核生物宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫(バキュロウイルス系)宿主細胞および/または真核生物宿主細胞において増幅/発現され得る。宿主細胞の選択は、FGF−23ポリペプチドが翻訳後修飾(例えば、グリコシル化および/またはホスホリル化)されるか否かに一部依存する。そうである場合、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞、または哺乳動物宿主細胞が好ましい。発現ベクターの総説について、Meth.Enz.,vol.185(D.V.Goeddel編.,Academic Press 1990)を参照のこと。
【0102】
代表的に、任意の宿主細胞に使用される発現ベクターは、プラスミド維持のためならびに外来性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のために配列を含む。このような配列(集合的に、「隣接配列」と呼ばれる)は、特定の実施形態において、代表的に、以下のヌクレオチド配列の1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライス部位を含む完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択マーカーエレメント。これらの配列のそれぞれが、以下に議論される。
【0103】
必要に応じて、ベクターは、「タグ」コード配列(すなわち、FGF−23ポリペプチドコード配列の5’末端または3’末端に配置されるオリゴヌクレオチド分子)を含み得;オリゴヌクレオチド配列は、polyHis(例えば、hexaHis)、別の「タグ」(例えば、FLAG、HA(赤血球凝集素インフルエンザウイルス))または市販の抗体が存在するmycをコードする。このタグは、代表的には、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合され、宿主細胞からの、FGF−23ポリペプチドのアフィニティー精製のための手段として役立ち得る。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティーマトリクスとしてタグに対して抗体を使用するカラムクロマトグラフィーによって達成され得る。必要に応じて、タグは、続いて、切断のために特定のペプチダーゼを使用するような種々の手段によって、精製されたFGF−23ポリペプチドから除去される。
【0104】
隣接配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または系統由来)であり得るか、異種(すなわち、宿主細胞種または系統以外の種由来)であり得るか、ハイブリッド(すなわち、1つより多くの供給源由来の隣接配列の組み合わせ)であり得るか、または合成であり得るか、あるいは隣接配列は、FGF−23ポリペプチド発現を調節するために正常に機能するネイティブな配列であり得る。このように、隣接配列の供給源は、任意の原核生物または真核生物、任意の脊椎生物または無脊椎生物、あるいは任意の植物であり得、但し、隣接配列は、宿主細胞の機構において機能的であり、そして宿主細胞の機構によって活性化され得る。
【0105】
本発明のベクターに有用な隣接配列は、当該分野において周知である任意のいくつかの方法によって得られ得る。代表的には、FGF−23遺伝子隣接配列以外の、本明細書中で有用な隣接配列は、マッピングおよび/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって以前に同定されており、従って、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、適切な組織供給源から単離され得る。いくつかの場合において、隣接配列の全長ヌクレオチド配列は公知であり得る。ここで、隣接配列は、核酸合成またはクローニングのために本明細書中で記載される方法を使用して合成され得る。
【0106】
隣接配列の全てまたは一部のみが公知である場合、PCRを使用して、そして/あるいは適切なオリゴヌクレオチドならびに/または同じもしくは別の種由来の隣接配列フラグメントを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られ得る。隣接配列が公知でない場合、隣接配列を含むDNAのフラグメントは、例えば、コード配列または別の遺伝子を含み得る大きな片のDNAから単離され得る。単離は、適切なDNAフラグメントを生成するための制限エンドヌクレアーゼ消化、続くアガロースゲル精製を使用する単離、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth、CA)、または当業者に公知の他の方法によって達成され得る。この目的を達成するための適切な酵素の選択は、当業者に容易に明らかである。
【0107】
複製起点は、代表的に、市販から購入された原核生物発現ベクターの一部であり、この起点は、宿主細胞においてベクターの増幅に役立つ。特定のコピー数に対するベクターの増幅は、いくつかの場合において、FGF−23ポリペプチドの最適な発現に重要であり得る。選択されたベクターが複製起点部位を含まない場合、公知の配列に基づいて化学的に合成され得、そしてベクターに連結され得る。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)からの複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適切であり、そして種々の起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVまたはBPVのようなパピローマウイルス)は、哺乳動物細胞におけるベクターのクローニングのために有用である。一般的に、複製起点の成分は、哺乳動物発現ベクター(例えば、SV40起点は、ただそれが初期プロモーターを含むので、しばしば、使用される)。
【0108】
転写終結配列は、代表的にポリペプチドコード領域の末端の3’側に配置され、そして転写を終結させるのに役立つ。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cリッチフラグメント、続いてポリ−T配列である。この配列はライブラリーから容易にクローン化され得るか、またはベクターの一部として市販で購入され、これは、本明細書中上記のような核酸合成のための方法を使用して容易に合成され得る。
【0109】
選択マーカー遺伝子エレメントは、選択培養培地において増殖される宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。代表的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物細胞に対して、抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシン)に対する耐性を与えるか;(b)細胞の栄養要求性の欠損を補うか;あるいは、(c)複合培地から入手可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。好ましい選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞における選択のために使用され得る。
【0110】
他の選択遺伝子は、発現される遺伝子を増幅するために使用され得る。増幅は、増殖に重要なタンパク質の産生により大きく要求される遺伝子が、組換え細胞の連続的な生成の染色体内でタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に対する適切な選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびチミジンキナーゼが挙げられる。哺乳動物細胞形質転換体は、選択圧下に置かれ、ここで、形質転換体のみが、ベクターに存在する選択遺伝子によって生存するように独特に適合される。選択圧は、培地中の選択因子の濃度が連続的に変化し、それによって選択遺伝子とFGF−23ポリペプチドをコードするDNAとの両方の増幅を導く条件下で、形質転換された細胞を培養することによって課される。結果として、増加した量のFGF−23ポリペプチドが、増幅されたDNAから合成される。
【0111】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、そしてShine−Dalgarno配列(原核性物)またはKozak配列(真核生物)によって特徴付けられる。このエレメントは、代表的に、発現されるFGF−23ポリペプチドのプロモーターの3’側およびコード配列の5’側に配置される。Shine−Dalgarno配列は、可変であるが、代表的には、ポリプリン(すなわち、高いA−G含有量)である。多くのShine−Dalgarno配列は、同定されており、それぞれが、本明細書中に記載の方法を使用して、容易に合成され得、原核生物ベクターにおいて使用され得る。
【0112】
リーダー配列、またはシグナル配列は、宿主細胞からFGF−23ポリペプチドを指向させるために使用され得る。代表的には、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列は、FGF−23核酸分子のコード領域に位置するか、または直接FGF−23ポリペプチドコード領域の5’側に位置する。多くのシグナル配列が同定されており、選択された宿主細胞において機能性であるシグナル配列の任意が、FGF−23核酸分子と組み合わせて使用され得る。従って、シグナル配列は、FGF−23核酸分子に対して同種(天然)または異種であり得る。さらに、シグナル配列は、本明細書中に記載される方法を使用して化学的に合成され得る。大部分において、シグナルペプチドの存在によって宿主細胞からのFGF−23ポリペプチドの分泌は、分泌されたFGF−23ポリペプチドからのシグナルペプチドの除去を生じる。シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入されたFGF−23核酸分子の一部であり得る。
【0113】
FGF−23ポリペプチドコード領域に結合されたネイティブなFGF−23ポリペプチドシグナル配列をコードするヌクレオチド配列またはFGF−23ポリペプチドコード領域に結合された異種シグナル配列をコードするヌクレオチド配列のいずれかの使用が本発明の範囲内である。選択された異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識され、プロセスされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。ネイティブなFGF−23ポリペプチドシグナル配列を認識せず、プロセスしない原核生物宿主細胞について、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、または熱安定エンテロトキシンIIリーダーのグループから選択される原核生物シグナル配列によって置換される。酵母分泌について、ネイティブなFGF−23ポリペプチドシグナル配列は、酵母インベルターゼ、α因子、または酸ホスファターゼリーダーによって置換され得る。哺乳動物細胞発現において、ネイティブなシグナル配列が満足であるが、他の哺乳動物シグナル配列が適切であり得る。
【0114】
グリコシル化が真核生物宿主細胞発現系において望ましい、いくつかの場合において、グリコシル化または収量を改善するために種々のシグナルペプチド(presequence)が操作され得る。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更し得るかまたはプロ配列(pro−sequence)を加え得、これはまた、グリコシル化に影響し得る。最後のタンパク質産物は、1位に(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)、発現に付随して1つ以上のさらなるアミノ酸を有し得、これは、完全に除去されないかもしれない。例えば、最終のタンパク質産物は、アミノ末端に結合される、ペプチダーゼ切断部位において見出される1つまたは2つのアミノ酸残基を有し得る。あるいは、いくつかの酵素切断部位は、酵素が成熟ポリペプチド内のこのような領域で切断される場合、所望のFGF−23ポリペプチドの少し短縮した形態を生じ得る。
【0115】
多くの場合において、核酸分子の転写は、ベクター内の1つ以上のイントロンの存在によって増加する;これは、ポリペプチドが真核生物宿主細胞(特に、哺乳動物宿主細胞)において産生される場合、特に当てはまる。使用されるイントロンは、特に使用される遺伝子が全長ゲノム配列またはそのフラグメントである場合、FGF−23遺伝子内に天然に存在し得る。イントロンが遺伝子内に天然に存在しない(大部分のcDNAについて)場合、イントロンは、別の供給源から得られ得る。隣接配列およびFGF−23遺伝子に関してイントロンの位置は、イントロンが効果的に転写されなければならないので、一般的に重要である。従って、FGF−23 cDNA分子が転写される場合、イントロンの好ましい位置は、転写開始部位の3’側で、poly−A転写終止配列の5’側である。好ましくは、イントロンは、コード配列を妨害しないように、cDNAの1つの側面または他の側面(すなわち、5’側または3’側)に配置される。任意の供給源(ウイルス、原核生物および真核生物(植物または動物)を含む)由来のイントロンを使用して本発明を実行し得るが、但し、このイントロンは、挿入される宿主細胞に適合性である。合成イントロンもまたここに含まれる。必要に応じて、1つより多くのイントロンがベクター内で使用され得る。
【0116】
本発明の発現ベクターおよびクローニングベクターは、代表的には、宿主生物体によって認識され、FGF−23ポリペプチドをコードする分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般的に、約100〜1000bp)の開始コドンに対して上流(すなわち、5’側)に配置される非転写配列である。プロモーターは、通常、2つのクラス(誘導プロモーターおよび構成プロモーター)の1つにグループ化される。誘導プロモーターは、培養条件におけるいくらかの変化(例えば、栄養の存在または非存在、あるいは温度の変化)に応答してそれらの制御下で、DNAからの転写の増加したレベルを開始する。他方、構成プロモーターは、連続的な遺伝子産物の産生を開始する;すなわち、遺伝子発現に対して遺伝子をほとんど制御しないかまたは制御しない。多数のプロモーター(種々の潜在的な宿主細胞によって認識される)が周知である。適切なプロモーターは、供給源のDNAからプロモーターを制限酵素消化によって取り出し、そして所望のプロモーター配列をベクターに挿入することによって、FGF−23ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結される。ネイティブなFGF−23プロモーター配列は、FGF−23核酸分子の増幅および/または発現に指向させるために使用され得る。しかし、ネイティブなプロモーターと比較して大きい転写および発現タンパク質のより高い産生が可能であり、そして使用のために選択された宿主細胞系と適合性である場合、異種プロモーターが好ましい。
【0117】
原核生物宿主との使用に適切なプロモーターとしては、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系;アルカリホスファターゼ;トリプトファン(trp)プロモーター系;およびハイブリッドプロモーター(例えば、tacプロモーター)が挙げられる。他の公知の細菌プロモーターもまた、適切である。これらの配列は、公開されており、その結果、当業者は、任意の有用な制限部位を供給するのに必要とされるリンカーまたはアダプターを使用して、所望のDNAにそれらの配列を連結し得る。
【0118】
酵母宿主との使用に適切なプロモーターはまた、当該分野において周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとの使用に有利に使用される。哺乳動物宿主細胞との使用に適切なプロモーターは周知であり、限定しないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、Adenovirus2)、ウシパピローマウイルス、鳥類肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましいシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーターが挙げられる。他の適切な哺乳動物プロモーターとしては、異種哺乳動物プロモーター(例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーター)が挙げられる。
【0119】
FGF−23遺伝子発現を制御する際に目的となり得るさらなるプロモーターとしては、限定しないが、以下が挙げられる:SV40初期プロモータ領域(Bernoist and Chambon,1981,Nature 290:304−10);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い終末反復に含まれるプロモーター(Yamamoto,et al.,1980,Cell 22 :787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−45);メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al.,1982,Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターのような原核生物発現ベクター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:3727−31);またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:21−25)。組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域もまた関心がある:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639−46;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409(1986);MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞において活性なインシュリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22);リンパ球において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−58;Adames et al.,1985,Nature 318:533−38;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.,7:1436−44);精巣、乳房、リンパ球、および肥満細胞において活性なマウス哺乳動物腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−95);肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−76);肝臓において活性なα−フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−48;Hammer et al.,1987,Science 235:53−58);肝臓において活性なα1−抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−71);骨髄性細胞において活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338−40;Kollias et al.,1986,Cell 46:89−94);脳の稀突起神経膠細胞において活性なミエリンベースのタンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−12);骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86);ならびに視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−78)。
【0120】
エンハンサー配列は、より高等な真核生物によって本発明のFGF−23ポリペプチドをコードするDNAの転写を増加するように、ベクターに挿入され得る。エンハンサーは、転写を増加させるためにプロモーターに作用する、通常約10〜300bpの長さのDNAのシスに作用するエレメントである。エンハンサーは、相対的、方向および位置に非依存的である。これらは、転写ユニットに対して5’側および3’側に見出された。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質およびインシュリン)。しかし、代表的には、ウイルス由来のエンハンサーが、使用される。SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化について例示的に増強するエレメントである。エンハンサーは、FGF−23核酸分子に対して5’位または3’位でベクターにスプライシングされ得るが、代表的には、プロモーターから5’位側に配置される。
【0121】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターのような開始ベクターから構築され得る。このようなベクターは、全ての所望な隣接配列を含んでも良いし、含まなくても良い。本明細書中に記載される隣接配列の1つ以上がすでにベクター内にない場合、これらは、個々に得られ得、ベクターに連結され得る。隣接配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0122】
本発明を実行するために好ましいベクターは、細菌宿主細胞、昆虫宿主細胞、および哺乳動物宿主細胞と適合性のベクターである。このようなベクターとしては、特に、pCRII、pCR3、およびpcDNA3.1(Invitrogen、San Diego、CA)、pBSII(Stratagene、La Jolla、CA)、pET15(Novagen、Madison、WI)、pGEX(Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ)、pEGFP−N2(Clontech、Palo Alto、CA)、pETL(BlueBacII、Invitrogen)、pDSR−α(PCT公開番号WO 90/14363)ならびにpFastBacDual(Gibco−BRL、Grand Island、NY)が挙げられる。
【0123】
さらなる適切なベクターとしては、限定しないが、コスミド、プラスミド、または改変ウイルスが挙げられるが、これらのベクター系は、選択された宿主細胞と適合性でなければならないことが理解される。このようなベクターとしては、限定しないが、Bluescript(登録商標)プラスミド誘導体(高コピー数ColEl−ベースのファージミド、Stratagene Cloning Systems,La Jolla CA)、Taq増幅PCR産物をクローニングするために設計されたPCRクローニングプラスミド(例えば、TOPOTM TA Cloning(登録商標)Kit、PCR2.1(登録商標)プラスミド誘導体、Invitrogen、Carlsbad、CA)、ならびにバキュロウイルス発現系のような哺乳動物ベクター、酵母ベクターまたはウイルスベクター(pBacPAKプラスミド誘導体、Clontech、Palo Alto、CA)が挙げられる。
【0124】
ベクターが構築され、そしてFGF−23ポリペプチドをコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後に、完全なベクターが増幅発現および/またはポリペプチド発現に適切な宿主細胞に挿入され得る。FGF−23ポリペプチドに対する発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクチン、DEAE−デキストラン法、または他の公知の技術のような方法を含む周知の方法によって達成され得る。選択される方法は、使用される宿主細胞の種類にいくぶん関連する。これらの方法および他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら、上記に記載される。
【0125】
宿主細胞は、原核生物宿主細胞(例えば、E.coli)または真核生物宿主細胞(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、または脊椎動物細胞)であり得る。宿主細胞は、適切な条件下で培養される場合、FGF−23ポリペプチドを合成し、これは、続いて、培養培地から(宿主細胞がそのポリペプチドを培地に分泌する場合)収集され得るか、または直接そのポリペプチドを産生する宿主細胞から収集される(そのポリペプチドが分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)、および生物学的に活性な分子に折り畳まれる容易さなどの種々の因子に依存する。
【0126】
多くの適切な宿主細胞が当該分野において公知であり、多くが、American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VAから入手可能である。例としては、限定しないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、CHO DHFR(−)細胞(Urlaub et al.,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.US.A.97:4216−20)、ヒト胚性腎臓(HEK)293または293T細胞、あるいは3T3細胞のような哺乳動物細胞が挙げられる。適切な哺乳動物宿主細胞の選択および形質転換、培養、増幅、スクリーニング、産物生成、および精製のための方法が当該分野において公知である。他の適切な哺乳動物細胞株は、サルCOS−1およびCOS−7細胞株、およびCV−1細胞株である。さらなる例示的な哺乳動物宿主細胞としては、霊長動物細胞株およびゲッ歯類動物細胞株(形質転換細胞株を含む)が挙げられる。正常な二倍体細胞、初代組織のインビトロ培養物から誘導される細胞株、ならびに初代外植片もまた適切である。候補細胞は、選択遺伝子を遺伝子型的に欠き得るか、または優先的に作用する選択遺伝子を含み得る。他の適切な哺乳動物細胞株としては、限定しないが、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swissから誘導された3T3株、Balb−cまたはNIHマウス、BHKまたはHakハムスター細胞株が挙げられる。これらの細胞株のそれぞれは、タンパク質発現の当業者にとって公知であり入手可能である。
【0127】
同様に、細菌細胞が、本発明に適切な宿主細胞として有用である。例えば、E.coli(例えば、HB101、DH5α、DH10、およびMC1061)の種々の菌株は、生物工学の分野において宿主細胞として周知である。B.subtilis、Pseudomonas spp.、他のBacillus spp.、Streptomyces spp.などの種々の菌株がまた、本方法において使用され得る。
【0128】
当業者に公知の酵母細胞の多くの菌株はまた、本発明のポリペプチドの発現のため宿主細胞として入手可能である。好ましい酵母細胞としては、例えば、Saccharomyces cerivisaeおよびPichia pastorisが挙げられる。
【0129】
さらに、望ましい場合、昆虫細胞系が、本発明の方法において利用され得る。このような系は、例えば、Kitts et al.,1993,Biotechniques,14:810−17;Lucklow,1993,Curr.Opin.Biotechnol.4:564−72;およびLucklow et al.,1993,J.Virol.,67:4566−79に記載される。好ましい昆虫細胞は、Sf−9およびHi5(Invitrogen)である。
【0130】
グリコシル化FGF−23ポリペプチドを発現するためにトランスジェニック動物もまた使用し得る。例えば、トランスジェニック乳産生動物(例えば、雌ウシまたはヤギ)を使用し、本発明のグルコシル化ポリペプチドを動物の乳に得ることができる。FGF−23ポリペプチドを産生するために植物もまた使用し得るが、しかし、一般的に、植物において生じるグリコシル化は、哺乳動物細胞において産生されるものとは異なり、ヒト治療の使用に適切ではないグリコシル化産物を生じ得る。
【0131】
(ポリペプチド産生)
FGF−23ポリペプチド発現ベクターを含む宿主細胞は、当業者に周知の標準的な培地を使用して培養され得る。この培地は、通常、細胞の増殖および生存に必要な全ての栄養分を含む。E.coli細胞を培養するための適切な培地としては、例えば、Luria Broth(LB)および/またはTerrific Broth(TB)が挙げられる。真核生物細胞を培養するための適切な培地としては、Roswell Park Memorial Institute medium 1640(RPMI 1640)、Minimal Essential Medium(MEM)および/またはDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM)が挙げられ、これらの全ては、培養される特定の細胞株に必要な血清および/または増殖因子を補充され得る。昆虫細胞についての適切な培地は、必要に応じて、イーストレート(yeatolate)、ラクトアルブミン加水分解産物、および/または胎仔ウシ血清を補充したグレース培地である。
【0132】
代表的に、トランスフェクトされた細胞または形質転換された細胞の選択的な増殖に有用な抗生物質または他の化合物が、培地に補充物質として添加される。使用される化合物は、宿主細胞が形質転換されるプラスミドに存在する選択マーカーエレメントによって検出可能である。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン耐性である場合、培養倍地に加えられる化合物は、カナマイシンである。選択的増殖のための他の化合物としては、アンピシリン、テトラサイクリン、およびネオマイシンが挙げられる。
【0133】
宿主細胞によって産生されるFGF−23ポリペプチドの量は、当該分野において公知の標準的な方法を使用して評価され得る。このような方法としては、限定しないが、ウェスタンブロット分析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離、免疫沈降、および/またはDNA結合ゲルシフトアッセイのような活性アッセイが挙げられる。
【0134】
FGF−23ポリペプチドが宿主細胞から分泌されるように設計される場合、ポリペプチドの大部分は、細胞培養培地中で見出され得る。しかし、FGF−23ポリペプチドが宿主細胞から分泌されない場合、細胞質および/または核(真核宿主細胞について)に、あるいは、細胞質ゾル(グラム陽性細菌宿主細胞について)に存在する。
【0135】
宿主細胞細胞質および/または核(真核生物宿主細胞について)に位置するかまたは細胞質ゾル(細菌宿主細胞について)に位置するFGF−23ポリペプチドについて、細胞内物質(グラム陽性細菌についての封入体を含む)は、当業者に公知の任意の標準的な技術を使用して宿主細胞から抽出され得る。例えば、宿主細胞は、フレンチプレス、均質化、および/または超音波処理、続く遠心分離によって、ペリプラズム/細胞質の内容物を放出するように溶解され得る。
【0136】
FGF−23ポリペプチドが細胞質ゾル内に封入体を形成した場合、この封入体は、しばしば、内部および/または外部細胞膜に結合され得、従って、主に、遠心分離後にペレット材料において見出される。次いで、ペレット材料は、極端なpHで、あるいはジチオトレイトールのような還元剤の存在下アルカリ性のpHで、またはトリスカルボキシエチルホスフィンの存在下酸性のpHで、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素、または尿素誘導体のようなカオトロピック剤で処理して、封入体を放出させ、分断させ、そして溶解させ得る。次いで、溶解されたFGF−23ポリペプチドは、ゲル電気泳動、免疫沈降などを使用して分析され得る。FGF−23ポリペプチドを単離することが望ましい場合、単離は、本明細書中およびMarston et al.,1990,Meth.Enz.,182:264−75に記載される方法のような標準的な方法を使用して達成され得る。
【0137】
いくつかの場合、FGF−23ポリペプチドは、単離の際、生物学的に活性でなくても良い。ポリペプチドをその三次構造に「再折り畳み」または変換するための、ならびにジスルフィド結合を生成するための種々の方法を使用して、生物学的活性を回複し得る。このような方法は、溶解されたポリペプチドをあるpH(通常7より上)および特定の濃度のカオトロピック剤(chaotrope)の存在に曝露する工程を包含する。カオトロピック剤の選択は、封入体溶解に使用される選択肢に非常に類似するが、通常、カオトロピック剤は低い濃度で使用され、溶解に使用されるカオトロピック剤と必ずしも同一ではない。多くの場合、再折り畳み/酸化溶液はまた、還元剤、または特定の比の還元剤およびその酸化形態を含んで、特定の酸化還元電位を生成し、タンパク質のシステイン架橋の形成を生じるジスルフィドシャフリングを可能にする。通常使用される酸化還元対のいくつかとしては、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化銅(II)、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、および2−2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が挙げられる。多くの場合において、共溶媒が、使用され得るかまたは再折り畳みの効率を増加するのに必要とされ得、この目的のために使用されるより一般的な試薬としては、グリセロール、種々の分子量のポリエチレングリコール、アルギニンなどが挙げられる。
【0138】
封入体がFGF−23ポリペプチドの発現において有意な程度まで形成されない場合、ポリペプチドは、主に、細胞ホモジネートの遠心分離後に上清中に見出される。ポリペプチドは、さらに、本明細書中に記載されるような方法を使用して上清から単離され得る。
【0139】
溶液からのFGF−23ポリペプチドの精製は、種々の技術を使用して達成され得る。ポリペプチドが、ヘキサヒスチジン(FGF−23ポリペプチド/hexaHis)のようなタグまたは他の小さなペプチド(例えば、FLAG(Eastman Kodak Co.,New Haven,CT)またはmyc(Invitrogen,Carlsbad,CA))をそのカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかにおいて含むように合成された場合、カラムマトリクスがタグに対して高い親和性を有するアフィニティーカラムに溶液を通すことによって一工程で精製され得る。
【0140】
例えば、ポリヒスチジンは、ニッケルに対して大きな親和性および特異性を有して結合する。従って、ニッケルのアフィニティーカラム(例えば、Qiagen(登録商標)ニッケルカラム)は、FGF−23ポリペプチド/polyHisの精製のために使用され得る。例えば、Current Protocols in Molecular Biology § 10.11.8(Ausubel et al.,eds.,Green Publishers Inc. and Wiley and Sons 1993)を参照のこと。
【0141】
さらに、FGF−23ポリペプチドは、FGF−23ポリペプチドを特異的に認識し得、そして結合し得るモノクローナル抗体の使用によって精製され得る。
【0142】
精製のための他の適切な手段はとしては、限定しないが、アフィニティークロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、モレキュラーシーブクロマトグラフィー、HPLC、電気泳動(ネイティブな電気泳動を含む)、続くゲル溶出、および分取用等電集束法(「Isoprime」machine/technique,Hoefer Scientific,San Francisco,CA)が挙げられる。いくつかの場合において、2つ以上の精製技術を、増加した純度を達成するために組み合わせ得る。
【0143】
FGF−23ポリペプチドはまた、Merrifield et al.,1963,J.Am.Chem.Soc.85:2149;Houghten et al.,1985,Proc Natl Acad.Sci.USA 82:5132;およびStewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis(Pierce Chemical Co.1984)に記載されるような当該分野で公知の技術を使用する、化学合成法(例えば、固相ペプチド合成)によって調製され得る。このようなポリペプチドは、アミノ末端にメチオニンを有するかまたは有さないで合成され得る。化学的に合成されたFGF−23ポリペプチドは、これらの参考文献に記載される方法を使用して酸化され得て、ジスルフィド結合を形成し得る。化学的に合成されたFGF−23ポリペプチドは、組換え的に産生されるかまたは天然の供給源から精製される対応するFGF−23ポリペプチドに匹敵する生物学的活性を有すると期待され、従って、組換えまたは天然のFGF−23ポリペプチドと相互交換可能に使用され得る。
【0144】
FGF−23ポリペプチドを得る別の手段は、FGF−23ポリペプチドが天然に見出される供給源の組織および/または流体のような生物学的サンプルからの精製による。このような精製は、本明細書中に記載されるようなタンパク質精製のための方法を使用して行われ得る。精製の間、FGF−23ポリペプチドの存在が、例えば、組換え的に産生されたFGF−23ポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントに対して調製される抗体を使用してモニターされ得る。
【0145】
核酸およびポリペプチドを産生するための多くのさらなる方法は、当該分野において公知であり、この方法は、FGF−23ポリペプチドに対して特異性を有するポリペプチドを産生するために使用され得る。例えば、Roberts et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:12297−303を参照のこと。これは、mRNAとそのコードされるペプチドとの間の融合タンパク質の産生を記載する。Roberts,1999,Curr.Opin.Chem.Biol. 3:268−73もまた参照のこと。さらに、米国特許第5,824,469号は、特定の生物学的機能を実行し得るオリゴヌクレオチドを得るための方法を記載する。この手順は、異種プールのオリゴヌクレオチドを生成する工程を包含し、それぞれが、5’ランダム化配列、中央部の予備選択配列、および3’ランダム化配列を有する。得られる異種プールは、所望の生物学的活性を示さない細胞の集団に導入される。次いで、細胞の亜集団を、所定の生物学的機能を示すものについてスクリーニングする。その亜集団から、所望の生物学的機能を実行し得るオリゴヌクレオチドが単離される。
【0146】
米国特許第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,723,323号;および同第5,817,483号は、ペプチドまたはポリペプチドを産生するためのプロセスを記載する。これは、確率論的遺伝子またはそのフラグメントを産生し、次いで、確率論的遺伝子によってコードされた1以上のタンパク質を産生する宿主細胞にこれらの遺伝子を導入することによって達成される。次いで、この宿主は、所望の活性を有するペプチドまたはポリペプチドを産生する、これらのクローンを同定するためにスクリーニングされる。
【0147】
ペプチドまたはポリペプチドの産生するための別の方法は、Athersys,Inc.によって出願されたPCT/US98/20094(WO99/15650)(「Random Activation of Gene Expression for Gene Discovery」(RAGE−GD)として知られている)に記載されており、このプロセスは、インサイチュ組換え方法によって、内因性遺伝子の発現または遺伝子の過剰発現の活性化を含む。例えば、内因性遺伝子の発現は、非相同性組換えまたは異常な組換えによって、遺伝子の発現を活性化し得る標的細胞中に、調節配列を組み込むことによって、活性化または増加される。この標的DNAは、まず、放射線に供せられ、そして遺伝子プロモーターに挿入される。このプロモーターは、遺伝子の前方に最終的に配置され、遺伝子の転写を開始する。これは、所望のペプチドまたはポリペプチドの発現を生じる。
【0148】
これらの方法はまた、包括的なFGF−23ポリペプチド発現ライブラリーを作製するために使用され得、これは、続いて、種々のアッセイ(例えば、生化学的アッセイ、細胞アッセイおよび全生物アッセイ(例えば、植物、マウスなど))において、ハイスループット表現型スクリーニングのために使用され得ることが理解される。
【0149】
(合成)
本明細書中に記載される核酸およびポリペプチド分子は、組換えおよび他の手段によって産生され得ることは、当業者によって理解される。
【0150】
(選択的結合因子)
用語「選択的結合因子」は、1以上のFGF−23ポリペプチドに対して特異性を有する分子をいう。適切な選択的結合因子としては、抗体およびその誘導体、ポリペプチド、ならびに小分子が挙げられるが、これらに限定されない。適切な選択的結合因子は、当該分野で公知の方法を使用して調製され得る。本発明の例示的なFGF−23ポリペプチド選択的結合因子は、FGF−23ポリペプチドの特定の部分を結合し得、これにより、ポリペプチドのFGF−23ポリペプチドレセプターへの結合を阻害する。
【0151】
FGF−23ポリペプチドと結合する抗体および抗体フラグメントのような選択的結合因子は、本発明の範囲内である。この抗体は、単一特異的なポリクローナルを含むポリクローナル;モノクローナル(MAb);組換え;キメラ;ヒト化(例えば、CDR移植片化);ヒト;単鎖;および/または二特異的;ならびにフラグメント;改変体;またはそれらの誘導体であり得る。抗体フラグメントとしては、FGF−23ポリペプチド上のエピトープに結合する抗体のこれらの部分を含む。このようなフラグメントの例としては、全長抗体の酵素的切断によって産生されたFabおよびF(ab’)フラグメントが挙げられる。他の結合フラグメントとしては、組換えDNA技術(例えば、抗体可変領域をコードする核酸配列を含む、組換えプラスミドの発現)によって産生されたフラグメントが挙げられる。
【0152】
FGF−23ポリペプチドに指向されたポリクローナル抗体は、一般に、FGF−23ポリペプチドおよびアジュバンドの複数回の皮下注射または腹腔内注射によって動物(例えば、ウサギまたはマウス)において産生される。FGF−23ポリペプチドをキャリアタンパク質に結合させることは、有用であり得、このタンパク質は、キーホールリンペットヘモシアニン、血清、アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターのように、免疫化される種において免疫原性である。また、ミョウバンのような凝集剤は、免疫応答を増強させるために使用される。免疫化後、この動物は採血され、そして血清を、抗FGF−23ポリペプチド抗体力価についてアッセイする。
【0153】
FGF−23ポリペプチドに指向されたモノクローナル抗体は、培地中の連続的細胞株によって抗体分子を産生するために提供される、任意の方法を使用して産生される。モノクローナル抗体を調製するために適切な方法の例として、Kohlerら、1975、Nature 256:495−97のハイブリドーマ法、およびヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor、1984、J.Immunol.133:3001;Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications 51−63(Marcel Dekker,Inc.,1987))が挙げられる。FGF−23ポリペプチドと反応性のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株がまた、本発明によって提供される。
【0154】
本発明のモノクローナル抗体は、治療剤として使用するために、改変され得る。1つの実施形態は、「キメラ」抗体であり、この抗体において重鎖(H)および/または軽鎖(L)の一部が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体のクラスもしくはサブクラスの属する抗体中の対応する配列と同一であるか、または相同性であり、一方で、この鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、または相同性である。抗体のフラグメントが所望の生物学的活性を示す限り、このような抗体のフラグメントも含まれる。米国特許第4,816,567号;Morrisonら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851−55を参照のこと。
【0155】
別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、「ヒト化」抗体である。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。米国特許第5,585,089号および同第5,693,762号を参照のこと。一般に、ヒト化した抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入された1以上のアミノ酸残基有する。ヒト化は、例えば、当該分野(Jonesら、1986、Nature 321:522−25;Riechmannら、1998、Nature 332:323−27;Verhoeyenら、1988、Science 239:1534−36)で記載される方法を使用して、げっ歯類の相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部をヒトの抗体の対応する領域と置換することによって、実施される。
【0156】
FGF−23ポリペプチドと結合するヒト抗体がまた、本発明によって包含される。内因性の免疫グロブリンの産物の非存在下で、ヒト抗体のレパートリーを産生し得る、トランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用して、このような抗体は、FGF−23ポリペプチド抗原(すなわち、少なくとも6個の連続するアミノ酸を有する)を用いて免疫化することによって産生され、必要に応じて、キャリアに結合される。例えば、Jakobovitsら,1993,Proc.Natl.Acad Sci.90:2551−55;Jakobovitsら,1993,Nature 362:255−58;Bruggermannら,1993,Year in Immuno.7:33を参照のこと。1つの方法において、このようなトランスジェニック動物は、本明細書中の重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする内因性遺伝子座を無能にし、そしてヒトの重鎖および軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座をそのゲノムに挿入することによって産生される。次いで、部分的に改変された動物(この動物は、完全な補体とは言えない改変を有する)は、所望の免疫系の改変体の全てを有する動物を得るために交差繁殖される。免疫原が投与される場合、これらのトランスジェニック動物が、ヒト(例えば、マウス以外)アミノ酸配列(このアミノ酸配列は、これらの抗原に対して免疫特異性である改変領域を含む)を有する抗体を産生する。PCT出願番号PCT/US96/05928および同PCT/US93/06926を参照のこと。さらなる方法は、米国特許第5,545,807号、PCT出願番号PCT/US91/245および同PCT/GB89/01207、ならびに欧州特許第546073B1号および同第546073A1号に記載される。ヒト抗体はまた、宿主細胞中の組換えDNAの発現または本明細書中に記載されるようなハイブリドーマ細胞中での発現によって産生され得る。
【0157】
代替の実施形態において、ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリから産生され得る(Hoogenboomら,1991,J.Mol.Bio.227:381;Marksら,1991,J.Mol.Biol.222:581)。これらのプロセスは、線状バクテリオファージ表面上の抗体レパートリーのディスプレイを介した免疫選択、そして選択した抗原へのこれらの結合によるファージの引き続く選択を模倣する。このような技術の1つは、PCT出願番号PCT/US98/17364に記載されており、これには、このようなアプローチを使用して、MPL−レポーターおよびmsk−レポーターについて、高い親和性の抗体および機能的なアゴニスト抗体の単離が記載される。
【0158】
キメラ抗体、CDRグラフト抗体、およびヒト化抗体は、代表的には組換え方法によって産生される。抗体をコードする核酸は、宿主細胞中に導入され、そして本明細書中に記載される物質および手順を使用して発現される。好ましい実施形態において、この抗体は、哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO細胞)中で産生される。モノクローナル(例えば、ヒト)抗体は、本明細書中に記載されるように、宿主細胞中での組換えDNAの発現またはハイブリドーマ細胞中での発現によって産生され得る。
【0159】
本発明の抗FGF−23抗体は、FGF−23ポリペプチドの検出および定量のための任意の公知のアッセイ方法(例えば、競合結合アッセイ、直接的および間接的サンドイッチアッセイ、および免疫沈降アッセイ)において使用され得る(Sola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques 147−158(CRC Press,Inc.,1987))。これらの抗体は、使用されるアッセイ方法に適切な親和性でFGF−23ポリペプチドと結合する。
【0160】
診断的適用のために、特定の実施形態において、抗FGF−23抗体は、検出可能な部分で標識され得る。この検出可能な部分は、直接的または間接的のいずれかで、検出可能なシグナルを産生し得る任意の部分であり得る。例えば、検出可能な部分は、放射性同位体(例えば、H、14C、32P、35S、125I、99Tc、111In、または67Ga);蛍光化合物または化学発光化合物(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、もしくはルシフェリン)、または酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ)であり得る(Bayerら,1990,Meth.Enz.184:138−63)。
【0161】
競合結合アッセイは、標識した標準(例えば、FGF−23ポリペプチド、またはその免疫学的に活性な部分)の能力に依存し、限定された量の抗FGF−23抗体との結合に関して、試験サンプル検体(FGF−23ペプチド)と競合する。試験サンプル中のFGF−23ポリペプチドの量は、抗体と結合する標準の量と反比例する。結合する標準の量を決定するのを容易にするために、これらの抗体は、代表的には競合前または後に不溶化され、その結果これらの抗体と結合する標準および検体は、結合しないままの標準および検体から都合よく分離され得る。
【0162】
サンドイッチアッセイは、代表的には2つの抗体の使用に関連し、各々は、検出および/または定量されるべきタンパク質の異なる免疫原部分またはエピトープに結合し得る。サンドイッチアッセイにおいて、この試験サンプル検体は、代表的には固体支持体上に固定化される第1抗体によって結合され、その後、第2抗体が、この検体に結合し、可溶性の3部分複合体を形成する。例えば、米国特許第4,376,110を参照のこと。第2抗体自体は、検出可能な部分で標識されるか(直接的なサンドイッチアッセイ)、または検出可能な部分で標識される抗免疫グロブリン抗体を使用して測定(間接的なサンドイッチアッセイ)され得る。例えば、サンドイッチアセイの1つの型は、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)(この場合、検出可能な部分は、酵素である)である。
【0163】
抗FGF−23抗体を含む、選択的結合因子はまた、インビボイメージングのために有用である。検出可能な部分で標識した抗体は、動物に、好ましくは、血流に投与され得、宿主中で標識した抗体の存在および位置がアッセイされる。この抗体は、核磁気共鳴、放射線学、または当該分野で公知の他の検出手段のいずれかによって、動物中で検出可能である任意の部分で標識され得る。
【0164】
抗体を含む、本発明の選択的結合因子は、治療剤として使用され得る。これらの治療剤は、一般に、アゴニストまたはアンタゴニストであり、これらはそれぞれ、少なくとも1つのFGF−23ポリペプチドの生物学的活性を、増強または減少させるかのいずれかである。1つの実施形態中で、本発明のアンタゴニスト抗体は、FGF−23ポリペプチドに特異的に結合し得、そしてインビボまたはインビトロでFGF−23ポリペプチドの機能活性を阻害または排除し得る抗体またはその結合フラグメントである。好ましい実施形態において、選択的結合因子(例えば、アンタゴニスト抗体)は、少なくとも約50%、および好ましくは、少なくとも約80%までFGF−23ポリペプチドの機能活性を阻害する。別の実施形態において、選択的結合アッセイは、FGF−23ポリペプチド結合パートナー(リガンドまたはレセプター)と相互作用し得る抗FGF−23ポリペプチドであり得、これにより、インビトロまたはインビボにおいてFGF−23ポリペプチド活性を阻害または排除する。アゴニストおよびアンタゴニスト抗FGF−23ポリペプチド抗体を含む、選択的結合因子は、当該分野で周知であるスクリーニングアッセイによって同定される。
【0165】
本発明はまた、FGF−23選択的結合因子(例えば、抗体)を含むキットおよび生物学的サンプル中でFGF−23ポリペプチドレベルを検出するために有用である他の薬剤に関する。このような薬剤として、検出可能な標識、ブロッキング血清、ポジティブおよびネガティブコントロールサンプル、ならびに検出因子が挙げられ得る。
【0166】
(マイクロアレイ)
DNAマイクロアレイ技術は、本発明に従って利用され得ることが、理解される。DNAマイクロアレイは、固体支持体(例えば、ガラス)上に配置された核酸の小型高密度アレイである。このアレイ内の各細胞またはエレメントは、相補的核酸配列(例えば、mRNA)とハイブリダイゼーションするための標識として作用する、単一の核酸種の複数のコピーを含む。DNAマイクロアレイ技術を使用する発現プロファイリングにおいて、mRNAは、最初に細胞サンプルまたは組織サンプルから抽出され、次いで、酵素標識されたcDNAを蛍光標識されたcDNAに変換される。この材料は、マイクロアレイにハイブリダイズされ、そして未結合のcDNAは、洗浄により除去される。次いで、このアレイ上に示された個々の遺伝子の発現は、各々核酸分子を標的するために特異的に結合される、標識されたcDNAの量を定量することによって視覚化される。この方法において、何千もの遺伝子の発現が、生物学的材料の単一サンプルから、ハイスループットの並行様式で定量され得る。
【0167】
このハイスループット発現プロファイリングは、本発明のFGF−23分子に関連して広範な適用を有し、これには、以下が挙げられるが、これに限定されない:治療のための標的として、FGF−23疾患関連遺伝子の同定および妥当性の確認;関連するFGF−23分子およびそのインヒビターの分子毒性;臨床試験のための代替マーカーの集団および産生の階層化;およびハイスループットスクリーニングにおいて、選択化合物の同定を補助することによって、関連するFGF−23ポリペプチド低分子薬物発見を高めること。
【0168】
(化学的誘導体)
FGF−23ポリペプチドの化学的に改変された誘導体は、この開示が、本明細書中に記載された場合、当業者によって調製され得る。FGF−23ポリペプチド誘導体は、このポリペプチドに天然に結合した分子の型または位置のいずれかで、異なる様式で改変される。誘導体は、1以上の天然に結合した化学的な基の欠失によって形成される分子を含み得る。配列番号2または他のFGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドは、1以上のポリマーの共有結合によって改変され得る。例えば、選択されたポリマーは、代表的に水溶性であり、その結果、それが結合するタンパク質は、水性環境(例えば、生理学的な環境)下で沈殿しない。ポリマーの混合物が、適切なポリマーの範囲内に含まれる。好ましくは、目的産物の調製物の治療学的使用のために、このポリマーは、薬学的に受容可能である。
【0169】
このポリマーの各々は、任意の分子量を有し得、そして分枝または非分枝であり得る。このポリマーの各々は、代表的に、約2kDaと約100kDaとの間の平均分子量を有する(この用語「約(およそ)」は、水溶性ポリマーの調製の際に、いくつかの分子が示された分子量より多く、いくつかは少ない分子量を有することを示す)。各ポリマーの平均分子量は、好ましくは、約5kDaと約50kDaの間、より好ましくは、約12kDaと約40kDaとの間、そして最も好ましくは、約20kDaと約35Daとの間である。
【0170】
適切な水溶性ポリマーまたはその混合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:N−連結またはO−連結炭水化物、糖、リン酸、ポリエチレン、グリコール(PEG)(これは、モノ−(C−C10)、アルコキシ−、またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールを含むタンパク質を誘導するために使用されたPEGの形態を含む)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン(例えば、約6kDの低分子量デキストラン)、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、およびビニルアルコール。共有結合したFGF−23ポリペプチドマルチマーを調製するために使用され得る、二官能性架橋分子もまた、本発明に包括される。
【0171】
一般に、化学的誘導は、活性化したポリマー分子とタンパク質を反応させるために使用される任意の適切な条件下で、実施され得る。ポリペプチドの化学的誘導体を調製するための方法は、一般的に以下の工程を包含する:(a)配列番号2または他のFGF−23ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドが、1以上のポリマー分子に結合する条件下で、活性化したポリマー分子(例えば、ポリマー分子の反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とポリペプチドを反応させる工程、ならびに(b)反応生成物を得る工程。最適の反応条件は、既知のパラメータおよび所望の結果に基づいて決定される。例えば、ポリマー分子のタンパク質に対する比が大きくなるほど、結合したポリマー分子の割合も大きくなる。1つの実施形態において、FGF−23ポリペプチド誘導体は、アミノ末端の単一ポリマー分子部分を有し得る。例えば、米国特許第5,234,784号を参照のこと。
【0172】
ポリペプチドのペグ化(pegylation)は、当該分野で公知の任意のペグ化反応を使用して特異的に実施され得る。このような反応は、例えば、以下の参考文献に記載されている:Francisら,1992,Focus on Growth Factors 3:4−10;欧州特許第0154316号および同第0401384号;ならびに米国特許第4,179,337号。例えば、ペグ化は、本明細書中に記載されるように、反応性ポリエチレングリコール分子(または、類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施され得る。アシル化反応のために、選択されたポリマーは、単一の反応性エステル基を有するべきである。還元的アルキル化について、選択されたポリマーは、単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。反応性アルデヒドは、例えば、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドであり、これは、水溶性、またはモノC−C10アルコキシもしくはそのアリールオキシ誘導体である(米国特許第5,252,714号を参照のこと)。
【0173】
別の実施形態のおいて、FGF−23ポリペプチドは、ビオチンに化学的に結合され得る。ビオチン/FGF−23ポリペプチド分子は、次にアビジンに結合し得、4価のアビジン/ビオチン/FGF−23ポリペプチド分子を生じる。FGF−23ポリペプチドはまた、ジニトロフェノール(DNP)またはトリニトロフェノール(TNP)に共有結合され得、そして生じる結合体は、抗DNPまたは抗TNP−IgMで沈殿して、10価を有する10量体の結合体を形成する。
【0174】
一般的に、本願発明のFGF−23ポリペプチド誘導体の投与によって、軽減され得るかまたは調節され得る状態としては、FGF−23ポリペプチドについて本明細書中に記載される状態が挙げられる。しかし、本明細書中で開示されるFGF−23ポリペプチド誘導体は、さらなる活性、増強されたかまたは減少した生物学的活性あるいは他の特性(例えば、非誘導化分子と比較して増加または減少した半減期)を有し得る。
【0175】
(遺伝子操作した非ヒト動物)
マウス、ラット、または他のげっ歯類;ウサギ、ヤギ、ヒツジ、または他の家畜のような非ヒト動物が、さらに本発明の範囲内に含まれ、ここで、ネイティブなFGF−23ポリペプチドをコードする遺伝子は分裂(すなわち「ノックアウト」)され、その結果FGF−23ポリペプチドの発現レベルは、有意に減少するか、または完全に破壊される。このような動物は、米国特許第5,557,032号に記載されるような技術および方法を使用して調製され得る。
【0176】
本発明は、マウス、ラット、または他のげっ歯類;ウサギ、ヤギ、ヒツジ、または他の家畜のような非ヒト動物をさらに含み、この動物のFGF−23遺伝子のなネイティブな形態または異種FGF−23遺伝子のいずれかが、動物によって過剰発現され、これによって、「トランスジェニック」動物を作製する。このようなトランスジェニック動物は、米国特許第5,489,743号およびPCT公開番号WO94/28122号に記載されるような周知の方法を使用して調製され得る。
【0177】
本発明は、非ヒト動物をさらに含み、ここで、本発明の1以上のFGF−23ポリペプチドのプロモーターは、(例えば、相同的な組換え方法を使用することによって)活性化されるか、または不活化されるかのいずれかであり、1以上のネイティブなFGF−23ポリペプチドの発現のレベルを改変する。
【0178】
これらの非ヒト動物は、薬物候補物スクリーニングのために使用され得る。このようなスクリーニングにおいて、動物での薬物候補物の影響が測定され得る。例えば、薬物候補物は、FGF−23遺伝子の発現を減少または増加させ得る。特定の実施形態において、産生されるFGF−23ポリペプチドの量は、動物を薬物候補物に曝露した後に測定され得る。さらに、特定の実施形態において、動物での薬物候補物の実際の影響を検出し得る。例えば、特定の遺伝子の過剰発現により、疾患状態または病理学的状態を生じるか、またはそれらに関連する。このような場合において、遺伝子の発現を減少させるための薬物候補物の能力または病理学的状態を防止または阻害するための能力を試験し得る。別の例において、ポリペプチドのフラグメントのような、特定の代謝産物の産生により、疾患状態または病理学的状態を生じるか、またはそれらに関連する。このような場合において、このような代謝産物の産生を減少させるための薬物候補物の能力または病理学的状態を防止または阻害するための能力を試験し得る。
【0179】
(FGF−23ポリペプチド活性の他の修飾因子についてのアッセイ)
いくつかの状態において、FGF−23ポリペプチドの活性の修飾因子である分子(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を同定することが所望され得る。FGF−23ポリペプチドを調節する天然または合成分子は、本明細書中に記載されるように、1以上のスクリーニングアッセイを使用して同定され得る。このような分子は、エキソビボ様式またはインビボ様式のいずれかで、注射、または経口送達、移植デバイスなどによって投与され得る。
【0180】
「試験分子」とは、FGF−23ポリペプチドの活性を調節する(すなわち、増加または減少させる)ための能力について評価する分子を言う。最も一般的に、試験分子は、FGF−23ポリペプチドと直接的に相互作用する。しかし、試験分子はまた、例えば、FGF−23遺伝子発現に影響を与えることによって、またはFGF−23ポリペプチド結合パートナー(例えば、レセプターまたはリガンド)に結合することによって、FGF−23ポリペプチド活性を間接的に調節し得ることもまた意図される。1つの実施形態において、試験分子は、少なくとも約10−6M、好ましくは、約10−8M、より好ましくは、約10−9M、そしてさらにより好ましくは約10−10Mの親和性定数(affinity constant)でFGF−23ポリペプチドと結合する。
【0181】
FGF−23ポリペプチドと相互作用する化合物を同定するための方法は、本発明によって包含される。特定の実施形態において、FGF−23ポリペプチドは、試験分子とFGF−23ポリペプチドとの相互作用が可能な条件下で、試験分子と共にインキュベートされ、そして相互作用の程度が測定される。試験分子は、実質的に精製された形態または粗製の混合物中でスクリーニングされ得る。
【0182】
特定の実施形態において、FGF−23ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニストは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、または低分子量の分子であり得、これは、FGF−23ポリペプチドと相互作用して、その活性を調節する。FGF−23ポリペプチドの発現を調節する分子は、FGF−23ポリペプチドをコードする核酸と相補的であるか、またはFGF−23ポリペプチドの発現を指向または制御する核酸配列に対して相補的である核酸分子、および発現のアンチセンス制御因子として作用する核酸分子を含む。
【0183】
FGF−23ポリペプチドと相互作用する場合に、一旦、試験化合物が、同定されると、この分子は、FGF−23ポリペプチド活性を増加または減少させる能力についてさらに評価され得る。試験分子とFGF−23ポリペプチドとの相互作用の測定は、いくつかの形式で実施され得、これには、細胞ベースの結合アッセイ、膜結合アッセイ、液相アッセイ、および免疫アッセイが挙げられる。一般に、試験分子は、特定の期間、FGF−23ポリペプチドと共にインキュベートされ、そしてFGF−23ポリペプチド活性が、生物学的活性を測定するために1以上のアッセイによって決定される。
【0184】
試験分子とFGF−23ポリペプチドとの相互作用はまた、免疫アッセイにおいて、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用して直接的にアッセイされ得る。あるいは、本明細書中に記載されるようなエピトープタグを含むFGF−23ポリペプチドの改変形態は、溶液および免疫アッセイ中で使用され得る。
【0185】
FGF−23ポリペプチドが、結合パートナー(例えば、レセプターまたはリガンド)との相互作用を介して、生物学的活性を示す場合において、種々のインビトロアッセイが、対応する結合パートナー(例えば、選択的結合因子、レセプター、またはリガンド)へのFGF−23ポリペプチドの結合を測定するために使用され得る。これらのアッセイは、結合パートナーに対するFGF−23ポリペプチドの結合の速度および/または程度を増加または減少させる能力について、試験分子をスクリーニングするために使用され得る。1つのアッセイにおいて、FGF−23ポリペプチドは、マイクロ力価プレートのウェル中で免疫化される。次いで、放射標識したFGF−23ポリペプチド結合パートナー(例えば、ヨウ素化したFGF−23ポリペプチド結合パートナー)および試験化合物は、このウェルに、1つづつ(いずれかの順序で)または同時にのいずれかで添加され得る。インキュベーション後に、このウェルを洗浄し、そしてシンチレーション計数器を使用して、放射活性を計数し、結合パートナーがFGF−23ポリペプチドに結合する程度を決定する。代表的に、分子は、濃度範囲にわたって試験され、そして試験アッセイの1以上のエレメントを欠く一連のコントロールウェルは、結果の評価の正確性のために使用され得る。この方法の代替は、タンパク質の「位置」を逆にする工程を逆にする工程(すなわち、マイクロ力価プレートウェルに対してFGF−23ポリペプチド結合パートナーを免疫化し、試験分子および放射標識したFGF−23ポリペプチドをインキュベートし、そしてFGF−23ポリペプチド結合の程度を決定する工程)を包含する。例えば、Current Protocols in Molecular Biology、第18章(Ausubelら編、Green Publishers Inc.ならびにWileyおよびSons1995)を参照のこと。
【0186】
放射性標識に対する代替として、FGF−23ポリペプチドまたはその結合パートナーは、ビオチンと結合体化され得、そしてビオチン化されたタンパク質の存在が、次いで、酵素(例えば、わさびペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP))(これらは、比色定量的に検出される)に結合したストレプトアビジンを使用して検出され得るか、またはストレプトアビジンの蛍光タグ化によって検出され得る。FGF−23ポリペプチドまたはFGF−23ポリペプチド結合パートナー(これらは、ビオチンに結合されている)に対する抗体はまた、APまたはHRPに連結した酵素連結ストレプトアビジンとの複合体のインキュベーションに続いて、検出の目的のために使用され得る。
【0187】
FGF−23ポリペプチドまたはFGF−23ポリペプチド結合パートナーは、アガロースビーズ、アクリルビーズ、または他の型のこのような不活性な固体相基材への付着によって固定化され得る。基材−タンパク質複合体は、相補タンパク質および試験化合物を含む溶液内に配置され得る。インキュベーション後、これらのビーズは、遠心分離によって沈澱され得、そしてFGF−23ポリペプチドとその結合パートナーとの間の結合の量が、本明細書中に記載の方法を使用して評価され得る。あるいは、基材−タンパク質複合体は、カラムを通過する、試験分子および相補タンパク質を用いてカラム内に固定化され得る。FGF−23ポリペプチドトその結合パートナーとの間の複合体の形成が、次いで、本明細書中に記載の技術(例えば、放射性標識または抗体結合)のいずれかを使用して評価され得る。
【0188】
FGF−23ポリペプチド結合タンパク質とFGF−23ポリペプチド結合パートナーとの間の複合体の形成を増加または減少させる試験分子を同定するために有用な別のインビトロアッセイは、表面プラズモン共鳴検出器システム(例えば、BIAcoreアッセイシステム(Pharmacia,Piscataway,NJ))である。BIAcoreシステムは、製造業者によって特定されるように利用される。このアッセイは、本質的に、FGF−23ポリペプチドまたはFGF−23ポリペプチド結合パートナーのいずれかの、デキストランでコートされたセンサーチップ(これは、検出器に存在する)への共有結合を含む。次いで、この試験化合物および他の相補タンパク質が、同時にかまたは連続的にかのいずれかで、センサーチップを含むチャンバーに注入され得る。結合する相補タンパク質の量は、センサーチップのデキストランコート側面に物理的に関係する分子の質量の変化に基づいて評価され得、この分子の質量の変化は、検出器システムによって測定される。
【0189】
いくつかの場合において、2つ以上の試験化合物を一緒に、FGF−23ポリペプチドとFGF−23ポリペプチド結合パートナーとの間の複合体の形成を増加または減少させるそれらの能力について評価することが所望され得る。これらの場合において、本明細書中に記載のアッセイは、第一の試験化合物と同時にか、またはそれに続いてのいずれかで、このようなさらなる試験化合物を添加することによって容易に改変され得る。このアッセイにおける工程の残りは、本明細書中に記載される。
【0190】
インビトロアッセイ(例えば、本明細書中に記載されるもの)は、FGF−23ポリペプチドとFGF−23ポリペプチド結合パートナーとの間の複合体の形成に対する効果について、多数の化合物をスクリーニングするために、有利に使用され得る。これらのアッセイは、ファージディスプレイ、合成ペプチド、および化学合成ライブラリーにおいて生成された化合物をスクリーニングするために、自動化され得る。
【0191】
FGF−23ポリペプチドとFGF−23ポリペプチド結合パートナーとの間の複合体の形成を増加または減少される化合物はまた、FGF−23ポリペプチドまたはFGF−23ポリペプチド結合パートナーFのいずれかを発現する細胞および細胞系統を使用して、細胞培養物においてスクリーニングされ得る。細胞および細胞系統は、任意の哺乳動物から得られ得るが、好ましくは、ヒト、または他の霊長類、イヌ類またはげっ歯類の供給源由来である。FGF−23ポリペプチドの、FGF−23ポリペプチド結合パートナーを発現する細胞への、その表面での結合は、試験化合物の存在または非存在下で評価され、そして結合の程度が、例えば、FGF−23ポリペプチド結合パートナーに対するビオチン化抗体を使用するフローサイトメトリーによって決定され得る。細胞培養アッセイは、本明細書中に記載されるタンパク質結合アッセイにおいて、陽性であるとスコア付けされる化合物をさらに評価するために有利に使用され得る。
【0192】
細胞培養物はまた、薬物候補の影響をスクリーニングするために使用され得る。例えば、薬物候補は、FGF−23遺伝子の発現を減少または増加させ得る。特定の実施形態において、生成されるFGF−23ポリペプチドまたはFGF−23ポリペプチドフラグメントの量は、細胞培養物の薬物候補への曝露の後に測定され得る。特定の実施形態において、細胞培養物への薬物候補の実際の影響が検出され得る。例えば、特定の遺伝子の過剰発現は、細胞培養物への特定の影響を有し得る。このような場合に、遺伝子の発現を増加または減少させる薬物候補の能力、または細胞培養物に対する特定の影響を予防または阻害するその能力が試験され得る。他の例において、特定の代謝産物(例えば、ポリペプチドのフラグメントなど)の生成が、疾患または病的状態を生じ得るか、またはそれらと関連し得る。このような場合、細胞培養物におけるこのような代謝産物の生成を減少する薬物候補の能力が試験され得る。
【0193】
(内部移行タンパク質)
tatタンパク質配列(HIV由来)が、タンパク質を細胞内に内部移行させるために、使用され得る。例えば、Falwellら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:664−68を参照のこと。例えば、HIV tatタンパク質の11アミノ酸の配列(Y−G−R−K−K−R−R−Q−R−R−R;配列番号3)(「タンパク質形質導入ドメイン」、またはTAT PDTと称される)は、細胞の細胞質膜および核膜を横切る送達を媒介するとして記載されている。Schwarzeら,1999,Science 285:1569−72;およびNagaharaら,1998,Nat.Med.4:1449−52を参照のこと。これらの手順において、FITC構築物(FITC標識G−G−G−G−Y−G−R−K−K−R−R−Q−R−R−R;配列番号4)(これは、腹腔内投与に続いて組織を貫通する)が調製され、そしてこのような構築物の細胞への結合が、蛍光細胞分析分離(FACS)分析によって検出される。tat−β−gal融合タンパク質で処置された細胞は、β−gal活性を示す。注入に続いて、このような構築物の発現が、多くの組織(肝臓、腎臓、肺、心臓および脳組織)において検出され得る。このような構築物は、細胞に入るためにある程度の変性を受け、そしてそれ自体、細胞内への移入に続いて、再折り畳みを必要とし得ると考えられる。
【0194】
従って、tatタンパク質配列は、所望のポリペプチドを細胞に内部移入させるために使用され得ることが理解される。例えば、tatタンパク質配列を使用して、FGF−23アンタゴニスト(例えば、抗IL−lra−R選択的結合因子、低分子、可溶性レセプター、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、FGF−23分子の活性を阻害するために、細胞内投与され得る。本明細書中で使用される場合、用語「FGF−23分子」は、本明細書中に記載されるような、FGF−23核酸分子およびFGF−23ポリペプチドの両方をいう。所望ならば、FGF−23タンパク質自体はまた、これらの手順を使用して、細胞に内部投与され得る。Straus,1999,Science 285:1466−67をまた参照のこと。
【0195】
(FGF−23ポリペプチドを使用する細胞供給源の同定)
本発明の特定の実施形態に従って、FGF−23ポリペプチドと関連する特定の細胞型の供給源を決定することを可能することが有用であり得る。例えば、適切な治療を選択する際の補助として疾患または病的状態の起源を決定することが有用であり得る。特定に実施形態において、FGF−23ポリペプチドをコードする核酸は、プローブとして使用されて、このようなプローブを用いて細胞の核酸をスクリーニングすることによって、本明細書中に記載の細胞を同定し得る。他の実施形態において、抗FGF−23ポリペプチド抗体を使用して、細胞におけるFGF−23ポリペプチドの存在について試験し得、従って、このような細胞が本明細書中に記載される型の細胞か否かを決定し得る。
【0196】
(FGF−23ポリペプチド組成物および投与)
治療組成物は、本発明の範囲内である。このようなFGF−23ポリペプチド薬学的組成物は、治療有効量のFGF−23ポリペプチドまたはFGF−23核酸分子を、投与の様式と適合するように選択された薬学的にまたは生理学的に受容可能な処方薬剤との混合物中に、含み得る。薬学的組成物は、治療有効量の1以上のFGF−23ポリペプチド選択的結合因子を、投与の様式と適合するように選択された薬学的にまたは生理学的に受容可能な処方薬剤との混合物中に、含み得る。
【0197】
受容可能な処方物材料は、好ましくは、使用される投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。
【0198】
薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、清澄性、色、等張性、におい、無菌性、安定性、解離もしくは放出の速度、吸着、または透過を改変、維持または保存するための処方物材料を含み得る。適切な処方物材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン)、抗菌剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム(sodium hydrogen−sulfite))、緩衝液(例えば、ホウ酸塩、炭酸水素塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸)、バルク剤(例えば、マンニトールまたはグリシン)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、複合体化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、増量剤、単糖類、二糖類、および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン)、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン)、着色剤、芳香剤および希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(例えば、ナトリウム)、保存剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素)、溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)、糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、懸濁剤、界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック(pluronic);PEG;ソルビタンエステル;ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80);トリトン;トロメタミン;レシチン;コレステロールまたはチロキサポール(tyloxapal))、安定性増強剤(例えば、スクロースまたはソルビトール)、張度増強剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、またはマンニトール、ソルビトール)、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/または薬学的なアジュバント。Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版,A.R.Gennaro編,Mack Publishing Company 1990を参照のこと。
【0199】
最適な薬学的組成物は、当業者によって、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に依存して決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出を参照のこと。このような組成物は、FGF−23分子の、物理的な状態、安定性、インビボ放出の速度、およびインビボクリアランスの速度に影響し得る。
【0200】
薬学的組成物における主要なビヒクルまたはキャリアは、自然状態では、水性または非水性のいずれかであり得る。例えば、注入のための適切なビヒクルまたはキャリアは、水、生理食塩水溶液、または人工脳脊髄液であり得、非経口投与のための組成物において一般的な他の材料で補充され得る。中性の緩衝化生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。他の例示的な薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、これはさらに、ソルビトールまたは適切な置換物を含み得る。本発明の1つの実施形態において、FGF−23ポリペプチド組成物は、所望の程度の純度を有する選択された組成物を、任意の処方薬剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出)と混合することによって、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形態で、保存のために調製され得る。さらに、FGF−23ポリペプチド産物は、スクロースのような適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として処方され得る。
【0201】
このFGF−23ポリペプチドの薬学的組成物は、非経口送達のために選択され得る。あるいは、これらの組成物は、吸入または消化管を介する送達(例えば、経口)のために、選択され得る。このような薬学的に受容可能な組成物の調製は、当該分野の技術の範囲内にある。
【0202】
処方成分が、投与の部位に受容可能な濃度で存在する。例えば、緩衝液は、生理学的pHまたはわずかにより低いpH(典型的に、約5〜約8のpH範囲内)にこの組成物を維持するために使用される。
【0203】
非経口投与が意図される場合、本発明における使用のための治療組成物は、薬学的に受容可能なビヒクルに所望のFGF−23分子を含む、発熱物質を含まない非経口的に受容可能な水溶液の形態であり得る。非経口注入のために特に適切なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、ここで、FGF−23分子は、滅菌の等張溶液として処方され、適切に保存される。なお別の調製は、所望の分子と、薬剤(例えば、注入可能なミクロスフェア、生体内腐食可能(bio−erodible)粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソーム)との処方物に関し得、これは、次いで蓄積注射を介して送達され得る産物の制御放出または持続放出を提供する。ヒアルロン酸もまた使用され得、そしてこれは、循環における持続時間を促進する効果を有し得る。所望の分子の導入のための他の適切な手段は、移植可能な薬物送達デバイスを含む。
【0204】
1つの実施形態において、薬学的組成物は、吸入のために処方され得る。例えば、FGF−23ポリペプチドは、吸入のための乾燥粉末として処方され得る。FGF−23ポリペプチドまたは核酸分子の吸入溶液はまた、エアロゾル送達のための噴霧剤と共に処方され得る。なお別の実施形態において、溶液は、噴霧され得る。肺投与が、PCT公開番号WO94/20069にさらに記載され、これは化学的に改変されたタンパク質の肺送達を記載する。
【0205】
特定の処方物が、経口投与され得ることもまた意図される。本発明の1つの実施形態において、このよう様式で投与されるFGF−23ポリペプチドが、固体投薬形態(例えば、錠剤またはカプセル)の調合において慣用的に使用されるキャリアを伴うか、または伴わず処方され得る。例えば、カプセルは、バイオアベイラビリティーが最大化され、そして前全身的分解(pre−systemic degradation)が最小化される場合に胃腸管内の時点で処方物の活性部分を放出するように設計され得る。さらなる薬剤が、FGF−23ポリペプチドの吸収を容易にするために含まれ得る。希釈剤、芳香剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた使用され得る。
【0206】
別の薬学的組成物は、錠剤の製造に適切な非毒性賦形剤との混合物中に、有効量のFGF−23ポリペプチドを含み得る。錠剤を滅菌水または別の適切なビヒクルに溶解することによって、溶液が、単位用量形態で調製され得る。適切な賦形剤は以下を含むが、これらに限定されない:不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム、ラクトース、あるいはリン酸カルシウム);または結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);あるいは潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)。
【0207】
さらなるFGF−23ポリペプチドの薬学的組成物は、当業者に明らかであり、持続送達処方物または制御送達処方物中にFGF−23ポリペプチドを含む処方物を含む。種々の他の持続送達手段または制御送達手段(例えば、リポソームキャリア、生体内腐食可能な微粒子あるいは多孔性ビーズおよび蓄積注射)を処方するための技術はまた、当業者に公知である。例えば、PCT/US93/00829(これは、薬学的組成物の送達のための多孔性ポリマー性微粒子の制御放出を記載する)を参照のこと。
【0208】
徐放性調製物のさらなる例としては、成形された物品の形態(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)の半透過性ポリマーマトリクスを含む。徐放性マトリクスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許第058481号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとのコポリマー(Sidmanら,1983,Biopolymers 22:547−56)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレンビニルアセテート(Langerら,前出)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133988号)が挙げられ得る。徐放性組成物はまた、リポソームを含み得、これは、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製され得る。例えば、Eppsteinら,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−92;および欧州特許第036676号、同第088046号、および同第143949号を参照のこと。
【0209】
インビボ投与のために使用されるFGF−23の薬学的組成物は、代表的に無菌でなければならない。このことは、滅菌濾過膜を介する濾過によって達成され得る。組成物が、凍結乾燥される場合、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥および再構築の前または後のいずれかで実施され得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥された形態または溶液で保存され得る。さらに、非経口組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器(例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアル)内に配置される。
【0210】
一旦、薬学的組成物が処方されると、それは、滅菌バイアル中に溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、または乾燥粉末または凍結乾燥粉末として保存され得る。このような処方物は、すぐに使用できる形態または投与の前に再構築を必要とする形態(例えば、凍結乾燥された)のいずれかで保存され得る。
【0211】
特定の実施形態において、本発明は、単回用量投与単位を生成するためのキットに関する。このキットは、各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性処方物を有する第二の容器の両方を含み得る。本発明の範囲内には、単室および多室の予め充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含むキットもまた含まれる。
【0212】
治療的に使用されるFGF−23の薬学的組成物の有効量は、例えば、治療の内容および目的に依存する。従って、処置のための適切な投薬レベルが、部分的に、送達される分子、FGF−23分子が使用される適応症(indication)、投与の経路、および患者のサイズ(体重、体表面、または器官のサイズ)および状態(年齢および全身的な健康状態)に依存して変化することが、当業者に理解される。従って、臨床家は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定(titer)し得、投与経路を改変し得る。代表的な投薬量は、上記の因子に依存して、約0.1μg/kg〜約100mg/kgまたはそれより多い範囲であり得る。他の実施形態において、投薬量は、0.1μg/kg〜約100mg/kg;または1μg/kg〜約100mg/kg;または5μg/kg〜約100mg/kgの範囲であり得る。
【0213】
投薬の頻度は、使用される処方物中でのFGF−23分子の薬物動態学的パラメーターに依存する。典型的に、臨床家は、所望の効果を達成する投薬量に達するまで組成物を投与する。従って、組成物は、長期にわたる単回用量として、2以上の用量(これは、同量の所望の分子を含んでも、含まなくてもよい)として、あるいは移植デバイスまたはカテーテルを介する連続的な注入として、投与され得る。適切な投薬量のさらなる改良は、当業者によって慣用的になされ、そして当業者によって慣用的に実施される作業の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量−応答データの使用を介して確認され得る。
【0214】
薬学的組成物の投与の経路は、以下のような公知の方法に従う:例えば、経口的に;静脈内、腹腔内、大脳内(実質内の)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内の経路による注入を介して;徐放系によって;または移植デバイスによって。所望される場合、これらの組成物は、ボーラス注射によって投与され得るか、または注入によって連続的に投与され得るか、または移植デバイスによって投与され得る。
【0215】
あるいはまたはさらに、組成物は、所望の分子が吸収されるかまたはカプセル化される膜、スポンジ、または他の適切な材料の移植を介して局所的に投与され得る。移植デバイスが使用される場合、このデバイスは、任意の適切な組織または器官に移植され得、そして所望の分子の送達は、拡散、時限放出ボーラスまたは連続的な投与を介し得る。
【0216】
いくつかの場合において、エキソビボ様式において、FGF−23ポリペプチドの薬学的組成物を使用することが所望され得る。このような例において、患者から取り出された細胞、組織、または器官は、これらの細胞、組織、または器官が引き続いて患者に移植して戻された後に、FGF−23ポリペプチド薬学的組成物に曝露される。
【0217】
他の場合において、FGF−23ポリペプチドは、本明細書中に記載されるような方法を使用して、遺伝的に操作されてFGF−23ポリペプチドを発現および分泌する特定の細胞を移植することによって送達され得る。このような細胞は、動物またはヒト細胞であり得、そして自己、異種(heterologous)、または異種間(xenogeneic)であり得る。必要に応じて、細胞は、不死化され得る。免疫学的応答の機会を減少するために、細胞は、周囲の組織の浸潤を回避するために、カプセル化され得る。カプセル化材料は、典型的に、生体適合性の半透性ポリマー性包囲物または膜であり、これらは、タンパク質産物の放出を可能にするが、患者の免疫系または周囲の組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防止する。
【0218】
本明細書中において議論されるように、単離された細胞集団(例えば、幹細胞、リンパ球、赤血球、軟骨細胞、ニューロンなど)を1つ以上のFGF−23ポリペプチドで処理することが、望ましくあり得る。これは、細胞膜に対して透過性の形態である場合には、単離された細胞をこのポリペプチドに直接曝露することによって達成され得る。
【0219】
本発明のさらなる実施形態は、治療ポリペプチドのインビトロ産生と、遺伝子治療または細胞治療による治療ポリペプチドの産生および送達との両方のための、細胞および方法(例えば、相同組換えおよび/または他の組換え産生方法)に関する。相同組換えおよび他の組換えの方法を使用して、通常は転写的にサイレントなFGF−23遺伝子(すなわち、過少発現される遺伝子)を含む細胞を改変し得、これによって、治療有効量のFGF−23ポリペプチドを発現する細胞を産生し得る。
【0220】
相同組換えは、転写的に活性な遺伝子における変異を誘導または正すために遺伝子を標的化するために元々開発された技術である(Kucherlapti,Prog.in Nucl.Acid Res.and Mol.Biol.,36:301,1989)。基本的技術は、特定の変異を、哺乳動物ゲノムの特定の領域へ導入するための方法として(Thomasら、Cell,44:419−428,1986;ThomasおよびCapecchi,Cell,51:503−512,1987;Doetschmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.,85:8583−8587,1988)、または欠損遺伝子内の特定の変異を正すための方法として(Doetschmanら,Nature,330:576−578,1987)開発された。例示的な相同組換え技術は、米国特許第5,272,071号、欧州特許番号第913051号、同第505500号;PCT/US90/07642、国際公開第WO 91/09955に記載される。
【0221】
相同組換えを通して、ゲノム中に挿入されるべきDNA配列は、標的化DNAにこのDNA配列を結合することによって目的の遺伝子の特定の領域に指向され得る。標的化DNAは、ゲノムDNA領域に相補的である(相同である)ヌクレオチド配列である。ゲノムの特定の領域に相補的である、標的化DNAの小片は、DNA複製プロセスの間に親鎖と接触させられる。ハイブリダイズする、それゆえ、共有された相同領域を通して内因性DNAの他の小片と組み換わることは、細胞内に挿入されたDNAの一般的な特性である。この相補鎖が、変異または異なる配列またはさらなるヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに結合された場合、これもまた、新たに合成された鎖に組換えの結果として組み込まれる。プルーフリーディング機能の結果として、新たなDNA配列が、テンプレートとして役立つことが可能である。従って、移入されたDNAは、ゲノム内に組み込まれる。
【0222】
標的化DNAのこれらの小片に結合されるのは、FGF−23ポリペプチドと相互作用し得るかまたはFGF−23ポリペプチドの発現を制御し得る、DNA領域(例えば、隣接配列)である。例えば、プロモーター/エンハンサーエレメント、サプレッサーまたは外因性転写調節エレメントは、所望のFGF−23ポリペプチドをコードするDNAの転写に影響を与えるに十分に近位でかつ十分な方向で、意図される宿主細胞のゲノムに挿入される。制御エレメントは、宿主細胞ゲノム中に存在する一部のDNAを制御する。従って、所望のFGF−23ポリペプチドの発現は、FGF−23遺伝子自体をコードするDNAのトランスフェクションによってではなく、FGF−23遺伝子の転写について認識可能なシグナルを、内因性遺伝子配列に提供するDNA調節セグメントと結合された標的化DNA(目的の内因性遺伝子と相同な領域を含む)の使用によって達成され得る。
【0223】
例示的な方法では、細胞内の所望の標的化された遺伝子(すなわち、所望の内因性細胞性遺伝子)の発現は、少なくとも調節配列、エキソンおよびスプライスドナー部位を含むDNAの導入によって、予め選択された部位での細胞ゲノムへの相同組換えを介して、変更される。これらの成分は、事実上、これらの成分が、新たな転写単位(ここでは、DNA構築物中に存在する調節配列、エキソンおよびスプライスドナー部位が内因性遺伝子に作動的に連結される)の産生をもたらす様式で染色体(ゲノム)DNA中に導入される。染色体DNAへのこれらの成分の導入の結果として、所望の内因性遺伝子の発現が変更される。
【0224】
変更された遺伝子発現は、本明細書中に記載されるように、得られたときの細胞において通常サイレントな(発現されない)遺伝子を活性化すること(または発現されるのを引き起こすこと)、ならびに得られたときの細胞において生理学的に重要なレベルで発現されない遺伝子の発現を増大させることを包含する。この実施形態はさらに、得られたときの細胞において生じる調節または誘導のパターンとは異なるように調節または誘導のパターンを変更すること、ならびに得られたときの細胞において発現される遺伝子の発現を減少させること(除去することを含む)を包含する。
【0225】
相同組換えを用いて、細胞の内因性FGF−23遺伝子からのFGF−23ポリペプチド産生を増大させ得るかまたは生じさせ得る1つの方法は、第1に、相同組換えを用いて部位特異的組換え系(例えば、Cre/loxP、FLP/FRT)(Sauer,Current Opinion In Biotechnology,5:521−527,1994;およびSauer,Methods Enzymology,225:890−900,1993)由来の組換え配列を、細胞のゲノムの内因性FGF−23ポリペプチドコード領域の上流に(すなわち、5’に)配置することを含む。ゲノムのFGF−23ポリペプチドコード領域のすぐ上流に配置された部位に相同な組換え部位を含むプラスミドは、改変された細胞株に、適切なレコンビナーゼ酵素を伴って導入される。このレコンビナーゼ酵素は、このプラスミドが、プラスミドの組換え部位を介して、その細胞株においてゲノムのFGF−23ポリペプチドコード領域のすぐ上流に位置する組換え部位に組み込まれることを引き起こす(BaubonisおよびSauer,Nucleic Acids Res.,21:2025−2029,1993;およびO’Gormanら,Science,251:1351−1355,1991)。転写を増大させることが公知の任意の隣接配列(例えば、エンハンサー/プロモーター、イントロンまたは翻訳エンハンサー)は、このプラスミド内に適切に配置された場合、新たなまたは改変された転写単位を作製するような様式で組み込まれて、細胞の内因性FGF−23遺伝子からのデノボFGF−23ポリペプチド産生または増大したFGF−23ポリペプチド産生をもたらす。
【0226】
部位特異的な組換え配列が、その細胞の内因性ゲノムFGF−23ポリペプチドコード領域のすぐ上流に位置する細胞株を使用するためのさらなる方法は、相同組換えを使用して、第2の組換え部位を、この細胞株のゲノムの他の箇所に導入することである。次いで、適切なレコンビナーゼ酵素が、2組換え部位細胞株に導入されて、この細胞の内因性FGF−23遺伝子からのデノボかまたは増加したFGF−23ポリペプチド産生を生じる、新たな転写ユニットまたは改変された転写ユニットを作製する、組換え事象(欠失、逆位、または転座)を引き起こす(Sauer,Current Opinion In Biotechnology,5;521−27,1994;およびSauer,Methods In Enzymology,225:890−900,1993)。
【0227】
細胞の内因性FGF−23遺伝子からのFGF−23ポリペプチドの発現を増加させるかまたは引き起こすための、さらなるアプローチは、細胞の内因性FGF−23遺伝子からの、デノボでかまたは増加したFGF−23ポリペプチド産生を生じる様式で、遺伝子の発現を増加させるかもしくは引き起こす(例えば、転写因子)こと、および/または遺伝子の発現を減少させる(例えば、転写リプレッサー)ことを包含する。この方法は、天然には存在しないポリペプチド(例えば、転写因子ドメインに融合した部位特異的DNA結合ドメインを含むポリペプチド)を、細胞の内因性FGF−23遺伝子からのデノボでかまたは増加したFGF−23ポリペプチド産生が生じるように、細胞に導入することを包含する。
【0228】
本発明は、さらに、標的遺伝子の発現を変化させる方法において有用な、DNA構築物に関する。特定の実施形態においては、例示的なDNA構築物は、以下を含む:(a)1つ以上の標的化配列;(b)調節配列;(c)エキソン;および(d)非対性スプライスドナー部位。このDNA構築物における標的化配列は、細胞内の標的遺伝子へのエレメント(a)〜(d)の取り込みを、エレメント(b)〜(d)が内因性標的遺伝子の配列に作動可能に連結するよう指向する。別の実施形態においては、DNA構築物は、以下を含む:(a)1つ以上の標的化配列、(b)調節配列、(c)エキソン、(d)スプライスドナー部位、(e)イントロン、および(f)スプライスアクセプター部位;ここで、この標的化配列は、エレメント(a)〜(f)の取り込みを、(b)〜(f)のエレメントが内因性遺伝子に作動可能に連結するよう指向する。この標的化配列は、細胞染色体DNAの、相同組換えが起こる予め選択された部位に相同である。この構築物において、エキソンは、一般に、調節配列の3’側であり、そしてスプライスドナー部位は、エキソンの3’側である。
【0229】
特定の遺伝子の配列(例えば、本明細書中に提示されるFGF−23の核酸配列)が既知である場合には、この遺伝子の選択された領域に相補的なDNA片が、例えば、ネイティブなDNAの、目的の領域に結合している特異的な認識部位における適切な制限によって、合成され得るか、または他の様式で得られ得る。この片は、細胞への取り込みの際の標的化配列として働き、そしてゲノム内のその相同領域とハイブリダイズする。このハイブリダイゼーションが、DNA複製の間に起こる場合には、このDNA片、およびこのDNA片に付着した任意のさらなる配列が、岡崎フラグメントとして働き、そして新に合成されたDNAの娘鎖に取り込まれる。従って、本発明は、FGF−23ポリペプチドをコードするヌクレオチドを包含し、このヌクレオチドは、標的化配列として使用され得る。
【0230】
FGF−23ポリペプチド細胞治療(例えば、FGF−23ポリペプチドを産生する細胞の移植)もまた意図される。この実施形態は、生物学的に活性な形態のFGF−23を合成および分泌し得る細胞を移植することを包含する。このような可溶性FGF−23ポリペプチド産生細胞は、FGF−23ポリペプチドの天然の産生者である細胞であり得るか、またはFGF−23ポリペプチドを産生するその能力が所望のFGF−23分子をコードする遺伝子もしくはFGF−23ポリペプチドの発現を増強する遺伝子で形質転換することによって増強された、組換え細胞であり得る。このような改変は、その遺伝子を送達するため、ならびにその発現および分泌を促進するために適したベクターによって、達成され得る。FGF−23ポリペプチドを投与される患者において、外来種のポリペプチドの投与によって生じ得るような潜在的な免疫学的反応を最小化するためには、FGF−23ポリペプチドを産生する天然の細胞がヒト起源であること、そしてヒトFGF−23ポリペプチドを産生することが、好ましい。同様に、FGF−23ポリペプチドを産生する組換え細胞が、ヒトFGF−23ポリペプチドをコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換されることが、好ましい。
【0231】
移植される細胞は、周囲の組織の浸潤を回避するために、カプセル化され得る。ヒトまたは非ヒト動物の細胞が、FGF−23ポリペプチドの放出を可能にするが患者の免疫系によるかまたは周囲の組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防止する、生体適合性の半透過性のポリマー包皮または膜内で、患者に移植され得る。あるいは、FGF−23ポリペプチドを産生するようエキソビボで形質転換された、患者自身の細胞が、このようなカプセル化なしに、患者に直接移植され得る。
【0232】
生存細胞をカプセル化するための技術は、当該分野において公知であり、そしてカプセル化された細胞の調製およびこれらの患者への移植は、慣例的に達成され得る。例えば、Baetgeら(PCT公開番号WO95/105452およびPCT/US94/09299)は、生物学的に活性な分子の効果的な送達のための、遺伝子操作された細胞を含む膜カプセルを記載する。これらのカプセルは生体適合性であり、そして容易に回収可能である。これらのカプセルは、プロモーターに作動可能に連結した生物学的に活性な分子をコードするDNA配列を含む組換えDNA分子でトランスフェクトされた細胞をカプセル化し、これらの細胞は、哺乳動物宿主への移植の際に、インビボでのダウンレギュレーションに曝されない。このデバイスは、生存細胞からレシピエント内の特異的な部位への分子の送達を提供する。さらに、米国特許第4,892,538号、同第5,011,472号、および同第5,106,627号を参照のこと。生存細胞をカプセル化するための系は、PCT公開番号WO 91/10425(Aebischerら)に記載されている。PCT公開番号WO 91/10470(Aebischerら);Winnら、Exper.Neurol.,113:322−329,1991,Aebischerら、Exper.Neurol.,111:269−275,1991;およびTrescoら、ASAIO,38:17−23,1992もまた参照のこと。
【0233】
FGF−23ポリペプチドのインビボおよびインビトロ遺伝子治療送達もまた想定される。遺伝子治療技術の1つの例は、構成的プロモーターまたは誘導的プロモーターに作動可能に連結され得るFGF−23ポリペプチドをコードするFGF−23遺伝子(ゲノムDNA、cDNA、および/または合成DNAのいずれか)を使用して、「遺伝子治療DNA構築物」を形成することである。このプロモーターは、内因性FGF−23遺伝子に対して相同であっても異種であってもよいが、但し、この構築物が挿入される細胞または組織型において、このプロモーターが活性である。遺伝子治療DNA構築物の他の成分は、必要に応じて、部位特異的取り込みのために設計されたDNA分子(例えば、相同組換えのために有用な内因性配列)、組織特異的なプロモーター、エンハンサー、またはサイレンサー、親細胞より優れた選択的利点を提供し得るDNA分子、形質転換された細胞を同定するための標識として有用なDNA分子、ネガティブ選択系、細胞特異的結合因子(例えば、細胞標的化のため)、細胞特異的インターナリゼーション因子、およびベクターによる発現を増強するための転写因子、ならびにベクターの製造を可能にする因子を含み得る。
【0234】
次いで、遺伝子治療DNA構築物は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを使用して、細胞に(エキソビボまたはインビボでのいずれかで)導入され得る。遺伝子治療DNA構築物を導入するための1つの手段は、本明細書中に記載されるようにウイルスベクターによる手段である。特定のベクター(例えば、レトロウイルスベクター)は、DNA構築物を細胞の染色体DNAに送達し、そしてこの遺伝子が、染色体DNAに取り込まれ得る。他のベクターは、エピソームとして機能し、そして遺伝子治療DNA構築物は、細胞質内に残る。
【0235】
なお他の実施形態においては、調節エレメントは、標的細胞におけるFGF−23遺伝子の制御された発現に関与し得る。このようなエレメントは、適切なエフェクターに対する応答の際に、オンにされる。この様式で、治療ポリペプチドは、所望のときに発現され得る。1つの従来の制御手段は、低分子結合ドメインおよび生物学的プロセスを開始し得るドメインを含むキメラタンパク質(例えば、DNA結合タンパク質または転写活性化タンパク質)を二量化するために使用される、低分子二量化剤またはラパログ(rapalog)の使用を包含する(PCT公開番号WO 96/41865、WO 97/31898、およびWO 97/31899を参照のこと)。タンパク質の二量化を使用して、導入遺伝子の転写を開始し得る。
【0236】
代替の調節技術は、細胞内の目的の遺伝子から凝集体またはクラスターとして発現されるタンパク質の貯蔵の方法を使用する。目的の遺伝子は、融合タンパク質として発現され、この融合タンパク質は、条件的凝集ドメインを含み、このドメインは、小胞体内での凝集したタンパク質の保持を生じる。貯蔵されたタンパク質は細胞内で安定であり、そして不活性である。しかし、これらのタンパク質は、条件的凝集ドメインを除去し、これによってこの凝集体またはクラスターを特異的に破壊する薬物(例えば、低分子リガンド)を投与することによって、放出され得、その結果、これらのタンパク質は、その細胞から分泌され得る。Aridorら、Science 287:816−817,2000、およびPiveraら、Science 287,826−830,2000を参照のこと。
【0237】
他の適切な制御手段または遺伝子スイッチとしては、本明細書中に記載される系が挙げられるが、それらに限定されない。ミフェプリストン(RU486)が、プロゲステロンアンタゴニストとして使用される。改変されたプロゲステロンレセプターリガンド結合ドメインを、プロゲステロンアンタゴニストに結合させることによって、2つの転写因子の二量体の形成による転写が活性化され、これが次いで、結合DNAの核内に通される。このリガンド結合ドメインは、そのレセプターがその天然のリガンドに結合する能力を排除するよう改変される。改変されたステロイドホルモンレセプター系が、米国特許第5,364,791号ならびにPCT公開番号WO96/40911およびWO97/10337に、さらに記載されている。
【0238】
なお別の制御系は、エクジソン(フルーツフライのステロイドホルモン)(これは、エクジソンレセプター(細胞質レセプター)に結合し、そしてこのレセプターを活性化する)を使用する。次いで、このレセプターは、核に転座して、特定のDNA応答エレメント(エクジソン応答性遺伝子由来のプロモーター)を結合する。エクジソンレセプターは、転写を開始するための、トランス作用性ドメイン、DNA結合ドメイン、およびリガンド結合ドメインを含む。エクジソン系は、米国特許第5,514,578号ならびにPCT公開番号WO97/38117、WO96/37609、およびWO93/03162にさらに記載されている。
【0239】
別の制御手段は、ポジティブテトラサイクリン制御可能トランスアクチベーターを使用する。この系は、転写を活性化させるポリペプチドに連結した変異tetリプレッサータンパク質DNA結合ドメイン(逆テトラサイクリン調節トランスアクチベータータンパク質を生じる変異tet R−4アミノ酸変化、すなわち、これは、テトラサイクリンの存在下で、tetオペレーターに結合する)を含む。このような系は、米国特許第5,464,758号、同第5,650,298号、および同第5,654,168号に記載されている。
【0240】
さらなる発現制御系および核酸構築物は、Innovir Laboratories Inc.に対する米国特許第5,741,679号および同第5,834,186号に記載されている。
【0241】
インビボ遺伝子治療は、FGF−23ポリペプチドをコードする遺伝子を、FGF−23核酸分子の局所的注射を介してかまたは他の適切なウイルス送達ベクターもしくは非ウイルス送達ベクターによって、細胞に導入することにより達成され得る(Hefti,Neurobiology,25:1418−1435,1994)。例えば、FGF−23ポリペプチドをコードする核酸分子は、標的化された細胞への送達のために、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに含まれ得る(例えば、Johnson,PCT公開番号WO95/34670;およびPCT出願番号PCT/US95/07178)。組換えAAVゲノムは、代表的に、機能的プロモーターおよびポリアデニル化配列に作動可能に連結されたFGF−23ポリペプチドをコードするDNA配列に隣接する、AAV逆方向末端反復を含む。
【0242】
代替の適切なウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レンチウイルスベクター、肝炎ウイルスベクター、パルボウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、コロナウイルスベクター、ラブドウイルスベクター、パラミクソウイルスベクター、およびパピローマウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第5,672,344号は、組換え神経栄養HSV−1ベクターを含む、インビボウイルス媒介遺伝子移入系を記載する。米国特許第5,399,346号は、治療タンパク質をコードするDNAセグメントを挿入するようインビトロで処理されたヒト細胞の送達により、患者に治療タンパク質を提供するためのプロセスの例を、提供する。遺伝子治療技術の実施のさらなる方法および材料は、米国特許第5,631,236号(アデノウイルスベクターを含む);米国特許第5,672,510号(レトロウイルスベクターを含む);および米国特許第5,635,399号(サイトカインを発現するレトロウイルスベクターを含む)に記載されている。
【0243】
非ウイルス送達方法としては、リポソーム媒介移入、裸のDNA送達(直接注射)、レセプター媒介移入(リガンド−DNA複合体)、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、および微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃)が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子治療の材料および方法としてはまた、誘導的プロモーター、組織特異的エンハンサー−プロモーター、部位特異的取り込みのために設計されたDNA配列、親細胞より優れた選択的利点を提供し得るDNA配列、形質転換された細胞を同定するための標識、ネガティブ選択系および発現制御系(安全性の尺度)、細胞特異的結合因子(細胞標的化のため)、細胞特異的インターナリゼーション因子、およびベクターによる発現を増強するための転写因子、ならびにベクター作製の方法が挙げられ得る。遺伝子治療技術の実施のための、このようなさらなる方法および材料は、米国特許第4,970,154号(エレクトロポレーション技術を含む)、米国特許第5,679,559号(遺伝子送達のためのリポタンパク質含有系を記載する)、米国特許第5,676,954号(リポソームキャリアを含む)、米国特許第5,593,875号(リン酸カルシウムトランスフェクションのための方法を記載する)、米国特許第4,945,050号(生物学的に活性な粒子が、細胞において、この粒子がこの細胞の表面を貫通しそしてこの細胞の内側に取り込まれる速度で推進されるプロセス、を記載する)、およびPCT公開番号WO96/40958(核リガンドを含む)に記載されている。
【0244】
FGF−23遺伝子治療または細胞治療が、同じまたは異なる細胞における1つ以上のさらなるポリペプチドの送達をさらに含み得ることがまた意図される。このような細胞は、患者に別々に導入され得るか、またはこれらの細胞は、単一の移植可能なデバイス(例えば、上記のカプセル化膜)内に含まれ得るか、または細胞は、ウイルスベクターによって別々に改変され得る。
【0245】
遺伝子治療によって、細胞における内因性FGF−23ポリペプチド発現を増加させるための手段は、1つ以上のエンハンサーエレメントをFGF−23ポリペプチドプロモーターに挿入することであり、ここで、このエンハンサーエレメントは、FGF−23ポリペプチド遺伝子の転写活性を増加させるよう作用し得る。使用されるエンハンサーエレメントは、遺伝子を活性化することが所望である組織に基づいて、選択される;この組織においてプロモーター活性化を与えることが公知であるエンハンサーエレメントが、選択される。例えば、FGF−23ポリペプチドをコードする遺伝子がT細胞において「オンにされる」場合には、lckプロモーターエンハンサーエレメントが使用され得る。ここで、添加される転写エレメントの機能性部分が、標準的なクローニング技術を使用して、FGF−23ポリペプチドプロモーターを含むDNAのフラグメントに挿入され得る(そして必要に応じて、ベクター、5’および/または3’隣接配列に挿入され得る)。次いで、この構築物(「相同組換え構築物」として公知)が、エキソビボでかまたはインビボでのいずれかで、所望の細胞に導入され得る。
【0246】
遺伝子治療はまた、内因性プロモーターのヌクレオチド配列を改変することによって、FGF−23ポリペプチド発現を減少させるために、使用され得る。このような改変は、代表的に、相同組換え法を介して達成される。例えば、不活化のために選択されたFGF−23遺伝子のプロモーターの全てまたは一部を含むDNA分子は、転写を調節するプロモーター片を除去および/または置換するように、操作され得る。例えば、プロモーターの転写アクチベーターの、TATAボックスおよび/または結合部位が、標準的な分子生物学の技術を使用して、欠失され得る;このような欠失は、プロモーター活性を阻害し得、これによって、対応するFGF−23遺伝子の転写を抑制する。プロモーターにおけるTATAボックスまたは転写アクチベーター結合部位の欠失は、(調節されるFGF−23遺伝子と同じ種かまたは関連する種由来の)FGF−23ポリペプチドプロモーターの全てまたは関連する部分を含むDNA構築物を生成することによって、達成され得、ここで、1つ以上のTATAボックスおよび/または転写アクチベーター結合部位のヌクレオチドが、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入を介して、変異される。その結果、TATAボックスおよび/またはアクチベーター結合部位は、活性が減少しているか、または完全に不活性にされている。この構築物はまた、代表的に、改変されたプロモーターセグメントに近接するネイティブな(内因性の)5’および3’DNA配列に対応する、少なくとも約500塩基のDNAを含む。この構築物は、直接的にかまたは本明細書中に記載されるようなウイルスベクターを介して、適切な細胞に(エキソビボでかまたはインビボでかのいずれかで)導入され得る。代表的に、細胞のゲノムDNAへの、この構築物の取り込みは、相同組換えを介し、ここで、プロモーター構築物における5’および3’DNA配列は、ハイブリダイゼーションを介する内因性染色体DNAへの改変されたプロモーター領域の取り込みを補助するよう作用する。
【0247】
(治療的用途)
FGF−23核酸分子、ポリペプチド、ならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、多数の疾患、障害または状態(本明細書中で引用されるものを含む)を処置、診断、回復または予防するために使用され得る。
【0248】
FGF−23ポリペプチドアゴニストおよびアンタゴニストは、FGF−23ポリペプチド活性を調節し、かつFGF−23ポリペプチドの成熟形態の少なくとも1つの活性を増加または減少する分子を含む。アゴニストまたはアンタゴニストは、FGF−23ポリペプチドと相互作用し、それによりその活性を調節する補因子(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質または低分子量分子)であり得る。強力なポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニストは、このタンパク質の細胞外ドメインの一部または全てを含むFGF−23ポリペプチドの可溶性または膜結合形態のいずれかと反応する抗体を含む。FGF−23ポリペプチド発現を調節する分子は、代表的に、発現のアンチセンス制御因子として働き得るFGF−23ポリペプチドをコードする核酸を含む。
【0249】
本発明のFGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、FGFファミリーメンバーのポリペプチドが有用であることが公知である同じ目的に関して有用である。したがって本発明のFGF−23ポリペプチドは、中胚葉起源の細胞、外胚葉起源の細胞および内胚葉起源細胞の種々の細胞(繊維芽細胞、角膜内皮細胞および血管内皮細胞、顆粒球、副腎皮質細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、血管平滑筋細胞、水晶体上皮細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、稀突起神経膠細胞、星状細胞、骨芽細胞および造血細胞を含む)についての強力なマイトジェンである。これらの生物学的活性の間には、血管内皮細胞の増殖を刺激し、そして内皮細胞を基底膜に浸透することを可能にする能力が含まれる。これらの特性と一貫して、本発明のFGF−23ポリペプチドは、新脈管形成を刺激して創傷治癒を促進し得る(つまり、やけど、外傷、損傷、手術または潰瘍によって引き起こされる疾患組織の損傷の、修復または置換を促進する)。これらのポリペプチドはまた、中胚葉形成を減少させ得、かつ神経細胞、脂肪細胞および骨格筋細胞の分化を調節し得る。これらのポリペプチドはまた、ケラチノサイト増殖を刺激することによって、太陽照射に起因する皮膚の老化を予防、または回復するのに用いられ得る。さらに、本発明のポリペプチドは、移植前の器官を維持するために、または初代細胞および初代組織の培養を支持するために用いられ得る。さらに、これらのポリペプチドは、FGFファミリーメンバーが、毛形成細胞を活性化し、かつメラノサイト増殖を促進するので、脱毛症を予防するために用いられ得る。これらはまた、他のサイトカインと組み合わせて使用される場合、造血細胞および骨髄細胞の増殖および分化を刺激するために使用され得る。
【0250】
FGF−23は、ヒト常染色体の優性遺伝子疾患、低リン血症くる病(ADHR)に関連している(The ADHR Consortium,2000,Nature Genetics 26:345−48)。従って、本発明のFGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、ADHRを処置、診断、回復または予防するために使用され得る。
【0251】
FGF−23遺伝子は、ヒトFGF−21に最も密接に関連することが示されており(Yamashitaら、2000、Biochem.Biophys.Res.Commun.277:494−98)、このヒトFGF−23遺伝子は、肝臓において最も多量に発現され、そして胸腺におけるより低いレベルで発現される遺伝子である(Nishimuraら、2000、Biochim.Biophys.Acta 1492:203−06)。従って、FGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、肝臓または胸腺を含む疾患、障害または状態を処置、診断、回復または予防するために使用され得る。
【0252】
本発明のFGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストを用いて処置、診断、回復または予防され得る他の疾患、障害または状態の非排他的リストには、以下が挙げられる:皮膚創傷、表皮水疱症、男性型脱毛症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、びらん性胃炎、食道炎、食道逆流疾患、炎症性腸疾患、放射または化学療法誘導腸毒性、肺硝子膜症、気道上皮の壊死、気腫、肺炎症、肺線維症、肝硬変、劇症肝不全、ウイルス性肝炎および糖尿病。
【0253】
FGF−23ポリペプチド機能のアゴニストまたはアンタゴニストは、処置される状態に適切であるように、1つ以上のサイトカイン、増殖因子、抗生物質、抗炎症剤および/または化学療法剤と組み合わせて(同時にかまたは引き続き)使用され得る。
【0254】
望ましくないレベルのFGF−23ポリペプチドによって引き起こされるかまたは媒介される他の疾患は、本発明の範囲内に含まれる。望ましくないレベルとしては、過度のレベルのFGF−23ポリペプチド、および正常以下のレベルのFGF−23ポリペプチドが挙げられる。
【0255】
(FGF−23核酸およびFGF−23ポリペプチドの用途)
本発明の核酸分子(それ自体は生物学的に活性なポリペプチドをコードしない核酸分子を含む)を使用して、FGF−23遺伝子および関連遺伝子の染色体上の位置をマッピングし得る。マッピングは、当該分野で公知の技術(例えば、PCR増幅およびインサイチュハイブリダイゼーション)により行われ得る。
【0256】
FGF−23核酸分子(それ自体は生物学的に活性なポリペプチドをコードしない核酸分子を含む)は、哺乳動物組織または体液サンプル中のFGF−23核酸分子の存在について、定性的または定量的のいずれかで試験するための、診断アッセイにおけるハイブリダイゼーションプローブとして有用であり得る。
【0257】
他の方法はまた、1つ以上のFGF−23ポリペプチドの活性を阻害することが所望される場合に使用され得る。このような阻害は、発現制御配列(三重らせん形成)またはFGF−23 mRNAに相補的でありかつ発現制御配列(三重らせん形成)またはFGF−23 mRNAにハイブリダイズする核酸分子によりもたらされ得る。例えば、アンチセンスDNAまたはRNA分子(これらは、FGF−23遺伝子の少なくとも一部に相補的である配列を有する)は、細胞中に導入され得る。アンチセンスプローブは、本明細書中に開示されるFGF−23遺伝子の配列を使用して、利用可能な技術により設計され得る。代表的には、このようなアンチセンス分子の各々は、選択された各FGF−23遺伝子の開始部位(5’末端)に相補的である。このアンチセンス分子が次いで、対応するFGF−23 mRNAにハイブリダイズする場合、このmRNAの翻訳は、防止されるかまたは低減される。アンチセンスインヒビターは、細胞または生物におけるFGF−23ポリペプチドの減少または不在に関連する情報を提供する。
【0258】
あるいは、遺伝子治療を使用して、1つ以上のFGF−23ポリペプチドの優性ネガティブインヒビターを作製し得る。この状況において、各選択されたFGF−23ポリペプチドの変異体ポリペプチドをコードするDNAは、調製され得、そして本明細書中に記載されるウイルスまたは非ウイルスの方法のいずれかを使用して患者の細胞中に導入され得る。このような変異体の各々は、代表的にはその生物学的役割において内因性ポリペプチドと競合するように設計される。
【0259】
さらに、FGF−23ポリペプチド(生物学的に活性でも活性でなくても)免疫原として使用され得、すなわち、これらのポリペプチドは、それに対して抗体が誘発され得る少なくとも1つのエピトープを含有する。FGF−23ポリペプチドに結合する選択的結合因子(本明細書中に記載されるように)は、インビボおよびインビトロでの診断目的のために使用され得、これらの目的としては、体液サンプルまたは細胞サンプル中のFGF−23ポリペプチドの存在を検出するための標識された形態での使用を含むが、これに限定されない。これらの抗体をまた使用して、本明細書中に列挙される疾患および障害を含む多数の疾患および障害を、予防、処置、または診断し得る。これらの抗体は、FGF−23ポリペプチドの少なくとも1つの活性特徴を低減するかまたは遮断するように、FGF−23ポリペプチドに結合し得るか、またはポリペプチドに結合してFGF−23ポリペプチドの少なくとも1つの活性特徴を増加し得る(FGF−23ポリペプチドの薬物動態を増加させることによるものを含む)。
【0260】
本発明のFGF−23ポリペプチドは、発現クローニングストラテジーを使用して、FGF−23ポリペプチドレセプターをクローン化するために使用され得る。放射性標識(125ヨウ素)されたFGF−23ポリペプチドまたはアフィニティ/活性−タグ化FGF−23ポリペプチド(例えば、Fc融合またはアルカリホスファターゼ融合)を、結合アッセイにおいて使用して、FGF−23ポリペプチドレセプターを発現する細胞型または細胞株または組織を同定し得る。このような細胞または組織から単離されたRNAは、cDNAに変換され得、哺乳動物発現ベクターにクローン化され、そして哺乳動物細胞(例えば、COSまたは293細胞)にトランスフェクトされて発現ライブラリーを作製する。放射性標識されるかまたはタグ化されたFGF−23ポリペプチドは、次いで、アフィニティリガンドとして使用されて、このライブラリーから、その表面上にFGF−23ポリペプチドレセプターを発現する細胞のサブセットを同定および単離し得る。DNAは、次いでこれらの細胞から単離され得、そして哺乳動物細胞にトランスフェクトされて二次発現ライブラリー(ここで、FGF−23ポリペプチドレセプターを発現する細胞の画分は、元のライブラリーよりも何倍も高い)を作製し得る。この富化プロセスは、FGF−23ポリペプチドレセプターを含有する単一の組換えクローンが単離されるまで繰り返し反復され得る。FGF−23ポリペプチドレセプターの単離は、FGF−23ポリペプチドシグナル伝達経路の新規なアゴニストおよびアンタゴニストを同定または開発するために有用である。このようなアゴニストおよびアンタゴニストとしては、可溶性FGF−23ポリペプチドレセプター、抗FGF−23ポリペプチドレセプター抗体、低分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれ、そしてこれらは、本明細書中に記載される疾患または障害の1つ以上を、処置、予防、または診断するために使用され得る。
【0261】
pGET−tベクターにサブクローン化され、そして登録番号PTA−1617を有する、ヒトFGF−23ポリペプチドをコードするcDNAの寄託を、American Type Culture Collection,10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209にて2000年3月31日に行った。
【0262】
以下の実施例は、例示目的のみのために意図され、本発明の範囲をいずれにも限定するとは解釈されるべきではない。
【0263】
(実施例1:ヒトFGF−23ポリペプチド遺伝子のクローニング)
ヒトFGF−23ポリペプチドをコードするcDNA配列を単離するために、ヒトゲノムデータベースの相同性に基づいたBLAST検索を行った。繊維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーと相同性を共有する推定コード配列を、ヒトゲノムクローン(GenBank登録番号AC008012)において同定した。この推定コード配列は、6.6kbおよび1.87kbのイントロンによって分離された3つの潜在的なエキソンから成った。この配列を使用して、cDNA供給源の同定のために、およびcDNAクローンの生成のために、種々のPCRストラテジーを使用して、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを設計した。
【0264】
多数のcDNAライブラリーを、250μlの全反応容積で、各々10pmolのアンプリマー(amplimer)(5’−C−T−A−T−C−C−C−A−A−T−G−C−C−T−C−C−C−C−A−C−T−G−3’(配列番号42)および5’−C−G−C−C−C−C−T−G−A−C−C−A−C−C−C−C−T−A−A−T−G−3’(配列番号43))、ならびにReady−To−Go PCRビーズ(Pharmacia、Piscataway、NJ)を含有する増幅反応で分析した。反応を、95℃にて5分間を1サイクル;95℃にて30秒間、68℃にて15秒間、および72℃にて1分間を35サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルにて行った。予測されたサイズ(616bp)のPCR産物を、多数のcDNAライブラリー(結腸腫瘍T25(ランダムプライムした(primed)もの)、胎児腸間膜(オリゴ−dTでプライムしたもの)、胎児胆嚢(ランダムプライムしたもの)および胎児心臓(オリゴ−dTでプライムしたもの)から誘導されたライブラリーを含む)において同定した。胎児腸間膜cDNAライブラリーから産生されたPCR産物を、TopoTA 4.0クローニングキット(Invitrogen)を用いてサブクローン化し、そして4つのクローンを配列決定して、これらのクローンが推定FGF−23のcDNA配列を含むことを検証した。この胎児腸間膜のcDNAライブラリーをさらなる増幅実験のために選択して、FGF−23ポリペプチドをコードする全長cDNA配列を単離した。
【0265】
胎児腸間膜のcDNAライブラリーを、以下のようにして調製した。全RNAを、ヒト胎児腸間膜から標準的なRNA抽出手順を使用して抽出し、そしてポリ−ARNAを、標準的な手順を使用してこの全RNAから選択した。オリゴ−dTでプライムされたcDNAを、このポリ−ARNAから、cDNA合成およびプラスミドクローニングキット用のSuperscript Plasmid System(Gibco−BRL)を使用して、製造者の示唆したプロトコルに従って合成した。得られたcDNAを、適切な制限エンドヌクレアーゼSal IおよびNot Iを用いて消化し、次いでpSPORT−1にライゲーションする。ライゲーション産物を、標準的な技術を使用してE.coliに形質転換し、そして細菌性形質転換体を、アンピシリンを含有する培養プレートで選択した。cDNAライブラリーは、これらの形質転換体の全てまたはサブセットから構成された。
【0266】
5’RACE反応および3’RACE反応の両方を、FGF−23ポリペプチドについての全長cDNA配列を作製するために行った。FGF−23ポリペプチドについてのcDNA配列の5’末端に対応するcDNA配列を単離するために、5’RACEを、Smart RACE cDNA増幅キット(Clontech)、pSPORT1中のランダムプライムしたヒト胎児腸間膜のcDNAライブラリー、ならびにプライマー(5’−G−T−G−T−G−G−A−A−T−T−G−T−G−A−G−C−G−G−A−T−A−A−C−3’(配列番号44)、および5’−C−T−G−A−T−G−G−G−G−T−G−C−G−C−C−A−T−C−C−A−C−A−3’(配列番号45))を使用して行った。反応を、94℃にて1分間を1サイクル;94℃にて5秒間、68℃にて10秒間および72℃にて3分間を35サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルで行った。入れ子式(nested)PCRを、5’RACE増幅産物の一部(1/100に希釈したもの)ならびにプライマー(5’−C−T−A−T−G−A−C−C−A−T−G−A−T−T−A−C−G−C−C−A−A−G−C−3’(配列番号46)、および5’−C−A−T−T−C−T−T−G−T−G−G−A−T−C−T−G−C−A−G−G−T−G−G−T−3’(配列番号47))を使用して行った。入れ子式PCR反応を、94℃にて5分間を1サイクル;94℃にて15秒間、68℃にて15秒間および72℃にて3分間を30サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルで行った。この増幅産物を、アガロースゲルの電気泳動によって分析し、そして200bpの顕著なPCR産物を、TopoTA 4.0クローニングキットを用いて単離し、かつサブクローン化した。単離したクローンの配列決定分析は、5’PCR産物が既知の配列を拡大しないことを示した。
【0267】
FGF−23ポリペプチドについてのcDNA配列の5’末端に対応するさらなるcDNA配列を単離するために、さらに5’RACE実験を行った。さらなる5’RACE実験を、Advantage−2 PCRキット(Clontech)、MarathonTM ヒト心臓cDNAライブラリー(Clontech)ならびにプライマー(5’−C−T−G−A−T−G−G−G−G−T−G−C−G−C−C−A−T−C−C−A−C−A−3’(配列番号45)およびAP1(Clontech))を使用して行った。反応を、94℃にて30秒間を1サイクルならびに94℃にて5秒間および68℃にて4分間を30サイクルで行った。入れ子式PCRを、5’RACE増幅産物の一部(1/100に希釈したもの)ならびにプライマー(5’−C−A−T−T−C−T−T−G−T−G−G−A−T−C−T−G−C−A−G−G−T−G−G−T−3’(配列番号45)およびAP2(Clontech))を使用して行った。入れ子式PCR反応を、94℃にて30秒間を1サイクルおよび94℃にて30秒間、68℃にて4分間を30サイクルで行った。この増幅産物を、アガロースゲルの電気泳動によって分析し、そして最も顕著なPCR産物(350bp)を、TopoTA 4.0クローニングキットを用いて単離し、かつサブクローン化した。単離したクローンの配列決定分析は、約143bpで5’PCR産物が既知の配列を拡大することを示した。
【0268】
FGF−23ポリペプチドについてのcDNA配列の3’末端に対応するcDNA配列を単離するために、3’RACEを、Smart RACE cDNA増幅キット(Clontech)、pSPORT1中のランダムプライムしたヒト胎児腸間膜のcDNAライブラリー、ならびにプライマー(5’−C−G−G−C−C−T−C−C−T−G−T−T−C−A−C−A−G−G−A−G−C−T−C−3’(配列番号48)、および5’−C−G−G−G−C−C−T−C−T−T−C−G−C−T−A−T−T−A−C−G−C−3’(配列番号49))を用いて行った。反応を、94℃にて1分間を1サイクル;94℃にて5秒間、68℃にて10秒間および72℃にて3分間を35サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルで行った。入れ子式PCRを、5’RACE増幅産物の一部(1/100に希釈したもの)ならびにプライマー(5’−G−C−G−C−C−G−A−G−G−A−C−A−A−C−A−G−C−C−C−G−A−3’(配列番号50)、および(5’−T−G−G−C−G−A−A−A−G−G−G−G−G−A−T−G−T−G−C−T−G−3’(配列番号51))を使用して行った。入れ子式PCR反応を、94℃にて5分間を1サイクル;94℃にて15秒間、68℃にて15秒間および72℃にて3分間を30サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルで行った。この増幅産物を、アガロースゲルの電気泳動によって分析し、そして650bpの顕著なPCR産物を、TopoTA 4.0クローニングキットを用いて単離し、かつサブクローン化した。単離したクローンの配列決定分析は、433bp(ポリ−A領域を含む)で3’PCR産物が既知の配列を拡大することを示した。
【0269】
FGF−23遺伝子についての全長オープンリーディングフレームを含むようである近接配列を、最初のPCR増幅ならびに5’および3’RACE増幅から誘導された配列を使用して作製した。このコンセンサス配列の配列分析は、FGF−23遺伝子が、251のアミノ酸のタンパク質をコードする753bpのオープンリーディングフレーム(図1A〜1B)を含むことを示した。
【0270】
配列分析はまた、FGF−23ポリペプチドが、繊維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーと相同性を共有することを示した。図2A〜2Gは、以下のアミノ酸配列アライメントを図示する:ヒトFGF−1(hu FGF−1;配列番号4)、ヒトFGF−2(hu FGF−2;配列番号5)、ヒトFGF−3(hu FGF−3;配列番号6)、ヒトFGF−4(hu FGF−4;配列番号7)、ヒトFGF−5(hu FGF−5;配列番号8)、ヒトFGF−6(hu FGF−6;配列番号9)、ヒトFGF−7(hu FGF−7;配列番号10)、ヒトFGF−8(hu FGF−8;配列番号11)、ヒトFGF−9(hu FGF−9;配列番号12)、ヒトFGF−10(hu FGF−10;配列番号13)、ヒトFGF−11(hu FGF−11;配列番号14)、ヒトFGF−12(hu FGF−12;配列番号15)、ヒトFGF−13(hu FGF−13;配列番号16)、ヒトFGF−14(hu FGF−14;配列番号17)、ヒトFGF−16(hu FGF−16;配列番号18)、ヒトFGF−17(hu FGF−17;配列番号19)、ヒトFGF−18(hu FGF−18;配列番号20)、ヒトFGF−19(hu FGF−19;配列番号21)、ヒトFGF−23(hu FGF−23;配列番号22)、マウスFGF−1(mu FGF−1;配列番号23)、マウスFGF−2(mu FGF−2;配列番号24)、マウスFGF−3(mu FGF−3;配列番号25)、マウスFGF−4(mu FGF−4;配列番号26)、マウスFGF−5(mu FGF−5;配列番号27)、マウスFGF−6(mu FGF−6;配列番号28)、マウスFGF−7(mu FGF−7;配列番号29)、マウスFGF−8(mu FGF−8;配列番号30)、マウスFGF−9(mu FGF−9;配列番号31)、マウスFGF−10(mu FGF−10;配列番号32)、マウスFGF−11(mu FGF−11;配列番号33)、マウスFGF−12(mu FGF−12;配列番号34)、マウスFGF−13(mu FGF−13;配列番号35)、マウスFGF−14(mu FGF−14;配列番号36)、マウスFGF−15(mu FGF−15;配列番号37)、ラットFGF−16(rat FGF−16;配列番号38)、マウスFGF−17(mu FGF−17;配列番号39)。
【0271】
図2A〜2Gに示されるアミノ酸配列分析から、FGF−23遺伝子は、マウスFGF−15およびヒトFGF−19と密接に関連するようである。発生神経系において局部的に制限されるFGF−15発現のパターンは、このFGF−15が、細胞分裂を調節し、かつ胚脳、脊髄および感覚器官の特異的領域内でパターン化するのに重要な役割を果たし得ることを示唆する(McWhirterら、1997、Development 124:3221−32)。従って、FGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、発生神経系を含む疾患の診断または処置に関して有用であり得る。胎児の軟骨、皮膚および網膜、成体胆嚢ならびに結腸腺癌細胞株において発現されるヒトFGF−19は、骨格欠損症および網膜欠損症である骨粗鬆症偽性神経膠腫症候群に関連する染色体11の領域をマッピングする(Xieら、1999、Cytokine 11:729−35)。従って、FGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、骨格系または網膜を含む疾患を診断または処置するために有用であり得る。
【0272】
FGF−23遺伝子は、ヒトFGF−21に最も密接に関連することが示されており(Yamashitaら、2000、Biochem.Biophys.Res.Commun.277:494−98)、このヒトFGF−21は、肝臓において最も多量に発現され、そして胸腺におけるより低いレベルで発現される遺伝子である(Nishimuraら、2000、Biochim.Biophys.Acta 1492:203−06)。従って、FGF−23核酸分子、ポリペプチドならびにそれらのアゴニストおよびアンタゴニストは、肝臓または胸腺を含む疾患の診断または処置に関して有用であり得る。
【0273】
(実施例2:FGF−23 mRNA発現)
FGF−23の発現を、RT−PCRによって分析した。全RNAを、標準技術を使用して種々のヒト胎児組織から調製した。テンプレートおよびプライマー混合物を、12μlの容量中において2μgの全RNAおよび50ngのランダムプライマー(Gibco−BRL)を用いて調製した。この混合物を70℃まで10分間加熱し、次いで氷上で冷却した。逆転写を、4μlの5×第一鎖緩衝液(Gibco−BRL)、2μlの0.1M DTTおよび1μlの10mM dNTPをテンプレート−プライマー混合物に添加し、この反応混合物を37℃まで2分間温め、1μlのSuperscript II RT(Gibco−BRL)を添加し、次いで37℃で1時間この反応混合物をインキュベートすることによって行った。
【0274】
RNA濃度およびcDNA変換効率における差異を、試験された全ての組織においてほぼ同じレベルで発現されると予期される遺伝子である、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G3PDH)に特異的なプライマーを用いて、各cDNAサンプルに対するコントロールPCR増幅を実施することによって、標準化した。コントロールPCR増幅をアンプリマー5’−T−C−C−A−C−C−A−C−C−C−T−G−T−T−G−C−T−G−T−A−G−3’(配列番号52)および5’−G−A−C−C−A−C−A−G−T−C−C−A−T−G−G−C−A−T−C−A−C−T−3’(配列番号53)ならびにReady−To−Go PCRビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を用いて実施した。反応を、以下のように実施した:95℃にて1分間を1サイクル;92℃にて30秒、55℃にて45秒、および72℃にて1分間を25サイクル;および72℃で5分間を1サイクル。コントロール反応産物を、2%アガロースゲル上で分析し、コントロール産物の相対的強度を算出し、そしてcDNAサンプルの濃度を、cDNAサンプルが等しい強度のG3PDHのバンドを生じるように調整した。FGF−23の発現分析を、濃度が標準化されたcDNAサンプルを用いて実施した。
【0275】
FGF−23の発現を、アンプリマー5’−C−T−A−T−C−C−C−A−A−T−G−C−C−T−C−C−C−C−A−C−T−G−3’(配列番号54)および5’−C−G−C−C−C−C−T−G−A−C−C−A−C−C−C−C−T−A−A−T−G−3’(配列番号55)ならびにReady to Go PCRビーズを含む、PCR増幅物において分析する。反応を、95℃にて5分間を1サイクル;95℃にて30秒間、68℃にて30秒間、および72℃にて1分間を30サイクル;ならびに72℃にて7分間を1サイクルで、実施する。PCR産物を、2%アガロースゲル上で分析し、そしてPCR産物の相対的な強度を概算した(ベースラインとして弱いPCR産物を用いる)。この分析結果を表IIIに示す。
【0276】
【表3】
Figure 2005508131
FGF−23 mRNA発現を、ノーザンブロットで分析する。Multiple human tissue Northern blot(Clontech)を、ヒトFGF−23ポリペプチドcDNAクローンから単離された適切な制限フラグメントを用いてプローブする。このプローブを、標準的な技術を用いて32P−dCTPで標識する。
【0277】
ノーザンブロットを、ハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、50%脱イオンホルムアミド、5×デンハート溶液、0.5%SDS、および100mg/ml変性サケ精子DNA)中で42℃にて2時間プレハイブリダイズし、次いで、5mg/mlの標識プローブを含む、新鮮なハイブリダイゼーション溶液中で42℃にて一晩ハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、フィルターを、2×SSCおよび0.1%SDS中で室温にて10分間、二度洗浄し、次いで、0.1×SSCおよび0.1%SDS中で65℃にて30分間、二度洗浄する。次いで、ブロットをオートラジオグラフィに曝す。
【0278】
正常な成体マウス組織および3週齢の高発現および非発現トランスジェニックマウス組織(実施例5を参照のこと)におけるFGF−23 mRNAの発現を、インサイチュハイブリダイゼーションによって局在化した。正常胚および成体マウス組織のパネルを浸漬固定し、パラフィンに包埋し、そして5μmに切片化した。インサイチュハイブリダイゼーションを、標準的な技術を用いて実施した。切片化した組織を、ヒトFGF−23遺伝子に相補的な33P−標識アンチセンスリボプローブを含有するハイブリダイゼーション溶液中で60℃で一晩ハイブリダイズした。標準的技術を用いて、ヒトFGF−23 cDNA配列を含有するクローンのインビトロ転写によって、このリボプローブを得る。
【0279】
ハイブリダイゼーション後、切片を、RNaseAで処理してハイブリダイズしていないプローブを消化し、そして0.1×SSC中で55℃で30分間洗浄した。次いで、切片をNTB−2エマルジョン(Kodak,Rochester,NY)に浸し、4℃に3週間曝し、発色させ、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで対比染色した。組織形態学およびハイブリダイゼーションシグナルを、脳、胃腸系(耳下腺、下顎下腺、および舌下腺;食道、胃、十二指腸、空腸、回腸;近位結腸、および遠位結腸;肝臓および前立腺)、心肺系(心臓、肺、気管、および血管);血管リンパ系(リンパ節、脾臓、胸腺、および骨髄)、泌尿器系(腎臓および膀胱)、内分泌系(副腎、甲状腺、および下垂体)、生殖器系(精巣、前立腺、および腺;卵巣、子宮、および卵管;胎盤)、および筋骨格系(骨、骨格筋、皮膚、および脂肪組織)についての暗野かつ標準のイルミネーションによって同時に分析する。胎盤を有するE18およびE14.5での正常なマウス胚もまた、インサイチュハイブリダイゼーションにより分析した。
【0280】
低度から中程度の、FGF−23の拡散する発現を、正常な成体マウスの組織を通して検出した。RNAase防御アッセイを、マウス組織の限られたサンプルに関して行い、これらの組織の中でインサイチュハイブリダイゼーションにより拡散するシグナルを検出し、このシグナルが非特異的結合に起因するか否かを決定した。RNAase防御アッセイの結果は、FGF−23が、心臓および脳においてのみ、わずかに発現され、そして肝臓、甲状腺/甲状腺傍、および胃においては全く発現されないことを示した。これらの結果は、特に上皮細胞型においてインサイチュハイブリダイゼーションにより検出された散在するシグナルは、ほとんどが非特異的結合に起因することを示唆する。RNAase防御アッセイは、FGF−23が、心臓および脳において僅かに発現されることを示したので、インサイチュハイブリダイゼーションによりこれらの組織において観察された低いシグナルは、実在し得る。脳において、一般に低度の発現が、視床領域、尾状被殻、中隔、および視床下部の領域を含む、ほとんどのニューロンにおいて見られた。しかし、中程度の標識は、海馬顆粒および錐体細胞、新皮質(図3)、および梨状皮質において示された。低度の発現は、上衣および脈絡叢において見出された。心筋および骨格筋の両方もまた、低レベルのFGF−23発現を示した。心筋において、低度の散在するシグナルは、房におけるいくらか大きいシグナルを有する左心室および右心室を通して明らかである(図3)。低度の拡散するシグナルもまた、骨格筋において見出された。
【0281】
E14.5マウス胚またはE18マウス胚のいずれにおいても発現は、見出されなかった。
【0282】
3週齢のトランスジェニックマウスの同腹仔のいずれも、正常な成体マウスにおいて検出された拡散する非特異的シグナルを示さなかった。非発現トランスジェニックマウスにおいて、強いFGF−23発現が、リンパ節(図4)、胸腺髄質(図4)および骨(図4)における散乱細胞において検出された。標識された細胞のポジティブな同定は、可能ではなかったが、骨における発現は、後肢骨、椎骨、肋骨、および鼻腔骨における裂孔および小柱において散乱する間葉細胞に存在するようである。高度に発現したトランスジェニックマウスにおいて、標識された細胞の分布は、より広範であった。肝臓において、強いFGF−23発現が、肝細胞中に見出された(図5)。非発現トランスジェニックマウスにおいて観察されたのと同様に、強い標識もまた、胸腺髄質の散乱細胞において検出された(図5)。しかし、高度に発現するトランスジェニックマウスにおいて、十分に標識された細胞はまた、脾臓の赤色脾髄(図5)、前立腺に隣接する平滑筋(図6)、および顎の横紋筋(図6)においても見出された。強い発現もまた、後肢および椎骨における骨髄および軟骨細胞におけるいくつかの同定された巨核球において検出された(図6)。
【0283】
(実施例3:FGF−23ポリペプチドの生成)
(A.細菌におけるFGF−23ポリペプチドの発現)
PCRを用いて、FGF−23ポリペプチドをコードするテンプレートDNA配列を増幅する。このPCRには、この配列の5’および3’末端に対応するプライマーを用いる。増幅したDNA産物を改変して、発現ベクター内への挿入を可能にするために制限酵素部位を含むようにし得る。PCR産物をゲル精製し、そして標準的組み換えDNA方法論を用いて発現ベクター中に挿入する。luxプロモーターおよびカナマイシン耐性をコードする遺伝子を含むpAMG21(ATCC番号98113)のような代表的ベクターを、挿入したDNAの方向性クローニングのために、BamHIおよびNdeIを用いて消化する。連結した混合物を、エレクトロポレーションによってE.coli宿主株中に形質転換し、そして形質転換体をカナマイシン耐性について選択する。選択したコロニー由来のプラスミドDNAを、単離し、そしてDNA配列決定に供してインサート(挿入物)の存在を確認する。
【0284】
形質転換した宿主細胞を、導入前に、30μg/mLカナマイシンを含有する2×YT培地中で30℃でインキュベートする。最終濃度30ng/mLへのN−(3−オキソヘキサノイル)−dl−ホモセリンラクトンの添加、それに続く30℃かまたは37℃での6時間のインキュベーションによって、遺伝子発現を誘導する。FGF−23ポリペプチドの発現を、培養物、細菌ペレットの再懸濁および溶解物の遠心分離、ならびに、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による宿主細胞タンパク質の分析によって評価する。
【0285】
FGF−23ポリペプチドを含有する封入体を、以下の通り精製する。細菌細胞を遠心分離によってペレット化し、そして水中に再懸濁する。この細胞懸濁液を超音波処理によって溶解し、そして195,000×gでの5〜10分間の遠心分離によってペレット化する。この上清を廃棄し、そしてペレットを洗浄してホモジナイザーに移す。このペレットを、均一に懸濁されるまで、5mLのPercoll溶液(75%液体Percollおよび0.15M NaCl)中にホモジナイズし、次いで希釈して21,600×gで30分間遠心分離する。封入体を含む勾配画分を回収してプールする。単離した封入体をSDS−PAGEによって分析する。
【0286】
E.coliが産生したFGF−23ポリペプチドに相当する、SDSポリアクリルアミドゲル上の単一のバンドを、ゲルから切り出し、そしてN末端アミノ酸配列を、本質的にMatsudairaら、1987,J.Biol.Chem.262:10〜35に記載のように決定する。
【0287】
(B.哺乳動物細胞におけるFGF−23ポリペプチドの発現)
PCRを用いて、FGF−23ポリペプチドをコードするテンプレートDNA配列を増幅する。このPCRには、この配列の5’および3’末端に対応するプライマーを用いる。増幅したDNA産物を改変して、発現ベクター内への挿入を可能にするために制限酵素部位を含むようにし得る。PCR産物をゲル精製し、そして標準的組み換えDNA方法論を用いて発現ベクター中に挿入する。Epstein−Barrウイルス複製起点を含む代表的な発現ベクターであるpCEP4(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、293−EBNA−1細胞におけるFGF−23ポリペプチドの発現のために用い得る。増幅およびゲル精製したPCR産物を、pCEP4ベクターに連結し、そしてリポフェクチンによって293−EBNA細胞中に導入する。トランスフェクトした細胞を、100μg/mLのハイグロマイシン中で選択し、そして得られた薬物耐性培養物をコンフルエンスになるまで増殖する。次いで、この細胞を無血清培地中で72時間培養する。馴化培地を取り出し、FGF−23ポリペプチド発現をSDS−PAGEによって分析する。
【0288】
FGF−23ポリペプチド発現は、銀染色によって検出し得る。あるいは、FGF−23ポリペプチドを、ペプチドタグに対する抗体を用いてウエスタンブロット分析によって検出可能である、エピトープタグ(例えば、IgG定常ドメインまたはFLAGエピトープ)を有する融合タンパク質として生成する。
【0289】
FGF−23ポリペプチドを、SDS−ポリアクリルアミドゲルから切り出し得る、またはFGF−23融合タンパク質を、エピトープタグに対するアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、そして本明細書に記載のようなN末端アミノ酸配列分析に供する。
【0290】
(C.哺乳動物細胞からのFGF−23ポリペプチドの精製)
リポフェクチンまたはリン酸カルシウムプロトコールのいずれかを用いて、293 EBNA細胞またはCHO細胞中に、FGF−23ポリペプチド発現構築物を導入する。
【0291】
生成されるFGF−23ポリペプチドに対する機能的研究を行うため、ハイグロマイシン選択293 EBNAクローンのプールから大量の馴化培地を生成する。この細胞を500cm Nunc Triple Flasks中で、80%コンフルエンスになるまで培養し、その後、培地を回収する1週間前に無血清培地に切り換える。馴化培地を回収し、そしてタンパク質を精製するまで−20℃に凍結する。
【0292】
馴化培地を下記のとおり、アフィニティークロマトグラフィーによって精製する。この培地を解凍し、次いで0.2μmフィルターに通す。プロテインGカラムをPBSでpH7.0に平衡化し、次いで濾過した培地をロードした。このカラムをA280の吸収がベースラインに達するまでPBSで洗浄する。0.1M Glycine−HClを用いてpH2.7でFGF−23ポリペプチドを、カラムから溶出し、直ちに1M Tris−HClを用いてpH8.5で中和する。FGF−23ポリペプチドを含有する画分をプールし、PBS中で透析し、そして−70℃で貯蔵した。
【0293】
ヒトFGF−23ポリペプチド−Fc融合ポリペプチドの第Xa因子切断について、アフィニティークロマトグラフィー精製したタンパク質を、50mM Tris−HCl、100mM NaCl、2mM CaCl中でpH8.0で透析する。制限プロテアーゼ第Xa因子を、透析したタンパク質に1/100(w/w)で添加し、そしてこのサンプルを室温で一晩消化する。
【0294】
(実施例4:抗FGF−23ポリペプチド抗体の生成)
FGF−23ポリペプチドに対する抗体を、生物学的合成または化学的合成によって生成した、精製タンパク質またはFGF−23ペプチドを用いて免疫することによって獲得し得る。抗体を生成するための適切な手順は、HudsonおよびBay、Practical Immunology(第二版、Blackwell Scientific Pubilication)に記載の手順を含む。
【0295】
抗体生成のための1つの手順において、動物(代表的には、マウスまたはウサギ)に、FGF−23抗原(例えば、FGF−23ポリペプチド)を注射し、そして、ハイブリドーマ産生のため、ELISAによって決定した十分な血清力価を有する動物を、選択する。免疫した動物の脾臓を回収し、そして単一細胞懸濁液として調製し、これから脾臓細胞を回収する。脾臓細胞をマウスミエローマ細胞(例えば、Sp2/0−Ag14細胞)に融合し、DMEM(200U/mLペニシリン、200μg/mL硫酸ストレプトマイシン、および4mMグルタミン含有)中でまずインキュベートし、次いで、HAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)中でインキュベートする。選択後、組織培養上清を各融合ウェルから取り出し、そしてELISAによって、抗FGF−23抗体産生について試験する。
【0296】
抗FGF−23を得るため、別の手順をまた、使用し得る。この手順は例えば、ヒト抗体の生成のためのヒトIg遺伝子座を保有するトランスジェニックマウスの免疫、および合成抗体ライブラリー(例えば、抗体可変ドメインの変異誘発によって生成されるライブラリーなど)のスクリーニングである。
【0297】
(実施例5:トランスジェニックマウスにおけるFGF−23ポリペプチドの発現)
FGF−23ポリペプチドの生物学的活性を評価するため、ApoEプロモーター(TH00−026)の制御下で、FGF−23ポリペプチドをコードする構築物を調製する。FGF−23遺伝子の発現は、FGF−23ポリペプチドの機能に関する情報である、トランスジェニックマウスにおける病理的な変化を引き起こすことが期待された。
【0298】
特有の表現型が、異常に多数のラントを有する同腹仔へのTH00−026構築物の移入の後に、3週齢のBDF1マウスにおいて生じた。発現体の全てがラント化されたわけではなく、いくつかの非発現同腹仔がラント化されたが、ラントの比率は、発現体マウス間でより高かった。多くの非発現ラントを含む、全てのラントは、試験のために離乳前に解剖した。全ての発現マウスの頭蓋骨は、短縮され、そしてより丸みを帯びており、下顎は適切に発達していた。結果として、全ての発現マウスは、突出下歯を有した。この状態は、外見の検査およびX線撮影の評価により明らかである。さらに、2匹の最も高発現を示すマウスが、低度の血清リンレベルおよび低度の血清カルシウムレベルを有することが見出された。しかし、他のくる病の兆候−例えば、不十分な鉱化作用、骨端軟骨の過剰増殖、軟骨の乱れた組織化、および毛細管の過剰増殖(Pathologic Basis of Disease(Cotran ed.,1994))は、観察されなかった。発現ラントにおける骨の形態は、非発現ラントにおける形態と差異がなく、そして両方のタイプのラントは、非ラント同腹仔と異なった。
【0299】
部分的な肝切除を、22匹のDNAポジティブマウスおよび4匹のDNAネガティブマウスに対して実施した。すべての肝切除されたマウスを出血させ、そして血清カルシウム、リン、およびアルカリホスファターゼ測定を実施した。この動物もまた、突出下歯について検査した。評価されたマウスのグループは、以下を含んだ:コントロール、巨視的な表現型発現体、非表現型の高発現体、および中程度の発現体。全ての表現型マウスは、強い発現体または非常に強い発現体であることが見出された。表現型マウスにおける血清カルシウムレベルは、他のグループにおけるそれよりもいくらか低かったが、この差異は、統計的に有意ではない。しかし、血清リンレベルは、中程度の発現体およびコントロールよりも表現型発現体および非表現型高発現体において有意に低いことが見出された。血清アルカリホスファターゼ(ALP)は、表現型グループ対コントロールおよび中程度の発現体において有意に上昇した(表IVを参照のこと)。発現体の表現型における可変性は、C57/B6とDBAマウス株との間の交配である異系交配BDF1マウスにおける遺伝的な変化に起因し得る。
【0300】
【表4】
Figure 2005508131
本発明は、好ましい実施形態の観点で記載されているが、変化および修飾が当業者に思い浮かぶことが理解される。従って、添付の特許請求の範囲は、請求された本発明の範囲内で生じるこのような全ての等価な変化を網羅することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A〜1Bは、ヒトFGF−23遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号1)、およびヒトFGFRポリペプチドの推定のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。推定シグナルペプチドを示す(下線部);
【図2】
図2A〜2Gは、以下のアミノ酸配列アライメントを示す:ヒトFGF−1(hu FGF−1;配列番号4)、ヒトFGF−2(hu FGF−2;配列番号5)、ヒトFGF3(hu FGF−3;配列番号6)、ヒトFGF−4(hu FGF−4;配列番号7)、ヒトFGF−5(hu FGF−5;配列番号8)、ヒトFGF−6(hu FGF−6;配列番号9)、ヒトFGF−7(hu FGF−7;配列番号10)、ヒトFGF−8(hu FGF−8;配列番号11)、ヒトFGF−9(hu FGF−9;配列番号12)、ヒトFGF−10(hu FGF−10;配列番号13)、ヒトFGF−11(hu FGF−11;配列番号14)、ヒトFGF−12(hu FGF−12;配列番号15)、ヒトFGF−13(hu FGF−13;配列番号16)、ヒトFGF−14(hu FGF−14;配列番号17)、ヒトFGF−16(hu FGF−16;配列番号18)、ヒトFGF−17(hu FGF−17;配列番号19)、ヒトFGF−18(huFGF−18;配列番号20)、ヒトFGF−19(hu FGF−19;配列番号21)、ヒトFGF−23(hu FGF−23;配列番号22)、マウスFGF−1(mu FGF−1;配列番号23)、マウスFGF−2(mu FGF−2;配列番号24)、マウスFGF−3(mu FGF−3;配列番号25)、マウスFGF−4(mu FGF−4;配列番号26)、マウスFGF−5(mu FGF−5;配列番号27)、マウスFGF−6(mu FGF−6;配列番号28)、マウス FGF−7(mu FGF−7;配列番号29)、マウスFGF−8(mu FGF−8;配列番号30)、マウスFGF−9(mu FGF−9配列番号:31)、マウスFGF−10(mu FGF−10;配列番号32)、マウスFGF−11(mu FGF−11;配列番号33)、マウスFGF−12(mu FGF−12;配列番号34)、マウスFGF−13(mu FGF−13;配列番号35)、マウスFGF−14(mu FGF−14;配列番号36)、マウスFGF−15(mu FGF−15;配列番号37)、ラットFGF−16(ラット FGF−16;配列番号38)、マウスFGF−17(mu FGF−17;配列番号39)。
【図3】
図3は、正常成体マウスの脳および心筋(心臓)における、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出されたFGF−23 mRNAの発現を示す(H&E=ヘマトキシリンおよびエオシン対比染色;ISH=インサイチュハイブリダイゼーション)。
【図4】
図4は、発現していないトランスジェニックマウスのリンパ節(リンパ節)、胸腺髄質(胸腺)、脛骨由来の皮質骨の裂孔(脛骨)、および頭部内の海綿質(頭部)の被膜下領域において、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出されたFGF−23 mRNAの発現を示す(H&E=ヘマトキシリンおよびエオシン対比染色;ISH=インサイチュハイブリダイゼーション);
【図5】
図5は、高発現トランスジェニックマウスの肝臓、脾臓、胸腺髄質(胸腺)、および骨髄内の巨核球(骨髄)において、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出されたFGF−23 mRNAの発現を示す(H&E=ヘマトキシリンおよびエオシン対比染色;ISH=インサイチュハイブリダイゼーション)。
【図6】
図6は、高発現トランスジェニックマウスの前立腺の近傍の平滑筋組織(平滑筋)、顎の筋組織(筋肉)、脛骨内の軟骨細胞(脛骨)、および椎骨内の軟骨細胞(椎骨)において、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出されたFGF−23 mRNAの発現を示す(H&E=ヘマトキシリンおよびエオシン対比染色;ISH=インサイチュハイブリダイゼーション)。

Claims (57)

  1. 単離された核酸分子であって、以下:
    (a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列;
    (b)ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列;
    (c)配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (d)(a)〜(c)のいずれかの相補体に、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;および
    (e)(a)〜(c)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
    からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  2. 単離された核酸分子であって、以下:
    (a)配列番号2に示されるポリペプチドに少なくとも約70%同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (b)配列番号1に示されるヌクレオチド配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートのヌクレオチド配列、または(a)の、対立遺伝子改変体またはスプライス改変体をコードするヌクレオチド配列;
    (c)少なくとも約25アミノ酸残基のポリペプチドフラグメントをコードする、配列番号1のヌクレオチド配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサート、(a)または(b)の領域であって、ここで、該ポリペプチドフラグメントは、配列番号2に示されるコードされたポリペプチドの活性を有するか、または抗原性である、領域;
    (d)少なくとも約16ヌクレオチドのフラグメントを含む、配列番号1のヌクレオチド配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサート、または(a)〜(c)いずれかの領域;
    (e)中程度または高度にストリンジェントな条件下で、(a)〜(d)のいずれかの相補体にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;ならびに
    (f)(a)〜(d)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
    からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  3. 単離された核酸分子であって、以下;
    (a)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (b)少なくとも1つのアミノ酸挿入を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (c)少なくとも1つのアミノ酸欠失を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (d)C末端短縮および/またはN末端短縮を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (e)アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、C末端短縮、およびN末端短縮からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する配列番号2に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ここで、該コードされたポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、ヌクレオチド配列;
    (f)少なくとも約16ヌクレオチドのフラグメントを含む(a)〜(e)のいずれかのヌクレオチド配列;
    (g)中程度または高度にストリンジェントな条件下で、(a)〜(f)のいずれかの相補体にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;ならびに
    (h)(a)〜(e)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
    からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  4. 請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の核酸分子を含む、ベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  6. 真核生物細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 原核生物細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
  8. FGF−23ポリペプチドを産生するためのプロセスであって、該ポリペプチドを発現するために適切な条件下で請求項5に記載の宿主細胞を培養する工程、および必要に応じて、該培養物から該ポリペプチドを単離する工程を包含する、プロセス。
  9. 請求項8に記載のプロセスによって産生される、ポリペプチド。
  10. 請求項8に記載のプロセスであって、ここで、前記核酸分子が、FGF−23ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結された、ネイティブなFGF−23ポリペプチドに対するプロモーターDNA以外のプロモーターDNAを含む、プロセス。
  11. 請求項2に記載の単離された核酸分子であって、ここで、前記パーセント同一性は、GAP、BLASTN、FASTA、BLASTA、BLASTX、BestFit、およびSmith−Watermanアルゴリズムからなる群より選択されるコンピュータープログラムを用いて決定される、単離された核酸分子。
  12. 化合物がFGF−23ポリペプチド活性またはFGF−23ポリペプチド産生を阻害するか否かを決定するためのプロセスであって、請求項5、請求項6、または請求項7のいずれかに記載の細胞を該化合物に曝露する工程、および該細胞におけるFGF−23ポリペプチド活性またはFGF−23ポリペプチド産生を測定する工程を包含する、プロセス。
  13. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;および
    (b)ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列、
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  14. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)配列番号3に示すアミノ酸配列であって、必要に応じてさらに、アミノ末端メチオニンを含む、アミノ酸配列;
    (b)配列番号2のオルソログに対するアミノ酸配列;
    (c)配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
    (d)少なくとも約25アミノ酸残基を含む配列番号2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、ここで、該フラグメントは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有するか、または抗原性である、フラグメント;ならびに
    (e)配列番号2に示されるアミノ酸配列、ATCC受託番号PTA−1617中のDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列、または(a)〜(c)の、対立遺伝子改変体またはスプライス改変体のアミノ酸配列、
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  15. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
    (b)少なくとも1つのアミノ酸挿入を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
    (c)少なくとも1つのアミノ酸欠失を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;
    (d)C末端短縮および/またはN末端短縮を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列;ならびに
    (e)アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、C末端短縮、およびN末端短縮からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する配列番号2に示されるアミノ酸配列であって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、アミノ酸配列、
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  16. 請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかに記載の核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性を有する、単離されたポリペプチド。
  17. 請求項14に記載の単離されたポリペプチドであって、ここで、前記パーセント同一性は、GAP、BLASTP、FASTA、BLASTA、BLASTX、BestFit、およびSmith−Watermanアルゴリズムからなる群より選択されるコンピュータープログラムを用いて決定される、単離されたポリペプチド。
  18. 請求項13、請求項14、または請求項15のいずれかに記載のポリペプチドに特異的に結合する、選択的結合因子またはそのフラグメント。
  19. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する、請求項18に記載の選択的結合因子またはそのフラグメント。
  20. 抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  21. ヒト化抗体である、請求項18に記載の選択的結合因子。
  22. ヒト抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  23. ポリクローナル抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  24. モノクローナル抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  25. キメラ抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  26. CDR移植抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  27. 抗イディオタイプ抗体またはそのフラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  28. 可変領域フラグメントである、請求項18に記載の選択的結合因子。
  29. FabフラグメントまたはFab’フラグメントである、請求項28に記載の可変領域フラグメント。
  30. 配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異性を有する少なくとも1つの相補性決定領域を含む、選択的結合因子またはそのフラグメント。
  31. 検出可能標識に結合される、請求項18に記載の選択的結合因子。
  32. FGF−23ポリペプチドの生物学的活性を拮抗する、請求項18に記載の選択的結合因子。
  33. FGF−23ポリペプチド関連の疾患、状態、または障害を、処置、予防、または改善するための方法であって、有効量の請求項18に記載の選択的結合因子を患者に投与する工程を包含する、方法。
  34. 配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドで動物を免疫することによって産生される、選択的結合因子。
  35. 請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかに記載のポリペプチドを結合し得る選択的結合因子を産生する、ハイブリドーマ。
  36. 請求項18に記載の抗FGF−23抗体またはフラグメントを用いて、FGF−23ポリペプチドの量を検出または定量する方法。
  37. 請求項13、請求項14、または請求項15のいずれかに記載のポリペプチド、および薬学的に受容可能な処方剤を含む、組成物。
  38. 前記薬学的に受容可能な処方剤が、キャリア、アジュバント、溶解剤、安定剤、または抗酸化剤である、請求項37に記載の組成物。
  39. 前記ポリペプチドが、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の組成物。
  40. 請求項13、請求項14、または請求項15のいずれかに記載のポリペプチドの誘導体を含む、ポリペプチド。
  41. 水溶性ポリマーを用いて共有結合的に改変された、請求項40に記載のポリペプチド。
  42. 請求項41に記載のポリペプチドであって、ここで、前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、およびポリビニルアルコールからなる群より選択される、ポリペプチド。
  43. 請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の核酸分子および薬学的に受容可能な処方剤を含む、組成物。
  44. 前記核酸分子が、ウイルスベクター中に含まれる、請求項43に記載の組成物。
  45. 請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の核酸分子を含む、ウイルスベクター。
  46. 異種アミノ酸配列に融合された、請求項13、請求項14、または請求項15のいずれかに記載のポリペプチドを含む、融合ポリペプチド。
  47. 前記異種アミノ酸配列が、IgG定常ドメインまたはそのフラグメントである、請求項46に記載の融合ポリペプチド。
  48. 医学状態を、処置、予防、または改善するための方法であって、請求項13、請求項14、または請求項15のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項1、請求項2、もしくは請求項3のいずれかに記載の核酸によってコードされるポリペプチドを患者に投与する工程を包含する、方法。
  49. 医学的状態を処置、予防または改善するための方法であって、請求項13、14もしくは15のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項1、2もしくは3のいずれかに記載の核酸によってコードされるポリペプチドの生物学的活性のアゴニストもしくはアンタゴニストを患者に投与する工程を包含する、方法。
  50. 請求項48または請求項49のいずれかに記載の方法であって、処置、予防、または改善される前記医学的状態が、常染色体優性低リン血症くる病(ADHR)である、方法。
  51. 被験体において病的状態または病的状態に対する感受性を診断する方法であって、以下:
    (a)サンプル中の、請求項13、請求項14、もしくは請求項15のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項1、請求項2、もしくは請求項3のいずれかに記載の核酸分子によってコードされるポリペプチドの、発現の存在または発現量を決定する工程;および
    (b)該ポリペプチドの発現の存在または発現量に基づいて、病的状態または病的状態に対する感受性を診断する工程、
    を包含する、方法。
  52. デバイスであって、以下:
    (a)移植に適した膜;および
    (b)該膜内にカプセル化された細胞であって、該細胞は、請求項13、請求項14、もしくは請求項15のいずれかのタンパク質を分泌する、細胞;
    を備え、
    該膜は、該タンパク質に対して透過性であり、そして該細胞に有害な物質に対して不透過性である、デバイス。
  53. FGF−23ポリペプチドに結合する化合物を同定する方法であって、以下:
    (a)請求項13、請求項14、もしくは請求項15のいずれかのポリペプチドを、化合物と接触させる工程;および
    (b)該化合物に対する該FGF−23ポリペプチドの結合の程度を決定する工程、
    を包含する、方法。
  54. 前記化合物に結合した場合に、前記ポリペプチドの活性を決定する工程をさらに包含する、請求項53に記載の方法。
  55. 動物においてポリペプチドのレベルを調節する方法であって、請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかの核酸分子を該動物に投与する工程を包含する、方法。
  56. 請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかに記載の核酸分子を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  57. 化合物がFGF−23ポリペプチド活性またはFGF−23ポリペプチド産生を阻害するか否かを決定するためのプロセスであって、請求項56に記載のトランスジェニック哺乳動物を該化合物に曝露する工程、および該哺乳動物におけるFGF−23ポリペプチド活性またはFGF−23ポリペプチド産生を測定する工程を包含する、プロセス。
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