JP2005505276A - 細菌ウラシル輸送体蛋白質及び細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素をコードする単離核酸分子、前記核酸分子で形質転換した細胞とその使用 - Google Patents

細菌ウラシル輸送体蛋白質及び細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素をコードする単離核酸分子、前記核酸分子で形質転換した細胞とその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は各々ネズミチフス菌に由来するウラシル輸送体蛋白質とウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの一方をコードする新規ポリヌクレオチドに関する。本発明のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質はヒト癌細胞を5−フルオロウラシル等の抗癌剤治療に対して感作するのに有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は新規に同定されたポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、前記ポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用、並びに前記ポリヌクレオチド及びポリペプチドの生産に関する。より特定的には、本発明のポリペプチドは細菌由来であり、即ちネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)から単離される。特に、本発明はウラシル輸送体蛋白質及びウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードするDNA及びRNA等の単離核酸分子とその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殆どの生物ではホスホリボシルトランスフェラーゼ(PRTアーゼ)として知られる10種の酵素からなる群がプリン、ピリミジン及びピリジンのヌクレオチドと芳香族アミノ酸であるヒスチジン及びトリプトファンの生合成に関与している。これらの酵素は各々一般に芳香族である窒素性塩基、2価金属イオン及びα−D−5−ホスホリボシル1−ピロリン酸(PRPP)に高度に特異的である。いずれの場合も、PRPPのピロリン酸部分の開裂はリボフラノース環のアノマー反転により行われ、β−Nリボシド一リン酸となる。脊椎動物では、数種のPRTアーゼが顕著な臓器特異性を示すが、その他は殆どの組織に種々のレベルで存在する。全生物でPRTアーゼは細胞内では可溶性細胞質フラクションに限定される。哺乳動物では、単一酵素オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(OPRTアーゼ)がピリミジン塩基のサルベージに関与している。他方、細菌、酵母及び植物細胞にはウラシル特異的酵素であるウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼも存在する。
【0003】
細菌由来ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼはウラシルと5−ホスホリボシルα−1−ピロリン酸(PRib−PP)からウリジン−5’−一リン酸(UMP)及びPPiへの変換を触媒する。Neuhardら,Metabolism oh Nucleotides,Nucleosides and Nucleobases in Microorganisms(Munich−Petersen A.編)Academic Press,New York,95−148参照。重要な点として、細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼは哺乳動物細菌には存在しないが、哺乳動物細胞のオロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ又はウリジン−5’−一リン酸シンターゼと機能的に等価であり、ピリミジンの分解により形成される内生ウラシルの利用とピリミジン合成における外生ウラシル、シトシン及びウリジンの利用に根本的な重要性をもつ。これは後述するようにSaccharomyces cerevisiaeで立証されている。
【0004】
大腸菌由来UPP遺伝子は酵素ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードし、Andersonら,Eur J.Biochem,204:51−56(1992)(Andersonら,1992)により単離されている。酵素ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼを欠失するが無傷のウラシル輸送体系をもつ大腸菌突然変異体はピリミジン源としてウラシルで増殖できず、培地にウラシルを分泌する。Malloy Aら,FEBS Letts.,5:211−213(1969)参照。更に、20μM 5−フルオロウラシルに耐性であり、これはUPP突然変異体の選択に使用された表現型である。
【0005】
内生的に形成されたウラシルのサルベージと外生ウラシル及びシトシンの利用におけるウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの役割は大腸菌を含む数種の微生物で立証されている。ピリミジンサルベージ酵素は増殖培地又は細胞核酸の分解産物から予め形成されたヌクレオ塩基とヌクレオシドを細胞に利用させる。
【0006】
Saccharomyces cerevisiaeに由来するURPTアーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド配列が最近発表された。Kernら,Gene,88:149−157(1990)参照。この遺伝子は28.7kDa蛋白質をコードする。大腸菌とSaccharomyces cerevisiaeに由来するウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの推定アミノ酸配列を比較すると、全体の一致度は32%であるが、個別領域に多少の類似性があることが判明した。
【0007】
天然ヌクレオシド及びヌクレオ塩基は重要な代謝産物であり、多数の臓器、系及び種に無数の生理的作用をもつ。ヌクレオシド及びヌクレオ塩基は代謝結果が多様であり核酸代謝に主要な役割を果たすことから、臨床的に有用な薬剤を開発する目的で過去40年にわたってこれらの化合物の多数の類似体が合成されている。合成ヌクレオシドは白血病の化学療法や、抗ウイルス剤(例えばシトシンアラビノシド(araC)、アシクロビル、アジドチミジン、5−フルオロデオキシウリジン及び5−フルオロウラシル)として重要な用途がある。代謝拮抗剤及び抗生物質として作用するヌクレオ塩基及びヌクレオシドの新規類似体も治療用途を期待して合成と評価が続けられている。ヌクレオシドとヌクレオ塩基にはde novoピリミジン及びプリン合成の特定阻害剤(例えばメトトレキセート、5−フルオロウラシル及びN−ホスホノアセチル−L−アスパラギン酸)の効果を逆転させるものもあるらしい。
【0008】
細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼは哺乳動物細胞のオロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ又はウリジン−5’一リン酸シンターゼと機能的に等価である。これらの酵素は5−フルオロウラシル(5−FU)(注:5−FUはFDAにより癌治療に認可されている。しかし、患者に比較的毒性である。そのため、その用量は副作用を避けるように最少にする必要がある。Pinedoら,J.Clin.Oncol.,6:1663−1664(1988)参照。)から5−フルオロウリジン5’一リン酸(5−FUMP)への変換を媒介する。その後、5−フルオロウリジン5’一リン酸は哺乳動物de novoピリミジン経路で5−FdUDPと5−FdUMPに変換される。各5−FdUMPはチミジル酸シンターゼ(Thy−A)の不可逆阻害剤であり、dTTP飢餓とそれに続くアポトーシスをもたらす。この変換は5−フルオロウラシルの細胞毒性作用を行うために必要な経路の一つである。細菌由来ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼが哺乳動物オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼと同様に5−フルオロウラシルを活性代謝産物である5−フルオロウリジン−5’一リン酸に変換できるという上記結論はKawamura,Kら,Cancer Gene Ther.,7:637−43(2000)のデータにより裏付けられる。哺乳動物に存在しない細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を腫瘍細胞で発現させると、導入した細胞で5−フルオロウラシルの細胞毒性作用を有効に強化できることが示唆されている。
【0009】
データは5−フルオロウラシルと併用したウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子治療が5−フルオロウラシルの抗腫瘍作用を増強できることを示唆している。従って、このアプローチは癌遺伝子治療の新規化学増強ストラテジーであり、より実現性の高い膀胱癌治療法である。
【0010】
ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする大腸菌遺伝子を担持させたアデノウイルスをヒト結腸癌細胞に感染させると、5−フルオロウラシル治療に対して感受性が著しく増すことも研究者らに報告されている。大腸菌UPP遺伝子をアデノウイルスにより導入すると、DNAとRNAの両者による5−フルオロウラシルの同化の活性化が増進し、ヒト結腸癌細胞が5−FU治療に対して感作されることはデータが立証しており、「UPRT/5−フルオロウラシル系を結腸直腸癌治療の新規生化学フルオロウラシル療法とみなすことができる」ことを示唆している。Koyama,Fら,Eur J Cancer,36:2403−2410(2000)参照。
【0011】
更に、Sunamura,M.ら,Nippon Rinsho,59:98−103(2001)は、細菌UPP遺伝子を膵細胞に導入すると5−フルオロウラシルに対する膵細胞の感受性が有意に変化したと報告している。Adachi,Y.ら,Hum.Gene.Ther.,11:77−89(2000)も参照。同様の結果がInaba Mら,Jpn J Cancer Res.90:349−354(1999)によりヒト胃癌細胞系で報告されている。更に、Kanaiら,Cancer Res,58:1946−51(1998)は大腸菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をアデノウイルスにより導入すると、結腸、胃及び膵臓癌細胞系が著しく感作されたと報告している。更に、細菌ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を導入したヌードマウスにヒト肝臓癌又は胃癌を異種移植して5−フルオロウラシル治療すると、有意なin vivo抗腫瘍作用を生じた。
【0012】
ヌクレオシドとヌクレオ塩基の輸送は多種多様の生物で共通しており、多種多様の生理作用がある(GriffithとJarvis 1996)。生体ヌクレオシド及びヌクレオ塩基と大半のヌクレオシド類似体は親水性であり、細胞内外への移動には特殊な輸送体系が必要である。細胞及び生物にヌクレオシド及びヌクレオ塩基輸送体が存在するか否かは薬物動態と生体化合物並びにヌクレオシド及びヌクレオ塩基薬剤の配置及びin vivo生体活性に重要な影響がある。
【0013】
ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ活性が高い条件下でも外生ウラシル濃度が低い場合のウラシル取込みにはウラシル輸送体蛋白質が必要であることは数種の文献が記載している。ウラシルは膜に結合したウラシル輸送体蛋白質により助長されて細胞膜を通って細胞質に入ることが研究者らにより示唆されている。
【0014】
しかし、ウラシル輸送体蛋白質又はこの蛋白質をコードする遺伝子であるuraA又はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードするUPP遺伝子をネズミチフス菌から単離したという記載はどの従来技術文献にも見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本明細書では上記のように従来技術に記載されていない単離核酸分子を開示するものであり、このような単離核酸分子が入手可能になれば、他の資源からの予想に基づいて核酸分子によりコードされる蛋白質の構造と機能の詳細な情報を入手できよう。
【0016】
更に、本明細書に開示する単離核酸分子が入手可能になれば、現行癌治療プロトコールの治療効力を改善すると共に、従来の抗腫瘍薬等の治療に対して癌細胞を感作することが可能な治療候補を開発できよう。
【0017】
更に、本明細書に開示する核酸分子によりコードされる蛋白質が同定されることにより、多数の化合物を迅速にスクリーニングし、治療用途の更に詳細な研究に適した候補を同定できよう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明はネズミチフス菌に由来する単離核酸分子、コードされる蛋白質(mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNAを含む)、及びそのアンチセンス類似体を提供する。生物学的に活性で診断又は治療に有用なそのフラグメントと、本明細書に開示する蛋白質に対して免疫反応生の抗体も提供する。
【0019】
本発明のペプチドをコードするDNAを含むプラスミドも提供する。上記DNA、mRNA又はプラスミドを含む組換え細胞も提供する。
【0020】
本発明の核酸分子を含むベクターと、組換え技術により本発明のペプチドを生産する方法も提供する。この方法は本発明のペプチドの発現を助長する条件下で本発明のペプチドをコードする核酸配列を含む形質転換原核及び/又は真核宿主細胞を培養した後、ポリペプチドを回収する。
【0021】
本発明の更に別の側面によると、本発明のポリヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズする十分な長さの核酸分子を含む一本鎖核酸プローブも提供する。
【0022】
本発明により提供される一本鎖核酸プローブとその混合物により、遺伝子工学の当業者は任意種に由来する類似ポリヌクレオチドとコードされるポリペプチドを同定及びクローニングすることができ、こうして本発明の配列の効用を更に拡大することができる。
【0023】
プローブは本発明のペプチドをコードする核酸分子の全長又はそのフラグメントとすることができる。一般に、プローブはコーディング配列に相補的であるが、イントロンのプローブも予想される。
【0024】
プローブはApplied Biosystems Model 392mDNA/RNA合成機等のオリゴヌクレオチド合成機を使用して合成することができ、検出可能なマーカーで標識することができる。核酸の種々の領域に対応する2種以上の標識プローブの組合せをキットに加え、ハイブリダイゼーションにより遺伝子を検出及び/又は分析できるようにしてもよい。
【0025】
別の側面では、本発明は本発明のペプチドを検出するためのアッセイに関する。
【0026】
別の側面では、本発明は本発明のペプチドをコードする核酸配列の突然変異に関連する疾患を検出し、コードされるポリペプチドの濃度変化を検出するための診断アッセイを提供する。
【0027】
本発明の更に別の側面によると、DNA合成及びDNAベクター製造等のin vitro目的のために本発明のペプチド又は前記ポリペプチドをコードする核酸分子を利用する方法が提供される。
【0028】
本発明のペプチドを発現する細胞の同定方法も提供される。
【0029】
本発明のポリペプチドに特異的な抗体が入手可能になれば、(例えば正常対疾患脳組織における)本発明のペプチドの分布と発現密度を監視するために免疫組織化学技術を利用することが可能になる。このような抗体を診断及び治療用途に利用することもできる。この抗体はウラシル輸送体蛋白質又はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの生物活性を中和できることが好ましい。
【0030】
本発明のペプチドの一方又は両方を種々の潜在的アゴニスト又はアンタゴニストで試験できるならば、本発明のペプチドの一方又は両方の機能と活性に関する更なる情報が得られ、本発明のペプチドのヒト対応物があるならば、これと非常に特異的に相互作用することが可能な化合物を同定及び設計できよう。
【0031】
更に、種々の疾患状態の薬剤開発と治療処置に関連して本発明のペプチドをコードするDNAを入手できるならば、従来未知の所定機能の存在と相関し得る前記遺伝子の任意変異(例えば突然変異)の識別が可能になる。
【0032】
上述のように、5−フルオロウラシルは癌治療に認可されている。しかし、その使用に伴う大きな欠点は比較的毒性であるという点である。本発明の更に別の態様によると、5−フルオロウラシルの治療効力を改善するために十分な量のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする本発明の核酸を5−フルオロウラシル治療に反応性の宿主細胞に投与する方法が提供される。この効果はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼが5−フルオロウラシルをその非毒性代謝産物である5−フルオロウラシル5’一リン酸に変換できるという性質により得られる。従って、本発明のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする新規遺伝子はより実現性の高いヒト癌の治療法に道を開くと考えられる。
【0033】
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は本発明を理解し易くすることを目的とし、特許請求の範囲に記載する発明を制限するものではない。明細書と特許請求の範囲を更に熟考することにより本発明の他の特徴と利点も当業者に自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲において使用する単数形はそうでないことが文脈から明白に読み取れる場合を除いて複数形も含むことに留意すべきである。従って、例えば「宿主細胞」と言う場合には複数のこのような宿主細胞を含み、「抗体」と言う場合には1種以上の抗体と当業者に公知のその等価物を含み、その他も同様である。
【0035】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全技術及び科学用語は本発明が属する分野の当業者に一般に理解されている通りの意味をもつ。本発明の実施又は試験には本明細書に記載するものと類似又は等価の任意方法及び材料を使用することができるが、好適方法、装置及び材料は本明細書に記載するものである。
【0036】
本明細書に引用した全刊行物はこれらの刊行物に報告されている方法、ベクター等で本発明に関連して使用可能なものを記載及び開示する目的で参考資料として本明細書に組込む。本明細書中の如何なる記載も本発明が先発明の理由でこれらの開示に既に記載されていると認めるものではない。
【0037】
以下の記載では、組換えDNA技術の分野で使用されている多数の用語を広く使用する。これらの用語の範囲を含めて本明細書及び特許請求の範囲をより明瞭且つ矛盾なく理解できるように、以下に定義を示す。
【0038】
本発明は各々ネズミチフス菌に由来する新規ウラシル輸送体蛋白質とウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする単離核酸分子を提供する。具体的には、本発明のペプチドをコードする単離DNAと組換えメッセンジャーRNA(mRNA)を記載する。単離DNAのスプライス変異体も記載する。
【0039】
「本発明の核酸」と「核酸分子」は同義に使用し、本発明のペプチドをコードする本発明の核酸分子を意味する。
【0040】
「ポリペプチド」又は「ペプチド」又は「蛋白質」とはアミノ酸残基のポリマーとその変異体及び合成類似体を意味し、本明細書では同義に使用する。従って、これらの用語は1個以上のアミノ酸残基が合成非天然アミノ酸(例えば対応する天然アミノ酸の化学的類似体)であるアミノ酸ポリマーと、天然アミノ酸ポリマーを意味する。好適ポリペプチドは本発明のペプチドである。
【0041】
本明細書で使用する「アミノ酸配列」なる用語はオリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド又は蛋白質配列及びそのフラグメント又は部分と、天然又は合成分子を意味する。
【0042】
「本発明のペプチド」なる用語は本発明の核酸分子によりコードされるポリペプチドを意味する。変異体とフラグメントも含む。
【0043】
本明細書で使用する「ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子」又は「UPP」とは配列番号1の核酸分子によりコードされるネズミチフス菌に由来するウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を意味する。本明細書に開示する核酸配列に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子も含む。このような核酸分子は多数の方法で特徴付けることができ、例えばDNAが配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする場合や、DNAが配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む場合がある。UPPのコーディング配列は配列番号2の蛋白質をコードする図1に示すヌクレオチド929〜2218(1290塩基対によりコードされる429アミノ酸)に由来する。
【0044】
一般に、UPP遺伝子がスプライス変異体の場合を除き、開示するUPPDNAは本明細書に記載するUPP遺伝子と実質的配列相同性(即ち>約90%)をもつ。スプライス変異体をコードするDNA又はRNAは本明細書に記載するDNA又はRNAとの総体配列相同性が90%未満の場合もあるが、このようなスプライス変異体でも開示DNAとほぼ100%相同の領域を含む。
【0045】
本明細書で使用する「ウラシル輸送遺伝子」又は「uraA」とは配列番号1の核酸分子又は配列番号1のヌクレオチド配列に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードされるネズミチフス菌に由来するウラシル輸送体蛋白質をコードする遺伝子を意味する。このような核酸分子は多数の方法で特徴付けることができ、例えばDNAが配列番号3に記載のアミノ酸配列をコードする場合や、DNAが配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む場合がある。一般に開始及び停止コドンは図1に示す通りである。完全配列の任意番号はヌクレオチド1〜2520であり、208アミノ酸蛋白質をコードする合計627塩基対のヌクレオチド215〜841により規定される配列番号2のウラシル輸送体蛋白質のコーディング配列である。
【0046】
本明細書に記載する核酸分子は当業者に公知の種々の蛋白質発現系にこのような核酸を組込んで本発明のペプチドを生産するのに有用である。更に、このような核酸分子又はそのフラグメントを容易に検出可能な置換基で標識し、所定試料中におけるUPP又はuraAをコードする遺伝子又はmRNA転写産物の存在及び/又は量をアッセイするためのハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。
【0047】
本明細書に記載する核酸分子とそのフラグメントは本明細書に記載する本発明のペプチドをコードする遺伝子を増幅するためのPCR反応でプライマー及び/又は鋳型としても有用である。
【0048】
「遺伝子」とはそのヌクレオチド配列がポリペプチド分子をコードする核酸分子を意味する。遺伝子は連続ヌクレオチド配列でもよいし、イントロン、プロモーター領域、スプライス部位及び反復配列等の介在セグメントを含んでいてもよい。遺伝子はRNAでもDNAでもよい。好適遺伝子は本発明のペプチドをコードする遺伝子である。
【0049】
「核酸」又は「核酸分子」なる用語はリボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)、プローブ、オリゴヌクレオチド、そのフラグメント又は部分、及びプライマーを対象とする。DNAは相補的DNA(cDNA)でもよいし、ゲノムDNAでもよく、例えば本発明のペプチドをコードする遺伝子である。
【0050】
特に指定しない限り、ヌクレオチドとは糖部分(ペントース)、リン酸基、及び窒素性複素環塩基から構成されるDNA又はRNAのモノマー単位を意味する。塩基はグリコシド炭素(ペントースの1’炭素)を介して糖部分に結合しており、この塩基と糖の組合せがヌクレオシドである。ヌクレオシドがペントースの3’又は5’位に結合したリン酸基を含む場合にはヌクレオチドと言う。機能的に連結したヌクレオチドの配列を一般に「塩基配列」又は「ヌクレオチド配列」等と言い、本明細書では一般原則に従って左から右に向かって5’末端から3’末端を示す式により表す。
【0051】
本明細書に記載する各「ヌクレオチド配列」はデオキシリボヌクレオチド(略字A、G、C及びT)の配列として表す。但し、核酸分子の「ヌクレオチド配列」はDNA分子又はポリヌクレオチドについてはデオキシリボヌクレオチド配列を含み、RNA分子又はポリヌクレオチドについては特定デオキシリボヌクレオチド配列中の各チミジンデオキシリボリボヌクレオチド(T)をリボヌクレオチドウリジン(U)で置換した対応リボヌクレオチド(A、G、C及びU)配列を含む。例えば、デオキシリボヌクレオチド略字を使用して記載した配列番号1の配列をもつRNA分子と言う場合には、配列番号1の各デオキシリボヌクレオチドA、G又はCを対応するリボヌクレオチドA、G又はCで置換し、各デオキシリボヌクレオチドTをリボヌクレオチドUで置換した配列をもつRNA分子を意味する。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲においてDNA、RNA、ポリペプチド又は蛋白質の修飾語として「単離」及び/又は「精製」なる用語を使用する場合には、指定するDNA、RNA、ポリペプチド又は蛋白質が人工的に指定形態で生産されており、従ってその天然in vivo細胞環境から分離されていることを意味する。この人的介入の結果として、本発明の組換えDNA、RNA、ポリペプチド及び蛋白質は天然状態のこれらのDNA、RNA、ポリペプチド又は蛋白質では得られない本明細書に記載する種々の点で有用である。
【0053】
同様に、本明細書でDNA、RNA、ポリペプチド又は蛋白質の修飾語として使用する「組換え」とは、指定するDNA、RNA、ポリペプチド又は蛋白質が例えばクローニング、組換え発現等により人工的に作製されていることを意味する。従って、例えば本明細書で使用する組換え蛋白質とは、人工的に宿主に加えられたDNAを発現する組換え宿主により生産された蛋白質を意味する。
【0054】
核酸配列の定義においては、実質的に類似するアミノ酸配列をコードすることが可能な全該当核酸配列を本明細書に開示する参照核酸配列に実質的に類似するか又は実質的に同一のヌクレオチド配列を含むとみなす。
【0055】
実際に、「実質的に同一配列」なる用語は2種の蛋白質をコードするDNA又はRNAが中等ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、同一アミノ酸配列をもつか又はその構造もしくは機能を変えない配列変異をもつ蛋白質をコードすることを意味する。
【0056】
ヌクレオチド配列「類似性」は2種のポリヌクレオチド配列が(適宜ヌクレオチド挿入又は欠失により)最適に整列させた場合にその配列の対応位置に同一ヌクレオチド塩基をもつ程度の尺度である。配列類似性又は類似性百分率は例えばウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン6等の配列分析ソフトウェアを使用して配列情報を比較することにより決定することができる。GAPプログラムはSmithとWaterman(Adv.Appl.Math.2:482,1981)の修正によるNeedlemanとWunsch(J.Mol.Biol.48:443,1970)のアラインメント法を利用している。
【0057】
本明細書で使用する場合、「実質的に一致するヌクレオチド配列」は一致度が少なくとも約90%であり、実質的に一致するアミノ酸配列はアミノ酸一致度が95%を上回る。但し、スプライス変異体として上記相同性レベルを下回るか又は保存アミノ酸置換(又は縮重コドンの置換)により変異した蛋白質(及び前記蛋白質をコードするDNA又はmRNA)も本発明の範囲に含むものとする。
【0058】
本発明は配列番号1に記載の核酸と異なるが同一表現型をもつ核酸も含む。類似表現型の核酸を「機能的に等価の核酸」とも言う。
【0059】
本明細書で使用する「機能的に等価の核酸」なる用語は重要でない僅少な配列変異をもつが、本明細書に開示する核酸と実質的に同様に機能して同一蛋白質産物を生産する核酸も含む。
【0060】
機能的に等価の配列は本明細書及び特許請求の範囲に開示する核酸及びアミノ酸組成物と実質的に同様に機能して実質的に同一の組成物を生産する。特に、機能的に等価のDNAは本明細書に開示すると同一であるか又は非極性残基を別の非極性残基もしくは電荷をもつ残基を同一電荷をもつ残基で置換する等の保存アミノ酸変異をもつ蛋白質をコードする。これらの変異としては蛋白質の三次構造を実質的に変えない変異として当業者に認められているものが挙げられる。
【0061】
特に、機能的に等価の核酸は本明細書に開示すると同一であるか又は保存アミノ酸変異をもつか又は配列番号2又は3に記載のアミノ酸配列をもつものと実質的に類似するポリペプチドをコードする。
【0062】
例えば、保存変異としては非極性残基を別の非極性残基で置換したり、電荷をもつ残基を同一電荷をもつ残基で置換することが挙げられる。これらの変異としては蛋白質の三次構造を実質的に変えない変異として当業者に認められているものが挙げられる。
【0063】
遺伝コードの縮重により特定ハイブリダイゼーション条件下で本発明の核酸と必ずしもハイブリダイズしない本発明のポリペプチドをコードする核酸も提供される。本発明のポリペプチドをコードする好適核酸は配列番号2又は3に記載の実質的に同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドから構成される。
【0064】
本発明のポリペプチドをコードする核酸の1例は、
(a)配列番号2又は3に記載のアミノ酸配列をコードするDNA、
(b)中等ストリンジェント条件下で(a)のDNAとハイブリダイズし、本発明の生物学的に活性なウラシル輸送体蛋白質又は本発明のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素をコードするDNA、あるいは
(c)上記(a)又は(b)に関して縮重のDNAから選択することができる。
【0065】
本明細書で使用する「縮重」なる用語は配列番号1と少なくとも1個のヌクレオチドが異なるが、配列番号2又は3と同一アミノ酸をコードするコドンを意味する。例えば、トリプレット「UCU」、「UCC」、「UCA」及び「UCG」で表す4種のコドンはいずれもアミノ酸セリンをコードするので相互に縮重である。
【0066】
本明細書において配列番号1のヌクレオチド配列と言う場合には、一般に本発明のペプチドの各々又は一方をコードするコーディング配列を意味する。
【0067】
核酸分子又はヌクレオチド配列の「フラグメント」は全長よりも短く、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で配列番号1のヌクレオチド配列、好ましくは本明細書に開示するコーディング配列の一方又は両方と特異的にハイブリダイズすることが可能な少なくとも最小長を含む核酸部分である。このようなフラグメントの長さは15〜17ヌクレオチド以上が好ましい。
【0068】
「変異体」核酸分子又はDNA分子とは本発明のポリペプチドをコードする天然ヌクレオチド配列(コーディング部分)に小変異、即ち好ましくは天然核酸分子の生物活性を実質的に維持しながら天然配列の1個以上のヌクレオチドを欠失、付加及び/又は置換する変異を含むDNA分子を意味し、当然のことながらこのような変異は配列番号1に指定するコーディング領域の一方又は両方に位置する。変異体DNA分子は例えば標準DNA突然変異誘発技術又は変異体DNA分子もしくはその一部の化学合成により生産することができる。一般に、変異は参照ヌクレオチド配列と変異体が全体で密接に類似し、多くの領域が一致するように限定される。
【0069】
変異体ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列変異はサイレントでもよい。即ち、ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸を変異させないものとすることができる。変異がこのようなサイレント変異に限定される場合には、変異体は参照と同一のアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードする。
【0070】
あるいは、変異は「保存」性でもよい。保存変異は参照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変えるヌクレオチド配列(コーディング領域又は配列/蛋白質コーディング領域の一方又は両方)の変異である。このようなヌクレオチド変異の結果、参照配列によりコードされるポリペプチドにアミノ酸置換、付加、欠失、融合及び短縮が生じ得る。即ち、保存変異は核酸配列によりコードされるポリペプチドの1個以上のアミノ酸残基の保存変異即ちアミノ酸置換を生じる遺伝子の蛋白質コーディング領域の変異である。
【0071】
本明細書で使用する「挿入」又は「付加」とは天然分子に比較して夫々1個以上のアミノ酸又はヌクレオチド残基を付加するアミノ酸又はヌクレオチド配列の変異を意味する。
【0072】
本明細書で使用する「置換」とは1個以上のアミノ酸又はヌクレオチドを夫々別のアミノ酸又はヌクレオチドで置換することを意味する。
【0073】
好ましくは、好適核酸分子の変異体形は本発明のペプチドをコードする天然遺伝子とのヌクレオチド配列類似度が少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
【0074】
「プライマー」又は「核酸ポリメラーゼプライマー」とは核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が開始される条件下即ち適当な緩衝液中で適当な温度で4種の異なるヌクレオチド三リン酸と重合剤(即ちDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下にDNA合成開始点として作用することが可能な天然又は合成オリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの厳密な長さは多数の因子に依存するが、一般には15〜25ヌクレオチドである。短いプライマー分子は鋳型と共に十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためには一般により低温が必要である。プライマーは鋳型の厳密な配列を反映する必要はないが、鋳型とハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。プライマーは所望により標識してもよい。
【0075】
本発明のペプチドに関して「一致度」又は「相同度」とは最大相同百分率に達するように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に配列番号2又は4の一方における残基と一致する候補配列中のアミノ酸残基の百分率として本明細書では定義し、保存置換は配列一致とみなさない。N又はC末端伸長、欠失又は挿入はいずれも一致度又は相同度を低下するとみなさない。
【0076】
本明細書で使用する本発明のペプチドの「変異体」とは本発明のペプチドの配列に比較して1個以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失を含むアミノ酸配列をもつポリペプチドを意味する。一般に、変異は参照配列(本発明のペプチド)と変異体が全体で密接に類似し、多くの領域が一致するように限定される。このような変異体は一般に生物学的に活性であり、必然的に着目ポリペプチドと配列一致度が100%未満である。
【0077】
1好適態様では、生物学的に活性な変異体は本発明のペプチドとのアミノ酸配列一致度が少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、更に好ましくは少なくとも約85%、更に好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%である。アミノ酸置換は単一アミノ酸残基の置換が好ましい。
【0078】
本発明のペプチド(参照蛋白質)の「フラグメント」とは野生型又は参照蛋白質の完全アミノ酸配列の一部を含む蛋白質分子を意味する。
【0079】
本発明により提供されるDNAから本発明のペプチドをコードする相補的DNAクローンを作製することもできる。本発明で提供される核酸クローンを使用し、本発明のペプチドをコードするゲノムクローンを単離したり、各種資源から作製したライブラリーのスクリーニングにより任意スプライス変異体を単離することができる。
【0080】
あるいは、ライブラリーを適当なプローブでスクリーニングすることもできる。従って、本発明のペプチドをコードする核酸の1単離手段は当分野で周知の方法を使用して天然又は人工的に設計した核酸プローブで細菌ゲノムライブラリーを探査する方法である。この目的には本発明のペプチドをコードする遺伝子に由来する核酸プローブが特に有用である。核酸の例は本発明のペプチドをコードするRNA、cDNA又は単離ゲノムDNAである。限定するものではないが、このような核酸としては配列番号1と実質的に同一のヌクレオチド配列をもつ核酸、好ましくは前記配列に含まれるコーディング領域又は配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列をコードする核酸が挙げられる。
【0081】
本発明のペプチドのスプライス変異体を位置決定するためには当分野で周知の核酸増幅技術を使用することができる。これはヒトRNA又はゲノムDNAを増幅するためのプライマーとして不一致配列の周囲のDNA配列に基づくオリゴヌクレオチドを利用することにより実施される。増幅産物の寸法と配列を決定するとスプライス変異体の存在を確認することができる。更に、ハイブリダイゼーションによりヒトゲノムDNA配列を単離すると、本発明のペプチドをコードする転写産物の種々のスプライス変異体に対応するイントロンにより分離された複数のエキソンを含むDNAが得られる。核酸操作技術は一般に例えばSambrookら(1989)やAusubelら(1987,定期的に改訂)に記載されている。核酸の化学合成法は例えばBeaucageとCarruthers,Tetra.Letts.22:1859−1862,1981や、Matteucciら,J.Am.Chem.Soc.103:3185,1981に記載されている。核酸の化学合成は例えば市販自動オリゴヌクレオチド合成機で実施することができる。
【0082】
本明細書で使用する「スプライス変異体」とは2種以上のmRNAを生産するゲノムDNAの一次転写産物の異なったプロセシングにより生産される本発明のペプチドをコードする核酸の変異体を意味する。異なってプロセシングされた一次転写産物に由来するcDNAは完全アミノ酸一致領域と異なったアミノ酸配列をもつ領域をもつ本発明のペプチドをコードする。従って、同一ゲノム配列から複数の関連するmRNAと蛋白質を生産することができる。得られるmRNAと蛋白質の両者を本明細書では「スプライス変異体」と言う。
【0083】
本明細書で使用する核酸「プローブ」とは配列番号1のいずれかに記載の任意14以上の連続塩基、好ましくは前記配列に含まれるコーディング領域の相補体と同一又は前記相補体である少なくとも14、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも50個の連続塩基を含むヌクレオチド配列をもつ1本鎖DNA又はRNA又はその類似体である。更に、本発明のポリペプチドの領域をコードする完全cDNA又は配列番号1に対応する完全配列をプローブとして使用してもよい。
【0084】
本発明のプローブによる好適スクリーニング条件は温度約37℃、ホルムアミド濃度約20%及び塩濃度約5倍標準クエン酸(SSC;20×SSCはpH7.0で3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウムを含む)を含む。このような条件により、完全な相同を必要とすることなしにプローブ配列と実質的類似度をもつ配列を同定することが可能になる。
【0085】
プローブとの相同度の低い配列に対して区別しながらプローブと少なくとも70%の相同度をもつ配列を同定できるようなハイブリダイゼーション条件を選択することが好ましい。その結果、配列番号1に記載のヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列をもつ核酸が得られる。
【0086】
ライブラリーのスクリーニング後にハイブリダイゼーションシグナルを検出することにより陽性クローンを同定し、同定したクローンを制限酵素マッピング及び/又はDNA配列分析により特性決定した後、本明細書に記載する配列との比較により試験し、本発明の完全ペプチドをコードするDNAを含むか否かを確かめる。選択したクローンが不完全である場合には、これらのクローンを使用して同一又は別のライブラリーを再スクリーニングし、オーバーラップクローンを得ることができる。所望により、本発明の完全ペプチドをコードするオーバーラップクローンが得られるまでライブラリーを陽性クローンで再スクリーニングしてもよい。ライブラリーがcDNAライブラリーである場合には、オーバーラップクローンはオープンリーディングフレームを含む。ライブラリーがゲノムである場合には、オーバーラップクローンはエキソンとイントロンを含む可能性がある。いずれの場合にも、本明細書に記載するDNAとコードされる蛋白質との比較により完全クローンを同定することができる。
【0087】
従って、核酸プローブは種々の用途に有用である。他方、本発明の核酸分子の増幅用PCRプライマーとして使用することもできる。他方、例えばin−situハイブリダイゼーション又はノーザンブロットハイブリダイゼーションにより標的組織における本発明の分子の発現の検出用ツールとしても有用である。
【0088】
本発明のプローブは以下に記載するような当分野で周知の方法により標識し、種々の診断キットで使用することができる。
【0089】
「ラベル」とは化合物又は組成物と特異的に結合して検出を容易にする化合物又は組成物を意味し、標識化合物又は組成物を別の分子に特異的に結合できるようにする性質の付与も含む。「標識」とは一般に共有結合を介して特異的に結合した化合物又は組成物を意味するが、非共有相互作用を利用して化合物又は組成物をラベルで標識することもできる。従って、ラベルは直接検出可能なもの即ちラベルは放射性同位体(例えばH、14C、32P、35S、125I、131I)又は蛍光もしくは燐光分子(例えばFITC、ローダミン、ランタニド燐光体)でもよいし、間接検出可能なもの即ち酵素活性(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)又は別の分子(例えばストレプトアビジン、ビオチン、抗原、エピトープ又は抗体)とのその結合能でもよい。ラベルの組込みは種々の手段により行うことができ、即ちポリメラーゼ媒介プライマー伸長反応で放射性標識又はビオチン化ヌクレオチドを使用したり、組換え発現もしくは合成手段によるエピトープタグ法、又は抗体との結合により行うことができる。
【0090】
ラベルは直接結合してもよいし、立体障害を減らすように種々の長さのスペーサーアームを介して結合してもよい。本発明の目的には多様な標識試薬の任意のものを使用することができる。例えば、1種以上の標識ヌクレオシド三リン酸、プライマー、リンカー又はプローブを使用することができる。免疫蛍光分析技術については参考資料として本明細書に組込むDeLuca,“Immunofluorescence Analysis”,in Antibody As a Tool,Marchalonicsら編,John Wiley & Sons,Ltd.,pp.189−231(1982)に記載されている。
【0091】
ラベルなる用語は標識分子に特異的に結合できる「タグ」を意味する場合もある。例えば、ビオチンをタグとして使用する場合には、タグに結合するためにアビジン化又はストレプトアビジン化西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を使用し、発色基質(例えばテトラメチルベンズアミン)を使用してHRPの存在を検出することができる。同様に、タグはエピトープ又は抗原(例えばジゴキシゲニン)でもよいし、酵素、蛍光又は放射性標識抗体を使用してタグに結合してもよい。
【0092】
本発明の1態様では、本明細書に開示する本発明のペプチドをコードするcDNAは配列番号1と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。本発明の蛋白質をコードする好適cDNA分子は配列番号1と同一のヌクレオチド配列、好ましくは本明細書に記載するコーディング領域を含む。
【0093】
本発明の別の態様は配列番号2又は3と実質的に同一のアミノ酸配列をコードする参照ヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列をもつ核酸に関する。
【0094】
ハイブリダイゼーションとは染色体DNAに天然に存在する結合に類似する水素結合を介して核酸の相補鎖(即ちセンス:アンチセンス鎖又はプローブ:ターゲットDNA)が相互に結合することを意味する。所定プローブをターゲットDNAとハイブリダイズするために使用するストリンジェンシーレベルは当業者が容易に変えることができる。
【0095】
本明細書において「ストリンジェントハイブリダイゼーション」なる用語はポリ核酸ハイブリッドが安定な条件を表すために使用する。当業者に公知の通り、ハイブリッドの安定性はハイブリッドの融点(T)で表される。Tは式:
81.5℃−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−600/l
(式中、lはハイブリッドのヌクレオチド長である)により概算することができる。Tは配列相同度が1%減る毎に約1〜1.5℃低下する。一般に、ハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度と温度に依存する。一般に、低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイゼーション反応を実施した後に、より高い別のストリンジェンシーで洗浄する。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーとはこのような洗浄条件を言う。
【0096】
本明細書で使用する「中等ストリンジェントハイブリダイゼーション」なる用語はターゲットDNAと約60%、好ましくは約75%、より好ましくは約85%の一致度をもつ相補的核酸とターゲットDNAを結合させることができる条件を意味し、ターゲットDNAとの一致度が約90%を上回ることが特に好ましい。中等ストリンジェント条件は42℃で50%ホルムアミド、5×Denhart溶液、5×SSPE、0.2%SDS中でハイブリダイゼーション後に65℃で0.2×SSPE、0.2%SDSで洗浄するのに等価の条件である。
【0097】
「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」なる用語は65℃の0.018M NaCl中で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する(即ち本明細書ではハイブリッドが65℃の0.018M NaCl中で不安定ならば高ストリンジェンシー条件下で不安定であるとみなす)。高ストリンジェンシー条件は例えば42℃で50%ホルムアミド、5×Denhart溶液、5×SSPE、0.2%SDS中でハイブリダイゼーション後に65℃で0.1×SSPE、0.1%SDSで洗浄することにより提供することができる。
【0098】
「低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」なる用語は42℃で10%ホルムアミド、5×Denhart溶液、6×SSPE、0.2%SDS中でハイブリダイゼーション後に50℃で1×SSPE、0.2%SDSで洗浄するのに等価の条件を意味する。
【0099】
Denhart溶液とSSPE(例えばSambrook,Fritsch,and Maniatis,in:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989参照)は他の適当なハイブリダイゼーション緩衝液と同様に当業者に周知である。例えば、SSPEはpH7.4リン酸緩衝液、0.18M NaClである。SSPEは例えばNaCl 175.3g、NaHPO 27.6g及びEDTA 7.4gを水800mlに溶かし、pHを7.4に調整した後に水を加えて1リットルとすることにより20倍ストック溶液として調製することができる。Denhart溶液(例えばDenhart(1996)Biochem.Biophys.Res.Commun.23:641参照)は例えばFicoll(Type 400,Pharmacia LKB Biotechnology,INC.,Piscataway N.J.)5gとポリビニルピロリドン5gとウシ血清アルブミン(フラクションV;Sigma,St.Louis Mo.)5gを混合した後に水を加えて500mlとし、粒状物を濾去することにより50倍ストック溶液として調製することができる。
【0100】
本発明のポリペプチドをコードする好適核酸は中等ストリンジェント、好ましくは高ストリンジェンシー条件下で配列番号1に記載の核酸配列の実質的に完全配列又は実質的部分(即ち一般に少なくとも15〜30ヌクレオチド)とハイブリダイズする。
【0101】
本発明の核酸は当分野で周知の種々の方法により生産することができ、例えば配列番号1の種々の領域に由来するオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCR増幅等を利用して本明細書に記載する方法により生産することができる。
【0102】
本明細書で使用する「発現」とはポリ核酸がmRNAに転写され、ペプチド、ポリペプチド又は蛋白質に翻訳されるプロセスを意味する。ポリ核酸がゲノムDNAに由来する場合には、適切な真核宿主細胞又は生物を選択するならば発現はmRNAのスプライシングを含むことができる。
【0103】
本発明のポリペプチドの作製手段の1例は当分野で周知の方法を使用して細菌細胞等の適当な宿主細胞で本発明のポリペプチドをコードする核酸を発現させ、発現されたポリペプチドを同じく周知方法で回収する。本発明のポリペプチドは本発明のペプチド又はそのフラグメント/部分をコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換させた細胞から直接単離することができる。
【0104】
クローニングしたDNAを適当な発現ベクターに組込み、各々1個以上の別個遺伝子をコードするプラスミドベクターもしくはプラスミドベクター組合せ又は直鎖DNAを真核細胞にトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を選択する方法は当分野で周知である(例えばSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。本発明の核酸構築物を含む発現ベクターを宿主細胞に導入(形質導入)し、形質導入した組換え細胞(即ち組換え異種核酸を含む細胞)を生産するのに適した手段は当分野で周知である(例えば各々参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むFriedmann,1989,Science,244:1275−1281;Mulligan,1993,Science,260:926−932参照)。
【0105】
形質導入法の例としては例えばウイルスベクターを利用した感染(例えば米国特許第4,405,712号及び4,560,764号参照)、リン酸カルシウムトランスフェクション(米国特許第4,399,216号及び4,634,665号参照)、デキストラン硫酸トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション(例えば米国特許第4,394,448号及び4,619,794号参照)、サイトフェクション、粒子ビーズボンバードメント等が挙げられる。異種核酸は場合によりその染色体外(即ちエピソーム)維持を可能にする配列を含んでいてもよいし、異種核酸は宿主のゲノムに組込まれる供与核酸でもよい。その後、DNAによりコードされる本発明のペプチドを発現させる条件下で組換え細胞を培養することができる。好適細胞としては哺乳動物細胞(例えばHEK293、CHO及びLtk−細胞)、酵母細胞(例えばPichia pastoris等のメチロトローフ酵母細胞)、細菌細胞(例えば大腸菌)等が挙げられる。
【0106】
適当な発現ベクターは当分野で周知であり、該当DNAの発現を調節することが可能なプロモーター領域等の調節配列に機能的に連結したDNAを発現させることが可能なベクターが挙げられる。従って、発現ベクターとは適当な宿主細胞に導入すると、挿入したDNAを発現させる組換えDNA又はRNA構築物(例えばプラスミド、ファージ、組換えウイルス又は他のベクター)を意味する。適当な発現ベクターは当業者に周知であり、真核細胞及び/又は原核細胞で複製可能なものや、エピソームに維持されるものや、宿主細胞ゲノムに組込まれるものが挙げられる。
【0107】
真核及び/又は原核発現ベクターの例としてはpSV−2gpt系(Mulliganら,1979,Nature,277:108−114)、Okayama−Berg系(Mol.Cell Biol.,2:161−170)、Genetics Instituteにより記載された発現クローニングベクター(1985,Science,228:810−815)及び種々の市販プラスミドベクター(例えばpUCやpBC)等の真核カセットが挙げられる。これらのプラスミドベクターは各々本発明の目的蛋白質の発現を促進することが可能である。
【0108】
本明細書で使用する「異種又は外来DNA及び/又はRNA」は同義に使用し、該当DNA又はRNAが存在している細胞のゲノムの部分として天然に存在しないDNAもしくはRNA又は天然に存在するものとは異なるゲノムの位置に存在するDNAもしくはRNAを意味する。一般に、異種又は外来DNA及びRNAとは宿主細胞に内在せず、人工的に細胞に導入されたDNA又はRNAを意味する。異種DNAの例としては本発明のペプチドをコードするDNAが挙げられる。
【0109】
好適態様では、DNAをベクターにライゲートし、本発明のペプチド又はそのフラグメントを発現する形質転換細胞系を生産するのに適した宿主細胞に導入する。その後、得られた細胞系を大量に生産し、受容体機能に及ぼす薬剤の効果を再現可能に定量分析できる。
【0110】
他の態様では、本発明のペプチドをコードするDNAのin vitro転写によりmRNAを生産することができる。このmRNAをその後、アフリカツメガエル卵母細胞に注入すると、RNAは本発明のペプチドの合成を誘導する。あるいは、本発明のペプチドをコードするDNAを卵母細胞に直接注入し、本発明の機能的ペプチドを発現させることもできる。トランスフェクトした哺乳動物細胞又は注入した卵母細胞はその後、本明細書に記載する薬剤スクリーニング法で使用することができる。
【0111】
DNA又はRNAを導入することができる真核細胞としてはこのようなDNA又はRNAをトランスフェクトすることが可能であるかあるいは前記DNA又はRNAを注入可能な任意細胞が挙げられる。好適細胞は一過的又は安定的にトランスフェクトできると共にDNAとRNAを発現する細胞である。本発明の最も好適な細胞は異種DNAによりコードされる組換え又は異種ウラシル輸送体蛋白質又はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素を発現することができる細胞である。このような細胞は経験的に識別することもできるし、トランスフェクト又は注入が容易であることが知られている細胞から選択してもよい。
【0112】
DNAを導入する細胞の例としては哺乳動物由来細胞(例えばCOS細胞、マウスL細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎細胞、アフリカミドリザル細胞及び当業者に公知の他の類似細胞)、両生類細胞(例えばアフリカツメガエル卵母細胞)、酵母細胞(例えばSaccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris)等が挙げられる。注入したRNA転写産物を発現させる細胞の例としてはアフリカツメガエル卵母細胞が挙げられる。DNAのトランスフェクションに好適な細胞は当業者に公知であるか又は経験的に識別することができ、HEK293、Ltk−細胞、COS細胞及びDG44細胞(dhrfCHO細胞;例えばUrlaubら(1986)Cell.Molec.Genet.12:555参照)が挙げられる。本明細書に記載する本発明のペプチドをコードするDNAを発現させるための他の哺乳動物発現系(市販系や当業者に公知の他の類似系を含む)も好適である。
【0113】
当分野で公知の方法を使用して核酸分子を細胞に安定的に組込むか又は一過的に導入することができる。選択マーカー遺伝子(例えばチミジンキナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性等の遺伝子)をもつ発現ベクターを細胞にトランスフェクトし、マーカー遺伝子を発現する細胞に選択的な条件下にトランスフェクト細胞を増殖させることにより、安定的にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を作製することができる。このような細胞を生産するためには、異種DNAによりコードされる本発明のペプチドを形成するために十分な濃度の本発明のペプチドをコードする核酸を細胞にトランスフェクトすべきである。本発明のペプチドをコードするDNAの厳密な量と割合は経験的に決定し、特定細胞及びアッセイ条件に合わせて最適化することができる。
【0114】
異種DNAはエピソームエレメントとして細胞に維持してもよいし、細胞の染色体DNAに組込んでもよい。その後、得られた組換え細胞を培養するか又はこのような培養物もしくはその継代培養物から継代培養することができる。トランスフェクション、注入及び組換え細胞の培養方法は当業者に公知である。同様に、当業者に公知の蛋白質精製法を使用して本発明のペプチドを精製することができる。例えば、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体又は他のリガンドを使用して本発明のペプチドをアフィニティー精製することができる。
【0115】
上記に従い、本発明のペプチドをコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトする。ノーザンブロット又はスロットブロット分析等の方法を使用し、本発明のペプチドをコードするDNA又はRNAを含むトランスフェクト細胞を選択することができる。トランスフェクト細胞を分析し、本発明のペプチドを発現する細胞を識別することもできる。uraAによりコードされる蛋白質については、例えばその結合パートナー即ち細菌ウラシル輸送体蛋白質に対して免疫反応性の抗体との細胞の結合能を測定することにより分析を実施することができる。
【0116】
本明細書で使用する本発明のペプチドの活性とはネズミチフス菌に由来するウラシル輸送体蛋白質又はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの特徴を表す任意活性を意味する。このような活性は例えば放射性標識ウラシル取込み(ウラシル輸送活性)を測定するアッセイや、ガスクロマトグラフィー/質量分析によるウラシルとウリジンの直接測定(ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼによるウラシル−ウリジン変換)等の当業者に公知の任意方法により測定することができる。
【0117】
本発明のペプチド、生物学的に活性なフラグメント及びその機能的等価物は化学的合成により生産することもできる。例えば、Applied Biosystems,Inc.Model 430A又は431A自動ペプチド合成機(Foster City,Calif.)を使用し、製造業者により記載されている化学反応を利用して合成ポリペプチドを生産することができる。
【0118】
mRNAの翻訳を阻止するように本発明のペプチドの任意の一つをコードするmRNAの任意部分と特異的に結合することが可能なヌクレオチド配列をもつアンチセンスオリゴヌクレオチドも提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明のポリペプチドをコードするcDNAの配列の任意部分と特異的に結合することが可能な配列をもつことができる。
【0119】
本発明の更に別の態様によると、本発明のペプチドに対する抗体即ち本発明のペプチドのいずれかに対して特異的親和性をもつウラシル輸送体蛋白質又はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ特異抗体も提供される。抗体の活性フラグメントも「抗体」の定義に含む。
【0120】
このような抗体は本発明のポリペプチド、蛋白質又はその部分を抗原として使用して当分野で公知の方法により生産することができる。例えば、参考資料として本明細書に組込むHarlowとLane,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laborabory(1988))に記載されているような当分野で周知の方法によりポリクローナル及びモノクローナル抗体を生産することができる。このような抗体を作製する際に本発明のポリペプチドを免疫原として使用することができる。あるいは、(市販合成機を使用して)合成ペプチドを作製し、免疫原として使用することもできる。当分野で周知の方法によりアミノ酸配列を分析し、対応するポリペプチドの疎水性又は親水性ドメインをコードするか否かを調べることができる。キメラ、ヒト化、CDR−グラフト又は二官能性抗体等の改変抗体も当分野で周知の方法により生産することができる。このような抗体も例えばSambrookら,前出及びHarlowとLane,前出に記載のハイブリドーマ、化学合成又は組換え法により生産することができる。抗ペプチド及び抗融合蛋白質抗体のどちらも使用することができる(例えば参考資料として本明細書に組込むBahouthら,Trends Pharmacol.Sci.12:338(1991);Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,N.Y.(1989)参照)。
【0121】
こうして生産した抗体を特に診断法及びシステムで使用し、試料中に存在する本発明のペプチドの濃度を検出することができる。
【0122】
このような抗体は本発明のポリペプチドの免疫アフィニティー又はアフィニティークロマトグラフィー精製に使用することもできる。更に、細胞表面における本発明のポリペプチドの存在の検出方法も本発明に含まれ、本方法は抗体を少なくとも1種の本発明のポリペプチドに結合させる条件下で前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体と細胞を接触させ、細胞に結合した抗体の存在を検出することにより細胞表面における本発明のポリペプチドの存在を検出する。このようなポリペプチドの検出に関連して、in vitro診断又はin vivoイメージング法に抗体を使用することができる。
【0123】
試料中の本発明のポリペプチドのin vitro検出に有用な免疫学的方法としては、検出可能な抗体を利用するイムノアッセイが挙げられる。このようなイムノアッセイとしては例えば当分野で周知のELISA、Pandexマイクロフルオロメトリーアッセイ、凝集アッセイ、フローサイトメトリー、血清診断アッセイ及び免疫組織化学染色法が挙げられる。当分野で周知の種々の手段により抗体を検出可能にすることができる。例えば、検出可能なマーカーを抗体に直接又は間接的に結合することができる。有用なマーカーとしては例えば放射性核種、酵素、蛍光原、色素及び化学発光ラベルが挙げられる。
【0124】
本発明のペプチドの「免疫学的活性フラグメント」も本発明に含まれる。このようなフラグメントはターゲット免疫系(例えばマウス又はウサギ)で本明細書に開示する本発明の2種のペプチドのいずれかに特異的な抗体を生成することが可能であるか又はウラシル輸送体もしくはウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ特異抗体との結合を天然ペプチドと競合することが可能な蛋白質であり、従って、例えば生体試料中のヒトオロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの存在のイムノアッセイに有用である。
【0125】
本発明の核酸、オリゴヌクレオチド(アンチセンスを含む)、これらを含むベクター、形質転換宿主細胞、ポリペプチド及びその組合せ並びに本発明の抗体を使用して化合物をin vitroスクリーニングし、化合物が本発明のペプチドの潜在的アゴニスト又はアンタゴニストとして機能するか否かを調べることができる。
【0126】
本発明の別の態様によると、適当なパッケージング材料中に少なくとも1種の本発明の核酸を含む好ましくはキット形態の診断システムが提供される。診断用核酸は本明細書に記載する本発明のペプチドをコードする核酸に由来する。1態様では、例えば診断用核酸は配列番号1に由来する。別の態様では、核酸は本明細書に記載するコーディング領域に由来する。本発明の診断システムは本発明のペプチドをコードするゲノムDNA又は転写核酸(例えばmRNA又はcDNA)における本発明のペプチドをコードする核酸の有無をアッセイするのに有用である。
【0127】
利用可能な診断システムは少なくとも1回のアッセイに十分な量の個別にパッケージした化学試薬として少なくとも1種の本発明の核酸、好ましくは2種以上の本発明の核酸を含む。一般にパッケージした試薬の使用説明書も含む。当業者は本明細書に記載するような本発明の方法を実施するのに適した緩衝液及び溶液と共に本発明の核酸プローブ及び/又はプライマーを適切なキット形態に容易に組込むことができる。
【0128】
別の側面では、本明細書に開示する本発明の核酸は外生及び内生化合物の変異原性能を調べるためにネズミチフス菌における微生物フォワード突然変異アッセイで有用である。アッセイは、両酵素の基質である5−フルオロウラシルの毒性作用に対する耐性により選択可能な、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ又はウラシル輸送体遺伝子の突然変異としてスコアすることができる。この微生物突然変異アッセイは試験化合物の高スループットスクリーニングに適した簡便で迅速な突然変異アッセイを提供することができる。
【0129】
現在利用可能な化学療法計画が殆どの種類の癌を治癒できない原因は主に薬剤耐性にある。有意義なことに、化学療法剤代謝拮抗剤である5−フルオロウラシルは主にピリミジン生合成の経路で主要段階を阻害する。簡単に言うと、これらの経路の阻害はDNAの構成ブロックの欠乏に続いてDNA合成の阻害を招き、細胞型に応じて迅速又は最終的にDNA鎖切断を誘導する。5−フルオロウラシルの詳細な作用メカニズムはKinsellら,Br.J.Cancer,75:935−945とその引用文献に既に広く記載されている。
【0130】
上記の結果として、本発明は5−フルオロウラシル等の代謝拮抗剤治療に対する癌細胞の感受性を改善するための方法を提供する。実際に、本発明の1態様は抗癌剤の治療効力の改善方法に関し、本方法は前記抗癌剤治療に対して前記細胞を感作するために十分な治療的に有効な量の配列番号1の核酸分子、好ましくは配列番号2の蛋白質であるウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質又は実質的に類似配列又はその変異体をコードするコーディング領域を抗癌剤治療に反応性の細胞即ち膀胱癌細胞にトランスフェクトする。
【0131】
抗癌剤は5−フルオロウラシル又は配列番号2の蛋白質をコードする本明細書に開示するヌクレオチド配列の作用を受けて代謝産物を介して非毒性物質に変換することが可能な他の任意の物質とすることができる。
【0132】
同様に、本発明の別の態様は5−フルオロウラシル治療に反応性の病態(例えば膀胱癌等)を緩和するように設計された治療計画の進行の追跡方法を提供し、配列番号2の蛋白質をコードする核酸分子による治療(細胞トランスフェクション)の前後に癌細胞試料をアッセイし、配列番号1、好ましくはウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードするコーディング領域の遺伝子産物による5−フルオロウラシルの活性化の結果である活性化/非毒性代謝産物即ち5−フルオロウリジン5’一リン酸の濃度を比較する。これを経時的におこなって比較する。
【0133】
一般に、代謝産物の生産レベルの経時的増加が治療プロトコールの効力を示す。換言するならば、配列番号1、好ましくは配列番号2の蛋白質をコードする配列番号1のコーディング部分、特にヌクレオチド215〜841又はこれに実質的に類似する配列番号を細胞にトランスフェクトした後に代謝産物濃度が経時的に増加するならば、遺伝子治療法は抗癌剤治療に対して細胞を感作するのに成功し、従って患者に有益であることを示唆している。
【0134】
以上、添付図面を参考に本発明の好適態様について説明したが、当然のことながら本発明はこれらの厳密な態様に制限されず、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲又は趣旨から逸脱せずに当業者は種々の変更及び変形を加えることが可能である。
【実施例1】
【0135】
ネズミチフス菌からウラシル輸送体蛋白質をコードするDNAとウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードするDNAの単離
まずQiagen DNeasy Tissue Kit(カタログ番号69504)を製造業者により記載されているように使用してネズミチフス菌TA100からゲノムDNAを得た。まずSalmonella UPP遺伝子を単離しようとして既知大腸菌UPRT遺伝子配列(GenBank accession X57104)の両側のPCRプライマーを設計した。これらのプライマーは大腸菌配列と相同であり(フォワード:5’−TTT GTG GCT GCC CCT CAA AGG3’;リバース:5’AAA AGC CGA CTC TTA AAG TCG GCT T3’)、数回試みたが、精製ゲノムDNAからSalmonella UPP遺伝子を増幅できないことがわかった。次に、大腸菌UPP遺伝子をヌクレオチドBLAST検索エンジン(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)に入力した処、purN及びpurI遺伝子配列(accession U68765.1)についてSalmonella GenBankサブミッションの小部分と88%相同を示した。大腸菌UPPの約50%がこのSalmonella purN及びpurI配列の末端に存在していた。Salmonella UPP配列の前半を大腸菌UPP配列の後半と整列させることにより、仮想UPPハイブリッドを構築した。次にフォワードプライマーがSalmonella配列(フォワード1:5’TTT GTG GTT GCC AGT CAT CTG AGG3’;フォワード2:5’ATC CAG GTC AAG CAT ACA TTG TGT TG3’;フォワード3:5’AGG ATA TCC AGC ACT TGG TTT ACG AC3’)と相同となり、数個のリバースプライマーが大腸菌配列(リバース1:5’CTG GAT CGC GCA GCA GAT CTT TTT T3’;リバース2:5’ATA AGC CGG AAT TTT CCC TTT3’;リバース3:5’CCC CGC TTT CTT CAC GAT AAA AGA AA3’)と相同になるようにPCRプライマーを設計した。これらの大腸菌プライマーはSalmonellaでホモポリマー重合をプライミングして十分にPCR増幅できるように設計した。Salmonella TA100から増幅して予想寸法のPCR産物が得られ、その後、配列決定した処、Salmonella UPPヌクレオチド配列であることが判明した。異なる資源から3種のTA100培養物を得、Salmonella UPP遺伝子を増幅し、配列決定してDNA配列を確認した。Salmonella UPP配列は大腸菌配列とヌクレオチドレベルで88%相同、アミノ酸レベルで99%相同を示した。
【0136】
次に、同様のアプローチを使用してSalmonella uraA配列を配列決定した。まず、大腸菌uraA配列をGenBank(accession AE000336 U00096)から得た。驚くべきことに、大腸菌UPPはuraA開始コドンから86ヌクレオチド上流に位置することが分かった。従来決定されたSalmonella UPPヌクレオチド配列では、UPP停止コドンから下流の約800ヌクレオチドが決定され、Salmonella uraA遺伝子の約半分であった。決定されたSalmonella配列(フォワード1:5’AAA CCA CTC ATA ACA AAC ACA CTT AG3’;フォワード2:5’CGG TGT TCG GCT CCG TAC TGT3’)と相同となるようにSalmonellaフォワードPCRプライマーを設計した後、十分PCR増幅できるような所定相同性レベルの検出を期待してホモポリマー重合を開始するように大腸菌リバースPCRプライマーを設計した(リバース1:5’CCT CAA CCA GGA TTT CAC AAA3’;リバース2:5’GCC AGT AAA GAG GAG TTA TCC CC3’;リバース3:5’CGG AAC AAA CCA GGT GCG TTT3’)。PCR増幅は次のように実施した。94℃で2分後に、94℃で15秒、50℃で30秒、72℃で1分間を32サイクル行い、最後に72℃で3分間伸長した。増幅は成功し、その後、PCR産物を配列決定した処、Salmonella uraAヌクレオチド配列が判明した。Salmonella uraA遺伝子を増幅し、3個の独立培養物から配列決定し、コンセンサスDNA配列を得た。Salmonella uraA配列は大腸菌配列とヌクレオチドレベルで82%相同、アミノ酸レベルで93%相同であった。
【0137】
Salmonella UPP及びuraA核酸の決定後、数個のFU耐性クローンを単離し、ゲノムDNAを配列決定し、FU耐性生化学経路におけるその役割を確認した。ゲノムDNAをFU耐性クローンから単離し、UPP及びuraA遺伝子の両者をPCR増幅し、PCR産物を配列決定した。分析した全クローンはUPP遺伝子に分子欠損があり、いずれも蛋白質のアミノ酸配列が改変しており、UPPが主にSalmonellaにおけるFU耐性に関与していることが確認された。
【0138】
以上、所定の好適態様について本発明を詳細に説明したが、当然のことながら、各種変更及び変形も明細書及び特許請求の範囲に記載する発明の趣旨と範囲に含むものとする。
【0139】
配列の要約
配列番号1はネズミチフス菌に由来するウラシル輸送体蛋白質(uraA蛋白質)とウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質(UPP/UPRT)をコードする2520ヌクレオチドの複合ヌクレオチド配列である。uraAのコーディング部分はヌクレオチド929〜2218により定義され、UPRT遺伝子のコーディング領域はヌクレオチド215〜841により定義される。
【0140】
配列番号2はウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質の推定アミノ酸配列である。
【0141】
配列番号3はウラシル輸送体蛋白質の推定アミノ酸配である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】いずれもネズミチフス菌に由来する本発明のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼと本発明のウラシル輸送体蛋白質の各々をコードするヌクレオチド配列を含む複合核酸配列(DNA)を示す。
【図2】ネズミチフス菌に由来し、図1に示すヌクレオチド配列によりコードされるウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質のアミノ酸配列を示す。
【図3】ネズミチフス菌に由来し、図1に示すヌクレオチド配列によりコードされるウラシル輸送体蛋白質のアミノ酸配列を示す。

Claims (36)

  1. 細菌源に由来するウラシル輸送体蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子であって、ヌクレオチド配列が、
    (a)配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むウラシル輸送体蛋白質をコードするヌクレオチド配列、
    (b)ウラシル輸送体蛋白質をコードし、配列番号1に記載のヌクレオチド配列の相補体と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、DNAである場合にはその単離源である細菌株に内在するmRNAと完全に相補的であり、RNAである場合にはこれに一致するヌクレオチド配列、
    (c)配列番号2に記載のアミノ酸配列をもつ蛋白質をコードするヌクレオチド配列、
    (d)(a)、(b)又は(c)のウラシル輸送体蛋白質をコードする配列に対するヌクレオチド縮重配列から構成される群から選択される前記単離核酸分子。
  2. 細菌源に由来するウラシル輸送体蛋白質のスプライス変異体をコードするコーディング領域を含む単離核酸分子であって、ウラシル輸送体蛋白質が配列番号1に記載のヌクレオチド配列によりコードされる前記単離核酸分子。
  3. 単離核酸分子がゲノムDNAである請求項1に記載の単離核酸分子。
  4. 前記単離核酸分子がmRNAである請求項1に記載の単離核酸分子。
  5. 前記単離核酸分子がcDNAである請求項1に記載の単離核酸分子。
  6. 配列番号3に記載のアミノ酸配列をもつウラシル輸送体蛋白質をコードする単離核酸分子。
  7. 細菌源に由来するウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子であって、ヌクレオチド配列が、
    (a)配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードするヌクレオチド配列又はそのコーディング部分、
    (b)ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードし、配列番号1に記載のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードするコーディング領域により規定されるヌクレオチド配列の相補体と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、DNAである場合にはその単離源である細菌株に内在するmRNAと完全に相補的であり、RNAである場合にはこれに一致するヌクレオチド配列、
    (c)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
    (d)(a)、(b)又は(c)のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードする配列に対するヌクレオチド縮重配列から構成される群から選択される前記単離核酸分子。
  8. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードする単離核酸分子のスプライス変異体であるヌクレオチド配列によりコードされる実質的に純粋なポリペプチド。
  9. 配列番号2又は3の一方に記載のアミノ酸配列を含む実質的に純粋なポリペプチド。
  10. 前記ポリペプチドが配列番号2に記載のアミノ酸配列から構成される請求項9に記載のポリペプチド。
  11. 前記ポリペプチドが配列番号3に記載のアミノ酸配列から構成される請求項9に記載のポリペプチド。
  12. 宿主細胞における核酸分子の発現を調節する調節ヌクレオチド配列に機能的に連結した請求項1に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  13. 宿主細胞における核酸分子の発現を調節する調節ヌクレオチド配列に機能的に連結した請求項7に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  14. 請求項1に記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクトした宿主細胞。
  15. 請求項7に記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクトした宿主細胞。
  16. 細菌由来ウラシル輸送体蛋白質をコードするDNA配列の同定方法であって、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む標識プローブでcDNAライブラリー又はゲノムライブラリーを探査する段階と、プローブに対して有意相同度をもつ配列をライブラリーから回収する段階を含む前記方法。
  17. 細菌由来ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質をコードするDNA配列の同定方法であって、配列番号2の蛋白質をコードするコーディング領域により規定されるヌクレオチド配列を含む標識プローブでcDNAライブラリー又はゲノムライブラリーを探査する段階と、プローブに対して有意相同度をもつ配列をライブラリーから回収する段階を含む前記方法。
  18. ウラシル輸送体蛋白質の同定方法であって、
    (a)請求項1に記載の核酸分子を真核細胞に導入する段階と、
    (b)導入した核酸分子によりコードされるポリペプチドにより媒介されるヌクレオシド輸送体活性を段階(a)の細胞で検出する段階を含む前記方法。
  19. 生体試料中のウラシル輸送体蛋白質メッセンジャーRNAの検出方法であって、
    (a)配列番号1に記載の核酸配列と前記メッセンジャーRNAの複合体を形成させる条件下で前記核酸配列の全部又は一部を生体試料と接触させる段階と、
    (b)前記複合体を検出する段階と、
    (c)前記メッセンジャーRNAのレベルを測定する段階を含む前記方法。
  20. 生体試料中のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質メッセンジャーRNAの検出方法であって、
    (a)配列番号1に記載の核酸配列と前記メッセンジャーRNAの複合体を形成させる条件下で前記核酸配列の全部又は一部を生体試料と接触させる段階と、
    (b)前記複合体を検出する段階と、
    (c)前記メッセンジャーRNAのレベルを測定する段階を含む前記方法。
  21. 段階1の核酸配列が配列番号1のヌクレオチド215〜841の領域をコードするウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質により規定される請求項20に記載の方法。
  22. 生体試料中のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ蛋白質の検出方法であって、(i)プローブ/遺伝子産物複合体の形成を助長する条件下で請求項7に記載の単離核酸分子の遺伝子産物に特異的な検出可能なプローブと前記蛋白質を含む疑いのある試料を接触させる段階と、(ii)前記複合体を検出する段階を含む前記方法。
  23. プローブが抗体である請求項22に記載の方法。
  24. 前記抗体が放射性ラベル又は酵素で標識されている請求項23に記載の方法。
  25. 配列番号1に記載のヌクレオチド配列に相補的なアンチセンス配列をコードし、細胞における前記ヌクレオチド配列の遺伝子産物の翻訳を阻害するオリゴヌクレオチドであって、遺伝子産物が配列番号3に記載のウラシル輸送体蛋白質又は配列番号2に記載のウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼの一方である前記オリゴヌクレオチド。
  26. 抗癌剤の治療効力の改善方法であって、前記抗癌剤治療に対して前記細胞を感作するために十分な治療的に有効な量の請求項7に記載の核酸分子を前記抗癌剤治療に反応性の細胞にトランスフェクトする段階を含む前記方法。
  27. 前記抗癌剤が5−フルオロウラシルである請求項26に記載の方法。
  28. 5−フルオロウラシル治療に反応性の病態を緩和するように設計された治療計画の進行の追跡方法であって、
    (a)請求項7に記載の核酸分子の遺伝子産物である5−フルオロウラシル変換酵素による治療後に対象からの細胞試料をアッセイし、前記遺伝子産物による前記5−フルオロウラシルの活性化に起因する5−フルオロウリジン5’一リン酸のレベルを第1の時点で定量する段階と、
    (b)5−フルオロウリジン5’一リン酸のレベルを第2の時点で定量する段階と、
    (c)治療計画の効果の判定として(a)で測定したレベルと第2の時点の前記レベルを比較する段階を含む前記方法。
  29. 請求項1に記載の核酸分子又はその相補鎖を含むプローブ。
  30. 検出可能なマーカーで標識した請求項29に記載のプローブ。
  31. 請求項1に記載の核酸分子の遺伝子産物と結合することが可能な化合物のスクリーニング方法であって、
    (a)組換え核酸から配列番号2に記載のアミノ酸を含むポリペプチドを発現させる段階と、
    (b)1種以上の試験化合物を含む試験調製物を前記ポリペプチドに加える段階と、
    (c)前記試験調製物が前記ポリペプチドに結合する能力を測定する段階を含む前記方法。
  32. 前記段階(b)及び(c)をin vitroで実施する請求項31に記載の方法。
  33. 全細胞を使用して前記段階(a)、(b)及び(c)を実施する請求項31に記載の方法。
  34. 請求項1又は7に記載の核酸分子の遺伝子産物に対して免疫反応性の抗体。
  35. ポリクローナルである請求項34に記載の抗体。
  36. モノクローナルである請求項34に記載の抗体。
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