JP2005504550A - 細胞周期位置を決定する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、生細胞の細胞周期位置を決定するための、新規、非破壊的および動力学的方法を提供する。当該発明はまた、DNA構成物、および当該構成物を含み細胞周期特異的に検出可能なレポーター分子の活性化および不活性化を示す細胞系統を提供する。そのため、本発明は、既存技術よりもより正確に細胞周期相状態を決定し得、更に、各細胞における細胞周期進行の連続的モニタリングの方法を提供する。

Description

【0001】
技術分野
本発明は、生細胞の細胞周期位置(cell cycle position)を決定するための新規、非破壊的および動力学的方法に関する。
【0002】
背景技術
真核細胞の細胞分裂は、G1、S、G2およびMと呼ばれる連続的な相を含む、高度にコントロールされた細胞周期を通して進行する。細胞周期または細胞周期コントロールの崩壊は、増殖の正常コントロールに非応答性である非常に侵襲性の細胞中に増殖制限した細胞を形質転換する複数の遺伝学的変化から生ずる癌のような、細胞異常または疾患を生じ得る。正常細胞の癌細胞への移行は、DNA複製およびDNA修復機構における校正機能の喪失により生じ得る。分裂細胞はすべて、細胞周期チェックポイントとして知られる、異常型細胞を停止または破壊を誘発することにより遺伝学的完全性を維持する、多くのコントロール機構下に置かれている。細胞周期の進行およびコントロールの調査は、従って抗癌剤の設計に重要である(Flatt, P. M and Pietenpol, J.A. Drug Metab. Rev. (2000), 32(3-4), 283-305; Buolamwini, J.K. Current Pharmaceutical Design, (2000), 6, 379-392)。
【0003】
細胞周期の状態の正確な決定は、細胞周期に影響するか、または細胞周期位置に依存する細胞のプロセスの調査の鍵となる要件である。その測定は、薬剤スクリーニングの適用に特に重要であり、ここで:
i)細胞周期の進行を直接または間接的に修飾する物質は、例えば、抗癌処置の可能性についての研究に望ましい;
ii)薬剤候補の、細胞周期の進行に望ましくない影響はチェックされるべきである;および/または
iii)物質(agent)は、細胞周期の特定の相において細胞に対し活性または不活性であると推測される。
【0004】
従来、細胞群の細胞周期の状態は、細胞核のDNA含有物を染色する蛍光色素を用いるフローサイトメトリーにより測定された(Barlogie, B. et al, Cancer Res., (1983), 43 (9), 3982-97)。フローサイトメトリーは、細胞のDNA含有物の定量的な情報を生じ、ここでは、細胞周期のG1、SおよびG2+M相における相対的な細胞数を決定し得る。しかし、この分析は、破壊的な非動力学的方法であり、時間とともに細胞周期の状態を決定するためには一群の連続的サンプリングを必要とする。更に、標準的なフローサイトメトリー技術は、サンプル中のすべての細胞群を調査し、個々の細胞については制限的なデータしか得られないものであり、従って分析中の試料内に存在し得る種々の細胞型の細胞周期の状態の研究は不可能である。
【0005】
EP798386は、異種性細胞サンプル中に存在する部分-細胞集団(cell sub-population)の細胞周期の分析の方法を記載する。この方法は、特定の細胞型を同定するため蛍光的に標識したモノクローナル抗体および核酸に特異的に結合する蛍光色素を伴うサンプルの連続的インキュベーションを用いる。これにより、サンプル中に存在する細胞の部分集団の細胞周期分布が決定され得る。しかし、この方法がフローサイトメトリーを使用するため、非動力学的データのみを得、細胞周期の進行に対する効果の調査しようとする物質にさらした後に時間にともなう細胞群の細胞周期の状態の変化を決定するためには、細胞の別々のサンプルにおいて行われる連続的な測定を必要とする。
【0006】
フローサイトメトリー技術の更なる不利な点は、DNA含有量に基づいて細胞の細胞周期位置を間接的、および推測的に割り当てること(assignment)に関連する。細胞核のDNA含有量は、細胞周期を通して合理的に予測可能な型で変わるため、すなわち、G2またはMの細胞はG1の細胞の2倍のDNA含有量を有し、S相でDNA合成を行う細胞は中間的な量のDNAを有するため、細胞周期の種々の相間の細胞の相対的分布をモニターすることができる。しかし、当該技術は、任意の個々の細胞の細胞周期位置の決定において正確とはなり得ない。それは、G2またはM相への細胞の割り当てが曖昧であるためであり、更に細胞周期で隣接する相間の境界に近い細胞間の正確な識別がそもそも困難であるなどの群内の個々の細胞の固有のDNA含有量が相違することからから生ずるさらなる不正確性のためである。更に、種々の組織または器官由来の種々の細胞型間のDNA含有量およびDNA染色性の相違は、当該技術が各細胞型について最適化されることを必要し、そして細胞型間または実験間のデータの直接の比較を複雑にし得る(Herman, Cancer (1992),69 (6), 1553-1556)。そのため、フローサイトメトリーは、群内での細胞の全体的な細胞周期分布の調査に適当であるが、時間にわたる各細胞の正確な細胞周期の状態のモニターに使用することはできない。
【0007】
細胞周期の進行は、細胞周期間で高い動力学的挙動を示す多くの細胞周期レギュレーターの明確に定められた時間的および空間的発現、位置および破壊によりしっかりとコントロールされる(Pines, J., Nature Cell Biology, (1999), 1, E73-E79)。例えば、特定の細胞周期段階では、幾つかのタンパク質は、核から細胞質にトランスロケートするか、またはその逆となり、その幾つかは迅速に崩壊する。既知の細胞周期コントロールコンポーネントおよび相互作用の詳細については、Kohn, Molecular Biology of the Cell (1999), 10,2703-2734参照。
【0008】
最も詳しく解明されている、ヒト細胞中の細胞周期レギュレーターの1つは、サイクリンB1であり、その時間的および空間的な発現および破壊は、G2からMへの細胞変化およびMから抜け出すのをコントロールする。サイクリンB1の発現は、細胞周期相特異的プロモーターにより行われ、S相の最後で発現を開始しG2間でピークとなる。一旦発現すると、このタンパク質は、G2相で核および細胞質間で頻繁に往復するが、それは、排出の割合が搬入よりも大きいため本来は細胞質にある。有糸分裂の開始において、サイクリンB1は、リン酸化依存の形式で、搬入の割合が実質的に増加し排出が減少すると、核中に迅速にトランスロケートする(図1)。そのため、細胞中のサイクリンB1の局在性を用い、G2相から有糸分裂への変化をマークし得る。一旦、細胞が中期に到達すると、またはより正確にはスピンドルアセンブリチェックポイントが満たされると、サイクリンB1は非常に迅速に分解される。サイクリンB1崩壊は、次のG1相を通して続くが、細胞がDNA複製を始めると止まる。これらのイベントは、蛍光的に標識したサイクリンB1を生細胞中にマイクロインジェクションすることによりリアルタイムで視覚化された(Clute and Pines, Nature Cell Biology, (1999), 1, 82-87)。
【0009】
時間的発現および破壊を調節するコントロールエレメントは多くの研究で解明された。サイクリンB1の生合成は、細胞周期の後期SおよびG2相に発現を制限するプロモーター配列により転写レベルでコントロールされることが判った(Piaggio et al, Exp. Cell. Research, (1995), 216,396-402 ; Cogswell et al, Mol. Cell. Biology, (1995), 15,2782-2790)。M相での適当なときでのサイクリンB1の破壊は、ユビキチン化によるタンパク質分解のためにタンパク質を標的とする破壊ボックス(D-box)と称する、9アミノ酸配列によりコントロールされることが判った。構造性ポリユビキチンプロモーター(Huang and Raff, EMBO Journal, (1999), 18 (8), 2184-2195)により作動するショウジョウバエ サイクリンB1-GFP融合タンパク質の発現は、蛍光性タグ化サイクリンBは中期の最後で崩壊する内在性サイクリンBの挙動を模倣することを示した。ヒトサイクリンB1-GFPに用いる研究(Hagting et al, Current Biology, (1999), 9,680-689)は、細胞周期の進行を伴うサイクリンB1の細胞質のおよび核の局在性の時間的変化は、核排出シグナル(NES)、そのリン酸化により核搬入を生ずる、に依存することを示した。
【0010】
他の細胞周期チェックポイントは、時間的および空間的なコントロール機構により同様に調節され、多くのコンポーネントおよび相互関係が解明された(Pines, J., Nature Cell Biology, (1999), 1, E73-E79)。
【0011】
細胞周期のコントロール機構の特定のコンポーネントを使用し、細胞増殖状態を分析または探索する手順を提供する、多くの方法が記載されている。
【0012】
WO00/29602は、蛍光活性化細胞のソーティングにより非分裂細胞のバックグラウンドから分裂細胞を単離し得る分裂トランスジェニック幹細胞の選択マーカーとしてGFPの発現を生ずるためのサイクリンAプロモーターの使用を記載する。この方法は、細胞周期中の特定ステージを進行した細胞の同定および選択をし得る一方、任意の所定の細胞が、過去に同じ時期に細胞周期のG2相を通過するかまたは通過しないかという過去の情報(historical information)以外の、該細胞の細胞周期の状態についての情報は得られない。
【0013】
US6048693は、細胞周期調節タンパク質に影響する化合物のスクリーニング法を記載し、ここでレポーター遺伝子の発現は、サイクリンまたは他の細胞周期コントロールタンパク質により作用するコントロールエレメントと連結している。この方法では、レポーター遺伝子産物の時間的発現は、細胞周期に特有の形式で生じ、1つ以上の細胞周期コントロールコンポーネントにおいて作用する化合物は発現レベルを増加または減少し得る。このアッセイシステムは、レポーター遺伝子産物の破壊を生じるエレメントも、レポーター遺伝子から生ずる任意のシグナルの破壊を生じるエレメントも含まないため、当該方法は、当該アッセイにおける任意の細胞の細胞周期位置の情報を得ることができず、細胞周期機構の一般的な変化レポートするのみである。
【0014】
US5849508およびUS6103887は、サイクリンAに結合する抗体の使用による細胞の増殖状態を決定する方法を記載する。これらの方法は、対照群に対する試験群中の増殖細胞の割合を測定する手段を提供する。
【0015】
US6159691は、細胞周期の進行の推定レギュレーターについてアッセイする方法に関する。この方法では、細胞周期相に特異的な転写因子DP−3およびE2F−1から得られる核局在性シグナル(NLS)を用い、検出可能マーカーに融合したNLSの核局在性を増大または減少するためにアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物の活性をアッセイする。
【0016】
多くの研究者が、当該細胞を固定化または溶解する必要がある従来のレポーター分子を用い細胞周期を研究している。例えば、植物分裂組織における細胞分裂を研究するためにβ-ガラクトシダーゼを使用するHauser and Bauer (Plant and Soil, 2000,226,p1-10)およびサイクリンレベルでの変化を研究するためにクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)融合タンパク質を使用したBrandeis and Hunt (EMBO J., 1996, vol 15, pp5280-5289)。これらの方法は、特定細胞の細胞周期位置(GUSを用いる)または細胞の群の平均細胞周期の状態(CATを用いる)を研究する手段を提供するが、それらは何れも破壊的である。何れの方法も、経時的な特定細胞の繰り返し分析ができず、そのため、それらは、細胞周期を通じた細胞の進行の追跡には適当ではない。
【0017】
細胞周期のコントロール機構のコンポーネントを使用する、先の方法は、各細胞または細胞群の細胞周期の状態を決定する手段を提供しない。結果として、単一の生細胞の細胞周期位置を非破壊的に決定し得、当該同一細胞を経時的に繰り返し調査(interrogate)し得、そして細胞周期における望ましいまたは望ましくない効果を有する可能性のある物質の効果の研究を可能とする方法が必要とされる。更に、細胞周期のコントロールコンポーネントにより直接コントロールされるプローブから細胞周期位置を決定することは、むしろDNA含有量または上記のような細胞周期位置の他の間接的なマーカーを通じて間接的にコントロールされるプローブから決定されることよりも望ましい。本発明は、動力学的な読み取りを提供する非破壊的なプロセスにおける各生細胞について細胞周期の状態を決定する新規手段を提供する確定した組み合わせの細胞周期の調節機構の鍵となるコンポーネントを利用する方法を記載する。
【0018】
本発明は、細胞周期コンポーネントの時間的および空間的発現および破壊をスイッチするレポーターシグナルの直接の連結により、細胞相特異的に検出可能なレポーター分子の活性化および破壊を示すDNA構成物、およびその構成物を含む細胞系統を提供する。これは、細胞周期相の状態の決定の精度を非常に改善し、各細胞の細胞周期の進行を継続的にモニターし得る。更に、鍵となるコントロールエレメントは、細胞周期のコントロール機構の機能性エレメントから単離および取り出すことができ、内在性細胞周期コントロールコンポーネントと合わせて、しかしそれとは独立して動力学的に調節および操作される細胞周期相レポーターを設計し得る。こうして、細胞周期の天然での進行に影響または阻害することなく細胞周期位置をモニターするための方法を提供し得ることが判った。
【0019】
本発明の要約
従って、本発明の第一の態様では、
i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を提供し、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前決定した位置にて発現する。遺伝子からのタンパク質の生合成を含む、すべてのプロセスであるとして発現は定義される。用語"生細胞"は、レポーター分子と関連する場合には、生細胞中で検出可能なシグナルを生じ、そのため生細胞イメージングシステムでの使用に適当であるレポーター分子を決定すると理解されるであろう。
【0020】
本発明の第二の態様では、細胞の細胞周期での位置を決定する方法であって、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を細胞中において発現させること、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、および
b)当該レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を決定すること、
を含む当該方法を提供する。
【0021】
第一および第二の態様の好ましい実施態様では、核酸レポーター構成物はまた、細胞周期相特異的空間局在性コントロールエレメントに連結されおよびそのコントロールの下にある。
【0022】
好適には、核酸レポーター構成物はDNA構成物である。
【0023】
細胞周期相特異的発現コントロールエレメントは、典型的には、1つ以上の核酸配列の転写および/または翻訳をコントロールし、発現の細胞周期特異的コントロールを許容するDNA配列である。細胞周期の1以上の相で特異的に活性である任意の発現コントロールエレメントは、好適には、周期位置レポーター構成物の構成に使用され得る。
【0024】
好適には、当該細胞周期相特異的発現コントロールエレメントは、細胞周期特異的プロモーターおよび細胞周期特異的な転写または翻訳のコントロールに影響する他のエレメントから選択され得る。発現コントロールエレメントがプロモーターである場合、当該プロモーターの選択は、研究用に選択された細胞周期の相に依存するであろう。
【0025】
適当なプロモーターには、サイクリンB1プロモーター(Cogswell et al, Mol. Cell Biol., (1995), 15 (5), 2782-90, Hwang et al, J. Biol. Chem., (1995), 270 (47), 28419-24, Piaggio et al, Exp. Cell Res., (1995), 216 (2), 396-402); Cdc25B プロモーター (Korner et al, J. Biol. Chem., (2001), 276 (13), 9662-9); サイクリンA2プロモーター(Henglein et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1994), 91 (12), 5490-4, Zwicker et al, Embo J., (1995), 14 (18), 4514-22); Cdc2プロモーター(Tommasi and Pfeifer, Mol. Cell Biol., (1995), 15 (12), 6901-13, Zwicker et al, Embo J (1995), 14 (18), 4514-22), Cdc25Cプロモーター(Korner and Muller, J. Biol. Chem., (2000), 275 (25), 18676-81, Korner et al, Nucl. Acids Res., (1997), 25 (24), 4933-9); サイクリンEプロモーター(Botz et al, Mol. Cell Biol., (1996), 16 (7), 3401-9, Korner and Muller, J. Biol. Chem., (2000), 275 (25), 18676-81); Cdc6プロモーター(Hateboer et al, Mol. Cell Biol., (1998), 18(11), 6679-97, Yan et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1998), 95(7), 3603-8); DHFRプロモーター(Shimada et al, J. Biol. Chem., (1986), 261(3), 1445-52, Shimada and Nienhuis, J. Biol. Chem., (1985), 260(4), 2468-74)およびヒストンプロモーター(van Wijnen et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1994), 91, 12882-12886)が含まれる。
【0026】
好適には、細胞周期相特異的発現コントロールエレメントは、細胞周期特異的IRESエレメントおよび細胞周期特異的な翻訳のコントロールに影響する他のエレメントから選択し得る。IRESエレメントは、リボゾームの結合および5'-キャップ領域ではないmRNAの領域で生ずる翻訳の開始を許容する内部リボゾーム移入部位(internal ribosomal entry site)である。細胞周期特異的IRESエレメントは、翻訳のcap-独立開始を細胞周期の特定段階に制限する(Sachs, A. B., Cell, (2000), 101,243-5)。発現コントロールエレメントは、IRESであるように選択される場合、好適には、その選択は、研究対象の細胞周期相に依存するであろう。この場合、構造的に発現する(例えば、CMVまたはSV40)または誘導性(例えば、pTet-on pTet-off system, Clontech)プロモーターを用い、ビシストロン性mRNAの転写をコントロールし得る(Sachs, A. B., Cell, (2000), 101, 243-5)。他に、細胞周期相非依存性IRESエレメント(pIRESベクターで見られるEMCV IRES、BD Clontech)は、細胞周期特異的プロモーターエレメントと共に使用され得る。他に、レポーターの発現のより正確なコントロールは、細胞周期相特異的IRESエレメントと共に細胞周期相特異的プロモーターを用いることにより得られ得る。
【0027】
本発明での使用に適当なIRESエレメントには、G2-IRES (Cornelis et al, Mol. Cell, (2000),5 (4), 597-605); HCV IRES (Honda et al, Gastroenterology, (2000),118, 152-162); ODC IRES (Pyronet et al, Mol. Cell, (2000), 5,607-616); c-myc IRES (Pyronnet et al, Mol. Cell, (2000),5 (4), 607-16)およびp58 PITSLRE IRES (Cornelis et al, Mol.Cell, (2000), 5 (4), 597-605)が含まれる。
【0028】
表1は、本発明により使用し得る幾つかの好ましい発現コントロールエレメントを列挙し、各エレメントが活性化される細胞周期相を示す。
【0029】
表1:細胞周期相特異的発現コントロールエレメント
【表1】
Figure 2005504550
【0030】
破壊コントロールエレメントは、タンパク質モチーフをコードするDNA配列であり、それは、その配列を含むタンパク質の破壊をコントロールする。好適には、破壊コントロールエレメントは、細胞周期に仲介されるものである、例えば:サイクリンB1 D-ボックス(Glotzer et al, Nature, (1991),349, 132-138, Yamano et al, EMBO J., (1998), 17 (19), 5670-8, Clute and Pines, Nature Cell Biology,(1999), 1, 82-87); サイクリンA N末端(den Elzen and Pines, J. Cell Biol.,(2001),153 (1), 121-36, Geley et al, J. Cell Biol., (2001), 153, 137-48); KEN ボックス(Pfleger and Kirschner, Genes Dev, (2000), 14 (6), 655-65), サイクリンE(Yeh et al, Biochem Biophys Res Commun., (2001) 281, 884-90), サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)由来のCln2サイクリン(Berset et al, Mol. Cell Biol., (2002), pp4463-4476)およびp27Kip1(Montagnoli et al, Genes Dev., (1999), 13(9), 1181-1189, Nakayama et al, EMBO J., (2000), 19(9), 2069-81, Tomoda et al, Nature, (1999), 398(6723), 160-5)。
【0031】
表2は、本発明により使用され得る破壊コントロールエレメントを列挙し、各エレメントが活性化される細胞周期相を示す。
【0032】
他に、破壊コントロールエレメントは、Rogers et al, Science, (1986), 234, 364-8により記載されているPEST配列のような、細胞周期非仲介性のものである。細胞周期非仲介性破壊コントロールエレメントの例は、カゼイン、オルニチンデカルボキシラーゼおよびタンパク質半減期を減少するタンパク質を誘導する配列を含む。本発明の方法における細胞周期非仲介性破壊コントロール配列の使用は、細胞周期特異的プロモーターによる発現の誘導後の細胞周期レポーターの持続時間を決定するための手段を提供する。
【0033】
表2:破壊コントロールエレメント
【表2】
Figure 2005504550
【0034】
好適には、核酸配列によりコードされる生細胞レポーター分子は、蛍光性タンパク質および酵素からなる群から選択され得る。好ましい蛍光性タンパク質には、オワンクラゲ(Aequorea victoria)由来の緑色蛍光タンパク質および野生型GFPのアミノ酸配列がアミノ酸欠失、付加または置換により変化されている機能的GFP類似体のようなGFPの類似体を含む。本発明の使用に適当なGFP類似体には、EGFP(Cormack, B. P. et al, Gene, (1996), 173, 33-38); EYFPおよびECFP(US6066476, Tsien, R. et al); F64L-GFP(US6172188, Thastrup,O. et al); BFP, (US 6077707, Tsien, R. et al)が含まれる。他の蛍光タンパク質には、DsRed, HcRedおよび他の新規蛍光性タンパク質(BD Clontech and Labas, Y.A. et al, Proc Natl Acad Sci USA (2002), 99,4256-61)およびRenilla GFP(Stratagene)が含まれる。適当な酵素レポーターは、その酵素の基質中で検出可能な(例えば、蛍光性または発光性)シグナルを生じ得るものである。特に適当な酵素/基質には、ニトロレダクターゼ/Cy−Q(WO 01/57237に開示のように) およびβ-ラクタマーゼ/CCF4が含まれる。
【0035】
本発明の好ましい実態態様では、核酸レポーター構成物は、所望により、細胞周期特異的にタンパク質の細胞内(subcellular)局在性をコントロールし得るタンパク質モチーフをコードするDNA配列を含む細胞周期相特異的空間的局在性コントロールエレメントを含み得る。その局在性コントロールエレメントは、本発明により、:ここで
i)レポーターの特異的細胞内局在性が望ましい、および/または
ii)細胞周期位置のより正確な決定が必要とされる場合に有利に使用され得る。
有効な操作および/または破壊の何れかを確実とするためにレポーターの細胞内局在性を決定することが必要であり得る。細胞周期位置のより正確な決定は、局在性コントロールエレメントを用い可能となり得るが、それは、これが、レポーターシグナルの強度および局在性の両方の測定を許容するためである。
【0036】
適当な空間的局在性コントロールエレメントには、細胞周期コントロールタンパク質、例えば、サイクリンB1 CRSの局在性を調節するものが含まれる。
【0037】
作動可能なように連結との用語は、エレメントが、目的に合わせて機能するように、例えば、転写はプロモーターで開始し、本発明の蛍光タンパク質をコードするDNA配列を通じて進行するように配置されることを示す。図2(2A/2B/2C)は、本発明によるDNA構成物の一般的構造を解説する。
【0038】
本発明の好ましい態様では、当該構成物は、サイクリンB1プロモーター、サイクリンB1破壊ボックス(D-ボックス)、サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)および緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む。
【0039】
本発明による特定の例では、核酸レポーター構成物は、以下のエレメントを含む発現ベクターを含有する:
a)i)細菌性複製オリジン、および
ii)細菌性薬剤耐性遺伝子
を含むベクターバックボーン、
b)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、
c)破壊コントロールエレメント、ならびに
d)レポーター分子をコードする核酸配列。
【0040】
所望により、核酸レポーター構成物は、更に、細胞周期相特異的空間的局在性コントロールエレメントおよび/または真核細胞性薬剤耐性遺伝子、好ましくは哺乳類薬剤耐性遺伝子を含む。
【0041】
発現ベクターはまた、他の核酸配列を含み、例えば、ポリアデニル化シグナル、スプライスドナー/スプライスアクセプターシグナル、介在配列、転写エンハンサー配列、翻訳エンハンサー配列などである。所望により、当該薬剤耐性遺伝子およびレポーター遺伝子は、2つの遺伝子が別々のプロモーターから作動するというよりも、細胞周期特異的であるか(Sachs, et al, Cell, (2000), 101, 243-245)または細胞周期独立性である(Jang et al, J. Virology, (1988),62, 2636-2643 および Pelletier and Sonenberg, Nature, (1988), 334, 320-325)、内部リボゾーム移入部位(IRES)により作動可能なように連結され得る。細胞周期非特異的IRESエレメントを用いるとき、Clontechから商業的に入手可能なpIRES-neo およびpIRES-puroベクターを用い得る。
【0042】
第一の態様の特定の実施態様では、核酸レポーター構成物は、サイクリンB1のアミノ末端の171アミノ酸をコードするDNA配列に作動可能なように連結したサイクリンB1プロモーターをコードするDNA配列および緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするDNA配列よりアセンブルされる(図3)。サイクリンB1の局在性および破壊をコントロールするモチーフは、当該分子のアミノ末端の〜150アミノ酸にすべて位置した。結果として、人工細胞周期マーカーは、パートナーキナーゼに結合し活性化する必要があるサイクリンボックスと称せられる特定配列(Nugent et al, J. Cell. Sci., (1991), 99,669-674)を欠くため、細胞周期の進行を阻害しない、サイクリンB1のアミノ末端由来の配列のみを用い構成され得る。サイクリンB1のアミノ末端配列より必要とされる鍵となる調節モチーフは、i)破壊ボックス(D-ボックス)と称せされる9アミノ酸モチーフ。これは、サイクリンB1をユビキチン化機構の標的とする際に必要であり、そして少なくとも1つのC末端リシン残基と共に、これはまた、その細胞周期特異的崩壊に必要である;ii)おおよそ10アミノ酸の核排出シグナル(NES)。このモチーフは、エクスポーチン1(exportin 1)により、直接または間接的の何れかで認識され、間期を通して細胞質中のサイクリンB1のバルクを維持するのに十分である;iii)NES中に位置しNESに隣接し、そして有糸分裂において迅速な核搬入および減少した核排出を供与する、おおよそ4つの有糸分裂特異的リン酸化部位である。真核細胞中で発現するとき、当該構成物は、内在性サイクリンB1の発現および崩壊に匹敵するGFPレポーターの細胞周期特異的発現および破壊を示す。従って、GFP蛍光強度の測定は、細胞周期のG2/M相で細胞の同定を可能とする(図4)。更に、当該構成物の蛍光産物は、内在性サイクリンB1の空間的局在性を模倣するため、蛍光の細胞内分布の分析は、細胞周期位置の割り当てにおいて更に正確となり得る。前期で、サイクリンB1は、迅速に核中へトランケートし、その結果、細胞中のGFP蛍光の正確な局在性を用い、間期から有糸分裂に変化する細胞を識別し得る。一旦、細胞が中期に到達し、そしてスピンドルアセンブリチェックポイントが満たされると、サイクリンB1は非常に迅速に崩壊し、その結果、GFP蛍光の消失を用い、mid−M相で細胞を同定し得る。
【0043】
非同期化細胞の群に構成物を発現させることは、当該構成物からの蛍光性産物の周期的な発現および破壊が各細胞で生じ、当該群中のすべての細胞からの蛍光の連続的明滅パターンを生ずる。時間を伴う各細胞の蛍光性強度の分析は、結果として、図4に示すような各細胞の細胞周期状態における動力学的情報を生ずる。
【0044】
第一の態様による核酸レポーター構成物の更なる実施態様は、細胞周期の望ましいセクションをレポートする細胞周期相レポーターを設計するための、適当な他の細胞周期コントロールエレメント、例えば、表1および2に示されるもの、を選択することにより構成され得る。
【0045】
発現ベクターおよびプラスミドの構成および使用は、当業者に既知である。実際には、任意の哺乳類細胞発現ベクターを、ここで開示の細胞周期マーカーと共に使用し得る。細菌性および哺乳類薬剤耐性遺伝子および細菌性複製オリジンを含む適当なベクターバックボーンの例は、以下に限らないが、pCI-neo (Promega), pcDNA(Invitrogen)およびpTriEx1 (Novagen)を含む。適当な細菌性薬剤耐性遺伝子は、以下に限らないが、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリンおよびクロラムフェニコールを含む抗生物質に対し耐性を供与するタンパク質をコードする遺伝子を含む。真核細胞性薬剤選択マーカーは、ネオマイシン、ヒグロマイシン、ピューロマイシン、ゼオシン、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ヒスチジノール、ゲンタマイシンおよびメトトレキサートのような薬剤を含む。
【0046】
DNA構成物は、当業者に既知であり、Sambrook, J. et al (1989), Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている方法による、制限消化、ライゲーション、形質転換およびプラスミド精製の標準的組み換え分子生物学的技術により調製され得る。他に、当該構成物は、確立された方法、例えばBeaucage and Caruthers, (Tetrahedron Letters, (1981),22, 1859-1869)により記載されるホスホロアミダイト法またはMatthes et al(EMBO J., (1984), 3, 801-805)により記載さえる方法により合成的に調製され得る。ホスホロアミダイト法により、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNAシンセサイザーで合成し、精製し、アニールし、ライゲーションし、そして適当なベクター中にクローニングする。DNA構成物はまた、例えば、US4683202に記載されるような、またはSaiki et al (Science,(1988), 239, 487-491)による特異的プライマーを用いポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により調製され得る。PCR法のレビューは、PCR protocols, (1990), Academic Press, San Diego, California, U. S. A.に見られ得る。
【0047】
DNA構成物の調製の間、レポーターをコードする遺伝子配列は、細胞周期相特異的破壊コントロールエレメントおよび所望により空間的局在性コントロールエレメントとフレームを合わせて結合しなければならない。次いで、得られたDNA構成物を、1以上の適当な細胞周期相特異的発現コントロールエレメントのコントロールの下に置くべきである。
【0048】
第三の態様では、本発明の核酸レポーター構成物でトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。その構成物を含む構成または発現ベクターを導入する宿主細胞は、当該構成物を発現できる任意の細胞であり得、そして真核細胞、例えば、哺乳類細胞、真菌細胞、線虫細胞、魚細胞、両生類細胞、植物細胞および昆虫細胞からなる群から選択され得る。
【0049】
調製したDNAレポーター構成物は、当業者に既知の技術を用い宿主細胞中にトランスフェクトされ得る。1つのアプローチは、化学的または物理的方法の何れかを用い細胞を一時的に浸透することである。これらの技術には、エレクトロポレーション(Tur-Kaspa et al, Mol. Cell Biol. (1986),6, 716-718; Potter et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1984), 81,7161-7165)、リン酸カルシウムに基づく方法(例えば、Graham and Van der Eb, Virology, (1973),52, 456-467 および Rippe et al, Mol. Cell Biol., (1990), 10,689-695)または直接のマイクロインジェクションが含まれ得る。
【0050】
他に、カチオン脂質に基づく方法(例えば、Superfect(Qiagen)またはFugene6(Roche)の使用)を用い、DNAを細胞中に導入し得る(Stewart et al, Human Gene Therapy,(1992), 3, 267;Torchilin et al, FASEB J, (1992),6, 2716; Zhu et al, Science, (1993), 261, 209-211 ; Ledley et al,J. Pediatrics, (1987), 110,1 ; Nicolau et al, Proc. Nat. Acad. Sci., USA, (1983), 80,1068 ; Nicolau and Sene, Biochem. Biophys. Acta,(1982), 721,185-190)。Jiao et al, Biotechnology, (1993), 11,497-502は、DNAを宿主細胞中に移すのにも使用し得る脳組織における転移および発現遺伝子の電子銃(bombardment)仲介遺伝子転移プロトコールの使用を記載する。
【0051】
DNA構成物を細胞中にトランスフェクトするための更に他の方法は、細胞に入るウイルスの天然の能力を使用する。その方法は、例えば、ヘルペス単純ウイルス(U.S. Pat5288641)、サイトメガロウイルス(Miller, Curr. Top. Microbiol. Immunol.,(1992), 158,1)、ワクシニアウイルス(Baichwal and Sugden, 1986, in Gene Transfer, ed. R. Kucherlapati, New York, Plenum Press,p117-148)、およびアデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス(Muzyczka, Curr. Top. Microbiol. Immunol., (1992), 158,97-129)に基づくベクターおよびトランスフェンクションプロトコールを含む。
【0052】
適当な組み換え宿主細胞の例は、HeLa細胞、Vero細胞、Chinese Hamster ovary (CHO), U20S, COS, BHK, HepG2, NIH 3T3, MDCK, RIN, HEK293およびインビトロで増殖する他の哺乳類細胞系統を含む。その細胞系統は、American Tissue Culture Collection (ATCC), Bethesda, Maryland, U.S.A.から入手できる。哺乳類から細胞を取り除きその後限定された時間当該細胞を培養した後に確立した最初の細胞系統由来の細胞もまた、本発明に含めることを意図する。
【0053】
細胞周期位置レポーターの安定発現を示す細胞系統はまた、標準的方法(Krasagakis, K. J et al, Cell Physiol., (2001), 187 (3), 386-91; Paris, S. et al, Clin. Exp. Metastasis, (1999), 17(10), 817-22)を用いて宿主動物への、操作された細胞の異種移植片の確立に使用され得る。細胞周期位置レポーターを発現するように工作された腫瘍細胞系統の異種移植片は、モデルシステムの確立を可能とし、このモデルシステムによって腫瘍細胞分裂、転移(stasis and metastasis)を研究し、新規抗癌薬物をスクリーニングする。
【0054】
宿主動物において同種移植片として細胞周期位置レポーターを発現するように作成された細胞系統またはトランスジェニック組織の使用により、組織移植の許容または拒絶に影響する機構の研究をすることができる(Pye D and Watt, D. J., J. Anat., (2001), 198 (Pt 2), 163-73; Brod, S. A. et al, Transplantation (2000), 69 (10), 2162-6)。
【0055】
第二の態様により細胞の細胞周期位置を決定する方法を行うため、DNAレポーター構成物でトランスフェクトした細胞を、細胞周期の特定の段階でレポーター分子の発現を可能とするのに十分な条件および時間、培養し得る。典型的に、レポーター分子の発現はトランスフェクション後16から72時間の間で生ずるが、培養条件に依存して変化し得る。レポーター分子が緑色蛍光タンパク質配列に基づいているならば、当該レポーターは、蛍光性のあるコンホメーションにフォールドするには一定の時間がかかり得る。この時間は、使用する緑色蛍光タンパク質誘導体の一次配列に依存する。蛍光レポータータンパク質はまた、時間と共に色が変化し得(例えば、Terskikh, Science, (2000), 290, 1585-8)、その場合、トランスフェクション後、特定時間のインターバルでイメージングが必要とされる。
【0056】
当該細胞の細胞周期位置は、レポーター分子の発現をモニターすることにより、および適当な検出装置を用いレポーターによって放出されるシグナルを検出することにより決定され得る。次いで、レポーター分子が蛍光シグナルを生ずるならば、通常の蛍光顕微鏡または共焦点に基づく蛍光顕微鏡の何れかを用い得る。次いで、レポーター分子がルミネセンス光を生ずるならば、ルミノメーターのような適当な装置を用い得る。これらの技術を用い、当該レポーター分子を発現する細胞の特性が決定され得る。DNA構成物が、トランスロケーションコントロールエレメントを含み、当該細胞が顕微鏡を用い調査されるならば、レポーターの位置がまた決定され得る。本発明の方法では、当該DNA構成物で形質転換されたまたはトランスフェクトされた細胞の蛍光は、好適には、光学的手段により測定され、それは、例えば、スペクトロフォトメーター、フルオリメーター、蛍光顕微鏡、冷却電荷結合素子(CCD)イメージャー(スキャンニングイメージャーまたはエリアイメージャー)、蛍光活性化セルソーター、共焦点顕微鏡またはスキャンニング共焦点装置であり、ここで、培養細胞のスペクトル特性は、光励起および放出のスキャンで決定され得る。
【0057】
核酸レポーター構成物が薬剤耐性遺伝子を含む本発明の態様では、薬剤耐性遺伝子のトランスフェクションおよび発現後(通常、1−2日)、修飾レポーター遺伝子を発現する細胞は、選択マーカー遺伝子の存在によりトランスフェクト細胞が耐性となる抗生物質の存在下で当該細胞を増殖させることにより選択し得る。抗生物質を添加する目的は、レポーター遺伝子を発現する細胞、そして、ある場合には、関連するプロモーター、IRESエレメント、エンハンサーおよび終止配列を伴うレポーター遺伝子を当該細胞系統のゲノム中に組み込んだ細胞について選択することである。選択後、当該構成物を発現するクローン化細胞系統は、標準的技術を用い単離し得る。次いで、クローン化細胞系統は、標準的な条件下で増殖し得、そしてレポーター分子を発現し、細胞周期の特定の位置で検出可能なシグナルを生ずる。
【0058】
本発明の核酸レポーター構成物でトランスフェクトされた細胞は、研究対象の試験システム(test system)および細胞の細胞周期における効果を決定すべきである試験システムの非存在下および/または存在下で増殖され得る。レポーター分子を発現する細胞の割合および所望により当該細胞内でのシグナルの局在性を決定することにより、当該細胞の細胞周期における試験システムの効果、例えば、当該試験システムが細胞周期の特定段階で当該細胞を停止させるかどうか、または当該効果は細胞分裂をスピードアップするのかスローダウンするのかを決定することが可能である。
【0059】
そのため、第四の態様では、細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を決定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を、細胞中において当該試験システムの非存在下および存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
b)当該レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
ここで、当該試験システムの非存在下および存在下で測定する放射シグナル間の相違は、当該細胞の細胞周期位置における当該試験システムの効果を示す、
を含む。
【0060】
第五の態様では、細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を、細胞中において当該試験システムの存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
b)当該レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
c)当該試験システムの存在下での放射シグナルを、当該試験システムの非存在下での放射シグナルの既知の値と比較すること、
ここで、試験システムの存在下で測定した放射シグナルと当該試験システムの非存在下での既知の値との相違は、細胞の細胞周期位置での試験システムの効果を示す、
を含む。
【0061】
第六の態様では、細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を含む細胞を提供すること、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
b)試験システムの存在下および非存在下で、および核酸レポーター構成物の発現を許容する条件下で、第一および第二の群の細胞をそれぞれ培養すること、および
c)第一および第二の細胞群におけるレポーター分子により放射されるシグナルを測定すること、
ここで、第一および第二の細胞群中で測定された放射シグナル間の相違は、細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を示す、
を含む。
【0062】
試験システムという用語は、細胞がさらされる薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド、核酸などのような物質(agent)を意味することが意図される。他に、試験システムは、対象となる細胞で発現させる核酸、ペプチドまたはタンパク質のような物質であり得る。例えば、本発明による核酸レポーター構成物でトランスフェクトした細胞を用い、対象となるタンパク質をコードする構成物を含むcDNAの発現は、細胞の細胞周期位置に効果を有するかどうかを測定し得る。哺乳類発現ベクター中へ挿入した一連のcDNAは、細胞周期位置レポーターを安定に発現する細胞中に一時的にトランスフェクトし得る。これらのトランスフェクト細胞中の核酸レポーター構成物の発現性および局在性をモニターすることにより、細胞周期におけるcDNAによりコードされるタンパク質の効果を測定し得る。
【0063】
本発明の細胞周期位置核酸レポーター構成物はまた、細胞性プロセスにおける細胞周期位置の効果を測定するか、または細胞性プロセスにおける試験物質の作用における細胞周期位置の効果を測定する方法に使用し得る。外部からの刺激に対し応答するものを含む、多くの細胞性プロセスが、細胞周期の種々の段階で種々に作用または応答するために細胞周期により影響されることが知られる。例えば、エンドセリンレセプターは、細胞周期の種々の相の間に種々のレベルで発現されること(Okazawa et al. J. Biol. Chem., (1998), 273, 12584-12592)が示され、その結果、エンドセリン誘導性アポトーシスに対する細胞の感度は、細胞周期位置で変わる。同様に、バソプレシンに対する細胞性Ca2+起動応答は、細胞周期位置により相違し(Abel et al. J. Biol. Chem., (2000), 275, 32543-32551)、それは、種々の細胞周期相で種々のG-タンパク質を用いるシグナルトランスダクション経路の変化によるものである。細胞周期位置レセプター構成物の使用により、細胞は生物学的アッセイにおいて細胞変化し得(適当なアッセイレポーターを用い測定する)、それは、アッセイシグナル中の任意の変化が細胞周期位置レポーターシグナルと相関するかどうか決定し、それゆえアッセイシグナルの任意の細胞周期依存性を決定するため、細胞周期位置レポーターからのシグナルと相関する。例えば、アッセイは、細胞表面レセプターに結合する赤色蛍光標識リガンドの量が、GFP細胞周期位置レポーターを用い決定された細胞周期状態と相関すると考えられ得る。細胞性プロセスにより、生細胞は、生体合成、取り込み、輸送、レセプター結合、代謝、融合、生化学的応答、増殖および死滅が行われ(undergo)そしてそれらを含む、通常のプロセスを意味する。
【0064】
2以上の細胞周期位置核酸レポーター構成物は、同一細胞内の2以上の細胞周期相の変化のレポートを含む適用における組み合わせに使用し得る。二重または複数のレポーティングを行うため、2種以上の構成物が同一細胞中で作成され発現され、ここで、各レポーター構成物は、種々の識別可能なレポーターに連結したコントロールエレメントの種々の組み合わせを含む。例えば、GFPに作動可能なように連結したサイクリンB1プロモーターおよびサイクリンB1 D-ボックスを含む構成物の細胞での発現を青色蛍光タンパク質(BFP)に作動可能なように連結したサイクリンA2プロモーターおよびサイクリンB1 D-ボックスを含む第二の構成物の同一細胞中での発現と組み合わせた場合、S相(青色蛍光)の細胞をG2/M相の細胞(青色および緑色蛍光)から識別し得る。
【0065】
本発明による細胞周期位置核酸レポーター構成物およびアッセイ法は、種々の更なる適用に使用し得、例えば:
i)本発明の細胞周期位置レポーター構成物でトランスフェクトされた細胞を用い、複合化アッセイにおける第二のマーカーの発現、トランスロケーションまたは細胞内分布における細胞周期の効果を測定し得る。例えば、原形質膜に対する蛍光レポーターの細胞内トランスロケーションを研究し、試験化合物が細胞の割合でトランスロケーションを生ずることが判るならば、次いで、本発明の構成物でトランスフェクションした細胞を用い、トランスロケーションは細胞周期依存性であるかどうか決定することが可能である。
【0066】
そのため、本発明の第七の態様では、試験システムに応答して変化することが知られる第一の検出可能レポーターの発現、トランスロケーションまたは細胞内分布における細胞周期の効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
ii)破壊コントロールエレメント
に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む第二の核酸レポーター構成物を細胞中において試験システムの存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
b)当該第二のレポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
c)当該第一の検出可能レポーターにより放射されるシグナルをモニターすること、
ここで、ステップb)により測定した細胞周期位置と当該第一の検出可能レポーターにより放射されるシグナルとの関連は、第一の検出可能レポーターの発現、トランスロケーションまたは細胞内分布が細胞周期依存性であるかどうかを示す、
を含む。用語"試験システム"は、本発明の第四、第五および第六の態様との関連で前記したように理解すべきである。
【0067】
ii)本発明の細胞周期位置レポーターは、個々の細胞または細胞群の細胞周期状態における更なる情報を得るため、細胞周期関連の内在性細胞性マーカーまたは現象の分析と組み合わせて使用され得る。例えば、ゴルジ複合体は、哺乳類細胞中で、核に隣接するリボンのような構造を含む特徴的な形態を有することが知られ、そして、リボン構造体は、有糸分裂細胞全体に分散する小胞および細管のクラスターに変換されるため、細胞が有糸分裂するとき特徴的な変化がゴルジ構造体で生ずることが知られる(Lowe et al., Trends Cell Biol., (1998), 8(1) 40-44)。ゴルジ体(例えば、特定の蛍光染色の使用により細胞周期の既知の進行が変化する)のような細胞コンポーネントの形態の分析を、細胞周期の進行のより詳細な分析を可能とする細胞周期位置レポーターと組み合わせて用い得る。
【0068】
iii)本発明の細胞周期位置レポーターはまた、インビボ適用で細胞周期状態および進行をモニターするために使用し得る。各細胞または複数の細胞のトランスフェクションによる、例えば、アフリカツメガエル(Xenopus oocyte)のような生体試料、および線虫(C. elegans)およびショウジョウバエ(Drosophila)のような生体中への細胞周期レポーターをコードするDNA構成物の導入はマイクロインジェクション(Krone P. H., and Heikkila J. J., Development, (1989), 106 (2), 271-81)、バリスティックインジェクション(Horard B. et al., Insect Mol. Biol., (1994), 3 (4), 61-5)および当業者に既知の他の方法により行い得る。その試料中への細胞周期レポーター構成物の導入は、トランスフェクトした細胞の子孫での細胞周期の進行およびコントロールの調査を可能とする。レポーターからの情報は、モデル生体での増殖および発生の研究に有意な価値となるようである。
【0069】
iv)本発明のレポーターは、トランスジェニック生物の作成に使用され得、すなわち、細胞周期位置レポーターをコードするDNAは、生体または動物のすべての細胞中で安定して発現する。そのトランスジェニック生物は、DNAを初期胚に、一般的には新たに受精した卵の前核の1つにマイクロインジェクトすることにより作成され得る(Bishop J.O., Reprod. Nutr. Dev.,(1996), 36 (6),607-18)。トランスジェニック技術は、線虫のような単純な生体(Daniells, C. et al, Mutat. Res. , (1998), 399(1), 55-64)からマウスおよびラットのようなより複雑な生体(Sills, R. C. , et al., Toxicol. Lett., (2001), 20 (1-3), 187-98)までの宿主種の範囲中に細胞周期位置レポーターを作成するのに使用し得る。トランスジェニック生物の全細胞中での細胞周期位置レポーターの安定なトランスジェニック発現の確立により、細胞周期状態は、生体から得られる培養細胞系統を含む生体内で何れかの細胞型の決定がされ得るか、または当該生体から単離され得る。従って、本発明の第八の態様では、上記のような細胞を含むトランスジェニック生物を提供する。
【0070】
v)細胞周期位置レポーターの安定発現を示す細胞系統はまた、標準的方法(Krasagakis, K. J et al, Cell Physio., (2001), 187 (3), 386-91; Paris, S. et al, Clin. Exp. Metastasis, (1999), 17 (10), 817-22)を用い宿主動物中に、作成した細胞の異種移植片の確立に使用され得る。そのため、本発明の第九の態様では、宿主生物中で異種移植片の確立に使用するための上記のような細胞を含む細胞系統を提供する。細胞周期位置マーカーを発現するように作成した腫瘍細胞系統の異種移植片は、腫瘍細胞分裂、停止および転移を研究し新規抗癌薬剤のスクリーニングするためのモデルシステムの確立を可能とする。
【0071】
vi)宿主動物中の同種移植片のような細胞周期位置レポーターを発現するように作成した細胞系統またはトランスジェニック組織の使用は、組織移植の許容または拒絶に影響する機構の研究をすることができる(Pye, D. and Watt, D. J., J. Anat., (2001), 198(Pt 2), 163-73; Brod, S. A. et al, Transplantation (2000), 69 (10), 2162-6)。そのため、本発明の第十の態様では、宿主生物で同種移植片の確立に使用するための上記のような細胞を含む細胞系統を提供する。
【0072】
本発明の第十一の態様では、上記のような細胞を含むトランスジェニック生物を提供する。
【0073】
本発明の簡単な説明
本発明は、以下の実施例および図面を参照することにより解説される。
【0074】
図1は、細胞周期の進行におけるサイクリンB1調節を説明する模式図である。細胞周期は矢印の方向に進み、S相の終わりで発現が始まり、G2の間にピークとなる細胞周期相特異的プロモーターによりサイクリンB1発現は作動する(A)。有糸分裂の開始において(B)、サイクリンB1は細胞質から核へトランスロケートし、中期より先(C)タンパク質は特異的に崩壊する。
【0075】
図2は、本発明の細胞周期位置核酸レポーター構成物を説明する模式図であり、2Aは、細胞周期相特異的プロモーターを用いるが、IRESエレメントは用いず、2Bは、IRESエレメントを用い哺乳類選択を促進し、そして2Cは、構造性および誘導性哺乳類プロモーターおよび発現コントロールエレメントとして細胞周期相特異的IRESを含む。それぞれにおいて、Aは細胞周期相特異的発現コントロール(プロモーター)を示し、Bは細胞周期相特異的破壊コントロールエレメントを示し、Cは細胞周期相特異的局在性コントロールエレメントを示し、Dはレセプター遺伝子を示し、Eは細胞周期非特異的IRESエレメントを示し、Fは哺乳類選択マーカーを示し、Gは哺乳類構造性プロモーターを示し、そしてHは細胞周期特異的IRESエレメントを示す。
【0076】
図3は、細胞周期のG2/M相を測定するためのDNA構造物を示し、当該構造物は、サイクリンB1プロモーター(A)、サイクリンB1破壊ボックス(D-ボックス)(B)、サイクリンB1 CRS(C)およびGFPレポーター(D)を含む。
【0077】
図4は、非同調化細胞群中でG2/M細胞周期相マーカーを発現する核酸構成物の発現を示す。各細胞は、当該構成物由来の蛍光産物の周期的な発現および破壊を示し、これにより、群中のすべての細胞で連続的に「明滅する」パターンの蛍光が生じている。時間1、2、3および4での各細胞の蛍光強度の分析により、各細胞の細胞位置の状態における動力学的情報が得られる。
【0078】
図5は、本発明の細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果を示す棒グラフである。Aはデメコルチシン(demecolchicine)により有糸分裂中で阻害された細胞を示し、Bは対照細胞を示し、そしてCはミモシン(mimosine)によりG1/S相で阻害される細胞を示す。
【0079】
図6は、実施例3の、実施例1で記載された構成物をマイクロインジェクションされ、有糸分裂している細胞の一連の低速度撮影写真である。
【0080】
図7は、有糸分裂している実施例1に記載の構成物を発現するU2−0S細胞を示す、実施例4による連続低速度撮影写真である。パネルAでは、左の細胞は細胞周期のG2−相にあり、パネルBでは、細胞は前期に入っており、パネルCでは、細胞は中期にあり、パネルDでは、細胞は終期にあり、そしてパネルEでは、2つの娘細胞は非蛍光性であり、G1相にある。
【0081】
図8は、実施例1に記載の構成物を安定して発現するU2−0S細胞およびその子孫の相対的蛍光性を実施例4により示すグラフである。当該細胞は、4時間後有糸分裂し(A)、2つの娘細胞に分裂する(1、2)。次いで、娘1は34時間で有糸分裂し2つの孫娘(1.1および1.2)に分裂し(B)、娘2は42時間で有糸分裂し孫娘(2.1および2.2)に分裂する。太い矢印は、G2-相であって有糸分裂前の娘細胞の蛍光性の増加を示す。
【0082】
図9は、構成物を含むeGFPを安定して発現するU2−0S細胞系統の実施例5によるFACS分析である。上のグラフは、FL3A(赤色蛍光)で染色するヨウ化プロピジウムのヒストグラムを示し、X軸は蛍光強度、Y軸はその蛍光強度の細胞数をプロットした。このグラフは、G1、SおよびG2/Mの細胞の割合は予測通りであることを示す。下のグラフは、X軸がFL3A(赤色)でありY軸がFL1H(緑色蛍光)である同一細胞のドットプロットである。斜め方向のパターン(囲った部分)は、G2/M中の細胞がS相細胞よりも緑色蛍光性があり、次いでS相はG1相細胞よりも蛍光性があることを示す。
【0083】
図10は、実施例5に記載の安定細胞系統の相対的緑色蛍光強度における細胞周期インヒビターの効果を示す実施例6によるFACS分析である。図9に示すように、ヒストグラム(左側)はFL3Aに対して細胞数(Y軸)を示し、ドットプロット(右側)は同一細胞について示しておりFL3A(X軸)に対してFL1H(Y軸)をプロットした。上の2つのグラフは、細胞周期インヒビターで処理していない対照細胞を示す。判るように、これらの細胞は、典型的な細胞周期プロファイル(A)を示し、よりGFPを有する細胞は細胞周期のG2/Mパターンにあることを示す模式パターンを有する。真ん中の2つのグラフは、コルチシンによりG2/Mでブロックされた細胞を示す(C)。これらの細胞の殆どは、比較的高い緑色蛍光を有する(D)。下の2つのグラフは、ミモシンによりG1/Sで部分的にブロックされた細胞を示す(E)。これらの細胞の殆どは、比較的低い緑色蛍光を有する(F)。
【0084】
本発明の詳細な説明
実施例
1.DNA構成物の調製
i)サイクリンB1破壊ボックスおよびNESをコードする、N末端の三分の一のサイクリンB1 mRNA(アミノ酸1−171)を、標準的PCR技術および以下のプライマー:
【化1】
Figure 2005504550
を用いHindIIIおよびBamHI端で増幅した。
【0085】
ii)wtGFPの遺伝子は、融合タンパク質の構成を促進する制限部位を導入するように設計したプライマーで増幅した。PCR産物は、製造者指示書によりpTARGET(Promega)中にクローニングし、変異(F64L/S175G/E222G)はQuikChange site-directed mutagenesis kit (Stratagene)を用い導入した。構成物は、自動DNAシーケンシングにより確認した。次いで、変異GFPをコードするDNAを、BamHIおよびSalI制限酵素部位を用いサイクリンB1 N末端領域の下流にクローニングした。
【0086】
iii)サイクリンB1プロモーター(-150->+182)の細胞周期依存性領域は、SacIおよびHindIII部位で増幅し、サイクリンB1 N末端領域およびGFP融合タンパク質の上流にクローニングした。
【0087】
iv)DNAをコードするプロモーターおよび組み換えタンパク質を切除し、BglII/NheI切断pCl-Neo誘導ベクター中のCMVプロモーターに代えてクローニングした。
【0088】
2.一時的にトランスフェクトした細胞を用いる、細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果
U20S細胞(ATCC HTB-96)を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中で培養した。細胞は、実施例1で調製した細胞周期レポーター構成物でトランスフェクトし、当該構成物は、トランスフェクト剤としてFugene6(Roche)を用いpCORON4004ベクター(Amersham Biosciences)中に、サイクリンB1 D-ボックス、サイクリンB1 CRS、およびGFPをコードする配列に作動可能なように連結したサイクリンB1プロモーターを含んだ。
【0089】
24時間の培養後、細胞を、特異的細胞周期ブロッカーミモシン(G1/S相境界でブロックする)またはデメコルシン(demecolcine)(M相でブロックする)にさらした。対照細胞は培養培地のみにさらした。
【0090】
細胞を更に24時間インキュベーションし、次いで自動イメージ分析を伴う共焦点スキャンニングイメージャー(IN Cell Analysis System, Amersham Biosciences)を用い核GFP発現について分析した。
【0091】
図5に示すように、デメコルシンにさらした細胞は、対照細胞と比較すると蛍光が増大し、その一方、ミモシンにさらした細胞は、対照細胞と比較すると蛍光は減少した。これらの結果は、本発明の細胞周期相レポーターで提唱される使用と一致する。サイクリンB1プロモーターの活性化時期の前に、G1/S相でブロックされた(ミモシン処理した)細胞は蛍光が減少し、その一方、サイクリンB1 D-ボックスの作用時期の前に、M相でブロックされた(デメコルシン処理した)細胞は蛍光が増大した。
【0092】
これらの結果は、本発明の細胞周期相レポーターが、一時的なシステムにおいて細胞周期の進行をモジュレートする物質の検出に適当であり、更にそのレポーターにより、細胞がブロックされる細胞周期相の同定が可能となる。
【0093】
3.当該構成物のマイクロインジェクションおよび低速度撮影写真
HeLa細胞は、実施例1により調製された構成物と共にマイクロインジェクトされ、図6に示すように、低速度撮影顕微鏡により調査した。微分干渉コントラスト(Differential interference contrast)(DIC)イメージを左側に示しており、それは右側の蛍光イメージに相当する。フレームAは、核中で明るい蛍光を示す中期の細胞(矢印)を示す。フレームBおよびCは、後期(B)および後期の後期(late anaphase)(C)のより遅い時期の同一細胞を示す。BおよびCのDICイメージは、2つの娘細胞への細胞分裂(2つの矢印で示す)を示し、相当する蛍光イメージは、細胞周期が進行するにつれて蛍光構成物の破壊を伴い蛍光が喪失する。
【0094】
4.安定した細胞系統産生および低速度撮影写真
U20S細胞(ATCC HTB-96)を実施例1に記載の構成物でトランスフェクトし、当該構成物を安定して発現する細胞を選択するため1mg/ml ジェネチシン(geneticin)を含む培養培地中で数ヶ月増殖させた。多くのクローンを標準的方法によりピックし(例えば、Freshney, Chapter 11 in Culture of Animal Cells, (1994) Wiley-Liss Incに記載されている)、蛍光細胞を含むクローンを単離した。この細胞系統は、25mM HEPESを含む培養培地中で37℃で保持し、細胞の蛍光および放射イメージを488nmの標準的キセノンランプを用い24時間、経時的に15分毎に得た。図7は、一部のイメージからの5フレームを示し、細胞系統は予測されるような挙動することが示される。G2の細胞は、細胞質中で緑色蛍光を示し、初期有糸分裂中の細胞は核中で有意に蛍光性を有し、有糸分裂後、レポーター遺伝子は崩壊し、当該細胞は蛍光性を喪失する。
【0095】
図8は、48時間かけてモニターし、2つに細胞分裂し4つの孫娘細胞を生ずる、同一クローンからの細胞の結末を示す。各位置では、各細胞子孫の平均強度を測定し、時間に対してプロットする。判るように4時間以内で元の細胞は有糸分裂し、一方の娘は、実験中、32時間で分裂し、他方は42時間で分裂する。細胞がS-相を出てG2相へ入り、有糸分裂までは平均強度は一定の増加を示し、有糸分裂時に細胞は球状化し、平均強度は急激に増加する。
【0096】
5.より明るい安定細胞系統の調製およびその後のFACS分析
実施例1に記載のベクター中の緑色蛍光タンパク質レポーター配列は、標準的方法により促進されたGFP(EGFP;Cormack, B. P. et al, Gene, (1996), 173,33-38 ; BD Clontech)で置換された。EGFP遺伝子は、変異F64LおよびS65Tを含むGFPのより明るい型である。加えて、EGFPは、哺乳類細胞中での発現を最適化するように変化させたコドンを含む。この新しい構成物は、U2−0S細胞にトランスフェクトされ、多くのコロニーがジェネチシンで選択され、その後、蛍光活性化セルソーターを用い単一細胞をソーティングすることにより単離された。これらのクローンは、実施例4で生ずる蛍光よりもより明るい蛍光を示し、予測されるように蛍光強度および局在性は、細胞の細胞周期相により変化することが明らかとなった。
【0097】
当該細胞は、標準的方法によりFACS分析のために調製された。端的には、細胞は、製造者手順によりCytoFix/CytoPerm (Becton Dickinson)を用い固定化および浸透させた。次いで、当該細胞は、50μg/ml RNAse および 0.4% TritonX-100で処理され、100μg/mlヨウ化プロピジウムで対比染色した。ヨウ化プロピジウム染色の程度は、細胞中のDNA量に、およびそのため細胞の細胞周期相の測定に比例する。図9に示され得るように、予測されるように、赤色ヨウ化プロピジウム染色の程度および緑色GFP蛍光の量は、細胞中で比例するように思われる。
【0098】
6.GFP発現レベルにおける細胞周期阻害薬剤の効果
実施例5で調製した細胞は、24時間、25cmフラスコ中で増殖させ、100ng/ml デメコルシン(Sigma) または 1 mM ミモシン(Sigma)の何れかで処理した。次いで、当該細胞を固定化し、浸透させ、そして実施例5に記載のようなヨウ化プロピジウムで染色した。FACS分析は、予測されるように、コルチシン類似体で処理した細胞はG2/Mで停止し、ミモシンで処理した細胞はG1/S境界で停止することを示した。また予測されるように、G2/Mで停止した細胞は、G1/Sで停止した細胞よりも明るかった(図10)。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】細胞周期の進行の間のサイクリンB1調節を説明する模式図である。
【図2】本発明の細胞周期位置核酸レポーター構成物を説明する模式図である。
【図3】細胞周期のG2/M相を測定するためのDNA構造物を示す。
【図4】非同調化細胞の群中のG2/M細胞周期相マーカーを発現する核酸構成物の発現を示す。
【図5】本発明による細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果を示す棒グラフである。
【図6】実施例1で記載された構成物をマイクロインジェクションした細胞を示し、実施例3により有糸分裂している、一連の低速度撮影写真である。
【図7】実施例4による有糸分裂している実施例1に記載の構成物を発現するU2−0S細胞を示す、一連の低速度撮影写真である。
【図8】実施例4による実施例1に記載の構成物を安定して発現するU2−0S細胞およびその子孫の相対的蛍光性を示すグラフである。
【図9】実施例5による構成物を含むeGFPを安定して発現するU2−0S細胞系統のFACS分析である。
【図10】実施例6による実施例5に記載の安定細胞系統の相対的緑色蛍光強度における細胞周期インヒビターの効果を示すFACS分析である。

Claims (29)

  1. i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
    ii)破壊コントロールエレメント
    に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物、
    ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前決定した位置にて発現する。
  2. 当該発現コントロールエレメントが、細胞周期特異的に転写をコントロールする、請求項1の構成物。
  3. 当該発現コントロールエレメントが、細胞周期特異的に翻訳をコントロールする、請求項1または2の何れかの構成物。
  4. 当該発現コントロールエレメントは、細胞周期特異的プロモーターおよび細胞周期特異的IRESから選択される、請求項1−3の構成物。
  5. 当該プロモーターが、サイクリンB1プロモーター、Cdc25Bプロモーター、サイクリンA2プロモーター、Cdc2プロモーター、Cdc25Cプロモーター、サイクリンEプロモーター、Cdc6プロモーター、DHFRプロモーターおよびヒストンプロモーターからなる群から選択される、請求項4の構成物。
  6. 当該IRESは、G2-IRES、HCV IRES、ODC IRES、c-myc IRESおよびp58 PITSLRE IRES からなる群から選択される、請求項4または5の何れかの構成物。
  7. 当該破壊コントロールエレメントが、サイクリンB1 D-ボックス、サイクリンA N末端、KENボックス、サイクリンEおよびp27Kip1からなる群から選択される、請求項1から6の何れかの構成物。
  8. 当該生細胞検出可能レポーター分子は、細胞周期相特異的空間的局在性コントロールエレメントに作動可能なように連結されそのコントロール下にある、請求項1から7の何れかの構成物。
  9. 当該細胞周期相特異的空間的局在性コントロールエレメントは、サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)である、請求項8の構成物。
  10. 当該生細胞レポーター分子は、蛍光タンパク質および酵素からなる群から選択される、請求項1から9の何れかの構成物。
  11. 当該蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および野生型GFPのアミノ酸配列がアミノ酸欠失、付加または置換により変化した機能的GFP類似体から選択される、請求項10の構成物。
  12. 当該酵素レポーターが、β−ラクタマーゼおよびニトロレダクターゼからなる群から選択される、請求項10の構成物。
  13. サイクリンB1プロモーター、サイクリンB1破壊ボックス(D-ボックス)、サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)および緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む請求項1から12の何れかの構成物。
  14. a)i)細菌性の複製オリジン、および
    ii)細菌性薬剤耐性遺伝子
    を含むベクターバックボーン、
    b)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、
    c)破壊コントロールエレメント、ならびに
    d)レポーター分子をコードする核酸配列
    を含む、発現ベクターを含有する核酸レポーター構成物。
  15. 更に、細胞周期相特異的空間的局在性コントロールエレメントおよび/または真核細胞性薬剤耐性遺伝子を含む、請求項14の構成物。
  16. 請求項1から15の何れかの構成物でトランスフェクトされた宿主細胞。
  17. 当該細胞が真核細胞である、請求項16の宿主細胞。
  18. 当該細胞は、哺乳類細胞、真菌細胞、線虫細胞、魚細胞、両生類細胞、植物細胞および昆虫細胞からなる群から選択され得る、請求項16または17の宿主細胞。
  19. 細胞の細胞周期位置を決定する方法であって、
    a)請求項1から15の何れかの核酸レポーター構成物を細胞中で発現させること、
    b)レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を決定すること、
    を含む当該方法。
  20. 細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を決定する方法であって、
    a)i)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
    ii)破壊コントロールエレメント
    に作動可能なように連結しそのコントロールの下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を、細胞中において当該試験システムの非存在下および/または存在下で発現させること、
    ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
    b)当該レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
    ここで、当該試験システムの非存在下および/または存在下で測定する放射シグナル間の相違は、当該細胞の当該細胞周期位置における当該試験システムの効果を示す、
    を含む当該方法。
  21. 細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を測定する方法であって、
    a)i)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
    ii)破壊コントロールエレメント
    に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を、当該細胞中において当該試験システムの存在下で発現させること、
    ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
    b)当該レポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
    c)当該試験システムの存在下での放射シグナルを、当該試験システムの非存在下での放射シグナルの既知の値と比較すること、
    ここで、試験システムの存在下で測定した放射シグナルと当該試験システムの非存在下で既知の値との相違は、細胞の細胞周期位置での試験システムの効果を示す、
    を含む当該方法。
  22. 細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を測定する方法であって、
    a)i)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
    ii)破壊コントロールエレメント
    に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構成物を含む細胞を提供すること、
    ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現し、
    b)試験システムの存在下および非存在下で、および核酸レポーター構成物の発現を許容する条件下で、第一および第二の群の細胞をそれぞれ培養すること、および
    c)第一および第二の細胞群におけるレポーター分子により放射されるシグナルを測定すること、
    ここで、第一および第二の細胞群中で測定された放射シグナル間の相違は、細胞の細胞周期位置における試験システムの効果を示す、
    を含む当該方法。
  23. 試験システムに応答して変化することが知られる第一の検出可能レポーターの発現、トランスロケーションまたは細胞内分布における細胞周期の効果を測定する方法であって、
    a)i)細胞周期相特異的発現コントロールエレメント、および
    ii)破壊コントロールエレメント
    に作動可能なように連結しそのコントロール下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む第二の核酸レポーター構成物を、当該細胞中において当該試験システムの存在下で発現させること、
    ここで、当該レポーター構成物は、細胞中において細胞周期の事前に決定した位置にて発現する、
    b)当該第二のレポーター分子により放射されるシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
    c)当該第一の検出可能レポーターにより放射されるシグナルをモニターすること、
    ここで、ステップb)により測定した細胞周期位置と当該第一の検出可能レポーターにより放射されるシグナルとの関連は、当該第一の検出可能レポーターの発現、トランスロケーションまたは細胞内分布が細胞周期依存性であるかどうかを示す、
    を含む当該方法。
  24. 当該核酸レポーター構成物は請求項13の構成物を含む、請求項19から23の何れかの方法。
  25. 当該試験システムが、当該細胞がさらされる薬物、核酸、ホルモン、タンパク質、またはペプチドから選択される物質である、請求項20から24の何れかの方法。
  26. 当該試験システムが、対象となる細胞で発現させるペプチドまたはタンパク質から選択される物質である、請求項20から24の何れかの方法。
  27. 宿主生物中で異種移植片の確立に使用するための請求項16から18の何れかの細胞を含む細胞系統。
  28. 宿主生物中で同種移植片の確立に使用するための請求項16から18の何れかの細胞を含む細胞系統。
  29. 請求項16から18の何れかの細胞を含むトランスジェニック生物。
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