JP2005504543A - 定量的pcrのための適応ベースラインアルゴリズム - Google Patents

定量的pcrのための適応ベースラインアルゴリズム Download PDF

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Abstract

本発明は、リアルタイムPCR増幅中のチューブ間およびサイクル間の変動を低減するために開発されたベースライン減算アルゴリズムに関する。特に、本発明は、増幅された核酸物の最初の信頼性検出に対する閾値サイクルを決定するためのアルゴリズムに関する。本発明は、該アルゴリズムを含むコンピュータプログラム、ならびに該アルゴリズムを実行する方法および/または装置にも関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースライン減算アルゴリズム、該アルゴリズムを用いた方法、および該アルゴリズムを実行するための装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標的核酸配列をたとえ1コピーであっても特異的に増幅および検出するための、今日広く研究室で用いられている有力な技術である。出発標的配列の量と、任意の所定のサイクルにおけるPCR産物の量の間には定量的な関係があることから、PCRは核酸配列の定量化のためにも用いられる。
【0003】
終点PCRは、核酸鋳型を増幅する用途で広く用いられている。終点PCRにおいて、PCR反応の開始時に鋳型を加え、反応は、通常は20〜50サイクルの複数のサイクルで実施する。検出および/または定量されるのは増幅反応の最終産物である。これに対し、リアルタイム定量的PCR(QPCR)は、PCR増幅の進行をその最中にモニタする。リアルタイムQPCR技術において、(一般的に蛍光性の)シグナルは、該シグナル発生中にモニタされる。所望のレベルの蛍光を得るために必要なサイクルの数は、PCRプロセス開始時における増幅可能な標的の濃度によって直接的に変化することから、蛍光強度の測定値によって試料中の標的DNAの量の測定値を与えることができる。蛍光強度は、各PCRサイクルのアニーリング/伸長期間の間に検出され、この検出の出力はプロセッサに送られて格納およびデータ操作される。終点PCRの精度はQPCRよりも劣るが、これは、測定がPCRにおいてより遅くに行われるために、より多くの変数が結果に影響を与える可能性があるためである。例えば、反応成分が消耗されるにつれ、増幅は減少する。終点におけるシグナルレベルの違いは、出発標的よりも制限試薬の僅かな差異に起因しているかも知れない。この制限はPCR反応の早い段階の方が小さい。
【0004】
増幅中に得られるデータを、プロセッサによって正規化する。このプロセッサは、バックグラウンドシグナル(標的核酸の非存在下におけるPCRチューブ内の予想シグナル)のベースラインを同定し、測定されたシグナルからバックグラウンドシグナルを除去する。ベースライン減算を行った結果、試料中の標的核酸の量をより正確に反映するシグナル強度の測定値が得られる。ベースライン減算では一般に、増幅前のサイクル中のチューブ内で観察されるバックグラウンドシグナルをベースラインとして設定する。増幅前に行うサイクルの範囲は、ユーザによって設定される終点(例えば開始および終了サイクル)によって定義される。開始および終了サイクルを選択するための典型的な指針は、最初の数サイクルにおける典型的な変動が減じた後に開始サイクルを選択し、どのチューブでも増幅が起こる前に終了サイクルを選択することを規定している。典型的には、これらのサイクルから得られるシグナルを、少なくとも平均二乗アルゴリズムを用いてラインに適合する。最良の適合線を用いて、QPCR実験の全てのサイクルに対するバックグラウンドを予想し、これを、(例えば、米国特許第5,928,907号に記載のようにして)評価中の各試料より生じたデータから差し引く。
【0005】
最良適合線算出のための範囲を設定するこの装置には次のようないくつかの制限がある。1)出発量が異なる試料を用いる場合、最後の終点に対する最適な選択が、試料によって異なる。2)ユーザによって(あるいは同じユーザでも時によって)、異なる終点を選択する。3)異なる終点で解析された同一の実験が異なる結果を与えることになる。
【0006】
ベースライン減算のばらつきは、未知の出発コピーの最終決定においてより大きな誤差を生む原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当該技術分野においては、定量的PCR増幅中に起こるチューブ間の変動の効果を低減する、適応ベースライン減算が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様において、本発明は、PCR反応のサイクルを循環する試料ブロック中の複数の試料ウェルに対する適応ベースラインの算出法を提供する。本方法は、各ウェルにおいて観測される実光学シグナルの強度を、該ウェルに対するサイクル数の関数としてプロットして、第1のプロットを得る工程と、該ウェルに対する開始サイクルと終了サイクルとを決定する工程と、開始サイクルと終了サイクルの間の両サイクルを含めた点を直線に適合することにより、該点と直線間の最良適合を決定する工程とを含む。しかしながら、1つの態様においては、最良適合を決定するために非線形関数を用いる。ウェルに対して得られる最良適合を用いて、該ウェルに対するベースラインを確立する。強度をプロットする工程、開始および終了サイクルを決定する工程、最良適合を決定する工程、およびベースラインを確立する工程は、複数のウェルのそれぞれに対して個別に実施される。
【0009】
1つの態様において、開始サイクルと終了サイクルとを決定する工程は、サイクル2から始まる各サイクルに対して得られる実シグナルの強度の3点移動平均を取得することと、前記3点移動平均をサイクル2から始まるサイクル数の関数としてプロットして、第2のプロットを得ることとを含む。
【0010】
別の態様において、サイクルXは、第1または第2のプロットから特定される。サイクルXは、直前のサイクルからの勾配の変化が最大となるともに、直後にそれぞれ直前のサイクルと比べて勾配が増大する4つのサイクルを有している。1つの態様において、サイクルXは、PCR反応の最初の8サイクル以内で特定され、終了サイクルは、サイクルXの3サイクル、2サイクルまたは1サイクル前のものとして特定される。しかしながら、他の態様において、サイクルXは、PCR反応の最初の8サイクル以内では特定されない。この態様において、サイクルXは、終了サイクルとして割り当てられる。
【0011】
さらなる態様において、開始サイクルは、直前のサイクルとは異なる勾配傾向を示す第1のサイクルと、直前のサイクルの勾配よりも大きな正の勾配を有するサイクルと、初期勾配の10%未満の勾配しか有しないサイクルとから成る群より選ばれる。
【0012】
1つの態様において、最良適合線は、以下の式で表される、標準最小二乗平均平方根誤差アルゴリズムを用いて算出される。
【数1】
Figure 2005504543
【0013】
(式中、Nは前記開始サイクルと終了サイクル間のサイクル数であり、Sは前記開始サイクルであり、Eは前記終了サイクルであり、γは第iサイクルのシグナルであり、mおよびbは前記最良適合線のパラメータである)。
【0014】
別の態様において、試料ブロック中の試料ウェルの少なくとも1つが、鋳型核酸を含む可能性のある試料を含み、光学シグナルは、該核酸に特異的な標識(例えば蛍光標識など)に由来する。さらなる態様において、本方法は、工程(d)として、少なくとも1つのウェルに対してプロットされた第1のプロットから、少なくとも1つのウェルに対して算出された適応ベースラインを差し引いて、適応シグナルプロットを作成する工程を含む。好ましくは、適応シグナルプロットは、既知量の鋳型濃度を含むPCR反応から作成された第1の標準プロットと比較される。より好ましくは、標準プロットは、ベースラインを除去するように適応されている。この比較を用いて試料中の鋳型の量を決定することができる。
【0015】
本発明は、上述の方法を実施するためのプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品も提供する。
【0016】
本発明は、PCR反応に対する適応ベースラインの算出のための装置をさらも提供する。装置は、上述のコンピュータプログラムのプログラム命令を実行するためのメモリを含む解析装置も含む。1つの態様において、装置は、試料ブロックを受容するためのサーマルサイクラー、試料ブロックの試料ウェルから光学シグナルを収集するための入力装置(例えば検出器)、および、前記解析装置によって取得または作成されたデータを表示するための出力装置(例えばコンピュータ)をさらに含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【0018】
本発明は、PCR反応の適応ベースラインの算出のためのアルゴリズム、該アルゴリズムを含むプログラム製品、該アルゴリズムを実行するための装置、およびその使用方法に関する。本アルゴリズムは、増幅反応において評価される1つ以上の標識から得られるデータに対する適応ベースラインを算出する。1つの態様において、本方法は、PCRサイクル中に得られる実シグナルを測定し、1つ以上の標識のそれぞれに対して第1のプロットを作成し、1つ以上の標識に対する開始サイクルと終了サイクルとを決定し、各試料または標識に対する適応ベースラインを算出する。適応ベースラインは、PCR増幅サイクル中に観察される実シグナルから差し引いて、PCR反応中の核酸鋳型の量の算出のために用いることもできる。
【0019】
定義
次に、以下の記述において用いる具体的な用語について定義する。
【0020】
「核酸」は共有結合されたヌクレオチド配列(すなわちRNAに対してはリボヌクレオチド、DNAに対してはデオキシリボヌクレオチド)であり、ここで1つのヌクレオチドのペントースの3’位が、ホスホジエステル基によって、次のペントースの5’位に結合されている。「核酸」には、限定はされないが、一本鎖および二本鎖の核酸が含まれる。本明細書中で用いる「核酸」という用語は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された核酸の形態も含意する。
【0021】
本明細書中で用いる用語「リアルタイム標的鋳型合成」または「リアルタイム合成」は、合成産物を、その生成の最中に、該産物のそれ以後の合成に影響を及ぼすことなく解析するこのできる合成プロセスのことをいう。
【0022】
本明細書中で用いる、「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、標的鋳型配列を増幅するためのインビトロ法のことをいう。PCR反応は、反復する一連の温度サイクルを伴い、典型的には50〜100μLの体積で実施される。反応混合物は、dNTP(4つのデオキシヌクレオチドdATP,dCTP,dGTPおよびdTTP)と、プライマーと、バッファーと、DNAポリメラーゼと、ポリヌクレオチド鋳型とを含む。1つのPCR反応は、変性とポリヌクレオチド分子合成とからなる「サイクル」が5〜100回で構成されてもよい。
【0023】
本明細書中で用いる「サイクル」という用語は、選択された時間にわたる一連の温度工程のことをいう。1つの態様において、サイクルは、核酸を変性させる工程と、核酸にプライマーをアニーリングする工程と、アニールされたプライマーを伸長する工程とからなる3工程を含む。「工程」は、均一な温度(±1℃以内)の期間のことをいいう。しかしながら、PCRサイクルを循環させられる試料ウェルは、変性や、プライマーへのアニーリングなどを受けうる核酸を有している必要はなく、例えば、ウェルはバッファだけ、またはヌクレオチドだけ、および/またはPCR反応混合物の他の様々な成分を含んでいてもよい。試料ウェルは、変性、アニーリングおよび伸長に適した同一の時間量のあいだ同一の温度に曝されていさえすれば「循環されている」と言える。1つの態様において、PCR反応は、複数のサイクルを含み、各サイクルが、90〜100℃(好ましくは94℃)で30秒間〜1分間(好ましくは30秒間)の工程と、37〜60℃(好ましくは55℃〜57℃)で1〜2分間(好ましくは1分間)のアニーリング工程と、70〜75℃で30秒間〜1分間(好ましくは30秒間)の伸長工程とを含む。
【0024】
本明細書中で用いる「終了サイクル」とは、定量的PCR反応(「QPCR」)の間に標的鋳型の増幅が検出可能になるまえのサイクルのことをいう。「終了サイクル」は、試料中の標的鋳型の増幅を検出するために用いる標識に対して決定してもよい。
【0025】
本明細書中で用いる「開始サイクル」とは、初期の増幅の変動が弱まった後であって、終了サイクルよりも前のサイクルのことをいう。1つの態様において、開始サイクルは、直前のサイクルとは異なる勾配傾向を示す第1のサイクルと、直前のサイクルの勾配よりも大きな正の勾配を有するサイクルと、最初の勾配の10%未満の勾配しか有しないサイクルとから成る群より選ばれる。
【0026】
本明細書中で用いる「検出可能な」は、アルゴリズムが、あるサイクルにおけるシグナルがバックグラウンドを超えていると決定したこと、すなわち、所与の試料(例えば、試料中の所与のラベル)に対して決定されたシグナルが、シグナルのバックグラウンドレベルを超えて、正の増加(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上、あるいは2倍、3倍、4倍またはそれ以上の増加)を示していることを意味する。
【0027】
本明細書中で用いる「バックグラウンドシグナル」とは、終了サイクルより前のシグナル、あるいは、鋳型を含まない対照試料において発生されたシグナルのことをいう。
【0028】
本明細書中で用いる「正の増加」は、終了サイクルを、バックグラウンドシグナルが変動するサイクルから区別するために用いられる。シグナルの「正の増加」は、例えば、ランダムなバックグラウンドノイズ変動ではなく、標識から発生されるシグナルによって示されるような、試料中の増幅産物の増加を反映する。典型的には、正の増加がある場合には、蛍光シグナルは少なくとも2(または3、または4、あるいはそれ以上)の連続したサイクルに亘って継続的に増加している。
【0029】
本明細書中で用いる用語「サイクルX」は、QPCR反応から発生されるシグナルが初めて閾値を超える、すなわち、標的核酸配列の増幅を初めて信頼性よく検出できるようになるサイクル数のことを言う。「信頼性ある」とは、シグナルが、QPCRの最中に増幅された産物の検出可能なレベルを反映していることを意味する。サイクルXは一般には、標的核酸の未知量の出発量に相関し、例えば標的の量が少ないほど、サイクルXは遅くなる。
【0030】
本明細書中で用いる用語「変動」とは、試料中の標的核酸の量には直接関係しない、増幅されたPCR産物の品質または量の変化のことをいう。変動は、試料の取扱い時のムラや使用する反応容器の違いによることもある。例えば、チューブを用いた場合、生シグナルはチューブによって変動する(例えば、「チューブ間変動」)。本発明に従う変動は、増幅された核酸物から発生するシグナルの有無に関係なく、各試料から得られる生データに終始変動を与える機器ドリフトに起因することもある(例えば、「サイクル間変動」)。いずれのタイプの変動も、サイクルXの測定の精度を低下させる。
【0031】
本明細書中で用いる「サイクル間変動」は、リアルタイム合成の任意の2つ以上のサイクル間での増幅または合成の変動のことをいう。
【0032】
「成長カーブ」という用語は、PCR反応中の各サイクルの伸長部分の終点または終点付近で存在する、増幅された核酸物(例えばdsDNA)の測定値の組を意味する。
【0033】
本明細書中で用いる「実シグナル」とは、標識によって発生される検出可能なシグナルのことをいい、この場合シグナルは、シグナル検出器によって直接測定することができる。好ましくは、検出可能なシグナルは光学シグナル(例えば、蛍光標識または化学発光標識)であり、シグナル検出器は光学シグナル検出器である。
【0034】
本明細書中で用いる「標識」とは、検出可能なシグナル、例えば光学シグナルを発生する分子のことをいう。本発明に従う有用な標識タイプとしては、限定はされないが、蛍光、化学発光、比色または酵素標識が挙げられる。
【0035】
本明細書中で用いる「標識されたプローブ」とは、増幅産物に直接的または間接的に取り込まれるか、結合することのできる分子のことをいう。例えば、標識されたプローブは、増幅産物または標識されたプライマー中に取り込まれた標識されたヌクレオチドであってもよいし、あるいは、標識されたプローブは、それ自体の増幅産物に結合する標識された分子であってもよい(例えば、増幅産物中の内部配列に対するプローブなど)。
【0036】
本明細書中で用いる用語「蛍光」とは、所与の波長の光を照射すると、分子が励起してそれよりも長い波長の光を発するという分子の特性をいう。
【0037】
本明細書中で用いる用語「フルオロフォア」とは、蛍光分子のことをいう。フルオロフォアの蛍光特性を記述する多数のパラメータが存在する。これらの中には、例えば、励起および発光の最大波長、励起および発光に対するピークの幅、励起および発光の最大間の差異(ストークスシフト)、蛍光強度、量子収量、および吸光係数が含まれる。生物学的または生化学的用途に対しては、ストークスシフトは一般に短いものよりも長いが好ましい。
【0038】
本発明に従う「標的鋳型」は、試験試料においてその正体(たとえば)または量を決定すべき鋳型のことをいう。「標的鋳型」は、複製および/または検出すべきポリヌクレオチド鋳型の一領域であってもよい。1つの態様において、「標的鋳型」は、PCR増幅のために用いられる2つのプライマー配列間に位置する。「標的鋳型」は、PCR反応において生成した増幅された産物であってもよい。しかしながら、試験試料は、正体または量を決定する必要のある2つ以上の標的鋳型を含んでいてもよく、そのような標的鋳型のそれぞれが、解析される際に標的鋳型であってもよい。本発明に従えば、試料中に複数の標的鋳型が存在する場合、それぞれが特異的標的鋳型に特異的に結合し、したがって特異的標的鋳型に対する「マッチした標識」と称される複数のラベルであってもよい。
【0039】
本明細書中で用いる「標的鋳型を検出する」とは、試料中の所与の標的ポリヌクレオチド配列の有無を決定することをいう。
【0040】
本明細書中で用いる「標的鋳型を測定する」とは、試料中の所与の標的ポリヌクレオチド配列の量を決定することをいう。測定または検出可能な標的ポリヌクレオチド配列の量は、好ましくは約1分子から1020分子であり、より好ましくは約100分子から1017分子であり、最も好ましくは約1000分子から1014分子またはそれ以上である。
【0041】
本明細書中で用いる「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、ポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズすることができ、第2のポリヌクレオチド鎖の合成(例えば、酵素的合成など)を開始する一本鎖DNAまたはRNA分子のことをいう。本発明に従って有用なオリゴヌクレオチドプリマーは、約6〜100、好ましくは10〜100ヌクレオチド長であり、より好ましくは約17〜50ヌクレオチド長であり、最も好ましくは約1745ヌクレオチド長である。
【0042】
「標準プロット」とは、既知量の標的鋳型の関数として、光学シグナルの強度(例えば蛍光強度)をプロットすることによって作成されるプロットのことをいう。「標準プロット」は、試料中の未知量の標的鋳型を定量するための基準となる。
【0043】
本明細書中で用いる「試料」または「試験試料」とは、対象とする標的鋳型を含む任意の物質(例えば、標的ポリヌクレオチドまたは標的ポリペプチド)のことをいう。「試料」という用語は、細胞、組織、体液(限定はされないが、血漿;血清;髄液;リンパ液;滑液;尿;涙;大便;皮膚、呼吸器、腸および泌尿生殖器管の外分泌物;唾液;および血液)、腫瘍、器官、生物(例えば微生物)、インビトロ細胞培養構成分の試料、環境試料(例えば、湖、貯水池、土壌試料など)あるいは産業試料(例えば、市販食品製品、産業廃棄物など)のなかに見いだされる、ポリヌクレオチド(ゲノムDNA、cDNA、RNA)および/またはポリペプチドの試料を含んでいてもよい。
【0044】
PCR手順の概略
本発明の装置の基礎は、新奇な適応ベースライン減算アルゴリズムを使用することにあり、該アルゴリズムは、例えばリアルタイムQPCR中などの増幅反応中に、評価中の各試料の特性に基づいて増幅に先だつ開始およびお終了サイクルを決定する。アルゴリズムは、全ての試料に対する終点に基づいてベースラインを算出する従来技術とは違い、各試料に対して個々に決定した終点からベースラインを算出する。本発明に従う適応ベースラインアルゴリズムは、増幅産物の最初の信頼性ある検出を反映する閾値サイクル(サイクルX)のより正確および/または精密な測定値を与えるために用いることができる。
【0045】
アルゴリズムは、PCRに加えて様々なタイプの増幅スキームの解析において用いることができる。一般に、アルゴリズムは、増幅された核酸物(例えばdsDNA)の集団が増加する増幅反応中に、核酸ポリメラーゼを使用する必要のある増幅スキームを評価するために用いられる。増幅スキームの例としては、限定はされないが、PCR;リガーゼに基づく増幅スキーム、例えばリガーゼ連鎖反応(LCR);Q−β−レプリカーゼに基づく増幅スキーム;鎖交換増幅(SDA)スキーム(Walkerら、Nucleic Acids Research,第20巻、1691〜1696頁(1992年)に記載されているような)等が挙げられる。核酸増幅スキームの総括的な記載は、KellerおよびManak、In DNA Probes,第2版(Sockton Press,ニューヨーク、1993年)に提示されている。
【0046】
一般に、アルゴリズムは、反応混合物中に標識を含めることによってモニタされる増幅反応に対するベースラインの算出のために用いられる。標識は、(例えば、増幅産物中に取り込まれるか、あるいは増幅産物と結合することにより)増幅産物と相互作用することができ、例えば光学シグナルなどの検出可能なシグナルを発生することができる。このシグナルの測定値は、反応中の増幅された産物の量と相関させることができる。本発明の有用な標識タイプとしては、限定はされないが、蛍光、化学発光、比色、または酵素標識が挙げられる。
【0047】
有用な蛍光ラベルの例としては、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、およびフルオレサミンが挙げられる。有用な化学発光標識タイプとしては、例えば、ルミナル、イソルミナル、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが挙げられる。有用な酵素としては、例えば、マレイン酸ヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌デヒドロゲナーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、およびグルコアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼが挙げられる。
【0048】
適切な標識は、当業者によって知られる標準的な技術によってポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または抗体断片に結合(例えば共有結合)させるか、取り込ませることができる。例えば、Kennedyら、Clin.Chim.Acta、第70巻、1〜31頁(1976年)、およびSchursら、Clin.Chim.Acta、第81巻、1〜40頁(1977年)参照のこと。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、PCR中の産物の増幅をモニタするために蛍光標識された分子を用いる。蛍光標識された分子は、増幅反応(例えばPCR反応)によって生じた増幅産物と相互作用するかこれに取り込まれた場合、(例えば、少なくともPCR反応の各サイクルの伸長部分の間に)適当な刺激が与えられると検出可能なシグナルを発生する。増幅反応を十分な時間行い(例えば、PCR反応の間に十分なサイクル数の間反応混合物に対して熱サイクルを行う)、所望の最終濃度の増幅核酸物を確立する。
【0050】
増幅反応の任意の時点で観察される生シグナル(例えば蛍光強度)を、本発明のアルゴリズムを用いて相殺し、シグナルが観察されている特定の試料に独特なバックグラウンドシグナルを除去する。得られたシグナルは、試料中で増幅される標的分子のより実際に近い測定値を与える。1つの態様において、バックグラウンドシグナルまたはベースラインは、標的核酸の非存在下における、試料を含むチューブまたはウェル中の予測されるシグナルとして決定される。シグナルベースラインが評価中のすべての試料に対して決定される従来の方法とは対照的に、本発明はアルゴリズムを用いて、増幅をモニタ中の個々の試料それぞれに対して特異的なベースラインを決定する。
【0051】
1つの態様において、アルゴリズムはQPCR反応の最中に実施される。典型的なQPCRのプロセスには、QPCR中に増幅された産物の量に対応するシグナルを発する少なくとも1つの標識存在下において、標的鋳型を増幅することと、発生されたシグナルを収集することと、収集されたシグナルをプロセッサに保存することが伴う。収集されたシグナルを解析し、続いて前記プロセッサと連絡するユーザ装置のスクリーンに表示する。
【0052】
1つの実施形態において、本発明のアルゴリズムを実行するための方法は、選択された複数の開始サイクル(増幅がどのチューブ内でも起こる前)のそれぞれの少なくとも伸長部分の間に、試料中のシグナルの強度を検出および測定する工程と、該強度を増幅産物(例えばdsDNA)のモル濃度値に変換する工程と、各サイクルの各伸長部分に対するモル濃度値をプロセッサに保存する工程と、保存された濃度値に基づいて、増幅産物(例えばdsDNA)のモル濃度を表す測定曲線を、サイクル数の関数として作成する工程とを含む。
【0053】
シグナル強度測定値からモル濃度への変換は、当該技術分野における常套的方法によって実施することができる。例えば、PCR試料を、ゼロ(例えばベースライン)から試料中の未知量の標的核酸を検出するためのPCR反応によって産生されそうな濃度範囲の既知濃度の核酸鋳型を含むこと以外は、すべての同一の反応材料を同一の濃度で含んだDNAの標準溶液(例えば光度標準)に置き換えることができる。そして、これらの既知の光度標準上で測定されたシグナルからベースラインシグナルを減算することにより、ベースラインバックグラウンドに対して補正された測定シグナルと、標準鋳型dsDNAの濃度との関連を示した作業曲線が作成される。ベースライン減算は、シグナル強度測定値をモル濃度に変換する前または後に実施することができる。1つの実施形態において、ベースライン減算は、シグナル強度測定値をモル濃度に変換する前に実施される。別の実施形態において、ベースライン減算は、シグナル強度ををモル濃度に変換した後に実施される。この作業曲線を準備するためにPCRを実施する必要はない。既知のDNAモル濃度を有する標準溶液を用いてもよい。
【0054】
好ましい実施形態において、強度をモル濃度値に変換することなく、保存された濃度値に基づいて、増幅された産物のシグナル強度(例えばdsDNA)を、サイクル数の関数として表した測定曲線を作成した。
【0055】
1つの態様において、未知量の核酸を含む試料中の標的核酸の出発モル濃度を、試験試料のアリコートを得、アリコート上の同一の増幅反応を、既知量の標的核酸を含む標準試料に対して用いられたものと同一の条件下において実施することによって決定する。増幅反応における各サイクルの伸長部分の最後またはその付近で存在する増幅された核酸物(例えば、dsDNA)の測定値のセットを得ることにより、アリコートのそれぞれに対して成長曲線を記録する。アリコートの1つの成長曲線と、標準に対する作業曲線との間の最良適合は、例えば、一変数逐次近似法などによって算出される。作業曲線が、未知量の核酸を含む試料のアリコートの成長曲線と最良適合する標準の濃度を、未知試料のアリコートの濃度として取りだす。ベースライン減算は、未知量の標的核酸を含む試料に対して発生した測定シグナルに対して、以下により詳細に記載するように、シグナル強度測定値をモル濃度に変換する前または後に適用してもよい。
【0056】
適応ベースラインアルゴリズムを用いた方法
リアルタイムPCRの間に、リアルタイムPCR装置(Stratagene(商標)のMx400サーマルサイクラーなど)に挿入した複数の試料ウェルホルダの所与の試料ウェルのそれぞれに対する、実シグナルまたは生データを、PCR増幅反応のすべてのサイクルにおいて検出する。核酸鋳型を除きPCR増幅に用いた全ての試薬を含めることにより、1つ以上のウェルを、対照ウェルとして用いてもよい。1つ以上の試料ウェル中の1つ以上の標識からの各サイクルにおける実シグナルをデータセット中に収集することができる。データセットは、1つ以上の標識のそれぞれの平均(すなわち算術平均)シグナルからなってもよいし、あるいは、各サイクルに対して標識から発生した最小または最大のシグナルからなるものであってもよい。
【0057】
従来のPCRベースライン減算アルゴリズムは、同一の開始および終了サイクルをPCR反応中のすべてのウェルに対して割り当てている。しかしながら、PCR増幅がサイクル毎およびウェル毎で変わることは不可避である。したがっていくつかのウェルに対して、終了サイクルは大きすぎることになる。この場合、増幅プロットは、負の大きな勾配で始まり、予定より遅い増幅を示し、増幅におけるより遅いサイクルに亘って著しく垂下する(図1に示されるように)。他のいくつかのウェルに対しては、終了サイクルが小さすぎるため、増幅プロットが正の大きな勾配で始まり、予定よりも早い増幅を示す(図1参照)ということも起こる。終了サイクルが小さすぎると、初期勾配があまり影響を受けないが、測定された増幅、具体的かつ最も重要なことにはサイクルXの精度がはるかに落ちてしまう。
【0058】
本発明において、開始および終了サイクルは、各試料ウェルおよび/または評価中の各染料に対して個別かつ独自に決定される。各試料ウェルおよび/または染料に対して、試料ウェル中の標識によって発生される実シグナルをプロットすることにより、サイクル数の関数としての第1のプロットを作成する。好ましい実施形態において、サイクル数の関数として、実シグナルの3点移動平均(「MA」)をプロットした第2のプロットを作成し、サイクル数の関数として3サイクルごとに得られた一連の平均を得る。3点MAの算出方法を表1に示す。
【表1】
Figure 2005504543
【0059】
算出された3点移動平均は、適応ベースラインのための終点を決定するために用いてもよく(例えば、実際の増幅が起こる前の開始および終了サイクルが、評価中の個別のウェル中で起こる)、各データセット、すなわち各試料ウェルに対して算出される。
【0060】
好ましい実施形態において、開始サイクル(増幅反応の初期変動が消失した後、検出可能な増幅が始まる前のサイクル)は、以下の1)〜3)のいずれかに1つとして割り当てられる。1)直前のサイクルとは異なる勾配傾向を示す第1のサイクル。例えば、直前の勾配が負であったのに正となる、あるいは直前の勾配が正であったのに負となるようなサイクル。2)直前の勾配よりも大きな正の勾配を有するサイクル。3)第1または第2のプロットの勾配である初期勾配の10%未満の勾配しか有しないサイクル。どのサイクルも上記1)〜3)の基準を満たさない場合は、開始サイクルはサイクル0として割り当てられる。
【0061】
他の好ましい実施形態において、開始サイクルは、最初のサイクルと8番目のサイクルとの間のサイクルに限定される。この限定により、データの広がりを少なくし、および/または人工的疑似結果の発生を低減することができるかもしれない。
【0062】
別の実施形態において、アルゴリズムは、一次微分および二次微分によってよりむしろデータ内のノイズレベルに基づいている。この場合、アルゴリズムは、提案されたベースライン付近の点の標準偏差を算出する。そして、サイクル6までの点をこの値と比較する。サイクル6までの全てのポイントがこの値の外にあれば、サイクル7が開始サイクルである。もしそうでなければ、アルゴリズムはサイクル5までの点を参照する。アルゴリズムは条件が合うまでこれを続けるが、サイクル1はアルゴリズムによっては解析されない。
【0063】
評価中の個々の試料に対する終了サイクルを決定するために、サイクルXを決定することが重要である。サイクルXは、増幅が信頼性よく検出され始めるサイクルのことをいう。サイクルXは、直前のサイクルからの勾配の変化が最大となるサイクルのことをいい、サイクルXの直後には、それぞれに直前のサイクルと比較して勾配が増大する4サイクルが続く。サイクルXを決定するための工程は、サイクル回数に対する蛍光強度のプロット上の点を分類することと、プロット上の異なる点における一次微分および二次微分を確認することを含んでいてもよい。一次微分は、あるサイクルから次のサイクルまでに観察される蛍光強度の変化に相当する勾配を表す。二次微分は、増幅反応の間の変化を表す。
【0064】
サイクルを表す任意の点において、一次微分が正であり、次の4つの点が増加勾配を有する場合、このサイクルはサイクルXとして認められる。もしこの基準が満たされなければ、そのサイクルは排斥され、サイクルに対応する次の点を評価して、そのサイクルがサイクルXに対する基準に合うかどうかを判定する。
【0065】
1つの実施形態において、サイクルXは、PCR反応の最初の8サイクルを表す点を評価することによって決定される。サイクルXが最初の8サイクル以内で合格すれば、終了サイクル(標的鋳型の増幅前におこるサイクル)は、サイクルXから一定の任意のサイクル数を差し引くことによって割り当てられる。この差し引かれる一定の数は、実験毎に変わるものであってもよいし、後述するように、評価中の試料に対して適応ベースラインがどの程度よく適合しているかに従って決定することもできる。好ましい実施形態において、終了サイクルはサイクルXの3、または2、または1サイクル前である。
【0066】
別の実施形態において、サイクルXは、PCR反応の最初の8サイクル以内で決定される。この実施形態において、サイクルX自身が終了サイクルとして割り当てられる。
【0067】
別の実施形態において、サイクルXは、増幅曲線の最大二次微分に基づいて決定される。サイクルXは、最大二次微分におけるシグナルの固定分数として設定される。さらに別の実施形態において、サイクルXは、例えば、最大二次微分と最大勾配、あるいは最大二次微分と最小二次微分などの2つのシグナルレベルに基づいて決定される。さらに別の実施形態において、サイクルXは、適応ベースラインによって決定される終了サイクルに基づいて決定される。
【0068】
1つの態様において、サイクルXは、複製試料(同じように調製され、複製であると機器によって確認されている試料)の群に対するサイクルXの範囲に基づいて決定される。これらの試料が同一であるので、これらは同一の閾値サイクルを与えるに違いない。この場合、サイクルXは、シグナルレベルが、全ての複製に対する閾値サイクルの範囲が最小になるサイクルとして決定される。
【0069】
終了サイクルが正確に選択されれば、データが指示範囲から出る範囲もはるかに小さくなるであろう。終了サイクルを決定する適応ベースラインアルゴリズムは、増幅曲線の勾配(二次微分)の最大変化に基づいている。1つの実施形態において、アルゴリズムは3つのサイクルを差し引くことにより、終了サイクルを作成する。他の実施形態において、アルゴリズムは、3サイクルではなく4サイクルを差し引くことにより、終了サイクルを算出する。疑似終点を除去するために、様々な検査を適用することができる。例えば、シグナルではなくノイズが最大二次微分を与える場合などである。1つの実施形態において、最大二次微分を有するサイクル上の終了サイクルは、一次微分の兆候と、そのサイクル付近の一次微分と二次微分の傾向をチェックすることによって実施した。
【0070】
個々のウェルに対して決定される開始および終了サイクルは、ベースラインが、機器ドリフトおよび/またはサンプリングのばらつきによるPCR反応の変動に、より正確に適合するように、さらに調整してもよい。1つの実施形態において、算出された成長曲線は、鋳型に対して作成される。この成長曲線は、既知量の鋳型を用いた各サイクルにおいて発生されるシグナルを反映している。開始および終了サイクルは、既知または未知量の鋳型を使用して、上述のようにPCR増幅反応に対して決定してもよい。増幅の実シグナルが測定される。測定された成長曲線は、上述のようにして決定された開始および終了サイクルに基づいて誘導された適応ベースラインを用いて実シグナルから作成してもよい。そして、測定成長曲線を、理論成長曲線と比較して、測定成長曲線と理論成長曲線の間の適合の質に従って、試料に対する開始および終了サイクルを調整できるようにする。
【0071】
測定成長曲線と理論成長曲線の間の適合の質は、差異の二乗の平均をどれほど小さくできるかによって測ることができる。有用な手段としては、適合の二乗平均平方根誤差、すなわち「rmse」である。rmseは、各サイクルにおける測定シグナル強度と予測(例えば理論)値の差異を二乗することによって算出される。適合の範囲(例えば、適合に含まれるサイクル数)に亘ってこれらの二乗の平均を算出し、平方根を求めると、適合に対するrmseが得られる。
【0072】
1つの態様において、rmseは、下記の式に従って決定される。
【数2】
Figure 2005504543
【0073】
(式中、Nは、開始サイクルと終了サイクルの間のサイクル数であり、Sは開始サイクルであり、Eは終了サイクルであり、γはi番目のサイクルであり、mおよびbは最良適合線のパラメータである)。
【0074】
rmseはシグナルがバックグラウンドを超えて増幅し始めると迅速に増加する。1つの態様において、サイクルに対する適合のrmseが適合するように、終了サイクルを変えて、サイクルに対する適合のrmseを適合するようにプロットする。rmseが所定の値を超える終了サイクルが選ばれる。等価な結果を与える任意の方法が有効であることは当業者にとって自明である。例えば、観察された差異の重大性を判定するために当該技術分野において常套的に用いられている統計的方法を用いることができる。
【0075】
各増幅反応に対する終了サイクルを決定する別の方法は、ベースライン関数の最小平均二乗適合のrsqを、適合サイクル関数としてのデータにプロットすることである。終了サイクルは、rsq値が所定の値を超えるサイクルとして定義される。
【0076】
測定成長曲線および理論成長曲線は、それらの多項または対数形あるいは他の適当な形態で比較してもよい。
【0077】
試料に対する開始および終了サイクルの別の調整方法としては、終了サイクルを適宜割り当てることである。1つの実施形態において、開始サイクルと終了サイクルの間の相対距離が0である場合、例えば、開始サイクルと終了サイクルが同じサイクルである場合、終了サイクルは、適宜、増幅反応の最終サイクルに割り当てられる。開始サイクルは適宜、サイクル0に割り当てられる。
【0078】
別の実施形態において、開始サイクルと終了サイクルの間の相対距離が0より大きく(すなわち、開始サイクルと終了サイクルが同一でない場合)、所定のサイクル数(例えば、6〜12サイクル)よりは小さい場合、開始サイクルと終了サイクルは、開始サイクルと終了サイクルの間の距離が所定の数(例えば、6または7または8または9または10または11または12)となるように適宜割り当てられる。
【0079】
好ましい実施形態において、一定の数は適宜8に決定される。たとえば、相対距離が8サイクル未満であれば、開始および終了サイクルは8サイクル離れて設定される。このことは、終了サイクルの数に対しての開始サイクルの数を調整することによって達成される。したがって、もし終了サイクルがサイクル10であり、当初の開始サイクルがサイクル5である場合には、開始サイクルは、終了サイクルからの距離8を維持するためにサイクル2に調整される。終了サイクルが8以下のサイクルである場合には、開始サイクルは、サイクル0に設定され、終了サイクルは、開始サイクルと終了サイクルの間の距離8を維持するために、サイクル8に設定される。
【0080】
別の実施形態において、それぞれの相対距離に基づいて開始サイクルと終了サイクルを調整する前に、開始サイクルと終了サイクルは、測定成長曲線上の開始サイクルと終了サイクルの間の所定のサイクルにおける蛍光強度を表す点を、理論成長曲線上の点と比較することにより、標準偏差に基づいて調整される。開始サイクルと終了サイクルは、すべての点が互いに何らかの標準偏差内に収まるまで、内方(互いに向けて)調整することができる。
【0081】
本方法の実施にあたって実行すべきサイクルの数は、少なくとも試料中の増幅産物(例えばdsDNA)の蛍光シグナルの強度を、目的とする最小開始濃度を有した試料に対する各サイクルの終了時において、蛍光強度測定に用いる手段(例えば、サーマルサイクラーの検出器)による検出が可能な限界を超える値まで高めるのに十分でなければならない。サイクル数が大きければ大きいほど良好な結果が得られるが、一旦、増幅産物のモル濃度の各サイクルにおける有意な増加が止まってしまうと、サイクルを追加してもその利益は減る。
【0082】
本発明を定量的リアルタイムPCRに適用するために必要な装置
本発明のアルゴリズムおよび方法を適用するために有用な装置は、サーマルサイクラー、シグナルを収集するための入力装置(例えば、検出装置)、シグナルを解析するための解析装置(例えばプロセッサ)、および解析装置によって取得あるいは生成されたデータを表示するための出力装置(例えば、解析装置と連絡するコンピュータなどのユーザ装置)とを含んでいてもよい。解析装置は、当該技術分野において周知のように入力装置を介してサーマルサイクラーに接続してもよいし、および/またはデータ表示装置の技術分野において周知の出力装置に接続されているか、該装置を含んでいてもよい。1つの実施形態において、解析装置は、例えば図12Aおよび12Bに示すようなコンピュータである。
【0083】
本方法を実施するために用いられるサーマルサイクラーは、標準的なPCRチューブ内、またはPCR試料プレート内でサーマルサイクリングブロック中に96個までの反応試料を保持できる(本明細書中では総括的に「試料ウェルを含む試料ブロック」と呼ぶ)従来の設計のものであってもよい。チューブを用いる場合には、透明のキャップ(例えば、ポリプロピレンまたは他の透明の熱耐性プラスチックを含む)を有することが好ましい。好適には、チューブ/ウェルの上にくるサーマルサイクラーの蓋は、検出装置の入力装置を受容および支持するように特別に適応されている。
【0084】
1つの態様において、検出装置は、1つ以上の蛍光標識から光学シグナルを検出するのに適している。好ましくは、前記装置は、アセンブリ内の試料チューブとの光の送受を行うための1つ以上の走査用光学ファイバを含んでいる。好ましくは、複数の光学ファイバ(たとえば、検出中のシグナルまたは標識のタイプ毎に1つ)を用いて、チューブの表面を走査する(例えば行毎に)。1走査毎に複数の光学シグナル(好ましくは、少なくとも9光学シグナル)を収集し、これを平均して1走査あたりの試料チューブに対する平均シグナルをもたらす。好ましくは、検出器は、光信号を、アセンブリに連絡したプロセッサへのデジタル入力に変換するための、適当な信号増幅変換回路も含んでいる。検出器は、Higuchiら(1993年)Biotechnology、11(9)、1026〜1030頁に記載されているようなデジタルカメラ装置を含んでいてもよい。
【0085】
検出装置の出力(例えば、増幅反応中に生じるものに対応するシグナル)は、プロセッサに送られて、データの保存と操作が行われる。1つの実施形態において、前記装置は、複数の異なるタイプの光学信号、例えば、複数の異なるタイプの蛍光標識を検出するとともに、ミクロプレート蛍光読取器の能力も有している(例えば、個々のウェルから得られたシグナルの強度を単離および解析することができる)。
【0086】
検出装置は、好ましくは、可視光レーザーまたは紫外線ランプまたはハロゲンランプのいずれであってもよい励起光源と、反応チューブからの蛍光を受容するためのファイバ光学系とコネクタを介して、個々の反応チューブに励起光を分配するための多重化装置と、励起光から波長によって蛍光を分離するための濾過手段と、蛍光強度を測定するための検出手段とを含む多重蛍光光度計である。
【0087】
好ましくは、サーマルサイクラーの検出装置は、350nm〜830nmの検出範囲を提供し、フルオロフォア選択に大きな自由度を与え、高い感受性と優れたシグナル−ノイズ比を与える。装置の光源は好ましくは、350〜750nmの広い範囲の励起光を発生する。これにより、ユーザは、スペクトルの重複が殆どもしくは全くなく、優れた多重化のための明瞭な線状シグナルを与えることができるフルオロフォアを選ぶことができる、強度評価の対象となる各フルオロフォアの励起および発光波長を正確に一致させて、スペクトル上隣接するフルオロフォアからの不要なクロストークを阻止するために、最適化インターフェースフィルタを設けることもできる(例えば、図6に示されるような)。例えば、FAM、TET,HEX/JOE/VIC、TAMURA、テキサスレッド/ROX、Cy5およびCy3フィルタセットが市販されており、他のフルオロフォアに対してはカスタムフィルタセットを作成することもできる(Stratagene、カリフォルニア州)。
【0088】
好ましくは、リアルタイム増幅プロットは増幅の進行としてみなされる。これにより、アセンブリのユーザは、実行が終了するまで待たなくても、サーマルサイクリング中の任意の時点において実験がどのように運んでいるかを一目で判定することができる。ユーザは反応中に問題が起こった場合に実行を中断するか、実験を終了し、所望の情報が生成され次第データを保存するかのいずれかを選択することができる。
【0089】
検出装置によって受信された光学シグナル(例えば、所与のチューブにおける所与の時点における蛍光シグナル強度に対応)は、一般にプロセッサによって演算可能な信号に変換されて、該プロセッサと連絡したユーザー装置(例えばコンピュータ)の表示装置上でユーザが見ることのできるデータを与える。好ましくは、解析装置のプログラムによって、コンピュータへの電力損失時や通信エラー時であってもデータ収集が継続するというような、サーマルサイクラー装置とユーザ装置の間の強力な通信が可能になる。通信が再開されると、実行からのデータがサーマルサイクラーの内蔵ソフトウェアからコンピュータ上のソフトウェアに送られて、確実に実験が完結しデータはしっかり保存される。
【0090】
ユーザ装置は、ユーザインターフェースを含んでいてもよく、あるいは、キーボードとビデオモニタを備えた従来の市販のパーソナルコンピュータ(PC)装置であってもよい。ユーザ装置によって表示しうるデータとしては、例えば、増幅プロット(図8を参照)、散布図(図10を参照)、アセンブリ中のすべてのチューブおよびすべての使用標識に対する試料値スクリーン、光学シグナル強度スクリーン(例えば、蛍光シグナル強度スクリーン)、最終案内結果、融解曲線、アニーリング範囲、レポート文書などが挙げられる。好ましい態様において、ユーザ装置は作業曲線、成長曲線、および第1および第2のプロット、ならびにこれらの曲線/プロット上での様々な演算の結果を表示することができる。例えば、1つの態様において、ユーザ装置は、解析装置/プロセッサが第1のプロットと第2のプロットの間の適合を判定した後に得られるrmseを表示する。
【0091】
ユーザ装置は、ユーザが解析装置またはプロセッサに、例えば、装置のサイクリングパラメータを変更する指示またはベースライン減算を実行する指示などの指示を与えることができるようなユーザインターフェースを表示することもできる。1つの態様において、ユーザ装置からの指示に応答して、解析装置またはプロセッサは、本発明の適応アルゴリズムを含むプログラムを実行する。アルゴリズムは、例えば、コンピュータによって使用されるソフトウェアの一部または、コンピュータのメモリ内またはコンピュータがアクセス可能なサーバーのメモリ内に記憶されているアプリケーションの一部としての、コンピュータによって使用可能なプログラム製品の一部であってもよい。
【0092】
1つの態様において、解析装置は、上述した本発明の方法に従って、検出装置によって検出されたサーマルサイクラーの試料ブロック内の試料チューブまたはウェルに対する開始サイクルと終了サイクルを決定する。1つの実施形態において、解析装置は、例えば、測定成長曲線を理論成長曲線と比較することによって、開始サイクルおよび終了サイクルも調整する。開始サイクルと終了サイクルを適応ベースラインを決定するために用いるので、それぞれのチューブまたはウェルに対して独自の開始サイクルおよび終了サイクルが割り当てられ、機器ドリフトおよびサンプリングのばらつきに起因する変動を回避することができる。それぞれのチューブ/ウェルに対する測定成長曲線と理論成長曲線の比較は、各チューブおよびウェルに対するベースラインを決定する手段として開始サイクルおよび終了サイクルを調整するために、(例えば、rmseを決定するためにプログラムを実行することにより)コンピュータの使用者によって行われる。それぞれのチューブ/ウェルに対する独自のベースラインを、増幅反応中に得られた生シグナルから差し引いて、チューブ/ウェル内の標的試料の量をより正確に反映する測定シグナルを得る。
【実施例】
【0093】
実施例1
PCRは、PCR試料プレートのウェル中のサーマルサイクリングブロック内に最大で96個までの反応試料を保持するサーマルサイクラーを用いて実施した。96ウェルすべてに同じ試料を入れた。適応ベースラインアルゴリズムを適用してPCR増幅を算出した。開始サイクルは、1〜8サイクルの間のサイクルに限定した。これらの試験において、すべてのウェルが同一のサイクルにおいてアンプリコンを検出し、増幅プロットはすべて一致していなければならない。図11Aおよび11Bは、典型的な均一実行からの得られた結果である。図11Aは、開始サイクルを1〜8サイクルの間のサイクルに限定していない場合のデータ解析結果を示し、図11Bは開始サイクルの決定に1〜8サイクルの限定を適用した場合の同じデータから得られた結果を示している。1〜8サイクルの限定は、データの広がりを小さくするだけでなく、図11Aの2試料の除去によって見られるように、人工的な疑似結果の発生を低減する。
【0094】
本明細書中に記載および請求する本発明の精神と範囲から逸脱しない限りにおいて、当業者によって、ここに記載されているものの変形、変更および他の実施がなされるであろう。
【0095】
特許および特許出願を含む上記で確認した全ての参考文献は、該参考文献が、本発明の1つ以上の実施形態の実施に重要であるかもしれない構造および/または装置の基礎を記述、列挙、提供するかこれらを可能にする範囲において、参照により本願に明確に組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の1つの実施形態に従って、一定の開始サイクルおよび終了サイクルを用いたベースラインによって算出した、4試料に対するPCR増幅反応を示すグラフ。
【図2A】本発明の1つの実施形態に従うサイクル数の関数としての実増幅シグナルのプロットを示すグラフ。
【図2B】本発明の1つの実施形態に従って、図2Aのデータを用いてPCR反応の各サイクルにおけるシグナルの測定値と予測値の間の差異の二乗平均平方根誤差(「rmse」)算出の結果を示したグラフ。
【図2C】本発明の1つの実施形態に従って、一定の開始サイクルおよび終了サイクルを用いたベースラインによって算出した、4試料に対するPCR増幅反応を示すグラフ。多くの試料のデータは、シグナルが検出可能な強度に上昇するまでは、0未満である。
【図2D】本発明の1つの実施形態に従って、図2Cで用いたものと同じ4試料に対する適応ベースラインを用いて算出したPCR増幅を示すグラフ。終点はそれぞれの試料に対して独立して選択されており、増幅が検出できるようになるまでのゼロ未満のデータ点はより少ない。
【図3】本発明の1つの態様に従う350〜830nmの範囲の放射波長での蛍光シグナルの検出。
【図4】本発明の1つの態様に従う1つの試料チューブ中での4つまでの蛍光シグナルの検出。
【図5】本発明の1つの態様に従う最適化されたフィルタセットによって測定された様々な蛍光染料の、シグナル−ノイズ比。
【図6】本発明の1つの態様に従って用いられる典型的な染料に対する蛍光染料発光曲線。
【図7】本発明の1つの態様に従う、サイクル回数の関数としての蛍光シグナルとして示されるPCRの進行に伴うリアルタイム増幅プロット。
【図8】本発明の1つの態様に従う、1つの増幅プロット中に見られる4つまでの蛍光シグナル。
【図9】本発明の1つの態様に従うベースライン減算を用いて作成した増幅プロット。
【図10】QPCRのために用いられ、本発明の1つの態様に従うベースライン減算を実施するために適応されるサーマルサイクラーと連絡するユーザー装置のインターフェース上に設けられるデータ解析オプション。
【図11A】本発明の1つの実施形態に従って、開始サイクルが1〜8の間のサイクルに限定されていない、PCR増幅解析の結果を示すグラフ。
【図11B】本発明の1つの実施形態に従って、開始サイクルが1〜8の間のサイクルに限定されている、PCR増幅解析の結果を示すグラフ。
【図12A】本発明の1つの実施形態に従う解析装置の一例。
【図12B】本発明の1つの実施形態に従う解析装置の別の例。

Claims (18)

  1. PCR反応のサイクルを循環する試料ブロック内の複数の試料ウェルに対する適応ベースラインの算出法であって、前記方法は以下を含む。
    (a)ウェル内で観察される実光学光学シグナルの強度を、該ウェルに対するサイクル数の関数としてプロットして、第1のプロットを得る工程と、
    (b)前記ウェルに対する開始サイクルと終了サイクルとを決定し、該開始サイクルと終了サイクルならびに両サイクルの間の点を直線に適合して、前記点と前記直線の間の最良適合を決定する工程と、
    (c)前記ウェルに対して得られた最良適合線を、該ウェルに対するベースラインとして用いる工程と、
    (d)前記複数のウェルのそれぞれに対して工程(a)〜(c)を実施する工程。
  2. 前記開始サイクルと終了サイクルとを決定する工程(b)は、サイクル2から始まる各サイクルに対して得られる実シグナルの強度の3点移動平均を得ることと、前記3点移動平均を、サイクル2から始まるサイクル数の関数としてプロットして第2のプロットを得ることとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1または第2のプロットからサイクルXを同定する工程をさらに含み、前記サイクルXは直前のサイクルからの勾配変化が最大となり、その直後に、それぞれ直前のサイクルと比較して増加勾配を有する少なくとも4つのサイクルを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. サイクルXは、前記PCR反応の最初の8サイクル以内で特定され、終了サイクルは前記サイクルXの3サイクルまたは2サイクルまたは1サイクル前で特定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. サイクルXは、PCR反応の最初の8サイクル以内で特定され、サイクルXは終了サイクルとして割り当てられることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 開始サイクルは、直前のサイクルとは異なる勾配傾向を示す第1のサイクルと、直前のサイクルの勾配よりも大きな正の勾配を有するサイクルと、初期勾配の10%未満の勾配しか有しないサイクルとから成る群より選ばれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. 開始サイクルはサイクル1〜8の間のサイクルに限定されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  8. 前記最良適合線は、式:
    Figure 2005504543
    (式中、Nは前記開始サイクルと終了サイクルの間のサイクル数であり、Sは前記開始サイクルであり、Eは前記終了サイクルであり、γは第iサイクルのシグナルであり、mおよびbは前記最良適合線のパラメータである。)
    で表される標準最小二乗平均平方根誤差アルゴリズムを用いて算出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記ウェルの少なくとも1つは、鋳型核酸を含む可能性のある試料を含み、前記光学シグナルは、前記核酸に特異的な標識されたプローブに由来することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記ウェルの前記少なくとも1つに対して算出された前記適応ベースラインを、前記少なくとも1つのウェルに対してプロットされた第1のプロットから差し引いて、適応シグナルプロットを作成する工程(d)をさらに含む請求項9に記載の方法。
  11. 前記適応シグナルプロットを、前記標準プロットがベースラインを除去するように調整されている、既知量の前記鋳型濃度を含むPCR反応から作成した第1の標準プロットと比較する工程をさらに含む請求項10に記載の方法。
  12. 前記比較は、前記鋳型の量を決定するために用いられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記標識は蛍光標識であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  14. 前記試料は前記ウェル内のチューブ内にあることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の方法を実施するためのプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品。
  16. PCR反応の適応ベースラインの算出のための装置であって、前記装置は、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品のプログラム命令を実行するためのメモリを含む解析装置を含んでいることを特徴とする装置。
  17. 前記試料ブロックを受容するためのサーマルサイクラーと、前記試料ウェルからの光学シグナルを収集するための入力装置と、解析装置によって取得または発生されたデータを表示するための出力装置とをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 前記出力装置はコンピュータであることを特徴とする請求項17に記載の装置。
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