JP2005503781A - 殺菌剤の標的としてのホモアコニターゼ - Google Patents

殺菌剤の標的としてのホモアコニターゼ Download PDF

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Abstract

本発明は、殺菌剤の新規な標的としてのホモアコニターゼの使用に関する。本発明はさらにタンパク質ホモアコニターゼをコードする核酸配列SEQ ID NO:1を同定し、単離することに関し、そして殺菌作用を備えた化合物を同定する方法に関し、これは上述の核酸配列又は上記配列にコードされているタンパク質に基づく。本発明はさらにSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:1の機能同等物を含むトランスジェニック生物に関し、これは非トランスジェニック菌類と比較したリシン産生の増大によって区別される。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌剤の新規な標的(ターゲット)としてのホモアコニターゼの使用に関する。本発明はさらに、ホモアコニターゼタンパク質及びその機能同等物をコードする核酸配列SEQ ID NO:1の同定と単離に関するものであり、上述の核酸配列、又はこれらの配列によってコードされるタンパク質に基づいた殺菌作用を有する化合物を同定するための方法に関する。本発明はさらに、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:1の機能同等配列を含むトランスジェニック(遺伝子組み換え)生物に関するものであり、これは非トランスジェニック菌類と比較したリシン産生の増大という特徴がある。
【背景技術】
【0002】
定義された酵素(標的)の阻害による殺菌剤の同定の基本的原理は、開示されている(WO 00/3657)。しかし、殺菌剤への耐性の問題の増大に照らすと、殺菌剤のための新規な標的となりうる酵素の検出(発見)が強く必要とされている。
【0003】
【特許文献1】
WO 00/3657
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な殺菌作用標的の同定である。
【0005】
新規な標的の検出(発見)は、実際には非常に困難であり、これは代謝経路の構成要素(構成物質)が通常は病原性菌類の増殖又は感染性にさほど影響を与えないためである。これは、病原性菌類は、その存在が未知の代替代謝経路を切り替えるという事実、又は阻害される酵素が上記代謝経路に限定されていないという事実によるものであろう。そこで、標的としての遺伝子産物の適性は、その遺伝子の機能が既知であったとしても、予測不可能である。
【0006】
本発明の目的は、殺菌剤の新規な標的を同定することであり、そして殺菌活性化合物を同定するために適した方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、上記配列SEQ ID NO:1及び配列SEQ ID NO:1の殺菌性同等物によってコードされるホモアコニターゼは、殺菌剤標的として適していることを、本発明者等は見いだした。
【0008】
さらに本発明者等は、SEQ ID NO:1を含むトランスジェニック菌類では、上記ホモアコニターゼの発現増大のために、リシンの生合成が増大することを見いだした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に基づけば、ホモアコニターゼは、病原性菌類、好ましくは植物病原性菌類を制御するための殺菌剤にとっての新規な標的である。
【0010】
ホモアコニターゼは、疑いの余地無く、殺菌活性化合物の好適な標的タンパク質(標的)(ターゲット)であることが初めて同定された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
したがって、本発明の目的は、以下の、
1) ホモアコニターゼ、特に植物病原性菌類Pyrenophora(P.)teres由来のホモアコニターゼをコードする核酸配列SEQ ID NO:1を単離し、
2) Pyrenophora teres及びFusarium graminearumで分子生物学的手法によって殺菌剤標的としての上記ホモアコニターゼを検証し、
3) 上記ホモアコニターゼの阻害剤を同定するために活性アッセイ(評価分析)を提供し、そして、
4) 活性アッセイを通じて同定された阻害剤を殺菌剤として使用する、
ことによって達成される。
【0012】
驚くべきことに、本発明の核酸配列を含むトランスジェニック菌類は非トランスジェニック菌類と比較してリシン含量が増大していることがさらに見いだされた。
【0013】
この点に関し、本記載で使用される幾つかの用語を、以下に定義する。
【0014】
「アフィニティタグ」:ペプチド又はポリペプチドであって、それをコードしている核酸配列が標的タンパク質をコードしている配列と直接に、又は通常のクローニング技術によるリンカーを使用して融合(連結)可能なものを表す。アフィニティタグは、アフィニティクロマトグラフィーを使用してリコンビナント(遺伝子組み換え)標的タンパク質を単離するために役立つ。上述のリンカーは、適切な位置にプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)切断部位(例えば、トロンビン又はXa因子)を含んでもよく、所望であればそれによってアフィニティタグは標的タンパク質から切断除去可能である。通常のアフィニティタグの例には、「Hisタグ」(例えば、ドイツ、Hilden、Quiagen製)、「Strepタグ」、「mycタグ」(Carlsberg、Invitrogen製)、キチン結合ドメイン及びインテインからなるタグ(New England Biolab製)、「CBDタグ」(Novagen製)がある。
【0015】
「酵素活性/活性アッセイ」:酵素活性という用語は、基質を生成物へと転換する酵素の能力を述べている。この場合に使用される基質は、酵素の天然の基質及び天然基質の合成修飾アナログ(類似体)の両方を含むものであってよい。酵素活性は、規定時間の関数として、
1) 生成物の増大、又は、
2) 反応物の減少、又は、
3) 特異的コファクター(補因子)の減少、又は、
4) 1)〜3)で述べたパラメータのうちの2以上の組み合わせ、
による「活性アッセイ」で決定(測定)できる。
【0016】
酵素が可逆反応を触媒する場合には、反応物と生成物の両方が、適切な活性アッセイにおいて基質として使用可能である。
【0017】
「発現」は、所望の核酸配列を含む細胞内での遺伝子の転写(トランスクリプション)及びそれに続く翻訳(トランスレーション)を述べている。
【0018】
「発現カセット又は核酸配列」:本発明の核酸配列を含む発現カセットとは、例えば、ゲノム又は相補的DNA配列又はRNA配列、及びそれらの半合成又は全合成アナログ(類似体)を意味する。上記の配列は鎖状又は環状の形態で、染色体外的に又はゲノムに組み込まれて存在してもよい。本発明の核酸配列は、合成的に作製しても、天然で製造してもよく、合成及び天然DNA成分の混合物を含んでもよく、さらに種々の生物からの種々の非相同遺伝子部分を含んでもよい。
【0019】
細胞内で又は生物内で、標的タンパク質の発現が可能である限りは、人工核酸配列もまたこの場合に好適である。例えば、トランスフォーム(形質転換)させる生物のコドン利用について最適化された合成ヌクレオチド配列を生成することが可能である。
【0020】
上述した全てのヌクレオチド配列は、公知の方法による化学合成、例えば、オーバーラップ(部分的一致)する個々の相補的二重らせんヌクレオチドビルディングブロックのフラグメント縮合によって、ヌクレオチドビルディングブロックから調整可能である。オリゴヌクレオチドの化学合成は、公知の方法、例えばホスホアミダイト法(Voet、Voet、第二版、Wiley Press、New York、896−897頁)によって、実施できる。発現カセットを作製するときには、種々のDNAフラグメント(断片)を取り扱い可能であるために、正しいリーディングディレクション(読み向き)と正しいリーディングフレーム(読み枠)を備えたヌクレオチド配列が得られる。核酸フラグメントは、例えば、T.Maniatis、E.F.Fritsch及びJ.Sambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、ColdSpring Harbor、NY(1989年)、及びT.J.Silhavy、M.L.Berman、及びL.W.Enquist、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor、NY(1984年)、及びAusubel,F.M.et al.、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience(1994)に記載されているような一般的なクローニング技術によって互いにリンク(連結)される。
【0021】
「遺伝子」は、タンパク質をコード(暗号化)している核酸配列を記述し、これはRNA(mRNA、rRNA、snRNA、センスRNA、又はアンチセンスRNA)へと転写可能であり、適切な位置に制御配列を連結されることもあり得る。制御配列の例には、プロモータ配列がある。さらに存在し得る他の要素の例には、イントロンがある。
【0022】
「遺伝子制御配列」:この遺伝子制御配列(「制御配列」の語と同等であると見なされる)の語は、本発明の発現カセットの構造及び機能への影響を有していて、例えば原核又は真核生物において転写、適切な場合には翻訳を確実にする配列を述べている。これらの例には、プロモータ又は「エンハンサー」配列がある。これらの制御配列に加えて、又はこれらの制御配列に代えて、上記配列の天然制御は、実際の構造遺伝子の前に存在したままでもよく、適切な場合には、天然制御が取り除かれ、標的遺伝子の発現が増加するように遺伝子的修飾がなされていてもよい。制御配列の選択は、ホスト(宿主)生物又は出発生物に依存する。遺伝子制御配列はさらに遺伝子の5’非翻訳領域、イントロン又は非コード3’領域をも含む。制御配列はさらに、宿主生物のゲノムへの挿入又は相同組み換えを可能とする配列、あるいはゲノムからの除去を可能とする配列を意味する。
【0023】
ここでは機能同等物とは、
1) 標的タンパク質をコードしている核酸配列(本発明のSEQ ID NO:1)、又は標的タンパク質をコードしているこの核酸配列の一部と、標準的条件下でハイブリッド形成(対合)し、且つ、
2) 細胞又は生物内で、酵素活性である標的タンパク質(本発明におけるホモアコニターゼ)を発現可能である、
上記核酸配列を述べている。
【0024】
好適には、例えば保存領域、又は当業者に知られた方法で関連する他の遺伝子と比較によって決定可能な他の領域の、約1〜50bp、好ましくは15〜40bpの長さを有する短いオリゴヌクレオチドがハイブリッド形成(ハイブリダイズ)に使用される。しかし、本発明の核酸のさらに長いフラグメント、又は完全な配列をハイブリッド形成に使用することも可能である。上記標準的条件は、使用する核酸(オリゴヌクレオチド、さらに長いフラグメント、完全な配列)に依存して、あるいはハイブリッド形成に使用する核酸の種類(DNA又はRNA)に依存して変更される。そのため、例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドよりも、約10℃低い。
【0025】
標準的条件とは、核酸に依存するが、例えば42〜58℃の間の温度下、0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl 15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)の濃度を有する水溶液で、あるいはさらに50%ホルムアルデヒドの存在下を意味し、例えば42℃、5×SSC、50%ホルムアルデヒドのような条件を意味する。好適には、DNA:DNAハイブリッドのためのハイブリッド形成条件は、0.1×SSC及び約20℃〜45℃の温度、好ましくは30℃〜45℃である。DNA:RNAハイブリッドのためには、ハイブリッド形成条件は好適には、0.1×SSC及び約30℃〜55℃の温度、好ましくは45℃〜55℃である。ハイブリッド形成のために示された温度は、例としてホルムアミド不存在下で長さ約100ヌクレオチドで50%のGC含量である核酸について算出された融解温度である。DNAハイブリッド形成のための実験的条件は、例えば、Samrook等、「Molecular Cloning」、Cold Spring Harbor Laboratory、1989年のような関連する遺伝学教科書に記載されており、あるいは例えば核酸の長さ、ハイブリッドの種類、GC含量の関数として、当業者に知られている式に従って算出可能である。ハイブリッド形成についての情報はさらに、以下の教科書によって当業者が知ることが可能である。すなわち、Ausubel等編、1985年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、New York; Hames及びHiggins編、1985年、Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach、IRL Press 於 Oxford University Press、Oxford; Brown編、1991年、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、IRL Press 於 Oxford University Press、Oxford。
【0026】
さらに「機能的同等物」とは、特に、標的タンパク質に対応する核酸配列の天然の又は人工の変異(突然変異)をうけたもの及び他の生物由来のそれらのホモログをも含むもので、且つ酵素活性のある標的タンパク質を細胞又は生物で発現可能であるものを意味する。
【0027】
そこで、例えば、本発明は、SEQ ID NO:1で記述される標的タンパク質の核酸配列を修飾することにより得られるそれらの核酸配列をも含む。このタイプの修飾の目的には、例えば、さらに制限酵素開裂部位を導入すること、冗長(重複)DNAを除去すること、又はさらに配列を付加することがある。しかし、核酸配列が相違しているにも関わらず、上記核酸配列によってコードされたタンパク質は、なお所望の性質を有していなければならない。
【0028】
機能同等物の用語は、対応する核酸配列によってコードされたタンパク質に関するものでもある。この場合に、機能同等物とは、あるパーセンテージまで、SEQ ID NO:2と同一のアミノ酸配列であるタンパク質をも述べている。
【0029】
そこで機能的同等物とは、ここで述べたその配列の天然に生じた変異型及び人工的なもの、コドン使用を適合させた核酸配列、例えば化学合成によって得られたもの、及びそこから得られたアミノ酸配列を含む。
【0030】
一般的なルールによれば、機能的同等物は、特定のアミノ酸配列(対応する核酸配列によってコードされている)とは無関係に、いずれの場合にも核酸配列SEQ ID NO:1によってコードされているタンパク質と同じ酵素活性を有している。そのためにこの「機能的同等物」はホモアコニターゼの生物学的活性を有している。
【0031】
「好適な反応時間」は、活性試験の実施に必要とされる時間を表し、これは使用する方法にのみ依存するのではなく、使用される機器の感度にも依存する。反応時間の決定は当業者に知られている。光度測定方法に基づいたアッセイ系のために、反応時間は一般に40分以下である。
【0032】
「ホモアコニターゼ」は、ホモアコニット酸からホモイソクエン酸への転換を可逆的に触媒する能力がある酵素として、ここでは定義されている。
【0033】
「ホモアコニターゼ活性」とは、ホモアコニット酸のホモイソクエン酸への転換を触媒する酵素の能力を表す。この語は、「ホモアコニターゼの生物学的活性」の語と同等である。
【0034】
2つの核酸配列又はポリペプチド配列の間の「同一性」さもなければ「相同性」(ホモロジー)とは、それぞれ配列全長にわたる核酸配列/ポリペプチド配列の間で、以下に定義したパラメータを用いてGAPプログラムアルゴリズム(Wisconsin Package version10.0、University of Wisconsin、Genetics Computer Group (GCG)、Madison、USA)を使用した比較で算出した同一性によって定義される:
ギャップ重み(Gap Weight)値: 50
長さ重み(Length Weight)値: 3
平均合致(Average Match)値: 10
平均不合致(Average Mismatch): −9
【0035】
「突然変異(変異)」は、1以上のヌクレオチド残基の置換(=置き換え)、付加、欠落(欠失)、逆位(修飾)、又は挿入を含み、結果として標的タンパク質の対応するアミノ酸配列もまた、1以上のヌクレオチド残基の置換、挿入、又は欠落によって変更されうる。
【0036】
「ノックアウト形質転換体(トランスフォーマント)」は、トランスジェニック(遺伝形質転換)生物の各個の培養(培養株)を表し、P.teres同核共存各個培養株の場合には、特定の遺伝子がトランスフォーメーション(形質転換)を通じて特異的に不活性化されている。
【0037】
「天然遺伝子環境」は、起源となる(由来する)生物での天然の染色体座、又はゲノムライブラリーでのプレゼンスを意味する。ゲノムライブラリーの場合には、核酸配列の天然の遺伝子的環境は、好ましくは、少なくとも部分的には、なお保持されている。この環境は、少なくとも5’又は3’側においてその核酸配列に隣接(フランキング)しており、50bp以上、好ましくは100bp以上、特に好ましくは500bp以上、極めて特に好ましくは1000bp以上、最も好ましくは5000bp以上の長さである。
【0038】
「効果的(オペラティブ)連鎖」: 効果的、あるいは機能的連鎖とは、コード配列の発現の際に意図されたようにその機能を発揮可能であるように、プロモータ、コード配列、ターミネーター、及び、適切な場合にはさらに制御要素を、直列に配置したものを意味する。
【0039】
「リコンビナント(組み換え)DNA」とは、組み換えDNA技術によって作製可能である非天然の配置でのDNA配列の組み合わせ(連結)を記述し、細胞の内因性及び外来性のDNA、又は合成DNA、及び加えてその生物の関係(類縁関係)について同種又は異種(相同又は非相同)のDNAからなるDNAをも述べている。
【0040】
「組み換えDNA技術」: DNA配列を融合する技術として一般に知られた技術(例えば、Sambrook等、1989年、Cold Spring Habour、NY、Cold Spring Habour Laboratory Pressに記載されている)。
【0041】
「複製開始点」は、本発明の発現カセット又はベクターの微生物中での伸長(増殖)を確実にし、例えば、E.coli中のpBR322 ori又はP15A oriがある(Sambrook等: Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Habour Laboratory Press、Cold Spring Habour、NY、1989年)。
【0042】
「レポーター遺伝子」は、定量容易なタンパク質をコードしている。形質転換の効果又は発現の位置又は時間は、上記遺伝子を使用して、蛍光、化学的、バイオルミネセンス又は耐性アッセイを通じて、あるいは光度測定(固有色)又は酵素活性を通じて、評価される。この連結において、極めて特に好ましいのは、レポータータンパク質(Schenborn E、Groskreutz D、Mol Biotechnol.1999;13(1):29−44)であり、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)(Gerdes HH 及び Kaether C、FEBS Lett.1996; 389(1):44−47; Chui WL等、Curr Biol 1996、6:325−330; Leffel SM等、Biotechniques. 23(5):912−8、1997)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ(Giacomin、Plant Sci 1996、116:59−72; Scikantha、J Bact 1996、178:121; Millar等、Plant Mol Biol Rep 1992 10:324−414)、及び一般にはルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ、又はβ−グルクロニダーゼ(Jefferson等、EMBO J. 1987、6、3901−3907)、Ura3遺伝子、Ilv2遺伝子、2−デオキシグルコース−6−リン酸 ホスファターゼ遺伝子、β−ラクタマーゼ遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、又はBASTA(グルホシネート耐性)遺伝子である。
【0043】
「選択マーカー」は抗生物質耐性を付与する。ここで言及される例として、npt遺伝子(これはアミノグリコシド抗生物質ネオマイシン(G418)、カナマイシン、及びパロマイシン(Deshayes A等、EMBO J. 4(1985) 2731−2737)への耐性を付与する)、hygro遺伝子(Marsh JL等、Gene.1984; 32(3):481−485)、sul遺伝子(Guerineau F等、Plant Mol Biol.1990; 15(1):127−136)、ハイグロマイシン遺伝子(Genbank accession No.K 01193)及びshe−ble遺伝子(これはブレオマイシン抗生物質ゼオシンへの耐性を付与する)がある。選択マーカー遺伝子のさらなる例としては、2−デオキシグルコース6−リン酸(WO98/45456)又はホスフィノスリシン等への耐性を付与する遺伝子、又は抗代謝産物耐性を付与する遺伝子、例えばdhfr遺伝子(Reiss、Plant Physiol.(Life Sci. Adv.)13(1994)142−149)がある。更に適した遺伝子には、trpB又はhisD(Hartman SC 及びMulligan RC、Proc Natl Acad Sci USA.85(1988)8047−8051)のような遺伝子がある。マンノース−リン酸イソメラーゼ遺伝子(WO94/20627)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)遺伝子(McConlogue、1987、Current Communications in Molecular Biology、Cold Spring Harbor Laboratory、publisher)、又はアスペルギルステレウスデアミナーゼ(Tamura K等、Biosci Biotechnol Biochem. 59(1995)2336−2338)もまた適している。
【0044】
酵素活性の「有意義な減少」とは、ここでは、試験化合物を共存してインキュベートしなかった酵素の活性と比べた場合における、試験化合物を共存してインキュベート(保温)した酵素の酵素活性の減少であって、測定の誤差を超えるものを意味する。
【0045】
「基質」: 基質は、本来の機能においてその酵素が認識する化合物であって、上記酵素によって触媒される反応によって生成物へと転換されるものである。
【0046】
「試験(テスト)化合物」とは、本発明の方法によってアッセイされ同定される基質を表す。これらの基質は、例えば、発現ライブラリー(例、cDNA発現ライブラリー)からつくられてもよく、あるいはペプチド、タンパク質、核酸、抗体、小さな有機物質、ホルモン、PNAs、又はその他の同様なもの(Milner、Nature Medicin (1995)、879−880; Hupp、Cell. 83(1995)、237−245; Gibbs、 Cell. 79(1994)、193−198、及びこれらで引用されている文献)であってもよい。この基質は、化学的に合成された、あるいは微生物学的に製造された基質であってもよく、例えば植物、動物又は微生物の細胞抽出物中に見いだすことができる。
【0047】
「トランスフォーメーション(形質転換)」は、非相同(ヘテロロガス)DNAを原核又は真核細胞に導入する処理をいう。しかしながらそもそも本質的に、形質転換した細胞とは、形質転換処理の産物のみではなく、上記形質転換によってつくられた遺伝形質転換生物の遺伝形質転換された子孫全てをもいうものである。
【0048】
「トランスジェニック(遺伝形質転換)(遺伝子組み換え)」: 核酸配列、核酸配列を含む発現カセット又はベクターに対して、あるいは上記核酸配列、発現カセット又はベクターによってトランスフォームされた生物に対して、「トランスジェニック」とは、遺伝子工学手段によってつくられ、そして次のいずれか、
1) 標的タンパク質の核酸配列; 又は、
2) 標的タンパク質の核酸配列へと機能的にリンク(連結)された遺伝子制御配列; 又は、
3) (1)及び(2)の組み合わせ
が、その天然の遺伝子環境に位置されておらず、あるいは遺伝子工学手段によって変更(修飾)されている全ての構築物をいう。上記修飾はここでは、例えば適当な核酸配列の1又はそれ以上のヌクレオチド残基の変異を通じて、達成してもよい。
【0049】
「活性化合物」は、ここでは「殺菌作用を備えた化合物」の語と同じ意味を有する。
【0050】
古細菌及び菌類においてのみ見られるアミノ酸リシンの合成のためのα−アミノアジピン酸(アジペート)経路(Nishida,H等、Jounal of Molecular Evolution 51(2000)299−302)において、ホモアコニターゼは、モアコニット酸からホモイソクエン酸への転換を可逆的に触媒する。
【0051】
リシン生合成経路の他の遺伝子に加えて、例えばAspergillus nidulans(Weidner等、Molecular and General Genetics 255(1997)237−247、SEQ ID NO:1に70.0%同一、SEQ ID NO:2に63.2%同一)、Saccharomyces cerevisiae(GenBank Acc. No.X93502; SEQ ID NO:1に65%同一、SEQ ID NO:2に56.8%同一)、及びCandida Albicans(遺伝子名 lys4、Candida Database: contig 6−2495(69967bp−72022bp); SEQ ID NO:2に56.7%同一)のような非病原性菌類由来のホモアコニターゼが知られており、リシン代謝との関連性(Wang等、Curr.Gen. 16(1989)7−12; Weidner等、Mol.Gen.Genet.255(1997)237−247)で特徴づけられてきたが、病原性あるいは植物病原性の菌類の上記代謝経路の段階を触媒する酵素の特徴づけ(特徴決定)は、さらに植物病原性の菌類の増殖に対するホモアコニターゼの関連性を証明する研究もまた、現在に至るまで欠けていた。
【0052】
さらに、Schizosaccharomyces pombe(分裂酵母)遺伝子配列は知られており、おそらくホモアコニターゼをコードしている(Genbank Acc. No.CAB52279; SEQ ID NO:2に51.6%同一)。
【0053】
P.teres野生株15Aのホモアコニターゼ遺伝子についてのノックアウト形質転換体(トランスフォーマント)の作製は、ホモアコニターゼが、リシン生合成のみならず植物病原性菌類P.teresの増殖(成長)及び生存に本質的に重要であることを、驚くべき方法で示すことを可能とした。上述のノックアウト形質転換体は、最小培地で増殖する能力も、オオムギ(大麦)にはリシンが存在するにも関わらずオオムギで生存する能力も持ってはいなかった。
【0054】
これらの結果は、第二の植物病原性菌類、Fusarium(F.) graminearumでの別なノックアウトによって確認された。F.graminearumノックアウト形質転換体は、最小培地において遅延した増殖を示し、野生型の程度にまで小麦に感染する能力はもはや持ってはいなかった。Fusarium由来のホモアコニターゼフラグメント(断片)(SEQ ID NO:3)の配列決定(シーケンシング)は、上記フラグメントはS.cerevisiaeホモアコニターゼと61.73%同一であり、Aspergillus nidulansホモアコニターゼのDNA配列と68.73%同一であり、Aspergillus fumigatusホモアコニターゼのDNA配列と67.46%同一であり、そしてP.teresホモアコニターゼのDNA配列と68.25%同一であることを明らかにした。
【0055】
本発明に基づけば、ホモアコニターゼは、病原性菌類、好ましくは植物病原性菌類を制御するための殺菌剤にとっての新規な標的である。
【0056】
ホモアコニターゼは、疑いの余地無く、殺菌活性化合物の好適な標的タンパク質(標的)(ターゲット)であることが初めて同定された。
【0057】
したがって本発明は、ホモアコニターゼの生物学的活性を有するタンパク質をコードしている、病原性菌類からの核酸配列の遺伝子産物を、殺菌剤の標的として使用することに関するものであり、上記核酸配列は、次の
a) SEQ ID NO:1に表されている核酸配列を有する核酸配列、又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されているアミノ酸配列から逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
c) SEQ ID NO:1と61%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
を含んでいる。
【0058】
ここで特許請求されているSEQ ID NO:1の発明性ある機能同等物は、P.teresホモアコニターゼのSEQ ID NO:2と、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、及び70%以上、特に71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%以上、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%以上、特に好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である。上記機能同等物は、本質的に同一な機能性によって区別され、すなわち機能同等物は、ホモイソクエン酸塩へのホモアコニット酸塩の転換を可逆的に触媒する能力を依然有している。
【0059】
病原性菌類は、宿主(ホスト)にコロニーを作り、それによって宿主に病気を引き起こす菌類である。植物に浸入する菌類、「植物病原性」菌類の例には、オオムギ(大麦)に浸入するP.teresに加えて、以下の種がある。:
Alternaria 種,Podosphaera 種, Sclerotinia 種, 野菜と果実のPhysalospora canker , イチゴ、野菜、観賞植物及びブドウのBotrytis cinerea (灰カビ菌)、キュウリとイチゴのCorynespora melonis; キュウリのColletotrichum 種 ; バラのDiplocarpon rosae ; Elsinoe fawcetti及び柑橘類果実のDiaporthe citri; キュウリ、ウリ、イチゴ及びバラのSphaerotheca 種 ; キュウリのCinula neccata ; ピーナッツ、テンサイ、ナスのCercospora 種及びDiospyrus lotus; Erysiphe cichoracearum及びウリのSphaerotheca fuliginea, スペイントウガラシのLeveillula taurica ;リンゴとアンズのMycosphaerella 種 ;Phyllactinia kakicola, アンズのGloesporium kaki, ;Gymnosporangium yamadae, Leptotthrydium pomi, Podosphaera leucotricha及びリンゴの Gloedes pomigena ; 洋ナシとアンズのCladosporium carpophilum ; 洋ナシのPhomopsis 種 ; 柑橘類果実、ポテト及びオニオンのPhytopora 種 ;ポテト及びトマトのPhytophthora infestans , 穀類のErysiphegraminis (ウドンコ病) , 種々の植物のFusarium- 及び Verticillium種 , 茶のGlomerella cingulata ;穀類のDrechslera又は Bipolaris 種 , バナナとピーナッツのMycosphaerella種 , ブドウとグレープフルーツのPlasmopara viticola , オニオン、ホウレンソウ及びキクのPeronospora 種 ; Phaeoisariopsis vitis及びグレープフルーツのSpaceloma ampelina ; コムギとオオムギのPseudocercosporella herpotrichoides , ホップとキュウリのPseudoperonospora 種 , Puccinia種 及び穀類の Typhula 種 , イネのPyricularia oryzae , 綿花、イネ及び芝のRhizoctonia 種 , コムギのStachosporium nodorum , ブドウのUncinula necator , 穀類とサトウキビのUstilago種 , カラスムギとビートのGaeumannomyces graminis , そして、リンゴと西洋ナシの Venturia 種 (赤カビ病)。ヒトに対して病原性である菌類の例には、Candida albicans及び Aspergillus fumigatusがある。
【0060】
この関連において、「Fusarium種」とは、好ましくは以下の種を意味する:
F. graminearum、 F. dimerium、F. merismoides、 F. lateritium、 F. decemcellulare、 F. poae、F. tricinctum、 F. sporotrichioides、 F. chlamydosporum、F. moniliforme、 F. proliferatum、 F. anthophilum、 F. subglutinans、F. nygamai、 F. oxysporum、 F. solani、 F. culmorum、 F. sambucinum、F. crookwellense、 F. avenaceum ssp. avenaceum、 F. avenaceum ssp. aywerte、 F. avenaceum ssp. nurragi、 F. hetrosporum、 F. acuminatum ssp. acuminatum、 F. acuminatum ssp. armeniacum、 F. longipes、F. compactum、 F. equiseti、 F. scripi、 F. polyphialidicum、F. semitectum、及びF. beomiforme。
【0061】
この関連において、「Pyrenophora種」とは、以下の種を、好ましくは以下の種を意味する: P. graminea、P. hordei、P. japonica、P. teres、P. teres f. maculata、P. teres f. teres、P. tritici-repentis。
【0062】
本発明はさらに以下の核酸に関する:
a) SEQ ID NO:1の配列を備えた核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
c) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の機能同等物の反訳(逆翻訳)によって取得可能な核酸配列; 又は、
d) SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1に記載の核酸配列の機能的アナログ; 又は、
e) SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の機能的アナログをコードする、SEQ ID NO:1に記載の核酸配列の機能的アナログ; 又は、
f) 核酸配列 a)、b)、c)、又はd)の一部。
【0063】
本発明はさらに、以下の;
a) SEQ ID NO:1に記載されている核酸配列を有する核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載されているアミノ酸配列から逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
c) SEQ ID NO:1と71%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
を含むホモアコニターゼの生物学的活性を有するポリペプチドをコードする特許請求された核酸配列に関するものである。
【0064】
この核酸配列は好ましくは、植物病原性菌類に由来するものである。この関係において、植物病原性菌類の語は、冒頭に述べた種を意味する。好ましくは、この核酸配列は冒頭に述べたPyrenophora又はFusarium種、極めて特に好ましくはP.teres及びF.graminearum種に由来するものである。本発明は同様に、殺菌剤の標的としてのホモアコニターゼの生物学的活性を有するタンパク質をコードする前述の核酸配列のあらゆる遺伝子産物の使用にも関するものである。
【0065】
SEQ ID NO:2の発明性ある機能同等物は、P.teresホモアコニターゼのSEQ ID NO:2と、64%、65%、66%、67%、68%、69%、及び70%以上、好ましくは71%、72%、73%。74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%以上、特に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%以上、特に好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である。上記機能同等物は、本質的に同一の機能性によって特徴づけられ、すなわちホモイソクエン酸塩へのホモアコニット酸塩の転換を可逆的に触媒する能力をなお有している。
【0066】
SEQ ID NO:2の発明性ある機能同等物は、P.teresホモアコニターゼとSEQ ID NO:1と、71%、72%、73%。74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%以上、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%以上、特に好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である。上記機能同等物は、本質的に同一の機能性によって特徴づけられ、すなわちホモイソクエン酸塩へのホモアコニット酸塩の転換を可逆的に触媒する能力をなお有している。
【0067】
本発明はさらにSEQ ID NO:1の部分(セクション)にも、及びSEQ ID NO:1の機能同等物にも関するものであり、上記部分はアミノ酸部位2〜783の範囲にある。アミノ酸部位200〜600の領域がここでは好適である。特に好適であるのは、アミノ酸部位250〜550の領域であり、極めて特に好適であるのはアミノ酸部位300〜500の領域である。
【0068】
上記核酸配列は、対応する全長遺伝子の単離に使用可能であるハイブリッド形成プローブの作製に使用してもよい。上記プローブの作製及び実験の実施は、公知である。例えば、PCRによる特異的な放射性又は非放射性プローブの作製、及びそれに続くハイブリッド形成実験で結果的にラベルされたオリゴヌクレオチドの使用によって、実施することができる。これに求められる技術は、例えば、T.maniatis、E.F.Fritsch及びJ.Sambrook、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989)に見いだすことが可能である。適切なプローブはさらに、例えば、他の生物での対応する配列を分析する目的で、mRNA及び対応するコード配列に特異的にハイブリッド形成するプローブ、といった目的に応じて使用可能な方法で、標準的な技術(リテラチュアSDM、又はランダム突然変異誘発)を使用して修飾してもよい。
【0069】
本発明の核酸配列の部分はさらに、配列ホモロジー(相同性)に依拠して、菌類の他の種からSEQ ID NO:1の機能的アナログを検出し、単離するためのプローブとして使用することも可能である。適切な部分、又は全体配列の末端まで、SEQ ID NO:1は、対応する菌類のゲノム又はcDNAバンクでのスクリーニング、又は電子データベースでのアナログ(類似)配列のコンピュータスクリーニングのプローブとして、使用される。
【0070】
上記のプローブの別な応用には、種々の菌類において、好ましくは冒頭に述べたPyrenophora又はFusarium種、特に好ましくはP.teres及びF.graminearum種での、とりわけ増大した殺菌剤耐性、植物物質での菌類の検出及び結果として生じる耐性の検出のような特定の因子との関係で、本発明の核酸のあり得る被修飾発現プロフィールの分析がある。
【0071】
その標的がホモアコニターゼである殺菌剤に対する耐性の増大はしばしば、例えば活性部位の領域にあるような基質特異性にとって本質的に重要である部位、又は基質結合に影響するタンパク質の他の部位における、例えば核酸配列での突然変異によって生じたアミノ酸の変換のような突然変異に基づいている。上述した修飾のために、対応培地にいかなる殺菌作用が観察されていようとも、殺菌剤として作用する阻害剤(インヒビター)の本発明のタンパク質への結合は、より一層困難になり、あるいは妨げられてしまいそのために制限される。
【0072】
ここで生じている修飾はしばしばごくわずかな塩基対のみからなるために、上記で定義した核酸配列に基づく上述のプローブは、完全に又は部分的に耐性の植物病原性菌類において対応する変異ホモアコニターゼ核酸配列を検出するために使用してもよい。
【0073】
上述のプローブを使用して対応するホモアコニターゼ遺伝子又は遺伝子部分を単離して続けて配列決定(シークエンシング)と対応する野生型核酸配列との比較を行った後に、原理的には2つの方法が分析に使用可能である:
1. 上述の核酸配列のいずれかに基づくオリゴヌクレオチドの作製と、突然変異の包含、それに続くPCR; 又は、
2. 上述の核酸配列のいずれかに基づくオリゴヌクレオチドの作製、突然変異に隣接(フランキング)する領域のPCRによる増幅、それに続く限定消化(制限分解)及び/又は配列決定。
【0074】
本発明はさらに、以下の;
a) SEQ ID NO:1に記載されている核酸配列を有する核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載されているアミノ酸配列から逆転写によって取得可能である核酸配列; 又は、
c) SEQ ID NO:1と71%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
を含むホモアコニターゼをコードする核酸配列を含む発現カセットに関する。
【0075】
本発明はさらに、その核酸配列が、上述の核酸配列のひとつ、又はSEQ ID NO:1に対して71%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物をコードする発現カセットを、さらに以下に列挙したアッセイ系のための組み換え(リコンビナント)ホモアコニターゼの作製のために使用することに関する。上記核酸配列は、例えばDNA配列又はcDNA配列であってもよい。
【0076】
さらに、発現カセットは、宿主細胞でのコード配列の発現を制御する遺伝子制御配列を好適に含む。好ましい実施の態様によれば、本発明の発現カセットは、コード配列の5’末端にプロモータ、3’末端にトランスクリプション/ターミネーション(転写/終止)シグナル、適切な位置にさらに、間に位置するホモアコニターゼ遺伝子コード配列に有効に連結した遺伝子制御配列を含んでいる。
【0077】
例えば個々の核酸配列を1つのポリヌクレオチドで結合する(マルチプルコンストラクト)ことによって、1つの細胞内において多数のポリヌクレオチド(コトランスフォーメーション(同時形質転換))、又はシーケンシャルトランスフォーメーション(逐次形質転換)によって、作成可能な上述の発現カセットのアナログもまた、本発明に従ったものである。
【0078】
使用される核酸配列及び/又は本発明の核酸構成物の1以上のコピー、又は上述の発現カセットを含むベクターもまた、本発明に従ったものである。上記ベクターは、次の;
a) SEQ ID NO:1に記載されている核酸配列を有する核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載されているアミノ酸配列から逆転写によって取得可能である核酸配列; 又は、
c) SEQ ID NO:1と71%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
を含む核酸配列を含んでいる。
【0079】
上述のベクター、又はSEQ ID NO:1と65%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物を含む核酸配列を含むベクターを、アッセイ系のための組み換えタンパク質の作製のために使用することは、本発明に従ったものである。
【0080】
ベクターとは、プラスミドに限られずに、例えばファージ、ウイルス、例えばSV40、CMV、バキュロウイルス、アデノウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、ファゲミド、コスミド、直線又は環状DNAのような当業者に知られた他の全てのベクターを意味する。上記ベクターは宿主生物中で自律的に又は染色体的に複製可能であり、染色体的複製が好ましい。
【0081】
ベクターの別な実施の態様において、本発明の核酸構成物は、上記生物へと直線DNAの形態で好適に導入され、相同又は非相同組み替えを通じて宿主生物のゲノムへと統合(組み込み)される。上記直線DNAは、直線化プラスミド又は使用された核酸配列又はベクターとしての核酸構築物そのものなどを含むものとできる。
【0082】
別の好適な実施の態様において、本発明の方法において使用される核酸配列は単独で生物へと導入することも可能である。
【0083】
上記核酸配列に加えてさらに遺伝子を上記生物に導入しようとする場合には、次いで上記核酸配列は、単一ベクターにおいて全てを一緒に、あるいはそれぞれ1つのベクターに個々の遺伝子を上記生物へと導入可能であり、種々のベクターは同時に又は連続的に導入可能である。
【0084】
本発明の発現カセット又はベクターのための好適な制御配列の例には、グラム陰性菌株でホモアコニターゼを発現するために使用可能な、cos、tac、trp、tet、lpp、lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、l−PR、又はl―PLプロモータのようなプロモータがある。
【0085】
好適な制御配列にはさらに、例えばグラム陽性菌株でホモアコニターゼを発現するために使用可能なamy及びSPO2プロモータがあり、そして酵母株でホモアコニターゼを発現するために使用可能な、酵母又は菌類のプロモータとしてADC1、MFα、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH、AOX1、及びGAPがある。
【0086】
言及されるような昆虫細胞での発現に適した制御因子の例には、ポリヘドリンプロモータ及びp10プロモータ(Luckow、V.A.及びSummers、M.D.(1988)、Bio/Techn. 6、47−55)がある。
【0087】
細胞培養でホモアコニターゼを発現するための好適な制御配列には、ポリアデニン化配列に加えて、例えばポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス又はシミアンウイルス40のようなウイルス由来の真核生物プロモータを含む。
【0088】
原核及び真核生物の発現系はさらに、Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual. 第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989の16及び17章に記載されている。別な好適なベクターは、Hellens等(Trends in plant science、5、2000)に記載されている。
【0089】
上述のプロモータに加えて、本発明の発現カセットは及びこれらから得たベクターも、さらに機能因子を含んでもよい。例としては(ここに述べられているがこれに限定されるものではない):
1) レポーター遺伝子;
2) 複製起点;
3) 選択マーカー;
4) ホモアコニターゼに直接的に、又は適切な位置にプロテアーゼ開裂部位を含むリンカーを使用して融合される「アフィニティタグ」。
【0090】
発現カセット及びこれらから得たベクターは、組み換えホモアコニターゼの作製を目的として、その遺伝子が発現されるべき生物に応じた適切な発現カセットの作製によって、バクテリア、シアノバクテリア、イースト(酵母)、糸状菌及び藻類及び真核細胞(例、昆虫細胞)を、形質転換するために使用することができる。
【0091】
本発明は、発現カセット又はベクターの上述の実施の態様の1つを用いた形質転換によって作製されたトランスジェニック(遺伝子組み換え)生物に関し、および発現によって上記トランスジェニック生物から取得可能な組み換えホモアコニターゼにも関する。
【0092】
組み換え体発現のために好ましい微生物には、バクテリア、酵母、藻類及び菌類に加えて、真核細胞株もある。
【0093】
バクテリアのグループのなかでは、Esherichia属、Erwinia、Flavobacterium、Alcaligenes、又はcyano bacteria、例えばSynechosystis属又はAnabenaのバクテリアは、好適である。
【0094】
好ましい酵母は、Candida、Saccharomyces、Hansenula、又はPichiaである。
【0095】
好ましい菌類は、Aspergillus、Trichoderma、Ashbya、Neurospora、Fusarium、Beauveria、Mortierella、Saprolegnia、Pythium、又はその他のIndian Chem Engr. Section B. Vol37、No1、2(1995)に記載の菌類である。
【0096】
原理的に、トランスジェニック(遺伝形質転換)動物、例えばC.elegansもまた宿主生物として適している。
【0097】
公的に入手可能な又は市販のベクター又は発現系の使用も好適である。
【0098】
この関係において、典型的に好適である市販の融合及び発現ベクターpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith,D.B.及びJohnson,K.S.(1988) Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs、Beerly,MA)、及びpRIT5(Pharmacia、Piscataway、NJ)(これはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合性タンパク質、又はプロテインAを含む)、pTrcベクター(Amann等、(1988) Gene 69:301−315)、pKK233−2(CLONTECK製、Palo Alto、CA)、及びpET及びpBADベクターシリーズ(Stratagene製、La Jolla)には言及の必要がある。
【0099】
酵母での使用にさらに好適なベクターには、pYepSecl(Baldari等、(1987) Embo J. 6:229−234)、pMFa(Kurjan及びHerskowitz、(1982) Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz等、(1987) Gene 54:113−123)、及びpYES派生物、pGAPZ派生物、pPICZ派生物、及びPichia発現キット(Invitrogen Corporation、San Diego、CA)のベクターがある。糸状菌で使用されるベクターは、Aplied Molecular Genetics of Fungi、J.F.Peberdy等編、p.1−28、Cambridge University Press、Cambridgeの中のvan den Hondel,C.A.M.J.J.&Punt,P.J.(1991)「Gene transfer systems and vector development for
【0100】
filamentous fungi」に記載されている。
【0101】
昆虫細胞発現ベクター、例えばSf9細胞での発現のためのベクターもまた代替して好適に使用可能である。これらの例には、pAcシリーズ(Smith等、(1983) Mol.CellBiol. 3:2156−2165)、及びpVLシリーズ(Lucklow及びSummers(1989) Virology 170:31−39)のベクターがある。さらにバキュロウイルス発現系MaxBac2.0キット(Invitrogen製、Calsbald)、又はBacPAKバキュロウイルス発現系(CLONTECH製、Palo Alto,CA)にも言及の必要がある。
【0102】
さらに植物細胞又は藻類細胞が、遺伝子発現のために好適に使用可能である。植物発現ベクターの例は、Becker,D等、(1992)「New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border」、Plant Mol.Biol. 20:1195−1197、又はBevan,M.W.(1984)「Binary Agrobacterium vectors for plant transformation」、Nucl.Acid.Res. 12:8711−8721に見いだすことができる。
【0103】
さらに、本発明の核酸配列を、ほ乳類細胞で発現することも可能である。適した発現ベクターの例には、pCDM8及びpMT2PCがあり、これはSeed,B.(1987) Nature 329:840、又はKaufman等(1987)EMBO J. 6:187−195に記載されている。この関係において、使用されるプロモータは好ましくは、例えばポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス又はシミアンウイルス40のようなウイルス由来のものである。さらに原核又は真核生物での発現系は、Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual. 第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989の16及び17章に記載されている。別な好適なベクターは、Hellens等(Trends in plant science,5,2000)に記載されている。
【0104】
本発明はさらに、ホモアコニターゼ又はその機能アナログを阻害する殺菌剤の作用を有する化合物を同定するための方法に関する。
【0105】
この方法は、次の:
a) SEQ ID NO:1に記載されている核酸配列を有する核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載されているアミノ酸配列から逆転写によって取得可能である核酸配列; 又は、
c) SEQ ID NO:1と61%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
を含む核酸配列の使用に基づくものであり、あるいは、上記核酸配列によりコードされている、植物病原性菌類由来のホモアコニターゼのアミノ酸配列の使用に基づくものである。
【0106】
ここで特許請求されているSEQ ID NO:1の発明性ある機能同等物は、P.teresホモアコニターゼのSEQ ID NO:2と、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、及び70%以上、好ましくは71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%以上、特に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%以上、特に好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である。上述の核酸配列は、本発明の核酸配列として下記に言及する。本発明のいずれの核酸配列によりコードされたポリペプチドも、本発明のタンパク質/ポリペプチド又はホモアコニターゼとして下記に言及する。
【0107】
本発明はまた、上記のように定義した発明性ある核酸配列の遺伝子産物の、殺菌性物質を決定する標的としての使用にも関する
殺菌作用を備えた化合物を同定するための発明性ある方法は、転写、発現、翻訳又は本発明の核酸の遺伝子産物の活性に影響を与えること、そして転写、発現、翻訳又は上記遺伝子産物の活性を減少又は阻害(ブロック)するそれらの化合物を選択することからなり、本発明の核酸配列は、以下の配列:
a) SEQ ID NO:1の配列を備えた核酸配列; 又は、
b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
c) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の機能同等物の反訳(逆翻訳)によって取得可能な核酸配列; 又は、
d) SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1に記載の核酸配列の機能的アナログ; 又は、
e) SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の機能的アナログをコードする、SEQ ID NO:1に記載の核酸配列の機能的アナログ、
からなるグループより選択されるものである。
【0108】
転写、発現、翻訳又は遺伝子産物の活性の減少とは、上記遺伝子産物の天然の活性と比べて、10%以上、好適には20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上、そして極めて特に好ましくは70%以上、その生物学的活性において減少することを意味する。遺伝子産物の活性の阻害とは、上記活性の100%の阻害、又は上記活性の部分的な阻害、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、極めて特に好ましくは95%以上での、生物学的活性の阻害を意味する。
【0109】
殺菌作用を備えた化合物を同定するための発明性ある方法の異なる実施の態様は、以下のステップ:
i. 試験化合物が上記核酸分子へと、又は上述の核酸分子でコードされた上記ホモアコニターゼへと結合することを可能にする条件下で、本発明の核酸分子又はホモアコニターゼを、1以上の試験化合物に接触させるステップ; 及び、
i) 試験化合物が、i)のホモアコニターゼへと結合したかどうかを検出するステップ;
ii) 試験化合物が、i)のホモアコニターゼの活性を減少又は阻害するかどうかを検出するステップ; 又は、
iii) 試験化合物が、i)の核酸の転写、翻訳又は発現を減少又は阻害するかどうかを検出するステップ、
からなる。
【0110】
本発明の方法の上述の実施の態様の全ては、本発明の方法として下記に言及する。
【0111】
本発明の方法は、インビボ(生体内で)の、又はインビトロ(試験管内で)の独立した個々のプロセス(処理)において、及び/又は好適には一緒に、又は高スループットスクリーニングにおいて特に好適に行うことができ、そして殺菌作用を備えた化合物の同定のために使用することができる。
【0112】
本発明の方法に従って同定した、殺菌作用を備えた化合物を含む被験試料(サンプル)を同定したときには、次いでその試料から直接にこの化合物を単離することも可能である。代わりに、例えば多数の異なった被験化合物からなる場合には、試料当たりの異なった被験化合物の数をこのやりかたで減少させるために、そして次いでそのような「下位試料(サブサンプル)」で本発明の方法を反復(リピート)するために、その試料を異なったグループへと分割することも可能である。試料の複雑さに依存して、上述のステップ(作業工程)は、数回繰り返され、好ましくは本発明の方法による被験試料が少数の化合物のみが、あるいは殺菌作用を備えた1つの化合物のみが残るまで、繰り返される。
【0113】
HTSは、多数の異なった化合物の並列試験を可能にする。HTSの実際の実施のために、本発明の1又はそれ以上の核酸分子、本発明の核酸配列を含む1又はそれ以上のベクター、本発明の核酸配列を1以上含む1又はそれ以上のトランスジェニック(遺伝子形質転換)生物、又は本発明の核酸配列を通じてコードされている1又はそれ以上の(ポリ)ペプチドを含みうるサポートを使用可能である。使用されるサポートは、固体又は液体でもよく、好ましくは固体であり、特に好ましくはマイクロタイタープレートである。上述のサポートは同様に本発明の主題である。ごく通常の技術によれば、通常は50〜500μl、好ましくは200μlの容量を有しうる、96穴、384穴又は1536穴マイクロタイタープレートが使用される。マイクロタイタープレートに加えて、多くの器具、物質、自動ピペッター、ロボット、自動プレートリーダー、及び自動洗浄装置のような、特にマイクロタイタープレートに適合したHTS系の他の構成要素(コンポーネント)が、市販されている。
【0114】
マイクロタイタープレートに基づいたHTS系に加えて、「フリーフォーマットアッセイ」、例えば、Jayaickreme等、 Proc. Nati. Acad. Sci U.S.A. 19 (1994) 161418; Cheisky、「Strategies for Screening Combinatorial Libaries」、First Annual Conference of The Society for Biomolecular Screening in Philadelphia, Pa. (Nov. 710, 1995); Salmon等、Molecular Diversity 2 (1996)、5763、及びUS 5976813にあるような、試料間に物理的障壁を持たないアッセイ系もまた使用可能である。
【0115】
以下に列挙した本発明の方法の好ましい実施の態様は、ステップi)及びiii)に基づいている。
【0116】
インビトロ法の好ましい実施の態様は以下のステップ(作業工程);
a) 上記ポリペプチドが、本発明のトランスジェニック生物において酵素活性である形態で発現されるか、あるいは本発明のタンパク質を含有する生物が培養されるかのいずれかステップ;
b) ステップa)において得られたタンパク質が、増殖(成長)中の又は増殖(成長)中でない生物において、上記トランスジェニック生物の細胞抽出物において、部分精製の形態で又は均質にまで精製された形態で、試験化合物と直接にインキュベート(保温)されるステップ;
c) 本発明の核酸配列によってコードされたポリペプチドを阻害する試験化合物が、ステップb)によって選択されるステップ、
からなる。
【0117】
「阻害(インヒビット)」の語は、下記で定義される「酵素活性の有意義な減少」の語と同等なものとして扱われるものである。
【0118】
上記の方法の類似形態は、以下の;
a) トランスジェニック生物におけるホモアコニターゼを発現させ、あるいは本発明の核酸配列によりコードされたホモアコニターゼを天然で含む生物を培養し、;
b) 上記生物の細胞抽出物において、部分精製形態において、又は均質にまで精製された形態において、ステップa)の生物由来のホモアコニターゼを、試験化合物と接触させ; そして、
c) 試験化合物とインキュベートされなかったホモアコニターゼの活性を使用して、試験化合物とインキュベートしたホモアコニターゼの活性を決定して、ホモアコニターゼ活性を減少又は阻害(ブロック)する試験化合物を選択する、
ことからなる。
【0119】
この最後に、10%以上、好適には20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上、及び極めて特に好ましくは70%以上の減少、あるいは100%減少(ブロッキング)を達成して、酵素活性における有意義な減少という結果をだした化合物は、ステップ(c)における上記方法の変形の両方で選択される。
【0120】
好ましい実施の態様において、活性化合物又は殺菌作用を備えた化合物は、検討される化合物の存在又は不存在下で、酵素活性を決定することにより同定される。
【0121】
アッセイに必要となるホモアコニターゼは、非相同発現を使用して本発明のトランスジェニック生物から、あるいはホモアコニターゼを含む生物から、例えば菌類から、好ましくは冒頭で述べたPyrenophora又はFusarium種から、特に好ましくはP.teres又はF.graminearumから、単離することができる。ホモアコニターゼをそこから好適に単離可能な他の生物の例には、
Alternaria kikuchiana, Alternaria mali, Alternaria solani, Ashbya gossypii, Botrytis cinerea, Cercospora beticola, Cercospora fuligena, Cercospora kaki, Cladosporum carpophilum, Cochliobolus heterostrophus, Colletotrichum fragariae, Colletotrichum heterostrophus, Colletotrichum lagenarium, Corynespora melonis, Diaporthe citri, Diplocarpon rosae, Elsinoe fawcetti, Erisyphe graminis, Leveillila taurica, Fusarium culmorum, Fusarium nivale, Fusarium graminearum, Gloedes pomigena, Gloesporium kaki, Glomerella cingulata, Gymnosporangium yamadae, Leptothyrium pomi, Magnaporthe grise, Mycoshpaerella pomi, Mycoshpaerella nawae, Neurospora crassa, Peronospora destructor, Peronospora spinaciae, Phaeoisariopsis vitis, Phyllactinia kakicola, Physalospora canker, Phytophthora citrophithora, Phytophthora investans, Phytophthora porri, Plasmopora viticola, Podosphaera leucotricha, Podosphaera tridactyla, Pomophis sp., Pseudocercorsporella herpotrichoides, Pseudoperonospora cubensis, Puccinia allii, Puccinia recondita, Puccinia horiana, Pyricularia oryzae, Uncinula necator, Sclerotinia cinerea, Sclerotinia mali, Sclerotinia sclerotiorum, Septoria tritici, Sphaerotheca fuliginea, Sphaerotheca humuli, Sphaerotheca pannosa, Spaceloma ampelina, Stagnospora nodorum, Typhula ishikariensis, Typhula incarnata, Ustilago maydis, Venturia inaequalis, Venturia nashicola があり、他の好ましい菌類の系統には、Aspergillus, Trichoderma, Neurospora, Fusarium, Beauveria, Pyrenophora teres, Saccharomyces (例、 Saccharomyces cerevisiae), Pichia (例、 Pichia pastoris, Pichia methanolica), Magnaporthe, Pyrialeria 又はIndian Chem Engr. Section B. Vol 37, No 1,2 (1995)に記載のその他の菌類がある。
【0122】
本発明のポリペプチドを含む溶液は、オリジナル(元)の生物又はトランスジェニック生物の溶解物(ライゼート)を含んでもよい。必要ならば、本発明のポリペプチドは、通常の方法によって部分的に又は完全に精製可能である。タンパク質を精製する通常の技術の概観は、Ausubel, F.M.等、「Current Protocols in Molecular Biology」 Greene Publishing Assoc. Wiley-Interscience (1994); ISBN 0-87969-309-6 が与えている。組み換え体作製の場合には、アフィニティタグに融合したタンパク質はアフィニティクロマトグラフィーによって精製してもよい。
【0123】
酵素活性は、本発明のポリペプチドを適した基質とインキュベートすることにより決定され、基質の転換又は結果として生じる生成物の増大がモニター(測定)される。
【0124】
適した基質の例には、ホモアコニット酸塩/エステル、ホモイソクエン酸及びこれらの化合物の派生物がある。
【0125】
減少又は増大が分光測定的にモニター可能である基質がここでは好ましい。
【0126】
好ましい実施の態様において、基質の転換は分光測定的にモニターされ、Strassman等(Strassman等、J.Biol.Chem. 241(1966) 5401−5407)によって記載された方法を続ける:
1. 基質としてホモアコニット酸塩/エステルを使用するときに、反応は、240nmの吸収の減少(すなわちホモアコニット酸塩/エステルの減少)を通じて分光測定的にモニター可能である。酵素活性は、時間に対する基質の減少の関数として決定される。
【0127】
2. ホモイソクエン酸を基質として使用するときには、反応は、240nmの吸収の増大(すなわち形成されるホモアコニット酸塩/エステルの増大)を通じて分光測定的にモニター可能である。
【0128】
特に好ましい実施の態様において、酵素活性は7.0〜9.0の範囲のpHで決定される。
【0129】
殺菌作用のある化合物は、次いでホモアコニターゼを検討する試験化合物とインキュベートすることにより同定される。適切な反応時間の後に、本発明のポリペプチドの酵素活性は、上述の方法の1つに従って、非阻害ホモアコニターゼの活性と比較して、決定される。本発明のポリペプチドが阻害されるときには、本発明の非阻害ポリペプチドの酵素活性と比較して、酵素活性の有意義な減少が観察される。
【0130】
上記方法のステップiiに従った検出は、タンパク質とリガンドの間の相互作用を示し、検出する技術に基づいて実施できる。この最後に、試験化合物又は酵素は、例えば、蛍光性、放射性同位体性、化学ルミネセンス、又は酵素的なラベル(標識)のような検出可能なラベルを含ませることができる。酵素ラベルの例としては、ホースラディッシュ(セイヨウワサビ)パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はルシフェラーゼがある。これに続ける検出は、ラベルに依存し、これは当業者に知られている。
【0131】
特に、本発明との関係では、同様に高スループット法にも適した5つの好適な実施の態様が、ここで述べられなければならない:
1) 蛍光相関分光法(FCS)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)11753−11575)は、小容量試料でその質量の関数としての蛍光分子の平均拡散率を決定するために使用可能である。質量の変化、及び本発明のポリペプチドに結合する間に結果としてそこから生じた試験化合物の拡散率の変化を測定することにより、タンパク質−リガンド相互作用を検出するためのFCSを使用可能である。本発明のポリペプチドへ結合する、そのように同定された試験化合物は、インヒビター(阻害剤)として適している可能性があるものである。
【0132】
2) 飛翔時間型質量分光器(タイムオブフライトマススペクトロメーター)(MALDI−TOF)と共同して、表面増幅レーザー脱着/イオン化(SELDI)はサポート上の分子の速やかな分析を可能とし、タンパク質−リガンド相互作用(Worral等、(1988)Anal.Biochem. 70:750−756)を分析するために使用可能である。好ましい実施の態様において、本発明のポリペプチドは適切なサポートに付着され、上記サポートは検討される試験化合物とインキュベートされる。1以上の適切な洗浄ステップの後に、上述の方法によって、タンパク質に追加的に結合した試験化合物の分子を検出可能であり、それによってインヒビターになる可能性のあるものを選択することが可能である。本発明のポリペプチドに結合する、そのように同定された試験化合物は、インヒビター(阻害剤)として適している可能性があるものである。
【0133】
3) ビアコア(Biacore)は、表面に固定化(不動化)されたタンパク質へ試験化合物が結合するときの、表面の屈折率での変化に基づいている。表面の質量密度の特異的な変化により生じる屈折率の変化は、あらゆるタンパク質及びポリペプチドでだいたい同じであるので、この方法は、あらゆるタンパク質に対して原理的に適用可能である(Lindberg等、Sensor Actuators 4(1983)299−304; Malmquist Nature 361(1993)186−187)。ここで、試験化合物は、容積2−5μlの反応セルへと注入され、その壁にタンパク質が固定化される。適した試験化合物のタンパク質への結合、それに続くインヒビターである可能性のあるものの同定は、表面で反射されるレーザー光を記録することによる表面プラズモン共鳴(SPR)を介して実施可能である。本発明のポリペプチドに結合する、そのように同定された試験化合物は、インヒビター(阻害剤)として適している可能性があるものである。
【0134】
4) 蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、適切な条件下での空間的に隣接する2つの分子間の輻射自由エネルギー転移に基づいている。1つの前提条件は、受容体分子の励起スペクトルと、供与体分子の放射スペクトルの重複である。結合は、本発明のタンパク質と試験化合物を蛍光ラベルすることによってFRETを使用して測定可能である(Cytometry 34,1998,159−179頁)。FRET技術の特に適した実施の態様は、Packard BioScienceで販売されているような「ホモジニアス時間分解蛍光」(HTRF)である。このように同定された化合物は、インヒビターとして適している。
【0135】
5) 表面プラズモン共鳴の測定は、表面に固定化されたタンパク質に試験化合物が結合したときの、表面の反射率の変化に基づいている。表面の質量密度の特異的な変化による反射率の変化は、実際上は全てのタンパク質及びポリペプチドで同じであるために、この方法は、原理的に、あらゆるタンパク質に適用できる(Lindberg等、Sensor Actuators 4(1983)299−304; Malmquist Nature 361(1993)186−187)。例えばビアコア(Biacore)(Freiburg)によって販売されている表面プラズモン共鳴に基づく分析装置を使用して、現在では毎日384試料に達するスループットで、測定を実施できる。本発明の方法は、本発明のタンパク質への試験化合物の結合を直接に測定するためにデザイン(設計)されたものである。そのため同定された化合物は、インヒビターとして適している。
【0136】
代わりに、上述の5方法は、適切にラベルされた化学的対照化合物が、試験される別な試験化合物によって置換されるような方法(「置換アッセイ」)で、デザインされてもよい。
【0137】
以下の:
a) 本発明の核酸配列で形質転換した後にホモアコニターゼの発現の能力を有するトランスジェニック生物を作製し、;
b) ステップa)の生物へと、及び類似する非形質転換生物へと試験化合物を適用し、;
c) ステップb)の試験化合物を適用した後に、トランスジェニック及び非形質転換生物の成長(増殖)又は生存能力を決定し、; そして、
d) トランスジェニック生物の成長(増殖)と比較して、非トランスジェニック生物の成長(増殖)、生存能力及び/又は感染力の減少を生じる試験化合物を選択する、
ステップに基づく「インビボ法」により、本発明のポリペプチドのインヒビターを同定することも可能である。
【0138】
類似する非形質転換生物とは、ステップa)の出発生物として使用された生物を意味する。形質転換は、本発明の発現カセット、本発明のベクター、又は本発明の核酸配列そのものを使用して実施できる。
【0139】
本発明の発現カセット、本発明のベクター、又は本発明の核酸配列で形質転換されるのに適した生物は、好ましくは菌類、特に好ましくは冒頭で述べた植物病原性菌類、極めて特に好ましくは冒頭で述べたPyrenophora又はFusarium種の菌類、特に好ましくはP.teres及びF.graminearum種で、本発明のポリペプチドをコードする配列を形質転換を通じてそのなかに組み込まれるものである。
【0140】
X線回折分析を用いて本発明のポリペプチドの三次元構造を解明することにより分子モデリングをして、さらに別な潜在的殺菌作用物質を検出することもまた可能性がある。X線回折分析に必要となるタンパク質の結晶の作製、及び適切な測定とそれに続く測定の評価もまた、さらに分子モデリングの方法もまた、当業者に知られている。分子モデリングを通じて、原理的には、上述の方法を通じて同定された活性物質を最適化することもまた可能である。
【0141】
上述の方法を通じて同定された殺菌作用を備えた全ての化合物(活性化合物とも言う)は、次いでインビボ活性アッセイでその殺菌作用を試験可能である。ここで、適した物質は、病原性菌類の培養物、好ましくは植物病原性菌類の培養物、特に好ましくはP.teres培養物と共にインキュベートし、例えば増殖(成長)の制限を通じて殺菌作用を検出可能である。
【0142】
本発明は、上述の方法を通じて同定された殺菌作用を備えた全ての化合物(活性化合物)に関する。
【0143】
上述の方法を通じて同定された活性化合物は、農業的に有用な塩類の形態で存在することも可能である。
【0144】
好適な農業的に有用な塩類は、特にそれらのカチオンの塩、又はそれらの酸の酸付加塩で、そのカチオンおよびアニオンはそれぞれ活性化合物の殺菌活性に不都合な影響を与えない塩である。そのために、好適なカチオンは、特にアルカリ金属、好ましくはナトリウム及びカリウムのイオンであり、アルカリ土類金属、好ましくはカルシウム、マグネシウム及びバリウムのイオンであり、そして遷移金属、好ましくはマンガン、銅、亜鉛及び鉄のイオンであり、そしてまたアンモニウムイオンであって、所望により1〜4個のC1〜C4アルキル置換体及び/又はフェニル又はベンジル置換体であってもよく、好ましくはジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムであり、さらにホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4アルキル)スルホキソニウム、及びスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4アルキル)スルホキソニウムである。有用な酸付加塩のアニオンは、第一に、塩化物、臭化物、フッ化物、硫酸水素塩、硫酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、安息香酸塩のアニオンであり、さらにまた、C1〜C4アルカン酸のアニオン、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩のアニオンである。対応するアニオンの酸、好ましくは塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸又は硝酸と、Iを反応することにより、これらを形成することも可能である。
【0145】
上述の方法を通じて同定された活性化合物の全ては、それらが非対称的に置換されたα炭素原子を含む場合には、ラセミ体、鏡像体(エナンチオマー)混合物、又は純粋な鏡像体のいずれかとして存在し、それらがキラル置換を有する場合には、ジアステレオマー混合物として存在することもある。これらは冒頭に述べた植物病原性菌類を制御するのに適している。
【0146】
本発明はそのためさらに、殺菌作用を有する農薬組成物を製造する方法であって、以下の;
a) 本発明の上述の方法のいずれかを通じて、活性化合物を同定し、及び、
b) 適切な実験によって、(a)を通じて同定された活性化合物、又は(a)を通じて同定された活性化合物の農業的に有用な塩を処方(調剤)する、
ことを含む方法に関する。
【0147】
本発明は同様に、上述の方法を通じて製造可能な、殺菌作用を備えた農薬(農芸化学的)組成物に関する。
【0148】
ステップa)の活性化合物は、例えば直接に噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液(サスペンション)、さらに高濃度の水性、油性又はその他の懸濁液又はサスポエマルション又は分散液、乳濁液(エマルション)、油性分散液、ペースト、ダスト(塵)、スプレッディング(散布)用組成物、又は顆粒(グラニュール)の形態に処方(製剤)することが可能であり、スプレー(噴霧)、アトマイズ(霧化)、ダスティング(粉化)、スプレッディング(散布)、又はポーリング(注入)によって施すことも可能である。使用形態は、意図する目的と使用される活性化合物に依存し、いずれの場合にも、これらは、本発明の活性化合物のできるだけ微細な分散を保証しなければならない。
【0149】
エマルション、ペースト又は水性又は油分含有分散液の製造のために、いわゆる活性構成成分は、それ自体又はオイル(油分)に又は溶液のように溶解又は分散可能であり、均質化のためにさらに処方(配合)補助剤を添加可能である。しかし、活性化合物、適当な場合には溶媒又はオイル及び随意にさらに補助剤からなる液体又は固体の濃縮物(凝集物)を製造可能であり、これらの濃縮物は、水での希釈に適している。この文脈において述べられる物質は、エマルション(乳濁液)濃縮物(EC、EW)、懸濁液(SC)、可溶性濃縮物(SL)、ペースト、ペレット、湿潤性粉末又は顆粒であり、固体処方(製剤)物を、水に可溶性又は分散可能(湿潤性)のいずれかにすることが可能である。さらに、そのような粉末又は顆粒又はタブレット(錠剤)は、摩耗又は活性化合物の過度に早期の放出を回避させる固体コートを付加的に受けてもよい。
【0150】
補助剤の語は、原理的には、以下のクラスの物質を意味するものとして理解され、すなわち、消泡剤、シックナー(濃縮剤)、ウェッター(湿潤剤)、スティック剤(粘着剤)、分散剤又は乳化剤、殺菌剤(bactericides)及び揺変性剤(チキソトロピック剤)である。当業者は、上述の剤の意味を知悉している。
【0151】
SL類、EW類及びEC類は、問題となっている構成成分を単に混合することによって製造可能であり、特別なタイプのミル(例えば、ハマーミル)で混合又は摩砕(グラインド)することにより製造可能である。SC類及びSE類は、通常、ウェットミリング(湿式粉砕)することにより製造可能であり、さらに補助剤又は活性化合物を含む有機相を添加することによりSCからSEを製造することも可能である。製造法は公知である。顆粒、例えば被覆顆粒、含浸顆粒及び均質顆粒は、固体キャリア(担体)に活性化合物を結合することにより製造可能である。固体キャリアの例には、鉱物土、例えばシリカ、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、石灰石、石灰(生石灰)、チョーク(白亜)、ボール、レス(黄土)、クレイ(粘土)、ドロマイト(苦灰石)、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、摩砕合成物質、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、及び植物性物質、例えばシリアルミール(穀物粗挽き粉)、樹皮ミール(樹皮粗挽き粉)、木材ミール(木材粗挽き粉)及びナッツシェルミール(堅果殻粗挽き粉)又はセルロース粉末がある。当業者は、この製造の詳細を知悉しており、例えば、以下の刊行物: US3,060,084, EP-A 707445 (液体濃縮物), Browning, 「Agglomeration」, Chemical Engineering, 12月、 4, 1967, 147-48, Perry's Chemical Engineer's Handbook, 4版、 McGraw-Hill, New York, 1963, 8-57頁以下、 WO 91/1 US 4,172,714, US 4,144,050, US 3,920,442, US 5,180,587, US 5,232,701, US 5,208,030, GB 2,095,558, US 3,299,566, Klingman, Weed Control as a Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, Hance等、 Weed Control Handbook, 8版, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989、及び Mollet, H., Grubemann, A., Formulation technology, Wiley VOB Verlag GmbH, Weinheim (Federal Republic of Germany), 2001 に記載されている。
【0152】
当業者は、本発明の農薬(農芸化学的)処方(製剤)に適した多数の不活性な液体及び/又は固体キャリアを知悉しており、例えば中〜高沸点の鉱油画分、例えばケロシン(灯油)又はディーゼル油、さらにコールタール油、及び植物又は動物由来の油(オイル)、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はその誘導体、アルキル化ベンゼン又はその誘導体、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ケトン、例えば、シクロヘキサオン、又は強い極性溶媒、例えばアミン(例、N−メチルピロリドン)、又は水などがある。
【0153】
当業者は、本発明による処方(製剤)に適した多数の表面活性物質(界面活性剤)を知悉しており、例えば、アルカリ、アルカリ土類又はアンモニウム塩であって、芳香族スルホン酸、例えばリグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸によるもの、及び脂肪酸によるもの、アルキルスルホン酸塩/エステル、アルキルアリルスルホン酸塩/エステル、アルキル硫酸塩/エステル、ラウリルエーテル硫酸塩/エステル、及び脂肪アルコール硫酸塩/エステル、及び塩であって硫酸化ヘキサデカノール、ヘプタデカノール及びオクタデカノールによるもの、及び脂肪アルコールグリコールエーテルによるもの; スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール又はノニルフェノール、アルキルフェニル又はトリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリルポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテル酢酸塩/エステル、ソルビトールエステル、リグニン亜硫酸塩/エステル廃液(リグニン亜硫酸パルプ廃液)又はメチルセルロースなどがある。
【0154】
固体キャリアである粉末、ダスト(塵)及び散布のための物質類は、活性化合物を固体キャリアとともに混合又は付随的に摩砕(グラインド)することにより、好適に製造可能である。
【0155】
殺菌組成物又は活性化合物の施与は、治療、根治又は予防(防護)的に行われる。
【0156】
施用される活性化合物の量は、防除手段、季節、標的植物及び成長段階といった目的に依存して、0.001〜3.0、好ましくは0.01〜1.0kg/ha活性物質である。
【0157】
本発明はさらに、活性化合物の又は殺菌作用を備えた農薬組成物の有効な量で、その菌類、又はその菌類の感染から防護されるべき資材(物質)、植物、土壌又は種子を処理することからなる、有害な菌類を制御する方法に関するものでもある。有害な菌類とは、冒頭で述べた植物病原性菌類を意味する。
【0158】
本発明はさらに非トランスジェニック生物と比較して増大したリシン産生を有するトランスジェニック(遺伝子組み換え)生物の作製にも関する。
【0159】
好適なトランスジェニック生物は、古細菌及び菌類である。
【0160】
特に好ましい実施の態様において、トランスジェニック生物は、菌類、好ましくは冒頭に述べたPyrenophora 又はFusarium種、特に好ましくはP. teres又はF. graminearumである。さらに別な生物の例は: Alternaria kikuchiana, Alternaria mali, Alternaria solani, Ashbya gossypii, otrytis cinerea, Cercospora beticola, Cercospora fuligena, Cercospora kaki, Cladosporum carpophilum, Cochliobolus heterostrophus, Colletotrichum fragariae, Colletotrichum heterostrophus, Colletotrichum lagenarium, Corynespora melonis, Diaporthe citri, Diplocarpon rosae, Elsinoe fawcetti, Erisyphe graminis, Leveillula taurica, Fusarium culmorum, Fusarium nivale, Fusarium graminearum, Gloedes pomigena, Gloesporium kaki, Glomerella cingulata, Gymnosporangium yamadae, Leptothyrium pomi, Magnaporthe grise, Mycoshpaerella pomi, Mycoshpaerella nawae, Neurospora crassa, Peronospora destructor, Peronospora spinaciae, Phaeoisariopsis vitis, Phyllactinia kakicola, Physalospora canker, Phytophthora citrophithora, Phytophthora investans, Phytophthora porri, Plasmopora viticola, Podosphaera leucotricha, Podosphaera tridactyla, Pomophis sp., Pseudocercorsporella herpotrichoides, Pseudoperonospora cubensis, Puccinia allii, Puccinia recondita, Puccinia horiana, Pyricularia oryzae, Uncinula necator, Sclerotinia cinerea, Sclerotinia mali, Sclerotinia sclerotiorum, Septoria tritici, Sphaerotheca fuliginea, Sphaerotheca humuli, Sphaerotheca pannosa, Spaceloma ampelina, Stagnospora nodorum, Typhula ishikariensis, Typhula incarnata, Ustilago maydis, Venturia inaequalis, Venturia nashicola. Other preferred fungal strains are Aspergillus, Trichoderma, Neurospora, Fusarium, Beauveria, Pyrenophora teres, Saccharomyces (例、 Saccharomyces cerevisiae), Pichia (例、Pichia pastoris, Pichia methanolica), Magnaporthe, Pyrialeria又はIndian Chem Engr. Section B. Vol 37, No 1,2 (1995)に記載のその他の菌類がある。さらに古細菌(archaebacteria)も使用可能である。
【0161】
出発生物と比較して増大したリシン産生とは、リシン含量において10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上、極めて特に好ましくは80%以上の増大を意味する。
【0162】
トランスジェニック菌類は、以下の方法で作成可能である:
1、 適切な菌類が、SEQ ID NO:1又は上記配列の機能同等物を含む本発明の発現カセット又はベクターの上述の実施の態様の1つによってトランスフォーム(形質転換)され、菌類で非相同的に標的配列を発現可能とする上述の制御因子は当然に本発明の発現カセット/ベクターの構成において使用される。本発明のポリペプチドの付随的な発現は、特異的な誘導を通じて、又は連続的に実施できる。この結果、非トランスジェニック菌類と比較して、代謝最終産生物リシンの産生が増大する。
【0163】
2、第二の実施の態様において、本発明のポリペプチドをコードする天然の遺伝子の特異的な修飾は、その菌類で天然に生じる発明性あるポリペプチドの生物学的活性を増大する。この結果、非トランスジェニック菌類と比較して、代謝最終産生物リシンの産生が増大する。上記修飾は、一方では、増大した生物学的活性を有する遺伝子産物をコードする核酸配列で菌類をトランスフォーム(形質転換)することにより、又は本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の特異的突然変異により、達成される。この場合に、生物学的活性は、出発生物と比較して活性が10%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上、極めて特に好ましくは100%以上増大されるように改変された。
【0164】
3、天然ホモアコニターゼ配列のプロモーターの特異的修飾は、上記遺伝子配列の転写及び翻訳の増大を達成する。この結果、非トランスジェニック菌類と比較して、代謝最終産生物リシンの産生が増大する。
【0165】
以下の実施例によって本発明を詳細に説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0166】
以下の典型的な実施の態様が基づいている遺伝子工学的方法を、以下に短く記載する:
A: 一般的方法
例えば、制限分解(限定開裂)、DNA単離、アガロースゲル電気泳動、DNAフラグメント(断片)の生成、ニトロセルロース及びナイロンメンブレン(膜)への核酸の転写、DNAフラグメントの連結(ライゲーション)、E.coli(大腸菌)細胞のトランスフォーメーション(形質転換)、バクテリアの培養、リコンビナント(組み換え)DNAの配列分析、及びサザン及びウェスタンブロットのようなクローニング方法は、Sambrook等、 Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、及び Ausubel, P.M. 等、 Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1994); ISBN 0-87969-309-6に記載されているように実施した。
【0167】
以下で使用したバクテリア株(E. coli DH5Q,DHB1O)は、BRL Gibco又はInvitrogen, Carlsberg, CAから入手した。ベクターpAN7-2. (Punt等、Gene 56 (1987) 117-124)、pCR 2.1-TOPO-TA (Invitrogen製)、ptXCl8 (Pharmacia製)、及びpGEM (Promega製)をクローニングに使用した。P. teres野生株15Aの単離は、J. Wiland等(Phytopathology 89(1999), 176-181)に記載されている。例えばDSM:4527は、F. graxilinearum野生株 8/1として使用可能である。
【0168】
B: リコンビナント(組み換え)DNAの配列分析
組み換えDNA分子は、サンガーの方法(Sanger等、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74,5463-5467(1977))に従い、ABI製のレーザー蛍光DNAシーケンサーを使用して配列決定した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)から得られたフラグメントは、配列を決定し、発現させる構成物におけるポリメラーゼエラーを避けるためにチェックした。
【0169】
C: 使用材料
以下で使用した全ての化学薬品は、特に記載がない限り、Fluka (Neu-Ulm), Merck (Darmstadt), Roth (Karisruhe), Serva(Heidelberg) 及び Sigma (Deisenhofen)から入手した分析用グレード(等級)のものである。溶液は、以下に示したHOで、Milli-Q水処理装置(Millipore, Eschborn)からの前処理されたパイロジェンフリー(発熱原物質除去済)水を使用して作製された。制限酵素、DNA修飾酵素及び分子生物学キットは、AGS (Heidelberg), Amersham (Brunswick), Biometra (G8ttingen), Roche (Mannheim), Genomed (Bad Oeynhausen), NewEngland Biolabs (Schwalbach/Taunus), Novagen (Madison, Wisconsin, USA), Perkin-Elmer (Weiterstadt), Pharmacia (Freiburg), Qiagen (Hilden) 及び Stratagene (Heidelberg)製のものである。これらは特に記載がない限り、製造元の使用説明書に従って使用した。
【0170】
遺伝子工学実験に使用したすべての媒質(培地)とバッファー(緩衝液)は、滅菌濾過又はオートクレーブによる加熱によって滅菌した。
【実施例】
【0171】
実施例1
P. teres及びF. graminearumホモアコニターゼのゲノム核酸配列の同定
A) P. teres及びF. graminearumホモアコニターゼのゲノム核酸配列の同定
P. teres及びF. graminearumにおいてホモアコニターゼを検出するために、DEG HomacI及びDEGHomacIIプライマーを、Saccharomyces cerevisiae及び Aspergillus nidulansのホモアコニターゼ遺伝子配列情報の助けをかりて構築し、この構築に使用したGenBankに蓄積されたSaccaromyces cerevisiae (accession No. U46154) 及び Aspergillus nidulans (accession No. X99624)のタンパク質配列からの保存アミノ酸ブロックは、以下である:
DEGHomacl: 5' -CGGCCACCAGATCatgathgarga-3'
DEGHomacll: 5' -GATGGAGTTCCGGGAGAAGatrttnccraa-3'
【0172】
上記プライマーは、1.5 mM MgCl(BRL Gibco)、0.2 mM dNTP mix (MBI Fermentas)、2つのプライマーそれぞれ150 pmol、Taqポリメラーゼ0.8 U、及びP. teres 15A及びF. graminearum 8/1野生株由来のゲノムDNA100ngで、表1に挙げたプログラムに従って、PCRに使用した。この関係において、使用したテンプレート(鋳型)DNAは、P. teres 15A及びF. graminearum 8/1野生株から、DNA単離キットプロトコル(Gentra Systems, Minneapolis, USA)に従って作製した。
【0173】
【表1】
Figure 2005503781
【0174】
ここでは、P. teresの場合には1630塩基のフラグメントが増幅され、F. graminearumの場合には1757bpであり、通常のクローニング技術によって(登録商標)vector pCR(登録商標) 2.1-TOPO-TAへとクローンして、次にE. coli(大腸菌)DH 1OB中へとトランスフォームした。
【0175】
作製した構築物(構造物)の配列決定により、そのフラグメントはS. cerevisiaeホモアコニターゼと65%同一、Aspergillus nidulansホモアコニターゼのDNA配列と70%同一であることがわかった。
【0176】
作製した構築物(構造物)の配列決定により、そのフラグメントはS. cerevisiaeホモアコニターゼと61.73%同一、Aspergillus nidulansホモアコニターゼのDNA配列と68.73%同一、Aspergillus fumigatusホモアコニターゼのDNA配列と67.46%同一であることがわかった。
【0177】
B) P.teres由来のゲノムラムダライブラリーの作製及びスクリーニングと、ホモアコニターゼをコードしたクローンの単離
ファージバンクは、(登録商標)lambda FIX II XhoI部分充填ベクターキット及び(登録商標)Gigapack III Goldパッケージングエキストラクト(Stratagene)を、製造元の使用説明書に従って作製した。
【0178】
ファージは、Amersham製Hybond N+ ナイロン膜へ、Sambrook等(Molecular cloning. 第2版 Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従って、転写した。DNAはUV照射(1200μJ/cm)によりフィルターへ固定した。ポジティブクローンは、DIGシステムを使用して、製造元(Roche)の使用説明書に従って検出した。標準ハイブリッド形成緩衝液は、ホルムアルデヒドを含まなかった。プローブは、以下の2つのプライマーから作製し、PCRにおいてはジゴキシゲニンでラベル(標識)した:
HOM/Hyg forw. : 5 '-ctggccaaagctagggtcgta-3'
HOM/Hyg rev. 2 : 5'-acagtcattccaacatgtacggtg-3'
【0179】
上記プライマーは、当初は縮退したプライマーを使用して増幅したホモアコニターゼからの1418bpフラグメントを増幅する。
【0180】
シグナルはオートラジオグラフィーフィルム((商標)Hyperfilm (商標)ECL)を使用して可視化した。
【0181】
DNAは、 Loesch (Phd Thesis, University of Hamburg: 2000)に従ってポジティブクローンから単離した。このために、ラージスケールライセート(大規模溶解物)を作製した。そこから単離したDNAは、種々の制限酵素で切断し、サザンブロットで分析した。約6 kbのSalI-cut DNAバンドは、ファージスクリーニングで既に使用したホモアコニターゼプローブでシグナルを示すこれらバンドから選択され、ベクターpUC18のSalI切断部位へとクローンされた。続く配列決定から、この配列はP.teresホモアコニターゼの全遺伝子配列を含むことがわかった。
【0182】
実施例2
ノックアウト形質転換体(トランスフォーマント)の作製
A) ノックアウト構築物(KOコンストラクト)の作製
P.teres
ノックアウト構築物は、以下の2つのプライマーを構築することによって作製した:
HOMスタート: 5' TCAATGAGACGCCCAAAGTACC 3'
HOM エンド: 5' ACGATGGAGGACTGCCAATCT 3'
【0183】
2352bp配列SEQ ID NO:1の2314bpフラグメントは、プライマーを使用してラムダバンクフラグメント(実施例参照)から増幅した。このフラグメントは、次いでベクターpGEM−Tへとクローンされた。作製した構築物は、pGEM−T/HOMと表記した。ホモアコニターゼ遺伝子のA1084bpフラグメントは、推定される活性部位をも含んでおり、制限酵素BsrGI及びNheIを使用して作製した構築物の制限酵素による分解によって切除された。このため修飾ベクター構築物は、ホモアコニターゼ遺伝子の227bp及び1003bp末端配列をそれぞれ保持する。
【0184】
続けて、末端に制限酵素開裂部位BsrGI及びNheIを含むヒグロマイシンカセットを、除去されたホモアコニターゼフラグメントの代わりに、直線化ベクターへとクローンした。ヒグロマイシンカセットは、通常のクローニング技術を使用して、グルコアミラーゼプロモーター領域(GenBank accession No. Z 30918)、ヒグロマイシン遺伝子(GenBank accession No. K 01193)及びtrpCターミネータ配列(GenBank accession No. E 05643)から構築した。結果として得られた構築物は、ベクターpGEM−Tにも同様に存在し、pGEM−T/hphと表記した。続けて、上記構築物は、付加した制限酵素開裂部位BsrGI及びNheIを含むプライマーを使用して増幅し、BsrGI及びNheIで切断してベクターpGEM−T/HOMへとクローンした。このようにして作製した構築物は、pHOM/hphと表記した。
【0185】
KOカセットは、次いで、Roche製のExpand Polymerase(登録商標)を使用してPCRで増幅した。このようにして、15μgのKOカセットを増幅し、続く形質転換のためにゲル溶出によって精製した。
【0186】
F.graminearum
ノックアウト構築物は、以下の2つのプライマーを構築することにより作製した:
HOMスタート: 5' GGCGCCGCTACTGGTCAAACC 3'
HOM エンド: 5' GGCGCCTTGTTGACGGGGA 3'
【0187】
500bpフラグメント(SEQ ID NO:3)を、1%TAEアガロースゲルによって分画し、切除し、BioRadゲル溶出キットを使用して単離し、pGEM−T(E.coli DH5A)へとクローンした。プラスミド作製の後に、PvuIIを、pAN7−1M(PUNT等、1987, M = pAN7-1のNcoI部位におけるポイントミューテーション(点突然変異)、 BsrDI部位に代えて)のEheI部位へと950bpフラグメントをクローンするために使用した。この結果、KOベクターpAN7−HOM−1を得た。
【0188】
B) プロトプラストの作製
P.teres野生株15A及びF.graminearum野生株8/1のプロトプラストは、CMcompl(Leach等、J. Gen. Microbiol. 128 (1982) 1719-1729による)の液体培地中で菌糸体を、28℃及び180rpmで2日間インキュベートし、切り刻み、さらに28℃、180rpmでもう1日間インキュベートすることで準備した。上記菌糸体は次いで蒸留水で2回洗浄した。10グラムの菌糸体を40mlの5%酵素/浸透性剤溶液(700mM NaCl、5%ドリセラーゼ、滅菌)と混合して、28℃及び100rpmで3h、インキュベートした。成長したプロトプラストは、サンプルを介して顕微鏡的に観察した。プロトプラストは、濾過による菌糸体残渣から分離し、ペレットにして(3000rpm、10分間、4℃)、それぞれ10mlの700mM NaCl及びSORB-TC (1.2 Mソルビトール、50mM CaCl2、10mM Tris/HCl、pH 7.0)で洗浄した後に、1mlのSORB-TCで回収した。プロトプラスト濃度(密度)は、顕微鏡を使用して計数することで決定した。
【0189】
C) トランスフォーメーション(形質転換)
10のプロトプラストをP.teresの形質転換に使用した。熱ショック処理(5分間、48℃)の後に、プロトプラストはすぐに氷中に入れて、PCRによってpHOM/hphから増幅した15μgのKO HOMカセットと注意深く混合し、次いで10分間氷冷した。1体積部のPEG-TC (60% (w/v) PEG4000、50 mM CaCl2、10 mM Tris/HCl pH 7.0)を添加した後に、続けて15分間氷冷して、元の培養体積に対して8体積部のSORB-TC培地を添加した。
【0190】
F.graminearumプロトプラストは、続けて、例えば、T. Maniatis, E.F. Fritsch及びJ. Saxnbrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989) 及び、T.J. Silhavy, M.L. Berman及びL.W. Enquist,Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984) 及び、Ausubel, F.M. 等、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1994)に記載されているような標準的手順に従って、KOプラスミドpAN7−HOM−1を単離することによって形質転換し、次いでMamI(イソシゾマー BsaBI)を使用してブラントエンド(平滑末端)で直線化し、3g/lの濃度に調製した。
【0191】
形質転換のために、10のプロトプラストを氷冷し、上述のように作製した30μgのKOベクターと注意深く混合し、次いで10分間氷冷した。1体積部のPEG-TC (60% (w/v) PEG4000、50 mM CaCl2、10 mM Tris/HCl pH 7.0)を添加した後に、続けて15分間氷冷して、元の培養体積に対して8体積部のSORB-TC培地を添加した。
【0192】
D) 作製したノックアウト形質転換体の選択
形質転換バッチは、400mlの45℃CMreg培地(1 g/l酵母抽出物、1 g/lカゼイン加水分解物、342 g/lのスクロース、16 g/l寒天)と混合し、直径90mmのペトリ皿20個へと20mlずつ等分して導入した。
【0193】
24℃で2〜3日のインキュベートの後に、P.teres形質転換混合物を入れたペトリ皿は、それぞれ10mlのヒグロマイシン含有寒天水溶液(12g/l寒天、225μg/mlヒグロマイシン)で覆われ、次いで24時間インキュベートされた。選択寒天を通過して成長した菌糸体コロニーは、切除して、CMhyg(75μg/mlヒグロマイシンBを添加したCM培地からなる)上で単離した。
【0194】
28℃で1日間のインキュベーションの後に、ペトリ皿はそれぞれ10mlのヒグロマイシン含有寒天水溶液(16g/l寒天、300mg/lヒグロマイシン)で覆われ、続けて28℃でインキュベートされた。選択寒天を通過して成長した菌糸体コロニーは、切除して、CMhygプレート(150mg/lヒグロマイシンを含むCMcompl培地)上で単離した。
【0195】
E) ノックアウト形質転換の検出
P.teres形質転換体及びF.graminearum形質転換体は、それぞれPOA培地(Speakman, J.B. &Pommer, E.-H. Bulletin of the British Mycological Society 20 (1986) 129-130に従って調製した)及びSNA培地(Nirenberg 1981 Can. J. Bot. 59:1599-1609による)上で、UV光下で分生子を形成するように刺激した。個々の分生子は、それぞれCMhygプレート上に転写され、ホモカリオン(同核)状態の培養が得られた。続けて、菌糸体を含む寒天ブロックが上記プレートから切り出されて、CMcompl培地へと転写され、28℃、180rpmで48時間インキュベートされた。
【0196】
上記培養の菌糸体からのDNAは、サザンブロットによってベクターの組み込みをチェックした。このために、P.teres形質転換体及び野生型のゲノムDNAは、酵素BstXIで切断し、F.graminearum形質転換体ではNruIで切断し、アガロースゲルで分別した。使用したプローブは、ホモアコニターゼ遺伝子特異的で、長さ2314bpのジゴキシゲニン標識フラグメントであった。
【0197】
P.teresの5つの形質転換体、及びF.graminearumの9つの形質転換体において、ホモアコニターゼ遺伝子のバンドの代わりに、量が増大したバンドが観察された。ホモアコニターゼ遺伝子のバンドと上述のバンドの間の量の差異は、KO構築物の量に対応し、これはホモアコニターゼをコードする遺伝子へのKO−HOMカセットの組み込みを示している。
【0198】
実施例3
A) ノックアウト形質転換体の分析と同定(キャラクタライズ)
ノックアウト形質転換体の菌糸体を含有する小さな寒天ブロックを、CMcompl培地寒天プレートから外科用メスを使用して切り出し、Raper等(A Manual of the Penicillia. Waverly Press Inc., The Williams & Wilkins Company, Baltimore (1949) 64-65)に従ってCzapek培地プレート上でインキュベートした。Czapek培地はアミノ酸欠乏培地であり、すなわちこの培地で増殖(成長)しない形質転換体は、1以上のアミノ酸要求性である。P.teres野生株15A又はF.graminearum野性株8/1菌糸体を、コントロール(対照実験)として同様の方法でインキュベートした。
【0199】
P.teresのノックアウト形質転換体は、Czapek培地では、野性株15Aと比べて増殖しなかった。F.graminearum変異体は、野性株8/1と比較して、2日間遅れて増殖した。
【0200】
コントロールとして、上述した実験を、リシンを追加したCzapek培地プレートを使用して行った。この場合にノックアウト形質転換体と野性株の間にはいかなる違いも検出することができず: ホモアコニターゼ遺伝子の特異的除去のために、形質転換体はもはやリシン産生能力を失っていた。
【0201】
B) RT−PCRによるP.teres形質転換体のチェック
RNAを単離するために、菌糸体をDNA単離のための場合のように増殖させた(実施例1B参照)。培地は、遠心分離により分離して、菌糸体は氷冷水で二回洗浄した。RNAはPromega製pegGOLD RNAPure(登録商標)を使用して、製造元の使用説明書に従って単離した。その量は、光度測定法的に定量し、RNAはゲル電気泳動によって質のチェックをした。
【0202】
RT−PCRに先立って、DNアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ)消化は、デオキシリボヌクレアーゼI(Gibco製、増幅グレード)を使用して、製造元の使用説明書に従って行った。これに続けて、一本鎖cDNA合成を、Gibco製SUPERSCRIPTII(登録商標)を使用して、製造元の使用説明書に従って行った。
【0203】
ホモアコニターゼをコードする遺伝子配列のスタート及びエンドにそれぞれ付着するプライマーHOMスタート及びHOMエンドは、続くPCR反応のために使用した。
【0204】
HOMスタート: TCAATGAGACGCCCAAAGTACC
HOMエンド: ACGATGGAGGACTGCCAATCT
【0205】
PCRは、GibcoのSUPERSCRIPTII(登録商標)を使用した一本鎖合成のための使用説明書に従って、cDNA混合物の1/20で行った。P.teres15A野生型由来のcDNAのみが、期待したサイズの生成物をもたらした。5つのリシン要求性形質転換体はもはやホモアコニターゼ合成のmRNAを産生しなかった。
【0206】
SUPERSCRIPTII(登録商標)の添加に先立って、それぞれ1マイクロリットルが、一本鎖合成のために使用される反応混合物から、コントロール(対照用)として取り出された。上記マイクロリットル及び一本鎖cDNAの1/20は、コントロール(対照実験)PCR群において、構成的(恒常的)に発現するP.teresアクチン遺伝子プライマー(ActF: tgggacgatatggaiaaiatctggca,ActR: tcitcgtattcttgcttigaiatcacat (Voigt, K. 等、 (2001) Gene 270:113-120))と共に使用された。Superscript添加に先立って取り出されたマイクロリットルでのコントロールPCRにおいては、何の産物も得られなかった。このことは、RNAがDNAを含有していなかったことを示す。cDNAによるコントロールPCRは、ゲノムDNA由来のそれと比較して、スプライシングにより除去されたイントロンの分だけ小さい産生物をもたらす。このこともまたRNAがDNAを含有せず(DNAフリーであり)、さらにインタクト(そのままの状態)であったことを追認する。
【0207】
C) 選択したP.teres形質転換体の毒性及び接着能力
形質転換体の宿主に対する毒性は、視覚的な等級付けによって決定する。このアッセイは、植物全体及び分離した葉部の両方で行うことができる。
【0208】
非完全耐性オオムギ変種ハービン(Harbin)(Steffenson、B.J.、1992)及び感受性オオムギ変種ハゼラ(Hazera)(Steffenson、B.J.、1992)を、子葉は使用せずに、このアッセイに使用した。さらにアッセイコンディションコントロールとして働くニャンド(Nandu)夏小麦の葉は、非宿主として、このアッセイにおいて使用された。円形フィルター(径90mm、Schleicher&Schuell、ref.No.10311609)上で、長さ約7cmの上述の植物の葉部は、葉の上側が上に向くように、約6cmの間隔で固定された。5つのオオムギ変種の葉部と1つのコムギ葉部をそれぞれ使用した。葉部を備えたフィルターペーパー(濾過紙)は、10mlの滅菌タップ水で満たされたペトリ皿へと置かれた。各葉部は、0.01%Tween20を含む調製分生子懸濁物(50分生子/20μl)を滴下して接種し、次いで植物培養室で7日間まで培養した。ネクローシス(壊死)の強度とサイズは野生型感染と比較された。
【0209】
病原性アッセイと並行して、P.teresの一定期間内のオオムギ葉表面への付着能力は、ダメージのパターン(損傷の模様)によって間接的に決定された。
【0210】
この「付着アッセイ」は、上記の病原性アッセイと同様に行われた。しかし、感受性オオムギ変種のみを使用した(Kombar、(Steffenson,B.J.、1992、Hazera)。
【0211】
フィルターペーパー上に置かれた葉部を分生子懸濁物の滴下で湿らせた後に、分生子懸濁物は、すぐに2つの葉から除去された。付着しなかった分生子を全て除去するために、湿らせた側は次いで2×50μlの0.01%+Tweenで洗浄された。さらに3滴が3時間の間、葉の上に置かれ、次いで同様に除去され、滴下部位が洗浄された。この後に植物培養室で7日間、インキュベートされた。野生型もこの比較として使用した。
【0212】
ここから、リシン要求性形質転換体は無発病性(無毒性)で、感染部位をこえて感染する能力を持たないことがわかった。
【0213】
D) 選択されたF.graminearum形質転換体の毒性
形質転換体の有毒性を試験するために、夏コムギ変種ニャンド(Nandu)及びムンク(Munk)に感染させた。両方の変種は、ブンデソーテナント(Bundessortenamt)(独連邦植物変種局)の品質等級6に分類され、そのためF.graminearumの感染に対して特に感受性である。
【0214】
それぞれの感染実験で実施したポジティブコントロールは、形質転換体が由来しているF.graminearum野性株8/1に感染させ、実施したネガティブコントロールは純水の接種であった。さらに、サザンブロットによって同定したKO形質転換体は別にして、いずれの場合も、pAN7−HOM−1が不正常な位置に(異所性に)組み込まれた1形質転換体が、それぞれの感染実験においてコムギ上へ接種された。
【0215】
感染のために、分生子はSNAプレート(Nirenberg 1981 Can. J. Bot. 59:1599-1609に従ったSNA培地、22gの寒天を含む)から水で洗浄除去され、5×10分生子/mlの濃度へと調製された。この分生子懸濁物10μlを子房に直接に隣接する穂の中心へと接種された。この植物は次いで水を噴霧され、個々の穂は食品用包装ラップで被覆され、植物培養室に、感染が可視化されるまで置かれた(昼/夜リズム: 昼:18℃、16h,25000Lux; 夜:16℃、8h)。13日後に、感染を分析した。
【0216】
F.graminearum野性株8/1での感染では、感染させた穂の辺りでの顕著な菌糸体の成長(増殖)、穂の褐色化の開始、及び穂の隣接部への感染の拡大が、観察された。KO変異体では、野性株8/1と比べて、明瞭に減少した感染が観察された。異所性の形質転換体では、野性株のそれと同様の感染が観察された。水による比較実験は、感染を示さなかった。
【0217】
上述の結果から、菌が遺伝子を失った場合には効果的に感染できないため、ホモアコニターゼはF.graminearumの病原性に本質的に重要であると結論できる。
【0218】
実施例4
A) P.teresタンパク質の単離
全てのステップは、4℃で実施した。
【0219】
菌糸体は、CMcomp培地(28℃、180rpmで2日間インキュベーション)にて新たに成長させ、遠心分離により培地から取り出し、蒸留水で一回洗浄し、そしてフィルターペーパーを使用して注意深く乾燥した。
【0220】
続けて、菌糸体は、液体窒素中で破砕して、100mgを、1000μlの抽出バッファ(緩衝液)(40%グリセロール、2mMDTT、1Complete(登録商標)Mini EDTA−free tablet(Roche)/10ml、200mMリン酸カリウム、pH6.5)と混合した。氷上での5分間のインキュベーション及びそれに続く遠心分離(15300rpm,4℃、30分)の後に、その上清を新しい反応容器へと移し、Bio−Rad製のProtein Assay Dye Reagent Concentrateを使用して製造元の使用説明書に従ってタンパク質含量を決定した。
【0221】
B) 活性試験
ホモアコニターゼ活性は、室温で、12μgのタンパク質を、80nmolの基質(基質ストック溶液: 10mMホモイソクエン酸、30mMリン酸カリウム、pH8.5)と、最終体積120μlの反応バッファ(30mMリン酸カリウム、pH8.5)で混合し、240nmの吸光度を20分間記録することで、決定した。
【0222】
C) 野生株及び2種の栄養要求性変異体におけるホモアコニターゼの活性の比較
ホモアコニターゼ活性は、野性株及びリシン要求性形質転換体において決定された。図1が明らかにしているように、リシン要求性形質転換体のホモアコニターゼの活性は、この場合に無視できるほどに低い。
【0223】
配列の記載:
SEQ ID 1: P.teresホモアコニターゼの核酸配列
SEQ ID 2: P.teresホモアコニターゼのアミノ酸配列
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】野性株及びノックアウト変異体(図ではΔlys4 P.teresと表す)におけるホモアコニターゼ活性の測定

Claims (33)

  1. ホモアコニターゼの生物学的活性を有するタンパク質をコードしている、植物病原性菌類由来の核酸配列の遺伝子産物を殺菌剤の標的として使用する方法であり、
    上記核酸配列は以下の:
    a) SEQ ID NO:1に表された核酸配列を有する核酸配列; 又は、
    b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列から逆翻訳によって取得可能な核酸配列;又は、
    c) SEQ ID NO:1と61%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
    を含む使用方法。
  2. 以下の:
    a) SEQ ID NO:1にある配列を備えた核酸配列; 又は、
    b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列の反訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
    c) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列の機能同等物の逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
    d) SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1に表された核酸配列の機能アナログ; 又は
    e) SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列の機能アナログをコードする、SEQ ID NO:1に表された核酸配列の機能アナログ; 又は
    f) 核酸配列a)、b)、c)又はd)の部分、
    を含む核酸配列。
  3. 以下の:
    a) SEQ ID NO:1に表された核酸配列を有する核酸配列; 又は、
    b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列から逆翻訳によって取得可能な核酸配列;又は、
    c) SEQ ID NO:1と71%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
    を含み、ホモアコニターゼの生物学的活性を有するポリペプチドをコードしている、請求項2に記載の核酸配列。
  4. 植物病原性菌類に由来する請求項2又は請求項3に記載の核酸配列。
  5. 植物病原性菌類Pyrenophora teresに由来する請求項2〜4のいずれかに記載の核酸配列。
  6. 植物病原性菌類Fusarium graminearumに由来する請求項2〜4のいずれかに記載の核酸配列。
  7. プローブを作製し、続けて適切な種のゲノム又はcDNAバンクのスクリーニング、又は電子データベースでの類似する配列のコンピュータ探索を行うことによってSEQ ID NO:1の機能アナログを検出する方法。
  8. ホモアコニターゼの生物学的活性を有するタンパク質をコードし、植物病原性菌類に由来する、請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列における突然変異を検出する方法であり、以下の:
    a) 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列に基づいてオリゴヌクレオチドを作製し、続くPCRで上記変異を含有させること; 又は、
    b) 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列に基づいてオリゴヌクレオチドを作製し、変異に隣接する領域をPCRによって増幅し、続けて制限消化及び/又は配列決定すること、
    を含む方法。
  9. 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列、又は核酸配列SEQ ID NO:1と61%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物の遺伝子産物を、殺菌物質の検出のための標的として使用する方法。
  10. ホモアコニターゼをコードする請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列を含む発現カセット。
  11. a) 請求項2〜6のいずれかに記載されている核酸配列に機能的に連結された遺伝子制御配列; 又は、
    b) 付加的機能因子; 又は、
    c) a)及びb)の組み合わせ、
    を含む、請求項10に記載の発現カセット。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の発現カセットを含むベクター。
  13. 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列の1以上、請求項10又は請求項11のいずれかに記載の発現カセット、又は請求項12に記載のベクターを含む、トランスジェニック生物。
  14. バクテリア、酵母、菌類、動物及び植物細胞からなる群から選択された、請求項13に記載のトランスジェニック生物。
  15. 以下の:
    a) SEQ ID NO:1に表された核酸配列を有する核酸配列; 又は、
    b) 遺伝子コードの縮退のために、SEQ ID NO:2に表されたアミノ酸配列から逆翻訳によって取得可能な核酸配列; 又は、
    c) SEQ ID NO:1と61%以上同一である、核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、
    を含む核酸配列の使用方法、
    又は、上記核酸配列によってコードされている植物病原性菌類由来のホモアコニターゼアミノ酸配列を、殺菌作用を有する化合物を同定する方法において使用する方法。
  16. 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列の遺伝子産物の活性、翻訳、発現、又は転写が影響を受け、その遺伝子産物の活性、翻訳、発現、又は転写を減少又はブロックする物質が選択される、殺菌作用を備えた物質の同定の方法。
  17. 以下のステップ:
    i) 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸分子、又はSEQ ID NO:1と61%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物、又は上述の核酸分子のいずれかによってコードされたホモアコニターゼを、1以上の試験化合物と、該試験化合物が上記核酸分子又は上記ホモアコニターゼへと結合可能な条件下で、接触させるステップ; 及び、
    ii) 試験化合物が、i)のホモアコニターゼへ結合するかどうかを検出するステップ;
    iii) 試験化合物が、i)のホモアコニターゼの活性を減少又はブロックするかどうかを検出するステップ; 又は、
    iv) 試験化合物が、i)の核酸の発現、翻訳、又は転写を減少又はブロックするかどうかを検出するステップ、
    を含む請求項16に記載の方法。
  18. 高スループットスクリーニングにおいて物質を同定する請求項16又は請求項17に記載の方法。
  19. 生物を使用して実施される請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 請求項13又は請求項14に記載の生物を使用して実施される請求項19に記載の方法。
  21. 以下の:
    a) 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列又はSEQ ID NO:1と61%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物を含むトランスジェニック生物でホモアコニターゼを発現させ、又はホモアコニターゼを天然で含む生物を培養し;
    b) 上記生物の細胞抽出物においてステップa)の生物に由来するホモアコニターゼを、部分精製して又は均質にまで精製して、試験化合物と接触させ; そして、
    c) ホモアコニターゼ活性を減少又はブロックする試験化合物を選択し、上記試験化合物とインキュベートされたホモアコニターゼの活性を、試験化合物とインキュベートされなかったホモアコニターゼの活性を使用して決定する、
    ことを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の方法。
  22. ホモアコニターゼが、試験化合物とインキュベートされ、適切な反応時間の後に、酵素の酵素活性が、非阻害酵素の活性と比較して光度測定的に決定される請求項21に記載の方法。
  23. ホモアコニターゼが酵素活性を決定するための基質として使用され、該ホモアコニターゼの活性が240nmでの吸光の減少によって決定される、請求項21又は請求項22に記載の方法。
  24. ホモアコニターゼが酵素活性を決定するための基質として使用され、上記ホモアコニターゼの活性が240nmでの吸光の増大によって決定される、請求項21又は請求項22に記載の方法。
  25. 上記の方法によって選択された試験化合物が、殺菌作用を検証するために植物病原性菌類へ施される、請求項16〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 以下のステップ:
    a) 請求項2〜6のいずれかに記載の核酸配列又はSEQ ID NO:1と61%以上同一である核酸配列SEQ ID NO:1の機能同等物による形質転換の後に、ホモアコニターゼの生物学的活性を有するポリペプチドを発現する能力を有する生物を作製するステップ;
    b) ステップa)の生物及び同様の非形質転換生物に試験化合物を施すステップ;
    c) ステップb)の試験化合物を施した後に、トランスジェニック生物及び非形質転換生物の生存性及び増殖を決定するステップ; 及び、
    d) トランスジェニック生物の増殖と比較して、非トランスジェニック生物の感染性、生存性及び/又は増殖の減少を生じさせる試験化合物を選択するステップ、
    を含む、殺菌作用を有する物質を同定するための請求項16又は請求項17に記載の方法。
  27. 非トランスジェニック生物と比較してリシン産生の増大を示す、請求項13又は請求項14に記載のトランスジェニック生物。
  28. 菌類又は古細菌の群に由来する、請求項27に記載のトランスジェニック生物。
  29. 植物病原性菌類の群に由来する、請求項27に記載のトランスジェニック生物。
  30. 請求項16〜26のいずれかに記載の方法によって同定可能な、殺菌作用を有する活性化合物。
  31. a) 請求項16〜26のいずれかに記載の方法によって殺菌活性化合物を同定し、そして、
    b) (a)によって同定された活性化合物、又は(a)によって同定された活性物質の農業上有用な塩を、適切な賦形剤と共に製剤する、
    殺菌作用を有する農薬組成物の製造方法。
  32. 請求項31に記載の方法によって得られる殺菌作用を有する農薬組成物。
  33. 菌類、又は菌類の攻撃から防護されるべき資材、植物、土壌又は種子を、請求項19に記載された殺菌剤化合物又は請求項32に記載された農薬組成物の有効量で処理することを含む、有害菌類の防除方法。
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