JP2005502405A - 調節可能な治療圧力を用い、組織浸透深さを増強させた温熱治療システムおよび関連方法 - Google Patents
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Abstract
方法、システムおよびコンピュータプログラム製品は、治療用バルーンに加熱液を循環させ、標的組織に熱と圧力を同時に加える様に構成された閉ループシステム内の圧力を制御し調節する圧力モニタリングおよび圧力調節装置を閉ループシステム内に含む。システムおよび方法は圧力を調節し被験者の生理機能および温熱治療期間にわたる材料の弛緩による動作損失を補償する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は被験者の内腔または体腔に侵襲性を最小に抑えた温熱治療を提供する方法に関し、特に前立腺のある一定の状態の治療に適している。
【背景技術】
【0002】
従来、標的組織を加温または熱焼灼することにより身体のある一定の病態を治療するために、いくつかの型の温熱治療システムが提案されている。これらの温熱治療システムは様々な熱源を使用して標的組織を治療または焼灼するのに必要な熱を発生させている。例えば、選択した体腔内またはその周囲の標的組織に誘導される熱を発生させるために、レーザ、マイクロ波、および高周波(RF)エネルギー源が提案されている。熱治療システムを使用して、前立腺組織を熱焼灼し、および他の器官、体腔および/または自然の管腔の組織を熱的に治療または焼灼している。
【0003】
米国特許第6,216,703号では、前立腺炎およびBPH(良性前立腺過形成)の両方を治療するために使用することができると言われているある熱治療システム(マイクロ波エネルギーシステムを含む)が記述されている。この出願の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。しかしながら、BPHおよび前立腺はどちらも前立腺障害であるが、明白に異なる状態であり、それぞれ典型的には異なる治療戦略および療法により治療される。前立腺炎および適した治療の更なる議論は、共に出願中で共に譲渡された、「前立腺炎治療法(Methods of Treating Prostatitis)」と題する米国仮特許出願第60/308,344号において見出される。この出願の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
BPHを治療するために使用されるサーモフレックス(Thermoflex、登録商標)システム(ノースカロライナ州ケアリーのアルゴメッド社(ArgoMed、Inc.)から入手可能)として周知の1つの特に成功した熱焼灼システムは、熱凝固法により前立腺を焼灼する。この熱焼灼システムは、体外で液体、典型的には水を加熱し、循環加熱水を治療用カテーテルに誘導する閉ループ液または水誘導温熱療法(WIT)システムを採用する。治療用カテーテルは前立腺内の局所組織を焼灼温度に曝露する治療開始前に、陰茎道を通して挿入され、被験者体内の定位置に保持される。治療用カテーテルは、動作中に膀胱頸部に対し固定される上端部、および固定された上部端部分に対し保持され、そのため前立腺の所望の治療領域に沿って存在する膨張可能な治療セグメントを含む。動作中、治療用セグメントは、そこを通って進む捕捉された循環液に応答して膨張し、前立腺内の標的組織を圧迫し、組織を循環液と関連する高温に曝露し、これにより治療部位の局所組織が熱焼灼される。
【0005】
外科手術(経尿的前立腺切除(TURP))の許容される代替案として、WIT(水誘導温熱療法)が成功した、一般に侵襲性が最小に抑えられたBPH(良性前立腺過形成)治療であることが示されている。一般に言われるように、「BPH」という用語は前立腺が肥大し、前立腺組織の密度が増大する状態を示し、これは不幸にも排尿経路を遮断する傾向がある。この状態は、時間の経過に伴い前立腺組織(および膀胱筋肉)が生理学的に変化するため、年齢を重ねると男性では典型的に生じる。(外科的切開および組織の除去を必要とせずに)尿道前立腺部内の開口を拡大させるために、循環熱水が上記のように、陰茎道内に、陰茎尿道を通して、前立腺内に挿入された治療用カテーテルを通して誘導される。治療用セグメントはその中に保持された熱水により膨張し、膨張した治療用セグメントが前立腺を圧迫し、その後、前立腺組織が伝導により加温され、熱焼灼される。BPH療法では、循環水は典型的には約60〜62℃の温度まで加熱され、標的組織は約35〜45分の期間、温熱治療され、前立腺内の排尿経路付近の組織が局所的に死滅し、これにより前立腺の排尿経路が拡大される。
【0006】
閉ループWITシステムおよび他の循環液温熱治療システムは可撓性材料から形成される部品、例えば、治療が比較的長い時間にわたり施される場合、治療の供与に関連する状態(システム圧力および/熱を含む)に曝露されることにより、治療過程で弛緩することがあるエラストマー治療用バルーンおよびチューブを備えたかなり細い可撓性カテーテルなどを使用する。さらに、治療に対し生理学的応答が存在することがあり、尿道前立腺部の治療領域内の組織のサイズ、弾力性および/または密度もまた、治療中に変化してしまうことがある(組織特性の個人差に基づき被験者が異なると幾分異なるが)。例えば、焼灼治療中、治療用バルーンの周囲の限局された治療組織の壊死は、この領域の組織が効果的に縮むようなものとされる。過去、この現象を補償しようとして、追加の量の液体がバルクで熱治療中の一点で閉ループ循環システムに添加され、損失圧力を増加させようとしていた。しかしながら、図1に示されるように、追加の液体をシステムに添加した後(グラフ上では時間=3〜4分で示される)、圧力は予測通り増加したが、かなり急に減少した。圧力は、治療用カテーテルの外側(下流)のチューブ上に配置したデジタルトランスデューサーにより測定した。図1のグラフは、治療用バルーンを泡(前立腺モデル)内に保持し体腔内の組織との接触をシミュレートしながら、約20分間約60℃まで加熱した液体を循環させる5cmの治療用バルーンの周囲で測定した圧力(psi)の経時(分)変化を示したものである。グラフのピークは追加量の液体を閉ループシステムに添加した時点を示す。
【0007】
他の者は、圧力をモニタし、局所組織の圧力情報を使用して血管形成手順により小さな(および時に脆弱な)内腔から斑または閉塞を除去しようとする提案をしている。例えば、デマー(Demer)に付与された米国特許第4,781,192号では、バルーン膨張装置(熱無しで圧力のみの適用により動作する)における圧力および体積モニタリングが記述されている。デマーは圧力−体積グラフ上でバルーンの膨張をプロットし、閉塞の性質(例えば、脆弱か、弾性があるかどうかなど)に関する情報を得、追加の膨張サイクルを実施すべきかどうかを評価している。他のものは温熱治療中の圧力をモニタし、印加する熱を最小の抑えるように治療を制御することを提案している。米国特許第5,496,311号は低ストレス血管形成拡大法を提案する。この方法では熱を使用し、圧力をモニタし生理的応答を検出し、このため低ストレス条件下で加熱、加圧し、実質的に下の内腔壁を加熱しまたは損傷することなく斑または閉塞狭窄物質を除去する。これらの特許の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0008】
改良された温熱治療システム、特に、治療の深さまたは浸透性を増強することができる、改良された循環流体温熱治療システムを提供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、治療用バルーンの圧力を調節し、このため温熱療法治療時間の実質的に全体を通してまたは選択した部分中十分高い力または圧力(例えば0.5〜3atm以上)で、治療バルーンと近接して位置する組織との強くまたな安定した積極的な接触が維持されるようすることにより、組織壊死を増大させおよび/または浸透深さを増大させる温熱療法を適用することができる侵襲性を最小に抑えた温熱治療システムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、自動圧力モニタリング、および温熱治療浸透深さまたは他の動作増強を促進するための調節能力を有する経済的な循環液閉ループ温熱治療システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらのおよび他の目的は、とりわけ、循環システムにおける圧力を維持、増加、または調節することができ、そのため拡大または膨張した治療用バルーンが十分外に向かって拡大または膨張することができ、温熱療法施与中、近接する組織に対し所望の強い接触圧または力を維持することができる方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供する本発明により満たされる。力または圧力は治療の少なくとも選択した一部で約0.5atmを超えるように(典型的には約0.75〜2atm)、および治療部位の内腔直径が広くなるまたは増大するように選択してもよい。圧力は、治療全体で、または選択した一部の間、実質的に一定となるように、または治療サイクルの異なる部分で様々な圧力が作動されるように選択してもよい。圧力調節は、物質または部品緩和、システムにおける動作圧損失を補償するために、および/または体内の血液循環に起因するヒートシンク効果を軽減し、および/または温熱治療により適用される壊死の浸透深さまたは体積を増大させるように実施することができる。他の態様では、圧力調節は患者の快適レベルに基づき、少なくとも部分的に患者が制御してもよい。
【0012】
ある態様では、システムは閉ループシステムの圧力をモニタし、圧力を調節することができ(例えば、循環流体経路に流体を添加またはそこから除去することにより)、これに応じて、治療バルーンは腔壁と接触し、その腔壁の動きまたはその内の生理変化に従うように(腔壁は縮み、または異なる程度の剛性または可撓性を示すからである)、および/または温熱療法処置中のシステムの圧力降下を補償するように適合する。
【0013】
他の態様では、システムは尿道前立腺部内の標的組織を熱焼灼することができ、十分な厚さの硬化した瘡蓋、殻または痂皮が提供され、尿道の治療部位を通って流体を排出させることができる十分大きな開口が規定でき、そのため、治療中および/または治療後の組織による浮腫過程にかかわらず流体の排出を可能とするのに十分な剛性を有するインサイチュー天然ステントとして機能する。瘡蓋または痂皮は自己吸収または自然消滅でき、または組織の治癒と共にとれ、治療後のカテーテル法の時間量が減少し、またはその必要性が排除できる。
【0014】
本発明のある態様は、閉ループ温熱治療システムを用いて前立腺の状態を治療するために温熱療法を適用する方法に関する。この方法は、液体循環経路およびこれと流体連絡した膨張可能な治療バルーンを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔に配置する過程を含む。尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有する。治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する。治療用バルーンは外に向かって一定距離膨張し、これにより治療用バルーンが尿道前立腺部の壁と接触し、尿道前立腺部に近接する組織上に圧力がかかる。尿道前立腺部の周囲の組織は、液体循環経路および膨張した治療用バルーンを介して実質的に連続して循環する加熱液体により少なくとも約15分間加熱され、これにより温熱療法が尿道前立腺部に適用される。閉ループシステム内の圧力はモニタされ、モニタリング過程により決定された圧力に基づき自動的に調節され、閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部の標的治療領域に近接する組織内の生理学的変化が補償され、そのためシステムは温熱療法の適用中、少なくとも1つの選択された動作圧を維持する。圧力調節は異なる患者(前立腺)組織密度(患者対患者)の理由となるシステム動作を補償することができ、これにより患者群全体にわたりより一貫した治療が提供される。
【0015】
他の態様は、閉ループ温熱治療システムに関する。このシステムは循環液入口チャネル、循環液出口チャネル、および循環入口および出口チャネルと流体連絡した膨張可能な治療用バルーンを含むことができる。システムはまた、ポンプ、ヒーター、温度センサ、治療用カテーテルと動作的に関連する圧力センサ、ならびに圧力センサおよび治療用カテーテルと動作的に関連する圧力調節装置を含む。システムはまた、ある量の液体を循環させるように適合された閉ループ液体循環経路を含み、経路はポンプと、治療用カテーテル入口および出口チャネルとの間に延在する接続チューブを含み、経路はカテーテル入口および出口チャネルならびに治療用バルーンを含む。圧力調節装置は経路と動作的に関連する。システムはまた、ポンプ、ヒーター、圧力センサ、温度センサ、および圧力調節装置と動作的に関連する制御装置を含む。制御装置は(a)ポンプ、ヒーター、温度センサ、圧力センサおよび圧力調節装置を作動させ、液体循環経路を通して加熱液体を実質的に連続して循環させ;(b)液体循環経路内の圧力を自動的に調節して、治療システムにおいて少なくとも約15分の時間にわたり動作圧力損失を補償すると共に尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織の全ての生理学的変化の補償し、そのため、システムは温熱療法の適用中に少なくとも1つの選択した動作圧を維持するようにするためのコンピュータプログラムコードを有する。ある態様では、システムは使用者の入力をインサイチューに受理し所望の動作圧を設定するように構成され、他の態様では、一連の増大する圧力が使用され、体内の標的部位に熱と共に増大した圧力が適用される。
【0016】
本発明の他の態様は閉ループ温熱治療システムを使用したBPHの治療方法を含む。方法は(a)液体循環経路およびそれと流体連絡された膨張可能な治療用バルーンを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔内に配置し、尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有し、治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する過程と;(b)治療用バルーンを外に向かって一定距離膨張させ、治療用バルーンを尿道前立腺部の壁にしっかりと接触させ、尿道前立腺部に近接する組織に圧力を加える過程と;(c)少なくとも約10〜20分間、液体循環経路および膨張した治療用バルーンを通して少なくとも約57〜62℃(典型的には約95℃未満)に加熱した液体を実質的に連続して循環させることにより尿道前立腺部の周囲の組織を加熱し、熱焼灼治療を尿道前立腺部に適用する過程と;(d)閉ループシステム内の圧力をモニタする過程と;(e)モニタリング過程により決定した圧力に基づき閉ループシステム内の圧力を自動的に調節し、閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部の標的治療領域に近接する組織内の生理学的変化を補償し、温熱療法を適用している間、少なくとも1つの選択された動作圧がシステムにおいて維持される過程と;および(f)膨張、加熱、および圧力調節過程に基づき尿道前立腺部の内腔の幅を増大させる過程と、を含む。
【0017】
本発明のさらに他の態様は、(a)尿道前立腺部内の組織を加熱した流体で満たし膨張させた治療用バルーンと共に接触させる過程と;(b)治療用バルーン内の流体を循環させ、尿道前立腺部上に十分な力と温度により伝導熱と圧力を同時に加え、尿道前立腺部内の組織を熱焼灼し、尿道前立腺部の内腔の周囲で測定し平均すると少なくとも約15〜20mmの浸透深さまで組織壊死が誘発される過程と、を含むBPHの治療方法に関する。
【0018】
ある態様では、治療は尿道前立腺の内腔の壁の周りに痂皮を形成させるように実施され、その痂皮は尿道前立腺部治療後に開通路を維持することができる自然のステントを規定する十分な厚さを有する。特別な態様では、自然のステントは治療に帰する浮腫過程中であっても十分な排液路を維持することができる。
【0019】
本発明のさらに他の観点は、体内の標的領域を温熱治療する方法である。この方法は(a)治療用カテーテルを体腔に挿入する過程と;(b)被験者の体外で液体を約40〜65℃以上(典型的には約95℃以下)に加熱する過程と;(c)加熱液体を治療用カテーテル内で循環させ、そのため加熱液体が治療用カテーテル内に収容されて標的治療領域まで進む過程と;(d)循環過程の加熱液体に相当する予め決められた熱焼灼治療の間、標的領域内の組織を約40℃以上の温度に曝露させる過程と;(e)標的領域より下の標的ではない組織を断熱し、標的でない組織が、循環過程中に治療用カテーテルと接触しても約44℃の最大温度に曝露される過程と;(f)システム内の圧力をモニタする過程と;(g)モニタリング過程に基づき自動的に循環システムに液体を添加しまたは除去する過程と、を含む。この方法はまた、循環および曝露過程中に治療用カテーテルを通して体液を排出させる過程を含んでもよい。
【0020】
この方法を使用して前立腺炎もしくはBPHなどの泌尿器もしくは前立腺疾患または状態を治療し、または自然の体内の内腔または体腔に隣接もしくは近接する組織を治療することができる。ある一定の特別なBPH治療態様では、循環液は被験者の体外で57〜62℃以上まで加熱でき、少なくとも10〜20分間、約57〜62℃以上の入口温度で治療用カテーテル内に誘導することができる。
【0021】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本発明の態様を説明するものであり、その記述と共に本発明の原理を説明するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明について以後、添付の図面を参照してより詳細に記述する。添付の図面では本発明の好ましい態様を示す。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書で記述した態様に限定されると考えるべきではなく、むしろ、これらの態様はこの開示が詳細で完全なものとなるように提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるものである。図面では、一定の要素、領域、または特徴は明瞭にするために誇張されているかもしれない。同様の符号は全体を通して同様の要素を示す。図面において、破線が使用される場合、必要に応じて用いられる特徴、動作、または部品を示す。
【0023】
本発明の温熱治療システム10は、被験者の体内の体腔または自然の内腔において任意の所望の温度の(冷却および/または加熱)温熱療法を適用するように構成してもよい。冷却するためには、標的組織を平均体温より低い温度、例えば約15〜20℃までに曝露するように温熱治療システムを構成してもよい。加熱するためには、標的組織を非焼灼温度(約45℃未満)または焼灼温度以上(例えば約45℃以上)まで加熱した温度に曝露するように温熱治療システムを構成することができる。本発明は獣医学および医学の両方の分野に適用される。本発明は都合よく被験者の治療に使用してもよい。本発明による「被験者」は、動物被験者を含み、好ましくは哺乳類被験者(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類、ブタおよび/またはウサギ)であり、好ましくはヒト被験者である。
【0024】
ある一定の態様では、温熱治療システムは約45℃以上まで(および典型的には約57〜62℃まで)加熱した流体を、温熱療法の少なくとも一部の間、実質的に連続して循環させるように構成された熱焼灼治療システムである。このように、「熱焼灼」という用語は、組織を殺すのに十分な温度に標的組織を曝露することを示す。熱焼灼は、被験者の体外で加熱した高温液を生物学的被験者内の標的治療領域に直接循環させるように構成された、被験者に挿入したカテーテル上の膨張可能な治療用バルーンと接触することにより標的組織において熱凝固を誘発することにより実施することができる。
【0025】
説明を容易にするために、本発明の態様については主に、男性尿道内での使用について記述する。しかしながら、本発明のカテーテルは、結腸、子宮、子宮頸部、喉、口または他の気道、耳、鼻、血管など(これらに限定されない)の他の自然の内腔または体腔に挿入するように他の構成としてもよく、適当に適合させてもよい。
【0026】
ある一定の態様では、温熱治療システムは、BPHを治療するための熱焼灼療法または前立腺炎を治療するための温熱療法を適用するように構成することができる。BPHまたは前立腺炎の治療では、尿道前立腺部の壁は、膨張可能な治療用バルーンと接触することにより温熱治療することができる。治療用バルーンは、流体が進行し治療用カテーテル内に収容され、その中を循環する加熱流体の量に応じて膨張する。
【0027】
図2は本発明のある一定の態様の動作の流れ図である。図示されるように、液体は閉ループシステムで実質的に連続して循環される。閉ループシステムは流体循環経路を有し、その一部は膨張可能な治療用バルーンを備えたカテーテルにより規定される(ブロック100)。被験者の内腔または自然の体腔内の標的領域の組織を膨張した治療用バルーンと接触させ、少なくとも約15分間継続する温熱療法を伝導により適用する(ブロック110)。閉ループシステム内の圧力をモニタする(ブロック120)。圧力は温熱療法の適用中、自動的に調節され、治療の浸透深さが増大し、および/または治療組織の生理学的変化および温熱療法治療過程の間のシステムの圧力損失に応答する選択した動作圧でシステムが維持される。システムはまた、標的組織に熱および圧力療法を同時に適用するために、治療中の循環液の温度をモニタし調節する(療法の施与中に増大および/または減少させる)ように構成されてもよい。
【0028】
必要に応じて、焼灼療法では、治療の初期の部分中に第1のシステム圧力を提供し、その後、熱焼灼温熱順序の第2の部分で約0.5〜3atmの第2の実質的に一定の(または増大する)システム圧が提供されるように動作が実施でき、熱焼灼は少なくとも5〜20分継続する(ブロック140)。特別な態様では、システム内の圧力は、治療の後半または第2の部分の間、約0.75〜2atm、典型的には少なくとも約1.0〜1.5atmとすることができる。
【0029】
ある一定の態様では、システムは使用者の入力を受理し、患者の快適なゾーンまで圧力を増大させるまたは調節するように構成することができる(ブロック131)。使用者入力は、システムが不適当な動作圧に曝露されないようにする限界または停止(圧力停止および/または傾斜速度制限)を含む。使用者入力は温熱療法の5〜10分の初期加熱部分中、および/または温熱療法の高温部分中(典型的には約5〜10分後に適用される)に受理されてもよい。
【0030】
ある態様では、温熱療法中に圧力調節を実施することができ、そのため動作は、温熱療法治療の積極的な適用の少なくとも選択した部分中で、予め決められた圧力から変動しないように、約0.1〜0.5psiの間の分解能で制御される(ブロック132)。特別な患者の生理機能を考慮し、動作条件により治療間、患者間の一貫性が改善されるように、システム圧を実質的にモニタすることにより所望のまたは一定の動作圧でシステムの圧力を維持する。圧力調節は、モニタした圧力に基づき、閉ループシステム内で循環する体積に、自動的に液体を添加する、またはそこから液体を除去することにより実施することができる(ブロック133)。ある態様では、循環液の最初の体積は100ml以下のオーダーとすることができ、10〜30%の追加量の液体を少なくとも15分の温熱療法治療で添加することができる(ブロック134)。ある態様では、約50ml以下の最初の循環体積が閉ループシステム内で循環され;治療過程で添加される液体の典型的な量は約5%以上のオーダーとすることができる。
【0031】
当業者には周知のように、特別な被験者を治療するために使用される治療用バルーン/カテーテルは適合するように特別に作ったものとすることができ、患者の尿道前立腺部の長さに適合するように選択された長さを有する(典型的には約1.5cm〜約6cmの長さの治療用バルーンを備えたカテーテルサイズから選択される)。添加される追加の液体は治療用バルーンの長さの倍数、すなわち、1.5cmの治療用バルーンでは1.5ml、3mlまたは4.5mlおよび6cmの治療用バルーンでは6ml、12mlまたは18mlとすることができる)。
【0032】
他の態様では、流体循環経路の折り畳み可能な部分は圧縮することができ、システムの圧力が維持されまたは増加する(ブロック135)。
【0033】
図3Aは閉ループ温熱治療システム10の1つの態様を示したものである。図示されるように、システム10は制御装置12、ヒーター14、圧力モニタリングおよび制御装置15、流体循環ポンプ16、循環流体流路18f、および膨張可能な治療用バルーン23を備えたカテーテル20を含む。循環流体流路18fは、カテーテル20と、循環流体流路18fの各入口および出口部分の間に延在する、ある長さのエラストマーコンジットまたはチューブ18tを含む。図の矢印はシステムを通って流れる流体の方向を示す。部品は異なる順序で配列することができ、液体を逆方向に流すことができる。システム10は液体がカテーテル20に入るおよび/または出て行く時の液体温度をモニタする温度センサ17i、17oを含むことができる。
【0034】
図示されるように、システム10は必要に応じて制御装置12と連絡したユーザー・インターフェース15uを含んでもよく、使用者は圧力を個別の快適レベルに調節することができる。このインターフェース15uはジョイスティック型周辺装置、ディスプレイ上のタッチスクリーン、キーパッド上のキーインプットまたはメンブレインタッチスイッチ(例えば矢印)、または音声起動インプット(「raise」および「lower」または「pressure up」および「pressure down」)、または他の所望の入力手段とすることができる。制御装置12は患者がシステムに導入することができる圧力を制限する手段を含む(入力を動作させることができる時に結合させてもよい)ことができ、このように所望の通常の範囲の動作に対しオーバーライド制御を有することができる。
【0035】
図示した態様では、液体は被験者の体外で(被験者の身体の外で)加熱され、カテーテルに導入される。BPH熱焼灼治療など(これに限定されない)のある一定の態様では、循環加熱液が約45℃〜95℃の温度で、少なくとも15〜90分の治療期間中カテーテルに導入され、特別な態様では少なくとも42〜45分間約57〜62℃の温度まで加熱された液体が導入される。
【0036】
図3Aは、ノースカロライナ州ケアリーのアルゴメット社(ArgoMed、Inc.)から入手したサーモフレックス(Thermoflex、登録商標)システムとして認識される水により誘発される温熱療法前立腺治療システムにおいて使用されるような従来の治療用カテーテル20を示したものである。図示されるように、治療用カテーテル20は固定バルーン22、治療用バルーン23、および伸長軸25を含む。図3Aおよび図3Bにおいて示されるように、カテーテル20はまた、それぞれ、入口および出口流体循環経路26i、26o、ならびに尿排出チャネル28(カテーテル20が被験者体内の定位置にある間、薬剤を送達するのに使用することができる)を含む。固定バルーン22は治療用バルーン23と流体連絡させることができ、そのためどちらも循環加熱流体により膨らませることができる。また、固定バルーン22は治療用バルーン23から流体により分離することができる(そこに誘導される別個の空気チャネルにより膨らませることができる)(図示せず)。この状態では、上部固定バルーン22は別個に膨らませることができ、治療用バルーン23の前に膨らませることができる。これにより、上部バルーン22が(膀胱頸部12aまたは尿道前立腺部の上部に損傷を与える可能性がある)望ましい位置の下方で膨らむ可能性を減少させることができ、膀胱に対し前立腺内に正しくカテーテル20を配置することが容易となる。システム10は、固定バルーン22および治療用バルーン23内の圧力がしぼんだ状態を示すまで、切断に抵抗し、被験者からのカテーテルの回収を妨げるように構成することができる。
【0037】
図3Bに示すように。治療は尿道前立腺部50に隣接する局所治療領域30を標的とすることができる。治療領域30は一般に、被験者の膀胱頸部12aの下方およびベルモンタヌム(verumontanum)11bの上方に延在するように尿道前立腺部を含むものとして記述されている。その代わりに、治療領域30は膀胱頸部12aまたは膀胱頸部自体の一部を含んでもよい。
【0038】
熱焼灼治療のための循環加熱液は約45℃を超える温度まで加熱され、標的組織まで送達され、所望の適用により規定されるように異なる適用に対し異なる長さの治療の間加熱温度が提供されることに注意すべきである。例えば、これは、循環温度を少なくとも約50℃まで加熱し、その後加熱液をカテーテルに循環させることにより実施することができる。カテーテルは被験者の体内の所望の位置に配置され、標的組織が約5〜90分の間、典型的には約20〜45分または20〜60分の間加熱循環温度に曝露される。
【0039】
適した温熱治療システムおよび治療用カテーテルはノースカロライナ州ケアリー所在のArgoMed、Inc.から入手できる。エシェル(Eshel)に付与された米国特許第5,257,977号および第5,549,559号、ならびにエシェルらの共に譲渡された米国特許出願第09/433,952号も参照のこと。これらの内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図3Bにはまた、カテーテル20が、カテーテルの他の部分に対し断熱性が増大した領域を含むことができ、循環加熱液に標的でない組織が曝露されないように保護されていることを示している。断熱領域29は、カテーテル上で近接するまたは下方軸部分に沿った余分な層または厚さの材料として構成することができる。他の治療用カテーテルは、エシェルに付与された米国特許第5,257,977号および第5,549,559号において記述されているように、一連の周囲に配置した細長い空気チャネルまたはコンジットを含み、このチャネルまたはコンジットは加熱循環液経路を取り囲み、カテーテルの細長い軸部分に沿って断熱を提供する。これらの特許は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。適したカテーテルについてさらに説明しているものとして、共に係属中の共に譲渡された米国仮特許第60/248,109号も参照のこと。この内容もまた、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
図3Bはまた、閉ループシステム10内の圧力センサ15sと連絡する圧力調節装置15を示している。図示されるように、圧力センサ15sは体外に、カテーテル20から離して配置することができる。圧力調節装置15は、液体循環経路18fとインラインで、またはそこからオフセットとなるように配列することができる。圧力感知装置15の態様については以下でさらに説明する。循環液の移動距離は約10〜20フィート以上、典型的には約14〜16フィートとすることができる。
【0042】
動作中、水または水を基本とする液体とすることができる流体を被験者の体外で加熱し、カテーテル20内に誘導し、カテーテル20内の封入流体経路26i、26o内で循環させることができる。液体は入口経路26iを介し軸25を通り所望の治療部位に近接して配置された治療用バルーン23まで、治療用バルーン23から出口経路26oまで、その後被験者の体外に誘導される。図3Bに示されるように、循環液は治療用バルーン23内に誘導され、治療用バルーンはその後その中に保持された流体の量に応じて膨張する。図示されるように、温度センサ17i、17oのうち、1つ17iは経路18fの入口部または入口側に配置され(カテーテルの上流)、もう一方17oは経路18fの出口部分または下流側に配置され、これらを使用して循環液の温度を制御することができる。好ましくは、低量(約100ml以下、より好ましくは約50ml以下、さらに好ましくは約20ml以下)の循環加熱液が動作中、少なくとも初めは、閉ループシステム10を通して物理的に循環され、温熱(または熱焼灼)治療が治療用カテーテル20を介して施される。ある一定の態様では、滅菌し蒸留しおよび/または低温殺菌した水を循環液媒質として使用することができる。
【0043】
(カテーテル20を前立腺11内に挿入した後)カテーテル20を前立腺11内の所望の位置または場所に固定するために、軸25を通してカテーテル20の遠位部分まで導入した流体により固定バルーン22を膨張させ、これにより固定バルーン22が膨張構造をとり、被験者の膀胱頸部に対し存在する。このように、膨張すると、固定バルーン22は治療用バルーン23を膀胱に対し前立腺内に配置させるように適合される。すぼませると、カテーテル20(固定バルーン22および治療用バルーン23を含む)は好ましくは滑らかで、実質的には一定のプロファイルの部材として構成され、体内に容易に挿入できる(バルーンはカテーテルの中央本体または軸に対し実質的に折り畳まれてもよい)。
【0044】
循環流体(および別個に膨張させることが可能な場合、固定バルーンの膨張媒質)は好ましくは、バルーンの一体性に欠陥が生じ、偶然破裂したり、漏れたり、あるいはそうでなければ動作中に障害が起きる状況が生じた場合に、非毒性であるように、および被験者に有害な影響を与える可能性を減少させるように選択される。
【0045】
カテーテル20は内腔または腔内に導入された時にカテーテル20の遠位部分が所望の治療部位に到達するまで内腔および腔の形状に従うように曲がることができるようなフレキシブルな構成とすることができる。
【0046】
カテーテル20は、所望の内腔内に挿入され、その長さに沿って延在し所望の治療部位に到達することができるように、薄い外壁を備えたかなり小さな断面積を有する細長い環状本体とすることができる。本明細書で使用されるように、「薄い外壁」という用語は約2mm以下、好ましくは約1.2mm以下、ある一定の態様では約0.5mm以下の厚さを有する壁を意味する。前立腺または男性泌尿器用途では、管状本体周りのカテーテル20の断面幅または外径は好ましくは約6〜8mm(18〜24フレンチ)の間である。もちろん、上記のように、可撓性カテーテル20を他の内腔、腔および/または治療用途に適合するようなサイズおよび寸法とすることができる。
【0047】
ある一定の態様では、図3Aおよび3Bに示されるように、カテーテル20の軸領域25の断面領域の大部分はその中に保持された流体チャネル、または複数の流体チャネルのサイズにより占有される。前立腺または男性泌尿器用途に向けられたもの(それらに限定されない)などのある一定の態様では、カテーテル20は少なくとも3つの別個の流体チャネルを含むことができる:循環入口および出口チャネル26i、26oおよび軸領域25内の流体排出または薬剤送達チャネル28。
【0048】
可撓性カテーテル20はまた、インサイチューで挿入し定位置にある場合(および温熱療法の少なくとも一部の間、約0.5〜3atm、典型的には少なくとも1〜2atmの増大したシステム圧に曝露された場合)排出内腔28において開口を維持することができるのに十分な剛性があるように構成することができ、そのため、カテーテルは、挿入前のカテーテルサイズに対し、排出内腔28の断面積の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%〜90%以上保持するような構成とされる。そういうものだから、カテーテル20はフレキシブルに構成することができ、そのため、被験者に挿入してその所望の領域内の位置に入れた時に、被験者の身体の輪郭に従うように十分適合でき、しかしながら、体内のある位置(例えば前立腺内)に存在する場合開口した排液内腔を提供するように十分剛性であり、療法または温熱治療を受けている間またはその後に苦痛を示している組織に曝露される。
【0049】
ある一定の態様では、カテーテル20は、排液内腔28内に十分なサイズの排液開口を維持することができるような構成とすることができ、これにより、約45℃を超える高温に少なくとも約5〜10分間、より好ましくは約20〜30分間曝露した後、約0.5atm(7psi)〜2atm(28psi)または3atm(42psi)のオーダーの治療した組織からの圧縮圧に曝露されると所望の流量がその開口を通行することが可能となる。本発明のカテーテル20を使用して、被験者の水腫またはストレスに曝露された可撓性カテーテル内に開口を維持することが望ましい他の治療または用途のために所望のサイズの開口を維持することができる。適したカテーテル構造のさらなる説明については、共に出願中の共に譲渡された米国仮特許出願第60/248,109号を参照のこと。これらの内容については、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
図3Bでは、システム10が圧力調節装置15に連絡された少なくとも1つの圧力センサ15sを含むことが示されており、この圧力調節装置は温熱療法の施与中に検出された圧力に応じてシステム圧を調節するように構成されている。センサ15sは流体または液体循環経路18fに沿った多くの位置に配置してもよい。図示されるように、センサ15sは、動作中被験者または患者の体外にあり、治療用バルーンが液体循環経路の一部を規定する場合、治療用バルーンでの圧力を示すシステム動作圧を検出することができるようにシステム10上に配置することができる。圧力調節装置15は任意の適した機構としてもよく、その例示的な態様は以下でさらに説明する。
【0051】
図4Aは、点線内に示したポンプ16を備え、他の部品を除去した閉ループ流体循環経路18fを示したものである。この図で、圧力センサは液体循環経路18fに沿った、またはその経路と流体連絡した異なる3つの位置に配置された。第1のセンサは入口チューブ18tに沿った位置「A」に配置され、第2のセンサは出口チューブ18tに沿った位置「B」に配置され、第3のセンサはシリンジまたは流体入口ポートの位置「C」に配置される。圧力センサ15sは任意の適した型とすることができ、例えば血圧を測定するために使用されるものに類似したトランスデューサおよびデジタル圧力ゲージなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。圧力センサの例としては、英国サウスジョーダンのメリットメディカルシステムズ(Merit Medical Systems)からのメリトランス(MERITRANS)トランスデューサ、オハイオ州ダブリンのメデックス(Medex)からのメデックス(MX960)トランスデューサ、およびドイツのHBM GmbH(ホッティンガーボールドウィンメステクニック:Hottinger Baldwin Messtechnik)からのDigibarII、PE300、デジタル圧力ゲージ、ならびにコネチカット州スタンフォードのオメガオブエンジニアリング社(Omega、of Engineering、Inc.)からのモデル番号DPG1000L−30Gとして規定される同様の装置が挙げられ、圧力範囲が0〜30psiおよび温度範囲が0〜70℃である。
【0052】
位置Aのセンサ15sはヒーター(図示せず)からカテーテル治療用バルーン23まで延在するチューブ18t上にある。ある一定の態様では、チューブ18tは約2〜20mm、および典型的には約2.5mmの内径を有することができる。出口チューブ18t上の位置B内のセンサ15sはそこを流れる水とインラインで配置される。メリットメディカルまたはメデックストランスデューサを用いてチューブの外側で測定する場合(位置B)、バルーン内の圧力は大きく現れる。流体は「間違った」過圧を生成する(蠕動)ポンプ16からポンピングされるからである。位置「A」では、ポンプは循環経路18f内のこの位置で流体を吸い込んでいるので、システム圧は見かけ上減少する。
【0053】
図4Bで示した実験評価では、使用したメリットおよびメデックストランスデューサは−10〜300mmHg(最大設計圧は約5psi)の補償圧を定格としたが、システムでは約20psiまでの測定を行うのに使用した。さらに、評価中に使用した温度は約60℃であり、これもまた定格温度(40℃)を超えた。評価を実施するために、5V DC電源をヨコガワ(Yokogawa)MV230データロガー(日本の東京所在の横河電機株式会社(Yokogawa Electric Corp.))を使用し、データを記録した。使用した他のセンサ15s型はバー表示のデジタル読み出し装置を備えたデジタル圧力ゲージであった(上記HBMモデル)。ゲージはチューブ18tとの「T」接続から離して載置した。T接続は、開口がチューブ18tの内径(2.5mm)よりも大きいと、流れを圧縮するとは思われなかった。このため、ゲージ読み取りは、規格範囲からはずれて動作している他の2つのセンサ型の結果に対応し、これを立証した。
【0054】
測定されるように、インチューブ(位置A)の圧力はアウトチューブ(位置B)の圧力より高かった。図4Bは(空気中で保持した治療用バルーンにより)60℃で45分シミュレート治療することにより得られた(マークしたように)3つのセンサからのデータを示すものである。線のうち2つは位置Aで異なるセンサにより得られた測定値に対応し、第3の線は位置Cで第3のセンサ型で得られた測定値に対応する。図示されるように、データは圧力の30秒ローリング平均(rolling average)を反映し、これはグラフの線を滑らかにし、最初のピーク値を減少させるように作用する。このデータはローリング平均として示される。示した態様では、データは蠕動ポンプを使用して液体を循環させることにより集めたものであり、短いウインドウまたはインクリメント(5秒未満)で測定した圧力の変動によりデータがスパイクするからである。
【0055】
図4Bでは、位置Cのセンサ15sは、主な循環経路からオフセットされシリンジ(位置C)とはインラインとなるように配置されたメデックスセンサである。このセンサ15sはポンプがオンになった時の最初の圧力降下を示し、他のセンサは最初の上昇圧を示す。これは位置によるものであり、この位置はポンプ(「18fo」)の前のカテーテルの下流側または閉ループシステム10の「外」側に存在する。このように、圧力は安定化する前に一時的に降下する(図6Bで示されるように、ポンプ18foの「アウト」側上流で吸い出され、ポンプの入口側18fi下流で「イン」に押し込まれる)。シリンジとインラインで、液体循環経路18fからオフセットされた圧力は、カテーテル20の下流でポンプの上流のシステムの出口部分(位置B)から直接測定した圧力よりもわずかに低く、ポンプの下流の読み取り(位置A)よりは約3psi低いことに注意すべきである。
【0056】
図4Cは、位置Bおよび位置Cから20分の治療(空中でのカテーテルおよび治療用バルーンを用いる)により得たデータを示したものである。圧力読み取り値は一致し、圧力センサ15s(トランスデューサ)を、一方の側のポンプともう一方の側のカテーテルとの間の閉ループ経路18foの外側に配置することにより信頼できる読み取り値が得られることが示される。圧力センサ15sをどこに配置するかにより、測定した値を、計算した調節因子で補償することにより実際の圧力を決定することができる。「実際の」圧力は、制御装置12または他のコンピュータ手段上のコンピュータプログラムまたはコンピュータソフトウエアプログラム内のデジタルルックアップテーブルもしくは式に基づくものとすることができる。図4Cでは、センサ15sに対するデータは5秒または10秒ローリング平均のいずれかとして得られる。ある一定の従来システムでは、治療過程にわたり約4.5〜5psiの圧力降下が示された(空気中で、および前立腺のシミュレート泡モデルで測定)。この値は治療の温熱療法部分の終わり(治療を終えるためのクールダウン後)の圧力に対し測定したピーク圧力に対応する。クールダウン期間中にさらに1〜1.5psiの降下が起こることがある(典型的には治療の最後5〜10分の間)。
【0057】
図5Aおよび5Bについて説明すると、圧力調節装置15aの1つの態様が示されている。装置15aは2つの対向する壁62、64の中間に保持された弾力的な内部部材60を含む。内部部材60は圧縮可能なように構成され、形成される。内部部材60は嚢もしくは袋または、そこから入りそこから出て行く(矢の方向により示された)流路18fの幅に比べて増大した幅を有する他の装置もしくは領域として構成することができる。動作においては、流体循環経路18f内の液体は内部部材60を通って移動する。壁62、64は内部部材を圧縮し、システム10内の圧力を調節するように構成される。ある態様では、壁62、64は内側部材60を圧縮することができるように十分剛性となるように形成することができる。ある態様では、壁62、64は協働する一対のプレートとして構成される。その対は、システム10内の圧力を制御する(および実質的に連続してモニタし調節する)ために、動作的にセンサ15sと関連するステッパーモーターまたは他の機構により制御インクリメントで対の他方に向かって押しやるまたは移動させ(1つまたは両方を移動させる)ことができる少なくとも1つの動的プレートを含む。
【0058】
他の態様では、壁62、64は固定することができ、その中の内部部材60を取り囲むような寸法および構成とされた流体膨張チャンバを備えた封入ハウジングの一部を規定する。流体または他の膨張源をチャンバ内に誘導するように制御し、内部部材により圧縮し(または減圧し)システム10内の圧力を調節することができる。そのようなものとして、内部部材60は液体循環経路18fの放射状に圧縮可能な一部とすることができる。
【0059】
図5Cおよび5Dは圧力調節装置15bの他の態様を示したものである。この態様では、協働する対のプレート162、164が接続部材168により取り付けられる。内部部材160はプレート162,164の中間に配置される。この態様では、内部部材160は穴を含み、接続部材168はそこを通って延在する。内部部材160は環状、トロイダル、またはリング様の「ドーナツ」構造を有することができる。動作において、接続部材168は回転しプレート162、164の一方または両方を互いに向かってまたは互いに離れるように制御されたインクリメントで移動させ、内部部材160を圧縮または解放し、これによりシステムの内の圧力を調節する。前と同じように、内部部材160は圧縮可能であり、液体循環経路18fの一部を規定し、閉ループシステム内の液体がそこを取って移動する。ある一定の態様では、内部部材60、160が圧縮されると、簡潔に、流体は両方のボートを通って(両方向へ)内部部材から出て行っても良い。
【0060】
図5E、5Fおよび5Gでは、圧力調節装置15cは、YまたはTコネクタ(図示せず)を介して閉ループ循環経路18fに取り付けられた、軸方向に圧縮可能なふいごまたはアコーデオン形状の部材260を含む。そのようなものとして、ふいご部材260は液体循環経路18fとオフセットするようにおよびそれと液体連絡するように構成され、そのためふいご部材260から放出された流体は、YまたはTコネクタにより循環経路に接続された第2の経路を介して循環経路内に誘導される。ふいご部材260は膨張可能かつ圧縮可能セグメントであり、全長は所望の圧力調節により長く(L3、図5G)または短く(L2、図5F)される(より長いとより圧力が低く、より短いとより圧力が高い)。ふいご部材260の圧縮は任意の所望の機構により実施することができ、システム内の圧力が制御される。図6Aは圧力調節装置15dのさらに別の態様を示したものである。この態様はその中に一定量の液体が保持されたシリンジ360を使用する。プランジャーまたはピストン360pを使用して補給用流体経路15fから、シリンジ360を出て行くように、またはそこに入るように流体を誘導する。図示されるように、Yコネクタ72は液体循環経路18fと補給用(添加または除去する)流体経路15fとの間の接合点を規定する。他のコネクタまたはジョイントも使用することができる(例えばT構造または他の構造)。システム内の圧力を増大させるために、追加の液体を循環経路内に注入する。同様に、システム内の圧力を減少させるためには、液体をシリンジ360内に戻すことができる。Yコネクタ72はカテーテル出口の下流およびカテーテル入口の上流に配置することができ、シリンジ360は液体循環経路18fと流体連絡される。ある特別な態様では、Yコネクタ72およびシリンジ360はヒーターの下流およびカテーテル入口の上流に配置される。ある一定の態様では、シリンジ360は約30〜100ml、典型的には約30〜50mlを保持するように構成することができる。シリンジプランジャー360pのハンドルまたはアームはステッパーモーター361に接続することができ、このステッパーモーターはプランジャーの平行移動、ならびに液体循環経路18fへの液体の注入および除去を制御することができ、システムの動作圧が所望の圧力に維持または調節される。他の適した制御機構も使用することができ、これらは当業者には理解されるであろう。
【0061】
図6Bはカテーテル10およびシステム10とカテーテル20との間の一定の長さのコンジット(図示せず)を備えたモジュラーハウジング10h内の閉ループシステム10の一部を示したものである。図示されるように、液体循環経路18fはシステム18foの外側のチューブ18tへのカテーテル20出口チャネルから、モジュラーハウジング10h内まで、およびシステム18fiの「内」側へ循環経路18fが移行するポンプまで、さらにヒーター14まで延在し、その後カテーテル20へのチューブ18t(入口チャネル)を介してハウジング10hから出て行く。示した態様では、液体循環経路18fはポンプの下流のYコネクタ72を介してシリンジ360に連結される。シリンジ360はシステム10内に配置され、ヒーター14と動作的に関連する円筒形加熱チューブ内に液体が移動した後、循環経路18fから追加の液体を導入することができる(または液体を排除することができる)。液体は(発熱体によりまたはシステム内の発熱部品から空気を誘導しシリンジ上で流すことにより)シリンジ360内で予め加熱することができ、液体をシステム内に導入することに起因する全ての熱損失を減少させる。
【0062】
本システムまたは方法はBPH、前立腺炎、または他の泌尿器もしくは身体状態を治療するために使用してもよい。BPH用途では、液体は体外で約57〜62℃以上の間の範囲の温度に加熱することができる。循環加熱液をカテーテルを通して治療用バルーンまで誘導し、液はカテーテルに捕獲され、ペニス道を通って、尿道口、尿道球および尿道膜性部に沿って前立腺内の局所治療領域に到達する。前立腺内の局所治療領域中の組織は、加熱循環液からの伝導熱に曝露させることにより、約45℃を超える温度に予め決められた熱焼灼治療期間の間曝露される(液体は約5〜30分以上の間、および典型的には約37分の間約60℃またはそれ以上でインプットできる)。上記のように、局所治療領域は尿道前立腺部であり、尿道膜性部(ならびに括約筋およペニス道)は焼灼されないままである。これは循環システム(遠隔操作により加熱する)において、治療用カテーテルの軸を治療用バルーンまで断熱し標的でない組織が焼灼温度に曝露されないようにすることにより、達成される。このように、ある一定の態様では、標的でない組織は断熱され、そのため、標的でない組織は温熱治療中、治療用カテーテルと接触しても約45℃以下の最大温度に曝露される。さらに、カテーテルは処置中に尿が治療用カテーテルを通して排出されるように構成することができる。
【0063】
図7A〜7Fは時間経過と共にシステム動作圧を増加させるまたは維持するように温熱療法を実施することができることを示す図である(温度は治療中、所望のように増加または減少させることができる)。圧力は焼灼治療時間の大部分の間、実質的に一定に、またはある一定のしきい圧力以上で保持することができ、患者は約0.75〜2または3atmの間の圧力に曝露される(約45〜95℃の間の焼灼温度への曝露と同時に実施することができる)。
【0064】
図7Aは、実質的に全温熱治療中、圧力が実質的に一定に(および高く)保持できることを示した図である。図7Bは温熱治療の間ずっと直線様式で圧力を徐々に増加させることができることを示した図である(そのため、治療終了時には治療開始時に比べ高い圧力が適用される)。図7Cは、療法初期の部分ではより急激に圧力を増加させることができ、その後、終了または治療の後半に向けてよりゆっくりと圧力を増大させる(または実質的には一定に保持する)ことができることを示す図である。図7Dは、2つの連続する治療期間、第1の圧力を適用することができる初期期間T1を示す図である。図示されるように、この初期圧力は、治療のその後の第2部分の間(T2)の次のまたは第2の圧力よりも低い。第2の圧力は治療のより長い部分の間、維持することができる。最初のまたは初期圧力は、初期温度で供給される熱と共に被験者に適用することができ、この初期温度はその後のまたは第2の温度よりも低い。ある一定の態様では、第1のより低い温度/より低い圧力の組み合わせを、被験者が治療に対しより低い感度を示すまで(典型的には治療開始約5〜10分で曝露された神経が死んだ後)使用することができる。
【0065】
図7Eは、初期圧力をT1中に増大させ、その後T2中に一定に保持し、続いて再びT3中に増加させ、その後T4中に実質的に一定に保持することができ、そのため治療の後半部分は前の部分よりも高いシステム圧で実施されることを示す図である。例えば、以下の順序の圧力を使用することができる:約0.3〜0.5atmの初期圧力をT1(約5〜10分)にわたり傾斜させ約0.5〜1atmとし、ここでこの圧力をT2の間(5〜10分)保持し、再びT3の間傾斜させ約1〜2atmとし(約5〜10分)、その後T4の間(約5〜30分)約1〜2atmで保持する。逐次増大する一連の圧力を使用して温熱療法を施すことができる。図7Eはこれらのうちの選択した圧力を治療のその部分の間は実質的に一定に保持するか、または治療中徐々に傾斜または増加させることができることを示す図である。この増加させた圧力により組織への浸透深さを増強することができる。圧力を予め決められたレベルに設定すると、前立腺の生理学もしくは治療用バルーンの長さまたはシステムにおける他の変数に関係なく、患者間でより一貫した治療が可能となる。
【0066】
図7Fは、患者により適用する(システム)圧力を制御することができることを示す図である。患者は実質的に全ての有効な温熱治療(T)中または治療の選択した一部で圧力を制御してもよい。例えば、最初のT1、または治療のその後の部分、Tiである。患者間で、圧力インクリメントは患者の苦痛に対する許容度により変動してもよい(「1」および「2」として符号した異なる圧力線により示す)。患者が処置中にいくらか制御する場合、より大きな圧力を受けることを選択するまたは望みやすいように企図される。システムは過圧が選択されないようにする(図面では上限により示されている)安全オーバーライドを用いてプログラミングすることができる。さらに、下限を設定することができ、患者は適してない動作状態(図示せず)を選択することができない。上限および下限は一定値としてもよく、または治療期間または治療時点により変動させてもよい(図示せず)。
【0067】
表1は圧力および温度の例を示したものである。表では、1つの圧力範囲/温度が示されている場合、図7A、7Bおよび7Cの圧力図に従いそれらを適用してもよい。2回示されている場合、図7D〜7Fに従い施すことができる。圧力は、図7A、7Bで示されるように全ての治療に対し、または図7D(T1、T2)、図7E(T2、T4)に示されるように治療の選択した部分の間、実質的に一定なものとして維持することができ、この時間では、温度は実質的に一定であり、ならびに、または図7B、7Cに示されるように治療の全過程にわたり、または図7E(T1、T3)、図7Fにより示されるように治療の選択した部分の間増加させてもよい。
【0068】
【表1】
【0069】
図8A〜8Cは、本発明の態様による組織浸透対圧力および対応する熱焼灼治療時間を示すグラフである。図8Aでは、熱焼灼治療中の圧力減少では、浸透深さは治療開始後約20分未満の時点(T1前)で到達されることが示されている。焼灼治療の後の部分は、組織の熱損傷(浮腫)に対する身体反応または応答を促進することがあるが、組織への浸透深さには有意の影響を与えないかもしれない。すなわち、約80〜90%の組織浸透が最初の10〜20分の間に起きるかもしれない。最初の浸透後の減少圧力により提供される浸透の傾斜または角度は「δ1」により示されるようにかなりわずかなものとして図示されている。焼灼温度は約57〜62℃以上の間としてもよい(典型的には約95℃未満)。治療の終わりの圧力はp2として示され、開始圧力p1よりも低い。組織浸透は「α」で示される曲線の勾配により表されるようにかなり迅速に起こる。いったん最初の浸透深さが起こると、増加が小さくなる、または増加角度が小さくなることに注意すべきである(βにより図示される)。図示されるように、T1後、組織浸透の増大はかなりわずかなものとなり、曲線の角度もまた小さくなる(δ)。グラフの右側は、T1〜T2(10〜40分のオーダーとすることができる)の時間では、浸透深さは約0.9の深さから最終深さ(1.00dとして示される)までわずかに増加することを示す。
【0070】
図8Bは、10〜60分の焼灼治療中、圧力(p1)が実質的に一定に維持される場合、組織への浸透は治療の後半部分中増加し続けることを示す。これはδ2のより大きな傾斜または浸透角度により示される(すなわち、δ2>δ1)。最終浸透値は時間T1での0.97dの浸透深さを超える1.15dであると評価される。
【0071】
図8Cは、焼灼療法の期間にわたり実質的に連続して増加する圧力では(p1からp2として図示)、さらに深い組織浸透深さが期待できる。同様に、組織浸透は続き、治療の後半部分ではδ3により示される浸透勾配に至る(すなわち、δ3>>δ1)。T1での浸透深さは約1.17dであり、最終浸透深さは約1.80dとすることができる。
【0072】
図9Aおよび9Bは本発明の態様による内腔および近接する組織の断面図である。図示されるように、内腔50wおよび治療された組織50tを有する尿道前立腺部は網目状の影により示された内腔50wの周りで浸透深さTDを有する。測定すると、平均して、尿道前立腺部の内腔周りで少なくとも約15〜20mmの浸透深さ(TD)で組織壊死を引き起こすように熱焼灼治療を実施することができる。複数の測定値TD1〜TDmを加算し、測定数「n」で割ると、平均TDを計算することができる。
【0073】
図9Bは、熱焼灼療法を実施すると、内腔50wの壁上にある厚さ(Tc)の痂皮または瘡蓋を形成することができることを示す。痂皮Tcは、自然のステントを規定するのに十分な厚さを有するように形成することができる。熱・圧力同時焼灼治療により尿道前立腺部内の標的組織を熱焼灼することができ、十分な厚さの硬化した瘡蓋、殻または痂皮を提供することができる。この瘡蓋、殻または痂皮は十分大きな開口を規定することができ、尿道の治療部分を通して流体を排出することができ、そのため流体を排出するのに十分な剛性を有するインサイチュー天然ステントとして機能する。瘡蓋または痂皮は組織が治癒するにつれ自己吸収でき、または自然に消えるもしくは脱落することができ、および治療後カテーテル法に対する時間の量を減少させ、またはその必要性を排除することができる。他の態様では、熱焼灼は改善された浸透深さを有することができるが、浮腫などのためにカテーテル法の時間を増大させる必要がある。それにも関わらず、治療自体の寿命(すなわち、その効力)を改善することができる。
【0074】
ブロック図中の1または複数のブロックおよびブロック図中のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実施されるように実装または誘導できることは理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータまたは、機械を製造するための他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードしてもよく、そのため、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行される命令は、フローチャートブロックまたはブロック群で特定される機能を実装するための手段を作成する。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読の記憶装置に保存してもよい。この記憶装置は特別な様式の図面では、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置もしくは関連ハードウエア機器が機能するように誘導することができる。
【0075】
ある態様では、システム制御装置12または他の動作的に関連するコンピュータ機器は(a)ポンプ、ヒーター、温度センサ(センサ群)、圧力センサおよび圧力調節装置を作動させ液体循環経路を通して実質的に連続して加熱液を循環させる;および(b)自動的に温度を所望の動作温度に調節し、自動的に液体循環経路内の圧力を調節し、少なくとも15分の治療時間にわたる治療システム内の動作圧力損失を補償すると共に尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織における全ての生理学的変化を補償するためのコンピュータプログラムコードを含むことができ、そのためシステムは温熱療法の適用中少なくとも1つの選択した動作圧を維持する。
【0076】
前述したものは本発明の例示であり、制限しようとするものではない、本発明の2、3の例示的な態様について説明したが、当業者であれば、本発明の新規教示および利点から大きく離れずに、例示的な態様において多くの変更が可能であることは容易に理解されるであろう。したがって、そのような変更はすべて請求の範囲において規定される本発明の範囲内に含まれるものとする。そのため、前述したものは本発明を説明するものであり、開示した特別な態様に限定しようとするものではなく、開示した態様、ならびに他の態様に対する変更は添付の請求の範囲に含まれるものであることを理解すべきである。本発明は添付の請求の範囲により規定され、請求の範囲の等価物は請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】例示的な温熱療法中のシステムにおける圧力降下を示した時間関数としての圧力グラフ図である。
【図2】本発明の態様による動作の流れ図である。
【図3A】本発明の態様による自動圧力調節能を有する閉ループ温熱治療システムの概略図である。
【図3B】本発明のある一定の態様による、尿道前立腺部内の定位置にあるカテーテルおよび治療用バルーンを備えた温熱治療システムの概略図である。
【図4A】本発明の態様による、圧力センサ配置を示した、低量閉ループ循環液システムの概略図である。
【図4B】本発明の態様による、閉ループシステムの異なる位置の様々なセンサにより、温熱治療中にモニタした時間経過に対する圧力のグラフ図である。
【図4C】温熱治療中に様々なセンサによりモニタした時間経過に対する圧力のグラフ図であり、センサは、本発明の態様により閉ループシステムのカテーテルの後(その下流)の接続チューブの外側に配置される。
【図5A】本発明の態様による圧力調節装置の上面の概略図である。
【図5B】図5Aに示した装置の側断面図である。
【図5C】本発明の態様による他の圧力調節装置の上面の概略図である。
【図5D】図5Cに示した装置の側断面図である。
【図5E】本発明の態様による他の圧力調節装置の側面図である。
【図5F】バッフルまたはアコーディオン構造を有する図5Eに示した装置の側面図であり、この構造は図5Eに示した長さに対し圧縮した長さを有し、これにより閉ループシステム内の圧力が増大する。
【図5G】バッフル構造を有する図5Eに示した装置の側面図であり、この構造は図5Fに示した長さに対し伸びた長さを有し、これにより閉ループシステムの圧力が減少する。
【図6A】本発明の態様によるさらに他の圧力調節装置の概略図である。
【図6B】本発明の態様による循環経路に組み入れられた圧力調節装置を有するオープンモジュラーハウジングの上面図である。
【図7A】本発明の態様による温熱療法の適用中のシステムで測定した時間経過に対する圧力のグラフ図である。
【図7B】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7C】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7D】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7E】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7F】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図であり、ここで患者はシステムにより規定され制御された最大圧下で圧力を制御してもよい。
【図8A】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が治療の最初の部分から終了まで降下するシステムを示す。
【図8B】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が実質的に一定に保持されることを示す。
【図8C】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が治療時間にわたり増加するものを示す。
【図9A】本発明の態様による温熱治療領域の断面図である。
【図9B】本発明の態様による温熱治療領域の断面図である。
【0001】
本発明は被験者の内腔または体腔に侵襲性を最小に抑えた温熱治療を提供する方法に関し、特に前立腺のある一定の状態の治療に適している。
【背景技術】
【0002】
従来、標的組織を加温または熱焼灼することにより身体のある一定の病態を治療するために、いくつかの型の温熱治療システムが提案されている。これらの温熱治療システムは様々な熱源を使用して標的組織を治療または焼灼するのに必要な熱を発生させている。例えば、選択した体腔内またはその周囲の標的組織に誘導される熱を発生させるために、レーザ、マイクロ波、および高周波(RF)エネルギー源が提案されている。熱治療システムを使用して、前立腺組織を熱焼灼し、および他の器官、体腔および/または自然の管腔の組織を熱的に治療または焼灼している。
【0003】
米国特許第6,216,703号では、前立腺炎およびBPH(良性前立腺過形成)の両方を治療するために使用することができると言われているある熱治療システム(マイクロ波エネルギーシステムを含む)が記述されている。この出願の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。しかしながら、BPHおよび前立腺はどちらも前立腺障害であるが、明白に異なる状態であり、それぞれ典型的には異なる治療戦略および療法により治療される。前立腺炎および適した治療の更なる議論は、共に出願中で共に譲渡された、「前立腺炎治療法(Methods of Treating Prostatitis)」と題する米国仮特許出願第60/308,344号において見出される。この出願の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
BPHを治療するために使用されるサーモフレックス(Thermoflex、登録商標)システム(ノースカロライナ州ケアリーのアルゴメッド社(ArgoMed、Inc.)から入手可能)として周知の1つの特に成功した熱焼灼システムは、熱凝固法により前立腺を焼灼する。この熱焼灼システムは、体外で液体、典型的には水を加熱し、循環加熱水を治療用カテーテルに誘導する閉ループ液または水誘導温熱療法(WIT)システムを採用する。治療用カテーテルは前立腺内の局所組織を焼灼温度に曝露する治療開始前に、陰茎道を通して挿入され、被験者体内の定位置に保持される。治療用カテーテルは、動作中に膀胱頸部に対し固定される上端部、および固定された上部端部分に対し保持され、そのため前立腺の所望の治療領域に沿って存在する膨張可能な治療セグメントを含む。動作中、治療用セグメントは、そこを通って進む捕捉された循環液に応答して膨張し、前立腺内の標的組織を圧迫し、組織を循環液と関連する高温に曝露し、これにより治療部位の局所組織が熱焼灼される。
【0005】
外科手術(経尿的前立腺切除(TURP))の許容される代替案として、WIT(水誘導温熱療法)が成功した、一般に侵襲性が最小に抑えられたBPH(良性前立腺過形成)治療であることが示されている。一般に言われるように、「BPH」という用語は前立腺が肥大し、前立腺組織の密度が増大する状態を示し、これは不幸にも排尿経路を遮断する傾向がある。この状態は、時間の経過に伴い前立腺組織(および膀胱筋肉)が生理学的に変化するため、年齢を重ねると男性では典型的に生じる。(外科的切開および組織の除去を必要とせずに)尿道前立腺部内の開口を拡大させるために、循環熱水が上記のように、陰茎道内に、陰茎尿道を通して、前立腺内に挿入された治療用カテーテルを通して誘導される。治療用セグメントはその中に保持された熱水により膨張し、膨張した治療用セグメントが前立腺を圧迫し、その後、前立腺組織が伝導により加温され、熱焼灼される。BPH療法では、循環水は典型的には約60〜62℃の温度まで加熱され、標的組織は約35〜45分の期間、温熱治療され、前立腺内の排尿経路付近の組織が局所的に死滅し、これにより前立腺の排尿経路が拡大される。
【0006】
閉ループWITシステムおよび他の循環液温熱治療システムは可撓性材料から形成される部品、例えば、治療が比較的長い時間にわたり施される場合、治療の供与に関連する状態(システム圧力および/熱を含む)に曝露されることにより、治療過程で弛緩することがあるエラストマー治療用バルーンおよびチューブを備えたかなり細い可撓性カテーテルなどを使用する。さらに、治療に対し生理学的応答が存在することがあり、尿道前立腺部の治療領域内の組織のサイズ、弾力性および/または密度もまた、治療中に変化してしまうことがある(組織特性の個人差に基づき被験者が異なると幾分異なるが)。例えば、焼灼治療中、治療用バルーンの周囲の限局された治療組織の壊死は、この領域の組織が効果的に縮むようなものとされる。過去、この現象を補償しようとして、追加の量の液体がバルクで熱治療中の一点で閉ループ循環システムに添加され、損失圧力を増加させようとしていた。しかしながら、図1に示されるように、追加の液体をシステムに添加した後(グラフ上では時間=3〜4分で示される)、圧力は予測通り増加したが、かなり急に減少した。圧力は、治療用カテーテルの外側(下流)のチューブ上に配置したデジタルトランスデューサーにより測定した。図1のグラフは、治療用バルーンを泡(前立腺モデル)内に保持し体腔内の組織との接触をシミュレートしながら、約20分間約60℃まで加熱した液体を循環させる5cmの治療用バルーンの周囲で測定した圧力(psi)の経時(分)変化を示したものである。グラフのピークは追加量の液体を閉ループシステムに添加した時点を示す。
【0007】
他の者は、圧力をモニタし、局所組織の圧力情報を使用して血管形成手順により小さな(および時に脆弱な)内腔から斑または閉塞を除去しようとする提案をしている。例えば、デマー(Demer)に付与された米国特許第4,781,192号では、バルーン膨張装置(熱無しで圧力のみの適用により動作する)における圧力および体積モニタリングが記述されている。デマーは圧力−体積グラフ上でバルーンの膨張をプロットし、閉塞の性質(例えば、脆弱か、弾性があるかどうかなど)に関する情報を得、追加の膨張サイクルを実施すべきかどうかを評価している。他のものは温熱治療中の圧力をモニタし、印加する熱を最小の抑えるように治療を制御することを提案している。米国特許第5,496,311号は低ストレス血管形成拡大法を提案する。この方法では熱を使用し、圧力をモニタし生理的応答を検出し、このため低ストレス条件下で加熱、加圧し、実質的に下の内腔壁を加熱しまたは損傷することなく斑または閉塞狭窄物質を除去する。これらの特許の内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0008】
改良された温熱治療システム、特に、治療の深さまたは浸透性を増強することができる、改良された循環流体温熱治療システムを提供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、治療用バルーンの圧力を調節し、このため温熱療法治療時間の実質的に全体を通してまたは選択した部分中十分高い力または圧力(例えば0.5〜3atm以上)で、治療バルーンと近接して位置する組織との強くまたな安定した積極的な接触が維持されるようすることにより、組織壊死を増大させおよび/または浸透深さを増大させる温熱療法を適用することができる侵襲性を最小に抑えた温熱治療システムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、自動圧力モニタリング、および温熱治療浸透深さまたは他の動作増強を促進するための調節能力を有する経済的な循環液閉ループ温熱治療システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらのおよび他の目的は、とりわけ、循環システムにおける圧力を維持、増加、または調節することができ、そのため拡大または膨張した治療用バルーンが十分外に向かって拡大または膨張することができ、温熱療法施与中、近接する組織に対し所望の強い接触圧または力を維持することができる方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供する本発明により満たされる。力または圧力は治療の少なくとも選択した一部で約0.5atmを超えるように(典型的には約0.75〜2atm)、および治療部位の内腔直径が広くなるまたは増大するように選択してもよい。圧力は、治療全体で、または選択した一部の間、実質的に一定となるように、または治療サイクルの異なる部分で様々な圧力が作動されるように選択してもよい。圧力調節は、物質または部品緩和、システムにおける動作圧損失を補償するために、および/または体内の血液循環に起因するヒートシンク効果を軽減し、および/または温熱治療により適用される壊死の浸透深さまたは体積を増大させるように実施することができる。他の態様では、圧力調節は患者の快適レベルに基づき、少なくとも部分的に患者が制御してもよい。
【0012】
ある態様では、システムは閉ループシステムの圧力をモニタし、圧力を調節することができ(例えば、循環流体経路に流体を添加またはそこから除去することにより)、これに応じて、治療バルーンは腔壁と接触し、その腔壁の動きまたはその内の生理変化に従うように(腔壁は縮み、または異なる程度の剛性または可撓性を示すからである)、および/または温熱療法処置中のシステムの圧力降下を補償するように適合する。
【0013】
他の態様では、システムは尿道前立腺部内の標的組織を熱焼灼することができ、十分な厚さの硬化した瘡蓋、殻または痂皮が提供され、尿道の治療部位を通って流体を排出させることができる十分大きな開口が規定でき、そのため、治療中および/または治療後の組織による浮腫過程にかかわらず流体の排出を可能とするのに十分な剛性を有するインサイチュー天然ステントとして機能する。瘡蓋または痂皮は自己吸収または自然消滅でき、または組織の治癒と共にとれ、治療後のカテーテル法の時間量が減少し、またはその必要性が排除できる。
【0014】
本発明のある態様は、閉ループ温熱治療システムを用いて前立腺の状態を治療するために温熱療法を適用する方法に関する。この方法は、液体循環経路およびこれと流体連絡した膨張可能な治療バルーンを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔に配置する過程を含む。尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有する。治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する。治療用バルーンは外に向かって一定距離膨張し、これにより治療用バルーンが尿道前立腺部の壁と接触し、尿道前立腺部に近接する組織上に圧力がかかる。尿道前立腺部の周囲の組織は、液体循環経路および膨張した治療用バルーンを介して実質的に連続して循環する加熱液体により少なくとも約15分間加熱され、これにより温熱療法が尿道前立腺部に適用される。閉ループシステム内の圧力はモニタされ、モニタリング過程により決定された圧力に基づき自動的に調節され、閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部の標的治療領域に近接する組織内の生理学的変化が補償され、そのためシステムは温熱療法の適用中、少なくとも1つの選択された動作圧を維持する。圧力調節は異なる患者(前立腺)組織密度(患者対患者)の理由となるシステム動作を補償することができ、これにより患者群全体にわたりより一貫した治療が提供される。
【0015】
他の態様は、閉ループ温熱治療システムに関する。このシステムは循環液入口チャネル、循環液出口チャネル、および循環入口および出口チャネルと流体連絡した膨張可能な治療用バルーンを含むことができる。システムはまた、ポンプ、ヒーター、温度センサ、治療用カテーテルと動作的に関連する圧力センサ、ならびに圧力センサおよび治療用カテーテルと動作的に関連する圧力調節装置を含む。システムはまた、ある量の液体を循環させるように適合された閉ループ液体循環経路を含み、経路はポンプと、治療用カテーテル入口および出口チャネルとの間に延在する接続チューブを含み、経路はカテーテル入口および出口チャネルならびに治療用バルーンを含む。圧力調節装置は経路と動作的に関連する。システムはまた、ポンプ、ヒーター、圧力センサ、温度センサ、および圧力調節装置と動作的に関連する制御装置を含む。制御装置は(a)ポンプ、ヒーター、温度センサ、圧力センサおよび圧力調節装置を作動させ、液体循環経路を通して加熱液体を実質的に連続して循環させ;(b)液体循環経路内の圧力を自動的に調節して、治療システムにおいて少なくとも約15分の時間にわたり動作圧力損失を補償すると共に尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織の全ての生理学的変化の補償し、そのため、システムは温熱療法の適用中に少なくとも1つの選択した動作圧を維持するようにするためのコンピュータプログラムコードを有する。ある態様では、システムは使用者の入力をインサイチューに受理し所望の動作圧を設定するように構成され、他の態様では、一連の増大する圧力が使用され、体内の標的部位に熱と共に増大した圧力が適用される。
【0016】
本発明の他の態様は閉ループ温熱治療システムを使用したBPHの治療方法を含む。方法は(a)液体循環経路およびそれと流体連絡された膨張可能な治療用バルーンを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔内に配置し、尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有し、治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する過程と;(b)治療用バルーンを外に向かって一定距離膨張させ、治療用バルーンを尿道前立腺部の壁にしっかりと接触させ、尿道前立腺部に近接する組織に圧力を加える過程と;(c)少なくとも約10〜20分間、液体循環経路および膨張した治療用バルーンを通して少なくとも約57〜62℃(典型的には約95℃未満)に加熱した液体を実質的に連続して循環させることにより尿道前立腺部の周囲の組織を加熱し、熱焼灼治療を尿道前立腺部に適用する過程と;(d)閉ループシステム内の圧力をモニタする過程と;(e)モニタリング過程により決定した圧力に基づき閉ループシステム内の圧力を自動的に調節し、閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部の標的治療領域に近接する組織内の生理学的変化を補償し、温熱療法を適用している間、少なくとも1つの選択された動作圧がシステムにおいて維持される過程と;および(f)膨張、加熱、および圧力調節過程に基づき尿道前立腺部の内腔の幅を増大させる過程と、を含む。
【0017】
本発明のさらに他の態様は、(a)尿道前立腺部内の組織を加熱した流体で満たし膨張させた治療用バルーンと共に接触させる過程と;(b)治療用バルーン内の流体を循環させ、尿道前立腺部上に十分な力と温度により伝導熱と圧力を同時に加え、尿道前立腺部内の組織を熱焼灼し、尿道前立腺部の内腔の周囲で測定し平均すると少なくとも約15〜20mmの浸透深さまで組織壊死が誘発される過程と、を含むBPHの治療方法に関する。
【0018】
ある態様では、治療は尿道前立腺の内腔の壁の周りに痂皮を形成させるように実施され、その痂皮は尿道前立腺部治療後に開通路を維持することができる自然のステントを規定する十分な厚さを有する。特別な態様では、自然のステントは治療に帰する浮腫過程中であっても十分な排液路を維持することができる。
【0019】
本発明のさらに他の観点は、体内の標的領域を温熱治療する方法である。この方法は(a)治療用カテーテルを体腔に挿入する過程と;(b)被験者の体外で液体を約40〜65℃以上(典型的には約95℃以下)に加熱する過程と;(c)加熱液体を治療用カテーテル内で循環させ、そのため加熱液体が治療用カテーテル内に収容されて標的治療領域まで進む過程と;(d)循環過程の加熱液体に相当する予め決められた熱焼灼治療の間、標的領域内の組織を約40℃以上の温度に曝露させる過程と;(e)標的領域より下の標的ではない組織を断熱し、標的でない組織が、循環過程中に治療用カテーテルと接触しても約44℃の最大温度に曝露される過程と;(f)システム内の圧力をモニタする過程と;(g)モニタリング過程に基づき自動的に循環システムに液体を添加しまたは除去する過程と、を含む。この方法はまた、循環および曝露過程中に治療用カテーテルを通して体液を排出させる過程を含んでもよい。
【0020】
この方法を使用して前立腺炎もしくはBPHなどの泌尿器もしくは前立腺疾患または状態を治療し、または自然の体内の内腔または体腔に隣接もしくは近接する組織を治療することができる。ある一定の特別なBPH治療態様では、循環液は被験者の体外で57〜62℃以上まで加熱でき、少なくとも10〜20分間、約57〜62℃以上の入口温度で治療用カテーテル内に誘導することができる。
【0021】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本発明の態様を説明するものであり、その記述と共に本発明の原理を説明するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明について以後、添付の図面を参照してより詳細に記述する。添付の図面では本発明の好ましい態様を示す。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書で記述した態様に限定されると考えるべきではなく、むしろ、これらの態様はこの開示が詳細で完全なものとなるように提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるものである。図面では、一定の要素、領域、または特徴は明瞭にするために誇張されているかもしれない。同様の符号は全体を通して同様の要素を示す。図面において、破線が使用される場合、必要に応じて用いられる特徴、動作、または部品を示す。
【0023】
本発明の温熱治療システム10は、被験者の体内の体腔または自然の内腔において任意の所望の温度の(冷却および/または加熱)温熱療法を適用するように構成してもよい。冷却するためには、標的組織を平均体温より低い温度、例えば約15〜20℃までに曝露するように温熱治療システムを構成してもよい。加熱するためには、標的組織を非焼灼温度(約45℃未満)または焼灼温度以上(例えば約45℃以上)まで加熱した温度に曝露するように温熱治療システムを構成することができる。本発明は獣医学および医学の両方の分野に適用される。本発明は都合よく被験者の治療に使用してもよい。本発明による「被験者」は、動物被験者を含み、好ましくは哺乳類被験者(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類、ブタおよび/またはウサギ)であり、好ましくはヒト被験者である。
【0024】
ある一定の態様では、温熱治療システムは約45℃以上まで(および典型的には約57〜62℃まで)加熱した流体を、温熱療法の少なくとも一部の間、実質的に連続して循環させるように構成された熱焼灼治療システムである。このように、「熱焼灼」という用語は、組織を殺すのに十分な温度に標的組織を曝露することを示す。熱焼灼は、被験者の体外で加熱した高温液を生物学的被験者内の標的治療領域に直接循環させるように構成された、被験者に挿入したカテーテル上の膨張可能な治療用バルーンと接触することにより標的組織において熱凝固を誘発することにより実施することができる。
【0025】
説明を容易にするために、本発明の態様については主に、男性尿道内での使用について記述する。しかしながら、本発明のカテーテルは、結腸、子宮、子宮頸部、喉、口または他の気道、耳、鼻、血管など(これらに限定されない)の他の自然の内腔または体腔に挿入するように他の構成としてもよく、適当に適合させてもよい。
【0026】
ある一定の態様では、温熱治療システムは、BPHを治療するための熱焼灼療法または前立腺炎を治療するための温熱療法を適用するように構成することができる。BPHまたは前立腺炎の治療では、尿道前立腺部の壁は、膨張可能な治療用バルーンと接触することにより温熱治療することができる。治療用バルーンは、流体が進行し治療用カテーテル内に収容され、その中を循環する加熱流体の量に応じて膨張する。
【0027】
図2は本発明のある一定の態様の動作の流れ図である。図示されるように、液体は閉ループシステムで実質的に連続して循環される。閉ループシステムは流体循環経路を有し、その一部は膨張可能な治療用バルーンを備えたカテーテルにより規定される(ブロック100)。被験者の内腔または自然の体腔内の標的領域の組織を膨張した治療用バルーンと接触させ、少なくとも約15分間継続する温熱療法を伝導により適用する(ブロック110)。閉ループシステム内の圧力をモニタする(ブロック120)。圧力は温熱療法の適用中、自動的に調節され、治療の浸透深さが増大し、および/または治療組織の生理学的変化および温熱療法治療過程の間のシステムの圧力損失に応答する選択した動作圧でシステムが維持される。システムはまた、標的組織に熱および圧力療法を同時に適用するために、治療中の循環液の温度をモニタし調節する(療法の施与中に増大および/または減少させる)ように構成されてもよい。
【0028】
必要に応じて、焼灼療法では、治療の初期の部分中に第1のシステム圧力を提供し、その後、熱焼灼温熱順序の第2の部分で約0.5〜3atmの第2の実質的に一定の(または増大する)システム圧が提供されるように動作が実施でき、熱焼灼は少なくとも5〜20分継続する(ブロック140)。特別な態様では、システム内の圧力は、治療の後半または第2の部分の間、約0.75〜2atm、典型的には少なくとも約1.0〜1.5atmとすることができる。
【0029】
ある一定の態様では、システムは使用者の入力を受理し、患者の快適なゾーンまで圧力を増大させるまたは調節するように構成することができる(ブロック131)。使用者入力は、システムが不適当な動作圧に曝露されないようにする限界または停止(圧力停止および/または傾斜速度制限)を含む。使用者入力は温熱療法の5〜10分の初期加熱部分中、および/または温熱療法の高温部分中(典型的には約5〜10分後に適用される)に受理されてもよい。
【0030】
ある態様では、温熱療法中に圧力調節を実施することができ、そのため動作は、温熱療法治療の積極的な適用の少なくとも選択した部分中で、予め決められた圧力から変動しないように、約0.1〜0.5psiの間の分解能で制御される(ブロック132)。特別な患者の生理機能を考慮し、動作条件により治療間、患者間の一貫性が改善されるように、システム圧を実質的にモニタすることにより所望のまたは一定の動作圧でシステムの圧力を維持する。圧力調節は、モニタした圧力に基づき、閉ループシステム内で循環する体積に、自動的に液体を添加する、またはそこから液体を除去することにより実施することができる(ブロック133)。ある態様では、循環液の最初の体積は100ml以下のオーダーとすることができ、10〜30%の追加量の液体を少なくとも15分の温熱療法治療で添加することができる(ブロック134)。ある態様では、約50ml以下の最初の循環体積が閉ループシステム内で循環され;治療過程で添加される液体の典型的な量は約5%以上のオーダーとすることができる。
【0031】
当業者には周知のように、特別な被験者を治療するために使用される治療用バルーン/カテーテルは適合するように特別に作ったものとすることができ、患者の尿道前立腺部の長さに適合するように選択された長さを有する(典型的には約1.5cm〜約6cmの長さの治療用バルーンを備えたカテーテルサイズから選択される)。添加される追加の液体は治療用バルーンの長さの倍数、すなわち、1.5cmの治療用バルーンでは1.5ml、3mlまたは4.5mlおよび6cmの治療用バルーンでは6ml、12mlまたは18mlとすることができる)。
【0032】
他の態様では、流体循環経路の折り畳み可能な部分は圧縮することができ、システムの圧力が維持されまたは増加する(ブロック135)。
【0033】
図3Aは閉ループ温熱治療システム10の1つの態様を示したものである。図示されるように、システム10は制御装置12、ヒーター14、圧力モニタリングおよび制御装置15、流体循環ポンプ16、循環流体流路18f、および膨張可能な治療用バルーン23を備えたカテーテル20を含む。循環流体流路18fは、カテーテル20と、循環流体流路18fの各入口および出口部分の間に延在する、ある長さのエラストマーコンジットまたはチューブ18tを含む。図の矢印はシステムを通って流れる流体の方向を示す。部品は異なる順序で配列することができ、液体を逆方向に流すことができる。システム10は液体がカテーテル20に入るおよび/または出て行く時の液体温度をモニタする温度センサ17i、17oを含むことができる。
【0034】
図示されるように、システム10は必要に応じて制御装置12と連絡したユーザー・インターフェース15uを含んでもよく、使用者は圧力を個別の快適レベルに調節することができる。このインターフェース15uはジョイスティック型周辺装置、ディスプレイ上のタッチスクリーン、キーパッド上のキーインプットまたはメンブレインタッチスイッチ(例えば矢印)、または音声起動インプット(「raise」および「lower」または「pressure up」および「pressure down」)、または他の所望の入力手段とすることができる。制御装置12は患者がシステムに導入することができる圧力を制限する手段を含む(入力を動作させることができる時に結合させてもよい)ことができ、このように所望の通常の範囲の動作に対しオーバーライド制御を有することができる。
【0035】
図示した態様では、液体は被験者の体外で(被験者の身体の外で)加熱され、カテーテルに導入される。BPH熱焼灼治療など(これに限定されない)のある一定の態様では、循環加熱液が約45℃〜95℃の温度で、少なくとも15〜90分の治療期間中カテーテルに導入され、特別な態様では少なくとも42〜45分間約57〜62℃の温度まで加熱された液体が導入される。
【0036】
図3Aは、ノースカロライナ州ケアリーのアルゴメット社(ArgoMed、Inc.)から入手したサーモフレックス(Thermoflex、登録商標)システムとして認識される水により誘発される温熱療法前立腺治療システムにおいて使用されるような従来の治療用カテーテル20を示したものである。図示されるように、治療用カテーテル20は固定バルーン22、治療用バルーン23、および伸長軸25を含む。図3Aおよび図3Bにおいて示されるように、カテーテル20はまた、それぞれ、入口および出口流体循環経路26i、26o、ならびに尿排出チャネル28(カテーテル20が被験者体内の定位置にある間、薬剤を送達するのに使用することができる)を含む。固定バルーン22は治療用バルーン23と流体連絡させることができ、そのためどちらも循環加熱流体により膨らませることができる。また、固定バルーン22は治療用バルーン23から流体により分離することができる(そこに誘導される別個の空気チャネルにより膨らませることができる)(図示せず)。この状態では、上部固定バルーン22は別個に膨らませることができ、治療用バルーン23の前に膨らませることができる。これにより、上部バルーン22が(膀胱頸部12aまたは尿道前立腺部の上部に損傷を与える可能性がある)望ましい位置の下方で膨らむ可能性を減少させることができ、膀胱に対し前立腺内に正しくカテーテル20を配置することが容易となる。システム10は、固定バルーン22および治療用バルーン23内の圧力がしぼんだ状態を示すまで、切断に抵抗し、被験者からのカテーテルの回収を妨げるように構成することができる。
【0037】
図3Bに示すように。治療は尿道前立腺部50に隣接する局所治療領域30を標的とすることができる。治療領域30は一般に、被験者の膀胱頸部12aの下方およびベルモンタヌム(verumontanum)11bの上方に延在するように尿道前立腺部を含むものとして記述されている。その代わりに、治療領域30は膀胱頸部12aまたは膀胱頸部自体の一部を含んでもよい。
【0038】
熱焼灼治療のための循環加熱液は約45℃を超える温度まで加熱され、標的組織まで送達され、所望の適用により規定されるように異なる適用に対し異なる長さの治療の間加熱温度が提供されることに注意すべきである。例えば、これは、循環温度を少なくとも約50℃まで加熱し、その後加熱液をカテーテルに循環させることにより実施することができる。カテーテルは被験者の体内の所望の位置に配置され、標的組織が約5〜90分の間、典型的には約20〜45分または20〜60分の間加熱循環温度に曝露される。
【0039】
適した温熱治療システムおよび治療用カテーテルはノースカロライナ州ケアリー所在のArgoMed、Inc.から入手できる。エシェル(Eshel)に付与された米国特許第5,257,977号および第5,549,559号、ならびにエシェルらの共に譲渡された米国特許出願第09/433,952号も参照のこと。これらの内容は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図3Bにはまた、カテーテル20が、カテーテルの他の部分に対し断熱性が増大した領域を含むことができ、循環加熱液に標的でない組織が曝露されないように保護されていることを示している。断熱領域29は、カテーテル上で近接するまたは下方軸部分に沿った余分な層または厚さの材料として構成することができる。他の治療用カテーテルは、エシェルに付与された米国特許第5,257,977号および第5,549,559号において記述されているように、一連の周囲に配置した細長い空気チャネルまたはコンジットを含み、このチャネルまたはコンジットは加熱循環液経路を取り囲み、カテーテルの細長い軸部分に沿って断熱を提供する。これらの特許は、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。適したカテーテルについてさらに説明しているものとして、共に係属中の共に譲渡された米国仮特許第60/248,109号も参照のこと。この内容もまた、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
図3Bはまた、閉ループシステム10内の圧力センサ15sと連絡する圧力調節装置15を示している。図示されるように、圧力センサ15sは体外に、カテーテル20から離して配置することができる。圧力調節装置15は、液体循環経路18fとインラインで、またはそこからオフセットとなるように配列することができる。圧力感知装置15の態様については以下でさらに説明する。循環液の移動距離は約10〜20フィート以上、典型的には約14〜16フィートとすることができる。
【0042】
動作中、水または水を基本とする液体とすることができる流体を被験者の体外で加熱し、カテーテル20内に誘導し、カテーテル20内の封入流体経路26i、26o内で循環させることができる。液体は入口経路26iを介し軸25を通り所望の治療部位に近接して配置された治療用バルーン23まで、治療用バルーン23から出口経路26oまで、その後被験者の体外に誘導される。図3Bに示されるように、循環液は治療用バルーン23内に誘導され、治療用バルーンはその後その中に保持された流体の量に応じて膨張する。図示されるように、温度センサ17i、17oのうち、1つ17iは経路18fの入口部または入口側に配置され(カテーテルの上流)、もう一方17oは経路18fの出口部分または下流側に配置され、これらを使用して循環液の温度を制御することができる。好ましくは、低量(約100ml以下、より好ましくは約50ml以下、さらに好ましくは約20ml以下)の循環加熱液が動作中、少なくとも初めは、閉ループシステム10を通して物理的に循環され、温熱(または熱焼灼)治療が治療用カテーテル20を介して施される。ある一定の態様では、滅菌し蒸留しおよび/または低温殺菌した水を循環液媒質として使用することができる。
【0043】
(カテーテル20を前立腺11内に挿入した後)カテーテル20を前立腺11内の所望の位置または場所に固定するために、軸25を通してカテーテル20の遠位部分まで導入した流体により固定バルーン22を膨張させ、これにより固定バルーン22が膨張構造をとり、被験者の膀胱頸部に対し存在する。このように、膨張すると、固定バルーン22は治療用バルーン23を膀胱に対し前立腺内に配置させるように適合される。すぼませると、カテーテル20(固定バルーン22および治療用バルーン23を含む)は好ましくは滑らかで、実質的には一定のプロファイルの部材として構成され、体内に容易に挿入できる(バルーンはカテーテルの中央本体または軸に対し実質的に折り畳まれてもよい)。
【0044】
循環流体(および別個に膨張させることが可能な場合、固定バルーンの膨張媒質)は好ましくは、バルーンの一体性に欠陥が生じ、偶然破裂したり、漏れたり、あるいはそうでなければ動作中に障害が起きる状況が生じた場合に、非毒性であるように、および被験者に有害な影響を与える可能性を減少させるように選択される。
【0045】
カテーテル20は内腔または腔内に導入された時にカテーテル20の遠位部分が所望の治療部位に到達するまで内腔および腔の形状に従うように曲がることができるようなフレキシブルな構成とすることができる。
【0046】
カテーテル20は、所望の内腔内に挿入され、その長さに沿って延在し所望の治療部位に到達することができるように、薄い外壁を備えたかなり小さな断面積を有する細長い環状本体とすることができる。本明細書で使用されるように、「薄い外壁」という用語は約2mm以下、好ましくは約1.2mm以下、ある一定の態様では約0.5mm以下の厚さを有する壁を意味する。前立腺または男性泌尿器用途では、管状本体周りのカテーテル20の断面幅または外径は好ましくは約6〜8mm(18〜24フレンチ)の間である。もちろん、上記のように、可撓性カテーテル20を他の内腔、腔および/または治療用途に適合するようなサイズおよび寸法とすることができる。
【0047】
ある一定の態様では、図3Aおよび3Bに示されるように、カテーテル20の軸領域25の断面領域の大部分はその中に保持された流体チャネル、または複数の流体チャネルのサイズにより占有される。前立腺または男性泌尿器用途に向けられたもの(それらに限定されない)などのある一定の態様では、カテーテル20は少なくとも3つの別個の流体チャネルを含むことができる:循環入口および出口チャネル26i、26oおよび軸領域25内の流体排出または薬剤送達チャネル28。
【0048】
可撓性カテーテル20はまた、インサイチューで挿入し定位置にある場合(および温熱療法の少なくとも一部の間、約0.5〜3atm、典型的には少なくとも1〜2atmの増大したシステム圧に曝露された場合)排出内腔28において開口を維持することができるのに十分な剛性があるように構成することができ、そのため、カテーテルは、挿入前のカテーテルサイズに対し、排出内腔28の断面積の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%〜90%以上保持するような構成とされる。そういうものだから、カテーテル20はフレキシブルに構成することができ、そのため、被験者に挿入してその所望の領域内の位置に入れた時に、被験者の身体の輪郭に従うように十分適合でき、しかしながら、体内のある位置(例えば前立腺内)に存在する場合開口した排液内腔を提供するように十分剛性であり、療法または温熱治療を受けている間またはその後に苦痛を示している組織に曝露される。
【0049】
ある一定の態様では、カテーテル20は、排液内腔28内に十分なサイズの排液開口を維持することができるような構成とすることができ、これにより、約45℃を超える高温に少なくとも約5〜10分間、より好ましくは約20〜30分間曝露した後、約0.5atm(7psi)〜2atm(28psi)または3atm(42psi)のオーダーの治療した組織からの圧縮圧に曝露されると所望の流量がその開口を通行することが可能となる。本発明のカテーテル20を使用して、被験者の水腫またはストレスに曝露された可撓性カテーテル内に開口を維持することが望ましい他の治療または用途のために所望のサイズの開口を維持することができる。適したカテーテル構造のさらなる説明については、共に出願中の共に譲渡された米国仮特許出願第60/248,109号を参照のこと。これらの内容については、本明細書で完全に引用されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
図3Bでは、システム10が圧力調節装置15に連絡された少なくとも1つの圧力センサ15sを含むことが示されており、この圧力調節装置は温熱療法の施与中に検出された圧力に応じてシステム圧を調節するように構成されている。センサ15sは流体または液体循環経路18fに沿った多くの位置に配置してもよい。図示されるように、センサ15sは、動作中被験者または患者の体外にあり、治療用バルーンが液体循環経路の一部を規定する場合、治療用バルーンでの圧力を示すシステム動作圧を検出することができるようにシステム10上に配置することができる。圧力調節装置15は任意の適した機構としてもよく、その例示的な態様は以下でさらに説明する。
【0051】
図4Aは、点線内に示したポンプ16を備え、他の部品を除去した閉ループ流体循環経路18fを示したものである。この図で、圧力センサは液体循環経路18fに沿った、またはその経路と流体連絡した異なる3つの位置に配置された。第1のセンサは入口チューブ18tに沿った位置「A」に配置され、第2のセンサは出口チューブ18tに沿った位置「B」に配置され、第3のセンサはシリンジまたは流体入口ポートの位置「C」に配置される。圧力センサ15sは任意の適した型とすることができ、例えば血圧を測定するために使用されるものに類似したトランスデューサおよびデジタル圧力ゲージなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。圧力センサの例としては、英国サウスジョーダンのメリットメディカルシステムズ(Merit Medical Systems)からのメリトランス(MERITRANS)トランスデューサ、オハイオ州ダブリンのメデックス(Medex)からのメデックス(MX960)トランスデューサ、およびドイツのHBM GmbH(ホッティンガーボールドウィンメステクニック:Hottinger Baldwin Messtechnik)からのDigibarII、PE300、デジタル圧力ゲージ、ならびにコネチカット州スタンフォードのオメガオブエンジニアリング社(Omega、of Engineering、Inc.)からのモデル番号DPG1000L−30Gとして規定される同様の装置が挙げられ、圧力範囲が0〜30psiおよび温度範囲が0〜70℃である。
【0052】
位置Aのセンサ15sはヒーター(図示せず)からカテーテル治療用バルーン23まで延在するチューブ18t上にある。ある一定の態様では、チューブ18tは約2〜20mm、および典型的には約2.5mmの内径を有することができる。出口チューブ18t上の位置B内のセンサ15sはそこを流れる水とインラインで配置される。メリットメディカルまたはメデックストランスデューサを用いてチューブの外側で測定する場合(位置B)、バルーン内の圧力は大きく現れる。流体は「間違った」過圧を生成する(蠕動)ポンプ16からポンピングされるからである。位置「A」では、ポンプは循環経路18f内のこの位置で流体を吸い込んでいるので、システム圧は見かけ上減少する。
【0053】
図4Bで示した実験評価では、使用したメリットおよびメデックストランスデューサは−10〜300mmHg(最大設計圧は約5psi)の補償圧を定格としたが、システムでは約20psiまでの測定を行うのに使用した。さらに、評価中に使用した温度は約60℃であり、これもまた定格温度(40℃)を超えた。評価を実施するために、5V DC電源をヨコガワ(Yokogawa)MV230データロガー(日本の東京所在の横河電機株式会社(Yokogawa Electric Corp.))を使用し、データを記録した。使用した他のセンサ15s型はバー表示のデジタル読み出し装置を備えたデジタル圧力ゲージであった(上記HBMモデル)。ゲージはチューブ18tとの「T」接続から離して載置した。T接続は、開口がチューブ18tの内径(2.5mm)よりも大きいと、流れを圧縮するとは思われなかった。このため、ゲージ読み取りは、規格範囲からはずれて動作している他の2つのセンサ型の結果に対応し、これを立証した。
【0054】
測定されるように、インチューブ(位置A)の圧力はアウトチューブ(位置B)の圧力より高かった。図4Bは(空気中で保持した治療用バルーンにより)60℃で45分シミュレート治療することにより得られた(マークしたように)3つのセンサからのデータを示すものである。線のうち2つは位置Aで異なるセンサにより得られた測定値に対応し、第3の線は位置Cで第3のセンサ型で得られた測定値に対応する。図示されるように、データは圧力の30秒ローリング平均(rolling average)を反映し、これはグラフの線を滑らかにし、最初のピーク値を減少させるように作用する。このデータはローリング平均として示される。示した態様では、データは蠕動ポンプを使用して液体を循環させることにより集めたものであり、短いウインドウまたはインクリメント(5秒未満)で測定した圧力の変動によりデータがスパイクするからである。
【0055】
図4Bでは、位置Cのセンサ15sは、主な循環経路からオフセットされシリンジ(位置C)とはインラインとなるように配置されたメデックスセンサである。このセンサ15sはポンプがオンになった時の最初の圧力降下を示し、他のセンサは最初の上昇圧を示す。これは位置によるものであり、この位置はポンプ(「18fo」)の前のカテーテルの下流側または閉ループシステム10の「外」側に存在する。このように、圧力は安定化する前に一時的に降下する(図6Bで示されるように、ポンプ18foの「アウト」側上流で吸い出され、ポンプの入口側18fi下流で「イン」に押し込まれる)。シリンジとインラインで、液体循環経路18fからオフセットされた圧力は、カテーテル20の下流でポンプの上流のシステムの出口部分(位置B)から直接測定した圧力よりもわずかに低く、ポンプの下流の読み取り(位置A)よりは約3psi低いことに注意すべきである。
【0056】
図4Cは、位置Bおよび位置Cから20分の治療(空中でのカテーテルおよび治療用バルーンを用いる)により得たデータを示したものである。圧力読み取り値は一致し、圧力センサ15s(トランスデューサ)を、一方の側のポンプともう一方の側のカテーテルとの間の閉ループ経路18foの外側に配置することにより信頼できる読み取り値が得られることが示される。圧力センサ15sをどこに配置するかにより、測定した値を、計算した調節因子で補償することにより実際の圧力を決定することができる。「実際の」圧力は、制御装置12または他のコンピュータ手段上のコンピュータプログラムまたはコンピュータソフトウエアプログラム内のデジタルルックアップテーブルもしくは式に基づくものとすることができる。図4Cでは、センサ15sに対するデータは5秒または10秒ローリング平均のいずれかとして得られる。ある一定の従来システムでは、治療過程にわたり約4.5〜5psiの圧力降下が示された(空気中で、および前立腺のシミュレート泡モデルで測定)。この値は治療の温熱療法部分の終わり(治療を終えるためのクールダウン後)の圧力に対し測定したピーク圧力に対応する。クールダウン期間中にさらに1〜1.5psiの降下が起こることがある(典型的には治療の最後5〜10分の間)。
【0057】
図5Aおよび5Bについて説明すると、圧力調節装置15aの1つの態様が示されている。装置15aは2つの対向する壁62、64の中間に保持された弾力的な内部部材60を含む。内部部材60は圧縮可能なように構成され、形成される。内部部材60は嚢もしくは袋または、そこから入りそこから出て行く(矢の方向により示された)流路18fの幅に比べて増大した幅を有する他の装置もしくは領域として構成することができる。動作においては、流体循環経路18f内の液体は内部部材60を通って移動する。壁62、64は内部部材を圧縮し、システム10内の圧力を調節するように構成される。ある態様では、壁62、64は内側部材60を圧縮することができるように十分剛性となるように形成することができる。ある態様では、壁62、64は協働する一対のプレートとして構成される。その対は、システム10内の圧力を制御する(および実質的に連続してモニタし調節する)ために、動作的にセンサ15sと関連するステッパーモーターまたは他の機構により制御インクリメントで対の他方に向かって押しやるまたは移動させ(1つまたは両方を移動させる)ことができる少なくとも1つの動的プレートを含む。
【0058】
他の態様では、壁62、64は固定することができ、その中の内部部材60を取り囲むような寸法および構成とされた流体膨張チャンバを備えた封入ハウジングの一部を規定する。流体または他の膨張源をチャンバ内に誘導するように制御し、内部部材により圧縮し(または減圧し)システム10内の圧力を調節することができる。そのようなものとして、内部部材60は液体循環経路18fの放射状に圧縮可能な一部とすることができる。
【0059】
図5Cおよび5Dは圧力調節装置15bの他の態様を示したものである。この態様では、協働する対のプレート162、164が接続部材168により取り付けられる。内部部材160はプレート162,164の中間に配置される。この態様では、内部部材160は穴を含み、接続部材168はそこを通って延在する。内部部材160は環状、トロイダル、またはリング様の「ドーナツ」構造を有することができる。動作において、接続部材168は回転しプレート162、164の一方または両方を互いに向かってまたは互いに離れるように制御されたインクリメントで移動させ、内部部材160を圧縮または解放し、これによりシステムの内の圧力を調節する。前と同じように、内部部材160は圧縮可能であり、液体循環経路18fの一部を規定し、閉ループシステム内の液体がそこを取って移動する。ある一定の態様では、内部部材60、160が圧縮されると、簡潔に、流体は両方のボートを通って(両方向へ)内部部材から出て行っても良い。
【0060】
図5E、5Fおよび5Gでは、圧力調節装置15cは、YまたはTコネクタ(図示せず)を介して閉ループ循環経路18fに取り付けられた、軸方向に圧縮可能なふいごまたはアコーデオン形状の部材260を含む。そのようなものとして、ふいご部材260は液体循環経路18fとオフセットするようにおよびそれと液体連絡するように構成され、そのためふいご部材260から放出された流体は、YまたはTコネクタにより循環経路に接続された第2の経路を介して循環経路内に誘導される。ふいご部材260は膨張可能かつ圧縮可能セグメントであり、全長は所望の圧力調節により長く(L3、図5G)または短く(L2、図5F)される(より長いとより圧力が低く、より短いとより圧力が高い)。ふいご部材260の圧縮は任意の所望の機構により実施することができ、システム内の圧力が制御される。図6Aは圧力調節装置15dのさらに別の態様を示したものである。この態様はその中に一定量の液体が保持されたシリンジ360を使用する。プランジャーまたはピストン360pを使用して補給用流体経路15fから、シリンジ360を出て行くように、またはそこに入るように流体を誘導する。図示されるように、Yコネクタ72は液体循環経路18fと補給用(添加または除去する)流体経路15fとの間の接合点を規定する。他のコネクタまたはジョイントも使用することができる(例えばT構造または他の構造)。システム内の圧力を増大させるために、追加の液体を循環経路内に注入する。同様に、システム内の圧力を減少させるためには、液体をシリンジ360内に戻すことができる。Yコネクタ72はカテーテル出口の下流およびカテーテル入口の上流に配置することができ、シリンジ360は液体循環経路18fと流体連絡される。ある特別な態様では、Yコネクタ72およびシリンジ360はヒーターの下流およびカテーテル入口の上流に配置される。ある一定の態様では、シリンジ360は約30〜100ml、典型的には約30〜50mlを保持するように構成することができる。シリンジプランジャー360pのハンドルまたはアームはステッパーモーター361に接続することができ、このステッパーモーターはプランジャーの平行移動、ならびに液体循環経路18fへの液体の注入および除去を制御することができ、システムの動作圧が所望の圧力に維持または調節される。他の適した制御機構も使用することができ、これらは当業者には理解されるであろう。
【0061】
図6Bはカテーテル10およびシステム10とカテーテル20との間の一定の長さのコンジット(図示せず)を備えたモジュラーハウジング10h内の閉ループシステム10の一部を示したものである。図示されるように、液体循環経路18fはシステム18foの外側のチューブ18tへのカテーテル20出口チャネルから、モジュラーハウジング10h内まで、およびシステム18fiの「内」側へ循環経路18fが移行するポンプまで、さらにヒーター14まで延在し、その後カテーテル20へのチューブ18t(入口チャネル)を介してハウジング10hから出て行く。示した態様では、液体循環経路18fはポンプの下流のYコネクタ72を介してシリンジ360に連結される。シリンジ360はシステム10内に配置され、ヒーター14と動作的に関連する円筒形加熱チューブ内に液体が移動した後、循環経路18fから追加の液体を導入することができる(または液体を排除することができる)。液体は(発熱体によりまたはシステム内の発熱部品から空気を誘導しシリンジ上で流すことにより)シリンジ360内で予め加熱することができ、液体をシステム内に導入することに起因する全ての熱損失を減少させる。
【0062】
本システムまたは方法はBPH、前立腺炎、または他の泌尿器もしくは身体状態を治療するために使用してもよい。BPH用途では、液体は体外で約57〜62℃以上の間の範囲の温度に加熱することができる。循環加熱液をカテーテルを通して治療用バルーンまで誘導し、液はカテーテルに捕獲され、ペニス道を通って、尿道口、尿道球および尿道膜性部に沿って前立腺内の局所治療領域に到達する。前立腺内の局所治療領域中の組織は、加熱循環液からの伝導熱に曝露させることにより、約45℃を超える温度に予め決められた熱焼灼治療期間の間曝露される(液体は約5〜30分以上の間、および典型的には約37分の間約60℃またはそれ以上でインプットできる)。上記のように、局所治療領域は尿道前立腺部であり、尿道膜性部(ならびに括約筋およペニス道)は焼灼されないままである。これは循環システム(遠隔操作により加熱する)において、治療用カテーテルの軸を治療用バルーンまで断熱し標的でない組織が焼灼温度に曝露されないようにすることにより、達成される。このように、ある一定の態様では、標的でない組織は断熱され、そのため、標的でない組織は温熱治療中、治療用カテーテルと接触しても約45℃以下の最大温度に曝露される。さらに、カテーテルは処置中に尿が治療用カテーテルを通して排出されるように構成することができる。
【0063】
図7A〜7Fは時間経過と共にシステム動作圧を増加させるまたは維持するように温熱療法を実施することができることを示す図である(温度は治療中、所望のように増加または減少させることができる)。圧力は焼灼治療時間の大部分の間、実質的に一定に、またはある一定のしきい圧力以上で保持することができ、患者は約0.75〜2または3atmの間の圧力に曝露される(約45〜95℃の間の焼灼温度への曝露と同時に実施することができる)。
【0064】
図7Aは、実質的に全温熱治療中、圧力が実質的に一定に(および高く)保持できることを示した図である。図7Bは温熱治療の間ずっと直線様式で圧力を徐々に増加させることができることを示した図である(そのため、治療終了時には治療開始時に比べ高い圧力が適用される)。図7Cは、療法初期の部分ではより急激に圧力を増加させることができ、その後、終了または治療の後半に向けてよりゆっくりと圧力を増大させる(または実質的には一定に保持する)ことができることを示す図である。図7Dは、2つの連続する治療期間、第1の圧力を適用することができる初期期間T1を示す図である。図示されるように、この初期圧力は、治療のその後の第2部分の間(T2)の次のまたは第2の圧力よりも低い。第2の圧力は治療のより長い部分の間、維持することができる。最初のまたは初期圧力は、初期温度で供給される熱と共に被験者に適用することができ、この初期温度はその後のまたは第2の温度よりも低い。ある一定の態様では、第1のより低い温度/より低い圧力の組み合わせを、被験者が治療に対しより低い感度を示すまで(典型的には治療開始約5〜10分で曝露された神経が死んだ後)使用することができる。
【0065】
図7Eは、初期圧力をT1中に増大させ、その後T2中に一定に保持し、続いて再びT3中に増加させ、その後T4中に実質的に一定に保持することができ、そのため治療の後半部分は前の部分よりも高いシステム圧で実施されることを示す図である。例えば、以下の順序の圧力を使用することができる:約0.3〜0.5atmの初期圧力をT1(約5〜10分)にわたり傾斜させ約0.5〜1atmとし、ここでこの圧力をT2の間(5〜10分)保持し、再びT3の間傾斜させ約1〜2atmとし(約5〜10分)、その後T4の間(約5〜30分)約1〜2atmで保持する。逐次増大する一連の圧力を使用して温熱療法を施すことができる。図7Eはこれらのうちの選択した圧力を治療のその部分の間は実質的に一定に保持するか、または治療中徐々に傾斜または増加させることができることを示す図である。この増加させた圧力により組織への浸透深さを増強することができる。圧力を予め決められたレベルに設定すると、前立腺の生理学もしくは治療用バルーンの長さまたはシステムにおける他の変数に関係なく、患者間でより一貫した治療が可能となる。
【0066】
図7Fは、患者により適用する(システム)圧力を制御することができることを示す図である。患者は実質的に全ての有効な温熱治療(T)中または治療の選択した一部で圧力を制御してもよい。例えば、最初のT1、または治療のその後の部分、Tiである。患者間で、圧力インクリメントは患者の苦痛に対する許容度により変動してもよい(「1」および「2」として符号した異なる圧力線により示す)。患者が処置中にいくらか制御する場合、より大きな圧力を受けることを選択するまたは望みやすいように企図される。システムは過圧が選択されないようにする(図面では上限により示されている)安全オーバーライドを用いてプログラミングすることができる。さらに、下限を設定することができ、患者は適してない動作状態(図示せず)を選択することができない。上限および下限は一定値としてもよく、または治療期間または治療時点により変動させてもよい(図示せず)。
【0067】
表1は圧力および温度の例を示したものである。表では、1つの圧力範囲/温度が示されている場合、図7A、7Bおよび7Cの圧力図に従いそれらを適用してもよい。2回示されている場合、図7D〜7Fに従い施すことができる。圧力は、図7A、7Bで示されるように全ての治療に対し、または図7D(T1、T2)、図7E(T2、T4)に示されるように治療の選択した部分の間、実質的に一定なものとして維持することができ、この時間では、温度は実質的に一定であり、ならびに、または図7B、7Cに示されるように治療の全過程にわたり、または図7E(T1、T3)、図7Fにより示されるように治療の選択した部分の間増加させてもよい。
【0068】
【表1】
【0069】
図8A〜8Cは、本発明の態様による組織浸透対圧力および対応する熱焼灼治療時間を示すグラフである。図8Aでは、熱焼灼治療中の圧力減少では、浸透深さは治療開始後約20分未満の時点(T1前)で到達されることが示されている。焼灼治療の後の部分は、組織の熱損傷(浮腫)に対する身体反応または応答を促進することがあるが、組織への浸透深さには有意の影響を与えないかもしれない。すなわち、約80〜90%の組織浸透が最初の10〜20分の間に起きるかもしれない。最初の浸透後の減少圧力により提供される浸透の傾斜または角度は「δ1」により示されるようにかなりわずかなものとして図示されている。焼灼温度は約57〜62℃以上の間としてもよい(典型的には約95℃未満)。治療の終わりの圧力はp2として示され、開始圧力p1よりも低い。組織浸透は「α」で示される曲線の勾配により表されるようにかなり迅速に起こる。いったん最初の浸透深さが起こると、増加が小さくなる、または増加角度が小さくなることに注意すべきである(βにより図示される)。図示されるように、T1後、組織浸透の増大はかなりわずかなものとなり、曲線の角度もまた小さくなる(δ)。グラフの右側は、T1〜T2(10〜40分のオーダーとすることができる)の時間では、浸透深さは約0.9の深さから最終深さ(1.00dとして示される)までわずかに増加することを示す。
【0070】
図8Bは、10〜60分の焼灼治療中、圧力(p1)が実質的に一定に維持される場合、組織への浸透は治療の後半部分中増加し続けることを示す。これはδ2のより大きな傾斜または浸透角度により示される(すなわち、δ2>δ1)。最終浸透値は時間T1での0.97dの浸透深さを超える1.15dであると評価される。
【0071】
図8Cは、焼灼療法の期間にわたり実質的に連続して増加する圧力では(p1からp2として図示)、さらに深い組織浸透深さが期待できる。同様に、組織浸透は続き、治療の後半部分ではδ3により示される浸透勾配に至る(すなわち、δ3>>δ1)。T1での浸透深さは約1.17dであり、最終浸透深さは約1.80dとすることができる。
【0072】
図9Aおよび9Bは本発明の態様による内腔および近接する組織の断面図である。図示されるように、内腔50wおよび治療された組織50tを有する尿道前立腺部は網目状の影により示された内腔50wの周りで浸透深さTDを有する。測定すると、平均して、尿道前立腺部の内腔周りで少なくとも約15〜20mmの浸透深さ(TD)で組織壊死を引き起こすように熱焼灼治療を実施することができる。複数の測定値TD1〜TDmを加算し、測定数「n」で割ると、平均TDを計算することができる。
【0073】
図9Bは、熱焼灼療法を実施すると、内腔50wの壁上にある厚さ(Tc)の痂皮または瘡蓋を形成することができることを示す。痂皮Tcは、自然のステントを規定するのに十分な厚さを有するように形成することができる。熱・圧力同時焼灼治療により尿道前立腺部内の標的組織を熱焼灼することができ、十分な厚さの硬化した瘡蓋、殻または痂皮を提供することができる。この瘡蓋、殻または痂皮は十分大きな開口を規定することができ、尿道の治療部分を通して流体を排出することができ、そのため流体を排出するのに十分な剛性を有するインサイチュー天然ステントとして機能する。瘡蓋または痂皮は組織が治癒するにつれ自己吸収でき、または自然に消えるもしくは脱落することができ、および治療後カテーテル法に対する時間の量を減少させ、またはその必要性を排除することができる。他の態様では、熱焼灼は改善された浸透深さを有することができるが、浮腫などのためにカテーテル法の時間を増大させる必要がある。それにも関わらず、治療自体の寿命(すなわち、その効力)を改善することができる。
【0074】
ブロック図中の1または複数のブロックおよびブロック図中のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実施されるように実装または誘導できることは理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータまたは、機械を製造するための他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードしてもよく、そのため、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行される命令は、フローチャートブロックまたはブロック群で特定される機能を実装するための手段を作成する。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読の記憶装置に保存してもよい。この記憶装置は特別な様式の図面では、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置もしくは関連ハードウエア機器が機能するように誘導することができる。
【0075】
ある態様では、システム制御装置12または他の動作的に関連するコンピュータ機器は(a)ポンプ、ヒーター、温度センサ(センサ群)、圧力センサおよび圧力調節装置を作動させ液体循環経路を通して実質的に連続して加熱液を循環させる;および(b)自動的に温度を所望の動作温度に調節し、自動的に液体循環経路内の圧力を調節し、少なくとも15分の治療時間にわたる治療システム内の動作圧力損失を補償すると共に尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織における全ての生理学的変化を補償するためのコンピュータプログラムコードを含むことができ、そのためシステムは温熱療法の適用中少なくとも1つの選択した動作圧を維持する。
【0076】
前述したものは本発明の例示であり、制限しようとするものではない、本発明の2、3の例示的な態様について説明したが、当業者であれば、本発明の新規教示および利点から大きく離れずに、例示的な態様において多くの変更が可能であることは容易に理解されるであろう。したがって、そのような変更はすべて請求の範囲において規定される本発明の範囲内に含まれるものとする。そのため、前述したものは本発明を説明するものであり、開示した特別な態様に限定しようとするものではなく、開示した態様、ならびに他の態様に対する変更は添付の請求の範囲に含まれるものであることを理解すべきである。本発明は添付の請求の範囲により規定され、請求の範囲の等価物は請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】例示的な温熱療法中のシステムにおける圧力降下を示した時間関数としての圧力グラフ図である。
【図2】本発明の態様による動作の流れ図である。
【図3A】本発明の態様による自動圧力調節能を有する閉ループ温熱治療システムの概略図である。
【図3B】本発明のある一定の態様による、尿道前立腺部内の定位置にあるカテーテルおよび治療用バルーンを備えた温熱治療システムの概略図である。
【図4A】本発明の態様による、圧力センサ配置を示した、低量閉ループ循環液システムの概略図である。
【図4B】本発明の態様による、閉ループシステムの異なる位置の様々なセンサにより、温熱治療中にモニタした時間経過に対する圧力のグラフ図である。
【図4C】温熱治療中に様々なセンサによりモニタした時間経過に対する圧力のグラフ図であり、センサは、本発明の態様により閉ループシステムのカテーテルの後(その下流)の接続チューブの外側に配置される。
【図5A】本発明の態様による圧力調節装置の上面の概略図である。
【図5B】図5Aに示した装置の側断面図である。
【図5C】本発明の態様による他の圧力調節装置の上面の概略図である。
【図5D】図5Cに示した装置の側断面図である。
【図5E】本発明の態様による他の圧力調節装置の側面図である。
【図5F】バッフルまたはアコーディオン構造を有する図5Eに示した装置の側面図であり、この構造は図5Eに示した長さに対し圧縮した長さを有し、これにより閉ループシステム内の圧力が増大する。
【図5G】バッフル構造を有する図5Eに示した装置の側面図であり、この構造は図5Fに示した長さに対し伸びた長さを有し、これにより閉ループシステムの圧力が減少する。
【図6A】本発明の態様によるさらに他の圧力調節装置の概略図である。
【図6B】本発明の態様による循環経路に組み入れられた圧力調節装置を有するオープンモジュラーハウジングの上面図である。
【図7A】本発明の態様による温熱療法の適用中のシステムで測定した時間経過に対する圧力のグラフ図である。
【図7B】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7C】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7D】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7E】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図である。
【図7F】本発明の態様による温熱療法の適用中の時間経過に対するシステムの圧力のグラフ図であり、ここで患者はシステムにより規定され制御された最大圧下で圧力を制御してもよい。
【図8A】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が治療の最初の部分から終了まで降下するシステムを示す。
【図8B】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が実質的に一定に保持されることを示す。
【図8C】本発明の態様によるシステムの圧力活性に依存する近接組織への温熱療法の組織浸透深さを示すグラフ図である。圧力が治療時間にわたり増加するものを示す。
【図9A】本発明の態様による温熱治療領域の断面図である。
【図9B】本発明の態様による温熱治療領域の断面図である。
Claims (43)
- 液体循環経路と、それと流体連絡した膨張可能な治療用バルーンとを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、これにより治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔内に配置する過程であって、尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有し、治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する過程と、
治療用バルーンを外に向かってある一定距離膨張させ、治療用バルーンを尿道前立腺部の壁と接触させ、尿道前立腺部に近接する組織に圧力を加える過程と、
少なくとも15分の時間の間液体循環経路および膨張させた治療用バルーンを通して実質的に連続して加熱液を循環させ、尿道前立腺部の周囲の組織を加熱する過程と、
閉ループシステム内の圧力をモニタする過程と、および
モニタリング過程で決定された圧力に基づき閉ループシステム内の圧力を自動的に調節し、閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織内の生理的変化を補償し、システムが温熱療法の施与中少なくとも1つの選択した動作圧を維持する過程と、
を含む、閉ループ温熱治療システムを使用した前立腺の状態を治療するための温熱療法の適用方法。 - 前記液体循環過程は、前記温熱療法の第1の部分の間に前記循環液を第1の温度まで加熱する過程と、その後、前記温熱療法の第2の部分の間に前記循環液を第2のより高い温度まで加熱する過程と、を含み、
前記圧力調節過程は、前記システムが前記温熱療法の前記第2の部分の間約0.5〜3atmの間の実質的に一定の圧力を維持するように実施される、請求項1記載の方法。 - 前記圧力調節過程は、前記システムが前記温熱療法の適用の前記第2の部分の間、約1〜3atmの間の実質的に一定の圧力を維持するように実施され、前記療法の前記第2の部分は治療開始から約5〜10分で開始される、請求項2記載の方法。
- 前記尿道前立腺部の前記内腔の前記断面幅は、前記膨張過程、液体循環過程、および圧力調節過程に基づき増加する、請求項1記載の方法。
- 前記適用した温熱療法は熱焼灼療法であり、前記液体循環過程は約45℃〜95℃の間まで加熱した液体を少なくとも約5〜10分間循環させる過程を含む、請求項1記載の方法。
- 前記液体循環過程および圧力調節過程は、前記閉ループシステムが第1のシステム圧力を有すると共に前記循環液体が対応する第1の加熱温度を有するように、さらに第2のシステム圧力を有すると共に前記循環液体が対応する第2の加熱温度を有する様に実施され、前記第2の温度は前記第1の温度が生成されてから少なくとも約5分後に生成され、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、請求項5記載の方法。
- 前記システム内の前記圧力は、適用する温熱療法の期間の主な部分の間、実質的に一定となるように実行される、請求項1記載の方法。
- 前記第1の温度は約45〜50℃であり、前記第2の温度は約57℃〜95℃の間であり、前記第2のシステム圧力は、少なくとも約5〜20分間、実質的に一定になるように、または前記第1のシステム圧力に対し増大するように制御される、請求項6記載の方法。
- 前記膨張過程、液体循環過程および圧力調節過程は、前記尿道前立腺部の前記内腔周りで測定すると平均して少なくとも約15mmの浸透深さで組織壊死を引き起こすのに十分な増大した熱焼灼治療深さを提供するように実施される、請求項5記載の方法。
- 前記膨張過程、加熱過程および調節過程は、前記尿道前立腺部の前記内腔の壁周りに痂皮を形成させるのに十分な時間および圧力で実施され、その外疲は自然のステントを規定するのに十分な厚さを有し、そのため治療後に前記尿道前立腺部を通る開口通路が維持できる、請求項9記載の方法。
- 前記液体循環経路は約10〜20フィートの間の長さである、請求項1記載の方法。
- 前記液体循環経路は、複数の接続ジョイントを備える様々な長さの相互連絡されたエラストマーチューブを含み、チューブは前記治療用カテーテルと流体連絡する、請求項11記載の方法。
- 前記圧力モニタリング過程および圧力調節過程は、異なる生理学的前立腺密度を有する複数の患者に対し異なる治療用カテーテルまたは異なる長さの治療用バルーンを使用して繰り返され、前記圧力モニタリング過程および圧力調節過程は、患者間で、前記温熱療法の対応する部分の間、実質的に一定のシステム圧力を提供するように実施され、これにより患者間での治療の一貫性が改善される、請求項1記載の方法。
- 前記閉ループシステムにおいて循環する液体の最初の量は100ml未満であり、前記圧力調節過程は追加の量の液体をその中に導入する過程を含む、請求項1記載の方法。
- 前記循環経路は弾力的な部分を含み、前記調節過程は前記弾力的な部分を圧縮し前記閉ループシステム内の圧力を増大させる過程を含む、請求項14記載の方法。
- 前記弾力的な部分は2つの実質的に剛性の部材の中間に配置された圧縮可能な袋であり、前記圧力調節過程は前記2つの剛性部材を互いに向けて押しやることにより実施される、請求項15記載の方法。
- 前記弾力的な部分は剛性ハウジング内に保持され、前記調節過程はガスを前記ハウジング内に導入し前記弾力的な部分を圧縮し圧力を増大させることにより実施される、請求項15記載の方法。
- 前記弾力的な部分はふいご部材であり、軸方向に膨張圧縮可能で軸長をより大きくおよびより小さくすることが可能であり、前記調節過程は前記ふいご部材を圧縮してより短い長さとし、前記閉ループシステム内の圧力を増大させる過程を含む、請求項15記載の方法。
- ユーザー入力を受理し、前記温熱療法の適用の少なくとも一部の間、予め決められた圧力限界により制限された動作システム圧力を設定する過程をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 前記圧力調節過程は、前記液体循環経路とインラインに配置された圧力調節装置により実施される、請求項1記載の方法。
- 前記調節過程は、前記液体循環経路の一部とオフセットで配置された圧力調節装置により実施される、請求項1記載の方法。
- 前記温熱療法は前立腺炎を治療するために適用される、請求項1記載の方法。
- 前記温熱療法はBPHを治療するために適用される、請求項5記載の方法。
- 循環液体入口チャネルと循環液体出口チャネルと、前記入口および出口チャネルと流体連絡した膨張可能な治療バルーンとを有する治療用カテーテルと、
前記治療用カテーテルと動作的に関連するポンプと、
前記治療用カテーテルと動作的に関連するヒーターと、
前記治療用カテーテルおよび前記ヒーターと動作的に関連する少なくとも1つの温度センサと、
前記治療用カテーテルと動作的に関連する圧力センサと、
前記圧力センサおよび前記治療用カテーテルと動作的に関連する圧力調節装置と、
ある一定量の液体をその中に循環させるように適合された閉ループ液体循環経路であって、前記経路は前記治療用カテーテル入口および出口チャネルならびに治療用バルーンを含み、前記圧力調節装置は前記液体循環経路と動作的に関連する、閉ループ液体循環経路と、および
前記ポンプ、ヒーター、温度センサ、圧力センサおよび圧力調節装置と動作的に関連する制御装置であって、
(a)前記ポンプ、ヒーター、温度センサ、圧力センサおよび圧力調節装置を作動させ、前記液体循環経路を通って加熱液を実質的に連続して循環させる;および
(b)前記液体循環経路内の圧力を自動的に調節し、前記治療システムにおける少なくとも約15分にわたる動作圧損失を補償し、ならびに前記尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織の生理的変化を補償し、このためシステムは温熱治療の適用中少なくとも1つの選択した動作圧力を維持する、
ためのコンピュータプログラムコードを有する制御装置と、
を備える、閉ループ温熱治療システム。 - 前記コンピュータコードは、前記液体循環システム内の動作圧を予め決められた一定圧力または増加圧力に調節するためのコードをさらに含む、請求項24記載のシステム。
- 前記コンピュータコードは、温度を調節し、前記液体循環経路内の圧力を増大させ、これにより前記治療の最初の5〜10分の圧力よりも、前記治療の後半部分の圧力が増大するようにするためのコードをさらに含む、請求項24記載のシステム。
- 前記コンピュータコードは、前記液体循環経路内の圧力を治療の主な部分にわたり実質的に一定に維持するためのコードをさらに含む、請求項24記載のシステム。
- 前記圧力調節装置は弾力的な部材であって、実質的に中心に位置する穴がそこを通って延在している部材と、対向する剛性部材であって、それらの間に装着結合部材が前記弾力的な部材の穴を通って延在している部材とを備え、動作中、前記剛性部材は協働し前記弾力的な部材を圧縮し、前記液体循環経路内および前記治療用バルーン内の圧力を増加させる、請求項24記載のシステム。
- 前記圧力調節装置は流体ポートを有するハウジング内に入れられた弾力的な部材と、前記流体ポートと流体連絡した流体供給源と、を備え、動作中、流体が前記流体ポート内に誘導され前記弾力的な部材を圧縮し圧力が増加する、請求項24記載のシステム。
- 液体循環経路と、それと流体連絡した膨張可能な治療用バルーンとを有する治療用カテーテルを被験者の男性尿道に挿入し、これにより前記治療用バルーンを尿道前立腺部の内腔内に配置する過程であって、前記尿道前立腺部内腔は壁および断面幅を有し、前記治療用カテーテルは閉ループ温熱治療システムの一部を規定する過程と、
前記治療用バルーンを外に向かってある一定距離膨張させ、前記治療用バルーンを尿道前立腺部の壁と接触させ、前記尿道前立腺部に近接する組織に圧力を加える過程と、
少なくとも約5分の時間の間、前記液体循環経路および前記膨張させた治療用バルーンを通して約57℃〜95℃の間まで加熱した液体を実質的に連続して循環させ、前記尿道前立腺部の周囲の組織を加熱し、熱焼灼療法を適用する過程と、
前記閉ループシステム内の圧力をモニタする過程と、
前記モニタリング過程で決定された圧力に基づき前記閉ループシステム内の圧力を自動的に調節し、前記閉ループシステム内の動作圧損失および尿道前立腺部内の標的治療領域に近接する組織内の生理的変化を補償し、このため、温熱療法の適用中、システムが少なくとも1つの選択した動作圧を維持する過程と、および
前記膨張過程、液体循環過程および圧力調節過程に基づき前記尿道前立腺部の内腔の幅を増大させる過程と、
を含む、閉ループ温熱治療システムを使用したBPHの治療法。 - 前記加熱過程は、前記循環液を前記温熱療法の対応する第1の部分中、約45〜55℃の間の第1の温度まで加熱する過程と、その後、前記循環液を前記温熱療法の対応する第2の部分中、約57〜95℃の間の第2の温度まで加熱する過程とを含み、前記圧力調節過程は、前記システムが前記温熱療法の前記第2の部分中、約0.75〜3atmの間の実質的に一定の圧力を維持するように実施される、請求項30記載の方法。
- 前記圧力調節過程は、前記温熱療法の前記第2の部分中、少なくとも約1.0〜2atmの実質的に一定のシステム圧力が維持されるように実施され、前記療法の前記第2の部分は前記治療開始から約5〜10分で開始される、請求項31記載の方法。
- 前記膨張過程、液体循環過程および調節過程は、前記尿道前立腺部の内腔周りで測定すると平均して少なくとも約15〜20mmの浸透深さで組織壊死を引き起こすのに十分な増大した熱焼灼治療深さを提供するように実施される、請求項30記載の方法。
- 前記膨張過程、液体循環過程および圧力調節過程は、前記尿道前立腺部の内腔の壁周りに痂皮を形成させるのに十分な熱および圧力で実施され、その瘡蓋は自然のステントを規定するのに十分な厚さを有し、そのため治療後に前記尿道前立腺部を通る開口通路が維持できる、請求項30記載の方法。
- 前記液体循環経路は約10〜20フィートの間の長さである、請求項30記載の方法。
- 標的でない組織の過度の加熱を阻害するために前記液体循環経路の一部を断熱する過程をさらに含む、請求項30記載の方法。
- 前記標的領域の下の標的でない組織を断熱し、そのため前記標的でない組織は前記液体循環過程中、前記治療用カテーテルと接触しても最大約44℃の温度に曝露される過程をさらに含む、請求項30記載の方法。
- 前記液体循環中、前記治療用カテーテルを通して排出されるように体液を誘導する過程をさらに含む、請求項37記載の方法。
- 加熱液で満たされた膨張した治療用バルーンと尿道前立腺部内の組織とを接触させる過程と、
流体を循環させ、十分な力および温度で前記尿道前立腺部に伝導による熱および圧力を同時に加え、前記尿道前立腺部の組織を熱焼灼し、前記尿道前立腺部内腔の周囲で測定すると平均して少なくとも15〜20mmの浸透深さまで組織壊死を引き起こす過程と、
を含むBPHの治療方法。 - 前記尿道前立腺部の前記内腔の壁の周りに痂皮を形成させる過程をさらに含み、前記痂皮は治療後、前記尿道前立腺部を通過する開口経路を維持することができる自然のステントを規定するのに十分な厚さを有する、請求項39記載の方法。
- (a)被験者の体腔に治療用カテーテルを挿入する過程と、
(b)被験者の体外で液体を約40℃以上まで加熱する過程と、
(c)膨張可能な治療用バルーンを有する治療用カテーテルを含む閉ループ循環経路内で前記加熱液を循環させる過程と、
(d)少なくとも部分的には前記循環過程に基づき組織を加熱することにより、前記被験者の標的領域内の組織を予め決められた熱焼灼治療期間の間約40℃以上の温度に曝露する過程と、
(e)前記標的領域の下の標的でない組織を断熱し、そのため前記標的でない組織が、前記循環過程中に前記治療用カテーテルと接触しても最大約44℃の温度に曝露される、過程と、
(f)前記システム内の圧力をモニタする過程と、および
(g)前記閉ループ循環経路内の圧力を自動的に調節し、少なくとも約15分の期間にわたり前記被験者の前記標的領域内の前記組織の生理的変化および圧力減少を補償する過程と、
を含む、閉ループ循環経路を備えた温熱治療システムを用いた、被験者の体内の標的領域を温熱治療する方法。 - 前記圧力調節過程は、前記モニタリング過程に基づき前記循環経路内の一定量の液体を除去するまたはそこに添加することにより実施される、請求項41記載の方法。
- 前記循環過程中に前記治療用カテーテルを通して排出されるように体液を誘導する過程をさらに含む請求項42記載の方法。
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