JP2005502032A5 - - Google Patents

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基板処理 発明の詳細な説明
本発明は電気化学的方法を用いる基板処理に関する。より詳細には、本発明は電気化学的方法を用いる基板の化学的修飾法に関する。
多くのデバイスは表面に特定物質のパターンを必要とする。半導体チップは該デバイスの周知の例である。該デバイスの極く最近の例はDNAチップであって、これは固体表面に結合されたオリゴヌクレオチドの配列を含む(G.Ramsay,Nature Biotechnology,1998,vol.16,40−44)。
該デバイスの性質は表面上の物質の特質およびパターンによって決まる。さらに、既存デバイスの改良が一方では小型化の要求により、他方では化学的及び物理学的特徴を合わせ持つ新規タイプの表面に対する要望によって加速されている。したがって、表面上にパターンを必要とするデバイスを加工する新規方法に対する絶えざる要望がある。
表面の特定領域の処理には幾つかの方法がある。1つの方法は写真平版技術を使用する。表面の特定領域を写真平版用マスクで覆い、露出領域を紫外線に暴露することによって修飾する。この方法は半導体の製造に広く用いられており、感光性化合物を塗布した半導体ウエハーの表面に開口部をつくる。
写真平版法はDNAチップの製造にも使用されている。この方法では、光不安定性保護基を有するオリゴヌクレオチドを固体表面に結合させる。表面領域は写真平版用マスクで覆い、表面の露出領域に紫外線を照射する。したがって、光不安定性保護基を表面の暴露領域から除くことができる(G.Ramsay,Nature Biotechnology,1998,vol.16,40−44)。
WO93/22480は電気化学的方法を用いる表面処理法を記載している。この方法では、表面を覆う電解質および表面近傍の電極の配列が設けられる。該配列の1つ以上の電極の電位を変えることによって、1つ以上の電極近傍の表面を修飾することができる。使用した電解質はトリエチルアミンと硫酸とのアセトニトリル溶液である。
米国特許第6,093,302号は基板上の特定位置に物質を置く電気化学的方法を述べている。この物質は電極で生じ、通常電極近傍の物質と反応する。緩衝または捕捉溶液の使用が記載されている。緩衝または捕捉溶液は電極の極近傍から離れる試薬との反応によって、処理される基板の溶解能を向上させるためのものである。しかし、緩衝又は捕捉物質を含有するバルク溶液は特定電極から拡散し去る試薬だけでなく、特定電極近傍の基板において反応しようとする試薬をも捕捉するという欠点を有する。
SchusterらのScience,2000,289,98−101は表面を処理する電気化学的方法の溶解能を向上させる他の方法を述べている。Schusterは拡散時間を限定するために複雑な電流パルスのシ−ケンスを使用する。
本発明の目的は電気化学的手段を用いて基板を修飾する改良法を提供することにある。とくに本発明の目的は優れた溶解能によって基板を修飾する方法を提供することにある。
したがって、本発明は第1の電極によって生じた第1のレドックス生成物の拡散を制御する方法であって、前記第1電極近傍の第2電極によって第2レドックス生成物を生じさせ、第1及び第2電極が電解質と接触しており、ここで前記電解質が、第2レドックス生成物によって第1レドックス生成物が消滅可能となるようなものである方法を提供する。
好ましくは、第2電極は対向電極である。
好ましくは、第1レドックス生成物は活性レドックス生成物であって、電極近傍の基板を修飾するために用いることができる。
したがって、別の態様では、本発明は基板を処理する方法であって、該方法は基板に接している電解質および基板近傍にあって電解質に接している1つ以上の電極を設け、かつ少なくとも1つの電極近傍の基板を修飾する活性レドックス生成物を生じさせるように少なくとも1つの電極の電位を変えることを含み、該電解質が、第2レドックス生成物によって該活性レドックス生成物が消滅可能となるようなものであることを特徴とする方法を提供する。
消滅可能とは、第2レドックス生成物が、第1レドックス生成物と反応してその反応性を修飾することができ、その結果第1レドックス生成物は当初の形状と同じようには反応しないことを意味する。第1レドックス生成物が活性レドックス生成物である場合には、活性レドックス生成物と第2レドックス生成物との反応は活性レドックス生成物が基板を修飾することを妨げる。たとえば、活性レドックス生成物が酸の場合には、第2レドックス生成物は塩基であることができる。酸と塩基の反応は酸を消滅させて、それが基板を修飾するのを妨げる。
好ましい態様では、消滅反応は電解質中の1つ以上の物質を再生させる。
活性レドックス生成物とは基板を修飾することができる酸化または還元生成物を意味する。活性レドックス生成物は、電解質中の物質の酸化または還元によって直接生じさせることができる。あるいはまた、活性レドックス生成物は電解質中の物質の酸化又は還元に続く電解質中の他の物質との1つ以上の後続反応によって間接的に生じさせることができる。
通常、活性レドックス生成物は電極表面に生成する。ついで活性レドックス生成物はその近傍の基板を修飾することができる。酸は活性レドックス生成物の好ましい例である。酸は基板上の多種類の反応、たとえば脱離、置換、転位および化学エッチングに関与することができる。好ましくは、活性レドックス生成物が酸の場合には、その酸を用いて基板から酸不安定性保護基を除去する。
酸不安定性保護基は当業者には周知であって、たとえばアセタール類(たとえばメトキシメチル、メチルチオメチル、(2−メトキシエトキシ)メチル、ベンゾイルオキシメチル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジリデン、イソプロピリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン)、エステル類(たとえばベンゾイル、ベンゾイルオキシカルボニル、第三級ブトキシカルボニル)、エーテル類(たとえばトリチル、ジメトキシトリチル、第三級ブチル)及びシリルエーテル類(たとえば第三級ブチルジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル)が含まれる。好ましくは、酸不安定性保護基がトリチルまたはジメトキシトリチル(DMT)エーテルであり、これらはオリゴヌクレオチドの合成に通常用いられる保護基である。
同様に、活性レドックス生成物は塩基であることができる。塩基は基板上の種々の反応に関与することができる。たとえば、塩基は塩基不安定性保護基を除くのに用いることができる。
塩基不安定性保護基は当業者には周知であって、たとえば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびシアノエチル基が含まれる。
ラジカルは活性レドックス生成物の他の例である。ラジカルは基板上のラジカル反応を開始させるのに用いることができる。ラジカルを生成させるための電気化学的方法は当業
者には周知である。ラジカルを電気化学的に発生させるのに通常用いられる1つの方法はカルボキシレートアニオンの酸化である。
ハロゲンは活性レドックス生成物の別の例である。ハロゲンは、たとえば基板上の酸化反応または付加反応に用いることができる。ハロゲンは対応するハライドイオンの酸化によって電気化学的に生成させることができる。
活性レドックス生成物の前記及び他の例は当業者には容易に明らかであろう。
本発明の方法は基板を処理するのに用いられる。本明細書で用いる基板という用語は電極に近接して、活性レドックス生成物によって修飾することができる任意の物質を指す。基板は電極から分離させることができ、その場合に基板を電極近傍に置き、ついでレドックス反応の終了後に電極近傍から離す。あるいはまた、基板を電極自体または電極と同一表面に結合させることができる。必要ならば、レドックス反応が行われた後、基板を電極またはそれと同一表面からはがすことができる。
したがって、1つの態様では、基板は電極から分離され、かつ電極に近接する物質の表面である。このように、基板はガラス、プラスチック、固体繊維マトリックス、金属、半導体またはゲル物質の表面であることができる。この物質の表面はレドックス反応によって直接修飾することができる。さらに、この態様において、物質の表面は、物質を結合させていることができる。たとえば、有機化合物を公知の方法によって物質表面に結合させ(そして任意にそれからはがす)ことができる。このように、物質の表面に結合された物質はレドックス反応によって修飾することができる。
他の態様では、基板はリンカー基によって、電極と同一表面または電極自体に結合された物質である。米国特許第6,093,302号はこの集成装置の後者を述べており、すなわちリンカー基によって基板を電極に結合させる。
本発明の方法はWO93/22480に記載された方法に類似する。しかし、本発明の方法は電解質の選択の点で異なる。WO93/2240はトリメチルアミンと硫酸とのアセトニトリル溶液である電解質を使用する。本発明は活性レドックス生成物が少なくとも1種の他のレドックス生成物によって消滅可能となる電解質を使用する。この電解質の利点は電解質を生じさせた電極を速やかに包囲する領域に活性レドックス生成物を正確に閉じ込めることができるということである。
WO93/22480に記載された方法では、特定領域における酸の閉じ込めを電極電位の変動によって制御する。しかし、本発明者らは電解質がトリエチルアミンと硫酸とのアセトニトリル溶液であると、長時間の電解後に酸が閉じ込められないことを発見した。酸の不十分の閉じ込めは処理する基板の不十分な溶解能をもたらす。例えば、アノードの極く近傍から拡散し去るプロトンは電極間の帯域内の基板において反応することができる。このように拡散したプロトンの偶発的な反応は高分解能パターン化基板を得るという立場からは望ましくない。本発明により電解質を選ぶことによって、先行技術の電解質の問題を回避することができる。活性レドックス生成物が少なくとも1つの他のレドックス生成物により消滅可能となるように電解質を選ぶことは本発明の重要な特徴である。
当業者は、他のレドックス生成物によって消滅可能となる活性レドックス生成物を生じさせる電解質の多くの例について認識している。
このような電解質の例はI-とS46 2-の組み合わせである。アノードにおけるヨージ
ドの酸化はヨウ素(活性レドックス生成物)を生成し、一方カソードにおけるS46 2-の還元はS23 2-を生成し、これはアノードにおいて生成したヨウ素を消滅させることができる。電解質中の反応は次のように表すことができる:
アノード:
Figure 2005502032
カソード:
Figure 2005502032
該反応によるヨウ素の消滅:
Figure 2005502032
好ましくは、活性レドックス生成物が酸で、消滅レドックス生成物がアニオン、好ましくは有機ラジカルアニオンである。通常、酸はアルコール(任意の脂肪族または芳香族アルコールであることができる)の酸化によってアノードに生成する。該電解質においては、消滅するアニオンは通常適当な物質の還元によってカソードに生成する。多くの物質がカソードで還元されてアニオンを生成し、これがアノードで生成した酸を消滅させることができる。たとえば、溶解した分子状酸素はカソードで還元され、それによってO2 -および/またはO2 2-を生成させることができる。
適当なレドックス生成物を生成させる電解質の例はケトンと対応するアルコールとの組み合わせである。アノードにおけるアルコールの酸化はプロトン(活性レドックス生成物)を生成し、一方カソードにおけるケトンの還元はラジカルアニオンを生成し、これがアノードで生成したプロトンを消滅させることができる。
電解質中の反応は次のように表すことができる:
アノード:
Figure 2005502032
カソード:
Figure 2005502032
式中R1およびR2は独立的に任意に置換されたC1ないしC15ヒドロカルビル(ここで3
個までのC原子はN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)から選ばれるか;またはR1およびR2が一体となって任意に置換されたC1ないしC15シクロヒドロカ
ルビレン(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)を形成する。
好ましくは、R1及びR2は独立的に任意に置換されたC1-8アルキル、C3-8シクロアルキルまたはフェニル基から選ばれる。
「ヒドロカルビル」という用語は本明細書では炭素と水素からなる一価の基を指すのに用いられる。したがってヒドロカルビル基はアルキル、アルケニル及びアルキニル基(直鎖状ならびに分枝鎖状)、シクロアルキル(ポリシクロアルキルを含む)、シクロアルケニル及びアリール基、ならびにアルキルシクロアルキル、アルキルポリシクロアルキル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、シクロアルキルリールおよびシクロアルケニルアリール基のような前記の結合物を含む。
「ヒドロカルビレン」という用語は本明細書では炭素と水素からなる二価の基を指すのに用いられる。したがってシクロヒドロカルビレン基はシクロアルキレン、シクロアルケニレンおよびアリーレン基を含む。
「アリール」という用語は本明細書ではフェニル、ナフチルまたはアントラシルのような芳香族基を指すのに用いられる。あるいはまた、アリール基がO、Nおよび/またはSで置換された炭素原子を有する場合には、アリールという用語はピリジル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、トリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリルのような複素環式芳香族基を指す。
本明細書で任意の置換基に言及する場合には、該置換基は好ましくはC1ないしC6アルキル、C1ないしC6アルコキシ、チオ、C1ないしC6アルキルチオ、カルボキシ、カルボキシ(C1ないしC6)アルキル、ホルミル、C1ないしC6アルキルカルボニル、C1ないしC6アルキルカルボニルアルコキシ、ニトロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、C1ないしC6アルキルヒドロキシ、ヒドロキシ(C1ないしC6)アルキル、アミノ、C1ないしC6アルキルアミノ、ジ(C1ないしC6アルキル)アミノ、アミノカルボキシ、C1ないしC6アルキルアミノカルボキシ、ジ(C1ないしC6アルキル)アミノカルボキシ、アミノカルボキシ(C1ないし6)アルキル、C1ないしC6アルキルアミノカルボキシ(C1ないしC6)アルキル、ジ(C1ないしC6アルキル)アミノカルボキシ(C1ないしC6)アルキル、C1ないしC6アルキルカルボニルアミノ、C5ないしC8シクロアルキル、C5ないしC8シクロアルキル(C1ないしC6)アルキル、C1ないしC6アルキルカルボニル(C1ないしC6アルキル)アミノ、ハロ、C1ないしC6アルキルハロ、スルファモイル、テトラゾイル及びシアノから選ばれる。
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」はヨウ素、臭素、塩素またはフッ素を指す。
電解質のレドックス特性を変えるために、R1およびR2の性質を変化させることができる。たとえば、R1およびR2への置換基の導入は酸化または還元が起こる電位を変えることができる。
ケトン/アルコール電解質の好ましい例は適当な有機溶剤中の2−プロパノン/イソプロパノールおよびベンゾフェノン/ベンズヒドロールである。
適当な電解質の他の例はベンゾキノン/ヒドロキノン及びそれらの誘導体である。該電解質は下記の組み合わせであることができる:
Figure 2005502032
式中R3、R4、R5及びR6は独立的に下記から選ばれる:
水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシル、チオ、ニトロ、アミノ、任意に置換されたC1ない
しC15ヒドロカルビル(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる);または
3およびR4ならびに/またはR5及びR6が一体となって任意に置換されたC1ないしC15シクロヒドロカルビレン(式中C原子を3個までN、Oおよび/またはS原子で置換さ
せることができる)を形成する。
好ましくは、R3、R4、R5およびR6は水素、任意に置換されたC1-8アルキルから独
立的に選ばれるかまたはR3/R4およびR5/R6が一体となってフェニレンのような任意に置換されたC5−C12アリ−レン基を形成する。
電解質のレドックス特性を変えるため、たとえば酸化または還元が起こる正確な電位を変えるために、R3、R4、R5及びR6の性質を変化させることができる。ベンゾキノン/ヒドロキノン誘導体を原料とする電解質の好ましい例は適当な溶剤中のアントラキノン/アントラキノールおよびジュロキノン/ジュロキノールである。
好ましい態様では、電解質はアセトニトリル中のベンゾキノンとヒドロキノンの混合物を含む。この混合物は水素イオンである活性レドックス生成物をもたらす。水素イオン(プロトン)はベンゾキノンラジカルアニオンによって消滅可能となる。
具体的にはヒドロキノンはアノードで酸化されてベンゾキノンとプロトンを生成する:
Figure 2005502032
ヒドロキノンの酸化によって遊離したプロトンはほとんどアノードに局在化して、その
近傍の基板を修飾することができる。たとえば、プロトンは酸不安定性保護基を有する基板を脱保護することができる。
ベンゾキノンはカソードで還元されてベンゾキノンラジカルアニオンを生成する:
Figure 2005502032
ベンゾキノンラジカルアニオンはアセトニトリルのような溶剤中では比較的安定な種である。このラジカルアニオンは下記の反応により、アノードの極く近傍から脱離する偶発的なプロトンを消滅させる:
Figure 2005502032
このようにして、電極に生じた活性レドックス生成物、たとえばアノードに生じたプロトンを局在化させることによって処理される基板領域の溶解能を向上させることができる。
本発明に用いられる電解質は水、THF(テトラヒドロフラン)、メタノール、エタノール、DMF(ジメチルホルムアミド)、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、DMSO(ジメチルスルホキシド)またはアセトニトリルのような適当な溶剤を含むことができる。当業者には、溶剤の選択が電極におけるレドックス反応および/または消滅反応の動力学または平衡に影響することがあることが理解されよう。溶剤は溶解している種の反応性、たとえば錯体形成、水素結合、双極子相互作用または電荷非局在化に影響することがある。好ましくは、溶剤はラジカルアニオンを安定化させることができる非プロトン性溶剤である。非プロトン性溶剤の例はジクロロメタン、DMF、DMSO、アセトニトリル及びTHFである。より好ましくは溶剤がアセトニトリルである。
好ましい態様では、電解質はさらに伝導率向上剤を含む。伝導率向上剤は電解質の伝導率を高める物質である。伝導率向上剤が存在しない場合よりも低電圧で電解を行うことができるように、電解質の伝導率を高めることが望ましい。電解質に可溶なイオン物質がこの目的に適している。たとえば、電解質がアセトニトリルのような有機溶剤を含む場合には、適当な伝導率向上剤はテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートのようなテトラ(C1-8アルキル)アンモニウム塩であることができる。
当業者には電解質中の塩が、単に電解質の伝導率を高める以外に効果をもたらし得ることが理解されよう。塩は電極における消滅反応および/またはレドックス反応の働力学または平衡に影響を及ぼすことができる。塩の存在が溶解状態にある帯電種間の静電的相互作用に影響を及ぼすことは公知である。逆に、これは反応性に影響を及ぼすことができる。たとえば、電解質がヒドロキノン/ベンゾキノンのアセトニトリル溶液である場合には、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの添加は消滅反応の程度を修飾するのみならず伝導率を高めることが認められた。
本発明の方法はWO93/22480に記載されているような装置を用いて行うことができる。WO93/22480に記載されている装置は絶縁面上に離間した電極の配列を含む。電極は、電位を変えるために電気接続手段を備えた白金の付着物である。
しかし、本発明の方法はイリジウム電極を用いて行うのが好ましいことが認められている。したがって、本発明は、表面を有する電気絶縁物質のブロック、および表面に離間して配列しているイリジウムの付着物を含み、各付着物が電位を変えるために電気接続手段を備えている、本明細書に記載した方法で用いるのに適する電極の配列を設ける。
イリジウムを用いる利点はそれが導電性にすぐれ、化学的に不活性であるという点にある。さらに、イリジウムは本発明の方法を用いて行うことができる高電位において劣化を生じない。従来、白金が電極物質として用いられていた。しかし、白金は、とくに高電極電位において、シリコンウエハーのような物質に十分に接着しないことが認められた。本明細書に述べた内部消滅反応は、処理される基板において溶解能の著しい損失なしに高電極電位の長時間使用を可能にする。高電極電位の使用は電極の設計変更を必要とした。
アルミニウム、銀及び金を含む多くの金属について電極としての適性を試験した。しかし、驚くべきことに、本発明者らはイリジウムが電極として優れた最良の物質であることを認めた。イリジウムは電解中劣化せずに、酸化シリコンウエハーのような物質によく接着することが認められた。
不溶性ポリマー、セラミック酸化物(たとえばアルミナ)または酸化シリコンウエハーのような適当な物質から電極の配列を形成させる物質のブロックを作ることができる。好ましくは、該物質は酸化シリコンウエハーである。
適当な方法を用いてイリジウム電極の配列を作ることができる。好ましい態様では、電極の配列を下記工程を含む方法によって作る:
(i)表面に二酸化シリコン層を有するシリコンウエハーを設け;
(ii)離間して配列をなしたイリジウムを二酸化シリコン表面に付着させ;そして
(iii)200−500℃の範囲の温度の空気中でイリジウムをアニールする。
典型的な方法では、シリコンウエハー上の二酸化シリコン層にポシティブ有機フォトレジストを適用する。適当なフォトマスクを通してフォトレジストを紫外線に暴露して、二酸化シリコンの領域を露出させる。電子ビームガンを用いて物質表面にイリジウム金属を付着させる。ついでフォトレジスト層を除いて電極の配列を露出させる。最後に、イリジウム電極を空気中でアニールしてウエハー表面に対する接着性を向上させる。典型的には、イリジウムを約350℃で15分から3時間、好ましくは約1時間アニールする。
アニーリング工程はイリジウムの二酸化シリコンに対する接着性にとって重要である。イリジウムが2545℃の融点を有すると仮定すると、約350℃の温度におけるアニーリングの効果は驚くべきものである。50nmのイリジウム層の場合でさえも、アニール
された電極は鋼鉄のスクラペル刄によるスクラッチに耐え得ることが認められている。さらに、イリジウム電極は本発明の方法で用いることができる苛酷な化学的環境、高電位及び高電流に耐えることができる。
電極は0.5mm未満に離間した平行線の配列であるのが好ましい。電極は好ましくは、0.1−200ミクロン、より好ましくは1−100ミクロン、さらに好ましくは10−60ミクロンに離間している。
1つ以上の電極を対向電極として使用するのが好ましい。電気化学的に基板を処理する通常の方法とは対照的に、修飾される基板は電極または対向電極を形成しないことが好ましい。したがって、本発明の方法はWO93/22480に記載されている方法に類似することができる。さらに、処理される基板は電気絶縁面であることができる。
好ましい態様では、本発明はいくつかの処理を順次行う方法を提供する。したがって、配列の電極は、配列中の1つ以上の電極の選択された1組の電位を変えることによって各処理を行うように接続するのが好ましい。
好ましくは、本発明の方法において、処理される基板は固体表面に結合された物質を含む。固体表面は電極を有する表面であることができる。好ましくは、固体表面は電極近傍の異なる面である。活性レドックス生成物は固体に結合された物質の化学的修飾を生じさせるために用いることができる。当業者は多くの活性レドックス生成物および対応する化学的修飾を着想することができる。好ましい態様では、処理される基板は酸不安定性保護基を有する物質を含む。この好ましい態様では、電解質中で酸を生じる電位におけるアノードとして配列中の少なくとも1つの電極を接続することによって処理を行う。ついで、このように生じた酸はアノード近傍領域内の表面に結合された物質から酸不安定性保護基を除去する。
しかし、活性レドックス生成物が基板における種々の化学反応に関与し得ることは理解されよう。1つの潜在的用途はSchusterらがScience,2000,289,96−101に述べた電気化学的微細加工技術にある。Schusterが述べたツールは、本発明による電解質を用い、レドックス生成物の拡散を防ぐために対向電極のリングでプローブチップを包囲することによって適応させることができる。このように、本発明は既存のナノスケールパターン化技術に適用することができる。たとえば、表面から少量の物質の除去を必要とするエッチングまたはナノ加工用に酸を用いることができる。
あるいはまた、酸によって促進させる有機又は無機反応に酸を関与させることもできる。当業者は本発明への使用に適するかもしれない極めて多くの潜在的反応を知っていよう。有機反応の例にはエポキシド開環、多重結合への付加、転位、置換(たとえば第三級アルコールのSNI置換)、脱離、エノールの後続反応を伴うエノール生成、および有機酸
塩の単純なプロトン付加がある。
同様に、活性レドックス生成物がハロゲンである場合には、ハロゲンを温和な酸化、基板の漂白またはハロゲン化に関与させることができる。活性レドクッス生成物はハライドイオンであることもでき、それを置換反応に用いることができる。
本発明の方法は、表面に結合された小さな有機化合物のライブラリの合成に用いることもできる(たとえばSchreiber,Science 2000,287,1964−1969参照)。小さな有機化合物のライブラリは薬剤発見の分野で重要である。本方法を適用できる反応の範囲はそれが該ライブラリの合成に最適であることを意味する。
好ましくは、オリゴヌクレオチド、多糖類およびタンパク質のようなオリゴマーの段階的化学合成に本発明の方法が用いられる。より好ましくは、本発明の方法はオリゴヌクレオチドの合成に用いられる。
1組のオリゴマーの合成法は下記:
(a)保護基を有する物質の配列、基板に接している電解質および基板近傍にあって電
解質に接触している電極の配列を結合させた基板を設け;
(b)選択された物質から保護基を除く活性レドックス生成物を生成させるように1つ
以上の電極の電位を選択的に変え;
(c)保護モノマーと工程(b)で作った脱保護物質とをカップルさせ;そして
(d)1組のオリゴマーを合成するように、工程(b)の工程で選んだ1つ以上の電極
を変えながら、工程(b)および(c)を繰り返し、
活性レドックス生成物が少なくとも他の1つのレドックス生成物によって消滅可能となるように電解質を選ぶことを特徴とした工程を含むことができる。
オリゴヌクレオチドの合成において前記の方法を用いる場合には、活性レドックス生成物が好ましくはプロトンで、保護基が好ましくはフラニルヒドロキシル基を保護するトリチルまたはジメトキシトリチル(DMT)基のような酸不安定性保護基である。当業者にはWO93/22480に記載されているようにこの方法がDNAチップの連結合成に特に適していることが理解されよう。
前記の方法はペプチドの合成に用いることもできる。たとえば、アノードに生じたプロトンを用い、窒素原子から第三級ブチルオキシカルボニル(Boc)保護基の逐次除去によってペプチドを合成することができる。他のオリゴマーの合成も当業者には容易に明らかであろう。
図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明しよう。
図1について説明すると、電極の配列が高抵抗率の酸化シリコンウエハー(1)上に配置されており、その上面にイリジウム層が付着している。ポジティブレジスト写真平版法を用いシリコンウエハー上のイリジウム層中にギャップ(2)を形成させて、平行電極の配列(3)を得る。各電極及び各ギャップの幅は約40ミクロンである。電極配列の上にシリコンウエハー(4)を置く。シリコンウエハーを修飾して表面にDMT保護ヌクレオシドを存在させる。
図2について説明すると、電極の配列および基板の一部が示されている。中央の電極がアノードで他の2つの電極がカソードである。アセトニトリル中にベンゾキノンおよびヒドロキノンを含む電解質が電極および処理される基板と接触している。アノードにおいて、ヒドロキノンを酸化して、ベンゾキノンおよびプロトンを生成させる。大部分のプロトンはアノード近傍の基板領域に閉じ込められる。したがって、閉じ込められたプロトンは基板に結合された保護ヌクレオチド部分からDMT基を除去する。しかし、プロトンの一部はアノードとカソードとの間の帯域に拡散することができる。
カソードにおいて、ベンゾキノンの還元によってベンゾキノンラジカルアニオンが生成する。ベンゾキノンラジカルアニオンは比較的安定な種で、アノードとカソードとの間の帯域に拡散することができる。ベンゾキノンラジカルアニオンはこの帯域内に拡散しているプロトンを消滅させて、図示のようにヒドロキノン及びベンゾキノンを生成させる。したがって、拡散したプロトンはアノード近傍でない基板領域における反応を阻止する。電極間の領域においてプロトンが偶発的に反応するのを阻止することによって、パターン化された基板の分解能が改善される。
図2はまた基板の特定領域からの前記脱トリチル化に続く基板の次の処理をも示す。標準条件下で遊離ヒドロキシル基をアセチル化してDMT基の残部を除去する。得られた遊離ヒドロキシル基を蛍光染料(Cy5 ホスホルアミダイト)で処理し、共焦点検鏡法によって基板のイメージ化を可能にする。したがって、初期の脱トリチル化工程の分解能を好適に解析することができる。しかし、前記の方法論を用いて基板の選択された領域にオリゴマーを合成できることは容易に明らかであろう。
図3について説明すると、共焦点検鏡法を用いて、1.33Vの一定電位における電解時間変動の影響を示す。この図において、明るい領域は、電解中にDMT基が除去されなかった基板領域の蛍光を示す。その後蛍光染料Cy5で残留DMT基を置換させる。明るい領域は通常隣接カソードである。暗い領域は電解中にDMT基が除去された領域である。得られた遊離ヒドロキシル基を非蛍光性アセチル基でアセチル化する。暗い領域は通常隣接アノードである。
図3は、2.0s後には、アノード隣接領域にはDMT基が完全に除去されることを示す。さらに、パターン化基板の分解能は80s後も変わらない。アノードおよびカソード近傍領域に該当するシャープに示された筋がある。これは長時間の電解後でさえも、電解中に生じたプロトンはアノード近傍領域に完全に閉じ込められていることを示す。
図4(a)および(b)は電極の配列からのカソードの除去の著しい効果を示す。暗い領域はDMT基が除去された領域を示す。電極電位を1.33Vに固定する。いったん中央のカソードを除去すると、アノードに生じたプロトンは中央領域内に自由に拡散することができる。これは明らかにアノーに生じたプロトンを消滅させることができる種を生成させるカソードを有するという閉じ込め効果を示す。
本発明の方法を下記の実施例でさらに詳細に説明する。
(実施例)
(実験の部)
(電極アセンブリ)
通常のポジティブレジスト写真平版法を用いて高抵抗率の酸化シリコンウエハー上にイリジウム金属(厚さ50nm)電極を生成させた。酸化シリコンウエハーをポジティブフォトレジスト層で被覆しフォトマスクを通して紫外線に暴露した。ウエハーを脱イオン水で洗い、100℃で20分焼き、次いで反応性イオンエッチングで「脱スカム」した。長さ約7500ミクロン、幅40ミクロンの96個の平行電極の配列を得るようにフォトマスクを選んだ。隣接電極間のギャップは約40ミクロンであった。
電子ビーム法によってウエハー上にイリジウムを付着させた。イリジウム金属を真空蒸発器内のるつぼに入れ、2,3個のウエハーを真空蒸発器内のるつぼから約20cmのところに置いた。チャンバーを3×10-6Torrに排気し、5kVで300mAにセットした電子ビームガンで金属を約3分間加熱することによってウエハーに500nmのイリジウムを被覆した。
ついでウエハーを超音波アセトン浴中に30分間入れてフォトレジスト層を除き、こうして電極の配列を露出させた。空気中で電極を350℃で約1時間アニールして、ウエハー基板との接着力を高め、かつ反応性イオンエッチングで洗浄した。
加熱アニーリング及び洗浄工程後、各電極をそれぞれ超音波金線ボンディングによって印刷回路板に接続し、そこではディジタル制御化「アナログスイッチ」集積回路が一定の非ブロック化工程のために選んだ電極を活性化させる。多重独立操作性増幅器制御電圧源として電流を加えた。平行低ノイズ計装増幅器帰還回路は絶えず各電極においてナノアン
プ精密電流を測定した。この操作のためにとくにプログラムされたコンピューターがすべての電圧、タイミング、及び電極切替ならびに収集した電流測定データを制御した。
(固体支持体アセンブリ)
研磨した二酸化シリコンウエハーをパターン化した基板支持体として使用した。電気化学的パターン化に先立って、ウエハー表面をリンカー分子で機能化して、有機試薬を結合させた(Gray,D.E.,CaseGreen,S.C.,Fell,T.S.,Dobson,P.J.&Southern,E.M.Ellipsometric and interferometric characterization of DNA probes immobilized on a combinatorial array.Langmuir 13,2833−2842(1997))。ウエハーを5mlのグリシドオキシプロピルトリメトキシシラン含有アンプルとともに、容積が19.1lの真空炉のチャンバーに入れた。炉を185℃に加熱した後、アンプルを205℃に加熱して、チャンバーを25−30mBarに脱気した。約2.5mlのシランの蒸発後、チャンバーを減圧下(10-3Torr)で冷却した。グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン誘導ウエハーを微量硫酸含有ポリエチレングリコール100%溶液中に浸せきすることによって「リンカー分子」を結合させた。ついで通常のオリゴヌクレオチド合成法により、DMT含有ホスホルアミダイトをポリエチレングリコールの遊離ヒドロキシルに共有結合させた(Beaucage,S.L.&Iyer,R.P.Advances in the Synthesis of Oligonucleotides by the Phosphoramidite Approach.Tetrahedron 48,2223−2311(1992))。このように調製したウエハー基板をパターン化に使用するために1cm平方に切断した。
(実施例1)
電極の配列(前記のように調製)を固体支持体から20ミクロン離れた距離に置いた。固体支持体を前記のように調製して、チミジンホスホルアミダイトをポリエチレングリコールリンカー分子に結合させた。チミジンホスホルアミダイトはDMT基によって5’−ヒドロキシル基を保護した。
電解質溶液(25mM ヒドロキノン/25mM キノン/25mM テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの無水アセトニトリル溶液)を電極の配列と固体支持体との間のキャビティに導入した。ついで選択されたアノードをカソードに対して1.33Vにセットして、図3に示すように、電圧を2から80s維持した。
電解後に、シリコンウエハーをアセトニトリルで洗い、標準法を用いて無水酢酸でアセチル化した。この工程で、露出したヒドロキシ基を有するシリコンウエハーのDMT脱保護部分のみをアセチル化した。
ついで基板全体をジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液で処理することによって、電気化学的工程で除去されなかったDMT基を除去した。こうして露出したヒドロキシル基を、標準のホスホルアミデイトカップリング法を用いて蛍光染料Cy5にカップルさせ、その結果共焦点検鏡法でCy5の蛍光を観察することによって、酸の電気化学的生成によって生じたパターンを明らかにした。この工程順序を図2に示す。
図3は1.33Vにおける電解時間増大の影響を示す。約2.0s後、いったん最大帯域幅に達すると、電解80.0s後でさえも、基板の分解能は維持される。
(実施例2)
さきに述べた通りに実施例1を正確に繰り返したが、ただし選択されたアノードにおいては1.33Vの電圧を16s維持した。図4(a)および(b)に示したように、カソ
ード除去の著しい効果を調べた。中央のカソードを除いた場合には、拡散したプロトンの制御がない。拡散したプロトンは中央領域になだれ込むことができ、アノード周囲に局在化しない。これは、図4(b)の蛍光基を含まない中央の暗い領域によって実証される。
(実施例3)
固体支持体上の17量体オリゴマーの合成において、電気化学的に制御されたDMT脱保護16工程とともに、実施例1に述べた一般的方法を使用した。使用法は実施例1と同じであったが、ただし電極の配列は基板表面から40ミクロン離れた距離に置いた。
ジメトキシトリチル(DMT)保護デオキシアデノシン(dA)残基の均一被覆を、標準ホスホルアラミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上のポリエチレングリコールリンカー基にカップルさせた。
アセトニトリルによる徹底的な洗浄後、実施例1に用いた電解質を電極の配列と固体支持体との間のキャビティに導入した。選択されたアノードに1.33Vの電位を9s加えて、その近傍のDMT基を除去した。2つのカソードによって該アノードの側面を包囲させた。
アセトニトリルによるなお一層の洗浄に続いて、標準ホスホルアラミドカップリング法を用いて、DMT保護ヌクレオチド残基を露出ヒドロキシル基にカップルさせた。得られた三価のリン結合をヨウ素で酸化して五価のリン結合を得、さらにシリコンウエハー全体をアセトニトリルに続いてジクロロメタンで洗った。固体支持体上のオリゴヌクレオチドの合成に用いた標準のカップリング及び酸化工程は当該分野では周知である(たとえばABI Synthesizer Manual,Section 2:“Chemistry for Automated DNA Synthesis”参照)。
ホスホルアミダイトカップリング工程に導入したDMT保護ヌクレオチド残基を変えて、この方法を繰り返した。このようにして、固体支持体上にオリゴヌクレオチドを合成した。
2種の17量体オリゴヌクレオチド:野生型“A”ヒトのヘモグロビンmRNAおよび対応する“S”型鎌型赤血球変位体mRNAの合成において、適切にプログラムされたコンピューターにより制御された自動装置でこの方法を使用した。17量体は固体支持体の一定のストリップ上にすぐれた収率で形成された。WO93/22480に記載されているように、この方法がDNAチップの連結合成に使用可能なことは当業者には容易に理解されよう。
いうまでもなく本発明は実施例によって述べただけであり、細部の変更が本発明の範囲内に入ることは理解されよう。
図1は本発明の方法を実施するのに適当な装置を示した図である。 図2は基板の選択された領域の修飾可能な方法を図示した図である。 図3は電解時間を変動させる効果を示した図である。 図4は電極の配列からカソードを除去する効果を示した図である。

Claims (35)

  1. 基板を処理する方法であって、該基板に接触している電解質および該基板近傍にあって該電解質に接触している電極を設け、少なくとも1つの第1電極の電位を、該第1電極近傍の基板を修飾する活性レドックス生成物を生じさせるように変え、該第1電極近傍の第2電極により第2レドックス生成物を生成することを含み、該電解質が、第2レドックス生成物によって該活性レドックス生成物が消滅可能(quenchable)となるようなものであること、および修飾される基板が第1電極も第2電極もいずれも形成せず、かつ該第1および第2電極から分離していることを特徴とする方法。
  2. 電解質が溶媒を含み、前記活性レドックス生成物も第2レドックス生成物もいずれも当該溶媒から形成されない、請求項1に記載の方法。
  3. 電解質が有機溶媒を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはアセトニトリルから選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 消滅反応が前記電解質を再生させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 活性レドックス生成物がプロトンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 第2レドックス生成物が有機ラジカルアニオンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 電解質がヒドロキノンおよびベンゾキノン、またはそれらの誘導体の溶液である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 電解質が
    Figure 2005502032
    {式中、R3、R4、R5およびR6は:
    水素、ハロ、ヒドロキシル、チオ、ニトロ、アミノ、任意に置換されたC1〜C15ヒドロカルビル(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)から独立して選ばれるか;または
    3およびR4ならびに/またはR5およびR6は一体となって任意に置換されたC1〜C15シクロヒドロカルビレン(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)を形成する}の溶液である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 電解質がヒドロキノンおよびベンゾキノンのアセトニトリル溶液である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 電解質がさらに伝導率向上剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 伝導率向上剤がテトラ(C1-8アルキル)アンモニウム塩である、請求項11記載の方法。
  13. 伝導率向上剤がテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートである、請求項12に記載の方法。
  14. 幾つかの処理を順次行うために、列の電極を、該列の1つ以上の電極の選択された組の電位を変えることによって各処理を行うように接続する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 基板が表面に結合された物質の列を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記表面が酸化シリコンウエハーの表面である請求項15記載の方法。
  17. 処理される物質が酸不安定性保護基を含む請求項15記載の方法。
  18. 前記表面上の物質から酸不安定性保護基を除去する電位で、列の少なくとも1つの電極をアノードとして接続することによって各処理を行う、請求項17記載の方法。
  19. オリゴマーの段階的化学合成中に前記または各処理を行う、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. (a)保護基を有する物質の列に結合させた基板、基板に接触している電解質、および基板近傍にあって該電解質に接触している電極の列を設け;
    (b)(i)活性レドックス生成物であって選択された物質から該保護基を除去するもの、及び第2レドックス生成物を生じさせるように、1つ以上の該電極の電位を選択的に変え;
    (c)保護されたモノマーと工程(b)で生じさせた脱保護された物質をカップリングさせ;そして
    (d)1組のオリゴマーを合成するように、工程(b)で選ばれ1つ以上の電極を変えながら、工程(b)及び(c)を繰り返す
    工程を含み、該活性レドックス生成物が第2レドックス生成物によって消滅可能となるように該電解質を選ぶことを特徴とし、修飾される基板が電極を形成せず、かつ当該電極の列から離れている、1組のオリゴマーの合成法。
  21. 電解質が溶媒を含み、前記活性レドックス生成物も第2レドックス生成物もいずれも該溶媒から形成されない、請求項20に記載の方法。
  22. 電解質が有機溶媒を含む、請求項20または21に記載の方法。
  23. 溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはアセトニトリルから選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 消滅反応が電解質を再生させる、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 物質の列を表面に結合させ、前記表面上に該オリゴマーを合成させる、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. オリゴマーがオリゴヌクレオチドである、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 活性レドックス生成物がプロトンであり、そして保護基が酸不安定性保護基である、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 電解質がヒドロキノンおよびベンゾキノン、またはそれらの誘導体の溶液である、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 電解質が
    Figure 2005502032
    {式中、R 3 、R 4 、R 5 およびR 6 は:
    水素、ハロ、ヒドロキシル、チオ、ニトロ、アミノ、任意に置換されたC 1 〜C 15 ヒドロカルビル(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)から独立して選ばれるか;または
    3 およびR 4 ならびに/またはR 5 およびR 6 は一体となって任意に置換されたC 1 〜C 15 シクロヒドロカルビレン(ここで3個までのC原子は任意にN、Oおよび/またはS原子で置換させることができる)を形成する}の溶液である、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 電解質がヒドロキノンおよびベンゾキノンのアセトニトリル溶液である、請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 電解質がさらに伝導率向上剤を含む、請求項20〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 伝導率向上剤がテトラ(C 1-8 アルキル)アンモニウム塩である、請求項31記載の方法。
  33. 表面を有する絶縁物質のブロックおよび該表面上の列中に離間しているイリジウムの付着物を含み、各付着物がその電位を変えるために電気接続手段を備えており絶縁物質のブロックが酸化シリコンウエハーである、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法に用いるのに適する電極の列。
  34. イリジウム付着物が離間した平行線状をなしている、請求項33に記載の列。
  35. (i)その表面上に二酸化シリコン層を有するシリコンウエハーを設け;
    (ii)離間した列をなしたイリジウムを該二酸化シリコン面付着させ;そして
    (iii)200−500℃の範囲の温度の空気中で該イリジウムをアニールする
    工程を含む方法によって作製される、請求項33又は34に記載の列。
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