JP2005501830A - 放射性標識神経ペプチドyy5受容体拮抗薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の標識および画像診断に有用な放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2001年7月24日出願の米国特許仮出願番号60/307,499の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
非観血的核撮像技術を用いて、実験動物、正常な人間および患者を含む様々な生きている被験者の生理学および生化学に関する基礎情報および診断情報を得ることができる。これらの技術は、そうした生きている被験者に投与されたラジオトレーサーから放射される放射線を検出することができる高性能撮像装置の使用に基づく。得られた情報を再構築して、平面および断層画像を生じることができる。適切に設計されたラジオトレーサーの使用によって、構造、機能、および最も重要には、被験者の生理学および生化学に関する情報を含む画像を得ることができる。この情報の大部分は、他の手段では得ることができない。これらの研究に用いられるラジオトレーサーは、設定された挙動をインビボで有するように設計され、それによって、被験者の生理学または生化学に関する特定の情報の検出が可能となる。目下、ラジオトレーサーは、心臓機能、心筋血流、肺血潅流、肝機能、脳血流、局所脳ブドウ糖および酸素代謝などのことに関する有用な情報を得るために利用可能である。
【0003】
化合物は、陽電子またはγ線放射型放射性核種のいずれかで標識することができる。撮像に最も一般的に用いられている陽電子放射型(PET)放射性核種は、11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらは、すべて、加速器で製造され、それぞれ、20、110、2および10分の半減期を有する。これらの放射性核種の半減期は非常に短いので、それらの製造現場に加速器を備えている施設でしか使用できず、それ故、使用が制限される。サイクロトロンの数が最近増加したことから、陽電子放射型放射性核種、18Fが今では広く利用できるようになり、そのため現在では米国および世界の残りの大部分の国々のほとんどの病院が、18F標識ラジオトレーサーを利用することができる。幾つかのγ線放射型ラジオトレーサーが利用可能であり、米国の本質的にあらゆる病院および世界中のほとんどの病院が、これらを使用することができる。これらのうち最も広く用いられているものは、99mTc、201Tlおよび123Iである。
【0004】
過去20年間、核医学研究の最も活発な分野の一つは、受容体撮像ラジオトレーサーの開発であった。これらのトレーサーは、選択的ホルモン受容体および神経受容体に高い親和性および特異性をもって結合する。成功例には、次の受容体系:エストロゲン受容体、ムスカリン性受容体、ドーパミンD1およびD2受容体、ならびにアヘン剤受容体、を撮像するためのラジオトレーサーが挙げられる。
【0005】
神経ペプチドY(NPY)は、膵臓ポリペプチドファミリーのメンバーである36アミノ酸ペプチドであり、このファミリーには、膵臓ポリペプチド(PP)およびペプチドYY(PYY)も含まれる。NPYは、中枢および抹消神経系全体にわたって位置し、中枢性内分泌腺分泌、血管および平滑筋の活性、食欲、記憶、不安、血圧調節および生殖を含む様々な範囲の生物学的機能に影響を及ぼす。例えば、Karlaら,Phys.& Behavior 50,5(1991)参照。
【0006】
NPY受容体は、G蛋白共役受容体スーパーファミリーのメンバーである。現在、NPYは、少なくとも5つの受容体:Y1、Y2、Y3、Y4およびY5に結合することが知られている。NPY Y5作動薬および拮抗薬は、NPY Y5の不均衡に関連した生理学的障害の治療、すなわち、肥満、糖尿病および過食症などの治療のために開発中である。
【0007】
PET(陽電子放射型断層撮影)ラジオトレーサーおよび撮像法は、神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の臨床評価および用量選択のために効果的な方法である。脳および他の組織における神経ペプチドY Y5受容体特異的画像を生じるフッ素−18または炭素−11標識ラジオトレーサーを用い、神経ペプチドY Y5受容体を飽和するために必要な用量を、人間において、PETラジオトレーサー画像の遮断により、判定することができる。このアプローチの基本原理は、次のとおりである:神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の有効度は、受容体阻害度の結果であり、そしてまた、薬−受容体占有率の関数である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、伝統的な試験および画像診査および診断用途に有用であるばかりでなく、神経ペプチドY Y5受容体の標識のため、ならびに非標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬および作動薬との競合のための、インビトロ、インビボ両方のアッセイにも有用である放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を開発することである。本発明のさらなる目的は、そうした放射性標識化合物を含む新規アッセイを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一定の放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬に関する。本発明は、さらに、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の標識および画像診断のためのそうした放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の使用法に関する。
【0010】
本発明は、一定の放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬に関する。詳細には、本発明は、H、11C、18F、15Oおよび13Nから成る群より選択された放射性核種で標識することができる下記式:
【0011】
【化1】
Figure 2005501830
の化合物に関する。加えて、この化合物の類似体は、125I、123I、131I、75Br、15O、13N、211At、82Br、77Brまたは76Brで標識することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、放射性核種は、11Cまたは18Fからなる群より選択される。
【0013】
本発明は、本発明の化合物および少なくとも一つの医薬適合性の担体または賦形剤を含む放射性医薬組成物にも関する。
【0014】
本発明は、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の標識法にも関し、この方法は、そうした標識が必要な哺乳動物に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0015】
本発明は、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の画像診断法にも関し、この方法は、そうした画像診断が必要な哺乳動物に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0016】
本発明は、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体を支持する組織の画像診断法にも関し、この方法は、そうした画像診断が必要な哺乳動物に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0017】
本発明は、哺乳類の組織における神経ペプチドY Y5結合部位の画像診断法にも関し、この方法は、そうした画像診断が必要な哺乳類に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0018】
本発明は、哺乳動物における脳の画像診断法にも関し、この方法は、そうした画像診断が必要な哺乳動物に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0019】
本発明は、さらに、哺乳類組織における神経ペプチドY Y5受容体の検出および定量法に関し、この方法は、そうした定量が望ましい哺乳動物に有効量の本発明の放射性標識化合物を投与することを含む。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、哺乳動物は、人間である。
【0021】
本発明は、さらに、[11C]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミドの調製法に関する。
【0022】
本化合物に組み込むことができる、適する放射性核種には、H(Tとも記載される)、11C、18F、125I、82Br、123I、131I、75Br、15O、13N、211Atまたは77Brが挙げられる。本放射性標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の分析または製薬用途に依存する。従って、神経ペプチドY Y5受容体のインビトロでの標識および競合アッセイには、H、125Iまたは82Brが組み込まれている化合物が、一般に、最も有用である。画像診断薬には、11C、18F、123I、131I、75Br、76Brまたは77Brから選択された放射性核種が組み込まれている化合物が好ましい。一定の用途では、Tc99mなどのキレート放射性核種の組み込みも有用である。
【0023】
適切な放射性核種で標識された時、放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬は、画像診断、基礎調査および放射線療法用途に潜在的に有用である。可能な画像診断および放射線療法用途の特定の例には、神経ペプチドY Y5受容体の位置、相対活性および/または存在度の判定、神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬のラジオイムノアッセイ、ならびに哺乳動物またはその器官もしくは組織サンプルにおける神経ペプチドY Y5受容体の分布を判定するためのオートラジオグラフィーが挙げられる。
【0024】
詳細には、陽電子放射型放射性核種、F−18で標識付された時、本放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬は、生きている人間および実験動物の脳における神経ペプチドY Y5受容体の陽電子放射型断層撮影(PET)の撮像に有用である。この放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬は、受容体への結合に関する標識薬物と放射性標識化合物の間の競合により、非標識神経ペプチドY Y5受容体と神経ペプチドY Y5拮抗薬とのインビボでの相互作用を研究するための研究ツールとして用いることができる。このタイプの研究は、神経ペプチドY Y5受容体の占有と非標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の用量との関係を判定するため、ならびに様々な用量の非標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬による前記受容体の遮断継続時間を研究するために有用である。臨床ツールとして放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を用いて、神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の臨床上効能のある量の定義付けを助長することができる。動物実験では、放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を用いて、臨床開発のための選択に関し、可能性のある薬の候補間の選択に有用な情報をもたらすことできる。放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を用いて、生きている人間の脳および生きている実験動物の脳、ならびに組織サンプルにおける神経ペプチドY Y5受容体の局所的分布および濃度を研究することもできる。放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を用いて、疾病、または神経ペプチドY Y5受容体濃度の薬理関連変化を研究することもできる。
【0025】
例えば、本放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬などの陽電子放射型断層撮影(PET)トレーサーを現在利用可能なPET法と併用して、次の情報を得ることができる:神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬候補による受容体占有レベルと患者における臨床的有効度との関係;長期臨床研究開始前の神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の臨床試験のための用量選択;構造的に新しい神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の比較効力;神経ペプチドY Y5拮抗薬および他の薬剤で臨床ターゲットを治療している間の、インビボでの受容体の親和性および密度に対する神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の影響の調査;例えば、活性期の神経疾患の間、有効および非有効治療の間および寛解期の間の神経ペプチドY Y5受容体の密度よび分布における変化;ならびにCNS障害(例えば、うつ病、頭部損傷およびパーキンソン病)の際の神経ペプチドY Y5受容体の発現および分布における変化。
【0026】
本化合物を画像診査または診断薬として用いるには、放射性標識化合物を、医薬組成物の状態で、医薬組成物中、単独で、または好ましくは、標準的な製薬実施法に従って、医薬適合性の担体もしくは希釈剤、場合によっては明礬などの既知アジュバントと併用で、哺乳動物、好ましくは人間に投与することができる。そうした組成物は、経口投与することができ、または非経口投与(静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸内および局所投与経路を含む)することができる。好ましくは、投与は、静脈内投与である。
【0027】
短寿命陽電子放射型放射性核種で標識したラジオトレーサーは、それらの合成から1時間未満の間に、静脈内注射によって、ほぼ常に投与される。これが必要なのは、関係する放射性核種の半減期が短い(C−11およびF−18につき、それぞれ、20および110分)ためである。
【0028】
標識神経ペプチドY Y5受容体アゴニストの最小投薬レベルは、約1mCiから約10mCiである。さらにとりわけ、標識神経ペプチドY Y5受容体アゴニストの投薬レベルは、約5mCiから約10mCiである。本発明において用いるために必要な神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の量が、選択される個々の化合物もしくは組成物によってばかりでなく、投与経路、治療または研究する状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても変化すること、また、最終的には患者の医師または薬剤師の考えしだいであることは、理解できよう。用いることができる用量は、投与後30〜240分の間に良好な脳画像の獲得を可能ならしめるために充分な脳内放射性濃度をもたらす用量である。
【0029】
本発明の放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬が人間の被験者に投与される時、画像診断に必要な量は、処方する医師によって決定され、一般に、その用量は、個々の患者の年齢、体重および反応、ならびに放射性核種からの放射の量によって変化する。しかし、ほとんどの場合、有効量は、良好な画像を生じるために充分な化合物量であり、約5から10mCiの範囲内のはずである。
【0030】
一つの適用例において、投与は、1日につき体重1kgあたり約0.005μgから約50μgの間、好ましくは体重1kgあたり0.02μgから約3μgの間の放射性標識化合物の量で行われる。本組成物を含む特定の分析用量には、標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬約0.5μgから約100μgが含まれる。好ましくは、この用量は、放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬約1μgから約50μgを含む。
【0031】
診療所内で患者に対してPET撮像研究を行う際、次の例示手順を用いることができる。20G、2インチ静脈カテーテルをラジオトレーサー投与のために対側の尺骨静脈に挿入する。患者をPETカメラ内で位置ぎめし、トレーサー量の[15O]HOを静脈内カテーテルによって投与する。こうして得られた画像を用いて、脳または他の対象領域を含むように患者を確実に正しく定置する。その後、[11C]神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬(<20mCi)を静脈内カテーテルによって投与する。全ラジオトレーサー画像が得られたら、三つの用量率(0.1、1または10mpk/日)のうちの一つで臨床評価中の神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の注入を開始する。2.5時間の注入の後、[11C]神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬をそのカテーテルによってで再び注射する。あるいは、神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を経口投与し、約2時間から2.5時間後にトレーサーを注射して、非標識拮抗薬投薬後対象となるあらゆる時点で再び注射することができる。画像は、90分までの間に得られる。ラジオトレーサーの注射の10分以内および撮像セッションの終了時、1mLの血液サンプルを採取して、その臨床候補の血漿濃度を測定する。
【0032】
ラジオトレーサーの分布を判定するために、例えば脳および中枢神経系を含む対照領域(ROI)を再構築画像上に描く。これらの領域を用いて、受容体拮抗薬が不在の状態または試験する様々な注入量で臨床候補が存在する状態で得られる時間放射能曲線を作成する。データは、単位容積あたりの単位時間に対する放射能(μCi/cc/注射量mCi)として表す。阻害曲線は、ラジオトレーサー注射の70分後に開始して得られる対象領域において得られたデータから生成する。この時点で非特異的結合のクリアランスは、定常状態に達している。ID50値は、下記方程式iii:
【0033】
【数1】
Figure 2005501830
(式中、
Bは、各用量の臨床候補についての(用量%)/(組織内のラジオトレーサーのg)であり、Aは、神経ペプチドY Y5拮抗薬が不在の状態での組織内の特異的に結合したラジオトレーサーであり、Iは、拮抗薬の注射量であり、ID50は、神経ペプチドY Y5受容体に対する特定のラジオトレーサーの結合を50%阻害する化合物の用量であり、およびNSは、非特異的に結合したラジオトレーサーの量である)
を用いて曲線を用量度合い/阻害曲線にフィッティングすることによって得られる。
【0034】
サルにおけるPET撮像
体重7kgから11kgの雄赤毛猿を、水は自由に摂らせて、少なくとも12時間絶食させる。20G、2インチの静脈カテーテルを伏在静脈に配置し、それを通して〜3mL中、5mg/kgのプロポフォールにより麻酔を誘導し、平均量0.4mg/kg/hのプロポフォールの追加で麻酔を維持する。別のカテーテルをラジオトレーサー用に対側の伏在静脈に挿入する。
【0035】
その動物の指に配置したパルスオキシメータ(Nellcor Inc.,Hayward,CA)で循環血の酸素飽和を測定する。等張食塩水の静脈内注入により、循環量を維持する。心拍数および核心温度を継続的にモニターする。
【0036】
動物をPETカメラ内に定置し、トレーサー量の[15O]HOを静脈内カテーテルにより投与する。このようにして得られた画像を用いて、脳または他の対象領域を含むようにその猿を確実に正しく定置する。その後、[11C]神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬(<20mCi)を静脈内カテーテルによって投与する。全ラジオトレーサー画像が得られたら、三つの用量度合い(0.1、1または10mpk/日)のうちの一つで非標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の注入を開始する。2.5時間の注入の後、[11C]神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬をそのカテーテルによってで再び注射する。画像は、90分までの間に再び得られる。ラジオトレーサーの注射の10分以内および撮像セッションの終了時、1mLの血液サンプルを採取して、試験化合物の血漿濃度を測定する。一つの撮像セッションでは、用量10mpkの別の神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬を5分かけて注入する。この用量は、ラジオトレーサーの結合を完全に阻止するように決定したので、これを用いて、PETラジオトレーサーで得られる最大受容体特異的シグナルを判定する。この研究の終わりに、動物を回復させ、動物の住いに戻す。
【0037】
ラジオトレーサーの制約のない分布のために、脳を含む対照領域(ROI)を再構築画像上に描く。これらの領域を用いて、試験化合物が不在の状態または試験する様々な注入量で試験化合物が存在する状態で得られる時間放射能曲線を生成する。データは、単位容積あたりの単位時間に対する放射能(μCi/cc/注射量mCi)として表す。ラジオトレーサー注射の70分後に開始して得られる対象領域において得られたデータから阻害曲線を生成する。この時までに、非特異的結合のクリアランスは、定常状態に達している。ID50値は、上記方程式iiiを用いて曲線を用量度合い/阻害曲線にフィッティングすることによって得られる。
【0038】
放射性核種が組み込まれている神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬は、先ず、ヨウ素または臭素部分が場合によっては組み込まれている非標識化合物を合成し、次に、当該技術分野においてよく知られている手法を用いて、そのハロゲン部分を適切な放射性核種と交換することによって、調製することができる。あるいは、放射性標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬は、放射性標識アルキル化剤でのアルキル化によって、調製することができる。非標識神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の合成は、様々な特許および出版物に広く記載されている。特定の神経ペプチドY Y5受容体拮抗薬の合成を下に記載する。
【0039】
上記合成順序のいずれかの間、関係するいずれかの分子上の感受性または反応性の基を保護することが必要および/または望ましいことがある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されているものなどの通常の保護基を用いて達成することができる。保護基は、当該技術分野から知られている方法を用いる適便な後続段階で除去することができる。
【0040】
詳細には、アミノ部分は、例えば、アルコキシカルボニル誘導体(例えば、t−ブトキシカルボニルおよびトリクロロエトキシカルボニル)、またはベンジル、トリチルもしくはベンジルオキシカルボニル誘導体の生成によって、保護することができる。この保護基のその後の除去は、通常の手順によって達成され、従って、例えば、t−ブトキシカルボニル、ベンジルまたはベンジルオキシカルボニル基は、触媒(例えば、パラジウム)の存在下での水素化分解によって除去することができ、トリクロロエトキシカルボニル基は、亜鉛末で除去することができ;およびトリチル基は、標準的な手順を用いて酸性条件下で除去することができる。
【0041】
ヒドロキシル基に保護が必要な場合、エステル、またはトリアルキルシリルエーテル、テトラヒドロピランエーテルもしくはベンジルエーテルの生成によってこれを行うことができる。こうした誘導体は、標準的な手順によって脱保護することができ、従って、例えば、テトラヒドロピランエーテル誘導体は、メタノール中の塩酸を用いて脱保護することができる。
【0042】
場合によっては、反応を促進するため、または望ましくない反応生成物を回避するために、下記反応図式の実施順序を変化させることができる。
【0043】
以下の実施例は、開示する本発明をさらに説明するために提供するものであって、制限するためのものではない。
【0044】
下の図式および実施例における様々な試薬の記号および略記は、次の意味を有する:
EtOAc 酢酸エチル
CHCl クロロホルム
DMC 塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウム
DME 1,2−ジメトキシエタン
EtN トリエチルアミン
EtNCN シアン化テトラエチルアンモニウム
SO 硫酸
IPE ジイソプロピルエーテル
CO 炭酸カリウム
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MsCl 塩化メタンスルホニル
MTBE t−ブチルメチルエーテル
NaBH 水素化ホウ素ナトリウム
NaHCO 重炭酸ナトリウム
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
THF テトラヒドロフラン
p−TsOH p−トルエンスルホン酸
【0045】
【化2】
Figure 2005501830
Figure 2005501830
【実施例1】
【0046】
ケタール(3)の合成
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.59M、210mL、334mmol)を、窒素雰囲気下、−35℃未満で、無水t−ブチルメチルエーテル(1000mL)および無水ジメトキシエタン(200mL)中のジイソプロピルアミン(49mL、349mmol)の溶液に添加した。30分後、その溶液を−74℃で冷却し、3−ブロモピリジン 1(30.5mL、317mmol)を、−70℃未満で、その混合物に添加した。その混合物に、−64℃未満で、無水テトラヒドロフラン(100mL)中の1,4−シクロヘキサンジオン・モノ−エチレンケタール2(49.44g、316mmol)の溶液を一滴ずつ添加した。15分間攪拌した後、飽和NHCl(800mL)をその反応混合物に添加した。その混合物を放置して室温に温め、水(300mL)およびEtOAc(500mL)を添加した。有機層を分離し、ブラインで洗浄した。水性層をEtOAc(1000mL)で抽出し、ブラインで洗浄した。併せた有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留固形物をEtOAc(300mL)およびIPE(500mL)と研和した。沈殿を濾過によって回収して、表題化合物3を結晶として生じた。その濾液を真空下で濃縮し、残留物をIPEで希釈して、微量の結晶種を添加した。その溶液を6.5時間攪拌し、沈殿を濾過によって回収して、表題化合物3を結晶として集めた。
【実施例2】
【0047】
ケトン(4)の合成
p−トルエンスルホン酸・一水和物(5.64g、29.6g)を、室温で、アセトン(465mL)および水(465mL)中のケタール3(46.59g、148mmol)の溶液に添加した。その混合物を一晩還流させながら加熱して、蒸留によってアセトンを除去し、その溶液を飽和NaHCO(100mL)に注入した。その混合物をCHCl(500mLx3、300mLx1)で抽出した。併せた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留固形物をCHCl(50mL)およびIPE(300mL)と研和した。沈殿を濾過によって回収して、表題化合物4を結晶として集めた。
【実施例3】
【0048】
アルコール(5)の合成
水素化ホウ素ナトリウム(1.68g、44.4mmol)を、0℃で、テトラヒドロフラン(390mL)および水(390mL)中のケトン4(38.9g、144mmol)の溶液にゆっくりと添加した。その混合物を0℃で60分間攪拌して、飽和NHCl(100mL)で反応を停止させた。その混合物をCHCl/EtOH(7/1、800mLx2、5/1、500mLx2)溶液で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物をCHClと研和し、沈殿を濾過によって回収して、表題化合物5を結晶として集めた。
【実施例4】
【0049】
メシレート(6)の合成
トリエチルアミン(25mL、179mmol)および塩化メタンスルホニル(11.7mL、151mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で、無水テトラヒドロフラン(650mL)中のアルコール5(34.27g、126mmol)の懸濁液に添加した。その懸濁液を0℃で30分間攪拌し、EtOAc(650mL)で希釈して、飽和NHCl(300mL)で反応を停止させた。有機層を分離し、水性層をEtOAc(300mLx2)で抽出した。有機層をブラインで洗浄して、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留固形物をIPEで洗浄して、メシレート6を結晶として得た。
【実施例5】
【0050】
ニトリル(7)の合成
シアン化テトラエチルアンモニウム(49.85g、319mmol)を、室温で、無水1,4−ジオキサン(450mL)中のメシレート6(43.72g、124mmol)の溶液に添加した。その混合物を100℃で一晩攪拌し、室温に冷却して、水(450mL)に注入し、EtOAc(900mLx3)で抽出した。有機層を水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留固形物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=2:1)によって精製した。得られた固体をIPEで洗浄して、表題化合物7を白色の固体として得た。
【実施例6】
【0051】
カルボン酸(8)の合成
濃硫酸(75mL)および水(175mL)の溶液を、室温で、ニトリル7(24.23g、86.2mmol)に添加した。その混合物を95℃で2日間攪拌し、室温に冷却して、水(500mL)に注入し、KCO(200g)を添加した。その懸濁液をEtOAc(1000mL、500mLx2)で抽出した。併せた有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。沈殿を濾過によって回収して、表題化合物8のEtOAc付加体を結晶として生じた。IPE(270mL)中のその8のEtOAc付加体の結晶の懸濁液を3時間攪拌し、その後、濾過によって回収して、表題化合物8を白色の固体として集めた。
【実施例7】
【0052】
2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)−ピリミジン(11)の合成
ジメトキシエタン(500mL)中の2−アミノ−5−ブロモ−ピリミジン9(49.40g、284mmol)の溶液に、2−フルオロフェニルボロン酸10(43.66g、312mmol)、炭酸ナトリウム2.0M水溶液(285mL、570mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.28g、2.84mmol)を添加した。その混合物を2時間還流させながら攪拌した。その反応混合物を周囲温度に冷却し、10% HSO(600mL)にゆっくりと注入した。これは、ヘキサン(300mL)とともに添加した。その酸性の水性層を分離し、不溶物質および有機層を10% HSO(200mLx2)で抽出した。併せた酸性の水性層をEtOAc(200mL)で洗浄し、KCOで中和して、表題化合物の沈殿および無機塩を得、これらを水(3000mL)で洗浄して、表題化合物11を白色の固体として生じた。その白色の固体を熱THF(500mL)に溶解した。不溶物質を濾過を濾過によって除去し、真空下で濃縮した。残留固形物をIPEで洗浄して、表題化合物11を結晶として得た。
【実施例8】
【0053】
trans−4−(3−ブロモピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミドの合成
塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウム(14.16g、83.76mmol)を、クロロホルム(114mL)およびピリジン(114mL)中のカルボン酸8(23.00g、76.63mmol)と2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)ピリミジン11(13.21g、69.82mmol)の混合物に添加し、その混合物を3日間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチル(800mL)およびTHF(100mL)で希釈し、10%クエン酸(800mL)、飽和NaHCO(200mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(500mL)およびTHF(100mL)で3回抽出し、水(200mL)、飽和NaHCO(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。併せた有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAc−メタノール/CHCl=1/15)によって精製し、EtOAcから結晶させて、表題化合物をやや褐色の粉末として得た。
【実施例9】
【0054】
trans−4−(3−ブロモピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミドの精製
trans−4−(3−ブロモピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミドをTHF(94mL)に溶解した。t−ブチルメチルエーテル(470mL)をその溶液に攪拌しながらゆっくりと添加した。濾過によって沈殿を回収して、表題化合物をやや褐色の固体として集めた。
【0055】
trans−4−(3−ブロモピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミドをクロロホルム(156mL)に溶解し、活性炭(1.61g)をその溶液に添加した。その混合物を30分間攪拌し、活性炭を濾過して除去した。その溶液を真空下で濃縮し、EtOAc(153mL)を添加した。その溶液を攪拌した。沈殿が徐々に出現し、それを濾過によって回収して、表題化合物を生じた。それをTHF(300mL)に溶解して、真空下で濃縮した。その油性残留物をTHF(70mL)で希釈し、攪拌しながらt−ブチルメチルエーテル(425mL)をゆっくりと添加した。濾過によって沈殿を回収して、表題化合物を白色の固体として得た。
【0056】
【化3】
Figure 2005501830
【実施例10】
【0057】
11C]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド
【0058】
【化4】
Figure 2005501830
【0059】
11C]二酸化炭素の作成は、ウプサラ大学PETセンター(Uppsala University PET Center)でScanditronix MC−17サイクロトロンを用いて行う。17MeVのプロトンで衝撃する、窒素(AGA、Nitrogen 6.0)および0.1%酸素(AGA、Oxygen 4.8)を含有するガスターゲット中での14N(p,α)11C反応を用いる。亜鉛を充填した小管(85x2mm、0.65gのZn)内、400℃で、[11C]二酸化炭素を[11C]一酸化炭素に還元する。
【0060】
1mLバイアルに、THF(0.3mL)中のtrans−4−(3−ブロモピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミド(0.5mg)およびPd(PPh(1.2から1.4mg)を充填する。そのバイアルに蓋をし、窒素でフラッシュして、均質になるまで振盪する。室温で25分後、その混合物を、[11C]一酸化炭素を事前に充填した超小型オートクレーブに、加圧(35Mpa)しながら移す。その超小型オートクレーブを5000psiで5分間加熱(125℃)する。その後、その反応器を1.8mLの硝子バイアルに移し、1.5mLの水を約0.25mLのTHFに添加する。その後、この溶液を、分取LC(Genesis C18、10x250mm、5mL/分、6分かけて35%水/アセトニトリル(7/50):蟻酸アンモニウム(50mM、pH3.5)から70%水/アセトニトリル(7/50):蟻酸アンモニウム(50mM、pH3.5)、12分間70%で保持)に直接注入する。生成物の保持時間は、9.2分である。生成物のピークを収集し、溶離剤を真空下で除去した。水中の30%プロピレングリコール/10%エタノールの溶液を添加し、得られた溶液を滅菌フィルタ(0.22um)に通して、隔壁を備えた滅菌バイアルに移した。
【0061】
代替アプローチとして、図式IIに示すように、5−アザイソベンゾフラン環を、対応する3−ヨードピリジン前駆体から合成することもできる。加えて、3位に、トリフレート、塩化物およびフッ化物など(しかし、これらに限定されない)の脱離基を有する他の3−置換ピリジン前駆体を用いることもできる。本発明に用いることができる他の脱離基には、F.A.Carey and R.J.Sundberg,Advanced Organic Chemistry,Part A,Kluwer Academic/Plenum Publishiers,2000;およびM.B.Smith and J.March,March’s Advanced Organic Chemistry,John Wiley & Sons,2001に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
【化5】
Figure 2005501830
Figure 2005501830
【実施例11】
【0063】
ケトン(13)の合成
KI(53g、319mmol)およびCuI(15g、78.8mmol)を、室温で、DMF(100mL)中のケタール3(5.0g、15.9mmol)の溶液に添加した。その混合物を150℃で一晩攪拌して、MeOH(100mL)を添加し、その混合物を濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(200mL)とNaCl半飽和溶液とで分配して、水性層をEtOAc(100mL)で抽出した。併せた有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留固形物をEtOAc(100mL)およびIPE(100mL)と研和し、濾過によって沈殿を回収して、ヨウ化物12を固体として集めた。
【0064】
ヨウ化物12(7.84g)をアセトン(70mL)および水(70mL)に溶解し、p−トルエンスルホン酸・一水和物(0.60g、3.15mmol)をその溶液に添加した。その混合物を6時間還流させながら攪拌して、蒸留によってアセトンを除去し、その溶液を飽和NaHCO(10mL)に注入した。その混合物をCHCl(50mLx5)で抽出した。併せた有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留固形物をIPE(100mL)と研和し、濾過によって沈殿を回収して、表題化合物13を固体として集めた。
【実施例12】
【0065】
アルコール(14)の合成
水素化ホウ素ナトリウム(150mg、3.97mmol)を、0℃で、テトラヒドロフラン(14mL)および水(14mL)中のケトン13(3.0g、9.46mmol)の溶液にゆっくりと添加した。その混合物を0℃で1.5時間攪拌し、飽和NHCl(60mL)で反応を停止させた。その混合物をEtOAc(300mL+100mL)で抽出した。併せた有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物をCHClと研和し、濾過によって沈殿を回収して、表題化合物14を固体として得た。
【実施例13】
【0066】
メシレート(15)の合成
トリエチルアミン(1.4mL、10.0mmol)および塩化メタンスルホニル(0.63mL、8.14mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で、無水テトラヒドロフラン(40mL)中のアルコール14(2.0g、6.27mmol)の懸濁液に添加した。その懸濁液を0℃で1時間攪拌して、EtOAc(100mL)で希釈し、水およびブラインで洗浄して、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、メシレート15を発泡物として得た。
【実施例14】
【0067】
ニトリル(16)の合成
シアン化テトラエチルアンモニウム(2.5g、16.0mmol)を、室温で、無水1,4−ジオキサン(30mL)中のメシレート7(2.49g、6.27mmol)の溶液に添加した。この混合物を100℃で一晩攪拌し、室温に冷却して、ブライン(30mL)に注入し、EtOAc(40mLx3)で抽出した。併せた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留固形物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/アセトン=7/3から1/1)によって精製して、表題化合物16を発泡物として得た。
【実施例15】
【0068】
カルボン酸(17)の合成
水(7mL)中の濃硫酸(3mL)の溶液を、室温で、ニトリル16(0.95g、2.90mmol)に添加した。85℃で2日間攪拌した後、その混合物を室温に冷却し、KCO(固体)でpH3にして、EtOAc(60mLx2)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留固形物をEtOAc(50mL)およびヘキサン(50mL)と研和して、表題化合物17を固体として得た。
【実施例16】
【0069】
trans−4−(3−ヨードピリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−シクロヘキサンカルボキサミドの合成
塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウム(0.37g、2.19mmol)を、クロロホルム(3.0mL)およびピリジン(3.0mL)中のカルボン酸17(0.69g、1.99mmol)と2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)ピリミジン11(0.34g、1.80mmol)の混合物に添加し、その混合物を一晩攪拌した。その反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、10%クエン酸(60mL)、飽和NaHCO(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(60mLx2)で抽出した。併せた有機層を水(60mL)、飽和NaCO(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAcからMeOH/CHCl=1/19)によって精製し、EtOAcと研和して、表題化合物を固体として得た。
【実施例17】
【0070】
11C]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド
【0071】
【化6】
Figure 2005501830
【0072】
11C]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミドは、実施例16からのヨウ化物から、実施例10についてのように調製した。
【0073】
参照および注記
(1)リチオピリジンについての参照
【0074】
【表1】
Figure 2005501830
【0075】
(2)4−シクロヘキサノンカルボン酸エチルエステルを3−ブロモピリジンおよびLDAから誘導されたリチオピリジンと反応させた時、有意なエノレート生成が起こり、その結果、大量の4−シクロヘキサノンカルボン酸エチルエステルが回収されるとことなる。
【0076】
(3)化合物8のエチルエステルの立体化学は、H NMR実験によって確認した。
【0077】
【化8】
Figure 2005501830
【0078】
(4)化合物8のエチルエステルのtrans異性体にcis異性体が含まれる時、それらのジアステレオマーの比率は、H NMRによって判定することができ、H NMRは、ピリジン環のC−5プロトンに対応する7.55および7.62ppmにおいて、二つの二重線のピークを示す。
【0079】
(5)8のcis異性体および化合物8の保持時間は、それぞれ、6.4分および4.3分である。HPLC条件は、次のとおりである:
カラム:Waters Symmetory C−18(5μm)、4.6mm(直径)x250mm、移動相:0から10分、直線傾斜で、A/B=65/35から30/70
A=50mMのHCOONH水溶液(HCOOHでpH3.5にしたもの)
B=MeCN/水=50/7
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出:UV254nm
本発明を、本発明の一定の特別な実施形態を参照しながら記載し、説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な適応、変更、変形、置換、削除、または手順およびプロトコルの追加を成すことができることは、当業者には理解できよう。例えば、上に示した本発明の化合物で何らかの適応症についての治療を受けている哺乳動物の反応が変動した結果として、本明細書中、上文に記載したような特定の用量以外の有効な用量を適用することができる。同様に、観察される特定の薬理反応は、選択される特定の化合物、または製薬用担体が存在するか否か、ならびに用いられる調合薬のタイプおよび投与方式に依存して変化し得る、そうした予想される結果の変動または違いは、本発明の目的および実施に従って予期される。従って、本発明は、後続の特許請求の範囲によって定義されるものとし、また、そうした特許請求の範囲は、妥当な限り広く解釈されるものとする。

Claims (24)

  1. 11C]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミドである化合物またはその医薬適合性の塩。
  2. 請求項1に記載の化合物および少なくとも一つの医薬適合性の担体または賦形剤を含む放射性医薬組成物。
  3. 請求項1に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の画像診断法。
  4. 哺乳動物が人間である、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項1に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における脳の画像診断法。
  6. 哺乳動物が人間である、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体を支持する組織の画像診断法。
  8. 哺乳動物が人間である、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳類に投与することを含む、哺乳類の組織内の神経ペプチドY Y5受容体結合部位の画像診断法。
  10. 哺乳動物が人間である、請求項9に記載の方法。
  11. 哺乳類組織内の神経ペプチドY Y5受容体の検出または定量法であって、そうした検出または定量が望ましいそうした哺乳動物組織を請求項1に記載の化合物の有効量と接触させることを含む、前記定量法。
  12. 哺乳類組織が人間の組織である、請求項11に記載の方法。
  13. 18F]trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミドである化合物またはその医薬適合性の塩。
  14. 請求項13に記載の化合物および少なくとも一つの医薬適合性の担体または賦形剤を含む放射性医薬組成物。
  15. 請求項13に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体の画像診断法。
  16. 哺乳動物が人間である、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項13に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における脳の画像診断法。
  18. 哺乳動物が人間である、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項13に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における神経ペプチドY Y5受容体を支持する組織の画像診断法。
  20. 哺乳動物が人間である、請求項19に記載の方法。
  21. 請求項13に記載の化合物の有効量を下記のような画像診断が必要な哺乳類に投与することを含む、哺乳類の組織内の神経ペプチドY Y5受容体結合部位の画像診断法。
  22. 哺乳動物が人間である、請求項21に記載の方法。
  23. 哺乳類組織内の神経ペプチドY Y5受容体の検出または定量法であって、そうした検出または定量が望ましいそうした哺乳動物組織を請求項13に記載の化合物の有効量と接触させることを含む、前記定量法。
  24. 哺乳類組織が人間の組織である、請求項23に記載の方法。
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