JP2005501792A - 火炎中におけるフラーレン合成のための多核芳香族炭化水素 - Google Patents

火炎中におけるフラーレン合成のための多核芳香族炭化水素 Download PDF

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Abstract

本発明は、抽出可能なフラーレンへの高い炭素変換性のために選択された多環芳香族炭化水素燃料を用いて、フラーレンを含むカーボンナノ材料を燃焼法によって合成するための改良された方法を提供する。この多環芳香族炭化水素燃料には多核芳香族炭化水素を含むものが包含される。より詳細には、多環芳香族炭化水素燃料には可なりの量のインデン、メチルナフタレン又はこれらの混合物が含まれる。コールタール又は石油の蒸留物の留分は、多核芳香族炭化水素を含み、制限なしにインデン、メチルナフタレン又はこれらの混合物を含む廉価な炭化水素を提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2001年8月30日に出願されたアメリカ仮出願No.60/316,314と2002年3月15日に出願されたアメリカ出願No.10/099,095とからの優先権を得ている。これらの出願は、本出願の開示に矛盾しない範囲で、ここでは参照として組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フラーレンは六員炭素環及び五員炭素環の両方を含む閉鎖籠状炭素化合物である(参照:カール等による(1991)Sci.Am.October,p54−63、クラトシュメルクラッチマー等による(1990)Nature347:354−358、ディデリッヒ等による(1991)Science252:548−551)。フラーレンは製薬や化粧品の添加剤としての利用から、電子と光の抵抗体である電子線レジスト及びフォトレジスト、燃料電池の陽子伝導膜、光学的制限材料及び装置、リチウム電池の陽極、有機トランジスタの能動素子の添加物や顔料としての使用にわたる分野において幅広い潜在的な商業的利用性を有している。
ここでは、「カーボンナノ材料」の用語は、一般的には炭素原子の位置によって形成された6角形の間に5員環を含むことによって、グラファイト平面で曲面を示し、少なくとも一寸法がナノメートルオーダーである六員環を含む如何なる炭素材料にも本質的に及ぶものである。カーボンナノ材料の例としては、これらに限定されるものではないが、フラーレン、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)、多層カーボンナノチューブ(MWNTs)、ナノチューブル、及びナノメータ程度の寸法を有するネステッドカーボン構造体を含む。「フラーレン」の用語は、ここでは一般的に、その寸法とは別に、両六員及び五員の炭素環を含む閉鎖籠状炭素複合物の全てに及ぶものであり、多量にある低分子量のC60及びC70や、C76、C78、C84を含むより大きな分子量として知られているフラーレン、更には、C2n(但し、nは50以上)で表されるより高次の分子量のフラーレンを含む。また、その用語には、当業者によって理解されている「溶剤抽出可能なフラーレン」(一般的には、トルエンやキシレンに溶ける低分子量のフラーレンが含まれる)と、少なくともC400程度の大きさの巨大フラーレンを含む抽出できない、より高次の分子量のフラーレンとを含むように解釈されるものである。カーボンナノ材料は煤中で製造可能であり、場合によってはカーボンナノ材料は煤から分離させることもでき、あるいは煤中に富化させることもできる。例えばフラーレンのようなカーボンナノ材料の合成中に生産された煤は、通常はカーボンナノ材料の混合物を含み、これはカーボンナノ材料の更なる純粋化及び富化の元となり、又はこれはカーボンナノ材料の望ましい特質をそれ自身で示し、これらの特質をもたらす付加物として用いることが可能となる。「カーボンナノ材料」の用語は、限定なしで使用される場合には、検知しうる量のカーボンナノ材料が含まれる煤を含むものである。例えば、「フラーレン煤」の用語は、この分野においては、フラーレンを含む煤にも及ぶものである。フラーレン煤は、カーボンナノ材料という用語に包含されるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、フラーレンの製造費用は、その商業的応用における経済的使用に対しては、一般的に極めて高い。これらの材料の潜在的利用について考量すべき実体について考えると、この分野においては、フラーレン及び他のカーボンナノ材料の生産に対してより低価格の製造方法が極めて必要なことである。
この発明は、概してフラーレンとその他のカーボンナノ材料についての生産に対する低コスト方法の開発に関するものであり、特に、このような製品についてのより高い生産量又はそのような製品へのより高い炭素変換率を備えるよりコストの低い炭素原料の同定に焦点をおいている。
フラーレンの生産に対しては、アーク法(アメリカ特許5,227,038号と5,876,684号)、電子ビーム蒸発法(アメリカ特許5,316,636号)と、火炎(例えば、煤を発生する火炎)中における燃焼法(アメリカ特許5,273,729号、5,985,232号と6,162,411号、ハーワード等による1991年Nature352の139−141、ハーワード等による1992年のJ.Phys.Chem.96:6657、ハーワード等による1992年のCarbon30:1183、マキノン等による1992年Comb.Flame88:102)が知られている。
典型的にはベンゼンやアセチレンを含んでいる不飽和炭化水素燃料は、フラーレンの燃焼合成に使用されてきた。アセチレンからのフラーレン生産量は非常に低い(ハワード等による1992年Carbon30:1183)。低圧(およそ35Torr)で強煤状態の予混合燃焼炎におけるベンゼンからの生産は、ベンゼン中のカーボンから溶剤抽出フラーレンのカーボンへの転換率が約0.5%である。
ナフタレンの燃焼におけるフラーレンの検出については、バッチマン等による1994年Chem.Phys.Lett.223:506−510によって報告されている。この研究において、フラーレンの濃度はベンゼン炎よりナフタレン炎のある部分においての方がより高いことが報告されているが、煤はナフタレン炎から回収されていないので、生産量を増大することは立証されていない。
テーラー等による1993年Nature366:728−731には、約1000℃におけるナフタレンの熱分解によってC60が形成されることが報告されている。この処理によるフラーレン生産量は、消費されたナフタレンを基準にして0.5%未満であると報告され、変動しやすいと言われている。更には、より低い温度(約500℃)におけるナフタレンの熱分解においてはフラーレンは検出できなかった。
ザング等による1999年J.Phys.Chem.Bv.103の9450−9454頁には、熱分解されたコッパーズ・コールタールピッチのレーザー溶発(ablation)を用いた質量分光分析によるフラーレンイオンの検出が報告されている。多環芳香族炭化水素(PAHs)を主体として構成されていると記述されるコールタールピッチは、200−600℃の温度でヘリウム流中で1時間熱分解すると固形物を生成する。熱分解された固形残留物のサンプルをレーザー溶発によって気化させたときに、フラーレンイオン(例えば、C60+ )が検知された。
アメリカ特許5,985,232と6,162,411は共に、炎中におけるフラーレン煤の生産に関するもので、「フラーレンナノ構造」又は「フラーレン的なカーボンシート」の生産について強調している。使用された燃料は「不飽和炭化水素」とされている。この用語は特にベンゼンやアセチレンに関するものであるが、この特許中で定義されているものは、制限なしに、エチレン、トルエン、ポリエチレン、ブチレン、ナフタレン又は他の多環芳香族炭化水素、例えば、特に石油、重油、及びタールや、本来炭化水素である、石炭、油母、及びバイオマスから造られる生産物だけでなく、ある程度の窒素、イオウ、酸素や他の分子も含む。しかしながら、これらの特許は、ナフタレン、その他の如何なる多環芳香族炭化水素、あるいは石炭又は石油の如何なる特別な生産物の使用が、フラーレン生産における如何なる重要な改善を生じることについては、教授していないし提案もしていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、フラーレン及びその他のカーボンナノ材料の合成について、より廉価な燃焼法の開発に関する。特に、本発明は、主要な燃料要素であるベンゼンを使用して現在得られるところのものより著しく高いカーボン変換効率を備えた燃焼法によるフラーレン及びその他のカーボンナノ材料の合成のための炭化水素供給原料(炭化水素燃料)の同定に関するものである。
本発明は更に詳細には、燃焼によってフラーレンとフラーレン煤の合成のための少なくとも一つの多環芳香族炭化水素要素を含む炭化水素燃料に関する。この発明における多環芳香族炭化水素には、2以上の環を含み、1以上のこの環が芳香族環である1以上の芳香族分子を有する。芳香族分子には2以上の環を有し、そのうちの1つのみが芳香族であるものと、1又はそれ以上の非芳香族の環と組合わさっていると共に2以上の芳香族環を有しているものを含む。好ましい多環芳香族炭化水素燃料は、2以上の六員環、2以上の五員環、あるいは1以上の六員環と1以上の5員環との混合物を有する相当な量(即ち、約30重量%又はそれ以上)の1以上の芳香族分子を含む。
更に好ましい多環芳香族炭化水素燃料は、2以上の六員環、2以上の五員環、又は1以上の六員環と1以上の5員環との混合物を有する、1以上の芳香族分子を40重量%以上、あるいは50重量%以上を含む。特に利益がある多環芳香族炭化水素は、少なくとも1つの環が一つの六員芳香族環であって、少なくとも一つの他の環が、芳香族、飽和又は不飽和でありうる五員環である2以上の環を有する成分を可なりの量、含むものである。本発明の燃料における芳香族環、不飽和及び飽和環は全てカーボン環であることができ、1又は2の非炭素原子(即ち、それらには複素環もありうる)が含まれることもある。
本発明による多環芳香族炭化水素燃料には、多核芳香族炭化水素(PAHs)を可なりの量含むものが含まれる。このような燃料として好ましい成分は、インデンと、インデンをより好ましい成分として備えているメチルナフタレンである。好ましい燃料には、これらの好ましい成分が、全てを含めた重量で約30%以上あるものとお互いに、又は1、2又は3の環を有する1以上の他の芳香族分子と結合したものとがある。
本発明の多環芳香族炭化水素燃料には、インデン又は1以上のメチルナフタレンが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレン、インダン、クリセン又はクレオゾールの何れか1又はそれ以上と結合したものが含まれる。インデンと1以上のメチルナフタレンの結合物もまた好ましい。より好ましい多環芳香族炭化水素燃料は、40重量%又はそれ以上のインデンを含んでいるものと、50重量%又はそれ以上のインデンを含んでいるものである。より好ましい多環芳香族炭化水素燃料は、40重量%以上のインデンを含むが、ベンゼン、トルエン及び/又はキシレンの総重量は約20%より小さい。
本発明の多環芳香族炭化水素燃料は、カーボンナノ材料の生産量を改善するため、炎を発生させるためのバーナーに酸化性ガス(例えば、酸素)と共に導入される。もう一つの方法として、飽和炭化水素(例えば、メタン)、不飽和炭化水素、多環芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)を除く芳香族炭化水素、あるいはこれらの混合物からなりうるもう一つの炭化水素が、炎を発生させるために、単独で又は多環芳香族炭化水素と酸化性ガスと結合して使用できる。炎によって発生する熱は、カーボンナノ材料の収率を改善するために、多環芳香族炭化水素燃料の熱分解又は燃焼に用いられる。多環芳香族炭化水素燃料は、カーボンナノ材料を生成させるために燃焼している又は熱分解されている確立された炎の中又はその近傍に導入されうる。
予混合燃焼バーナーへの導入による使用、又は予め確立された炎に導入されるための使用が好まれる多環芳香族炭化水素燃料は、バーナーの保有する温度によって本質的に気化されている(即ち、バーナーの導管の閉塞を避けるためにバーナー温度となって十分に気化されている)。多環芳香族炭化水素燃料を、不安定性をより低くして供給するために、バーナー又は炎中に炭化水素燃料を導くための予混合室又は導管の全てが、燃料が気化状態であるシステムの圧力を考慮して、燃料の気化温度を超える温度まで加熱されうる。冷却された表層(即ち、水で冷却された表層)を有するバーナーは、本発明の多環芳香族炭化水素燃料の使用には適していない。
フラーレンの低コスト生産のための好ましい実施例において、この発明は、コールタールの蒸留物の留分(distillate fraction)又は石油の蒸留物の留分からなって、六員環、五員環又はこれらの両方を2以上有する1以上の芳香族分子を含む多環芳香族炭化水素燃料を提供している。フラーレンのより低コスト生産においては、コールタールや石油の蒸留物に可なりの量の、インデン、1以上のメチルナフタレン又はこれら結合物を含んでいるのが特に好ましい使用である。低コスト生産のたの燃料には、総重量で40%以上又は50%以上の、インデン、1以上のメチルナフタレン又はこれらの結合物を含むコールタールと石油の蒸留物が含まれる。
更には、低コスト生産のための燃料には、特にその沸騰範囲が大気圧下で約160℃から約210℃の石油系溶剤であるナフサ留分と、大気圧下で約100℃から約220℃の温度範囲で集められる1以上の留分を含むコールタール蒸留物と含み、コールタール蒸留物については、約120℃から200℃の温度範囲で集められる1以上の留分を含むのが特によい。
更に好ましくは、炭化水素燃料には、インデン、1以上のメチルナフタレン、又はこれらの混合物を含むのがよく、特にコールタールと石油の蒸留物は1以上のこれらの成分を有するのがよい。コールタールの蒸留物は、大気圧下、121℃から196℃の温度範囲で集められた1以上の留分を含み、特に、コールタール溶剤ナフサが本発明の方法の使用により好ましい。
本発明に係るフラーレン及びその他のカーボンナノ材料の合成方法は、1以上の芳香族分子を含む多環芳香族炭化水素燃料を燃焼させる工程と、この後、煤を含めてカーボンナノ材料を含む燃焼による凝集物を集める工程と、凝集物からカーボンナノ材料を分離する工程とを有し、前記芳香族分子には、2以上の六員環、2以上の五員環を含み、又は1以上の六員環と五員環との混合物を含む。
種々の燃焼システムが使用可能であるが、燃焼システムが大気圧以下の圧力で操業されている時に、フラーレンの生産量は最良の状態となる。特に、燃焼システムには、カーボンナノ材料を含む煤が生成させる多環芳香族炭化水素燃料の燃焼のための手段と、燃料の燃焼中又は燃焼後に形成される煤や他の凝集物(特に、約350℃までの温度で凝集する種類のもの)を集める手段とを有するものが使用できる。有用な燃焼システムには、多環芳香族炭化水素燃料の燃焼のためのバーナー、特に、実質的に気化させた多環芳香族炭化水素燃料を燃焼させるためのバーナーと、燃焼中及び/又は燃焼後に発生した凝集物を集めるコレクター又はトラップとを有する。もう一つの有用な燃焼システムは、炭化水素燃料と酸化性ガス(例えば、酸素)の燃焼による炎を発生させるためのバーナー、多環芳香族炭化水素燃料を既に生成された炎又はこの炎の近傍に導くための導管又はその他の手段、及び燃料の燃焼中及び/又は燃焼後に発生した凝集物を集めるコレクター又はトラップとを有する。多環芳香族炭化水素燃料は、形成された炎又はその近傍に導入されて、その炎から発生する熱によって焼かれ又は熱分解する。
炭化水素燃料は、例えば、予混合バーナー又は拡散バーナーを用いてそれぞれ予混合炎又は拡散炎の中で燃焼する。好ましい燃焼システムとバーナーは、一般的に、より高い生産量のカーボンナノ材料を生成する。
フラーレン及び/又はフラーレン煤を含み、カーボンナノ材料を含んでいる凝集物は、例えば、燃焼システムの壁面、網、織物又はフィルターであって変化する温度に持ちこたえられる表面で捕集する等、様々な周知の技術の一つを用いることによって、捕捉又は収集することができる。
炭化水素燃料は酸化性ガス(例えば、酸素、具体的には空気等のような混合ガスによって供給されうる)の存在の下に燃焼し、煤炎が発生する。煤とフラーレンの生産効率、より一般的にはカーボンナノ材料の生産は、バーナーに導入される燃料と酸化性ガスの相対的量によって影響されうる。この当量比(φ)は以下のように定義される。
φ=実際の(燃料/酸化剤)/化学量論的な(燃料/酸化剤)
ここで、酸化剤に対する燃料の比は、モル比である。
当量比が1より大きいことは、化学量論的な値を超えて、過剰な燃料が存在することを意味する。ここで、言及すべきことは、等量比は、バーナー(又は燃焼システム)入口において測定された実際の(燃料/酸化材)比から計算されることである。本方法において有用な燃焼システムにおいて、バーナーに導入される酸化剤に対する燃料の相対量は、望ましくは計量装置、特にガス計量装置、例えば計量弁を使用することによって制御される。
通常は、フラーレンを含むカーボンナノ材料を得るには、当量比は少なくとも2.2は必要である。この比はまた通常4より大きくない。当量比は、望まれる規定の(given )カーボンナノ材料の総量を最大にするために、規定の(given )炭化水素のための規定の(given )燃焼システムにおいて、通常は実験的に最適化される。例えば、フラーレン合成の処理において用いられる当量比は、溶剤に抽出されるフラーレンの最大量を発生させるように最適化することができる。
燃料と酸化ガスは燃焼の前に予混合されてもよい(即ち、予混合バーナーにおいて)し、又は炎の近辺において混合してもよい(例えば、拡散バーナーにおけるように)。この発明のより揮発性の低い燃料(即ち、ベンゼンやBTXに比較してより低い揮発性を有する化合物)を使用するために、多環芳香族炭化水素燃料が、例えば、バーナーの導管を加熱することによって、実質気化相のままであるバーナー構造が採用される。炭化水素燃料は、バーナーに導入されるに先立って大気圧より高い圧力で加熱されることによって気化できるものである。
炭化水素燃料の燃焼は、少なくとも1つのバーナーと、炭化水素燃料と酸化ガスのバーナーに導入のための少なくとも1つの注入口と、凝縮できる燃焼生成物(凝縮物)を回収するための手段とを有する燃焼システムによって実施される。注入口又はバーナーに接続される注入口は、揮発性のより低い炭化水素燃料の輸送を促進するために加熱することができる。バーナーは、コレクターに向けての凝集物の輸送のためのハウジングの内側に位置している。バーナーの出口(例えば、バーナープレート)にあって、炎を始動させるための点火器はハウジング内に配置できる。
燃焼システムのハウジングは、費やされた非凝縮性のガスをこのシステムから除去するためのポンプ装置に流体的に連結されている。ハウジングは真空下で、好ましくはバーナーを含むハウジングの圧力が減圧下(より好ましくは、ハウジング内の圧力が20から70Torrになるように設置されている。バーナーは炭化水素燃料と酸化性ガス(例えば、酸素)を予混合するように構成されているか、又は拡散バーナーであってもよい。
好ましくは、燃焼システムは、バーナーと炎の下流(バーナーからコレクター及び排気ポンプへのガスと粒子の流れによって定義される)の反応ゾーンを有する。この領域は断熱され通常は炎によって加熱されているが、バーナープレートからの選択された距離における希望される温度(又は温度プロファイル)を維持するために、追加的に応用的な加熱を備えてもよい。更なる反応、フラーレンと他のカーボンナノ材料を含む、燃焼によって生成した種の構造的再配置又は分子凝縮がこの領域において発生していると推定される。
より高い温度における燃焼生成物の滞留時間を増大させることが、形成されるフラーレンの総量を高めることが見いだされている。燃焼によって形成される凝集生成物(凝集物)はバーナーの下流側、好ましくは加熱されているゾーンの下流側で集められる。回収された煤中のフラーレン量又はより一般的には回収された煤中の他のカーボンナノ材料の量と、回収された煤の量と、燃焼過程における総合的なカーボン変換歩留りは、バーナーの出口(例えば、バーナープレート)から凝集物が集められる位置の距離によって影響されうる。フラーレンを形成するための有用な燃焼システムの議論についてはハワード等によるアメリカ特許5,273,729、5,985,232と6,162,411において見いだされる。これらの特許には本発明の方法において有用な燃焼装置が記載されているが、これらの特許においては水冷されたバーナープレートを用いるバーナーの使用が記載されている。このタイプのバーナーは本発明の多環芳香族炭化水素燃料の使用には好ましくない。この発明の多環芳香族炭化水素燃料を使用する好ましいバーナー構成は、2002年3月15日に出願されたレギューラユーティリテイアメリカ出願S/N10/098,829と、2001年8月30日に出願されたアメリカ仮出願60/316,426に記載されている。これらの出願には、フラーレン及び他のカーボンナノ材料の合成のための有用な燃焼システムが更に詳細に記載されている。
凝集物及び/又は煤についての種々の捕捉機(トラップ)及びコレクターが、この分野においては知られている。一般的に、表面、例えば燃焼装置の壁を回収のために使用することができる。その代わりとして、煤粒子(とその上に吸収される種)の回収のためのフィルター装置を使用することもできる。好ましくは、気孔サイズが10ミクロン以下のフィルターが使用される。フィルターの回収表面の定期的な清掃が反応系を連続的に操業するためには必要である。2002年3月15日に出願されたアメリカ特許出願10/098,829号、2001年8月30日に出願されたアメリカ仮出願60/316,315号には、凝集物の回収のためのその場(in situ)の清掃機構を備えた好ましいフィルター装置が提案されている。
煤を含む凝集物はバーナー炎から異なる距離位置で回収することができる。フラーレンとその他のカーボンナノ材料の形成は、火炎の後ろ側のゾーンにおいて継続しているので、産出量はそれを回収する位置によって決定される。代表的な燃焼生成システムにおいては凝集物は、ガス温度が約600℃以下に下がった時に回収される。煤を含む凝集物は、金属表面と種々のタイプのフィルターの内部又はその表面で回収することができる。
溶剤で抽出可能なフラーレン、特にC60とC70は、回収された凝集物を、代表的にはトルエン、キシレン又はこれらの混合物を抽出溶剤として用いる溶剤抽出によって分離される。抽出フラーレンへの炭素変換の割合として測定されるフラーレンの歩留りは、凝集物のHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)分析により決定され、凝集物の総重量に相まって、抽出フラレーンの総量が求められる。ディナーM.D.等の2000年J.Phys.Chem B104:9615には、HPLC法を用いたフラーレンの歩留り測定のより詳細な記述がある。
フラーレン、フラーレン煤又は他のカーボンナノ材料を純化することが望ましく、特に、多核芳香族炭化水素(PAHs)をフラーレン、フラーレン煤又は他のカーボンナノ材料から取り除くのが好ましい。フラーレン、フラーレン煤及び他のカーボンナノ材料の純化、又はこれらの材料を富化することに対して、この分野で知られている如何なる方法も、この発明の方法に使用できる。除去するに好ましいPAHsを取り除くためのより好ましい方法が、2001年8月30日に出願されたアメリカ仮特許出願60/316,315号で提供されている。
この発明の燃焼方法は、2以上の環を含む1以上の芳香族分子を有する多環芳香族炭化水素燃料を使用しており、似たような燃焼システムでベンゼンや単環芳香族燃料を使って観測されたものに比較して、著しく高いカーボン変換收率(少なくとも25%より高い変換率、そして、好ましくは50%以上の変換率)を提供する。特に、この発明の方法においては、少なくとも0.5%のカーボン変換率で抽出可能なフラーレンを生成できる。特に、好ましい方法においては、この発明による多環芳香族炭化水素燃料の燃焼は、抽出できるフラーレンを約1%以上とするカーボン変換率を呈することができる。
本発明による、2以上の六員環、2以上の五員環、又は1以上の六員環と1以上の五員環の混合物を含む1以上の芳香族分子を有する多環芳香族炭化水素燃料の使用は、高い生産率で、特に1日に100gより大きい比率でフラーレンを製造する場合に、特に利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の詳細な説明
この発明は、炎燃焼からフラーレンを合成する場合の産出量は、特に、多核芳香族炭化水素を含む多環芳香族炭化水素燃料又は原料油を使用することによって、格段に改善されるという発見に、少なくともその一部は基づくものである。殆どの燃焼法は、煤を発生しているベンゼンフレーム中でのフラーレンの生成に焦点を当ててきた。ベンゼンの燃焼による煤から取り出される抽出フラーレンは約20重量%まで達しているが、溶剤抽出可能なフラーレンカーボンに対する炭化水素原料油のカーボン(ベンゼンカーボン)の総変換率として表現されるフラーレンの歩留りは、約0.5%である。出願人の努力は、燃焼法を用いるフラーレンの合成に対しては、ベンゼンは最適条件の炭化水素ではないことを実証している。彼らは、PAHsを含む炭化水素燃料を用いることによって、格段に改良された(50−100%)のフラーレンの生産高を得ている。
具体的には、コールタール蒸留物(CTD)の中間留分、好ましくは、常圧で約100℃から220℃の温度範囲で回収された留分を含むものが、この合成のための高く望まれる原料油として認められている。これらの低コストのコールタール留分は、2以上の環を備えたPAHsの混合物を提供し、その使用は、燃焼法における抽出可能なフラーレンの歩留りの改善を提供できる。更に、これらのコールタールの蒸留物の使用は、ベンゼンを使用する場合に比較して、安全性に対する制限がより低く要求される。この作業に採用されているCTDsは、低レベルの窒素、硫黄、酸素、及び水素及び炭素以外の他の元素を含んでいる。ここにある結果がまた、炭素と水素以外の原子が原料油中に存在したときでさえ、炭化水素の工業的な混合から高い歩留りでフラーレンを容易に形成できることを示している。
気体相における炭化水素からのフラーレンと他のカーボンナノ材料の形成は、PAHsを通して進行すると信じられている(ホーマンによる1998年のAngew.Chem.Int.Ed.37:2434)。フラーレンは、温度範囲が約1200℃−1600℃の低圧気中の過剰炎において生じる熱力学的に好ましい炭素生成物である(しかしながら、それらは、速い反応率で、始めはアセチレン種の凝縮物、結果的には巨大PAHsと煤になるので、動力学的には好ましい生産物ではない)。PAHsは脂肪族が豊富な燃料の炎から形成することができるが、第1環の形成の時間が遅い。そして、フラーレンの生産率が、第1環が既に形成されている芳香族燃料に比較して低い(ハワード等による、1992年)。
如何なる特別な理論によって拘束されようとする意思なしで、カーボンナノ材料の生産のために、燃料、例えばPAHsを含んでいる燃料中に1以上の環を備えた芳香族炭化水素を使用することは、炎、更には経路に沿ってフラーレン及び他のカーボンナノ材料の凝集処理への開始となり、結果としてフラーレンと他のカーボンナノ材料の総合的により高い変換効率をもたらすことなると信じられている。しかしながら、PAHsを使用する処理は、更に煤形成への経路にもなり、その結果、PAHsを含む燃料の燃焼によって形成される煤が増加する。PAHsに伴う煤形成の増加のために、一つのPAH炎の煤中の回収できるフラーレンの%は、比較できる単環の芳香族炎のそれに近似している。多環芳香族分子を本来含む燃料を使用する利点は、燃料から全体的なフラーレンの形成率が増加することである。このように、2以上の六員環、2以上の五員環、又は1以上の六員環と1以上の五員環の組合わさったものを含んでいる1以上の芳香族分子を含む燃料が、より効率的でより低コストで大量のフラーレンの生産を行うのに好ましい。
この発明の方法は、溶剤抽出フラーレンを含むフラーレンを作成する、より一般的にはフラーレン煤と他のカーボンナノ材料を作成するのに用いることができる。
カーボンからフラーレンへの総合変換歩留りの増加を示す本発明の多環芳香族炭化水素燃料は、少なくとも2つの六員環、少なくとも2つの五員環、又は一つ以上の六員環と一つ以上の五員環の混合体を含む少なくとも一つの芳香族分子を含む。この発明の燃料化合物として有効な芳香族分子は、例えば、インデンやインダンのように一つの芳香族六員環と飽和又は不飽和の六員環又は五員環を含むもの、例えば、ナフタレンやメチルナフタレンのような2つ芳香族環を含むものと、例えば、アントラセンやフェナントレンのように3つの芳香族環を含む分子からなるものを含む。
多核芳香族炭化水素(多環芳香族炭化水素、PAHsでもある)は、少なくとも2つの環を有する芳香族種である。PAHsには、とりわけ、インデン、メチルインデン、ナフタレン、メチルナフタレン、ビフェニル、キノリン、フェナントレン、アントラセン、アルキアントラセン フルオランセン、ピレン、ペリレンを含む。PAHの用語は広く、少なくとも2つの環を有する芳香族種を包含するものであり、ここではその2つの環に炭素を含むものや1以上の異原子(例えば、酸素、窒素、硫黄)を含むものである。PAH中の一つ以上のCH2 グループはC=Oグループに置き換えることができる。PAH’sには少なくとも一つの芳香族環と、飽和、不飽和、又は芳香族の少なくとも一つの他の環とを有している。PAHの一つ以上の芳香族環、飽和環又は不飽和環は複素環であってもよい。一つのPAHの1以上の環は、一つのアルキルグループ又は一つのOHグループに置き換えることができる。
ここで成分(又は分子)と環(炭素環、又は1以上のヘテロ原子と連結した炭素環)とに関連させて使用されている「芳香族」の用語は、この分野においてよく知られている意味であって、4n+2π(ここで、n=0,1,2,3等)の電子を含む如何なる平面環(planar ring)も、少なくとも一つの芳香族環を含む如何なる分子も包含するものである。芳香族環は、π電子の非局在化から追加的な安定性が導きだされる。芳香族分子には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、代替ベンゼン(例えば、トルエン)、代替ナフタレン、ピリジン、インダン、インデン、ピロール、フラン、チオフェンを含む。本発明の芳香族炭化水素燃料においては、2以上の芳香族、飽和又は不飽和の炭素環又は複素環が、相互に溶け合ったものでも可能であるし、直線状又は枝分かれした炭化水素を介して連結されているものでも可能である。
詳細な具体例においては、本発明の炭化水素燃料には、1以上の多核芳香族炭化水素化合物に加えて、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、エチルトルエン、ビニルトルエン、1 ,2 ,4 −メチルベンゼン、メシチレン、パラクレゾール、クレゾール、キシレン、ピロール、3 −ピロリン、ピロリジン、チオフェン、ピリジン、ピリジチン(pyridizine) 、ピラジン、ピリミジン、メチルチオフェン、メチルピラジン、1−メチルピロール、3−メチルピリダジン(3−methylpyridazine) 、1−メチルピロリジン、2−メチルピロリジン、インダゾール(indazole) 、インドール、インドリン(indoline) 、フラン、スチレンの1以上の芳香族化合物又は複合環化合物を含むことができる。このような組成物において、PAHs又はその混合物は可なりの量(30重量%又はそれ以上)存在する。
本発明の詳細に具体例において、本発明の炭化水素燃料には、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、エチルトルエン、ビニルトルエン、1 ,2 ,4 −メチルベンゼン、メシチレン、パラクレゾール、クレゾール、キシレン、ピロール、3 −ピロリン、ピロリジン、チオフェン、ピリジン、ピリジチン(pyridizine) 、ピラジン、ピリミジン、メチルチオフェン、メチルピラジン、1−メチルピロール、3−メチルピリダジン、1−メチルピロリジン、2−メチルピロリジン、インダゾール、インドール、インドリン(indoline) 、フラン、ナフタレン、メチルナフタレン、インダン(indan)、メチルインデン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリセン、スチレンの1以上のものと連結している可なりの量のインデンを含むことができる。
本発明の詳細な具体例において、多環芳香族炭化水素燃料はコールタール蒸留物(CTD)である。CTDs(コールタール蒸留物等)は石炭を加熱し、凝縮して回収できる揮発成分を除去することによって生産される。このような事情であるので、蒸留物の中に可なりの量の窒素、酸素及び硫黄が、例えば複合環の形で存在しうる。しかしながら、CTDの各留分は沢山の異なる種類の芳香族分子の混合物であり、どの特定の留分もかなりの部分を識別できない。しかし、CTDのある留分は、この留分中に相当の量で存在する支配的な単一成分が含まれる(ここで、炭化水素燃料又はCTD留分中の成分に関して使用されている「相当の量」という用語は、炭化水素燃料又はCTD留分の約30重量%以上であることを意味する)。
異なる商業的な調達源から、CTDsの成分については可なりの変化がありうる。この変化は、各々のコールタールの蒸留所が異なるカット(異なる温度範囲で回収されている)を取るために生じ、結果として異なる混合物となる。例えば、ある蒸留所では与えられた温度範囲で3つに分離された留分が集められるかも知れないが、別の蒸留所では同じ温度範囲で5つに分離された留分を回収する。最終的に、蒸留される石炭のタイプは、それぞれの蒸留所のそれぞれのカットに対する相対的揮発量により変化することになる。目下のところ有用であり得るCTDs中の全ての変化にも係わらず、それらが低コストで高い生産性を有するので、フラーレンの形成には有効である。CTDsはまた、更に細かく分けられた温度範囲で回収した如何なる留分も包含するものである。この細分化された温度範囲での留分は、商業的に利用可能なCTDの留分の混合物と同じように、商業的生産物として通常集められる。
フラーレンと他のカーボンナノ材料の燃焼法による低コスト生産に有用な炭化水素燃料の他の供給源は、2以上の六員環、2以上の五員環、又は1以上の六員環と1以上の五員環との混合物を含むものを有する1以上の芳香族分子を含む石油タンクの残留物と石油を蒸留した留分である。2つの環のPAHsをかなりの量含む石油残渣又は留分は特別な利点を有する。
他の実施例において、1以上の芳香族成分を25重量%以上含む石油蒸留物及び燃料は、本発明の炭化水素燃料として有用である。特に有効な石油製品は、幾らかの有極性有機物を伴い、大部分は3及び4環のPAHsと複合環が含まれるバキュームガス油(VGO)である。約150℃−220℃の範囲で回収された留分を含んでいる石油蒸留物は、一般的にこの発明の方法における炭化水素燃料としては有用である。より好ましい石油蒸留物は、160℃−210℃の範囲で集められた留分を含んでいる。
コールタール蒸留物の2つの最も軽量な留分に対応する2つのタイプの製油溶剤であるナフサが商業的に入手できる。その一つは、沸点範囲が320°F−350°F(160℃−177℃)である。他は沸点範囲が約360°F−410°F(182℃−210℃)であって、一般的に、同じ沸点範囲で回収したコールタール蒸留物(インデンとナフタレン留分)に成分的に似ている。しばしば、ベンゼンはこれらの留分から取り出される。石油留分は、より沢山のパラフィンを有しており、その結果として対応するコールタール留分より僅かに安価となるだろう。フラーレンの生産率を向上させることを提供しようとする本発明の方法において特に利益のあることは、約360°F−410°F(182℃−210℃)の沸点範囲を有する石油溶剤ナフサである。
この分野の通常の知識を有する者は、CTD留分が、ここでの燃焼方法において、お互いに、又は有用な成分となる石油蒸留による蒸留物の留分と結合しうることを更に評価するであろう。更には、CTDs又は石油留分は、本発明の炭化水素燃料となる単環又は2環の芳香族化合物と結合あるいは希釈可能である。例えば、CTDs又は石油留分は、数あるなかで、ベンゼン、インデン、ナフタレンと結合又は希釈できる。如何なる混合物となるかの有効性は、芳香族の内容(例えば、存在する芳香族成分の量)に関係するものであり、単環芳香族炭化水素や複素環より、PAHs、特にインデンとメチルナフタレンが好まれるであろう。
燃焼合成法に好んで使用される、CTDの留分又は石油蒸留物は、使用されるバーナーのタイプによる。例えば、燃料が蒸気の状態となった予混合バーナーにおいては、比較的軽量の留分、例えば、コッペルズ・インダストリーの溶剤ナフサ(Koppers Industries' Solvent Naphtha )留分(約50%のインデンを有する)が、取扱上最も便宜がある。しかしながら、2以上の六員環、2以上の五員環、又は1の六員環と1の5員環を有する1以上の芳香族成分を含む、より一般的な燃料又はPAHsを含む本発明の炭化水素燃料は、バーナーの表面が冷却されているバーナーでの使用には好ましくない。
次のセクションから理解できるように、CTD中に常に存在する異原子(窒素、酸素、硫黄)はフラーレンの形成を害することはなく、また、煤からフラーレンを分離するための展開された溶剤抽出処理は、修正することなく本発明の方法によって生産される燃焼煤に適用できる。
フラーレンの生成について燃焼システムはこの分野においては知られている。これらのシステムは、通常は、バーナー、炭化水素燃料と酸性ガスをバーナーに導くための導管、状況に応じて用いられる多環芳香族炭化水素燃料を確立された炎に又は炎の近辺に供給する導管、燃焼によって生産されるカーボンナノ材料(フラーレンを含む)と含有煤(フラーレン煤を含む)の回収のためのコレクター又はフィルター装置を有している。バーナー出口からの生産ガスの流れは、コレクターを通して又はフィルターを通じてこのシステムからポンプで排出される。燃焼システムには、製品の回収に先立って、ポストバーナー反応ゾーンを有するのが好ましい。カーボンナノ材料の生産について、模範的な燃焼システムが、2001年8月30日に出願されたアメリカ仮出願S/N.60/316,426号と、アメリカ特許出願S/N.10/098,829号に記述されている。
本発明は、炎中、特に煤を有する炎中の燃焼を用いてカーボンナノ材料を生成する燃料に関するものである。ここで「燃焼」という用語は、炭酸ガスと水に加えて製品を生産するための特別な反応化学量論についての制限なしに、炭化水素又は炭化水素の混合物が酸素(又は他の酸化性ガス)と発熱反応を起こすことまで及ぶものである。一方の炭化水素又は炭化水素の混合物の燃焼によって発生する熱は、他の炭化水素又は炭化水素の混合物の燃焼を促進するために使用できる。炭化水素が酸素又は他の酸性ガス中で「燃えること(burning) 」の用語は、ここでは燃焼(combutuin)と同じ意味を有することを意図している。両用語はまた、炭化水素の熱分解から開始される燃焼を含むものである。熱分解は、酸素の欠乏下で熱によって、炭化水素のような材料が分解することであり、熱分解によって始まる燃焼においては、熱分解のための熱が、少なくとも部分的には、炭化水素の燃焼によって発生する。一般的に熱分解によって開始される燃焼においては、一つの炭化水素又は炭化水素混合物の燃焼は、他の炭化水素又は他の炭化水素混合物を熱分解する熱を発生することに使用できる。
フラーレンと他のカーボンナノ材料は、炭化水素燃料を燃焼させることによって、煤炎中に通常製造される。炭化水素燃料は、炎を発生させるために、酸化性ガスと組み合わせて、蒸気化状態(実質的に全部が蒸気化されている)でその殆どがバーナーに通常は導入される。もう一つの方法として、多環芳香族炭化水素燃料は、バーナーを通してというよりも、確立された炎に又は炎の近傍に導入され、その炎によって発生する熱によって多環芳香族炭化水素燃料が分解される。揮発性の低い炭化水素燃料を使用する場合には、燃料をバーナー又は炎への配送に使用する導管は、バーナー中で燃料の凝縮を防止するために加熱するのがよい。本発明においては、より低い揮発性の燃料を、バーナー又は炎に導入する前に、揮発化させておくことが有効であり得る。炭化水素を気化させるための種々の方法が、この分野においては知られているが、例えば、燃料を高圧でそれらが実際的に完全に揮発する温度まで加熱するのが好ましい。
この発明の多環芳香族炭化水素燃料は、液状の炭化水素燃料を酸素の存在下で燃焼させるように設計された燃焼システムでのフラーレン又はその他のカーボンナノ材料の合成においても使用することもできる。一つのこのようなシステムが、2001年12月5日に出願された米国仮出願60/337,750に記載されている。
最適化された条件においては、ベンゼン燃焼固体炭素製品(煤+フラーレン)の約20%がフラーレンとしてトルエン又はキシレンに溶出可能である。しかしながら、全部の生産量には、固体炭素(煤)の形成率も考慮に入れなければならない。異なるバーナーと燃焼システムは異なる煤の生産率を有するので、異なる炭化水素燃料を用いる最良の生産高の比較には、同じバーナーによって行うべきである。表1は、ベンゼンを用いて2つの異なる種類のバーナー装置を用いた本発明の多環芳香族炭化水素燃料の収率を比較するデータを提供するもので、バーナー装置の一つはバーナー表面の少し上でガスが混合する拡散炎を備え、他はより大きな予混合バーナーを備えている。
ベンゼン燃焼は、商業的に入手容易な軽量CTD留分(コッペルズ・インダストリー:Koppers Industriesから得られたソルベントグレードコールタールナフサ:Solvent GradeCoal Tar Naphtha )の燃焼と比較された。このコールタール蒸留物の溶剤ナフサ留分は、121℃−196℃の範囲で回収され、そして、種々の分子を含む(表2参照)。この表2に示すように、この蒸留物の留分は約50重量%のインデンを含んでいる。私たちの実施例に用いられたこの特定な留分は、それぞれC、H、N、Sが89.91%、7.85%、1.82%、0.11%(C/H比は約11.5である)と分析された。
燃焼システムから回収された煤は、全ての操作に対して同一の抽出法によって分析された。フラーレンの総計はHPLC分析によって決定された。煤は集められて重量を測定された。溶剤(5.0mlのo−キシレン)は回収直後の約10mgの煤に加えられた。そして、この混合物は1分間超音波処理され、続いて、0.45ミクロンのテフロン(登録商標)製のフィルターを通して濾過が行われた。次に、濾過物はHPLCに注入された。このHPLCは、既知の体積のo−キシレンに加えられる純化混合フラーレンの抽出物の重量を変えることによって作られた一連の標準品から308nmの吸光度を測定することによって、前もって較正されている。このHPLCにおけるコラムは、C18の逆相シリカであった。この移動相は、トルエンとメタノールが60対40の混合物であった。濾過されたフラーレン溶液(10マイクロリットル)は、HPLCに注入され、そして、コラム溶離液の吸光度は308nmで観察された。全てのフラーレンに対するHPLCのピーク領域は総計され、そして、混合フラーレンの試料によって較正された領域と比較された。このHPLCの分析は、煤中の抽出可能なフラーレンの割合(%)を示している。煤中の抽出可能なフラーレンの割合に、煤の重量を掛けることによって、生産されたフラーレンの総重量が与えられる。
フラーレンとフラーレン煤は、燃焼の凝集物として集められる。凝集物は、バーナー後の反応ゾーンにおける他の燃焼生成物と共に再配列又は凝集されたであろう燃焼生成物を含む、煤、フラーレン及び他のカーボンナノ材料を含んでいる。凝集物は、また、燃料からの又は燃焼中に発生した多核芳香族炭化水素を含む。ここでは簡単に説明しているが、フラーレンとフラーレン煤中にPAHsが存在することは好ましいことではなく、PAHsは好ましくは、分離されたフラーレン、フラーレン煤、又は他のカーボンナノ材料から除去される。
凝集物はバーナーから放出された燃焼生成物(又は炭化水素燃料の残余物)であり、大気から350℃までの温度の表面上から収集可能である。凝集物は、バーナーによって放出される一酸化炭素や炭酸ガスのようなガス生成物、ベンゼンやトルエン等のような揮発性成分から区別できるものある。
表1の結果は、ベンゼンとトルエンの両方に比較して、CTD留分を炭化水素燃料として用いた場合の、抽出フラーレンへの総カーボン変換率が飛躍的に増加していることを示している。これらの結果は、また、抽出フラーレンのベンゼンに対する総カーボン変換率が0.5%であったと報告されている(1992年ハワード等によって)先行技術を超える有意義な改良であることを示している。
【0006】
【表1】
Figure 2005501792
【0007】
表1のデータを得るために使用された等量比は、全ての他の反応条件を同一に保持しながら同じ燃焼装置において予備的に操業を行った中で、抽出フラーレンを最大化するために実験的に最適化したものであった。最適化された等量比は、異なる炭化水素燃料について異なるものであり、異なる燃焼システムにおいて同じ燃料に対しても異なるものであった。総炭素変換率において観察された相違は、等量比の相違の結果ではなく、使用した燃料の種類に由来するものであった。
【0008】
【表2】
Figure 2005501792
【0009】
PAHsを可なりの量含む炭化水素燃料を選択することによって、本発明の燃焼合成法における改良は、フラーレン、フラーレン煤とカーボンナノ材料の形成にとって有用である。フラーレン生産の燃焼処理において、PAHsの使用、特にインデンの使用は、その生産率を向上させ、そして生産コストを減少する。煤を発生する炎は、大きな生産率(大まかに100g/日以上)で、フラーレンを生産するための最も割りの良い方法である。フラーレン、他のカーボンナノ材料、及びこれらの物質を含む燃焼煤は、例えば、半導体の加工における電子と光の抵抗体への添加物、化粧品、酸化防止剤、抗ウイルス剤等の添加物等の広い種々の潜在的用途を有するものである。これらの用途の全ては価格志向型であり、これらの用途におけるカーボンナノ材料のコスト効率の良い使用は、現在得られるよりも可なり低い生産コストでそれらを利用できることが要求される。この発明における炭化水素燃料、特にインデンを含むコールタール蒸留物の留分を、燃焼処理において使用することは、フラーレンの生産コストを半分にすることができるものである。
この分野における通常の知識を有するものは、ここに具体的に例示したもの以外の、具体的なバーナー装置、燃焼反応装置とバーナー温度、燃焼装置の圧力、凝集物の収集と純化処理を含む、燃料成分、機器要素、処置、処理条件と技術が、必要以上の実験に頼らず、特許請求の範囲の記載されたように、本発明の実施に適用されることを正しく認識できるであろう。この分野における通常の知識を有する者は、ここで例示した燃料組成の機能的同等物、機器要素、処置、処理条件と技術が、この分野において存在することを認めるであろう。
ここで引用された全ての文献は、ここでの記述に矛盾しない範囲において、ここでは参考として盛り込まれている。

Claims (43)

  1. (a)2個以上の6員環、2個以上の5員環又は1つ以上の6員環と1つ以上の5員環の混合物を含む1つの芳香族分子からなる成分を少なくとも1つ含む多環芳香族炭化水素燃料を燃焼する工程と、
    (b)前記多環芳香族炭化水素燃料を燃焼させることで生成する凝縮物を収集する工程とを有するフラーレン又は他の炭素ナノ材料を製造する方法。
  2. 前記多環芳香族炭化水素燃料が、2個以上の6員環、5員環又はそれらの組み合わせを含む約30重量%以上の1つ以上の芳香族分子を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記多環芳香族炭化水素燃料が2個以上の6員環、5員環又はそれらの組み合わせを含む約40重量%以上の1つ以上の芳香族分子を含む請求項1記載の方法。
  4. 前記多環芳香族炭化水素燃料が2個以上の6員環、5員環又はそれらの組み合わせを含む約50重量%以上の1つ以上の芳香族分子を含む請求項1記載の方法。
  5. 前記多環芳香族炭化水素燃料がインデンを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記多環芳香族炭化水素燃料がインデンと単環芳香族分子との混合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記単環芳香族分子がベンゼン、トルエン、キシレン、又はトリメチルベンゼンである請求項6記載の方法。
  8. 前記多環芳香族炭化水素燃料が、インデンと2環芳香族分子の混合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記2環芳香族分子がナフタレン又はメチルナフタレンである請求項8記載の方法。
  10. 前記多環芳香族炭化水素燃料がインデンとナフタレンとの混合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記多環芳香族炭化水素燃料が、1、2又は3の芳香族環を有する芳香族分子の混合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  12. インデンが前記多環芳香族炭化水素燃料の実質的成分であり、それらの中に約30重量%以上存在している請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. インデンが前記多環芳香族炭化水素燃料の実質的成分であり、それらの中に約40重量%以上存在している請求項12記載の方法。
  14. インデンが前記多環芳香族炭化水素燃料の実質的成分であり、それらの中に約50重量%以上存在している請求項12記載の方法。
  15. 前記多環芳香族炭化水素燃料がコールタールの蒸留物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約100℃から約220℃の温度範囲で収集される留分を含む請求項15記載の方法。
  17. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約120℃から約200℃の温度範囲で収集される1以上の留分を含む請求項15記載の方法。
  18. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約100℃から約220℃の温度範囲で収集される1以上の留分から本質的に構成される請求項15記載の方法。
  19. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約120℃から約200℃の温度範囲で収集される1以上の留分から本質的に構成される請求項15記載の方法。
  20. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約100℃から約220℃の温度範囲で収集される留分の混合物である請求項15記載の方法。
  21. 前記コールタールの蒸留物が、およそ大気圧下で約120℃から約200℃の温度範囲で収集される留分の混合物である請求項15記載の方法。
  22. 前記コールタールの蒸留物がインデンを含んでいる請求項15記載の方法。
  23. 前記コールタールの蒸留物が約30重量%以上のインデンを含んでいる請求項22記載の方法。
  24. 前記コールタールの蒸留物が約40重量%以上のインデンを含んでいる請求項22記載の方法。
  25. 前記コールタールの蒸留物が約50重量%以上のインデンを含んでいる請求項22記載の方法。
  26. 回収された燃焼による前記凝集物は、約10重量%以上の溶剤で抽出可能なフラーレンを含む請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記多環芳香族炭化水素燃料は石油蒸留物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記石油蒸留物は、およそ大気圧下で約150℃から約220℃の温度範囲で収集される1つ以上の留分を含む請求項27記載の方法。
  29. 前記石油蒸留物がおよそ大気圧下で約182℃から約220℃の温度範囲で収集される1つ以上の留分を含む請求項27記載の方法。
  30. 前記石油蒸留物がおよそ大気圧下で約160℃から約177℃の温度範囲で収集される1つ以上の留分を含む請求項27記載の方法。
  31. 前記石油蒸留物は、2以上の環を有するPAHsを少なくとも約30重量%有する請求項27記載の方法。
  32. 多環芳香族燃料の炭素対水素の比は、約10対1から20対1の範囲である請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 多環芳香族燃料の炭素対水素の比は、約10対1から15対1の範囲である請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記多環芳香族炭化水素燃料がおよそ大気圧下で室温において液体である請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記多環芳香族炭化水素燃料が、およそ大気圧下において約100℃以上の温度で実質的に蒸発する請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記多環芳香族炭化水素燃料は、バーナーと、該バーナーから選ばれた距離に置かれた凝集物のコレクターとを有する燃焼システムによって燃やされる請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記多環芳香族炭化水素燃料は、前記バーナーに導入される前に酸化性ガスと予混合されている請求項36記載の方法。
  38. 前記多環芳香族炭化水素燃料は、酸性ガスと共に、前記バーナーの炎にて又はその近くで拡散される請求項36記載の方法。
  39. 前記多環芳香族炭化水素燃料は、確立された炎の中に、又はその近傍に導かれる請求項36記載の方法。
  40. 前記多環芳香族炭化水素燃料は、真空ガス油である請求項1〜4、36のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記燃焼による凝集物はフィルターによって回収される請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 溶剤抽出可能なフラーレンは、収集された凝集物にトルエン、キシレン又はこれらの混合物を用いた抽出によって分離される請求項41記載の方法。
  43. フラーレンが前記凝集物から分離される請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
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