JP2005500251A - 洞様毛細血管閉塞症候群および放射線療法誘発性肝疾患を予防および処置するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
洞様毛細血管閉塞症候群(「SOS」)を予防および処置するために、マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターを使用する方法。特に、本発明は、化学療法誘発性肝疾患および放射線療法誘発性肝疾患の予防方法および処置方法を提供する。本発明は、高用量の化学療法および/または高線量の放射線を受け、そしてSOSまたは放射線誘発性肝疾患の危険性を有する患者に、予防効果を与え得る。本方法はまた、SOSまたは放射線誘発性肝疾患を発症する患者を、治療的に処置するために使用され得る。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2001年、2月27日出願の米国仮出願第60/271,780号(これらの全開示は、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、洞様毛細血管閉塞症候群の予防および処置における、マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターの使用に関する;特に、本発明は、化学療法誘発性肝疾患または放射線療法誘発性肝疾患の合併症の予防および処置に関連する。
【0003】
(連邦に援助された研究に関する記述)
本発明は、国立衛生研究所により授与されたNIDDK(助成金DK46357)の下で、米国政府の支持により行われた。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
本発明は、洞様毛細血管閉塞症候群(「SOS」)を予防および処置するための、マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターの使用に関する。SOS(肝静脈閉塞疾患としても公知である)は、Crotalaria、HeliotropiumおよびSenecio由来のピロリジジンアルカロイドを含むハーブティまたは栄養源の摂取、あるいはこれらの植物からの種により汚染された、不適切に選別された小麦から作られたパンの消費により引き起こされる肝疾患の症例において最初に診断された。現在の化学療法の発展に伴って、SOSの症例は、腎移植および肝移植後の免疫抑制のためのアザチオプリンの長期間にわたる使用ならびに化学療法剤の使用により発症した。化学療法の肝臓合併症は、高用量の化学療法(全身照射を伴うか、または伴わない)あるいは肝臓への高線量照射後、最も共通に認められる。肝臓毒性は、高用量化学療法のまれな副作用ではない。骨髄移植が行われない場合、肝臓毒性はまた、化学療法および/または肝臓照射の後に発症する。従って、骨髄の切除のために使用される条件付け(conditioning)レジメンは、SOSの最も共通な原因である。
【0005】
SOSは、ゲムツブズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin)2またはアクチノマイシンD3を用いる化学療法、あるいは腎移植患者または肝移植患者におけるアザチオプリンを用いる長期間の免疫抑制後の共通な合併症である。肝臓毒性およびSOSに関連する他の化学療法剤としては、ダカルバジン、シトシンアラビノシド、ミトラマイシン、6−チオグアニン、ウレタン、インディシン(indicine)N−オキシド(単独およびそれらの組合せ)が挙げられる。化学療法由来の、より穏やかな形態の肝疾患(これは、洞様毛細血管内皮細胞損傷の主要な局面を共有する)としては、結節性再生過形成、洞様毛細血管拡張および肝臓紫斑病が挙げられる。放射線療法および化学療法の組み合わせはまた、SOSの発症を導く。例えば、ダクチノマイシンおよび腹部の照射を用いる腎芽細胞腫(ウィルムス腫瘍)の処置は、SOSを導く。
【0006】
放射線誘発性肝疾患は、SOSの特徴のいくつかを共有する状態であるが、臨床的症状(presentation)、病歴および時間経過に差異が生じる。放射線誘発性肝疾患は、成人において30〜35Gyを超える放射線量で見られる。
【0007】
SOSは、有意な罹患率および死亡率を有する。SOSの重症度は、軽度(SOSは臨床的に明らかであるが、処置を必要とせずに完全に回復する)、中程度(処置(例えば、利尿剤または鎮痛剤)を必要とする徴候および症状を引き起こすが、完全に回復するSOS)または重度(治療を必要とするが、死亡までまたは100日目で回復しないSOS)として分類し得る15、16、17、22。いくらかの患者は、無症状な肝損傷(臨床的な徴候および症状を欠く場合に肝毒性の組織学的証拠によってはっきりと示される)を有する18。ひどい黄疸にもかかわらず、重篤なSOSを有する患者は、腎不全および心肺不全で死亡し、むしろ肝不全ではめったに死亡しない15、16、23、24。
【0008】
シクロホスファミドベースのレジメン後のSOSの結果を予測するために有用な臨床的モデルは、ビリルビンの増加率および移植に続く最初の2週間における体重増加率の両方に由来する25。さらに、悪い予後は、より高い血清のAST値およびALT値、より高い閉塞肝静脈圧勾配、門脈血栓症の発症、基準の血清クレアチニンの倍増ならびに酸素飽和の減少に関連する19、20、21、14、26。SOSまたは放射線誘発性疾患のいずれかの予防的処置は、現在なく、そして高い治療効果を有することが証明された医療もない。幾分効果の証明された唯一の治療モダリティーは、ヘパリンと組織プラスミノゲンアクチベーターとの組み合わせである。しかし、この組み合わせは、非常に限定された患者群において唯一安全に使用され得、そしてこの限定された患者の集団の30%未満において有効性を有する。
【0009】
SOSは、いくつかの化学療法薬物として用量限定的な毒性を持ち、そして適用できる患者を制限する。SOSの予防的処置は、高用量化学療法を使用するための能力に対する大きな影響を有する。疾患の発症後にSOSを処置するための治療法の開発は、化学療法誘発性肝疾患の予想外の症例において、価値があるだろう。
【0010】
この分子事象は、ラットモノクロタリンモデルにおいて最もよく特徴づけられてきた。Crotalaria中に見出されるピロリジジンアルカロイドであるモノクロタリンは、SOSに関与する毒素として最もよく研究されたものの1つである5,6,4。SOSのモノクロタリンモデルは、ヒトにおける疾患と同一の組織学的特性、ならびに同一の「臨床的特徴」、すなわち高ビリルビン血症、肝腫、および腹水形成を有する。このモデルにおいて、電子顕微鏡によって指摘される最初の形態学的な変化は、洞様毛細血管内皮細胞の開窓(fenestration)の損失および洞様毛細血管内皮細胞障壁におけるギャップの出現である8。インビボでの顕微鏡を用いた研究および電子顕微鏡による確認は、洞様毛細内皮血管細胞が丸みを帯び、そして赤血球が丸みを帯びた内皮細胞の下のディッセ腔隙に侵入し始め、そして洞様毛細血管の管壁(lining)を切り裂くことを示した。はがれ落ちた(sloughed)洞様毛細血管の管壁細胞(すなわち、クップファー細胞、洞様毛細血管内皮細胞および星細胞)は、下流を閉鎖し、そして洞様毛細血管の流れを遮断する7。肝細胞の壊死が観測されるまでには、様毛細血管の管壁に、広範な表皮剥脱が存在する。早い時期から、クップファー細胞の損失が存在するが、洞様毛細血管においては単球の著しい流入が起こり、これは、塞栓形成された洞様毛細血管の管壁細胞により洞様毛細血管の流れの閉塞を悪化させる。洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びることまたは膨化は、SOSにおける開始事象であり、そして洞様毛細血管の管壁の解離(これは、塞栓を形成し、そして微小循環を遮断する)を導く。
【0011】
洞様毛細血管内皮細胞での初期の変化は、形態学的には、これらの細胞の低温保存損傷での変化と類似である。低温保存細胞の研究において、Strasbergらは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(metalloproteinase)(「MMP」)のアップレギュレーションが、洞様毛細血管細胞の変化に関与することを示した11。本発明に先立ち、当該分野においては、MMPがSOSに関与し得るか否かは不明であった。本発明の発明者らは、MMPとSOSの発症との間の関連を発見した。SOSを開始する機構の発見により、本発明者らは、SOSおよび放射線誘発性肝疾患の予防および処置のための治療法の開発をなし得た。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、概して、肝疾患の予防および処置におけるMMPインヒビターの使用に関する。従って、本発明は、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を予防および処置する手段を提供する。
【0013】
本発明の第1の局面において、SOSを予防および処置するための方法が提供される。
【0014】
本発明の別の局面において、化学療法の肝臓合併症(SOS、結節性再生過形成、肝臓紫斑病、免疫抑制誘発性肝静脈閉塞疾患および洞様毛細血管の疾患が挙げられる)の予防および処置のための方法が提供される。放射線誘発性肝疾患を予防的処置するための手段を提供することもまた、本発明の目的である。
【0015】
SOSを予防することによる複数の化学療法薬物に対する患者への適用性を増加させるための手段を提供することは、本発明の別の目的である。
【0016】
(発明の詳細な説明)
別の意味が以下に記載されない限り、全ての科学用語は、当業者に理解されるような一般的な意味をもって使用される。矛盾がある場合、本明細書に記載される定義が、支配する。
【0017】
本発明において、用語「洞様毛細血管閉塞症候群」または「SOS」とは、用語「肝静脈閉塞疾患」と同義である。
【0018】
本発明において、洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びることについての説明は、MMPの増加した活性に起因し得ることが、開示される。MMPは、細胞外マトリックスを分解するので、洞様毛細血管内皮細胞の管腔から離れた(ablumenal)側面上での増加したMMP活性は、細胞がディッセ腔隙から開放されることを可能にする。実験モデルにおいて、MMP−9(ゼラチナーゼB)のデノボ合成および増加したMMP−9活性は、モノクロタリンの12時間後に生じ、これは、洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びること一致する12。MMP活性の阻害は、完全にSOSを予防する。MMP発現およびMMP活性は、酸化還元状態により調節され、そして、グルタチオンおよびN−アセチルシステインによって抑制され得た27〜30。従って、グルタチオンおよびN−アセチルシステインの保護効果は、MMP活性の阻害に起因すると考えられる。
【0019】
開示するための上記のモデルに基づき、本発明は、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を予防するかまたは処置するためにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を使用するための方法を推定する。本発明は、ドキシサイクリン(doyxcycline)、MMPインヒビター、ラットモデルおよびヒト被験体においてSOSが完全に阻害されたことを開示する。さらに、実験は、これがMMP−2/MMP−9インヒビターとしてのクラスの効果(class effect)であったことを示し、2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸(BPP)はまた、完全にSOSを阻害する。多数の他のMMPインヒビターがまた、SOSおよび放射線誘発性肝疾患の予防および処置において有用である。例えば、Marimastat、PrinomastatおよびRS−130,830は、SOSのモノクロタリンモデルにおいて増加されるMMPの強力なインヒビターである。CGS 27023A、Solimastat、BAY12−9566、Ro32−3555、BMS−272591、Ilomastat、D2163はまた、ヒトにおいても使用され得るMMPインヒビターである。Metastat、NeovastatおよびPeriostatはまた、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を処置および予防するための強力な治療用途を有する。
【0020】
以下の実施例Iに記載されるように、ドキシサイクリン(doxycline)および2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸の両方の保護効果は、用量依存的であり、さらに作用の生物学的機構を支持する。本発明者らの動物モデルにおいて、ゼラチン分解活性は、肝静脈閉塞疾患の初期において大きく増加され、そしてこのゼラチン分解活性の増加は、MMP9に起因し得た12。
【0021】
本発明の発明者らは、ラットモノクロタミンモデルにおいて、洞様毛細血管内皮細胞においてアクチン脱重合が起こっていることおよびこのことが次に、増加したMMP活性を導くことを実証した13。アクチン脱重合および増加したMMP活性の因果関係は、F−アクチン脱重合の予防が、モノクロタリンに誘導されるマトリックスメタロプロテイナーゼ活性の増加を予防するという実証により確かめられた。インビトロでの肝細胞の種々の集団を用いるインビトロ研究はまた、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性が、肝細胞、クップファー細胞または星細胞ではなく洞様毛細血管細胞に由来することを確かめた。
【0022】
以下の実施例は、例示することが意図されるが、本発明を制限することは意図されない。本発明の方法は、例えば、薬物の同定および診断治療のような使用のためにさらに改変され得る。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
本発明は、化学療法誘発性肝疾患(例えば、SOS)および放射線誘発性肝疾患を予防および処置するために、マトリックスメタロプロテイナーゼンヒビターを使用するための方法を提供する。これらの研究を、ヒトの疾患に酷似するモノクロタリン誘導型肝静脈閉塞疾患のインビトロモデルにおいて行った8。2つの市販のMMPインヒビターを、肝静脈閉塞疾患のインビボラットモデルにおいて試験した:ドキシサイクリンおよびMMP−2/MMP−9インヒビター、2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸。15mg/kgのドキシサイクリンを、胃管栄養法により、疾患の発症前に1日に2回与え、そして、屠殺するまで続けた。200μg/時間の2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を、屠殺するまで、門脈循環中に注入した。肝静脈閉塞疾患に関連する全ての変化を概観するために全身の評価システムを、考案した。
【0024】
MMPインヒビターを用いて処置したラットを、4日目(これは、治療的処置を用いなかった場合、この肝静脈閉塞疾患モデルにおいて疾患が最も重篤な時点である)に屠殺した。ドキシサイクリンを用いるかまたは2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を用いて処理したラットからの全ての肝臓を、評価システムに従って病理学者が盲目的に検査し、そして病理学者は、ドキシサイクリン15mg/kgを1日2回、胃管栄養方法によって用いるか、または浸透圧小ポンプを用いて2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を200μg/時間で、門脈に注入したものは肝静脈閉塞疾患を欠くことを確認し得た(図1を参照のこと)。ドキシサイクリンおよび2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸の両方を、種々の用量で投与した:上記されたよりも低用量では、部分的な保護を提供したが、上記に列挙した用量は、肝静脈閉塞疾患のインビボモデルにおいて肝臓の変化を完全に予防した。これらのMMPインヒビターの両方は、用量依存的な様式で肝静脈閉塞疾患を予防し、このことは、これがMMPインヒビターのクラス効果およびMMP阻害の特性であることを示す。
【0025】
MMPインヒビターの効果のさらなる裏付けとして、ドキシサイクリン2つのアナログ(無水テトラサイクリンおよびイソクロロテトラサイクリン)を、SOSを予防するその能力について試験した。これらの2つの化合物は、化学的にドキシサイクリンに類似するが、MMPに対してわずかな阻害効果しか有さない。これらのアナログは、インビボモデルにおいて最小の保護効果を有した(図1を参照のこと)。さらに、肝静脈閉塞疾患の動物モデルにおいて、肝臓組織でのゼラチン分解活性は、早くから大きく増加され、そしてこのゼラチン分解活性の増加は、MMP9に起因し得た。MMP9 mRNAおよびMMP9プロ酵素もまた、疾患の過程の非常に初期において増加する。ゼラチン分解活性は、肝静脈流出物において見られず、このことは、これが、血液循環において非特異的な活性ではないことを示す。MMP9活性が増加するような、この疾患において、洞様毛細血管内皮細胞は、丸みを帯び、洞様毛細血管の完全性の損失(これは、肝臓の微小循環を損なう)を生じる。マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害による洞様毛細血管内皮細胞の初期の丸みを帯びることの阻害は、事象のカスケード全体を予防する。
【0026】
上記は、本発明の好ましい実施形態を説明し、そして改変は、本発明の精神から逸脱しない特定の目的を達成するためになされ得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることが、当業者に理解される。
(参考文献)
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、MMP阻害によるSOSの予防を示す。この図は、SOSのモノクロタリン誘導型モデルにおけるMMP阻害の効果を記載する。傷害は、存在しない(−)または1プラス(+)、2プラス(++)もしくは3プラス(+++)として評価した。スコア全体は、中心静脈(CV)内皮損傷、出血および凝固性壊死を反映する:2〜3ポイントは軽度のSOSとみなし、4〜6ポイントは中程度のSOSとみなし、そして7〜9ポイントは重度のSOSとみなした。使用したMMP2/MMP9インヒビターは、2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸である。理解されるように、4日目において、モノクロタリンは、重度のSOSを誘導する。これは、2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸およびドキシサイクリンによって、完全に妨げられる。他方、2つの化学的に改変されたテトラサイクリンであるアンヒドロテトラサイクリンおよびイソクロロテトラサイクリン(これらは、弱いMMPインヒビターである、ドキシサイクリンアナログである)は、SOSを防がない。
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2001年、2月27日出願の米国仮出願第60/271,780号(これらの全開示は、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、洞様毛細血管閉塞症候群の予防および処置における、マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターの使用に関する;特に、本発明は、化学療法誘発性肝疾患または放射線療法誘発性肝疾患の合併症の予防および処置に関連する。
【0003】
(連邦に援助された研究に関する記述)
本発明は、国立衛生研究所により授与されたNIDDK(助成金DK46357)の下で、米国政府の支持により行われた。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
本発明は、洞様毛細血管閉塞症候群(「SOS」)を予防および処置するための、マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターの使用に関する。SOS(肝静脈閉塞疾患としても公知である)は、Crotalaria、HeliotropiumおよびSenecio由来のピロリジジンアルカロイドを含むハーブティまたは栄養源の摂取、あるいはこれらの植物からの種により汚染された、不適切に選別された小麦から作られたパンの消費により引き起こされる肝疾患の症例において最初に診断された。現在の化学療法の発展に伴って、SOSの症例は、腎移植および肝移植後の免疫抑制のためのアザチオプリンの長期間にわたる使用ならびに化学療法剤の使用により発症した。化学療法の肝臓合併症は、高用量の化学療法(全身照射を伴うか、または伴わない)あるいは肝臓への高線量照射後、最も共通に認められる。肝臓毒性は、高用量化学療法のまれな副作用ではない。骨髄移植が行われない場合、肝臓毒性はまた、化学療法および/または肝臓照射の後に発症する。従って、骨髄の切除のために使用される条件付け(conditioning)レジメンは、SOSの最も共通な原因である。
【0005】
SOSは、ゲムツブズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin)2またはアクチノマイシンD3を用いる化学療法、あるいは腎移植患者または肝移植患者におけるアザチオプリンを用いる長期間の免疫抑制後の共通な合併症である。肝臓毒性およびSOSに関連する他の化学療法剤としては、ダカルバジン、シトシンアラビノシド、ミトラマイシン、6−チオグアニン、ウレタン、インディシン(indicine)N−オキシド(単独およびそれらの組合せ)が挙げられる。化学療法由来の、より穏やかな形態の肝疾患(これは、洞様毛細血管内皮細胞損傷の主要な局面を共有する)としては、結節性再生過形成、洞様毛細血管拡張および肝臓紫斑病が挙げられる。放射線療法および化学療法の組み合わせはまた、SOSの発症を導く。例えば、ダクチノマイシンおよび腹部の照射を用いる腎芽細胞腫(ウィルムス腫瘍)の処置は、SOSを導く。
【0006】
放射線誘発性肝疾患は、SOSの特徴のいくつかを共有する状態であるが、臨床的症状(presentation)、病歴および時間経過に差異が生じる。放射線誘発性肝疾患は、成人において30〜35Gyを超える放射線量で見られる。
【0007】
SOSは、有意な罹患率および死亡率を有する。SOSの重症度は、軽度(SOSは臨床的に明らかであるが、処置を必要とせずに完全に回復する)、中程度(処置(例えば、利尿剤または鎮痛剤)を必要とする徴候および症状を引き起こすが、完全に回復するSOS)または重度(治療を必要とするが、死亡までまたは100日目で回復しないSOS)として分類し得る15、16、17、22。いくらかの患者は、無症状な肝損傷(臨床的な徴候および症状を欠く場合に肝毒性の組織学的証拠によってはっきりと示される)を有する18。ひどい黄疸にもかかわらず、重篤なSOSを有する患者は、腎不全および心肺不全で死亡し、むしろ肝不全ではめったに死亡しない15、16、23、24。
【0008】
シクロホスファミドベースのレジメン後のSOSの結果を予測するために有用な臨床的モデルは、ビリルビンの増加率および移植に続く最初の2週間における体重増加率の両方に由来する25。さらに、悪い予後は、より高い血清のAST値およびALT値、より高い閉塞肝静脈圧勾配、門脈血栓症の発症、基準の血清クレアチニンの倍増ならびに酸素飽和の減少に関連する19、20、21、14、26。SOSまたは放射線誘発性疾患のいずれかの予防的処置は、現在なく、そして高い治療効果を有することが証明された医療もない。幾分効果の証明された唯一の治療モダリティーは、ヘパリンと組織プラスミノゲンアクチベーターとの組み合わせである。しかし、この組み合わせは、非常に限定された患者群において唯一安全に使用され得、そしてこの限定された患者の集団の30%未満において有効性を有する。
【0009】
SOSは、いくつかの化学療法薬物として用量限定的な毒性を持ち、そして適用できる患者を制限する。SOSの予防的処置は、高用量化学療法を使用するための能力に対する大きな影響を有する。疾患の発症後にSOSを処置するための治療法の開発は、化学療法誘発性肝疾患の予想外の症例において、価値があるだろう。
【0010】
この分子事象は、ラットモノクロタリンモデルにおいて最もよく特徴づけられてきた。Crotalaria中に見出されるピロリジジンアルカロイドであるモノクロタリンは、SOSに関与する毒素として最もよく研究されたものの1つである5,6,4。SOSのモノクロタリンモデルは、ヒトにおける疾患と同一の組織学的特性、ならびに同一の「臨床的特徴」、すなわち高ビリルビン血症、肝腫、および腹水形成を有する。このモデルにおいて、電子顕微鏡によって指摘される最初の形態学的な変化は、洞様毛細血管内皮細胞の開窓(fenestration)の損失および洞様毛細血管内皮細胞障壁におけるギャップの出現である8。インビボでの顕微鏡を用いた研究および電子顕微鏡による確認は、洞様毛細内皮血管細胞が丸みを帯び、そして赤血球が丸みを帯びた内皮細胞の下のディッセ腔隙に侵入し始め、そして洞様毛細血管の管壁(lining)を切り裂くことを示した。はがれ落ちた(sloughed)洞様毛細血管の管壁細胞(すなわち、クップファー細胞、洞様毛細血管内皮細胞および星細胞)は、下流を閉鎖し、そして洞様毛細血管の流れを遮断する7。肝細胞の壊死が観測されるまでには、様毛細血管の管壁に、広範な表皮剥脱が存在する。早い時期から、クップファー細胞の損失が存在するが、洞様毛細血管においては単球の著しい流入が起こり、これは、塞栓形成された洞様毛細血管の管壁細胞により洞様毛細血管の流れの閉塞を悪化させる。洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びることまたは膨化は、SOSにおける開始事象であり、そして洞様毛細血管の管壁の解離(これは、塞栓を形成し、そして微小循環を遮断する)を導く。
【0011】
洞様毛細血管内皮細胞での初期の変化は、形態学的には、これらの細胞の低温保存損傷での変化と類似である。低温保存細胞の研究において、Strasbergらは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(metalloproteinase)(「MMP」)のアップレギュレーションが、洞様毛細血管細胞の変化に関与することを示した11。本発明に先立ち、当該分野においては、MMPがSOSに関与し得るか否かは不明であった。本発明の発明者らは、MMPとSOSの発症との間の関連を発見した。SOSを開始する機構の発見により、本発明者らは、SOSおよび放射線誘発性肝疾患の予防および処置のための治療法の開発をなし得た。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、概して、肝疾患の予防および処置におけるMMPインヒビターの使用に関する。従って、本発明は、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を予防および処置する手段を提供する。
【0013】
本発明の第1の局面において、SOSを予防および処置するための方法が提供される。
【0014】
本発明の別の局面において、化学療法の肝臓合併症(SOS、結節性再生過形成、肝臓紫斑病、免疫抑制誘発性肝静脈閉塞疾患および洞様毛細血管の疾患が挙げられる)の予防および処置のための方法が提供される。放射線誘発性肝疾患を予防的処置するための手段を提供することもまた、本発明の目的である。
【0015】
SOSを予防することによる複数の化学療法薬物に対する患者への適用性を増加させるための手段を提供することは、本発明の別の目的である。
【0016】
(発明の詳細な説明)
別の意味が以下に記載されない限り、全ての科学用語は、当業者に理解されるような一般的な意味をもって使用される。矛盾がある場合、本明細書に記載される定義が、支配する。
【0017】
本発明において、用語「洞様毛細血管閉塞症候群」または「SOS」とは、用語「肝静脈閉塞疾患」と同義である。
【0018】
本発明において、洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びることについての説明は、MMPの増加した活性に起因し得ることが、開示される。MMPは、細胞外マトリックスを分解するので、洞様毛細血管内皮細胞の管腔から離れた(ablumenal)側面上での増加したMMP活性は、細胞がディッセ腔隙から開放されることを可能にする。実験モデルにおいて、MMP−9(ゼラチナーゼB)のデノボ合成および増加したMMP−9活性は、モノクロタリンの12時間後に生じ、これは、洞様毛細血管内皮細胞の丸みを帯びること一致する12。MMP活性の阻害は、完全にSOSを予防する。MMP発現およびMMP活性は、酸化還元状態により調節され、そして、グルタチオンおよびN−アセチルシステインによって抑制され得た27〜30。従って、グルタチオンおよびN−アセチルシステインの保護効果は、MMP活性の阻害に起因すると考えられる。
【0019】
開示するための上記のモデルに基づき、本発明は、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を予防するかまたは処置するためにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を使用するための方法を推定する。本発明は、ドキシサイクリン(doyxcycline)、MMPインヒビター、ラットモデルおよびヒト被験体においてSOSが完全に阻害されたことを開示する。さらに、実験は、これがMMP−2/MMP−9インヒビターとしてのクラスの効果(class effect)であったことを示し、2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸(BPP)はまた、完全にSOSを阻害する。多数の他のMMPインヒビターがまた、SOSおよび放射線誘発性肝疾患の予防および処置において有用である。例えば、Marimastat、PrinomastatおよびRS−130,830は、SOSのモノクロタリンモデルにおいて増加されるMMPの強力なインヒビターである。CGS 27023A、Solimastat、BAY12−9566、Ro32−3555、BMS−272591、Ilomastat、D2163はまた、ヒトにおいても使用され得るMMPインヒビターである。Metastat、NeovastatおよびPeriostatはまた、SOSおよび放射線誘発性肝疾患を処置および予防するための強力な治療用途を有する。
【0020】
以下の実施例Iに記載されるように、ドキシサイクリン(doxycline)および2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸の両方の保護効果は、用量依存的であり、さらに作用の生物学的機構を支持する。本発明者らの動物モデルにおいて、ゼラチン分解活性は、肝静脈閉塞疾患の初期において大きく増加され、そしてこのゼラチン分解活性の増加は、MMP9に起因し得た12。
【0021】
本発明の発明者らは、ラットモノクロタミンモデルにおいて、洞様毛細血管内皮細胞においてアクチン脱重合が起こっていることおよびこのことが次に、増加したMMP活性を導くことを実証した13。アクチン脱重合および増加したMMP活性の因果関係は、F−アクチン脱重合の予防が、モノクロタリンに誘導されるマトリックスメタロプロテイナーゼ活性の増加を予防するという実証により確かめられた。インビトロでの肝細胞の種々の集団を用いるインビトロ研究はまた、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性が、肝細胞、クップファー細胞または星細胞ではなく洞様毛細血管細胞に由来することを確かめた。
【0022】
以下の実施例は、例示することが意図されるが、本発明を制限することは意図されない。本発明の方法は、例えば、薬物の同定および診断治療のような使用のためにさらに改変され得る。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
本発明は、化学療法誘発性肝疾患(例えば、SOS)および放射線誘発性肝疾患を予防および処置するために、マトリックスメタロプロテイナーゼンヒビターを使用するための方法を提供する。これらの研究を、ヒトの疾患に酷似するモノクロタリン誘導型肝静脈閉塞疾患のインビトロモデルにおいて行った8。2つの市販のMMPインヒビターを、肝静脈閉塞疾患のインビボラットモデルにおいて試験した:ドキシサイクリンおよびMMP−2/MMP−9インヒビター、2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸。15mg/kgのドキシサイクリンを、胃管栄養法により、疾患の発症前に1日に2回与え、そして、屠殺するまで続けた。200μg/時間の2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を、屠殺するまで、門脈循環中に注入した。肝静脈閉塞疾患に関連する全ての変化を概観するために全身の評価システムを、考案した。
【0024】
MMPインヒビターを用いて処置したラットを、4日目(これは、治療的処置を用いなかった場合、この肝静脈閉塞疾患モデルにおいて疾患が最も重篤な時点である)に屠殺した。ドキシサイクリンを用いるかまたは2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を用いて処理したラットからの全ての肝臓を、評価システムに従って病理学者が盲目的に検査し、そして病理学者は、ドキシサイクリン15mg/kgを1日2回、胃管栄養方法によって用いるか、または浸透圧小ポンプを用いて2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を200μg/時間で、門脈に注入したものは肝静脈閉塞疾患を欠くことを確認し得た(図1を参照のこと)。ドキシサイクリンおよび2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸の両方を、種々の用量で投与した:上記されたよりも低用量では、部分的な保護を提供したが、上記に列挙した用量は、肝静脈閉塞疾患のインビボモデルにおいて肝臓の変化を完全に予防した。これらのMMPインヒビターの両方は、用量依存的な様式で肝静脈閉塞疾患を予防し、このことは、これがMMPインヒビターのクラス効果およびMMP阻害の特性であることを示す。
【0025】
MMPインヒビターの効果のさらなる裏付けとして、ドキシサイクリン2つのアナログ(無水テトラサイクリンおよびイソクロロテトラサイクリン)を、SOSを予防するその能力について試験した。これらの2つの化合物は、化学的にドキシサイクリンに類似するが、MMPに対してわずかな阻害効果しか有さない。これらのアナログは、インビボモデルにおいて最小の保護効果を有した(図1を参照のこと)。さらに、肝静脈閉塞疾患の動物モデルにおいて、肝臓組織でのゼラチン分解活性は、早くから大きく増加され、そしてこのゼラチン分解活性の増加は、MMP9に起因し得た。MMP9 mRNAおよびMMP9プロ酵素もまた、疾患の過程の非常に初期において増加する。ゼラチン分解活性は、肝静脈流出物において見られず、このことは、これが、血液循環において非特異的な活性ではないことを示す。MMP9活性が増加するような、この疾患において、洞様毛細血管内皮細胞は、丸みを帯び、洞様毛細血管の完全性の損失(これは、肝臓の微小循環を損なう)を生じる。マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害による洞様毛細血管内皮細胞の初期の丸みを帯びることの阻害は、事象のカスケード全体を予防する。
【0026】
上記は、本発明の好ましい実施形態を説明し、そして改変は、本発明の精神から逸脱しない特定の目的を達成するためになされ得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることが、当業者に理解される。
(参考文献)
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、MMP阻害によるSOSの予防を示す。この図は、SOSのモノクロタリン誘導型モデルにおけるMMP阻害の効果を記載する。傷害は、存在しない(−)または1プラス(+)、2プラス(++)もしくは3プラス(+++)として評価した。スコア全体は、中心静脈(CV)内皮損傷、出血および凝固性壊死を反映する:2〜3ポイントは軽度のSOSとみなし、4〜6ポイントは中程度のSOSとみなし、そして7〜9ポイントは重度のSOSとみなした。使用したMMP2/MMP9インヒビターは、2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸である。理解されるように、4日目において、モノクロタリンは、重度のSOSを誘導する。これは、2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸およびドキシサイクリンによって、完全に妨げられる。他方、2つの化学的に改変されたテトラサイクリンであるアンヒドロテトラサイクリンおよびイソクロロテトラサイクリン(これらは、弱いMMPインヒビターである、ドキシサイクリンアナログである)は、SOSを防がない。
Claims (17)
- マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターを投与する工程を包含する、洞様毛細血管閉塞症候群(「SOS」)を予防および処置するための、方法。
- マトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターを投与する工程を包含する、化学療法誘発性肝疾患または放射線療法誘発性肝疾患を予防および処置するための、方法。
- 前記化学療法誘発性肝臓疾患が、SOS、結節性再生過形成、肝臓紫斑病、免疫抑制誘発性肝静脈閉塞疾患および洞様毛細血管拡大を含む、請求項2に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、ドキシサイクリンまたは2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、ドキシサイクリンである、請求項4に記載の方法。
- 15mg/kgの前記ドキシサイクリンが、1日あたり2回投与される、請求項5に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸である、請求項4に記載の方法。
- 100〜200mg/時間で前記2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸が投与される、請求項7に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、4週間まで投与される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、Marimastat、Prinomastat、RS−130,830、CGS 27023A、Solimastat、BAY 12−9566、Ro 32−3555、BMS−272591、Ilomastat、D2163、Metastat、NeovastatまたはPeriostatである、請求項1または2に記載の方法。
- 化学療法誘発性肝疾患または放射線誘発性肝疾患を、予防または処置するための方法であって、該方法は、ドキシサイクリンまたは2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸から選択されるマトリクスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)インヒビターの有効量を投与する工程を包含する、方法。
- 前記MMPインヒビターが、ドキシサイクリンである、請求項11に記載の方法。
- 15mg/kgの前記ドキシサイクリンが、1日あたり2回投与される、請求項12に記載の方法。
- 前記MMPインヒビターが、ドキシサイクリンまたは2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸である、請求項11に記載の方法。
- 100〜200mg/時間で前記2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸が投与される、請求項14に記載の方法。
- 15mg/kgの前記ドキシサイクリンが、1日あたり2回投与される工程を包含する、化学療法誘発性疾患または放射線誘発性疾患を予防または処置するための方法。
- 100〜200mg/時間で前記2−[(4−ビフェニルスルホニル)アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸を投与する工程を包含する、化学療法誘発性疾患または放射線誘発性疾患を予防または処置するための方法。
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