JP2005353296A - 光電変換素子 - Google Patents

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哲也 江連
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
Hiroshi Matsui
浩志 松井
Kenichi Okada
顕一 岡田
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Abstract

【課題】 シート抵抗が低く、安価に製造することができる光電変換素子を提供する。
【解決手段】 作用極14、対極18およびこれらの間に形成された電解質層15を備える積層体20と、これらを収容する筐体30とを少なくとも備えた色素増感型太陽電池10において、対極18を、導電性の基板からなる第二の基板16と、第二の基板16の一方の面16a上に形成された導電膜17とで形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池などの光電変換素子に関するものである。
環境問題、資源問題などを背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が注目を集めている。太陽電池としては単結晶、多結晶あるいはアモルファスのシリコンを用いたものがある。しかしながら、従来のシリコン系太陽電池は、製造コストが高い上に、原料供給が不充分であるなどの課題が残されているため、普及していない。
また、Cu−In−Se系(CIS系とも呼ぶ)などの化合物系太陽電池も開発されており、この化合物系太陽電池は極めて高い光電変換効率を示すなど優れた特徴を有している。しかしながら、この化合物系太陽電池も、コストや環境負荷などの問題から普及していない。
これらの太陽電池に対して、スイスのグレッツェルらのグループなどから提案された色素増感型太陽電池は、安価で、かつ、高い光電変換効率が得られる光電変換素子として注目されている。
図4は、従来の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。
この色素増感型太陽電池100は、増感色素を担持させた多孔質半導体電極(以下、「色素増感半導体電極」と言うこともある。)103が一方の面に形成された第一基板101と、導電膜104が形成された第二基板105と、これらの間に封入されたゲル状電解質などからなる電解質層106とから概略構成されている。
第一基板101としては光透過性の板材が用いられ、第一基板101の色素増感半導体電極103と接する面には導電性を付与するために透明導電膜102が設けられている。また、第一基板101、透明導電膜102および色素増感半導体電極103から窓極108が構成されている。
一方、第二基板105としてはガラスなどの板材が用いられ、電解質層106と接する側の面には導電性を付与するために炭素や白金などからなる導電膜104が設けられている。また、第二基板105および導電膜104から対極109が構成されている。
色素増感型太陽電池100では、色素増感半導体電極103と導電膜104が対向するように、第一基板101と第二基板105が所定の間隔をおいて配置されており、両基板間の周縁部に熱可塑性樹脂からなる封止材107が設けられている。この封止材107は、電解質層106に含まれる電解液が漏出したり、揮発性成分が揮発したりすることを防ぐ役目を果たしている。
次に、色素増感型太陽電池100の製造方法の概略を説明する。
まず、熱可塑性樹脂からなる封止材107を介して窓極108と対極109を積層した後、窓極108および対極109、または、窓極108あるいは対極109のいずれか一方を介して封止材107を加熱して、溶融することにより、窓極108と対極109を接着して、一対の電極(窓極108と対極109)からなる積層体を組み立てる。
次いで、対極109を貫通するように設けられた注入口110を通して、窓極108と対極109の間にヨウ素・ヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む電解液を充填した後、注入口110を蓋111で塞ぎ、電荷移送用の電解質層106を形成し、一対の電極(窓極108と対極109)と、これらの間に挟まれた電解質層106からなる色素増感型太陽電池100を得る(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
このような色素増感型太陽電池においては、実用化するために、素子の大型化が望まれている。
しかしながら、従来の色素増感型太陽電池では、これをなす対極のシート抵抗が高いため、素子の大型化に伴って、変換効率の劣化を避けることができないという問題があった。
対極のシート抵抗を低くするためには、ガラスなどからなる基板上に設けられる炭素や白金などからなる導電膜の厚みを厚くしなければならず、特に導電膜を白金などの貴金属で形成する場合、その厚みが厚くなると、製造コストが増加するという問題があった。
特開2002−184478号公報 N.Papageorgiou et al.,J.Electrochem.Soc.,143(10),3099,1996
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、シート抵抗が低く、安価に製造することができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、作用極、対極およびこれらの間に形成された電解質層を備える積層体と、これらを収容する筐体とを少なくとも備えた光電変換素子であって、前記対極は、導電性の基板と、該導電性の基板の前記作用極と対向する面に設けられた導電膜とからなる光電変換素子を提供する。
上記構成の光電変換素子において、前記導電性の基板は、前記筐体の一部をなしていることが好ましい。
本発明の光電変換素子によれば、対極をなす第二の基板として、導電性の基板を用いることにより、この第二の基板上に設けられる導電膜の厚みを薄くすることができる。したがって、シート抵抗の低い対極を安価に製造することができるので、結果として、変換効率に優れる、大型の光電変換素子を安価に製造することができる。
また、対極をなす導電性の基板が、筐体の一部をなしているから、光電変換素子の構成部材を簡略化できるので、より安価に大型の光電変換素子を製造することができる。また、筐体と導電性の基板が一体化しているから、本発明の光電変換素子は寸法安定性に優れている共に、厚みを薄くすることもできる。
以下、本発明を実施した光電変換素子について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光電変換素子の第一の実施形態として、色素増感型太陽電池を示す概略断面図である。
図1中、符号10は色素増感型太陽電池、11は第一の基板、12は透明導電膜、13は多孔質酸化物半導体層、14は作用極、15は電解質層、16は第二の基板、17は導電膜、18は対極、20は積層体、30は筐体、31は本体、32は蓋体、41は封止部材、42は螺子をそれぞれ示している。
この色素増感型太陽電池10は、増感色素が表面に担持された多孔質酸化物半導体層13が一方の面14aに設けられた作用極14と、一方の面14aと対向して配置された対極18と、一方の面14aと対極18における一方の面14aと対向する面18a(以下、「対極18の一方の面18a」と称する。)との間に形成された電解質層15と、これらを収容する筐体30とから概略構成されている。
なお、この色素増感太陽電池10では、電解質層15をなす電解質の大部分が、多孔質酸化物半導体層13の空隙部分に含浸された状態となっている。
作用極14は、第一の基板11と、この一方の面11a上に順に形成された透明導電膜12および多孔質酸化物半導体層13とから構成されている。
対極18は、第二の基板16と、この一方の面16a上に形成された導電膜17とから構成されている。
色素増感型太陽電池10において、電解質層15を作用極14と対極18で挟んでなる積層体20が光電変換素子として機能する。
色素増感型太陽電池10において、積層体20は、積層体20の側面20aおよび対極18における他方の面18bを覆う断面凹状の本体31と、作用極14の他方の面14bに接して積層体20を本体31に固定する蓋体32とからなる筐体30内に収容されている。なお、本体31は、弾性部材(図示略)を介して、対極18の他方の面18bに接するようにしてもよい。
また、蓋体32は、封止部材41を介して本体31に接している。さらに、蓋体32は、螺子42によって本体31に固定されている。
なお、筐体30による積層体20の封止を十分なものとするためには、封止部材41を嵌合するための溝などからなる嵌合部(図示略)を、本体31の蓋体32と接する面31aおよび蓋体32の一方の面32aに設けることが望ましい。
このような構成とすることにより、積層体20は、その上下面が本体31と蓋体32で挟み込まれて、その積層方向に押圧された状態で、筐体30内に収容される。また、この状態で、積層体20の側面20aの全域が本体31に覆われて、積層体20は筐体30によって一括して封止されている。
第一の基板11としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常、太陽電池の透明基板として用いられるものであればいかなるものもでも用いることができる。第一の基板11は、これらの中から電解液への耐性などを考慮して適宜選択されるが、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましい。
透明導電膜12は、第一の基板11に導電性を付与するために、その一方の面11aに形成された導電性金属酸化物などからなる薄膜である。
透明導電膜12を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム−スズ酸化物(Indium−Tin Oxide、ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素ドープの酸化スズなどが用いられる。
多孔質酸化物半導体層13は、透明導電膜12の上に設けられており、その表面には増感色素が担持されている。多孔質酸化物半導体層13を形成する半導体としては特に限定されず、通常、太陽電池用の多孔質半導体を形成するのに用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。このような半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などを用いることができる。
多孔質酸化物半導体層13を形成する方法としては、例えば、ゾルゲル法からの膜形成、微粒子の泳動電着、発泡剤による多孔質化、ポリマービーズなどとの混合物塗布後における余剰成分の除去などの方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子に含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などを適用することができ、これらの中から、用途、使用半導体に適した励起挙動を示すものを特に限定無く選ぶことができる。
電解質層15は、多孔質酸化物半導体層13内に電解液を含浸させてなるものか、または、多孔質酸化物半導体層13内に電解液を含浸させた後に、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、多孔質酸化物半導体層13と一体に形成されてなるものが用いられる。
電解液としては、ヨウ素、ヨウ化物イオン、ターシャリーブチルピリジンなどの電解質成分が、エチレンカーボネートやメトキシアセトニトリルなどの有機溶媒に溶解されてなるものが用いられる。
電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド誘導体、アミノ酸誘導体などが挙げられる。
第二の基板16としては、導電性の基板が用いられる。導電性の基板としては、例えば、チタン、ニッケル、アルミニウムなどの金属からなる金属板や、カーボン板などの比較的高導電性でかつ電解液によって腐食しないものが用いられる。
また、第二の基板16の厚みは、目的とする色素増感型太陽電池10の大きさなどに応じて適宜設定されるが、通常、50μm〜1mmである。
導電膜17は、第二の基板16にヨウ素の酸化還元反応の触媒とするために、その一方の面16aに形成された白金からなる薄膜である。導電膜17としては、白金の層を、蒸着法、スパッタリング法、塩化白金酸塗布後に熱処理を行ったものが好適に用いられるが、第二の基板16に斑無く均一な厚みで形成され、電極として機能するものであれば特に限定されるものではない。
また、導電膜17の厚みは、目的とする色素増感型太陽電池10の大きさなどに応じて適宜設定されるが、通常、0.1μm〜1μmである。
本体31を形成する素材としては特に限定されないが、各種金属、セラミックス、各種合成樹脂などが用いられる。なお、本体31を金属で形成する場合、積層体20と接する面には、作用極14と対極18を絶縁するために、絶縁膜(図示略)を設けることが望ましい。
蓋体32としては、太陽光を透過する光学特性を有する部材が用いられる。太陽光を透過する光学特性を有する部材としては特に限定されないが、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ソーダガラスなど透明で剛性のある材質からなる部材が挙げられる。
封止部材41としては、ニトリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料や、ポリ四フッ化エチレンなどからなるOリング、ガスケットなどが用いられる。
螺子42としては、蓋体32を本体31に接合、固定することができるものであればいかなるものでも用いることができる。
なお、この実施形態では、蓋体32を本体31に接合、固定する手段として、螺子42を例示したが、本発明の光電変換素子はこれに限定されない。本発明の光電変換素子にあっては、蓋体を枠体に接合、固定する手段としては、例えば、枠体に設けられた被係止部に、蓋体に回転可能に設けられたフラップ状の係止部を係止する手段や、枠体の枠部、押圧部および蓋体の表面に接するように筐体の外側に装着される、断面コ字形スリーブ状のバネのクランプ力によって挟み込む手段などを用いることもできる。また、前記被係止部に係止部を係止する手段は、被嵌合部に嵌合部を嵌合する手段であってもよい。
以上説明したように、色素増感型太陽電池10では、対極18をなす第二の基板16として、金属板やカーボン板のような導電性の基板を用いることにより、この第二の基板16の一方の面16aに設けられる導電膜17の厚みを薄くすることができる。したがって、シート抵抗の低い対極18を安価に製造することができる。その結果として、変換効率に優れる、大型の色素増感型太陽電池10を安価に製造することができる。
なお、第一の基板11と第二の基板16は異なる素材で形成されているから、両者の熱膨張係数も異なっている。そこで、この熱膨張係数の違いによる色素増感型太陽電池10の撓みが懸念されるが、この実施形態では、積層体20を筐体30内に収容することにより、両基板間は固定されていないため、熱膨張量が異なっても、色素増感型太陽電池10に撓みは生じない。したがって、色素増感型太陽電池10の撓みによる発電効率の劣化を抑制することができる。
次に、本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態を、図1を参照して説明する。
この実施形態では、まず、第一の基板11における一方の面11a上に透明導電膜12および多孔質酸化物半導体層13が所定の方法により順に形成されてなる作用極14を用意する。
次いで、多孔質酸化物半導体層13に、予めゲル化剤が添加された電解液を滴下して含浸させた後、この電解液をゲル化させて、多孔質酸化物半導体層13と一体をなす電解質層15を形成する。
次いで、対極18の他方の面18bが本体31の内側の底面31bに接するように、本体31内に対極18を配置する。
次いで、導電膜17が電解質層15に重なるように、作用極14を対極18に重ねて、電解質層15を作用極14と対極18で挟んでなる積層体20を、本体31内に形成する。
次いで、作用極14の他方の面14bを覆うように蓋体32を配する。
次いで、蓋体32の外側から積層体20の積層方向に荷重を加えながら、蓋体32を、封止部材41を介して本体31に螺子42で固定し、筐体30で積層体20を封止することにより、色素増感型太陽電池10を得る。
図2は、本発明に係る光電変換素子の第二の実施形態として、色素増感型太陽電池を示す概略断面図である。
図2中、符号50は色素増感型太陽電池、51は第一の基板、52は透明導電膜、53は多孔質酸化物半導体層、54は作用極、55は電解質層、57は導電膜、58は対極、60は積層体、70は筐体、71は本体、71Aは枠部、71Bは基板部、72は蓋体、81は封止部材、82は螺子をそれぞれ示している。
この実施形態の色素増感太陽電池50が上記第一の実施形態と異なる点は、対極58をなす第二の基板(図2中の基板部71B)が、筐体70を構成する本体71の一部をなしている点である。
この色素増感型太陽電池50は、増感色素が表面に担持された多孔質酸化物半導体層53が一方の面54aに設けられた作用極54と、一方の面54aと対向して配置された対極58と、一方の面54aと対極58の一方の面58aとの間に形成された電解質層55と、これらを収容する筐体70とから概略構成されている。
なお、この色素増感太陽電池50では、電解質層55をなす電解質の大部分が、多孔質酸化物半導体層53の空隙部分に含浸された状態となっている。
作用極54は、第一の基板51と、この一方の面51a上に順に形成された透明導電膜52および多孔質酸化物半導体層53とから構成されている。
対極58は、筐体70をなす本体71の基板部71Bと、この一方の面71b上に形成された導電膜57とから構成されている。
色素増感型太陽電池50において、電解質層55を作用極54と対極58で挟んでなる積層体60が光電変換素子として機能する。
本体71は、積層体60の側面60aの全域を外側から覆う枠部71Aと、第一の基板51とほぼ同一面積の、対極58をなす基板部71Bとから構成されている。
色素増感型太陽電池50において、積層体60の側面60aを覆う断面凹状の本体71と、作用極54の他方の面54bに接して、作用極54を本体71に固定する蓋体72とからなる筐体70内に収容されている。
また、蓋体72は、封止部材81を介して本体71に接している。さらに、蓋体72は、螺子82によって本体71に固定されている。
なお、筐体70による積層体60の封止を十分なものとするためには、封止部材81を嵌合するための溝などからなる嵌合部(図示略)を、本体71の蓋体72と接する面71aおよび蓋体72の一方の面72a設けることが望ましい。
このような構成とすることにより、積層体60の側面60aの全域が本体71に覆われて、積層体60は筐体70によって一括して封止されている。
第一の基板51としては、上記透明基板11と同様のものが用いられる。
透明導電膜52としては、上記透明導電膜12と同様のものが設けられる。
多孔質酸化物半導体層53を形成する半導体としては、上記多孔質酸化物半導体層13を形成する半導体と同様のものが用いられる。
増感色素としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
電解質層55としては、上記電解質層15と同様のものが設けられる。
電解液としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
ゲル化剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
導電膜57としては、上記透明導電膜17と同様のものが設けられる。
本体71を形成する素材としては特に限定されないが、少なくとも基板部71Bは導電性の素材で形成されている。基板部71Bをなす導電性の素材としては、例えば、チタン、ニッケル、アルミニウムなどの金属からなる金属板や、カーボン板などの比較的高導電性でかつ電解液によって腐食しないものが用いられる。
本体71の枠部71Aと基板部71Bが異なる素材で形成されている場合、枠部71Aを形成する素材としては、各種金属、セラミックス、各種合成樹脂などが用いられる。
枠部71Aと基板部71Bが同一素材で形成されている場合、すなわち、枠部71Aと基板部71Bが導電性の素材で形成されている場合、枠部71Aの作用極54と接する面には、作用極54と対極58を絶縁するために、絶縁膜(図示略)を設けることが望ましい。
また、基板部71Bの厚みは、目的とする色素増感型太陽電池50の大きさなどに応じて適宜設定されるが、通常、1mm〜5mmである。
このとき、導電膜57の厚みは、50nm〜1μmである。
蓋体72としては、上記蓋体32と同様のものが用いられる。
封止部材81としては、上記封止部材41と同様のものが用いられる。
螺子82としては、上記螺子42と同様のものが用いられる。
なお、この実施形態では、蓋体72を本体71に接合、固定する手段として、螺子82を例示したが、本発明の光電変換素子はこれに限定されない。本発明の光電変換素子にあっては、蓋体を枠体に接合、固定する手段としては、例えば、枠体に設けられた被係止部に、蓋体に回転可能に設けられたフラップ状の係止部を係止する手段や、枠体の枠部、押圧部および蓋体の表面に接するように筐体の外側に装着される、断面コ字形スリーブ状のバネのクランプ力によって挟み込む手段などを用いることもできる。また、前記被係止部に係止部を係止する手段は、被嵌合部に嵌合部を嵌合する手段であってもよい。
以上説明したように、色素増感型太陽電池50では、対極58をなす基板部71Bが、筐体70を構成する本体71の一部をなしているから、電池の構成部材を簡略化できるので、より安価に大型の色素増感型太陽電池50を製造することができる。また、筐体70と基板部71Bが一体化しているから、色素増感型太陽電池50は寸法安定性に優れている共に、厚みを薄くすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み1.1mm、100mm×100mmのホウ珪酸からなるガラス基板の一方の面にフッ素添加酸化スズ(Fluorine doped Tin Oxide、FTO)膜を形成した。
次いで、透明導電膜上に、厚みが10μmとなるように酸化チタンペーストを塗布した後、焼成して酸化チタンからなる多孔質酸化物半導体層を設けて、ガラス基板と、透明導電膜と、多孔質酸化物半導体層とからなる作用極を形成した。
次いで、多孔質酸化物半導体層に、予めゲル化剤が添加された電解液を滴下して含浸させた後、この電解液をゲル化させて、多孔質酸化物半導体層と一体をなす電解質層を形成した。
次いで、厚み約100μm、100mm×100mmの金属チタン基板の一方の面に、厚み100nmの白金薄膜が設けられてなる対極を筐体の本体内に配した。
次いで、白金薄膜に電解質層(多孔質酸化物半導体層)が重なるように、対極に作用極を重ねて、電解質層を作用極と対極で挟んでなる積層体を本体内に形成した。
この後、作用極を覆うように蓋体を配し、筐体で積層体を封止することにより、色素増感型太陽電池を得た。
(実施例2)
対極として、厚み1mm、100mm×100mmのカーボン基板の一方の面に、厚み約100nmの白金薄膜が設けられてなるものを用いた以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例)
対極として、厚み1.1mm、100mm×100mmのガラス基板の一方の面に、厚み約4μmの白金薄膜が設けられてなるものを用いた以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製した。
実施例1、2および比較例で得られた色素増感型太陽電池について、変換効率およびフィルファクターを測定した。結果を表1に示す。
ここで、フィルファクターについて説明する。
図3は、フィルファクターを説明するグラフである。
図3に示すような電流−電圧挙動を示すセルにおいて、電力(電流×電圧)を電圧に対してプロットしたものが一点鎖線で示される曲線である。この曲線のピークにおける電圧をVop、電流をJopとする。ここで、セルの出力が最大となる。一方、このセルの電圧が0の時の電流をJsc、電流が0の時の電圧をVocとする。フィルファクターとは、図3に示すようなグラフにおいて、JscとVocのつくる四角の中に占めるJopとVopの作る四角の面積の割合である。すなわち、フィルファクター=(Jop×Vop)/(Jsc×Voc)と定義できる。電流−電圧曲線が四角に近い程、フィルファクターは1に近くなり、セルの性能が高くなる。
Figure 2005353296
表1の結果から、対極をなす基板を導電性の基板で形成することにより、白金薄膜の厚みを薄くしても、従来と遜色のない性能を有する色素増感型太陽電池が得られることが分かった。
本発明の光電変換素子は、ガラス基板のものでなく、プラスチックフィルム基板のものにも適用可能である。
本発明に係る光電変換素子の第一の実施形態として、色素増感型太陽電池を示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の第二の実施形態として、色素増感型太陽電池を示す概略断面図である。 フィルファクターを説明するグラフである。 従来の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10,50・・・色素増感型太陽電池、11,51・・・第一の基板、12,52・・・透明導電膜、13,53・・・多孔質酸化物半導体層、14,54・・・作用極、15,55・・・電解質層、16・・・第二の基板、17,57・・・導電膜、18,58・・・対極、20,60・・・積層体、30,70・・・筐体、31,71・・・本体、32,72・・・蓋体、41,81・・・封止部材、42,82・・・螺子、71A・・・枠部、71B・・・基板部。

Claims (2)

  1. 作用極、対極およびこれらの間に形成された電解質層を備える積層体と、これらを収容する筐体とを少なくとも備えた光電変換素子であって、
    前記対極は、導電性の基板と、該導電性の基板の前記作用極と対向する面に設けられた導電膜とからなることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記導電性の基板は、前記筐体の一部をなしていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。

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