JP2005350764A - MgO蒸着材 - Google Patents

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英章 桜井
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Abstract

【課題】歩留まり良く製造し、広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られ、更にパネル輝度の低下なしに大幅なアドレスIC数を削減する。
【解決手段】PDPの保護膜を成膜するために用いられるMgO蒸着材のMgO純度が98%以上かつ相対密度が90%以上のMgOのペレットからなる。このペレットはFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含む。またFeを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、AC型のプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下、PDPという。)の保護膜材料として用いられるMgO膜の材料となるMgO蒸着材及びMgO膜並びにPDPに関する。更に詳しくは、広い温度範囲で応答性の良好なMgO膜並びにこれらを用いたPDPの材料となるMgO蒸着材及びMgO膜並びにPDPに関するものである。
近年、液晶(Liquid Crystal Display)をはじめとして、各種の平面ディスプレイの研究開発と実用化はめざましく、その生産も急増している。カラーPDPについても、その開発と実用化の動きが最近活発になっている。PDPは大型化し易く、ハイビジョン用の大画面壁掛けテレビの最短距離にあり、既に対角40インチクラスのPDPが製造されている。PDPは、電極構造の点で金属電極が誘電体ガラス材料で覆われるAC型と、放電空間に金属電極が露出しているDC型とに分類される。
このAC型PDPの開発の当初は、誘電体ガラス層が放電空間に露出していたため、直接放電に曝され、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体ガラス層の表面が変化して放電開始電圧が上昇していた。そのため、高い昇華熱を持つ種々の酸化物をこの誘電体ガラス層の保護膜とする試みがなされた。この保護膜は直接放電用のガスと接しているために重要な役割を担っている。即ち、保護膜に求められる特性は、(1)低い放電電圧、(2)放電時の耐スパッタリング性、(3)速い放電の応答性、及び(4)絶縁性である。これらの条件を満たす材料として、MgOが保護膜に用いられる。このMgOからなる保護膜は、誘電体ガラス層の表面を放電時のスパッタリングから守り、PDPの長寿命化に重要な働きをしている。
しかし、MgO膜を保護膜として用いた場合には、黒ノイズと呼ばれる表示の乱れが多発するという問題があった。黒ノイズとは点灯すべきセル(選択セル)が点灯しないパネル表示の乱れ現象であり、画面のうちの点灯領域と非点灯領域との境界で生じやすいことが知られている。この乱れ現象は、1つのライン又は1つの列における複数の選択セルの全てが点灯しないというものではなく、発生部位が点在することから、黒ノイズの原因はアドレス放電が生じないか、又は生じてもその強度が足りないアドレスミスであると考えられている。
このような上記諸問題を解決する方策として、真空成膜法によってSiを500〜10000重量ppmの範囲内の割合で含んだMgO膜を耐スパッタ性保護膜として利用したPDPが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、MgO膜中に上記割合でSiを含むことにより、黒ノイズの原因であるアドレスミスを抑制することができる。
また、脂肪酸塩の熱分解によりSiを1000〜40000重量ppmの割合で含むMgO膜を形成し、この膜を耐スパッタ性保護膜として利用したPDPが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に示された技術によると、脂肪酸塩の熱分解により形成されるMgO膜中の微量成分により電気的特性が改善され、二次電子の放出量が増大して残留電荷による実効電圧の低下が補われ、電荷の残留自体が軽減され、残留電荷が速やかに消失するため、黒ノイズの原因であるアドレスミスを抑制することができる。
一方、PDPパネルでは、放電セルの形状やパネル駆動時の印加電圧、周波数等の様々な条件が、応答性に影響することが発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1では、PDPの応答性を評価する手法が記載されている。
また、放電セル内に真空紫外線を照射させることにより、応答性が改善することが発表されている(例えば、非特許文献2参照。)。この非特許文献2でも、PDPパネルの応答性を評価する手法が記載されている。
特許第3247632号公報 特開2001−110321号公報 A.Seguin, L.Tessier, H.Doyeux and S.Salavin, "Measurement of Addressing Speed in Plasma Display Devices.", IDW'99, p699-702 R.Ganter, Th.Callegari, N.Posseme, B.Caillier and J.P.Boeuf, "Photoemission in Plasma Display Panel Discharge Cells.", IDW'00, p731-734
上記特許文献1、特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2には、応答性の評価する際に温度条件については特に触れておらず、室温付近の条件における応答性評価を行っていたと考えられる。
しかしながら、PDPの保証温度は製造メーカーによっては、最低温度で0℃、更に好ましくは−15℃、最高温度で70℃、更に好ましくは90℃と上下幅が大きい。そこで、本発明者は、−15℃〜90℃の広い温度範囲にわたって放電応答性評価を行い、更に、詳細な調査を行ったところ、応答性には温度依存性があることを突き止めた。具体的には、ある温度での放電応答時間が閾値を越えると、書込み放電不良が生じてパネルがちらつく問題があった。また放電応答性が悪い場合、アドレス期間を長くする必要があり、その結果サステイン期間が短くなり、十分なパネルの輝度が得られないため、従来はパネル輝度を改善するためにデュアルスキャンを施すことによって、輝度を補っていた。しかしデュアルスキャンには多くのアドレスIC数が必要となるため、回路コストが高くなる問題があった。
また上記特許文献1、特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2では、広い温度範囲で良好な小さい放電応答時間を得ているものの、厳密に見れば低温になるほど応答時間の劣化が見られる。このことは広い温度範囲で評価をした場合、特性安定性、ひいては製品歩留まりの観点から問題となる可能性があり、本質的に低温になるほど劣化する問題を改善する必要があった。
本発明の目的は、歩留まり良く製造でき、広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られるMgO蒸着材及びMgO膜並びにPDPを提供することにある。
本発明の別の目的は、アドレス期間を短縮し、サステイン期間を延長することにより、パネル輝度の向上したPDPの材料となるMgO蒸着材及びMgO膜並びにPDPを提供することにある。
本発明の更に別の目的は、パネル輝度の低下なしに大幅なアドレスIC数の削減を図ることができるPDPの材料となるMgO蒸着材及びMgO膜並びにPDPを提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、PDP10の保護膜22を成膜するために用いられるMgO蒸着材の改良であり、その特徴ある構成は、MgO純度が98%以上かつ相対密度が90%以上のMgOのペレットからなり、ペレットがFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、Feを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満であるところにある。
請求項1に係る発明では、MgOのペレットに含まれるFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素の濃度が上記範囲内にあるMgO蒸着材を用いてMgO膜22を成膜すると、そのMgO膜22は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、MgOのペレットが多結晶体であるか或いは単結晶体であるMgO蒸着材である。
請求項2に記載されたMgO蒸着材では、MgOのペレットが多結晶体であるか或いは単結晶体であるかの組織の相違ではなく、組成の相違によって効果が著しく変化するため、MgOのペレットが多結晶である場合だけでなく、単結晶であっても請求項1に記載された範囲内の組成を有すれば、そのMgO蒸着材を用いてMgO膜を成膜すると、そのMgO膜は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、MgOのペレットが、焼結法により得られる多結晶体であるか、或いは電融法により得られる単結晶体であるMgO蒸着材である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、Feを含むときFeの濃度が200〜650ppmであり、Mnを含むときMnの濃度が50〜650ppmであり、Crを含むときCrの濃度が50〜650ppmであり、Coを含むときCoの濃度が50〜700ppmであり、Niを含むときNiの濃度が50〜750ppmであるMgO蒸着材である。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、Feを含むときFeの濃度が210〜300ppmであり、Mnを含むときMnの濃度が70〜300ppmであり、Crを含むときCrの濃度が70〜300ppmであり、Coを含むときCoの濃度が70〜300ppmであり、Niを含むときNiの濃度が70〜300ppmであるMgO蒸着材である。
請求項6に係る発明は、図1に示すように、請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材をターゲット材とする真空成膜法により形成されたMgO膜22である。
請求項6に係る発明では、請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材を用いてMgO膜22を成膜したので、このMgO膜22は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られる。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明であって、上記MgO膜は、Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、Feを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満であることが好ましい。
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明であって、真空成膜法が電子ビーム蒸着法又はイオンプレーティング法であるMgO膜である。
請求項9に係る発明は、Fe、Mn、Cr、Co及びNiのいずれの元素も含まないMgO蒸着材をターゲット材として形成された下地層と、この下地層の表面に請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材をターゲット材として形成された表面層とを有するMgO膜である。
請求項9に記載されたMgO膜では、安価な下地層を厚く形成し、高価な表面層を薄く形成することにより、MgO膜の製造コストを低減できる。
請求項10に係る発明は、請求項6ないし9いずれか1項に係る発明であって、下地ガラス基板表面に縦横に並んで立設された複数の柱状晶からなり、柱状晶の平均直径が20〜100nmの範囲にあり、柱状晶の長手方向と下地ガラス基板表面に立てた垂線とのなす角度が0〜50度であるMgO膜である。
請求項11に係る発明は、請求項6ないし10いずれか1項に係る発明であって、結晶配向性が(111)面の配向を有するか、又は(111)面の優先配向を有するMgO膜である。
請求項12に係る発明は、請求項6ないし10いずれか1項に係る発明であって、結晶配向性が(100)面の配向を有するか、又は(100)面の優先配向を有するMgO膜である。
請求項13に係る発明は、請求項6ないし10いずれか1項に係る発明であって、結晶配向性が(110)面の配向を有するか、又は(110)面の優先配向を有するMgO膜である。
請求項14に係る発明は、図1に示すように、請求項6ないし13いずれか1項に記載のMgO膜22が誘電体層上に設けられたPDPである。
請求項14に記載されたPDPでは、請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材を用いてPDP10用のMgO膜22を成膜したので、広い温度範囲で良好な応答性が得られ、アドレス期間を短縮し、サステイン期間を延長することができるため、パネルの輝度を向上できる。一方、必要十分なパネル輝度を確保できるため、パネル輝度の低下なしに大幅なアドレスIC数を削減できる。
以上述べたように、本発明によれば、MgO純度が98%以上かつ相対密度が90%以上のMgOのペレットからなり、このペレットがFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を所定量含むので、このMgO蒸着材を用いてMgO膜を成膜すると、そのMgO膜は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られる。
またMgOのペレットが多結晶である場合だけでなく単結晶であっても、上記範囲内の組成を有するMgO蒸着材を用いてMgO膜を成膜すると、そのMgO膜は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られる。
またFe、Mn、Cr、Co及びNiのいずれの元素も含まないMgO蒸着材をターゲット材として下地層を形成し、この下地層の表面に、Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含むMgO蒸着材をターゲット材として表面層を形成すれば、安価な下地層を厚く形成し、高価な表面層を薄く形成することにより、MgO膜の製造コストを低減できる。
更に上記MgO蒸着材を用いてMgO膜を成膜すれば、このMgO膜は広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られ、上記MgO蒸着材を用いて成膜したMgO膜をPDPに適用すれば、広い温度範囲で良好な応答性が得られ、パネルの輝度を向上できるとともに、必要十分なパネル輝度を確保できるため、パネル輝度の低下なしに大幅なアドレスIC数を削減できる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明者は、MgO蒸着材及びこの蒸着材を用いて成膜されたMgO膜中の不純物種及びその含有量における放電応答性への影響を詳細に調査したところ、MgOのペレットに含まれるFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素の濃度が大きく影響することを確認した。またMgOのペレット中の上記元素の濃度が増加するほど概して放電応答性は良好となるが、更に増加すると逆に劣化することから、製品への適用を考えた場合、最適な元素濃度範囲が存在することが判った。このような温度依存性が存在する要因は上記元素の添加により二次電子放出能が向上するからである。
本発明のFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素の濃度を調整したMgO蒸着材は、PDPの保護膜であるMgO膜を形成するために用いられる蒸着材であり、MgO純度が98%以上、好ましくは98.4%以上、かつ相対密度が90%以上、好ましくは95%以上のMgOのペレットからなる。ここで、多結晶MgOのペレットのMgO純度を98%以上に限定したのは、98%未満では放電応答時間が長くなり更に放電応答時間のデータの再現性に劣るからであり、相対密度を90%以上に限定したのは、90%未満では成膜時のスプラッシュが増大するからである。ここでMgO純度とは、MgO以外にペレットに含まれる不純物元素の割合と、上記のように濃度を調整した元素の割合を除いた百分率をいう。ペレットに含まれる不純物元素としては、B、C、N、Na、Al、Si、P、S、Cl、K、Ca、Ti、V、Cu、Zn、Zr、Mo、Pb等が挙げられる。なお、この実施の形態では、MgOのペレットの組織を多結晶としたが、単結晶であってもよい。
上記Feを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは200〜650ppmであり、更に好ましくは210〜300ppmである。Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜650ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜650ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜700ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜750ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。これらの濃度は、MgOのペレット100重量%に対する濃度である。ここで、Fe、Mn、Cr、Co及びNiの濃度を上記範囲にそれぞれ限定したのは、下限値未満では濃度の安定的な制御が難しく、上限値以上では放電応答時間が長くなるからである。
MgO蒸着材中における上記Fe、Mn、Cr、Co及びNi等の元素は、極めて微量である場合には、MgOマトリックスの粒界や粒内に粒状の析出物として存在するのではなく、MgO蒸着材中に均一に分散している。また上記元素はMgO蒸着材中に酸化物として存在する。例えば、Feは、MgFe24等の複合酸化物やFe23の形態で存在し、Mnは、MnO2の形態で存在する。またCrは、Cr23の形態で存在し、Coは、Co23の形態で存在すると考えられる。更にNiは、NiOの形態で存在すると考えられる。
このように構成された本発明のMgO蒸着材の製造方法を説明する。
(1) 添加元素がFeであり、焼結法により作製する場合
先ず純度が98%以上の高純度MgO粉末と、MgO中に含まれるFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満になる量の高純度Fe23粉末と、バインダと、有機溶媒とを混合して、MgO濃度が30〜75重量%のスラリーを調製する。好ましくは40〜65重量%のスラリーを調製する。スラリーの濃度を30〜75重量%に限定したのは、75重量%を越えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しい問題点があり、30重量%未満では均一な組織を有する緻密なMgO焼結体が得られないからである。MgO粉末の平均粒径は0.1〜5.0μmの範囲内にあることが好ましい。MgO粉末の平均粒径を上記範囲内に規定したのは、下限値未満であると粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハンドリングが悪くなり、高濃度スラリーを調製することが困難となる問題点があり、上限値を越えると、微細構造の制御が難しく、緻密なペレットが得られない問題点があるからである。
Fe23粉末はFe存在量の偏在の防止とMgOマトリックスとの反応性及びFe化合物の純度を考慮した場合、1次粒子径がナノスケールのFe23粒子を添加することが好ましく、特に比表面積が50〜300m2/gの超微粉Fe23を用いるのが好ましい。
バインダとしてはポリエチレングリコールやポリビニールブチラール等を、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好ましい。バインダは0.2〜5.0重量%添加することが好ましい。
また高純度粉末とバインダと有機溶媒との湿式混合、特に高純度粉末と分散媒である有機溶媒との湿式混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われる。湿式ボールミルでは、ZrO2製ボールを用いる場合には、直径5〜10mmの多数のZrO2製ボールを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿式混合される。ZrO2製ボールの直径を5〜10mmと限定したのは、5mm未満では混合が不十分となることからであり、10mmを越えると不純物が増える不具合があるからである。また混合時間が最長24時間と長いのは、長時間連続混合しても不純物の発生が少ないからである。
撹拌ミルでは、直径1〜3mmのZrO2製ボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。ZrO2製ボールの直径を1〜3mmと限定したのは、1mm未満では混合が不十分となることからであり、3mmを越えると不純物が増える不具合があるからである。また混合時間が最長1時間と短いのは、1時間を越えると原料の混合のみならずボール自体が摩損するため、不純物の発生の原因となり、また1時間もあれば十分に混合できるからである。
次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜250μm、好ましくは50〜200μmの混合造粒粉末を得る。この造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましく、所定の型は一軸プレス装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Cold Isostatic Press)成形装置)が用いられる。一軸プレス装置では、造粒粉末を750〜2000kg/cm2、好ましくは1000〜1500kg/cm2の圧力で一軸加圧成形し、CIP成形装置では、造粒粉末を1000〜3000kg/cm2、好ましくは1500〜2000kg/cm2の圧力でCIP成形する。圧力を上記範囲に限定したのは、成形体の密度を高めるとともに焼結後の変形を防止し、後加工を不要にするためである。
更に成形体を所定の温度で焼結する。焼結は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1350℃以上、好ましくは1400〜1800℃の温度で1〜10時間、好ましくは2〜8時間行う。これにより相対密度が90%以上の多結晶体のMgO蒸着材のペレットが得られる。上記焼結は大気圧下で行うが、ホットプレス(HP)焼結や熱間静水圧プレス(HIP、Hot Isostatic Press)焼結のように加圧焼結を行う場合には、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1350℃以上の温度で1〜5時間行うことが好ましい。
このようにして得られたペレットの多結晶MgO蒸着材をターゲット材として、真空成膜法により基板表面にMgO膜を形成する。
(2) 添加元素がFeであり、電融法により作製する場合
比較的品位の低いMgO原料(例えば、Mg(OH)2粉末)と、MgO中に含まれるFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満の範囲となる量のFe23粉末とを混合した後に、この混合物を浴中に投入する。次にアーク放電を利用して浴中の混合物を高温で溶融させた後に徐冷して、品位の高い酸化物の単結晶体のインゴットを作製する。更にこの単結晶体のインゴットを破砕することにより、単結晶体のMgO蒸着材のペレットが得られる。このようにして得られたペレットの単結晶MgO蒸着材をターゲット材として、真空成膜法により基板表面にMgO膜を形成する。
なお、添加元素としてMn、Cr、Co又はNiを用いる場合には、上記Feに代えてMn、Cr、Co又はNiを用い、上記と同一の方法でMgO蒸着材を製造する。
一方、上記MgO膜を形成するための真空成膜法としては、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法などが挙げられる。また上記MgO膜は、Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含む。上記Feの濃度は50ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは200〜650ppmであり、更に好ましくは210〜300ppmである。Mnの濃度は20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜650ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Crの濃度は20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜650ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Coの濃度は20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜700ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。Niの濃度は20ppm以上1000ppm未満であり、好ましくは50〜750ppmであり、更に好ましくは70〜300ppmである。これらの濃度は、MgO膜100重量%に対する濃度である。ここで、MgO膜に含まれるFe等の濃度を上記範囲に限定したのは、MgO蒸着材に含まれるFe等の濃度の限定理由と同じである。
また上記MgO膜は、Fe、Mn、Cr、Co及びNiのいずれの元素も含まないMgO蒸着材をターゲット材として形成された下地層と、Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含む表面層とを有することができる。この場合、安価な下地層を厚く形成し、高価な表面層を薄く形成することにより、MgO膜の製造コストを低減できる。また下地ガラス基板表面に縦横に並んで立設された複数の柱状晶からなり、柱状晶の平均直径が20〜100nmの範囲にあり、柱状晶の長手方向と下地ガラス基板表面に立てた垂線とのなす角度が0〜50度であってもよい。ここで、柱状晶の平均直径を20〜100nmの範囲に限定したのは、20nm未満では結晶性が不十分となり、100nmを越えるとMgO膜へのガス吸着量が増大しPDPの真空排気工程が難しくなるからである。また柱状晶の長手方向と下地ガラス基板表面に立てた垂線とのなす角度を0〜50度の範囲に限定したのは、基板を所定の速度で搬送しながら基板にMgO膜を蒸着しているためである。即ち、基板の搬送速度が変化すると上記角度が0〜50度の範囲で変化する。更にMgO膜の結晶配向性が(111)面の配向又は(111)面の優先配向を有するか、(100)面の配向又は(100)面の優先配向を有するか、或いは(110)面の配向又は(110)面の優先配向を有することが好ましい。MgO膜の結晶配向性が上記面を有することにより、放電特性及び耐スパッタ性が向上する。なお、Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含むMgO膜中に、この膜厚方向に上記元素濃度のムラ、例えば膜厚方向に上記元素濃度の傾斜があってもよい。
図1に本発明のPDP10の内部構造を示す。
面放電形式のAC型PDP10では通常、フロントガラス基板11の画面横方向にサステイン電極12とスキャン電極13が対をなして平行に配置されている。またリアガラス基板14の画面縦方向にはアドレス電極16が配置されている。このサステイン電極12とスキャン電極13の間隙は放電ギャップと呼ばれており、この間隙は約80μmに選定されている。またフロントガラス基板11とリアガラス基板14は100〜150μm程度の高さの隔壁17によって隔てられ、この隔壁17の壁面及び底部には蛍光体粉末18が塗布されている。カラー表示の場合には、ライン方向に並ぶ3つの放電空間を形成する隔壁17の背面及び底部に3色(G、B、R)の蛍光体18G、18B、18Rがそれぞれ塗布されて3つのサブピクセル(単位発光領域)を形成し、これらを1ピクセルとしている。フロントガラス基板11、リアガラス基板14及び隔壁17で形成された放電空間19にはガスが封入される。この封入ガスには、Ne(ネオン)やXe(キセノン)等の不活性ガスの混合ガスが使用される。
サステイン電極12及びスキャン電極13を被覆する誘電体ガラス層21の表面には、放電時の放電ガスによるイオン衝撃を低減するため、耐スパッタ性の高い保護膜22が設けられる。PDPでは保護膜22の材質及び膜質が放電特性に大きな影響を与えるため、この保護膜は放電電極として作用する。この保護膜材料は耐スパッタ性に優れ、かつ二次電子放出係数の高い絶縁物である本発明のMgO膜を用いる。
このように構成されたマトリクス表示形式のAC型PDPでは、フロントガラス基板11とリアガラス基板14との間に設けられた放電空間19内で対向するサステイン電極12及びスキャン電極13とアドレス電極16との間にプラズマ放電を生じさせ、この放電空間19内に封入されているガスから発生する紫外線を放電空間19内に設けた蛍光体18に当てることにより表示を行う。表示素子であるセルの点灯状態の維持(サステイン)にはメモリ効果が利用されている。表示に際しては、先ず、ある画像のサステインの終了から次の画像のアドレッシング(書込み)までの間に画面全体の壁電荷の消去(リセット)を行う。次に点灯(発光)すべきセルのみに壁電荷を蓄積させるライン順次のアドレッシング(書込み)を行う。その後に全てのセルに対して一斉に交番極性の放電開始電圧より低い電圧(サステイン電圧)を印加する。壁電荷の存在するセルでは、壁電圧がサステイン電圧に重畳するので、セルに加わる実効電圧が放電開始電圧を越えて放電が生じる。サステイン電圧の印加周波数を高くすることで、見かけ上連続的な点灯状態が得られる。
上記アドレッシング(書込み)では、リアガラス基板のアドレス電極とフロントガラス基板のスキャン電極間で書込み放電を行うことにより壁電荷の蓄積が行われる。例えば、従来より用いられている解像度がVGA(Video Graphics Array)クラスで256階調表現(8サブフィールド)のPDPでは、書込み放電が3μsで行われた場合、480ラインを順次書込む必要があるため、駆動時間の約10%が壁電荷の消去に、約70%が画像データの書込みに費やされ、実際に画像を表示する時間は残りの約20%程度しか存在しないことになる。PDPの場合、パネルの輝度はこの画像表示時間が長いほど明るく認識される。パネル輝度を改善するためにはアドレス電極を駆動するアドレスIC数を2倍にして、画像の上下部を別々に書込む(デュアルスキャン)ことで書込み時間を短縮し画像表示時間を延ばすことができる。しかしこの方法を用いると、回路コストが増加する問題がある。
これに対して、本発明のMgO蒸着材を用いて成膜されたMgO膜は、広い温度範囲にわたって、特に低温域で良好な放電応答性が得られるため、書込み放電の時間を短縮することができる。従って、この保護膜を使用した本発明のPDPは、画像表示時間を延ばすことができるため、パネル輝度を向上できる。一方、パネル輝度の低下なしに大幅なアドレスIC数の削減も図ることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
MgO蒸着材として、MgO純度が98%であり、相対密度が90%であり、MgO中に含まれるFeの濃度が50ppmである多結晶MgOのペレットを用意した。このMgO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ5mm及び1.6mmであった。また表面にITO電極と銀電極を積層させて電極を形成し、更にこの電極を覆うように誘電体ガラス層を形成したガラス基板を用意した。
このガラス基板に形成された誘電体ガラス層の上に、上記MgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法により、膜厚が8000Åであって結晶配向性が(111)面の配向を有するMgO膜を形成した。成膜条件は、到達真空度が1.0×10-4Paであり、酸素ガス分圧が1.0×10-2Paであり、基板温度が200℃であり、成膜速度が20Å/秒であった。
<実施例2>
焼結法により作製したMgOの多結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるFeの濃度が70ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例3>
電融法により作製したMgOの単結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるFeの濃度が150ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例4>
焼結法により作製したMgOの多結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるFeの濃度が300ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例5>
電融法により作製したMgOの単結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるFeの濃度が600ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例6>
焼結法により作製したMgOの多結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるFeの濃度が700ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較例1>
多結晶MgO蒸着材としてMgO純度98%、相対密度90%の焼結ペレットを用いた以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。即ち、MgO蒸着材中にFe元素等の添加元素は含まれていない。
<比較例2>
MgOのペレットに含まれる元素がFeであり、そのFeの濃度が2000ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜6及び比較例1,2で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いてテスト基板をそれぞれ作製した。具体的には、先ず、80μmの放電ギャップをITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)電極にて形成した後に、誘電体上にMgO膜を形成し、このガラス基板をフロントガラス基板とした。次に、高さが150μm、ピッチが360μmの隔壁(リブ)を形成したリアガラス基板を用意した。これらのリアガラス基板とフロントガラス基板を対向するように配置させた。フロントガラス基板、リアガラス基板、隔壁により形成された放電空間には、Ne−4%Xe混合ガスを放電ガスとして注入した。
このようにして得られたテスト基板を用い、−20℃、30℃及び90℃の各温度条件における擬似的なアドレス放電試験、即ち2枚のガラス基板間の対向放電試験を行った。試験条件は、放電ガス圧を500Torr(約66.5kPa)、印加電圧を200V、周波数を1kHzとした。このような条件で試験を行い、放電によって放出される近赤外線を光電子増倍管により検知し、電圧を印加してから発光が終了するまでの時間を応答時間として評価した。なお、この応答時間には統計的な発光ばらつきを含む。表1に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表1より明らかなように、Feを含まない比較例1、本発明のFe濃度範囲よりもFe濃度が高い比較例2では、全ての温度範囲で放電応答時間が長かったのに対し、実施例1〜6では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
<実施例7〜13,比較例3>
焼結法により作製したMgOの多結晶ペレット(縦、横及び厚さが5mm、5mm及び2mm程度の板状ペレット)に含まれるMnの濃度が20ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した(実施例7)。
MgOのペレットに含まれる元素をFeからMnに代えた以外は実施例1〜6,比較例2と同様の方法によりMgO膜を形成した(実施例8〜13,比較例3)。
<比較試験2及び評価>
実施例7〜13及び比較例3で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いて上記比較試験1と同様にしてテスト基板をそれぞれ作製し、更に上記比較試験1と同様にして評価試験を行った。表2に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表2より明らかなように、本発明のMn濃度範囲よりもMn濃度が高い比較例3では、全ての温度範囲で放電応答時間が長かったのに対し、実施例7〜13では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
<実施例14〜20,比較例4>
MgOのペレットに含まれる元素をMnからCrに代えた以外は実施例7〜13,比較例3と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較試験3及び評価>
実施例14〜20及び比較例4で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いて上記比較試験1と同様にしてテスト基板をそれぞれ作製し、更に上記比較試験1と同様にして評価試験を行った。表3に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表3より明らかなように、本発明のCr濃度範囲よりもCr濃度が高い比較例4では、全ての温度範囲で放電応答時間が長かったのに対し、実施例14〜20では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
<実施例21〜27,比較例5>
MgOのペレットに含まれる元素をMnからCoに代えた以外は実施例7〜13,比較例3と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較試験4及び評価>
実施例21〜27及び比較例5で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いて上記比較試験1と同様にしてテスト基板をそれぞれ作製し、更に上記比較試験1と同様にして評価試験を行った。表4に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表4より明らかなように、本発明のCo濃度範囲よりもCo濃度が高い比較例5では、全ての温度範囲で放電応答時間が長かったのに対し、実施例21〜27では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
<実施例28〜34,比較例6>
MgOのペレットに含まれる元素をMnからNiに代えた以外は実施例7〜13,比較例3と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較試験5及び評価>
実施例28〜34及び比較例6で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いて上記比較試験1と同様にしてテスト基板をそれぞれ作製し、更に上記比較試験1と同様にして評価試験を行った。表5に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表5より明らかなように、本発明のNi濃度範囲よりもNi濃度が高い比較例6では、全ての温度範囲で放電応答時間が長かったのに対し、実施例28〜34では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
<実施例35>
MgOのペレットに含まれる元素がFe及びMnの双方であり、そのFeの濃度が250ppm、Mnの濃度が100ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例36>
MgOのペレットに含まれる元素がCr及びCoの双方であり、そのCrの濃度が100ppm、Coの濃度が100ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<実施例37>
MgOのペレットに含まれる元素がFe及びNiの双方であり、そのFeの濃度が250ppm、Niの濃度が100ppmであるMgO蒸着材を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりMgO膜を形成した。
<比較試験6及び評価>
実施例35〜37で得られたMgO膜を有するガラス基板を用いて上記比較試験1と同様にしてテスト基板をそれぞれ作製し、更に上記比較試験1と同様にして評価試験を行った。表6に試験結果をそれぞれ示す。
Figure 2005350764
表6より明らかなように、実施例35〜37では、広い温度範囲で放電応答時間が短くなった。特に−20℃での対向放電試験においても放電応答時間が短く、優れた結果が得られていた。
PDPの内部構造を示す要部断面斜視図。
符号の説明
10 AC型プラズマディスプレイパネル
11 フロントガラス基板
12 サステイン電極
13 スキャン電極
14 リアガラス基板
16 アドレス電極
17 隔壁(障壁、リブ)
18 蛍光体
18G 蛍光体(緑)
18B 蛍光体(青)
18R 蛍光体(赤)
19 放電空間
21 誘電体ガラス層
22 保護膜(MgO膜)

Claims (14)

  1. プラズマディスプレイパネル(10)の保護膜(22)を成膜するために用いられるMgO蒸着材において、
    MgO純度が98%以上かつ相対密度が90%以上のMgOのペレットからなり、
    前記ペレットがFe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、
    前記Feを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、前記Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満であることを特徴とするMgO蒸着材。
  2. MgOのペレットが多結晶体であるか或いは単結晶体である請求項1記載のMgO蒸着材。
  3. MgOのペレットが、焼結法により得られる多結晶体であるか、或いは電融法により得られる単結晶体である請求項1又は2記載のMgO蒸着材。
  4. Feを含むときFeの濃度が200〜650ppmであり、Mnを含むときMnの濃度が50〜650ppmであり、Crを含むときCrの濃度が50〜650ppmであり、Coを含むときCoの濃度が50〜700ppmであり、Niを含むときNiの濃度が50〜750ppmである請求項1記載のMgO蒸着材。
  5. Feを含むときFeの濃度が210〜300ppmであり、Mnを含むときMnの濃度が70〜300ppmであり、Crを含むときCrの濃度が70〜300ppmであり、Coを含むときCoの濃度が70〜300ppmであり、Niを含むときNiの濃度が70〜300ppmである請求項1記載のMgO蒸着材。
  6. 請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材をターゲット材とする真空成膜法により形成されたMgO膜。
  7. Fe、Mn、Cr、Co及びNiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、
    前記Feを含むときFeの濃度が50ppm以上1000ppm未満であり、前記Mnを含むときMnの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Crを含むときCrの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Coを含むときCoの濃度が20ppm以上1000ppm未満であり、前記Niを含むときNiの濃度が20ppm以上1000ppm未満である請求項6記載のMgO膜。
  8. 真空成膜法が電子ビーム蒸着法又はイオンプレーティング法である請求項6記載のMgO膜。
  9. Fe、Mn、Cr、Co及びNiのいずれの元素も含まないMgO蒸着材をターゲット材として形成された下地層と、この下地層の表面に請求項1ないし5いずれか1項に記載のMgO蒸着材をターゲット材として形成された表面層とを有するMgO膜。
  10. 下地ガラス基板表面に縦横に並んで立設された複数の柱状晶からなり、前記柱状晶の平均直径が20〜100nmの範囲にあり、前記柱状晶の長手方向と前記下地ガラス基板表面に立てた垂線とのなす角度が0〜50度である請求項6ないし9いずれか1項に記載のMgO膜。
  11. 結晶配向性が(111)面の配向を有するか、又は(111)面の優先配向を有する請求項6ないし10いずれか1項に記載のMgO膜。
  12. 結晶配向性が(100)面の配向を有するか、又は(100)面の優先配向を有する請求項6ないし10いずれか1項に記載のMgO膜。
  13. 結晶配向性が(110)面の配向を有するか、又は(110)面の優先配向を有する請求項6ないし10いずれか1項に記載のMgO膜。
  14. 請求項6ないし13いずれか1項に記載のMgO膜(22)が誘電体層上に設けられたプラズマディスプレイパネル。
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