JP2005350395A - 光学活性アミドおよびそれを含有する香料組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規な光学活性アミドおよびそれを含有する香料組成物に関する。
いくつかのアミドは、有用な官能特性を有していることが知られている。例えば、特許文献1には、N−メチル−N−フェニル−2−エチルブチルアミドは、新鮮な絞りたてのグレープフルーツジュース様の香りを有し、芳香および香味物質として有用であることが記載されている。また、特許文献2には、N−エチル−N−(m−トリル)プロピオンアミドは、ウッディで且つベチバー様の香気を有し、芳香組成物やフレグランス製品に有用な芳香を付与することができると記載されている。
一方、非特許文献1には、N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドが酢酸ベチベリルないし酢酸スチラリル様の香気をもつ香料物質であることが記載されている。また、N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドは、特許文献3に記載の一般式に包含される化合物であるが、具体的には開示されておらずしたがって、該特許文献には、この化合物の香気特性については何ら記載されていない。
上記の2つのアミド化合物は、それぞれ1個の不斉炭素を有しており、2種の光学異性体(S体、R体)が存在している。しかし、これまで、これらのアミド化合物については、光学活性体を単離または合成し、それらの香気特性について検討したという報告は見当たらない。
特開昭48−34838号公報
特表平11−506475号公報
WO96/30470号公報
「合成香料」 印藤元一著 化学工業日報社
近年、消費者の嗜好性は多様化し、それに伴って各種各様の香気を有する香粧品が製造されている。これらの多様化に対して、従来公知の香料化合物だけでは各種各様の香気を有する香粧品用香料の需要には対応しきれず、新しいタイプのユニークな香料素材の開発が強く求められている。
従って、本発明の目的は、従来にないユニークな香気特性を有する香料化合物及び該香料化合物を含有する香料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、今回、上記2つのアミド化合物の光学活性体が従来にないユニークな香気特性を有し、香料化合物として極めて有用であることを見いだし本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、下記式(1)
(式中、Rは水素又はメチル基を示し、*印を付した不斉炭素の立体配置はR又はSであることを示す)
で表される光学活性アミドを提供するものである。
で表される光学活性アミドを提供するものである。
また、本発明は、上記式(1)で表される光学活性アミドを有効成分として含有することを特徴とする香料組成物を提供するものである。
本発明により提供される前記式(1)で表される光学活性アミドは、特徴的なグレープフルーツ様の香気を有し、さらに、その持続性に優れており、香粧品用香料として使用することにより、香粧品に対して従来にない好ましい天然感とボリューム感を付与することができる。
以下、本発明の光学活性アミド及び香料組成物についてさらに詳しく説明する。
本発明の前記式(1)で表される光学活性アミドは、例えば、光学活性2−メチル酪酸をクロル化剤により酸クロリドとし、これをN−メチルアニリンまたはN−メチルトルイジンと反応させるか、或いは、光学活性2−メチル酪酸から誘導される酸無水物をN−メチルアニリンまたはN−メチルトルイジンと反応させることによって製造することができる。
この際に使用される出発原料の1つである光学活性2−メチル酪酸はそれ自体既知の化合物であり、例えば、(S)−2−メチル酪酸は市場において容易に入手することができる。他方、(R)−2−メチル酪酸は、例えば、市場において容易に入手できる(R)−2−メチルコハク酸 4−tert−ブチルエステルを原料として、文献(Flavour Fragr. J. Vol.18,P.305(2003))に記載の方法に準じて製造することができる。
(S)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドは、例えば、上記の(S)−2−メチル酪酸と塩化ピバロイルから誘導される混合酸無水物を、トルエン中で、N−メチルアニリンと加熱下に反応させることにより容易に合成することができる。また、(R)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドは、(S)−2−メチル酪酸の代わりに(R)−2−メチル酪酸を用いることにより同様にして合成することができる。
さらに、(S)−または(R)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドは、上記の(S)−または(R)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの製造において、N−メチルアニリンの代わりにN−メチルトルイジンを用いることにより合成することができる。得られる光学活性アミドは、そのまま使用することができるが、場合によってはカラムクロマトグラフィーや蒸留などの方法により精製してから使用することもできる。
このようにして得られる本発明の前記式(1)で表される光学活性アミドは、従来にないユニークな香気特性を有しており、その香気特性を示せば下記表1のとおりである(対照として前記非特許文献1により公知の(±)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの香気も示す)。
表1に示したとおり、本発明の光学活性アミドは、いずれも、公知の(±)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの香気と比べ、格段に特徴的な香気特性を有している。
本発明の式(1)で表される光学活性アミドは、上記のとおりそれ自体で特有の香気を有し、香料物質として利用することができるが、他の芳香成分よりなる香料組成物に添加することにより、該香料組成物との調和を保ちながら、香気の改善および増強に極めて優れた効果を奏する。
しかして、本発明によれば、また、本発明の前記式(1)で表される光学活性アミドを有効成分として含有することを特徴とする香料組成物が提供される。
本発明の香料組成物に使用される式(1)で表される光学活性アミドの光学純度は、特に制限されるものではなく、例えば、50%e.e.を超える場合に望ましい効果を発揮するが、香気の観点からは、70%e.e.以上がより好ましく、90%e.e.以上が特に好ましい。
本発明の香料組成物に使用される式(1)で表される光学活性アミドの配合量は、特に制限されるものではなく、目的とする香気、調合香料の用途などにより異なるが、一般には、香料組成物の重量を基準として0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲内とすることができる。
本発明の式(1)で表される光学活性アミドを用いて香料組成物を調製する際に使用しうる他の香料化合物としては、例えば、香料化学総覧1,2,3(奥田治著 廣川書店出版)、Perfume and flavor Chemicals,1,2(Steffen Arctander著)、合成香料(印藤元一著、化学工業日報社出版)などに記載の香料化合物を挙げることができる。
本発明の式(1)の光学活性アミドが配合された香料組成物は、香粧品類に用いることにより、その特徴的な香気特性を商品に付与し、多様化する消費者のニーズを満足させるユニークな商品を提供することができる。
香粧品類としては、例えば、香水、オーデコロン、化粧水、染毛剤、石鹸、ボディーソープ、シャンプー、リンス、トリートメント、シェービングクリーム、洗剤、漂白剤、芳香剤、香油、線香等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
実施例1:(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの合成
50mL三口フラスコに、トリエチルアミン(0.52g,5.1mmol)、ジエチルエーテル(10mL)及び(S)−2−メチル酪酸(0.52g,5.1mmol,99.3%e.e.)を仕込み、氷水冷下撹拌する。そこに、塩化ピバロイル(0.61g,5.1mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液を5℃/10分で滴下する。同温下で0.5時間撹拌後、セライトろ過し、結晶物をろ別する。得られるろ液をトルエン(20mL)及びN−メチルアニリン(1.0g,10.0mmol)とともに100mL三口フラスコに仕込み、ジエチルエーテルを留去しながら60〜80℃で3時間加熱撹拌を行う。反応液を冷却後、希塩酸、ソーダ灰水、ブラインの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤をろ別後、減圧濃縮、ポンプアップし、粗製物(0.87g)を得る。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド(0.55g,2.9mmol)を得た。収率56%。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、98.8%e.e.であった。
実施例1:(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの合成
50mL三口フラスコに、トリエチルアミン(0.52g,5.1mmol)、ジエチルエーテル(10mL)及び(S)−2−メチル酪酸(0.52g,5.1mmol,99.3%e.e.)を仕込み、氷水冷下撹拌する。そこに、塩化ピバロイル(0.61g,5.1mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液を5℃/10分で滴下する。同温下で0.5時間撹拌後、セライトろ過し、結晶物をろ別する。得られるろ液をトルエン(20mL)及びN−メチルアニリン(1.0g,10.0mmol)とともに100mL三口フラスコに仕込み、ジエチルエーテルを留去しながら60〜80℃で3時間加熱撹拌を行う。反応液を冷却後、希塩酸、ソーダ灰水、ブラインの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤をろ別後、減圧濃縮、ポンプアップし、粗製物(0.87g)を得る。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド(0.55g,2.9mmol)を得た。収率56%。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、98.8%e.e.であった。
光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる光学純度の測定は以下の装置および条件で行った。
機器:Agilent 6890N
カラム:CHIRAMIX(0.25mmI.D.×50m、登録商標 長谷川香料株式会社製)
オーブン温度:60〜180℃(+0.7℃/min)
キャリアガス:窒素(1.0mL/min)。
(物性データ)
(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド
香気:トロピカルフルーツを連想させる強いグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=+82.8°(CHCl3,c=1)
NMR(1H,400MHz,CDCl3):0.78(t,3H,J=7Hz);1.02(d,3H,J=7Hz);1.23〜1.34(m,1H);1.61〜1.72(m,1H);2.26〜2.33(m,1H);3.27(s,3H);7.17(d,2H,J=6Hz);7.33〜7.45(m,3H) δppm
NMR(13C,100MHz,CDCl3):11.97;17.83;27.50;37.33;38.06;127.43;127.61;129.68;144.29;176.85 δppm
MS:191(M+,10),107(100),85(5),77(19),57(67),51(7),41(20),29(24)。
実施例2:(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの合成
(S)−2−メチル酪酸の代わりに(R)−2−メチル酪酸(>99.9%e.e.)を用いる以外は実施例1と同様の手法にて合成した。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.5%e.e.であった。
(物性データ)
(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド
香気:ウッディ、カンファー的要素を併せ持つ弱いグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=−82.0°(CHCl3,c=1)。
実施例3:(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドの合成
50mL三口フラスコにトリエチルアミン(1.0g,10.0mmol)、ジエチルエーテル(20mL)及び(S)−2−メチル酪酸(1.0g,10.0mmol,99.3%e.e.)を仕込み、氷水冷下撹拌する。そこに、塩化ピバロイル(1.2g,10.0mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液を5℃/45分で滴下する。同温下で0.5時間撹拌後、セライトろ過し、結晶物をろ別する。得られるろ液をトルエン(40mL)及びN−メチル−m−トルイジン(2.4g,20.0mmol)とともに100mL三口フラスコに仕込み、ジエチルエーテルを留去しながら60〜80℃で3時間加熱撹拌を行う。反応液を冷却後、希塩酸、ソーダ灰水、ブラインの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤をろ別後、減圧濃縮、ポンプアップし、粗製物(2.4g)を得る。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする(S)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド(1.0g)を得た。収率47%。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、98.8%e.e.であった。
(物性データ)
(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド
香気:ウッディ的な要素を持つグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=+72.8°(CHCl3,c=1)
NMR(1H,400MHz,CDCl3):0.78(t,3H,J=7Hz);1.02(d,3H,J=7Hz);1.23〜1.34(m,1H);1.61〜1.72(m,1H);2.27〜2.36(m,1H);2.38(s,3H);3.25(s,3H);6.97(d,1H,J=8Hz);6.97(s,1H);7.15(d,1H,J=8Hz);7.29(dd,1H,J=8Hz,8Hz) δppm
NMR(13C,100MHz,CDCl3):12.04;17.94;21.30;27.57;37.36;38.08;124.41;128.04;128.39;129.46;139.79;144.30;176.90 δppm
MS:205(M+,10),121(100),91(14),77(5),65(6),57(35),41(9),29(6)。
実施例4:(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドの合成
(S)−2−メチル酪酸の代わりに(R)−2−メチル酪酸(>99.9%e.e.)を用いる以外は実施例3と同様の手法にて合成した。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.8%e.e.以上であった。
(物性データ)
(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド
香気:含硫化合物的な香気を併せ持つフレッシュなグレープフルーツの果皮的香気
比旋光度:[α]20 D=−76.1°(CHCl3,c=1)。
実施例5、6及び比較例1:シトラスタイプ香料の調製
実施例1で製造した(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド及び実施例2で製造した(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドを用いて、下記表2に記載の処方でシトラスタイプの芳香剤用香料組成物を調製した(実施例5及び6)。
機器:Agilent 6890N
カラム:CHIRAMIX(0.25mmI.D.×50m、登録商標 長谷川香料株式会社製)
オーブン温度:60〜180℃(+0.7℃/min)
キャリアガス:窒素(1.0mL/min)。
(物性データ)
(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド
香気:トロピカルフルーツを連想させる強いグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=+82.8°(CHCl3,c=1)
NMR(1H,400MHz,CDCl3):0.78(t,3H,J=7Hz);1.02(d,3H,J=7Hz);1.23〜1.34(m,1H);1.61〜1.72(m,1H);2.26〜2.33(m,1H);3.27(s,3H);7.17(d,2H,J=6Hz);7.33〜7.45(m,3H) δppm
NMR(13C,100MHz,CDCl3):11.97;17.83;27.50;37.33;38.06;127.43;127.61;129.68;144.29;176.85 δppm
MS:191(M+,10),107(100),85(5),77(19),57(67),51(7),41(20),29(24)。
実施例2:(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドの合成
(S)−2−メチル酪酸の代わりに(R)−2−メチル酪酸(>99.9%e.e.)を用いる以外は実施例1と同様の手法にて合成した。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.5%e.e.であった。
(物性データ)
(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド
香気:ウッディ、カンファー的要素を併せ持つ弱いグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=−82.0°(CHCl3,c=1)。
実施例3:(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドの合成
50mL三口フラスコにトリエチルアミン(1.0g,10.0mmol)、ジエチルエーテル(20mL)及び(S)−2−メチル酪酸(1.0g,10.0mmol,99.3%e.e.)を仕込み、氷水冷下撹拌する。そこに、塩化ピバロイル(1.2g,10.0mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液を5℃/45分で滴下する。同温下で0.5時間撹拌後、セライトろ過し、結晶物をろ別する。得られるろ液をトルエン(40mL)及びN−メチル−m−トルイジン(2.4g,20.0mmol)とともに100mL三口フラスコに仕込み、ジエチルエーテルを留去しながら60〜80℃で3時間加熱撹拌を行う。反応液を冷却後、希塩酸、ソーダ灰水、ブラインの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤をろ別後、減圧濃縮、ポンプアップし、粗製物(2.4g)を得る。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする(S)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド(1.0g)を得た。収率47%。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、98.8%e.e.であった。
(物性データ)
(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド
香気:ウッディ的な要素を持つグレープフルーツ様香気
比旋光度:[α]20 D=+72.8°(CHCl3,c=1)
NMR(1H,400MHz,CDCl3):0.78(t,3H,J=7Hz);1.02(d,3H,J=7Hz);1.23〜1.34(m,1H);1.61〜1.72(m,1H);2.27〜2.36(m,1H);2.38(s,3H);3.25(s,3H);6.97(d,1H,J=8Hz);6.97(s,1H);7.15(d,1H,J=8Hz);7.29(dd,1H,J=8Hz,8Hz) δppm
NMR(13C,100MHz,CDCl3):12.04;17.94;21.30;27.57;37.36;38.08;124.41;128.04;128.39;129.46;139.79;144.30;176.90 δppm
MS:205(M+,10),121(100),91(14),77(5),65(6),57(35),41(9),29(6)。
実施例4:(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドの合成
(S)−2−メチル酪酸の代わりに(R)−2−メチル酪酸(>99.9%e.e.)を用いる以外は実施例3と同様の手法にて合成した。光学活性カラムを用いたガスクロマトグラフによる分析で光学純度を求めたところ、99.8%e.e.以上であった。
(物性データ)
(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド
香気:含硫化合物的な香気を併せ持つフレッシュなグレープフルーツの果皮的香気
比旋光度:[α]20 D=−76.1°(CHCl3,c=1)。
実施例5、6及び比較例1:シトラスタイプ香料の調製
実施例1で製造した(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド及び実施例2で製造した(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドを用いて、下記表2に記載の処方でシトラスタイプの芳香剤用香料組成物を調製した(実施例5及び6)。
比較例1として、ラセミ体のN,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミドを含む香料組成物を同様にして調製した。
得られたそれぞれの香料組成物について10名の専門パネラーによる香気評価を行った。その結果を下記表3に示す。なお、評価方法は次のとおりである。
(評価方法)
強さを、(5)強い、(4)やや強い、(3)どちらでもない、(2)やや弱い(1)弱いの5段階、拡散性を、(5)良い、(4)やや良い、(3)一般的、(2)やや悪い、(1)悪いの5段階にて評価し、各パネラーの評点の相加平均を総合評点とした。
(評価方法)
強さを、(5)強い、(4)やや強い、(3)どちらでもない、(2)やや弱い(1)弱いの5段階、拡散性を、(5)良い、(4)やや良い、(3)一般的、(2)やや悪い、(1)悪いの5段階にて評価し、各パネラーの評点の相加平均を総合評点とした。
表3に示すように、本発明の光学活性体を使用した場合には、ラセミ体を使用した場合に比べて、より拡散性に富んだ、ナチュラルなグレープフルーツ様香気が増強され好ましいという評価結果が得られた。
実施例7、8及び比較例2:シトラスフローラルムスクタイプ香料の調製
実施例3で製造した(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド及び実施例4で製造した(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドを用いて、下記表4に記載の処方でシトラスフローラルムスクタイプのシャンプー用香料組成物を調製した(実施例7及び8)。 比較例2として、ラセミ体のN,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドを含む香料組成物を同様にして調製した。
実施例7、8及び比較例2:シトラスフローラルムスクタイプ香料の調製
実施例3で製造した(S)−(+)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミド及び実施例4で製造した(R)−(−)−N,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドを用いて、下記表4に記載の処方でシトラスフローラルムスクタイプのシャンプー用香料組成物を調製した(実施例7及び8)。 比較例2として、ラセミ体のN,2−ジメチル−N−(m−トリル)ブチルアミドを含む香料組成物を同様にして調製した。
1)アルデヒド マンダリン(フィルメニッヒ社、スイス国) 3−ドデセナール
2)フルーテート(花王株式会社、日本国) エチル トリシクロ[5.2.1.02, 6]デカン−2−カルボキシレート
3)リリアール(ジボーダン社、スイス国) α−メチル−β−(p−tert−ブチル フェニル)プロピオンアルデヒド
4)カシュメラン(アイエフエフ社、米国) 6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3− ペンタメチル−4(5H)−インダノン
5)イソ・イー・スーパー(アイエフエフ社、米国) 7−アセチル−1,2,3,4, 5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレン
6)ガラクソリド(アイエフエフ社、米国) 1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ− 4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン。
2)フルーテート(花王株式会社、日本国) エチル トリシクロ[5.2.1.02, 6]デカン−2−カルボキシレート
3)リリアール(ジボーダン社、スイス国) α−メチル−β−(p−tert−ブチル フェニル)プロピオンアルデヒド
4)カシュメラン(アイエフエフ社、米国) 6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3− ペンタメチル−4(5H)−インダノン
5)イソ・イー・スーパー(アイエフエフ社、米国) 7−アセチル−1,2,3,4, 5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレン
6)ガラクソリド(アイエフエフ社、米国) 1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ− 4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン。
得られたそれぞれの香料組成物について10名の専門パネラーによって前記と同様な方法で香気評価を行った。その結果を下記の表5に示す。
表5に示すように、本発明の光学活性体を使用した場合には、ラセミ体を使用した場合に比べて、より拡散性に富んだ、ナチュラルなグレープフルーツ様香気が増強され好ましいという評価結果が得られた。
実施例9:シャンプーへの賦香例
実施例7、8及び比較例2の各香料組成物を、下記表6に記載した処方のシャンプーベースにそれぞれ0.3%ずつ賦香し、シャンプー組成物を調製した。
実施例9:シャンプーへの賦香例
実施例7、8及び比較例2の各香料組成物を、下記表6に記載した処方のシャンプーベースにそれぞれ0.3%ずつ賦香し、シャンプー組成物を調製した。
得られたそれぞれのシャンプー組成物について10名の専門パネラーによる香気評価を行った。その結果を下記表7に示す。なお、評価方法は次のとおりである。
(評価方法)
強さを、(5)強い、(4)やや強い、(3)どちらでもない、(2)やや弱い、(1)弱いの5段階、嗜好性を、(5)良い、(4)やや良い、(3)一般的、(2)やや悪い、(1)悪いの5段階にて評価し、各パネラーの評点の相加平均を総合評点とした。
(評価方法)
強さを、(5)強い、(4)やや強い、(3)どちらでもない、(2)やや弱い、(1)弱いの5段階、嗜好性を、(5)良い、(4)やや良い、(3)一般的、(2)やや悪い、(1)悪いの5段階にて評価し、各パネラーの評点の相加平均を総合評点とした。
表7に示すように、本発明の光学活性体を使用した場合には、ラセミ体を使用した場合に比べて、より嗜好性の高い、ナチュラルなグレープフルーツ様香気が増強され好ましいという評価結果が得られた。
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