JP2005349410A - プレス成形方法およびプレス成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 引張り強度等の材料特性値がばらつく場合にも得られるプレス成形品の寸法精度を安定させることができるプレス成形方法およびプレス成形装置を提供する。
【解決手段】 被成形材を成形金型5でプレス成形するプレス成形方法において、加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異に基づいて被成形材に対するプレス成形機の成形速度を調整して得られるプレス成形品W1のスプリングバック量を調整する。即ち、加工しようとする被成形材で得られるプレス成形品W1のスプリングバック量が基準となる材料特性値の被成形材でのプレス成形品W1でのスプリングバック量と同等となる方向に成形速度を調整するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス成形方法およびプレス成形装置に関し、特に、スプリングバックを考慮したプレス成形方法およびプレス成形装置に関するものである。
従来から鋼板やアルミ板のプレス成形品に生ずるスプリングバックに対して、プレス成形後にオーバベンド等のプレス部品を正規寸法とするために矯正金型による矯正工程を追加したプレス成形方法(特許文献1参照)や、スプリングバック量を見込んだ形状のプレス金型としてプレス部品を正規寸法に矯正する矯正工程を削減したプレス成形方法(特許文献2参照)が提案されている。
特開平6−277760号公報 特開平5−138258号公報
ところで、プレス成形品に生ずるスプリングバック量は、被成形材である鋼板等の材料特性値、例えば、引張り強度、降伏応力、伸び値、加工硬化指数n値、ランクフォード値r値等により、その発生量も変化する。
しかも、連続してプレス成形品を量産する場合には鋼板等のコイル材が使用されるが、このようなコイル材は、その生産ロット単位で引張り強度等の材料特性値がばらつき、コイル材の生産ロット単位で前記スプリングバック量にばらつきが生じる。
しかしながら、上記従来例では、プレス成形品に生ずるスプリングバック量を予め所定量に見込んでプレス金型や矯正金型を形成するものであるため、得られたプレス成形品の寸法精度が安定しない不具合があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、引張り強度等の材料特性値がばらつく場合にも得られるプレス成形品の寸法精度を安定させることができるプレス成形方法およびプレス成形装置を提供することを目的とする。
本発明は、被成形材を成形金型でプレス成形するプレス成形方法であり、加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異に基づいて被成形材に対するプレス成形機の成形速度を調整して得られるプレス成形品のスプリングバック量を調整するようにした。
したがって、本発明では、加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異に基づいて被成形材に対するプレス成形機の成形速度を調整して得られるプレス成形品のスプリングバック量を調整するため、管理幅の許容範囲内で引張り強度等の材料特性値が基準となる材料特性値から外れていても基準の材料特性値からのずれに応じて成形速度を調整して成形品のスプリングバック量を基準材で得られるスプリングバック量と同等に収めることができる。
以下、本発明のプレス成形方法およびプレス成形装置を一実施形態に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明を適用したプレス成形方法およびプレス成形装置の第1実施形態を示し、図1はプレス成形装置のシステム構成図、図2は一次成形手段のプレス工程を示す工程図、図3は二次成形手段のプレス工程を示す工程図、図4〜図6は図1のプレス成形装置の制御手段のデータベースに記憶させた各種パラメータを示す特性図である。
図1において、本実施形態のプレス成形方法は、被成形材の材料特性に応じてデータベース20に基づき一次成形手段1の成形速度(歪速度)を設定する制御手段3と、被成形材の種類毎の基準材およびその管理幅許容値内に含まれる被成形材の歪速度とスプリングバック量との関係を示すデータを記憶させたデータベース20と、成形型によって被成形材をプレス成形してプレス成形品とする一次成形手段1と、一次成形手段1により得られたプレス成形品の寸法精度(スプリングバック量)を測定する測定手段2と、測定手段2で許容範囲の寸法精度と判定したプレス成形品のスプリングバックを矯正する二次成形手段4と、を備える。
前記制御手段3としてのプレス機のコントロールユニットは、被成形材の材料特性値を入力する入力手段21と、入力された被成形材の材料特性値を被成形材の標準特性値と比較して当該被成形材が標準特性値以内である場合には、当該被成形材を標準成形速度で作動する一次成形手段1で一次成形品を成形するようにし、また、当該被成形材が基準特性値を外れる場合には、当該被成形材に最適な成形速度を演算させる被成形材判定手段22と、前記当該被成形材に最適な成形速度を演算する場合に、被成形材の標準特性値との差分を計算する差分演算手段23と、得られた差分に応じてデータベース20を参照し、成形すべき当該被成形材による一次成形品の寸法精度(スプリングバック量)が許容範囲内とできる適正な歪速度(成形速度)を設定する成形速度設定手段24と、得られた成形速度を一次成形手段1のプレス成形機へ指令する指令手段25と、を備える。
前記データベース20は、被成形材Wの種類毎の材料特性、例えば、引張り強度(公称値)毎の標準値、上限値および下限値に引張り強度が管理幅内でばらついている鋼板の歪速度(ε’=dε/dt)[1/sec]とスプリングバック量(角度θ[deg])との一次関数となる関係特性、即ち、図4に示す関係特性20Aを、数式・グラフまたは表形式により記憶している。図4に示すデータは、引張り強度(公称値)が590MPaの鋼板における標準値(590MPa)、上限値(620MPa)および下限値(560MPa)における歪速度ε’=1/1000[1/sec]〜1000[1/sec]の変化に応じて成形品に生ずるスプリングバック量θ[deg]を記憶させたものである。
このようなデータは、引張り強度(公称値)が異なる、例えば、図示していない、270MPaから、表題のみを示す、780MPa、980MPaのものまで記憶させている。そして、コントロールユニット3よりの要求に応じて、当該被成形材Wである鋼板の引張り強度に対する歪速度とスプリングバック量との関係特性を出力する。このデータベース20は、被成形材の引張り強度とスプリングバック量との関係を示すデータ20B、例えば、図5に示す特性データと、被成形材W毎の歪速度と引張り強度との関係を示すデータ20C、例えば、図6に示す特性データとに基づいて形成されている。
図5に示す特性データによれば、プレス成形品W1のスプリングバック量(θ)は、被成形材Wである鋼板の材料特性、例えば、鋼板の引張り強度(TS)に応じて変化する。即ち、図5は、引張り強度270MPa〜980MPaの材料からなる各種の鋼板を90°の角度[deg]に曲げ成形した際の引張り強度[MPa]の変化(横軸)に対するスプリングバック量(角度)の変化(縦軸)特性を示すものである。図5によれば、鋼板の引張り強度が比較的低い場合にはスプリングバック量も比較的少ないのに対して、鋼板の引張り強度が増加するに連れてスプリングバック量も次第に増加する一次関数で表すことができる。
また、一般に鋼板の引張り強度は、同一の鋼板であっても、鋼板の歪速度(ε’=dε/dt、プレス成形速度)を高速とするに連れて高い引張り強度となる反面、鋼板の歪速度を低速とするに連れて比較的低い引張り強度により変形することが知られている。図6は、代表的に3種類の引張り強度(980MPa、780MPa、590MPa)の鋼板の歪速度(横軸)に対する引張り強度(縦軸)の関係特性を示すものである。同一の鋼板では、歪み速度と引張り強度とはほぼ1次関数に対応して互いに変化する。そして、引張り強度が異なる鋼板では異なる値をとるが、歪速度と引張り強度の変化特性は類似する。
以上のことから、引張り強度の異なる各鋼板は、鋼板の歪速度(dε/dt)に対して、図4に示すような変化特性のスプリングバック量θを生ずることとなる。また、これら引張り強度の異なる各鋼板は、その生産ロット単位で引張り強度等の材料特性値が強度管理幅内でばらついており、例えば、引張り強度の公称値が590MPaの鋼板においては強度管理幅560MPa(下限値)〜620MPa(上限値)の範囲内で、生産ロット毎に図示したパラメータの上下方向の所定幅内の引張り強度で存在している。このため、プレス成形により得られる成形品のスプリングバック量θは、供給される鋼板の引張り強度(公称値およびその強度管理幅内での強度のばらつきが存在するが)に応じて受動的に変化されるとともに、その歪速度(成形速度)を変化させることによりそのスプリングバック量を積極的に変化させることができる。
前記一次成形手段1は、被成形材の標準材を標準の成形(歪)速度でプレス成形した時に得られる成形品のスプリングバック量θ[deg]が許容範囲の中央値となるよう成形面を形成した成形型を予め設計して形成する(工程A1参照)。そして、図示しない成形速度が可変のプレス機にセットされる。成形型としては、図2に示すように、ドロー型の場合には、ポンチ6とダイ7とブランクホルダ8とから構成されて、例えば、ハット形のプレス成形品をプレス成形する金型5として形成される。この金型5は、ダイ7が上方に位置し、ポンチ6とブランクホルダ8が下方に位置するクッションドロー型である。そして、図2(A)に示す被成形材Wである鋼板等の板材を、図2(B)に示すように、ダイ7とブランクホルダ8との間に投入してポンチ6によりドロー成形し、図2(C)に示すように、型開きした際に金型5間にスプリングバックした部分を含むプレス成形品W1を得ることができる。
前記測定手段2は、一次成形手段1により得られたプレス成形品の寸法精度(スプリングバック量)を測定して許容範囲内か否かを判定する。そして、許容範囲の寸法精度と判定したプレス成形品を二次成形手段4への搬送を許可する。また、プレス成形品のスプリングバック量θが許容範囲から外れている場合には、図示しない払出し装置により許容範囲外(許容範囲を超える場合および許容範囲に満たない場合の両者を含む)のプレス成形品W1をライン外に払出し、成形品のスプリングバック量θが許容範囲内に収まる方向に一次成形手段1の成形速度(歪速度)を補正する。即ち、成形品のスプリングバック量θが許容範囲に満たない場合には、成形速度を速め、スプリングバック量θが許容範囲を超える場合には、成形速度を遅めに調整する。
前記二次成形手段4は、一次成形手段1によりプレス成形品W1に生じたスプリングバックをリストライク型10により矯正する。このリストライク型は、スプリングバック量が許容範囲にある一次成形品を標準の成形(歪)速度でリストライクした時に得られる成形品の寸法精度が許容範囲に収まるよう矯正角度を設定した矯正型(リストライク型若しくは二次成形型ともいう)を予め設計して形成する(工程A2参照)。そして、図示しない成形速度が可変のプレス機にセットされる。
前記二次成形手段4のリストライク型10は、例えば、ハット形成形品の場合には、図3に示すように、一次成形手段1により成形されたハット形プレス部品W1のスプリングバック部SPのベースとなる部分(図示例では、成形品W1の中央の平坦部分)を保持する下型ダイ11と上型ベース12にクッション支持したフォルダ13とからなる保持部14と、オーバベンド時にスプリングバック部分が押付けられる形状部15(この場合には、ダイ11側に形成されている)および形状部15に成形品W1のスプリングバック部分SPを押付ける矯正部16(この場合には、ダイ11側に設けたカムドライバ17に当接して横方向に移動する一対のカム18からなる)を備えている。これら保持部14、形状部15および矯正部16の構成および形状は、成形品W1の形状およびスプリングバック部分SPの形状に応じて様々に変更されて異なる構成となり、図示例のリストライク型10は一例に過ぎない。
そして、図3(A)に示すように、型開きしたリストライク型10に一次成形手段1により成形された成形品W1を投入し、図3(B)に示すように、型締めすることにより、成形品W1を保持部14で保持し、矯正部16によりスプリングバック部分SPを形状部15に押付けることでスプリングバック部分SPをスプリングバック方向とは逆方向にオーバベンドして矯正する。リストライク型10を型開きすると、図3(C)に示すように、成形品W1のスプリングバック部分SPであった部分が正規形状に変形され、完成パネルW2となる。
この二次成形手段4による矯正加工は、投入される一次成型品W1のスプリングバック量が許容範囲内の寸法精度である場合には、正規形状の完成品W2を得ることができるが、一次成型品W1のスプリングバック量が許容範囲外(許容範囲を超える場合および許容範囲に満たない場合の両者を含む)である場合には、正規形状から外れた完成品W2となる。例えば、スプリングバック量θが許容範囲を超える場合には、スプリングバック量を矯正しきれずにスプリングバック量を残したり、スプリングバック量が許容範囲に満たない場合には、スプリングバックを過矯正したりする結果となる。従って、測定手段2により一次成形品W1のスプリングバック量が予め設定した許容範囲内であることが確認され、スプリングバック量が前記許容範囲外(許容範囲を超える場合および許容範囲に満たない場合の両者を含む)である場合には、許容範囲からのはずれ量に応じて一次成形手段1のプレス機の成形速度を歪速度変更手段26により調整するとともに、払出し装置により許容範囲外のプレス成形品W1をライン外に払出し、二次成形手段4へは投入されないようにしている。
前記二次成形手段4により得られる最終成形品についても、最終形状の寸法精度を最終測定手段27により測定して許容範囲内か否かを判定する。そして、許容範囲の寸法精度と判定した最終成形品の次工程への出荷搬送を許可する。また、最終成形品の寸法精度が許容範囲から外れている場合には、図示しない払出し装置により許容範囲外(許容範囲を超える場合および許容範囲に満たない場合の両者を含む)の最終成形品W1をライン外に払出し、最終成形品の寸法精度が許容範囲内に収まる方向に二次成形手段の成形速度(歪速度)を成形条件変更手段28により補正する。
以上の構成のプレス成形装置におけるデータベース20に基づく成形速度(歪速度)の設定手順について、図7〜図10に示す実施例および図11〜図13に示す比較例により説明する。
図7および図8に示す実施例1では、図2に示すハット曲げ成形型5により引張り強度590MPaに対して上下限の引張り強度ばらつきが560MPa〜620MPaに設定された鋼板(図8参照)により一次成形を行った。先ず、歪速度ε’=0.001[1/sec]で確認した引張り強度590MPaの鋼板を一次成形手段1により歪速度ε’=1[1/sec]で成形したときの一次成形品W1の縦壁のスプリングバック量θは5.5°であり、スプリングバック量θの許容範囲5.0°〜6.0°の範囲の中央値を得た(線a参照)。そして、図3の矯正型10を備える二次成形手段4により歪速度ε’=1[1/sec]で二次成形したときの最終成形品W2の寸法精度(スプリングバック量)は許容範囲の中央値とすることができた。
図9は、材料特性値管理幅に含まれる鋼板の中より標準的な(例えば、特性値分布頻度の高い中央値)特性値の鋼板を基準として、標準的な成形速度で一次成形してそのスプリングバック量をスプリングバック量の許容範囲の中央値となるよう設計した一次形成型5と、標準的な成形速度で二次成形してその寸法精度を許容範囲に収まるよう設計した二次成形型10とを使用し、材料特性値管理幅内で材料特性値のばらつきのある鋼板を一次成形および二次成形する場合の一次成形品W1のスプリングバック量θおよび二次成形品W2の寸法精度の分布状況を示したものである。
即ち、材料特性値管理幅に含まれる鋼板は、図9(A)に示すように、材料特性値、例えば、材料の引張り強度は下限値(560MPa)と上限値(620MPa)との間で正規分布状に分布している。従って、正規分布した中央値の鋼板(590MPa)を一次成形した時にそのスプリングバック量が許容範囲(例えば、θ=5°〜6°)の中央値(θ=5.5°)となるような加工度の一次成形型5を用いて一次成形すると、得られる一次成形品W1のスプリングバック量も、図9(B)に示すように、許容範囲(例えば、θ=5°〜6°)の下限値(θ=5°)から上限値(θ=6°)までの間で正規分布状に分布される。図9(B)中の線bは一次成形型5による加工度合いを示している。このような正規分布したスプリングバック量を矯正して完成品の寸法精度の許容範囲に収まるよう設定した所定の矯正角度を備える矯正型10で矯正すると、図9(C)に示すように、完成品W2の寸法精度も所定通り許容範囲に収めることができる。図9(C)中の線cは二次成形型10による矯正角度を示している。
図7に戻り、同じ一次成形型5で引張り強度実測値が上限値である620MPaの鋼板を歪み速度ε’=1[1/sec]で一次成形したところ、縦壁のスプリングバック量が許容範囲の上限のθ=6.0°となった(線d参照)。データベース20Aに基づき、同じ鋼板を歪速度ε’=0.0l[1/sec]で成形する場合には、590MPaの鋼板と同様なスプリングバック量となることから、この歪速度(ε’=0.0l[1/sec])で成形すると、一次成形品には許容範囲の中央値に近いθ=5.6°のスプリングバック量とすることができた(線e参照)。そして、上記の引張り強度590MPaの鋼板にあわせて矯正量を調整した2次成形型10で矯正成形を行うと最終工程でのスプリングバック量θは、前記590MPa材のスプリングバック量に対し0.1°大きかったが、許容値[角度]の±0.5°の範囲内とできた。
同様に、同じ一次成形型5で引張り強度実測値が下限値である560MPaの鋼板を歪み速度ε’=1[1/sec]で1次成形したところ、縦壁のスプリングバック量が許容範囲の下限のθ=5.0°となった(線f参照)。データベース20Aに基づき、同じ鋼板を歪速度ε’=200[1/sec]で成形する場合には、590MPaの鋼板と同様なスプリングバック量となることから、この歪み速度(ε’=200[1/sec])に変更して成形すると、一次成形品W1には許容範囲の中央値に近いθ=5.4°のスプリングバック量とすることができた(線g参照)。そして、上記の引張り強度590MPaの鋼板にあわせて矯正量を調整した2次成形型10で矯正成形を行うと最終工程でのスプリングバック量θは、前記590MPa材のスプリングバック量に対し0.2°小さかったが、許容値[角度]の±0.5°の範囲内とできた。
図10に示す実施例2では、図2に示すハット曲げ成形型5により引張り強度の中央値590MPaに対して上下限の引張り強度ばらつきが560MPa〜620MPaに設定された鋼板によりハット曲げ部品を一次成形する予定であったが、手元にあった引張り強度620MPaの鋼板で2次成形型10の矯正角度を設定することとした。歪速度の設定値は、スプリングバック量と歪み速度の関係グラフから、当初の中央値となる590MPa材を歪み速度ε’=1で成形したときのスプリングバック量(線h参照)と同じになるよう、一次成形での歪み速度をε’=0.0l[1/sec]に設定した(線j参照)。
実際に1次成形で発生した引張り強度620MPaの鋼板のスプリングバック量はθ=5.5°であった。このスプリングバック量を基にして2次成形の矯正量(矯正角度)を設定したところ、引張り強度が560MPaから620MPaの鋼板では、最終(二次)成形での寸法精度は全て許容範囲内とすることができた。
図11に示す比較例では、実施例1と同様の引張り強度の許容範囲内の引張り強度620MPaの鋼板を用いて一次成形し、二次成形型10の矯正角度の設定を試みた。このとき、材料強度毎の歪み速度とスプリングバック量の関係を無視して、歪み速度ε’=1[1/sec]の条件で1次成形を行ったところ、一次成形品W1に発生したスプリングバック量はθ=6.0°となった(線k参照)。このスプリングバック量の値を用いて二次成形型10の矯正量(矯正角度)を設定したところ、図12に示すように、引張り強度の許容範囲560MPa〜620MPaの鋼板の斜線部m範囲のみが許容寸法精度範囲となり、図中のn範囲にある約50%が最終(二次)成形での許容寸法精度範囲から外れていた。
図13は、材料特性値管理幅に含まれる鋼板の中より標準値(例えば、特性値分布頻度の高い中央値)を外れた特性値(例えば、引張り強度が上限値に近い)の鋼板を基準として、標準的な成形速度で一次成形して得られたスプリングバック量をスプリングバック量のばらつきの中央値として、標準的な成形速度で二次成形してその寸法精度を許容範囲に収まるよう矯正角度を設計した二次成形型10を使用し、材料特性値管理幅内で材料特性値が標準的にばらつきのある鋼板を一次成形および二次成形する場合の一次成形品W1のスプリングバック量および二次成形品W2の寸法精度の分布状況を示したものである。
即ち、図13(A)に示すように、標準値の鋼板の引張り強度分布状態(破線図示参照)とは異なって、標準値を上限側に外れた引張り強度分布状態(実線図示参照)を基準として設定した場合には、図13(B)示すように、標準値的に発生するスプリングバック量(p範囲参照)に対して大きいスプリングバック量(q範囲参照)が発生すると予想される。
従って、大きいスプリングバック量に対して二次成形後の寸法精度(スプリングバック量)を正規な許容範囲に収めるためには、標準的に発生するスプリングバック量に対して寸法精度を正規な許容範囲に収める矯正角度(図13(C)の二点鎖線rの矯正角度参照)よりも大きくした矯正角度(図13(C)の実線sの矯正角度参照)を必要とする。
しかしながら、引張り強度が標準値に正規分布した現実の鋼板では一次成形品W1のスプリングバック量は、図13(B)にp範囲で示すように、予想より小さく大半が許容範囲より小さくなる。従って、スプリングバック量が、図13(C)の実線sで示すように、想定して設計した矯正型10を用いて二次成形して矯正した場合には、図13(C)のu範囲で示すように、矯正後の寸法精度(角度)が正規の寸法精度の許容範囲yに対して小さい側にずれてしまうこととなる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)被成形材を成形金型5でプレス成形するプレス成形方法であり、加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異に基づいて被成形材に対するプレス成形機の成形速度を調整して得られるプレス成形品W1のスプリングバック量を調整する。即ち、加工しようとする被成形材で得られるプレス成形品W1のスプリングバック量が基準となる材料特性値の被成形材でのプレス成形品W1でのスプリングバック量と同等となる方向に成形速度を調整するため、管理幅の許容範囲内で引張り強度等の材料特性値が基準となる材料特性値から外れていても基準の材料特性値からのずれに応じて成形速度を調整して成形品のスプリングバック量を基準材で得られるスプリングバック量と同等に収めることができる。
また、成形品W1のスプリングバック量が安定するため、それを矯正する矯正型10の矯正量の設定が容易となり矯正型10の歩留まりを向上できるとともに、矯正した製品の寸法精度も向上できる。
(イ)成形速度は、被成形材毎に管理幅内での少なくとも基準となる材料特性値の被成形材および基準特性値から管理幅内で隔たった材料特性値の被成形材に対する素材の歪速度とスプリングバック量との関係を予め記憶させたデータベース20に基づいて設定するため、加工しようとする鋼板の材料特性値が基準の材料特性値からずれていてもその差異に応じて、基準材料特性の鋼板での成形で得られるスプリングバック量と同等のスプリングバック量となるよう最適な成形速度を得ることができる。
(ウ)成形速度は、プレス成形後の成形品のスプリングバック量に応じて微調整されるため、成形品W1のスプリングバック量が予測と異なる場合でも成形速度を微調整することで所期のスプリングバック量、即ち、寸法精度を得ることができる。
なお、上記実施形態において、成形速度を設定する場合に、鋼板の引張り強度のばらつき程度に応じて成形速度を増減させるものについて説明したが、図示はしないが、他の材料特性値、例えば、降伏強度、伸び値、加工硬化指数(n値)、ランクフォード値(r値)による影響を加味したり、他の材料特性値のいずれか一つ若しくはそれらの組合せにより、成形速度を増減させるものであってもよい。
また、一次成形手段1と二次成形手段4とを組合せて、許容範囲のスプリングバック量を持つ成形品W2を得るものについて説明したが、図示しないが、一次成形手段1のみで許容範囲のスプリングバック量を持つ成形品W1を得るものであってもよい。
本発明の一実施形態を示すプレス成形装置のシステム構成図。 同じく一次成形手段のプレス工程を示す工程図。 同じく二次成形手段のプレス工程を示す工程図。 歪み速度とスプリングバック量の関係を示す特性図。 引張り強度とスプリングバック量の相関関係を示す特性図。 歪み速度と引張り強度の関係を示す特性図。 プレス成形装置におけるデータベースに基づく成形速度(歪速度)の設定手順の第1実施例を示す説明図。 材料強度の許容範囲内での引張り強度の分布状態図。 材料特性値が許容範囲内にある場合の特性値分布状態(A)、スプリングバック量(B)、最終工程後の寸法精度の分布状態(C)の説明図。 プレス成形装置におけるデータベースに基づく成形速度(歪速度)の設定手順の第2実施例を示す説明図。 成形速度の影響を考慮せずに一次成形を行った比較例の説明図。 図11の条件で矯正型を製作したときの最終工程の寸法精度の説明図。 材料特性値が許容範囲を外れた場合の特性値分布状態(A)、スプリングバック量(B)、最終工程後の寸法精度の分布状態(C)の説明図。
符号の説明
1 一次成形手段
2 測定手段
3 制御手段としてのコントロールユニット
4 二次成形手段
5、10 金型
20 被成形材Wの材料特性毎に歪速度とスプリングバック量との関係を記憶したデータベース
21 被成形材の材料特性値入力手段
22 被成形材判定手段
23 差分演算手段
24 成形速度設定手段
25 指令手段
26 歪速度変更手段
27 最終測定手段
28 成形条件変更手段

Claims (6)

  1. 被成形材を成形金型でプレス成形するプレス成形方法であり、
    加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異に基づいて被成形材に対するプレス成形機の成形速度を調整して得られるプレス成形品のスプリングバック量を調整することを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記成形速度は、加工しようとする被成形材で得られるプレス成形品のスプリングバック量が基準となる材料特性値の被成形材でのプレス成形品でのスプリングバック量と同等となる方向に調整することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 前記成形速度は、被成形材毎に管理幅内での少なくとも基準となる材料特性値の被成形材および基準特性値から管理幅内で隔たった材料特性値の被成形材に対する素材の歪速度とスプリングバック量との関係を予め記憶させたデータベースに基づいて設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレス成形方法。
  4. 前記被成形材毎に設定した素材の歪速度とスプリングバック量との関係を予め記憶させたデータベースは、各被成形材の引張り強度とスプリングバック量との関係を示すデータと、各被成形材の引張り強度と歪み速度との関係を示すデータとにより求めたものであることを特徴とする請求項3に記載のプレス成形方法。
  5. 前記成形速度は、プレス成形後の成形品のスプリングバック量に応じて微調整されることを特徴とする請求項1から請求項4に記載のプレス成形方法。
  6. 被成形材を成形金型でプレス成形するプレス成形装置であり、
    被成形材毎に管理幅内での少なくとも基準となる材料特性値の被成形材および基準特性値から管理幅内で隔たった材料特性値の被成形材に対する素材の歪速度とスプリングバック量との関係を予め記憶させたデータベースと、
    加工しようとする被成形材の材料特性値の管理幅内での基準となる材料特性値からの差異を判定する判定手段と、
    前記判定手段により判定した差異および前記データベースとに基づいて加工しようとする被成形材で得られるプレス成形品のスプリングバック量が基準となる材料特性値の被成形材でのプレス成形品でのスプリングバック量と同等となる方向に成形速度を調整して設定する成形速度設定手段と、
    前記成形速度設定手段により設定した成形速度によりプレス成形機を作動させる成形速度指令手段と、を備えることを特徴とするプレス成形装置。
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