JP2005344780A - 電磁弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可動子の摺動部分における液体の残留を抑制して、凍結による作動不良を防止することが可能な電磁弁を提供する。
【解決手段】 電磁弁は、通電されたコイルが発生する電磁吸引力によって移動する可動子と、固定子側に設けられ、可動子の移動量が所定量以上とならないように制止するストッパ部を有する。これらの可動子とストッパ部の当接部分は、所定以下の気密性となるように構成されている。即ち、電磁弁は、可動子とストッパ部の当接部分における流体の流れが常に所定量以上確保されるように構成されている。よって、低温環境下において、当接部分おける液体の凍結可能性を低減することができ、凍結による電磁弁の作動不良を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、凍結対策が施されている電磁弁に関する。
ガスや液体が通過する流量を制御する電磁弁が知られている。例えば、特許文献1には、摺動部を持たない可動子を有する電磁弁(遮断弁)が記載されている。また、特許文献2には、弁体の中央に副流路を有する電磁弁が記載されている。この特許文献2に記載された技術では、電磁弁が開弁不能となっても小流量を流すことが可能となっている。
上記の特許文献1に開示された電磁弁においては、ソレノイド励磁時に弁体のフランジ部がストッパと面接触するため、この部分で流体が流れなくなる場合がある。そのため、この電磁弁を加湿ガスを扱う装置(例えば、燃料電池システムなど)に適用する場合、励磁状態で低温環境下に置かれると、面接触部分に溜まった水が凍結してしまう可能性がある。これにより、電磁弁が正常に作動しなくなるおそれがある。
また、特許文献2に開示された電磁弁を燃料電池システムなどに適用する場合、この電磁弁は遮断弁として機能せず、可動子周辺の隙間に水が溜まる可能性がある。このため、溜まった水が低温環境下にて凍結して、電磁弁が正常に作動しなくなるおそれがある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、可動子の摺動部分における液体の残留を抑制して、凍結による作動不良を防止することが可能な電磁弁を提供することにある。
本発明の1つの観点では、電磁弁は、固定子及びコイルを有する固定部と、可動子とを有し、前記固定部は、前記可動子と当接するストッパ部を有し、前記可動子と前記ストッパ部との当接部分が、所定以下の気密性となるように構成されている。
上記の電磁弁は、流体が流通する流路中に設けられ、その流量を制御するものであり、例えばコイルなどからの電磁吸引力によって移動する可動子を有する。固定部は、可動子と当接するストッパ部を有し、可動子が固定部側へ最大量移動したときに可動子はストッパ部に当接してそれ以上の移動が制限される。可動子とストッパ部との当接部分は、所定以下の機密性を有する。これにより、可動子とストッパとの当接部分には、流体のある程度の流れを確保することができる。よって、流体の流れによって当接部分を排水することができ、低温時の凍結不作動の可能性を低減することができる。これにより、低温時に電磁弁が凍結により動作不能となることを防止することができる。
なお、上記の電磁弁は燃料電池システムに好適に適用することができる。燃料電池システムでは、発電により水が生成するため、低温環境下での凍結が問題となる。よって、上記のように凍結を抑制可能に構成された電磁弁は、燃料電池システム内にて有効に機能する。
上記の電磁弁の一態様では、前記可動子及び前記ストッパ部の少なくとも一方には、前記当接部分における面に溝が設けられている。この態様では、可動子とストッパ部が当接する部分において、両者の少なくとも一方には溝が設けられているので、その溝を通じて必要な流体の流量が確保される。よって、可動子とストッパ部との当接部分の凍結をより効果的に防止することができる。
上記の電磁弁の他の一態様では、前記ストッパ部は前記可動子の流体流入口より下流側における前記可動子の外周部分に対向する位置に設けられ、前記可動子の流体流入口から前記可動子の外周へ形成された空隙において前記固定部及び前記可動子はラビリンス形状を形成している。
この態様では、可動子の流体流入口からその外周へ形成される空隙にラビリンス形状が形成されているので、当該空隙へは流体中の水分は侵入しにくくなり、流体中の主として気体が多く流入することとなる。これにより、当該空隙に侵入する水分が減少するので、凍結の可能性をより低減することが可能となる。なお、ラビリンス形状としては、例えば可動子と固定部の対向部分の一方を上方へ突出させ、他方を下方へ突出させた形状などにより、流体の進入路を湾曲させた形状とすることが好ましい。
上記の電磁弁の他の一態様では、前記ラビリンス形状を形成する前記固定部及び前記可動子の部分は撥水性を有している。このように、ラビリンス形状を形成する部分に撥水性を持たせることにより、可動子とストッパ部の当接部分へ水分の侵入をより確実に抑制することができ、凍結の可能性をより低減することができる。
上記の電磁弁の他の一態様では、前記空隙は前記固定子と前記可動子との間に形成され、前記ラビリンス形状は、前記固定子及び前記可動子のいずれか一方に設けられ、他方に対して摺動する板状部材により形成される。
この態様では、固定子又は可動子に設けられた板状部材によりラビリンス形状を形成することにより、可動子とストッパ部との当接部分への水分の侵入が抑制されるとともに、板状部材がガイド部材として機能して可動子の移動を円滑化する。これにより、電磁弁の作動が安定化される。また、この場合、可動子及び固定子の形状を変えることなく、単にそれらの一方に板状部材を取り付けることにより、容易にラビリンス構造を実現することができる。
上記の電磁弁の他の一態様は、前記可動子の流体流入口内に収容され、前記可動子と前記固定子の間に配置されたコイルバネを備え、前記板状部材は、前記コイルバネの外周に沿って設けられている。この態様では、板状部材は、コイルバネの外周に沿って設けられるので、ラビリンス形状により水分の侵入を抑制する機能に加え、コイルバネが正しく直線的に伸縮するのを補助する。これにより、コイルバネのガイド部材などを別途設けることなく電磁弁の動作を安定化することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[電磁弁の構成]
図1は、本発明の1つの実施形態に係る電磁弁10を示す概略構成図である。
図1は、本発明の1つの実施形態に係る電磁弁10を示す概略構成図である。
図1(a)は、流体の流れ方向に沿った面にて電磁弁10を切断した断面図を示す。また、図1(b)は、図1(a)中の破線矢印B1方向から可動子3を見た可動子の底面図を示す。電磁弁10は、可動子3と、固定子4と、コイル(ソレノイドコイル)5と、コイルバネ6と、チャンバー7と、を備える。
電磁弁10は、主に流体(液体と気体を含む)が通過する流路上に設けられる。図1に示す電磁弁10は、可動子3が移動する方向に対して平行な方向から流体が供給されるトップフィード弁である。また、図1に示す電磁弁10では、実線矢印は流体の流れる方向を示しており(以下で示す全ての図においても同様)、紙面の上方向から流体が流入し、紙面の下方向へ流体が流出していくものとする。
固定子4は磁性材料により構成され、電磁石として機能する。固定子4の外周にはコイル5が設けられており、コイル5はチャンバー7に固定されている。即ち、固定子4及びコイル5は固定部を構成し、固定部はチャンバー7に固定されている。
これに対し、可動子3はチャンバー7の内部に配置され、固定子4に対して相対的に図1(a)の上下方向(矢印B2参照)に移動する。可動子3は磁性材料により構成されており、その下端にはゴムなどにより形成されたシール部3aが設けられている。シール部3aは、可動子3の底面とチャンバー7の内側底面との間の緩衝機能及びシール機能を有する。
また、可動子3は、その上下方向において、上端から中央部に形成された略円筒状の通路3bを有し、その通路3b内にコイルバネ6が配置される。詳細には、コイルバネ6は可動子3の通路3b内に収容されており、コイルバネ6の上端は固定子4の底面により支持され、コイルバネ6の下端は通路3bの底面により支持されている。
可動子3は、矢印B2で示すように図中上下方向(即ち、流体が流れる方向及びそれと逆方向)に移動する。コイル5に通電していない状態又は通電量が所定量以下である状態では、可動子3はコイルバネ6の力により図中下方へ付勢されており、可動子3のシール部3aがチャンバー7の出口7aを塞ぐ。そのため、電磁弁10は閉状態となり、上方から供給される流体はチャンバー7から流出しない。一方、コイル5に所定量以上通電すると、コイル5が発生する磁界により磁性体である固定子4が磁化し、可動子3を上方へ引きつける電磁吸引力を発生する。この電磁吸引力が、コイルバネ6による下方への付勢力に勝ると、可動子3は図中上方へ引き上げられ、電磁弁10は開状態となる。即ち、シール部3aによる出口7aの閉塞が解除され、シール部3aとチャンバー7の内側底面との間隙の大きさに応じた量の流体がチャンバー7から下方へ流出する。なお、コイル5への通電時間比率を制御することにより、電磁弁10が通過させる流体の流量を制御することができる。
前述のように、可動子3は、その上下方向において上端から略中央部に形成された略円筒状の通路3bを有する。また、可動子3は、上下方向における略中央部に、外周方向へ放射状に延びる複数(本例では4個)の通路3cを有する。図示のように、4個の通路3cは、通路3bの下方において通路3bと接続されている。これにより、可動子3には主流路A1が形成される。なお、通路3b、3cの形状や、通路3cの個数などは上記の例には限定されない。
可動子3は、その上部の外周位置に環状のフランジ部3fを有している。コイル5への通電により可動子3を上方へ移動させると、やがてフランジ部3fの上面3dがコイル5の底面5bに当接し、可動子3の上方への移動は制限される。即ち、コイル5の底面5bのうち、可動子3のフランジ部3fの上面3dと当接する部分5sは、可動子3のストッパとして機能する。以下、この部分を「ストッパ部5s」と呼ぶ。即ち、ストッパ部5sは、可動子の流体流入口より下流側における可動子の外周部分、即ちフランジ部3fに対向する位置に設けられている。
図1(a)に示されるように、可動子3が最上位置まで上昇していない状態では、コイル5の底面5bと、可動子3のフランジ部3fの上面3dとの間に流体の流路(以下、「副流路」と呼ぶ。)A2が形成される。即ち、副流路A2は、可動子の流体流入口から可動子の外周へ形成された空隙を含む。
上述のように、流体は主流路A1と副流路A2とを通過する。ここで本実施形態では、可動子3とストッパ部5sとの間にある空間(隙間)の気密性が所定以下となるように形成される。即ち、可動子3とストッパ部5sは、その隙間における流体の流れが所定量以上確保されるように構成される。副流路A2を通過した流体は、可動子3のフランジ部3fの外周とチャンバー7の内壁との間を通過して、主流路A1を通過した流体と合流してチャンバー7の底部に達する。そして、チャンバー7の出口7aから排出される。
このように、副流路A2の気密性を所定以下とすることにより、電磁弁10の励磁時においても副流路A2の流量をある程度確保することができる。電磁弁10を氷点下などの低温状態で動作させた場合、副流路A2の部分が凍結すると、電磁弁10を閉じることができなくなる。この点、本実施形態では、低温状態においても副流路A2に流体の流れを確保することにより副流路A2の排水ができるため、この部分の凍結を防止して、弁が動作不能となることを防止する。
なお、コイル5と摺道する可動子3の外周壁には、図示しない複数の凸部などを設けることが好ましい。この凸部は、コイル5の外周壁と接触するため、可動子3の稼動をガイドすることになる。したがって、可動子3は、鉛直方向に精度よく稼動することができる。これにより、電磁弁10が流す流量を正確に制御することが可能になる。
なお、電磁弁10において、主流路A1と副流路A2が可動子3の内外で逆となる構成を採用してもよい。即ち、可動子の内部に副流路を形成し、可動子の外部に主流路を形成してもよい。
[実施例]
以下では、本発明の実施例に係る電磁弁について説明する。
以下では、本発明の実施例に係る電磁弁について説明する。
(第1実施例)
図2は、本発明の第1実施例に係る可動子3の構造を示す図である。
図2は、本発明の第1実施例に係る可動子3の構造を示す図である。
図2(a)は、第1実施例に係る可動子3の断面図であり、図2(b)は、図2(a)中の破線矢印B3で示す方向から可動子3を見た平面図を示す。なお、図2(a)は、図2(b)に示すX−X’断面による断面図である。図2(a)及び(b)に示すように、可動子3のフランジ部3fの上面3d上には、複数の溝3hが設けられている。溝3hは、可動子3の中心から外周に向かって放射状に形成されている。このように溝3hを設けることにより、図2(a)に示すように可動子3がコイル5のストッパ部5sと面接触した場合にも、確実に副流路A2の流路面積を確保することができる。これにより、可動子3とコイル5との隙間において凍結をより効果的に抑制することができる。また、溝3hに加えて、固定子4の底面と対向する、可動子3の頂面上にも溝3jを設けてもよい。
また、上記では溝3hを可動子3側のみに設けるものについて示したが、それに加えて、又は、その代わりに固定子4又はコイル5側に溝を設けてもよい。この場合には、溝は、可動子3と対向する固定子4又はコイル5の面上に設けられる。また、溝の形状及び個数は、図2に示したものに限定されない。
(第2実施例)
図3は、本発明の第2実施例に係る電磁弁10の構造を示す図である。
図3は、本発明の第2実施例に係る電磁弁10の構造を示す図である。
図3(a)は、可動子3と固定子4とコイル5を流体の流れ方向に沿った面にて切断した断面図を示す。図3(b)は、図3(a)中の破線領域C1を拡大して示した図である。図示のように、可動子3の頂面と固定子4の底面とが対向する部分は、副流路A2が入り組んだ(湾曲した)形状(以下、「ラビリンス形状」と呼ぶ)となるように構成されている。図3に示す例では、可動子3の頂面に設けた突出部4xと固定子4の底面に設けられた突出部3xを相互に逆方向に突出させることでラビリンス形状を構成している。このようなラビリンス形状の流路内を流体が通過する場合、流体は矢印C3に示すように、固定子4の突出部4xの下方を通過した後、若干上昇して可動子3の突出部3xの上方を通過して流れる。なお、この場合、流体の流れ方向に沿って突出する突出部8、即ち本例では固定子4側の突出部4xを流路の内側に設けることにより、液体がより副流路A2に流入しにくくすることができる。
上記のように副流路A2をラビリンス形状にすることにより、流体中の液体は副流路A2に流入しにくくなる。したがって、副流路A2には矢印C3で示すように主に気体が流れ、液体は矢印C2に示すように主に主流路A1を流れていく。即ち、ラビリンス形状は、気体と液体とを概ね分離する機能を有する。これにより、可動子3とストッパ部5sとの間の副流路A2に水などの液体が残留しにくくなり、低温作動時の凍結の可能性が低下する。
なお、上記のようにラビリンス形状を構成する面、即ち可動子3の頂面と固定子4の底面に撥水処理を施すことが好適である。これにより、可動子3とストッパとの間の副流路A2への液体の侵入を更に効果的に低減することができる。
なお、第2実施例に係る可動子3にも、ストッパと対向する面上に溝3dを設けることとしてもよい。
(第3実施例)
図4は、本発明の第3実施例に係る電磁弁10の構造を示す図である。
図4は、本発明の第3実施例に係る電磁弁10の構造を示す図である。
図4(a)は、可動子3と固定子4とコイル5を流体の流れ方向に沿った面にて切断した断面図を示す。図4(b)は、図4(a)中の破線領域D1を拡大して示した図である。図4に示すように、可動子3と固定子4とが対向する部分の近傍には、板状部材8が設けられている。板状部材8は、コイルバネ6の外側壁の外側で、流体の流れる方向に沿った方向に配置されている。このように板状部材8を配置することにより、可動子3の移動は板状部材8によってガイドされる。
また、板状部材8は副流路A2の入口付近に配置され、副流路A2をラビリンス形状とする機能を有する。即ち、流体中の液体は、板状部材8が存在するため副流路A2に流入しづらくなる。よって、副流路A2には主に気体が流通し、液体は主に主流路A1を流れていく。これにより、副流路A2に水などの液体が流入することを抑制することができる。なお、板状部材8は、副流路A2の入り口を完全に塞がないように配置される。
板状部材8は非磁性体にて構成することが好適である。これは、板状部材8を磁性体により構成すると、固定子4による可動子3の電磁吸引力が低下する可能性があるからである。この場合、板状部材8は、磁性体の一部を熱処理によって非磁性化することが好ましい。このように、板状部材8を非磁性体にて構成することにより、固定子4と可動子3との磁気の受け渡し部分の形状を変えることなくラビリンス構造を実現することができる。よって、この磁気の受け渡し部分の形状を変えることによって、コイル5の吸引力の低下を避けることができる。
以上のように、板状部材8は、可動子3の移動をガイドすると共に、副流路A2のラビリンス形状を実現するので、可動子3をガイドする部材を別途設ける必要がない。即ち、流路をラビリンス形状にするための部材により、同時に可動子3の移動をガイドすることができる。これにより、電磁弁10を簡便な構成にでき、低コストで作成することができる。
図5は、上記した板状部材8の具体例を示す図である。
図5(a)は、第1の例に係る板状部材8aの平面図(紙面上方に示す)と側面図(紙面下方に示す)を示している。板状部材8aには、その内周面から外周面へ貫通する複数の穴81が設けられている。このように、板状部材8aに複数の穴81が設けられていることにより、副流路A2へ流体(好ましくは気体のみ)が流入することが可能となる。即ち、板状部材8aが副流路A2の入り口を完全に塞いでしまった場合にも、副流路A2への流体の流入を確保することができる。
図5(b)は、第2の例に係る板状部材8bの平面図を示している。板状部材8bは、上記した板状部材8aと異なり、複数の板82から構成されている。板82は、可動子3をガイドするため、固定子4の内周壁に沿うように配置される。第2の例でも、板状部材8bは複数の板82から構成されるので、副流路A2の入り口を完全に塞ぐことはない。よって、副流路A2への流体の供給を確保することができる。
なお、上記の例以外にも、図5(a)に示すような穴を形成せず、板状部材8の幅(図4(b)における高さ)をある程度短くて副流路A2への流体(主として気体)の流路を確保してもよい。さらに、第1の例のように穴を設ける代わりに、板状部材8自体を多孔体など気密性の低い材料により構成して、副流路A2への気体の流入を確保するようにしてもよい。
図6は、板状部材8(板状部材8a、8bを含む)の配置の具体例を示す図である。図6は、図4(a)中の破線領域D1を拡大して示した図である。
図6(a)は、板状部材8の第1の配置例を示す図である。この場合、板状部材8は、固定子4の内周壁に固定されている。図6(b)は、板状部材8の第2の配置例を示す図である。この場合は、板状部材8は可動子3の内周壁に固定されている。このように板状部材8を配置することにより、板状部材8は副流路A2をラビリンス形状にすることができ、同時に、必要に応じて可動子3の移動をガイドすることができる。
ここで、板状部材8は、コイルバネ6の外周壁に沿うように配置することが好適である。このように配置することにより、板状部材8は、コイルバネ6の伸縮もガイドすることができる。即ち、板状部材8は、コイルバネ6が左右方向にたわむことなく、正しく上下方向に伸縮するようにコイルバネ6をガイドすることができる。
図6(c)は、板状部材8の第3の配置例を示す図である。この場合は、板状部材8は、可動子3の外側壁においてコイル5の内周面に対して摺動するように固定されている。これによっても、板状部材8は副流路A2をラビリンス形状にすることができる。
なお、上記した板状部材8の配置位置及び形状は一例であり、本発明の適用はこれらには限定されない。
[変形例]
次に、本発明の変形例に係る電磁弁11について説明する。
次に、本発明の変形例に係る電磁弁11について説明する。
図7は、本発明の変形例に係る電磁弁11を示す概略構成図である。図7は、流体の流れ方向に沿った面にて電磁弁11を切断した断面図を示す。電磁弁11は、可動子31と、固定子4と、コイル5と、コイルバネ6と、チャンバー71と、を備える。これら電磁弁11を構成する各構成要素の基本的な機能は、前述した電磁弁10で示したものと同様であるため説明を省略する。
電磁弁11は、可動子31とチャンバー71の形状が前述したものと異なる。可動子31は、固定子4とのみ対向し、当接する。即ち、可動子31は最上位置においてコイル5とは当接せず、固定子4の底面の一部(以下、「ストッパ部」と呼ぶ。)が可動子31のストッパとして機能する。また、チャンバー71も、このような形状を有する可動子31に応じた形状を有している。
電磁弁11においても、可動子31と固定子4のストッパ部4sとの隙間の気密性が所定以下となるように構成されている。即ち、可動子31と固定子4のストッパ部4sとの隙間は副流路A2の一部を構成する。よって、低温時に電磁弁11を励磁状態としても、副流路A2への流体の流入を確保することができ、凍結により電磁弁が動作不能となることを防止することができる。
なお、上記の各実施例では、可動子3を電磁弁の軸方向に移動可能に支持するバネとして、コイルコイルバネ6を用いているが、その代わりに板バネを使用しても構わない。例えば、薄い円板形状を有し、流体を通過させるための開口を設けた板バネの略中央に可動子を固定し、当該板バネの外縁を電磁弁本体の内周壁に固定することにより、可動子を移動可能に支持した電磁弁に対しても、本発明を適用することができる。このような板バネは可動子を保持するため、可動子3の稼動をガイドすることができる。
[電磁弁の適用例]
以下では、本発明に係る電磁弁10、11の適用例について説明する。
以下では、本発明に係る電磁弁10、11の適用例について説明する。
図8は、電磁弁10又は11(以下、代表して「電磁弁10」と記す)を適用した燃料電池システム50の概略構成図を示す。燃料電池システム50は、電磁弁(水素排出弁)10と、燃料電池(燃料電池スタック)12と、ECU(Engine Control System)13と、供給流路21、22と、排出流路23、24、25と、を備える。燃料電池システム50は、燃料電池自動車などに搭載されるシステムである。
燃料電池12は、電解質膜の両面に、ガスが拡散可能な多孔質層等の構造を有する電極を成膜した電池セルを層間に導電性のセパレータを挟んで積層したもので、積層数に応じた出力電圧を取り出すことができる。図中には、説明の便宜のため電解質膜面にカソード極(空気極)12aと、アノード極(燃料極)12bが形成された電池セルの構造のみを示している。カソード極12aには供給流路21よりエア(空気)が供給される。また、アノード極12bには供給流路22より燃料(水素)が供給される。以上により、電力が生成される。
燃料電池12は、車両駆動用のモータの給電源であり、直流の高電圧を発生するようになっている。燃料電池12の発電電圧は、モータに指令トルク等に応じた電流を供給する図示しないインバータなどに出力するようになっている。また、燃料電池12の発電電圧は、DC−DCコンバータで降圧されて、車両に搭載される種々の補機や、これらへの給電用の二次電池であるバッテリーに出力するようになっている。
燃料電池12は、排出流路23、24より排気を排出する。排出流路23には、カソード極12aより排出されるガスが流通する。排出流路24には、アノード極12bより排出されるガスが流通する。この場合、アノード極12bからは、未使用の水素と、水(水蒸気を含む)や窒素などの不純物と、を含むガスが排出される。
電磁弁10は、排出流路24上に設けられている。電磁弁10は、前述したように可動子3、固定子4、コイル5などを有する。電磁弁10には、上記した未使用の水素と不純物を含むガスが流入する。電磁弁10を開にすると、これらのガスは排出流路25より排出される。よって、電磁弁10は燃料電池システム50内で水素排出弁として機能する。なお、電磁弁10は、ECU13から供給される制御信号S1によって開閉が制御される。
燃料電池システム50においては、電磁弁10には水(水蒸気も含む)を含む流体が流入する。したがって、電磁弁10内の摺動部分には、水が残留する傾向がある。前述したように、電磁弁10は、副流路A2の気密性を所定以下として副流路A2への流体の流れを確保することにより、低温環境下での凍結を抑制することができるため、凍結による電磁弁10の作動不良を防止することができる。
ECU13は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インタフェイスなどを含んで構成される。ECU13は、燃料電池システム50内の様々な状態に基づいて、電磁弁10を制御する。即ち、ECU13は、電磁弁10に制御信号S1を供給して、電磁弁10の開閉やその開度を制御する。
なお、上記の例では、本発明に係る電磁弁を燃料電池システムの水素排出弁として使用しているが、これに限らず、燃料電池システムに使用される水素の遮断弁であって液体が流れる可能性のある他の弁に適用することも可能である。
3 可動子
4 固定子
5 コイル
6 コイルバネ
8 板状部材
10、11 電磁弁
12 燃料電池
13 ECU
50 燃料電池システム
4 固定子
5 コイル
6 コイルバネ
8 板状部材
10、11 電磁弁
12 燃料電池
13 ECU
50 燃料電池システム
Claims (6)
- 固定子及びコイルを有する固定部と、可動子とを有する電磁弁であって、
前記固定部は、前記可動子と当接するストッパ部を有し、
前記可動子と前記ストッパ部との当接部分が、所定以下の気密性となるように構成されていることを特徴とする電磁弁。 - 前記可動子及び前記ストッパ部の少なくとも一方には、前記当接部分における面に溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
- 前記ストッパ部は前記可動子の流体流入口より下流側における前記可動子の外周部分に対向する位置に設けられ、
前記可動子の流体流入口から前記可動子の外周へ形成された空隙において前記固定部及び前記可動子はラビリンス形状を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁弁。 - 前記ラビリンス形状を形成する前記固定部及び前記可動子の部分は、撥水性を有していることを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
- 前記空隙は前記固定子と前記可動子との間に形成され、
前記ラビリンス形状は、前記固定子及び前記可動子のいずれか一方に設けられ、他方に対して摺動する板状部材により形成されることを特徴とする請求項3又は4に記載の電磁弁。 - 前記可動子の流体流入口内に収容され、前記可動子と前記固定子の間に配置されたコイルバネを備え、
前記板状部材は、前記コイルバネの外周に沿って設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電磁弁。
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JP2004163264A JP2005344780A (ja) | 2004-06-01 | 2004-06-01 | 電磁弁 |
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JP2004163264A JP2005344780A (ja) | 2004-06-01 | 2004-06-01 | 電磁弁 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010051823A1 (en) * | 2008-11-05 | 2010-05-14 | Norgren Gmbh | Frost proof, vibration resistant solenoid valve |
KR100993766B1 (ko) | 2008-07-16 | 2010-11-12 | 발레오전장시스템스코리아 주식회사 | 솔레노이드 조립체 |
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2004
- 2004-06-01 JP JP2004163264A patent/JP2005344780A/ja active Pending
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