JP2005344508A5 - - Google Patents

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免震構造物
この発明は屋根架構とそれを周辺で支持する支持構造から構成される大空間構造物において、屋根架構を支持構造に免震支持させた免震構造物に関するものである。
例えばオフィスビル,集合住宅,病院等のように同一の平面を持つ階が複数層に亘って連続するような構造物を免震化する場合、免震装置は図20−(a) ,(b) に示すように基礎や下層階等の下部構造と地上階等の上部構造間に設置されることにより下部構造に入力する地震力の、上部構造への伝達を低減する。
この場合、下部構造はいずれの水平方向に対しても十分に剛性と耐力の高い構造とされ、免震装置もいずれの水平方向に対しても同等の性能を発揮するように設計される。
これに対し、大空間を構成する図21に示すような屋根架構とそれを支持する支持構造からなる構造物を上記構造物と同様の方法で免震化するとすれば、免震支持される構造体の層数が少ないため、全建設費に占める免震化の費用の割合が高くなり、免震化に要する費用に対する効果の比率が小さく、不経済となる。
一方、体育館等においては地震時に屋根架構を含む建物全体の倒壊や損傷の防止を確保した上で、天井材や照明・スピーカ等の設備機器の落下を防止し、震災時の避難所、あるいは防災拠点としての機能を保全することが耐震対策上、重要な課題となる。
平成7年1月の阪神淡路大震災ではこの種の建物で、屋根架構を支持する支持構造の倒壊例はなかったものの、屋根架構が大きく揺れたために屋根架構本体が損傷を受け、天井材や設備機器の落下を誘発し、避難所として利用できなかった例が多数あった。このことから、体育館等の建物では支持構造を含めた建物全体を免震化しなくとも、屋根架構への地震力の伝達を低減することができれば、上記被害を防止することが可能である。
大空間構造物において屋根架構を免震化する方法には特許文献1等がある。ここでは屋根架構の周囲に位置する屋根支承部と支持構造間に免震装置を設置することによりいずれの水平方向の地震動に対しても均等に免震効果が発揮されるようにしているが、屋根架構の形態によっては免震効果が期待できない場合がある。
例えば図1に示すように支持構造の頂部の高さが厚さに対して大きく、支持構造が壁状に連続する場合、支持構造の水平剛性は面内方向に大きく、面外方向に小さいことから、支持構造の頂部は面外方向に大きく揺れ、その揺れに伴って屋根架構に大きな上下動が生じる。このため従来は、支持構造に入力する地震力の屋根架構への伝達を低減する上で、屋根支承部と支持構造との接合部においては支持構造の面外方向には両者間の相対変位を許容する状態に接合され、面内方向には水平力の伝達が図られるようにピン接合される。
この種の構造物において特許文献1のように屋根支承部と支持構造間に全水平方向に均等に減衰力を発揮する免震装置を設置した場合には、支持構造に入力する面外方向の水平力を屋根架構に伝達させ、強制変形を与える可能性がある。
特許文献1では水平剛性の低い支持構造、図1の場合で言えば、支持構造の面外方向に対して水平剛性の高い免震装置が組み合わせられるため、免震装置の高い水平剛性によって支持構造に入力する水平力が免震装置を通じて屋根架構に伝達され易く、屋根架構に強制変形も生じさせ易くなり、相対変位を許容する状態に接合する場合より屋根架構の強度を増す必要が生ずるという不利な結果を招く。
そのように不利になることを示すために、支持構造の水平剛性が低い方向(X方向)にも一定のダンパー機能を持たせた場合とダンパー機能なしの場合の地震応答解析を実行し、屋根部材に生じる応力の違いを比較した結果の1例を図22−(a) 〜(c) に示す。ダンパーの解析モデルは、降伏せん断力及び剛性の合計が両ケースとも等しくなるように設定し、静的な水平外力に対しては同等になるようにした。
図22−(a) 〜(c) では、横軸に支持構造の水平剛性が低い方向(X方向)に部材軸が一致する屋根部材の部材番号をとり、縦軸にX方向地震(地震波はKobe(JMA) NS 1995)に対する屋根各部材の軸力N,せん断力Q,曲げモーメントMをそれぞれ表している。□印がダンパーなし、■印がダンパーありの場合である。
X方向のダンパーの降伏せん断力はY方向の38%程度とした。これらより明らかに、支持構造の水平剛性が低い方向(X方向)にダンパー機能を付与すると、屋根部材の応力が大きくなることが分かる。すなわち、この方向についてはダンピング効果を余り発揮させ過ぎると屋根架構に対しては不利になるので、配慮が必要である。
特開平8−326351号公報
この発明は上記背景より、支持構造の水平剛性が小さい方向の屋根架構への水平力の伝達を低減する免震構造物を提案するものである。
本発明では屋根架構と支持構造との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置を設置し、変位許容機能と減衰力発生機能を支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向とで相違させることにより、支持構造に入力する水平剛性の低い方向の水平力の屋根架構への伝達を低減し、屋根架構への強制変形を最小限に抑制する。
本発明では免震装置によって支持構造の水平剛性が低い方向には支持構造の揺れと水平力を屋根架構に伝達させないよう、屋根架構と支持構造との間の少なくとも一定量の相対変位を生じさせ、水平剛性が高い方向には免震装置の減衰力発生機能が発揮されるまで、または発揮される間、屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容する。免震装置は支持構造の水平剛性が高い方向には屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容しながら、減衰力を発生する。
免震装置は支持構造の水平剛性が低い方向に、屋根架構を支持構造に対して少なくとも一定量の相対変位を生じさせることで、屋根架構が周辺の屋根支承部において支持構造に支持された後に自重で屋根支承部が支持構造の水平剛性が低い方向の外周側へ変位を生じるときにもその変位を自由に生じさせ、屋根支承部が支持構造に安定して支持される状態になるまで、屋根架構の自重による屋根支承部の変位を拘束しない。
この結果、初期状態で屋根支承部への応力の発生が回避され、併せて免震装置への応力の発生も回避されるため、免震装置の減衰力発生機能は初期応力のない状態で発揮されることになる。
屋根架構を支持構造に支持させ、使用状態に置いた後に屋根架構が支持構造の水平剛性が低い方向に温度変化や積雪荷重等によって伸縮する場合にも支持構造に対する相対変位が自由であることで、屋根支承部は屋根架構の伸縮に伴い、支持構造に対して変位でき、伸縮に伴う応力の負担が回避される。
各免震装置の変位許容機能と減衰力発生機能は支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向とで相違するが、図2〜図4に示すように支持構造を全体的に閉じた形とすれば、いずれかの免震装置が屋根架構と支持構造との間の相対変位を自由にするときには、その免震装置に交差する方向を向く他のいずれかの免震装置が水平力を負担して減衰力を発生するため、構造物全体ではいずれの方向の地震力に対しても屋根架構に入力する水平力を低減する効果が発揮される。
図4のように支持構造が非対称形等、任意の平面形状を持つ場合や、屋根架構の重量配分が不均一である場合等のように支持構造と屋根架構のそれぞれの偏心が大きい場合には地震時に屋根架構が回転振動を起こし、屋根支承部の水平移動量が増幅される可能性があるが、減衰力を発揮するダンパー部材の配置等を考慮することにより、上記した支持構造と屋根架構を含めた構造物全体での任意の方向の地震力に対する応答低減効果によって屋根架構の回転振動とそれに伴う屋根支承部の移動量の増大は抑制される。
図6,図7に、本発明を図5に示すモデルに適用して屋根架構を免震化した場合と非免震の場合の地震応答解析結果を比較して示す。図5は梁間40m×桁行50m×軒高10m(棟高18m)で、屋根架構が鉄骨造、支持構造が鉄筋コンクリート造の一般的な体育館を想定した立体架構の解析モデルである。
支持構造における屋根架構の支持条件は支持構造の水平剛性が低い方向に完全に相対変位が自由で、水平剛性が高い方向には非免震の場合はピン接合、免震の場合は全免震装置の減衰力発生機能(ダンパー)の降伏耐力の合計を屋根架構自重の10%とし、荷重一変形関係をバイリニア型でモデル化した。入力地震波は観測波Kobe 1995 NSの最大加速度を200galに規準化してある。
図6は屋根架構の最大応答加速度の比較を、図7は屋根支承部の水平反力の比較を示しているが、ここに示すように屋根架構の最大応答加速度は非免震の場合の約50%に低下し、屋根支承部の水平反力は非免震の場合の約20〜25%まで低下しており、本発明の免震の効果が顕著に表れていることが分かる。
免震装置は具体的には請求項1に記載のように支持構造に固定される支持部材と、支持部材上に任意の水平方向に相対変位自在に載り、屋根架構に取り付けられる屋根支承部と、支持部材と屋根支承部間に跨って設置されるダンパー部材から構成され、ダンパー部材は支持構造の水平剛性が低い方向には一定量の相対変位を生じた後に減衰力を発生し、支持構造の水平剛性が高い方向には相対変位の発生に伴い、減衰力を発生する。
請求項1において、ダンパー部材として鋼棒ダンパーを使用した場合、ダンパー部材は一端が支持部材と屋根支承部のいずれか一方に固定され、他端が他方に係合し得る状態に置かれ、支持構造の水平剛性が低い方向に一定量の相対変位を生じた後に屋根支承部、もしくは支持部材に係合し、塑性化して減衰力を発生する。
この場合、支持構造の水平剛性が低い方向に地震力が発生したとき、支持部材がいずれかの向きに屋根支承部に対して相対変位し、ダンパー部材は屋根支承部に対する相対変位可能な範囲を超えたときに屋根支承部に係合して減衰力を発生する。
支持構造の水平剛性が高い方向に地震力が発生したときには、支持部材が屋根支承部に対して相対変位しようとし、その相対変位開始時からダンパー部材が屋根支承部に係合して減衰力を発生する。
請求項2では支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向のいずれの方向にも屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容しながら、免震装置に減衰力を発生させ、支持構造の水平剛性が低い方向の水平力に対する免震装置の抵抗力を支持構造の水平剛性が高い方向の水平力に対する抵抗力より小さくすることにより、請求項1と同様に支持構造の水平剛性が低い方向には支持構造の揺れと水平力の屋根架構への伝達を低減し、水平剛性が高い方向には免震装置に水平力を負担させ、減衰力を発生させる。
請求項2の場合、支持構造の水平剛性が低い方向にも相対変位の発生開始時から減衰力発生機能が発揮され、水平力を負担するが、その方向の抵抗力が直交方向の抵抗力より小さいことで、実質的には屋根架構と支持構造間の相対変位が許容されるため、屋根架構への水平力の伝達が低減され、屋根架構への強制変形が最小限に抑制される。
また各免震装置がいずれの方向の水平力に対しても減衰力発生機能を発揮するため、支持構造が全体的に閉じた形である図2〜図4に示す場合を含め、支持構造の平面形状に関係なく、全免震装置がいずれの方向の地震力に対しても屋根架構に入力する水平力を低減する効果を発揮する。
減衰力発生機能の、支持構造の水平剛性が低い方向の水平力に対する抵抗力を支持構造の水平剛性が高い方向の水平力に対する抵抗力より小さくすることは、具体的には請求項1における同一のダンパー部材の抵抗力を方向毎に相違させる、もしくは同一種類の複数のダンパー部材の抵抗力を方向毎に相違させて使用する、または方向毎に抵抗力の相違する種類の異なる複数のダンパー部材を組み合わせて使用することにより可能になる。
請求項2の免震装置も具体的に支持構造に固定される支持部材と、支持部材上に任意の水平方向に相対変位自在に載り、屋根架構に取り付けられる屋根支承部と、支持部材と屋根支承部間に跨って設置されるダンパー部材から構成される。
ダンパー部材は支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向のいずれの方向にも相対変位の発生と共に減衰力を発生し、ダンパー部材の支持構造の水平剛性が低い方向の水平力に対する抵抗力は支持構造の水平剛性が高い方向の水平力に対する抵抗力より小さい。
請求項1、もしくは請求項2の免震装置においてダンパー部材に鋼棒ダンパーを使用した場合に、図13に示すように例えば屋根架構をサポートで支持した状態で支持構造上に構築し、構築終了後にサポートを撤去したときには、自重による屋根架構のたわみが安定するまで、屋根支承部と一体となったベースプレートが支持部材に対して支持構造の水平剛性が低い方向の支持構造の外周側へ変位を生じようとする。
その結果、サポートの撤去前の時点で図14に示すように支持構造の水平剛性が低い方向に長孔状に明けられたベースプレートの挿通孔の中央部にダンパー部材の軸が位置しているときには、安定状態に至るまでの屋根支承部の変位によって図15に示すように支持構造が屋根支承部を支持した時点でダンパー部材に変形を生じさせることになり、地震力を受けない平常状態からダンパー部材を塑性化させる可能性がある。この状態で支持構造が水平剛性の低い方向に地震力を受けたときにはダンパー部材を正常に機能させることができない。
このような事態に対し、請求項3に記載のように屋根架構の自重で屋根支承部がベースプレートと共に支持部材に対して支持構造の水平剛性が低い方向に変位を生じた状態で、ダンパー部材を屋根支承部の移動許容範囲の中央部に位置させ、屋根支承部がその方向の正負いずれの向きにも一定量の相対変位を生じた後にダンパー部材が屋根支承部に係合し得る状態に置くことにより、ダンパー部材の初期の変形と応力を回避することができ、ダンパー部材を正常に機能させることが可能になる。
請求項1では屋根架構と支持構造との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置を設置することにより、支持構造の水平剛性が低い方向には屋根架構と支持構造との間の少なくとも一定量の相対変位を生じさせるため、支持構造に入力する水平剛性の低い方向の水平力の屋根架構への伝達を低減し、屋根架構への強制変形を回避することができる。
また水平剛性が高い方向には減衰力発生機能が発揮されるまで、または発揮される間、屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容しながら、免震装置に水平力を負担させ、減衰力を発生させるため、いずれかの免震装置が屋根架構と支持構造との間の相対変位を自由にするときには、その免震装置に交差する方向を向く他のいずれかの免震装置が水平力を負担して減衰力を発生することになり、構造物全体ではいずれの方向の地震力に対しても屋根架構に入力する水平力を低減する効果が発揮される。
免震装置は支持構造の水平剛性が低い方向に、屋根架構を支持構造に対して自由に相対変位させることで、屋根架構が周辺の屋根支承部において支持構造に支持された後に自重で屋根支承部が支持構造の水平剛性が低い方向の外周側へ変位を生じるときにもその変位を自由に生じさせるため、屋根支承部を支持構造に支持させたときの屋根支承部への過大な応力の発生を回避でき、併せて免震装置は初期応力のない状態で減衰力発生機能を発揮することができる。
屋根架構を支持構造に支持させ、使用状態に置いた後に屋根架構が支持構造の水平剛性が低い方向に温度変化や積雪荷重等によって伸縮する場合にも支持構造に対する相対変位が自由であることで、屋根支承部は屋根架構の伸縮に伴い、支持構造に対して変位でき、伸縮に伴う応力の負担が回避される。
支持構造が非対称形等、任意の平面形状を持つ場合や、屋根架構の重量配分が不均一である場合等のように支持構造と屋根架構のそれぞれの偏心が大きい場合にも、ダンパー部材を適正に配置すること等により支持構造と屋根架構を含めた構造物全体での任意の方向の地震力に対する応答低減効果によって屋根架構の回転振動とそれに伴う屋根支承部の移動量の増大を抑制できる。
請求項2では支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向のいずれの方向にも屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容しながら、免震装置に水平力を負担させ、支持構造の水平剛性が低い方向の水平力に対する免震装置の抵抗力を支持構造の水平剛性が高い方向の水平力に対する抵抗力より小さくするため、請求項1と同様に支持構造の水平剛性が低い方向には支持構造の揺れと水平力の屋根架構への伝達を最小限に抑制できる。
免震装置は支持構造の水平剛性が高い方向には水平力を負担して減衰力を発生するため、構造物全体ではいずれの方向の地震力に対しても屋根架構に入力する水平力を低減する効果が得られる。
請求項3では屋根架構の自重で屋根支承部が支持部材に対して支持構造の水平剛性が低い方向に変位を生じた状態で、ダンパー部材を屋根支承部の移動許容範囲の中央部に位置させ、ダンパー部材をいずれの向きにも一定量の相対変位を生じた後にベースプレートに係合させる状態に置くため、屋根架構構築後のサポート撤去に伴う屋根支承部の水平移動によるダンパー部材の初期の変形と応力を回避することができる。
請求項1の発明は図1〜図4に示すような屋根架構1と屋根架構1を支持する支持構造3との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置4を設置した免震構造物において、免震装置4が支持構造3の水平剛性が低い方向に屋根架構1と支持構造3との間の相対変位を自由に生じさせ、水平剛性が高い方向に屋根架構1と支持構造3との間の相対変位を許容しながら、水平力を負担するものである。
支持構造3の水平剛性が低い方向とは図1中に矢印で示す、壁状に連続する場合の支持構造3の壁厚方向を指し、水平剛性が高い方向とは壁厚方向に直交する方向を指し、支持構造3の平面形状が図3に示す円形の場合や、図4に示す不整形の場合は周方向を指す。以下、支持構造3の水平剛性が低い方向をx方向、水平剛性が高い方向をy方向と言う。
図8,図9に請求項1で使用される免震装置4の具体例を示す。図8−(a) は屋根支承部2と支持構造3との接合部をy方向に見た様子を、図9はx方向に見た様子を示す。
免震装置4は支持構造3に固定される支持部材5と、支持部材5上に相対水平変位自在に重なり、屋根架構に取り付けられる屋根支承部2と、支持部材5と屋根支承部2間に跨って設置されるダンパー部材7から構成される。
図8,図9ではダンパー部材7として鋼棒ダンパーを軸を鉛直に向けて使用している関係で、ダンパー部材7の両端間距離を確保する必要から、支持部材5をダンパー部材7の下端が固定、もしくは接続される下部ベースプレート8と、下部ベースプレート8との間に鉛直方向に距離を隔てて配置され、ダンパー部材7の上端が接続、もしくは固定される受けプレート9から構成しているが、支持部材5の構成はこれに限られない。図8,図9の場合、下部ベースプレート8は支持構造3に直接的に固定され、受けプレート9は下部ベースプレート8上に接合されるリブプレート10上に接合される。
ダンパー部材7には鋼棒ダンパーを含め、鋼材を用いた鋼材ダンパー、図10に示す粘弾性体の他、オイルダンパー等の粘性ダンパー、摩擦ダンパーその他の減衰力発生装置が使用される。
屋根支承部2は屋根架構1がトラス構造の場合は図8−(a) ,図9に示すようにトラス部材11が集合する節点に位置する球継手12と、球継手12をベースプレート6に支持させるリブプレート13から構成される。屋根架構1が梁と桁、母屋等から構成される一般鉄骨構造の場合の屋根支承部2は図10,図11に示すように屋根架構1の周囲に位置する梁部材14の一部とそれをベースプレート6に支持させるリブプレート13から構成される。
ベースプレート6は受けプレート9との間にスライディング部材15を挟んで受けプレート9上に載り、両者を貫通するボルト16によって相対変位を阻害しない状態に連結される。スライディング部材15には鋼板等の両面に四フッ化エチレンシート等の低摩擦材を張り付けた板、もしくはボールやローラを用いたベアリングが使用される。ボルト16は屋根支承部2からベースプレート6に作用する引き抜き力に抵抗する役目を持つ。
図8−(b) ,(c) に示すようにベースプレート6と受けプレート9の少なくともいずれか一方には両者間の相対変位時のボルト16の変位を許容する長孔状や十文字状、もしくはボルト16の径より大きい円形状のボルト孔6a,9aが明けられる。図8はベースプレート6と受けプレート9の双方に方向の異なる長孔状のボルト孔6a,9aを形成した場合を示す。
ダンパー部材7が鋼棒ダンパーである場合、ダンパー部材7は下部ベースプレート8とベースプレート6間に跨設され、例えば下端において下部ベースプレート8に固定され、上端においてベースプレート6を貫通し、ベースプレート6に水平方向に係合可能に接続される。
図8ではダンパー部材7が曲げ変形を起こすときにダンパー部材7に軸方向引張力を作用させず、曲げモーメントのみによってダンパー部材7を降伏させるために、ベースプレート6を貫通したダンパー部材7の上端に螺合するナット7aとベースプレート6の上面との間にクリアランスを確保し、ダンパー部材7の上端をベースプレート6に相対回転変位可能に接続している。
ダンパー部材7が貫通するベースプレート6の挿通孔6bは支持構造3の水平剛性が低い方向の地震力が屋根架構1に伝達せず、屋根支承部2が支持構造3に対して自由に相対変位できるよう、x方向に長孔状に明けられる。挿通孔6bがx方向に長孔状をすることで、屋根架構1の自重や積載・積雪荷重と温度変化による屋根支承部2の相対変位が阻害されず、平常時には屋根支承部2への応力の作用が回避される。
この場合、挿通孔6bの長孔方向、すなわちx方向の屋根支承部2と支持構造3間の相対変位時には、ダンパー部材7が挿通孔6bの内周面に接触するまでダンパー部材7は機能せず、屋根架構1の伸縮が許容される。その変位を超える相対変位時にダンパー部材7が曲げ変形し、塑性化後にエネルギーを吸収する。y方向の屋根支承部2と下部構造3間の相対変位時には、相対変位の開始時からダンパー部材7が曲げ変形し、塑性化してエネルギーを吸収する。
請求項2の発明は免震装置4がx方向とy方向のいずれの方向にも屋根架構1と支持構造3との間の相対変位を許容しながら、水平力を負担し、x方向の水平力に対する免震装置4の抵抗力がy方向の水平力に対する抵抗力より小さい場合である。
図10,図11に請求項2で使用される免震装置4の構成例を示す。図10−(a) はy方向に見た屋根支承部2と支持構造3との接合部を、図11はx方向に見た接合部を示す。
免震装置4の構成は請求項1で使用される免震装置4と実質的に同一であるが、方向毎に抵抗力の相違するダンパー部材71,72はx方向とy方向のいずれの方向にも相対変位の発生と共に減衰力を発生し、x方向の水平力に対するダンパー部材71の抵抗力はy方向の水平力に対するダンパー部材72の抵抗力より小さく設定される。
図10,図11はx方向の抵抗力の小さいダンパー部材71として粘弾性体を使用し、y方向の抵抗力の大きいダンパー部材72として鋼棒ダンパーを使用した場合を示すが、x方向に減衰力発生機能を発揮するダンパー部材71の水平力に対する抵抗力がy方向に減衰力発生機能を発揮するダンパー部材72の水平力に対する抵抗力より小さければ、各方向のダンパー部材71,72のダンパーの種類は自由に選択される。
ダンパー部材7として鋼棒ダンパーを使用する場合でも、その断面性能を方向毎に変え、x方向とy方向の剛性と耐力を変えれば、単一のダンパー部材7の使用によって二方向のダンパー部材71,72として機能させることができる。
図10,図11の場合、x方向に減衰力発生機能を発揮する粘弾性体のダンパー部材71はその方向を向くリブプレート13の延長線上で支持構造3に固定される下部プレート17と、リブプレート13の両面に接合される上部プレート18,18との間に配置されて双方に接着され、リブプレート13と下部プレート17間の相対変位時に減衰力を発生する。
図12は請求項3における免震装置4の構成例を示す。この場合、ダンパー部材7には鋼棒ダンパーが使用され、ダンパー部材7は(b) に示すように、屋根架構1の自重で屋根支承部2と一体となったベースプレート6が受けプレート9に対してx方向に変位を生じ、安定したときに、更にx方向のいずれの向きにも一定量の相対変位を生じた後にベースプレート6に係合し得る状態に置かれる。
図13に実線で示すように屋根架構1に鉛直荷重が作用する前、すなわち建て方が完了して屋根架構1のサポートを撤去する直前の状態で、図14に示すようにベースプレート6の挿通孔6bを貫通するダンパー部材7の軸を挿通孔6bの中央に配置した場合、サポートを撤去したときには図13に破線で示すように屋根架構1が撓むと同時に、屋根支承部2に支持構造3の外側へ水平変位δdを生じる。
水平変位δdが挿通孔6bの長さの半分以上であれば、図15に示すようにダンパー部材7は挿通孔6bの端部に衝突し、更には図15−(b) に示すように強制的に曲げ変形を受ける。
一方、挿通孔6bの長さ方向に地震力を受けた場合にダンパー部材7が受ける水平荷重H−水平変位δの関係は、例えば図16に示すようにスリップ型とバイリニア型を合成したような履歴特性を示す。設計上、ダンパー部材7の初期状態は図16のO点にあり、δ=δd=0として地震時の解析が行われるが、地震発生以前に水平変位δdを生じ、図15−(b) のようにダンパー部材7が曲がった状態にあれば、図16のA点のように弾性限界を超えて塑性化している可能性があり、解析結果と実際の挙動が食い違い、耐震安全上、問題になる可能性もある。
この問題に対し、請求項3ではサポートを撤去したときに図12−(b) に示すようにダンパー部材7の軸が挿通孔6bの中央部に位置するよう、予め図12−(a) に示すように想定される屋根支承部2の水平変位δd分、ベースプレート6を支持構造3の内周側へずらして配置しておくことで、屋根架構1を支持構造3に支持させた初期状態でダンパー部材7に曲げ変形を生じさせる事態を防止できる。
屋根支承部2の水平変位δdが完了した状態で、ダンパー部材7の軸が挿通孔6bの中央部に位置することで、ダンパー部材7はx方向の正負のいずれの向きにも支持構造3に対して一定量の相対変位を生じた後に減衰力発生機能を発揮することができる。
図17−(a) 〜(c) は、以上の鋼棒ダンパーとそれが貫通する挿通孔を有するベースプレートを用いない免震装置4の構成例を示す。図17−(a) は免震装置4の立面図、(b) は(a) のf−f断面図である。屋根支承部2のベースプレート6と支持構造3の上面との間にはスライディング部材15が挿入され、屋根支承部2はベースプレート6において図17−(b) におけるx,y両方向共に支持構造3に対して変位可能になっている。スライディング部材15は支持構造3にアンカーボルト等によって固定されるプレート等の支持部材5の上に載せられている。
屋根支承部2のx方向の両側面には支持構造3の水平剛性が高いy方向に沿ってガイド部材20が取り付けられ、2つのガイド部材20,20の間に摺動部材21が4枚の湾曲した鋼板ダンパー73を介して両側面のガイド部材20に接続されている。摺動部材21は屋根支承部2の中央に設けた孔2aを貫通しており、摺動部材21と屋根支承部2はy方向には相対変位自由である。図17では摺動部材21の各片面に、屋根支承部2の両側にそれぞれ鋼板ダンパー73を配置し、一箇所の屋根支承部2に付き、4枚の鋼板ダンパー73,73を配置した場合を示す。鋼板ダンパー73の一端は摺動部材21に、他端はガイド部材20に接続される。
支持構造3の、摺動部材21の両先端位置には摺動部材21の先端が常に接触し、もしくはほぼ接触し、摺動部材21を屋根支承部2に対して相対変位させるストッパー22が固定される。ストッパー22の上端には屋根架構1が風や地震動により大きく浮き上ってしまわないようにする浮き上がり防止のための突出部22aが突設、もしくは形成される。
図17では突出部22aをストッパー22に一体化していることから、摺動部材21に係合し得る位置に突出部22aを配置しているが、屋根架構1の浮き上がりは屋根支承部2の浮き上がりを拘束することで防止できるため、屋根支承部2に一体化しているベースプレート6に係合し得る位置に浮き上がり防止部材を設置することもある。
図17−(c) は屋根架構1と支持構造3が地震によりy方向に相対変位を生じたときの、鋼板ダンパー73の変形状況を示す。摺動部材21はストッパー22に押し付けられることで屋根支承部2との間で相対変位を生じ、鋼板ダンパー73は塑性変形することにより地震エネルギーを吸収する。x方向には摺動部材21はストッパー22に拘束されないため、摺動部材21がストッパー22との接触面に沿って滑ることにより自由に変位する。
屋根架構1の構築後、屋根架構1が安定するまで屋根支承部2がx方向に変位した状態で、x方向のいずれの向きにも屋根支承部2を支持構造3に対して移動させる請求項3の考え方に従えば、初期状態として摺動部材21はストッパー22のx方向の中央部に位置するように配置され、摺動部材21のx方向の最大許容変位量が地震時に予測される変位量に対して十分な寸法となるように確保される。但し、万が一のために、屋根支承部2が支持構造3から脱落しないように脱落防止材を別途設けることは有意義である。
図18はダンパー機能を屋根支承部2から分離させ、摺動部材21と鋼板ダンパー73及びガイド部材20、並びにストッパー22を屋根支承部2からx方向に距離を隔てて配置した場合を示す。
屋根支承部2以外の屋根架構1の周辺にはガイド部材20が固定されるガイド取付部材30が固定され、支持構造3からは構造的に切り離される。摺動部材21はガイド取付部材30を貫通して配置され、摺動部材21とガイド部材20に鋼板ダンパー73が接続される。図18に示すダンパー分離型の免震装置4の性能は図17に示すダンパー一体型の場合と同じであるが、図18の場合は屋根支承部2の位置に関係なくダンパーを配置できる利点があり、配置上の自由度が高い。
図19は図18と同様にダンパー機能を屋根支承部2から分離させると共に、ダンパー部材7として湾曲した鋼板ダンパー73を用いた免震装置4の他の構成例を示す。
屋根架構1の梁部材14の下方には梁部材14に鉛直方向に対向する受けプレート9が配置され、鋼板ダンパー73は長孔状に閉じた形で屋根架構1の梁部材14に両端において固定され、中間部において受けプレート9に固定される。受けプレート9は下部ベースプレート8において支持構造3に固定され、受けプレート9の下端にはx方向を向く摺動部材21aが固定される。摺動部材21aはy方向両側からストッパー22,22に挟まれ、y方向の変位を拘束されながら、x方向には支持構造3に対して自由に変位する。
屋根架構1が支持構造3に対してy方向に相対水平変位を生じたときには、鋼板ダンパー73がy方向に塑性変形することにより地震エネルギーを吸収する。図19に示すタイプのダンパー部材7によれば、風等に対する屋根支承部2の浮上り防止策が別途必要となるが、装置寸法が図17,図18の場合よりもコンパクトになる利点がある。
図17〜図19に示す免震装置4の構成例によれば、ダンパー部材7としてベースプレート6の挿通孔6bを貫通する鋼棒ダンパーを使用する図8〜図16に示す免震装置4の場合のように図13に示す屋根架構1の屋根支承部2の変位に伴い、挿通孔6bの端部にダンパー部材7が押し付けられ、ダンパー部材7に過大な初期変形と初期応力を生じさせることがない。また図示するように免震装置4の構成部材の組立をボルト止めにすれば、変形した鋼板ダンパー73の取替え作業が鋼棒ダンパーを使用する場合より容易に行える。
また図17〜図19に示す免震装置4の構成例は請求項1、もしくは請求項2における免震装置4の構成例の別案とも位置付けられる。すなわち、図17〜図19では主にy方向にダンパー機能を働かせているが、スライディング部材15として摩擦抵抗のあるものを使うと、x方向にもある程度のダンピング効果が生じ、y方向には本来のダンパー機能に加えて摩擦抵抗もダンピング効果に寄与する。従って支持構造3の水平剛性が低い方向(x方向)の抵抗力が、水平剛性が高い方向(y方向)の抵抗力よりも小さい免震構造物であるので、請求項2の具体例の1つに位置付けられる。
一方、スライディング部材15として摩擦抵抗の極めて小さいものを用い、且つx方向に一定量の変位可能寸法を確保すれば、請求項1の具体例となる。
なお、図示した例ではダンパー部材7として鋼材を用いた場合を示しているが、ダンパー部材7には摩擦系や粘(弾)性系のダンパーを使用することもできる。
本発明の免震構造物の概要を示した縦断面図である。 支持構造が四角形の場合の図1のA−A線断面図である。 支持構造が円形の場合の図1のA−A線断面図である。 支持構造が不整形の場合の図1のA−A線断面図である。 地震応答解析で使用した立体架構のモデルを示した斜視図である。 屋根架構の最大応答加速度の比較を示したグラフである。 屋根支承部の水平反力の比較を示したグラフである。 (a) はトラス構造の場合の請求項1の屋根支承部と免震装置との関係を示した図2におけるy方向の立面図、(b) は(a) のa−a線断面図、(c) は(a) のb−b線断面図である。 図8−(a) の図2におけるx方向の立面図である。 (a) は一般鉄骨構造の場合の請求項2の屋根支承部と免震装置との関係を示した図2におけるy方向の立面図、(b) は(a) のc−c線断面図である。 図10−(a) の図2におけるx方向の立面図である。 (a) は屋根支承部の移動前の請求項3のダンパー部材とベースプレートとの関係を示した平面図、(b) は屋根支承部の移動後の関係を示した平面図である。 屋根支承部が屋根架構の自重で移動するときの様子を示した立面図である。 (a) は屋根支承部の移動前にダンパー部材をベースプレートの挿通孔の中央部に配置したときの様子を示した平面図、(b) は(a) のd−d線断面図である。 (a) は屋根支承部の移動後の様子を示した平面図、(b) は(a) のe−e線断面図である。 図15の場合にダンパー部材が受ける水平荷重Hと水平変位δの関係を示したグラフである。 (a) はダンパー部材として鋼板ダンパーを用いた免震装置の立面図、(b) は(a) のf−f線断面図、(c) は屋根架構と支持構造がy方向に相対水平変位を生じた状態における鋼板ダンパーの変形状態を示したf−f線断面図である。 図17に示す免震装置のダンパー部材を屋根支承部から分離させた場合を示した立面図である。 (a) は図18に示すダンパー部材の変形例を示した立面図、(b) は(a) の側面図、(c) は(a) のg−g線断面図である。 (a) ,(b) は従来の免震構造物の例を示した立面図である。 他の免震構造物の例を示した立面図である。 (a) は免震装置に、X方向にもダンパー機能がある場合とない場合の地震応答解析結果の内、屋根部材に生じた軸力の相違を示したグラフ、(b) は免震装置に、X方向にもダンパー機能がある場合とない場合の地震応答解析結果の内、屋根部材に生じたせん断力の相違を示したグラフ、(c) は免震装置に、X方向にもダンパー機能がある場合とない場合の地震応答解析結果の内、屋根部材に生じた曲げモーメントの相違を示したグラフである。
符号の説明
1……屋根架構、2……屋根支承部、2a……孔、3……支持構造、4……免震装置、5……支持部材、6……ベースプレート、6a……ボルト孔、6b……挿通孔、7,71,72……ダンパー部材、73……鋼板ダンパー、7a……ナット、8……下部ベースプレート、9……受けプレート、9a……ボルト孔、10……リブプレート、11……トラス部材、12……球継手、13……リブプレート、14……梁部材、15……スライディング部材、16……ボルト、17……下部プレート、18……上部プレート、20……ガイド部材、21……摺動部材、21a……摺動部材、22……ストッパー、30……ガイド取付け部材。

Claims (3)

  1. 屋根架構と屋根架構を支持する全体的に閉じた形の支持構造との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置を設置した免震構造物において、免震装置は支持構造に固定される支持部材と、支持部材上に任意の水平方向に相対変位自在に載り、屋根架構に取り付けられる屋根支承部と、支持部材と屋根支承部間に跨って設置されるダンパー部材から構成され、ダンパー部材は支持構造の水平剛性が低い方向には一定量の相対変位を生じた後に減衰力を発生し、支持構造の水平剛性が高い方向には相対変位の発生に伴い、減衰力を発生するように、一端が支持部材と屋根支承部のいずれか一方に固定され、他端が他方に係合し得る状態に置かれ、支持構造の水平剛性が低い方向に一定量の相対変位を生じた後に屋根支承部もしくは支持部材に係合し、塑性化して減衰力を発生する免震構造物。
  2. 屋根架構と屋根架構を支持する全体的に閉じた形の支持構造との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置を設置した免震構造物において、免震装置は支持構造に固定される支持部材と、支持部材上に任意の水平方向に相対変位自在に載り、屋根架構に取り付けられる屋根支承部と、支持部材と屋根支承部間に跨って設置されるダンパー部材から構成され、ダンパー部材は支持構造の水平剛性が低い方向と高い方向のいずれの方向にも相対変位の発生に伴って減衰力を発生し、ダンパー部材の、支持構造の水平剛性が低い方向の水平力に対する抵抗力は支持構造の水平剛性が高い方向の水平力に対する抵抗力より小さくなるように、同一のダンパー部材の抵抗力を方向毎に相違させる、もしくは同一種類の複数のダンパー部材の抵抗力を方向毎に相違させて使用する、または方向毎に抵抗力の相違する種類の異なる複数のダンパー部材を組み合わせて使用する免震構造物。
  3. 屋根架構の自重のために、屋根支承部と一体となったベースプレートが支持部材に対して支持構造の水平剛性が低い方向に変位を生じた状態で、ダンパー部材を屋根支承部の移動許容範囲の中央部に位置させ屋根支承部がその方向のいずれの向きにも一定量の相対変位を許容し得る請求項1または請求項2のいずれかに記載の免震構造物。
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