JP2005342645A - 電解水の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生体に適用前は安定で、適用後は速やかに作用する電解水の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解する電解水の製造方法に関する。アスコルビン酸リン酸塩水溶液の電解水は、スーパーオキサイドラジカルの不均化能等の特異な性質を有し、スキンケア等の各種の用途に利用できる。
1ー1価電解質である塩化ナトリウムや塩化カリウム、あるいは2ー1価電解質である塩化カルシウムや塩化マグネシウムの電解質水溶液を電極を用いて電解すると、陽イオンと陰イオンとはそれぞれ電気的に反対の極性の電極方向に泳動され、電極表面で電極反応を起して反応生成物が形成される。
一般に、電解質水溶液中の陽イオンとしてアルカリ金属を使用すると、陰極における電解水のpHは高くなってアルカリ性を示し、陽極における電解水のpHは低くなって酸性を示す。
電解質として、水溶性の無機塩を用いる電解質水溶液の電解は良く知られている。また、電解質としてアスコルビン酸やアスコルビルグルコサミン等の水溶性の有機化合物を用いる電解質水溶液の電解もすでに知られている(例えば、特許文献1、2)。アスコルビン酸の水溶液の電解においては、陽極側で生成する電解水をスキンケア等の目的で皮膚に塗布している。
電解質が水溶性の無機塩であろうと、水溶性の有機酸であろうと、電解質水溶液を電解すると、水が陽極では酸化されてプロトンと酸素ガスとが生成され、陰極では水酸イオンと水素ガスとが生成される。この際、微弱ながら水の解離が高まり、水に溶解した溶質の解離も高まる。
アスコルビン酸の誘導体には、アスコルビン酸のリン酸エステル金属塩、アスコルビン酸と糖とのエステル化合物、アスコルビン酸エチルエステル等がある。これらの誘導体は水溶性である。これらを電解することなく、単に水に溶解したのものが化粧水として、近年使用されている。
上記アスコルビン酸の誘導体は、それ自身は水に溶解した状態で抗酸化力を殆ど示さず、化粧水として使用されて生体内に浸透した後、生体内の還元酵素によりアスコルビン酸に還元されて、抗酸化作用を示す。
特開2001−347269号公報(請求項1)
特開2002−301476号公報(請求項1)
本発明者は、無機電解質水溶液を電解して得られる電解水をスキンケア等の各種用途に展開する研究過程において、アスコルビン酸水溶液を電解して得られる陽極電解水がスーパーオキサイドラジカルの不均化能等の有効な性質を有し、これらの性質がスキンケア等に有効であることを見出した。これらの性質を更に高める研究において、本発明者はアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電解する方法に想到した。
Lーアスコルビン酸は水に溶けると自動酸化が起り、酸化的雰囲気中では不安定である。これに対し、アスコルビン酸リン酸塩は極めて安定であり、取り扱い易い利点がある。
水溶性のアスコルビン酸リン酸塩は、皮膚層に形成されているバリヤー層を比較的容易に透過できる。その理由は、リン酸エステル化合物であるため、バリヤー層を形成するリン脂質膜と比較的相溶性が高く、また脂溶性に近づくためLーアスコルビン酸よりもバリヤー層を透過して生体内に浸透しやすいと考えられる。更に、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電解することにより、アルカリ金属イオンとアスコルビン酸リン酸イオンの水に対する解離が増加し、生体内に浸透してからのスーパーオキサイドラジカルの不均化反応性を高めることが期待できる。
アスコルビン酸リン酸塩はLーアスコルビン酸にエステル結合したリン酸に基づくアスコルビン酸リン酸イオンと、アルカリ金属であるカリウム、ナトリウムイオンやアルカリ土類金属であるマグネシウム等との塩である。これが水に溶けるとイオンの解離が起り一定の解離平衡を保持する。この解離は単純な電解質である塩化マグネシウムや塩化ナトリウムとは異なり、一般的には解離の割合は低い。
アスコルビン酸リン酸塩自身は、抗酸化作用を直接示すことはない。本来のビタミンCである還元型Lーアスコルビン酸として生体内で作用させるためには、アスコルビン酸リン酸塩にプロトンである水素イオンを付加させてその2位と3位をOH型に還元する必要がある。生体内にはこれらの還元反応を誘導する酵素が存在している。このため、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液の電解水が皮膚に適用されるまでは、アスコルビン酸リン酸塩として安定に存在し、適用後は生体内に浸透して着実に還元型のアスコルビン酸となる。従って、生体内においては還元型のビタミンCとしてスーパーオキサイドラジカル等の活性酸素を打ち消す働きを効率よく行わせることができ、生体内に移行する前に分解等を起すことが防止される。
更に、アスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸とを溶解している混合水を電解して混合電解水を得、これを生体皮膚に適用する場合は、アスコルビン酸誘導体は生体内の酵素により還元型のアスコルビン酸(ビタミンC)にゆっくりと還元され、持続的に抗酸化作用を発揮するが、直接的に抗酸化作用を発揮させるアスコルビン酸と併用することで、直接効果と持続的効果を同時に保持させることができる。
更に、これらのアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電解すると陽極側では、水が酸化されて溶存酸素が生成されるが、アスコルビン酸リン酸イオンが陽極で生成される水素イオンと反応し、アスコルビン酸リン酸となり、酸素を消費する。しかし、全酸素を消費するわけではないので、溶存酸素濃度は原水溶液の溶存酸素濃度よりも高くなる。増加した溶存酸素は酸素分子同士のクラスターが極めて小さいため、その濃度は極低濃度ではあるが活性が高い。このため、この溶存酸素を含む電解水を皮膚に適用する場合は、皮膚層内にある顆粒球を活性の高い酸素が刺激することにより生態防御システムの働きを活発にさせ、皮膚に外傷がある場合、肉芽形成が促進され、傷がより早く直る。
陰極側においては、水が還元され、溶存水素が生成する。このため、原水溶液中に溶存する酸素濃度が低くなり、陰極電解水そのものが還元的雰囲気におかれ、酸化されにくくなり、抗酸化的な傾向が強くなる。
アスコルビン酸リン酸塩の水溶液の陽極電解水と陰極電解水との混合電解水は酸性成分と塩基性成分の中和反応は起るものの、陽極電解水と陰極電解水とが共存し、両性質を具備させることができる。
本発明による電解ビタミンC誘導体水溶液を肌特に顔面に塗布した場合ビタミンC(Lーアスコルビン酸)と異なりほとんど刺激なく抵抗なく使用できるという大きな利点がある。
顔や首などの肌に直接塗布した場合、ビタミンC単独よりも肌への刺激性がひじょうに少なく、使用し易い。
また本発明による電解ビタミンC誘導体水溶液とビタミンCを混合して使用することもでき、混合して用いた場合、陰極側電解生成液のpHを低く抑えることができるという利点もある。
本発明者は、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電解して得られる電解水の有する上記利点に気が付き、本発明に想到したものである。
本発明においては、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電解することにより、溶媒である水自身が電解を通してプロトンと水酸イオンの解離を増加させ、更にプロトンと水酸イオンの解離を増加させることにより、解離の低い溶質の解離を多少増加させる。更に、解離を高めることにより脂溶性の皮膚となじませ、その結果皮膚への浸透性を高めさせるようにする現象を利用するものである。一般に解離の増加した水は浸透性が高く、疎水性物質を溶かしやすくする性質があり、このような水の特性を利用した技術である。
本発明の目的とするところは、高いスーパーオキサイドラジカルの不均化能等の性質を有する、スキンケア等の用途に利用できる、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液の電解水の製造方法を提供することにある。
上記問題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す電解水の製造方法。
〔2〕 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸との水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す電解水の製造方法。
〔3〕 陽極及び陰極の間に、隔膜を設けて電気分解をする〔1〕又は〔2〕に記載の電解水の製造方法。
〔4〕 アスコルビン酸リン酸塩がアスコルビン酸リン酸ナトリウム又はアスコルビン酸リン酸マグネシウムである〔1〕又は〔2〕に記載の電解水の製造方法。
〔5〕 水溶液中の無機イオン濃度が、アスコルビン酸リン酸塩に由来する無機金属イオンを除いて、0.1mM以下である〔1〕に記載の電解水の製造方法。
〔6〕 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解し、生成する陽極水と陰極水とを混合することにより、溶存酸素及び溶存水素を含有する混合電解水を取出す電解水の製造方法。
〔7〕 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸との水溶液を電気分解し、生成する陽極水と陰極水とを混合することにより、溶存酸素及び溶存水素を含有する混合電解水を取出す電解水の製造方法。
〔8〕 陽極及び陰極の間に、隔膜を設けないで電気分解をする〔6〕又は〔7〕に記載の電解水の製造方法。
〔9〕 アスコルビン酸リン酸塩がアスコルビン酸リン酸ナトリウム又はアスコルビン酸リン酸マグネシウムである〔6〕又は〔7〕に記載の電解水の製造方法。
〔10〕 電極に交流を印加して電気分解を行う〔6〕又は〔7〕に記載の電解水の製造方法。
〔11〕 水溶液中の無機塩濃度が、アスコルビン酸リン酸塩に由来する無機金属イオンを除いて、0.1mM以下である〔6〕又は〔7〕に記載の電解水の製造方法。
〔12〕 〔1〕乃至〔11〕の何れかの製造方法により製造したスーパーオキサイドラジカルに対する不均化能を有する電解水。
〔13〕 〔2〕又は〔7〕の電解水の製造方法に使用する、アスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸とを溶解してなる電解水製造用混合水溶液。
水溶性ビタミンC誘導体であるアスコルビン酸リン酸ナトリウムあるいはアスコルビン酸リン酸マグネシウム塩等のアスコルビン酸リン酸塩の水溶液は、一般的なビタミンC、即ちL−アスコルビン酸と比較してきわめて安定である。このアスコルビン酸リン酸塩自身は常温では酸化しにくく、エステラーゼによる酵素反応によってアスコルビン酸に変化させられない限り、スーパーオキサイドラジカルや他のラジカルを不均化し、消去することはない。
本発明においては、電解を通して電極反応により、電解水にスーパーオキサイドラジカルの消去活性を付与し、更に生体内に吸収された時点で生体内に多量に存在するエステラーゼによりアスコルビン酸が直ちに生成され、この生成したアスコルビン酸の抗酸化作用を直接利用できる様にするものである。即ち、アスコルビン酸が本来もっている持続的抗酸化作用を生体に吸収された時点から直ちに発揮させることが可能になる。
更に、水そのものが電解され、陽極電解水中には化学活性の高い溶存酸素が生成される。従って、この電解水を生体に適用することにより、生体防御システムに積極的に働きかけて、皮膚表面の傷などの損傷を、早く綺麗に修復できる。
陰極電解水は電解を経ることにより、酸化還元電位(ORP)が電解前の電解用原水溶液より下がるため、還元的雰囲気が形成され、酸化されにくい条件を創出している。また電解により溶媒である水の解離を向上させ、溶質であるアスコルビン酸リン酸塩の解離を相乗的に向上させるので、アスコルビン酸リン酸塩の生体内への吸収が促進されることが十分期待できる。
陽極電解水及び陰極電解水は、それぞれ目的に応じて使い分けをすることが可能であり、更に両電解水を混合して両方の特性を共存させたものを生体に適用しても良い。
本発明のアスコルビン酸リン酸塩水溶液を電解する電解水の製造方法に用いる電解装置は特に制限が無く、従来用いられている電解水製造装置の何れもが使用できる。即ち、電解装置の大きさ、電解槽中に隔膜の有無等に関係なく何れの形式のものでも利用できる。
図1は、本発明の電解水の製造に用いる電解装置の一例を示す概略図である。
図1中、2は電解用原水溶液タンクで、その内部には電解用原水溶液4が貯留されている。
電解用原水溶液4は、アスコルビン酸リン酸塩の水溶液又はアスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸との水溶液である。
アスコルビン酸リン酸塩の化学構造を式(1)に示す。
アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムが好ましく、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが好ましい。
式(2)にアスコルビン酸リン酸ナトリウムを、式(3)にアスコルビン酸リン酸マグネシウムを示す。
電解用原水溶液4に溶解するアスコルビン酸リン酸塩は、単一種のアスコルビン酸リン酸塩であっても、複数のアスコルビン酸リン酸塩の混合物であっても良い。複数のアスコルビン酸リン酸塩を混合して電解用原水溶液4を調製する場合は、複数のアスコルビン酸リン酸塩の合計濃度が、上記濃度範囲になるようにすることが好ましい。
上記電解用原水溶液4には、アスコルビン酸リン酸塩以外の水溶性無機電解質を実質的に含有していないことが望ましい。水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、アンモニウム塩等の各種無機塩が例示できる。水溶性無機電解質の含有量は、各水溶性無機電解質の合計で0.1mM以下であることが好ましく、特に0.02mM以下であることが望ましい。
上記アスコルビン酸リン酸塩水溶液にはアスコルビン酸を混合しても良い。アスコルビン酸の混合濃度は50mM以下が好ましく、10〜30mMがより好ましい。
このような電解用原水溶液4の調製方法としては、蒸留水や、脱イオン水等の精製水(純水)に、アスコルビン酸リン酸塩及び/又はアスコルビン酸を上記濃度範囲に溶解する方法が例示される。
6は原水溶液供給管8に介装されたポンプで、このポンプ6を作動させることによりにより、原水溶液4は供給管8を通って電解槽10に送られる。
前記電解槽10は、所定間隔離れて互いに対向する陽極12と陰極14と、前記両極間に両極と離間して配設された隔膜16とを有し、前記陽極12と隔膜16との間に陽極室18が、また前記陰極14と隔膜16との間に陰極室20が形成されている。
前記陽極12、陰極14は電気化学的に不活性な金属材料で形成されている。電極材料としては、白金、白金合金等が好ましい。
隔膜16は陽極室18内の陽極側電解水と陰極室14内の陰極側電解水とが混合することを防止する役割を果すものであり、かつ電解電流が伝わる材料で構成されている。隔膜としては、イオン交換膜や、無電荷膜等、電解隔膜として従来電解装置に使用されているものが適宜使用できる。
前記供給管8は、電解槽10の上流側で分岐され、それぞれの分岐管8a、8bが前記陽極室18、陰極室20に連結されている。
22は電解電源で、そのプラス端子は陽極12に、マイナス端子は陰極14に接続されている。
前記供給管8a、8bを通って陽極室18、陰極室20に送られた電解用原水溶液は、ここで電気分解される。電解電流密度は、0.003〜0.03A/cm2が好ましく、0.01〜0.02A/cm2が特に好ましい。電解電流密度が0.003A/cm2未満の場合は、陽極室から流出する陽極電解水中の溶存酸素量を電解用原水溶液よりも高くすることができず、また陰極室から流出する陰極電解水中の溶存水素量を電解用原水溶液よりも高くすることができない。
また電解電流密度が0.03A/cm2を超える場合は、電流値に比例して陽極電解水及び陰極電解水の生成量が増加しない。
従って、上記範囲内に電解電流密度を制御することにより、陽極室から流出する陽極電解水中の溶存酸素量を電解用原水溶液以上、好ましくは0.2〜0.5mg/l、より好ましくは0.3〜0.4mg/lとすることができる。また、陰極室から流出する陰極電解水中の溶存水素量を電解用原水溶液以上、好ましくは0.2〜0.5mg/l、より好ましくは0.3〜0.4mg/lとすることができる。
上記のようにして電解されて生成した陽極電解水は陽極電解水取出し管24を通って外部に取出される。また、同様に陰極側電解水は陰極電解水取出し管26を通って外部に取出される。
なお、上記電解槽10は前述のように、その内部に隔膜が設けられた構造のものであるが、これに限られず、隔膜の設けられていない無隔膜構造の電解槽も好適に使用できる。
このような無隔膜構造の電解槽としては、陽極板と陰極板との間に隔膜を介在させることなく両極板を近接して配置し、前記陰、陽の両極板間に電解用原水溶液を連続的に供給すると共に電解し、陽極の下流側で陽極表面近傍の陽極電解水を連続的に取出すようにする構造のものが挙げられる。具体的には、特開平6−246272号公報に示される電解槽等が例示される。陰極電解水を取出すには、電極の極性を反対にすればよい。
本発明の電解水の製造方法においては、原水溶液の電解により原水溶液よりも酸化還元電位が30mV以上大きい、好ましくは50〜150mV大きい陽極電解水を得るものである。また同様に、原水溶液の電解により原水溶液よりも酸化還元電位が60mV以上小さい、好ましくは100〜150mV小さい陰極電解水を得るものである。
これらの電解水は、スーパーオキサイドラジカルの不均化作用を持つものである。不均化作用に関しては、後述する実施例により説明する。
上記説明においては、電解用原水溶液を電解槽に連続的に供給しながら電解を行ったが、これに限られず、電解用原水溶液を予め電解槽に入れた後、電解用原水溶液を更に供給することなく電解を行っても良い(いわゆるバッチ式電解方法)。
また更に、隔膜を備えていない電解槽を用いて電解し、得られる陽極電解水と陰極電解水とを混合することにより、溶存酸素と溶存水素とを含有する混合電解水を製造しても良い。この場合、電極間距離を短くすることにより効率よく両電解水を混合できる。電極間距離としては0.5cm以下が好ましく、0.3cm以下がより好ましい。又、隔膜を備えた電解槽で電解し、得られる両電解水を電解槽外で混合するようにしても良い。
更に、両電極に印加する電力の極性を切替えることにより、両電解水を効率よく混合できる。極性の切替え間隔は、1回/分〜100回/分が好ましい。
実施例1
アスコルビン酸リン酸マグネシウムを比抵抗0.4 μS/cmの純水に溶解して10mMの電解用原水溶液を調製した。用いた電解槽は内容積2Lで、有効膜面積が100cm2の中性膜(日本ゴアテックス製 製品名SGT−010−135−1)で電解槽内部を2分割してあった。チタン金属に白金をコーティングした有効面積100cm2の2枚の電極を中性膜を介して配置した。電極間距離は、2mmであった。
アスコルビン酸リン酸マグネシウムを比抵抗0.4 μS/cmの純水に溶解して10mMの電解用原水溶液を調製した。用いた電解槽は内容積2Lで、有効膜面積が100cm2の中性膜(日本ゴアテックス製 製品名SGT−010−135−1)で電解槽内部を2分割してあった。チタン金属に白金をコーティングした有効面積100cm2の2枚の電極を中性膜を介して配置した。電極間距離は、2mmであった。
陰極室、陽極室にそれぞれ750mLづつ上記電解用原水溶液を満たし、直流電源を用いて電流密度6mA/cm2で5分間電解した(バッチ式)。陽極電解水、陰極電解水をそれぞれ750ml得た。得られた両電解水のpH、ORP(酸化還元電位)、DO(溶存酸素濃度)、EC(電気伝導度)、SOD様活性(スーパーオキサイドラジカルの不均化能)を測定し、スーパーオキサイドラジカルの阻害率を算出した。
SOD様活性は、テトラゾリウム塩を用いる市販のSOD Assay KitーWST(株式会社同人科学研究所製)を用いて、吸光度測定を利用するマイクロプレートリーダーにて測定し、スーパーオキサイドラジカルの阻害率を算出した。それぞれの測定、算出結果を表1および図2に示した。
図1に示す電解装置を用いて電解を行った。アスコルビン酸リン酸ナトリウムを比抵抗0.4 μS/cmの純水に溶解して5mMの電解用原水溶液を調製した。有効膜面積が100cm2の中性膜(日本ゴアテックス製 製品名 SGT−010−135−1)を介してチタン金属に白金をコーティングした有効面積100cm2の電極を2mm離して配置した電解槽を用いた。電解槽に上記電解用原水溶液1000ml/分で連続的に供給し、直流電源を用いて電流密度15mA/cm2で電解した。陽極電解水、陰極電解水をそれぞれ750ml得た。得られた両電解水のpH、ORP(酸化還元電位)、DO(溶存酸素濃度)、EC(電気伝導度)、SOD様活性(スーパーオキサイドラジカルの不均化能)を測定した。
SOD様活性は、テトラゾリウム塩を用いる市販のSOD Assay KitーWST(株式会社同人科学研究所製)を用いて、吸光度測定を利用するマイクロプレートリーダーにて測定し、スーパーオキサイドラジカルの阻害率を算出した。それぞれの測定、算出結果を表3および図4に示した。
それぞれの測定結果を表5および図6に示した。図6で示したスーパーオキサイドラジカルの阻害率が100%になっているのは、20mM濃度のアスコルビン酸が溶存しているためである。
アスコルビン酸リン酸ナトリウムの0.1mM水溶液5mlを試験管に入れ14日間放置した。その後、アスコルビン酸リン酸ナトリウムの濃度を測定した。アスコルビン酸リン酸ナトリウムの濃度に変化はなかった。
比較試験例1
アスコルビン酸の0.1mM水溶液5mlを試験管に入れ14日間放置した。その後、アスコルビン酸の濃度を測定した。アスコルビン酸の濃度は自動酸化して0.05mMに変化していた。
アスコルビン酸の0.1mM水溶液5mlを試験管に入れ14日間放置した。その後、アスコルビン酸の濃度を測定した。アスコルビン酸の濃度は自動酸化して0.05mMに変化していた。
2 電解用原水溶液タンク
4 電解用原水溶液
6 ポンプ
8 原水溶液供給管
10 電解槽
12 陽極
14 陰極
16 隔膜
18 陽極室
20 陰極室
22 電解電源
4 電解用原水溶液
6 ポンプ
8 原水溶液供給管
10 電解槽
12 陽極
14 陰極
16 隔膜
18 陽極室
20 陰極室
22 電解電源
Claims (13)
- 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す電解水の製造方法。
- 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸との水溶液を電気分解することにより、陽極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも高く溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも高い陽極電解水、及び/又は陰極側から酸化還元電位が電気分解前の原水溶液よりも低く、溶存酸素濃度が電気分解前の原水溶液よりも低い陰極電解水を取出す電解水の製造方法。
- 陽極及び陰極の間に、隔膜を設けて電気分解をする請求項1又は2に記載の電解水の製造方法。
- アスコルビン酸リン酸塩がアスコルビン酸リン酸ナトリウム又はアスコルビン酸リン酸マグネシウムである請求項1又は2に記載の電解水の製造方法。
- 水溶液中の無機イオン濃度が、アスコルビン酸リン酸塩に由来する無機金属イオンを除いて、0.1mM以下である請求項1に記載の電解水の製造方法。
- 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩の水溶液を電気分解し、生成する陽極水と陰極水とを混合することにより、溶存酸素及び溶存水素を含有する混合電解水を取出す電解水の製造方法。
- 少なくとも1対の電極を用いてアスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸との水溶液を電気分解し、生成する陽極水と陰極水とを混合することにより、溶存酸素及び溶存水素を含有する混合電解水を取出す電解水の製造方法。
- 陽極及び陰極の間に、隔膜を設けないで電気分解をする請求項6又は7に記載の電解水の製造方法。
- アスコルビン酸リン酸塩がアスコルビン酸リン酸ナトリウム又はアスコルビン酸リン酸マグネシウムである請求項6又は7に記載の電解水の製造方法。
- 電極に交流を印加して電気分解を行う請求項6又は7に記載の電解水の製造方法。
- 水溶液中の無機塩濃度が、アスコルビン酸リン酸塩に由来する無機金属イオンを除いて、0.1mM以下である請求項6又は7に記載の電解水の製造方法。
- 請求項1乃至11の何れかの製造方法により製造したスーパーオキサイドラジカルに対する不均化能を有する電解水。
- 請求項2又は請求項7の電解水の製造方法に使用する、アスコルビン酸リン酸塩とアスコルビン酸とを溶解してなる電解水製造用混合水溶液。
Priority Applications (1)
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JP2014200778A (ja) * | 2013-04-10 | 2014-10-27 | 至明 松尾 | 抗酸化飲料水 |
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2004
- 2004-06-04 JP JP2004166787A patent/JP2005342645A/ja active Pending
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