JP2005341442A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】利得切り替えを行うことなく送信電力をほぼ一定に保つことを可能とするプリアンブル構成を用いた無線通信装置を提供する。
【解決手段】複数のアンテナからデータ(DATA)を送信する前に、異なるサブキャリア配置を有する時間的に連続する複数の既知シンボル(LP1,LP2)を含み、かつ異なるアンテナから同時に送信される既知シンボル間でも異なるサブキャリア配置をそれぞれ有する複数の既知シンボル列を複数のアンテナから送信する。
【選択図】 図2

Description

本発明は無線通信装置、特に複数のアンテナ及び複数のサブキャリアを用いて通信を行う高速無線LANに有用ないわゆるMIMO−OFDM無線通信装置に関する。
従来の無線LAN、例えばIEEE 802.11aにおいては、データ信号の前に既知シンボル(ショートプリアンブル及びロングプリアンブル)を送信して同期処理や伝送路推定を行っている。これらのプリアンブルを用いることで、後続するシグナル部分やデータ部分の復調を行うことができる。
一方、最近 IEEE 802.11nという高速無線LAN規格の制定が進められている。IEEE 802.11nでは、MAC層で100Mbpsという伝送速度を達成するために、複数のアンテナを用いるMIMO(Multi-Input Multi-Output)が前提とされている。MIMO技術では、複数の送信アンテナから各受信アンテナまでの伝送路応答を測定するために、プリアンブルによってて既知シンボルを複数の送信アンテナから送信する必要がある。
非特許文献1で提案されたプリアンブル信号案によると、まず一つの送信アンテナから時間同期、周波数同期及びAGCに用いるショートプリアンブル列、伝送路応答推定用のシンボルを含むロングプリアンブル、及びシグナルフィールドを送信した後、他の送信アンテナから伝送路応答推定用のロングプリアンブルを順に送信する。このようにしてプリアンブル信号の送信が終了した後に、複数の送信アンテナからデータを同時に送信する。すなわち、複数の送信アンテナから伝送路応答用のロングプリアンブルを時分割多重によって送信する。
Jan Boer他2名"Backwards compatibility"、[online]、平成15年9月、IEEE LMSC(発行元)、[平成15年9月15日検索]、インターネット<URL:ftp://ieee:wireless@ftp.802wirelessworld.com/11/03/11-03-0714-00-000n-backwards-compatibility.ppt>
非特許文献1の技術では、複数の送信アンテナから伝送路推定用の既知シンボルを含むロングプリアンブルを時分割多重により送信するため、ロングプリアンブルの一回当たりの送信には単一のアンテナが用いられる。一方、プリアンブルに続くデータシンボルの送信には複数のアンテナが同時に使用される。
無線通信装置においては、送信機の送信電力は時間的に一定であることが望まれる。しかし、上記のように既知シンボル送信時とデータシンボルの送信時とで使用するアンテナの数が異なると、送信電力を一定に保つには電力増幅器の利得を既知シンボルの送信時にはデータシンボルの送信時より大きくする必要がある。すなわち、送信中に電力増幅器の利得を頻繁に切り替える必要がある。従って、利得切り替えによって電力増幅器及びその制御系に負担が掛かったり、スループットが低下するという問題がある。
一方、受信機においては送信に用いるアンテナの数が変化することに伴い受信信号の電力が大きく変動すると、受信信号をディジタル信号に変換するA/D変換器の入力信号レベルをA/D変換器のダイナミックレンジ内に制御するためのAGC(自動利得制御)が困難となる。
本発明の目的は、利得切り替えを行うことなく送信電力をほぼ一定に保つことを可能とするプリアンブル構成を用いた無線通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、既知シンボルによる正確な伝送路推定を可能とすることにある。
本発明のさらに別の目的は、プリアンブルに余分な情報を付加することなく、送信に使用されたアンテナの数を受信側で容易に推定可能としてデータシンボルの正しい復調を可能とすることにある。
本発明の第1の観点によると、複数のアンテナと;異なるサブキャリア配置を有する時間的に連続する複数の既知シンボルを含み、かつ異なるアンテナから同時に送信される既知シンボル間でも異なるサブキャリア配置をそれぞれ有する複数の既知シンボル列を前記複数のアンテナをそれぞれ用いて送信する既知シンボル送信手段と;前記既知シンボル列の送信後に前記複数のアンテナを用いてデータシンボルを送信するデータシンボル送信手段とを具備する無線通信装置を提供する。
本発明の第2の観点によると、複数のアンテナによって送信される、異なるサブキャリア配置を有する時間的に連続する複数の既知シンボルを含み、かつ異なるアンテナから同時に送信される既知シンボル間でも異なるサブキャリア配置をそれぞれ有する複数の既知シンボル列及び該既知シンボル列より後のデータシンボルを受信する受信手段と;受信した既知シンボル列から伝送路推定値を求める手段;前記伝送路推定値を用いて前記データシンボルを再生する手段とを具備する無線通信装置を提供する。
本発明によれば、全てのアンテナから同時に既知シンボルが送信されるため、電力増幅器の利得切り替えを頻繁に行うことなく送信電力を一定に保つことができる。また、アンテナ間では既知シンボルが同時に異なる波形として送信されるため、複数のアンテナから同一の波形を送信する場合に生じるNULL(指向性の零点)が形成されることがなく、受信機において既知シンボルを正しく受信することができる。さらに、送信機においてアンテナ間で異なるサブキャリア配置(割り当て)を行っているため互いに直交性があり、アンテナ毎の正確な伝送路推定が可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の幾つかの実施形態について詳細に説明する。各実施形態に従う無線通信システムは、例えば少なくとも一つの基地局装置と少なくとも一つの端末装置を含む無線LANあるいは移動通信システム(セルラーシステム)に適用され得る。以下の説明では、基地局装置あるいは端末装置などの無線通信装置に含まれる送信機及び受信機について述べる。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて本発明の第1の実施形態に係る送信機について説明する。図1は送信機の物理層であり、ここに上位層から送信すべきデータ(ビット列)10がある送信単位(例えば、フレームもしくはパケット)毎に入力される。入力されるデータ10は、符号化器11により例えば誤り訂正符号化が施され、符号化ビット系列が生成される。符号化ビット系列は、直並列変換器(S/P)12によって直並列変換されることにより、複数のストリームに分割される。各ストリームは変調器13−1〜13Mによって複素平面上にマッピングされ、変調されたデータシンボルが生成される。
変調されたデータシンボルは、OFDM(直交周波数分割多重)の各サブキャリアに乗せて伝送されるように、直並列変換器(S/P)14−1〜14Mによって直並列変換され、さらに逆高速フーリエ変換(IFFT)ユニット18−1〜18−Mにより周波数軸上の信号から時間波形に変換される。時間波形に変換されたIFFTユニット18−1〜18−Mからの出力信号は、送信回路19に入力される。
送信回路19において、IFFTユニット18−1〜18−Mの出力信号はガードインターバル(GI)が付加された後、D/A変換器によってアナログ信号に変換される。D/A変換器の出力信号は、周波数変換器によってRF(高周波)帯に周波数変換(アップコンバート)され、電力増幅器を介して送信アンテナ20−1〜20−Mに供給されることにより、送信アンテナ20−1〜20−Mから通信相手の無線通信装置へOFDM信号が送信される。
このようにしてデータシンボルがOFDM信号として送信される前に、プリアンブルが送信される。以下、プリアンブルの特に伝送路推定用の既知シンボルの送信系について説明する。
既知シンボルパターン発生器15は例えばROMであり、複数の既知シンボルパターンを格納している。既知シンボルは、それぞれOFDMの予め割り当てられた複数のサブキャリアの幾つかに情報が乗せられて送信される。既知シンボルパターンとは、既知シンボルの情報をどのサブキャリアに乗せるかを示すパターンである。図1の例では、ROMに周波数軸上の既知シンボルパターンが格納されている。
既知シンボルの送信時には、既知シンボルパターン発生器15のROMに格納された複数の既知シンボルパターンがカウンタ16からの信号に従って、既知シンボルが送信されるべきタイミングで順次読み出される。カウンタ16は時間測定用であり、時々刻々と変化するカウント値を出力する。
この例のようにROMに周波数軸上の既知シンボルパターンが格納されている場合、読み出された既知シンボルパターンはセレクタ17を介してIFFTユニット18−1〜18−Mに入力され、時間波形に変換された後、送信回路19に導かれる。ROMに時間波形の既知パターンが格納されている場合は、読み出された既知シンボルはIFFTユニット18−1〜18−Mをバイパスして送信回路19に導かれる。
既知シンボルは、一つのアンテナ当たり複数回にわたって送信される。セレクタ17は、複数回送信される既知シンボルの送信順番に合わせて、既知シンボル発生器15のROMから読み出された既知シンボルパターンを適切な送信アンテナから送信されるように振り分ける操作を行う。すなわち、セレクタ17はカウンタ16からの時刻情報を示すカウント値に従って、既知シンボルパターンを各送信アンテナ20−1〜20−Mに振り分ける。なお、無線LANのプリアンブルに含まれるショートプリアンブルとロングプリアンブルのように複数種類の既知シンボルが存在する場合、カウンタ16及びセレクタ17はこれら複数種類の既知シンボルパターンをROMから切り替えて読み出す。
Figure 2005341442
表1にセレクタ16の詳細な動作例が示されるように、セレクタ16は各送信アンテナから送信される既知シンボルがどのようなパターン(既知シンボルパターン)を持つかを示している。なお、表1では簡単のため図1中の送信アンテナ30−1〜30−Mをアンテナ1〜Mと記載している。
表1によるとシンボル1,シンボル2,…,シンボルM−1,〜シンボルMのM個の既知シンボルは、例えばアンテナ1からはパターン1,パターン2,…,パターンM−1,パターンMが順に送信される。アンテナ2からは、既知シンボルとしてアンテナ1から送信される既知シンボルに対して1パターン分だけ位相をずらせたパターン2,パターン3,…,パターンM,パターン1が順に送信される。以下、同様にしてアンテナMからは既知シンボルとしてパターンM,パターン1,…,パターンM−1が順に送信される。
一方、後述する受信機においては、各送信アンテナから同時に送信される既知シンボルをMシンボル分受け取った時点で、全てのサブキャリアに対応する伝送路推定値を求めることができる。
次に、図2を用いて伝送路推定用の既知シンボルの送信方法の一例を詳しく説明する。図2(a)(b)(c)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が2の場合、3の場合及び4の場合のプリアンブルを含む無線フレームの構造を示している。第1の実施形態においては、無線LANのようにデータDATAに先立って同期用のショートプリアンブルSP、伝送路推定用のロングプリアンブルLPを送信するシステムを仮定している。ここで、ショートプリアンブルSPの構成は特に限定されるものではなく、例えばIEEE 802.11aと同様のものを複数の送信アンテナから送信してもよい。
既知シンボルは、MIMO通信の際に伝送路応答の推定に用いられ、無線LANでは図2(a)(b)(c)中のロングプリアンブルLPに相当する。図2(a)(b)(c)においては、各送信アンテナから送信されるロングプリアンブルLPが周波数分割多重されている。ここで、送信アンテナの数をM、OFDMのサブキャリアの数をNとし、N/Mが余りなく割り切れるとした場合、次式(1)のサブキャリア(N個のサブキャリアの番号を0番目からN−1番目と定義する)に既知シンボルの情報が存在し、他のサブキャリアには情報が存在しないものとする。
(Mk+m+i) mod N (1)
ここで、m=0,2,…,M−1はアンテナ番号、i=0,1,2,…は既知シンボルの時間方向における番号であり、またk=0,1,…,(N/M−1)である。例えば、図2(a)(b)(c)に示される例においては、サブキャリア数が12(N=12)を仮定しており、アンテナ数が2(M=2)の場合、式(1)より各アンテナ1,2からそれぞれ送信される2つの既知シンボルにおいて情報が存在するサブキャリアの位置は以下の通りとなる。
・アンテナ1:1番目の既知シンボル:{0,2,4,6,8,10}番目のサブキャリア;
・アンテナ1:2番目の既知シンボル:{1,3,5,7,9,11}番目のサブキャリア;
・アンテナ2:1番目の既知シンボル:{1,3,5,7,9,11}番目のサブキャリア;
・アンテナ2:2番目の既知シンボル:{0,2,4,6,8,10}番目のサブキャリア。
図2(a)(b)(c)においては、プリアンブルの構造は時間的に表されているが、便宜上、ロングプリアンブルLPについては、各アンテナで用いられているサブキャリアが異なる様子を併せて表している。ここで、既知シンボルのパターンLP(M,n)(Mは送信アンテナ数、nはパターン番号)とすると、図2(a)(アンテナ数Mが2)の場合、既知シンボルパターンは各アンテナ1,2から以下のように送信される。
・アンテナ1: LP(2,1), LP(2,2) の順に送信;
・アンテナ2: LP(2,2), LP(2,1) の順に送信;
この場合、後述する受信機ではアンテナ1から送信される既知シンボルのうち第1シンボルの奇数番目のサブキャリアを取り出し、同じく第2シンボルの偶数番目のサブキャリアを取り出すことにより、アンテナ1からの全てのサブキャリアに対応する伝送路推定値を求めることができる。一方、アンテナ2から送信される既知シンボルについては、第1シンボルは偶数番目のサブキャリアを取り出し、第2シンボルは奇数番目のサブキャリアを取り出すことにより、アンテナ2からの全てのサブキャリアに対応する伝送路推定値を求めることができる。また、上記とは逆に
・アンテナ1: LP(2,2), LP(2,1) の順に送信;
・アンテナ2: LP(2,1), LP(2,2) の順に送信;
のように上記と逆に送信しても、受信機で取り出すサブキャリアの順番を変えることで同様の結果が得られる。
一方、図2(b)(アンテナ数Mが3)の場合は、M=3となり、式(1)より各アンテナ1,2,3からそれぞれ送信される3つの既知シンボルにおいて情報が存在するサブキャリアの位置は以下の通りとなる。
・アンテナ1:1番目の既知シンボル:{0,3,6,9}番目のサブキャリア;
・アンテナ1:2番目の既知シンボル:{1,4,7,10}番目のサブキャリア;
・アンテナ1:3番目の既知シンボル:{2,5,8,11}番目のサブキャリア;
・アンテナ2:1番目の既知シンボル:{1,4,7,10}番目のサブキャリア;
・アンテナ2:2番目の既知シンボル:{2,5,8,11}番目のサブキャリア;
・アンテナ2:3番目の既知シンボル:{0,3,6,9}番目のサブキャリア;
・アンテナ3:1番目の既知シンボル:{2,5,8,11}番目のサブキャリア;
・アンテナ3:2番目の既知シンボル:{0,3,6,9}番目のサブキャリア;
・アンテナ3:3番目の既知シンボル:{1,4,7,10}番目のサブキャリア。
この場合、既知シンボルパターンは、各アンテナ1,2,3から以下のように送信される。
・アンテナ1: LP(3,1), LP(3,2), LP(3,3) の順に送信;
・アンテナ2: LP(3,2), LP(3,3) ,LP(3,1) の順に送信;
・アンテナ3: LP(3,3), LP(3,1) ,LP(3,2) の順に送信。
図2(c)(アンテナ数が4)の場合も、各アンテナからそれぞれ送信される4つの既知シンボルにおいて情報が存在するサブキャリアの位置と、各アンテナから既知シンボルパターンが送信される順番は上記の類推から明らかである。
このようにして既知シンボルを送信した場合、受信機においてはアンテナ数が2の場合と同じように、それぞれのアンテナからそれぞれのタイミングで送信される異なるサブキャリアを取り出すことにより、全てのサブキャリアに対応する伝送路推定値を求めることができる。また、2アンテナの場合と同様に、アンテナ方向の組み合わせさえ変えなければ、既知シンボルの送信順序を入れ替えても、取り出すサブキャリアの順番を変えることで同様の結果が得られる。
次に、図3を用いて本発明の第1の実施形態に係る受信機について説明する。図3において、図1の送信機から送信されるRF帯のOFDM信号は複数の受信アンテナ30−1〜30−Mにより受信される。受信アンテナ30−1〜30−MからのOFDM受信信号は、受信回路31に入力される。
受信回路31において、受信アンテナ30−1〜30−Mから入力されるOFDM信号は、それぞれ低雑音増幅器(LNA)により増幅された後、周波数変換器によりベースバンド帯に周波数変換(ダウンコンバート)され、さらにA/D変換器によってディジタル信号に変換され、さらにガードインターバル(GI)が除去される。
受信回路31からの出力信号は、高速フーリエ変換(FFT)ユニット32−1〜32−Mに入力されることにより、時間波形の信号が周波数波形の信号、すなわちサブキャリアごとの波形に変換される。FFTユニット32−1〜32−Mからの出力信号のうち、データシンボルの区間の信号はMIMO信号処理器38に入力される。
一方、FFTユニット32−1〜32−Mからの出力信号のうち、プリアンブル、特に既知シンボルの区間の信号はバッファ37−1〜37−Mに格納される。バッファに格納されたサブキャリアごとの波形は、キャリア選択器33−1〜33−Mに入力され、ROM34に格納された既知シンボルパターンに従って送信アンテナとサブキャリアの対応付けがなされ、送受信のアンテナ間における伝送路推定値としてMIMO受信処理器38で復調に用いられる。
MIMO信号処理器38では、FFTユニット32−1〜32−Mからのデータシンボル区間の信号に対して、バッファ37−1〜37−Mからの伝送路推定値に従って例えば最尤推定のようなMIMO信号受信処理がなされる。MIMO信号受信処理後の信号に対してチャネル復号が行われ、これによって送信されてきたデータ39が再生される。
以上述べたように、第1の実施形態によれば、送信機において全てのアンテナから同時に既知シンボルが送信されるため、電力増幅器の利得切り替えを頻繁に行うことなく送信電力を一定に保つことができ、受信機においてもAGCが容易となる。
また、アンテナ間では既知シンボルが同時に異なる波形として送信されるため、複数のアンテナから同一の波形を送信する場合に生じるNULL(指向性の零点)が形成されることがなく、送信機から見て種々の方向に存在する受信機で既知シンボルを正しく受信することができる。
また、送信機においてアンテナ間で異なるサブキャリア配置(割り当て)を行っているため互いに直交性があり、アンテナ毎の正確な伝送路推定が可能となる。
さらに、アンテナ数による制約(例えば符号多重の場合は、2のべき乗でないと効率が悪い)がなく、アンテナ数に対してシンボルの数を線形に調節できる。
このように増幅器への負担を軽減しつつ、アンテナ数による効率の低下を防ぎ、全てのサブキャリアに対応する伝送路推定を行うことができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、サブキャリア数Nがアンテナ数Mで割り切れる状態であったが、第2の実施形態においては例えば無線LANのロングプリアンブルのように、NがMで割り切れない場合の例を説明する。無線LANにおいては、64個のIFFTサンプルのうち、利用できるサブキャリアは52サブキャリアであり、他のキャリアには信号を乗せないことになっている。この場合、アンテナ数Mが3になると、NがMで割り切れないため、各アンテナに割り当てられるサブキャリア数が異なってくる。
ここで、例えばIEEE 802.11aのロングプリアンブルL-26,26は、−26番目から26番目のサブキャリアに表2に示すパターンの信号が存在し、BPSK変調によって送信される。
Figure 2005341442
これに対して、本発明の実施形態においては各アンテナから送信される既知シンボル(ロングプリアンブル)は周波数多重されている。第2の実施形態に従う既知シンボルのパターンをL-26,26(M,n)(Mは送信アンテナ数、nはパターン番号)とすると、アンテナ数が2の場合は既知シンボルの送信パターンは表3または表4のように表される。既存のロングプリアンブルをベースとし、−26番目から−1番目のサブキャリアにおいては−26番目から1つおきにサブキャリアが割り当てられており、1番目から26番目までも同様に1つおきにサブキャリアが割り当てられている。送信アンテナ数が2の場合、ロングプリアンブルは表3または表4のパターンを用いて以下のように送信される。
・アンテナ1: L-26,26(2,1), L-26,26(2,2) の順に送信;
・アンテナ2: L-26,26(2,2), L-26,26(2,1) の順に送信。
Figure 2005341442
Figure 2005341442
なお、上記と逆に以下のように送信してもよい。
・アンテナ1: L-26,26(2,2), L-26,26(2,1) の順に送信;
・アンテナ2: L-26,26(2,1), L-26,26(2,2) の順に送信。
一方、アンテナ数が3の場合は、52サブキャリアに対して表5〜7に示すようなパターンが用いられる。−26番目から−1番目のサブキャリアにおいては、−26番目から2つおきにサブキャリアが割り当てられており、1番目から26番目までも同様に2つおきにサブキャリアが割り当てられている。送信アンテナ数が3の場合の送信パターンを以下に示す。
・アンテナ1: L-26,26(3,1), L-26,26(3,2), L-26,26(3,3) の順に送信;
・アンテナ2: L-26,26(3,2), L-26,26(3,3) ,L-26,26(3,1) の順に送信;
・アンテナ3: L-26,26(3,3), L-26,26(3,1) ,L-26,26(3,2) の順に送信。
Figure 2005341442
Figure 2005341442
Figure 2005341442
2アンテナの場合と同様に、アンテナ方向の組み合わせさえ変えなければ、送信する既知シンボルの順序を入れ替えても構わない。
以降、アンテナ数がmの場合には、−26番目から−1番目のサブキャリアにおいては−26番目から(m−1)個おきにサブキャリアが割り当てられ、1番目から26番目までも同様に(m−1)個おきにサブキャリアが割り当てられる。
このように第2の実施形態によると、無線LANをMIMO化したシステムにおいても第1の実施形態と同様にして既知シンボルから伝送路推定値を求めることができる。
(第3の実施形態)
次に、図4を用いて本発明の第3の実施形態による伝送路推定用の既知シンボルの送信方法を説明する。図4(a)(b)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が2の場合及び3の場合のプリアンブルを含む無線フレームの構造を示している。
第1の実施形態においては、送信アンテナ数Mに対してM個の既知シンボルを受信することで伝送路推定が可能となっている。これに対し、図3においては伝送路推定の精度を高めるために、2M個の既知シンボルを受信することを想定している。第1の実施形態で説明した既知シンボルのパターンLP(M,n)(Mは送信アンテナ数、nはパターン番号)を用いると、第3の実施形態においては、既知シンボルは以下のように送信される。
<送信アンテナ2の場合>
・アンテナ1: LP(2,1), LP(2,1), LP(2,2), LP(2,2) の順に送信;
・アンテナ2: LP(2,2), LP(2,2), LP(2,1), LP(2,1) の順に送信;
<送信アンテナ3の場合>
・アンテナ1: LP(3,1), LP(3,1), LP(3,2), LP(3,2), LP(3,3), LP(3,3) の順に送信;
・アンテナ2: LP(3,2), LP(3,2), LP(3,3), LP(3,3), LP(3,1), LP(3,1) の順に送信;
・アンテナ3: LP(3,3), LP(3,3), LP(3,1), LP(3,1), LP(3,2), LP(3,2) の順に送信。
送信アンテナ数が4以上の場合も同様に、同じパターンの既知シンボルを連続して送ることになる。一方、受信側においては、同じパターンの既知シンボルを累積加算することで雑音の影響を緩和でき、伝送路推定の精度を上げることができる。
このように第3の実施形態によると、既知シンボルが増えることによる効率の低下は招くが、第1の実施形態で説明した既知シンボルの送信方法と同様に伝送路推定の精度を高めることができる。
(第4の実施形態)
MIMO無線通信システムでは、一般に受信側で送信アンテナ数を推定することが必要である。送信アンテナ数の推定に失敗すると、後続のデータ部分の復調が不可能となるため、推定にはかなりの精度が要求される。本発明の第4の実施形態においては、送信側で送信アンテナ数を通知することなく、受信側でアンテナ数をブラインド推定する方法を説明する。
本発明の第4の実施形態に係る送信機では、図6に示されるように図1に示した他の実施形態の送信機に対して位相反転器21が追加されている。以下、図7を用いて伝送路推定用の既知シンボルの送信方法を説明する。図7(a)(b)(c)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が2の場合、3の場合及び4の場合のプリアンブルを含む無線パケットの構造を示している。図7(a)(b)(c)においては、図2(a)(b)(c)と類似しているが、各アンテナから送信される既知シンボルのうち、最後のシンボルの位相が反転している。すなわち、図中の黒塗りのサブキャリアの位相が本来送信されるべきサブキャリアの位相に対して反転している。このような位相反転を施すために、図6中の位相反転器21が設けられている。
第1の実施形態で説明した既知シンボルのパターンLP(M,n)(Mは送信アンテナ数、nはパターン番号)を用いると、第4の実施形態においては、既知シンボルは以下のように送信される。
<送信アンテナ数2の場合>
・アンテナ1: LP(2,1), -LP(2,2) の順に送信;
・アンテナ2: LP(2,2), -LP(2,1) の順に送信;
<送信アンテナ数3の場合>
・アンテナ1: LP(3,1), LP(3,2), -LP(3,3) の順に送信;
・アンテナ2: LP(3,2), LP(3,3), -LP(3,1) の順に送信;
・アンテナ3: LP(3,3), LP(3,1), -LP(3,2) の順に送信;
<送信アンテナ数4の場合>
・アンテナ1: LP(4,1), LP(4,2), LP(4,3), -LP(4,4) の順に送信;
・アンテナ2: LP(4,2), LP(4,3), LP(4,4), -LP(4,1) の順に送信;
・アンテナ3: LP(4,3), LP(4,4), LP(4,1), -LP(4,2) の順に送信;
・アンテナ4: LP(4,4), LP(4,1), LP(4,2), -LP(4,3) の順に送信。
ここで、伝送路の変動が緩やかな場合、時間的に隣接するシンボル間で伝送路はほぼ同じであると考えられる。また、隣接するサブキャリア間では伝送路の影響はほぼ同じと考えられるため、図8に示されるように周波数軸上の波形では、時間的に隣接するシンボルは非常に相関が高いと考えられる。
上記の場合、各アンテナで時間的に隣接する既知シンボルの相関をとると、全ての受信アンテナにおいて以下のことが予想される。
<送信アンテナ数2の場合>
最初の受信既知シンボルと2番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は2番目の既知シンボルが位相反転しているため、負の値となる。
<送信アンテナ数3の場合>
最初の受信既知シンボルと2番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は正の値となる。
2番目の受信既知シンボルと3番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は3番目の既知シンボルが位相反転しているため、負の値となる。
<送信アンテナ数4の場合>
最初の受信既知シンボルと2番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は正の値となる。
2番目の受信既知シンボルと3番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は正の値となる。
3番目の受信既知シンボルと4番目の受信既知シンボルの周波数波形の間には高い相関があり、その値は4番目の既知シンボルが位相反転しているため、負の値となる。
以上のことからわかるように、送信アンテナ数が2であれば、最初の隣接する2シンボルの相関が負の値になるので、その時点でアンテナ数が2であると推定できる。もし正の値であれば、次の隣接2シンボルの相関を見て、それが負の値になった時点で受けた受信既知シンボル数で送信アンテナ数を推定することができる。
図9は、このようなアンテナ数推定機能を有する受信機であり、図3に示した受信機に対して上記の相関を求めるための相関器40−1〜40−Mが追加されている。
以下、図10を用いて図9の受信機における送信アンテナ数推定手順のアルゴリズムについて説明する。まず、バッファ37−1〜37−Mをクリアし、かつカウンタ35に初期値として2を設定した後、あるアンテナ(30−iとする)で受信した既知シンボルをバッファ37−iでバッファリングする(ステップS101〜S103)。次に、バッファリングした既知シンボルと同じアンテナで受信した既知シンボルとの周波数波形での相関を相関器40−iにより求める(ステップS104〜S105)。ここで、隣接する既知シンボルどうしでは第1の実施形態に示されるように1サブキャリア分シフトしているため、この相関演算は以下のように定義される。
バッファリングされているデータ(つまり1つ前の既知シンボル)の周波数波形をf(0),f(1),f(2),…,f(N-1) (Nはサブキャリア数)とし、次に受信した既知シンボルの時間波形をf’(0), f’(1), f’(2), …, f’(N-1) とすると、
(相関値) = f(0)*f’(1) + f(1)*f’(2) + f(2)*f’(3) + … + f(N-2)*f’(N-1)
但し、a*bはbの複素共役をaに乗算する演算
となる。
MIMO信号処理器38では、このようにして相関器37−iにより計算された相関の値を判定し(ステップS106)、これが負の値を示した場合、現在受信したシンボルが既知シンボルの最後であると判断して、カウンタ35で求まるこれまでに受信した既知シンボルのパターン数で送信アンテナ数を推定する(ステップS107)。
MIMO信号処理器38は、こうして推定された送信アンテナ数を用いてデータシンボルの再生を行う。ステップS106の判定の結果、相関の値が負でなければ受信した既知シンボルの周波数波形をバッファリングし(ステップS108)、カウンタ35をインクリメントする(ステップS109)。以下、新たな既知シンボルを受信する毎にステップS104〜S109の動作を繰り返す。
受信アンテナが複数である場合、以下のような方式も考えられる。
(a)全ての受信アンテナについて相関値が負の値になった場合のみ、既知シンボルの終端とみなして送信アンテナ数を決定する。
(b)全ての受信アンテナから算出された相関値を加算し、その合計の相関値が負の値になった場合に、既知シンボルの終端とみなして送信アンテナ数を決定する。
上記(a)の方が条件が厳しいが、条件が一致した場合には確実に送信アンテナ数を検出することができる。
(第6の実施形態)
次に、図11を用いて本発明の第6の実施形態による伝送路推定用の既知シンボルの送信方法を説明する。図11(a)(b)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が2の場合及び3の場合のプリアンブルを含む無線パケットの構造を示している。
第6の実施形態においては、送信アンテナ数推定精度及び伝送路推定精度を高めるため、第2の実施形態と同様に同じパターンの既知シンボルが繰り返し送信されている。
さらに、第5の実施形態と同様にブラインドによるアンテナ数推定を達成するため、各アンテナから送信される既知シンボルのうち、最後のシンボルの位相が反転しているすなわち、図中の黒塗りのサブキャリアの位相が本来送信されるべきサブキャリアの位相に対して反転している。このような位相反転操作は、図6中の位相反転器21によって行われる。第6の実施形態における既知シンボルの送信は、以下のようになる。
<送信アンテナ数2の場合>
・アンテナ1: LP(2,1), LP(2,1), -LP(2,2), -LP(2,2)の順に送信;
・アンテナ2: LP(2,2), LP(2,2), -LP(2,1), -LP(2,1)の順に送信;
<送信アンテナ数3の場合>
・アンテナ1: LP(3,1), LP(3,1), LP(3,2), LP(3,2), -LP(3,3), -LP(3,3)の順に送信;
・アンテナ2: LP(3,2), LP(3,2), LP(3,3), LP(3,3), -LP(3,1), -LP(3,1)の順に送信;
・アンテナ3: LP(3,3), LP(3,3), LP(3,1), LP(3,1), -LP(3,2), -LP(3,2)の順に送信。
送信アンテナ数が4以上の場合も同様に、同じパターンの既知シンボルを連続して送信することになる。
第6の実施形態による既知シンボルの送信は、図6に示した構成の送信機によって実現できる。ただし、最後の既知シンボルは位相反転して送信されるため、カウンタ16により最終の既知シンボルと識別された場合は、位相反転器21により位相が反転され、各アンテナ20−1〜20−Mに既知シンボルが割り当てられる。セレクタ17の動作は、第4の実施形態に順ずるものとする。
一方、受信側においては以下のように同じパターンの既知シンボルを累積加算することで雑音の影響を緩和でき、第5の実施形態で説明したような送信アンテナ数推定や伝送路推定の精度をさらに上げることができる。
第6の実施形態に係る受信機では、上記のような推定を行うため図12に示されるように、図3の受信機に対して二つのカウンタ35−1(以下、カウンタ1と記載する)、カウンタ35−2(以下、カウンタ2と記載する)、累積加算器36−1〜36−M、バッファ37−11〜37−M1(以下、バッファ1と記載する)、バッファ37−12〜37−M2(以下、バッファ2と記載する),セレクタ41−1〜41−M及び相関器42−1〜42−Mが追加されている。
図示しない送信機から送信されるRF帯のOFDM信号は複数の受信アンテナ30−1〜30−Mにより受信され、受信回路31に入力される。受信回路31からの出力信号は、FFTユニット32−1〜32−Mに入力されることにより、時間波形の信号が周波数波形の信号、すなわちサブキャリアに変換される。FFTユニット32−1〜32−Mからの出力信号のうち、データシンボルの区間の信号はMIMO信号処理器38に入力される。
一方、FFTユニット32−1〜32−Mからの出力信号のうち、プリアンブル、特に既知シンボルの区間の信号は同じ既知シンボルパターンを持つ値について累積加算器36−1〜36−Mによって累積加算される。累積加算結果はバッファ1に格納される。
続いて、次に受信される既知シンボルのサブキャリアについてキャリア選択器33−1〜33−Mにより選択された周波数波形の値は、同じ既知シンボルパターンを持つ値について累積加算器36−1〜36−Mによって累積加算される。累積加算結果はバッファ2に格納される。
これらの累積加算結果は、キャリア選択器33−1〜33−Mに入力され、ROM34に格納された既知シンボルパターンに従って送信アンテナとサブキャリアの対応付けがなされることにより、送受信のアンテナ間における伝送路推定値としてMIMO受信処理器38で復調に用いられる。
このようにしてバッファ1及びバッファ2には、異なる既知シンボルパターンの累積加算結果が格納されている。相関器42−1〜42−Mにおいては、これらのバッファ1及びバッファ2に格納された累積加算結果について相関演算を行い、アンテナ数の推定を行う。この相関演算を行うタイミングはカウンタ2によって制御され、カウンタ2のカウント値と相関演算の結果から、送信アンテナ数が推定される。
バッファ1及びバッファ2に格納された値は、送信アンテナ数の推定が終了した後にMIMO信号処理器38において伝送路推定値として用いられる。MIMO信号処理器38では、FFTユニット32−1〜32−Mからのデータシンボル区間の信号に対して、バッファ1及び2からの伝送路推定値に従って例えば最尤推定のようなMIMO信号受信処理がなされる。MIMO信号受信処理後の信号に対してチャネル復号が行われ、これによって送信されてきたデータ39が再生される。
図13に、図12の受信機における送信アンテナ数推定手順のアルゴリズムを示す。このアルゴリズムは、基本的に図10と同じであるが、同じパターンの既知シンボルを累積加算してバッファリングすることで、送信アンテナ数推定の精度を高めることができる処理となっている。特に、図11においては同じパターンの既知シンボルがL個繰り返して送信されることを想定している。なお、図10はL=2の場合の例である。
以下、図13の手順について説明すると、まずバッファ1及びバッファ2をクリアし、かつカウンタ1及びカウンタ2に初期値として0及び2を設定した後、あるアンテナで最初に受信した既知シンボルの周波数波形をバッファ1に格納されている値と累積加算し、バッファ1でバッファリングする(ステップS201〜S204)。ステップS202〜S204の処理をステップS205でカウンタ1がLと判定されるまで繰り返す。
次に、カウンタ1をクリアしてからカウンタ1をインクリメントした後、バッファ1にバッファリングした既知シンボルと同じアンテナで受信した次の既知シンボルの周波数波形をバッファ2に格納されている値と累積加算し、バッファ2でバッファリングする(ステップS206〜S209)。ステップS207〜S209の処理をステップS210でカウンタ1がLと判定されるまで繰り返す。
次に、バッファ1とバッファ2に格納されている値について周波数波形で相関をとって相関の値を判定し(ステップS211〜S212)、これが負の値を示した場合、カウンタの値を送信アンテナ数と推定する(ステップS213)。
MIMO信号処理器38は、こうして推定された送信アンテナ数を用いてデータシンボルの再生を行う。ステップS213の判定の結果、相関の値が負でなければバッファ2にバッファされている値をバッファ1に上書きした後、バッファ2をクリアしてから、カウンタ2をインクリメントし(ステップS214〜S215)、ステップS206に戻る。
また、第5の実施形態同様、受信アンテナが複数である場合には、以下のような送信アンテナ数の推定方法が考えられる。
(a)全ての受信アンテナについて相関値が負の値になった場合のみ、既知シンボルの終端とみなして送信アンテナ数を決定する。
(b)全ての受信アンテナから算出された相関値を加算し、その合計の相関値が負の値になった場合に、既知シンボルの終端とみなして送信アンテナ数を決定する。
上記(a)の方が条件が厳しいが、条件が一致した場合には確実に送信アンテナ数を検出することができる。
(第7の実施形態)
次に、図14を用いて本発明の第7の実施形態による伝送路推定用の既知シンボルの送信方法を説明する。図14(a)(b)(c)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が1の場合、2の場合及び3の場合のプリアンブルを含む無線パケットの構造を示している。このように第7の実施形態においては、第6の実施形態において単一アンテナから送信される既知シンボルが2シンボルにわたっている場合を示している。この場合は、シンボル数が2シンボルにわたっているため、1シンボル目で送られる既知シンボルに対して、2シンボル目では1シンボル目と同じサブキャリア配置で位相を反転したものを送信する。
アンテナ数が2以上の場合は、既知シンボルの構成は第6の実施形態に準ずるものとする。この場合、受信側においては、最初の既知シンボルと2番目の既知シンボルとの相関をとることによって、アンテナ数が1であるか否かの検出を行うことができる。具体的には、
・最初の既知シンボルの周波数波形をf1(0), f1(1), f1(2),…,f1(N-1);
・2番目の既知シンボルの周波数波形をf2(0), f2(1), f2(2),…,f2(N-1);
とすると、
・相関値:f1(0)*f2(0) + f1(1)*f2(1) + f1(2)*f2(2) + … + f1(N-1)*f2(N-1);
のように定義され、この相関の値が正であればアンテナ数は2以上、負であればアンテナ数は1と判断できる。
第7の実施形態のような既知シンボルの送信方法をとった場合には、図13に示されるフローにおいて、最初の既知シンボル受信時に送信アンテナ数が1であるか否かの判定を行い、その後に後続の既知シンボルとの相関を利用してアンテナ数の推定を行うことができる。
図15に、第7の実施形態に係る受信機の処理フローを示す。図15においては、図13に示されるフローにおいて、あらたに最初の既知シンボル受信時に送信アンテナ数が1であるか否かの判定を行い、その後に後続の既知シンボルとの相関を利用してアンテナ数の推定を行うことになる。
以下、図15の手順について説明すると、まずバッファ1及びバッファ2をクリアし、かつカウンタ1及びカウンタ2に初期値として0及び2を設定した後、あるアンテナで最初に受信した既知シンボルの周波数波形をバッファ1に格納し、バッファ1にバッファリングした既知シンボルと同じアンテナで受信した次の既知シンボルの周波数波形との相関をとって相関の値を判定し(ステップS401〜S406)、これが負の値を示した場合は送信アンテナ数を1と推定する(ステップS407)。
ステップS406の判定の結果、相関の値が負でなければバッファ1に格納された既知シンボルと受信した既知シンボルの周波数波形を累積加算してバッファ1に格納した後、カウンタ2をクリアしてからカウンタ2をインクリメントする(ステップS408〜S410)。次に、同じアンテナを用いて次の既知シンボルを受信し、受信した既知シンボルの周波数波形とバッファ2に格納されている値と累積加算してバッファ2に格納する。
ステップS410〜S412の処理をステップS413でカウンタ1が2と判定されるまで繰り返す。
次に、バッファ1とバッファ2に格納されている値について周波数波形で相関をとって相関の値を判定し(ステップS414〜S415)、これが負の値を示した場合、カウンタ2の値を送信アンテナ数と推定する(ステップS416)。
ステップS415の判定の結果、相関の値が負でなければバッファ2にバッファされている値をバッファ1に上書きした後バッファ2をクリアし、カウンタ2をインクリメントし(ステップS417〜S418)、ステップS409に戻る。
このように第7の実施形態によれば、送信アンテナが1である場合が許可されたとしても、アンテナ数の推定を精度よく行うことができる。
(第8の実施形態)
次に、図16を用いて本発明の第8の実施形態による伝送路推定用の既知シンボルの送信方法を説明する。図16(a)(b)(c)は、既知シンボルを同時に送信するアンテナの数が1の場合、2の場合及び3の場合のプリアンブルを含む無線パケットの構造を示している。第8の実施形態においては、送信アンテナ数が1の場合は位相反転のない通常の既知シンボルが送信されている。この場合、偶数番目のサブキャリアの波形と奇数番目のサブキャリアの波形の相関をとることでアンテナ数が1であるかの判定を行う。アンテナ数が1の場合は、隣接するサブキャリア間の相関は高いと考えられるが、アンテナ数が2以上であれば隣接しているサブキャリアは他のアンテナからの既知シンボルになるため、相関は低くなる。
上記のアルゴリズムを以下に具体的に示す。
・最初の既知シンボルの周波数波形をf1(0), f1(1), f1(2),…,f1(N-1);
・2番目の既知シンボルの周波数波形をf2(0), f2(1), f2(2),…,f2(N-1);
とすると、
・相関値:f1(0)*f2(1) + f1(2)*f2(3) + f1(4)*f2(5) + … + f1(N-2)*f2(N-1);
と定義し、この相関の値が閾値を超えていればアンテナ数は1、そうでなければアンテナ数は2以上と推定できる。2以上と判断された場合は、第6の実施形態に示されるアルゴリズムでアンテナ数を推定できる。
別のアルゴリズムとして、最初の既知シンボルと2番目の既知シンボルを累積加算した周波数波形をfx(0), fx(1), fx(2),…,fx(N-1)とすると、
・相関値:fx(0)*fx(1) + fx(2)*fx(3) + fx(4)*fx(5) + … + fx(N-2)*fx(N-1);
と定義し、この相関の値が閾値を超えていればアンテナ数は1、そうでなければアンテナ数は2以上と判断することもできる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1乃至第3の実施形態に係る送信機のブロック図 第1の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図 第1の実施形態に係る受信機のブロック図 第3の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図 第3の実施形態に係る受信機のブロック図 本発明の第4の実施形態に係る送信機のブロック図 第4の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図 第4の実施形態を説明するための既知シンボルのサブキャリア配置と伝送路との関係を示す図 第4の実施形態に係る受信機のブロック図 図6の受信機における送信アンテナ数推定アルゴリズムを示すフローチャート 本発明の第5の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図 第5の実施形態に係る受信機のブロック図 図12の受信機における送信アンテナ数推定アルゴリズムを示すフローチャート 本発明の第6の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図 第6の実施形態における送信アンテナ数推定アルゴリズムを示すフローチャート 本発明の第7の実施形態による既知シンボルの送信方法を説明する図
符号の説明
10…送信データ;
11…符号化器;
12…直並列変換器;
13−1〜13−M…変調器;
14−1〜14−M…直並列変換器;
15…既知シンボルパターン発生器;
16…カウンタ;
17…セレクタ;
18−1〜18−M…IFFTユニット;
19…送信回路;
20−1〜20−M…送信アンテナ;
21…位相反転器;
30−1〜30−M…受信アンテナ;
31…受信回路;
32−1〜32−M…FFTユニット;
33…−1〜33−M…キャリア選択器;
34…ROM;
35…カウンタ;
36−1〜36−M…累積加算器;
37−1〜37−M…バッファ;
38…MIMO信号処理器;
39…受信データ;
40−1〜40−M…相関器;
41−1〜41−M…セレクタ;
42−1〜42−M…相関器

Claims (14)

  1. 複数のアンテナと;
    異なるサブキャリア配置を有する時間的に連続する複数の既知シンボルを含み、かつ異なるアンテナから同時に送信される既知シンボル間でも異なるサブキャリア配置をそれぞれ有する複数の既知シンボル列を前記複数のアンテナをそれぞれ用いて送信する既知シンボル送信手段と;
    前記既知シンボル列の送信後に前記複数のアンテナを用いてデータシンボルを送信するデータシンボル送信手段とを具備する無線通信装置。
  2. 前記既知シンボル送信手段は、サブキャリア配置の異なる複数の既知シンボルパターンを格納した記憶手段と、前記既知シンボルの送信されるべきタイミングを示すタイミング信号を発生するタイミング発生器と、前記タイミング信号に従って前記複数の既知シンボルパターンから前記既知シンボルとして用いられるパターンを選択するセレクタとを有する請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記異なるサブキャリア配置は、前記既知シンボルの情報が乗っているサブキャリアの位置が異なる配置である請求項1記載の無線通信装置。
  4. 前記異なるサブキャリア配置は、前記既知シンボルの情報が乗っているサブキャリアの位置が入れ子構造をなす配置である請求項1記載の無線通信装置。
  5. 前記既知シンボル送信手段は、前記複数の既知シンボル列を複数回繰り返して送信する請求項1記載の無線通信装置。
  6. 前記既知シンボル送信手段は、前記既知シンボル列のうち最後に送信される既知シンボルの位相を反転させる請求項1または2記載の無線通信装置。
  7. 前記既知シンボル送信手段は、複数回繰り返して送信する既知シンボル列のうち最後の既知シンボル列の位相を反転させる請求項5記載の無線通信装置。
  8. 前記既知シンボル送信手段は、前記セレクタによって選択されたパターンを位相反転させる位相反転器をさらに具備する請求項2記載の無線通信装置。
  9. 同一のサブキャリア配置を有しかつ互いに位相が反転する時間的に連続する複数の既知シンボルを含む第2既知シンボル列を前記複数のアンテナから選択される一つのアンテナを用いて送信する第2の既知シンボル送信手段をさらに具備する請求項1記載の無線通信装置。
  10. 複数のアンテナによって送信される、異なるサブキャリア配置を有する時間的に連続する複数の既知シンボルを含み、かつ異なるアンテナから同時に送信される既知シンボル間でも異なるサブキャリア配置をそれぞれ有する複数の既知シンボル列及び該既知シンボル列より後のデータシンボルを受信する受信手段と;
    受信した既知シンボル列から伝送路推定値を求める手段;
    前記伝送路推定値を用いて前記データシンボルを再生する手段とを具備する無線通信装置。
  11. 前記複数の既知シンボル列は複数回繰り返して送信されており、
    前記伝送路推定値を求める手段は、該繰り返されて送信されてくる既知シンボル列にそれぞれ対応する周波数波形を累積加算して前記伝送路推定値を求める請求項10記載の無線通信装置。
  12. 前記既知シンボル列は最後に送信される既知シンボルの位相が反転されており、
    前記データシンボルを再生する手段は、前記既知シンボル列にそれぞれ対応する周波数波形について時間的に隣接する既知シンボル間の相関を求め、前記相関の値が負の値であればそれまでに受信した既知シンボルの数により前記アンテナの数を推定し、該推定したアンテナの数に従って前記データシンボルを再生する請求項10記載の無線通信装置。
  13. 前記複数の既知シンボル列は複数回繰り返して送信され、かつ該繰り返して送信される最後の既知シンボル列の位相が反転されており、
    前記データシンボルを再生する手段は、繰り返して送信される同じ第1既知シンボル列にそれぞれ対応する周波数波形について累積加算を行って第1の累積加算値を保持し、該第1の既知シンボル列に続いて繰り返し送信される同じ第2の既知シンボル列にそれぞれ対応する周波数波形について累積加算を行って第2の累積加算値を保持し、前記第1の累積加算値と第2の累積加算値との相関を求め、前記相関の値が負の値であればそれまでに受信した既知シンボルの数により前記アンテナの数を推定し、該推定したアンテナの数に従って前記データシンボルを再生する請求項10記載の無線通信装置。
  14. 前記受信手段は、前記複数のアンテナから選択される一つのアンテナによって送信される、同一のサブキャリア配置を有しかつ互いに位相が反転する時間的に連続する複数の既知シンボルを含む第2既知シンボル列を受信し、
    前記データシンボルを再生する手段は、前記第2既知シンボル列の最初に受信した既知シンボルに対応する周波数波形と、2番目に受信した既知シンボルに対応する周波数波形との相関を求め、該相関の値が負の値であれば送信に用いられたアンテナの数を1と推定し、そうでなければ送信に用いられたアンテナの数が2以上であると推定し、該推定したアンテナの数に従って前記データシンボルを再生する請求項10記載の無線通信装置。
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