JP2005338294A - 有機elディスプレイ装置の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機ELディスプレイ装置の駆動装置において、信号電極ドライバの温度上昇を抑制する。
【解決手段】 電源回路5は、信号電極ドライバ4に対し、電源電圧Vinを出力する。信号電極ドライバ4が備える温度センサ4は、信号電極ドライバ4自身の温度が信号電極ドライバ4の動作保証温度の上限に達したことを検出する。信号電極ドライバ4は、温度センサ4による検出がある前は、発光すべき画素が存在する信号電極から選択行走査電極に定電流を流すように表示パネル1を駆動する。温度センサ4による検出があった後は、発光すべき画素が存在する信号電極に電源電圧Vinを印加することにより表示パネル1を駆動する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL(Electroluminescence )ディスプレイ装置の駆動装置に関する。
以下の説明において、電圧の単位は、V(ボルト)であるものとする。電流の単位は、A(アンペア)であるものとする。温度の単位は、℃(度)であるものとする。消費電力の単位はW(ワット)であるものとする。熱抵抗の単位は、℃/Wであるものとする。また、以下の説明では、これらの単位の表記を省略する。
有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機薄膜を有する。陰極が陽極よりも高電位となるように両電極間に電圧を印加しても、有機薄膜にはほとんど電流が流れず、有機薄膜は発光しない。逆に、陽極が陰極よりも高電位となるように両極間に所定電圧(発光開始電圧)以上の電圧を印加すると、有機薄膜に電流が流れ、有機薄膜は発光する。この発光を利用した有機ELディスプレイ装置が知られている。
有機ELディスプレイ装置では、例えば、複数の走査電極と複数の信号電極とが、有機薄膜を挟んで直交するように配置される。このような有機ELディスプレイ装置では、各走査電極と各信号電極との交差部分が画素として発光する。また、画素はマトリクス状に配置されることになる。この場合、線順次駆動によって、有機ELディスプレイ装置を駆動する。すなわち、各走査電極を順次選択し、選択行の表示データに応じて信号電極から選択された走査電極に電流を流す。
以下の説明において、選択期間中に選択した走査電極に印加する電圧を選択時電圧と呼び、VSSで表すことにする。また、ある走査電極の選択期間中、選択されていない各走査電極に印加する電圧を非選択時電圧と呼び、VCOMHで表すことにする。なお、VSSとして0Vが用いられることが多い。
各信号電極は信号電極ドライバに接続され、各走査電極は走査電極ドライバに接続される。そして、信号電極ドライバおよび走査電極ドライバは、信号電極から選択行の走査電極に定電流を流すように有機ELディスプレイ装置を駆動する。このとき、信号電極ドライバは、電源回路から電源電圧(Vinとする。)を入力される。また、信号電極ドライバには、選択時電圧VSSも入力される。ただし、Vin>VSSであるとする。また、信号電極ドライバは、表示データに従い、選択行において発光させるべき画素が存在する信号電極から定電流を流す。このときの信号電極の電圧をVとする。なお、厳密には、個々の信号電極から流れる電流値が等しいため、走査電極ドライバから離れた信号電極ほど高い電圧となるが、ここでは簡便のために一律にVで表すことにする。
一般に、IC(ここでは信号電極ドライバであるものとする。)の表面温度をT、ICの周囲温度をT、ICの消費電力をP、ICの熱抵抗をθとすると、熱抵抗θは、以下の式で表される。
θ=(T−T)/P 式1
また、有機ELディスプレイ装置を駆動するためにIC(信号電極ドライバ)に電源電圧Vinが入力されていて、有機ELディスプレイ装置の駆動時の消費電流をIinとすると、有機ELディスプレイ装置の駆動のために消費される全消費電力(Ptotalとする。)は、以下の式で表される。
total=Iin・Vin 式2
全消費電力Ptotalのうち、有機ELディスプレイ装置内で消費される消費電力(Ppnlとする。)は、選択した1行において発光させるべき画素が存在する信号電極数の数をN個、1本の信号電極から選択行走査電極に流される定電流をI、定電流が流される信号電極の電圧をVとすると、以下の式で表される。
pnl=I・N・V 式3
従って、ICの温度上昇をΔTとすると、ΔTは、以下の式で表される。
ΔT=θ・(Ptotal−Ppnl)=θ・(Iin・Vin−I・N・V) 式4
また、表示品位が温度変化の影響を受けないようにした有機ELディスプレイ装置の駆動装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1には、温度変化に応じて走査電極電位や信号電極電位を変化させることにより、温度が変化しても良好な表示品位を保つことができる有機ELディスプレイ装置の駆動装置が記載されている。
特開2003−295820号公報(第6−13頁)
有機ELディスプレイ装置を駆動する場合、上記のように信号電極ドライバに温度上昇ΔTが生じる。すなわち、信号電極ドライバは発熱し、信号電極ドライバの温度は上昇する。また、信号電極ドライバが設置された場所の温度が高い場合には、信号電極ドライバ自体の温度はさらに高くなってしまう。そして、信号電極ドライバの温度が、信号電極ドライバに定められている動作保証温度の上限を超えてしまうと、正常な動作が保証されなくなってしまう。
そこで、本発明は、信号電極ドライバの温度上昇を抑制することができる有機ELディスプレイ装置の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明による態様1は、複数の走査電極と複数の信号電極との間に有機薄膜が配置された有機ELディスプレイ装置の駆動装置であって、個々の走査電極を選択しながら走査電極の走査を行う走査電極ドライバと、個々の信号電極と一対一に対応する定電流回路と、個々の信号電極毎に設けられ、電源電圧を定電流回路に入力させるか定電流回路を介さずに信号電極に入力させるかを切り替える切替手段とを含む信号電極ドライバと、信号電極ドライバに電源電圧を出力する電源回路と、信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことを検出する温度検出手段とを備え、切替手段のうち発光させるべき画素が存在する信号電極に対応する切替手段が、温度検出手段によって信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことが検出された場合に、電源電圧を定電流回路を介さずに信号電極に入力させ、温度検出手段によって信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことが検出されていない場合に、電源電圧を定電流回路に入力させることを特徴とする有機ELディスプレイ装置の駆動装置を提供する。
本発明による態様2は、態様1において、温度検出手段が、信号電極ドライバの温度を検出し、検出した温度に応じた信号を電源回路に送信し、電源回路が、温度検出手段から受信した信号が示す温度が高くなるほど、信号電極ドライバに出力する電源電圧を低下させる有機ELディスプレイ装置の駆動装置を提供する。態様2によれば、信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことが検出されたときに、有機ELディスプレイ装置に表示された画像の輝度の変化を抑えることができる。
本発明による態様3は、態様1または態様2において、信号電極ドライバが温度検出手段を備える有機ELディスプレイ装置の駆動装置を提供する。
本発明によれば、有機ELディスプレイ装置を駆動する際において、信号電極ドライバの温度上昇を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。なお、既に述べたように、電圧の単位は、V(ボルト)であるものとする。電流の単位は、A(アンペア)であるものとする。温度の単位は、℃(度)であるものとする。消費電力の単位はW(ワット)であるものとする。熱抵抗の単位は、℃/Wであるものとする。以下の説明では、これらの単位の表記を省略する。
[実施の形態1]図1は、本発明の第1の実施の形態の有機ELディスプレイ装置の駆動装置の例を示すブロック図である。有機ELディスプレイ装置(以下、表示パネルと記す。)1は、複数の走査電極(図示略。)と複数の信号電極(図示略。)とを備える。各走査電極と各信号電極とは、有機薄膜を挟んで直交するように配置される。各走査電極と各信号電極との交差部分がそれぞれ画素となる。各画素において、信号電極側から走査電極側に電流が流れることにより、その画素の有機薄膜が発光する。
また、既に述べたように、選択期間中に選択した走査電極に印加する電圧を選択時電圧VSSと記す。また、ある走査電極の選択期間中、選択されていない各走査電極に印加する電圧を非選択時電圧VCOMHと記す。選択時電圧VSSとして、例えば0Vが用いられるが、選択時電圧VSSは0Vに限定されるわけではない。
駆動装置は、コントローラ2と、走査電極ドライバ3と、信号電極ドライバ4と、電源回路5とを備える。コントローラ2は、表示される画像のデータを記憶するメモリ2を含んでいる。コントローラ2は、走査電極ドライバ3および信号電極ドライバ4を制御することにより、表示パネル1に画像を表示させる。
また、コントローラ2には、外部MPU(Micro Processing Unit)6が接続される。外部MPU6は、メモリ2に記憶される表示データを書き換える処理を行う。表示データは、個々の画素に対応させて、画素を発光させるか否かを示すデータを含んでいる。
電源回路5は、走査電極ドライバ3および信号電極ドライバ4に対して電圧を出力する。電源回路5は、走査電極ドライバ3に対しては、選択時電圧VSSおよび非選択時電圧VCOMHを出力する。また、電源回路5は、信号電極ドライバ4に対しては、電圧VSS(選択時電圧と等しい電圧)と、電圧Vinとを出力する。電圧Vinは、電源回路5が信号電極ドライバ4に出力する電源電圧であって、選択時電圧VSSよりも高い電圧である。
走査電極ドライバ3は、コントローラ2に従って、個々の走査電極を一本ずつ選択し、選択行および非選択行の走査電極にそれぞれ電圧を印加する。そして、各走査電極を選択しながら走査電極を走査していく。走査電極ドライバ3は、選択行の走査電極に選択時電圧VSSを印加する。また、走査電極ドライバ3は、ある走査電極の選択期間中、他の各走査電極に非選択時電圧VCOMHを印加する。ここで、VSS<VCOMHの関係が成り立っている。
信号電極ドライバ4は、後述する温度センサ4によって温度上昇が検出されていない場合、コントローラ2および選択行の表示データに従って、選択期間中、発光させるべき画素が存在する信号電極から選択行走査電極に定電流を流す。すなわち、信号電極ドライバ4は、発光させるべき画素が存在する信号電極から、選択されている走査電極上の有機薄膜に定電流を流す。この駆動態様を定電流駆動と記す。定電流が流されたときの信号電極の電圧をVとする。ただし、既に説明したように、厳密には、個々の信号電極から流れる電流値が等しいため、走査電極ドライバから離れた信号電極ほど高い電圧となる。また、発光させるべき画素が存在しない信号電極からは、選択行走査電極に電流を流さない。電流が流されない信号電極の電圧はVSSとなる。また、電圧Vは、電源電圧Vinよりも低い電圧である。
また、信号電極ドライバ4は、温度センサ4を備える。そして、信号電極ドライバ4が所定の温度まで上昇したことを温度センサ4が検出したときには、信号電極ドライバ4は定電流駆動を停止する。そして、信号電極ドライバ4は、選択期間中、発光させるべき画素が存在する各信号電極にそれぞれ電源電圧Vinを印加することにより、発光させるべき画素が存在する各信号電極から選択行走査電極上の有機薄膜に電流を流す。また、発光させるべき画素が存在しない各信号電極に選択時電圧と等しい電圧VSSを印加することにより、その信号電極から電流が流れないようにする。この駆動態様を定電圧駆動と記す。
ここで、所定の温度とは信号電極ドライバ4の動作保証温度の上限である。すなわち、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限に達したことを温度センサ4が検出したときには、信号電極ドライバ4は、定電流駆動から定電圧駆動に切り替える。このとき、信号電極ドライバ4は、発光させるべき画素が存在する各信号電極に電源電圧Vinを印加する。
図2は、信号電極ドライバ4の構成例を示す説明図である。信号電極ドライバ4は、個々の信号電極と一対一に対応する定電流回路35と、スイッチ36とを備える。ただし、図2では、一本の信号電極に対応する一組の定電流回路35とスイッチ36のみを示し、他の定電流回路およびスイッチについては省略した。定電流回路35は、信号電極から選択行走査電極に定電流を流す。信号電極ドライバ4は、電源回路5から電源電圧Vinを入力する配線31を備える。配線31は、分岐して各信号電極に対応する定電流回路35と、スイッチ36それぞれに接続される。また、定電流回路35の出力端とスイッチ36とは、配線32によって接続される。スイッチ36には、信号電極に接続される配線33が接続されている。また、信号電極ドライバ4は、電源回路5から電圧VSSを入力する配線34を備える。配線34は、分岐して各信号電極に対応するスイッチ36に接続される。
スイッチ36は、接続されている信号電極が、選択期間中に発光させるべき画素が存在していない信号電極である場合には、配線33を配線34に接続させる。このとき、定電流は流れない。
以下の説明では、スイッチ36に接続されている信号電極が、選択期間中に発光させるべき画素が存在している信号電極であるものとして説明する。温度センサ4は、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限に達したことを検出したならば、信号電極ドライバ4の温度が上昇したことを示す検出信号をスイッチ36に出力する。スイッチ36は、温度センサ4からこの検出信号が入力されるまでは、配線33を配線32に接続させる。この場合、定電流回路35によって信号電極から選択行走査電極に定電流が流される。スイッチ36は、温度センサ4からの検出信号が入力された場合、配線33を配線31に接続させ、配線33に接続されている信号電極に電源電圧Vinを印加する。
図2では、1本の信号電極に対応する定電流回路およびスイッチについて説明したが、他の信号電極に対応する定電流回路およびスイッチの動作も同様である。
図3(a)は、定電流駆動時の信号電極の駆動波形の例を示し、図3(b)は定電流駆動時の走査電極の駆動波形の例を示す。選択期間中、発光させるべき画素が存在する信号電極の電圧は、その電極から定電流が流された結果、図3(a)に示すようにVとなる。なお、選択期間中、発光させるべき画素が存在しない信号電極の電圧はVSS(選択時電圧と等しい電圧)になる。また、選択された走査電極の電圧は、図3(b)に示すように、選択時電圧VSSとなる。選択されていない走査電極の電圧は、非選択時電圧VCOMHとなる。
図4(a)は、定電圧駆動時の信号電極の駆動波形の例を示し、図4(b)は定電圧駆動時の走査電極の駆動波形の例を示す。定電圧駆動時では、信号電極ドライバ4は、選択期間中、発光させるべき画素が存在する信号電極に電源電圧Vinを印加する(図4(a)参照。)。また、選択期間中、発光させるべき画素が存在しない信号電極に電圧VSS(選択時電圧と等しい電圧)を印加する。また、走査電極ドライバ3は、選択した走査電極に選択時電圧VSSを印加し、選択していない走査電極に非選択時電圧VCOMHを印加する(図4(b)参照。)。
次に、定電流駆動時および定電圧駆動時それぞれにおける信号電極ドライバ4の温度上昇について説明する。まず、定電流駆動時における信号電極ドライバ4の温度上昇について説明する。
式2で用いた消費電流Iin(表示パネル1の駆動時の消費電流)は、表示パネル1内で消費される消費電流と、信号電極ドライバ4内で消費される消費電流に分けることができる。表示パネル1内で消費される消費電流は、I・Nと表すことができる。既に述べたように、Iは1本の信号電極から選択行走査電極に流される定電流であり、Nは、選択した1行において発光させるべき画素が存在する信号電極数の数である。また、信号電極ドライバ4内で消費される消費電流をIicとする。換言すれば、表示パネル1と信号電極ドライバ4において消費される電流の合計がIinであり、その合計から表示パネル1で消費される電流を差し引いた電流がIicである。従って、以下の式が成り立つ。
in=I・N+Iic 式5
式5を式4に代入すると、式4は以下のように表される。
ΔT=θ・{(I・N+Iic)・Vin−I・N・V} 式6
式6を変形すると、以下の式のようになる。
ΔT=θ・(Vin−V)・I・N+θ・Vin・Iic 式7
式7で表されるΔTが、定電流駆動時における信号電極ドライバ4の温度上昇である。式7における項θ・(Vin−V)・I・Nは、電源回路5の電源電圧Vinと比較して信号電極に印加される電圧Vが低いために、信号電極ドライバ4の温度が上昇してしまうことを示している。
次に、定電圧駆動時における信号電極ドライバ4の温度上昇について説明する。定電圧駆動時では、画素を発光させるために電流が流される信号電極に電圧Vinが印加される。従って、温度上昇は、式7におけるVをVinに置き換えることで導出できる。VをVinに置き換えると、式7におけるθ・(Vin−V)・I・Nの項は0になる。従って、定電圧駆動時における信号電極ドライバ4の温度上昇は、以下の式で表される。
ΔT=θ・Vin・Iic 式8
なお、式7におけるθ・(Vin−V)・I・Nの項が0になるということは、電源回路5の電源電圧Vinと等しい電圧が信号電極に印加され、信号電極ドライバ4の温度上昇が抑えられるということを意味する。
式7で表されるΔTと式8で表されるΔTとを比較すると、後者の方がθ・(Vin−V)・I・Nに相当する分だけ低い。従って、定電圧駆動時における温度上昇の方が、定電流駆動時における温度上昇よりも抑制されることがわかる。本発明では、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限になったことを温度センサ4が検出したときに、信号電極ドライバ4は定電流駆動から定電圧駆動に切り替える。従って、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限になった後には、温度上昇が抑制される。
次に、信号電極ドライバ4の温度について説明する。信号電極ドライバ4は、オフ状態、すなわち表示パネル1を駆動していない状態であるときには、周囲温度Tと同一の温度となっている。電源回路5から電源電圧が入力され、表示パネル1を駆動し始めると、ΔTだけ温度が上昇する。従って、定電流駆動を行っているときの信号電極ドライバ4の温度Tは、T=T+ΔTと表される。T=T+ΔTに式7を代入すると、信号電極ドライバ4の温度Tは、以下のように表される。
=T+θ・(Vin−V)・I・N+θ・Vin・Iic 式9
温度センサ4は、式9によって表される温度Tが上昇し、信号電極ドライバ4の動作保証温度の上限になったか否かを判定する。Tが動作保証温度の上限になったことを温度センサ4が検出したならば、信号電極ドライバ4は定電圧駆動に切り替える。この結果、温度上昇が抑制される。
次に、コントローラ2による走査電極ドライバ3および信号電極ドライバ4の制御について説明する。コントローラ2は、1行分の表示データの中から各列のデータを順次取得するタイミングを規定するCP(データ転送用クロックパルス)と、選択する走査電極の切り換えを示すLP(ラッチパルス)とを信号電極ドライバ4に出力する。また、コントローラ2は、信号電極ドライバ4に1行分の表示データ(Data)を取り込ませる(図1参照。)。LPの出力タイミングから次のLPの出力タイミングまでが選択期間となる。コントローラ2は、これから選択される行を指定して、メモリ2にその行の表示データをデータ出力領域にコピーさせる。また、コントローラ2は、選択期間中、信号電極の数と同数のパルス信号としてCPを信号電極ドライバ4に出力する。信号電極ドライバ4は、CPの出力タイミング毎に、データ出力領域にコピーされた1行分の表示データ(Data)から各画素のデータを1つずつ取得する。この表示データは、次の選択期間に選択される行の表示データである。
信号電極ドライバ4は、選択期間が終了すると、その選択期間内に取得した1行分の表示データに基づいて、次の選択期間中に発光させるべき画素が存在する信号電極を判定する。
信号電極ドライバ4は、次の選択期間が開始されると、発光させるべき画素が存在する信号電極から定電流を流す。ただし、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度になったことが温度センサ4によって検出されている場合には、発光させるべき画素が存在する信号電極に電源電圧Vinを印加する。
また、コントローラ2は、LPと、1フレームの開始を示すFLM(ファーストラインマーカ)とを走査電極ドライバ3に出力する(図1参照。)。走査電極ドライバ3は、FLMがハイレベルになると、LPに応じて第1行から各走査電極を順次選択していく。
図5は、本発明の駆動装置で表示パネル1を駆動した場合の駆動波形の例を示す説明図である。コントローラ2は、第1行からの走査を指示する場合、FLMをローレベルからハイレベルにする。そして、FLMがハイレベルになっている間にLPを出力する。FLMがハイレベルになっているときにLPが出力されると、走査電極ドライバ3は、そのタイミングで最終行の選択期間を終了し、第1行の選択期間を開始する。コントローラ2は、第1行の選択期間中にFLMをハイレベルからローレベルにする。
走査電極ドライバ3は、FLMがハイレベルになっている間にLPが出力されると、そのタイミングで、第1行走査電極に電圧VSSを印加し、他の各走査電極に電圧VCOMHを印加する。また、信号電極ドライバ4は、直前の選択期間において取得した表示データに基づいて、発光させるべき画素が存在する信号電極から第1行走査電極に定電流を流す。図5に示す例では、第1行の選択期間では、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限に達していないものとする。この場合、信号電極ドライバ4は、定電流駆動を行う。すなわち、第1行の選択期間中に、定電流を流すべき画素が存在する信号電極(図5に示す例では、第k列および第k+1列の信号電極)から第1行走査電極に定電流を流す。この結果、図5に示すように、第1行の選択期間では、第k列および第k+1列の信号電極の電圧はVとなる。また、定電流が流された信号電極と第1行走査電極との交差部分の有機薄膜は発光する。また、他の信号電極(図5に示す第k+2列の信号電極)から第1行走査電極に電流が流れないようにする。この信号電極の電圧はVSSである。
また、第1行の選択期間の間、信号電極ドライバ4は、次に選択される第2行の表示データをメモリ2から取得する。
コントローラ2が次のLPを出力すると、走査電極ドライバ3は、そのタイミングで、第2行走査電極に電圧VSSを印加し、他の各走査電極に電圧VCOMHを印加する。すなわち、第2行選択期間が開始される。
また、図5に示す例では、第1行の選択期間が終了したときに、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限に達したことを温度センサ4が検出したものとする。従って、第2行選択期間以降、信号電極ドライバ4は定電圧駆動を行う。第2行の選択期間中、信号電極ドライバ4は、直前の選択期間において取得した表示データに基づいて、発光させるべき画素が存在する信号電極に電圧Vinを印加し、他の信号電極に電圧VSSを印加する。この結果、電圧Vinが印加された信号電極から第2行走査電極に電流が流れ、その信号電極と第2行走査電極との交差部分の有機薄膜が発光する。電圧VSSが印加された信号電極から第2行走査電極に対しては電流が流れず、その信号電極と第2行走査電極との交差部分の有機薄膜は発光しない。図5に示す例では、第2行の選択期間中に、第k列および第k+2列の信号電極に電圧Vinが印加され、第k+1列の信号電極に電圧VSSが印加された場合を示している。
以降、コントローラ2、走査電極ドライバ3および信号電極ドライバ4は、LPが出力される度に、第2行の選択期間と同様の動作を繰り返す。
本実施の形態では、信号電極ドライバ4が温度センサ4を備え、温度センサ4が信号電極ドライバ4の温度上昇を検出したときには、信号電極ドライバ4は電流を流すべき信号電極に電源電圧であるVinを印加する。従って、電源電圧Vinと比較して信号電極に印加される電圧が低いという状態が解消され、信号電極ドライバ4の温度上昇を抑制することができる。
上記の説明では、信号電極ドライバ4が温度センサ4を備える場合を示したが、温度センサ4は、信号電極ドライバ4の外部に設けられていてもよい。ただし、信号電極ドライバ4の温度上昇を抑制するという観点から、温度センサ4はできるだけ信号電極ドライバ4に近い位置に設けられることが好ましく、特に、信号電極ドライバ4が温度センサ4を備えた構成であることが好ましい。
なお、Vin>Vという関係が成立しているため、定電流駆動時よりも定電圧駆動時の方が、信号電極から流れる電流は大きい。そのため、定電圧駆動に切り替えたときには、表示パネル1に表示される画像の輝度が高くなる。また、電源回路5の出力電圧VinおよびVSSを温度によらずに一定とし、定電流駆動を継続した場合、定電流が流される信号電極の電圧Vは温度上昇に伴い低下する。そのため、もともとVin>Vという関係が成立している上に、温度センサ4が信号電極ドライバ4の温度上昇を検出するときには電圧Vは低下しているので、VinとVとの差は大きくなる。その結果、定電圧駆動に切り替えたときに表示パネル1に表示される画像の輝度が高くなる。
[実施の形態2]本発明の第2の実施の形態は、定電流駆動から定電圧駆動に切り替えたときに表示画像の輝度の変化を抑制するものである。図6は、本発明の第2の実施の形態の有機ELディスプレイ装置の駆動装置の例を示すブロック図である。第1の実施の形態と同様の構成部は、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
信号電極ドライバ4は、温度センサ4を備える。温度センサ4は、第1の実施の形態における温度センサ4と同様に、信号電極ドライバ4の温度T(式9参照。)が信号電極ドライバ4の動作保証温度の上限になったことを検出する。温度センサ4による検出後の信号電極ドライバ4の動作は第1の実施の形態と同様である。
また、温度センサ4は、信号電極ドライバ4の温度を検出し、検出した温度に応じた信号を電源回路15に送信する。温度センサ4は、例えば、一定時間毎に信号電極ドライバ4の温度を検出し、その温度に応じた信号を出力すればよい。
電源回路15は、第1の実施の形態における電源回路5と同様に、信号電極ドライバ4に電圧Vin,VSSを出力し、走査電極ドライバ3に電圧VCOMH、VSSを出力する。ただし、信号電極ドライバ4に対する出力電圧Vinは、温度センサ4から受信する信号に応じて変化させる。
図7は、温度センサ4の出力信号が示す温度と電源回路15の出力電圧Vinとの関係の一例を示す説明図である。図7に示すように、電源回路15は、温度センサ4から受信する信号が示す温度が高くなるにつれて信号電極ドライバ4に対する出力電圧Vinを低下させる。
本実施形態では、周囲の温度が高くなるほど、電源回路15の出力電圧Vinは低下する。そして、信号電極ドライバ4の温度が動作保証温度の上限に達したことを温度センサ4が検出したとき、信号電極ドライバ4は、電源回路15の出力電圧Vinを用いて、定電圧駆動を行う。このとき、信号電極ドライバ4によって信号電極に印加される電圧はVinであるが、この電圧Vinは、温度上昇に伴い低下した状態になっている。従って、定電流駆動から定電圧駆動への切替時に、信号電極の電圧の増加量(VからVinへの増加量)は、第1の実施の形態に比べて小さくなる。すると、定電流駆動から定電圧駆動に切り替えたときに、信号電極から選択行走査電極に流れる電流の増加量も第1の実施の形態に比べて小さくなり、定電圧駆動への切替時における表示画像の輝度の変化を抑制することができる。
なお、上記の実施の形態においてスイッチ36は、特許請求の範囲に記載された切替手段に相当する。また、温度センサは、特許請求の範囲に記載された温度検出手段に相当する。
また、上記の実施の形態において、定電流駆動から定電圧駆動へ切り替える温度を信号電極ドライバの動作保証温度の上限としたが、定電流駆動から定電圧駆動へ切り替える温度は、動作保証温度の上限に限定されない。動作保証温度の上限から特定温度(例えば5℃ないし10℃、あるいは0℃ないし10℃)を減じた温度を、定電流駆動から定電圧駆動へ切り替える温度として定めてもよい。
本発明は、例えば、高温環境下におかれることがある有機ELディスプレイ装置の駆動装置に利用することができる。
本発明の第1の実施の形態の有機ELディスプレイ装置の駆動装置の例を示すブロック図。 信号電極ドライバの構成例を示す説明図。 定電流駆動時の信号電極および走査電極の駆動波形の例を示す説明図。 定電圧駆動時の信号電極および走査電極の駆動波形の例を示す説明図。 本発明における駆動波形の例を示す説明図。 本発明の第2の実施の形態の有機ELディスプレイ装置の駆動装置の例を示すブロック図。 温度センサの出力信号が示す温度と電源回路の出力電圧Vinとの関係の一例を示す説明図。
符号の説明
1 有機ELディスプレイ装置
2 コントローラ
メモリ
3 走査電極ドライバ
4 信号電極ドライバ
温度センサ
5 電源回路
6 外部MPU

Claims (3)

  1. 複数の走査電極と複数の信号電極との間に有機薄膜が配置された有機ELディスプレイ装置の駆動装置であって、
    個々の走査電極を選択しながら走査電極の走査を行う走査電極ドライバと、
    個々の信号電極と一対一に対応する定電流回路と、個々の信号電極毎に設けられ、電源電圧を定電流回路に入力させるか定電流回路を介さずに信号電極に入力させるかを切り替える切替手段とを含む信号電極ドライバと、
    前記信号電極ドライバに前記電源電圧を出力する電源回路と、
    前記信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことを検出する温度検出手段とを備え、
    切替手段のうち発光させるべき画素が存在する信号電極に対応する切替手段は、前記温度検出手段によって前記信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことが検出された場合に、前記電源電圧を定電流回路を介さずに信号電極に入力させ、前記温度検出手段によって前記信号電極ドライバの温度が所定の温度になったことが検出されていない場合に、前記電源電圧を定電流回路に入力させる
    ことを特徴とする有機ELディスプレイ装置の駆動装置。
  2. 温度検出手段は、信号電極ドライバの温度を検出し、検出した温度に応じた信号を電源回路に送信し、
    前記電源回路は、前記温度検出手段から受信した信号が示す温度が高くなるほど、信号電極ドライバに出力する電源電圧を低下させる
    請求項1に記載の有機ELディスプレイ装置の駆動装置。
  3. 信号電極ドライバが温度検出手段を備える請求項1または請求項2に記載の有機ELディスプレイ装置の駆動装置。
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