JP2005337848A - 超音波測距装置 - Google Patents

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剛彦 杉ノ内
Koichi Saito
幸一 齊藤
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Abstract

【課題】精度の高い計測が可能な超音波測距装置を提供する。
【解決手段】本発明の超音波測距装置は、送信用超音波振動子1と、受信用超音波振動子2と、送信用超音波振動子から超音波を対象物に向けて送信するために、キャリア信号を変調信号で周波数変調した駆動信号を生成し、駆動信号によって送信用超音波振動子を駆動する駆動部32と、送信用超音波振動子から送信される超音波にドプラーシフトが生じるように送信用超音波振動子を振動させる振動発生部31と、受信用超音波振動子において検出した、対象物からの反射波による受信信号を増幅し、受信信号を復調する受信部34と、変調信号をドプラーシフトによるドプラー偏移周波数で変調した信号と、復調した信号との相互相関関数を求める相互相関部33と、相互相関関数が最大となる時間に基づき、超音波の伝播時間を決定し、伝播時間から対象物までの距離を求める距離算出部20とを備える。
【選択図】図1



Description

本発明は超音波の伝播時間を測定することにより、物体までの距離を求める超音波測距装置に関する。
超音波測距装置は、物体に向かって超音波を送信し、物体において反射した超音波を受信することにより、超音波の伝播時間を求め、伝播時間から物体までの距離を算出する。超音波は、気体や液体中を伝播するので、媒体における超音波の伝播速度が分かれば空中や液体中にある物体までの距離を求めることができる。
超音波測距装置では、その測定原理上、物体からの反射波が到達した時間を正しく測定することが重要である。一般に、受信した反射波の強度が所定の検知レベルに達したとき、反射波を検知したと判断し、反射波の到達時刻を定めている。
超音波測距装置による計測では、媒体の揺らぎや周囲の雑音などが測定に影響する。このような影響を排除するために、特許文献1および特許文献2は、送信する超音波を周波数変調し、受信した反射波による信号を相関処理することにより超音波の伝播時間を求める超音波測距装置を開示している。図10に示すように、この超音波測距装置100では、キャリア信号生成部108および変調信号発生部105において、バースト波からなるキャリア信号108sおよび周期Tの間に周波数がf0からf1まで変化する変調信号105sをそれぞれ生成する。周波数変調部107は、キャリア信号108sを変調信号105sで周波数変調し、送信アンプ103へ出力する。送信アンプ103は変調信号発生部107から信号を受け取って、駆動信号103sを送信用超音波振動子101へ出力する。
駆動信号103sによって送信用超音波振動子101から送信された超音波は物体111において反射し、反射波が受信用超音波振動子102に到達する。受信用超音波振動子101によって受信された反射波による受信信号は受信アンプ104で増幅され、受信信号104sとなる。周波数復調部106は受信信号104sを復調する。
相互相関部110は、変調信号発生部105から得られる信号をその信号の生成時刻から所定の時間間隔で順次遅延させ、遅延させた信号と復調した受信波との相互相関関数110sを求める。そして、最も相関度の高い遅延時間を伝播時間として求める。
特開平7−104063号公報 特開平5−273335号公報
図11は、相互相関関数110sを拡大して模式的に示している。図に示すように相互相関関数110sは時刻T=t1において最大となる。したがって、伝播時間はt1となる。相互相関関数110sのピークが緩やかである場合、最大となる時刻はある程度の幅を持つことなり、伝播時間に誤差が生じる。図11では相互相関関数110sを模式的に示しているが、実際に得られる相互相関関数110sにはノイズが重畳しているため、相互相関関数110sのプロファイルは最大となる時刻近傍においてより緩やかとなる。このため、伝播時間の誤差が大きくなってしまう。
伝播時間の誤差を小さくし、測定精度を向上させるためには、曲線110s’で示すように、相互相関関数のプロファイルを急峻にすればよい。急峻なプロファイルの相互相関関数を得るためには、キャリア信号108sを変調する周波数帯域を広くする、あるいは、変調する周波数の周期を短くすることが知られている。
しかし、一般に用いられる超音波振動子は、圧電セラミックの共振現象を利用して超音波を発生させるため、原理上、共振周波数近傍の狭い帯域でしか超音波を発生させることができない。周波数帯域の広い超音波振動子も存在するが、そのような超音波振動子は、大きな出力で駆動する必要がある。
また、上述したように超音波振動子は共振周波数近傍の周波数でしか振動しないため、短い周期でキャリア信号を変調し、変調したキャリア信号で超音波振動子を駆動させても、変調したキャリア信号の波形の通り超音波振動子は振動しない。このため、短い周期でキャリア信号を変調しても、得られる相関関数のプロファイルはそれほど急峻とはならない。
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、精度の高い計測が可能な超音波測距装置を提供することを目的とする。
本発明の超音波測距装置は、送信用超音波振動子と、受信用超音波振動子と、前記送信用超音波振動子から超音波を対象物に向けて送信するために、キャリア信号を変調信号で周波数変調した駆動信号を生成し、前記駆動信号によって前記送信用超音波振動子を駆動する駆動部と、前記送信用超音波振動子から送信される前記超音波にドプラーシフトが生じるように前記送信用超音波振動子を振動させる振動発生部と、前記受信用超音波振動子において検出した、前記対象物からの反射波による受信信号を増幅し、前記受信信号を復調する受信部と、前記変調信号を前記ドプラーシフトによるドプラー偏移周波数で変調した信号と、前記復調した信号との相互相関関数を求める相互相関部と、前記相互相関関数が最大となる時間に基づき、前記超音波の伝播時間を決定し、前記伝播時間から前記対象物までの距離を求める距離算出部とを備える。
ある好ましい実施形態において、前記振動発生部は圧電振動子を含む。
ある好ましい実施形態において、前記駆動信号はチャープ波である。
ある好ましい実施形態において、前記駆動信号は、パルス波である。
ある好ましい実施形態において、超音波測距計は前記測定対象物の周囲の環境温度を計測する温度計をさらに備え、前記距離算出部は、計測した環境温度に基づいて前記超音波の伝播速度を補正し、補正した伝播速度を用いて前記測定対象物までの距離を求める。
ある好ましい実施形態において、前記受信部は、受信信号の振幅を検出する検出部を含み、前記検出結果に基づき、前記反射波の伝播方向に対する前記受信用超音波振動子の方向を調整する。
ある好ましい実施形態において、前記受信用超音波振動子の方向に基づいて前記対象物の方位を求める。
本発明の方位計は、上記いずれかに規定される超音波測距装置を複数備え、前記複数の超音波測距装置により計測した測定対象物までの距離から前記測定対象物の方位を求める。
本発明の流量計は、上記いずれかに規定される超音波測距装置を備え、前記超音波測距装置の送信用超音波振動子および受信用超音波振動子を流体の流路を挟んで対向するように配置し、前記超音波の伝播時間から流体の流速および流量を求める。
本発明の超音波による距離計測方法は、送信用超音波振動子を振動させながらキャリア信号を変調信号で周波数変調した駆動信号を送信用超音波振動子に印加し、ドプラーシフトが生じた超音波を対象物に向けて送信するステップと、前記対象物において反射した前記超音波を受信用超音波振動子で検知し、受信信号を生成するステップと、前記受信信号を復調するステップと、前記変調信号を前記ドプラーシフトによるドプラー偏移周波数で変調した信号と、前記復調した受信信号との相互相関関数を求めるステップと、前記相互相関関数が最大となる時間に基づき、前記超音波の伝播時間を決定し、前記伝播時間から前記対象物までの距離を求めるステップとを包含する。
本発明によれば、送信用超音波振動子を振動させ、送信用超音波振動子から送信される超音波にドプラーシフトを生じさせる。このため、送信用超音波振動子自体の帯域は狭くても、変調信号の周波数を高くし、プロファイルを鋭くすることができる。これにより、相互相関関数のプロファイルを急峻にし、超音波の伝播時間を正確に求めることができ、対象物までの距離をより正確に計測することができる。
以下、本発明の超音波測距装置の実施形態を説明する。図1は、超音波測距装置51の構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す各ブロックにおいて生成あるいは出力される信号の波形を模式的に示している。図1に示すように、超音波測距装置51は、送信用超音波振動子1と、受信用超音波振動子2と、駆動部32と、振動発生部31と、相互相関部33と、受信部34と、相互相関器14と、距離算出部20とを備えている。
送信用超音波振動子1および受信用超音波振動子2には、厚み振動モード、横すべり振動モード、縦振動モードなどの振動モードにより、およそ20kHz以上の周波数で駆動され、超音波距離計に従来より用いられる圧電振動子を用いることができる。計測を行う媒体中での超音波減衰率、測定したい距離の範囲、駆動部32の性能などにより周波数を決定する。本実施形態では、たとえば、厚み振動モードで振動し、40kHzの共振周波数を持つ圧電振動子を送信用超音波振動子1および受信用超音波振動子2に用いる。このような特性を備え圧電振動子のなかで、特に出力の大きい圧電振動子を送信用超音波振動子1に用い、帯域の広い圧電振動子を受信用超音波振動子2に用いることが好ましい。
図1に示すように、駆動部32は、キャリア信号発生部8、変調信号発生部5、周波数変調部7および送信アンプ3を含む。キャリア信号発生部8は、送信用超音波振動子1の共振周波数におおよそ一致した周波数を有するキャリア信号8sを生成する。変調信号発生部5は、キャリア信号8sを周波数変調するための変調信号5を生成する。周波数変調部7は、キャリア信号8sおよび変調信号5をキャリア信号発生部8および変調信号発生部5からそれぞれ受け取り、キャリア信号8sを変調信号5sで変調した駆動信号7sを生成する。変調信号発生部5には、たとえば電圧制御振動発生器(通称VOともいう)を用いることができる。周波数変調部7で生成した駆動信号7sは送信アンプ3へ入力され、増幅された後、送信用超音波振動子1に印加される。
図3(a)および(b)は、変調信号5sおよびキャリア信号8sの一例をそれぞれ示している。送信用超音波振動子1の共振周波数が40kHzである場合、キャリア信号の周波数も40kHzであることが好ましい。
超音波を送受信し、伝播時間を測定することにより対象物までの距離を測定するので、送信する超音波を適当な長さのバースト波として送受信を行い、繰り返して伝播時間を計測することにより、計測精度を高める。このため、本実施形態では、たとえば、キャリア信号8sを2マイクロ秒のバースト波とする。変調信号5sはこのバースト波を、32kHzから48kHzまで変調する。つまり周波数変調度は40%である。上述したように、超音波振動子は共振により振動するため、共振周波数から大きく外れた周波数では駆動できない。このため、変調度は0%〜40%程度であることが好ましい。
振動発生部31は、送信用超音波振動子1から送信される超音波にドプラーシフトが生じるように送信用超音波振動子1を振動させる。振動の方向は送信用超音波振動子1の振動面に対して垂直であることが好ましい。このために、振動発生部31は、アクチュエータ16および振動信号発生部13を含む。本実施形態では、アクチュエータ16として圧電振動子を用い、振動信号発生部13でアクチュエータ16を駆動する振動信号13sを生成する。送信用超音波振動子1の振動の周期は、たとえば、キャリア信号8sの2倍程度にし、最大速度は17m/sとなるようにする。したがって、アクチュエータ16に用いられる圧電振動子は約20kHzの共振周波数を有している。本実施形態では、振動発生部31は、アクチュエータ16および振動信号発生部13によって構成しているが、送信用超音波振動子1を振動させることができる限り、他の駆動手段を用いてもよい。たとえば、モータや弾性振動体などを用いた機械的な駆動源を採用してもよい。
送信用超音波振動子1に印加される駆動信号と同期して送信用超音波振動子1を振動させるために、超音波測距計51にタイミング部9を設けることが好ましい。タイミング部9から所定の周期を有するトリガー信号9sを出力させ、トリガー信号9sに同期して、キャリア信号8sを生成し、また、アクチュエータ16を駆動する振動信号13sを生成させる。
振動発生部31のアクチュエータ16は図4中波形16dで示すように送信用超音波振動子1を変位させる、このとき、送信用超音波振動子1は波形16vで示す速度で振動する。このため、送信用超音波振動子1は移動しながら超音波を送信することになり、送信用超音波振動子1から送信される超音波の周波数はドプラーシフトにより変調する。
図5(a)および(b)は、送信用超音波振動子1が静止している場合において、送信用超音波振動子1から送信される超音波の波形、および、振動発生部31により振動が与えられた送信用超音波振動子1から送信される超音波の波形をそれぞれ示している。また、図5(c)および(d)はそれぞれ図5(a)および(b)に示す信号のスペクトログラムを示している。図5(c)および(d)において、濃いハッチングで示される周波数帯域では信号の強度がハッチングの薄い帯域に比べ強いことを示している。
図5(a)および(c)に示されるように、静止した送信用超音波振動子1から送信される超音波は、変調信号5sによる変調を受け、図に示す期間中、周波数が変化しているが、送信用超音波振動子1が振動発生部31により振動すると、ドプラーシフトによる変調が重畳され、図5(b)および(d)に示されるように、さらに周波数が変動している。
送信用超音波振動子1から送信された超音波は対象物11へ向かって伝播する。対象物11において反射した超音波は受信用超音波振動子2に到達し、受信用超音波振動子2において検知され、電気信号に変換される。図6(a)に示すように、対象物11から反射波は、受信用超音波振動子2の振動面に対しておおよそ垂直に入射することが好ましい。受信用超音波振動子2により反射波を受信する検出感度が最大となり、受信信号の振幅が最大となるからである。
図7(b)に示すように、反射波の伝播方向と受信用超音波振動子2の振動面の法線方向とが一致せず、ゼロではない角度θをなす場合、ドプラーシフトの効果つまりドプラー偏移周波数は角度θに依存する。振動発生部31における送信用超音波振動子1の瞬間移動速度v、ドプラー偏移周波数fd、キャリア信号の周波数f0、超音波が伝播する媒質中の速度Cとした場合、ドプラー偏移周波数fdは、以下の式で示される。
fd=(2vcosθ)/c)f0
図6(b)に示すように、反射波の伝播方向と受信用超音波振動子2の振動面の法線方向とが一致していない場合には、受信信号の振幅が最大となるように反射波の伝播方向に対する受信用超音波振動子2の角度を調節すればよい。このときの角度θは、送信用超音波振動子1から超音波が出射する方向に対する対象物11の方位を示している。したがって、たとえば、受信用超音波振動子2の角度θをモータなどによって変化させながら受信用超音波振動子2による受信信号を包絡線検波し、受信信号の振幅の大きさを評価することによって、対象物11の方位を測定することもできる。
なお、送信用超音波振動子1と受信用超音波振動子2との間隔dに比べて送信用超音波振動子1(および受信用超音波振動子2)と対象物11との距離Lが十分に大きい場合には、対象物11から得られる反射波は受信用超音波振動子2の振動面に対しておおよそ垂直に入射する。このため、角度θを調整する必要はない。前述したように送信用超音波振動子1を最大速度17m/sで振動させ、角度θがゼロである場合、最大で4kHzのドプラー偏移周波数が送信用超音波振動子1から送信される超音波に重畳される。
受信用超音波振動子2により検知された反射波は、図2に示すように、電気的な受信信号11’sに変換され、受信アンプ4および周波数復調部6を含む受信部34へ入力される。受信アンプ4は、受信用超音波振動子2から受け取る受信信号11’sを増幅し、増幅した受信信号を周波数復調部6へ出力する。
周波数復調部6は、受信信号を復調する。図2に示すように復調した受信信号6sは、
受信信号11’sからキャリア信号8sの成分が除去されており、変調信号5sにドプラーシフトによる変調が重畳した波形を示している。
相互相関部33は、復調した受信信号6sと、変調信号5sをドプラーシフトにより変調した信号との相互相関関数を求める。このために相互相関部33は、変調信号シフト部14および相互相関演算部10を含む。
図7は、変調信号シフト部14において生成する信号14sの波形を示している。この信号14sは、図に示すように変調信号5sにドプラーシフトによる変調が重畳した波形を有している。つまり、信号14sは復調した受信信号6sと同じ波形を有している。
変調信号シフト部14は、あらかじめ定めた時刻t0から、所定の遅延時間Δtずつ遅延したタイミングで図7に示す波形を有する信号14snを相互相関演算部10へ出力する。具体的には、信号14s1、14s2、14si、・・・14sn、はそれぞれ、t1=Δt、t2=2Δt、ti=iΔt1、tn=nΔtのタイミングで出力される。時刻t0は、駆動信号が生成されるタイミング、つまり、超音波が送信用超音波振動子1から送信されるタイミングであってもよい。対象物の位置があらかじめ所定の範囲にあることが分かっている場合には、超音波が送信用超音波振動子1から送信された後所定の時間経過後から信号14snを出力してもよい。
相互相関演算部10は、変調信号シフト部14から受け取る各信号14snと復調した受信信号6sとの積を求め、その値を順に記憶する。図2に示すように、信号14s1が生成されるとき、反射波はまだ到達していないため、積の値はゼロである。復調した受信信号6sと復調した受信信号6sの波形と信号14siとは波形がほぼ一致するため、積の値も最大となる。横軸を時間としてこのようにして得られた値をプロットすることにより、図2および図8の曲線40で示される相互相関関数が得られる。
図8において、曲線41は送信用超音波振動子1を振動させずに計測を行った場合の相互相関関数の波形を示している。図から明らかなように、相関度が最大となるピークは曲線40に比べなだらかである。これは、相関度が最大となる伝播時間に誤差が含まれ易いことを示している。
相互相関を求める復調した受信信号6sと、変調信号5sをドプラー偏移周波数で変調した信号とは同じ波形であるため、相互相関関数は変調信号5sをドプラー偏移周波数で変調した信号の自己相関関数に等しい。自己相関関数はある波形の関数f(t)とその関数を時間t だけ遅らせた時の信号との相関であるため、関数f(t)自体のピークが鋭い場合、自己関数のピークも鋭くなる。したがって、変調信号5sをドプラー偏移周波数で変調することにより、自己相関関数および相互相関関数の波形も鋭くなる。
距離算出部20は、相互相関関数20において最大となる時間を相互相関演算部10から受け取る。信号14snが送信用超音波振動子1から超音波が送信されるタイミングと一致して生成されている場合には、この時間が超音波の伝播時間となる。信号14snが他のタイミングを基準に生成されている場合には、その基準に基づき、超音波の伝播時間を決定することができる。距離算出部20は、タイミング部9から発生するトリガー信号9sに基づいて送受信を複数回繰り返し、伝播時間をそれぞれ求め、伝播時間の平均値を算出する。そして、求めた平均伝播時間および超音波の速度を用いて測定対象物11までの距離を算出する。図1示すように、測定対象物11の回りの環境温度を温度計21によって計測し、超音波の速度を環境温度で補正してもよい。空気の音速v(m)は温度t(℃)の関数としてv=331.45+0.6(t)で近似的に表される。この関係を用いて超音波の伝播速度を補正することにより、より正確な距離を求めることができる。
このように、本発明の超音波測距計では、送信用超音波振動子を振動させ、送信用超音波振動子から送信される超音波にドプラーシフトを生じさせる。このため、送信用超音波振動子自体の帯域は狭くても、変調信号をドプラー偏移周波数で変調することにより周波数を高くし、プロファイルを鋭くすることができる。これにより、相互相関関数のプロファイルを急峻にし、超音波の伝播時間を正確に求めることができ、対象物までの距離をより正確に計測することができる。送信用超音波振動子の振動は送信用超音波振動子により超音波の送信とは独立して行うことができるので、送信用超音波振動子の帯域に制限されることなく、変調信号を変調することができる。また、周波数変調された超音波を用いて計測を行うため、測定環境における雑音や風など環境の揺らぎなどの影響を受けにくく精度の高い計測を行うことができる。
本発明は、測定対象物までの距離を求める距離計として種々の分野で使用することが可能であり、超音波を用いるため、レーザで距離を求めることが困難な粉体、鏡面体、透明体などの測定対象物までの距離を求めるのに適している。また、前述した特長を備えているので、騒音の大きい環境や、風などにより大気の揺らぎがある場合など、従来の超音波測距装置に対しては適切ではない環境においても本発明の超音波測距装置を用いて正確に距離を計測することがきる。このような特徴は、ロボットの環境センシング装置として、本発明の超音波測距装置を用いるのにも適している。
また、環境の影響を受けにくいため、本発明の超音波測距装置を超音波流量計に好適に用いることができる。この場合には、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子との間に形成される超音波の伝播経路が流体の移動方向と直交しないように、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子とを計測すべき流体が移動している流路を挟んで対向するように配置する。送信用超音波振動子と受信用超音波振動子との間の距離および流体が静止しているときの超音波の伝播速度はあらかじめ求めておく。送信用超音波振動子から直接受信用超音波振動子へ超音波を送信し、前述した手順により伝播時間を求める。計測した伝播時間は、超音波の伝播経路と流体の移動方向とで定まる流体の移動による影響を受けているので、計測した伝播時間、伝播距離および流体が静止しているときの超音波の伝播速度から流体の移動速度および流量を求めることができる。
なお、本実施形態では、送信用超音波振動子1および受信用超音波振動子2を用いているが、送信用超音波振動子1は受信用超音波振動子を兼ねていてもよい。この場合には、送受信用超音波振動子1と送信部32との間に切り替え部を設け送受信のタイミングにあわせこれらのブロックとの接続を切り替えればよい。受信を行う場合には、振動発生部31を停止し、送受信用超音波振動子1の振動を停止する。
また、本実施形態では、所定の周波数を有するキャリア信号を変調信号により変調したチャープ波を駆動部は生成していた。しかし、チャープ波のようにパルス幅およびパルス間隔が変化するパルス波を用いてもよい。
また、本発明の超音波測距装置を複数用いることによって測定対象物の方位を求めることができる。図9に示すように超音波測距装置150および超音波測距装置150’を所定の間隔L0を隔てて配置し、それぞれの超音波測距装置を用いて測定対象物17までの距離を計測する。超音波測距装置150および超音波測距装置150’には上述の超音波測距装置51を用いる。超音波測距装置150および超音波測距装置150’から測的対象物間での距離がL1およびL2であるとすると、測定対象物はL0離れた2点を中心とし、半径L1およびL2の円が交わる点に位置している。したがって、超音波測距装置150および超音波測距装置150’からみた測定対象物17の方向が求められる。超音波測距装置を3つ以上用いて、同様の手順により計測を行えば、3次元空間における測定対象物の方向を求めることもできる。
本発明の超音波測距装置は、雑音や騒音、周囲の媒体の揺らぎなどの影響を受けにくく、正確に対象物までの距離を計測することができ、種々の用途の距離計測装置に用いることができる。また、ロボットの環境センシング装置、流量計、方位計などにも用いることができる。
本発明の超音波測距装置の構成を示すブロック図である。 図1に各部において生成する信号の波形およびそのタイミングを示す図である。 (a)および(b)は変調信号およびキャリア信号の波形を示している。 振動発生部の振動変位および速度を示すグラフである。 (a)および(b)は、送信用超音波振動子が静止している場合において、送信用超音波振動子から送信される超音波の波形、および、振動発生部により振動が与えられた送信用超音波振動子から送信される超音波の波形をそれぞれ示している。また、(c)および(d)はそれぞれ(a)および(b)に示す信号のスペクトログラムを示している。 (a)および(b)は反射波の伝播方向に対する受信用超音波振動子の方向を説明する図である。 変調信号シフト部において生成する信号の波形を示している。 相互相関関数を示している。 本発明の超音波測距装置を用いた方位計を説明する図である。 従来の超音波測距計の構成を示すブロック図である。 相互相関関数を模式的に示している。
符号の説明
1 送信用超音波振動子
2 受信用超音波振動子
3 送信アンプ
4 受信アンプ
5 変調信号発生部
6 周波数復調部
7 周波数変調部
8 キャリア信号発生部
9 タイミング部
10 相互相関演算部
11 対象物
13 振動信号発生部
14 変調信号シフト部
16 アクチュエータ
31 振動発生部
32 駆動部
33 相互相関部
34 受信部


Claims (10)

  1. 送信用超音波振動子と、
    受信用超音波振動子と、
    前記送信用超音波振動子から超音波を対象物に向けて送信するために、キャリア信号を変調信号で周波数変調した駆動信号を生成し、前記駆動信号によって前記送信用超音波振動子を駆動する駆動部と、
    前記送信用超音波振動子から送信される前記超音波にドプラーシフトが生じるように前記送信用超音波振動子を振動させる振動発生部と、
    前記受信用超音波振動子において検出した、前記対象物からの反射波による受信信号を増幅し、前記受信信号を復調する受信部と、
    前記変調信号を前記ドプラーシフトによるドプラー偏移周波数で変調した信号と、前記復調した信号との相互相関関数を求める相互相関部と、
    前記相互相関関数が最大となる時間に基づき、前記超音波の伝播時間を決定し、前記伝播時間から前記対象物までの距離を求める距離算出部と、
    を備えた超音波測距装置。
  2. 前記振動発生部は圧電振動子を含む請求項1に記載の超音波測距装置。
  3. 前記駆動信号は、チャープ波である請求項1または2に記載の超音波測距装置。
  4. 前記駆動信号は、パルス波である請求項1または2に記載の超音波測距装置。
  5. 前記測定対象物の周囲の環境温度を計測する温度計をさらに備え、前記距離算出部は、計測した環境温度に基づいて前記超音波の伝播速度を補正し、補正した伝播速度を用いて前記測定対象物までの距離を求める請求項1から4のいずれかに記載の超音波測距装置。
  6. 前記受信部は、受信信号の振幅を検出する検出部を含み、前記検出結果に基づき、前記反射波の伝播方向に対する前記受信用超音波振動子の方向を調整する請求項1から4のいずれかに記載の超音波測距装置。
  7. 前記受信用超音波振動子の方向に基づいて前記対象物の方位を求める請求項6に記載の超音波測距装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに規定される超音波測距装置を複数備え、前記複数の超音波測距装置により計測した測定対象物までの距離から前記測定対象物の方位を求める方位計。
  9. 請求項1から7のいずれかに規定される超音波測距装置を備え、前記超音波測距装置の送信用超音波振動子および受信用超音波振動子を流体の流路を挟んで対向するように配置し、前記超音波の伝播時間から流体の流速および流量を求める流量計。
  10. 送信用超音波振動子を振動させながらキャリア信号を変調信号で周波数変調した駆動信号を送信用超音波振動子に印加し、ドプラーシフトが生じた超音波を対象物に向けて送信するステップと、
    前記対象物において反射した前記超音波を受信用超音波振動子で検知し、受信信号を生成するステップと、
    前記受信信号を復調するステップと、
    前記変調信号を前記ドプラーシフトによるドプラー偏移周波数で変調した信号と、前記復調した受信信号との相互相関関数を求めるステップと、
    前記相互相関関数が最大となる時間に基づき、前記超音波の伝播時間を決定し、前記伝播時間から前記対象物までの距離を求めるステップと、
    を包含する超音波による距離計測方法。


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