JP2005334850A - 中空糸膜束の洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空糸束を洗浄するにあたり、洗浄液の使用量の低減、及び洗浄斑の低減、洗浄中の中空糸のダメージの低減、さらに透析時に患者の発熱の原因とされるエンドトキシンの混入抑制を課題とするものである。
【解決手段】(1)洗浄装置内に回転可能なテーブルが配設され、(2)該回転可能なテーブル上に複数本の中空糸膜束を収容可能で、洗浄液が通過可能な洗浄ボックスを設置可能であり、(3)該回転可能なテーブルの中心軸に洗浄液を吐出可能な少なくとも1つのノズルが配設され、(4)洗浄液を加熱可能なヒーター装置が洗浄装置に付設され、(5)洗浄装置内を加熱・保温可能なヒーター装置を有する中空糸膜束の洗浄装置を用いて、遠心洗浄機内の回転テーブル上に、紡糸された中空糸膜束を放射状に配し、これを回転させながら回転中心付近に設置したノズルから中空糸膜束の端面に向かって洗浄液を噴射することにより上記課題を解決した。
【選択図】なし
【解決手段】(1)洗浄装置内に回転可能なテーブルが配設され、(2)該回転可能なテーブル上に複数本の中空糸膜束を収容可能で、洗浄液が通過可能な洗浄ボックスを設置可能であり、(3)該回転可能なテーブルの中心軸に洗浄液を吐出可能な少なくとも1つのノズルが配設され、(4)洗浄液を加熱可能なヒーター装置が洗浄装置に付設され、(5)洗浄装置内を加熱・保温可能なヒーター装置を有する中空糸膜束の洗浄装置を用いて、遠心洗浄機内の回転テーブル上に、紡糸された中空糸膜束を放射状に配し、これを回転させながら回転中心付近に設置したノズルから中空糸膜束の端面に向かって洗浄液を噴射することにより上記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
本発明は、中空糸膜製造装置に係り、特に中空糸膜の内部に残存する溶媒及び異物を取り除くのに適した中空糸膜洗浄装置に関するものである。
従来、中空糸膜の内部に残存する溶媒を取り除く洗浄方法として、次のような方式が知られている。この方式は、中空糸膜を洗浄ボックスに収納し、この洗浄ボックスを洗浄水が入れられた浸漬槽に浸漬する。そして、洗浄水を加熱保温するとともに浸漬槽内の洗浄水の入れ替えと、中空糸膜の脱水を数回繰り返すことにより、中空糸膜を洗浄するものである。
また、紡糸された中空糸膜を、洗浄水が通過可能な洗浄ボックスに束状態で収納し、前記洗浄ボックスを回転させながら周囲より洗浄水を前記洗浄ボックスへ噴射して、洗浄することを特徴とする中空糸膜の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)
特許第3147600号公報
従来の洗浄方法は、中空糸膜を熱水浴へ浸漬するものであるので、洗浄水が中空糸膜の内部に通水されて溶媒が流出されるまでに要する時間や、浸漬水槽内の洗浄水を数回にわたって入れ替えるのに要する時間など、中空糸膜の洗浄に必要な処理時間が長く(例えば、12時間程度)かかる。また、浸漬水槽の内部では洗浄水が対流しにくいので、洗浄ムラが発生する恐れがある。また、洗浄水が中空糸膜の内部へ通水されにくく、溶媒も流出されにくいので、中空糸膜に対する洗浄水のしめる割合を大きくする必要があり、そのため大きな浸漬水槽を用いなければならない。さらに、洗浄水が大きな浸漬水槽へ数回入れ替えられるので、多量の洗浄水が消費され、洗浄するのにコストがかさむという問題点がある。
また、紡糸された中空糸膜を、洗浄水が通過可能な洗浄ボックスに束状態で収納し、前記洗浄ボックスを回転させながら周囲より洗浄水を前記洗浄ボックスへ噴射して、洗浄する方法では、中空糸内面側へ積極的に洗浄水を供給することが出来ず、中空糸内面に溶媒が残留し易くなる問題点がある。さらに、100L以上の大量の洗浄水を中空糸に供給し、中空糸を回転させると中空糸に付着した洗浄水により発生する遠心力により糸が曲がったり、折れたりするため中空糸へのダメージを与えてしまう。中空糸が曲がったり、折れたりした場合には、ろ過性能が低下するだけでなく、ろ過中に中空糸が破れ中空糸膜として致命的な欠陥を生み出す可能性を持ってしまう問題がある。また、使用する洗浄水を循環して使用する構成では、洗浄した溶媒が最付着してしまい、洗浄効率が低下する問題を抱えている。
従来の洗浄方法、装置は溶剤の除去を目指したものであり、透析中に患者の発熱の問題を引き起こすエンドトキシンに関してエンドトキシンを中空糸膜から除去するもしくは付着させないための方法が言及されていない。特に、特許文献1に示されている方法では、洗浄に用いた洗浄液を再度利用する循環方式で洗浄を行なうためエンドトキシンが再付着する可能性があり、さらに洗浄ラインをエンドトキシンで汚染してしまう問題に対しては全く配慮されていない。
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、洗浄液の使用量の低減、及び中空糸内外の洗浄ムダの発生、洗浄中における中空糸へのダメージの低減、さらに透析時に患者の発熱の原因とされるエンドトキシンの混入を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち、本発明は下記の構成を有する。
(A)遠心洗浄機内の回転テーブル上に、中空糸膜を束ねた束状物(中空糸膜束)を放射状に配し、これを回転させながら回転中心付近に設置したノズルより中空糸膜束の端面に向かって洗浄液を噴射することを特徴とする中空糸膜束の洗浄方法。
(B)該洗浄液の粒径が500μm以下であることを特徴とする(A)記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(C)洗浄液の温度が10〜95℃であることを特徴とする(A)または(B)に記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(D)回転の加速度が中空糸膜束外側先端において1m/s2〜100m/s2であることを特徴とする(A)〜(C)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(F)ノズルから噴射される洗浄液の噴射角度が5°〜120°であることを特徴とする(A)〜(D)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(G)ノズルから吐出される洗浄液量が20〜100ml/minであることを特徴とする(A)〜(F)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(H)該洗浄液が水またはアルコールであることを特徴とする(A)〜(G)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(I)該洗浄液が実質的にエンドトキシンを含まないことを特徴とする(A)〜(H)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(J)洗浄後の洗浄廃液を再使用しないことを特徴とする(A)〜(I)いずれか記載の中空糸束の洗浄方法。
(K)該中空糸膜が主として親水性高分子と疎水性高分子とからなることを特徴とする(A)〜(J)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(L)該中空糸膜が、内径150〜250μm、膜厚10〜60μmであることを特徴とする(A)〜(K)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(M)(1)洗浄装置内に回転可能なテーブルが配設され、
(2)該回転可能なテーブル上に複数本の中空糸膜束を収容可能で、洗浄液が通過可能な洗浄ボックスを設置可能であり、
(3)該回転可能なテーブルの中心軸近辺に洗浄液を噴射可能な少なくとも1つのノズルが配設され、
(4)洗浄液を加熱可能なヒーター装置が洗浄装置に付設され、
(5)洗浄装置内を加熱・保温可能なヒーター装置
を有することを特徴とする中空糸膜束の洗浄装置。
(N)該回転可能なテーブルの回転加速度が中空糸膜束最外周部先端において1m/s2〜100m/s2の範囲で速度調整できることを特徴とする(M)に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(O)粒径が500μm以下の洗浄液を、噴射角度5〜120°で噴射可能なノズルを配設したことを特徴とする(M)または(N)に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(P)洗浄液を10〜95℃に加温できるヒーター装置を有する(M)〜(O)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(Q)洗浄液中のエンドトキシンを除去できるフィルター装置を付設したことを特徴とした(M)〜(P)いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
(R)洗浄装置内の壁面を50〜120℃に加熱することを特徴とする(M)〜(Q)いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
(A)遠心洗浄機内の回転テーブル上に、中空糸膜を束ねた束状物(中空糸膜束)を放射状に配し、これを回転させながら回転中心付近に設置したノズルより中空糸膜束の端面に向かって洗浄液を噴射することを特徴とする中空糸膜束の洗浄方法。
(B)該洗浄液の粒径が500μm以下であることを特徴とする(A)記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(C)洗浄液の温度が10〜95℃であることを特徴とする(A)または(B)に記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(D)回転の加速度が中空糸膜束外側先端において1m/s2〜100m/s2であることを特徴とする(A)〜(C)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(F)ノズルから噴射される洗浄液の噴射角度が5°〜120°であることを特徴とする(A)〜(D)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(G)ノズルから吐出される洗浄液量が20〜100ml/minであることを特徴とする(A)〜(F)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(H)該洗浄液が水またはアルコールであることを特徴とする(A)〜(G)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(I)該洗浄液が実質的にエンドトキシンを含まないことを特徴とする(A)〜(H)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(J)洗浄後の洗浄廃液を再使用しないことを特徴とする(A)〜(I)いずれか記載の中空糸束の洗浄方法。
(K)該中空糸膜が主として親水性高分子と疎水性高分子とからなることを特徴とする(A)〜(J)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(L)該中空糸膜が、内径150〜250μm、膜厚10〜60μmであることを特徴とする(A)〜(K)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
(M)(1)洗浄装置内に回転可能なテーブルが配設され、
(2)該回転可能なテーブル上に複数本の中空糸膜束を収容可能で、洗浄液が通過可能な洗浄ボックスを設置可能であり、
(3)該回転可能なテーブルの中心軸近辺に洗浄液を噴射可能な少なくとも1つのノズルが配設され、
(4)洗浄液を加熱可能なヒーター装置が洗浄装置に付設され、
(5)洗浄装置内を加熱・保温可能なヒーター装置
を有することを特徴とする中空糸膜束の洗浄装置。
(N)該回転可能なテーブルの回転加速度が中空糸膜束最外周部先端において1m/s2〜100m/s2の範囲で速度調整できることを特徴とする(M)に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(O)粒径が500μm以下の洗浄液を、噴射角度5〜120°で噴射可能なノズルを配設したことを特徴とする(M)または(N)に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(P)洗浄液を10〜95℃に加温できるヒーター装置を有する(M)〜(O)いずれか記載の中空糸膜束の洗浄装置。
(Q)洗浄液中のエンドトキシンを除去できるフィルター装置を付設したことを特徴とした(M)〜(P)いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
(R)洗浄装置内の壁面を50〜120℃に加熱することを特徴とする(M)〜(Q)いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
中空糸膜が収容された洗浄ボックスを回転テーブル上に放射状に設置し、回転中心より洗浄液を洗浄ボックスへ噴射することにより、洗浄ボックス内の中空糸膜束の中空部および中空糸膜間に洗浄液が強制的に供給され、さらに回転による遠心力により強制的に洗浄液が排出されるため、液更新が効率良く行われるので、洗浄に必要な処理時間が短縮されるとともに中空糸膜束全体が均一に洗浄可能となる。また、洗浄液を中空糸膜束へ集中的に噴射しているので、狭いスペースで、かつ効率良く洗浄液を使用することができ、洗浄に必要なコストを低減できる。さらに、回転中の洗浄ボックスへの洗浄液の供給を停止すると、ボックス内の中空糸膜が脱水されることになるので、洗浄工程から脱水工程へと中空糸膜を移送する作業工程を省くことができるし、効率よく洗浄できるため、洗浄水量を上げるために洗浄液を循環して使用する必要がないため、一度洗いながされた溶剤、異物、エンドトキシンの最付着、及び洗浄ラインの汚染を防止できる利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において円形の回転テーブル上に配置する中空糸膜束は、図1に示すように、回転テーブル上に放射状になるように1本1本置く方法が最も遠心力を有効に用いられる配置であり洗浄効率の面より推奨される。作業性・生産性を考慮すれば、中空糸膜束を洗浄ボックスに収容し、それを回転テーブル上に並べるのが好ましい実施態様である。
本発明において円形の回転テーブル上に配置する中空糸膜束は、図1に示すように、回転テーブル上に放射状になるように1本1本置く方法が最も遠心力を有効に用いられる配置であり洗浄効率の面より推奨される。作業性・生産性を考慮すれば、中空糸膜束を洗浄ボックスに収容し、それを回転テーブル上に並べるのが好ましい実施態様である。
中空糸膜束を収容した洗浄ボックスを回転テーブル上に配置する場合、洗浄ボックス内の中空糸膜束は回転テーブルに対して放射状になるように配置するのが好ましい。洗浄ボックスの幅が回転テーブルに対して大きすぎると、洗浄ボックス内の中空糸束が回転テーブル上で放射状にならず、洗浄ボックス内の両端付近の中空糸束の洗浄効率が低下する可能性がある。また、洗浄ボックスが小さすぎると中空糸膜束の収容数が減少し、洗浄効率が低下したり洗浄コストが上昇することがある。したがって、洗浄ボックスの幅は回転テーブルの大きさを考慮して適宜設定するのが好ましい。例えば、回転テーブルの直径が1mである場合には、洗浄ボックスの幅は10〜30cm程度が好ましい。もちろん、洗浄ボックスの中で中空糸束が放射状に設置できるように洗浄ボックスの形状を工夫するのも本願発明より排除されない。(図7参照)。洗浄ボックスに中空糸膜束を放射状に置くよりも洗浄ボックス内に各中空糸膜束が並列に並ぶように配した方が、洗浄ボックスに中空糸膜束を装填しやすく扱いやすいため好ましい。また、中空糸膜束は複数本を縦に積み重ねても良い。中空糸膜束を積み重ねる場合、積み重ねた中空糸膜束の重量で中空糸膜が潰れないように配慮する必要がある。積み重ねる本数は、好ましくは20本以下、より好ましくは15本以下、さらに好ましくは10本以下である。
また、本発明の別の実施態様として、中空糸膜束をトレイ上に載せ、そのトレイを積み重ねることも本願発明の好ましい実施態様である。具体的には、トレイ上に中空糸膜束を一段に一列に並べ、このトレイを何段かに積み重ねる。作業性の点より、積み重ねる高さは、好ましくは1000mm以下、より好ましくは700mm以下、さらに好ましくは500mm以下である。トレイを積み重ねる場合、回転の遠心力や噴射する洗浄液により、トレイがずれたりしないように設置方法を工夫することが好ましい。
本発明における洗浄液の供給方法は遠心力を有効に利用するために、回転テーブルの回転中心付近から洗浄液を中空糸端面および/または洗浄ボックスに向け噴射する。噴射される洗浄液の粒径は好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下、よりさらに好ましくは200μm以下である。洗浄液の粒径が大きすぎると、中空糸膜に付着した水滴で発生する遠心力により中空糸膜が曲がるなどして品質に悪影響を与えることがある。また、洗浄液の粒径が小さすぎると、水滴が中空糸膜に到達する前に拡散してしまい、却って洗浄効率が低下することがある。したがって、洗浄液の粒径は10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上がよりさらに好ましい。
洗浄液の温度は高ければ高いほど洗浄効果が高まり、100℃以上の温度の洗浄液を用いることも可能であるが、100℃以上の洗浄液を噴射するためには、洗浄機自体を耐圧仕様にする必要があるなどコストアップに繋がる、また装置の構造が複雑になるため、95℃以下で行なうのが好ましい。例えば、親水性高分子としてポリビニルピロリドンを含有する中空糸膜の場合、洗浄温度を高くしすぎるとポリビニルピロリドンが熱劣化を起こす可能性があるので、より好ましくは93℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。また、洗浄液の温度が低すぎると、洗浄効率が低下するため、洗浄時間を長くする、洗浄液量が増えるなどのコストアップに繋がる可能性がある。したがって、洗浄液の温度は20℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、40℃以上がよりさらに好ましい。アルコールを含む洗浄液を使用する場合は、アルコールの沸点よりも低い温度とするのが、作業安全上好ましい。
本発明において、回転テーブルの回転数は、中空糸膜束の回転中心から最も遠い端面での遠心方向の加速度を1m/s2〜100m/s2の範囲にするのが良い。回転テーブルの回転数が速すぎると、遠心力で中空糸膜が折れ曲がったり、中空糸膜端部が潰れたりすることがあるので、より好ましくは70m/s2 以下、さらに好ましくは50m/s2 以下、よりさらに好ましくは30m/s2以下である。逆に、遠心力が不足すると、中空糸膜表面の液更新速度が低下し所期の洗浄効率が得られない可能性があるため、より好ましくは3m/s2以上、さらに好ましくは5m/s2以上、よりさらに好ましくは7m/s2以上である。
1つのノズルから吐出される洗浄液の吐出角度は5〜120°であることが好ましい。洗浄液の吐出角度が小さすぎると、一度に洗浄できる中空糸束の本数を減らす必要があるとか、またはノズルの数を増やす必要が生ずるため、洗浄液の勢いが低下しない程度に拡散させるのが、洗浄性とコストを両立させる意味で好ましい。したがって、洗浄液の吐出角度は、より好ましくは10°以上、さらに好ましくは20°以上、よりさらに好ましくは30°以上である。また、洗浄液の吐出角度が大きすぎると、洗浄液の勢いが周辺部になるほど低下し洗浄効率が低下するとか洗浄斑が発生することがあるので、より好ましくは110°以下、さらに好ましく100°以下、よりさらに好ましくは90°以下である。
供給する洗浄液の量は、1ヶの洗浄ノズルから噴射される洗浄液の量として20〜100ml/minにするのが好ましい。洗浄液の量が少なすぎると、中空糸膜表面の液更新が低下する、または中空糸束全体に洗浄液が行き渡らなくなるため、中空糸膜間、中空糸膜束間で洗浄斑が発生するなどの問題が生ずることがある。したがって、洗浄液量は、より好ましくは26ml/min以上、さらに好ましくは31ml/min以上、よりさらに好ましくは36ml/min以上である。逆に、洗浄液の量が多すぎると、洗浄液の勢いが強すぎて中空糸膜が折れる、潰れるなどダメージを与える可能性がある。したがって、洗浄液量は95ml/min以下がより好ましく、90ml/min以下がさらに好ましく、85ml/min以下がよりさらに好ましい。また、中空糸膜束1本あたりに供給される洗浄液の量としては、10〜50ml/minにするのが好ましく、より好ましくは15〜30ml/minである。設備全体として供給する全洗浄液量は、
全洗浄液量=[洗浄する中空糸膜束数]×[中空糸膜束1本当たりの洗浄液量]
でもとまり、設備内に配置する洗浄ノズル数は、
洗浄ノズル数=[全洗浄液量]/[洗浄ノズル1ヶ当たりから供給する洗浄液量]
から求めることが出来る。
全洗浄液量=[洗浄する中空糸膜束数]×[中空糸膜束1本当たりの洗浄液量]
でもとまり、設備内に配置する洗浄ノズル数は、
洗浄ノズル数=[全洗浄液量]/[洗浄ノズル1ヶ当たりから供給する洗浄液量]
から求めることが出来る。
洗浄液としては、水、アルコールを用いるのが好ましい。中空糸膜が医療用途として使用される場合、雑菌やゴミ、異物、イオンなどが中空糸膜に付着して汚染することを防止するため、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透などを用いて処理した水や、機能水と呼ばれるアルカリイオン水、磁気水などを用いるのが好ましい。また、ポリビニルピロリドンを含有する中空糸膜において、膜中のポリビニルピロリドン含有量をコントロールすることを目的として洗浄を行う場合、洗浄液としてアルコール含有の洗浄液を用いることが好ましい。アルコールとしては、エタノールやイソプロパノールを用いるのがコスト、安全性等の面より好ましい。前記、水とアルコールの混合液を用いることも本願発明においては排除されない。この場合、アルコール濃度としては3〜60体積%が中空糸膜からのポリビニルピロリドンの抽出力が適当であり、中空糸膜中の親水性高分子含有量をコントロールしやすいため好ましい。より好ましくは4〜55体積%、さらに好ましく5〜50体積%、よりさらに好ましくは7〜45体積%である。アルコール水溶液を用いる場合の洗浄温度は、20〜60℃が好ましく、25〜50℃がより好ましく、30〜45℃がさらに好ましい。
また、得られた中空糸膜を血液浄化に使用する目的で洗浄を行う場合には、中空糸膜に付着しているエンドトキシンを除去する、または中空糸膜へのエンドトキシンの付着を防止するために、洗浄液はエンドトキシン濃度が100EU/L以下の洗浄液を用いるのが好ましい実施態様である。洗浄液中のエンドトキシンを除去するためには、使用直前に調製した洗浄液をエンドトキシン除去フィルターを用いて処理するのが好ましい。エンドトキシン除去フィルターとしては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているものを用いることができる。また、エンドトキシン吸着剤を使用することも本発明の範疇より除外しない。エンドトキシンは疎水性部位に吸着しやすい特性を有するため、例えば、疎水性の強い膜を洗浄する際には、洗浄中に膜にエンドトキシンが吸着し経時的に濃縮することを防ぐ必要がある。したがって、エンドトキシン除去フィルターで処理後の洗浄液中のエンドトキシン含量は、より好ましくは50EU/L未満、さらに好ましくは10EU/L未満、よりさらに好ましくは1EU/L未満である。また、洗浄液中のエンドトキシン含量は、ゼロであることが好ましいが、洗浄液より完全にエンドトキシンを除去するためのコストと生体に対する安全性を考慮すると、洗浄液中エンドトキシン含量は0.01EU/L程度は許容範囲と思われる。洗浄液中のエンドトキシンを除去するための具体的な態様としては、例えば、洗浄液として水を用いる場合、砂ろ過、凝集沈殿等で処理した原水を、次に逆浸透膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜処理し、使用する直前にエンドトキシンフィルターを用いて処理された水を遠心洗浄に使用する。
洗浄後の洗浄液にはエンドトキシンが含まれている可能性が高いため、再度洗浄に用いる事無く廃棄するのが好ましい。さらに、洗浄液を一定の場所に滞留させていると菌が繁殖し、エンドトキシンの発生の原因になるため、洗浄後の洗浄液は本発明装置の底部に設けられた排水口から直ちに排出されるのが好ましい。使用後の洗浄液は、再使用することなく廃棄するのが好ましいが、コスト削減等を考慮し、再使用に供する場合は、上述したようなエンドトキシン除去処理を行うのが好ましい。
洗浄装置内の菌の増殖を防止することを目的として、洗浄装置内壁面を加熱し壁面に付着した洗浄液を乾燥させるとともに殺菌可能な温度まで加熱することも好ましい実施態様である。壁面の温度は65℃〜170℃が好ましい。壁面を加熱することで壁面での結露を防止でき、装置内を洗浄したい温度の飽和蒸気圧に保つことができ洗浄液を噴射した際に洗浄液の温度を低下させず中空糸膜束を洗浄できる。温度が低すぎると、かえって菌の温床になることがあるので、壁面の加熱温度は、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上である。また、菌の増殖抑制および殺菌が目的であるから、壁面の温度は高い方が好ましいが、温度が高すぎると、作業安全の面、放射熱による中空糸膜へのダメージ等の懸念があるため、壁面の加熱温度は150℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。
洗浄ノズルの配置は、図4に示されるように装置の縦断面では、中空糸膜束の中心部とノズルの中心が同一線上に来るように配するのが好ましい。また、図5に示されるように装置の横断面でもノズルの中心線と中空糸膜束の中心線が一致するように配するのが好ましい。こうすることで噴射された洗浄液を中空糸膜束に効率よく接触させることができる。ただし、装置の横断面での中空糸膜束と洗浄ノズルの位置関係を中心線が一致するように配するためには、中空糸束1本1本を放射状に並べる必要がある。作業性等の問題から並列に配した場合には、洗浄ノズルと中空糸膜束の中心線を一致させることができないため、例えば図6の様に配しても良い。少なくとも装置の縦断面では中空糸膜と洗浄ノズルとの中心線を一致させるのが好ましい。
洗浄ノズルと中空糸膜束との最短距離は、20mm以上100mm以下にするのが好ましい。洗浄ノズルと中空糸膜束の距離に関しては、洗浄ノズルから噴射される洗浄液の噴射角度との関係により左右されるものでもあるので、一概には決められないが、本発明に使用の洗浄ノズルの場合、前記範囲の距離をとるのが好ましい態様ということができる。20mmより短ければ洗浄ノズルから噴射される洗浄液の勢いが強い場合、中空糸膜が曲がったり、折れたりする可能性がある。したがって、洗浄ノズルと中空糸膜束との距離は、より好ましくは25mm以上、さらに好ましくは30mm以上である。また、100mmより大きくなると噴射された洗浄液が、遠心力の影響により中空糸膜束に届き難くなるばかりでなく、設備として大型化しなければならなくなり、スペースの面で不利となることがある。
洗浄ノズルと中空糸膜束との距離と噴射角度は、装置の縦断面、もしくは横断面において中空糸膜束と洗浄ノズルとの中心が一致したときに、中空糸膜束の洗浄液がかかる端面での噴射された洗浄液の拡がりが、中空糸膜束の外径以上の大きさになるのが好ましい。洗浄液の噴射形状は、円形、楕円形、正方形、長方形と種々の形状が考えられるが、均一に容易に噴射することを考えると円形状に噴射するのが好ましい。円形状とは、リング状も含まれる。中空糸膜束の端面での噴射された洗浄液の拡がり大きさは、中空糸膜束の最大径よりも大きく最大径の1.3倍よりも小さいのが好ましい。中空糸膜束外径の最大径よりも小さいと中空糸膜束の変形等のばらつきにより洗浄液がかからない部分が発生し洗浄効率が低下する可能性がある。したがって、洗浄液の拡がり大きさは、中空糸膜束外径の最大径の1.05倍以上がより好ましく、1.1倍以上がさらに好ましい。また、洗浄液が拡散しすぎると中空糸膜束に接触する洗浄液量が減少するため洗浄効率が低下する可能性がある。したがって、洗浄液の拡がりは、中空糸膜束の最大外径の1.25倍以下がより好ましく、1.2倍以下がさらに好ましい。このような関係を得られるように、ノズルの角度、ノズルと中空糸膜束との距離を定めるのがよい。
本発明の洗浄方法および洗浄装置は、主として親水性高分子と疎水性高分子からなる中空糸膜に対して好適に採用できる。本発明における疎水性高分子の素材しては、セルロースアセテート、セルローストリアセテートなどの酢酸セルロース系、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体などが上げられるが、酢酸セルロース系やポリスルホン系が好ましい。
本発明に用いられる親水性高分子としては、ポリスルホン系樹脂とミクロな相分離構造を形成するものが好ましく用いられる。ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を挙げる事ができるが、安全性や経済性の面よりポリビニルピロリドンを用いるのが好ましい実施態様である。該ポリビニルピロリドンは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、BASF社より「ルビテック」、ISP社より「プラスドン」、第一工業製薬社より「ピッツコール」の商品名で市販されており、それぞれ各種の分子量の製品がある。一般には、親水性の付与効率では低分子量のものが、一方、溶出量を低くする点では高分子量のものを用いるのが好適であるが、最終製品の中空糸膜束の要求特性に合わせて適宜選択される。本発明の方法および装置でより高い効果を得るためには、重量平均分子量が40,000〜1,300,000のポリビニルピロリドンを用いるのが好ましい。より好ましくは100,000〜1,250,000、さらに好ましくは300,000〜1,250,000、よりさらに好ましくは500,000〜1,250,000である。単一の分子量のものを用いても良いし、分子量の異なる製品を2種以上混合して用いても良い。また、市販の製品を精製し、例えば分子量分布をシャープにしたものを用いても良い。通常、分子量が小さくなるに従い、洗浄しやすい方向になるが、本発明の洗浄方法および洗浄装置においては、1,000,000を超える分子量を有する親水性高分子であっても、短時間に効率よく不要な親水性高分子を洗浄除去することが可能である。
中空糸膜の内径は150〜250μmが本願発明の効果を得やすいため好ましい。中空糸膜の内径が小さすぎると、洗浄液が中空糸膜の中空部に入り込みにくくなるため、洗浄効率が低下する可能性がある。したがって、中空糸膜の内径は160μm以上がより好ましく、170μm以上がさらに好ましく、180μm以上がよりさらに好ましい。また、中空糸膜の内径が大きい場合、本願発明を適用せずとも十分な洗浄効率を得ることが可能である。したがって、本願発明のより高い効果を得るためには、中空糸膜の内径は240μm以下がより好ましく、230μm以下がさらに好ましく、220μm以下がよりさらに好ましい。
中空糸膜の膜厚は10〜60μmが好ましい。膜厚が薄すぎると、中空糸膜が遠心力に耐え切れずに潰れたり、折れたりすることがある。したがって、膜厚は12μm以上がより好ましく、14μm以上がさらに好ましく、16μm以上がよりさらに好ましい。また、膜厚が厚すぎると、洗浄時間や洗浄液量などが増大するため、洗浄コストが高くなることがある。したがって、中空糸膜の膜厚は56μm以下がより好ましく、52μm以下がさらに好ましく、48μm以下がよりさらに好ましい。
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は、本実施例に係る中空糸膜洗浄装置の上部から見た場合の断面及び水平から見た場合の断面を示した図である。図2は、保護パイプに入れられた中空糸膜束を束ねて洗浄機に設置するために用いる洗浄ボックスを示した図である。図3は、洗浄する中空糸膜束を保護パイプに入れた状態を示した図である。
以下、各部の構成を詳細に説明する。図3の保護パイプに入れられた中空糸膜束は、図3の様にパイプ状の保護パイプでなくても、中空糸膜束をシートで巻いたものや、袋状の物に中空糸膜束を入れても、ガーゼで巻いても良い。中空糸膜束を扱う際折れたりしない程度の強度が有り両端が開口されていればどの様な構造のものでも良い。
図2の洗浄ボックスは、洗浄する中空糸膜束を保持できればどの様な形状の物でも良いが、少なくとも片面は開口し、それに対する面には、中空糸が遠心力で飛び出さないように金網やパンチング板を取り付ける必要がある。好ましくは、メッシュ50〜100でSUS304かSUS316、SUS316L製のものを用いるのが良い。また、洗浄ボックスに直接図3の中空糸膜束を入れるのでなく、トレイ上に中空糸膜束を載せトレイ毎に積み重ねることで積み重ねによる中空糸のつぶれ等を起こさせず、物理的、機械強度的に許されるまでトレイを積み重ねることでより多くの中空糸膜束を洗浄することも出来る。
図3の様に洗浄ボックスに入れられた中空糸膜束を図1のように本発明の回転テーブルに固定し、回転中心近辺から、洗浄液を中空糸端面に向け噴射する。噴射される洗浄液の粒径は、500μm以下、好ましくは100μm以下が良い。500μmよりも大きくなると中空糸に付着した水滴により発生する遠心力により中空糸が曲がり、品質に悪影響を与えてしまう。洗浄液の温度は高ければ高いほど洗浄効果が高まるが、100℃以上にするためには、洗浄機内を高圧に保つ等の工夫が必要になり設備が複雑になるため95℃以下で行なうのが良い。好ましくは、60℃〜90℃で洗浄するのが良い。
噴射された洗浄液は、中空糸の端面に付着し回転により発生する遠心力により中空糸の内面、外面に沿って流れ本発明装置の内壁にあたり、下部へ流れ排出される。中空糸に対して洗浄液が断続的に流れるため中空糸の内面、外面で液更新が積極的に行なわれるため中空糸膜内部にある溶剤を効率よく抽出することが出来る。
40℃以上の高温で洗浄した場合、中空糸、洗浄機内も40℃以上に加熱されているため、中空糸膜束の取り出しに火傷のおそれがあるため、洗浄液の供給温度を30℃以下にし洗浄機内、中空糸束を冷却した後に取り出すのが良い。
本発明の設備は、洗浄液の供給を停止すると中空糸に付着している洗浄液を脱液するための脱液機として用いることが出来る。
洗浄ボックスに取り付けた金網により中空糸が遠心力で飛び出すことなく、洗浄液だけを飛ばすことが出来る。洗浄効率を高めるためには、テーブルの回転数を上げ遠心力を上げる、もしくは洗浄液量を増やす方策が有効であるが、遠心力を上げていくと糸が洗浄ボックスの金網に押し付けられる力も増し中空糸が曲がる等の品質上の問題が発生することがある。洗浄液量を増やすと中空糸端面に付着する液量が増えるため遠心力により中空糸端面が曲がってしまい品質上問題が発生することがある。
図8に示すように洗浄に使用された洗浄液は直ちに本発明の装置の底部に流れ、傾斜部を経由して直ちに排液口から排液される。
(噴霧径の測定方法)
液浸法と呼ばれる方法で測定を実施した。シリコンオイルを塗布したプレートグラス上に霧を受け止め、素早く拡大写真を撮影し、
出来上がった写真からサイズごとに粒子径をカウントした。粒子径は、ザウター平均流径を求め表す。
ザウター平均粒径=Σ(nd^3)/Σ(nd^2)
n:個数、d:粒径
液浸法と呼ばれる方法で測定を実施した。シリコンオイルを塗布したプレートグラス上に霧を受け止め、素早く拡大写真を撮影し、
出来上がった写真からサイズごとに粒子径をカウントした。粒子径は、ザウター平均流径を求め表す。
ザウター平均粒径=Σ(nd^3)/Σ(nd^2)
n:個数、d:粒径
(噴霧角度)
噴霧角度はノズルから噴霧している状態を写真撮影し、得られた写真からノズル近傍での開き角度をもとめ噴霧角度とした。
噴霧角度はノズルから噴霧している状態を写真撮影し、得られた写真からノズル近傍での開き角度をもとめ噴霧角度とした。
(残溶媒量の測定)
残溶媒量の測定は使用した溶媒の種類により液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどで検査標準濃度の検量線と比較して求めることができる。ここではジメチルアセトアミド(DMAc)の中空糸膜残量の測定を例に挙げ、説明する。
洗浄を終えた中空糸膜長さ0.25kmに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出する。得られた抽出液を水を溶媒とした液体クロマトグラフィー(使用カラム;島津社製ガードカラムSCR(H)、流速1mL/min.、温度は室温、検出UV210nm)にてDMAcを純水にて濃度調製した標品とともに分析し、得られたピークエリア面積から検量線(例えば1、2、5、10ppm)を導いて抽出液中のDMAc濃度を求めた。検量線の範囲外の場合には、分析サンプルを適当な比率で希釈して分析を行った。これを次式で算出し、中空糸膜に残存するDMAc量とした。
残DMAc(mg/kmHF)=DMAc濃度(ppm)×抽出液量(L)/0.25km
残溶媒量の測定は使用した溶媒の種類により液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどで検査標準濃度の検量線と比較して求めることができる。ここではジメチルアセトアミド(DMAc)の中空糸膜残量の測定を例に挙げ、説明する。
洗浄を終えた中空糸膜長さ0.25kmに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出する。得られた抽出液を水を溶媒とした液体クロマトグラフィー(使用カラム;島津社製ガードカラムSCR(H)、流速1mL/min.、温度は室温、検出UV210nm)にてDMAcを純水にて濃度調製した標品とともに分析し、得られたピークエリア面積から検量線(例えば1、2、5、10ppm)を導いて抽出液中のDMAc濃度を求めた。検量線の範囲外の場合には、分析サンプルを適当な比率で希釈して分析を行った。これを次式で算出し、中空糸膜に残存するDMAc量とした。
残DMAc(mg/kmHF)=DMAc濃度(ppm)×抽出液量(L)/0.25km
(エンドトキシンの測定)
測定はすべてクリーンルーム内で実施した。
サンプリングに使用する器具類は乾熱処理(250℃×1hr乾熱殺菌)し使用した。ブランクとして日本薬局方注射用水・大塚蒸留水(大塚製薬社製)を使用した。サンプリングは水道コックやサンプリングポートを介さず、水の定常状態の流れのある場所から、乾熱滅菌したピペットを用いて、サンプリング箇所周りのエッジなどの汚染部位に触れることなくサンプリングを行った。
このようにして得られた液を用いてエンドトキシン濃度を測定した。エンドトキシン濃度はリムルスESIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用い、取扱説明書の手順に従って検量線を作成し、分析を行った。
測定はすべてクリーンルーム内で実施した。
サンプリングに使用する器具類は乾熱処理(250℃×1hr乾熱殺菌)し使用した。ブランクとして日本薬局方注射用水・大塚蒸留水(大塚製薬社製)を使用した。サンプリングは水道コックやサンプリングポートを介さず、水の定常状態の流れのある場所から、乾熱滅菌したピペットを用いて、サンプリング箇所周りのエッジなどの汚染部位に触れることなくサンプリングを行った。
このようにして得られた液を用いてエンドトキシン濃度を測定した。エンドトキシン濃度はリムルスESIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用い、取扱説明書の手順に従って検量線を作成し、分析を行った。
(外観検査)
洗浄あがりにフィルムラップされた状態で目視により行った。そのため、ラップするフィルムは中身の確認できる素材であることが必要である。曲がりはフィルムラップ上からみて通常は繊維軸方向に整然と並んだ中空糸膜が観察されるので、その繊維時軸方向を軸とし、15度以上の確度で繊維軸方向が進路を変えている中空糸膜を曲がりとして、その本数をカウントした。また、特に中空糸膜両端面付近で曲がりが観察される可能性が高く、中空糸膜端面まで正確に測定するものとした。中空糸膜の折れ、つぶれなども目視により観察され、その本数をカウントした。折れは中空糸膜の繊維軸方向と異なる折れ筋を認めた中空糸膜を言い、つぶれは真円度(長径と短径の比)が0.5以下になっているものをカウントした。予め、測定見本を用意し、比較して測定することが好ましい。
洗浄あがりにフィルムラップされた状態で目視により行った。そのため、ラップするフィルムは中身の確認できる素材であることが必要である。曲がりはフィルムラップ上からみて通常は繊維軸方向に整然と並んだ中空糸膜が観察されるので、その繊維時軸方向を軸とし、15度以上の確度で繊維軸方向が進路を変えている中空糸膜を曲がりとして、その本数をカウントした。また、特に中空糸膜両端面付近で曲がりが観察される可能性が高く、中空糸膜端面まで正確に測定するものとした。中空糸膜の折れ、つぶれなども目視により観察され、その本数をカウントした。折れは中空糸膜の繊維軸方向と異なる折れ筋を認めた中空糸膜を言い、つぶれは真円度(長径と短径の比)が0.5以下になっているものをカウントした。予め、測定見本を用意し、比較して測定することが好ましい。
(実施例1)
ポリエーテルスルホン(PES)(住化ケムテックス社製 5200P)18.0質量%、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製 コリドンK−90)4.2質量%、水1.8質量%、トリエチレングリコール(TEG)(三井化学社製)30.4質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)(三菱ガス化学社製)45.6質量%からなる紡糸原液を均一に溶解し、45℃の二重紡糸口金の外側スリットから供給し、同時に中心より内液として水を吐出し、長さ600mmの外気と遮断されたエアギャップ部を速度60m/分で通過させた後、70℃の凝固浴(DMAc:TEG:水=12:8:80)へと導き凝固させた後、RO水45℃にて60秒、RO水80℃にて90秒洗浄し、カセへ巻き取り、内径200μm、膜厚35μmの中空糸膜を得た。
ポリエーテルスルホン(PES)(住化ケムテックス社製 5200P)18.0質量%、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製 コリドンK−90)4.2質量%、水1.8質量%、トリエチレングリコール(TEG)(三井化学社製)30.4質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)(三菱ガス化学社製)45.6質量%からなる紡糸原液を均一に溶解し、45℃の二重紡糸口金の外側スリットから供給し、同時に中心より内液として水を吐出し、長さ600mmの外気と遮断されたエアギャップ部を速度60m/分で通過させた後、70℃の凝固浴(DMAc:TEG:水=12:8:80)へと導き凝固させた後、RO水45℃にて60秒、RO水80℃にて90秒洗浄し、カセへ巻き取り、内径200μm、膜厚35μmの中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜約10,000本の束を図3に示すような外径33mm、内径32mmのポリプロピレン製パイプに挿入し、長さ280mmに切断したものを湿潤バンドルとした。得られた湿潤バンドルを図2に示すような洗浄ボックスに4列7段にして詰め込み図1の洗浄装置に設置した。
洗浄条件は、エンドトキシンフィルターを通過させた洗浄液を90℃に加熱後3L/minで噴射した。噴射角度40°の洗浄ノズルを図6の様に2ヶセットで60°間隔で6セット×7段の計84ヶ配し、中空糸端面との最短距離を55mmとし、中空糸膜束の端面での洗浄液の噴射形状が保護パイプの外径の約1.2倍になるようにした。縦断面でのポリプロピレン製パイプ中心軸と洗浄ノズルの中心軸とが一致するように配置した。回転テーブルを30rpmで回転させながら20分間洗浄し、25℃の水を6L/minで噴射し、回転テーブルを30rpmで回転させながら5分間冷却した。脱水条件は、140rpmで回転テーブルを回転させ20分間の液切りをした。
この様にして得られた中空糸膜の残溶媒量は、GPCの検出限界である0.5ppm以下であった。エンドトキシンに関しても洗浄後の中空糸膜束の抽出水からはエンドトキシンが検出されなかった。洗浄後の廃液からはエンドトキシンが検出され、エンドトキシンの洗浄にも効果が得られた。また、脱水直後の中空糸膜束全数の外観検査を目視で行なったが、中空糸が曲がったり、折れたりするものがなく良好な品質のものが得られた。
(実施例2)
実施例1と同様にして中空糸膜およびバンドルを得、図7の様にバンドルを15°間隔で24列配し、7段積み上げてセットした。洗浄条件は、エンドトキシンフィルターを通過させた洗浄液を90℃に加熱後3L/minで噴射した。噴射角度40°の洗浄ノズルを図6の様に30°間隔で12列×7段の計84ヶ配し、中空糸端面との最短距離を55mmとし、中空糸膜束の端面での洗浄液の噴射形状が保護パイプの外径の約1.2倍になるようにした。縦断面でのポリプロピレン製パイプ中心軸と洗浄ノズルの中心軸とが一致するように配置した。回転テーブルを30rpmで回転させながら20分間洗浄し、25℃の水を6L/minで噴射し、回転テーブルを30rpmで回転させながら5分間冷却した。脱水条件は、140rpmで回転テーブルを回転させ20分間の液切りをした。
実施例1と同様にして中空糸膜およびバンドルを得、図7の様にバンドルを15°間隔で24列配し、7段積み上げてセットした。洗浄条件は、エンドトキシンフィルターを通過させた洗浄液を90℃に加熱後3L/minで噴射した。噴射角度40°の洗浄ノズルを図6の様に30°間隔で12列×7段の計84ヶ配し、中空糸端面との最短距離を55mmとし、中空糸膜束の端面での洗浄液の噴射形状が保護パイプの外径の約1.2倍になるようにした。縦断面でのポリプロピレン製パイプ中心軸と洗浄ノズルの中心軸とが一致するように配置した。回転テーブルを30rpmで回転させながら20分間洗浄し、25℃の水を6L/minで噴射し、回転テーブルを30rpmで回転させながら5分間冷却した。脱水条件は、140rpmで回転テーブルを回転させ20分間の液切りをした。
この様にして得られた中空糸膜の残溶媒量は、GPCの検出限界である0.5ppm以下であった。エンドトキシンに関しても洗浄後の中空糸膜束の抽出水からはエンドトキシンが検出されなかった。洗浄後の廃液からはエンドトキシンが検出され、エンドトキシンの洗浄にも効果が得られた。また、脱水直後の中空糸膜束全数の外観検査を目視で行なったが、中空糸が曲がったり、折れたりするものがなく良好な品質のものが得られた。
(比較例1)
実施例1と同様にして中空糸膜およびバンドルを得、ガーゼで包み、全周がメッシュ状のボックスに4列7段にして詰め込み回転テーブル上に対向してセットした。
実施例1と同様にして中空糸膜およびバンドルを得、ガーゼで包み、全周がメッシュ状のボックスに4列7段にして詰め込み回転テーブル上に対向してセットした。
洗浄条件は、広角フラットノズルを洗浄装置の天板、洗浄装置側壁に取り付けボックスの上面、側面に洗浄液がかかるように配置した。洗浄液は、90℃に加熱し、250L/minで噴射しながら回転テーブルを20rpmで回転させ、2分間洗浄した。この時新水補給を15L/minで実施した。25℃の水を250L/minで噴射し、回転テーブルを200rpmで回転させながら5分間冷却した。脱水条件は、200rpmで回転テーブルを回転させ15分間の液切りをした。
この様にして得られた中空糸の残溶媒量は、ガスクロの検出限界である0.5ppm以下であった。エンドトキシンに関しても洗浄後の中空糸膜束の抽出水及び洗浄後の廃液からもエンドトキシンが検出された。また、脱水直後の中空糸膜束全数の外観検査を目視で行ない、回転テーブル外周部に配した洗浄ノズルからの洗浄液があたる部分の中空糸が、折れ、つぶれ、曲がり、また交差するものがあった。
本発明は、中空糸中に残留する溶剤及び異物を効率よく洗浄することが出来ることで、洗浄に用いる洗浄液の大幅な低減、さらに、洗浄時における中空糸膜へのダメージを低減することで、産業界に寄与することが大である。
1.洗浄ボックス
2.洗浄ノズル
3.回転テーブル
4.駆動モータ
5.落下防止用金網
6.保護パイプに入れられた中空糸膜束
7.排水口
2.洗浄ノズル
3.回転テーブル
4.駆動モータ
5.落下防止用金網
6.保護パイプに入れられた中空糸膜束
7.排水口
Claims (17)
- 遠心洗浄機内の回転テーブル上に、中空糸膜を束ねた束状物(中空糸膜束)を放射状に配し、これを回転させながら回転中心付近に設置したノズルより中空糸膜束の端面に向かって洗浄液を噴射することを特徴とする中空糸膜束の洗浄方法。
- 該洗浄液の粒径が500μm以下であることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 洗浄液の温度が10〜95℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 回転の加速度が中空糸膜束外側先端において1m/s2〜100m/s2であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- ノズルから噴射される洗浄液の噴射角度が5°〜120°であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- ノズルから吐出される洗浄液量が20〜100ml/minであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 該洗浄液が水またはアルコールであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 該洗浄液が実質的にエンドトキシンを含まないことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 洗浄後の洗浄廃液を再使用しないことを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の中空糸束の洗浄方法。
- 該中空糸膜が主として親水性高分子と疎水性高分子とからなることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- 該中空糸膜が、内径150〜250μm、膜厚10〜60μmであることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の中空糸膜束の洗浄方法。
- (1)洗浄装置内に回転可能なテーブルが配設され、
(2)該回転可能なテーブル上に複数本の中空糸膜束を収容可能で、洗浄液が通過可能な洗浄ボックスを設置可能であり、
(3)該回転可能なテーブルの中心軸近辺に洗浄液を噴射可能な少なくとも1つのノズルが配設され、
(4)洗浄液を加熱可能なヒーター装置が洗浄装置に付設され、
(5)洗浄装置内を加熱・保温可能なヒーター装置
を有することを特徴とする中空糸膜束の洗浄装置。 - 該回転可能なテーブルの回転加速度が中空糸膜束最外周部先端において1m/s2〜100m/s2の範囲で速度調整できることを特徴とする請求項12に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
- 粒径が500μm以下の洗浄液を、噴射角度5〜120°で噴射可能なノズルを配設したことを特徴とする請求項12または13に記載の中空糸膜束の洗浄装置。
- 洗浄液を10〜95℃に加温できるヒーター装置を有する請求項12〜14いずれか記載の中空糸膜束の洗浄装置。
- 洗浄液中のエンドトキシンを除去できるフィルター装置を付設したことを特徴とした請求項12〜15いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
- 洗浄装置内の壁面を50〜120℃に加熱することを特徴とする請求項12〜16いずれか記載の中空糸束の洗浄装置。
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