CDMAシステムにおいては、基地局から到来するTPC信号によって、端末のAGC増幅器の利得が決められる。これにより、PAへの入力電力が求まる。すなわち、PAの出力電力が求まる。そこで、PAの電力効率ないし電力付加効率が最高となるようなバイアス電圧を算定し、DC−DCコンバータを制御する。この際、消費電力が最小となるよう制御することも可能であるし、隣接チャネル漏洩電力が最小となるように制御することも可能であり、出力歪みが最小となるよう制御することも可能である。
DC−DCコンバータの制御においては、その駆動信号のデューティ(duty)を可変することにより、その出力電圧の制御を行う。以後、この制御をデューティ制御と略す。ここで、デューティに対するDC−DCコンバータの出力電圧の特性を図2に示す。
図1に示されるように、駆動信号のデューティを変えることによって、DC−DCコンバータの出力電圧を可変制御することができることが分かる。また、デューティの変化に対するDC−DCコンバータの出力電圧の変化が緩やかであるので、デューティを変化させることによって、DC−DCコンバータの出力電圧を精度良く制御することができる。
更に、デューティを可変することによる出力電圧の制御は、圧電トランスの共振周波数を維持したまま制御するため、周波数制御と比較してDC−DCコンバータの効率も高くすることができる。
また、分周回路等を用いることにより、デューティ可変回路を実現できるため、回路規模を小さくできる。また、LSI化も可能であり、実装面積の削減が可能である。これらから小型軽量の端末の実現が可能となる。
送信電力制御(TPC)信号を用いて、DC−DCコンバータの駆動信号のデューティを可変することにより、DC−DCコンバータの出力電圧を変化させ、PAがその出力電力に対して最大電力効率となるように制御を行う。これにより、PAの効率を改善し、通話時間の伸長及び発熱を最小限に抑制することができる。
また、バイアス電圧制御部をLSI化できることから、小型化が可能である。図2は、本発明の第1の実施形態を示す構成図である。端末(MS:Mobile Station)において、受信部で受信された基地局(BS:Base Station)から送信されたTPC信号をTPC信号抽出部1において再生抽出する。ここで、BSは、MSから送信される信号の受信電界強度を測定し、他のMSからの受信電界強度を考慮し、ある一定の受信電界強度となるようMSに対して、送信電力制御(TPC)の制御用信号、すなわち該TPC信号を送信 する。TPCの具体的な内容は、送信電力を上げる下げるの情報でも良いし、絶対電力または相対電力でも構わない。また、TPC信号はデータフォーマットに含まれる信号である。
TPC信号抽出部1で抽出されたTPC信号は、バイアス電圧制御部2に送られる。バイアス電圧制御部2は、TPC信号を基に、Duty可変回路5−1、5−2に制御信号を出力して、Duty可変回路5−1,5−2〜出力される信号のデューティを変化させる。Duty可変回路5−1、5−2には、分周回路6−1、6−2によって生成された、発振器(不図示)から出力される発振周波数の信号を分周する事により得られた周期波が入力される。Duty可変回路5−1、5−2によってデューティが可変されたそれぞれの周期波は、それぞれDC−DCコンバータ4−1、4−2に入力される。DC−DCコンバータ4−1、4−2は、電源3から所定の電圧を入力し、それを入力される周期波のデューティの値に従った、出力電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ4−1、4−2から出力される電圧は、PA8の利得を制御するバイアスティー7−1、7−2に入力される。PA8は、バイアスティー7−1、7−2によって調整される利得に応じ、入力RF信号を増幅してアンテナへ送出する。
図3は、上記圧電トランス形DC−DCコンバータ4−1,4−2の概略構成を示す図である。入力側から入力された電源電圧は、コンデンサ10及びコイル11により、整流され、コンデンサ12の両端子に印加される。Duty可変回路5−1、5−2からの制御信号は、駆動信号16として、トランジスタ13のゲートに印加され、駆動信号16の示すデューティに従ってトランジスタ13をオン/オフする。これにより、駆動信号16のデューティに応じて、コンデンサ12の両端に印加された電圧が圧電トランス14に印加される。該印加電圧は圧電トランス14によって変圧され、ブリッジダイオードからなる全波整流器15に入力され、全波整流された後、出力コンデンサ16によってフラットな波形の電圧に変換されて出力端子から出力される。以上の動作により、DC−DCコンバータ4−1、4−2は、入力電圧を駆動信号16のデューティに従った電圧に変換し出力する。
図4は、TPC信号を用いたPAに印加するバイアス電圧の制御の流れを示すフローチャートである。ステップS1で、TPC信号抽出部1が受信したTPC信号を再生抽出し、バイアス電圧制御部2が該TPC信号を基にAGC増幅器の利得(ゲイン)を確定し(ステップS2)、次に、該利得からPA8の入力電力Pin1を算出して確定する(ステップS3)。バイアス電圧制御部2は、続いて、該利得からPA8の出力電力Pout1も確定する(ステップS4)。そして、このときのPA8の電力効率η1 を算出する。更に、バイアス電圧制御部2は、PA8の入力バイアス電圧をVin1、出力バイアスをVout1としたとき、出力電力Pout1を一定とし、電力効率が最大となるバイアス電圧Vin2、Vout2を求め(ステップS5)、DC−DCコンバータ4−1、4−2の制御信号を作成し(ステップS6)、該制御信号に基づきデューティ可変回路5−1、5−2を制御し、DC−DCコンバータ5−1、5−2の駆動信号のデューティを可変する。デューティが変わることにより、デューティ可変回路5−1、5−2の出力電圧が変化し(ステップS7)、その結果PA8の入力及び出力のバイアス電圧がそれぞれ、Vin2 とVout2となる(図1参照)。
上記デューティ制御により、PA8の電力効率が改善しη2となる。この結果、MSの通話時間が伸長し、かつMSの発熱を抑えることができる。ここで、デューティ可変回路5−1、5−2は例えば分周器を用いて構成し、この場合、DC−DCコンバータ4−1,4−2の制御信号は分周比となる。
上述においては、PA8の電力効率を最大とする制御方法に関して述べたが、これに限定されることなく、PA8が最小消費電力となるよう制御しても良く、PA8が最小消費電流となるよう制御しても構わない。
また、受信したTPC信号ではなく、送信機内部で作成したTPC信号を利用して同様な制御を行うことが可能である。図5は、本発明の第2の実施形態の回路構成を示すブロック図である。
なお、同図において、図2と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、電圧/電流モニタ22〜25を用いてPA8のみではなく、DC−DCコンバータ4−1、4−2も最大効率となるようバイアス電圧を制御する。
このため、電圧/電流モニタ22〜25をDC−DCコンバータ4−1、4−2の前後に挿入し、バイアス電圧制御部20は、電圧/電流モニタ22〜25の測定値を基にDC−DCコンバータ4−1、4−2の電力効率を算出する。次に、バイアス電圧制御部20は、TPC信号から、PA8に設定すべき入出力電力をメモリ21から読み出す。そして、バイアス電圧制御部20は、両者を用いて、PA8の実際の電力効率を算出することにより、PA8のバイアス電圧制御を行う。これにより、PA8のバイアス電圧制御の高精度化及び安定化を計る。また、これにより、PA8及びDC−DCコンバータ4−1、4−2の個体差及び経年変化を相殺する。
TPC信号はTPC信号抽出部1で抽出され、バイアス電圧制御部20は該TPC信号を基にPA8に設定すべき出力電圧を設定する。このとき、バイアス電圧制御部20は電圧/電流モニタ22〜25の測定結果からDC−DCコンバータ4−1、4−2の電力効率を算出する。そして、バイアス電圧制御部20はこのDC−DCコンバータ4−1、4−2の電力効率と該TPC信号から、PA8に設定すべき出力電圧をメモリ21から読み出す。そして、Duty可変回路5−1、5−2に該出力電圧に応じたデューティを設定する。発振器から入力される所定の周波数の信号は、分周回路6−1、6−2によって分周され、該分周により得られた信号はDuty可変回路5−1、5−2によってデューティが変換された後、DC−DCコンバータ4−1、4−2に駆動信号として入力される。DC−DCコンバータ4−1、4−2は該駆動信号に従って、電源3から入力される電圧を変換して、該変換後の電圧をバイアスティー7−1、7−2に印加することにより、PA8の利得を制御する。このとき、電圧/電流モニタ22〜25は、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力の電圧/電流を常時モニタし、そのモニタ結果をバイアス電圧制御部20に送る。バイアス電圧制御部20は、そのモニタ結果を基にDC−DCコンバータ4−1、4−2の電力効率を算出する。前述したように、バイアス電圧制御部20は、この電力効率を、TPC信号による指示情報と共に、合わせて考慮し、電力効率とTPC信号による指示情報とを基に、PA8に設定すべき出力電圧が記憶されたメモリ21から、PA8に設定すべき出力電圧を読み出し、PA8の利得の制御を行う。
図6は、上記構成の第2の実施形態における制御動作を説明するフローチャートである。まず、TPC信号抽出部1で受信されたTPC信号を再生抽出し(ステップS10)、該TPC信号の指示情報に従った場合のPA8の電力効率η1を算出する。具体的には、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力の電圧及び電流を、電圧/電流モニタ22〜25により測定し、その測定値をバイアス電圧制御部20に渡す。更に、TPC信号に基づいてIFもしくはRFに挿入されたAGC増幅器(不図示)の利得を決定する(ステップS11)。次に、DC−DCコンバータ4−1、4−2の効率と、上記AGC増幅器の利得から、PA8の入力電力Pin1を算出し(ステップS12)、該入力電力Pin1とメモリ21から読み出したPA8の出力電力Pout1を用いてPA8の電力効率ηDCを算出する(ステップS13)。
ここで、Pout1はPA8の入力電圧(上記AGC増幅器の利得から換算できる)とPA8の入出力バイアス電圧に対する電力効率から算出された値であり、予め、メモリ21に記憶されていたものである。このとき、上記AGC増幅器は、TPC信号によって利得が制御されている。また、上記Pin1の算出において、Pin1の算出に必要な情報とPin1の値とで構成されるルックアップテーブルをメモリ21に記憶しておき、Pin1の値をメモり21から読み出す方法も考えられる。
次に、TPC信号を用いて、PA8の電力効率が最大となるバイアス電圧Vin30、Vout30を求め(ステップS14)、該電力効率がη30となるように制御を行う。すなわち、バイアス電圧制御部20は、まず、DC−DCコンバータ4−1、4−2の制御信号を作成し(ステップS15)、デューティ可変回路5−1、5−2を制御して、DC−DCコンバータ4−1、4−2の駆動信号のデューティを可変制御する。該デューティが変わることにより、DC−DCコンバータ4−1、4−2の出力電圧が変わり、その結果PA8の入力/出力バイアス電圧がそれぞれVin31とVout31となるので、これを電圧/電流モニタ22〜25により測定する(ステップS16)。上記デューティ制御によりPA8の電力効率が改善するので、このときのPA8の電力効率η31を算出する(ステップS17)。このとき、η30とη31の 差、すなわち誤差を求める。ここで、該誤差が、一定値δ以下になったか否かを判断し(ステップS18)、一定値δ以下にならなかった場合、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入力の前と出力の後に挿入した電圧/電流モニタ22〜25を用いてDC−DCコンバータ4−1、4−2の入力/出力電流値及び入力/出力電圧値を測定し(ステップS19)、上記誤差を考慮してPA8の入出力バイアス電圧を再計算し、DC−DCコンバータ4−1,4−2の制御信号を再作成する(ステップS20)。そして、再びPA8の電力効率を算出し(ステップS21)、ステップS18に戻って、ステップS19〜ステップS21の処理を収束するまで繰り返す。すなわち、制御信号を用いて、Duty可変回路5−1、5−2を介してDC−DCコンバータ4−1,4−2の出力電圧をデューティ制御することによって、PA8のバイアス電圧をVin32とVout32とする。これらの制御をPA8の電力効率の誤差が一定値δ以下となるよう繰り返し、収束した場合は制御を維持する。これにより、PA8の電力効率が、制御精度が良い状態でかつ安定・最大となる。この結果、MSの通話時間が伸長し、かつ発熱を抑えることができる。また、PA8の個体差並びに経年変化、及びDC−DCコンバータ4−1、4−2の出力電圧誤差並びに経年変化を解消することができる。
上記第2の実施形態において、制御毎にPA8の電力効率を計算せず、PA8のバイアス電圧を測定し、上記誤差を収束させるように制御することも可能である。
また、第1の実施形態においても述べたように、PA8が最小消費電力となるよう制御をしても良いし、PA8が最小消費電流となるように制御しても構わない。
図7は、本発明の第3の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、PA8の入出力電力及びバイアス電圧・電流から歪みの情報を抽出し、これらをバイアス電圧制御に用いる。PA8の入出力電力を測定し、該測定結果とPA8のバイアス電圧及びバイアス電流から歪みを算出する。そして、この歪み情報も考慮し、PA8のバイアス電圧制御を行う。これにより、更に、PA8の電力効率が改善される。また、同時に歪み特性も改善され、隣接チャネル漏洩電力特性及び占有帯域幅特性が改善できる。
図7に示す回路において、RF信号は、バイアスティー7−2に入力される前に、カプラ31によって分岐され、AGC増幅器32にも入力される。AGC増幅器32で増幅されたRF信号は、検波器33で検波され、A/D変換器34でデジタル信号に変換されてから、バイアス電圧制御部30に入力される。AGC増幅器32は、バイアス電圧制御部30からの制御信号によって制御される。カプラ31で分岐されたRF信号の内、他方は、バイアスティー7−2、PA8及びバイアスティー7−1を経て増幅されて、カプラ35に入力される。カプラ35では、該増幅されたRF信号が分岐され、その一方が、バイアス電圧制御部30によって制御されるAGC増幅器36で増幅された後、検波器37で検波される。そして、該検波されたRF信号は、A/D変換器38によってデジタル信号に変換され、バイアス電圧制御部30に入力される。バイアス電圧制御部30は、上記A/D変換器34,38から入力されるPA8の実際の入出力電圧を歪み算出用に保持する。バイアス電圧 制御部30は、Duty可変回路5−1,5−2に制御信号を与えて、分周回路6−1、6−2によって分周された発振器から入力される所定の周波数の信号のデューティを変化させて、該信号をDC−DCコンバータ4−1、4−2に入力させる。DC−DCコンバータ4−1、4−2は、電源3から入力される電圧を、Duty可変回路5−1,5−2から送られてくる信号によって所定の電圧に変換し、バイアスティー7−1,7−2に出力する。これにより、PA8の利得が決定される。電圧/電流モニタ22〜25は、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力電圧/電流をモニタし、そのモニタ結果をバイアス電圧/電流情報としてバイアス電圧制御部30に出力する。バイアス電圧制御部30は、検波器33,37で検波されたRF信号の電圧と、電圧/電流モニタ22〜25によって検出されたバイアス電圧/電流情報とから、PA8の出力の歪みを算出し、その算出結果を考慮してDuty可変回路5−1、5−2を制御することによって、PA8のバイアス電圧を変化させ、PA8の歪みを改善する。
図8は、上記構成の第3の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。図7に示したように、PA8の入力側と出力側にカプラ31,35を挿入し、カプラ31,35によりPA8の入出力信号を分岐する。そして、該入出力信号をAGC増幅器32,36を用いて増幅し、検波器33,37によって該増幅後の入出力信号の電力を測定する(ステップS30)。このとき、バイアス電圧制御部30は、TPC信号を用いて、送信装置におけるPA8の前段に存在するAGC増幅器(不図示)の利得を制御することにより、ダイナミックレンジを広げる。
次に、第2の実施形態と同様にしてPA8のバイアス電圧とバイアス電流を電圧/電流モニタ22〜25により測定する(ステップS31)。以上のようにして測定された6つの情報を用いて、予めバイアス電圧制御部30内に記憶されたテーブル(不図示)から該当する歪みを読み出す(ステップS32)。
図9は、バイアス電圧制御部30に記憶される上記テーブルの構成例を示した図である。バイアス電圧制御部30は、このテーブルから取得する歪みを加味して、前述の第2の実施形態における処理を実施して、電力効率の改善(ステップS33)及び歪みが改善(ステップS35)されるようにPA8のバイアス電圧を制御する。
ステップS34の収束判定は、PA8の電力効率の制御前と制御後の値の差を算出し、この差が所定の値よりも小さくなったか否かを判断することによって行う。同様に、ステップS36の収束判定も、歪み特性の制御前と制御後の値の差を算出し、この差が所定の値よりも小さくなったか否かを判断することによって行う。
以上の制御により、第2の実施形態よりも電力効率が更に改善される。また、同時に歪み特性も改善され、隣接チャネル漏洩電力特性及び占有帯域幅特性が改善される。
上述の制御において、電力効率の改善の方を重視しても、逆に歪み特性の改善の方を重視しても問題ない。また、両者に対して重み付けを行いながら制御することも可能である。
図10は、本発明の第4の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図7と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、漏洩電力を測定し、この測定結果をPA8のバイアス電圧制御に用いる。
第4の実施形態においては、第3の実施形態の構成に加え、更に検波器33、37の前にチャネル帯域幅の通過を阻止するBEF(Band Elimination Filter )42,43を設けることにより、帯域外電力すなわち漏洩電力を測定する。次に、この漏洩電力の大きさによって歪みを算出する。そして、この歪み情報とバイアス電圧及びバイアス電流から、PA8の電力効率が改善され、かつ低歪みとなるようにバイアス電圧制御を行う。
発振器から入力され る所定の周波数の信号は、分周回路6−1、6−2によって分周され、更に、バイアス電圧制御部40によって制御されるDuty可変回路5−1、5−2に よってデューティが可変されて、DC−DCコンバータ4−1、4−2に印加される。これにより、PA8のバイアスティー7−1、7−2に印加されるバイアス電圧/電流を変化させ、PA8の電力効率等を変化させる。DC−DCコンバータ4−1、4−2は、電源3から電力供給を受けるが、DC−DCコンバータ 4−1,4−2の入出力電圧/電流は、電圧/電流モニタ22〜25によって検出され、その検出結果がバイアス電圧制御部40に入力される。また、カプラ31,35によって分岐された、PA8の入出力電力は、バイアス電圧制御部40によって制御されるAGC増幅器32,36によって増幅された後、 BEF42,43によりフィルタリングされ、検波器33,37で検波される。このとき、BEF42,43は、チャネル帯域の通過を阻止し、チャネル帯域外の隣接チャネル漏洩電力のみを通過させる。従って、検波器33,37で検波される電力は、隣接チャネル漏洩電力のみとなる。検波器33,37の検波結果はA/D変換器34,38によってデジタル信号に変換され、バイアス電圧制御部40に出力される。メモリ41には、PA8の入出力の隣接チャネル漏洩電力、DC−DCコンバータ4−1,4−2がバイアスティー7−1、7−2に与えるバイアス電圧/電流、及びPA8の出力の歪みとが登録された、図9のテーブルと同様な構成のテーブルが格納されている。バイアス電圧制御部40は、このメモリ41に記憶されたテーブル内の歪み情報と共に、TPC信号抽出部1で抽出されたTPC信号の内容とを加味して、PA8の効率及び歪みを小さくするようにバイアス電圧/電流を制御し、更に、隣接チャネル漏洩電力が最も小さくなるようにDuty可変回路5−1、5−2を制御する。
図11は、上記構成の第4の実施形態の制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、図11には、図8の第3の実施形態の処理と異なる部分のみを示す。
まず、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力電圧及び入出力電流を、電圧/電流モニタ22〜25により測定する。次に、バイアス電圧制御部40によりTPC信号を用いて、送信回路のPA8より前段にあるAGC増幅器(不図示)の利得を制御し、ダイナミックレンジを広げる(ステップS40)。このときのPA8の出力側の信号のスペクトルを図12に示す。同図に示すように、理想的には、矩形状となるべきスペクトルの形状が、隣のチャネルへの漏れ込み(図12で斜線で示されているすそ野の部分)を有している。このようなスペクトルを有する信号を図13に示す周波数特性を持つBEF42,43を用いて、フィルタリングを行い(ステップS41)、図14に示すようなチャネル帯域(f1〜f2)外のスペクトル(隣接チャネル漏洩電力)のみを通過させるようにする。
最初に、バイアス電圧制御部40は、バイアス電圧制御を隣接チャネル漏洩電力を加味しないで行い(ステップS42)、次に、検波器33,37により隣接チャネル漏洩電力を測定し、その測定結果をデジタル信号に変換させて、バイアス電圧制御部40に入力させる(ステップS43)。
該測 定結果が入力されると、バイアス電圧制御部40では、隣接チャネル漏洩電力が最小かつPA8の電力効率が最大となるよう、Duty可変回路5−1、5−2を介してDC−DCコンバータ4−1、4−2をデューティ制御しPA8のバイアス電圧を可変させる(ステップS42)。
以後、バイアス電圧制御部40は、歪みが所定の値δd 以下かつ電力効率が所定の値η50となるようステップS42、43の制御を繰り返す。バイアス電圧制御部40は、ステップS43の処理の後、歪み及び電力効率のそれぞれに対して収束判定を行い(ステップS44)、両方が収束した場合は制御を維持する。このとき、収束条件として歪み及び電力効率に対して重み付けを行うことも可能である。該重み付けは、歪みを小さくする処理の収束判定に使う所定値δdの大きさと、電力効率が所定の値η50になったと判断する範囲を相互に調整することによって行うことができる。
なお、以上のようにRF信号を用いて制御するほかに、IF信号及びBB(ベースバンド)信号を用いて制御を行うことも可能である。また、電力効率を算出する際にBEF42,43をバイパスしPA8の入出力電力を測定し、制御を行うことも可能である。
図15は、本発明の第5の実施形態の回路構成を示すブロック図である。本実施形態においては、PA8のバイアス電圧制御において、バイアス電圧の立ち上がり及び電源 投入時において、DC−DCコンバータ4−1、4−2の出力電圧の変動を相殺するような制御を行いPA8のバイアス電圧制御の応答時間を短縮し、動作の安定化を図る。
まず、電源投入によって作られる信号を用いてタイマ58を稼働させ、タイマ58から送られてくる経過時間に対応したデューティの値をメモリから読み出してデューティ制御を行う。このときのデューティの値の例を図17に実線で示す。なお、同図の破線は、デューティの値を時間制御しない場合の例である。DC−DCコンバータ4−1、4−2の動作が安定すると考えられる時間が経過したら、立ち上がり制御を終了する。この制御により、図18に実線で示すように破線で示されたデューティを制御しない場合と比較して、バイアス電圧の立ち上がり時間の短縮が可能となる。
図15においては、発振周波数の信号が分周回路54によって分周され、Duty可変回路52に与えられる。Duty可変回路52は、バイアス電圧制御部53の制御を受けて該分周により得られた所定の周波数の信号のデューティを変化させて、電源50の電圧を変化させるDC−DCコンバータ51をデューティ制御する。
バイアス電圧制御部53は、主電源59投入と共に起動するタイマ58からその計時値を入力し、主電源59の投入時から所定の時間が経過するまで、メモリ55から経過時間に対応したデューティ値を読みとり、それをDuty可変回路52に与える。メモリ55は、図17の実線で示されるような関数を離散化して保持しており、バイアス電圧制御部53はタイマ58から計時値を取得する毎に、Duty可変回路52に設定すべきデューティの値をメモリ55から読み出すことができる。また、このようなデューティの制御は、主電源59の投入時のみに限られず、TPC信号が変化した場合にも適用される。すなわち、TPC信号が変化すると、送信回路のPA8の前段にあるAGC増幅器(不図示)の利得が変わるので、PA8に入力されるRF信号の電圧値も異なってくる。従って、PA8に与える最適なバイアス電圧/電流も変化させる必要が生じる。従って、TPC信号の変化に応じて、上記主電源59投入時と同様にしてバイアス電圧/電流のデューティ制御を行うことによって、バイアス電圧/電流の制御応答時間を速くすることができる。
この場合、まず、TPC信号抽出部56で受信したTPC信号を抽出し、それを変化抽出部57に入力させる。変化抽出部57は、前回入力されたTPC信号を保持しており、これを、新たに、TPC信号抽出部56から入力されたTPC信号と比較し、TPC信号が変化したかを検出する。変化抽出部57はTPC信号の変化を検出した場合には、タイマ58をリセットさせて、タイマ58に計時を開始させる。タイマ58の計時値はバイアス電圧制御部53に入力され、バイアス電圧制御部53は上述した主電源59の投入時と同様なデューティ制御を行う。これにより、TPC信号が変わったことにより、新たなバイアス電圧/電流に切り替える必要が生じた場合にも、そのバイアス電圧に設定するまでの応答時間を高速化でき、同様にバイアス電流の設定応答時間も高速化できるので、TPC制御に対する、PA8の送信電力の追従能力を向上させることができる。
また、次に述べる図16に示す回路のように、デューティを制御するのではなく周波数を制御することによって、立ち上がり時間を短縮し、制御を安定化することも可能である。
これにより、端末が高速で移動している場合のTPC制御に対して追従能力を向上させることができる。また、送信相手の基地局を切り替える(ハンドオーバー)際の追従性能を向上させることができる。
図16は、本発明の第6の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図15と同じ構成要素には同じ参照符号が付してある。発信周波数信号は分周回路54によって分周されるが、本実施形態では、この分周回路54に周波数制御部60からバイアス電圧/電流の立ち上がりを制御するための制御信号が入力される。分周回路54によって生成された発信周波数信号の分周信号は、バイアス電圧制御部53により制御され、Duty可変回路52によってデューティが制御されて、DC−DCコンバータ51に駆動信号として入力される。DC−DCコンバータ51は、駆動信号に応じて電源50からの入力電圧を変圧して、PAのバイアスティーへ出力する。
バイアス電圧制御部53は、 TPC信号抽出部56が抽出したTPC信号に基づいてPAの入力電圧を算出し、該入力電圧に対応する適切なデューティの値をメモリ55から読み出し、上記分周信号がDuty可変回路52により該読み出したデューティの値と等しくなるように変換されてDC−DCコンバータ51に入力されるように、Duty可変回路52に制御信号を出力する。一方、変化抽出部57は、TPC信号抽出部56が抽出したTPC信号に変化が現れたか否かを判断し、変化が現れた場合には、タイマ58をリセットし、計時を開始させる。また、タイマ58は、主電源59の電源投入によっても上記と同様にして計時を開始する。周波数制御部60は、タイマ58から入力されるタイマ58の計時値に従い、PAのバイアス電圧/電流の立ち上がりを早めるための周波数制御信号を生成し、それを分周回路54に出力する。,18では、デューティの制御によるバイアス電圧の立ち上がり時間の短縮のみが示されているが、DC−DCコンバータ51の駆動信号の周波数を変えること は、該駆動信号のパルスの発生間隔(周期)を変えることに相当するので、バイアス電圧の立ち上がり時間の短縮に関して、デューティ制御の場合と同様な効果 をもたらすことができる。計時値とそれに対応する周波数制御値のデータは、実験などによって測定し、該データをテーブル化してメモリに保持しておき、周波数制御部60は、タイマ58から入力される計時値に対応する周波数制御値を、該メモリから読み出して使用するようにする。
上記第5及び第6の実施形態における電源は、主電源から供給された電圧を、そのまま使用しても構わないし、主電源の電圧をレギュレータ及びDC−DCコンバータなどで昇圧ないし降圧することによって得られた電圧で、低周波雑音を除去したものでも構わない。ただし、後者の場合、主電源の出力電圧の立ち上がりと比較し、穏やかに出力電圧が立ち上がる可能性がある。この場合には、DC−DCコンバータ51の前に電圧/電流モニタを挿入し、電源電圧の振る舞いを考慮してバイアス電圧制御を行う必要がある。
また、図15には示していないが、DC−DCコンバータ51の実際の電流及び電圧の変化を測定し、バイアス電圧を制御する方法も考えられる。具体的には、DC−DCコン バータ51の出力側に電圧/電流モニタを設け、それにより電圧及び電流を測定し、その測定結果をバイアス電圧制御部53に送る。そして、バイアス電圧制御部53により、ある時間t及びそれよりも過去のある時間t−1の測定結果を用いてDC−DCコンバータ51の電圧/電流の変動量を算出し、該変動量がある一定値δ6以下となるように制御する。これにより、より高精度のバイアス電圧制御が可能となる。
図19は、本発明の第7の実施形態の回路構成を示すブロック図である。本実施形態においては、他の素子の電源電圧変動及び電流変動を抑制する。本実施形態においては、バイアス電圧制御によって過渡的に増加するDC−DCコンバータ67の入力電流により、他の素子に対する駆動能力が低下し、該他の素子に電圧降下が発生することを防ぐため、DC−DCコンバータ67の入力電流を測定し、該入力電流が一定値Iin7以上とならないように制御を行う。これにより、他の素子の動作を安定させることができる。
すなわち、DC−DCコンバータ67に入力される駆動信号のデューティが変化したとき、DC−DCコンバータ67の動作が変化し、主電源65からDC−DCコンバータ67に過渡的に大きな電流が流れる可能性がある。もし、このようにDC−DCコンバータ67に過渡的に大きな電流が流れると、DC−DCコンバータ67と同じく主電源65で駆動される他の素子に供給される電流が非常に小さくなってしまう。すると、他の素子が正常に動作しなくなるので、本実施形態の構成を有する回路が正常に動作しなくなってしまう。
すなわち、図19の構成では、主電源65からDC−DCコンバータ67に電力が供給されているが、この主電源65からDC−DCコンバータ67に流れる電流及び主電源65からDC−DCコンバータ67に印加される電圧を電流/電圧モニタ66で測定し、電流/電圧モニタ66からDC−DCコンバータ67に入力される電流値をバイアス電圧制御部68に出力する。バイアス電圧制御部68は、入力された電流値が所定値以上となった場合には、Duty可変回路69に制御信号を与えて、DC−DCコンバータ67の消費電流の量を減少させるように、Duty可変回路69を制御する。この制御は、通常のPA92の電力効率を制御するためのバイアス電圧の制御と共に行われる。通常の動作時においては、バイアス電圧制御部68がTPC信号抽出部70から TPC信号の内容を取得して、PA72への入力電圧を算出し、分周回路71から出力される発振周波数信号の分周信号のデューティをDuty可変回路69に よって可変し、DC−DCコンバータ67に与えることによって、PA72の電力効率を制御する。なお、同図においては、バイアスティーは省略されており、 また、PA72の入出力の両方のバイアス電圧を出力するためのDC−DCコンバータ67も1つのみ図示している。
図20は、本発明の第8の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図19と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、GPS等を用いて移動速度を検出し、速度に応じてバイアス電圧制御間隔を制御し、PAのバイアス電圧を制御する。
本実施形態においては、端末の移動速度を測定し、それに応じてバイアス電圧制御間隔を調整し、制御回路の動作間隔を調整する。これにより、低消費電力化が可能となる。
移動する端末から基地局への通信では、移動することで発生するフェージングによって、基地局における受信電力(受信電界強度)が変動してしまう。しかしながら、前述のように遠近問題があるため、フェージングによる受信電力の減衰を相殺するために、端末の送信電力を制御する必要がある。特に、自動車及び電車といった高速で移動する乗り物の中で通信を行うためには、送信電力制御を高速で行う必要がある。
ここで、もし、端末が移動せず静止した状態であるとしたら、周りの環境(例えば、他の人の移動など)により基地局の受信電力に変動が生じるものの、前者の高速移動での送信電力制御の制御速度と比較して制御速度の低速化が可能となる。
実際の端末の移動速度の検出は、GPS(Global Positioning System)などの位置情報を測定できるシステムを用いて移動速度を算出する。具体的には、例えば、ある時刻tτにおける端末の位置情報Pτと該ある時刻tτよりも時間間隔がα前の時刻tτ−αにおける端末の位置情報Pτ−αを用いて、次式(1)から、端末の時刻tτにおける移動速度vτを算出する。
vτ=(Pτ−Pt−τ)/α ・・・(1)
このようにして得られた移動速度vτから、送信電力の制御の間隔を広げたり、狭めたりすることが可能となる。すなわち、バイアス電圧制御の制御間隔を広げたり、狭めたりする制御が可能となる。
以上の制御により、端末の消費電力を削減することが可能であり、その結果、端末の通話時間の伸長も可能となる。図20においては、通常の制御時は、バイアス電圧制御部68がPAのバイアス電圧を可変するために、TPC抽出部70により抽出されたTPC信号に基づいて、Duty可変回路69に制御信号を送って、分周回路71によって生成された発信周波数信号の分周信号のデューティを変えて、該分周信号をDC−DCコンバータ67に駆動信号として印加する。これにより、電源65の電圧がDC−DCコンバータ67により変圧されてPAのバイアスティーに印加され、PAの電力効率が最大になるように制御される。しかし、端末が高速で移動している場合には、TPC信号によるPAの出力電力の変化の指示が頻繁に発生するので、PAの出力電力制御が端末の移動に追従できない。そこで、位置情報取得部75がGPSから端末の移動速度を取得し、バイアス電圧制御部68に通知する。すると、バイアス電圧制御部68は、該移動速度に対応するDC−DCコンバータ67に入力される駆動信号のデューティ値をメモリ76から取得して、これをDuty可変回路69に出力する。このようにして、端末が高速で移動しており、PAのバイアス電圧を頻繁に可変させる必要がある場合にも、該バイアス電圧を端末の移動速度に追従して制御することができる。
上記メモリ76には、実験的に求めておいた各移動速度毎の適切なデューティ値をテーブルなどのデータ形式で予め記憶しておくようにする。(a)は、上記構成の第8の実施形態における動作の流れを示すフローチャートである。
ステップS50において、移動速度を算出しようとする時刻τよりも所定時間α前の時刻τ−αにおいて、GPSを用いて自端末の位置Pτ−αを検出する。次に、ステップS51で、移動速度を算出しようとする時刻τにおける自端末の位置PτをGPSを用いて検出する。そして、ステップS52で、(Pτ−α)−Pτにより移動距離を算出する。そして、これを上記所定時間αで除算し、移動速度Vτを算出する(ステップS53)。ステップS54では、予め保持していた閾値δと移動速度Vτとを比較し、移動速度Vτが閾値δ以上の場合には、ステップS56に進んで、通常の制御を行う。一方、ステップS54で、移動速度Vτが閾値δより小さい場合には、ステップS55に進んで、バイアス電圧制御を停止するか(バイアス制御回路への電力供給を停止するか)、あるいは、バイアス電圧の制御間隔を拡げる。該制御間隔を拡げる動作は、DC−DCコンバータ67の駆動信号のパルス間の間隔(周期)を広げることになるので、該駆動信号のデューティを小さくする場合と同様な効果を得ることができる。
図21(b)は、通常の制御と制御間隔を拡げる制御を説明する図である。同図(b)の(1)に示すように、通常の制御における上記駆動信号のパルスの周期をTとした場合、制御間隔を拡げる制御において上記駆動信号の周期を3倍にした場合に、同図(b)の(2)に示すように、上記駆動信号のパルスの間隔が3倍に拡がることになる。これは、上記駆動信号のデューティを可変させる操作と同等の操作であり、PAのバイアスティーに印加されるバイアス電圧の制御間隔が拡がり、端末の消費電力が削減されることになる。
図22は、本発明の第9の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図20と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、フェージング周波数等を用いて端末の移動速度を検出し、該移動速度に応じてバイアス電圧の制御間隔を制御する。
移動速度検出部77は、フェージング周波数を用いて端末の移動速度を測定し、それに応じてバイアス電圧の制御間隔を調整し、制御回路の動作間隔を調整する。これにより、低消費電力化が可能となる。また、端末の停止したことを感知した場合は、バイアス電圧制御を停止し、その時点の状態を維持する。この際、制御回路の電源供給を停止する。これにより、低消費電力化を行う。
実際の端末の移動速度の検出方法としては、フェージング周波数またはフェージングピッチを測定することにより、端末の移動速度を計算する方法を用いることができる。フェージング周波数またはフェージングピッチの測定による移動速度の検出方法については、特開平6−21903号公報、特開平6−242225号公報、特開平8−32527号公報等に詳細が記載されている。
このようにして得られた端末の移動速度から、端末の送信電力の制御を連続的に行うのではなくて、端末が停止している時は制御を止め、端末が移動を始めたならば制御を開始する等、送信電力の制御間隔を拡げて、間欠的に制御を行ったりすることが可能となる。すなわち、PAのバイアス電圧制御の制御間隔を広げたり、時には制御を停止する。該制御間隔を広げたり停止した場合は、図21中のメモリにそのときの制御状態を記憶し、制御を保持する。
また、フェージング周波数(あるいは、移動速度)がある一定値以下となり、環境によるフェージングの影響が小さいことが分かった場合には、端末が移動せず停止していると判断し、端末の送信電力の制御を止めることも可能である。この一定値は、通信の精度や回路の構成の複雑の程度等を考慮して設定すべきものであるが、実験的に定めても良い。以上の制御により、端末の消費電力を削減することが可能である。これにより、端末の通話時間の伸長が可能となる。
分周回路71で生成された発信周波数信号の分周信号は、バイアス電圧制御部68により制御されるDuty可変回路69によってデューティが制御されて、 DC−DCコンバータ67に入力される。バイアス電圧制御部68は、TPC信号抽出部70により抽出されたTPC信号に基づいてPAの入力電圧を算出すると共に、フェージング周波数から移動速度を検出する移動速度検出部77から送信されてくる移動速度及び該TPC信号を用いて、移動速度値及びTPC信号情報とそれらに対応するデューティ値の様々な組み合わせのパターンが記憶されたメモリ76を参照して、Duty可変回路69に適切なデューティ制御信号を送信する。これにより、メモリ76の駆動信号のデューティを制御して、上記したようにPAの出力電力の制御を間欠的にしたり、停止する等の処理を施す。
図23は、本発明の第10の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図9と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、バイアス電圧制御値の初期値を記憶しておき、これを用いることにより、バイアス電圧制御を高速化する。
本実施形態において、PA8の出力電力に対する電力効率が最大となるようバイアス電圧を制御する際に、開始時においては予め記憶されたバイアス電圧の制御値の初期値を読み出し、その後、実際のバイアス電圧及びバイアス電流を測定し、PAの電力効率を算定し、該電力効率が最大となるように制御する。これにより、バイアス電圧制御による時間が短縮され、かつバイアス電圧の制御を高精度化することが可能となる。
あらかじめ、PA8の各出力電力に対して最大電力効率となるDC−DCコンバータ4−1、4−2のバイアス電圧及び電流の値を、初期値として初期値メモリ81に記憶しておく。この初期値は、複数の製品のPA8について、実際に測定した結果得られた平均値でもよいし、あるいは、最頻値でもかまわない。また、製造時におけるPA8のロット毎の平均値でも良いし、最頻値でも構わない。
また、環境温度及びPA8の出力電力に対して最大効率となるバイアス電圧及び電流を初期値として初期値メモリ81に記憶することも可能である。まず、端末の発呼時に基地局からの到来信号の受信電力PBSを測定し、端末の送信電力PMSを算定する。次に、PA8が設けられている送信回路の前段に位置するAGC増幅器の利得を制御する。なお、このAGC増幅器は、図22に明記したAGC増幅器32,36ではなく、IF信号及びRF信号に対して配置されたAGC増幅器を示す(図35参照)。上記制御により、PA8の入力電力が算定でき、PA8の出力電力に対する最大電力効率となるバイアス電圧が導き出される。この最大電力効率となるバイアス電圧を初期値メモリ81から読み出し、PA8のバイアス電圧とする。
次に、PA8の前後に設けられたAGC増幅器32,36の利得を制御し、PA8の入出力電力の実測を行い、かつDC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力の電圧及び電流を電圧/電流モニタ22〜25によって測定することにより、実際のPA8の電力効率を算出する。
実測値と初期値の誤差を算出し、該誤差がキャンセルされるよう、DC−DCコンバータ4−1、4−2のバイアス電圧及び電流を調整する。これを繰り返すことにより、PA8の出力電力の制御精度が向上し、かつPA8の電力効率を精度良く向上させることができる。また、初期値を用いることにより、制御速度が向上し、制御が収束するまでの時間が早くなる。
また、図23には、明記してないが、感熱(感温)素子を用いて、PA8の動作環境の周辺温度あるいは環境温度を測定し、それらの温度とPA8の出力電力から、PA8が該動作環境において最大電力効率となるような、バイアス電圧の初期値として初期値メモリ81から読み出す様にしても良い。これにより温度変化が生じても上述と同様の効果が得られる。すなわち、動作環境の変化に柔軟に対応できる。
なお、同図において、図7と同じ構成要素については、前述したものと同じなので動作説明は省略する。図24は、上記構成の第10の実施形態における動作の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS60で、PA8の入出力電力からPA8の最大効率ηPAを算出する。次に、ステップS61で、PA8の効率が該最大ηPAとなるようにPA8のバイアス電圧Vin、Voutを決定する。このバイアス電圧に基づいて、DC−DCコンバータ4−1、4−2を制御し、それらの出力電圧を制御する(ステップS62)。更に、ステップS63で、DC−DCコンバータ4−1、4−2の入出力電流及び電圧からDC−DCコンバータ4−1、4−2の効率ηDC-DCを算出する。次に、PA8の実際の効率とDC−DCコンバータ4−1、4−2の効率ηDC-DC から総合効率η31を算出し(ステップS64)、ステップS65で、目標の総合効率η30と総合効率η31との誤差を算出する。ステップS66で、算出された誤差が所定値以下になったか否かを判断することによって、制御の収束判定を行い、収束していない場合には、ステップS61に戻って上記処理を繰り返す。ステップS66で収束条件が満たされたことが判断された場合には、それ以降、現在の制御状態を維持する。
図25は、本発明の第11の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図23と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、上記第10の実施形態のように、上記初期値を固定的に使用するのではなく更新し、PA8及びDC−DCコンバータ4−1、4−2の経年変化等による誤差を吸収する。
本実施形態においては、PA8の各出力電圧に対して最大電力効率が得られるPA8へのバイアス電圧及び電流について、初期値と実測値を比較し、後者の方がPA8の電力効率が改善される場合は、初期値を該実測値に更新する。これにより、PA8及びDC−DCコンバータ4−1、4−2の個体間の特性のばらつき及び経年変化による特性の劣化を相殺し、かつ制御時間の短縮と高精度化を図る。
まず、PA8の出力電力に対して初期値をそのまま用いてPA8のバイアス電圧を設定し、実測した電力効率と該初期値から制御を行った後の電力効率を比較し、前者の効率がより高かった場合、そのときのバイアス電圧及び電流の値を初期値と置き換える。
製造後初めて稼働させた場合は、PA8及びDC−DCコンバータ4−1、4−2の特性のばらつきを、初期値を更新することによって相殺する事が可能となる。
なお、実際には製造工場での試験において、出力電力が高精度で、変調精度も高いような高品質な変調波形を出力できる送信機ないし発振器を用いて、上述のような制御を行ってもよいし、また、このために、専用の入力端子を設けてもよい。
上記制御を随時行い、初期値を更新することにより、経年変化によって生じるPA8及びDC−DCコンバータ4−1,4−2の特性の劣化を相殺することができ、高精度の制御が可能となる。
また、第9の実施形態と同様に感温(感熱)素子を用いることにより、周辺温度もしくは環境温度とPA8の出力電力に対して、PA8の最大電力効率が得られるような値に初期値を更新するような構成とすることも可能となる。
なお、図23と同じ構成要素については、前述したものと同様なので動作説明を省略する。図26は、本発明の第12の実施形態の回路構成を示すブロック図である。
なお、同図において、図19と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、DC−DCコンバータ66、67の駆動信号をデューティ制御するのではなく、PCM回路85−1、85−2を用いてPCM(Pulse Code Modulation )により変化させ、バイアスティー86−1、86−2に印加するバイアス電圧を制御する。
本実施形態においては、DC−DCコンバータ66,67の入力電圧と出力電圧との関係が非線形である場合、その入出力特性に対応するように、適応的かつ最適に割り当てられたコードを用いて、PCM回路85−1、85−2により分周回路71−1、71−2によって生成された発信周波数信号の分周信号に対しPCMを施すことにより、PA8のバイアス電圧制御の精度を改善する。これにより、該バイアス電圧制御をより高精度化することができる。
次に図26及び図27を用いて、本実施形態の構成及び動作を説明する。図26(a)のバイアス電圧制御部68によって、PA8のバイアス電圧を求め、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧をPCMを用いて制御するためのコード(PCMコード)を作成する。そして、該コードをPCM回路85 −1、85−2に出力し、例えば、図26(b)の(2)の様な波形の駆動信号を形成する。そして、この駆動信号をDC−DCコンバータ66,67に供給することにより、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧を制御する。このようにPCMを利用することにより、DC−DCコンバータ66,67の駆動信号を、デューティ制御のようにパルス幅のみではなく、パルス間隔も可変に制御することが可能となるので、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧をより高精度に制御することができる。
例えば、図27に 破線で示す例1の様に、PCMコードをDC−DCコンバータ66,67の出力電圧が線形となるように均等に配分する方法も可能であるが、DC−DCコン バータ66,67は、出力電圧が大きくなると歪みを生じるようになるので、出力電圧が大きい場合にはよりきめ細かい制御が必要となる。従って、このようなことが要求される場合には、図27の例2の様に、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧が大きい部分に、多くのPCMコードを割り当てておくことにより、DC−DCコンバータ66,67の線形に変化する小出力電圧部分に対しては、少ないPCMコードで制御し、DC−DCコンバータ66,67の非線形に変化する高い出力電圧部分に対しては、多く割り当てられているPCMコードで制御することにより微妙に、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧の特性を忠実に再現できるようになる。
以上のように制御することによって、PA8のバイアス電圧を高精度に制御することが可能となるので、PA8の電力効率が改善され、通話時間の伸長が図れる。
図28及び図29は、本発明の第13の実施形態の構成及び動作を説明する図である。なお、図28において、図26と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
本実施形態においては、バイアス電圧によっては、DC−DCコンバータ66,67の使用を中止することにより、高電力出力時のPAの電力効率を改善する。
本実施形態において、DC−DCコンバータ66,67の使用、不使用を切り替え制御するスイッチSW1、SW2を設け、DC−DCコンバータ66,67を用いないほうが、PA8及びDC−DCコンバータ66,67を含む回路全体の電力効率が良い場合には、DC−DCコンバータ66,67を使用しない。これにより、PA8の出力電力が高いときなどに電力効率を改善することができる。
図29に、前記第1の実施形態のバイアス制御を行った場合(実線のグラフ)と、行わなかった場合(破線のグラフ)の回路全体の電力効率のグラフを示す。図29から、PA8の出力電力が2点鎖線で示す値より高い場合には、バイアス制御による効果がないことが分かる。
これは、以下の理由によるものである。PA8の出力電力が大きい場合は、一般的にPA8の電力効率は高く維持される。しかしながら、バイアス電圧を変えてしまうと、DC−DCコンバータ66,67の電力効率の劣化が影響し、回路全体の電力効率がDC−DCコンバータ66,67を使用しない場合よりも劣化してしまうからである。
そこで、PA8の出力電力が高い場合は(図29中の2点鎖線より出力電力の高い領域では)、バイアス電圧制御部68からの信号によってスイッチSW1、SW2を切り替え、DC−DCコンバータ66,67をバイパスし、電源65から直接バイアスティー86−1、86−2に電源を供給する。
これにより、PA8の出力電力の大きさに応じて、図29において、実線と点線で示される高い方を選択して、PA8のバイアス電圧を制御することになり、電力効率の劣化を防ぐことができ、低消費電力化を行うことができる。
なお、図29において、PA8の出力電圧が2点鎖線で示す値より低い領域では、前述の第1及び第12の実施形態の制御を行う。ところで、図29のSW1及びSW2は同時に切り替えても良いし、別々のタイミングで切り替えても構わない。
すなわち、図28に示す回路において、バイアス電圧制御部68は、TPC信号抽出部70が抽出したTPC信号に基づいて、PA8への入力電圧を算出し、これに基づいて、PA8の利得を算出する。そして、PA8の出力電力が、図29の2点鎖線で示す値より小さい場合には、スイッチSW1、SW2を、DC−DCコンバータ66,67から出力される電圧がバイアスティー86−1,86−2に供給するように、切り替える。一方、バイアス電圧制御部68は、PA8の出力電力が図29の2点鎖線で示す値よりも大きいと判断した場合には、スイッチSW1、SW2を、電源65の電圧が直接バイアスティー86−1、86−2に供給されるように、切り替える。
このような構成により、DC−DCコンバータ66,67を含む回路全体の電力効率を最大化し、低消費電力化を達成すると共に、発熱もより低減することができる。
図30は、本発明の第14の実施形態の構成及び動作を説明する図である。なお、同図において、図26と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。本実施形態においては、DC−DCコンバータ66、67の駆動信号をバースト化して、DC−DCコンバータ66,67の出力電圧を制御し、低消費電力化する。
すなわち、TPC信号に基づいて、DC−DC コンバータ66,67の駆動信号をバースト状にすることによって、DC−DCコンバータ66,67の出力の実効電圧を変化させる。これにより、PA8のバ イアス電圧が変化し、PA8の電力効率が改善する。この結果、端末の通話時間を伸長させ、かつ端末の発熱を抑えることができる。
図30(a)において、発振周波数信号は、分周回路71−1、71−2によって分周された後、バースト化制御部95−1、95−2に入力される。一方、バイアス電圧制御部68は、TPC信号抽出部70によって抽出されたTPC信号に基づいて、PA8への入力電力及び出力電力を算出し、バイアスティー86−1、86−2に印加すべきバイアス電圧を決定する。バイアス電圧制御部68は、バースト化制御部95−1、95−2に、分周回路71−1、71−2から入力される図30(b)の(1)に示す分周信号を図30(b)の(2)に示されるように、バースト化を指示する制御信号を出力する。どの程度バースト化するかは、DC−DCコンバータ66,67の出力実効電圧が、どの程度のバースト化によってどれほど変化するかの情報が登録されたテーブルを参照するなどして、決定する。バースト化制御部95−1,95−2によってバースト化された分周信号は、それぞれDC−DCコンバータ66,67に印加される。DC−DCコンバータ66,67は、例えば、図3に示されるような構成となっており、圧電トランス14に印加される実効電圧が減少する 結果、圧電トランス14の出力を整流することによって生じるDC−DCコンバータ66,67の出力電圧の実効電圧も変化する。このようにして、電圧値が可変されたDC−DCコンバータ66,67の出力電圧がバイアスティー86−1,86−2に印加され、PA8の電力効率を最適に制御する。
これにより、PA8の電力効率を改善することが可能となる。なお、本実施形態においてはデューティ制御の変わりにバースト化制御を行っている。図31は、本発明の第15の実施形態の回路構成を示すブロック図である。
なお、同図において、図30と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。本実施形態においては、DC−DCコンバータ66、67の駆動信号のデューティ制御に加え、バースト制御も行う。これにより、バイアス電圧の制御精度を更に向上させる。
TPC信号はTPC信号抽出部70において抽出され、バイアス電圧制御部68に入力される。バイアス電圧制御部68では、TPC信号からPA8への入力電力及び出力電力を算出し、電力効率が最大となるPA8のバイアス電圧、すなわち、バイアスティー86−1、86−2にどの程度のバイアス電圧を印加すべきかを決定する。そして、DC−DCコンバータ66,67に与えるべき駆動信号を決定して、Duty可変回路100−1、100−2、及びバースト化制御部95−1、95−2に制御信号を与える。
発信周波数信号は分周回路71−1、71−2により分周された後、Duty可変回路100−1、100−2に入力される。Duty可変回路100−1、100−2は、バイアス電圧制御部68からの指示により、入力された分周信号のデューティを変化させて、バースト化制御部95−1、95−2へ出力する。バースト化制御部95−1、95−2は、デューティの可変された分周信号を、バイアス電圧制御部68から入力される制御信号の指示により、バースト化して、DC−DCコンバータ66,67へ駆動信号として出力する。DC−DCコンバータ66,67がバイアスティー86−1、86−2に与えるバイアス電圧の値をデューティ可変とバースト化によって適切に制御するために、バイアス電圧制御部68は、PA8の各出力電力毎に、PA8の電力効率を最大とするためのデューティ制御情報及びバースト化制御情報とを保持したテーブルを有しており、これを参照することなどにより、適切な指示をDuty可変回路100−1、100−2及びバースト化制御部95−1、95−2に与える。
デューティ制御とバースト化を同時に行うことにより、いずれか一方のみの場合よりも、PA8のバイアス電圧をよりきめ細かく制御することが可能となり、PA8の電力効率を更に改善することができる。
図32は、本発明の第16の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図31と同じ構成要素には同じ参照符号を付してあり、要部以外の部分は図示を省略してある。
本実施形態においては、DC−DCコンバータ66に与える駆動信号の周波数制御を行い、PAのバイアス電圧制御を行うことにより、低消費電力化する。 TPC信号を用いて、上記駆動信号の周波数を可変することによって、DC−DCコンバータ66の出力電圧を変化させることにより、PA8のバイアス電圧を 変化させて、PA8の電力効率を改善する。この結果、端末の通話時間が伸長し、かつ端末の発熱を抑えることができる。
バイアス電圧制 御部105は、TPC信号に基づいて、PAへの入力電力及び出力電力を算出し、DC−DCコンバータ66に与えるべき駆動信号の周波数を決定する。この周 波数は、PAの各出力電力と該各出力電力時のPA8の電力効率を最大とするPA8のバイアス電圧をDC−DCコンバータ66が生成するために必要な駆動信号の周波数とを対応付けて記憶しているテーブルなどを参照して取得するようにすればよい。そして、バイアス電圧制御部105はこの周波数に基づいて周波数制御信号を作成して周波数制御部106へ出力し、周波数制御部106に分周回路71が実施すべき分周処理の分周比を可変制御させ、DC−DCコンバータ66に与える駆動信号の周波数を変更させる。その結果、DC−DCコンバータ66の出力電圧が可変し、PA8のバイアス電圧が可変する。
このようにして、PA8のバイアス電圧を適切に制御することにより、PA8の電力効率等を改善することが可能となる。また、周波数制御部106は、PLL シンセサイザ、DDS(Direct Digital Synthesizer)、V/Fコンバータまたは、分周回路等を用いて構成することができる。
図33は、本発明の第17の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図32と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。また、要部以外の構成は図示を省略している。
本発明の実施形態においては、DC−DCコンバータ66の駆動信号のデューティを変化させる制御を行うだけでなく、該駆動信号の周波数制御も行う。これより、DC−DCコンバータ66の出力電力の制御精度が向上する。
TPC信号は、TPC信号抽出部70により抽出され、バイアス電圧制御部110に入力される。バイアス電圧制御部110は、抽出されたTPC信号により指示されている送信電力に関する情報に対応して、行うべき周波数制御とデューティ制御に関する情報が登録されたテーブルを有しており、このテーブルを参照して、周波数制御部106に対して、所定の周波数制御を行うべきことを指示すると共に、Duty可変回路111にデューティ可変制御信号を入力する。
発信周波数信号は、周波数制御部106によって制御される分周回路71によって、分周され、更に、Duty可変回路111によってデューティ制御されて、DC−DCコンバータ66に駆動信号として入力される。DC−DCコンバータ66は、この駆動信号に従って、電源65の電圧を変圧して、PA8にバイアス電圧として印加する。
このように、DC−DCコンバータ66の駆動信号をデューティ制御及び周波数制御することにより、PA8の電力効率が最大になるように制御されると共に、DC−DCコンバータ66の効率も最適化して、回路全体の電力効率を最大にし、端末の発熱を抑えると共に、端末の低消費電力化も達成する。
図34は、本発明の第18の実施形態の回路構成を示すブロック図である。なお、同図において、図33と同じ構成要素には同じ参照符号を付してあると共に、要部以外の構成は図示を省略してある。
本実施形態においては、DC−DCコンバータ66の駆動信号のデューティ制御を行うだけでなく、バースト制御及び周波数制御も行う。これより、DC−DCコンバータ66の出力電圧の制御精度が更に向上する。
TPC信号抽出部70によって抽出されたTPC信号により指示された送信電力に関する情報により、バイアス電圧制御部110は、PAへの入力電力及び出力電力を算出し、DC−DCコンバータ66に与えるべき駆動信号の周波数、デューティ、バースト化度(入力クロックの何パルスを1つのバーストとする、バースト間隔をどの程度にするか等)をどの程度に設定するかに関する情報が、PA8の出力電力に対応付けて登録されたテーブルを参照することにより、決定し、当該情報を周波数制御部106、Duty可変回路111、及びバースト化制御部112に制御信号を与える。周波数制御部106は、分周回路71に制御信号を与えて、発信周波数信号を分周させ、Duty可変回路111は、バイアス電圧制御部110からの指示信号により、分周回路71から入力される分周信号のデューティを可変し、更に、バイアス電圧制御部110の制御によりバースト化制御部112がDuty可変回路111から入力される信号をバースト化して、DC−DCコンバータ66に駆動信号として与える。
これにより、DC−DCコンバータ66は、入力される駆動信号に従って、電源65から印加される電圧を当該電圧に変圧して、PAのバイアス電圧として与える。この結果、PA8の電力効率を最大にすることができると共に、周波数制御、Duty制御、バースト制御をうまく組み合わせることによって、DC−DCコンバータ66の出力電圧を高精度に制御することが可能となり、DC−DCコンバータ66の電力効率も向上させることができる。従って、DC−DCコンバータ66とPA8を含む回路全体の電力効率を最適にすることができるので、端末の低消費電力化を達成し、発熱を抑えることができる。
なお、上記実施形態の説明では、限られた制御手段の組み合わせのみを示したが、上記説明で示された、周波数制御、デューティ制御、バースト制御、DC−DCコンバータの不使用等は、相互に様々な形態で組み合わせ可能であり、本発明の実施形態を使用するものによって、適切に構成されるべきものである。従って、本発明は、これらの任意の組み合わせも含むものである。