JP2005331460A - 陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法 - Google Patents

陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定や分析を行うことが可能な測定対象物を拡張するとともに、測定精度や分析精度を向上させる。
【解決手段】測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、陽電子ビーム入射手段による測定対象物への陽電子ビームの入射および電子ビーム入射手段による測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、陽電子ビーム入射手段による測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、陽電子分析顕微鏡および陽電子ビーム(以下、「陽電子線」と適宜に称する。)を用いた測定方法に関し、さらに詳細には、陽電子ビームを測定対象物(以下、「試料」と適宜に称する。)に入射することにより測定対象物の測定や分析を行う陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法に関する。
従来より、電子ビーム(以下、「電子線」と適宜に称する。)を用いた電子顕微鏡が知られているが、この電子顕微鏡は、ミクロの世界のプローブとして長足の進歩を遂げてきた。
現在、電子顕微鏡の分解能は、走査型電子顕微鏡(SEM)では〜0.5nmであり、また、透過型電子顕微鏡(TEM)では〜0.1nmであって、きわめて高い分解能が実現されている。
また、こうした電子顕微鏡の進歩は、分解能の向上の他にも、電子エネルギー損失分光(EELS)やエネルギー分散型X線分析(EDS)による試料中の原子の結合状態や組成分析法、三次元像構成の観察法、絶縁体試料の観察法、低真空観察法あるいは試料のドリフト補正法のような各種の分析や観察の手法の確立などの点において、目を見張るものがある。
上記したような高機能を備えるとともに高分解能を実現した電子顕微鏡は、試料の作成技術の進歩とともに、基礎科学あるいは材料開発などの産業の発展においても不可欠の手段となっている。
こうした電子顕微鏡において、試料の情報を得るために検出する対象は、2次電子、反射電子、透過電子、散乱電子、蛍光、オージェ電子あるいは特性X線などである。
即ち、走査型電子顕微鏡は、2次電子、反射電子を検出してミクロの表面形態を可視化し、また、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(SEM−EDS)は、入射電子による試料中の原子の内殻電子電離によって放出される特性X線を検出して試料中の元素組成を明らかにするものである。

ここで、電子の代わりに陽電子を用いても、透過電子、反射電子、散乱電子をそれぞれ陽電子に換えれば、電子と基本的に同じ観察を行うことが可能であるが、実用的に上記した観察を行うことを可能にする陽電子ビームは未だ存在していない。
なお、陽電子とは電子の反粒子であり、電荷が正で質量は電子と等しいものである。物質中の陽電子は短時間のうちに周囲の物質と熱平衡状態になり、その後、周囲の電子と対消滅する。この陽電子が周囲の電子と対消滅するときに、エネルギー保存則を満たすようにして、電子と陽電子との静止質量エネルギーに相当するエネルギーたる511keVのγ線が180度反対方向に2本放出される。なお、以下においては、この反対方向に2本放出されるγ線を「消滅γ線」と適宜に称する。
対消滅する前の電子陽電子対は運動量を持っているために、対消滅するときに180度反対方向に放出される2本の消滅γ線のエネルギーはドップラーシフトを示す。こうした消滅γ線のドップラーシフトの測定は、例えば、γ線を測定するHPGe検出器などのγ線の検出手段を用いて行われる。また、HPGe検出器など検出手段を用いて行われるドップラーシフトの測定は、ドップラー幅拡がり測定(DBS)と称されている。
なお、HPGe検出器とは、高純度ゲルマニウム(High Purity Germanium)を用いた半導体検出器である。

また、陽電子のエネルギーは熱エネルギー程度なので、電子陽電子対の運動量は電子の軌道運動動量とみなすことができ、物質中の原子空孔では周囲よりもポテンシャルが低いために陽電子は捕獲される。捕獲された陽電子は内殻電子よりも運動量分布の狭い外殻電子と消滅する確率が大きいために、対消滅するときに放出される2本の消滅γ線のドップラースペクトルのピークは鋭くなる。試料中における陽電子の状態や試料の物性に関する情報は、通常、ドップラースペクトルの全カウント数に対するピーク近傍のカウント数の割合を示すSパラメータを用いて解析される。
また、陽電子が原子空孔に捕獲された場合には、陽電子と電子との波動関数の重なりが小さくなるために、陽電子寿命測定法によって得られる陽電子の寿命も長くなる。原子空孔の他に、ボイドや転移型欠陥あるいは不純物欠陥に陽電子が捕獲されて消滅する場合にも、Sパラメータや陽電子寿命が変化する。
従って、ドップラー幅拡がり測定や陽電子寿命測定によって、これらの欠陥分布についての情報を得ることができることになる。

一方、2台のHPGe検出器を用いて、180度反対方向に放出される2本の消滅γ線の同時測定、即ち、陽電子消滅ドップラー幅拡がり同時測定(CDBS)を行うとSN比が大幅に向上し、ドップラー幅拡がり測定では観測できないドップラースペクトルの高運動量領域を調べることができることが知られている。高運動量γ線は、陽電子と内殻電子との消滅によって放出されるものであり、内殻電子の運動量分布から陽電子と消滅した電子が束縛されていた元素を特定することができることになる。
こうした測定手法によって不純物元素の分布や偏析、空孔型欠陥との複合欠陥についての高精度の情報が得られているものであり、これらの測定手法においては、放射性同位体から放出されるエネルギー連続の陽電子が利用されている。

近年、このエネルギー連続の陽電子をビームにして、表面、界面あるいは深さ方向の欠陥の分布の研究が行われるようになり、種々の成果が得られている。
即ち、低速陽電子ビームを用いて、試料の表面や界面あるいは空孔型欠陥やイオン照射による材質変化の深さ方向の解析が行われており、図1には、イオン照射ポリマー(ポリ乳酸)の低速陽電子ビームによる深さ方向解析の実験結果をあらわすグラフが示されている。
この図1に示すグラフは、Heイオン150eVの照射量を変えた試料について、Sパラメータの陽電子の入射エネルギー依存性を示すものである。イオン照射の影響を受けた層(イオン照射層)ではSパラメータの値が小さくなり、イオン照射層よりもさらに深いイオン照射の影響を受けなかった層(未照射層)では、イオン照射していない試料とSパラメータの値はほとんど変わらない。即ち、照射層の厚さがイオンの照射量に依存して増加することが確認されたものである。
しかしながら、陽電子ビームによるミクロの領域の観察例は稀である。これは、電子のビーム強度に比べて陽電子のビーム強度がはるかに小さいために、絞りを利用したミクロンオーダー、サブミクロンオーダーのビーム径の実現が困難なためである。
即ち、電子のビーム強度に関しては、電界放出型電子線源を利用すると、放出電流は100μAにまで達する。
一方、陽電子ビームの強度は、電子線形加速器(LINAC)を利用した場合でも10/s程度(〜1pA)である。これまで、陽電子ビームのビーム径がμmオーダーを実現した報告としては、例えば、「U.Maenning et al, Applied Surface Science 149(1999)217」(非特許文献1)および「W.Triftshauser, Material Science Forum 445−446(2004)452」(非特許文献2)が知られている。
即ち、非特許文献1には、ビーム径7μmの低速陽電子ビームと走査型電子顕微鏡とを組み合わせた装置を開発してドップラー幅拡がり測定を行い、陽電子の入射エネルギーに依存したSパラメータの変化を観察したことが示されている。
また、非特許文献2には、ビーム径2μmの低速陽電子ビームと走査型電子顕微鏡とを組み合わせた装置を開発して陽電子寿命測定を行い、0.6×0.6mmの領域を走査して20×20ピクセルの像を得たことが示されている。
ここで、ビームを用いた陽電子寿命測定ではビームをパルス化する必要があり、パルス化によって陽電子の1部が失われてしまう。また、反射した陽電子が試料に再入射して寿命スペクトルにサブピークが生じないように、対物レンズと試料との空間を通常の走査型電子顕微鏡よりも大きく取る必要がある。この結果、非特許文献2に開示された手法によれば、電子と陽電子との両方についてビーム径を絞ることが困難である。また、非特許文献2に開示された手法は、試料のドリフト補正についても考慮していない。

ところで、電子顕微鏡は転位型欠陥の観察に威力を発揮するが、空孔型欠陥の観察は困難である。また、走査型電子顕微鏡で観察可能な試料の表面からの深さは、2次電子のエネルギーである50〜100eVに相当するエスケープ深さ(escape depth)の5〜10nm程度である。一方、透過型電子顕微鏡では試料の内部構造や組成分析が可能であるが、電子が透過できるように薄くした試料を必要とし、バルク試料の観察を行うことができない。
また、走査型電子顕微鏡でも透過型電子顕微鏡でも、バルク試料の〜1μmまでの深さ方向の測定を行うことができないという問題点があった。
なお、走査型電子顕微鏡においては、電子ビームのビーム径を0.1nm程度に絞ることは可能であるが、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析で特性X線を検出する場合には、入射した電子が散乱されるためにX線発生領域が広がってしまうことになる。そして、このX線発生領域の拡がりは、位置分解能を低下させるという問題点があった。こうしたX線発生領域の拡がりの大きさは、試料の組成、密度あるいは電子加速電圧に依存するが、およそ1μm程度である。
なお、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析においては、試料として薄膜を用いるために、X線発生領域の拡がりは走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析ほど大きくはないが、試料の厚さの増加とともに大きくなって位置分解能の低下をもたらすという問題点があった。

U.Maenning et al, Applied Surface Science 149(1999)217 W.Triftshauser, Material Science Forum 445−446(2004)452
本発明は、上記したような従来の陽電子を用いた測定手法や従来の電子顕微鏡が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の陽電子を用いた測定手法を発展させることにより従来の電子顕微鏡が有する問題点を解決して、測定や分析を行うことが可能な測定対象物を拡張するとともに、測定精度や分析精度を向上させた陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、陽電子をプローブとして用いて測定対象物の測定や分析を行うようにしたものである。
また、本発明は、電子線と陽電子線とを用いてミクロな物性の測定や分析を行うようにしたものである。換言すれば、本発明は、電子顕微鏡としての機能を持つとともに、ビーム集束技術、画像処理技術あるいはドリフト補正技術などの電子顕微鏡で確立された技術を利用して陽電子をプローブとして用いるようにしたものである。
こうした本発明によれば、陽電子ビームによる陽電子消滅ドップラー幅拡がり同時測定や陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定(pEDS)を行うことにより、測定対象物の空孔型欠陥、不純物複合欠陥および元素の3次元分布に関する高精度の情報を得ることが可能となる。

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、上記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射および上記電子ビーム入射手段による上記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、上記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて上記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段とを有するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、上記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射および上記電子ビーム入射手段による上記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、上記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて上記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定手段とを有するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、上記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射および上記電子ビーム入射手段による上記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、上記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて上記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段と、上記陽電子ビーム入射手段による上記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定手段とを有するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記陽電子衝撃誘起特性X線測定手段は、Si(Li)結晶を備えたSi(Li)検出器を有して構成され、上記Si(Li)結晶は、上記2本のγ線のエネルギー付与の小さい厚さであるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、上記測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、上記第1の2次電子画像と上記第2の2次電子画像とを比較して、上記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、上記測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、上記第1の2次電子画像と上記第2の2次電子画像とを比較して、上記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、上記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行うようにしたものである。
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、上記測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、上記第1の2次電子画像と上記第2の2次電子画像とを比較して、上記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、上記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行うようにしたものである。
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、上記測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、上記第1の2次電子画像と上記第2の2次電子画像とを比較して、上記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、上記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行い、上記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行うようにしたものである。
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、上記測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、上記第1の2次電子画像と上記第2の2次電子画像とを比較して、陽電子ビームが入射される上記測定対象物のドリフトを補正するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、陽電子ビームを測定対象物に入射して、上記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、測定対象物に陽電子ビームを入射して、上記測定対象物から放出される2次電子を検出し、上記検出結果に基づいて位相相関法により上記測定対象物のドリフトを補正するようにしたものである。
本発明は、従来の陽電子を用いた測定手法を発展させることにより従来の電子顕微鏡が有する問題点を解決して、測定や分析を行うことが可能な測定対象物を拡張するとともに、測定精度や分析精度を向上させた陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法を提供することができるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による陽電子分析顕微鏡および陽電子ビームを用いた測定方法の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。

図2には、本発明の実施の形態の一例による陽電子分析顕微鏡の概略構成説明図が示されている。
即ち、本発明による陽電子分析顕微鏡10は、コンピューター(図示せず。)により全体の動作の制御が行われるものであり、試料100を支持する支持手段たる移動ステージ20と、試料100に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段たる陽電子ビーム入射システム30と、試料100への陽電子ビームの入射に伴い発生する消滅γ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定手段たる陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40と、試料100への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段たる陽電子衝撃誘起特性特性X線測定システム50と、試料100へ電子ビームを入射する電子ビーム入射手段たる電子ビーム入射システム60と、試料100への陽電子ビームまたは電子ビームの入射に伴い発生する2次電子を検出する2次電子検出手段たる2次電子検出器70と、2次電子検出器70により検出された2次電子に基づいて試料100の2次電子画像を生成して監視するためのモニター手段たるモニター装置80とを有して構成されている。
つまり、この陽電子分析顕微鏡10は、バルク試料の空孔型欠陥や元素分布について深さ方向の情報を精度よく得ることを可能にするために、低速陽電子ビームを用いた陽電子消滅ドップラー幅拡がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40と、陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50とを備えている。
なお、符号90は減速器であり、この減速器90により陽電子ビーム発生装置30aおよび高輝度化装置30bの電圧制御を簡単にすることができる。
同様に、符号92も減速器であり、この減速器92により電子ビーム入射システム60の電圧制御を簡単にすることができる。

ここで、移動ステージ20は、試料100を載置するとともに、図2に示す直交座標系を示す参考図におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に任意に移動可能に構成されている。従って、移動ステージ20をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に任意に移動することにより、陽電子ビーム入射システム30から試料100へ入射される陽電子ビームの入射位置を任意の変化することができる。

また、陽電子ビーム入射システム30は、陽電子ビーム発生装置30aと高輝度化装置30bとを備えて構成されている。
ここで、陽電子ビーム発生装置30aは、陽電子線源30a−1、モデレータ(減速材)30a−2、引き出し用グリッド30a−3、静電レンズ30a−4、アクセラレータ30a−5および静電レンズ30a−6を順次配置して構成されている。この陽電子ビーム発生装置30aは、陽電子線源30a−1により発生した陽電子ビームをモデレータ30a−2に入射して低速陽電子ビームに変換して引き出し用グリッド30a−3により引き出し、静電レンズ30a−4、アクセラレータ30a−5および静電レンズ30a−6により引き出し用グリッド30a−3から引き出された低速陽電子ビームを集束してビーム径を小さくし、高輝度化装置30bのリモデレータ30b−1(後述する。)へ入射する。
なお、陽電子ビーム入射システム30においては、陽電子ビーム発生装置30aの陽電子線源30a−1から放出される陽電子ビームをモデレータ30a−2に入射し、モデレータ30a−2から再放出される陽電子ビームを高輝度化装置30bにより再加速して試料100へ入射する。陽電子ビーム入射システム30は、陽電子ビームの強度が大きいことと陽電子ビームが高い輝度を持つことが要求されるため、モデレータ30a−2としては、例えば、図5に示すように、高い変換効率を持つ電解研磨タングステンメッシュモデレータを使用し、また、陽電子ビーム径を小さくするために、モデレータ30a−2の径を、例えば、3〜4mmとすることが好ましい。
図5に示すような電解研磨タングステンメッシュモデレータは、本願発明者等によって提案されている(特開2002−263962号公報参照)。この電解研磨タングステンメッシュモデレータの変換効率は7.5×10−4であり、これは固体希ガスモデレータを除いては最高の値である。固体希ガスモデレータの変換効率はさらに1桁大きいが、取り扱いは容易でなく、短時間のうちに変換効率が低下し、得られる陽電子ビームのエネルギー分布の広がりも大きい。

高輝度化装置30bは、タングステン単結晶フォイルよりなるリモデレータ30b−1、アクセラレータ30b−2、コンデンサレンズ30b−3および対物レンズ30b−4を順次配置して構成されている。この高輝度化装置30bは、陽電子ビーム発生装置30aから入射された低速陽電子ビームの輝度増強を行うものである。即ち、高輝度化装置30bにおいては、ビーム径を小さくした陽電子ビームがタングステン単結晶フォイルよりなるリモデレータ30b−1に入射されると、小さなビーム径でタングステン単結晶フォイルよりなるリモデレータ30b−1に入射した陽電子の1部が再びタングステン単結晶フォイルよりなるリモデレータ30b−1から放出されるとき、放出方向は表面に対し垂直となるので輝度が増強される。輝度増強された陽電子ビームは、アクセラレータ30b−2に入射される。アクセラレータ30b−2に入射された陽電子ビームは、アクセラレータ30b−2で加速されてコンデンサレンズ30b−3、対物レンズ30b−4に入射して集束されてビーム径を小さく、例えば、サブミクロンオーダーの径とされてから試料100に入射される。

次に、陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40について、陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40に関する詳細な構成を示す図3を参照しながら説明する。
即ち、陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40は、電子陽電子対消滅によって180度反対方向に放出される2本のγ線をそれぞれ検出する第1HPGe検出器41−1および第2HPGe検出器41−2と、第1HPGe検出器41−1に接続された第1プリアンプ42−1、第2HPGe検出器41−2に接続された第2プリアンプ42−2、第1プリアンプ42−1に接続された第1アンプ43−1と、第2プリアンプ42−2に接続された第2アンプ43−2と、第1アンプ43−1および第2アンプ43−2に接続された同時計測回路44と、同時計測回路44に接続された2次元マルチチャンネルアナライザ45とを備えて構成されている。なお、第1HPGe検出器41−1および第2HPGe検出器41−2とは、180度反対方向に放出される2本のγ線をそれぞれ検出することができるように、試料100を挟んで180度反対方向にそれぞれ配置されている。
この陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40においては、第1HPGe検出器41−1と第2HPGe検出器41−2とにおける消滅γ線の検出信号は、それぞれ第1プリアンプ42−1と第2プリアンプ42−2とにより増幅されて、第1アンプ43−1と第2アンプ43−2とにそれぞれ入力される。第1アンプ43−1と第2アンプ43−2とは、それぞれ入力された信号を増幅して同時計測回路44に入力し、同時計測回路44からの出力信号が2次元マルチチャンネルアナライザ45に入力されて解析され、試料100への陽電子ビームの入射に伴い発生する消滅γ線による陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定が行われる。

次に、陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50について、陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50に関する詳細な構成を示す図4を参照しながら説明する。
即ち、陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50は、陽電子励起特性X線を検出するSi(Li)検出器51と、Si(Li)検出器51に接続されたプリアンプ52と、プリアンプ52に接続されたアンプ53と、アンプ53に接続されたマルチチャンネルアナライザ54とを備えて構成されている。なお、Si(Li)検出器とは、シリコン単結晶にリチウムをドリフトすることにより得られた高抵抗シリコンを用いた検出器である。
この陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50のSi(Li)検出器51においては、Si(Li)結晶の厚さを0.25mmとしている。この0.25mmという厚さは、従来のSi(Li)結晶に用いるSi(Li)結晶の厚さの10分の1程度である。
陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50においては、Si(Li)検出器における特性X線の検出信号は、プリアンプ52により増幅されてアンプ53に入力される。アンプ53へ入力された検出信号はさらに増幅されてマルチチャンネルアナライザ54に入力されて解析され、試料100への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定が行われる。

次に、電子ビーム入射システム60は、電子線源61、アクセラレータ62、コンデンサレンズ63および対物レンズ64を順次配置して構成されている。この電子ビーム発生装置60は、電子線源61により発生した電子ビームをアクセラレータ62へ入射し、アクセラレータ62で加速した後にコンデンサレンズ63および対物レンズ64により集束してビーム径を小さくしてから試料100に入射する。なお、電子ビーム入射システム60については、従来より公知の電子ビーム入射システムを用いることができるので、その詳細な説明は省略する。

次に、2次電子検出器70は、試料100への陽電子ビームまたは電子ビームの入射に伴い発生する2次電子を検出するものである。この2次電子検出器70による2次電子の検出結果はモニター装置80へ出力され、モニター装置80は2次電子検出器70による2次電子の検出結果に基づいて試料100の2次電子画像を生成して監視する。
従って、試料100への電子ビームを入射する電子ビーム入射システム60と2次電子検出器70とモニター装置80とによって、電子ビームにより2次電子画像を生成するという走査型電子顕微鏡の機能が実現されることになる。
また、試料100への陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射システム30と2次電子検出器70とモニター装置80とによって、陽電子ビームにより2次電子画像を生成するという走査型電子顕微鏡の機能と類似の機能が実現されることになる。
なお、これら2次電子検出器70ならびにモニター装置80ついては、従来より公知の2次電子検出器ならびにモニター装置をそれぞれを用いることができるので、その詳細な説明は省略する。

以上の構成において、上記した構成を備えた陽電子分析顕微鏡10を用いて試料100の測定を行うにあたっては、陽電子ビームによる測定時間を短くするために、まず、電子ビーム入射システム60、2次電子検出器70およびモニター装置80を用いて試料100における測定に必要な範囲を確定する。
即ち、上記したように、電子ビーム入射システム60、2次電子検出器70およびモニター装置80は走査型電子顕微鏡の機能を持つものであり、試料100に電子線を入射して放出される2次電子を検出して2次電子画像を得ることができる。従って、試料100を載置したステージ20を移動することにより、試料100における測定に必要な範囲を電子ビーム入射システム60から試料100に入射される電子ビームが走査されるように制御することによって、試料100における測定に必要な範囲の2次元2次電子画像を得ることができることになる。
こうして2次元2次電子画像が得られたならば、この2次元2次電子画像に従って、陽電子ビーム入射システム30から出射された陽電子ビームが試料100の測定箇所に入射されるように、ステージ20を移動して試料100を誘導する。
次に、陽電子ビーム入射システム30から出射された陽電子ビームの試料100への入射によって放出される2次電子を2次電子検出器70により検出して、モニター装置80により2次電子検出器70の検出結果から2次電子画像を得る。
こうして得られた陽電子ビームの試料100への入射に伴う2次電子画像と上記した試料100への電子線の入射に伴う2次電子画像とを比較して、陽電子ビームを入射する試料100の測定箇所を確定する。
これにより、試料100における測定箇所を特定して陽電子ビームを入射することができるようになるため、陽電子ビームの試料100における走査領域を限定することができるようになって、試料100全体に陽電子ビームを入射する必要がなくなるので、測定時間を大幅に短縮することができるようになる。
また、試料100のドリフトについても、上記したと同様にして、陽電子ビームの試料100への入射に伴う2次電子画像と電子ビームの試料100への入射に伴う2次電子画像とを比較することにより、ドリフトの補正を行うことができる。

上記のようして試料100の測定箇所を確定して、陽電子ビーム入射システム30により確定した測定箇所に陽電子ビームを入射し、測定箇所へ入射した陽電子の衝撃によって放出された特性X線を陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50により測定するとともに、陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム40により散乱を繰り返して周囲の物質と熱平衡に達した陽電子が内殻電子と消滅して放出される消滅γ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅拡がり同時測定を行う。

ここで、試料100中の元素分析の測定において、電子ビームを用いた走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析の分解能よりも、本発明の陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50による陽電子ビームを用いた陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定の分解能の方が高くなる。
これは、次の理由による。即ち、電子励起の場合と比較すると、陽電子励起の内殻電子電離断面積は高エネルギーではほとんど同じであるが、電離閾値エネルギーに近い低エネルギーでは小さい(図6参照)。これは、原子核の正電荷によるクーロン斥力のために、運動エネルギーの小さな陽電子は内殻電子の分布する領域に近づけなくなるためと考えられる。この結果、等しいビーム径で入射した場合、散乱によるビームの拡がりは電子と陽電子でほとんど同じと考えられるが、散乱によってエネルギーを失った陽電子では内殻電子電離が起きにくく、特性X線発生領域は陽電子のほうが電子よりも狭くなる。
従って、本発明による陽電子分析顕微鏡10によって、従来よりもプローブ電流が大きく、ビーム径の小さな陽電子ビームを試料100の任意の測定箇所に照射して陽電子消滅ドップラー幅拡がり同時測定および陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行うことによって、試料100の空孔型欠陥、不純物複合欠陥および元素の3次元分布についての高精度解析が可能となる。

ところで、電子や陽電子を物質中に入射すると原子核の電場による加速度運動により制動X線が放出されるが、荷電粒子による内殻電子電離による特性X線の検出では、この制動X線がバックグラウンドとなる。
ここで、陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50における陽電子衝撃特性X線の検出においては、上記した制動X線に加えてさらに消滅γ線がバックグラウンドとなる。即ち、試料100中で陽電子が消滅して放出されるγ線がSi(Li)検出器51のSi(Li)結晶に入射し、エネルギーが付与されるとバックグラウンドとして検出されることになる。
従来は、陽電子衝撃特性X線の検出は、試料中での陽電子の消滅確率を小さくするために、大きな陽電子入射エネルギー(30keV以上)でしか行われていなかった。
しかしながら、本発明による陽電子衝撃誘起特性X線測定システム50においては、Si(Li)検出器51のSi(Li)結晶の厚さを0.25mmと従来のSi(Li)検出器の1/10に薄くして、消滅γ線を通過させてしまうことによって、30keV以下の陽電子入射エネルギーにおける陽電子衝撃特性X線の測定に成功したものである(図7(a)(b)(c)参照)。
この図7(a)(b)(c)について説明すると、図7(a)(b)(c)は厚さ0.1mmのAg、Ti、Cuに陽電子を入射して得られたX線スペクトルを示している。ここで、陽電子衝撃による内殻電子電離に伴って放出された特性X線のピークが認められる。測定時間は、10000秒である。
なお、Si(Li)結晶を薄くすると静電容量が大きくなり、Si(Li)検出器のエネルギー分解能を低下させる。そこで、静電容量を小さくするために、Si(Li)結晶の有効面積を、例えば、20mmとすることが好ましい。

また、この陽電子分析顕微鏡10においては、陽電子ビーム強度を補うために、従来より知られている走査型電子顕微鏡の測定の場合よりも長い時間の測定を行うことが好ましい。
なお、長時間の測定では試料100のドリフトが深刻な問題となってくるが、こうした試料100のドリフトについては、例えば、陽電子ビームの試料100への入射に伴う2次電子を2次電子検出器70を用いて検出し、この検出結果を用いて、例えば、位相相関法(phase correlation method)などの画像処理を用いてドリフト補正を行うようにすればよい。
なお、位相相関法は、既に走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)で実現されており、測定開始から1日以上経過しても、試料のドリフトを1nm以下に抑えられることが確認されている(R. Tsuneta et al, Journal of Electron Microscopy 51 (2002) 167 参照)。

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変形することができるものである。
(1)上記した実施の形態においては、Si(Li)検出器51に用いるSi(Li)結晶として、面積が20mmで厚さ0.25mmのSi(Li)結晶を用いる場合を例示したが、Si(Li)結晶の面積や厚さはこれに限られるものではないことは勿論である。
(2)上記した実施の形態においては、Si(Li)検出器51に用いるSi(Li)結晶の数については詳細な説明を省略したが、Si(Li)結晶の数は単数でもよいし複数でもよい。Si(Li)結晶の数を複数にすれば、計測効率を向上することができる。即ち、Si(Li)結晶を2個用いる場合には、Si(Li)結晶をそれぞれ別々のプレアンプに接続して利用すればよい。
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、測定対象物の空孔型欠陥、不純物複合欠陥あるいは元素の3次元分布に関する高精度の情報を得る際に利用することができるものである。
イオン照射ポリマー(ポリ乳酸)の低速陽電子ビームによる深さ方向解析の実験結果をあらわすグラフであり、Heイオン150eVの照射量を変えた試料について、Sパラメータの陽電子の入射エネルギー依存性を示すものである。 本発明の実施の形態の一例による陽電子分析顕微鏡の概略構成説明図である。 陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システムの構成説明図である。 陽電子衝撃誘起特性X線測定システムの構成説明図である。 本願発明者等によって提案された電解研磨タングステンメッシュモデレータの説明図である。 陽電子衝撃内殻電子電離断面積を説明するためのグラフであり、高エネルギーで陽電子と電子の内殻電子電離断面積は等しいが、エネルギーが小さくなると電子に比べて陽電子による断面積が小さくなる。 陽電子衝撃によって発生する特性X線を説明するためのグラフであり、厚さ0.1mmのAg、Ti、Cuに陽電子を入射して得られたX線スペクトルを示しており、陽電子衝撃による内殻電子電離に伴って放出された特性X線のピークが認められるものであり、測定時間は10000秒である。
符号の説明
10 陽電子分析顕微鏡
20 移動ステージ
30 陽電子ビーム入射システム
30a 陽電子ビーム発生装置
30a−1 陽電子線源
30a−2 モデレータ(減速材)
30a−3 引き出し用グリッド
30a−4 静電レンズ
30a−5 アクセラレータ
30a−6 静電レンズ
30b 高輝度化装置
30b−1 リモデレータ
30b−2 アクセラレータ
30b−3 コンデンサレンズ
30b−4 対物レンズ
40 陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定システム
41−1 第1HPGe検出器
41−2 第2HPGe検出器
42−1 第1プリアンプ
42−2 第2プリアンプ
43−1 第1アンプ
43−2 第2アンプ
44 同時計測回路
45 2次元マルチチャンネルアナライザ
50 陽電子衝撃誘起特性特性X線測定システム
51 Si(Li)検出器
52 プリアンプ
53 アンプ
54 マルチチャンネルアナライザ
60 電子ビーム入射システム
61 電子線源
62 アクセラレータ
63 コンデンサレンズ
64 対物レンズ
70 2次電子検出器
80 モニター装置
90 減速器
92 減速器
100 試料

Claims (10)

  1. 測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、
    前記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射および前記電子ビーム入射手段による前記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、
    前記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて前記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段と
    を有することを特徴とする陽電子分析顕微鏡。
  2. 測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、
    前記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射および前記電子ビーム入射手段による前記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、
    前記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて前記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定手段と
    を有することを特徴とする陽電子分析顕微鏡。
  3. 測定対象物に陽電子ビームを入射する陽電子ビーム入射手段と、
    前記測定対象物に電子ビームを入射する電子ビーム入射手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射および前記電子ビーム入射手段による前記測定対象物への電子ビームの入射に伴いそれぞれ発生する2次電子を検出する2次電子検出手段と、
    前記2次電子検出手段により検出された2次電子に基づいて前記測定対象物の2次電子画像を生成して監視するモニター手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う陽電子衝撃誘起特性X線測定手段と、
    前記陽電子ビーム入射手段による前記測定対象物への陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定手段と
    を有することを特徴とする陽電子分析顕微鏡。
  4. 請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の陽電子分析顕微鏡において、
    前記陽電子衝撃誘起特性X線測定手段は、Si(Li)結晶を備えたSi(Li)検出器を有して構成され、
    前記Si(Li)結晶は、前記2本のγ線のエネルギー付与の小さい厚さである
    ことを特徴とする陽電子分析顕微鏡。
  5. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、
    前記測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、
    前記第1の2次電子画像と前記第2の2次電子画像とを比較して、前記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定する
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
  6. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、
    前記測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、
    前記第1の2次電子画像と前記第2の2次電子画像とを比較して、前記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、
    前記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行う
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
  7. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、
    前記測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、
    前記第1の2次電子画像と前記第2の2次電子画像とを比較して、前記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、
    前記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
  8. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、
    前記測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、
    前記第1の2次電子画像と前記第2の2次電子画像とを比較して、前記測定対象物における陽電子ビームを入射する測定箇所を決定し、
    前記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する陽電子衝撃誘起特性X線を検出して陽電子衝撃内殻電子電離による特性X線測定を行い、
    前記決定した測定箇所に陽電子ビームの入射して、該陽電子ビームの入射に伴い発生する2本のγ線を検出して陽電子消滅ドップラー幅広がり同時測定を行う
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
  9. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第1の2次電子画像を得て、
    前記測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出して第2の2次電子画像を得て、
    前記第1の2次電子画像と前記第2の2次電子画像とを比較して、陽電子ビームが入射される前記測定対象物のドリフトを補正する
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
  10. 陽電子ビームを測定対象物に入射して、前記測定対象物の測定を行う陽電子ビームを用いた測定方法において、
    測定対象物に陽電子ビームを入射して、前記測定対象物から放出される2次電子を検出し、
    前記検出結果に基づいて位相相関法により前記測定対象物のドリフトを補正する
    ことを特徴とする陽電子ビームを用いた測定方法。
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