JP2005331281A - 振動センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】感度を低下させないように、耐衝撃性を向上させた振動センサを提供する。
【解決手段】固定電極と、この固定電極に対向する面が振動電極として機能し、この振動電極とは反対側の面に錘1を有する振動板3とを備え、固定電極と振動板3との間の静電容量の変化に基づいて振動検出信号を出力する振動センサであって、振動板3は、複数のスリット11によって、中央部に位置して錘1を備える振動部33と、周辺部に位置して振動板3を固定する固定部31と、狭幅の中央部32cを有し、周方向に等間隔に複数形成して振動部33と固定部31とを連結する弾性支持部32とに分割形成され、複数のスリット11が、隣り合う各スリットの振動部33の側の端部と固定部31の側の端部とが径方向に重なり合うように周方向に沿って等間隔に設けてある。
【選択図】図3

Description

本発明は、固定電極と、この固定電極に対向する面が振動電極として機能し、この振動電極とは反対側の面に錘を有する振動板とを備え、前記固定電極と前記振動板との間の静電容量の変化に基づいて振動検出信号を出力する振動センサに関する。
静電容量検出型、すなわちエレクトレットコンデンサマイクロホン(以下、「ECM」と称す)型の振動センサは、マイクロホンや歩数計をはじめ様々な用途に広く用いられている。特許文献1には、骨伝導振動を検知するイヤマイクロホンの技術が開示されている。この文献では、骨伝導振動という微小振動を良好に検知するために、可動電極(振動板に相当)に重り(錘)を付けて、実質的に可動電極の質量を大きくして、可動電極の振幅を大きくして感度を向上する方法が示されている。また、高域振動に対する追随性を良くするために可動電極を一端が固定された片状にしたり、年輪状のスリットを設けるなどして、周波数特性を改善する方法が示されている。
また、特許文献2には、特に歩行時など低振動数(周波数)領域の振動を良好に検出するために、衝撃印加手段と、この衝撃印加手段によって与えられた衝撃によって振動する可動電極に重りを設ける構成が示されている。すなわち、衝撃印加手段によって低振動数の振動を可動電極へ伝え、可動電極は検知する振動数と比べて高い固有振動を有するように構成して、良好に歩行時などの低振動数領域の振動を検出することができるようにしている。
また、特許文献3には、加速度の変化をコンデンサの容量に変換することによって、加速度を検出する静電容量式加速度センサに関する技術が開示されている。これによると、可動電極と固定電極との間の静電容量を検出する感度を向上するために、可動電極とこれを固定する外周部との間にある弾性体を、複数の梁にすることによって、可動電極の変位量を大きくするように構成している。
特開昭59−79700号公報(第2〜3図、第6図、第1〜第2頁上段、第3頁下左段) 特開平10−9944号公報(第1図、0006〜0019段落) 特開平8−240609号公報(第1図、第6図、第2〜3頁)
上記のような構成を採ることによって、慣性力を増加させてセンサの感度を高くすることが可能となる。しかし、慣性力が増加し、振幅も大きくなると、落下時などの耐衝撃性が損なわれる。すなわち、衝撃によって振動板が破損したり、変形する可能性が高くなる。この対策として、錘の過度な変位を規制するために規制部材を設ける方法がある。この場合、錘と規制部材との間のギャップを狭くしなければ、規制の効果が充分に得られず、振動板の破損や変形を許してしまう。しかし、ギャップを狭くしすぎると、必要な振幅をも規制してしまうので、このギャップは高精度に設ける必要がある。このため、組立にも精度を要し、その結果、組立性が悪くなり、組立誤差などから製品の性能ばらつきが大きくなってしまうという問題を有する。
特に特許文献3の図6に示された形状の場合は、弾性力を得るには非常に好ましい梁を有しているが、この梁8は同じ幅で形成されている(以下、本段落での符号は参考文献3の符号。)。そのために、落下など過度な衝撃が与えられた場合に、可動電極1や固定部11と、梁8との接合部が破損する可能性が高くなっている。また、可動電極1の面方向へ衝撃が加わった場合にも、可動電極1が変位し易く、梁8の破損や変形を起こし易い。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、振動を検知する感度を低下させないようにすると共に、耐衝撃性を向上させた振動センサを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するための本発明に係る振動センサの特徴構成は、固定電極と、この固定電極に対向する面が振動電極として機能し、この振動電極とは反対側の面に錘を有する振動板とを備え、前記固定電極と前記振動板との間の静電容量の変化に基づいて振動検出信号を出力するものであって、前記振動板は、複数のスリットによって、中央部に位置して前記錘を備える振動部と、周辺部に位置して前記振動板を固定する固定部と、狭幅の中央部を有し、周方向に等間隔に複数形成して前記振動部と前記固定部とを連結する弾性支持部と、に分割形成され、前記複数のスリットが、隣り合う各スリットの振動部側の端部と固定部側の端部とが径方向に重なり合うように周方向に沿って等間隔に設けてある点にある。
この特徴構成によれば、前記弾性支持部の中央部を両端部に比べて細く形成することで、弾性を向上し、充分な振幅を得て振動センサの感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、両端部が破損や変形に強い構造とすることができる。
本発明に係る振動センサにおいて、前記スリットは、前記固定部側に位置する外軌道と、前記振動部側に位置する内軌道と、前記外軌道と前記内軌道とを連結する略S字型の連結軌道とから構成されると好ましい。
スリットをこのように構成すると、径方向に互いに重なり合う前記外軌道と前記内軌道とに挟まれた部分に前記弾性支持部を形成できる。前記外軌道の端部と前記内軌道とに挟まれた前記弾性支持部の一方の端部と、前記内軌道の端部と前記外軌道とに挟まれた前記弾性支持部の他方の端部とは、前記略S字型の連結軌道が通る部分に形成される。そして、これら弾性支持部の端部に比べて、前記弾性支持部の中央部は狭い幅を持つように構成される。このため、充分な振幅を得て感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、破損や変形に強い構造とすることができる。
また、本発明に係る振動センサにおいては、前記スリットを、前記固定部側から前記振動部の中心へと向かう螺旋軌道によって形成することもできる。
螺旋軌道は、中心部ほど軌道の曲率が大きく(曲率半径が小さく)なり、周辺部ほど曲率が小さく(曲率半径が大きく)なる。すなわち、螺旋軌道によって形成された前記スリットは、振動部側の端部がより中心側へ入り込み、固定部側の端部はより周辺部へと広がることとなる。従って、各スリットの振動部側の端部又は固定部側の端部が、それぞれ隣り合うスリットとの間で形成する各弾性支持部の振動部側の端部又は固定部側の端部に比べて、各弾性支持部の中央部は狭い幅を持つように形成される。また、この場合は、スリットが一連の曲線軌道で形成されるので、前記振動板の面方向への衝撃に抗する力も強くなる。このため、充分な振幅を得て感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、破損や変形に強い構造とすることができる。
また、本発明に係る振動センサにおいては、前記スリットを、前記固定部側に位置する外軌道と、前記振動部側に位置する内軌道と、前記外軌道と前記内軌道とを径方向の軌道で鉤型に連結する連結軌道とから構成することもできる。
この構成によれば、前記外軌道と前記内軌道とを径方向の軌道で鉤型に連結するので、例えば、前記外軌道と前記内軌道とをそれぞれ異なる径を持つ円弧などで形成することができる。スリットの形状を簡単に設計でき、形成される弾性支持部の弾性や強度の計算も容易に行うことができる。
上記構成において、前記振動板は、ステンレス、タングステン、42アロイ、Ti−Cu合金、Be−Cu合金、SK材の何れかで構成されると好ましい。
ステンレス、タングステン、42アロイなどの材料を用いると、入手性や加工性も良く、良好な振幅を得ることのできる前記振動板を構成できる。Ti−Cu合金、Be−Cu合金、SK材等を用いると、さらに強度が強くなり、耐落下衝撃性能が向上する。その結果、充分な振幅を得て感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、破損や変形に強い振動センサを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る振動センサの一例を示す斜視図、図2は、図1に示す振動センサの断面図である。図1及び2に示すように、本発明の一つの実施形態に係る振動センサは、ハウジング5の内面にエレクトレット層6を形成した固定電極4と、この固定電極4に対向する面が振動電極として機能し、この振動電極とは反対側の面に錘1が設けられた振動板3とを備え、振動板3の面に直交する方向に錘1が変位し、固定電極4と振動板3との間の静電容量の変化に基づいて振動検出信号を出力するものであって、錘1に接触して、錘の変位量を規制する規制板(規制部材)2を備えて構成されている。
上記固定電極4は、エレクトレット層6が内面に形成され、一端が開放された筒状のハウジング5の底部に設けられている。この底部に、リング状の樹脂製スペーサ7と、振動板3とを取り付け、このスペーサ7の厚みで、静電容量の変化を検出するコンデンサ部の所定の間隔を設けている。振動板3に錘1を取り付け、振動板3の面方向(以下、「横方向」)への錘1の変位を規制可能な規制リング8と、振動板3の面に直交する方向(以下、「縦方向」)への錘1の変位を規制可能な規制板2と、ゲートリング9と、を順次重ねる。そして、振動検出信号の出力回路が実装された基板10で蓋をして、ハウジング5に止め付けて振動センサを組み立てる構造になっている。この構造において、振動板3はスペーサ7と規制リング8とによって周囲を挟まれて固定支持されている。また、ハウジング5と、規制リング8と、ゲートリング9とは、金属製である。尚、規制リング8は、振動板3の面に直交する方向に変位する錘1が充分な振幅を得るための間隔を形成するための嵩上げリングとしての役割を兼ねている。また、規制板2は、錘1が縦方向に変位した場合に、規制板2と錘1との間に存在する空気が、良好に排出されるように孔12を有している。
図3は、本発明に係る振動センサの振動板の分割形成の一例を示す図である。図3に示すように、振動板3は、複数のスリット11によって、中央部に位置して錘1が備えられる振動部33と、周辺部に位置して振動板3を固定する固定部31と、振動部33と固定部31とを連結する弾性支持部32とに分割形成されている。この弾性支持部32は、固定部31との境界部分である一方の端部32aと、振動部33との境界部分である他方の端部32bと、これら両端部の間に位置してこれら両端部よりも狭幅の中央部32cとから成る梁状体に形成される。弾性支持部32は、各スリットを固定部31から振動部33へ向かって連続して、隣り合う各スリットの固定部側と振動部側とが径方向に重なり合うように周方向に沿って等間隔に設けることによって、周方向に等間隔に複数形成される。
このように弾性支持部32を形成すると、振動板3を充分な振幅を得て感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、破損や変形に強い構造とすることができる。振動板3の振幅、すなわち振動部33の振幅は、この梁状体の弾性支持部32の中央部32cの弾性によって与えられる。従って、この弾性効果を多く得るためには、弾性支持部は細長く形成されることが好ましい。しかし、弾性支持部32と、固定部31又は振動部33との境界部分である弾性支持部32の端部32a及び32bは、弾性運動する弾性支持部32の支点として働くことから、ある程度の強度を保持できるように形成されることが好ましい。振動による亀裂などの破損や、ねじれなどによる変形を起こし難くするためである。そこで、弾性支持部32の中央を細くして、変形を弾性支持部32の中央部32cに多く負担させるようにしている。すなわち、弾性支持部32の中央部32cが、両端部32a及び32bよりも狭幅に形成されるようなスリット形状とすることで、振動板3は、弾性効果を多く得られると共に、強度を高め、良好な振幅を長期に亘って得ることができる。
また、本例では、周方向に三つの弾性支持部32を設けて、錘1の振動方向が、振動板3の面に垂直な方向に対して斜め方向となった場合でも、振動部33が振動板3の径を軸として過度な揺動を起こしにくくしている。例えば、本例の振動センサが落下し、筒状のハウジング5の側壁部やハウジング5と基板10との接合部である角部を地面などにぶつけた場合には、振動板3の面に垂直な方向に対して斜め方向の衝撃を受ける。その結果、振動板3に取り付けられた錘1は、振動板3の面に垂直な方向に対して斜め方向に振動する。弾性支持部32の配置が振動板3の径に対して線対称であると、振動センサが受けた衝撃の方向に垂直な径を軸として、振動部33は大きく揺動する。
しかし、本例では、周方向に弾性支持部32を三つ設けているので、弾性支持部32は振動板3の径を軸として線対称ではない。従って、振動板3の径に対して非対称に配置された各々の弾性支持部32は振動板3の径を軸とした揺動に抗するように作用する。その結果、振動板3の破損や変形を良好に防ぐことが可能となる。すなわち、図3のように、スリット11を三つあるいは三つ以上の奇数設けて、弾性支持部32を三つあるいは三つ以上の奇数設けると、振動センサの感度を向上するための振幅を充分得られ、衝撃にも強くなる振動板3を得ることができる。
図3には、スリット11が、固定部31側に位置する外軌道と、振動部33側に位置する内軌道と、これら外軌道と内軌道とを連結する略S字型の連結軌道とから構成される例を示した。しかし、スリット11の形状は、これに限ることなく、図4に示すように、固定部31側から振動部33の中心へと向かう螺旋軌道によって形成することもできる。螺旋軌道は、中心部ほど軌道の曲率が大きく(曲率半径が小さく)なり、周辺部ほど曲率が小さく(曲率半径が大きく)なる。すなわち、螺旋軌道によって形成されたスリット11は、振動部33の側の端部がより中心側へ入り込み、固定部31の側の端部はより周辺部へと広がることとなる。従って、各スリットの振動部側の端部又は固定部側の端部が、それぞれ隣り合うスリットとの間で形成する各弾性支持部32の振動部側の端部32b又は固定部側の端部32aに比べて、各弾性支持部32の中央部32cは狭い幅を持つように形成される。また、この場合は、スリット11が一連の曲線軌道で形成されるので、振動板3の面方向への衝撃に対する歪に抗する力もより強くなる。このため、充分な振幅を得て感度を向上することができると共に、衝撃が加わった場合でも、破損や変形に強い構造とすることができる。
また、図5に示すように、スリット11を、固定部31の側に位置する外軌道と、振動部33の側に位置する内軌道と、これら外軌道と内軌道とを径方向の軌道で鉤型に連結する連結軌道とから構成することもできる。このように構成すると、外軌道と内軌道とを径方向の軌道で鉤型に連結するので、例えば、外軌道と内軌道とをそれぞれ異なる径を持つ円弧などで形成することができる。スリットの形状を簡単に設計でき、形成される弾性支持部の弾性や強度の計算も容易に行うことができる。
上記振動板3は、ステンレス、タングステン、42アロイ、Ti−Cu、Be−CuやSK材などを使用することができる。特に落下衝撃への耐性を要しない場合には、振幅が得られさえすれば上記のどの金属材料を用いても構わない。逆に落下衝撃への耐性が強く求められるような場合には、Ti−Cu、Be−CuやSK材などの硬めの材料を用いると良い。このような材料を用いた場合は、振動板3の面方向への振れが小さくなるので、この振れを規制する規制リング8は、もっぱら、嵩上げリングとしての機能のみを受け持つこととなる。その結果、規制リング8の径方向の厚みを薄くすることができ、コスト削減や振動センサの軽量化を図ることができる。
尚、錘1は図6、図7に示すように、中央に孔13を有して環状に形成していても良い。その場合、例えば錘1を円柱状に形成した場合と比べて、同じ質量の錘1で、振動板3の径方向に広く錘1を取り付けることができる。その結果、錘1が振動板3の径を軸として過度な揺動を伴う変位をした場合に、径のより外側で規制板2に接触するので、振動板3の揺動角度を小さくすることができる。その結果、錘1の過度な変位を好適に抑制することができ、振動板3の破損や変形を防ぐことができる。
このように、本発明によって、感度を低下させないように、耐衝撃性を向上させた振動センサを提供することができる。
本発明に係る振動センサの一例を示す斜視図 本発明に係る振動センサの一例を示す断面図 本発明に係る振動センサの振動板を分割形成する第一の例を示す図 本発明に係る振動センサの振動板を分割形成する第二の例を示す図 本発明に係る振動センサの振動板を分割形成する第三の例を示す図 本発明に係る振動センサの他の例を示す斜視図 本発明に係る振動センサの他の例を示す断面図
符号の説明
1 錘
3 振動板(31:固定部、32:弾性支持部(32c:中央部)、33:振動部)
11 スリット

Claims (5)

  1. 固定電極と、この固定電極に対向する面が振動電極として機能し、この振動電極とは反対側の面に錘を有する振動板とを備え、
    前記固定電極と前記振動板との間の静電容量の変化に基づいて振動検出信号を出力する振動センサであって、
    前記振動板は、複数のスリットによって、
    中央部に位置して前記錘を備える振動部と、
    周辺部に位置して前記振動板を固定する固定部と、
    狭幅の中央部を有し、周方向に等間隔に複数形成して前記振動部と前記固定部とを連結する弾性支持部と、に分割形成され、
    前記複数のスリットが、隣り合う各スリットの振動部側の端部と固定部側の端部とが径方向に重なり合うように周方向に沿って等間隔に設けてある振動センサ。
  2. 前記スリットは、前記固定部側に位置する外軌道と、前記振動部側に位置する内軌道と、前記外軌道と前記内軌道とを連結する略S字型の連結軌道と、から構成される請求項1に記載の振動センサ。
  3. 前記スリットは、前記固定部側から前記振動部の中心へと向かう螺旋軌道によって形成される請求項1に記載の振動センサ。
  4. 前記スリットは、前記固定部側に位置する外軌道と、前記振動部側に位置する内軌道と、前記外軌道と前記内軌道とを径方向の軌道で鉤型に連結する連結軌道と、から構成される請求項1に記載の振動センサ。
  5. 前記振動板は、ステンレス、タングステン、42アロイ、Ti−Cu合金、Be−Cu合金、SK材の何れかで構成される請求項1〜4の何れか一項に記載の振動センサ。
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