JP2005327689A - エレクトロルミネッセンス素子、並びにこれを用いた照明装置および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エレクトロルミネッセンス素子の光取出し効率の向上による発光強度の増加や消費電力の低減を課題としている。また、このような素子の開発により新しい、あるいは高性能の照明装置や表示装置の開発を課題としている。
【解決手段】 透明基板上に第一電極層、発光層、第二電極層を順次積層したエレクトロルミネッセンス素子であって、前記透明基板の第一電極層側と反対側の表面に、前記透明基板より屈折率の低い低屈折率層を設け、かつ前記透明基板の屈折率をnS、低屈折率層の屈折率をnL、素子の外部の屈折率をnAとしたときnS>nL>nAであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス、並びにこれを利用した照明装置および表示装置。
【選択図】 図1
【解決手段】 透明基板上に第一電極層、発光層、第二電極層を順次積層したエレクトロルミネッセンス素子であって、前記透明基板の第一電極層側と反対側の表面に、前記透明基板より屈折率の低い低屈折率層を設け、かつ前記透明基板の屈折率をnS、低屈折率層の屈折率をnL、素子の外部の屈折率をnAとしたときnS>nL>nAであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス、並びにこれを利用した照明装置および表示装置。
【選択図】 図1
Description
本発明はエレクトロルミネッセンス素子、並びにこれを用いた照明装置および表示装置
に関する発明である。詳しくは、本発明は高輝度で電力消費の少ないエレクトロルミネッセンス素子、およびこれを用いた照明装置、あるいはこれを直接またはバックライトとして用いた表示装置に関する発明である。
に関する発明である。詳しくは、本発明は高輝度で電力消費の少ないエレクトロルミネッセンス素子、およびこれを用いた照明装置、あるいはこれを直接またはバックライトとして用いた表示装置に関する発明である。
一般的なエレクトロルミネッセンス素子は原理的には図5のような構造になっている。平面の透明基板1とその下部の第一電極層2、発光層3、第二電極層4の積層構造となっている。発光層3で発生した光は第一電極層2を通って透明基板1の上方のエレクトロルミネッセンス素子外部へ射出される。通常、発光層3で発生した光を、エレクトロルミネッセンス素子の外部へ射出できる効率すなわち光取出効率は20%以下であり、この光取出効率向上はエレクトロルミネッセンス素子開発の大きな課題となっている。その解決手段として、透明基板1とエレクトロルミネッセンス素子外部との界面における反射損失の低減が考えられている。たとえば、特許文献1や特許文献2には、透明基板1とエレクトロルミネッセンス素子外部との界面の光の反射損失低減法が開示されている。光が透明基板1から外部に射出される際、透明基板1とエレクトロルミネッセンス素子外部との屈折率の違いによりその界面で全反射してしまう光があるが、これを抑えるため、この界面の形状を工夫している発明である。
例えば、特許文献2には、図6のように透明基板1の外部と接する表面に微小凹凸構造(微小レンズアレイと呼ぶことがある。)を形成することで光取出効率を高め得ることが報告されている。これは発光層3からのいろいろな方角への放射光が、図5のような平坦な透明基板1の表面で一部が反射して減光しながらエレクトロルミネッセンス素子外部へ射出される場合に比べ、透明基板1の表面に形成した微小レンズアレイの効果により入射角が変化し、この界面での射出光の反射損失を抑えて、かつ射出方向を上向きに変えることで光取出効率を向上させている。しかしながらこの発明による、透明基板1とエレクトロルミネッセンス素子外部との界面での光の反射損失の低減では未だ充分な光取出効率とは言えない。
以上のように、エレクトロルミネッセンス素子の発光強度の増加や消費電力の低減の要求は大きく、上述のように発光層からの射出光を有効に取り出すための色々な工夫がなされている。しかし、まだ十分な反射損失低減技術はなく、満足する光取出効率とはなっていない。
以上のように、エレクトロルミネッセンス素子の発光強度の増加や消費電力の低減の要求は大きく、上述のように発光層からの射出光を有効に取り出すための色々な工夫がなされている。しかし、まだ十分な反射損失低減技術はなく、満足する光取出効率とはなっていない。
エレクトロルミネッセンス素子の発光強度の増加や消費電力の低減の要求は大きく、上述のように発光層からの射出光を有効に取り出すための色々な工夫がなされている。しかし、まだ十分な反射損失低減技術はなく、満足する光取出効率とはなっていない。したがって、本発明の目的は、従来のよりも透明基板中の透過損失、透明基板とエレクトロルミネッセンス素子外部との界面の光透過損失などを改善し、更に光取出効率の優れたエレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記のようなエレクトロルミネッセンス素子を用いた新しい、あるいは高性能の照明装置や表示装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記のようなエレクトロルミネッセンス素子を用いた新しい、あるいは高性能の照明装置や表示装置を提供することである。
上述の課題を解決するための第一の発明は、透明基板上に第一電極層、発光層、第二電極層を順次積層したエレクトロルミネッセンス素子であって、前記透明基板の第一電極層側と反対側の表面に、前記透明基板より屈折率の低い低屈折率層を設け、かつ前記透明基板の屈折率をnS、低屈折率層の屈折率をnL、の外部の屈折率をnAとしたときnS>nL>nAであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子である。一般に屈折率の大きい媒体から小さい媒体へといろいろな方向からの光(散乱光)が透過する場合、境界面での光の反射損失は屈折率の差に大きく依存している。それ故、これらの媒体の間に、両媒体の中間の屈折率を持つ媒体を挿入してやれば全体としての光の反射損失は減少する。本発明はこの効果を利用した発明である。
第二の発明は、前記低屈折率層が2層以上積層されており、それぞれの低屈折率層の屈折率を透明基板に近い層から順にnL1、nL2、・・・nLkとするとき、nS>nL1>nL2>・・・>nLk>nAであることを特徴とする第一の発明に記載したエレクトロルミネッセンス素子である。この発明も原理は第一の発明と同じであるが、第一電極層、隣り合う低屈折率層同士および透明基板のそれぞれの界面における屈折率の差を小さくして、徐々に屈折率を変化させることにより透過光の反射損失をさらに減少させている。
第三の発明は、透明基板が、少なくとも片面に複数の凹凸構造を有する上記第一または第二の発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子である。上述のようにいろいろな方向からの光は高屈折率媒体から低屈折率媒体に透過していく際、平面状の境界面よりも凹凸構造の境界面の方が入射角が変化して光の反射損失が少ないという原理を利用して、さらにいっそうの透過光の反射損失低減を図っている。
第三の発明は、透明基板が、少なくとも片面に複数の凹凸構造を有する上記第一または第二の発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子である。上述のようにいろいろな方向からの光は高屈折率媒体から低屈折率媒体に透過していく際、平面状の境界面よりも凹凸構造の境界面の方が入射角が変化して光の反射損失が少ないという原理を利用して、さらにいっそうの透過光の反射損失低減を図っている。
第四の発明は、前記透明基板の吸水率が0.1%以下、熱線膨張係数が0〜80ppm/Kであることを特徴とする上記第一から第三のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子である。この発明はエレクトロルミネッセンス素子の発光層への水蒸気の影響等を抑え、エレクトロルミネッセンス素子の使用環境下での変形や破壊を防止している。
第五の発明は、前記透明基板が脂環式構造を有する樹脂からなる第一から第四のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子である。脂環式構造を有する樹脂が第四の発明の効果を好適に発揮することを利用している。
第六の発明は、上記の第一から第五のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置である。
第七の発明は、上記の第一から第五のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた表示装置である。上記第一から第五のいずれかの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子はそれぞれ光取出効率等が優れており、上記第六、第七の発明は、これを利用して好適な照明装置、表示装置または表示装置用バックライト装置を提供している。
第五の発明は、前記透明基板が脂環式構造を有する樹脂からなる第一から第四のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子である。脂環式構造を有する樹脂が第四の発明の効果を好適に発揮することを利用している。
第六の発明は、上記の第一から第五のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置である。
第七の発明は、上記の第一から第五のいずれかひとつの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた表示装置である。上記第一から第五のいずれかの発明に記載のエレクトロルミネッセンス素子はそれぞれ光取出効率等が優れており、上記第六、第七の発明は、これを利用して好適な照明装置、表示装置または表示装置用バックライト装置を提供している。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は透明基板とエレクトロルミネッセンス素子外部(通常、大気中)との界面での光反射損失を抑制し、非常に光取出効率が優れている。さらに、第三から第五の発明においては優れた光取出効率のうえに、性能の安定した寿命の長いエレクトロルミネッセンス素子を提供している。また、第六、第七の発明ではこれらの高性能エレクトロルミネッセンス素子を用いた高機能の照明装置や表示装置を提供している。
本発明の好適な実施形態を、図1から図4を参照としながら詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であり技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られない。
図1は、本発明によるエレクトロルミネセンス素子の、第一の実施形態の構成を示している。図1において、エレクトロルミネセンス素子は、上から順に低屈折率層5、透明基板1、第一電極層2、発光層3、第二電極層4を積層して構成されている。このエレクトロルミネセンス素子は、第一電極層2と第二電極層4との間に、図示していないが駆動電源から所定の駆動電圧を印加することにより、発光層3がエレクトロルミネセンス効果により発光し、その光が透明な第一電極層2、透明基板1、低屈折率層5を通過して、低屈折率層5の上方に出射する。つまり、エレクトロルミネセンス素子外部の大気中に射出する。この射出光を利用して各種の照明装置、表示装置を提供することが出来る。
上記透明基板1は、通常は正方形または長方形状の透光性平板である。低屈折率層5は透明基板1の上表面に密着する形で形成された層である。この低屈折率層5は透明基板1の屈折率より小さい屈折率の材料で出来ている。なお、通常大気の屈折率(屈折率n=約1.0)より小さい屈折率の材料は存在しないので、低屈折率層5は透明基板1の屈折率と大気の屈折率との間の屈折率となる。一般に屈折率の大きい媒体層(屈折率n=N1とする)から屈折率の小さい媒体層(屈折率n=N2とする)へといろいろな方角からの入射光(散乱した入射光)が透過する際、平面状の境界面への入射光の全体としての反射損失は(N1−N2)2/(N1+N2)2として表される。
それ故、これらの媒体層の間に両媒体層の中間の屈折率を持つ媒体層(屈折率n=N3とする)を挿入すれば、屈折率の大きい媒体層、中間の屈折率を持つ媒体層、屈折率の小さい媒体層へと透過する光の全体としての反射損失は、単純に二つの境界面での反射損失の和とした場合、式{(N1−N3)2/(N1+N3)2}+{(N3−N2)2/(N3+N2)2}で表される。例えば透明基板1をガラス(N1=1.5)、外気を空気(N2=1.0)とし、その間に低屈折率層5としてN3=1.3の層を形成したとすると、ガラス−空気界面での反射損失は約4%だが、ガラス−低屈折率層の界面及び低屈折率層−空気の界面での屈折率から算出した単純な反射損失の和は約2%となり約半分に低減されたことがわかる。この比較からわかるように、大小両屈折率媒体層間を通過する光の反射損失は、大小両屈折率媒体層の中間の屈折率を持つ媒体層を挿入することにより、減少することになる。本発明はこの効果を利用している。なお、この場合、屈折率の小さい媒体層はエレクトロルミネッセンス素子外部であり、通常は大気(屈折率n=1.0)である。
低屈折率層5は、特殊なガラス等の無機質材料でも、樹脂などの有機材料でも透明あるいは半透明であれば良い。通常、透明基板1の屈折率は1.5程度であるので大気との中間の屈折率約1.0〜約1.5を持つ材料を選べばよい。なお、透明基板1と低屈折率層5との屈折率の差は0.5以下であることが好ましい。さらに好ましくは、透明基板1と低屈折率層5との屈折率の差は0.3以下である。具体的な無機質材料としては、化学式で示せば例えば、SIO2(n=1.45)、MgF2(n=1.38)のような無機膜の単層、積層あるいは混合体層、またはフッ素基、アルコキシ基等の官能基を含む有機物の重合体があげられる(nは屈折率を表す。以下同じである。)。またエアロゲル・カラムナー形状のような空孔を形成して屈折率を低減させている無機膜あるいは有機膜も好適な材料である。これらの低屈折率層5の製法としては特に限定されないが蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の方法を用いればよい。低屈折率層5の厚さは、通常0.05〜2μmであり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
第二の発明の態様は、図2に示すように上記発明の態様のうち低屈折率層が複数存在している。図2の場合、低屈折率層5および低屈折率層5’の2層の例を図示した。透明基板1の屈折率をnS、大気の屈折率をnAとし、透明基板から第一電極側と反対側に向かって積層された低屈折率層を構成する各層の屈折率をnL1、nL2、・・・nLkとする。ここで、それぞれの低屈折率層の屈折率はnS>nL1>nL2>・・・>nLk>nAの関係となっている。これを上記反射損失算出式に当てはめれば、ある低屈折率層がない場合に比べ、その低屈折率層が存在していることにより、大きな反射損失低減効果が得られることがわかる。隣接する層の屈折率の差は好ましくは0.3以下とする。なお、この低屈折率層を無限に増やしてやれば連続的な屈折率の変化が光学的な界面をなくすため反射損失を極めて低くできると考えられる。第一および第二の発明は、このように低屈折率層の屈折率が微視的には変化している材料で構成されている場合をも含んでいる。なお、この低屈折率層は他の層、例えば透明基板の機能の一部を兼ねることも出来る。あるいはガスバリア層などの機能を兼ねても良い。それぞれの低屈折率層は、上述した無機質材料、樹脂を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば化学式で示せば、SIO2(n=1.45)、MgF2(n=1.38)のような無機膜の積層あるいは混合体層、または無機膜の組成を変化させながら積層し、膜の屈折率を連続的または断続的に変化させても良い。またエアロゲル・カラムナー構造のような空孔を形成して屈折率を低減させている無機膜あるいは有機膜も好適な材料である。
第三の態様は、図3のように透明基板1上部側表面に低屈折率層5を備え、かつ透明基板1が少なくとも片面に複数の凹凸構造を有するエレクトロルミネッセンス素子である。前述の第一、第二の発明である低屈折率層5の光取出効率向上効果、および凹凸構造の界面の光取出効率向上効果を利用している。
凹凸構造としては例えば六角錐・四角錐・三角錐・円錐・三角柱・レンズドームあるいは凹や凸のレンズ形状のように透明基板表面に対し凹凸の構造をもち、発光層3からの光が第一電極層2から透明基板1を通過し透明基板1の外部(通常大気中)へと射出される際入射角を変化させ全反射による損失を抑える構造であれば良い。具体的な例としては、図3に示す四角錐状の場合がある。凹凸構造は上方に頂点を持つ四角錐状であり、透明基板1と一体に形成されている。この四角錐状凹凸構造は透明基板1の長辺方向及び短辺方向に沿って所定の、例えば0.01〜1mmの配列ピッチ6で並んで、高さが0.01μm〜100μmの範囲内に選定されていると好適な光取出効率向上効果が得られる。円錐状の凹凸構造の場合には各配置枠毎に上方に向かって突出した円錐状の凹凸を形成している。その円錐の底面が、上記配置枠の外接円となるように形成されている。円錐の底面近傍の、上記配置枠から上記長辺方向及び短辺方向に突出する部分が切除されることにより、互いに隣接する円錐同士が干渉しないようになっている。さらに、これらの円錐は、透明基板1の長辺方向及び短辺方向に沿って所定の、例えば0.01〜1mmの配列ピッチで並んで、高さが0.01〜100μmの範囲内に選定されていることが好適である。
凹凸構造としては例えば六角錐・四角錐・三角錐・円錐・三角柱・レンズドームあるいは凹や凸のレンズ形状のように透明基板表面に対し凹凸の構造をもち、発光層3からの光が第一電極層2から透明基板1を通過し透明基板1の外部(通常大気中)へと射出される際入射角を変化させ全反射による損失を抑える構造であれば良い。具体的な例としては、図3に示す四角錐状の場合がある。凹凸構造は上方に頂点を持つ四角錐状であり、透明基板1と一体に形成されている。この四角錐状凹凸構造は透明基板1の長辺方向及び短辺方向に沿って所定の、例えば0.01〜1mmの配列ピッチ6で並んで、高さが0.01μm〜100μmの範囲内に選定されていると好適な光取出効率向上効果が得られる。円錐状の凹凸構造の場合には各配置枠毎に上方に向かって突出した円錐状の凹凸を形成している。その円錐の底面が、上記配置枠の外接円となるように形成されている。円錐の底面近傍の、上記配置枠から上記長辺方向及び短辺方向に突出する部分が切除されることにより、互いに隣接する円錐同士が干渉しないようになっている。さらに、これらの円錐は、透明基板1の長辺方向及び短辺方向に沿って所定の、例えば0.01〜1mmの配列ピッチで並んで、高さが0.01〜100μmの範囲内に選定されていることが好適である。
上述の特許文献2にもあるように、凹凸構造は、これが高屈折率層と相対的に低屈折率層との界面に存在すると、高屈折率層から低屈折率層へいろいろな方角から入射して一部反射しながら透過していく光の反射損失を抑える。また、いろいろな方角から入射してくる散乱光に指向性を持たせて低屈折率層側に射出することが出来る。この機能を考慮すれば、凹凸構造の位置は透明基板1の上面でも下面でもまた上下両面でも、層界面の屈折率に差がありさえすれば効果が発揮できる。なお、凹凸構造は同じ形状の凹凸を透明基板1の表面に隙間なく配置しても良いが、とくにその必要はない。異なった形状、例えば角錐と円錐、さらには大きさの異なる凹凸形状が密にまたはまばらに配置されていても問題はない。製造上、機能上、例えば同形の四角錐を隙間なく縦横に連続的に配置した凹凸構造などが好適である。
凹凸構造の機能について説明する。高屈折率の媒体層から相対的に低屈折率の媒体層へと両層の界面を光が透過する際、高屈折率媒体層側の全方向からの光線の透過効率は、平面的な界面に比べその界面に四角錐のような凹凸構造があることにより向上する事が知られている。さらに、これらの凹凸構造にはこれらの全方向からの光の指向性付与効果があることが知られている。例えば、図3において、透明基板表面の一つ一つの凹凸(凹凸素子とも言う)をとってみると、エレクトロルミネセンス発光層3から出射する光は、第一電極層2、透明基板1を通って凹凸素子に向かって、下部の全方向から均等に入射する。凹凸素子が、例えば上に頂点を持つ四角錐状に形成されていることにより反射、特に全反射による下方への光の損失が少なくなり、全方向からの光の大部分を確実に上方の低屈折率層に透過させることができる。すなわち、発光層3から出射する光の発光層3と低屈折率層5との界面での反射損失が減少し、光取出効率が向上することになる。
つぎに、第一電極層2と透明基板1との界面に凹凸構造を設けた場合の、もうひとつの光取出効率向上機能を説明する。上述のように凹凸構造をもった界面は、高屈折率媒体から低屈折媒体へ光が透過する際に好適な光の指向性付与効果を持っている。一方、高屈折率の透明基板1から相対的に低屈折率の低屈折率層5を通って大気中へ光を効率よく透過させるには、透明基板1と低屈折率層5との界面での反射による反射損失、特に全反射による損失を抑えなければならない。そのためには透明基板1の上部表面に透明基板側から入射してくる光を透明基板1の通常は平面状な表面に対し入射角が大きくなる方向の光に変えてやればよい。すなわち、発光層3から放射されてくるいろいろな方角の光を第一電極層2と透明基板1との界面で透明基板1の表面に対し入射角が大きくなる方向に変えることである。これは第一電極層2と透明基板1との界面に凹凸構造を形成することで実現できる。このように第一電極層2と透明基板1との界面に凹凸構造を設けた場合は、さらなる光取出効率向上効果が期待できる。なお、透明基板1の両表面に凹凸を設けた構造とすればさらに好適な効果が得られる。
本発明における凹凸構造は、透明基板1の縦横方向にピッチが1μm〜1mm、好ましくは10μm〜0.1mmであり、高さ0.01〜100μm、好ましくは1〜100μmの範囲で凹凸構造が複数配置されていることが好ましい。凹凸構造は、透明基板1の表面の一部に配置されていてもよいが、エレクトロルミネッセンス素子全体としての機能発揮には透明基板のどちらかの表面全体に配置されていることが好ましい。図3では透明基板1の低屈折率層側表面に凹凸構造を付けているが、透明基板1の下側表面にも上述した凹凸構造を取り付けておけば、さらに透過率向上効果を発揮して効率よく光を外部へ射出することが出来る。これにより、発光層3からの放射光の取出効率は飛躍的に向上する。凹凸構造はどのような方法で製造しようと上述の機能を発揮する凹凸構造になっていれば良い。通常の製造法としては、溶融成型法、射出成型法、キャスティング法、エンボス加工法、電子線微細加工法、ロール成型法、インフレーション法などを利用すればよい。
好ましい発明の態様のひとつは、透明基板1と低屈折率層5との間または透明基板1と第一電極層2との間に、水蒸気透過速度が0.1g/m2日以下のガスバリア層を有するエレクトロルミネッセンス素子である。薄くしかも柔軟性に優れたエレクトロルミネッセンス素子を得るには、透明基板としても柔軟性に優れた樹脂製が適している。しかし、一般に樹脂はガスバリア性が十分ではなく、このような場合には、ガスバリア層を有することが好ましいことになる。ガスバリア層は透明基板1と低屈折率層5との間または透明基板1と第一電極層2との間に設置し、水蒸気透過速度が0.1g/m2日以下であるような材料が好適である。なお、水蒸気透過速度の測定はJIS−K7129B法の赤外センサー法に準拠して、例えば、市販のMOCON社製の「PERMATRAN−W」水蒸気透過速度測定器を用いて、温度40℃、湿度90RHの雰囲気下で行う。ガスバリア層と低屈折率層5の機能を同じ層で兼用しても良い。ガスバリア層は屈折率が、隣接する透明基板1、第一電極層2および低屈折率層5、低屈折率層が複数ある場合はそれぞれの低屈折率層の屈折率のあいだの値となるようにすることが好ましい。このようにすればガスバリア層は低屈折率層の機能も果たすからである。
ガスバリア層の機能は、発光層3あるいは電極層2の劣化を防ぐことである。発光層3が有機材料であったり、電極層が金属材料であったりすると、これらが大気雰囲気中の水蒸気により劣化するおそれがあるからである。透明基板1の水蒸気透過性が低い場合(一般には酸素透過性も低い)、透明基板1と第一電極層2との間に高いガスバリア性を有するガスバリア層を挿入することが有効となる。ガスバリア層は0.1g/m2/day以下、好ましくは0.08g/m2日以下とすることが適している。このガスバリア層の材質は、化学式で表せば例えばSiOx、Al2O3、AlOx、SiOxNy、SiNxなどがある。ガスバリア層を透明基板1と第一電極層2との間に配置する場合は、このガスバリア層の屈折率は透明基板1と第一電極層2との間の屈折率であることが好ましい。ガスバリア層の製法の例としては蒸着法、スパッタリング法、CVD法が一般的である。なお、ガスバリア層は上述のように低屈折率層5と兼ねることもできる。ガスバリア層の厚さは、通常0.02〜1μmであり、好ましくは0.05〜0.2μmである。
さらに好ましい発明の態様のひとつは、透明基板1と第一電極層2との間にこれらの屈折率をそれぞれnS、nEとしたときnS<nM<nEとなるような屈折率nMを有する中間屈折率層を形成したエレクトロルミネッセンス素子である。これは発光層3からの光が透明基板1と第一電極層2との間の屈折率差を補い反射損失を抑制し、光取出効率を高める効果をもつ。この中間屈折率層は単層でもよいが積層でも構わない。この場合各層の屈折率が第一電極層2から透明基板1に向かうにしたがい順次低くなるように構成されることが好ましい。通常透明基板1はガラス、樹脂であるとするとその屈折率は1.5〜1.6、また第一電極層2はITO、IZOであるとするとその屈折率は1.9〜2.2であるため、前記中間屈折率層の屈折率は1.5〜2.2であることが好ましい。この中間屈折率層の材質は無機物が好ましく、例えばSiOx(1.7)、Al2O3(1.6)、SiOxNy(1.7〜2.0)、Y2O3(1.9)などがある。なお、各素材の後のかっこないの数字はすぐ前の素材の屈折率を表す。中間屈折率層の製法の例としては蒸着法、スパッタリング法、CVD法が一般的である。なお、中間屈折率層は上述のようにガスバリア層5と兼ねることもできる。中間屈折率層の厚さは、通常0.02〜1μmであり、好ましくは0.05〜0.2μmである。
本発明においては、透明基板の吸水率が0.1%以下、熱線膨張係数が0〜80ppm/Kであることが望ましい。さらに好ましい態様は吸水率は0.05%以下、熱線膨張係数は0〜70ppm/Kである。これにより、エレクトロルミネッセンス素子の通常の使用環境下での変形による性能劣化はほとんどなくなる。また、吸水率が低くなればそれにしたがって基板の水蒸気透過性も低下することが予想され、ガスバリア性も向上する。透明基板1は、通常、強度やガスバリア性からガラス等の透明な無機材料を用いている。しかし、薄くしかも柔軟性に優れたエレクトロルミネッセンス素子を得るには、透明基板としても薄く、柔軟性に優れた樹脂製が適している。透明樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのような鎖状ポリオレフィン樹脂;ポリエーテルサルファイド;アクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、脂環式構造を有する樹脂などがあげられる。その中でも脂環式構造を有する樹脂は光透過性、熱安定性、吸水特性、機械特性などに優れ好適である。
脂環式構造を有する樹脂としては、脂環式構造が主鎖及び側鎖のいずれにあっても良い。脂環式構造を有する樹脂としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を形成する炭素原子数は通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた樹脂が得られる。脂環式構造を有する樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよい。
脂環式構造を有する樹脂の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素化物、並びにこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、光透過性、熱安定性、吸水特性、耐熱性、機械的強度の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物などが好ましい。
脂環式構造を有する樹脂の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素化物、並びにこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、光透過性、熱安定性、吸水特性、耐熱性、機械的強度の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物などが好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、これらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有する誘導体)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーはこれらを2種以上有してもよい。これらのノルボルネン系モノマーはそれぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、これらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有する誘導体)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーはこれらを2種以上有してもよい。これらのノルボルネン系モノマーはそれぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとその他のモノマーとの開環共重合体は公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。その他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物は、通常上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することのより得ることができる。ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを公知の付加重合触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−へキサンジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらのノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で30:70〜99:1の範囲となるように適宜選択される。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物は、通常上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することのより得ることができる。ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを公知の付加重合触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−へキサンジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらのノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で30:70〜99:1の範囲となるように適宜選択される。
(2)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香族環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素単量体やビニル芳香族系単量体と、これら単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物などが挙げられる。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられるが特に制限はない。
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香族環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素単量体やビニル芳香族系単量体と、これら単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物などが挙げられる。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられるが特に制限はない。
(3)単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなど単環環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなど単環環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
本発明で好適に使用される脂環式構造を有する樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液、トルエン溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法により測定することができる。前記脂環式構造重合体の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。分子量を前記範囲にすることにより、樹脂の機械的強度、及び成形加工性が良好となる。
本発明で好適に使用される脂環式構造を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは80℃〜250℃、より好ましくは130〜250℃の範囲である。ガラス転移温度を前記範囲にすることにより、高温化の使用においても変形や応力集中が生じる事がなく耐久性が良好となる。
本発明で好適に使用される脂環式構造を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは80℃〜250℃、より好ましくは130〜250℃の範囲である。ガラス転移温度を前記範囲にすることにより、高温化の使用においても変形や応力集中が生じる事がなく耐久性が良好となる。
本発明で使用する透明基板1の厚さは、通常0.03〜10mmであり、好ましくは0.1〜3mmである。
第一電極層2、発光層3および第二電極層4は通常のエレクトロルミネッセンス素子と同様の構成、製法であればよい。例えば、図1では第一電極層2、発光層3、第二電極層4が順次下方に積層された構造である。第一電極層2は通常のエレクトロルミネッセンス素子用の透明電極を用いればよいが、隣接する透明基板1またはガスバリア層との密着性を持つ必要がある。例えば、透明基板1の表面が凹凸構造となっており平坦でない場合は第一電極層2と透明基板1との接合には注意を要する。通常用いられる第一電極層2は亜鉛添加酸化インジウム(IZO)やインジウム・スズ酸化物(ITO)などをスパッタリング法などで透明基板1側に付着させている。第一電極層2の厚さは、通常0.01〜1μmであり、好ましくは0.1〜5μmである。
発光層3は、通常用いられる発光層用材料でよい。例えばアリルアミン系材料(TPDなど)とアルミニウム錯体(Alq3など)の積層や硫化亜鉛(ZnS)等の無機化合物やAlq3等の有機化合物の単層もしくは複数の層を積層して構成される。通常、発光層は真空蒸着法用いれば形成できる。発光層3の厚さは、通常0.01〜2μmであり、好ましくは0.1〜0.5μmである。第二電極層4は、発光した光を透明基板側へ反射させる役割を有することがあるため、裏面電極とも言われ、例えばアルミニウム蒸着膜等から構成されている。第二電極層4は蒸着法を用いれば形成できる。第二電極層4の厚さは、通常0.01〜1μmであり、好ましくは0.1〜0.5μmである。第一電極層2と第二電極層4との間に電圧を印加することにより、発光層3がエレクトロルミネセンスにより発光し、その光が第一電極層2、透明基板1、低屈折率層5を通って、あるいは第二電極層4で反射した光が第一電極層2、透明基板1、低屈折率層5を通って上部のエレクトロルミネッセンス素子外部へ射出される仕組みである。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子においては、透明基板、第一電極層、発光層、第二電極層の他に、他の層を有していてもよい。
他の層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、封止層が挙げられる。これらの層を構成する材料は、従来エレクトロルミネッセンス素子における各層を構成する材料として公知の材料を用いることができる。
他の層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、封止層が挙げられる。これらの層を構成する材料は、従来エレクトロルミネッセンス素子における各層を構成する材料として公知の材料を用いることができる。
本発明の実施形態によるエレクトロルミネセンス素子は、上述のように構成されており、例えば図1では、第一電極層2と第二電極層4との間に、図示していないが駆動電源から所定の駆動電圧を印加することにより、発光層3がエレクトロルミネセンス効果により発光し、その光が透明な第一電極層2、ガスバリア層6、透明基板1、低屈折率層5を通過して、透明基板1の上方に射出する。この射出光を利用して各種の照明装置を提供することが出来る。エレクトロルミネッセンス素子の特性として、面発光体としての照明装置としても利用できる。また、直接表示装置として使用することも可能であり、液晶に代わる好適な各種表示機器とすることも出来る。さらに、このエレクトロルミネセンス素子は液晶等のバックライト装置としても好適な機能を備え、液晶表示装置と組み合わせることにより好適な表示装置を提供出来る。
(実施例1)
図1に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。透明基板1の材質はノルボルネン系樹脂(屈折率nS=1.5,吸水率0.05%,熱線膨張係数70ppm/K)を用いた。透明基板は縦40mm、横40mm、厚さは1mmである。低屈折率層5は屈折率nL=1.45のシリカ(SIO2)であり、DCスパッタリング法により膜厚が100nmとなるように透明基板1上面に製膜した。この低屈折率層5の水蒸気透過速度は0.1g/m2日であり、ガスバリア層としての機能も兼ねることが出来た。第一電極層2は屈折率n=2の亜鉛添加酸化インジウム(IZO)をDCスパッタリング法により透明基板1下面に膜厚が100nmとなるように製膜した。発光層3としてアリルアミン系材料であるTPDとアルミニウム錯体Alq3の積層体を用い、真空蒸着法により膜厚が約100nmとなるように製膜した。第二電極層4はアルミニウムを真空蒸着法により膜厚が100nmとなるように製膜した。このエレクトロルミネッセンス素子の第一電極層2と第二電極層4の間に5Vの電圧をかけエレクトロルミネッセンス発光をさせた。このエレクトロルミネッセンス素子表面から射出される光をPrometric社製輝度計にて測定した。なお、光取出効率は後述の比較例1を基準としてそれに対する比率で表した。また、半減期は輝度計による輝度の測定値が半減するまでの発光時間を日で表した。測定結果は表1に示した。なお、素子の外部の屈折率nA=1.0であった。
図1に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。透明基板1の材質はノルボルネン系樹脂(屈折率nS=1.5,吸水率0.05%,熱線膨張係数70ppm/K)を用いた。透明基板は縦40mm、横40mm、厚さは1mmである。低屈折率層5は屈折率nL=1.45のシリカ(SIO2)であり、DCスパッタリング法により膜厚が100nmとなるように透明基板1上面に製膜した。この低屈折率層5の水蒸気透過速度は0.1g/m2日であり、ガスバリア層としての機能も兼ねることが出来た。第一電極層2は屈折率n=2の亜鉛添加酸化インジウム(IZO)をDCスパッタリング法により透明基板1下面に膜厚が100nmとなるように製膜した。発光層3としてアリルアミン系材料であるTPDとアルミニウム錯体Alq3の積層体を用い、真空蒸着法により膜厚が約100nmとなるように製膜した。第二電極層4はアルミニウムを真空蒸着法により膜厚が100nmとなるように製膜した。このエレクトロルミネッセンス素子の第一電極層2と第二電極層4の間に5Vの電圧をかけエレクトロルミネッセンス発光をさせた。このエレクトロルミネッセンス素子表面から射出される光をPrometric社製輝度計にて測定した。なお、光取出効率は後述の比較例1を基準としてそれに対する比率で表した。また、半減期は輝度計による輝度の測定値が半減するまでの発光時間を日で表した。測定結果は表1に示した。なお、素子の外部の屈折率nA=1.0であった。
(実施例2)
図3に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例1との違いは透明基板1の上面が透明基板面に対し縦横に連続した、四角錐状の凹凸構造となっている点である。各凹凸素子はそれぞれ上方に頂点を持つ四角錐で底辺ピッチは50μm、高さは25μmとした。底辺ピッチは図3におけるマイクロレンズアレイのピッチ6に相当する透明基板1の製法は樹脂の凹凸構造を持つ金型への射出成型によった。他の部分の構成や製造方法は実施例1と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
図3に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例1との違いは透明基板1の上面が透明基板面に対し縦横に連続した、四角錐状の凹凸構造となっている点である。各凹凸素子はそれぞれ上方に頂点を持つ四角錐で底辺ピッチは50μm、高さは25μmとした。底辺ピッチは図3におけるマイクロレンズアレイのピッチ6に相当する透明基板1の製法は樹脂の凹凸構造を持つ金型への射出成型によった。他の部分の構成や製造方法は実施例1と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
(実施例3)
図4に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例2との違いは、透明基板1と第一電極層2との間に低屈折率層が2層あり、低屈折率層5’が透明基板側で材質SIO2(nL1=1.45)、低屈折率層5が大気側で材質MgF2(nL2=1.38)としている点である。nL1、nL2はそれぞれの材料の屈折率を表す。低屈折率層5’はDCスパッタリング法により,低屈折率層5は抵抗加熱法により、それぞれ膜厚が50nmとなるように製膜した。他の部分の構成や製造方法は実施例2と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
図4に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例2との違いは、透明基板1と第一電極層2との間に低屈折率層が2層あり、低屈折率層5’が透明基板側で材質SIO2(nL1=1.45)、低屈折率層5が大気側で材質MgF2(nL2=1.38)としている点である。nL1、nL2はそれぞれの材料の屈折率を表す。低屈折率層5’はDCスパッタリング法により,低屈折率層5は抵抗加熱法により、それぞれ膜厚が50nmとなるように製膜した。他の部分の構成や製造方法は実施例2と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
(比較例1)
図5に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例1との違いは低屈折率層5がないだけで、他の部分の構成や製造方法は実施例1と同様である。これは通常のエレクトロルミネッセンス素子と同じ構造である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
図5に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例1との違いは低屈折率層5がないだけで、他の部分の構成や製造方法は実施例1と同様である。これは通常のエレクトロルミネッセンス素子と同じ構造である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
(比較例2)
図6に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例2との違いは低屈折率層5がないだけで、他の部分の構成や製造方法は実施例2と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
図6に示す構成のエレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例2との違いは低屈折率層5がないだけで、他の部分の構成や製造方法は実施例2と同様である。光取出効率の測定等も同様に実施し、測定結果も表1に示した。
表1の結果から以下のことがわかる。本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、実施例1〜3に示すように、発光輝度及び光取出効率が高く、半減期も大きい。
一方、比較例のエレクトロルミネッセンス素子は、発光効率及び光取出効率が低く、半減期が短い場合もある。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、光の取出効率が向上し、輝度が向上し、寿命が延びる。本エレクトロルミネセンス素子は各種の高輝度、長寿命の照明装置や表示装置として利用するのに適している。また、液晶等の表示装置のバックライトとして使用する場合に、表示装置の高輝度化や省電力化に容易に対応することができる。
1 透明基板
2 第一電極層
3 発光層
4 第二電極層
5 低屈折率層
5’低屈折率層
6 レンズアレイのピッチ(幅)
2 第一電極層
3 発光層
4 第二電極層
5 低屈折率層
5’低屈折率層
6 レンズアレイのピッチ(幅)
Claims (7)
- 透明基板上に第一電極層、発光層、第二電極層を順次積層したエレクトロルミネッセンス素子であって、前記透明基板の第一電極層側と反対側の表面に、前記透明基板より屈折率の低い低屈折率層を設け、かつ前記透明基板の屈折率をnS、低屈折率層の屈折率をnL、素子の外部の屈折率をnAとしたときnS>nL>nAであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記低屈折率層が2層以上積層されており、それぞれの低屈折率層の屈折率を透明基板に近い層から順にnL1、nL2、・・・nLkとするとき、nS>nL1>nL2>・・・>nLk>nAであることを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記透明基板が、少なくとも片面に複数の凹凸構造を有する請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記透明基板の吸水率が0.1%以下、熱線膨張係数が0〜80ppm/K以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記透明基板が脂環式構造を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子を備えた表示装置。
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