以下、図示実施形態に基づき本発明を説明する。デジタルカメラ10は、撮影光学系を内蔵したカメラ本体部11を有している。カメラ本体部11は撮影光学系の光軸Oに沿う方向に長い箱型(四角筒)形状をなし、その外面は、光軸Oと略直交するボディ前端面11aとボディ後端面11b、このボディ前端面11aとボディ後端面11bを接続して光軸Oを囲むボディ上面11c、ボディ下面11d、ボディ右側面11e、ボディ左側面11fとにより構成されている。なお本実施形態では、図3、図11及び図12の天地方向をデジタルカメラ10における上下方向、同じく水平方向を左右方向とする。より詳細には、デジタルカメラ10に対してボディ後端面11b側に視点位置をとったとき(図3の状態)での右手方向を右、同左手方向を左と定義する。また、光軸Oと平行な方向(以下、光軸方向とする)をデジタルカメラ10における前後方向とし、ボディ前端面11a側を前方、ボディ後端面11b側を後方と定義する。
カメラ本体部11のボディ前端面11aには、撮影光学系のうち最も被写体側に位置する前玉レンズLFが露出している。前玉レンズLFは単レンズでもレンズ群でもよい。前玉レンズLFの周囲は、フィルタなどのアクセサリを取り付けることが可能なフィルタねじ12が設けられている。撮影光学系はズームレンズ系であり、図示しないが前玉レンズLF以外にも複数のレンズ群を備えている。また、撮影光学系はズーミング時及びフォーカシング時に鏡筒を繰り出さないインナーズーム、インナーフォーカスタイプの撮影光学系であり、前玉レンズLFが図示位置より前方に移動することはない。
カメラ本体部11のボディ上面11cには、ボディ後端面11bに近い領域に、電源ボタン13、モードダイヤル14、再生ボタン15、メニューボタン16、多方向ボタン17といった操作関連のボタンが設けられている。電源ボタン13はデジタルカメラ10のメインスイッチをオンオフさせるための操作部材、モードダイヤル14は各種撮影モードを選択するための操作部材、再生ボタン15は記録された画像を液晶表示部32に表示(再生)させるための操作部材である。また、メニューボタン16を操作すると各種の設定モードに入り、多方向ボタン17を操作して機能を選択、設定することができる。多方向ボタン17はまた、再生される画像の切り換えなどにも使用される。メニューボタン16による設定項目は、記録画面サイズ、画質、ホワイトバランス、感度等であるが、これに限定されるものではない。多方向ボタン17は複数方向へ操作可能なモーメンタリスイッチであり、例えば、直交する2軸方向(4方向)への押圧操作と該2軸の交点位置での押下操作が可能に構成されている。これらボタン類の前方には、ポップアップストロボ18が配設されている。ポップアップストロボ18は、その発光部をカメラ本体部11の上方へ突出させるポップアップ状態と、該発光部をボディ上面11c内に収納させる収納状態とに切換可能であり、各図はポップアップストロボ18の収納状態を示している。また、ボディ上面11cとボディ右側面11eの間の稜線部付近にはメモリカード蓋19が設けられている。メモリカード蓋19を開くと図示しないメモリカードスロットの開口部が露出し、画像データを記録するためのメモリカードをメモリカードスロットに挿脱させることが可能になる。
カメラ本体部11のボディ左側面11fには、ボディ上面11c上の各種ボタンと概ね同様の前後方向位置(すなわち、ボディ後端面11bに近い領域)に、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22が光軸方向へ略等間隔で配設されている。ストロボモードボタン20は、ポップアップストロボ18の発光部の制御に用いる操作部材であり、強制発光、発光停止、赤目防止発光モード等のストロボ関連のモードを切り替えることができる。セルフ連写ボタン21は撮影時のドライブモードを選択するための操作部材であり、通常のドライブモード(シャッタレリーズ操作と同時に1枚だけ撮影する)に加えて、セルフタイマ撮影モード、オートブラケットモード等を選択することができる。フォーカスモードボタン22は、フォーカスモードを選択するための操作部材であり、通常のオートフォーカスモードの他に、マクロ撮影モード、無限遠撮影モード、マニュアルフォーカスモード等を選択することができる。また、ボディ左側面11fには、ストロボモードボタン20の若干前方にスピーカー開口部23が形成され、該スピーカー開口部23の下方には外部コネクタカバー24が設けられている。外部コネクタカバー24はボディ左側面11fに対して開閉(または着脱)可能になっている。
カメラ本体部11のボディ後端面11b側には、ボディ後端面11bとボディ上面11cの間の稜線(境界)部に設けたヒンジ部26を介して液晶モニタブロック25が支持されている。ヒンジ部26は、カメラ本体部11側において左右方向に離間させて設けた一対の支持アーム27と、該一対の支持アーム27に挟まれ液晶モニタブロック25を支持する中間支持部28と、中間支持部28から左右方向に突出されて各支持アーム27内の軸孔に回転可能に挿入された一対の軸ピン29を備え、該軸ピン29を介して支持アーム27と中間支持部28は相対回動可能になっている。軸ピン29の軸線X1は光軸Oと直交するカメラの左右方向へ向いており、該軸線X1を中心として液晶モニタブロック25は、光軸Oの後方延長上にあってボディ後端面11bに隣接する収納位置(図4、図9)と、中間支持部28と反対側の縁部をヒンジ部26よりも高い位置に持ち上げる起立位置(図8)との間で回動することができる。収納位置では、液晶モニタブロック25の液晶表示部32は、光軸Oに対して略直交する平面内に位置される。また、図8に二点鎖線で示す位置が液晶モニタブロック25の最大起立位置である。液晶モニタブロック25における収納位置と最大起立位置の間の回動角は180度以上であることが好ましく、本実施形態では約210度に設定されている。
液晶モニタブロック25はまた、中間支持部28に対して、軸線X1と直交する軸線X2を中心として回動可能に支持されている。詳細には、液晶モニタブロック25のフレーム部25aには、該軸線X2方向に向けて軸ピン30が設けられ、中間支持部28には該軸ピン30が回転可能に挿入される軸孔が形成されている。したがって、カメラ本体部11に対して液晶モニタブロック25は、軸線X1を中心とする回動と、軸線X2を中心とする回動を行うことができる。なお、ヒンジ部26における軸ピンと軸孔の関係は、以上の説明とは逆の関係にすることもできる。すなわち、支持アーム27(カメラ本体部11)と中間支持部28の関係においては、支持アーム27側に軸ピンを設け中間支持部28側に軸孔を形成してもよいし、液晶モニタブロック25と中間支持部28の関係においては、中間支持部28側に軸ピンを設け液晶モニタブロック25側に軸孔を形成してもよい。
液晶モニタブロック25のフレーム部25aは、矩形の液晶表示部32を囲む4辺の縁部を有しており、図4及び図9のように液晶モニタブロック25をボディ後端面11bに隣接させた収納位置では、中間支持部28に接する縁部を除く3辺の縁部がそれぞれボディ下面11d、ボディ右側面11e、ボディ左側面11fと略面一になるようなサイズ及び形状となっている(図3ないし図9参照)。
液晶表示部32がボディ後端面11bに対向する図4の状態から軸線X1を中心として液晶モニタブロック25を回動させて図8のように起立させると、液晶表示部32が撮影者の方を向き、該液晶表示部32をモニタとして使用(視認)することが可能になる。図8では液晶モニタブロック25を約180度起こした状態と前述の最大起立位置を示しているが、ヒンジ部26は、これ以外の任意の角度位置で液晶モニタブロック25を停止させることができるようなフリクション(あるいはクリック)機構を備えている。
また、図10に示すように、起立状態の液晶モニタブロック25を軸線X2中心で回動させて液晶表示部32を前方に向けることもできる。液晶表示部32を前方に向けた状態は、撮影者が自らを被写体とする対面撮影に適している。また、この対面撮影状態のまま液晶モニタブロック25を軸線X1中心で収納方向へ回動させ、液晶表示部32がカメラ本体部11のボディ上面11cと概ね平行になる角度にすると、ウエストレベル撮影に適した状態になる。さらに、この状態から液晶モニタブロック25を軸線X1中心でボディ後端面11bに接近する方向に回動させると、図4とは逆に、液晶表示部32がボディ後端面11bに対向せずにカメラの後端部に露出する図9の状態となり、カメラ本体部11から液晶モニタブロック25を突出(起立)させなくても液晶表示部32の視認が可能になる。なお、図8の状態と図9の状態では液晶表示部32の表示画面上における天地方向が逆になるが、デジタルカメラ10は、液晶モニタブロック25の位置状態の変化を検知する検知手段と、該検知手段に基づいて液晶表示部32に適切な状態(撮影者から見て上下方向の正しい)の画像を表示させる画像制御手段とを備えている。なお、デジタルカメラ10の運搬時などでは、図4のように液晶表示部32をボディ後端面11bに対向させて該液晶表示部32の保護を図ることが好ましい。
カメラ本体部11のボディ右側面11e側には、把持用のグリップ40が設けられている。グリップ40はカメラ本体部11と同様に細長の箱型(四角筒)形状をなしており、その外面は、長手方向に離間する両グリップ端面40a、40bと、該グリップ端面40a及び40bと略直交させて長手方向へ延出された4つの長手方向面40c、40d、40e、40fを備えている。これらの各面のうち、両グリップ端面40a、40bのセット、長手方向面40c、40dのセット、長手方向面40e、40fのセットはそれぞれ略平行な関係にある。グリップ40内にはデジタルカメラ10の駆動電源であるバッテリ42(図1)の収納室(電池収納室)が形成されており、該電池収納室を開閉可能な電池蓋43がグリップ端面40a側に該けられている。
グリップ40は、カメラ本体部11に対してグリップ回動軸(回動進退軸)41を介して回動可能に支持されている。グリップ回動軸41は、カメラ本体部11とグリップ40の互いの対向面であるボディ右側面11eと長手方向面40fを接続するように設けられており、その軸線(回動軸線)X3はヒンジ部26の軸ピン29における軸線X1と略平行である。グリップ40の長手方向におけるグリップ回動軸41(軸線X3)の位置はグリップ端面40bの近傍に偏心して設定されており、したがってグリップ40は、図4ないし図7に示すように、グリップ端面40a(電池蓋43)側の端部が軸線X3を中心とする円弧状の軌跡を描くように回動される。
図4と図5はグリップ40の回動端の一方(収納端)と他方(突出端)を示しており、この両回動端では、グリップ端面40a、40bの向きが概ね反転した関係にある。図4の収納端では、グリップ端面40a(電池蓋43)を前方に向けた状態で、グリップ40の長手方向とカメラ本体部11の長手方向(光軸方向)が略平行になっており、グリップ40の外形は、カメラの前後方向及び上下方向においてボディ右側面11eの輪郭内に収まっている。換言すれば、図4の状態では、グリップ40の長手方向の全長がカメラ本体部11の長手方向幅(光軸方向位置)内に収まり、かつグリップ40の短手方向幅(長手方向面40c、40dを結ぶ距離)がカメラ本体部11の上下方向幅内に収まっており、グリップ40はカメラ本体部11に対して前後方向及び上下方向には突出しない。つまり、グリップ40とカメラ本体部11が概ね一続きの箱状体をなしており、持ち運びやすい収納状態となっている。また、グリップ40が下方に突出しないので、カメラを安定して床や机上に載置することができ、このような載置状態での撮影にも適している。特にこの収納端では、グリップ40の長手方向面40d(下面)がカメラ本体部11のボディ下面11dと略面一になっており(図3、図11参照)、ボディ下面11dを下方に向けてデジタルカメラ10を載置した際の安定性が良くなっている。
撮影を行う際にはグリップ40を図4の収納端から時計方向に回動させればよい。グリップ回動軸41は、グリップ端面40a(電池蓋43)が後方を向く図5の突出端までの複数の角度でグリップ40を停めることが可能な回動ロック機構を備えており、グリップ40の角度位置を撮影者の好みで決めることができる。この回動ロック機構の詳細は後述する。前述の通り、液晶モニタブロック25は軸線X1及び軸線X2を中心にして角度調整可能であり、これと独立して軸線X3を中心にしてグリップ40も角度調整可能とさせることにより、自由度の高い撮影姿勢を得ることができる。特に、液晶モニタブロック25の回転中心(軸線X1)とグリップ40の回転中心(軸線X3)を、カメラ左右方向に向けて平行にさせたことにより、ホールディング性やモニタの視認性を損なうことなく、カメラの高さ位置及びカメラの仰角(縦方向の角度)を自在に変えることが可能である。
グリップ回動軸41はさらに、図11及び図12に示すように、カメラ本体部11に対してグリップ40を軸線X3に沿う方向(左右方向)に接離させることが可能に構成されている。この接離動作は、軸線X3を中心とした上記の回動とは独立して行わせることが可能であり、例えば、グリップ40が図4の収納端にあるときに該グリップ40をカメラ本体部11に接近させると(図11の状態)、カメラ本体部11からのグリップ40の突出量が最も少ないコンパクトな状態にすることができる。一方、グリップ40を把持する撮影時等では、図12のようにグリップ40をスライドさせてカメラ本体部11から所定量離間させることにより、グリップ40を把持する手とカメラ本体部11(特にボディ右側面11e)の干渉が回避されてホールディング性が向上する。図12ではグリップ40の長手方向がカメラ本体部11の長手方向と略平行な状態を示しているが、この状態から軸線X3を中心としてグリップ40を回動させて任意の角度に設定することができる。
前述のように、グリップ40は、それぞれのセットが略平行をなす3対の平面部(両グリップ端面40a、40bと、長手方向面40c、40d、40e、40f)を外面に有する箱状体である。このグリップ40において、グリップ回動軸41に近い側のグリップ端面40b付近の外面にはさらに、該グリップ端面40bと長手方向面40cを接続する傾斜面40gが形成され、またグリップ端面40bのうち長手方向面40cに接する稜線部が面取りされて弧状面40hが形成されている。この傾斜面40g、グリップ端面40a、40b(弧状面40h)、そして長手方向面40c、40dは、グリップ回動軸41の軸線X3と略平行でかつ該軸線X3を囲む囲繞面を構成している。傾斜面40gは、グリップ40の他の外面のいずれに対しても非平行な平面である。傾斜面40g上にはシャッタボタン45が設けられ、該シャッタボタン45を囲む環状のズーム操作レバー46が設けられている。また、弧状面40hはグリップ40の外側に向けて正の曲率を持つ曲面であり、該弧状面40h上には録画ボタン47が設けられている。シャッタボタン45は静止画撮影用の操作部材であり、ボタンの半押しで測光や測距を行い、全押しでシャッタレリーズ(静止画の撮影)を行わせることができる。このときの撮影モード等は、前述した各操作部材によって適宜設定される。一方、録画ボタン47は動画撮影用の操作部材であり、押圧されると動画の記録が開始され、押圧解除すると該記録が停止される。静止画と動画のいずれも、画像処理手段による処理を経て電子画像データとしてメモリカードに記録される。
傾斜面40gは、図4に示すように長手方向面40c、40dの中間を通るグリップ40の長手方向線Sに関して、非平行かつ非直交となるように形成されている。この長手方向線Sに対する傾斜面40gの傾斜角K1は、15度から75度の間、より好ましくは30度から60度の間であるとよい。そして、この傾斜面40g上に設けられたシャッタボタン45は、グリップ40のグリップ端面40a(電池蓋43)が斜め下後方を向く図6の角度位置でカメラの正面(前方)を向く。デジタルカメラ10を撮影者のアイレベルまたはその近傍に保持する一般的な撮影姿勢では、この図6の角度位置を中心とした正逆の所定角度範囲内にグリップ40が位置することが想定される。そして、人間の手の形状を考慮すると、グリップ40が斜め下後方を向く状態においてシャッタボタン45がカメラの略正面に向いていると、人差し指による押圧操作を行い易くなる。
また、録画ボタン47は、傾斜面40gと非直交関係にあって隣接するグリップ端面40b上に設けられているので、グリップ40が図6の角度位置にあるとき録画ボタン47はカメラの略上方に向き、シャッタボタン45に人差し指をかけると録画ボタン47は自然に親指の位置に対応する。ここで録画ボタン47は、グリップ端面40bにおいてもさらに凸状に面取りされた(正の曲率を有する)弧状面40h上に設けられており、図4に示すように、長手方向面40c、40dの中間を通るグリップ40の長手方向線Sに関して、シャッタボタン45と概ね反対方向に傾けて突出されている。このように録画ボタン47に傾斜をつけることで、撮影者の親指が録画ボタン47に対してさらに自然に接触するようになり、操作性が一層向上する。長手方向線Sに対する録画ボタン47の傾斜角K2は、シャッタボタン45(傾斜面40g)の傾斜角K1と同程度であると好ましい。
したがって、グリップ40が斜め下方を向く図6の角度位置、あるいはその前後の所定範囲の角度位置にあるとき、シャッタボタン45はカメラの略前方を向き、かつ録画ボタン47はカメラの略上方に向き、シャッタボタン45に人差し指をかけると録画ボタン47は自然に親指の位置に対応する。つまり、グリップ40では、撮影状態での使用位置に回転させたときに押圧操作を行い易い位置にシャッタボタン45と録画ボタン47が設けられている。
なお、撮影状態でのグリップ40の角度は図5や図6に限られない。例えば、カメラを頭上に差し上げた撮影姿勢では、図7のようにグリップ端面40a(電池蓋43)を略鉛直方向に向けた角度にグリップ40を位置させることもある。この場合、撮影者の腕はグリップ40の長手方向と概ね平行に延ばされるため、図6の場合と同様に人差し指と親指がそれぞれシャッタボタン45と録画ボタン47に自然にかかり、各ボタンの操作を無理なく行うことができる。
また、グリップ40は、長手方向において一方の端部40b側に偏心した位置でグリップ回動軸41に支持されている。これに対し、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ回動軸41(軸線X3)を中心とする放射方向において該グリップ回動軸41に比較的近い位置に偏心させて配置されているので、グリップ40を回動させたときのカメラ本体部11に対する位置変位が小さく、操作性が損なわれにくい。また、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ回動軸41(軸線X3)を中心とする略同一円周面に位置しており、グリップ40を回動させてもグリップ回動軸41からのそれぞれの距離が変化しない。これによっても操作性が損なわれにくくなっている。
以上のように、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ40のいずれの角度位置であっても操作しやすい配置になっている。
カメラ本体部11のボディ下面11dには下方に向けて開口された三脚ねじ穴48が形成されている(図4参照)。液晶モニタブロック25とグリップ40はそれぞれボディ後端面11bとボディ右側面11e側に支持されているため、該液晶モニタブロック25とグリップ40はそれぞれ回動を行ってもボディ下面11dと重ならず、三脚ねじ穴48が塞がれることがない。よって回動するタイプのグリップ40や液晶モニタブロック25を備えつつ、三脚を用いた撮影を支障なく行うことができる。また、前述の通り、グリップ40を収納端に回転させれば、三脚なしでもカメラを安定して自立させることができる。つまり、本実施形態のデジタルカメラ10は、手持ち以外の各種撮影形態にも対応している。
以上のような回動可能なグリップ40を有するデジタルカメラ10で手持ち撮影を行う場合、右手で該グリップ40を把持し、左手でカメラ本体部11を保持するのが一般的な撮影姿勢となる。このとき左手は、掌でボディ下面11dを支え、親指をボディ左側面11fに沿わせることになる。ここで左手との接触面積が最も広いボディ下面11dには操作部材が設けられていないので、誤操作が生じるおそれがない。また、左手親指が沿うボディ左側面11fには、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22といった、撮影状態での使用頻度の高い画像記録設定用の操作部材が設けられており、撮影姿勢を崩さずに画像記録の設定を行うことができる。
また、記録した静止画像や動画を液晶表示部32に再生するときは、主にカメラ本体部11のボディ上面11cに指がかかる使用姿勢が想定される。これに対応して、再生ボタン15や多方向ボタン17といった画像再生用の操作部材は、該ボディ上面11cに設けられており、カメラ本体部11を上記姿勢で把持したまま操作することが容易になっている。なお、画像再生時には、グリップ40を収納端に位置させて、右手もカメラ本体部11を保持するようにしてもよい。
図13ないし図16は、カメラ本体部11内における電装系の配置を示している。カメラ本体部11内には撮影光学系を支持する保持枠50が設けられている。保持枠50は光軸方向に軸線を向けた筒状体からなり、前端部に前玉レンズLFを支持する開口50aが形成され、後端部側にCCD基板52を介してCCD51が保持されている。なお、本実施形態では撮影光学系の位置を分かりやすくするために保持枠50という一体形状部材を用いているが、撮影光学系の支持部材は、このような一体形状部材でなくてもよい。
CCD51は前玉レンズLFなどと共に撮影光学系を構成している。CCD基板52は、保持枠50の後端部とボディ後端面11bの間に位置しており、光軸Oと略直交する平面状に配されている。保持枠50とボディ上面11cの間には、ボディ上面11cと略平行な平面状をなす第1スイッチ基板53が配置されている。第1スイッチ基板53には、電源ボタン13、モードダイヤル14、再生ボタン15、メニューボタン16、多方向ボタン17の各接点が設けられている。保持枠50とボディ左側面11fの間には、ボディ左側面11fと略平行な平面状をなす第2スイッチ基板54が配置されている。第2スイッチ基板54には、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22の接点が設けられている。保持枠50とボディ下面11dの間には、ボディ下面11dと略平行な平面状をなすジャック基板55が配置されている。ジャック基板55には、パソコンとの接続に用いるPCジャック56、電源アダプタが接続されるアダプタジャック57が設けられている。PCジャック56とアダプタジャック57は、カメラ本体部11のボディ左側面11fに面しており、外部コネクタカバー24を開くことでデジタルカメラ10の外面側に露出する。また、保持枠50とボディ右側面11eの間には、ボディ右側面11eと略平行な平面状をなすメイン基板58が配置されている。メイン基板58にはデジタルカメラ10全体の制御を司るマイコンや画像処理用の回路などが設けられており、第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54、ジャック基板55に比べて光軸方向に長い部材となっている。CCD基板52と第1スイッチ基板53はそれぞれFPC59a、59bを介してメイン基板58に接続されている。第2スイッチ基板54はFPC59cで第1スイッチ基板53に接続されており、第1スイッチ基板53経由でメイン基板58に信号を送る。ジャック基板55はコネクタ55aを介してメイン基板58に接続されている。
図13ないし図16から分かるように、デジタルカメラ10の撮影光学系(保持枠50)は、CCD基板52、第1スイッチ基板53、ジャック基板55及びメイン基板58からなる回路基板によって囲まれる空間に配置されている。より詳細には、本実施形態の撮影光学系はズーミング時及びフォーカシング時に鏡筒を繰り出さないタイプであって、カメラ本体11から前方に突出することなく常にその内部に収まっている。そして、このカメラ本体11の内側に、撮影光学系を囲むように上記各基板が配置されている。この回路配置により電装系のスペース効率が向上し、カメラの小型化やデザイン自由度の向上に寄与する。特に本実施形態はカメラ本体部11が光軸方向に長い箱形(角筒)をなしており、その長手方向の内面に沿って第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54、ジャック基板55、メイン基板58を配することが有効である。
また、本実施形態ではカメラ本体部11のボディ右側面11e側に回動可能なグリップ40が配されている。グリップ40のような可動部材を設けた側の面には、該可動部材に覆われたり干渉されたりすることを避けるため、カメラ外面に露出するスイッチ類や端子(ジャック)類は配置しないことが好ましい。そのため、スイッチ接点を備えた第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54や、端子を備えたジャック基板55は、ボディ右側面11e以外のボディ上面11c、ボディ下面11d、ボディ左側面11fの内面に沿って配置されている。そして、ボディ右側面11e側にスイッチ類や端子類が配置されない(できない)ことを逆に利用して、カメラ外面側との接続が不要なメイン基板58をこのボディ右側面11eの内面側に配置するようにしている。図14や図15から分かるように、ボディ右側面11eの内面側スペースを全面的にメイン基板58に割り振って、光軸方向において保持枠50の全長にほぼ匹敵する形状のメイン基板58を採用することが可能になっている。
また、グリップ40と同様の可動部材である液晶モニタブロック25を支持するボディ後端面11b側にもスイッチ類や端子類が設けられておらず、該ボディ後端面11bの内面側には、メイン基板58と同様にカメラ外面側との接続を考慮する必要のないCCD基板52が配置されている。ボディ後端面11bの内面側スペースは撮影光学系の最後端部に対向しているので、CCD基板52を当該スペースに配することがスペースや回路効率の面から最も好ましい。
以上の説明から分かるように、本実施形態のデジタルカメラ10では、液晶モニタブロック25とグリップ40を個別に回動可能とさせ、かつカメラ本体部11に対してグリップ40を回動軸線方向へ接離移動可能にすることにより、撮影姿勢の自由度が高くなり操作性が向上している。また、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ40の回動位置によらずに(どの角度位置でも)操作しやすくなっている。
続いて、図17以下を参照してグリップ回動軸41について説明する。図17に示すように、カメラ本体部11のボディ右側面11eと、これに対向するグリップ40の長手方向面40fには、それぞれ回動軸挿通孔11g、40iが形成されており、この回動軸挿通孔11g、40iを挟んで、グリップ40内に軸支持板69が固定され、カメラ本体部11内に軸支持板64が固定されている。軸支持板64は、固定ねじ64pを介してカメラ本体部11に固定され、軸支持板69は、固定ねじ69pを介してカメラ本体部11に固定されている(図21、図23参照)。グリップ回動軸41は、回動軸挿通孔11g、40iに挿通され、その両端部が軸支持板64と軸支持板69に支持されている。
図18及び図19に示すように、カメラ本体部11内の軸支持板64の略中央には、軸線X3上に位置させて円形の中央貫通孔64aが形成され、中央貫通孔64aの周囲に一対の貫通孔64bと一対の位置決めピン64cが設けられている。一対の貫通孔64bと一対の位置決めピン64cはそれぞれ、グリップ回動軸41の軸線X3を挟んだ対称位置に設けられている。また、グリップ40側の軸支持板69には、軸線X3上に位置させて中央貫通孔69aが形成され、中央貫通孔64aの周囲に一対の貫通孔69bと一対の位置決めピン69cが設けられている。
グリップ回動軸41はそれぞれに径が異なる同心状の外筒(固定筒、外側筒)60、中間筒(固定筒、内側筒)61、内筒(ロック制御進退部材)62を備えた三重筒構造をなしている。
図30ないし図32に示すように、外筒60は、軸線X3方向に貫通する貫通空間60vを有する筒状部材である。外筒60のうち軸支持板64に対向する側の端部(以下、ボディ側端部)には、軸支持板64の一対の貫通孔64bに対応する位置関係で一対のねじ孔60aが形成され、一対の位置決めピン64cに対応する位置関係で一対の位置決め孔60bが形成されている。各貫通孔64bを通して各ねじ孔60aに固定ねじ60cを螺合させることにより、外筒60が軸支持板64に固定される(図25参照)。このとき、各位置決め孔60bに対して位置決めピン64cが挿入されて軸支持板64に対する外筒60の位置が定まる(図20参照)。外筒60の他端部(以下、グリップ側端部)には、外径サイズを一段階小さくしたリング嵌着部60dが形成されている。リング嵌着部60dの外側には保持リング63を取り付けることができる。
外筒60は、軸線X3を中心とする円筒状の内周面60rを有している。この内周面60r上には、軸線X3と平行な一対の直進案内溝60eと、一対のクリックボール収納孔60fと、一対のピン収納孔60gが形成されている。一対のクリックボール収納孔60fと一対のピン収納孔60gはそれぞれ、リング嵌着部60dにおいて径方向に対向させて設けられている。図28に示すように、各クリックボール収納孔60fにはクリックボール(クリック機構)65が収納されており、各クリックボール65は、それぞれ圧縮コイルばね66によって外筒60の内径方向へ付勢されている。また、各ピン収納孔60gにはガイドピン(第2の回動ロック機構、ガイド突起)67が収納されており、各ガイドピン67は外筒60の内周面60rから内径方向へ突出している。クリックボール収納孔60fとピン収納孔60gは、それぞれリング嵌着部60dを径方向へ貫通しており、中間筒61に対向する内径側の開口のみならず、リング嵌着部60dの外周面上に臨む外径側の開口も有している。そのため、クリックボール65、圧縮コイルばね66及びガイドピン67は、対応するボール収納孔60fとピン収納孔60gに対して外径側の開口から組み付けることができる。そして、外筒60の外側に保持リング63を取り付けることによってボール収納孔60fとピン収納孔60gの外径側開口が塞がれて、保持リング63の内周面が圧縮コイルばね66とガイドピン67の支持部(抜止部)として機能する。
外筒60の貫通空間60v内には中間筒61が挿入される。図33ないし図37に示すように、中間筒61は軸線X3方向に貫通する貫通空間61vを有する筒状部材であり、外筒60の内周面60rに対して摺接可能な円筒状の外周面61sを有している。
中間筒61のうち軸支持板69に対向する側の端面(以下、グリップ側端部)には、一対のねじ孔61aと一対の位置決め孔61bが設けられており、軸支持板69に設けた一対の位置決めピン69cを一対の位置決め孔61bに係合させると、一対の貫通孔69bと一対のねじ孔61aが連通される位置関係となる。この状態で各貫通孔69bを通して各ねじ孔61aに固定ねじ61cを螺合させると、中間筒61のグリップ側端部が軸支持板69に固定される(図21、図23、図25、図26参照)。
図33、図34及び図36に示すように、中間筒61の外周面61s上には、一対の前方クリック凹部(クリック機構)61dと、12個の後方クリック凹部(クリック機構)61eが形成されている。これらの後方クリック凹部61eは中間筒61の周方向に略等間隔で設けられており、各後方クリック凹部61eは、ボールガイド溝61kによって接続されている。後方クリック凹部61eのうち一対は、軸線X3方向において一対の前方クリック凹部61dと並ぶ回動始点凹部61e1であり、回動始点凹部61e1に連通させて傾斜凹部61fが形成されている、傾斜凹部61fは、回動始点凹部61e1側から前方クリック凹部61d側へ進むにつれて徐々に浅くなる底面を有している。また、後方クリック凹部61eのうち一対の回動始点凹部61e1に隣接する一対は、他の後方クリック凹部61eよりも深い回動終点凹部61e2となっている。以上の各クリック凹部61d、61e(61e1、61e2)に対してはクリックボール65が係脱可能である。
中間筒61の外周面61s上にはさらに、周方向へ向かう一対の回動許容溝(第2の回動ロック機構、周方向溝)61gと、軸線X3と平行な一対の回動規制溝(第2の回動ロック機構、軸方向溝)61hが形成されている。一対の回動規制溝61hはそれぞれ、周方向において後方クリック凹部61e1と後方クリック凹部61e2の間に位置しており、その一端部が回動許容溝61gに連通し、他端部が閉じられたストッパ面61h1となっている。ストッパ面61h1と前方クリック凹部61dは、軸線X3方向における略同位置にある。また、一対の回動許容溝61gは、軸線X3を中心とする同一円周上に位置しており、各回動許容溝61gは、後方クリック凹部61e(回動終点凹部61e2を除く)及びボールガイド溝61kの内径側に連通している。換言すれば、回動許容溝61gの開口部に、傾斜面として後方クリック凹部61e(回動終点凹部61e2を除く)やボールガイド溝61kが形成されている。一対の回動許容溝61gはそれぞれ、回動規制溝61hに連通する一端部にストッパ面61g1を有し、該ストッパ面61g1から他端部のストッパ面61g2へ向けて、中間筒61の外周面61s上を周方向に約半周の長さで形成されている。より詳細には、図28や図36に示す通り、各回動許容溝61gは、後方クリック凹部61e2とは重ならない周方向領域に形成されている。回動規制溝61hと回動許容溝61gにはガイドピン67を挿入することが可能であり、ガイドピン67は、回動規制溝61h内では軸線X3方向へ摺動可能で、回動許容溝61g内では周方向へ摺動可能に案内される。
図33ないし図35に示すように、中間筒61のうち軸支持板64に対向する側の端面(以下、ボディ側端部)には、12個の回動ロック孔(回動ロック機構、凹部)61mが周方向に等間隔で形成されている。この回動ロック孔61mに対して、回動規制板(回動ロック機構)68に設けた一対の回動ロックピン(凸部)68a(図18、図19)が係脱可能である。回動規制板68において、一対の回動ロックピン68aは軸線X3を挟んだ径方向の対称位置に設けられており、さらに径方向の対称位置に一対の直進案内突起68bが設けられている。一対の直進案内突起68bは回動規制板68の外縁部から外径方向に突出され、それぞれが外筒60の直進案内溝60eに対して摺動可能に係合される(図21、図26、図29参照)。この直進案内突起68bと直進案内溝60eの係合関係によって、回動規制板68は外筒60に対して軸線X3と平行な方向へ直進案内され、相対回動は制限される。そして、回動ロックピン68aが回動ロック孔61mに係合する状態では、回動規制板68を介して、外筒60に対する中間筒61の相対回動が規制される。
中間筒61の内周面には、ボディ側端部の近傍に環状フランジ(ばね当接部)61tが設けられており、この環状フランジ61tの内周面である小径内周面61r1と、これよりも大径の大径内周面61r2を備える。小径内周面61r1と大径内周面61r2は軸線X3を中心とする同心状の円筒面である。
中間筒61の貫通空間61v内には内筒62が挿入されている。図38及び図39に示すように、内筒62は軸線X3方向に貫通する貫通空間62vを有する筒状部材であり、小径外周面62s1を有する軸部と、該小径外周面62s1と同心かつ大径の大径外周面62s2を有する環状フランジ(ばね当接部)62tを備えている。この小径外周面62s1と大径外周面62s2がそれぞれ、中間筒61の小径内周面61r1と大径内周面61r2に対して摺動可能に接している。これら各周面の摺接関係により、内筒62は中間筒61に対して軸線X3を中心とする相対回動と軸線X方向への進退移動の両方が可能に支持される。そして、中間筒61と内筒62は、互いの環状フランジ61t、62t間に配した圧縮コイルばね(ロック付勢手段)70によって、環状フランジ61t、62tを離間させる方向へ付勢されている(図20、図21、図23ないし図26参照)。
図示を省略するが、グリップ40内には、シャッタボタン45、ズーム操作レバー46及び録画ボタン47用のスイッチ基板と、バッテリ42用の電源接点が設けられている。内筒62の貫通空間62v内には、これらスイッチ基板や電源接点とカメラ本体部11内のメイン基板58とを電気的に接続する配線が挿通されている。
内筒62において軸支持板64側の一端部(以下、ボディ側端部)には、その先端側から順に、抜止部62a、第1係着部62b、第2係着部62cが形成されている。図29及び図39に示すように、抜止部62aと第2係着部62cの外周形状は同一であり、それぞれ一対の平面部を有する非円形をなしている。一方、第1係着部62b外周形状は、これら抜止部62a及び第2係着部62cよりも小径の円形をなしている。回動規制板68は、抜止部62a及び第2係着部62cを挿通させることが可能な非円形の貫通孔68cを備えている。また、第1係着部62bに対しては、C字状のスナップリング71を弾性変形状態で取り付けることができる。図20や図24に示すように、回動規制板68の貫通孔68cを第2係着部62cに嵌めた状態でスナップリング71を第1係着部62bに取り付けると、内筒62に対して、スナップリング71が抜止部62aによって抜け止めされ、このスナップリング71によって回動規制板68が抜け止めされる。このとき、互いに非円形をなす第2係着部62cと貫通孔68cの係合関係により、内筒62と回動規制板68の相対回動が規制される。換言すれば、内筒62と回動規制板68は実質的に一体化される。
内筒62において軸支持板69側の端部(以下、グリップ側端部)には、軸線X3を中心とする環状の被押圧部62dが形成されている。被押圧部62dは、軸支持板69の中央貫通孔69aに対して軸線X3方向へ進退可能に嵌っている。
グリップ40には、内筒62の被押圧部62dに対向する位置に回動ロック解除ボタン(アンロック操作部材)72が設けられている。回動ロック解除ボタン72は、グリップ40の長手方向面40eの内側と外側を貫通するボタン支持孔73に対して、軸線X3に沿って進退可能に支持されている。詳細には、ボタン支持孔73は、長手方向面40e側に臨む略円形の有底部73aと、該有底部73aの底面とグリップ40の内部を連通させる3つの貫通部を有している(図27参照)。この貫通部は、有底部73aの略中心に位置する円形貫通部73bと、該円形貫通部73bを挟んで位置する一対の非円形貫通部73cからなる。回動ロック解除ボタン72は、有底部73a内に支持されてグリップ40の外観に露出する押圧操作部72aと、該押圧操作部72aからグリップ内方に延出された抜止軸部72b及び一対の押圧突起部72cからなり、抜止軸部72bは円形貫通部73bに挿入され、各押圧突起部72cは非円形貫通部73cに挿入されている。抜止軸部72bの先端部付近には、外径サイズが円形貫通部73bよりも大きいC字状のスナップリング74が装着されており、このスナップリング74がグリップ40に対して回動ロック解除ボタン72を抜け止めしている。また、一対の押圧突起部72cの先端が、内筒62の被押圧部62dに対向して当接している。したがって、押圧操作部72aを押し込むことにより、回動ロック解除ボタン72が軸線X3に沿ってグリップ40の内部方向へ移動し、押圧突起部72cが被押圧部62dを押圧する。
以上のグリップ回動軸41の構造を簡潔にまとめると、外筒60はカメラ本体部11側の軸支持板64に対して固定され、中間筒61はグリップ40側の軸支持板69に対して固定されている。内筒62と回動規制板68は一体化されており、回動ロック解除ボタン72の押圧に応じて軸線X3方向へ移動することができる。
グリップ回動軸41の動作は次の通りである。図20ないし図22は、図1や図11のグリップ収納状態において回動ロック解除ボタン72を押圧操作していないときのグリップ回動軸41の内部構造を、断面位置を変えて示したものである。このグリップ収納状態では、グリップ回動軸41の軸長方向長さが最小になっており、外筒60のグリップ側端部が軸支持板69に近接している。外筒60と中間筒61の当該位置関係では、一対のクリックボール65がそれぞれ前方クリック凹部61dに係合し、一対のガイドピン67がそれぞれ回動規制溝61hのストッパ面61h1付近に位置している。また、内筒62は、圧縮コイルばね70の付勢力によって軸支持板69側に押圧されており、環状フランジ62tが軸支持板69に当て付き、かつ内筒62と一体化された回動規制板68が中間筒61のボディ側端部に当て付くことによって、圧縮コイルばね70による付勢方向への内筒62の移動端が定められている。なお、環状フランジ62tと軸支持板69、及び回動規制板68と中間筒61のボディ側端部のうち、実際に当接して内筒62の移動端を決めるのは1箇所のみであってもよい。このとき、内筒62のボディ側端部(抜止部62a)がカメラ本体部11側の軸支持板64の中央貫通孔64a内に入り込んでいる。また、内筒62のグリップ側端部に位置する被押圧部62dが、圧縮コイルばね70の付勢力によって回動ロック解除ボタン72をグリップ外面方向へ押圧しており、押圧操作部72aがボタン支持孔73の有底部73aの底面から離間している。
グリップ収納状態ではまた、回動規制板68に設けた一対の回動ロックピン68aがそれぞれ対応する一対の回動ロック孔61mに係合しており、中間筒61と内筒62の相対回動が規制されている。回動規制板68は、直進案内突起68bと直進案内溝60eの係合関係により、カメラ本体部11側の固定部材である外筒60に対して相対回動規制されているので、結果としてカメラ本体部11に対するグリップ40の回動が規制されている。このグリップ回動規制状態は、圧縮コイルばね70の付勢力によって維持される。
グリップ収納状態から、軸線X3に沿ってカメラ本体部11からの離間方向にグリップ40をスライドさせると(図12)、グリップ回動軸41は図24及び図25に示す状態になる。図24と図26は、グリップ回動軸41の異なる断面位置を示しており、その断面位置はそれぞれ図21と図22の断面位置に対応している。この軸線方向への引き出し時の動作は次の通りである。
グリップ40に引き出し方向の力を加えると、軸支持板69を介して、中間筒61に対して軸線X3と平行な引き出し方向への移動力が作用する。引き出し方向は図20ないし図22中の左方向である。すると、中間筒61の前方クリック凹部61dが外筒60側のクリックボール65との係合を解除し、外周面61s上でクリックボール65を転動させながら、中間筒61が外筒60からの突出方向へ移動する。この移動時には、中間筒61は回動規制板68を介して回動規制された状態が続いており、かつガイドピン67が回動規制溝61hに係合しているので、中間筒61は軸線X3に沿う直進移動を行っている(外筒60に対する相対回動が規制されている)。中間筒61が所定量引き出されると、クリックボール65が傾斜凹部61f内に入り、該傾斜凹部61fの案内を受けてスムーズに後方クリック凹部61e1に係合する(図24)。中間筒61の当該移動に際しては同時に、ガイドピン67が回動規制溝61h内を移動しており、図24に示す位置まで中間筒61が進出すると、ガイドピン67が回動許容溝61g内に入る。但し、中間筒61が外筒60に対して軸線X3方向へ直進移動する際に、圧縮コイルばね70を介して内筒62が同方向に移動されており、図25に示すように、回動規制板68に設けた一対の回動ロックピン68aが回動ロック孔61mに対して係合を維持している。そのため、図24の状態ではガイドピン67に対する回動規制溝61hの回動規制が解除されるが、回動ロックピン68aと回動ロック孔61mの係合は継続しており、中間筒61の回動規制状態が続いている。
グリップ40を回動させるには、図26に示すように回動ロック解除ボタン72を押圧操作する。すると、一対の押圧操作部72aと被押圧部62dを介して、圧縮コイルばね70の付勢力に抗して内筒62が軸支持板64方向へ押し込まれる。押圧操作部72aがボタン支持孔73の有底部73aの底面に当て付くまで回動ロック解除ボタン72を押し込むと、内筒62と共に軸線X3方向に移動された回動規制板68が中間筒61のボディ側端部から離れ、回動ロックピン68aが回動ロック孔61mから外れる。回動ロックピン68aが回動ロック孔61mから外れることにより、外筒60と内筒62に対する中間筒61の相対回動を規制する条件がなくなり、カメラ本体部11に対するグリップ40の回動が可能になる。
このグリップ40の回動に際しては、回動許容溝61g内をガイドピン67が移動する。具体的には、カメラ本体部11からグリップ40を引き出した時点で、一対のガイドピン67はそれぞれ、対応する回動許容溝61gのストッパ面61g1に隣接して位置しており、このときグリップ40は、グリップ端面40aをカメラ前方に向けている図4の角度位置(収納回動端)にある。この状態では、ストッパ面61g1とガイドピン67の当接関係によって、図4の反時計方向へのグリップ40の回動が規制される。一方、図4の角度位置からグリップ40を時計方向に回動させることは可能であり、同方向へグリップ40を回動させると、回動許容溝61g内での各ガイドピン67の位置が、ストッパ面61g1から離れてストッパ面61g2に接近する方向へと変位する。そして、グリップ40の回動に応じて、一対のクリックボール65がそれぞれ回動始点凹部61e1から離脱し、隣接する後方クリック凹部61e(回動始点凹部61e1を挟んで回動終点凹部61e2と反対側に位置する後方クリック凹部61e)側へ向けて、各クリックボール65がボールガイド溝61k上を移動する。クリックボール65が隣接する後方クリック凹部61eに係合するとクリック感が得られ、グリップ40のさらなる回動に応じて、クリックボール65が複数の後方クリック凹部61eに対して順次係合していく。
グリップ40は、一対のガイドピン67がそれぞれ回動許容溝61gのストッパ面61g2によって移動規制されるまで回動させることができる。ガイドピン67がストッパ面61g2に近接すると、一対のクリックボール65はそれぞれ回動終点凹部61e2に係合する。この状態が図5に示すグリップ40の突出回動端である。すなわち、ガイドピン67と回動許容溝61gによる案内を受けて、グリップ40は約150度回動することができる。
図4と図5の間の任意のグリップ角度位置で回動ロック解除ボタン72に対する押圧を解除すると、圧縮コイルばね70の付勢力によって内筒62が図26の左方向へ移動し、回動規制板68の回動ロックピン68aが回動ロック孔61mに再係合してグリップ40の回動が規制される。回動ロック孔61mは周方向に複数設けられているため、一対の回動ロックピン68aの係合対象となる回動ロック孔61mを変化させることによって、グリップ40を複数の角度位置で回動規制することができる。具体的には、一対の回動ロックピン68aに対して計12個の回動ロック孔61mが設けられているので、図4の収納回動端と図5の突出回動端と、その間の4つの中間角度位置とを合わせた6つの角度位置でグリップ40の回動規制を行うことができる。図6や図7は、このうち2つの中間角度位置におけるグリップ40の状態を示している。なお、グリップ回動軸41において、一対の回動ロックピン68aがいずれかの回動ロック孔61mに対向するときの角度と、クリックボール65がいずれかの後方クリック凹部61eに係合するときの角度は一致しており、クリックボール65と後方クリック凹部61eが係合してクリック感が得られたときに回動ロック解除ボタン72への押圧を解除すれば、各回動ロックピン68aは、中間筒61のボディ側端面に干渉することなく対応する回動ロック孔61mに係合される。つまり、回動ロックピン68aと回動ロック孔61mの係合可能角度を探すためにグリップ40の角度を微調整する必要がなく、操作性に優れている。
グリップ40を収納状態にするときには、以上と逆の操作を行えばよい。すなわち、回動ロック解除ボタン72を押圧操作して回動ロックピン68aと回動ロック孔61mの係合を解除させた上で、グリップ40を図4の収納回動端まで回動させ、続いてカメラ本体部11に接近させるように軸線X3方向にグリップ40を押し込めばよい。以上の動作において、一対のガイドピン67はそれぞれ,まず回動許容溝61g内をストッパ面61g1側へ移動し、続いて回動規制溝61h内をストッパ面61h1側へ移動する。各ガイドピン67がストッパ面61g1に当接することによって、収納回動端より先へのグリップ40の回動が規制され、各ガイドピン67がストッパ面61h1に当接することによって、カメラ本体部11への接近方向へのグリップ40の移動が規制される。つまり、回動許容溝61gと回動規制溝61hに沿ってガイドピン67を移動させていくだけで、グリップ40を確実に収納状態にさせることができ、収納時の操作性もよい。グリップ40が収納状態になると、一対のクリックボール65がそれぞれ前方クリック凹部61dに係合してグリップ40がクリックストップされる。
以上のように、本実施形態のグリップ回動軸41では、回動ロック解除ボタン72の押圧によって内筒62と回動規制板68と軸線方向へ進退させることで、外筒60と中間筒61の相対回動に関するロック状態とアンロック状態を切り換えるように回動ロック機構を構成したので、簡単かつコンパクトな構造でありながら確実にグリップ40の回動規制と規制解除を行うことができる。
本実施形態ではさらに、回動規制板68などからなる上記の回動ロック機構とは別に、カメラ本体部11から引き出したときのみグリップ40の回動を許す、いわば第2の回動ロック機構を備えている。この第2の回動ロック機構は、前述のガイドピン67、回動規制溝61h及び回動許容溝61gが構成している。例えば、図23に示すように、グリップ40がカメラ本体部11から引き出されていない状態で回動ロック解除ボタン72を押圧すると、内筒62と回動規制板68が同図右方向へ移動されて回動ロック孔61mから回動ロックピン68aが外れる。一方、このときガイドピン67は、図22に示すように回動規制溝61hのストッパ面61h1部分に位置しており、ガイドピン67と回動規制溝61h(の両壁面)の当接関係によって外筒60と中間筒61の相対回動が規制される。ガイドピン67がグリップ40の回動を許すのは、前述した通り、グリップ40がカメラ本体部11から離間する方向に引き出されてガイドピン67が回動許容溝61g内に入ったときのみである。つまり、本実施形態のグリップ回動軸41では、グリップ収納状態では回動ロック解除ボタン72を押圧してもグリップ40を回動させることができない。このように構成することによって、収納状態でのグリップ40の不用な回動を防ぐことができる。
なお、本発明は図示実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、グリップ回動軸41を構成する外側の筒である外筒60がカメラ本体部11側に固定され、内側の筒である中間筒61がグリップ40側に固定されているが、内側の筒をカメラ本体部側に固定し、外側の筒をグリップに固定してもよい。
また、実施形態では、中間筒61の内側に位置する内筒62を軸線方向へ進退させて回動のロックとアンロックを行うが、内筒62に相当する進退部材を外筒60の外側に位置させ、中間筒61に代えて外筒60の回動規制を行わせるようにしてもよい。この場合、回動ロック孔61mに相当する部位は外筒60に設けられ、外筒60の外側に配した進退部材は、中間筒61に対して軸線方向へ直進案内されることになる。但し、回動進退軸のコンパクト化という観点からは、実施形態のように、内筒62に相当する進退部材を中間筒61の内側に配置することが好ましい。
また、実施形態では、グリップ40において内筒62の軸線方向延長上に回動ロック解除ボタン72が設けられているが、回動ロック解除ボタン72に相当するアンロック操作部材を設ける位置はこれに限定されない。例えば、グリップ40の長手方向面40cや長手方向面40dに、内筒62と平行に移動可能な操作部材を設け、この操作部材と内筒62を連結させてもよい。あるいは、スペース的に配置可能であれば、カメラ本体部11側にアンロック操作部材を配置して内筒62を操作することも可能である。但し、構造の簡略化や設置スペースの観点からは、実施形態のロック解除ボタン72のような態様の操作部材が好ましい。