JP2005326381A - 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法 - Google Patents

血液分離フィルタ装置及び血液分離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005326381A
JP2005326381A JP2004146982A JP2004146982A JP2005326381A JP 2005326381 A JP2005326381 A JP 2005326381A JP 2004146982 A JP2004146982 A JP 2004146982A JP 2004146982 A JP2004146982 A JP 2004146982A JP 2005326381 A JP2005326381 A JP 2005326381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
container
blood separation
separation filter
plasma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004146982A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuya Togawa
勝也 戸川
Ryusuke Okamoto
隆介 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2004146982A priority Critical patent/JP2005326381A/ja
Publication of JP2005326381A publication Critical patent/JP2005326381A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】 血液を、血球と、血漿もしくは血清成分とに速やかに分離することができ、さらに溶血が生じ難く、従って清浄な血漿もしくは血清を得ることを可能とする血液分離フィルタ装置を提供する。
【解決手段】 内部が減圧されており、第1の容器2内に第2の容器4が収納されており、第2の容器4において、上方に血液分離フィルタ5が、下方に血球停止フィルタ6が収納されており、第2の容器4に、血球停止フィルタ6の下方の血清もしくは血清収納部4kと、血球停止フィルタ6と血液分離フィルタ5との間の空間7とを連通する経路が切欠4jによって形成されている血液分離フィルタ装置1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血液から血漿または血清を分離するための血液分離フィルタ装置及び血液分離方法に関し、より詳細には、2種類のフィルタ部材を用いて、血液を血球成分と血漿または血清成分とに分離する血液分離フィルタ装置及び血液分離方法に関する。
従来、臨床検査等において血漿または血清を得るために、遠心分離法が広く用いられていた。しかしながら、遠心分離法を用いた分離方法では、高価な遠心分離機を必要とし、かつ分離に比較的長い時間を要するという問題があった。
近年、血液から血球成分を除去し、臨床検査に必要な血漿もしくは血清を得るために、様々なフィルタ装置が提案されている。フィルタ装置を用いた分離法では、遠心分離機を必要とせず、従って、コストの低減、スペースの低減及び血漿もしくは血清を得るための時間の短縮を図ることができる。
例えば、下記の特許文献1には、直径0.05〜1μmの細孔を多数有し、外面開口率が40%以下、内面開口率が60%の中空繊維を用いたフィルタにより、血液から血漿を採取する方法が開示されている。
また、下記の特許文献2には、平均直径0.2〜5μm及び密度0.1〜0.5g/cm2の繊維層からなるフィルタを用い、血液から血漿もしくは血清を分離する方法が開示
されている。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、中空繊維を用いているため、ディスポーザブルなフィルタを構成した場合、コストが高くつくという問題があった。
また、特許文献2に記載のフィルタでは、血漿または血清を血液から分離し得るものの、濾過速度が遅く、圧力を加えて濾過速度を高めた場合には溶血が生じたり、赤血球が血漿や血清中に漏洩したりするという問題があった。
特公平2−23831号公報 特公平6−64054号公報
上記のように、従来の血液分離フィルタ装置において、遠心分離法に比べて、血漿もしくは血清を得るのに必要な時間を短縮するには、圧力差を与えて濾過する必要があった。しかしながら、圧力差を与えた場合には、溶血を生じることがあり、従って、血漿や血清を用いた臨床検査において誤った判定結果が生じたり、検査値がばらついたりするという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、血液から血漿もしくは血清を速やかに分離することができ、しかも分離に際して溶血が生じ難く、さらに安価な材料を用いて構成され得る血液分離フィルタ装置、並びに該血液分離フィルタ装置を用いた血液分離方法を提供することにある。
本発明に係る血液分離フィルタ装置は、上部に開口を有する第1の容器と、前記第1の
容器の開口を気密封止するように、該開口に取り付けられた閉成部材と、前記第1の容器内に収納されており、かつ上端に開口を有し、該開口が前記閉成部材の一部により気密封止されている第2の容器と、前記第2の容器内に収納されており、血液を血球成分と、血漿または血清成分とに分離するための血液分離フィルタと、前記第2の容器内において、前記血液分離フィルタよりも下方に収納されており、かつ血球の通過を防止する血球停止フィルタとを備え、前記第1の容器内の前記血球停止フィルタが設けられている部分よりも下方に、分離された血漿または血清成分を収納する収納部が設けられており、前記第1の容器内が減圧されており、かつ前記血液分離フィルタと血球停止フィルタとの間の空間と前記収納部とを連通する経路が前記第2の容器に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る血液分離フィルタ装置のある特定の局面では、前記第1の容器が、有底円筒状の容器であり、かつ前記第2の容器が、第1の容器の内径よりも小さな外径を有する円筒状の容器であり、前記経路が、前記第2の容器の側面に設けられている。
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、前記血液分離フィルタが、繊維または多孔質材料からなり、血球成分よりも血球または血清成分を早く移動させるように構成されており、前記血球停止フィルタは、血球成分の通過を防止することができる孔径の孔を有する。
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、前記第2の容器が、上端に開口を有し、底面に分離された血漿または血清成分を流下する貫通孔を有し、前記血液分離フィルタが収納されている上方容器と、前記上方容器の底面の下面に連ねられており、上方に開口を有し、かつ底面に血漿または血清成分を流下させる貫通孔が形成されており、前記血球停止フィルタが収納されている下方容器とが備えられている。
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、前記第2の容器に設けられている経路が、前記下方容器の側面において上方に向かって開いた切欠、または側面に設けられた貫通孔である。
本発明に係る血液分離方法は、本発明に従って構成された血液分離フィルタ装置を用いたことを特徴とし、前記血液分離フィルタ装置の前記閉成部材を貫通する中空部材を用いて前記血液分離フィルタ上の空間に血液を供給し、血液分離フィルタにおいて、血液を血球成分と、血漿または血清成分とに分離し、血液分離フィルタから下方に流下してきた血漿または血清成分を血球停止フィルタにおいて重力によって濾過し、分離された血漿または血清成分を収納部に収容することを特徴とする。
本発明に係る血液分離フィルタ装置では、第1の容器の開口が閉成部材により気密封止されており、第1の容器内が減圧されている。そして、第1の容器内に第2の容器が収納されており、第2の容器内に、血液分離フィルタと、血液分離フィルタよりも下方に収納された血球停止フィルタとが収納されている。
そして、血液分離フィルタと血球停止フィルタとの間の空間と、血球停止フィルタの下方の収納空間とを連通する経路が第2の容器に設けられている。
従って、上記閉成部材を例えば中空針やチューブにより貫通し、血液を血液分離フィルタの上方の空間に導いた場合、血液分離フィルタの上方と下方との圧力差により血液が血液分離フィルタにおいて濾過され、下方の血球停止フィルタに到達する。
上記血液分離フィルタにおける濾過は、血液分離フィルタの上下の圧力差により速やか
に行われる。従って、血液から分離された血漿もしくは血清が効率よく速やかに血球停止フィルタに導かれることになる。そして、血球停止フィルタでは、血球の通過は停止されるが、血漿もしくは血清は通過し、下方の収納空間に移動することとなる。この場合、血球停止フィルタの上下の空間が上記経路により連通されているため、血球停止フィルタにおける濾過は重力によって、穏和な条件で行われる。従って、血球停止フィルタにおける濾過に際し、溶血は生じ難い。
よって、本発明に係る血液分離フィルタ装置では、上記のように、血液分離フィルタでは圧力差を用いて速やかに濾過が行われ、血球停止フィルタにおいては重力によって穏やかに濾過が行われるため、溶血を引き起こすことなく、しかも速やかに血液から血漿もしくは血清を分離することができる。
また、上記血液分離フィルタや血球停止フィルタは、フィルタ材料を用いて安価に構成することができるため、安価な血液分離フィルタ装置を提供することができる。
第1の容器が有底円筒状の容器であり、第2の容器が第1の容器の内径よりも小さな外径を有する円筒状の容器であり、経路が第2の容器の側面に設けられている場合には、本発明に従って、全体が略円筒状の取り扱いか容易な形状とされた血液分離フィルタ装置を提供することができる。また、第2の容器を第1の容器内に挿入し、閉成部材により第1の部材の開口及び第2の容器の開口を閉成するだけで、本発明に係る血液分離フィルタ装置を容易に組み立てることができる。
血液分離フィルタが、繊維または多孔質材料からなり、血球成分よりも血漿もしくは血清成分を早く移動させるように構成されており、血球停止フィルタが、血球成分の通過を防止することができる孔径の孔を有する場合には、血液分離フィルタにおける濾過に際しては、圧力差により血漿もしくは血清成分が速やかに移動し、下方の血球停止フィルタに導かれる。そして、血球停止フィルタでは、上記孔径の孔が設けられているため、血球成分の通過が確実に防止され、重力により血漿もしくは血清成分が穏やかに流下される。
第2の容器が、上端に開口を有し、底面に血漿または血清成分を流下する貫通孔を有し、血液分離フィルタが収納されている上方容器と、上方容器の底面の下面に連ねられており、上方に開口を有しかつ底面に血漿または血清成分を流下させる貫通孔が形成されており、血球停止フィルタが収納されている下方容器とを備える場合には、上記血液分離フィルタが収納された上方容器の下面に、血球停止フィルタが収納された下方容器を接合するだけで、容易に第2の容器を構成することができる。
第2の容器に設けられている経路が、上記下方容器の側面において上方に開いた切欠または側面に設けられた貫通孔である場合には、下方容器の側面に切欠や貫通孔を形成するだけで容易に経路を形成することができる。
本発明に係る血液分離方法では、本発明の血液分離フィルタ装置を用い、上記血液分離フィルタ上の空間に閉成部材を刺通する血液供給用中空部材を介して血液を供給し、血液分離フィルタにおいて、血液を血球成分と血漿または血清成分とに分離する。この場合、血液分離フィルタの上下には圧力差が生じるため、速やかに血液分離フィルタにおける濾過が行われる。そして、血液分離フィルタから下方に流下してきた血漿または血清成分は、血球停止フィルタにおいては、重力によって下方に導かれる。従って、血球停止フィルタでは、重力を用いて穏やかに濾過されるため、溶血等が生じ難い。
よって、本発明に係る血液分離方法によれば、溶血を引き起こすことなく、検体として良好な血漿もしくは血清を速やかに得ることが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る血液分離フィルタ装置を示す正面断面図である。
血液分離フィルタ装置1は、有底管状の第1の容器2を有する。本実施形態では第1の容器2は、略円筒状の形状を有し、かつ上方に開口2aを有する。開口2aは、閉成部材としての栓体3により気密的に封止されている。
栓体3は、合成ゴムまたはエラストマーなどの弾性材料により構成されている。栓体3は、相対的に径が最も大きな頭部3aと、頭部3aの下方に連ねられており、頭部3aよりも径が小さな第1圧入部3bと、第1圧入部3bの下端から下方に突出されており、最も径が小さい第2圧入部3cとを有する。第1圧入部3bは、第1の容器2の開口2aに圧入され、第1の容器2内を気密封止している。従って、第1圧入部3bの径は、第1の容器2の開口2aの内径よりも若干大きくされている。
他方、第1の容器2内には、第2の容器4が配置されている。第2の容器4は、略円筒状の形状を有し、上方に開口4aを有する。開口4aに、栓体3の第2圧入部3cが圧入されている。従って、上記第2圧入部3bの径は、第2の容器4の開口4aの内径よりも若干大きくされている。そして、上記第2の容器4の上方部分が、第2圧入部3cが圧入されて気密封止されている。
図2及び図3に示すように、第2の容器4は、上方容器4bと、上方容器4bに接着剤4cを介して接合された下方容器4dとを有する。上方容器4bは、前述した開口4aから下方に延びる略円筒状の形状を有し、上方容器4bの底面4eの中央に貫通孔4fが形成されている。底面4e上には血液分離フィルタ5が載置されている。すなわち、血液分離フィルタ5は、上方容器4b内に収納されている。なお、血液分離フィルタ5は、底面4e上に載置される必要は必ずしもなく、後述する血球停止フィルタ6よりも上方に載置される限り、第2の容器4の適宜の位置に配置され得る。
なお、血液分離フィルタ5の外周面は、上方容器4bの内周面に接触されている。すなわち、供給された血液が、血液分離フィルタ5に確実に濾過されることを可能とするために、血液分離フィルタ5の外周面と上方容器4bの内側面との間に隙間がないように血液分離フィルタ5が上方容器4bに充填されている。
上記血液分離フィルタ5は、供給された血液を、圧力差を利用して、血球成分と、血漿もしくは血清成分とに分離し得る適宜の材料により構成され得る。本実施形態では、血液分離フィルタ5は、血球よりも血球もしくは血清を早く移動させるように構成されている。このような機能を有するフィルタ材料としては、例えば、細い多数の繊維が絡み合って構成されているフィルタ材料、あるいは多孔質フィルタ材料などを挙げることができる。上記繊維としては、適宜の合成繊維または天然高分子繊維などが挙げられ、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース、綿、麻または絹などからなる繊維を用いることができる。また、ガラス繊維などを用いてもよい。
さらに、上記多孔質材料により血液分離フィルタ5が構成されている場合の多孔質材料としても、多孔性高分子などの適宜の材料を用いることができる。
また、上記血液分離フィルタ5は、血液中の測定成分を吸着し得る材料により構成され
てもよく、このような測定成分を吸着し得るフィルタ材料を用いる場合には、表面処理を施してもよい。表面処理を施すための表面処理剤としては、特に限定されず、ポリエーテル系化合物やシリコーン系化合物からなる潤滑剤、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどの親水性高分子、天然の親水性高分子、または高分子界面活性剤を用いることができる。さらに、フィルタ材料表面を、プラズマ、ガンマ線、紫外線、電子線などの照射により改質してもよい。上記血液分離フィルタ1が繊維からなる場合、その平均繊維系は、0.2〜5.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜3.0μmである。平均繊維系が0.2μm未満では、血液を血球と、血漿もしくは血清に分離するに際し、溶血を生じ易くなることがあり、5.0μmを超えると、血球と、血漿もしくは血清とを分離するのに、フィルタ材料を高密度に充填する必要があり、コストが高くつくおそれがあるからである。
上方容器4bの底面4eの下面に接着剤4cを介して、略円筒状の下方容器4dが接合されている。接着剤4cとしては、エポキシ系接着剤などの適宜の接着剤を用いることができる。また、上方容器4b及び下方容器4dが、金属などからなる場合には、接着剤に代えて、金属を接合する適宜の接合材を用いてもよい。
さらに、接着剤4cを用いることなく、上方容器4bと下方容器4dとを溶着等により一体化してもよい。
さらに、可能であれば、上方容器4bと下方容器4dは、一体化されていてもよい。すなわち、接着剤4cや接合材は、必ずしも用いられずともよい。
下方容器4dは、略円筒状の形状を有し、上方に開口4gを有する。また、下面4hの中央から下方に突出するように出口部4iが形成されている。下面4h上には血球停止フィルタ6が配置されている。
血球停止フィルタ6は、血球の通過を防止することが可能な孔径の複数の孔を有する。より具体的には、2μm以下の孔を有するフィルタ材料により血球停止フィルタ6が構成されている。このような孔を有するフィルタ材料としては、特に限定されず、繊維集合体や多孔質材料などを挙げることができる。また、繊維集合体や多孔質材料からなる膜により血球停止フィルタ6が形成されていてもよい。もっとも、上記孔の孔径が小さ過ぎると、血液中のタンパク質成分などが付着し、目づまりを生じるおそれがある。従って、孔径は、0.05μm以上であることが望ましい。より好ましくは、上記孔径は、0.1〜1.5μmの範囲である。
上記血球停止フィルタ6を構成する具体的な材料についても特に限定されず、合成樹脂、天然高分子材料、金属、化合物などを挙げることができる。より具体的には、ポリビニリデンジフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラスファイバー、ボロシリケート、塩化ビニル樹脂、銀などを挙げることができる。
また、血球停止フィルタ6における濾過速度を高めるために、血球停止フィルタ6は表面が親水処理されていてもよい。このような親水処理を施す方法としては、プラズマ処理、電子線照射、紫外線照射、もしくはγ線照射などのエネルギー線を照射する方法、あるいは親水性高分子材料によりコーティングを行う方法などが挙げられ、特に限定されるものではない。
下方容器4dの外径は第1の容器2の内径よりも小さくされている。言い換えれば、下方容器4dの外側面と、下方容器4dの外側面に対応している部分の第1の容器2の内側
面との間に隙間Aが設けられるように、下方容器4dの外径が、第1の容器2の内径よりも小さくされている。また、下方容器4dの側面には、上方に開いた切欠4jが設けられている。切欠4jは、下方容器4d内の血球停止フィルタ6上の空間7と、第1の容器2における下方容器4bの下方に設けられた収容部4kとを連通するために設けられている。すなわち、上記切欠4jが形成されており、かつ隙間Aが存在するため、血球停止フィルタ6上の空間7と、血球停止フィルタ6よりも下方の収納部4kとが、上記切欠4j及び隙間Aにより連通されている。切欠4jは、この連通用の経路の一部を構成している。
従って、後述の操作方法から明らかなように、血球停止フィルタ6上に流下してきた血液成分は、血球停止フィルタ6で重力のみによって濾過されることになる。言い換えれば、血球停止フィルタ6の上方の空間7と、収納部4kとの間に圧力差が生じないため、重力のみによって、血液成分が血球停止フィルタ6において濾過される。
次に、本実施形態の血液分離フィルタ装置1を用いた血液分離方法を図4(a)〜(d)を参照して説明する。図4(a)では、血液分離フィルタ装置1の上方容器4b内に、血液8が供給された状態が図示されている。血液8を上方容器4b内に導くに際しては、従来より周知の真空採血針を用いた採血方法などを利用することができる。例えば、真空採血針の一方側の針先を被採血者の静脈に挿入し、他方側の針先を血液分離フィルタ1の栓体3に刺通させる。この場合、血液分離フィルタ装置1内は減圧されているため、被採血者の静脈圧と、血液分離フィルタ装置1内の圧力との圧力差により血液が血液分離フィルタ装置1の上方容器4b内に採取される。
もっとも、既に他の容器に採取されている血液を、チューブ及びチューブに接続された中空針を用いて、該中空針を栓体3に刺通し、血液を上方容器4bに導いてもよい。
血液8を採取した後、上記中空針や採血針が栓体3から抜去される。この状態においては、血液8の上方の空間Qと、空間7との間にはわずかな圧力差が生じるため、該圧力差によって血液8は徐々に血球停止フィルタ5を流下していくことになる。しかしながら、このような圧力差は非常に小さいため、図4(b)に示すように、チューブ10を栓体3に刺通することが望ましい。チューブ10は、金属もしくは合成樹脂などの適宜の材料により構成され、好ましくは、栓体3を刺通し得るように先端に針先が設けられていてもよい。
チューブ10により空間9が外気に連通される。従って、空間9の圧力が高められ、空間9の圧力と、血液分離フィルタ5の下方の空間7との圧力との圧力差により、血液が速やかに下方に流下する。なお、血液を採取するのに用いた中空針を血液採取後もそのまま栓体3に貫通させておき、該中空針の該側端を大気に露出させて、チューブ10の代わりに用いてもよい。
血液分離フィルタ5においては、血球成分に比べて血漿もしくは血清が早く移動する。従って、血漿もしくは血清は、血液分離フィルタ5の上記性質により、また上記圧力差による駆動力により速やかに下方に移動し、血液分離フィルタ5を通過し、空間7に流下する。
そして、遅れて血球成分が血液分離フィルタ5の下面から下方に流下してくる。
図4(c)に示すように、空間7に導かれた血液成分が、血球停止フィルタ6において濾過される。ここで、血球停止フィルタ6は、血球を停止し得る孔径を有する貫通孔が設けられたフィルタ材料により構成されている。従って、流下してきた血漿もしくは血清のみが下方に流下し、赤血球などの血球成分は、血球停止フィルタ6に補足される。
よって、図4(d)に示すように、血漿もしくは血清8Aのみが収納部4kに採取される。
そして、血球停止フィルタ6における濾過に際しては、前述したように、空間7と収納部4kとが連通されているため、重力のみを駆動力として濾過が行われる。よって、濾過速度は低いものの、濾過が穏やかに行われるため、血球停止フィルタ6を用いた分離作業に際し、血球が破壊され難い。すなわち溶血が生じ難い。従って、収納空間4kに収納された血漿もしくは血清中に、溶血により漏洩してきた血球内成分が混入するおそれがほとんどない。よって、正確な検査値を得ることができる清浄血漿もしくは血清を確実に得ることができる。
しかも、血液分離フィルタ5を用いた第1段階の分離作業は、上記圧力差を利用して比較的高い速度で行われるため、全体としての分離時間も長くなり難い。
上記実施形態では、下方容器4dの上端に開いた切欠4jが設けられて空間7と収納部4kが連通されていたが、上記切欠4jに代えて、図5に示すように下方容器4dの側面に開いた貫通孔4xを形成してもよい。なお、上記切欠4jや貫通孔4xは複数形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、第1の容器2は有底の円管状の形状を有していたが、第1の容器2は、角筒状の容器であってもよく、あるいは直方体状の容器であってもよい。さらに、第1の容器2内に収納される第2の容器4についても、その形状は特に限定されない。
また、上記実施形態では、第1,第2の容器の開口が、弾性を有する栓体3を圧入することにより気密封止されていたが、栓体に代えて、適宜のシール部材により、第1,第2の容器の開口が気密封止されていてもよい。
次に、具体的な実施例及び比較例を説明する。
(実施例1)
図1に示した血液分離フィルタ装置1を以下の要領で作製した。内径約10mmの円筒状の上方容器4bに、平均繊維径約2μmのポリエステル製不織布0.5gを血液分離フィルタ5を構成するために充填した。また、下方容器4dとして、下方容器4bと同じ材料からなり、内径約10mmの円筒状容器に、血球停止フィルタ6として孔径0.65μmの孔径の複数の孔を有するフィルタ材料(ミルポア社製、商品名:デュラポアDVPP、ポリビニリデンフルオライド)をセットしたものを用意し、接合し、第2の容器4を構成した。なお、下方容器4dにおいては、幅2mm×高さ1mmの大きさの切欠4jを形成した。
上記第2の容器4を第1の容器2に挿入し、内部の圧力が20kPaとなるように減圧し、減圧下で栓体3を取り付けた。このようにして、血液分離フィルタ装置1を作製した。
(実施例2)
血球停止フィルタを、孔径0.4μmの貫通孔を有するフィルタ(ミルポア社製、商品名:アイソポアHTTP、ポリカーボネートネート)に変更したことを除いては、実施例1と同様にして血液分離フィルタ装置を作製した。
(比較例1)
上記切欠4jが設けられていないことを除いては、実施例1と同様にして血液分離フィルタ装置を作製した。
(実施例及び比較例の評価)
ボランティアA〜Cの3名から採血し、採取された血液約2mLを、実施例1,2及び比較例の血液分離フィルタ装置の上方容器内に採取した。しかる後、図4(b)に示したチューブ10を挿入し、その後の分離状態を観察した。結果を下記の表1に示す。
Figure 2005326381
本発明の第1の実施形態に係る血液分離フィルタ装置を示す正面断面図。 第1の実施形態の血液分離フィルタ装置の第2の容器を構成している上方容器と下方容器とを分離して示す斜視図。 第2の容器の外観を示す斜視図。 (a)〜(d)は、第1の実施形態の血液分離フィルタ装置を用いた血液分離操作を説明する各正面断面図。 図1に示した実施形態の血液分離フィルタ装置の変形例を説明するための図であり、切欠に代えて貫通孔が設けられた下方容器を示す斜視図。
符号の説明
1…血液分離フィルタ装置
2…第1の容器
2a…開口
3…栓体
3a…頭部
3b…第1圧入部
3c…第2圧入部
4…第2の容器
4a…開口
4b…上方容器
4c…接着剤
4d…下方容器
4e…底面
4f…貫通孔
4g…開口
4h…下面
4i…出口部
4j…切欠
4k…収納部
4x…貫通孔
5…血液分離フィルタ
6…血球停止フィルタ
7…空間
8…血液
9…空間
10…チューブ
A…隙間

Claims (6)

  1. 上部に開口を有する第1の容器と、
    前記第1の容器の開口を気密封止するように、該開口に取り付けられた閉成部材と、
    前記第1の容器内に収納されており、かつ上端に開口を有し、該開口が前記閉成部材の一部により気密封止されている第2の容器と、
    前記第2の容器内に収納されており、血液を血球成分と、血漿または血清成分とに分離するための血液分離フィルタと、
    前記第2の容器内において、前記血液分離フィルタよりも下方に収納されており、かつ血球の通過を防止する血球停止フィルタとを備え、
    前記第1の容器内の前記血球停止フィルタが設けられている部分よりも下方に、分離された血漿または血清成分を収納する収納部が設けられており、
    前記第1の容器内が減圧されており、かつ前記血液分離フィルタと血球停止フィルタとの間の空間と前記収納部とを連通する経路が前記第2の容器に設けられていることを特徴とする、血液分離フィルタ装置。
  2. 前記第1の容器が、有底円筒状の容器であり、かつ前記第2の容器が、第1の容器の内径よりも小さな外径を有する円筒状の容器であり、前記経路が、前記第2の容器の側面に設けられている、請求項1に記載の血液分離フィルタ装置。
  3. 前記血液分離フィルタが、繊維または多孔質材料からなり、血球成分よりも血球または血清成分を早く移動させるように構成されており、前記血球停止フィルタは、血球成分の通過を防止することができる孔径の孔を有する、請求項1または2に記載の血液分離フィルタ装置。
  4. 前記第2の容器が、上端に開口を有し、底面に分離された血漿または血清成分を流下する貫通孔を有し、前記血液分離フィルタが収納されている上方容器と、前記上方容器の底面の下面に連ねられており、上方に開口を有し、かつ底面に血漿または血清成分を流下させる貫通孔が形成されており、前記血球停止フィルタが収納されている下方容器とを備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血液分離フィルタ装置。
  5. 前記第2の容器に設けられている経路が、前記下方容器の側面において上方に向かって開いた切欠、または側面に設けられた貫通孔である、請求項4に記載の血液分離フィルタ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の血液分離フィルタ装置を用いた血液分離方法であって、
    前記血液分離フィルタ装置の前記閉成部材を貫通する中空部材を用いて前記血液分離フィルタ上の空間に血液を供給し、血液分離フィルタにおいて、血液を血球成分と、血漿または血清成分とに分離し、血液分離フィルタから下方に流下してきた血漿または血清成分を血球停止フィルタにおいて重力によって濾過し、分離された血漿または血清成分を収納部に収容することを特徴とする、血液分離方法。
JP2004146982A 2004-05-17 2004-05-17 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法 Pending JP2005326381A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004146982A JP2005326381A (ja) 2004-05-17 2004-05-17 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004146982A JP2005326381A (ja) 2004-05-17 2004-05-17 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005326381A true JP2005326381A (ja) 2005-11-24

Family

ID=35472844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004146982A Pending JP2005326381A (ja) 2004-05-17 2004-05-17 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005326381A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3890066B2 (ja) 血液分離器具及び血液分離装置
US3687296A (en) Fluid separator
US7257991B2 (en) Sample testing device
ES2650612T3 (es) Tubo de doble capa basado en membrana para recolecciones de muestras
EP3634632B1 (en) Biological fluid separation device
WO2011069145A2 (en) Blood collection tube with separation barrier
JP2004344874A (ja) 血漿もしくは血清分離膜、及び血漿もしくは血清分離膜を用いたフィルタ装置
JP2007304016A (ja) 血液分離装置
JP2007003478A (ja) 血液分離材、血液分離装置および真空検体採取容器
JP2008279195A (ja) 血液分離フィルタ装置
EP0713424A1 (en) Saliva sample collection system
JP4391761B2 (ja) 血液検査用容器
JP2005326381A (ja) 血液分離フィルタ装置及び血液分離方法
WO2007000966A1 (ja) 検体採取容器
JP2008232876A (ja) 血球停止膜、血液分離フィルタ、血液分離装置及び検体採取容器
JP2007003479A (ja) 血液分離装置
JP3890068B2 (ja) 検体採取容器
JP2001299730A (ja) 血漿採取具
JP4021796B2 (ja) 検体採取用容器
JP2007003481A (ja) 血液分離装置
JP3695680B2 (ja) 血液濾過ユニット
JP2001321367A (ja) 血漿又は血清採取具
JP3890067B2 (ja) 検体採取容器
JP2008256551A (ja) 血液分離フィルタ装置
JPH11192216A (ja) 血液成分採取用容器