JP2005326243A - 水質監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】市販の水槽を使用しても、画像処理による水質監視を行うことができ、水質監視および水質異常の判断の正確性を高めることができ、設備投資を少なくでき、設備のメンテナンスが容易である水質監視装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水槽1内に収容されている魚の画像を撮影解析して水槽1内の水質を監視する監視装置であって、水槽1内を、画像撮影用の魚が収容されている監視領域12と、監視領域12よりも容積が大きく、他の魚が収容されている保管領域13とに分離する分離用部材11が設けられている。一つの水槽1に監視領域12と保管領域13とを設けているので、水槽1の設置場所を少なくすることができる。しかも、分離用部材11を水槽1に着脱可能とし、その形状や大きさを市販の水槽に適用しうるようにしておけば、市販の水槽をそのまま監視用の水槽1として使用できるので、設備コストを少なくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水質監視装置に関する。さらに詳しくは、生物として毒性物質に敏感な小魚(例えば、メダカ)を複数匹水槽に入れ、撮影した小魚の画像をコンピュータで画像処理して、個々の小魚の行動を自動追尾し、リアルタイムで水質異常を検知する装置に関する。
近年、テロリズムや不法投棄などによる環境悪化から安全な水を守ることへの関心が高まっている。
河川や池などの水質を検査する場合、工業計器による水質検査装置では、不特定多数の毒性物質の検知が不可能である。しかも、毒性物質の種類によっては、前処理や成分分析に時間を要するため迅速な対応が困難である。
そこで、浄水場などの水関連施設では、工業計器だけでなく、魚などの生物を使って水質の異常を検知している所が多い。この場合、ほとんどが目視により観察されているが、魚の微妙な挙動を判定するには24時間常時監視する監視員が必要で現実的でない、などの問題がある。
このため、魚などの挙動や活動電位および心拍数などから水質の異常を自動検知する装置が開発されている。しかし、この装置では魚の活動電位や心拍数などを測定するのに、種々のセンサを取付けておかねばならず、そのメンテナンスの繁雑さや誤警報の多発などの点で問題がある。
一方、コンピュータの性能向上により画像処理技術の高速度化・多機能化が進んでおり、この技術を用いて水中の魚の挙動を監視すれば、高精度な水質監視が期待できることから、魚画像監視型の水質監視装置が開発されている(例えば、特許文献1,2)。
上記の従来技術で用いられている魚画像認識方法は、魚を入れた水槽を一定の時間間隔で撮影し、その画像を2値化することにより、取込んだ画像の輝点を魚として認識すると共に、魚の活動有無を判定するために、時間上の前後の画像間で生じている魚の移動距離を演算し、これを監視する方法である。
しかし、この魚画像認識方法では、つぎのような問題がある。
(1)市販の水槽はカメラの縦横比や大きさが合わない場合が多いため、適切な撮影領域を確保するために、撮影するカメラに合わせたオーダメイドの高価な水槽を使用するケースが多い。
(2)取水した水には泥や砂などが濁度として存在する場合が多いが、市販の水槽を使用した場合、市販の水槽は奥行き方向にも長いものが多いため魚が隠れてしまって魚の行動が観察できない。かといって、フィルタ等を設置して濁度を完全に取り除けば魚行動は観察できるが、フィルタ等の設置に特別な場所と経費がかかる上に頻繁にフィルタの交換等の作業が必要となる。さらに、フィルタの目が細かい場合、有害物質も除去してしまう恐れがある。
(3)小さい水槽を使用すれば、奥行き方向の長さも短くできるが、水槽に供給できる単位時間あたりの水の流量が少なくなる。取水場所から水槽までは、通常、配管によって水が搬送されるが、流量が少ないと取水場所に異物が混入しても水槽に来るまでに時間がかかる。改善策として配管をできるだけ細くすることが考えられるが、詰まりの原因となりやすい。
(4)魚を監視する水槽、つまり、監視領域は、その容積が大きくなり監視される魚の数が増えるほどその画像処理等の時間がかかる等の問題があるため、その容積や魚の数は限定される場合が多い。すると、局所的な水質の悪化や病気の蔓延など、監視領域の結果だけでは、水質異常の判断が難しい場合がある。
(5)明るい場所に水槽を置く場合、カメラ撮影時の外光遮断用に水槽をラックに入れたり、カバー等をかけることが多いが、水質異常を知らせる警報発生時にすぐに魚の様子を目視することが難しく、また、カバー等を外して目視している間は、正常な画像監視が困難となるなどの問題がある。
(6)魚を監視する監視用水槽とは別に、監視用水槽と同等の条件で魚を飼育する保管用水槽を設けておけば、上記(4)、(5)の問題を解決できるし、監視用水槽内の魚が死んだ場合に、魚を保管用水槽から補給できるので水質監視の継続性を保つことができるが、各水槽の置き場所と給排水設備等が必要となるため、余分な経費がかかるし、それぞれの水槽のメンテナンスが必要となる。また、監視用水槽と保管用水槽が離れていれば、魚の移動に手間がかかる。
特公平5−31941号 特公平7−85082号
本発明は上記事情に鑑み、市販の水槽を使用しても、画像処理による水質監視を行うことができ、水質監視および水質異常の判断の正確性を高めることができ、設備投資を少なくでき、設備のメンテナンスが容易である水質監視装置を提供することを目的とする。
第1発明の水質監視装置は、水槽内に収容されている魚の画像を撮影解析して水槽内の水質を監視する監視装置であって、前記水槽内を、画像撮影用の魚が収容されている監視領域と、該監視領域よりも容積が大きく、他の魚が収容されている保管領域とに分離する分離用部材が設けられていることを特徴とする。
第2発明の水質監視装置は、第1発明において、前記分離用部材が、前記監視領域の奥行きが、該監視領域内に収容されている魚が該監視領域の奥行き方向には移動できないが、方向転換は可能な長さとなるように配設されていることを特徴とする。
第3発明の水質監視装置は、第1または2発明において、前記水槽に、監視すべき水を供給する監視水供給手段が設けられており、該監視水供給手段が、前記監視領域と前記保管領域の容積比に合わせて、各領域に供給する水の流量を調整する流量調整手段を備えていることを特徴とする。
第4発明の水質監視装置は、第1、2または3発明において、前記水槽に、該水槽内の水を排水する排水手段を備えており、該排水手段が、外部と連通された排水領域と、前記水槽内を分離する排水部材を備えており、該排水部材の上端部に、前記水槽内の水を前記排水領域に供給する排水口が設けられていることを特徴とする。
第5発明の水質監視装置は、第1、2、3または4発明において、前記水槽に、監視すべき水を供給する監視水供給手段と、前記水槽内の水を排水する排水手段を備えており、前記監視領域と前記保管領域とが、前記監視水供給手段と前記排水手段において連通されており、前記監視水供給手段と前記排水手段との間では、前記分離用部材によって水の交換を抑制されるように構成されていることを特徴とする。
第6発明の水質監視装置は、第1、2、3、4または5発明において、前記監視領域に、該監視領域内の水の水温を調整する水温調整手段が設けられていることを特徴とする。
第7発明の水質監視装置は、第6発明において、前記水温調整手段がヒータを備えており、該ヒータが、前記監視領域内に上下方向の温度勾配が形成されるように配設されていることを特徴とする。
第1発明によれば、一つの水槽に監視領域と保管領域とを設けているので、監視用水槽と保管用水槽を別々に設けた場合に比べて、水槽の設置場所を少なくすることができる。しかも、分離用部材を水槽に着脱可能とし、その形状や大きさを市販の水槽に適用しうるようにしておけば、市販の水槽をそのまま監視用の水槽として使用できるので、設備コストを少なくすることができ、また、メンテナンス性も向上させることができる。また、監視領域内の魚が死んだ場合に、魚を保管領域からすぐに魚を移動させることができるので、魚の補充が容易であり、検査の継続性を保つことができる。監視領域における異常が発生した場合に、保管領域の状況を目視して確認すれば、その異常が、水質異常が原因であるのか、それとも所的な水質の悪化や病気の蔓延等であるのかをすぐに判断できるので、水質監視および水質異常の判断の正確性を高めることができる。しかも、監視領域と保管領域が分離されているので、保管領域の状況を目視しているときでも、監視領域における画像監視を継続することができる。
第2発明によれば、監視領域の奥行きが短いので、濁度が撮影した画像に与える影響を少なくすることができる。しかも、魚が奥行き方向に移動できないので、魚の動きをほぼ2次元的な動きに制限することができるから、検査精度を向上させることができる。そして、監視領域内に収容されている魚は、監視領域の奥行き方向には移動できないものの、方向転換は可能であるから、魚に与えるストレスを軽減することができる。
第3発明によれば、監視領域の容積を小さくしても、水槽全体に供給する単位時間あたりの水の流量を多くすることができるから、取水場所に異物が混入してから水槽に来るまでに時間を短くすることができ、取水場所における変化を監視装置によって迅速に検出することができる。また、監視領域と保管領域に供給される水質を同じ状態に保つことができるから、監視領域と保管領域の魚の状況を比較すれば、検出された異常が、監視領域特有のものかそれとも取水場所の異常かを正確に判断することができる。
第4発明によれば、排水部材の上端部の排水口の高さに水位を保っておくことができる。
第5発明によれば、監視領域および保管領域への給水と、監視領域および保管領域からの排水をそれぞれ一系統で行うことができるから、設備にかかるコストやメンテナンスの手間を削減することができる。とくに、給水を一系統で行うことにより、監視領域と保管領域に供給される水質を同じ状態に保つことができるから、監視領域と保管領域の魚の状況を比較すれば、検出された異常が、監視領域特有にものかそれとも取水場所の異常かを正確に判断することができる。
第6発明によれば、冬季でも、監視領域の水温を所定の温度以上にしておくことができるから、魚の活性を高く保つことができる。また、監視領域にのみ水温調整手段を設ければ、監視領域の容積が小さいので、水槽全体の水温を調整する場合に比べて、ランニングコストを少なくすることができる。そして、加温による細菌の異常繁殖等、加温に起因する魚の死亡があっても、保管領域の魚を目視することによって、魚の死亡が、加温に起因するものであるか水質異常に起因するものであるかを確認することができる。
第7発明によれば、監視領域に上下方向の温度勾配が発生させることによって、上部のみを必要な水温とすることができるから、監視領域全体を均一な温度にする場合に比べて、ランニングコストを少なくすることができる。そして、監視領域全体を均一な温度にする場合に比べて所定の温度勾配が形成されるまでの時間は短いから、供給する水の流量を加温しない場合と同じ流量にしても上部を必要な水温とすることができる。つまり、所定の流量で水を供給できるから、水質変化に対する応答性を高く保つことができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の水質監視装置は、水質の監視に使用する水槽、および水槽に対する水の供給排出する機構に特徴を有するものであるが、まず、本実施形態の水質監視装置の概略を説明する。
図4は本実施形態の水質監視装置の概略構成図である。図4において、符号1は、河川や湖、池、地下水、中和槽の処理水、上水・下水の処理水、工場排水等の水が供給される水槽を示しており、この水槽1内では、メダカfが飼育されている。このメダカfは、水槽1に供給される水の水質を検出するためのものであり、水槽1の近傍に設けられたカメラ2によってその動きが監視されている。そして、カメラ2で撮影されたメダカfの動きは、コンピュータ3に組み込まれているプログラムによって解析され、メダカfが飼育されている水槽1内の水質が判定される。言い換えれば、水槽1に水を供給する水源である河川等の水質が判定されるのである。
なお、水槽1で飼育される魚はメダカfに限られないが、メダカfは入手が容易かつ信頼性の高い判定結果が得られるので、好適である。
つぎに、本発明の特徴である水槽1、監視水供給手段20および排水手段31について説明する。
図1は本実施形態の水質監視装置に使用される水槽1の概略斜視図である。図2は水槽1の平面図である。図3は水槽1の正面図である。図1〜図3に示すように、本実施形態の水槽1は一般的な水槽であり、その前面(図2では下方の面)から前記カメラ2によってその内部が監視されるように配置されている。この水槽1には、水槽1内を2つの領域に仕切る分離用部材11が設けられている。この分離用部材11は、水を透過しない素材によって形成されており、水槽1の前面と平行となるように配設された、不透明であって、黒色かつつや消しされた板である前板11aと、この前板11aと水槽1の背面との間に設けられた側板11bとから構成されており、前板11aと水槽1の前面との間に監視領域12の監視部12Aを形成している。この監視部12Aは、カメラ2で撮影されるメダカfが収容される領域であり、約10匹程度のメダカfが飼育されている。
なお、監視領域12の監視部12Aに入れるメダカfの数は特に限定されないが、約10匹程度であれば、監視精度を高めつつ、画像処理が必要以上に複雑にならないので好ましい。そして、分離用部材11の前板11aの両端には、監視部12A内のメダカfが監視部12Aから逃げ出さないように、水槽1の前面との間に網状の仕切部材12cが取付けられている。
さらになお、前板11aは上記のごとき板が適しているが、カメラ2で撮影された画像におけるメダカfの検出に不具合が生じないように調製されたものであればよく、とくに限定はない。
図2に示すように、分離用部材11の前板11aは、水槽1の前面との間の距離、言い換えれば監視部12Aの奥行きL1が約3〜4cmとなるように配設されている。これは、メダカfの平均的な全長よりもやや長く、メダカfが、監視部12A内において奥行き方向には移動できないが方向転換は可能な長さである。
このような長さであるから、メダカfが奥行き方向に移動できないので、メダカfの動きをほぼ2次元的な動きに制限することができるから、検査精度を向上させることができる。しかも、監視部12Aの奥行きが短いので、水槽1内の水の濁度がカメラ2によって撮影される画像に与える影響を少なくすることができる。そして、監視部12A内に収容されているメダカfは、監視部12Aの奥行き方向には移動できないものの、方向転換は可能できるから、監視部12A内のメダカfに与えるストレスを軽減することができるのである。
なお、監視部12Aの奥行きL1は約3〜4cmに限られず、メダカfが監視部12A内において奥行き方向には移動できないが、方向転換可能な長さであればよく、また、異なる魚を飼育するときには、その魚の全長に合わせて監視部12Aの奥行きを決定すればよい。
図1および図2に示すように、分離用部材11の前板11aと水槽1の背面との間には、保管領域13が形成されている。この保管領域13は、その容積が前記監視部12Aの容積に対して数倍〜数十倍となっており、監視部12Aに飼育されているメダカfの数に対して数倍〜数十倍の数のメダカfが飼育されている。
なお、この保管領域13のメダカfは、監視部12Aのメダカfが死んだとき補給用のメダカfとして使用されるが、保管領域13と監視部12Aとは同じ水槽1内であって分離用部材11で隔てられているだけであるから、メダカfの移動が容易であり、すぐに補給できるので、監視部12Aにおける検査の継続性を保つことができる。
また、図2に示すように、分離用部材11の側板11bと水槽1の側面との間には、監視部12Aには連通されているが、保管領域13とは分離用部材11の側板11bによって分離されている監視領域12の予備部12Bが形成されている。この予備部12Bは、後述する監視水供給手段20から供給される水の酸素濃度を飽和状態となるように調整して、監視領域12の監視部12Bに供給するための領域であり、その底部には、エア供給手段12aが設けられている。この予備部12Bを設けたことによって、監視領域12の監視部12Bには水の酸素濃度を飽和した状態の水が供給されるので、水の酸素濃度の変化によってメダカfの状態が変化することを防いでいる。
なお、保管領域13にもエア供給手段13aが設けられており、保管領域13内の水の酸素濃度を飽和した状態にしており、監視領域12内の水と保管領域13の水の酸素濃度を同等に保っている。
つぎに、監視水供給手段20を説明する。
図1〜図3に示すように、前記水槽1の上部には、監視水供給手段20が設けられている。この監視水供給手段20は、中空なケース21を備えており、この中空なケース21の上面には、水が供給される給水口21aが設けられており、この給水口21aの下方には、給水口21aから供給された水を濾過しケース21の底面上に排出するフィルタ等の濾過部材22が設けられている。
また、ケース21の底面には、複数の貫通孔23,24が設けられている。この貫通孔23,24のうち、前記監視領域12の予備部12Bの上方には監視側貫通孔23が設けられており、前記保管領域13の上方には保管側貫通孔24が設けられている。監視側貫通孔23と保管側貫通孔24は、両者の総断面積の比が、監視領域12の容積と保管領域13の容積との比と同じになるように形成されている。
このため、監視水供給手段20のケース21の給水口21aから水を供給すれば、濾過部材22によって濾過された水を、貫通孔23,24から予備部12Bおよび保管領域13にそれぞれ供給することができる。つまり、監視領域12および保管領域13には、既に各領域内に収容されている水に対する貫通孔23,24から供給される水の割合が同じになるように、濾過された水が分配されて供給されるから、監視領域12および保管領域13の水質を同じ状態保つことができるのである。
しかも、監視領域12と保管領域13の水質を同じ状態に保つことができるから、監視領域12の監視部12Aにおけるメダカfに異常が検出された場合において、監視領域12の監視部12Aと保管領域13の魚の状況を比較すれば、検出された異常が、監視領域12の監視部12A特有のものかそれとも取水場所の異常かを正確に判断することができる。
また、取水場所から供給される水を、1つの監視水供給手段20によって監視領域12および保管領域13に分配して供給しているから、監視領域12の容積を小さくしても、水槽1全体に供給する単位時間あたりの水の流量を多くすることができる。すると、取水場所である河川等に異物が混入してから水槽1に来るまでに時間が短くなり、監視領域12に異物が到達するまでの時間が短くなるから、取水場所における変化を監視装置によって迅速に検出することができる。
上記の貫通孔23,24が、特許請求の範囲にいう流量調整手段である。流量調整手段は上記の構成に限られずバルブ機構等でもよいが、上記のごとく貫通孔23,24の面積によって濾過された水の分配を調整する構成とすれば、監視水供給手段20の構造を簡単にでき、監視装置全体のコストを低減することができる。
なお、監視水供給手段20の給水口21aに供給する水は、一つの河川等から供給する場合に限られず、複数の河川等から供給してもよい。かかる場合には、各河川等からの水を事前に混合せずそのまま給水口21aに投入すれば、水が濾過部材22内および濾過部材22と貫通孔23,24との間を流れる間に、各河川等からの水が混合され均一化されるから、複数の河川等の水を検査する場合であっても、事前に混合するための設備等が不要であり、装置の構成が複雑化することを防ぐことができる。
さらになお、ケース21の上面において、濾過部材22と複数の貫通孔23,24との間の流路の上方にメダカfの餌を投入する給餌用孔21bを設けておけば、給餌用孔21bから投入した餌を、貫通孔23,24から監視領域12および保管領域13に供給される水とともに各領域内のメダカfに供給することができる。そして、各領域供給される水の流量に応じて餌も分配されるから、メダカfの給餌が簡単になる。
つぎに、排水手段を説明する。
図1〜図3に示すように、前記保管領域13には、円筒状の排水部材31が立設されている。この排水部材31は、その下端が水槽1の底面に設けられている図示しない排水通路に液密に取付けられており、その内部に設けられている水槽1の保管領域13から分離された排水領域が排水通路に連通されている。
このため、水槽1の保管領域13に収容されている水の水位が排水部材31の上端よりも低い場合には、保管領域13内の水は排水されず、水槽1の保管領域13に収容されている水の水位が排水部材31の上端よりも高くなると、保管領域13内の水が排水部材31の上端の排水口31hからその内部の排水領域に流入して、外部に排出される。よって、排水部材31により、保管領域13内の水の排水と水位保持を行うことができる。
また、図1〜図3に示すように、分離用部材11は、その前板11aと側板11bによって、監視領域12と保管領域13を分離し、この分離用部材11は、その一端(図1〜図3では右端)が、水槽1の側面との間に隙間32ができるように配設されており、この隙間32を介して監視領域12と保管領域13が連通されている。
すると、保管領域13内に排水部材31の上端に向って流れる流動が発生すると、その流動に起因して、保管領域13と監視領域12との間には差圧が発生し、監視領域12から保管領域13に向う流れが発生する。上述したように分離用部材11は水を透過しない素材によって形成されており分離用部材11が配置されている位置では監視領域12と保管領域13との間の水の交換は抑制されているため、監視領域12内の水は隙間32を通って保管領域13に流入し、その後、排水部材31の排水口31hから排出される。つまり、保管領域13内の水だけでなく、監視領域12内の水も1つの排水部材31から排出することができるのである。
なお、上記の構成とした場合には、監視領域12内の水の水位も保管領域13内の水と同じ水位、つまり、排水部材31の排水口31hとほぼ同じ高さとなる。
さらになお、排水部材31の排水口31hは、排水部材31の上端に設けなくてもよく、排水部材31の上部側面に設けてもよい。
さらになお、排水手段は上記のごとき構成に限られず、また、監視領域12および保管領域13にそれぞれ排水手段を設けてもよい。
上記のごとく、本実施形態の水質監視装置では、一つの水槽1内を分離用部材11によって分離して監視領域12と保管領域13とを設けているので、監視用水槽と保管用水槽を別々に設けた場合に比べて、水槽の設置場所を少なくすることができる。しかも、分離用部材11によって監視領域12と保管領域13が分離されているので、保管領域13の状況を目視しているときでも、監視領域12における画像監視を継続することができる。
また、河川等で取水された水は、一つの監視水供給手段20に供給された後、水槽1内の監視領域12と保管領域13に分配され、水槽1内では、監視領域12と保管領域13に分かれて流れるが、一つの排水部材31の排水口31hを通って外部に排出される。つまり、水槽1内の監視領域12および保管領域13に対する給排水が、一系統の監視水供給手段20と一系統の排水手段よって行われるから、監視装置の設備にかかるコストやメンテナンスの手間を削減することができる。
そして、監視領域12と保管領域13への給水を一系統で行うことにより、監視領域12と保管領域13に供給される水質を同じ状態に保つことができる。このため、監視領域12内のメダカfに異常が発生した場合であっても、保管領域13の状況を目視して確認すれば、その異常が、水質異常が原因であるのか、それとも所的な水質の悪化や病気の蔓延等であるのかをすぐに判断できるので、水質監視および水質異常の判断の正確性を高めることができる。
なお、分離用部材11や監視水供給手段20を水槽1に着脱可能としておけば、水槽1や分離用部材11、監視水供給手段20のメンテナンスを容易にすることができる。そして、分離用部材11や監視水供給手段20を、その形状や大きさが市販の水槽に適用しうるような形状等にしておけば、市販の水槽に分離用部材11等を取付けるだけで監視用の水槽1として使用できるので、設備コストを少なくすることができる。
さらになお、排水部材31を水槽1に着脱可能としておけば、排水部材31を取り外せば水槽1の底面に設けられている図示しない排水通路から水槽1内の水を簡単に排水することができるので、メンテナンスが容易になる。
また、監視領域12の予備部12B内に、予備部12B内の水の水温、つまり監視領域12内の水の水温を調整する水温調整手段を設けてもよい。水温調整手段は、例えば、水を加熱するヒータ35と、水温を検出する図示しないセンサ、センサからの信号に基づいてヒータに供給する電圧を調整する図示しない制御装置等から構成されている。
このため、冬季でも、監視領域12の水の水温を所定の温度以上にしておくことができるから、魚の活性を高く保つことができ、冬季であっても水質の検査精度を高く保っておくことができる。そして、監視領域12の予備部12B内にのみ水温調整手段を設けて、監視領域12の水だけを暖めるようにすれば、監視領域12の容積が小さいので、水槽1全体の水温を調整する場合に比べて、ランニングコストを少なくすることができる。
また、監視領域12の水だけを暖めれば、河川等から供給される水に異常がなくても、加温による細菌の異常繁殖等、加温に起因するメダカfの死亡が監視領域12において発生する可能性があるが、このような異常が発生した場合において、保管領域13のメダカfを目視することによって、その異常が加温に起因するものであるか、それとも水質異常によるものであるかを確認することができる。
また、水温調整手段によって監視領域12内の水温が均一になるように調整してもよいが、監視領域12内において、その上下方向に温度勾配ができるように水温を調整してもよい。例えば、図1および図3に示すように、ヒータ35をその軸方向が上下方向を向くように配設すれば、監視領域12内に上下方向の温度勾配を簡単に形成することができる。
この場合、監視領域12の上部のみをメダカfの活動に適した温度である16〜22℃程度となるようにすれば、監視領域12内の全ての水を16〜22℃上昇させる場合に比べてヒータ35から水に与える熱量を少なくすることができるから、さらにランニングコストを少なくすることができる。そして、監視領域12全体を均一な温度にする場合に比べて所定の温度勾配が形成されるまでの時間は短いから、監視領域12に供給する水の流量を減らさなくても監視領域12の上部はメダカfの活動に適した温度とすることができるから、水質変化に対する応答性を高く保つことができる。
本発明の水質監視装置は、浄水場、下水処理施設、飲料水メーカ、食品メーカなど厳しい水質管理を必要とする施設に最適である。
本実施形態の水質監視装置に使用される水槽1の概略斜視図である。 水槽1の平面図である。 水槽1の正面図である。 本実施形態の水質監視装置の概略説明図である。
符号の説明
1 水槽
11 分離用部材
12 監視領域
13 保管領域
20 監視水供給手段
31 排水部材
31h 排水口
35 ヒータ

Claims (7)

  1. 水槽内に収容されている魚の画像を撮影解析して水槽内の水質を監視する監視装置であって、
    前記水槽内を、画像撮影用の魚が収容されている監視領域と、該監視領域よりも容積が大きく、他の魚が収容されている保管領域とに分離する分離用部材が設けられている
    ことを特徴とする水質監視装置。
  2. 前記分離用部材が、前記監視領域の奥行きが、該監視領域内に収容されている魚が該監視領域の奥行き方向には移動できないが、方向転換は可能な長さとなるように配設されている
    ことを特徴とする請求項1記載の水質監視装置。
  3. 前記水槽に、監視すべき水を供給する監視水供給手段が設けられており、
    該監視水供給手段が、前記監視領域と前記保管領域の容積比に合わせて、各領域に供給する水の流量を調整する流量調整手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の水質監視装置。
  4. 前記水槽に、該水槽内の水を排水する排水手段を備えており、
    該排水手段が、
    外部と連通された排水領域と、前記水槽内を分離する排水部材を備えており、
    該排水部材の上端部に、前記水槽内の水を前記排水領域に供給する排水口が設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の水質監視装置。
  5. 前記水槽に、監視すべき水を供給する監視水供給手段と、
    前記水槽内の水を排水する排水手段を備えており、
    前記監視領域と前記保管領域とが、前記監視水供給手段と前記排水手段において連通されており、前記監視水供給手段と前記排水手段との間では、前記分離用部材によって水の交換を抑制されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の水質監視装置。
  6. 前記監視領域に、該監視領域内の水の水温を調整する水温調整手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の水質監視装置。
  7. 前記水温調整手段がヒータを備えており、
    該ヒータが、前記監視領域内に上下方向の温度勾配が形成されるように配設されている
    ことを特徴とする請求項6記載の水質監視装置。
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