JP2005325271A - 原油中間留分をオレフィン類に転化する方法 - Google Patents

原油中間留分をオレフィン類に転化する方法 Download PDF

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Tomoyuki Sumiyoshi
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Abstract

【課題】原油の精製処理における中間留分である灯油留分および軽油留分を、簡便な処理手段を用いて炭素数2〜4のオレフィン類に転化する方法を提供すること。
【解決手段】原油を常圧蒸留して得られる留分より灯油留分(KERO)および/または軽油留分(LGO)を選択して更に分留し、軽質灯油留分および/または軽質軽油留分を選択して熱分解炉の原料として使用する原油中間留分のオレフィン類への転化方法であって、このうち、オレフィン収率に優れる軽質灯油留分を使用することが特に好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、原油を常圧蒸留して得た灯油留分や軽油留分等の中間留分を、さらにいくつかの留分に分留し、これら留分のうち2環の芳香族成分を特定の濃度以下に調製した留分を原料として熱分解し、オレフィン類に転化する方法に関する。
原油は種々の炭化水素の複雑な混合物であり、製油所では、炭化水素の沸点差を利用した常圧蒸留により、液化石油ガス(LPG)、粗ナフサ、粗灯油、粗軽油、重油の各留分に分離したのち、得られた各留分をそれぞれ脱硫、脱窒素、脱金属、水素化分解等の精製処理を施して、ガソリン、灯油、軽油等の石油製品としている。
一方、石油化学工場では、輸入ナフサや原油の常圧蒸留により得られたナフサ留分を原料として、熱分解炉によりエチレン、プロピレン等のオレフィンを製造し、これらを原料としてさらにポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックを製造している。また、ナフサ留分のうち重質ナフサは脱水素環化等の改質処理によりベンゼン、トルエン、キシレン等のさらに有用な石油化学製品を製造している。
また、近年、特に中国や東南アジアにおいて石油、石油化学製品の需要増加を背景としてナフサの需要が急増し、国内での輸入ナフサの調達が難しくなるとともに、価格の上昇を招いている。また、石油製品の中間留分である灯油、軽油の国内需要はピークアウトを迎えており、それに伴い石油精製からのナフサの供給も逼迫しつつあり、石油化学工業の基幹原料であるエチレンを製造するための原料の多様化が緊急の課題となるとともに、一方で、石油の中間留分の余剰傾向は強まっており、その有効活用が望まれている。
原油中に含まれる炭化水素は無数にあるが、鎖状の飽和炭化水素であるパラフィン系炭化水素、飽和環(ナフテン環)を有するナフテン系炭化水素、芳香環を有する芳香族炭化水素、鎖状の不飽和炭化水素であるオレフィン系炭化水素に大別することができる。それぞれ炭素数が2〜6と少ないものから炭素数が100を超えるものまで無数に存在しており、沸点差により分留したナフサ、灯油、軽油、重油等の各留分もこれら各種の炭化水素類の複雑な混合物であり、その主要な用途は自動車、船舶、発電用等の燃料となっている。
そして、これまで自動車用燃料等の用途に用いることができない未利用留分の有効活用の観点から、エチレン製造原料としての活用の検討が多くなされてきた。例えば、アスファルト成分を溶剤抽出により除去した減圧残油を減圧軽油と混合して水素化処理および熱分解処理してオレフィンを製造する方法がある(例えば、特許文献1)。
また、接触分解軽質サイクル油を水素化処理し、次いで第二の接触分解反応器において再分解して軽質オレフィン、好ましくはプロピレンに転化する方法がある(例えば、特許文献2)。
特開昭55−50089号公報 特表2003−531241公報
しかしながら、いずれも満足がいくオレフィン収率を達成するにはいたっておらず、また、常圧残油由来の未利用留分を原料としており、余剰傾向が強い中間留分の有効活用の要求を満足するものではない。
これは、原油を沸点範囲の異なる留分として取扱い、その未利用分を有効利用しようとして、反応性の異なる種々の炭化水素成分を同時に熱分解するために、オレフィンの十分な収率が得られないからである。
一方、原油を炭化水素の混合物として見た場合、原油中に含まれる炭化水素は無数にあるが、前述したように鎖状の飽和炭化水素であるパラフィン系炭化水素、飽和環(ナフテン環)を有するナフテン系炭化水素、芳香環を有する芳香族炭化水素、鎖状の不飽和炭化水素であるオレフィン系炭化水素に大別することができる。
そして、パラフィン系炭化水素は熱分解により容易にエチレン等のオレフィンに分解することが知られている。また、ナフテン系炭化水素は容易に脱水素し、ベンゼン環を有する芳香族炭化水素になることが知られている。さらに、一般的に低沸点留分(軽質ナフサ)ほど熱分解でのオレフィン収率が高いが、水素含有率の多い留分は高沸点でもオレフィン製造の熱分解原料として好適であることが知られている。
本発明はかかる状況のもとになされたもので、原油を沸点の異なる炭化水素の混合物として捉えるのではなく、有用成分の混合物として捉え、特に、中間留分の余剰傾向が強まっている灯油留分および軽油留分をさらに精密に分留することにより、2環芳香族成分および3環以上の芳香族成分が減少した留分を熱分解炉の原料としエチレン、プロピレン等のオレフィン類を効率よく生産するとともに、より重質化した留分は分解性が向上したFCC原料としてガソリン基材を生産するために利用するものである。
従って、本発明の目的は、原油を常圧蒸留して得た灯油留分(KERO)および軽油留分(LGO)をさらに精密に分留することにより、オレフィン類の原料として有効利用することができる原油中間留分のオレフィン類に転化する方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の原油中間留分のオレフィン類への転化方法は、原油を常圧蒸留して得られる中間留分から灯油留分および/または軽油留分を選択し、当該灯油留分および/または軽油留分を更に2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して熱分解することを特徴とする。
この本発明の中間留分をオレフィン類に転化する方法によれば、オレフィン類に転化する熱分解炉の原料を得るに際し、原油を常圧蒸留して得られる留分より灯油留分(KERO)や軽油留分(LGO)を選択し更に分留して、得られた留分のうち2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して熱分解するようにしているので、原油の精製処理における中間留分である灯油留分および軽油留分をエチレン等のオレフィン製造原料として有効に用いることができる。
また、この本発明は、エチレン等のオレフィン類の製造原料を得るにあたって、一般には当該製造原料としては使用されない灯油留分や軽油留分を用いてエチレンやプロピレン等のオレフィン類を製造しているので、高価なナフサを使用するのと比較して、製造コストの削減を図ることができる。
なお、本発明の中間留分をオレフィン類に転化する方法で、灯油留分や軽油留分を選択し更に2以上の複数の留分に分留するにあっては、当該灯油留分や軽油留分を例えば下記のように分留してもよく、また、その中で、灯油留分については、2環芳香族成分の含有量が1.0容量%以下である留分((K1)軽質灯油留分:KERO−Light)を選択して熱分解するようにすることが好ましい。一方、軽油留分については、2環芳香族成分の含有量が7.5容量%以下である留分((L1)軽質軽油留分:LGO−Light)を選択して熱分解することが好ましい。
( 灯油留分を分留して得られた留分 )
(K1)軽質灯油留分(KERO−Light)
(K2)中質灯油留分(KERO−Middle)
(K3)重質灯油留分(KERO−Heavy)
( 軽油留分を分留して得られた留分 )
(L1)軽質軽油留分(LGO−Light)
(L2)中質灯油留分(LGO−Middle)
(L3)重質灯油留分(LGO−Heavy)
なお、(K1)軽質灯油留分は、2環芳香族成分の含有量を1.0容量%以下(好ましくは0.8容量%以下、より好ましくは0.5容量%以下)と、(K2)中質灯油留分は、3環以上の芳香族成分の含有量を0.1容量%以下(好ましくは0.05容量%以下)とし、(K3)重質灯油留分は残りの留分として区別するようにすればよい。
また、(L1)軽質軽油留分は、2環芳香族成分の含有量を7.5容量%以下(好ましくは6.5容量%以下、より好ましくは5.0容量%以下)と、(L2)中質軽油留分は、3環以上の芳香族成分の含有量を3.0容量%以下(好ましくは2.0容量%以下、より好ましくは1.0容量%以下)と、(L3)重質軽油留分は残りの留分として区別するようにすればよい。
かかる本発明によれば、オレフィンを熱分解炉で製造するにあたって、前記した留分から、2環芳香族成分の含有量が少ない留分である(K1)軽質灯油留分や(L1)軽質軽油留分を選択して熱分解するようにしている。
この(K1)軽質灯油留分は、灯油留分の分留により得られた留分(例えば(K1)〜(K3))のうちでオレフィン収率が最も優れている。また、軽質軽油留分(L1)は軽油留分の分留により得られた留分(例えば(L1)〜(L3))のうちでオレフィン収率について最も優れており、かつ、灯油留分や軽油留分の全留分を使用するよりも、熱分解炉においてオレフィン収率が高くなることになるため、エチレン等のオレフィン製造原料としても好適な留分となり、前記した効果をより一層好適に奏することができる。
なお、本発明にあっては、この中でも、オレフィン収率が特に高い(K1)軽質灯油留分を選択して熱分解することが特に好ましくエチレン分解炉においてもエチレン収率の高いエチレン製造原料として好適な留分となり、前記の効果をより一層好適に奏することができる。
なお、灯油留分や軽油留分を更に分留して、2環芳香族成分の含有量が1.0容量%以下である留分((K1)軽質灯油留分)や2環芳香族成分の含有量が7.5容量%以下である留分((L1)軽質軽油留分)を選択するにあたっては、それ以外の成分を、例えば前記した(L2)中質灯油留分等を抽出、選択することは特に必須ではなく、(K1)軽質灯油留分)や(L1)軽質軽油留分を選択できれば手段は限定されない。
本発明の原油中間留分をオレフィン類に転化する方法は、前記した灯油留分および/または軽油留分を更に分留して2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して、当該留分を脱硫処理した後に熱分解することが好ましく、また、脱硫処理としては水素化脱硫処理を採用することが特に好ましい。
かかる本発明によれば、選択された留分を脱硫処理、好ましくは水素化脱硫処理した後、熱分解するようにしているので、当該留分中に含まれる硫黄分が好適に除去され、硫黄分が極めて少ないオレフィン類を製造することができる。
さらに、本発明の原油中間留分をオレフィン類に転化する方法は、前記した灯油留分や軽油留分のうち2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して熱分解することにより、
エチレンやプロピレン等の炭素数2〜4の石油化学工業の基幹原料として有用なオレフィン類を製造することができる。
図1は、本発明の中間留分をオレフィン類に転化する方法(以下、単に「本発明の転化方法」とすることもある)の一実施形態であって、オレフィン類であるエチレンの製造方法を示した概略図である。
本実施形態のエチレンの製造方法においては、原油を常圧蒸留して得られる留分のうち、灯油留分(KERO)および/または軽油留分(LGO)を選択して更に分留し、灯油留分を下記の(K1)〜(K3)とし、また、軽油留分を下記(L1)〜(L3)とした留分を得て、これらの留分のうち、2環芳香族成分の含有量が1.0%以下である(K1)軽質灯油留分および/または2環芳香族成分の含有量を7.5%以下である(L1)軽質軽油留分をエチレン分解炉に導き、エチレンを製造するようにしている。
(灯油留分を分留して得られた留分 )
(K1)軽質灯油留分(KERO−Light:図1では「KERO−L」、表
1及び表2では、「K1」と示す。)
(K2)中質灯油留分(KERO−Middle:図1では「KERO−M」、
表1及び表2では「K2」と示す。)
(K3)重質灯油留分(KERO−Heavy:図1では「KERO−H」と、
表1及び表2では「K3」と示す。)
(軽油留分を分留して得られた留分 )
(L1)軽質軽油留分(LGO−Light:図1では「LGO−L」と、表1
及び表2では示す「L1」と示す。)
(L2)中質灯油留分(LGO−Middle:図1では「LGO−M」と、表
1及び表2では「L2」と示す。)
(L3)重質灯油留分(LGO−Heavy:図1では「LGO−H」と、表1
及び表2では「L3」と示す。)
ここで、原油を常圧蒸留するには、公知の常圧蒸留装置および蒸留条件で行うことができる。例えば、精製対象となる原油を、加熱炉等で約350℃程度に熱せられたのちに常圧蒸留塔に送り出し、常圧蒸留塔内部で石油蒸気とされ、冷却後、沸点の低いものから高いものへと順番に、例えば、概ね下記のようにして分離すればよい。
そして、本発明の転化方法を実施するにあたっては、この中から灯油留分(KERO)および軽油留分(LGO)を選択して、使用するようにすればよい。
液化しないガス成分: 石油ガス留分(軽質ガス、LPガス)
沸点が30〜210℃: ナフサ留分(軽質ナフサ、重質ナフサ)
沸点が170〜270℃: 灯油留分(KERO)
沸点が230〜360℃: 軽油留分(LGO)
沸点が350℃以上: 残油留分
次に、得られた灯油留分や軽油留分は、更に分留して、灯油留分については前記の(K1)〜(K3)等の複数の留分、軽油留分については前記の(L1)〜(L3)等の複数留分を得るのであるが、かかる留分を得るための分留手段としては、例えば、前述の原油の蒸留と同様に常圧蒸留装置や蒸留条件を用いることができる。
また、灯油留分を(K1)〜(K3)等の複数の留分に区別するには、分留するに際し、2環芳香族成分の含有量を1.0容量%以下、好ましくは0.8容量%以下、より好ましくは0.5容量%以下となるように分留した留分を(K1)軽質灯油留分、3環以上の芳香族成分の含有量を0.1容量%以下、好ましくは0.05容量%以下となるように分留した留分を(K2)中質灯油留分、残りの留分を(K3)重質灯油留分とするなど複数の留分として区別すればよい。
同様に、軽油留分を(L1)〜(L3)等の複数の留分に区別するには、分留するに際し、2環芳香族成分の含有量を7.5容量%以下、好ましくは6.5容量%以下、より好ましくは5.0容量%以下となるように分留した留分を(L1)軽質軽油留分、3環以上の芳香族成分の含有量を3.0容量%以下、好ましくは2.0容量%以下、より好ましくは1.0容量%以下となるように分留した留分を(L2)中質軽油留分、残りの留分を(L3)重質軽油留分とするなど複数の留分として区別すればよい。
なお、表1に、常圧蒸留により分留された灯油留分および軽油留分の性状、また、さらに各々3つの留分に分留して得られた各留分の性状を示す。
( 各留分の性状 )
Figure 2005325271
本発明の転化方法にあっては、これらの留分のうち、(K1)軽質灯油留分および/または(L1)軽質軽油留分をエチレン分解炉の原料として使用するようにしている。
ここで、灯油留分のうち(K1)軽質灯油留分は、エチレン収率が非常に高く、ナフサと比較しても遜色ない留分であり、熱分解にも好適であり、灯油留分(KERO)全留分を用いるよりも効率的なエチレン原料となる。一方、(K3)重質灯油留分は(K1)軽質灯油留分と比較すると、オレフィン収率は低く、また、熱分解には適さない。
従って、灯油留分として、(K1)軽質灯油留分を選択して使用することにより、エチレン分解炉においてもエチレン収率の高い、エチレン製造原料として好適な留分を提供することができる。一方、(K3)重質灯油留分は灯油留分全量よりも重質化しており接触分解装置での分解性向上が期待でき、高オクタン価のガソリン基材の製造原料として好適に提供できる。
また、軽油留分のうち(L1)軽質軽油留分は、(L3)重質軽油留分と比較してオレフィン収率が高く、かつ、(L1)軽質軽油留分を使用する方が軽油留分の全留分を使用するよりオレフィン収率が高いこととなる。
従って、(L1)軽質軽油留分を選択して使用することにより、熱分解にも適した、エチレン製造原料として好適な留分を提供することができる。一方、(L3)重質軽油留分は軽油留分全量よりも重質化しており接触分解装置での分解性向上が期待でき、高オクタン価のガソリン基材の製造原料として好適に提供できる。
なお、表2に常圧蒸留により分留された灯油留分および軽油留分を原料とした場合のエチレンのオレフィン類の収率、また、さらに各々3つに分留した留分を原料とした場合のエチレン等のオレフィン類の収率を示す。
( オレフィン類の収率 )
Figure 2005325271
なお、本発明の製造方法を実施するにあっては、(K1)軽質灯油留分と(L1)軽質軽油留分のうち、(K1)軽質灯油留分のみを選択してエチレン製造原料として使用することが好ましい。軽油留分の分留によって得られる(L1)軽質軽油留分は、あくまでも、軽油留分のうちの(L2)中質軽油留分や(L3)重質軽油留分といった他の留分と比較した場合においてオレフィン収率が高く有効であるといったものである。一方、(K1)軽質灯油留分と(L1)軽質軽油留分を比較すると、エチレン製造原料としての性能は、(K1)軽質灯油留分の方がオレフィン収率が高く、エチレン製造原料として有効であるため、(K1)軽質灯油留分のみを用いることにより、エチレン製造原料としてより優れることになる。
また、エチレン製造原料として使用される前記した(K1)軽質灯油留分や、(L1)軽質軽油留分は、そのままエチレン製造原料として使用してもよいが、これらの留分は、脱硫処理、好ましくは図1に示すように水素化脱硫処理した後、エチレン製造原料として使用することが好ましい。かかる水素化脱硫処理を施すことにより、各留分中に含まれる硫黄分が好適に除去され、硫黄分が極めて少ないエチレン製造原料を好適に得ることができる。
ここで、水素化脱硫処理を実施するには、灯油留分や軽油留分の公知の水素化脱硫装置を用いて公知の水素化脱硫処理条件で実施することができる。また、かかる水素化脱硫装置において使用可能な触媒としては、例えば、周期律表第6族のモリブデン、タングステン、第9族のコバルト、第10族のニッケル、および/または第15族のリンを活性成分とし、これらをアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア等の無機酸化物担体に担持させたものが用いられる。
そして、得られた(K1)軽質灯油留分や(L1)軽質軽油留分は、図1に示すように、エチレン分解炉に送られ、従来のエチレン製造原料であるナフサ留分(軽質ナフサや重質ナフサ)と同様に熱分解されて、エチレンと他の成分(例えば、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)に分解され、エチレンを効率的に製造することができる。
かかる本実施形態のエチレンの製造方法によれば、次に挙げる効果を奏することができる。
すなわち、エチレンを製造するにあたって、原油を常圧蒸留して得られる留分より灯油留分(KERO)や軽油留分(LGO)を選択して更に分留して、得られた留分のうち2環芳香族成分の含有量が少ない留分である(K1)軽質灯油留分、(L1)軽質軽油留分をエチレン製造原料として使用することとしているので、原油の精製処理における中間留分である灯油留分(KERO)および軽油留分(LGO)をエチレン製造原料としての有効利用を図ることができる。
更には、エチレン製造の原料として高価なナフサを使用するかわりに、灯油留分や軽油留分を使用してエチレンを製造しているので、製造コストの削減を図ることができる。
また、中間留分を分留して得られた留分としては、オレフィン収率が高い(K1)軽質灯油留分のみを選択すれば、エチレン分解炉においてもエチレン収率の高い、エチレン製造原料として好適な留分となり、前記の効果をより一層好適に奏することができる。
そして、選択した(K1)軽質灯油留分や(L1)軽質軽油留分といった留分は、水素化脱硫処理した後エチレン製造原料として使用するにより、当該留分中に含まれる硫黄分が好適に除去され、硫黄分が極めて少ないエチレン製造原料を好適に得ることができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造、形状、及び手段等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
例えば、前記した実施形態では、原油から灯油留分と軽油留分を選択してさらに精密に分留して、(K1)軽質灯油留分や(L1)軽質軽油留分を得るようにしていたが、原油から灯油留分または軽油留分の一方を選択して、選択した一方をさらに精密に分留して(K1)軽質灯油留分または(L1)軽質軽油留分を得るようにしてもよい。
また、前記した実施形態では、灯油留分については、精密分留により(K1)〜(K3)の3つの留分を得て、それから(K1)軽質灯油留分を選択するようにしていたが、本発明の実施において使用するのは(K1)軽質灯油留分であるので、分留方法としては当初から(K1)軽質灯油留分とそれ以外の留分((K2)および(K3))の2留分を得るようにして、それから(K1)軽質灯油留分を選択するようにしてもよい。
また、同様に、軽油留分についても、本発明の実施において使用するのは(L1)軽質軽油留分であるから、分留方法としては当初から(L1)軽質軽油留分とそれ以外の留分((L2)及び(L3)の2留分を得るようにして、それから(L1)軽質軽油留分を選択するようにしてもよい。
前記した実施形態では、本発明の転化方法として、オレフィン類としてエチレンを製造する方法を例として示したが、これには限定されず、各種オレフィン類を製造する方法として、エチレンのほか、特に炭素数が2〜4であるプロピレン等の石油化学工業の基幹原料として有用なオレフィン類を製造することができる。
そして、灯油留分および軽油留分について、4以上の複数の留分に分留して、その留分中の炭化水素成分により、熱分解装置、接触分解装置、芳香族化装置等へ最適な留分を送り、所望の石油製品、石油化学製品を製造することも可能である。
その他、本発明の実施における具体的な構造、形状、及び手段等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
本発明は、石油化学製品の基幹原料であるエチレン等の炭素数2〜4のオレフィン類を製造するにおいて、原油から分留された灯油留分や軽油留分を有効利用しており、ナフサに代わるオレフィン類製造原料の製造方法として広く適用することができる。
本発明の原油を常圧蒸留して得られる中間留分をエチレンに転化する方法の一実施形態を示す概略図である。

Claims (5)

  1. 原油を常圧蒸留して得られる中間留分から灯油留分および/または軽油留分を選択して、
    当該灯油留分および/または軽油留分を更に2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して熱分解することを特徴とする原油中間留分のオレフィン類への転化方法。
  2. 請求項1に記載の原油中間留分のオレフィン類への転化方法において、
    前記灯油留分を2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が1.0容量%以下である留分を選択して熱分解することを特徴とする原油中間留分のオレフィン類への転化方法。
  3. 請求項1に記載の原油中間留分のオレフィン類への転化方法において、
    前記軽油留分を2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が7.5容量%以下である留分を選択して熱分解することを特徴とする原油中間留分のオレフィン類への転化方法。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の原油中間留分のオレフィン類への転化方法において、
    前記灯油留分および/または軽油留分を更に2以上の複数の留分に分留したうち、2環芳香族成分の含有量が少ない留分を選択して、当該留分を脱硫処理した後に熱分解することを特徴とする原油中間留分のオレフィン類への転化方法。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の原油中間留分のオレフィン類への転化方法において、
    前記オレフィン類が炭素数2〜4のオレフィンであることを特徴とする原油中間留分のオレフィン類への転化方法。
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