JP2005315862A - 子宮頸癌のスクリーニング方法及び子宮頸癌診断薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】 子宮頸癌の有無だけでなく、扁平上皮癌、腺癌を区別することができる子宮頸癌の診断試薬及び当該試薬を用いた子宮頸癌のスクリーニング方法、特にフローサイトメトリーを利用した高速処理を可能なスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】 互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体を含む。第1標識抗体としてMUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群、第2標識抗体としてサイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群、第3標識抗体としてNMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体を含む。第1標識抗体としてMUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群、第2標識抗体としてサイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群、第3標識抗体としてNMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、生体から採取された子宮頸部細胞群の検体について、扁平上皮癌及びその前癌状態、腺癌及びその前癌状態の有無を検出できる子宮頸癌診断試薬、及び当該診断試薬を用いた子宮頸癌のスクリーニング方法、並びに腺癌及び扁平上皮癌を自動的に判定する自動診断方法に関する。
子宮頸癌の早期発見のためのスクリーニング法として、健康診断等では、細胞診が有効に利用されている。
ここで、子宮頸癌の細胞診は、子宮頸部表面を綿棒やスクレーバー等で擦過し、擦過した細胞を、直ちにスライドグラス上に塗抹して標本を作り、顕微鏡等で観察することにより診断を行っている。顕微鏡による細胞の形態観察による診断は、細胞検査士が、検体毎に行っているのが実情であり、精度、処理速度の点で、改善が求められている。
近年、細胞検体を自動的に検査して、癌細胞の有無を判断する装置が上市されている。この自動判別装置は、子宮頸部細胞を含む検体をスライドグラスに塗抹して塗抹標本を作製し、標本の細胞核及び細胞質をパパニコウロウ染色で染色し、標本細胞の形態イメージを処理した形態情報から癌細胞の有無を判別している。しかし、この自動細胞判別装置の性能は、正常細胞の除外効率が25%、処理速度が8〜10検体/時間程度である。このような精度、処理速度は、健康診断で癌の有無を判別する現場担当者にとって、満足のゆくものではない。
一方、細胞形態観察によらず、癌細胞に特異的なマーカーを検出することにより、癌細胞の有無を判断する細胞診断方法がある。
例えば、特許文献1には、子宮頸癌及びその前癌状態に特異的なマーカーとして、子宮頸癌関連タンパク質及びそれを認識する抗体を用いたイムノアッセイが提案されている。子宮頸癌関連タンパク質を認識する抗体としては、NMP179抗体が知られている。
特許文献2には、子宮頸部塗抹標本だけでなく、個々に分散された細胞群の検体について、腫瘍細胞及びそれらの前駆細胞の自動検出方法が提案されている。これは、癌細胞における2種以上のマーカーを、マーカーに特異的に反応する抗体又は核酸プローブに蛍光標識した試薬を用いて、前記マーカーと結合した試薬の蛍光シグナルの有無を自動的に測定することにより癌細胞の有無を検出する方法である。マーカーとしては、her2/neu、p16,p53、MN、mdm−2、bcl−2、EGFレセプター、並びにHPV6,11,16,18,30,31,33,34,35,45,51及び52が挙げられている。
子宮頸癌は、主として、扁平上皮癌と腺癌、さらにこれらの前癌状態に分類され、近年の健康診断にあっては、検出される癌細胞が、扁平上皮癌、腺癌のいずれであるのかを診断できるスクリーニング方法が要望されている。
しかしながら、特許文献2で用いられているマーカーは一般的な癌細胞のマーカーであるため、癌細胞の有無を判断することはできても、子宮頸癌の種類まで判別することはできない。特許文献1に開示されているマーカーは子宮頸癌に特異的なマーカーではあるものの、扁平上皮癌及び腺癌の双方に共通するマーカーであるため、やはり癌の種類までを判別する情報は得られない。
また、NMP179抗体は、一部の正常細胞と反応することが報告されており(非特許文献1)、性能として満足できるものではない。
Acta Cytologica, Volume 43,Number 6/November−December 1999:1015−1022
特表2001−500609号
特開2002−296274号
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、子宮頸癌の有無だけでなく、扁平上皮癌、腺癌を区別することができる子宮頸癌の診断試薬及び当該試薬を用いた子宮頸癌のスクリーニング方法、さらにはフローサイトメトリーを利用することにより高速処理を可能とした子宮頸癌のスクリーニング方法を提供することにある。
本発明の第1の見地による子宮頸癌のスクリーニング方法は、互いに識別可能な標識物質で標識された、腺系細胞と反応する第1標識抗体、腺癌細胞と反応する第2標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、検出された標識に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。前記標識の少なくとも1つが蛍光標識であることが好ましい。
上記スクリーニング方法において、前記判別は、前記測定用試料中の細胞について、第1標識抗体の第1標識を検出する手段により、当該細胞の第1標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、前記第1蛍光標識抗体に対して陽性と判定した細胞について、第2標識抗体の第2標識を検出する手段により、前記測定用試料中の細胞の第2標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、前記第1標識抗体に対して陰性と判定した細胞について、第3標識抗体の第3標識を検出する手段により、当該測定用試料中の細胞の第3標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定することにより行われることが好ましい。
また、本発明の第2の見地による子宮頸癌のスクリーニング方法は、互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて調製された測定用試料に励起光を照射し、前記測定用試料から発せられた蛍光を検出し、検出された蛍光に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。
本発明の第1及び第2の見地による子宮頸癌のスクリーニング方法において、前記第1標識抗体の抗体は、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、前記第2標識抗体の抗体は、サイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、前記第3標識抗体の抗体は、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
第2の見地による子宮頸癌のスクリーニング方法において、前記判別は、前記測定用試料中の細胞から発せられた蛍光について、第1蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第1蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、前記第1蛍光標識抗体に対して陽性と判定した細胞から発せられた蛍光について、第2蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第2蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、前記第1蛍光標識抗体に対して陰性と判定した該細胞から発せられた蛍光について、第3蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第3蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定することにより行われてもよいし(第1の判別方法)、あるいは前記測定用試料をフローサイトメータのフローセルに流し、フローセルを流れる前記測定用試料中の細胞に励起光を照射し、前記細胞から発せられた蛍光について、第1蛍光標識由来の蛍光パラメータ、第2蛍光標識由来の蛍光パラメータ、及び第3蛍光標識由来の蛍光パラメータをそれぞれ計測し、各蛍光パラメータ値の組合わせによって行われてもよい(第2の判別方法)。
上記第2の判別方法において、前記蛍光パラメータは、蛍光強度、蛍光パルス幅及び蛍光パルス面積からなる群より選択されることが好ましい。さらに前記測定用試料中の細胞についての散乱光パラメータを計測して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別してもよい。この場合、前記散乱光パラメータは、前方散乱光強度、前方散乱光パルス幅及び側方散乱光パルス幅からなる群より選ばれることが好ましい。
また、上記第2の判別方法を採用する場合、第1蛍光標識由来の蛍光パラメータ、第2蛍光標識由来の蛍光パラメータ、及び第3蛍光標識由来の蛍光パラメータからなる群より選ばれる1種の蛍光パラメータと、前記散乱光パラメータとを二軸とする二次元分布図を作成して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異常細胞の有無を判別してもよい。
あるいは、上記第2の判別方法を採用する場合、前記測定用試料中の子宮頸部細胞が、さらに予め核染色可能な蛍光色素で染色されており、子宮頸部細胞の核染色由来の蛍光プロファイルと、該子宮頸部細胞から発光される核染色由来以外の発光プロファイル及び前方散乱光プロファイル及び側方散乱光プロファイルとの比較から、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別してもよい。
また、上記第2の判別方法を採用する場合、前記フローサイトメータが撮像手段を備え、第3蛍光標識抗体に対する反応が陽性と判定された細胞について、細胞画像を撮像してもよい。
本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法は、前記子宮頸部細胞が単細胞に分散された細胞の集合体であってもよいし、第2の判別方法を採用しない場合には、前記子宮頸部細胞が塗抹標本上の細胞であってもよい。
本発明の子宮頸癌診断試薬は、互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体を含む。前記第1標識抗体の抗体は、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記第2標識抗体の抗体は、サイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、 前記第3標識抗体の抗体は、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の子宮頸癌の自動診断方法は、上記本発明の第1及び第2の見地のスクリーニング方法において、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を自動的に判定するとともに、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞と判定された細胞の、測定用試料に含まれる細胞集合体に対する含有割合が所定値以上の場合には、腺癌又は扁平上皮癌であると判断する方法である。
さらに本発明の第3の見地による子宮頸癌のスクリーニング方法は、互いに識別可能な標識で標識された、腺系細胞と反応する抗腺系細胞標識抗体及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する抗扁平上皮系異型細胞抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、検出された標識に基づいて、扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。腺系細胞と反応する標識抗体の抗体が、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する標識抗体の抗体が、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の子宮頸癌のスクリーニング装置は、互いに識別可能な蛍光物質で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて調製された測定用試料を、導入するためのフローセル;該フローセル内を流れる測定用試料中の細胞に励起光を照射するための光源;励起光を照射された前記細胞より発せられた第1蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第1の蛍光検出器;励起光を照射された前記細胞より発せられた第2蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第2の蛍光検出器;励起光を照射された前記細胞より発せられた第3蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第3の蛍光検出器;及び検出された蛍光が第1蛍光標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体のいずれの由来であるかを判定し、その判定結果に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する解析部;を備えている。
さらに前記細胞の散乱光を検出するための散乱光検出部を備え、前記解析部は、検出された蛍光及び散乱光を二軸とする二次元分布図を作成し、該分布図に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無の判別手段を備えていてもよい。
さらに撮像手段を備え、前記解析部は、撮像された画像を加味して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別してもよい。
本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法は、腺細胞及び扁平上皮細胞の個々の特徴に考慮して、各細胞癌に特異的なマーカーに着目し、各抗体に対する反応性の有無を調べることにより、癌細胞と正常細胞の判別はもちろん、腺癌細胞と扁平上皮癌細胞、さらにはこれらの前癌状態も区別して判定することができる。また、フローサイトメトリーを適用することができ、これにより、効率よく子宮頸癌のスクリーニングを行うことができる。
本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法は、互いに識別可能な標識物質で標識された、腺系細胞と反応する第1標識抗体、腺癌細胞と反応する第2標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、検出された標識に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。
〔子宮頸癌診断試薬〕
はじめに本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法で使用する子宮頸癌診断試薬について説明する。
はじめに本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法で使用する子宮頸癌診断試薬について説明する。
本発明の子宮頸癌診断試薬は、腺系細胞と反応する第1抗体、腺癌細胞と反応する第2抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3抗体を含み、各抗体は、それぞれ互いに識別可能な標識物質で標識付けされている。
腺系細胞と反応する第1抗体としては、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられる。
ここで、MUC1抗体とは、細胞表面の粘液と反応する抗体である。腺細胞が粘液を産生するのに対し、扁平上皮細胞は粘液を産生しないので、MUC1抗体との反応の有無により、細胞内に粘液を含有する腺細胞と粘液を含有しない扁平上皮細胞とを弁別できる。
サイトケラチン7抗体、サイトケラチン18抗体は、それぞれサイトケラチン7、サイトケラチン18に対して特異的に反応する抗体である。サイトケラチンとは細胞質内繊維状構造物の一つで、その中の中間径フィラメントを形成するタンパク質群に属する。サイトケラチン7、18は、腺細胞を含む多様な上皮細胞に存在するが、扁平上皮には少ない。またサイトケラチン7、18は、腫瘍細胞に対しては良性、悪性にも存在するが、扁平上皮癌には非常に少ない。従って、サイトケラチン7、18抗体は、腺細胞系の細胞を分別するのに有用である。
腺癌細胞と反応する第2抗体としては、サイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用する。
サイトケラチン8抗体とは、サイトケラチン8に対して特異的に反応する抗体である。サイトケラチン8は、腺癌細胞の他、扁平上皮癌細胞、正常な腺細胞、扁平上皮細胞にも含まれるが、その含有量は、腺癌細胞が圧倒的に多い。従って、サイトケラチン8抗体は、正常細胞、扁平上皮癌細胞、腺癌細胞の中から、腺癌細胞と優先特異的に結合して、腺癌細胞を検出することができる。
HIK1083抗体は、胃の腺粘液細胞が産生、分泌するムチンに対して反応する抗体で、この抗体を用いる免疫染色は、子宮頸部腺癌の特に悪性腺種で陽性となることが知られている(Ishii Kら、Cancer 1999年;87:245−253)。
前記第3抗体としては、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
NMP179抗体とは、子宮頸癌に関連する核マトリックス抗原を認識するモノクローナル抗体で、子宮頸部の前癌状態の扁平上皮内疾患(squamous intraepithelial lesions)の初期の発見に有用なマーカーで、高度な扁平上皮内疾患(HSIL)及び軽度な扁平上皮内疾患を発見するのに有用である。
p16INK4Aタンパク質は、HPVのE7タンパク質によって発現が誘導されることが知られており、子宮頸癌はヒトパピローマウィルス(HPV)の感染によって発症する場合が非常に高いことから、子宮頸癌の細胞診マーカーとしてp16INK4A抗体を用いた研究が数多くなされている(Bibbo Mら,Acta Cytol.2002年;46(1):25−29、Klaes Rら,Int.J.Cancer、2001年;92:276−284)。
Ki−67タンパク質は、増殖中の細胞で発現が亢進することから、Ki−67抗体は腫瘍の増殖のモニターに用いられている。子宮頸部細胞診に関する研究においても、Ki−67抗体を用いた報告が複数存在する。MIB−1抗体は、Ki−67抗体のサブタイプの一つである(Pirog EC.ら,Am J Surg Pathol,2002年,26(1):70−75、Pesnick Mら,Hum.Pathol.1996年;27(3):234−239)。
p53タンパク質は、癌抑制作用を有するが、その構造に変異が生じると癌抑制作用を失う。このため、変異型p53抗体が癌のマーカーとして広く用いられている。子宮頸癌細胞診に関しても変異型p53抗体を用いた研究がなされている(Maeda MY.ら,Pathologica,2001年;93(3):189−195、Kerstens HMら,J.Histochem.Cytochem.2000年;48(5):709−718)。
p21,p27タンパク質は、p53、p16INK4Aなどと同様に細胞周期関連タンパク質であり、癌細胞での発現亢進が様々な癌で認められている。このため、子宮頸癌を含めてp21抗体をマーカーに用いた研究報告が多くなされている(van de Putte Gら,Gynecol.Oncol.2003;89(1):140−147、Graflund Mら,Int.J.Gynecol.Cancer、2002;12(3):290−298)。
EMAは腫瘍細胞特異的膜タンパクであるため、子宮頸部腺癌細胞診のマーカーとして用いた研究報告が複数存在する(Sincock AMら,J.Clin.Pathol.1983年;36(5):535−538、Moncrieff Dら,Acta.Cytol.1984年;28(4):407−410)。
CEAタンパク質は、癌細胞で多く発現していることから、子宮頸癌細胞診のマーカーとしてCEA抗体を用いた研究報告が複数なされている(Bamford PN.ら,Obstet.Gynecol.1983年;61(5):603−608)。
本発明で使用する抗体は、いずれも各抗体が反応対象とするマーカーとの結合部位を有する抗体であればよく、Fcフラグメントの構造、Fabの不変領域などは特に限定せず、市販品を使用することができる。例えば、MUC1抗体として、Exapha Biologicals Inc.のAnti−MUC1抗体を使用することができ、サイトケラチン8抗体として、ダコ社から市販されている「抗サイトケラチン8、35H11マウスモノクローナル抗体」を使用することができる。NMP179抗体はMatritech社の製品である。
p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、p27抗体、CEA抗体はいずれもダコ社から製品が販売されている。MIB−1抗体はImmunotech社から入手できる。
本発明の診断試薬は、上記第1抗体、第2抗体、第3抗体が、生理食塩水、リン酸系もしくはトリス系緩衝液、界面活性剤等を溶媒として含有されることが好ましく、具体的には、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)とTween系又はTriton系界面活性剤の混合液が溶媒として用いられる。
〔抗体の標識について〕
診断試薬に含まれる第1抗体、第2抗体、第3抗体は、それぞれ識別可能な標識物質で標識される。標識は、各抗体に直接、標識化合物を結合させることによって行っても良いし(直接法)、上記抗体を非標識の一次抗体として、この一次抗体にそれぞれ特異的な標識二次抗体と結合させることにより間接的に標識付けしてもよい(間接法)。
診断試薬に含まれる第1抗体、第2抗体、第3抗体は、それぞれ識別可能な標識物質で標識される。標識は、各抗体に直接、標識化合物を結合させることによって行っても良いし(直接法)、上記抗体を非標識の一次抗体として、この一次抗体にそれぞれ特異的な標識二次抗体と結合させることにより間接的に標識付けしてもよい(間接法)。
上記各抗体が、同種の動物由来の場合には、交差反応による誤判定を回避するために、直接法により標識することが好ましい。交差反応が起こりにくい別種動物由来の抗体を用いる場合には、二次抗体による間接法で標識してもよい。
本発明で用いることができる標識化合物は、特に限定しないが、Cy3(Amersham Life Science社の登録商標)等のシアニン系色素、フルオレセインイソチアシネート(FITC)、アロフィコシアニン、ローダミン、量子ドットなどの蛍光物質;金粒子などの光散乱物質;フェライトなどの吸光物質;125I等の放射性物質;ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素など従来より公知の標識化合物を用いることができる。これらのうち、本発明で使用する3種類の抗体(第1抗体、第2抗体、第3抗体)の標識の区別を簡易に行えるという点から、発光する蛍光波長の異なる蛍光色素で各抗体を標識することが好ましい。例えば、第1抗体を赤色(例えばPE−Cy5)、第2抗体を緑色(例えばAlexa488,FITC)、第3抗体をオレンジ色(例えばPI,APC,R−PE)に発光する染料で標識するといったような3カラーによる識別が好ましく用いられる。
〔測定用試料の調製〕
本発明のスクリーニング方法に提供する測定用試料は、以下のようにして調製する。
まず、スクリーニングしようとする子宮頸部細胞に、第1標識抗体、第2標識抗体、及び第3標識抗体を含む本発明の子宮頸癌診断試薬を添加し、所定時間反応させて測定用試料を調製する。
本発明のスクリーニング方法に提供する測定用試料は、以下のようにして調製する。
まず、スクリーニングしようとする子宮頸部細胞に、第1標識抗体、第2標識抗体、及び第3標識抗体を含む本発明の子宮頸癌診断試薬を添加し、所定時間反応させて測定用試料を調製する。
子宮頸部細胞としては、単細胞に分散された細胞の集合体であってもよいし、塗抹標本上の細胞であってもよい。処理速度が優れているフローサイトメトリーに適用するためには、単細胞に分散された細胞の集合体を用いることが好ましい。
測定用試料の調製に供する子宮頸部細胞は、子宮頸部表面を綿棒やスクレーバー等で擦過した場合に採取された子宮頸部細胞群そのまま用いてもよいし、予め粘液除去処理を行った後、本発明の子宮頸癌診断試薬と反応させたものであってもよい。子宮頸部表面を綿棒やスクレーバー等で擦過した場合に採取された子宮頸部細胞群には、粘液を分泌する腺細胞が含まれるため、粘液により、試薬に含有されている抗体との反応が十分に行われない場合があり、これを防止できるからである。特にフローサイトメトリーに適用する場合、粘液で凝集した状態の細胞塊ではフローサイトメトリーを適用できないので、粘液を除去することが好ましい。
粘液除去方法としては、特に限定しないが、例えば、本発明者が提案しているシステイン系化合物で処理することが好ましい。システイン化合物としては、メチルシステイン、アセチルシステイン、L−システインなどを用いることができる。
フローサイトメトリーを適用する場合、粘液除去後に、個々の細胞に分散させるために、さらに分散処理を行うことが好ましい。前記粘液除去処理だけでは、完全に個々に細胞を分散させることが困難な場合があるからである。本発明のスクリーニング方法において、後述する細胞画像の撮像を行う場合、細胞形態を破壊しないで、分散処理を行う必要がある。細胞形態を破壊しないで、分散処理を行う方法としては、例えば、本発明者が特願2003−359336号で提案しているように、アルデヒド化合物で細胞安定化処理を行った後、タンパク質分解酵素で処理することが好ましい。安定化処理を行わずにタンパク質分解酵素で処理すると、細胞自体が破壊され得るからである。アルデヒド化合物としては、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはこれらの混合物を用いることができる。
細胞分散に用いるタンパク質分解酵素としては、トリプシン、プロナーゼ、ペプシン、エラスターゼ、コラゲナーゼなどが挙げられ、これらのうちコラゲナーゼが好ましく用いられる。消化力が弱い酵素では、分散化に必要な時間を比較的広い範囲内で決めることができるため、検体個々人の差異による適切な消化時間の差異が問題にならずに済むからである。
子宮頸癌細胞と診断試薬との反応条件は、特に限定しないが、室温にて1〜30分間くらいで行うことが好ましく、反応効率を高めるために、振とう等を行うことが好ましい。
尚、診断試薬との反応に先立って、検体の非特異タンパクをブロックしておくことが好ましい。ブロック試薬としては、ウシアルブミン、コントロール血清やカゼインなどを、生理食塩水等で希釈したものが好ましく用いられる。
測定用試料の調製については、ブロッキング反応後、診断試薬との反応後、二次抗体と反応させた場合には二次抗体反応後、適宜洗浄を行うことが好ましい。
〔子宮頸癌スクリーニング方法の原理〕
本発明のスクリーニング方法は、上記で調製した測定用試料を用いて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。その方法の原理は、第1抗体、第2抗体、第3抗体それぞれに対する反応の有無に基づく。すなわち、測定用試料が対象とする抗体と反応する場合を陽性(+)、反応しない場合を陰性(−)として、第1抗体、第2抗体、第3抗体の陽性及び/又は陰性を判定し、その組合わせから、表1に示すように、分類される。第1抗体、第2抗体、第3抗体の全てに対して陽性を示す細胞は、グループI(腺癌細胞)に分類され、第1抗体及び第3抗体に対しては陽性であるが第2抗体に対しては陰性である細胞はグループII(扁平上皮化生細胞、腺細胞)に分類され、第1抗体及び第2抗体に対してはいずれも陰性であるが第3抗体に対しては陽性を示す細胞はグループIII(異型細胞、扁平上皮癌細胞、基底細胞層の扁平上皮細胞)に分類され、第1抗体、第2抗体、第3抗体の全てに対して陰性である細胞はグループIV(表層、中層の扁平上皮細胞)に分類される。
本発明のスクリーニング方法は、上記で調製した測定用試料を用いて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する方法である。その方法の原理は、第1抗体、第2抗体、第3抗体それぞれに対する反応の有無に基づく。すなわち、測定用試料が対象とする抗体と反応する場合を陽性(+)、反応しない場合を陰性(−)として、第1抗体、第2抗体、第3抗体の陽性及び/又は陰性を判定し、その組合わせから、表1に示すように、分類される。第1抗体、第2抗体、第3抗体の全てに対して陽性を示す細胞は、グループI(腺癌細胞)に分類され、第1抗体及び第3抗体に対しては陽性であるが第2抗体に対しては陰性である細胞はグループII(扁平上皮化生細胞、腺細胞)に分類され、第1抗体及び第2抗体に対してはいずれも陰性であるが第3抗体に対しては陽性を示す細胞はグループIII(異型細胞、扁平上皮癌細胞、基底細胞層の扁平上皮細胞)に分類され、第1抗体、第2抗体、第3抗体の全てに対して陰性である細胞はグループIV(表層、中層の扁平上皮細胞)に分類される。
本発明のスクリーニング方法は、第1標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体と子宮頸部細胞とを反応させて調製した測定用試料について、各抗体の標識に基づく各抗体に対する反応の有無を調べ、上記表1に示す分類のいずれに属するかを判定してもよいし、図1に示すようなフローチャートに基づいて判定することもできる。
すなわち、まず第1抗体に対する反応の有無を判別し(ステップ#1)、陽性であれば第2抗体に対する反応性の有無を判別し(ステップ#2)、第1抗体に対して陰性であれば第3抗体に対する反応性の有無を判別する(ステップ#3)。このような順序に従ってI〜IVのいずれのグループに分類される細胞が含まれているかを判定してもよい。
反応の有無は、各抗体に結合した標識に基づいて判定する。例えば、蛍光標識を用いた場合には、測定用試料に励起光を照射し、測定用試料から発せられた蛍光が、いずれの蛍光標識に基づくものであるかを検出すればよい。例えば、顕微鏡で、発せられた蛍光カラーを観察することにより、各抗体に対する陽性又は陰性を判定してもよいし、発せられた蛍光の周波数スペクトルにより、いずれの標識に基づく蛍光が発せられているかを調べてもよい。さらに、特定のバンドパスフィルター等を通して、フィルターを通過した蛍光の強度を測定することにより、いずれの標識抗体由来の蛍光が発光されたかを調べても良い。
〔フローサイトメトリーの適用〕
測定に供する子宮頸部細胞として、単細胞に分散された細胞の集合体を用いた場合、フローサイトメトリーを利用して、スクリーニングを行うことができる。フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行う場合、各抗体の標識としては、蛍光物質を用いることが好ましい。
測定に供する子宮頸部細胞として、単細胞に分散された細胞の集合体を用いた場合、フローサイトメトリーを利用して、スクリーニングを行うことができる。フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行う場合、各抗体の標識としては、蛍光物質を用いることが好ましい。
例えば、図2に示すような構成を有するフローサイトメーターを用いることにより、フローセルを通過する細胞がいずれの蛍光標識抗体と反応しているかを知ることができる。
図2に示す装置30において、まず488nmの発振波長を持つ青色レーザー(Arイオンレーザー)と635nmの発振波長を有する赤色レーザー(半導体レーザー)がビームコンバイナー1で混合され、励起光が生成される。生成された励起光は、集光レンズ2を経ることにより、短径10μm、長軸が100μm程度の扁平なビームプロファイルを持つように整えられ、フローセルに照射される。集光レンズ2から出射された励起光は、フローセルを経てビームストッパ3に結像し、一次光はここで遮られる。細胞で散乱された光はフィルタ4(中心波長488nm、通過波長10nmの干渉フィルタ)で細胞の発する蛍光がカットされ、前方散乱光の検出器11(FSCダイオード)からみて数度の立体角の散乱光が集められ、前方散乱光の検出器11で検出される。
一方、細胞から発せられた蛍光は、フローセルの側方に配置された高い開口数(NA)をもつ集光レンズ5で集められる。集光レンズ5を出射した光は、まず560nmより短い波長の光を通す性質をもったダイクロイックミラー(DM560SP)に通される。このミラーを通過した光は、90:10の分割比をもったビームスプリッタで分割され、10%の分割比を持つ光は、中心波長530nm、通過波長30nmの干渉フィルタ6を経て、FL1の検出器12(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで緑蛍光が検出される。一方、90%の分割比を持つ光は、中心波長488nm、通過波長10nmの干渉フィルタ7を経てSSCの検出器13(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで側方散乱光が検出される。次にダイクロイックミラー(DM560SP)で反射した光は、640nmより長い波長を有する光を通す性質を持ったダイクロイックミラー(DM640LP)に通される。560nm以上、640nm未満の波長を持つ蛍光は、このミラーで反射され、中心波長585nm、通過波長42nmの干渉フィルタ8を経てFL2の検出器14(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで橙蛍光が検出される。640nm以上の波長を持つ蛍光は、ハーフミラーで50:50に分割され、一方は中心波長661nm、通過波長16nmの干渉フィルタ9を経て、FL4の検出器15(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで赤蛍光が検出される。他方は、670nm以上の通過波長を持つ干渉フィルタ10を経て、FL3の検出器16(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで長赤蛍光が検出される。本発明では、前記4つの蛍光のうち、少なくとも3つを使用すればよい。
上記で検出された前方散乱光、側方散乱光、緑蛍光、橙蛍光、赤蛍光、及び長赤蛍光の各信号は、解析部20に送られ、入力された各信号について、以下に述べるような種々の所望の解析を行ない、結果を表示部21に表示する。
このようなマルチカラー解析可能なフローサイトメータのフローセルに、各抗体が蛍光標識された診断試薬を用いて調製した測定用試料を流し、フローセルを通過する1個1個の細胞に数百μm×数μm程度の扁平な強度プロファイルを有する励起光(例えば、図2の装置ではレーザー光源から青色及び/又は赤色レーザー)を照射し、その感知領域を通過する細胞から発せられた蛍光について、第1蛍光標識由来の蛍光パラメータ、第2蛍光標識由来の蛍光パラメータ、及び第3蛍光標識由来の蛍光パラメータをそれぞれ計測する。図2の装置では、蛍光の種類により、FL1〜FL4のいずれかで、各標識抗体に由来する蛍光を検出することができ、所期の蛍光パラメータ値を算出することが可能となる。
ここで、蛍光パラメータとしては、蛍光強度、蛍光パルス幅及び蛍光パルス面積からなる群より選択されるパラメータの1種又はこれらの組合わせを用いることが好ましい。蛍光強度とは細胞の蛍光プロファイルの最大値である。蛍光パルス面積とは蛍光プロファイルを積分した値である。蛍光パルス幅とは、蛍光パルスが所定の閾値を越えている時間をいう。
フローサイトメータによれば、フローセルを流れている個々の細胞の蛍光を検出し、横軸に時間、縦軸に蛍光強度等の蛍光パラメータとした蛍光プロファイルを作成することによって、個々の細胞について、第1抗体、第2抗体、第3抗体に対する反応性の有無を判定することができる。その判定結果に基づいて、表1又は図1に示すフローに従って、個々の細胞がグループI〜IVのいずれに属するかを判定することができる。さらに、測定用試料に含まれる細胞集団について、各標識抗体に対する各蛍光パラメータ値について細胞数をカウントしたヒストグラムを作成することによって、測定用試料に含まれる細胞集団として、すなわち1検体において、腺癌細胞(グループI)、扁平上皮癌細胞(グループIII)に含まれる細胞がどの程度存在するのかということを判定することができる。
またさらに、第1標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体の個々の蛍光標識について順次判断するだけでなく、例えば、第1蛍光標識抗体に基づく蛍光パラメータをX軸、第2蛍光標識抗体に基づく蛍光パラメータをY軸、第3蛍光標識抗体に基づく蛍光パラメータをZ軸とした三次元座標に、計測した第1、第2、第3蛍光標識抗体についての蛍光パラメータ値に相当する位置にプロットし、図3(a)〜(d)に示す3次元空間のいずれの部分にプロットされるかによって、グループI〜IVのいずれに属するかを一度で判別することができる。この場合、測定用試料に含まれる細胞集団全体、すなわち1検体についてドットプロットし、図3(a)〜(d)に示す3次元空間のいずれの部分でプロット密度が高いかを判別することにより、細胞集団としての検体中に腺癌細胞(グループI)及び/又は扁平上皮癌細胞(グループIII)に含まれる細胞がどの程度存在するのかという解析結果を得ることもできる。
このように、フローサイトメトリーの適用により、個々の細胞について、第1抗体、第2抗体、第3抗体それぞれに対する陽性又は陰性を判別することによって、測定用試料中に、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞が含まれているかを判断することができる。また、個々の検体に該当する1つの測定用試料に含まれている全ての細胞の蛍光パラメータ値の分布状態を調べることにより、グループI〜IVに属する細胞がどの程度、存在しているかを知ることができる。
尚、フローサイトメトリーに供する1つの検体に該当する1つの測定用試料の測定結果の解析については、蛍光パラメータと細胞数の関係を表した頻度ヒストグラムや図3の三次元座標プロットの他、事象頻度の同じ要素を等高線で結んだ二次元の等高プロット、Z軸を使った等積プロット、さらには複数のパラメータを用いたダイヤモンド表示など、公知のプログラムによる種々の表示方法、解析方法を適用することが可能である。また、プロットに際しては、適宜、ゲーティング、ウィンドウによる処理を行っても良い。
〔散乱光パラメータを計測する場合のスクリーニング方法〕
本発明のスクリーニング方法をフローサイトメトリーに適用する場合において、標識に基づく蛍光だけではなく、フローセル中の感知領域を通過する細胞から生じる散乱光も併せて計測することが好ましい。図2に示す装置では、FSCダイオードにより前方散乱光、SSC検出器により側方散乱光を検出することができる。
本発明のスクリーニング方法をフローサイトメトリーに適用する場合において、標識に基づく蛍光だけではなく、フローセル中の感知領域を通過する細胞から生じる散乱光も併せて計測することが好ましい。図2に示す装置では、FSCダイオードにより前方散乱光、SSC検出器により側方散乱光を検出することができる。
フローセルを通過する細胞について、蛍光パラメータと散乱光パラメータを計測することにより、当該細胞について、さらに詳しい情報を得ることができ、細胞残渣による偽陽性反応を除外することができる。細胞残渣は、第3抗体に対して陽性である場合があるため、蛍光パラメータのみの判別では、グループIIIに分類されてしまう。測定用試料、すなわち細胞の集合体についての散布図を作成した場合に、細胞残渣によりグループIIIのプロット数が増えると、扁平上皮癌細胞との誤診判断を招来し得るので、細胞残渣に基づく偽陽性反応の除外は、本発明のスクリーニング方法及び後述する本発明の子宮頸癌の自動診断方法において有意義である。
散乱光パラメータとしては、細胞の大きさを反映するパラメータである前方散乱光強度(FSCP)、前方散乱光パルス幅(FSCW)、及び側方散乱光パルス幅(SSCW)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また、細胞内の構造の複雑さを反映するパラメータとして、側方散乱光パルス高さ(SSCP)を用いることもできる。
ここで、パルス幅とは、単一の細胞がフローセル中の感知領域を流れている間の計測値について、横軸に通過時間、縦軸に散乱光(前方散乱、側方散乱)強度とする散乱光のプロファイルを作成したときのパルスが表れている部分の時間、すなわち1つの細胞の通過時間に相当する。
図4は、細胞の大きさを反映する散乱光パラメータ及び蛍光パラメータを計測し、測定用試料に含まれる細胞残渣を除外する本発明のスクリーニング方法の一実施態様を示している。
図4に示す態様では、フローセルを流れる細胞について蛍光パラメータ及び細胞の大きさを反映する散乱光パラメータを計測し、ステップ#1で第1標識抗体に対する反応の有無を判定し、第1標識抗体について陽性と判定した細胞については第2標識抗体に対する反応の有無を判定する(ステップ#2)。一方、第1標識抗体に対して陰性と判定した細胞については、第3標識抗体に対する反応の有無を判定し(ステップ#3)、第3標識抗体に対して陽性と判定した細胞について、ステップ#4で、蛍光パラメータと散乱光パラメータを二軸とする二次元分布図を作成し、このときのプロット位置から細胞残渣か否かを判定する。第3抗体に対する蛍光強度は高いが、散乱光パラメータ値が細胞サイズから離れていると判断した場合(図4中、「−」で示す)、細胞残渣と判定し、その他の場合(図4中、「+」で示す)には、グループIIIに分類される細胞であると判定する。
従って、図2のスクリーニング装置で、蛍光パラメータだけでなく、散乱光パラメータを計測する場合、解析部20は、蛍光パラメータと散乱光パラメータを二軸とする二次元分布図を作成し、該分布図に基づいて解析する手段も備え、分布図に基づく判定結果を加味解析した結果を表示部21に表示する。
また、散乱光パラメータとして、細胞内の構造の複雑さを反映するパラメータである側方散乱光パルス高さ(SSCP)を計測し、側方散乱光パルス高さ(SSCP)と蛍光パラメータとの二次元分布図を作成することにより、異型細胞の出現頻度を知ることができる。すなわち、ガン化が進むと細胞が小さくなって、細胞内の構造が複雑になることから、細胞の大きさに関するパラメータ(SSCW)に対する細胞内の複雑度に関するパラメータ(SSCP)が高い場合には異型細胞と考えられる。従って、上記二次元分布図で異型細胞と考えられる部分のプロット密度が高い場合には、第3抗体による蛍光パラメータに正に補正を加えることにより、後述の子宮頸癌の自動診断方法で、癌らしさを判定する際に、重み付けを行って、診断精度を高めることができる。
〔細胞の画像判断工程を含むスクリーニング方法〕
撮像手段を備えたフローサイトメータに適用する場合、必要に応じて細胞画像を作成し、細胞形態から具体的に判断してもよい。
撮像手段を備えたフローサイトメータに適用する場合、必要に応じて細胞画像を作成し、細胞形態から具体的に判断してもよい。
図5は、撮像手段を備えたフローサイトメータを用いた場合のスクリーニング方法の一実施態様を示している。このフローチャートによれば、第3抗体について陽性を示す細胞が、実は細胞残渣であった場合には、ステップ#4で除外し、細胞残渣でない場合には、その細胞について細胞画像を作成する(ステップ#5)。
第3抗体陽性と判定される細胞は、扁平上皮癌細胞、その前癌状態にある扁平上皮系の異型細胞である。基底細胞層にある正常な扁平上皮細胞が含まれている場合、この基底細胞層の扁平上皮細胞も第3標識抗体に対して陽性を示す。しかしながら、正常な扁平上皮細胞は、扁平上皮癌細胞、扁平上皮系異型細胞と比べて、形態、核細胞質比などが異なっているので、細胞形態を観察すれば見分けることができる。ステップ#1で陰性と判断され、ステップ#3で陽性と判断された細胞についてのみ、細胞画像を作成するだけであるから、処理速度に対する影響は少なくて済む。
また、画像によれば、細胞の凝集の有無を知ることができる。例えば、白血球のように、扁平上皮癌とは無関係な細胞であっても、第3抗体と反応する細胞が、正常扁平上皮細胞と凝集している場合、正常扁平上皮細胞(グループIV)と分類されるべきであるはずの細胞が、第3抗体に対する陽性細胞となってグループIIIに分類され、扁平上皮癌と誤診される原因となる。このような場合であっても、ステップ#5で画像を作成することにより、凝集細胞であるか否かを知ることができ、さらには凝集している細胞が白血球であるか否かを判定することができる。これにより、フローセルを通過した細胞が凝集細胞であることが判明したときには、当該凝集細胞を解析対象から除外する。これにより、正常扁平上皮細胞であるにもかかわらず、第3抗体陽性と判定されたために、グループIIIに分類されることを防止でき、ひいては、細胞集団である1つの検体としての解析結果をヒストグラム等で表示した場合の誤差を低減することができる。
尚、撮像手段を備えたフローサイトメータとしては、例えば、図6に示すような構成を有する装置を用いることができる。この装置140では、フローセルを通過した細胞からの蛍光をFL1〜FL3で検出するとともに、FSCで前方散乱光、SSCで側方散乱光を検出するとともに、カメラで細胞画像を撮像している。
さらに詳述すると、まず488nmの発振波長を持つ青色レーザー(Arイオンレーザー)がレンズ101を経ることにより、短径10μm、長軸100μm程度の扁平なビームプロファイルを持つように整えられて、フローセルに照射される。
レンズ101から出射された励起光が、フローセルを経てビームストッパ102に結像し、一次光はここで遮られる。細胞からの蛍光/散乱光は対物レンズ103で集められ、530nm以上の波長の光が通過する性質を持ったダイクロイックミラー104を経て、10度前後の立体角の蛍光が検出器105(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで前方蛍光(FFL)が検出される。530nm以下の波長を持つ光は、同様に10度前後の立体角の散乱光が検出器106(フォトダイオード:PD)に入射され、そこで前方散乱光(FSC)が検出される。
レンズ101から出射された励起光が、フローセルを経てビームストッパ102に結像し、一次光はここで遮られる。細胞からの蛍光/散乱光は対物レンズ103で集められ、530nm以上の波長の光が通過する性質を持ったダイクロイックミラー104を経て、10度前後の立体角の蛍光が検出器105(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで前方蛍光(FFL)が検出される。530nm以下の波長を持つ光は、同様に10度前後の立体角の散乱光が検出器106(フォトダイオード:PD)に入射され、そこで前方散乱光(FSC)が検出される。
一方、細胞から発せられた蛍光/散乱光は、フローセルの側方に配置された高い開口数(NA)をもつ対物レンズ107で集められる。対物レンズ107を出射した光は、まず740nmより短い波長の光を反射する性質を持ったダイクロイックミラー108に通される。このミラー108を反射した側方蛍光/散乱光は、まず500nm以下の波長をもつ光を反射する性質を持ったダイクロイックミラー109を経て、さらに中心波長474nm、通過波長49nmの干渉フィルタ110を経てSSCの検出器111(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで側方散乱光が検出される。このダイクロイックミラー109を通過した光は、550nm以下の波長を持つ光を反射する性質を持ったダイクロイックミラー112を経て、中心波長534nm、通過波長26nmの干渉フィルタ113を経てFL1の検出器114(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで緑蛍光が検出される。
ダイクロイックミラー112を通過した光は、ダイクロイックミラー115で630nm以下と630nm以上の光に分けられる。分けられた一方の光は、中心波長597nm、通過波長49nmの干渉フィルタ116を経てFL2の検出器117(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで橙蛍光が検出され、他方の光は、中心波長689nm、通過波長46nmの干渉フィルタ118を経て、FL3の検出器119(光電子増倍管:PMT)に入射され、そこで赤蛍光が検出される。本発明においては、前方蛍光(FFL)は必ずしも検出する必要はない。
捕捉された前方散乱光(FSC)、前方蛍光(FFL)、側方散乱光(SSC)、緑蛍光(FL1)、橙蛍光(FL2)、赤蛍光(FL3)はA/D変換後、解析部130に入力される。そこでリアルタイムで信号処理され、これらの信号がある特徴を持っていれば、解析部130からトリガー信号を送り、780nmの発振波長を持つ近赤外のパルスレーザ120を発光させる。このパルスレーザ120は透過照明光として働き、フローセルから出射した光は、一番目のダイクロイックミラー108を通過し、カメラ121にて結像し、撮像データが解析部130に送られる。このようにして任意の散乱、蛍光の特徴を持つ細胞の静止画が捕捉可能となる。
解析部130においては、図2に示した装置30の解析部20が行なった種々の所望の解析の他、更に撮像された画像を加味して判定し、結果を表示部131に表示する。
〔核染色を行った測定用試料を使用するスクリーニング方法〕
図7は、予め核染色を行った測定用試料を使用してフローサイトメトリーに適用した場合のスクリーニング方法の一実施態様を示している。
図7は、予め核染色を行った測定用試料を使用してフローサイトメトリーに適用した場合のスクリーニング方法の一実施態様を示している。
核染色は、測定用試料に含まれる全ての細胞の核について、蛍光染料を用いて行う。核染色に用いる蛍光染料は、第1抗体、第2抗体、第3抗体の標識に用いた蛍光とは識別可能な蛍光染料を使用し、4カラー解析とする。例えば、図2に示すように、FL1〜FL4の4種類の蛍光検出器を備えたフローサイトメーターを用いることによって、測定可能である。
図7に示すフローチャートでは、細胞残渣を除いた第3抗体陽性細胞について、ステップ#6で、核染色由来のパラメータ、さらには散乱光パラメータを併せて解析することにより、時間がかかる細胞画像を作成しなくても、細胞凝集体の有無やフローセルを通過した細胞が癌細胞であるか否かを判定することができる。
例えば、細胞が感知領域を通過する時間と当該細胞の核染色に由来する蛍光強度を二軸とする蛍光プロファイル及び散乱光プロファイルを作成し、両者のプロファイルを比較する。2個の細胞が凝集していた場合には、核染色に由来する蛍光プロファイルは、例えば図8(a)に示すような発光プロファイルが得られる。一方、同じ感知領域を通過する時間に対する側方散乱光プロファイルは、図8(b)のようになり、前方散乱光プロファイルでは図8(c)のようになる。散乱光プロファイル図8(b)又は(c)では、パルスが明確に分離されていないため、単一の細胞と判断する可能性が高いが、核染色蛍光プロファイル図8(a)では明確に2つに分離されたパルスが表れるので、これにより、単位時間あたりに2つの細胞核が通過したこと、すなわち2個の細胞凝集体が通過したものであると判定できる。従って、細胞を撮像しなくても、散乱光プロファイルに加えて、核染色プロファイルを判定することにより、細胞凝集体を検知し、解析対象から除外することが可能となる。
尚、ステップ#6では、フローセルを通過する細胞の散乱光プロファイルと蛍光プロファイルを比較して、単一細胞か凝集細胞であるかを判定してもよいし、予め単一の細胞がフローセルを通過する時間と当該細胞の核染色に由来する蛍光強度の基本的蛍光プロファイルをデータベースファイルとして保存しておき、計測により得られる核蛍光プロファイルと基本プロファイルのデータとを比較し、パターンが異なる場合に細胞凝集であると判断するようにしてもよい。
また、核染色由来の蛍光プロファイルから細胞核のサイズ(N)を求め、該当細胞の側方散乱光パルス幅(SSCW)から細胞質のサイズ(C)を求め、細胞質に対する細胞核の比率(N/C)を求める。具体的には、図9(a)に示すSSCプロファイルにおいて、表れるパルスの幅Cが細胞質サイズCとなり、図9(b)に示す細胞核蛍光プロファイルにおける蛍光プロファイルの半値幅等が核サイズNとなる。癌細胞は、N/Cが大きいことから、算出したN/Cが所定値以上の場合には、癌細胞らしさが高いと判断することができる。
このように、核染色由来の蛍光プロファイル、さらには散乱光プロファイルを解析することにより、細胞画像を作成しなくても、細胞凝集体を見つけ出して偽陽性と判定された正常扁平上皮細胞がグループIIIに分類されることを防止したり、あるいは第3抗体に対して陽性の細胞(グループIII)から、正常な扁平上皮細胞である基底細胞層扁平上皮細胞と扁平上皮癌細胞とを分別することができるので、扁平上皮系異型細胞のスクリーニング精度をさらに高めることが可能となる。
〔子宮頸癌細胞の自動診断方法〕
本発明の子宮頸癌細胞の自動診断方法は、上記本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法に従って、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を自動的に判定するとともに、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞と判定された細胞の、測定用試料に含まれる細胞集合体に対する含有割合が所定値以上の場合には、腺癌又は扁平上皮癌であると判断する方法である。
本発明の子宮頸癌細胞の自動診断方法は、上記本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法に従って、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を自動的に判定するとともに、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞と判定された細胞の、測定用試料に含まれる細胞集合体に対する含有割合が所定値以上の場合には、腺癌又は扁平上皮癌であると判断する方法である。
スクリーニング方法としてフローサイトメトリーを適用した場合、1つの検体についての解析結果として蛍光パラメータに対する細胞数のヒストグラムや、図3に示すような各抗体に対する蛍光パラメータの三次元座標に、測定用試料に含まれる全ての細胞についてプロットした散布図、あるいは各抗体の蛍光パラメータと散乱光パラメータの二次元座標に、測定用試料に含まれる全ての細胞についてプロットした散布図を作成して、個々の細胞に該当するドットの分散状態から診断することができる。
例えば、グループI、グループIIIに相当する部分のプロット密度が所定割合を超えるときには、子宮頸癌であると診断することができる。
自動診断の判定においては、例えば、散乱光パラメータとして、側方散乱光パルス高さ(SSCP)を計測し、蛍光パラメータとの二次元分布図を作成することにより、あるエリアを区切り、エリアごとの異型細胞の出願頻度を調べ、異型細胞が多く出現する場合には、判定基準とする割合を補正してもよい。
〔扁平上皮系異型細胞のスクリーニング方法〕
本発明は、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別するだけでなく、腺癌上皮系異型細胞の有無を判別するスクリーニング方法にも適用できる。
本発明は、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別するだけでなく、腺癌上皮系異型細胞の有無を判別するスクリーニング方法にも適用できる。
すなわち、互いに識別可能な標識で標識された腺系細胞と反応する抗腺系細胞標識抗体及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する抗扁平上皮系異型細胞標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、検出された標識に基づいて、扁平上皮系異型細胞の有無を判別する子宮頸癌のスクリーニング方法である。
腺系細胞と反応する標識抗体の抗体は、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する標識抗体の抗体が、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。つまり、扁平上皮系異型細胞の有無を判別するスクリーニング方法に使用する診断試薬は、上記子宮頸癌のスクリーニング方法で使用した第1標識抗体及び/又は第2標識抗体と、第3標識抗体との混合物であり、上記子宮頸癌のスクリーニング方法で用いられる診断試薬と同一の試薬を用いることもできるし、子宮頸癌診断試薬から第1標識抗体又は第2標識抗体を除いたものを使用してもよい。
判別は、腺系細胞と反応する抗腺系細胞標識抗体に対して陰性で、且つ子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する抗扁平上皮系異型細胞標識抗体に対して陽性であれば、扁平上皮系異型細胞が存在すると判断することになるが、細胞残渣や、僅かではあるが検体に混入する正常な細胞基底層の扁平上皮系異型細胞と扁平上皮系異型細胞とを区別するために、図4のステップ#4で行ったような細胞の大きさを反映する散乱光パラメータと蛍光標識パラメータの二次元分布図を作成したり、図5の態様のステップ#5で行ったような細胞画像を作成したり、図7の態様で行ったシグナル解析を行えばよい。
〔診断試薬の調製〕
(1)第1標識抗体含有試薬
第1標識抗体としてサイトケラチン7抗体を使用し、以下のようにして標識して、第1標識抗体含有試薬を調製した。
サイトケラチン7抗体が1μg/mlとなるように1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した一次抗体液に、標識となる二次抗体(Alexa488(緑色蛍光色素)を結合したマウスIgG F(ab)2)2μg/mlを添加混合し、5分間反応させた。次にマウスIgGの終濃度が10μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、過剰な二次抗体を吸収した。尚、二次抗体の希釈液としては、1%ヤギ血清を含むPBSを用いた。
(1)第1標識抗体含有試薬
第1標識抗体としてサイトケラチン7抗体を使用し、以下のようにして標識して、第1標識抗体含有試薬を調製した。
サイトケラチン7抗体が1μg/mlとなるように1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した一次抗体液に、標識となる二次抗体(Alexa488(緑色蛍光色素)を結合したマウスIgG F(ab)2)2μg/mlを添加混合し、5分間反応させた。次にマウスIgGの終濃度が10μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、過剰な二次抗体を吸収した。尚、二次抗体の希釈液としては、1%ヤギ血清を含むPBSを用いた。
(2)第2標識抗体含有試薬
第2標識抗体としてサイトケラチン8抗体を使用し、以下のようにして標識して、第2標識抗体含有試薬を調製した。
サイトケラチン8抗体が1μg/mlとなるように1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した一次抗体液に、標識となる二次抗体(R−PE(オレンジ蛍光色素)を結合したマウスIgG F(ab)2)2μg/mlを添加混合し、5分間反応させた。次にマウスIgGの終濃度が100μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、過剰な二次抗体を吸収した。尚、二次抗体の希釈液としては、1%ヤギ血清を含むPBSを用いた。
第2標識抗体としてサイトケラチン8抗体を使用し、以下のようにして標識して、第2標識抗体含有試薬を調製した。
サイトケラチン8抗体が1μg/mlとなるように1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した一次抗体液に、標識となる二次抗体(R−PE(オレンジ蛍光色素)を結合したマウスIgG F(ab)2)2μg/mlを添加混合し、5分間反応させた。次にマウスIgGの終濃度が100μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、過剰な二次抗体を吸収した。尚、二次抗体の希釈液としては、1%ヤギ血清を含むPBSを用いた。
(3)第3標識抗体含有試薬
第3標識抗体としてNMP179抗体を使用し、以下のようにして標識して、第3標識抗体含有試薬を調製した。
第3標識抗体としてNMP179抗体を使用し、以下のようにして標識して、第3標識抗体含有試薬を調製した。
NMP179抗体が7.4μg/mlとなるように1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した一次抗体液に、標識となる二次抗体(Alexa488(緑色蛍光色素)を結合したマウスIgG F(ab)2)10μg/mlを添加混合し、5分間反応させた。次にマウスIgGの終濃度が250μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、過剰な二次抗体を吸収した。尚、二次抗体の希釈液としては、1%ヤギ血清を含むPBSを用いた。
〔使用した細胞〕
腺癌細胞のサンプルとして、子宮頸部腺癌の培養細胞であるHeLa細胞を用いた。扁平上皮癌細胞のサンプルとして、子宮頸部扁平上皮癌の培養細胞であるC33A細胞を用いた。正常腺細胞及び正常扁平上皮細胞として、それぞれ腺細胞が多い正常な臨床検体1(以下、単に「正常腺細胞」という)及び扁平上皮細胞が多い正常な臨床検体2(以下、単に「正常扁平上皮細胞」という)を用いた。
腺癌細胞のサンプルとして、子宮頸部腺癌の培養細胞であるHeLa細胞を用いた。扁平上皮癌細胞のサンプルとして、子宮頸部扁平上皮癌の培養細胞であるC33A細胞を用いた。正常腺細胞及び正常扁平上皮細胞として、それぞれ腺細胞が多い正常な臨床検体1(以下、単に「正常腺細胞」という)及び扁平上皮細胞が多い正常な臨床検体2(以下、単に「正常扁平上皮細胞」という)を用いた。
〔細胞の反応性〕
実施例1
4本のチューブを準備し、各チューブにそれぞれHeLa細胞、C33A細胞、臨床献体1、2を、約1×106個づついれた。Cytyc社のPreservCyt液で細胞を固定した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。次に、5%N−アセチル−L−システインを添加し、攪拌した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。細胞をPBSで洗浄した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。1%ヤギ血清を含むPBS又はPBS−T(0.05%Tween20を含むPBS)1mlを添加し、攪拌後、10分間ブロッキング反応を行った。
実施例1
4本のチューブを準備し、各チューブにそれぞれHeLa細胞、C33A細胞、臨床献体1、2を、約1×106個づついれた。Cytyc社のPreservCyt液で細胞を固定した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。次に、5%N−アセチル−L−システインを添加し、攪拌した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。細胞をPBSで洗浄した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。1%ヤギ血清を含むPBS又はPBS−T(0.05%Tween20を含むPBS)1mlを添加し、攪拌後、10分間ブロッキング反応を行った。
ブロッキング後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。上記で調製した第1標識抗体含有試薬を添加し、30分間室温で攪拌反応させた。
抗体反応後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去し、ペレットをPBS又はPBS−Tでピぺッティングすることにより、洗浄した。その後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去し、再度PBS又はPBS−T1mlで洗浄した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。PBSで懸濁した後、蛍光顕微鏡で観察するとともに、フローサイトメータFACSCalibur(FSC;E00 1.00,SSC304v FL1;340v FL2;282v)で測定し、各蛍光標識に対する細胞数をカウントしてヒストグラムを作成した。
抗体反応後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去し、ペレットをPBS又はPBS−Tでピぺッティングすることにより、洗浄した。その後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去し、再度PBS又はPBS−T1mlで洗浄した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。PBSで懸濁した後、蛍光顕微鏡で観察するとともに、フローサイトメータFACSCalibur(FSC;E00 1.00,SSC304v FL1;340v FL2;282v)で測定し、各蛍光標識に対する細胞数をカウントしてヒストグラムを作成した。
HeLa細胞、C33A細胞、正常腺細胞、正常扁平上皮細胞との反応結果を示す各顕微鏡写真を図10に示す。また、各細胞についての、蛍光標識Alexa488に由来する緑色蛍光強度と細胞数との関係を示したヒストグラムを図11〜図14に示す。
第1標識抗体含有試薬に代えて、第2標識抗体含有試薬、第3標識抗体含有試薬を用いて、同様の操作を行った。但し、第3標識抗体含有試薬については、C33A細胞及び正常扁平上皮細胞についてだけ行った。
第2標識抗体含有試薬との反応結果を示す各細胞の顕微鏡写真を図15に、R−PEに由来するオレンジ色の蛍光強度と細胞数との関係を示したヒストグラムを図16〜図19に示す。また、第3標識抗体含有試薬との反応結果を示すC33A細胞及び正常扁平上皮細胞の顕微鏡写真を、それぞれ図20に、蛍光標識Alexa488に由来する緑色蛍光強度と細胞数との関係を示したヒストグラムを図21に示す。図21中、(a)は正常扁平上皮細胞、(b)は扁平上皮癌細胞のヒストグラムである。
〔細胞の染色結果〕
図10〜21から、いずれについても顕微鏡写真で蛍光が観察されるものについては、ヒストグラムで102程度の強度でピークが認められ、相関関係があることが確認できた。そして、図10〜14から、第1標識抗体含有試薬を用いた場合、HeLa細胞及び正常腺細胞と反応を示し、C33A及び正常扁平上皮細胞と反応しなかったことが確認できた。
図10〜21から、いずれについても顕微鏡写真で蛍光が観察されるものについては、ヒストグラムで102程度の強度でピークが認められ、相関関係があることが確認できた。そして、図10〜14から、第1標識抗体含有試薬を用いた場合、HeLa細胞及び正常腺細胞と反応を示し、C33A及び正常扁平上皮細胞と反応しなかったことが確認できた。
また、図15〜19から、第2標識抗体含有試薬を用いた場合、HeLa細胞との反応は陽性であったが、正常腺細胞、正常扁平上皮細胞、C33A細胞との反応は陰性であることが確認できた。
さらに、図20,21から、第3標識抗体含有試薬を用いた場合、C33A細胞との反応は陽性であるが、正常扁平上皮細胞との反応は陰性であることが確認できた。
従って、第1標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体との各反応性を判定することにより、腺癌細胞及び/又は扁平上皮癌細胞をスクリーニングできることがわかる。
従って、第1標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体との各反応性を判定することにより、腺癌細胞及び/又は扁平上皮癌細胞をスクリーニングできることがわかる。
〔核染色による扁平上皮系癌細胞の判別〕
実施例2
チューブに、口腔粘膜の上皮細胞を約1×106個入れ、RNAによる非特異染色を防止するために、PBSで希釈したリボヌクレアーゼA(シグマ社#R−4612)300μg/mlを100μl添加した。5分間室温で攪拌した後、10000rpmで1分間遠心分離して上清を取り除いた。次いで、核染色用溶液として、PI(Propidium iodide)10μMを500μlを添加し、30分間室温で攪拌した。10000rpmで1分間遠心分離して、上清を除去した後、0.05%PBSTを500μl添加し、10000rpmで1分間遠心分離した。適当量のPBSで溶液置換をした後、図6に示す構成を有するフローサイトメータにかけた。
実施例2
チューブに、口腔粘膜の上皮細胞を約1×106個入れ、RNAによる非特異染色を防止するために、PBSで希釈したリボヌクレアーゼA(シグマ社#R−4612)300μg/mlを100μl添加した。5分間室温で攪拌した後、10000rpmで1分間遠心分離して上清を取り除いた。次いで、核染色用溶液として、PI(Propidium iodide)10μMを500μlを添加し、30分間室温で攪拌した。10000rpmで1分間遠心分離して、上清を除去した後、0.05%PBSTを500μl添加し、10000rpmで1分間遠心分離した。適当量のPBSで溶液置換をした後、図6に示す構成を有するフローサイトメータにかけた。
488nmのアルゴンイオンレーザーで励起し、核染色に由来するオレンジ色の蛍光プロファイル、及び側方散乱光プロファイルを記録するとともに、フローセルを通過する細胞画像を作成した。核染色プロファイル及び側方散乱光プロファイルを図22に示す。
図22において、実線は核染色由来の蛍光プロファイルであり、破線は散乱光プロファイルである。側方散乱光プロファイルから求められる細胞の大きさ(C)は細胞画像から計測された細胞の大きさとほぼ一致していた。また、細胞画像から求められる核の位置は、図22に示すプロファイルの核パルスの位置と相関関係があることが確認でき、さらに、細胞核の大きさ(N)は核蛍光パルス(半値幅)と対応していることが確認できた。
扁平上皮癌細胞及び扁平上皮系正常細胞を混合した試料を調製し、フローサイトメータにかけた。フローセルを通過した個々の細胞について、図22に相当するプロファイルを作成し、これから求められる細胞の大きさ(C)及び細胞核の大きさ(N)からN/Cを算出した。測定用試料(細胞集団)について算出したN、C、及びN/CをそれぞれX軸、Y軸、Z軸とする3次元座標にドットプロットしたところ、図23のようになった。図23中、扁平上皮細胞癌細胞は黒丸「●」でプロットされ、正常扁平上皮細胞は白丸「○」でプロットされている。扁平上皮細胞癌細胞は一般に高いN/Cを示すことから、図23に示す3次元座標では、扁平上皮細胞癌細胞と正常扁平上皮細胞のプロット位置が分別されていることがわかる。従って、細胞画像による判断を行わなくても、図7に示すフローチャートに従って、核染色プロファイル及び側方散乱光プロファイルから細胞の大きさと細胞核の大きさの比(N/C)を算出し、この値が一定値以上の場合には癌細胞であるとの判定を行うことにより、扁平上皮癌細胞のスクリーニング精度をより高めることができる。
〔モデル検体を用いたスクリーニング方法の検証〕
実施例3
子宮頸部正常扁平上皮細胞の代用として口腔粘膜上皮細胞、子宮頸部腺癌細胞としてHeLa細胞、子宮頸部扁平上皮癌細胞としてC33A細胞を用いた、下記(A)〜(C)のモデル検体を用いて、本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法を検証した。
実施例3
子宮頸部正常扁平上皮細胞の代用として口腔粘膜上皮細胞、子宮頸部腺癌細胞としてHeLa細胞、子宮頸部扁平上皮癌細胞としてC33A細胞を用いた、下記(A)〜(C)のモデル検体を用いて、本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法を検証した。
(A)正常検体のモデル検体
保存液PreservCyt(Cytyc; Cat#0234004)中に約2×105細胞/tubeの口腔粘膜上皮細胞を保存したものである。
(B)子宮頸部腺癌細胞を含む検体のモデル検体
PreservCyt中に約2×105細胞/tubeのHeLa細胞を保存したものと、(A)のモデル検体とを、約1×105細胞ずつ混合し、総細胞数約2×105細胞/tubeに調製したものである。
(C)子宮頸部扁平上皮癌細胞を含む検体のモデル検体
PreservCyt中に約2×105細胞/tubeのC33A細胞を保存したものと、(A)のモデル検体とを、約1×105細胞ずつ混合し、総細胞数約2×105細胞/tubeに調製したものである。
保存液PreservCyt(Cytyc; Cat#0234004)中に約2×105細胞/tubeの口腔粘膜上皮細胞を保存したものである。
(B)子宮頸部腺癌細胞を含む検体のモデル検体
PreservCyt中に約2×105細胞/tubeのHeLa細胞を保存したものと、(A)のモデル検体とを、約1×105細胞ずつ混合し、総細胞数約2×105細胞/tubeに調製したものである。
(C)子宮頸部扁平上皮癌細胞を含む検体のモデル検体
PreservCyt中に約2×105細胞/tubeのC33A細胞を保存したものと、(A)のモデル検体とを、約1×105細胞ずつ混合し、総細胞数約2×105細胞/tubeに調製したものである。
(1)測定用試料の調製
(1−1:粘液除去処理)
(A)〜(C)の各モデル検体を、1.5mlの遠心チューブに入れ、10,000rpmで1分間遠心し、上清を除去した。次に、PBST(0.05%Tween20入りPBS)で一回洗浄した後、再び10,000rpmで1分間遠心し、上清を除去して、各検体に含まれる細胞ペレットを調製した。
(1−1:粘液除去処理)
(A)〜(C)の各モデル検体を、1.5mlの遠心チューブに入れ、10,000rpmで1分間遠心し、上清を除去した。次に、PBST(0.05%Tween20入りPBS)で一回洗浄した後、再び10,000rpmで1分間遠心し、上清を除去して、各検体に含まれる細胞ペレットを調製した。
細胞ペレットの入ったチューブにPBS400μlを添加した後、粘液除去液として、10%N−アセチル−L−システイン(シグマ社のCat#A7250)PBS溶液を400μl添加し、軽くVoltexミキサーにて撹拌後、さらにPBST400μlを添加した。次に、10,000rpmで1分間遠心し、上清を除去した。ペレットをPBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。再度PBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去して、粘液除去されたペレットを得た。
(1−2:細胞分散処理)
上記の粘液除去されたペレットの入ったチューブにZamboni固定溶液[0.21%2,4,6−トリニトロフェノール(WAKOのCat#205−08672)、2%パラホルムアルデヒド(nacalai tesqueのCat#EMS−80)]を400μl添加した。軽くVoltexミキサーにて撹拌し、ローテーターで10分間反応させた後、PBST400μl添加し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。次いで、PBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。再度、PBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。洗浄したペレットにPBS300μlを添加して、37℃で約5分間プレインキュベートした後、酵素反応液300μl(25%コラゲナーゼ タイプI(WarthingtonのCat#4196)2.4μl(終濃度 0.2%)、25%コラゲナーゼ タイプII(WarthingtonのCat#4176)2.4μl(終濃度 0.2%)、12.5%プロテアーゼ(シグマ社のCat#P−5027)2.4μl(終濃度 0.1%)、及びPBS292.8μl)を添加し、37℃で反応させた。2.5分間後、反応停止液として、氷上で冷やした1%PI reaction stop buffer(プロテアーゼインヒビター(シグマ社のCat#P8340)10μlと、PBS1mlとの混合液)600μlを添加し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。ペレットをPBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。
上記の粘液除去されたペレットの入ったチューブにZamboni固定溶液[0.21%2,4,6−トリニトロフェノール(WAKOのCat#205−08672)、2%パラホルムアルデヒド(nacalai tesqueのCat#EMS−80)]を400μl添加した。軽くVoltexミキサーにて撹拌し、ローテーターで10分間反応させた後、PBST400μl添加し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。次いで、PBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。再度、PBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。洗浄したペレットにPBS300μlを添加して、37℃で約5分間プレインキュベートした後、酵素反応液300μl(25%コラゲナーゼ タイプI(WarthingtonのCat#4196)2.4μl(終濃度 0.2%)、25%コラゲナーゼ タイプII(WarthingtonのCat#4176)2.4μl(終濃度 0.2%)、12.5%プロテアーゼ(シグマ社のCat#P−5027)2.4μl(終濃度 0.1%)、及びPBS292.8μl)を添加し、37℃で反応させた。2.5分間後、反応停止液として、氷上で冷やした1%PI reaction stop buffer(プロテアーゼインヒビター(シグマ社のCat#P8340)10μlと、PBS1mlとの混合液)600μlを添加し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。ペレットをPBST600μlで洗浄、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。
さらに、PBST300μl添加して懸濁し、直径100μmのフィルターを通すことにより細胞凝集物を除去した。PBST300μlでフィルターを洗浄し、洗浄液は回収した。得られた濾液を、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去し、測定用試料となる細胞群を得た。
(1−3:診断試薬(抗体含有試薬)の調製)
第1標識抗体としてサイトケラチン7抗体を使用し、以下のようにして標識して第1標識抗体含有試薬を調製した。
すなわちPBSTで希釈したMonoclonal Mouse Anti−Human Cytokeratin 7(DakoCytomation社のCat#M7018)(終濃度2.6ug/ml)と、Alexa647−RPEが結合したヤギ抗マウスIgG抗体(Molecular Probe社のCat#A20990)(終濃度7.8ug/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が128.8μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第1標識抗体含有試薬を得た。
第1標識抗体としてサイトケラチン7抗体を使用し、以下のようにして標識して第1標識抗体含有試薬を調製した。
すなわちPBSTで希釈したMonoclonal Mouse Anti−Human Cytokeratin 7(DakoCytomation社のCat#M7018)(終濃度2.6ug/ml)と、Alexa647−RPEが結合したヤギ抗マウスIgG抗体(Molecular Probe社のCat#A20990)(終濃度7.8ug/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が128.8μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第1標識抗体含有試薬を得た。
第2標識抗体としてサイトケラチン8抗体を使用し、以下のようにして標識して第2標識抗体含有試薬を調製した。
すなわち、PBSTで希釈したAnti−Cytokeratin(CAM5.2)(BECTON DICKINSON社のCat#349205)(終濃度2.5μg/ml)と、R−PE(オレンジ蛍光色素)が結合したF(ab’)2ヤギ抗マウスIgG抗体(DakoCytomation社のCat#R0480)(終濃度6.25μg/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が151.2μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第2標識抗体含有試薬を調製した。
すなわち、PBSTで希釈したAnti−Cytokeratin(CAM5.2)(BECTON DICKINSON社のCat#349205)(終濃度2.5μg/ml)と、R−PE(オレンジ蛍光色素)が結合したF(ab’)2ヤギ抗マウスIgG抗体(DakoCytomation社のCat#R0480)(終濃度6.25μg/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が151.2μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第2標識抗体含有試薬を調製した。
第3標識抗体としてNMP179抗体を使用し、以下のようにして標識して第3標識抗体含有試薬を調製した。
すなわち、PBSTで希釈したNMP179抗体(終濃度4.89μg/ml)と、Alexa488(緑色蛍光色素)を結合したヤギ抗マウスIgG F(ab’)2(Molecular Probe社のCat#A11017)(終濃度10μg/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が246.4μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第3標識抗体含有液を調製した。
すなわち、PBSTで希釈したNMP179抗体(終濃度4.89μg/ml)と、Alexa488(緑色蛍光色素)を結合したヤギ抗マウスIgG F(ab’)2(Molecular Probe社のCat#A11017)(終濃度10μg/ml)とを混合し、遮光して5分間ローテーターにて回転させながら反応させた後、マウスIgGを終濃度が246.4μg/mlとなるように添加し、5分間攪拌して、第3標識抗体含有液を調製した。
上記で調製した第1標識抗体含有液、第2標識抗体含有液及び第3標識抗体含有液を、等量づつ混合して、抗体含有試薬を調製した。
(2)抗体反応
(1−2)で調製した細胞群が入ったチューブに、1%ヤギ血清(Cedarlanelabs Cat#CL1200)を含有するPBST溶液600μlを添加し、10分間攪拌して、ブロッキング反応を行なった。10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。このペレットに、(1−3)で調製した抗体含有試薬200μlを添加し、遮光して30分間攪拌して、抗体反応をさせた。反応後、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去し、次いでPBST600μlで洗浄し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。再度、PBST600μlで洗浄し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。
(1−2)で調製した細胞群が入ったチューブに、1%ヤギ血清(Cedarlanelabs Cat#CL1200)を含有するPBST溶液600μlを添加し、10分間攪拌して、ブロッキング反応を行なった。10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。このペレットに、(1−3)で調製した抗体含有試薬200μlを添加し、遮光して30分間攪拌して、抗体反応をさせた。反応後、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去し、次いでPBST600μlで洗浄し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。再度、PBST600μlで洗浄し、10,000rpmで1分間遠心後、上清を除去した。
(3)フローサイトメータによる測定
抗体反応後の細胞群が入ったチューブにRET−SHEATH(シスメックス社のCat#RSE−900A)200μlを添加して細胞を懸濁し、図6に示したような光学系を有する撮像機能つきフローサイトメータで前方散乱光及び蛍光を測定した。
抗体反応後の細胞群が入ったチューブにRET−SHEATH(シスメックス社のCat#RSE−900A)200μlを添加して細胞を懸濁し、図6に示したような光学系を有する撮像機能つきフローサイトメータで前方散乱光及び蛍光を測定した。
(4)スクリーニング方法の検証
(B)子宮頸部腺癌細胞を含む検体のモデル検体の測定結果を図24〜26に示す。図24は第1標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図25は第2標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図26は第3標識抗体由来の標識を検出した測定結果である。図24〜26中、縦軸は前方散乱光パルス幅、横軸は各標識に対応する蛍光強度を示す。また、点線で囲んだ領域内は、癌あるいは異型細胞の候補領域(以下、「異型細胞候補領域」と称す)を示す。図24〜図26の異型細胞候補領域内に細胞集団が認められ、このモデル検体が、表1のグループIに属する細胞を含むことが確認できた。
(B)子宮頸部腺癌細胞を含む検体のモデル検体の測定結果を図24〜26に示す。図24は第1標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図25は第2標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図26は第3標識抗体由来の標識を検出した測定結果である。図24〜26中、縦軸は前方散乱光パルス幅、横軸は各標識に対応する蛍光強度を示す。また、点線で囲んだ領域内は、癌あるいは異型細胞の候補領域(以下、「異型細胞候補領域」と称す)を示す。図24〜図26の異型細胞候補領域内に細胞集団が認められ、このモデル検体が、表1のグループIに属する細胞を含むことが確認できた。
(C)子宮頸部扁平上皮癌細胞を含む検体のモデル検体の測定結果を図27〜29に示す。図27は第1標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図28は第2標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図29は第3標識抗体由来の標識を検出した測定結果である。図27〜29中、縦軸は前方散乱光パルス幅、横軸は各標識に対応する蛍光強度を示す。また、点線で囲んだ領域内は、異型細胞候補領域である。図27及び図28の異型細胞候補領域内に細胞集団は認められないが、図29の異型細胞領域内に細胞集団が認められ、このモデル検体が、表1のグループIIIに属する細胞を含むことが確認できた。
(A)正常検体のモデル検体の測定結果を図30〜32に示す。図30は第1標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図31は第2標識抗体由来の標識を検出した測定結果であり、図32は第3標識抗体由来の標識を検出した測定結果である。図30〜32中、縦軸は前方散乱光パルス幅、横軸は各標識に対応する蛍光強度を示す。また、点線で囲んだ領域内は、異型細胞候補領域である。図30〜32の異型細胞候補領域内に細胞集団は認められず、いずれも異型細胞候補領域外のみに細胞集団が認められた。従って、このモデル検体が、表1のグループIVに属する細胞を含むことが確認できた。
以上から、本発明のスクリーニング方法によれば、子宮頸部腺癌細胞あるいは子宮扁平上皮癌細胞の有無を、フローサイトメータで自動的に判別できることがわかる。
本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法は、高精度且つ高効率で、子宮腺癌及び/扁平上皮癌の有無をスクリーニングすることができるので、大量の検体を処理しなければならない健康診断等で行われる子宮頸癌の細胞診断に有用である。さらに、本発明の子宮頸癌のスクリーニング方法では、子宮腺癌と扁平上皮癌を区別してスクリーニングすることができるので、子宮頸癌の種類の判断が必要な診断に有効に利用できる。
Claims (26)
- 互いに識別可能な標識物質で標識された、腺系細胞と反応する第1標識抗体、腺癌細胞と反応する第2標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、
前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、
検出された標識に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 前記標識の少なくとも1つが蛍光標識である請求項1に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記判別は、
前記測定用試料中の細胞について、第1標識抗体の第1標識を検出する手段により、当該細胞の第1標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、
前記第1蛍光標識抗体に対して陽性と判定した細胞について、第2標識抗体の第2標識を検出する手段により、前記測定用試料中の細胞の第2標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、
前記第1標識抗体に対して陰性と判定した細胞について、第3標識抗体の第3標識を検出する手段により、当該測定用試料中の細胞の第3標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定することにより行われる請求項1又は2に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて調製された測定用試料に励起光を照射し、前記測定用試料から発せられた蛍光を検出し、
検出された蛍光に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 前記第1標識抗体の抗体は、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記第2標識抗体の抗体は、サイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記第3標識抗体の抗体は、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記判別は、
前記測定用試料中の細胞から発せられた蛍光について、第1蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第1蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、
前記第1蛍光標識抗体に対して陽性と判定した細胞から発せられた蛍光について、第2蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第2蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定し、
前記第1蛍光標識抗体に対して陰性と判定した該細胞から発せられた蛍光について、第3蛍光標識由来の蛍光強度を測定することにより、該細胞の第3蛍光標識抗体に対する反応の陽性又は陰性を判定することにより行われる請求項4〜7のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 前記判別は、
前記測定用試料をフローサイトメータのフローセルに流し、フローセルを流れる前記測定用試料中の細胞に励起光を照射し、前記細胞から発せられた蛍光について、第1蛍光標識由来の蛍光パラメータ、第2蛍光標識由来の蛍光パラメータ、及び第3蛍光標識由来の蛍光パラメータをそれぞれ計測し、各蛍光パラメータ値の組合わせによって行われる請求項4〜7のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 前記蛍光パラメータは、蛍光強度、蛍光パルス幅及び蛍光パルス面積からなる群より選択される請求項9に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- さらに前記測定用試料中の細胞についての散乱光パラメータを計測して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する請求項9又は10に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記散乱光パラメータが、前方散乱光強度、前方散乱光パルス幅及び側方散乱光パルス幅からなる群より選ばれる請求項11に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 第1蛍光標識由来の蛍光パラメータ、第2蛍光標識由来の蛍光パラメータ、及び第3蛍光標識由来の蛍光パラメータからなる群より選ばれる1種の蛍光パラメータと、前記散乱光パラメータとを二軸とする二次元分布図を作成して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異常細胞の有無を判別する請求項11又は12に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記測定用試料中の子宮頸部細胞が、さらに予め核染色可能な蛍光色素で染色されており、
子宮頸部細胞の核染色由来の蛍光プロファイルと、該子宮頸部細胞から発光される核染色由来以外の発光プロファイル及び前方散乱光プロファイル及び側方散乱光プロファイルとの比較から、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する請求項9〜13のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 前記フローサイトメータが撮像手段を備え、第3蛍光標識抗体に対する反応が陽性と判定された細胞について、細胞画像を撮像する請求項9〜14に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記子宮頸部細胞は、単細胞に分散された細胞の集合体である請求項1〜15のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 前記子宮頸部細胞は、塗抹標本上の細胞である請求項1〜8のいずれかに記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 互いに識別可能な蛍光で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体を含む子宮頸癌診断試薬。
- 前記第1標識抗体の抗体は、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第2標識抗体の抗体は、サイトケラチン8抗体及びHIK1083抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第3標識抗体の抗体は、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項18に記載の診断薬。 - 請求項1〜17に記載のスクリーニング方法において、
腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を自動的に判定するとともに、
腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞と判定された細胞の、測定用試料に含まれる細胞集合体に対する含有割合が所定値以上の場合には、腺癌又は扁平上皮癌であると判断する子宮頸癌の自動診断方法。 - 互いに識別可能な標識で標識された、腺系細胞と反応する抗腺系細胞標識抗体及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する抗扁平上皮系異型細胞抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて測定用試料を調製し、
前記子宮頸部細胞に結合した前記各標識抗体由来の標識をそれぞれ検出し、
検出された標識に基づいて、扁平上皮系異型細胞の有無を判別する子宮頸癌のスクリーニング方法。 - 腺系細胞と反応する標識抗体の抗体が、MUC1抗体、サイトケラチン7抗体、及びサイトケラチン18抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項21に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する標識抗体の抗体が、NMP179抗体、p16INK4A抗体、Ki−67抗体、p53抗体、p21抗体、EMA抗体、CEA抗体及びMIB−1抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項21又は22に記載の子宮頸癌のスクリーニング方法。
- 互いに識別可能な蛍光物質で標識された、腺系細胞と反応する第1蛍光標識抗体、腺癌細胞と反応する第2蛍光標識抗体、及び子宮頸部扁平上皮系異型細胞と反応する第3蛍光標識抗体と、子宮頸部細胞とを反応させて調製された測定用試料を、導入するためのフローセル;
該フローセル内を流れる測定用試料中の細胞に励起光を照射するための光源;
励起光を照射された前記細胞より発せられた第1蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第1の蛍光検出器;
励起光を照射された前記細胞より発せられた第2蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第2の蛍光検出器;
励起光を照射された前記細胞より発せられた第3蛍光標識抗体由来の蛍光を検出するための第3の蛍光検出器;及び
検出された蛍光が第1蛍光標識抗体、第2標識抗体、第3標識抗体のいずれの由来であるかを判定し、その判定結果に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する解析部;
を備えた子宮頸癌のスクリーニング装置。 - さらに前記細胞の散乱光を検出するための散乱光検出部を備え、
前記解析部は、検出された蛍光及び散乱光を二軸とする二次元分布図を作成し、該分布図に基づいて、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無の判別手段を備えている請求項24に記載のスクリーニング装置。 - さらに撮像手段を備え、
前記解析部は、撮像された画像を加味して、腺癌細胞及び/又は扁平上皮系異型細胞の有無を判別する請求項24又は25に記載のスクリーニング装置。
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