本発明は、故障診断サービスシステム、故障診断サービス方法、車載装置、故障情報提供プログラム、故障情報提供プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び情報センタに係り、特に、車両で生じた故障の情報をコード化して外部へ送信するうえで好適な故障診断サービスシステム、故障診断サービス方法、車載装置、故障情報提供プログラム、故障情報提供プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び情報センタに関する。
従来より、車両の各種状態を検出して車両に生じた故障の有無を判定すると共に、その故障データを外部へ送信する車載装置と、車両故障が生じた際に該車載装置から送信される故障データを受信する情報センタと、を備える故障診断サービスシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいて、情報センタは、車載装置から故障データを受信した場合、その故障に関する情報(故障に対する処置方法など)を車両へ送信する。これにより、車両側は、車両故障に関する情報を情報センタから入手することができる。
特開平7−129894号公報
ところで、上記特許文献1記載の如き故障診断サービスシステムを車両メーカごとに構築することとすると、車両メーカごとに情報センタを設けることが必要となり、全体として膨大なコスト及び手間がかかる。一方、情報センタを車両メーカに関係なく単一のものとすれば、故障診断サービスシステムを構築するうえで低コスト化等を実現することは可能であるが、この際には、複数の車両メーカ間での故障データのセキュリティ性が確保されない事態或いは複数の車両メーカ間での故障データの展開が困難になる事態が生ずるおそれがある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することが可能な故障診断サービスシステム、故障診断サービス方法、車載装置、故障情報提供プログラム、故障情報提供プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び情報センタを提供することを目的とする。
上記の目的は、請求項1に記載する如く、各車両に搭載され、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する車載装置と、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを保存する情報センタと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられ、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する前記データをデコードして故障情報を取得する故障情報取得装置と、を備える故障診断サービスシステムにより達成される。
また、上記の目的は、請求項6に記載する如く、各車両に搭載された車載装置が、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する第1のステップと、情報センタが、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを保存する第2のステップと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられた故障情報取得装置が、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する前記データをデコードして故障情報を取得する第3のステップと、を備える故障診断サービス方法により達成される。
これらの発明において、各車両の車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、その生成されたデータを情報センタへ送信する。情報センタは、車載装置の送信するデータを受信し、その受信したデータを車両メーカごとのフォーマット又は暗号化方式のまま保存する。そして、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場の故障情報取得装置は、情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障データをデコードして故障情報を取得する。かかる構成においては、車両の故障データを送受するシステムが車両メーカに関係なく単一の情報センタにより構築される。また、車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成された故障データのデコードは、その車両メーカ、販売店、又はサービス工場の故障情報取得装置により行われるので、他の車両メーカなどによるデコードの実現は困難であり、このため、車両の故障データが車両から情報センタを経由して車両メーカ等に至るまでに外部へ流出したとしても、その故障データの内容が漏洩することは防止される。従って、本発明によれば、複数の車両メーカ間での故障データのセキュリティ性を確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
この場合、請求項14に記載する如く、情報センタは、各車両に搭載された車載装置から送信される、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成したデータを受信するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信したデータを保存する保存手段と、を備えることとすればよい。
上記の目的は、請求項2に記載する如く、各車両に搭載され、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する車載装置と、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータをデコードして故障情報を保存する情報センタと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられ、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する故障情報取得装置と、を備える故障診断サービスシステムにより達成される。
また、上記の目的は、請求項7に記載する如く、各車両に搭載された車載装置が、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する第1のステップと、情報センタが、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータをデコードして故障情報を保存する第2のステップと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられた故障情報取得装置が、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する第3のステップと、を備える故障診断サービス方法により達成される。
これらの発明において、各車両の車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成し、その生成されたデータを情報センタへ送信する。情報センタは、車載装置の送信するデータを受信し、その受信したデータをデコードして故障情報を車両メーカ間で統一された形式で又は解読した状態で保存する。そして、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場の故障情報取得装置は、情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する。かかる構成においては、車両の故障データを送受するシステムが車両メーカに関係なく単一の情報センタにより構築される。また、車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成された故障データのデコードは、情報センタにより行われるので、車両の故障データが車両から情報センタに至るまでに外部へ流出したとしても、その故障データの内容が漏洩することは防止されると共に、各車両メーカ等のそれぞれが独自のデコード機能を持つことは不要である。従って、本発明によれば、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することができる。
この場合、請求項15に記載する如く、情報センタは、各車両に搭載された車載装置から送信される、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマット又は暗号化方式で生成したデータを受信するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信したデータをデコードするデコード手段と、前記デコード手段によりデコードされたデータを故障情報として保存する保存手段と、を備えることとすればよい。
上記の目的は、請求項3に記載する如く、各車両に搭載され、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する車載装置と、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを保存する情報センタと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられ、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する前記データをデコードして故障情報を取得する故障情報取得装置と、を備える故障診断サービスシステムにより達成される。
また、上記の目的は、請求項8に記載する如く、各車両に搭載された車載装置が、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する第1のステップと、情報センタが、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを保存する第2のステップと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられた故障情報取得装置が、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する前記データをデコードして故障情報を取得する第3のステップと、を備える故障診断サービス方法により達成される。
これらの発明において、各車両の車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、その生成されたデータを情報センタへ送信する。情報センタは、車載装置の送信するデータを受信し、その受信したデータを車両メーカ間で統一された暗号化方式のまま保存する。そして、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場の故障情報取得装置は、情報センタに保存された自車両メーカに対応するデータをデコードして故障情報を取得する。かかる構成においては、車両の故障データを送受するシステムが車両メーカに関係なく単一の情報センタにより構築される。また、車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成された故障データのデコードは、その車両メーカ、販売店、又はサービス工場の故障情報取得装置により行われるので、暗号化方式を統一した車両メーカ以外の車両メーカなどによるデコードの実現は困難であり、このため、車両の故障データが車両から情報センタを経由して車両メーカ等に至るまでに外部へ流出したとしても、その故障データの内容が漏洩することは防止される。従って、本発明によれば、故障データのセキュリティ性を確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
この場合、請求項16に記載する如く、情報センタは、各車両に搭載された車載装置から送信される、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成したデータを受信するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信したデータを保存する保存手段と、を備えることとすればよい。
上記の目的は、請求項4に記載する如く、各車両に搭載され、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する車載装置と、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータをデコードして故障情報を保存する情報センタと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられ、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する故障情報取得装置と、を備える故障診断サービスシステムにより達成される。
また、上記の目的は、請求項9に記載する如く、各車両に搭載された車載装置が、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、該生成されたデータを外部へ送信する第1のステップと、情報センタが、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータをデコードして故障情報を保存する第2のステップと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられた故障情報取得装置が、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する第3のステップと、を備える故障診断サービス方法により達成される。
これらの発明において、各車両の車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成し、その生成されたデータを情報センタへ送信する。情報センタは、車載装置の送信するデータを受信し、その受信したデータをデコードして故障情報を解読した状態で保存する。そして、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場の故障情報取得装置は、情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する。かかる構成においては、車両の故障データを送受するシステムが車両メーカに関係なく単一の情報センタにより構築される。また、車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成された故障データのデコードは、情報センタにより行われるので、車両の故障データが車両から情報センタに至るまでに外部へ流出したとしても、その故障データの内容が漏洩することは防止されると共に、各車両メーカ等のそれぞれが独自のデコード機能を持つことは不要である。従って、本発明によれば、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することができる。
この場合、請求項17に記載する如く、情報センタは、各車両に搭載された車載装置から送信される、車両で生じた故障の情報を車両メーカ間で統一された暗号化方式で生成したデータを受信するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信したデータをデコードするデコード手段と、前記デコード手段によりデコードされたデータを故障情報として保存する保存手段と、を備えることとすればよい。
上記の目的は、請求項5に記載する如く、各車両に搭載され、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換し、該変換されたデータを外部へ送信する車載装置と、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを故障情報として保存する情報センタと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられ、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する故障情報取得装置と、を備える故障診断サービスシステムにより達成される。
また、上記の目的は、請求項10に記載する如く、各車両に搭載された車載装置が、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換し、該変換されたデータを外部へ送信する第1のステップと、情報センタが、前記車載装置の送信するデータを受信し、該受信したデータを故障情報として保存する第2のステップと、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場に設けられた故障情報取得装置が、前記情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する第3のステップと、を備える故障診断サービス方法により達成される。
これらの発明において、各車両の車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換し、その変換されたデータを情報センタへ送信する。情報センタは、車載装置の送信するデータを受信し、その受信したデータを故障情報として車両メーカ間で統一されたフォーマットで保存する。そして、各車両メーカ又は各車両メーカに関連する販売店若しくはサービス工場の故障情報取得装置は、情報センタに保存された自車両メーカに対応する故障情報を取得する。かかる構成においては、車両の故障データを送受するシステムが車両メーカに関係なく単一の情報センタにより構築される。また、車載装置が車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換するので、複数の車両メーカ間での故障データの展開が容易になる。従って、本発明によれば、車両の故障データを送受するシステムを、複数の車両メーカ間での故障データの展開を容易にしつつ複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
この場合、請求項11に記載する如く、車載装置は、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換する変換手段と、前記変換手段により変換されたデータを外部へ送信するデータ送信手段と、を備えることとすればよい。
また、請求項12に記載する如く、各車両に搭載されたコンピュータに、車両で生じた故障の情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換する第1の処理と、前記第1の処理により変換されたデータを外部へ送信する第2の処理と、を実行させるための故障情報提供プログラムによれば、また、請求項13に記載する如く、請求項12記載の故障情報提供プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、車載装置を上記の如く機能させることができる。
尚、上記した発明において、「デコード」とは、フォーマットされた故障データ自体から故障部位を特定する情報を抽出すること、又は、暗号化された故障データを解読することである。
請求項1、6、及び14記載の発明によれば、複数の車両メーカ間での故障データのセキュリティ性を確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
請求項2、7、及び15記載の発明によれば、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することができる。
請求項3、8、及び16記載の発明によれば、故障データのセキュリティ性を確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
請求項4、9、及び17記載の発明によれば、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することができる。
請求項5、10、及び11記載の発明によれば、車両の故障データを送受するシステムを、複数の車両メーカ間での故障データの展開を容易にしつつ複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することができる。
また、請求項12及び13記載の発明によれば、複数の車両メーカ間での故障データの展開を容易に実現させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態である故障診断サービスシステムの構成図を示す。図1に示す如く、本実施形態の故障診断サービスシステムは、車両メーカに関係なく各車両に搭載された車載装置10と、各種情報(特に、各車両の故障診断結果の情報)を管理すると共に、コンテンツプロバイダなどの各種サービスを提供する唯一の情報センタ20と、各車両メーカの車両販売店やサービス工場,修理工場などに設けられた故障情報取得装置30と、により構成されている。車載装置10及び故障情報取得装置30は、携帯電話や固定電話などの電話機やDCM(データコミュニケーションモジュール)などの通信機を介して情報センタ20と通信接続することが可能である。尚、この通信接続は、情報センタ20と使用契約などを締結した車両及び車両販売店等に対してのみ行われるものであればよい。
車載装置10、情報センタ20、及び故障情報取得装置30はそれぞれ、主にマイクロコンピュータを主体として構成される装置である。車載装置10は、通信線(バス)を介して接続されたエンジンやステアリング,ブレーキなどの各種電子制御ユニット(以下、ECUと称す)を有している。これらのECUは、車両の状態具体的には車両で生ずる故障や異常(例えば、ブレーキパッドの減りやライト切れ,エンジンオイルやブレーキオイルなどの交換,バッテリ劣化,タイヤの過度の摩耗など)を車両ダイアグ情報(故障情報)として検出することが可能である。車載装置10は、接続するECUから各車両ダイアグ情報を入手することが可能である。
尚、車載装置10は、自車両のダイアグ情報を入手する前、予め定められたすべてのECUが自己の車載装置10に接続しているか否かを判定する。そして、接続していることが判定されたECUに対して検出した車両ダイアグ情報の供給を要求し、要求に従って各ECUの供給する車両ダイアグ情報を入手する。車載装置10は、入手した車両ダイアグ情報を予め定められたバイナリコードでフォーマットしかつそのフォーマット後の故障データを所定の暗号化方式で暗号化して、通信接続する情報センタ20へ送信する。
尚、この情報送信は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を利用して行われる。ところで、SMTPは、情報が車載装置10から送信される順序と情報センタ20に到着する順序との整合を保証しないので、車両において故障として例えば事象Xの故障が発生し次に事象Yの故障が発生した場合、車載装置10が事象Xの車両ダイアグ情報を通知した後に事象Yの車両ダイアグ情報を通知しても、情報センタ20に事象Yの車両ダイアグ情報が到達した後に事象Yの発生前に生じた事象Xの車両ダイアグ情報が到達することがある。かかる事態が生ずると、車両の車載装置10側における最新の車両ダイアグ情報と、情報センタ20側又は故障情報取得装置30側における最新の車両ダイアグ情報とが整合しない不都合が生じ得る。
図2は、かかる不都合を回避すべく、本実施形態のシステムにおいて車載装置10が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図2に示すルーチンは、車両故障が発生するごとに繰り返し実行されるルーチンである。図2に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
本実施形態において、車載装置10は、時刻を示すタイマ機能、及び、車両の速度やエンジン回転数などの走行状態やアクセル操作やブレーキ操作などの運転状態を示す車両情報をその時点での時刻を付して過去に遡って所定時間だけ記録するドライブレコーダ機能を有している。車載装置10は、車両に故障が発生した場合(ステップ100)、その発生時刻を取得すると共に(ステップ102)、各ECUからの車両ダイアグ情報を取得する(ステップ104)。そして、その入手した車両ダイアグ情報を予め定められたバイナリコードでフォーマットする(ステップ106)。尚、このフォーマットは、以下の実施例に示す如く、車載装置10を搭載する車両が製造された車両メーカ独自のものすなわち車両メーカごとに異なるものであっても、車両メーカ間で共通のものすなわち統一されたものであってもよい。車載装置10は、車両ダイアグ情報のフォーマット後、そのフォーマットされた故障データを故障発生時刻をタイムスタンプして情報センタ20に送信・通知する(ステップ108)。
情報センタ20は、車載装置10から送信されるタイムスタンプの付された故障データを受信する。このタイムスタンプの示す時刻は、車両故障の発生した時刻である。このため、車載装置10から情報センタ20への故障データの通知がSMTPを利用するものであっても、情報センタ20及び故障情報取得装置30が認識する車両故障の順序と、車載装置10が認識する車両故障の順序とが整合しない事態の発生を回避することが可能である。
情報センタ20は、車両の故障データを格納するデータベース25を有している。情報センタ20は、車載装置10からの故障データを受信した場合、その通信接続する車載装置10が搭載された車両の車両メーカを特定し、その車両メーカに割り当てられている車両メーカごとに異なる識別番号を付してその受信した故障発生時刻付きの故障データをデータベース25内の領域に格納・保存する。
故障情報取得装置30は、車両メーカごとに車両販売店やサービス工場などに設けられる装置である。すなわち、唯一の情報センタ20に通信接続する故障情報取得装置30としては、車両メーカごとに対応の故障情報取得装置がある。故障情報取得装置30は、情報センタ20が車載装置10からの故障データを受信した際に自動的に送信する故障発生時刻付きの故障データを受信することにより、或いは、情報センタ20が車載装置10からの故障データを受信した際に自動的に送信する故障データありを示す案内メールの受信後などに情報センタ20にアクセスして故障発生時刻付きの故障データをダウンロードすることにより、故障発生時刻付きの車両の故障情報を取得する。尚、各故障情報取得装置30の取得できる故障情報は、自己の故障情報取得装置30に情報センタ20のデータベース25へのアクセス権が認められている自車両メーカに対応するデータ或いは予め契約した車両メーカに対応するデータのみである。そして、故障情報取得装置30は、車両の故障情報を取得した場合、必要に応じて、その故障情報を自己の有するデータベース35に車種ごとに格納し、車両販売店やサービス工場などのその車両メーカに関連する側に車両の故障情報をディスプレイなどを介して表示・提供し、その故障情報に従って、その車両の車載装置10に対して車両点検や部品交換を促す通知をメール等で行う。
上記した故障診断サービスシステムによれば、車両で発生した故障を示す車両ダイアグ情報(故障情報)が、車載装置10から情報センタ20を経由して車両販売店などの有する故障情報取得装置30に送られるので、車両販売店などが対応の車両メーカによって製造された車両の故障を解析し、或いは、その故障の生じた車両に修理点検や部品交換を促すことが可能となっている。
尚、本実施例のシステムにおいて、車載装置10には、車両速度などの車両情報をその時点での時刻を付して過去に遡って所定時間だけ記録するドライブレコーダ機能が搭載されている。従って、故障情報取得装置30が車両の故障情報を取得した後、車両メーカ側は、その取得した故障発生時刻付きの車両故障情報と、車両のドライブレコードに残された発生時刻付きの車両情報とを比較することにより、車両故障の要因などをきめ細かく解析することができ、車両故障時におけるより詳細な車両状態の経過を把握することが可能となる。
また、上記した故障診断サービスシステムによれば、車両メーカが異なる複数の車両でそれぞれ発生する故障を示す車両ダイアグ情報が、各車載装置10から共通の情報センタ20に送られ、更に、その唯一の情報センタ20から各車両メーカに対応する車両販売店などの故障情報取得装置30に送られるので、車両の故障データを送受するシステムを構築するうえで各車両メーカ個別に情報センタ20を設けることは不要である。このため、車両の故障データを送受するシステムを、車両メーカに関係なく単一の情報センタ20により構築するので、システム全体として簡素にかつ低コストで実現することが可能となっている。
しかしながら、上記の如く共通の情報センタ20により故障診断サービスシステムを構築することとなると、車両メーカ間での故障情報のセキュリティ性が問題となり或いは車両メーカ間での故障データの展開が困難になる事態が生ずるおそれがある。以下に示す実施例においては、この点を考慮したシステム設計がなされている。以下、実施例ごとに詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態である第1実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図を示す。本実施例の各車載装置10(本実施例において以下、車載装置11とする)は、入手した車両ダイアグ情報を予め定められたバイナリコードでフォーマットする。尚、このフォーマットは、車載装置11を搭載する車両が製造された車両メーカ独自のものであり、各車両メーカごとに異なるものとなっている。具体的には、車両メーカA社の車両に搭載される車載装置11と、車両メーカB社の車両に搭載される車載装置11と、車両メーカC社の車両に搭載される車載装置11とは、互いに異なるフォーマット形式で車両ダイアグ情報を生成する。また、同一車両メーカの車両に搭載される車載装置11は、互いに共通のフォーマット形式で車両ダイアグ情報を生成する。
車載装置11は、フォーマットした車両ダイアグ情報を、車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化した後に、故障の発生時刻をタイムスタンプして故障データとして情報センタ20(本実施例において以下、情報センタ21とする)に送信する。尚、車両ダイアグ情報の暗号化は、車両ダイアグ情報に故障の発生時刻をタイムスタンプした後に行うこととしてもよい。
情報センタ21は、車載装置11から暗号化されかつフォーマットされた故障データを受信した場合、その受信した故障データを暗号化されたままかつ独自のフォーマット形式のままその車両自身の固有識別情報に対応させてデータベース25に格納・保存する。尚、故障データのデータベース25への保存は、各車両の車載装置11から故障データを受信するごとに行われる。また、故障データのデータベース25への保存は、車両メーカごとに異なる識別番号を付して行われる。
情報センタ21は、車載装置11からの故障データを受信した際に自動的に、その暗号化されたままかつ各車両メーカ独自のフォーマット形式のままの故障データをその車両の車両メーカに対応する販売店などの故障情報取得装置30(本実施例において以下、故障情報取得装置31とする)へ送信し、或いは、故障情報取得装置31からアクセスがされた際に、その故障情報取得装置31にデータベース25へのアクセス権が認められている暗号化されかつフォーマットされた故障データをダウンロードさせる。この際、故障データの送信・ダウンロードは、故障の発生時刻を付して行われる。
各故障情報取得装置31は、対応する車両メーカ製の車載装置11において暗号化された故障データを解読(デコード)するソフトウェアを有し、かつ、対応する車両メーカ製の車載装置11においてフォーマットされた故障データから故障部位を特定する情報を抽出(デコード)する専用のアプリケーションソフトを有している。故障情報取得装置31は、情報センタ21が送信する故障データを受信した場合、或いは、情報センタ21から故障データをダウンロードした場合、まず、その暗号化されたままかつ各車両メーカ独自のフォーマット形式のままの故障データをデコードして暗号化を解除することによりフォーマットされた故障データを取り出し、次に、そのフォーマットされた故障データから故障部位を特定する情報を抽出することにより対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得する。
故障情報取得装置31は、対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得した場合、必要に応じて、その故障情報を自己の有するデータベース35に車種ごとに格納し、車両販売店やサービス工場などのその車両メーカに関連する側に車両の故障情報をディスプレイなどを介して表示・提供し、その故障情報に従って、その車両の車載装置11に対して車両点検や部品交換を促す通知をメール等で行う。
本実施例の故障診断サービスシステムによれば、車両の故障データを車載装置11から情報センタ21を経由して車両販売店などへ送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一の情報センタ11により実現することができる。このため、かかるシステムによれば、車両の故障データを車載装置11と販売店などの故障情報取得装置31との間で送受するシステムを構築するうえで各車両メーカ個別に情報センタ21を設けることは不要であり、従って、システム全体として簡素化及び低コスト化を図ることが可能となっている。
また、本実施例の故障診断サービスシステムにおいては、車両メーカ間で共通の情報センタ21が利用されることとなるが、車載装置11で行われる車両ダイアグ情報のフォーマット形式は、車両メーカ独自のものであり、車両メーカごとに異なる。そして、そのフォーマットされた故障データのデコード(故障部位を特定する情報の抽出)は、各車両メーカの車両販売店等ごとに故障情報取得装置31により行われる。
この場合、ある車両メーカの車両に関する故障データのフォーマットに関するデコードは、そのデコードを実現可能なアプリケーションソフトを有する、その故障データを送信した車両の属する車両メーカの車両販売店などにおいて故障情報取得装置31により行われるので、他の車両メーカの車両販売店などでの故障情報取得装置31によるデコードの実現は不可能である。このため、本実施例のシステムによれば、仮に車両の故障データが車載装置11から情報センタ21を経由して車両販売店等の故障情報取得装置31に至るまでに外部へ流出したとしても、或いは、他の車両メーカの車両販売店などの故障情報取得装置31に流れたとしても、その流出した故障データのフォーマットに関するデコードを実現させることは困難であり、故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が自車両メーカの車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。
また、本実施例の故障診断サービスシステムにおいては、車両の故障データは車載装置11において暗号化され、その暗号化に関するデコードは各車両メーカの車両販売店等ごとに故障情報取得装置31により行われる。この暗号化は車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で行われるが、そのデコードは車両販売店等の故障情報取得装置31以外で行うことは困難である。このため、本実施例のシステムによれば、仮に車両の故障データが車載装置11から情報センタ21を経由して車両販売店等の故障情報取得装置31に至るまでに外部へ流出したとしても、その流出した故障データの暗号化に関するデコードを実現させることは困難であり、故障データの内容すなわち車両の故障部位を特定する情報が正規の車両メーカに対応する車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。
従って、本実施例の故障診断サービスシステムによれば、車両販売店やサービス工場等を含む複数の車両メーカ間での故障データのセキュリティ性を確保しつつ、更に、車両メーカの外部に対する故障データのセキュリティ性を確保しつつ、各車両の故障データを車載装置11と販売店などの故障情報取得装置31との間で送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することが可能となっている。
尚、上記の第1実施例においては、車載装置11が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる形式でフォーマットし、そのフォーマットされた故障データを情報センタ21へ送信することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第1のステップ」が、情報センタ21が、車載装置11の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第2のステップ」が、車載装置11の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項14に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項14に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置31が、情報センタ21のデータベース25に保存されたその故障情報取得装置31にアクセス権が認められたフォーマット後の故障データをデコードして故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の第1実施例においては、車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる方式でフォーマットし、そのフォーマット後の故障データを車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化することとしているが、車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の形式でフォーマットし、そのフォーマット後の故障データを車両メーカごとに異なる暗号化方式で暗号化することとし、そのフォーマット及び暗号化に関するデコードを同一の場所で行うこととしてもよい。
かかるシステムにおいては、フォーマットに関するデコードを車両販売店等の故障情報取得装置31以外で行うことは困難となり、暗号化に関するデコードを他の車両メーカの車両販売店等の故障情報取得装置31で行うことは困難となるので、故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が自車両メーカの車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。従って、このシステムにおいても、販売店等を含む複数の車両メーカ間での故障データのセキュリティ性を確保しつつ、更に、車両メーカ外に対する故障データのセキュリティ性を確保しつつ、各車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することが可能となる。
尚、このシステムにおいては、車載装置11が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる形式で暗号化し、その暗号化された故障データを情報センタ21へ送信することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第1のステップ」が、情報センタ21が、車載装置11の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第2のステップ」が、車載装置11の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項14に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項14に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置31が、情報センタ21のデータベース25に保存されたその故障情報取得装置31にアクセス権が認められた暗号化後の故障データをデコードして故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項6に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されることとなる。
図4は、本発明の一実施形態である第2実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図を示す。本実施例の各車載装置10(本実施例において以下、車載装置12とする)は、第1実施例の車載装置11と同様に、入手した車両ダイアグ情報を予め定められたバイナリコードでフォーマットする。尚、このフォーマットも、車載装置12を搭載する車両が製造された車両メーカ独自のものであり、各車両メーカごとに異なるものとなっている。
車載装置12は、フォーマットした車両ダイアグ情報を、車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化した後に、故障の発生時刻をタイムスタンプして故障データとして情報センタ20(本実施例において以下、情報センタ22とする)に送信する。尚、車両ダイアグ情報の暗号化は、車両ダイアグ情報に故障の発生時刻をタイムスタンプした後に行うこととしてもよい。
情報センタ22は、各車両メーカにそれぞれ対応した、車載装置12において暗号化された故障データを解読(デコード)するソフトウェアを有し、かつ、車載装置12においてフォーマットされた故障データから故障部位を特定する情報を抽出(デコード)する専用のアプリケーションソフトを有する。情報センタ22は、車載装置12から暗号化されかつフォーマットされた故障データを受信した場合、まず、その暗号化されたままつかつ各車両メーカ独自のフォーマット形式のままの故障データを暗号化解除(デコード)することによりフォーマットされた故障データを取り出し、次に、そのフォーマットされた故障データから故障部位を特定する情報を抽出(デコード)する。そして、その抽出した故障情報をテキスト形式でその車両自身の固有識別情報に対応させてデータベース25に格納・保存する。尚、故障データのデータベース25への保存は、各車両の車載装置12から故障データを受信するごとに行われる。また、故障データのデータベース25への保存は、車両メーカごとに異なる識別番号を付して行われる。
情報センタ22は、暗号化されかつフォーマットされた故障データをデコード(暗号化の解除及びフォーマットからの抽出の双方を含む)した場合、自動的にそのテキスト形式の故障情報をその車両の車両メーカに対応する販売店などの故障情報取得装置30(本実施例において以下、故障情報取得装置32とする)へ送信し、或いは、故障情報取得装置32からアクセスがされた際に、その故障情報取得装置32にデータベース25へのアクセス権が認められているテキスト形式の故障情報をダウンロードさせる。この際、故障データの送信・ダウンロードは、故障の発生時刻を付して行われる。
各故障情報取得装置32は、情報センタ22が送信するテキスト形式の故障情報を受信した場合、或いは、情報センタ22からテキスト形式の故障情報をダウンロードした場合、内蔵のアプリケーションソフトを用いて、対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得する。故障情報取得装置32は、対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得した場合、必要に応じて、その故障情報を自己の有するデータベース35に車種ごとに格納し、車両販売店やサービス工場などのその車両メーカに関連する側に車両の故障情報をディスプレイなどを介して表示・提供し、その故障情報に従って、その車両の車載装置12に対して車両点検や部品交換を促す通知をメール等で行う。
本実施例の故障診断サービスシステムによれば、車両の故障データを車載装置12から情報センタ22を経由して車両販売店などへ送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一の情報センタ12により実現することができる。このため、かかるシステムによれば、車両の故障データを車載装置12と販売店などの故障情報取得装置32との間で送受するシステムを構築するうえで各車両メーカ個別に情報センタ22を設けることは不要であり、従って、システム全体として簡素化及び低コスト化を図ることが可能となっている。
また、本実施例の故障診断サービスシステムにおいては、車両メーカ間で共通の情報センタ22が利用されることとなるが、車載装置12で行われる車両ダイアグ情報のフォーマット形式は、車両メーカ独自のものであり、車両メーカごとに異なる。そして、そのフォーマットされた故障データのデコード(故障部位を特定する情報の抽出)は、唯一の情報センタ22により行われる。
この場合、ある車両メーカの車両に関する故障データのフォーマットに関するデコードは、そのデコードを実現可能なアプリケーションソフトを有する情報センタ22のみにより行われるので、他の車両メーカの車両販売店などの故障情報取得装置32を含めて外部でフォーマットに関するデコードを実現することは不可能である。このため、本実施例のシステムによれば、仮に車両の故障データが車両から情報センタ22に至るまでに外部へ流出したとしても、その故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が車両販売店等以外へ漏洩することは防止されると共に、各車両販売店等の故障情報取得装置32それぞれが独自のデコード機能を持つことは不要である。
また、本実施例の故障診断サービスシステムにおいては、車両の故障データは車載装置12において暗号化され、その暗号化に関するデコードは情報センタ22により行われる。この暗号化は車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で行われるが、そのデコードは情報センタ22以外で行うことは困難である。このため、本実施例のシステムによれば、仮に車両の故障データが車載装置12から情報センタ22に至るまでに外部へ流出したとしても、その流出した故障データの暗号化に関するデコードを行うことは困難であり、故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。
故障情報取得装置32が上記の如きデコード機能を有しない場合は、その故障情報取得装置32の構成は簡素化され、車両故障情報を取得するうえでの処理負担は軽減される。従って、本実施例の故障診断サービスシステムによれば、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、車両の故障データを車載装置12と販売店などの故障情報取得装置32との間で送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することが可能となっている。
尚、上記の第2実施例においては、車載装置12が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる形式でフォーマットし、そのフォーマットされた故障データを情報センタ22へ送信することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第1のステップ」が、情報センタ22が、車載装置12の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをフォーマットについてデコードして故障情報をテキスト形式でデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第2のステップ」が、車載装置12の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データをフォーマットについてデコードすることにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「デコード手段」が、故障情報をテキスト形式でデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置32が、情報センタ22のデータベース25に保存されたその故障情報取得装置32にアクセス権が認められたテキスト形式の故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の第2実施例においては、車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる方式でフォーマットし、そのフォーマット後の故障データを車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化することとしているが、車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる或いは車両メーカ間で共通の形式でフォーマットし、そのフォーマット後の故障データを車両メーカごとに異なる暗号化方式で暗号化することとし、そのフォーマット及び暗号化に関するデコードを同一の場所で行うこととしてもよい。
かかるシステムにおいては、フォーマットに関するデコードを情報センタ22以外で行うことは困難となり、暗号化に関するデコードを情報センタ22以外で行うことは困難となるので、仮に車両の故障データが車載装置12から情報センタ22に至るまでに外部へ流出したとしても、故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。従って、このシステムにおいても、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、各車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することが可能となる。
尚、このシステムにおいては、車載装置12が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なる形式で暗号化し、その暗号化された故障データを情報センタ22へ送信することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第1のステップ」が、情報センタ22が、車載装置12の送信する故障データを受信し、その受信した故障データを暗号化についてデコードして故障情報をデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第2のステップ」が、車載装置12の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データを暗号化についてデコードすることにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「デコード手段」が、デコード(解読)後の故障情報をデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項15に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置32が、情報センタ22のデータベース25に保存されたその故障情報取得装置32にアクセス権が認められた解読後の故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項7に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されることとなる。
また、上記の第2実施例においては、情報センタ22が暗号化されかつフォーマットされた故障データをデコード(暗号化の解除及びフォーマットからの抽出の双方を含む)した後、その故障情報が何ら暗号化されることなく情報センタ22から故障情報取得装置32へ送信・ダウンロードされるが、この送信・ダウンロードに際し情報センタ22が暗号化を施すこととし、故障情報取得装置32がその暗号を解読するものとしてもよい。尚、この暗号化は、車両メーカごとに異なるものであっても、車両メーカ間で共通のものであってもよいが、車両メーカ間のセキュリティ性を確保する観点からは車両メーカごとに異なるものであることが望ましい。
図5は、本発明の一実施形態である第3実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図を示す。本実施例の各車載装置10(本実施例において以下、車載装置13とする)は、第1実施例の車載装置11及び第2実施例の車載装置12と同様に、入手した車両ダイアグ情報を、予め定められた、車載装置13を搭載する車両が製造された車両メーカ独自のすなわち各車両メーカごとに異なるバイナリコードでフォーマットする。
車載装置13には、所定のプログラムが格納されている。このプログラムは、車載装置13のマイクロコンピュータに、車両メーカごとにフォーマットされた故障データを車両メーカ間で統一されたフォーマットであるテキスト形式に変換(デコード)する第1の処理と、第1の処理により変換されたデータを情報センタ20(本実施例において以下、情報センタ23とする)へ送信する第2の処理と、を実行させるための故障情報提供プログラムである。この故障情報提供プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
車載装置13は、この故障情報提供プログラムに従って、車両メーカごとのフォーマットが施された故障データを車両メーカ間で統一されたフォーマットに変換し、そのフォーマット変換された故障データを車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化した後に、故障の発生時刻をタイムスタンプして情報センタ23へ送信する。尚、故障データの暗号化は、故障データに故障の発生時刻をタイムスタンプした後に行うこととしてもよい。
情報センタ23は、車載装置13から暗号化されかつ車両メーカ間で統一されたフォーマットであるテキスト形式の故障情報を受信した場合、そのテキスト形式の故障情報を暗号化したままその車両自身の固有識別情報に対応させてデータベース25に格納・保存する。尚、故障情報のデータベース25への保存は、各車両の車載装置13から故障データを受信するごとに行われる。また、故障情報のデータベース25への保存は、車両メーカごとに異なる識別番号を付して行われる。
情報センタ23は、車載装置13からの故障データを受信した際に自動的に、車両メーカ間で共通のフォーマット形式の故障情報をその車両の車両メーカに対応する販売店などの故障情報取得装置30(本実施例において以下、故障情報取得装置33とする)へ送信し、或いは、故障情報取得装置33からアクセスがされた際に、その故障情報取得装置33にデータベース25へのアクセス権が認められている故障情報をダウンロードさせる。この際、故障データの送信・ダウンロードは、故障の発生時刻を付して行われる。
各故障情報取得装置33は、車載装置13において各車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化された故障データを解読(デコード)するソフトウェアを有している。故障情報取得装置33は、情報センタ23が送信するテキスト形式の故障情報を受信した場合、或いは、情報センタ23からテキスト形式の故障情報をダウンロードした場合、暗号化に関するデコード処理を行った後、内蔵のアプリケーションソフトを用いて、対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得する。故障情報取得装置33は、対応の車両メーカ製の車両の故障情報を取得した場合、必要に応じて、その故障情報を自己の有するデータベース35に車種ごとに格納し、車両販売店やサービス工場などのその車両メーカに関連する側に車両の故障情報をディスプレイなどを介して表示・提供し、その故障情報に従って、その車両の車載装置13に対して車両点検や部品交換を促す通知をメール等で行う。
本実施例の故障診断サービスシステムによれば、車両の故障データを車載装置13から情報センタ23を経由して車両販売店などへ送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一の情報センタ13により実現することができる。このため、かかるシステムによれば、車両の故障データを車載装置13と販売店などの故障情報取得装置33との間で送受するシステムを構築するうえで各車両メーカ個別に情報センタ23を設けることは不要であり、従って、システム全体として簡素化及び低コスト化を図ることが可能となっている。
また、本実施例の故障診断サービスシステムにおいては、車載装置13で行われる車両ダイアグ情報のフォーマット形式は、複数の車両メーカ間で共通のものである。また、車両メーカ間で共通の暗号化方式で暗号化された故障データのデコード(解読)は、各車両メーカの車両販売店等ごとに故障情報取得装置33により行われる。この際、故障情報取得装置33以外での暗号化に関するデコードは不可能である一方、故障情報取得装置33は対応の車両メーカの車両の故障情報だけでなく対応の車両メーカでない車両メーカの車両の故障情報をも暗号化に関しデコードすることが可能である。
このため、本実施例のシステムによれば、仮に車両の故障データが車載装置13から情報センタ23を経由して車両販売店等の故障情報取得装置33に至るまでに外部へ流出したとしても、その流出した故障データの暗号化に関するデコードを行うことは困難であり、故障データの内容すなわち車両の故障部位を特定する情報が外部へ漏洩することは防止されると共に、複数の車両メーカ間での故障データの展開は容易になる。従って、本実施例の故障診断サービスシステムによれば、車両の故障データを車載装置13と販売店などの故障情報取得装置33との間で送受するシステムを、外部に対して故障データのセキュリティ性を確保すると共に複数の車両メーカ間での故障データの展開を容易にしつつ、複数の車両メーカを取り込んで単一的に実現することが可能となっている。
尚、上記の第3実施例においては、車載装置13が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換し、その変換された故障データを情報センタ23へ送信することにより特許請求の範囲の請求項10に記載した「第1のステップ」が、車両で生じた故障の車両ダイアグ情報を車両メーカごとに異なるフォーマットから車両メーカ間で統一されたフォーマットへ変換することにより特許請求の範囲の請求項11に記載した「変換手段」及び請求項12に記載した「第1の処理」が、フォーマット変換された故障データを情報センタ23へ送信することにより特許請求の範囲の請求項11に記載した「データ送信手段」及び請求項12に記載した「第2の処理」が、情報センタ23が、車載装置13の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項10に記載した「第2のステップ」が、故障情報取得装置33が、情報センタ23のデータベース25に保存されたテキスト形式の故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項10に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されている。
また、上記の第3実施例においては、車載装置13が、車両メーカ間で統一されたフォーマット形式の故障データを車両メーカ間で統一された暗号化方式で暗号化し、その暗号化された故障データを情報センタ23へ送信することにより特許請求の範囲の請求項8に記載した「第1のステップ」が、情報センタ23が、車載装置13の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項8に記載した「第2のステップ」が、車載装置13の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項16に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データをデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項16に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置33が、情報センタ23のデータベース25に保存された暗号化された故障データをデコードして故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項8に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の第3実施例においては、車載装置13で暗号化された故障データを、車両販売店等の故障情報取得装置33がデコード(解読)することとしているが、情報センタ23がデコードすることとしてもよい。かかるシステムにおいては、暗号化に関するデコードを情報センタ23以外で行うことは困難となるので、仮に車両の故障データが車載装置13から情報センタ23に至るまでに外部へ流出したとしても、故障データの内容すなわち故障部位を特定する情報が車両販売店等以外へ漏洩することは防止される。従って、このシステムにおいても、故障データのセキュリティ性をある程度確保しつつ、各車両の故障データを送受するシステムを複数の車両メーカを取り込んで単一的にかつ簡易な構成で実現することが可能となる。
但し、情報センタ23が暗号化されかつフォーマットされた故障データをデコード(暗号化の解除及びフォーマットからの抽出の双方を含む)した後、その故障情報が何ら暗号化されることなく情報センタ23から故障情報取得装置32へ送信・ダウンロードされることは、情報センタ23から故障情報取得装置33に至るまでの外部流出に対するセキュリティ性の低下を招くので、その送信・ダウンロードに際し情報センタ23が暗号化を施すこととし、故障情報取得装置33がその暗号を解読するものとしてもよい。尚、この暗号化は、車両メーカごとに異なるものであっても、車両メーカ間で共通のものであってもよいが、複数の車両メーカ間での故障データの展開を容易にする観点からは車両メーカ間で共通のものであることが望ましい。
尚、このシステムにおいては、車載装置13が、車両メーカ間で統一されたフォーマット形式の故障データを車両メーカ間で統一された暗号化方式で暗号化し、その暗号化された故障データを情報センタ23へ送信することにより特許請求の範囲の請求項9に記載した「第1のステップ」が、情報センタ23が、車載装置13の送信する故障データを受信し、その受信した故障データをデコード(解読)して故障情報をデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項9に記載した「第2のステップ」が、車載装置13の送信する故障データを受信することにより特許請求の範囲の請求項17に記載した「データ受信手段」が、受信した故障データを暗号化についてデコードすることにより特許請求の範囲の請求項17に記載した「デコード手段」が、デコード(解読)後の故障情報をデータベース25に保存することにより特許請求の範囲の請求項17に記載した「保存手段」が、故障情報取得装置33が、情報センタ23のデータベース25に保存された解読後の故障情報を取得することにより特許請求の範囲の請求項9に記載した「第3のステップ」が、それぞれ実現されることとなる。
ところで、上記の第1乃至第3実施例においては、故障情報取得装置30を車両メーカごとに車両販売店やサービス工場,修理工場に設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両メーカ自身に設けることとしてもよく、また、車両メーカが契約した車両故障の解析を業とする会社に設けることとしてもよい。
本発明の実施形態である故障診断サービスシステムの構成図である。
本発明の一実施形態である第1実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図である。
本実施例の故障診断サービスシステムが有する車載装置の実行するフローチャートである。
本発明の一実施形態である第2実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図である。
本発明の一実施形態である第3実施例の故障診断サービスシステムにおける動作を説明するための図である。
符号の説明
10〜13 車載装置
20〜23 情報センタ
30〜33 故障情報取得装置