JP2005313222A - スポット溶接機 - Google Patents

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Yoshitoshi Kai
美利 甲斐
Masao Ieyumi
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Abstract

【課題】本発明は被溶接材をはさんでスポット溶接する上下の電極のうちで、上部の電極が棒状の溶接電極とその先端部を包囲する電極キャップとから構成され、被溶接材の種別、材質、構造などに応じて電極キャップを交換して溶接するスポット溶接機を提案する。
【解決手段】被溶接材の重合部分を上部電極100と下部電極200との間ではさんで抵抗溶接し、下部電極200に導電性材料からなる板状電極と導電性材料からなって板状電極上に供給される導電性シ−ト材201とを設け、上部電極100に導電性材料からなって上下に昇降する棒状の溶接電極とこの溶接電極の先端部に整合するよう包囲する電極キャップ120とを設け、この電極キャップ120に硬い硬質部121を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明はスポット溶接機に係り、詳しくは、少なくとも2つの被溶接材をはさんでスポット溶接する上下の電極のうちで下部電極として構成されるスポット溶接機であって、この上部の電極が棒状の溶接電極とその先端部を包囲する電極キャップとから構成され、溶接すべき被溶接材の種別、材質、構造などに応じて電極キャップを交換して溶接し、溶接電極の先端部を整えるためのドレシング作業もほとんど行なうことなく溶接できるスポット溶接機に係る。
例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などの金属板の接合、なかでも薄い金属板の接合には抵抗溶接が用いられている。抵抗溶接は溶接すべき金属板、つまり被溶接材(以下で被溶接物ともいう)を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を一対の電極間にはさみ加圧通電して、この通電時によって生じる抵抗熱を熱源として加熱溶融させて接合する接合技術であって、抵抗溶接法のうちで最も用いられるのがスポット溶接又は点溶接である。スポット溶接では、熱源としての抵抗熱を大きくするために、被溶接物を加圧通電する一対の電極チップの断面積を絞って電流密度を高め、短時間で大電流を流し、被溶接物を局部的に溶融し、ご石状のナゲットを形成して溶接する。このため、スポット溶接は自動車、家電製品その他板金製品に広く適用されている。
すなわち、スポット溶接は、熱源が被溶接物の接触面に発生するジュ−ル熱であるため、被溶接材の物理的性質に左右され、熱源の温度が適格に制御できないところが大きな欠点があるにも拘らず、ア−ク溶接などのように溶接棒やフラックスを必要とせず、さらに、大型の溶接機なども必要としない長所をもっている。
このため、スポット溶接を実施するスポット溶接機では相当高い強度の溶接継手が得られるため、用途に応じてきわめて多岐にわたるものが提案されているが、これらスポット溶接機はほとんど定置型といわれるものである。
更にくわしく説明すると、定置型スポット溶接機では、重ね合わせ被溶接物をはさんで溶接するために、一対の溶接電極の対向する先端に断面を絞った溶接チップが設けられ、この溶接チップを高め加圧する加圧装置が強固な機械的な保持装置で支持されている。この保持装置と加圧装置とは一体として一定の場所に据付けられて構成されている。
このため、定置型のスポット溶接機は、高い加圧力がかけられるため、高い強度の溶接継手が得られるが、溶接の都度、被溶接物を溶接機のところまで移動させることとなる。大型の構造物であると、その運搬は大変な重筋作業となり、小ロッドの金属枠や金属箱などの製造には適さない。
また、内部に溶接すべきところがあるときには、どうしても溶接できないところが生じることが多く、このところについては別の溶接、例えばア−ク溶接などに依存することになって好ましくない。さらに、断面が点状に絞られた電極チップを用いるため、溶接時の被溶接物を適正位置に保持するのに被溶接物の構造に合わせた保持治具が必要になる。
このところから、一対の溶接チップや加圧装置、少なくとも加圧装置を一定の場所据付ける定置型のスポット溶接機に代って、少なくとも溶接チップが可搬できるポ−タブル型の溶接機が提案されている。ポ−タブル型の溶接機は溶接チップなどの溶接電極が溶接機本体から分離されて構成されている。しかし、可搬式として軽量化されているため、溶接チップを加圧する加圧装置としてエア−シリンダや油圧シリンダが用いることができず、その用途が限られるのが欠点である。
このようなところから、この発明者らは、先に、被溶接物を移動させることなく溶接できる溶接機として、日本国特願平05−139543号明細書に示す構造のスポット溶接機を提案した。
このスポット溶接機は、上下一対の電極のうちで上部電極は先端に溶接チップを具え断面が絞られた棒状の溶接ガンとして構成されるのに対し、下部電極は板状の銅又はその合金の導電性材料からなる板状電極から構成され、板状電極と溶接ガンの間で被溶接物をはさみ加圧通電して溶接するものである。このスポット溶接機の下部電極はスペ−スの広い板状電極から成っているため、その表面のいずれのところでも通電されており、表面全体が電極面として働くことができるものである。
しかしながら、先に提案したスポット溶接機は被溶接物を板状電極上にのせたままで溶接できるものであるが、次のとおりの欠点がある。
(1)板状電極は全体として導電性材料から構成され、導電性材料、なかでも、銅またはその合金から構成されている。銅は他の金属に比べ融点が高く、熱伝導度も大きいのに対し、電気抵抗がきわめて小さい。このため、電極としてはきわめて好適であるが、価格が高いという欠点がある。このため、下部電極をきわめてスペ−スも広い板状材として構成するのには、どうしても大型構造物として鋳造で製造することになり、きわめて高価になること、さらに、銅の大型構造物は、重量物になって取扱いや組立てがしにくく、交換にも手間がかかること、
(2)板状電極の表面が全体にわたって電極を成しているため、溶接時に分流が起こり、電流ロスが大きくなるほか、形成されたナゲットが再び通電されて性質が損なわれること、
(3)板状電極の表面は、溶接時に被溶接物との接触部分が溶接チップとして作用する。このため、板状電極の表面全体がまんべんなく溶接チップとして使用するようにするのが理想的であるが、被溶接物の構造によっては一定の場所の使用頻度が極端に多くなることが多い。このため、電極チップとして使われたことが多い部分に材質変化やひずみが集積し、板状電極の表面がそって彎曲する。このため、ある程度使用する度に表面のそりや材質変化部分を研削し平坦にする必要がある。とくに、この研削作業は所謂鏡面仕上げ程度まで高精度で行なう必要があって、研削作業は長時間を要し(1週間毎に研削時間として1日とる。)、経済性、作業性が大きく損なわれること、
(4)また、局部的に電極チップとして使用する板状電極の使用頻度が高まると、被溶接材と板状電極の銅とが合金化して板状電極上に付着して残り、この付着物が次の被溶接物の溶接時に被溶接物の表面に付着する。これを除去するのに非常に手間がかかる。とくに、被溶接物として化成処理鋼板、ちなみに、ボンド処理鋼板やパ−カライジング鋼板が用いられ、これら鋼板ではこの傾向がきわめて大きいこと、
特願平5−139543号および特許第3445636号
本発明は、被溶接物をはさみ加圧通電する一対の電極のうちで一方の電極を面積の広い板状電極として構成する溶接法であるが、この溶接法において、先にのべたとおりの主として(1)、(2)、(3)および(4)の問題点を解決することを目的とする。
まず、本発明は、少なくとも2つの被溶接材の重合部分を上部電極と下部電極との間ではさんで抵抗溶接するスポット溶接機において、下部電極に、導電性材料からなる板状電極と導電性材料からなって板状電極上に供給される導電性シ−ト材とを設ける一方、上部電極に、導電性材料からなって上下に昇降する棒状の溶接電極とこの溶接電極の先端部に整合するよう包囲する電極キャップとを設け、この電極キャップにおける被溶接材の当接部分に硬い硬質部を設けてなることを特徴とする。
板状電極内にその全面にわたって冷却水が通水する平面冷却通路を設ける一方、溶接電極内にその先端部分に冷却水を送給できる軸方向冷却通路を設けることを特徴とする。
上部電極において少なくとも電極キャップを無酸素銅板、タフピッチ銅板またはりん脱酸銅から構成することを特徴とする。
溶接キャップにおいて硬質部を鍛造加工により加工硬化させた加工硬化部として構成することを特徴とする。
上部電極において溶接キャップを析出硬化成分を含む銅合金から構成することを特徴とする。
析出硬化成分を含む銅合金から成る溶接キャップにおいて硬質部を鍛造加工により加工硬化させた硬い硬質部として加工硬化部として構成することを特徴とする。
上部電極において溶接電極を無酸素銅板、タフピッチ銅板またはりん脱酸銅から構成することを特徴とする。
下部電極において、導電性シ−ト材を無酸素銅板、タフピッチ銅板又はりん脱酸銅板から構成することを特徴とする。
導電性シ−ト材の厚さを0.1mm又はそれ以上にすることを特徴とする。
導電性シ−ト材の厚さを0.3mm又はそれ以上にすることを特徴とする。
導電性シ−ト材の表面に鍛造加工により加工硬化させた加工硬化部を形成して成ることを特徴とする。
導電性シ−ト材を連続的なウェブ状に構成し、このシ−ト材を板状電極上に間欠的又は連続的に供給することを特徴とする。
上部電極としての棒状電極の先端部や下部電極としての板状電極は電極キャップや導電性シ−ト材でおおわれているため、その表面は溶接時に被溶接物に直接接触しない。このため、板状電極の表面や電極キャップの先端部は常に平坦で付着物などもないことから、使用を重ねても研削する必要がない。
導電性シ−ト材は裏面から全面にわたって板状電極、さらに溶接電極の先端部が冷却されているため、板状電極や溶接電極が加熱されてもすぐに冷却される。
導電性シ−ト材や電極キャップは一定期間使用後廃棄しても、それが銅又はその合金から成るため、スクラップ材としても経済的価値が保持でき、常に新しく取替えて使用できる。
なお、図1は本発明の一つの実施例のスポット溶接機の要部の説明図である。
図2は本発明の他の実施例に係るスポット溶接機の一例の説明図である。
まず、本発明において図1に示す原理を実施するにあたって、図2に示すスポット溶接機を用いて行なうことができるが、このような溶接機を用いなくても実施できる。
しかし、いずれのスポット溶接機であっても一対の電極、なかでも上下の電極のうち、上部電極が棒状の溶接電極100、つまり溶接ガン100として構成され、下部の電極が板状電極200として構成される。
また、上部電極として働く溶接電極100による下向きの加圧力は、いずれの溶接姿勢に保持しても加えることができる。例えば、溶接電極100を単に上下に昇降させるように縦向き姿勢に保持することもでき、あるいは溶接電極100を横向き姿勢に保持し、この溶接電極100はキャップチップ101、シャンク102、シャンクホルダ105から成って先端部に後端に引張りまたは押付けなどの加圧力を加えると、てこ方式により被溶接材Wに下向きの加圧力を加えることができる。
次に、板状電極200の上に導電性シ−ト材201を供給し、導電性シ−ト材201を板状電極200の上にすき間なく展延又は展着させる。このすき間なく展延させるのには板状電極200の側縁に固定手段を設けて導電性シ−ト材201を引張って固定することができる。導電性シ−ト材201は、板状電極200の表面をおおい、しかも、被溶接材Wには直接接触する。さらに、板状電極200を介して通電され、導電性にすぐれる銅またはその合金から構成されるため、導電性シ−ト材201は後記のように適正な厚みをもって、しかも、裏面から板状電極200によって全体にわたって冷却されているため、導電性シ−ト材201は高い加圧力で加圧されても板状電極200上に密着することなく剥離できる。
溶接にあたっては、導電性シ−ト材201の上に被溶接材Wをのせ、導電性シ−ト材201と上部電極としての溶接電極100の先端部を包囲する電極キャップ120の間に被溶接材Wをはさみ通電し溶接する。このように溶接すると、板状電極100と導電性シ−ト材201とは導電性材料から成っており、なかでも、銅またはその合金から成って適正な厚みをもっている。このため、板状電極200と導電性シ−ト材201との接触抵抗を緩和させてほとんど通電性を損なわずに溶接できる。
すなわち、導電性シ−ト材201を介在させて板状電極200とともに下部の電極として働かして少なくとも2つを重ね合わせた被溶接材Wを溶接するときに、下部の電極と働く板状電極200と導電性シ−ト材201との接触電気抵抗が生じ、併せて、溶接時の加圧力による導電性シ−ト材201は局部的に組織変化が起こる。
すなわち、導電性シ−ト材201は、厳格には、板状電極の表面に均一に接触させその間に空気その他の介在物を介在させないことが好ましい。しかし、導電性シ−ト材201は薄く、これを実現することはきわめてむづかしい。しかしながら、導電性シ−ト材201は厚さが適正に調整されていると、電流分布は厚さ方向の中心部で広く拡がり、板状電極200との接触抵抗がきわめて小さくなり、その影響が少なくなる。
このようなところから、導電性シ−ト材201の厚さを変化させて板状電極200上におくことによっての影響を少なくできる導電性シ−ト材201の厚さを求めたところ、つぎのとおりであった。
すなわち、高い加圧力(300N)のもとで導電性シ−ト材201の厚さを変えて溶接し、導電性シ−ト材201と板状電極200との間に形成される融着の有無を顕微鏡観察によって検討したところ、導電性シ−ト材201の厚さが0.1または0.1mm以上であると、打点100程度でほとんど融着がなく、さらに、0.3mmあるいはそれ以上、さらに、0.4mm又はそれ以上であると、加圧力を高めても全く融着が認められなかった。
平たくいうと、導電性シ−ト材201は板状電極200上におかれ直接被溶接材Wに接触して全面にわたって電極面として働くものである。一方のその厚さは高価な板状電極200に較べて使用を重ねて表面が変形・汚染(例えば被溶接物と合金化して形成される汚染物など)しても、それをスクラップとして廃棄し、再利用することもでき、経済的な面からいうと、厚さはなるべく薄いのが好ましい。また、導電性シ−ト材201を板状電極200上に人手によらずに又は連続的に供給するときに、ロ−ル状に巻かれたウェブ状導電性シ−ト材201を巻戻して供給するためには、なるべく薄いのが好ましい。
しかしながら、銅などの導電性シ−ト材201は展延性に富むため、局部的な加圧力によって展延、伸び、材質的にも変化し、凹凸が生じたり、接触抵抗が大きくなって溶融したり、切断することも多い。また、板状電極200の表面に導電性シ−ト材201を展延させてのせたり、又は展着させてのせるときに、その間に局部的に空気や空気層、さらにゴミその他の異物が介在することはさけられない。
いずれの場合であっても、薄い導電性シ−ト材201を板状電極200の表面にセットすることによってどうしてもその間の接触抵抗は大幅に増大し、局部的な板状電極200との密着によって導電性シ−ト材201を剥離できないことが起こる。
このような面から、導電性シ−ト材201は少なくとも厚さは0.1mmは必要である。また、厚さが0.3〜0.4mm以上であると、被溶接物の材質によっては導電性シ−ト材201との合金化が局部的に開始されても、支障がない。なかでも、先にのべたとおり、導電性シ−ト材201と板状電極200の間の接触抵抗の占める割合は全体としての電気抵抗中の略々20%程度と推定できるところから介在する導電性シ−ト材201の厚さを大きくすることは、スクラップとして廃棄する経済的不利益を許容すれば、導電性シ−ト材201の厚さは0.3〜0.4mm以上にするのが好ましい。
なお、図2において符号300はスポット溶接機、100は溶接電極、200は板状電極、30は支持ポスト、40はエア−シリンダ、50は回転ア−ム、51は回転部、52は押え板、60は支持支柱である。
また、上部電極として働く溶接電極100はその先端部がチップ本体110と電極キャップ120とから成って、チップ本体110の先端部はそれに整合するよう包囲する電極キャップ120がはめ合わされている。換言すると、上下の各溶接電極100は従来例のスポット溶接機における溶接チップの先端部に電極キャップ120をはめ合わせ、これらが組み合わされて溶接電極100が構成されている。
すなわち、スポット溶接すべき被溶接材には、溶接電極100と板状電極200との間にはさまれて必要な加圧力と溶接電流が伝達される。とくに、電極キャップ120を直接被溶接材Wに当接させて加圧通電させて溶接するもので、被溶接材や電極キャップ120との境界面に発生する熱を速やかににがしかつ高い加圧力に充分に耐えるよう構成される。このため、溶接電極100は、従来例のものと同様に、クロム1%程度含むクロム銅合金から構成することもできるが、このクロム銅合金より導電性や熱伝導性にすぐれる純銅に近い無酸素銅、タフピッチ銅、又はりん脱酸銅から構成できる。このようにチップ本体110を純銅から構成すると、熱伝導性が全く損なわれることなくチップ本体110からの冷却効果が十分に発揮できる。このため、後に示すとおり、電極キャップ120の底部を加工硬化することによって硬質部を設けて強化をはかっても、溶接時の加熱によってこの硬質部が消失することがない。
また、チップ本体110は、内部冷却方式をとるように構成することができる。例えば、図3や図4に示すように、シャンク102やチップ本体110の軸方向に水冷パイプ111を配置し、このパイプ111の先端から冷却水を噴射し、内面からチップ本体110の先端部を内部から冷却する構造に構成することができる。
このようにチップ本体110の内部に水冷パイプ111を設け、この水冷パイプ111の先端から噴射される冷却水は冷却後チップ本体110内の水冷パイプ111の外周の環状通路を経て戻るように構成することができ、途中に冷却器などを介在させると、チップ本体110に整合する電極キャップ120を冷却することができ、寿命を大巾に向上させることができる。
すなわち、このようにチップ本体110の内部から冷却水によって先端が冷却されるように構成すると、チップ本体110の先端を直接被溶接材に押付けて溶接でき、このため、従来例に係るスポット溶接機ではこのような溶接チップとして構成されている。
しかし、このチップであると、チップ先端と被溶接材との当接又は接触により互いに合金し、この合金層が溶接チップ側に移行するため、溶接チップ本体の先端が摩耗や消耗し、被溶接材において溶接部のナゲット径は減少し、形成されるナゲットの剪断強度や引張り強度が低下して好ましくない。とくに、この先端部の摩耗や消耗は溶接チップ先端の中心部で大きくなり、先端形状は凹形になる。このような形状の溶接チップで加圧されても所望のナゲット径は得ることができず、このナゲット径の低下は剪断や引張りなどの強度の低下を招来する。
このようなところを除去するため、従来例のチップでは先端形状を切断又は研摩して(要するに、ドレシングして)、再度正規の形状に戻して溶接することが行なわれている。
しかしながら、研摩やドレシングを行なうことは溶接能率が低下する。とくに、最近用いられている表面処理鋼板や、アルミニウム材になると、この研摩やドレシングの頻度が高くなり、ドレシングによる切断や研摩を行なうことを見込んで溶接チップの先端部は、ドレシング代をとる必要があってどうしても厚くなる。このため、冷却水の温度や流速を調整しても先端部の冷却が不十分になり、溶接チップ先端部の摩耗や消耗などの問題が解決できない。
そこで、本発明においては、溶接電極100ではチップ本体110と電極キャップ120とを組み合わせて構成する。さらに、チップ本体110に組み合わされる電極キャップ120を被溶接材に直接接触させ、直接接触する当接部分に硬質部121を設け、電極キャップ120の硬質部121によって被溶接材に十分な加圧力が加えられるように構成する。
このようにチップ本体110に電極キャップ120を組み合わせた溶接電極100であると、チップ本体110は、通常のスポット溶接機の溶接チップと同様に、クロムを1%程度含むクロム銅合金から構成することもできるが、直接被溶接材Wに接触して加圧することがないため、純銅に近い無酸素銅やタフピッチ銅、りん脱酸銅からも構成でき、電極としての導電率を高めることができる。ちなみに、これら純銅に近いものの導電率を100%すると、クロム銅合金の導電率は80%程度であり、電流ロスを少なくできる。
一方において、電極キャップ120も銅を1%程度含む析出硬化型の銅合金板を深絞りして構成することもできるが、その成形性にある程度支障がある。しかし、電極キャップ120はその底部に硬質部121を設けるため、電極キャップ120は無酸素銅板、タフピッチ銅板またはりん脱酸銅板などを容器状に深絞りして構成し、その一部を局部的に鍛造などにより加工硬化させて硬質部121を構成することができる。
このように構成すると、ほとんど他の合金成分を含むことなく純銅に近い金属的性質、つまり、面心立方格子系金属としての特性をいかして絞り加工できるほか、高い導電率や熱伝導率が利用でき、さらに、底部に鍛造をくり返し与えることによって銅の加工硬化性がいちぢるしく高いことを利用して底部に硬質部121を形成することができる。
一般に、銅は電気抵抗が低く電流をよく通し、熱伝導率が銀に次いで高く、面心立方格子系金属として延ばし易く加工性にすぐれることが知られている。銅は加工硬化性がきわめて高く古来よりこれを利用した鋭い刃をもつ刃物も知られている。しかし、このような性質は、合金元素や不純物を含まない銅において最も高くあらわれ、合金成分などが含まれるとそれに応じて低下する。例えば、電気抵抗に対応して導電率をみると、ほとんど純銅に近い無酸素銅、タフピッチ銅、りん脱酸銅などの導電率に較べると、1%程度のクロムしか含まないクロム銅のそれは80%程度となり、他の成分、例えばベリウムを含む銅合金の導電率はさらに低下する。一方、加工性からみても、クロム銅は焼入れ、焼戻しによる析出硬化型の合金のため、軟化温度が500℃前後のように高く高温に耐えられるが、クロムの添加によって加工性がやや劣化するし、加工硬化の程度、つまり加工硬化性も低減する。
これらのところから、電極キャップ120はタフピッチ銅、無酸素銅などのほとんど銅から成る板材を深絞りしその底部121をさらにプレス圧延をくり返して加工硬化させ、硬度をいちぢるしく高めて底部121を硬質部として形成する。このように硬質部を形成すると、ほとんど銅から成る無酸素銅やタフピッチ銅であると、その加工硬化率は鉄や鋼よりははるかに高く、アルミニウム材や、さらにクロム銅そのほかの銅合金より高いため、導電率や熱伝導率を損なわずに硬質部121を形成できる。さらに、電極キャップ120はチップ本体120の形状に整合する筒状体として構成され、とくに、筒状の側壁部122は絞り代が集約され、ある程度の延性、弾性(スプリングハック)が保持できるため、これを利用してチップ本体120に整合させて保持できる。
なお、以上のとおり、電極キャップ120の底部を加工硬化させて硬質部121を形成する場合、溶接時に加熱されて軟化され、硬質部121の加工硬化が失われ易い。
この点について本発明者らは実際にスポット溶接を行なって検討したところ、スポット溶接においては通電時間がきわめて短かく、冷却水量の調整によって冷却能を高めると、電極キャップ120の硬質部121を銅の再結晶温度(約200℃)以上に高めても、この温度に維持されるのはきわめて短かく、再結晶速度が加工硬化に十分に打ち勝つことができる時間になることがなく、加工硬化が十分に維持できることが確かめられた。
また、加工硬化に関連して溶接時に電極キャップ120は高温で荷重を支持し加工硬化と焼なましの両作用をうける可能もあり、このクリ−プ挙動(高温においてひずみが応力と時間とに依存する現象)を配慮する必要がある。この点を配慮して電極キャップ120の寿命の基準を予め定めておき、この基準に達したときに新しく交換すれば十分である。
この電極キャップ交換における一応の目安とする判定基準は、つぎのとおりである。
(1)ナゲット径又は剪断強さが規定の値以下になるまで連続打点数、
(2)電極キャップの底面に電極キャップと被溶接材との合金層ができ、それが被溶接材の溶接部に転写されて溶接部の外観が損なわれる、ピックアップ現象が発生するまでの連続打点数、
(3)電極キャップが被溶接材に溶着してとれなく現象が起る前までの連続打点数、
である。
以上のとおり、本発明に係る溶接電極は広くスポット溶接の分野に利用できるもので溶接機としても定置式といわれるものはもちろん、産業上でも、自動車、電気製品のほか、所謂板金作業と称される分野にも用いることができる。
本発明の一つの実施例のスポット溶接機の要部の説明図である。 本発明の他の実施例に係るスポット溶接機の一例の説明図である。 図1および図2に示すスポット溶接機のチップ本体の一例の説明図である。 図1および図2に示すスポット溶接機の電極キャップの一例の説明図である。
符号の説明
100 溶接電極
102 シャンク
105 シャンクホルダ
120 電極キャップ
121 硬質部
200 板状電極
201 導電性シ−ト
W 被溶接材

Claims (12)

  1. 少なくとも2つの被溶接材の重合部分を上部電極と下部電極との間ではさんで抵抗溶接するスポット溶接機において、前記下部電極に、導電性材料からなる板状電極と導電性材料からなって前記板状電極上に供給される導電性シ−ト材とを設ける一方、前記上部電極に、導電性材料からなって上下に昇降する棒状の溶接電極とこの溶接電極の先端部に整合するよう包囲する電極キャップとを設け、この電極キャップにおける前記被溶接材の当接部分に硬い硬質部を設けてなることを特徴とするスポット溶接機。
  2. 前記板状電極内にその全面にわたって冷却水が通水する平面冷却通路を設ける一方、前記溶接電極内にその先端部分に冷却水を送給できる軸方向冷却通路を設けることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  3. 前記上部電極において少なくとも前記電極キャップを無酸素銅板、タフピッチ銅板またはりん脱酸銅から構成することを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  4. 前記溶接キャップにおいて前記硬質部を鍛造加工により加工硬化させた加工硬化部として構成することを特徴とする請求項1および3記載のスポット溶接機。
  5. 前記上部電極において前記溶接キャップを析出硬化成分を含む銅合金から構成することを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  6. 析出硬化成分を含む銅合金から成る前記溶接キャップにおいて前記硬質部を鍛造加工により加工硬化させた硬い硬質部として加工硬化部として構成することを特徴とする請求項1又は2記載のスポット溶接機。
  7. 前記上部電極において溶接電極を無酸素銅板、タフピッチ銅板またはりん脱酸銅から構成することを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  8. 前記下部電極において、導電性シ−ト材を無酸素銅板、タフピッチ銅板又はりん脱酸銅板から構成することを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  9. 前記導電性シ−ト材の厚さを0.1mm又はそれ以上にすることを特徴とする請求項1又は8記載のスポット溶接機。
  10. 前記導電性シ−ト材の厚さを0.3mm又はそれ以上にすることを特徴とする請求項1又は8記載のスポット溶接機。
  11. 前記導電性シ−ト材の表面に鍛造加工により加工硬化させた加工硬化部を形成して成ることを特徴とする請求項1又は8記載のスポット溶接機。
  12. 前記導電性シ−ト材を連続的なウェブ状に構成し、このシ−ト材を前記板状電極上に間欠的又は連続的に供給することを特徴とする請求項1、8、9、10又は11記載のスポット溶接機。
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