JP2005313077A - 塗装条件設定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】短期間で効率良く塗装において生じたトラブルを改善する自動車塗装ラインの塗装条件設定システムを提供する。
【解決手段】静電塗装ライン内で獲得された情報に基づいて塗装条件を検討し、その結果を静電塗装ラインに提供するシステムである。自動塗装機に対し、塗装設定条件値を入力設定し、入力設定された塗装条件で塗装を行った際のエアー吐出流量の実測データ値を測定するデータ測定ステップと、得られたエアー吐出流量の実測データ値に基づき、塗装ラボで塗装条件を設定し、上記静電塗装ライン内での塗装状態を再現する塗装状態再現ステップと、比較検討を行う比較検討ステップと、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果を、データ情報(2)として静電塗装ラインに供与する補正データ供与ステップと、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、上記データ情報(2)に基づいて塗装設定条件値を補正入力設定する。
【選択図】なし
【解決手段】静電塗装ライン内で獲得された情報に基づいて塗装条件を検討し、その結果を静電塗装ラインに提供するシステムである。自動塗装機に対し、塗装設定条件値を入力設定し、入力設定された塗装条件で塗装を行った際のエアー吐出流量の実測データ値を測定するデータ測定ステップと、得られたエアー吐出流量の実測データ値に基づき、塗装ラボで塗装条件を設定し、上記静電塗装ライン内での塗装状態を再現する塗装状態再現ステップと、比較検討を行う比較検討ステップと、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果を、データ情報(2)として静電塗装ラインに供与する補正データ供与ステップと、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、上記データ情報(2)に基づいて塗装設定条件値を補正入力設定する。
【選択図】なし
Description
本発明は、塗装条件設定システムに関する。
静電塗装は、塗料を霧化し、微粒子化させた塗料に電荷を付与し、静電気力で被塗物に付着させることにより塗装を行うものであり、自動車静電塗装の分野で広く用いられている塗装方法である。静電塗装における霧化方式としては、エアースプレーによる霧化、回転霧化による霧化等が知られている。これらのうち、エアースプレーによる霧化塗装は、ノズルから圧縮空気を噴出させ、この力を利用して塗料を微粒化させ塗装する方法である。また、回転霧化による霧化塗装は、ベル型又は円盤型のヘッドを高速回転させ、その遠心力で微粒子化するものである。
このような静電塗装においては、空気と塗料の混合割合、霧化時の塗料粒子の粒径等、種々の要因が塗色に影響を与えるため、同一の塗料を使用しても塗装条件によって塗色が相違する場合がある。このため、目的とする塗色を得ることができるような塗色条件を得るために、一定の管理項目の設定条件を調整することが一般的に行われている。
しかし、このような管理項目の設定条件に基づいて塗装条件を設定しても、実際の塗装条件は、装置個体間格差が非常に大きいため、別の装置で塗装を行うと、エアーの供給量や塗料の供給量等の設定値が同一であっても、エアーホースの太さや長さが各々違うため実際の塗装条件が大きく相違してしまう。このため、工場中で多数存在する塗装装置の塗装条件を合わせ、それぞれ所望する塗色に合わせて調整することは容易でない。
通常、塗料の製造者と塗装を行う顧客とは別個の者であることから、塗装条件の制御が困難であることによって、充分なトラブル対応ができない場合がしばしばであった。例えば、顧客の塗装ラインにおけるトラブル改善のため、塗料の製造者が試験用の塗装装置で追試を試みた場合、塗装ラインを想定して試験を行い、塗装による不具合を再現させることは非常に困難である。特に、塗料の製造者がテスト用に保有している塗装ラボは、顧客が保有しているような大規模の塗装に適したものではなく、小規模のテスト向けに適した装置であることから、装置特性が大きく異なり、このような問題が極めて顕著になる。このため、塗料の製造者が塗装条件を調節設定しようとした場合には、例えば、顧客のもとを訪問し、直接塗装条件を設定する等、試行錯誤して、トラブルを改善することが必要とされた。
しかし、近年、自動車業界においても消費者の嗜好の変化が極めて早くなっていることから、このようなトラブル改善に必要以上の時間を要していると、消費者の嗜好の変化に充分対応できなくなるおそれがある。更に、経済のグローバル化に伴い、生産工場が海外に存在する場合も多く、このような場合に塗料の製造者が塗装条件の設定のために顧客のもとを訪問することは、効率的ではない。
特許文献1では、自動車を顧客に納車するまでの特定車両の進捗状況を特定ユーザに提供するシステムの中で、自動車メーカに属する情報提供装置とユーザが所有するユーザ端末とを利用してオンラインで車両情報を提供するに際して、進捗管理DBに格納されている納車前の車両の塗装工程での進捗状況に関する情報(例えば、組み立て中の撮影画像や搬送中の位置情報等を含む)を取得し、監視できるようにすると共に、取得した情報をユーザ端末に提供するものであって、顧客に対するエンターテイメント性を演出する情報に留まり、塗装条件の管理や塗膜品質を維持するような情報に着目するものではなかった。
特許文献2では、発注元から製品製作を依頼された受注者が受注者コンピュータでアウトソーシングサービスを行うシステムにおいて、受注者が、板金製品製作のために、アウトソーシングサービスセンタの加工編集会議に参加し、受注者コンピュータの操作を行いながら、塗装を含めた加工方法、及びその見積もり金額、納期等を受注者コンビュータ上で決定する方法が開示されているが、この発明は、製品製造を行う前にITを活用しリモートで製品製造のバーチャルシミュレーション作業を行うアウトソーシングに係る加工編集会議システムに関するものであり、塗装条件の管理や塗膜品質を維持するような情報に着目するものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑み、短期間で効率良く塗装において生じたトラブルを改善することができるような自動車塗装ラインの塗装条件設定システムを提供することを目的とするものである。
本発明は、静電塗装ライン内で獲得された情報に基づいて情報提供者が塗装条件を検討し、その結果を上記静電塗装ラインに提供する自動車用静電塗装ラインの塗装条件設定システムであって、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、塗装設定条件値を入力設定する入力設定ステップと、上記入力設定ステップによって入力設定された塗装条件で塗装を行った際のエアー吐出流量の実測データ値を上記静電塗装ライン内で測定するデータ測定ステップと、上記データ測定ステップによって得られたエアー吐出流量の実測データ値を、データ情報(1)として上記情報提供者に供与する静電塗装ラインデータ供与ステップと、上記データ情報(1)に基づき、上記情報提供者が塗装ラボで塗装条件を設定し、上記静電塗装ライン内での塗装状態を再現する塗装状態再現ステップと、上記情報提供者が上記塗装状態再現ステップによって行った塗装状態と、上記塗装ラボでのモデル実験によって塗装を行ったときのモデル塗装状態との比較検討を行う比較検討ステップと、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果を、データ情報(2)として上記情報提供者から静電塗装ラインに供与する補正データ供与ステップと、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、上記データ情報(2)に基づいて塗装設定条件値を補正入力設定する補正入力ステップとを備えることを特徴とする塗装条件設定システムである。
上記エアー吐出流量の実測データ値は、圧縮空気用流量センサを、塗装機の霧化器直前のエアーパイプに取り付け、測定することにより得られたものであることが好ましい。
上記自動塗装機は、エアー静電スプレー塗装機であり、かつ、エアー吐出流量の実測データ値は、塗装機の霧化エアー吐出流量実測データ値及びパターンエアー吐出流量実測データ値であることが好ましい。
上記自動塗装機は、エアー静電スプレー塗装機であり、かつ、エアー吐出流量の実測データ値は、塗装機の霧化エアー吐出流量実測データ値及びパターンエアー吐出流量実測データ値であることが好ましい。
上記データ情報(2)は、上記塗装状態再現ステップによって塗装を行った塗膜と上記モデル塗装状態における塗膜の色相に関する評価データ値(A)の比較、及び、上記塗装ラボの入力設定条件とエアー吐出流量の実測データ値との比較によって得られた静電塗装ライン内に設置された自動塗装機の塗装設定条件を再設定するための塗装機対応データ値であることが好ましい。
本発明は、圧縮空気用流量センサを塗装機の霧化器直前のエアーパイプに有することを特徴とする自動塗装機でもある。
本発明は、上述した自動塗装機による塗装条件の管理方法であって管理は、圧縮空気流量センサによって測定されるエアー吐出流量を目標範囲内に管理することによって行うものであることを特徴とする塗装条件の管理方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、自動車用静電塗装ライン内で獲得された情報に基づいて情報提供者が塗装条件を検討し、その結果を上記静電塗装ラインに提供する自動車用静電塗装ラインの塗装条件設定システムである。上記塗装条件設定システムは、自動車用静電塗装ラインの塗装装置における塗装条件を、情報提供者による支援のもとで、効率良く設定するためのものである。ここで上記自動車用静電塗装ライン内における情報の獲得は、通常は自動車製造業者によって行われるものであるが、塗装ラインに常駐する情報提供者に属する者(例えば、塗装ラインに常駐している塗料製造会社の社員)によって行われるものであってもよい。上記情報提供者とは、塗料に関する塗装条件設定等の情報を静電塗装ラインに対して提供する者であり、通常は塗料製造業者である。本発明の塗装条件設定システムは、ベース塗料の塗装条件設定に使用することが好ましい。上記ベース塗料は、塗膜の色相及び外観に対して大きな影響を与えるものであるから、目的とする塗色を得るために、本発明の塗装条件設定システムを使用すると、好適な効果が得られるものである。
本発明の塗装条件設定システムは、静電塗装における塗装機の塗装条件を設定するためのものであり、任意の静電塗装装置による静電塗装に対して適用することができる。上記静電塗装装置としては特に限定されず、高電圧を印加して静電塗装する静電塗装装置を挙げることができ、例えば、通称「リアクトガン」と呼ばれるエアー静電スプレー塗装機、「マイクロマイクロベル」、「マイクロベル」と呼ばれる回転霧化式静電塗装機等を挙げることができる。
本発明の塗装条件設定システムにおいては、上記顧客及び上記情報提供者の双方が上記静電塗装装置を保有しているものであるが、本明細書では、これらのうち情報提供者が保有している静電塗装装置を塗装ラボと記載する。なお、上記静電塗装ライン及び塗装ラボは、同一の霧化方式(例えば、両方がエアー霧化静電スプレー塗装機、両方が回転霧化式静電機等)を採用したものであることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明を説明する。
図1は、本発明の塗装条件設定システムにおいて使用される装置の概念図の一例である。
本発明の塗装条件設定システムにおいては、エアー吐出圧力の実測データ値を測定することが必要とされるものであるから、静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2がそれぞれ、エアー吐出流量測定手段12、22を有するものでなければならない。更に、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2は、いずれも塗装条件値入力手段11及び21を有する。上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2は、いずれも、塗装条件を制御するためのコンピュータに接続されているものであることが好ましい。上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2に接続されているそれぞれのコンピュータは、必要に応じて、本発明の各ステップを実行するためのプログラムが保存されたものであってもよい。
図1は、本発明の塗装条件設定システムにおいて使用される装置の概念図の一例である。
本発明の塗装条件設定システムにおいては、エアー吐出圧力の実測データ値を測定することが必要とされるものであるから、静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2がそれぞれ、エアー吐出流量測定手段12、22を有するものでなければならない。更に、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2は、いずれも塗装条件値入力手段11及び21を有する。上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2は、いずれも、塗装条件を制御するためのコンピュータに接続されているものであることが好ましい。上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2に接続されているそれぞれのコンピュータは、必要に応じて、本発明の各ステップを実行するためのプログラムが保存されたものであってもよい。
上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2は、通信回線3を通じて相互にデータを交換することができるものであってもよい。この場合、上記通信回線3を通じて、本発明を達成する上で必要とされるデータ情報が相互に交換されるものである。上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2のデータ情報の交換とは、それぞれの塗装装置を制御するためのデータ情報等を交換するものである。上記通信回線3としては特に限定されるものではなく、電話回線、光ファイバー通信回線等を挙げることができる。
上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機1及び上記塗装ラボ2間で交換されるデータは、エアー吐出流量の実測データを主体とするものである。通常エアー圧力は、塗装機の管理項目の一つとして顧客と塗料製造者間で、塗料導入前に合意された値である。上記エアー吐出流量の実測データ値は、装置に導入されるエアーの流量ではなく、静電塗装装置のガンから吐出されるエアーの圧力を指すものである。実際の測定においては、吐出されるエアーの流量を直接的に測定することは困難であることから、塗装機の霧化器直前のエアーパイプに取りつけて測定したエアーの流量を上記エアー吐出流量という。上記エアー吐出流量は、圧縮空気用流量センサによって測定されたものであることが好ましい。
エアースプレー静電塗装装置においては、通常、エアーは、霧化エアーとパターンエアーとの2種類使用されている。上記霧化エアーは塗料を霧化するためのエアーであり、パターンエアーは霧化された塗料が噴霧される際の噴出形態を調節するためのものである。上記エアー吐出流量は、上記霧化エアーとパターンエアーのうち一方だけを測定するものであってもよいが、両方を測定するものであることがより好ましい。
回転霧化静電塗装装置においては、通常、エアーはパターンエアーとして使用されている。この場合、上記エアー吐出流量は、パターンエアーを測定するものである。
上記圧縮空気用流量センサとしては特に限定されず、従来公知の市販品を用いることができ、例えば、フルーレックスPFシリーズ、ユニットタイプPFUシリーズ(いずれもCKD社製)等を挙げることができる。
図2は、本発明の塗装条件設定システムの一例を表すフロー図である。図2において示されたように、本発明の塗装条件設定システムは、入力設定ステップ、データ測定ステップ、静電塗装ラインデータ供与ステップ、塗装状態再現ステップ、比較検討ステップ、補正データ供与ステップ及び補正入力ステップからなるものである。これによって、顧客も情報提供者も必要以上の労力を要することなく、所望の塗色が得られるような適正な塗装条件を設定することができるものである。
本発明は、このような塗装条件の検討において、エアー吐出流量の実測データを用いることによって、情報提供者において顧客と同一の塗装条件で塗装を行うことを容易とし、塗装データ検討が適正に効率良く行われる。このため、エアー吐出流量の実測データを静電塗装ラインから情報提供者に対して供与することによって、塗装条件の検討が簡便にかつ短時間で行われるものである。
本発明における入力設定ステップは、静電塗装する自動車塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、塗装設定条件値を入力設定するステップである。すなわち、上記入力設定ステップは、自動車用静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に、霧化エアー圧力入力値、パターンエアー圧力入力値等の塗装条件設定値を入力設定するものである。これにより、任意の塗装条件を設定することができ、設定値に従って塗装がされることとなる。上記顧客が多数の自動塗装機を保有しており、これらすべての条件設定を行う場合には、個々の自動塗装機に対して塗装条件設定値を入力する。
上述したように、塗装条件の検討においては、エアー吐出圧力の実測データを用いると、塗装条件の再現が容易になるものではあるが、静電塗装装置のガンから吐出されるエアーの圧力は、自動塗装機において任意に設定することができる値ではなく、静電塗装ラインにおいて霧化エアー圧力入力値、パターンエアー圧力入力値等の入力側の数値を設定しても、コンプレッサーの容量及びエアーホースの長さや太さ等の塗装機間に差異があるため、塗装機固有の値となって決定される数値であることがわかった。従って、この入力設定ステップにおいて、静電塗装装置のガンから吐出エアーの流量を直接制御することはできないことが明確となった。
上記入力設定ステップにおいて、どのような塗装設定条件値を入力するかは、任意に設定するものであってよく、必要に応じて必要な条件値を入力するものである。上記条件値の入力は、顧客が使用する装置に設けられる塗装条件の設定手段に基づいて行うものである。
本発明におけるデータ測定ステップは、入力設定された塗装条件において塗装を行った際のエアー吐出流量の実測データ値を測定するステップである。すなわち、上記データ測定ステップは、顧客先で使用される自動車静電塗装ラインの自動塗装装置1において、上記入力設定ステップで入力設定された塗装条件に対応したエアー吐出流量の実測データ値を測定するものである。上記データ測定ステップによって、上記入力設定ステップで入力設定された塗装条件下でのエアー吐出流量の実測値を得ることができる。
上記データ測定ステップで測定されるエアー吐出流量の実測データ値は、エアースプレー塗装装置である場合は、塗装機の霧化エアー吐出流量実測値及びパターンエアー吐出流量実測値の両方のエアー吐出流量の実測データ値からなるものであることが必要である。これらの両方のエアー吐出流量を測定することによって、情報提供者において静電塗装ライン内に設置された自動塗装機における塗装条件を、より適切に再現することができる。回転霧化塗装装置である場合は、パターンエアー吐出流量である。
上記データ測定ステップにおいては、上記エアー吐出流量以外に情報提供者が塗装ラボでの塗装試験を行うために使用することができる種々の塗装条件を測定するものであってもよい。このような塗装条件としては特に限定されず、例えば塗装時の温度、湿度、塗装コンベアー速度、塗装時間、塗り重ね回数及び圧力等を挙げることができる。
また、同時に、上記入力設定ステップで設定した塗装条件によって自動塗装機で塗装することにより得られた塗膜のカラーデータを測定したものを付けることが好ましい。上記塗膜のカラーデータは、塗装条件に関するデータではないが、得られた塗膜の色及び状態を把握する上では重要なデータとなるため、比較検討ステップの比較検討において参考データとして参照することができる。
本発明における静電塗装ラインデータ供与ステップは、上記データ測定ステップで得られたエアー吐出流量のデータ値を、上記静電塗装ラインから上記情報提供者に対してデータ情報(1)として供与するステップである。すなわち、上記静電塗装ラインデータ供与ステップは、上記データ測定ステップにより測定されるエアー吐出流量のデータ値を、情報提供者に対してデータ情報(1)として与えるものである。これにより、情報提供者は、静電塗装ラインの自動塗装機における塗装条件を知ることができる。
上記データ情報(1)を供与する方法は特に限定されず、データの内容を情報提供者に伝えることができるものであればよく、技術的手段によらない方法であってもよいし、通信手段を介して行うものであってもよい。
上記静電塗装ラインデータ供与ステップは、顧客のコンピュータにデータ情報プログラムを保存し、データ情報送信プログラムによって行うものであってもよい。上記データ情報送信プログラムは、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機のエアー吐出流量を測定する機能、得られたエアー吐出流量及びその他必要なデータに基づいて情報データ(1)を作成する機能及び必要に応じて静電塗装ライン内に設置された確認を行った後で上記通信回線3を通じてデータ情報(1)を送信する機能を有するものであってもよい。
上記データ情報送信プログラムによって上記静電塗装ラインデータ供与ステップを行う場合は、塗膜の塗色異常を発見した者が、エアー吐出流量のデータ値及びその他必要に応じて測定されるデータ値を測定し、上記測定をしたデータに基づいて情報提供者に提供するためのデータファイルを作成し、作成したデータを情報提供者に送信するものである。上記データ情報通信プログラムによって静電塗装ラインデータ供与ステップを行うことによって、本発明を実施する上での静電塗装ラインにおける労力が著しく低減される。
上記静電塗装ラインデータ供与ステップにおいては、上記エアー吐出流量の他に塗装温度、塗装湿度等の諸条件、及び、静電塗装ライン内に設置された自動塗装機におけるエアー圧力の設定条件、顧客が使用している自動塗装機の機種名等の補助情報も併せて塗料製造者等に対して提供するものであってもよい。これらの諸条件も提供されることによって、情報提供者は顧客における塗装条件により近い条件で塗装状態再現ステップの塗装条件の再現を行うことができる。また、得られた塗膜について測定して得られた塗膜のカラーデータも供与するのが好ましい。上記塗膜のカラーデータは、比較検討ステップにおける比較検討を行う際に、参考データとして使用することができるものである。
本発明における塗装状態再現ステップは、得られたデータ情報(1)に基づき、塗装ラボで塗装条件を設定し、上記静電塗装ライン内での塗装状態を再現するステップである。すなわち、上記塗装状態再現ステップは、上記静電塗装ラインデータ供与ステップによって、静電塗装ライン内で獲得されたデータ情報(1)に基づいて情報提供者が自らの塗装ラボによって塗装試験を行うものである。このような塗装試験を行うことによって、塗装時の不具合が確実に再現でき、顧客の塗装条件の問題点を抽出することが容易になり、塗装条件の修正の検討が容易になる。
上記塗装ラボによる塗装試験は、データ情報(1)に基づいて行うものであり、通常は、データ情報(1)として得られた静電塗装ライン内に設置された自動塗装機における塗装条件と同一の条件になるように条件を設定して行うものであることが好ましい。ただし、静電塗装ライン内に設置された自動塗装機と塗装ラボとは、装置のスケール、構造の細部等が相違する場合が多いため、このような機械特性を考慮したデータ修正を施した上で塗装ラボによる塗装を行うものであってもよい。但し、このようなデータ修正を施したとしても、基本的には静電塗装ラインより提供されたデータ情報(1)に基づいて行うものでなければならない。
上記塗装状態再現ステップは、情報提供者の塗装ラボに接続されたコンピュータにデータ情報処理プログラムを保存し、上記データ情報処理プログラムによって、塗装条件設定入力を行うものであってもよい。上記データ情報処理プログラムは、上記データ情報(1)として受信した静電塗装ラインにおけるエアー吐出流量及びその他必要なデータを抽出する機能、上記抽出されたデータに基づいて上記塗装ラボの条件設定を検討する機能、及び、上記検討によって得られた塗装ラボの条件設定に基づいて塗装ラボの入力設定を変更する機能を有するものであることが好ましい。
上記データ情報処理プログラムによって上記塗装状態再現ステップにおける塗装条件の設定を行う場合は、静電塗装ラインから上記情報データ(1)を受信した情報提供者が、プログラムを実行するように上記塗装ラボに対して指示を与えると、上記塗装ラボが、上記情報データ(1)から必要な情報を抽出し、上記抽出されたデータに基づいて上記塗装ラボの条件設定を検討し、得られた塗装条件に基づいて塗装ラボの塗装条件設定を変更するものである。このような方法で塗装条件の設定を行うことによって、情報提供者の労力が軽減される点で好ましい。なお、上述したように、塗装装置において上記エアー吐出流量を設定することは容易なことではないため、上記データ情報処理プログラムによっても、上記塗装ラボの塗装条件を完全には設定することができない場合もある。このような場合には、熟練者が塗装状態をみながら、上記エアー吐出流量が上記情報データ(1)と同一になるように調節することによって上記塗装状態再現ステップを行うものであってもよい。
本発明における比較検討ステップは、上記情報提供者が上記塗装状態再現ステップによって行った塗装状態を検討し、顧客が望んでいる塗色、すなわち顧客と情報提供者とが予め合意した塗色が得られるような塗装条件を得るためのステップである。具体的には、上記塗装ラボでの種々の条件で塗装を行ったモデル実験によって塗装を行ったときのモデル塗装によって得られた塗膜と、上記塗装状態再現ステップによって得られた塗膜の比較検討を行い、顧客が望んでいる塗色、すなわち顧客と情報提供者とが予め合意した塗色により近づくような望ましい塗装条件を見出すステップである。
上記比較検討ステップをどのようにして行うかは、特に限定されないが、エアー吐出流量を測定しながら、種々のエアー吐出圧力で塗装を行い、得られた塗膜を比較検討し、顧客が望んでいる塗色に近づける方法等によって行うことができる。
更に、本発明の方法により、ライン条件の再現が確実にできるようになった為、塗料の製造におけるトラブル等の諸条件によって、塗料の組成自体が微妙に変化を生じており、理想的な配合からのずれを有するものとなっていることが推測できるようになった。つまり、何らかの原因によって、上記自動車用静電塗装ライン中で使用されている塗料組成物の組成のずれにより、塗装条件の変更のみではモデル塗装状態を再現することができない場合が判別できるようになった。このような場合には、色相微調整のための塗料配合変更情報もあわせて検討・送信することが必要とされる。すなわち、色相を微調整するために着色顔料等の色材等を塗料に添加することが必要となるが、この塗料配合変更を行うための新たな塗料配合を検討することを上記比較検討ステップにおいて行うものであってもよい。
上記比較検討ステップにおいて比較検討を行う塗装状態とは、一般的には塗装テストによって得られた塗膜のカラーデータ等の塗膜物性、ラボ装置におけるエアー吐出流量の実測データ値と、エアー圧力設定値との相対的関係等、塗装における各種条件及び得られた塗膜の物性一般を指すものである。
上記比較検討とは、上記塗装状態再現ステップによる塗装状態と上記モデル塗装状態とを対比することによって、上記静電塗装ラインの塗装状態の問題点を抽出し、これを修正するための手段を得るものである。このような比較検討ステップにおける比較検討によって、入力設定ステップにおいて行われた塗装設定条件値の問題点を明らかにし、これを修正して目的とする塗膜を得るための新たな塗装条件を明らかにするものである。上記静電塗装ラインデータ供与ステップにおいてデータ情報(1)として情報提供者に供与された静電塗装ライン内に設置された自動塗装機における塗装条件、塗膜のカラーデータ等も上記比較検討において参照することができる。
上記比較検討は、上記塗装状態再現ステップによって塗装を行った塗膜と上記モデル塗装状態における塗膜の色相に関する評価データ値(A)の比較、及び、上記塗装ラボの入力設定条件とエアー吐出流量の実測データ値との比較によって得られた静電塗装ライン内に設置された自動塗装機の塗装設定条件を再設定するための塗装機対応データ値であるデータ情報(2)を得るものであることが好ましい。このようなものであることによって、静電塗装ライン内に設置された自動塗装機における塗装条件を効率よく修正することができる点で好ましいものである。ただし、塗装条件の変更だけで望む色相が得られないと分った場合には、塗料配合内に塗料色相調整用の原色塗料を添加させることを勧める情報等の塗料配合変更データであってもよい。
上記比較検討の具体的手法は特に限定されるものではなく、塗装条件や塗膜物性に関する種々の知見、実際の塗装テスト結果による探索等の種々の手法を挙げることができる。
上記比較検討は、それぞれのデータを対比しながら判断する者の経験や知識に基いて個別に行うものであってもよいし、情報提供者が有する知見に基づいて比較検討プログラムを作成し、静電塗装ラインから供与された上記データ情報(1)、塗装状態再現ステップの塗装状態の再現結果及びモデル塗装状態に基づいてプログラムによって自動的に比較検討を行い、修正のためのデータを作成するものであってもよい。上記比較再現プログラムは、上記情報提供者の塗装ラボに接続されたコンピュータに保存するものであってもよい。
本発明における補正データ供与ステップは、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果を、データ情報(2)として情報提供者から静電塗装ラインに供与するステップである。すなわち、上記補正データ供与ステップは、情報提供者による上記比較検討の結果をデータ情報として静電塗装ラインに提供することによって、容易に塗装条件を修正することができるようにするものである。
上記データ情報(2)は、通常は、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果をデータ情報化したものであり、静電塗装ラインにおける塗装条件の修正を行うためのデータ情報である。上記データ情報(2)は、目的とする塗膜を得るためのエアー吐出流量であっても、静電塗装ラインの自動塗装機における入力側の好適な設定値であっても、入力条件を修正するために必要とされる示唆(例えば、「霧化エアー圧力入力値を下げて下さい」「パターンエアー圧力入力値を上げて下さい」等のメッセージ)であってもよい。静電塗装ライン内に設置された自動塗装機における入力側の修正された設定として供与されるものであることが好ましい。また、必要に応じて、塗装条件の変更だけで望む色相が得られないとわかった場合等には、塗料配合内に、塗料色相調整用の原色塗料を添加することを推める情報等の塗料配合変更データであってよい。
上記データ情報(2)を供与する方法は特に限定されず、データの内容を情報提供者に伝えることができるものであればよく、技術的手段によらない方法であってもよいし、通信手段を介して行うものであってもよい。
上記補正データ供与ステップは、情報提供者の塗装ラボで補正データを保存し、上記補正データを送信するものであってもよい。上記補正データ送信は、上記比較検討ステップによって得られた比較検討結果に基づいて静電塗装ラインへの送信用のファイルを作成する機能、及び、作成されたファイルを静電塗装ラインへと送信する機能を有するものであってもよい。
上記補正データ供与ステップを上記送信プログラムによって行う場合は、上記比較検討ステップによってデータ情報(2)として入力条件を修正するためのデータを作成した情報提供者が必要に応じて上記情報提供者が確認した後に、上記データファイルが静電塗装ラインに対して送信されるものである。上記送信プログラムによって上記補正データ供与ステップを行うことによって、本発明を実施する上での情報提供者の労力が著しく低減される。
本発明における補正入力ステップは、上記塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、塗装設定条件値を補正入力するものである。すなわち、上記補正入力ステップは、上記補正データ供与ステップにより得られる上記データ情報(2)として提供された修正塗装条件を静電塗装ライン内に設置された自動車用静電塗装ラインの塗装条件として設定するものである。
上記補正入力ステップにおける塗装設定条件値の補正入力は、上記データ情報(2)として供与されたデータに基づいて顧客が手動で入力するものであってもよいし、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に塗装条件修正プログラムを保存することによって、入力するものであってもよい。上記塗装条件修正プログラムは、上記データ情報(2)が有する必要なデータ情報に基づいて上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機の設定条件を修正する機能を有するものであってもよい。
上記塗装条件修正プログラムによって上記補正入力ステップを行う場合は、情報提供者からデータ情報(2)を受信した者が、プログラムを実行することによって、上記データ情報(2)から必要な情報を抽出し、上記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機の塗装条件を修正し、必要に応じて修正された塗装条件の確認を行った後で、修正した新たな設定条件に基づいた塗装を行うものである。
上記修正された新たな設定条件で、顧客が所望する塗装状態と完全には一致しない場合もあるが、このような場合であっても、当初の塗装状態よりも所望する塗装状態により近似したものとなっているため、その後の修正も容易である。また。上記のステップによる顧客と情報提供者の間のデータ交換を繰り返すことによって、顧客が目的とする塗装状態により近づけていくことができる。
本発明の塗装条件設定システムは、入力設定ステップ、データ測定ステップ、静電塗装ラインデータ供与ステップ、塗装状態再現ステップ、比較検討ステップ、補正データ供与ステップ及び補正入力ステップを備えるものであり、これによって速やかに静電塗装ライン内に設置された塗装条件を修正し、所望の塗装状態を得ることができるものである。
本発明は、圧縮空気用流量センサを塗装機の霧化器直前のエアーパイプに有することを特徴とする自動塗装機でもある。すなわち、本発明は上述した塗装条件設定システムにおいて使用することができる自動塗装機でもある。上記自動塗装機は、上述した塗装条件設定システムにおいて好適に使用することができるばかりではなく、その他各種用途への使用が期待されるものである。例えば、上記塗装条件設定システムによって塗装条件を決定した後、ライン上で塗装を行う場合において、塗装条件を一定に管理するために使用することもできる。上記自動塗装機によって塗膜状態管理に使用して、エアー塗出流量を塗装の管理項目とすることによって、塗膜物性を一定に管理したり、塗膜において生じたトラブルを解決したりすることが容易になる。
上記圧縮空気用流量センサを塗装機の霧化器直前のエアーパイプに有することを特徴とする自動塗装機を使用して、圧縮空気流量センサによって測定されるエアー吐出流量を目標範囲内に管理することによる塗装条件の管理方法も本発明の一部である。これによって、容易に塗膜状態を一定に管理することができるものである。
本発明の塗装条件設定システムは、静電塗装ライン内での自動塗装機の塗装条件を修正し、所望の塗装状態を迅速に、簡潔に得ることができるものである。これによって、静電塗装ラインでの塗装トラブルを容易に解決することができ、更に、静電塗装ラインでのトラブルを遠隔地にいる情報提供者が解決することができるものである。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明する。実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、以下の塗装試験においては、上記顧客における自動塗装機に該当するライン塗装機として、エアー静電スプレー塗装機「オートREA」(ABBインダストリー社製)を使用し、上記情報提供者の塗装ラボとして、エアー静電スプレー塗装機「オートREA」(ABBインダストリー社製)を使用して行った。
(実施例)
(ライン複層塗膜形成方法;入力設定ステップ及びデータ測定ステップ)
脱脂及びリン酸亜鉛の前処理を施した自動車用防錆鋼板に、防錆及び平滑性向上のため下地塗装として、下地塗装の乾燥膜厚が20μmになるようにカチオン電着塗装(日本ペイント社製カチオン塗料「パワートップU−50(商品名)」を施した。次に、シーラー塗布工程を経た後、日本ペイント社製中塗り塗料「オルガP−30グレー(商品名)」を、ABBインダストリー社製回転霧化型(ベル型)静電塗装機により乾燥膜厚が、30μmになるように塗装した。中塗り塗装後、140℃で約30分の焼き付け工程を経た。その後、上塗り工程でアクリルメラミン硬化型ベース塗料「スーパーラック M−170−1レッドメタリック(商品名)」を用いて、ABBインダストリー社製エアー静電塗装機「オートREA」により乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、更に、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料「マックフロー O−1800クリヤー(商品名)」を用いて、ABBインダストリー社製回転霧化型(ベル型)静電塗装機により乾燥膜厚が30μmになるように塗装し、140℃で約30分の焼き付け工程を経た。
上記アクリルメラミン硬化型べース塗料のエアー静電塗装機での設定霧化エアー圧力は3.0Kg/cm2、設定パターンエアー圧力は、3.0Kg/cm2であった。上記条件によって自動車用静電塗装ラインによる塗装を行った場合には、目標塗色との差が生じており、塗色調整が必要とされる状態であった。
(ライン複層塗膜形成方法;入力設定ステップ及びデータ測定ステップ)
脱脂及びリン酸亜鉛の前処理を施した自動車用防錆鋼板に、防錆及び平滑性向上のため下地塗装として、下地塗装の乾燥膜厚が20μmになるようにカチオン電着塗装(日本ペイント社製カチオン塗料「パワートップU−50(商品名)」を施した。次に、シーラー塗布工程を経た後、日本ペイント社製中塗り塗料「オルガP−30グレー(商品名)」を、ABBインダストリー社製回転霧化型(ベル型)静電塗装機により乾燥膜厚が、30μmになるように塗装した。中塗り塗装後、140℃で約30分の焼き付け工程を経た。その後、上塗り工程でアクリルメラミン硬化型ベース塗料「スーパーラック M−170−1レッドメタリック(商品名)」を用いて、ABBインダストリー社製エアー静電塗装機「オートREA」により乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、更に、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料「マックフロー O−1800クリヤー(商品名)」を用いて、ABBインダストリー社製回転霧化型(ベル型)静電塗装機により乾燥膜厚が30μmになるように塗装し、140℃で約30分の焼き付け工程を経た。
上記アクリルメラミン硬化型べース塗料のエアー静電塗装機での設定霧化エアー圧力は3.0Kg/cm2、設定パターンエアー圧力は、3.0Kg/cm2であった。上記条件によって自動車用静電塗装ラインによる塗装を行った場合には、目標塗色との差が生じており、塗色調整が必要とされる状態であった。
上記塗装条件で、エアー吐出流量をCDK社製圧縮空気流量センサ「フルーレックス(商品名)」を用いて、各エアー流量を測定した。実測値は、霧化エアー吐出流量は160m3/分、パターンエアー吐出流量は、250m3/分であった。
(静電塗装ラインデータ供与ステップ及び塗装条件再現ステップ)
上記データ測定ステップによって得られた上記データに基づき、塗装ラボにおいて試験を行った。試験においては、霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量が上記データ測定ステップによって得られた値と同一(霧化エアー吐出流量は160m3/分、パターンエアー吐出流量は、250m3/分)になる霧化エアー圧力及びパターンエアー圧力を、調整しながら探った。得られた圧力設定値をラボでの再現実験の中心値として設定し目標塗色に近づく塗装条件を求めた。得られた塗膜においてカラー測定を行い、目標塗色との色差(ΔE)を測定した。なお、塗装ラボにおける塗装は、リン酸亜鉛処理した30cm×10cm×0.7mmのダル鋼板に、パワートップU−50(商品名、日本ペイント社製カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付け硬化させ電着基板を得た。
上記データ測定ステップによって得られた上記データに基づき、塗装ラボにおいて試験を行った。試験においては、霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量が上記データ測定ステップによって得られた値と同一(霧化エアー吐出流量は160m3/分、パターンエアー吐出流量は、250m3/分)になる霧化エアー圧力及びパターンエアー圧力を、調整しながら探った。得られた圧力設定値をラボでの再現実験の中心値として設定し目標塗色に近づく塗装条件を求めた。得られた塗膜においてカラー測定を行い、目標塗色との色差(ΔE)を測定した。なお、塗装ラボにおける塗装は、リン酸亜鉛処理した30cm×10cm×0.7mmのダル鋼板に、パワートップU−50(商品名、日本ペイント社製カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付け硬化させ電着基板を得た。
この電着基板に、オルガP−30グレー(商品名、日本ペイント社製中塗り塗料)を乾燥膜厚25μmとなるように塗装し、140℃で30分間焼き付け硬化させ、中塗り塗膜を形成した。
形成された中塗り塗膜上に、更に、エアー静電スプレー「オートREA」塗装機にて、霧化エアー吐出流量が160m3/分パターンエアー吐出流量が250m3/分になるように圧力設定し、スパーラック M−170−1(商品名、日本ペイント社製ベース塗料、塗色:レッド)を乾燥膜厚15μmとなるように2ステージにてスプレー塗装し、マックフローO−1800(商品名、日本ペイント社製有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚35μmとなるように、塗装した後、140℃で30分間焼き付け硬化させ、複層塗膜を得た。
上述のような複層塗膜形成方法において、エアー静電スプレー塗装機(ABB社製)にて、スパーラック M−170−1を塗装(ベース塗装)する際の、霧化エアー吐出圧力実測値及びパターンエアー吐出圧力実測値を表1のようにそれぞれ調整して塗装を行った。
得られた複層塗膜のカラーを測定し、目標塗色のカラーとの色差(ΔE)測定及び目視による塗膜外観の評価を行った。結果を下記表1に示した。
(目視)
以下の基準でそれぞれの塗膜を評価した。
色相、塗膜外観(平滑性、肌、ちぢみ、ワレ、剥がれ、ワキ、タレ等)
○:違和感がない
△:やや違和感がある
×:違和感がある
以下の基準でそれぞれの塗膜を評価した。
色相、塗膜外観(平滑性、肌、ちぢみ、ワレ、剥がれ、ワキ、タレ等)
○:違和感がない
△:やや違和感がある
×:違和感がある
(比較検討ステップ)
霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量の設定値を変更した3種類の条件で、塗装ラボにおいて試験を行った。これらの試験においては、それぞれの試験について得られた塗膜の目標塗色との色差(ΔE)を測定した。その結果を下記表1に示した。
霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量の設定値を変更した3種類の条件で、塗装ラボにおいて試験を行った。これらの試験においては、それぞれの試験について得られた塗膜の目標塗色との色差(ΔE)を測定した。その結果を下記表1に示した。
表1の結果から、これらの試験のうち試験1の塗装条件で塗装を行った場合に、塗色が改善されたことが明らかになった。
(補正データ供与ステップ及び補正入力ステップ)
上記試験1の塗装条件を自動車用静電塗装ラインに提供し、自動車用静電塗装ラインにおける霧化エアー吐出流量及びパターンエアー流量を上記表1に示された霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量と同一になるように、塗装条件を変更し、変更後の塗装条件によって静電塗装ラインにおける塗装を行った。すると、本実施例による検討を行う前よりも、目標塗色に近い良好な塗膜が得られた。
上記試験1の塗装条件を自動車用静電塗装ラインに提供し、自動車用静電塗装ラインにおける霧化エアー吐出流量及びパターンエアー流量を上記表1に示された霧化エアー吐出流量及びパターンエアー吐出流量と同一になるように、塗装条件を変更し、変更後の塗装条件によって静電塗装ラインにおける塗装を行った。すると、本実施例による検討を行う前よりも、目標塗色に近い良好な塗膜が得られた。
なお、この場合の塗装条件修正前と修正後の自動車用静電塗装ラインにおける塗装条件は下記表2に示したようなものであった。
(従来例)
上記実施例と同様の塗料組成物を使用して、塗装条件再現ステップにおいてエアー吐出流量ではなく、エアー圧力の設定値が同一になるようにして試験を行った。結果を下記表3に示した。
上記実施例と同様の塗料組成物を使用して、塗装条件再現ステップにおいてエアー吐出流量ではなく、エアー圧力の設定値が同一になるようにして試験を行った。結果を下記表3に示した。
このように、エアー圧力を基準にして塗装条件再現ステップを行った場合、見た目にも、色違いが大きすぎ自動車用静電塗装ラインにおける塗膜状態を再現できていない。従って、このような方法では、色相を再現する為の塗装条件を設定することができない。
このように、エアー吐出流量実測値によって塗装条件を制御することによって、好適な追試実験ができることが明らかであるから、このような事実からみて、本発明の塗装条件設定システムによって、効率良く適正な塗装条件の設定を行うために使用することができるものである。
本発明の塗装条件設定システムは、静電塗装ライン中での塗色異常等のトラブルが発生した場合に、簡便にトラブルの改善を行うことができる方法である。更に、情報提供者が静電塗装ラインから遠隔の地にいる場合であっても、再現性よく静電塗装ラインでの塗装条件を再現することができることから、正確にトラブル改善のための情報を提供することができるものである。従って、自動車工場における塗色異常等のトラブルを早期に改善する目的に使用することができるものである。
1 静電塗装ライン内に設置された自動塗装機
2 情報提供者の塗装ラボ
11、21 塗装条件値入力手段
12、22 エアー吐出流量のデータ測定手段
3 通信手段
2 情報提供者の塗装ラボ
11、21 塗装条件値入力手段
12、22 エアー吐出流量のデータ測定手段
3 通信手段
Claims (6)
- 静電塗装ライン内で獲得された情報に基づいて情報提供者が塗装条件を検討し、その結果を前記静電塗装ラインに提供する自動車用静電塗装ラインの塗装条件設定システムであって、
前記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、塗装設定条件値を入力設定する入力設定ステップと、
前記入力設定ステップによって入力設定された塗装条件で塗装を行った際のエアー吐出流量の実測データ値を前記静電塗装ライン内で測定するデータ測定ステップと、
前記データ測定ステップによって得られたエアー吐出流量の実測データ値を、データ情報(1)として前記情報提供者に供与する静電塗装ラインデータ供与ステップと、
前記データ情報(1)に基づき、前記情報提供者が塗装ラボで塗装条件を設定し、前記静電塗装ライン内での塗装状態を再現する塗装状態再現ステップと、
前記情報提供者が前記塗装状態再現ステップによって行った塗装状態と、前記塗装ラボでのモデル実験によって塗装を行ったときのモデル塗装状態との比較検討を行う比較検討ステップと、
前記比較検討ステップによって得られた比較検討結果を、データ情報(2)として前記情報提供者から静電塗装ラインに供与する補正データ供与ステップと、
前記静電塗装ライン内に設置された自動塗装機に対し、前記データ情報(2)に基づいて塗装設定条件値を補正入力設定する補正入力ステップとを
備えることを特徴とする塗装条件設定システム。 - エアー吐出流量の実測データ値は、圧縮空気用流量センサを、塗装機の霧化器直前のエアーパイプに取り付け、測定することにより得られたものである請求項1記載の塗装条件設定システム。
- 自動塗装機は、エアー静電スプレー塗装機であり、
エアー吐出流量の実測データ値は、塗装機の霧化エアー吐出流量実測データ値及びパターンエアー吐出流量実測データ値である請求項1又は2記載の塗装条件設定システム。 - データ情報(2)は、前記塗装状態再現ステップによって塗装を行った塗膜と前記モデル塗装状態における塗膜の色相に関する評価データ値(A)の比較、及び、前記塗装ラボの入力設定条件とエアー吐出流量の実測データ値との比較によって得られた顧客の自動塗装機の塗装設定条件を再設定するための塗装機対応データ値である請求項1、2又は3記載の塗装条件設定システム。
- 圧縮空気用流量センサを塗装機の霧化器直前のエアーパイプに有することを特徴とする自動塗装機。
- 請求項5記載の自動塗装機による塗装条件の管理方法であって、
管理は、圧縮空気流量センサによって測定されるエアー吐出流量を目標範囲内に管理することによって行うものであることを特徴とする塗装条件の管理方法。
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JP2004133952A JP2005313077A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 塗装条件設定システム |
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JP2010511232A (ja) * | 2006-12-01 | 2010-04-08 | デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 塗装プラント用のエラーを記録する方法 |
US8782026B2 (en) | 2011-03-31 | 2014-07-15 | Honda Motor Co., Ltd. | Color harmony with process and environmental feedback |
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-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004133952A patent/JP2005313077A/ja active Pending
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