JP2005312407A - 底質泥土回収装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水底に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置及び方法を提供する。
【解決手段】 ケーシングパイプを地盤中に建て込むと共にケーシングパイプ内部の土砂を掘削して取り出し、シャッター孔を開状態として回収扇部をケーシングパイプと一体的に回転及び下降させつつ底質泥土を掻き寄せてシャッター孔からケーシングパイプ内部に落とし込んだ後回収扇部を上昇させ回収し、シャッター孔を閉状態としてケーシングパイプの上端から土砂を投入して落とし込まれた底質泥土の表面を被覆し、ケーシングパイプを引き上げ回収する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、養殖漁場における排泄物や動植物の死骸等を含む沈殿物、あるいは河川等から流入する微粒物質等が堆積し、微生物等の影響でCOD値等が悪化し、水生生物の生育環境等に影響を与えている海域や湖沼等の底質泥土を処理する装置及び方法に関する。さらに、作業によって、汚濁等の水質汚染をほとんど生じることなく、かつ、固化材の投入や物理的固液分離装置等から排出する処理水の薬品処理等を行うことなく、更には処理過程で空気に触れさせないことから悪臭を発することなく、海底や湖沼の底にあるがままの状態で、海底または湖沼の底に形成した掘削孔中に落し込む底質泥土の処理装置及び方法に関する。
養殖施設が設置されている漁場では、養殖魚介類に与えた餌料の残滓や魚介類の排泄物及び動植物の死骸等が海底や湖沼の底に堆積する。また、河川等に流れこんだ生活排水や家畜糞尿、耕作地から流れ出た水に含まれる有機肥料等の成分によって汚泥化した物質が堆積する。この結果、COD値、全窒素量、全リン量、硫化物等が基準値を超えることとなる。この堆積物を「底質泥土」と称する。
これらの海域や湖沼では、富栄養価による赤潮の発生や微小生物の異常繁殖による酸欠状態によって無酸素水域を形成、あるいはCOD値等が上昇する等、生環境が著しく悪化している。
堆積している底質泥土を、安価で周辺環境影響度の少ない方法で処理する技術の開発は、養殖漁場や湖沼の生環境の改善を促し、赤潮の発生やCOD値の低下等の改善を促すだけでなく、漁業生産者等にとって漁場の維持・回復のコストを低く抑え、かつ処理作業に伴う環境の悪化を防止するものとして望まれているところである。
底質泥土の処理に係る技術は、従来から幅広く提案されており、これを列挙する形で問題点を明らかにすることとする。
1.グラブ浚渫船、ドレッジャー型浚渫船、バケット付コンベアー型浚渫船等の一般的浚渫装置により物理的に浚渫除去する方法は、最も安価で大量に処理できる。しかしながら、養殖漁場等における有機物等微細粒子を大量に含む底質泥土を処理する場合、浮泥等の浮遊物質を大量に巻き上げる。従って、作業による周辺の水域汚染防止のために大量の沈降材の投入を行う等の処理が必要となる。また、浚渫した底質泥土の廃棄場所等での悪臭や排水による水質汚染等の環境への影響が避けられない。
2.吸引型浚渫装置は同じく物理的な処理を基本とする技術であるが、一般的浚渫装置に比較すると巻き上げる浮泥等の量は少なく、浚渫する周辺の水域に与える水質汚染等の影響は小さい。また、一度に処理できる泥土量も少ないことから工事区域を限定した対応も可能である。しかしながら、吸引装置より排出される底質泥土は高い含水比を有した軟泥液状となり、これを処理するために薬品や固化材等の処理材を大量に用いる(特許文献1参照)。
また、台船上あるいは陸上に設置した施設で脱水処理し、該脱水した泥水を薬品等で処理して放水し、含水比を下げた泥土を回収するので、大量に処理するためには大型の固液分離機械等の処理装置を必要としコスト高になることは必定であった。さらに、台船や陸上に圧送処理する工程若しくは処理装置内で、有機物質が空気に触れることによる悪臭の発生等、環境への影響を避けることができないものであった。あるいは、陸上で数年間仮置することにより脱水させる方法では、仮置きする場所が少ないため、この方法自体が困難なこと、また脱水後の処理方法としては埋立てなどしかなく、その処理可能な土砂の量が少ないことも問題となっている。
3.砂等を散布し直接底質泥土を被覆する方法は、安価で大量に施工できるという利点はある。しかしながら、被覆する土砂を散布する時点で底質泥土の巻き上げあるいは被覆材に含まれる微粒物質等の散乱による周辺水域の汚濁等を引起す。加えて、水深を浅くすることで水温上昇等環境条件の著しい変化を引起す。従って、漁場等生物資源を得ることを目的とする水域では適さないものであった。また、近年砂等の採取による自然破壊が問題化していることから、被覆材料を安価に、大量に入手することが困難な状況になっている。
4.底質泥土層の下部の地盤表面より下の砂層にガイドパイプを打込み、ガイドパイプ内にジェット噴射パイプを垂下してジェット水流で砂層の砂を押上げ、土層を反転するようにして底質泥土層を被覆する技術がある。この技術は、当該地盤表面より下の土質が浮遊汚濁の原因となる微細土粒子を含まない場合は有効であるが、地盤線以下の土層が微細土粒子の多い土質である場合は押上げて被覆する工程で周辺水質の汚濁が起こる。また、当該土層が軟岩や外径の大きいレキを含む砂礫層等の場合には、押上げて土層反転する状態で被覆する技術は適用できない。
5.吸引した土砂を回収した台船の処理装置に導いた後、高圧をかけて土中に差し込んだパイプの先端から吐き出して海底等の土中に封入する技術も検討されている。しかしながら、地盤の強度が一様でないところでは圧送された土砂が地盤強度の弱い部分を突き破って周辺水域に拡散し水質汚染を引起す。また、地盤が固結した砂層や砂礫、岩盤等の場合、圧送した泥土が固結した砂層等に殆ど封入できないことは地盤改良工法等の経験のある技術者にとっては周知の事実であり、無理に圧送しようとすると挿入したパイプの破損または圧力の反動で地盤から抜けることが起き、大量の泥土を拡散させるおそれがある。従って、当該圧送工法は極めて限られた条件を満たす場所以外、有効でない技術であった。
特開平10−499号公報
以上の通り、従来の技術は、底質泥土を除去するという点ではある程度の効果を奏する。しかしながら、これら技術の多くは底質泥土を陸上あるいは処理装置を設置した台船上に導き、機械装置による固液分離処理等を行おうとするものであり、処理過程で発生する泥水等を処理するために薬品や固化材等の処理材の使用を必要とする。従って、使用する薬品や固化材によっては、直接的に有害な成分を含んでいたり、環境ホルモン等生態系に影響を及ぼしたりする。
広く用いられてきたセメント系固化材においても、含有する六価クロムによる水質汚染が危惧されている等、多くの課題を残している。また、有機物が多い底質泥土の場合、空気に触れることで悪臭が発生するため、新たな環境問題を生じる。
一方、土層反転または他から持込んだ砂で被覆する方法は、当該土層の適用範囲が限られている。また、吸引した泥土を高圧で地中に封入する技術は、極めて限られた条件でしか有効でない技術と言える。
従来の技術の問題点をまとめると、下記の通りである。
1.底質泥土の掘削等の処理工程で浮泥の拡散等の汚染を引起こす。
2.陸上または台船上の装置等に送る過程で空気に触れ悪臭を発生する。
3.泥土の固化または脱水した処理後の泥水を浄化するために固化材や凝集剤等の化学物質を含む材料や薬品を投入することにより、環境ホルモンほか新たな環境問題の原因となるおそれがある。
4.回収した底質泥土を脱水した後の処理方法が確立されていない場合もあり、施工後に処理や廃棄を必要とする副産物を発生しない対策が望まれている。
5.限られた条件において有効な技術ではあっても、底質の地盤の土質変化がある海域や湖沼等において有効性を保持できないものがある。
本発明の目的は、上記の問題点を解決することができる底質泥土の回収装置及び回収方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成できる各請求項に係る発明は、次の通りである。
(1)請求項1に係る発明は、水底の地盤表面上に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置であって「シャッター型回収口部」を具備するタイプであり、以下の構成を有する。
(a)水上における固定足場を形成する台船と、
(b)前記台船から前記地盤中に建て込み可能なケーシングパイプと、
(c)前記台船上に設置され前記ケーシングパイプを支持すると共に軸周りの回転及び軸方向移動を行わせるべく駆動可能なケーシング回転掘削機と、
(d)前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて前記台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面上に着脱可能な固定手段を具備すると共に該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有し、
(b1)前記ケーシングパイプが、軸方向中間部分に回収口部を具備し、該回収口部には、前記ケーシングパイプを上下に分離した下部ケーシングパイプの上端部と上部ケーシングパイプの下端部とを回動自在に嵌合させた二重管構造部分が形成され、該上端部と該下端部の双方の対応する位置にて周方向に等間隔をもって同寸法の複数のシャッター孔がそれぞれ開口され、かつ前記ケーシング回転掘削機による回転駆動により該上端部と該下端部が相対的に回動して、対応する各シャッター孔がずれた位置となる閉状態と、対応する各シャッター孔が同位置となる開状態とを切り替え可能であり、かつ
(d1)前記回収扇部が、地盤表面上の底質泥土を掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板と、該複数の羽根板の上縁部を支持しかつ該ケーシングパイプのための貫通孔を設けた天板と、該天板の周縁から下方に延び該複数の羽根板の先端部を支持する円筒側板とを具備する。
(2)請求項2に係る発明は、水底の地盤表面上に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置であって「スリット型回収口部」を具備するタイプであり、以下の構成を有する。
(a)水上における固定足場を形成する台船と、
(b)前記台船から前記地盤中に建て込み可能なケーシングパイプと、
(c)前記台船上に設置され前記ケーシングパイプを支持すると共に軸周りの回転及び軸方向移動を行わせるべく駆動可能なケーシング回転掘削機と、
(d)前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて前記台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面上に着脱可能な固定手段を具備すると共に該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有し、
(b'1)前記ケーシングパイプが、軸方向中間部分に回収口部を具備し、該回収口部には、周方向に等間隔をもって同寸法の複数のスリット孔がそれぞれ開口され、かつ
(d1)前記回収扇部が、地盤表面上の底質泥土を掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板と、該複数の羽根板の上縁部を支持しかつ該ケーシングパイプのための貫通孔を設けた天板と、該天板の周縁から下方に延び該複数の羽根板の先端部を支持する円筒側板とを具備する。
(3)請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の底質泥土回収装置において、回収扇部の固定手段が「くさび固定式」であり、以下の構成を有する。
(d2)前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
(d2-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
(d2-2)前記円環壁の内面に沿って上下移動可能な上下動くさびと、
(d2-3)前記上下動くさびの上下移動を制止すべく上下方向の所定位置にて固定可能な制止手段と、
(d2-4)前記上下動くさびと互いに傾斜面にて当接すると共に該上下動くさびの上下移動に伴って前記円環壁の径方向に水平移動可能な水平動くさびと、
(d2-5)前記水平動くさびと前記挟持板とを連結する連結手段と、
(d2-6)前記水平動くさびを前記円環壁の径方向外側へと付勢する弾性手段とを有し、
(d2-7)前記制止手段の上下方向の位置を前記弾性手段による弾性力に抗する方向に移動させたとき、前記上下動くさびが上下移動すると同時に前記水平動くさびが径方向内側へ移動することにより前記連結手段を介して前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする。
(4)請求項4に係る発明は、請求項1のシャッター型回収口部を具備する底質泥土回収装置における回収扇部の固定手段が「エア固定式」であり、以下の構成を有する。
(d2')前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
(d2'-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
(d2'-2)前記円環壁の内面に固定されたエアシリンダであって該円環壁の径方向に伸縮可能な連結ロッドを具備しかつ該連結ロッドの先端が前記挟持板に連結される該エアシリンダとを有し、
(d2'-3)前記エアシリンダへ圧縮空気を供給するためのエア配管用の孔を、前記回収口部の前記シャッター孔の上方にて該ケーシングパイプに穿設し、かつ
(d2'-4)前記エアシリンダに圧縮空気を供給したとき、前記連結ロッドが径方向に伸びることにより前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする。
(5)請求項5に係る発明は、請求項2のスリット型回収口部を具備する底質泥土回収装置における回収扇部の固定手段が「エア固定式」であり、以下の構成を有する。
(d2')前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
(d2'-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
(d2'-2)前記円環壁の内面に固定されたエアシリンダであって該円環壁の径方向に伸縮可能な連結ロッドを具備しかつ該連結ロッドの先端が前記挟持板に連結される該エアシリンダとを有し、
(d2'-3)前記エアシリンダへ圧縮空気を供給するためのエア配管用の孔を、前記回収口部の前記スリット孔の上方にて該ケーシングパイプに穿設し、かつ
(d2'-4)前記エアシリンダに圧縮空気を供給したとき、前記連結ロッドが径方向に伸びることにより前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする。
(6)請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかの底質泥土回収装置において、前記羽根板が平面形状又は前記回収扇部の回転進行方向側の面が凹面となるべく湾曲した形状であることを特徴とする。
(7)請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかの底質泥土回収装置において、前記天板が径方向外側へ向かって漸次下降する傾斜を具備することを特徴とする。
(8)請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれかの底質泥土回収装置において、前記ケーシングパイプの下端に着脱自在に装着されかつ該ケーシングパイプを底質泥土表面から地盤表面まで建て込む際に使用される先端キャップ部を具備し、
前記先端キャップ部が、下側の先端キャップと、上側の支持固定手段とから構成され、
前記下側の先端キャップは、円盤と、該円盤の下面に連設された円錐体と、該円錐体の表面に突設された複数の螺旋状の泥土掻き出し突条とを具備し、
前記上側の支持固定手段は、前記円盤の上面中心部から上方に延びる円柱状のシリンダ固定フレームと、該シリンダ固定フレームの外周上から径方向外側へ延びる複数の前進後退可能なシリンダと、該シリンダの各々の先端から突出するアームに取り付けられ該ケーシングパイプ内面に当接可能な固定脚とを具備することを特徴とする。
(9)請求項9に係る発明は、請求項8の底質泥土回収装置において、前記上側の支持固定手段がさらに、前記円盤の上面周縁から上方に延びる複数の支柱に支持された円環状のガイドローラフレームと、該ガイドローラフレーム上に等角度間隔で取り付けられた複数のガイドローラとを具備し、該ガイドローラの各々は、前記ケーシングパイプの内面に沿って鉛直方向に転動可能に軸支され、かつ
前記先端キャップ部を吊り下げる吊りワイヤーを接続するワイヤーフックを具備することを特徴とする。
(10)請求項10に係る発明は、「シャッター型回収口部」を具備する底質泥土回収装置を用いた底質泥土回収方法であり、以下の構成を有する。
軸方向中間部分に回収口部を具備するケーシングパイプであって該回収口部に設けたシャッター孔が閉状態と開状態とを該ケーシングパイプの軸周りの回動により切り替え可能である該ケーシングパイプと、前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有する底質泥土回収装置を用いて底質泥土を回収する底質泥土回収方法において、
前記シャッター孔を閉状態とした前記ケーシングパイプの下端に土砂侵入防止用の先端キャップ部を装着すると共に該ケーシングパイプを底質泥土表面まで鉛直方向に建て込む第1工程と、
前記ケーシングパイプを回転しつつ底質泥土表面から地盤表面まで建て込む第2工程と、
前記ケーシングパイプの下端から前記先端キャップ部を取り外し回収する第3工程と、
前記シャッター孔下辺が地盤表面に到達するまで前記シャッター孔を閉状態としたまま前記ケーシングパイプを回転させつつ地盤中に建て込むと共に該ケーシングパイプ内部の土砂を掘削し取り出した後、該シャッター孔下辺が底質泥土表面に到達するまで該ケーシングパイプを引き上げる第4工程と、
前記回収扇部を底質泥土表面まで吊り降ろし前記ケーシングパイプ外周面へ固定すると共に前記シャッター孔を開状態とした後、該回収扇部が地盤表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ降下させることにより底質泥土を掻き寄せて該シャッター孔から該ケーシングパイプ内部に落とし込む第5工程と、
前記回収扇部の固定状態を解除し吊り上げて回収する第6工程と、
前記シャッター孔を閉状態とした後に前記ケーシングパイプの上端から土砂を投入することにより該ケーシングパイプ内部に落とし込まれた底質泥土の表面を該土砂で被覆する第7工程と、
前記ケーシングパイプを引き上げ回収する第8工程とを有することを特徴とする。
(11)請求項11に係る発明は、請求項10に記載の底質泥土回収方法において、一の底質泥土除去対象領域にて前記第1〜8工程を行った後、水平方向に移動し、移動した後に前記第1〜8工程を繰り返す第9工程を有することを特徴とする。
(12)請求項12に係る発明は、請求項11に記載の底質泥土回収方法において、前記第9工程の後、底質泥土が除去された地盤表面を土砂で埋める第10工程を有することを特徴とする。
(13)請求項13に係る発明は、請求項9〜11のいずれかに記載の底質泥土回収方法において、前記第7工程において投入する土砂として、前記第4工程において掘削され取り出されたケーシングパイプ内部の土砂を用いることを特徴とする。
(14)請求項14に係る発明は、「スリット型回収口部」を具備する底質泥土回収装置を用いた底質泥土回収方法であり、以下の構成を有する。
軸方向中間部分にスリット孔を具備する回収口部を設けたケーシングパイプと、前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有する底質泥土回収装置を用いて底質泥土を回収する底質泥土回収方法において、
前記ケーシングパイプの下端に土砂侵入防止用の先端キャップ部を装着すると共に該ケーシングパイプを底質泥土表面まで鉛直方向に建て込む第1工程と、
前記ケーシングパイプを回転しつつ底質泥土表面から地盤表面まで建て込む第2工程と、
前記ケーシングパイプの下端から前記先端キャップ部を取り外し回収する第3工程と、
前記スリット孔下辺が底質泥土表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ地盤中に建て込むと共に該ケーシングパイプ内部の土砂を掘削し取り出す第4工程と、
前記回収扇部を底質泥土表面まで吊り降ろし前記ケーシングパイプ外周面へ固定した後、該回収扇部が地盤表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ降下させることにより底質泥土を掻き寄せて該スリット孔から該ケーシングパイプ内部に落とし込む第5工程と、
前記回収扇部の固定状態を解除し吊り上げて回収する第6工程と、
前記ケーシングパイプの上端から土砂を投入することにより該ケーシングパイプ内部に落とし込まれた底質泥土の表面を該土砂で被覆する第7工程と、
前記ケーシングパイプを引き上げ回収する第8工程とを有することを特徴とする。
(15)請求項15に係る発明は、請求項14に記載の底質泥土回収方法において、一の底質泥土除去対象領域にて前記第1〜8工程を行った後、水平方向に移動し、移動した後に前記第1〜8工程を繰り返す第9工程を有することを特徴とする。
(16)請求項16に係る発明は、請求項15に記載の底質泥土回収方法において、前記第9工程の後、底質泥土が除去された地盤表面を土砂で埋める第10工程を有することを特徴とする。
(17)請求項17に係る発明は、請求項14〜16のいずれかに記載の底質泥土回収方法において、前記第7工程において投入する土砂として、前記第4工程において掘削され取り出されたケーシングパイプ内部の土砂を用いることを特徴とする。
本発明は、杭打ち工事等の分野では広く用いられている、ケーシングパイプを貫入して内部を掘削する工程を繰返し所定深度まで掘削孔を形成する工法を、底質泥土の回収作業に利用したものであり、当該工法を海上作業で一般に用いられるスパッドを装備した台船と組合せている。さらに、公知のケーシング回転掘削機によりケーシングパイプを上下移動させたり、ケーシングパイプを軸周りのいずれかの方向に回転させたりする技術を利用すると共に、比較的簡易な新規構造体を組合わせている。これにより、安価な装置及び方法を実現している。
ケーシングパイプの建て込み時の先端キャップ部は、ケーシングパイプ直下の底質泥土をケーシングパイプの周囲に押出し排除する機能を有する。
また、回収扇部の羽根板は、直下にある底質泥土を中心へ掻き寄せる機能を有する。特に、回収扇部の天板が径方向外側へ向かって漸次下降する傾斜を具備する場合には、回収効率が高い。掻き寄せられた底質泥土は、回収口部の開状態のシャッター孔、又はスリット孔を通って内部に落し込まれる。底質泥土へ建て込む際のケーシングパイプ及び回収扇部の回転は、底質泥土を静かに横移動させるために必要な程度の緩やかな回転で足りる。これにより、回転による底質泥土の巻き上げや拡散が回避される。また、落とし込まれた底質泥土の表面を土砂でキャッピングした後にケーシングパイプを引き抜くので、これによっても底質泥土の巻き上げや拡散が回避される。このように水質汚濁による悪影響を与えないことから処理区域周辺の環境変化による生産性低下を引き起こすことがなく、養殖漁場等の底質泥土を処理する方法として適している。
本発明では、従来工法のように底質泥土を水上又は陸上まで掘削装置で掘り揚げたり吸引装置で吸い上げたりする必要がなく、底質泥土の堆積場所でそのまま処理を完了することができる。従って、陸上あるいは台船上に底質泥土を導く工程がなく、底質泥土が空気に一切触れない。この結果、処理工程における悪臭の発生が全くない。
また、従来工法の多くが採用している底質泥土の固化材や薬品等の処理材を全く使用しないので、処理材に含まれる成分による水質汚染や環境ホルモン等による生態系への影響が全くない。
本発明は、水底の地盤の固結の程度に関わりなく、ケーシングパイプを地盤中に貫入させつつハンマーグラブ等でケーシングパイプ内の土砂を掘削し取り出して掘削孔を形成した後、この掘削孔内に底質泥土をゆっくりと落し込む工法である。従って、土中圧送工法のように地盤の強度や土質構成成分等の現地条件によってその効果が制約されることはない。
特に、底質泥土を水上に回収するのではなく、現地の地盤に掘削した掘削孔に落とし込み、さらに好適にはその掘削した土砂を用いて掘削孔の被覆を行ったり、底質泥土回収後の地盤表面への埋め戻しを行ったりすることができるため、施工後に処理や廃棄を必要とする副産物が全く発生しない。この点は、本発明の最も重要な効果の一つである。
尚、底質泥土下の地盤の土質が多量の微細粒子を含む等、掘削した土砂がキャッピング処理及びキャッピン後の埋め戻し土砂として不適当である場合は、地盤表面と均一面になる程度まで良質の別の土砂をもって埋め戻し、掘削した土砂は台船等に回収し、陸上施設等において残土処理する。これにより、周辺水域を汚濁することが避けられる。 また、このような地盤の掘削土砂は、微細粒子を含むとはいっても底質泥土のように汚泥部分を含まないので、薬品処理や固結材処理をすることなく、水質汚濁のおそれがない状態で管理される工事の埋立土等として利用可能である。
本発明では、一般に用いられている建設機械や掘削工法を活用し、一サイクルで相当量の作業を可能とするほか、固液分離等の複雑な処理による時間を必要としないことから連続した作業が可能であり、単位処理量当りの費用が安価となる。また、掘削作業やケーシングパイプ抜取り以外では機械音等の騒音や振動等も抑えられる。
本発明では、回収扇部直下の円形領域以外の区域を乱さないこと、処理材の投入を行わないことから、周辺に存在する有用な微生物や動植物等生態系に与える負荷が小さく、漁場の生産性を維持したままで底質環境が悪化している部分のみを浄化処理することが可能であり経済的効果は大きい。
特に、本発明におけるシャッター型回収口部を具備する底質泥土回収装置は、ケーシングパイプを一部二重管構造とすることと、ケーシング回転掘削機を台船に設置することと、着脱自在に装着可能で円錐体表面に螺旋状の突条を設けた先端キャップ部、及びケーシングパイプと共に回転可能及び上下移動可能な回収扇部以外には、特別の処理装置を必要とせず、一般に広く使用されているケーシング回転掘削機とケーシングパイプ、台船、掘削及び埋め戻し作業用の掘削機を搭載した掘削土仮積台船を用意することで、好適例の全工程を完了できる。従って、安価に実施できる。
さらに、スリット型回収口部を具備する底質泥土回収装置は、ケーシングパイプの構造を単純化でき、またシャッター型のように開閉操作がないため制御も簡単であり、低コストで実施できる。
シャッター型及びスリット型のいずれの回収口部を具備するケーシングパイプにおいても、回収扇部がケーシングパイプに固定されることによりケーシングパイプと共に回転及び上下動可能であるので、回収扇部に対して別個の駆動手段を設ける必要はなく、低コストで実施できる。
更に、いずれの底質泥土回収装置も、同一装置で多様な地盤に適用可能であることから、地盤変化が大きい地域でも複数の装置を準備する必要がなく、経済的な効果が高いものである。
本発明の底質泥土回収方法は、底質泥土が堆積している区域に限定して実施することが可能で、底質泥土の堆積が問題とならない区域には影響しない。また、脱水処理したあとに薬品等の処理材で処理した排水を水中に戻すこともないので、周辺の生物環境を変化させる度合いが極めて小さく、有用な微生物や動植物がそのまま維持され、漁場等の生産性が持続されることによる経済効果が大きいものである。
(1)底質泥土回収装置の概要(請求項1〜9に関連)
(1-1)全体構成
先ず、第1発明である底質泥土回収装置の各実施例に共通する部分について説明する。尚、本底質泥土回収装置は、後述する第2発明である底質泥土回収方法に好適に用いられる。
図1は、水底の地盤表面上に堆積した底質泥土22を回収する底質泥土回収装置1の全体構成図である。主たる構成要素は、スパッド11と、台船2と、クレーン3と、作業台5と、ケーシングパイプ4と、ケーシング回転掘削機6である。
図1を参照する。台船2は、底質泥土回収装置1を水上に設置するための固定足場として用いられる。台船2の船体後部には、水底地盤に対する固定用支柱であるスパッド11が装備される。スパッド11は、必要な支持力に応じて2〜4基が用いられ、昇降装置により鉛直方向上下に移動可能である。主要な作業を行うための作業台5が、台船2の一部として連設され、作業台5には、中空管であるケーシングパイプ4が設置される。作業台5は、ケーシングパイプ4を建て込み可能とする強度を確保すべく形鋼等を組み合わせて張り出し形成されている。台船2上にはクレーン3が搭載されている。クレーン3は、ケーシングパイプ4の建て込みの際にケーシングパイプ4を吊り込んだり、建て込まれたケーシングパイプ4の内部の土砂を掘削し取り出し又は埋め戻す際にハンマーグラブ(図36及び図40の符号8参照)を取り付けて作業したりする能力を具備する。
作業台5上には、ケーシングパイプ4を支持すると共に軸周りの回転及び上下移動を行わせるべく駆動可能なケーシング回転掘削機6もまた設置固定されている。ケーシングパイプ4は、ケーシング回転掘削機6に連結されることにより支持され、ケーシング回転掘削機6及び作業台5を貫通して建て込まれる。ケーシング回転掘削機6は、例えば、公知技術として普及している内直径3mのケーシングパイプ4に対応する機種を選択し、作業台5に設置固定する。
また、台船2から、円形の外郭形状をもつ回収扇部9が昇降可能に吊り下げられている。回収扇部9は、ケーシングパイプ4を貫通させた状態にて作業台5から吊下げ可能である。
(1-2)ケーシングパイプ及び回収扇部の概要
図2は、本発明の主要な構成要素であるケーシングパイプ4及び回収扇部9の部分の概要を示す側面図である。ケーシングパイプ4の軸方向の中間部分には、底質泥土を回収するための回収口部40が設けられる。回収口部40の実施例として、後述する「シャッター型」と「スリット型」の2種があるが、図2ではシャッター型のものを示している。
回収扇部9は、ケーシングパイプ4を貫通させた状態にて台船2から吊りワイヤーにより昇降可能に吊下げられている。回収扇部9はケーシングパイプ4の外周面上に着脱可能な固定手段を具備することにより、ケーシングパイプ4に固定された状態でケーシングパイプ4と共に回転及び軸方向移動することが可能となる。この回収扇部9の動作により地盤表面上の底質泥土をケーシングパイプ4へ向かって掻き寄せる。回収扇部9をケーシングパイプ4へ固定するための固定手段の実施例として、後述する「くさび固定式」と「エア固定式」の2種があり、詳細は後述する。
(2)回収口部の構成
(2-1)シャッター型回収口部(請求項1に関連)
シャッター型回収口部40には、後述する回収扇部9の2種類の固定手段(くさび固定式又はエア固定式)のいずれと組み合わせるかによって部分的に構成が異なる2つの変形態様がある。以下、各態様について説明する。
(2-1-1)シャッター型回収口部とくさび固定式回収扇部を組み合わせる場合(請求項3に関連)
図3〜図6は、くさび固定式回収扇部と組み合わせる場合のシャッター型回収口部の一実施例を示す構成図である。図3は、回収口部40の展開図である。図3に示す通り、ケーシングパイプ4は、その軸方向中間部分(長さを二等分する中央部分の意味ではない)に回収口部40を具備する。この回収口部40は、中空管であるケーシングパイプ4の内部空間と外部空間を遮断する閉状態と、連通させる開状態とを、ケーシング回転掘削機6による軸周りの回転駆動により切り替え可能である。具体的構成は、次の通りである。
ケーシングパイプ4は、上下に分離された下部ケーシングパイプ4Aと上部ケーシングパイプ4Bから構成される。尚、下部ケーシングパイプ4Aと上部ケーシングパイプ4Bは、それぞれが相当の長さを要するので、通常は適宜の長さの短いブロックを連結して形成する。下部ケーシングパイプ4Aの上端には上端部4A1が上方に突出する状態で溶着固定される。上端部4A1は、上部ケーシングパイプ4Bの下端に設けた下端部4B1に対し下方から回動自在に嵌合されている。上端部4A1と下端部4B1を嵌合することにより、上下に分離したケーシングパイプ4の分離領域に二重管構造部分が形成される。この部分では、上端部4A1が内管となり下端部4B1が外管となる。すなわち二重管構造部分では、上端部4A1の外周面と下端部4B1の内周面とを互いに摺動させつつ相対的に回動可能である。回収口部40は、この二重管構造部分に形成される。上端部4A1には、周方向に等間隔をもって複数のシャッター孔4A2が開口される。一方、下端部4B1にも、複数のシャッター孔4A2の各々に対応する位置をもって同寸法の複数のシャッター孔4B2が開口されている。
さらに、上部ケーシングパイプ4Bの下端部4B1の前後面にはそれぞれ、シャッター孔4B2の下方位置に切欠き4B3が形成される。一方、下部ケーシングパイプ4Aの上端部4A1の前後面にもそれぞれ、切欠き4B3に嵌め合わせるよう突起4A3が突設されている。切欠き4B3は、シャッター孔4B2の幅と突起4A3の幅の和に若干の余裕を持たせた有効可動幅をもつ。突起4A3と切欠き4B3は、下部ケーシングパイプ4Aと上部ケーシングパイプ4Bを(すなわち上端部4A1と下端部4B1を)軸周りに相対的に回動させたときにシャッター孔4A2と4B2により形成される回収口部40を開状態または閉状態で停止させるための手段であり、この機能に適合する位置に設けられている。
図4A及び図4Bは、ケーシングパイプ4のシャッター孔4A2、4B2の断面図を示す。図4Aに示す回収口部の閉状態では、シャッター孔4A2と4B2とが周方向においてずれた位置にあり、ケーシングパイプ4の内部空間と外部空間とが遮断される。一方、図4Bに示す回収口部の開状態では、シャッター孔4A2と4B2とが周方向において同位置にあり、ケーシングパイプ4の内部空間と外部空間とが両シャッター孔を介して連通する。
一例として、ケーシングパイプ4は、内直径3mのものを使用する。地盤中への貫入深度(地盤表面からケーシングパイプ4の下端までの距離)を14mとした場合、ケーシングパイプ4の下端から13m(貫入深度−1m)の位置でケーシングパイプ4を上下に分離し、下部ケーシングパイプ4Aの上端に長さ3mの上端部4A1を溶着固定し、上部ケーシングパイプ4Bの下端に長さ3mの下端部4B1を設ける。これにより、分離位置から上方へ長さ3mの部分が二重管構造部分となる。二重管構造部分においては、下部ケーシングパイプ4Aの上端部4A1と、上部ケーシングパイプ4Bの下端部4B1とが嵌合している。
さらに、上部ケーシングパイプ4Bの下端から1m程度上方に、所定の幅及び高さをもつシャッター孔4A2、4B2の下辺が位置するように、複数のシャッター孔を等間隔に穿設する。シャッター孔の幅は、土質によらずに適用可能な寸法として50cm程度が好適であるが、砂質土や粘性土の場合はこれより幅を狭くしてもよい。いずれにしてもこれらの数値に限定しない。また、シャッター孔の高さは例えば1m程度であるが、この数値に限定しない。隣り合うシャッター孔4B2同士の間隔は例えば68cm程度である。尚、貫入深度まで貫入したときに各シャッター孔の下辺が地盤表面位置となるように位置を設定する。またさらに、シャッター孔4B2の下方の少し離れた位置にて、下端部4B1に対し高さ20.5cmで有効可動幅75cmの切欠き4B3を形成する。この切欠き4B3に嵌め合わせるように、上端部4A1に対し切欠き4B3の高さより少し小さい高さ20cmで幅20cmの鋼材の突起4A3を溶着若しくはボルトナット等により取り付ける。従って、上記の切欠き4B3の有効可動幅75cmは、シャッター孔幅50cm+突起幅20cm+余裕5cmから算出されたものである。
上記の例において、突起4A3の溶着位置ないしは取付位置は、下部ケーシングパイプ4Aと上部ケーシングパイプ4Bとが相対的に55cmだけ回動可能なように、図5Aに示す回収口部40の閉状態で切欠き4B3の一方の側辺に突起4A3の一方の側辺が当接して停止する位置とする。図5Aに示す回収口部40の閉状態は、上部ケーシングパイプ4Bすなわち下端部4B1を図5Aの矢印の方向に回転させることにより実現される。図5Bに示す回収口部40の開状態では、切欠き4B3の他方の側辺に突起4B3の他方の側辺が当接して停止する。図5Aの閉状態から図5Bの開状態へ移行させる場合には、上部ケーシングパイプ4Bすなわち下端部4B1を図5Bの矢印の方向に回転させることにより実現される。
ケーシングパイプ4の全長は、下部ケーシングパイプ4Aを地盤中に14m貫入した状態で、上部ケーシングパイプ4Bの上端がケーシング回転掘削機6の上部よりも数メートルだけ上に位置する長さとなるように水深を考慮して決定する。
図6は、図3〜図5Bに示したシャッター型回収口部を具備するケーシングパイプ4を、地盤20中の貫入深度まで建て込んだ状態のケーシングパイプ4の先端部分の断面図である。図示の例では、回収口部40は閉状態である。ケーシングパイプ4内には、被覆層20bを形成する土砂供給に用いるトレミー管10が挿入されている。トレミー管10は、後述する第2発明の底質泥土回収方法の第7工程で好適に用いられる。ここで、トレミー管10について説明すると、例えばケーシングパイプ4の内直径よりもやや小さい外直径をもち上部ケーシングパイプ4Aとほぼ同じ長さのパイプであって、その上端が上方に開いた円錐状の環を取付けた漏斗状に形成されたものを使用する。重量を軽減し、取扱いを容易にするために、剛性のパイプ部分を1m程度として、その下端に高強度シート材等で形成した地盤表面に達する長さの筒状のホースを連結してもよい。連結するホースは、トレミー管のパイプ下端近傍の外周になまし鉄線等で締付けて装着する。
(2-1-2)シャッター型回収口部とエア固定式回収扇部を組み合わせる場合(請求項4に関連)
図7〜図9は、エア固定式回収扇部と組み合わせる場合のシャッター型回収口部の一実施例を示す構成図である。図7は、回収口部40の展開図である。図7の回収口部40は、図3の回収口部40と比較してエア配管孔4B5を具備する点以外は、共通する。すなわち、シャッター孔の開閉機構は共通である。
エア配管孔4B5は、後述する図27に示すエア固定式回収扇部9のエア配管9C8を通すための孔である。エア配管孔4B5は、上部ケーシングパイプ4Bにおいてシャッター孔4B2の上辺から所定の距離だけ上方に周方向に等角度間隔で複数穿設されている。エア配管孔4B5の個数は、必要なエア配管の数に応じて適宜設定される。エア配管孔4B5の下辺とシャッター孔4B2の上辺の間のケーシングパイプ4の外周面上に回収扇部9が固定されることとなる。詳細は後述する。
図8は、ケーシングパイプ4のエア配管孔4B5の部分の断面を示す図である。
図9は、図7及び図8に示したシャッター型回収口部を具備するケーシングパイプ4を、地盤20中の貫入深度まで建て込んだ状態のケーシングパイプ4の先端部分の断面図である。図示の例では、回収口部40は閉状態である。エア配管孔4B5を具備する以外は、図6の構成と共通する。
(2-2)スリット型回収口部(請求項2に関連)
スリット型回収口部40についても、後述する回収扇部9の2種類の固定手段(くさび固定式又はエア固定式)のいずれと組み合わせるかによって部分的に構成が異なる2つの変形態様がある。以下、各態様について説明する。
(2-2-1)スリット型回収口部とくさび固定式回収扇部を組み合わせる場合(請求項3に関連)
図10及び図11は、くさび固定式回収扇部と組み合わせる場合のスリット型回収口部40の一実施例を示す斜視図である。図10に示すスリット型回収口部40を具備するケーシングパイプ4は、前述のシャッター型回収口部のものとは異なり回収口部で上下に分離された構造ではなく、1本のパイプである。図10の回収口部40には、ケーシングパイプ4の軸方向の中間部分において周方向に等間隔をもって複数のスリット孔42が開口される。従って、スリット型回収口部40は開閉機構をもたず、常時、開状態である。
図11は、図10に示したスリット型回収口部を具備するケーシングパイプ4を、地盤20中の貫入深度まで建て込んだ状態のケーシングパイプ4の先端部分の断面図である。スリット回収口部40は常に開状態である。回収口部40以外の構成は、前述の図6と同様である。
(2-2-2)スリット型回収口部とエア固定式回収扇部を組み合わせる場合(請求項5に関連)
図12〜図15は、エア固定式回収扇部と組み合わせる場合のスリット型回収口部の一実施例を示す構成図である。図12に示すスリット型回収口部40を具備するケーシングパイプ4は、図10の回収口部40と比較してエア配管孔45を具備する点以外は、共通する。
エア配管孔45は、後述する図27に示すエア固定式回収扇部9のエア配管9C8を通すための孔である。エア配管孔45は、スリット孔42の上辺から所定の距離だけ上方に周方向に等角度間隔で複数穿設されている。エア配管孔45の個数は、必要なエア配管の数に応じて適宜設定される。エア配管孔45の下辺とスリット孔42の上辺の間のケーシングパイプ4の外周面上に回収扇部9が固定されることとなる。詳細は後述する。
図13は、図12のA断面図であり、ケーシングパイプ4のエア配管孔45の断面を示す。
図14は、図12のB断面図であり、ケーシングパイプ4のスリット孔42の断面を示す。
図15は、図12〜図14に示したスリット型回収口部を具備するケーシングパイプ4を、地盤20中の貫入深度まで建て込んだ状態のケーシングパイプ4の先端部分の断面図である。エア配管孔45を具備する以外は、図9の構成と共通する。
(3)先端キャップ部の構成(請求項8、9に関連)
図16〜図19は、ケーシングパイプ4の下端に装着して用いる先端キャップ部7の構成図である。先端キャップ部7は、ケーシングパイプ4を底質泥土表面から地盤表面まで降下させる工程で使用され、主としてケーシングパイプ4の下端から内部への底質泥土の侵入防止用に取り付けられる。従って、先端キャップ部7は、ケーシングパイプ4の下端に着脱自在に装着される。
図16は、先端キャップ部7の側面図である。図17は、図16のC−C矢視図である。先端キャップ部7は、下側部分の先端キャップ7Aと、上側部分の支持固定手段とから構成される。下側部分の先端キャップ7Aは、ケーシングパイプ4の内直径よりやや短い直径をもつ円盤7A1と、円盤7A1の下面を底面として連設された円錐体7A2と、円錐体の表面に突設された複数の螺旋状の泥土掻き出し突条7A3とから構成されている。
上側部分の支持固定手段は、円盤7A1の上面中心部から上方に延びる円柱状のシリンダ固定フレーム7B1と、シリンダ固定フレーム7B1の外周上から径方向外側へ延びる3本のシリンダ7B2と、各シリンダ7B2の先端から突出するアームに取り付けられた固定脚7B3とを有する。シリンダ7B2はシリンダ固定フレーム7B1の周方向に等角度間隔で配置されている。シリンダの数は3本に限られず、複数のシリンダが対称的に配置されていればよい。各シリンダ7B2に対して気体若しくは液体の媒体を一対の供給管7B5から供給することにより、シリンダ7B2から突出するアームが前進後退するように駆動する。これにより固定脚7B3も前進後退することができる。一対の供給管7B5は、ロータリージョイント7B4へ接続されている。各固定脚7B3を構成するプレートは、ケーシングパイプ4の円筒内面に当接可能な曲面を具備する。
支持固定手段はさらに、円盤7A1の上面周縁3箇所から上方にそれぞれ延びる3本の支柱に支持された円環状のガイドローラフレーム7C2と、ガイドローラフレーム7C2上に等角度間隔で3箇所に取り付けられたガイドローラ7C1とを有する。各ガイドローラ7C1は、ケーシングパイプ4の内面に沿って鉛直方向に転動可能に軸支された状態で取り付けられている。
さらに、円盤7A1の上面周縁3箇所には、先端キャップ部7を吊り下げる吊りワイヤーを接続するためのワイヤーフック7D1が設けられている。支柱、ガイドローラ及びワイヤーフックの数は3つに限られず、複数のものが対称的に配置されていればよい。
図18は、先端キャップ部7をケーシングパイプ4の下端に装着した状態を示す一部切り欠き側面図である。図19は、図10のB−B矢視図である。先端キャップ部7は、3箇所のワイヤーフック7D1に接続された3本の吊りワイヤー7D2と、これら3本の吊りワイヤー7D2を集束して接続したスイベルジョイント7D3に接続された1本の吊りワイヤー7D4とにより、ケーシングパイプ4内で水平に吊り下げられている。先端キャップ部7をケーシングパイプ4の下端に装着する際には、先端キャップ部7をケーシングパイプ4の上端から挿入し、3つのガイドローラ7C1をケーシングパイプ4の内面に当接させつつ降下させる。これにより先端キャップ部7は、ケーシングパイプ4と同軸状態を保持しつつ下降する。先端キャップ部7をケーシングパイプ4の下端の所定位置まで降下させたならば、媒体の供給管7B6からロータリジョイント7B4を介して各シリンダ7B2への供給管7B5へ媒体を供給する。これにより各シリンダ7B2のアームを前進させて各固定脚7B3をケーシングパイプ4の内面へ押圧することにより、先端キャップ部7を固定する。
先端キャップ部7は、このように押圧固定されることにより、ケーシングパイプ4と一体化され、ケーシングパイプ4の回転に伴って回転することができる。先端キャップ7Aの円錐体7A2に設けた泥土掻き出し突条7A3は、先端キャップ部7を底質泥土の層中で一方向に回転させたときに底質泥土を周囲に押しやりケーシングパイプ4の外周へ向けて掻き出す作用がある。この底質泥土の掻き出しは、ケーシングパイプ4を徐々に降下させつつ緩やかに回転させることにより、底質泥土を巻き上げたり攪拌したりすることなく行うことができる。
図18において、下部ケーシングパイプ4Aの下端面には切削刃4Fが形成されており、ケーシングパイプ4Aを回転させつつ地盤中に建て込む際に地盤を切削する機能をもつ。
(4)回収扇部の構成
回収扇部9は、ケーシングパイプ4の外周面上に着脱可能な固定手段を具備すると共に、固定状態においてケーシングパイプ4が駆動されると、ケーシングパイプ4と共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる作業を行う。回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面に固定する固定手段として、くさび固定式と、エア固定式の2種がある。
(4-1)くさび固定式回収扇部(請求項3に関連)
図20Aは、くさび固定式回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面に固定した状態を示す概略的な断面図である。図20Bは、くさび固定式回収扇部9の固定を解除した状態の概略的な部分断面図である。回収扇部9は、ケーシングパイプ4を貫通させた状態で台船2から吊りワイヤ−9A1により吊り下げられ、固定されていない状態ではケーシングパイプ4に対して昇降自在である。
回収扇部9の下半分には、底質泥土を中心へ向かって掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板9D2が設けられる。複数の羽根板9D2の面は平面若しくは湾曲面であるが、いずれの場合も水平面に対して垂直である。天板9D11は、複数の羽根板9D2の上縁部を支持すると共にケーシングパイプ4のための貫通孔9D3を設けている。天板9D11の周縁は円形であり、この周縁から下方に延び複数の羽根板9D2の先端部を支持する円筒側板9D12が設けられる。
くさび固定式の固定手段においては、羽根板9D2の天板9D11の上面に円環壁9B11が立設されている。円環壁9D11は、ケーシングパイプ4と同軸に設置される。円環壁9D11の内側に周方向に等角度間隔で複数の固定手段が配置されている。各固定手段は同じ構造を具備する。図20Aの例では、90度間隔で4個の固定手段が配置されており、それらのうち互いに対向する2個の固定手段が現れている。各固定手段は、挟持板9B3を具備する。挟持板9B3は、ケーシングパイプ4の外周面を押圧可能な面をもつ。各固定手段の挟持板9B3がそれぞれケーシングパイプ4の軸中心へ向かってケーシングパイプ4の外周面を押圧することにより、回収扇部9を固定状態とする。以下、個々の固定手段の具体的機構を説明する。
各固定手段は、2つのくさびを組み合わせて用いる。1つは、円環壁9B11の内面に沿って上下移動可能な上下動くさび9B7であり、もう1つは、円環壁9B11の径方向に水平移動可能な水平動くさび9B6である。上下動くさび9B7の上下移動を制止するための制止手段が設けられている。図示の例では、制止手段は、くさび調節ねじ9B5である。くさび調節ねじ9B5は、固定部上板9B10の貫通ねじ孔と螺合してねじ込まれ、その先端が上下動くさび9B7の上面に当接する。くさび調節ねじ9B5をねじ込むことにより、くさび調節ねじ9B5の先端の上下方向位置が変化する。従って、くさび調節ねじ9B5をねじ込むと、上下動くさび9B7の位置が下がり、くさび調節ねじ9B5を緩めると、上下動くさび9B7の位置が上がる。このようにくさび調節ねじ9B5は、上下動くさび9B7の上下移動を制止して上下方向の所定位置に固定する機能がある。
一方、水平動くさび9B6は、上下動くさび9B7と互いに傾斜面にて当接する。従って、上下動くさび9B7の位置が下がると、水平動くさび9B6は、径方向に中心に向かって移動する。また、上下動くさび9B7の位置が上がると、水平動くさび9B6は、径方向外側に向かって移動可能となる。水平動くさび9B6の中心側と挟持板9B3の背面とは、連結手段である連結ロッド9B2により連結されている。これにより、水平動くさび9B6と挟持板9B3は径方向に一体的に水平移動する。
さらに、連結ロッド9B2の周囲に配設されている弾性手段である解除スプリング9B4は、水平動くさび9B6と固定部内壁9B12との間に保持されているので、常時、水平動くさび9B6を円環壁9B11の径方向外側へと付勢している。これにより水平動くさび9B6が、上下動くさび9B7の傾斜面を径方向外側へ押圧するため、図示の例では、上下動くさび9B7は常時上方へ変位するような力を受けている。同時に、挟持板9B3もまた径方向外側へ引っ張られている。
斯かる構成の固定手段において、回収扇部9をケーシングパイプ4に固定する際には、制止手段であるくさび調節ねじ9B5の上下方向の位置を、解除スプリング9B4による弾性力に抗する方向(図示の例では下方)に移動させる。すると、これに伴って上下動くさび9B7が上下移動(図示の例では下方)する。これによって水平動くさび9B6が径方向内側へ移動することにより、連結ロッド9B2を介して挟持板9B3がケーシングパイプ4の外周面を押圧することとなる。周方向に等角度間隔で配置された複数の固定手段の各挟持板がそれぞれケーシングパイプ4の外周面を押圧することにより、回収扇部9はケーシングパイプ4の外周面へ固定される。
図20Bに示す解除状態とする際には、くさび調節ねじ9B5の上下方向の位置を、解除スプリング9B4による弾性力に沿う方向(図示の例では上方)に移動させる。すると、これに伴って上下動くさび9B7が上下移動(図示の例では上方)する。これによって水平動くさび9B6が径方向外側へ移動することにより、連結ロッド9B2を介して挟持板9B3がケーシングパイプ4の外周面から引き離されることとなる。こうして、回収扇部9の固定状態が解除される。
図21は、図20Aの回収扇部9の全体斜視図である。羽根板は天板9D11と円筒側板9D12に囲まれ収容されている。天板9D11の上面から円環壁9B11が上方に立設されて、円環壁9B11の内側に固定手段が配設されている。円環壁9B11の上は固定部上板9B10で覆われている。固定部上板9B10の4隅には、吊りワイヤーの下端を接続するための吊りワイヤーフック9A2が設けられる。固定部上板9B10の中心にもケーシングパイプ4を貫通させる貫通孔がある。固定部内壁9B12は、ケーシングパイプ4の貫通孔を囲むように立設している。固定部内壁9B12を貫通して各挟持板9B3が突出しており、その押圧面を見ることができる。
図22は、図20Aの矢印Aの方向から見た回収扇部9を部分的に示しているすなわち、回収扇部9を斜め下方側から見た図でなる。天板9D11と円筒側板9D12は、複数の羽根板9D2のケースの役割を果たしている。図22に示す通り、各羽根板9D2は、円筒側板9D12の高さより少し短い寸法の幅を有する板で構成される。枚数は適宜である(図示の例では4枚)。各羽根板9D2の上縁部は天板9D11の下面に連結固定されることにより支持される。また、各羽根板9D2の放射状に延びる先端部は、円筒側板9D12に連結固定されることにより支持される。各羽根板9D2は、回収扇部の回転方向(矢印)の進行方向側の面が凹面となるように湾曲した形状に成形されていることが好適であるが、別の実施例では平面形状であってもよい(請求項6に関連)。
一例では、回収扇部9は鋼材からなり、天板9D11の周縁直径10m、円筒側板9D12の高さ15cmとする。羽根板9D2は、高さ14cmとする。
図23及び図24は、くさび固定式回収扇部の別の実施例を示す図である(請求項7に関連)。この例では、羽根板9D2の上縁部を支持する天板9D11の形状が、図20Aの例との相違点である。図23の断面図に示す通り、天板9D11は、径方向外側へ向かって漸次下降する傾斜を具備する。これは、例えば円すい台の側面形状に相当する。尚、羽根板9D2の上縁部も天板9D11の形状に沿った形となる。このように、天板9D11の中心部が盛り上がった形状とすると、後述する底質泥土回収方法の第5工程における底質泥土の回収能力が、図20Aの平板形状のものより高い。図24は、図23の回収扇部9の全体斜視図である。
くさび固定式回収扇部9は、前述の通り、シャッター型及びスリット型のいずれの回収口部を具備するケーシングパイプにも固定可能である。
(4-2)エア固定式回収扇部(請求項4、5に関連)
図25は、エア固定式回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面に固定した状態を示す概略的な断面図である。回収扇部9は、ケーシングパイプ4を貫通させた状態で台船2から吊りワイヤ−9A1により吊り下げられ、固定されていない状態ではケーシングパイプ4に対して昇降自在である。
回収扇部9の下半分の構造は、図20Aに示したくさび固定式回収扇部と共通する。すなわち、底質泥土を中心へ向かって掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板9D2が設けられる。複数の羽根板9D2の面は平面若しくは湾曲面であるが、いずれの場合も水平面に対して垂直である。天板9D11は、複数の羽根板9D2の上縁部を支持すると共にケーシングパイプ4のための貫通孔9D3を設けている。天板9D11の周縁は円形であり、この周縁から下方に延び複数の羽根板9D2の先端部を支持する円筒側板9D12が設けられる。
エア固定式の固定手段においては、羽根板9D2の天板9D11の上面に円環壁9B11が立設されている。円環壁9D11は、ケーシングパイプ4と同軸に設置される。円環壁9D11の内側に周方向に等角度間隔で複数の固定手段が配置されている。各固定手段は同じ構造を具備する。図25の例では、180度間隔で2個の固定手段が配置されている。各固定手段は、挟持板9C3を具備する。挟持板9C3は、ケーシングパイプ4の外周面を押圧可能な面をもつ。各固定手段の挟持板9C3がそれぞれケーシングパイプ4の軸中心へ向かってケーシングパイプ4の外周面を押圧することにより、回収扇部9を固定状態とする。以下、個々の固定手段の具体的機構を説明する。
円環壁9B11の内面にエアシリンダ9C4が固定されている。エアシリンダ9C4の円筒ケースの基端部9C5は、円筒ケースが水平面内で揺動可能であるのように軸支されて円環壁9B11の内面に取り付けられている。これは、回収扇部9が横振れ等した場合にも挟持板9C3が常にケーシングパイプ4の軸中心に向かって外周面を押圧することを確保するためである。エアシリンダ9C4の円筒ケース内にはエアポンプ機構が内蔵され、円筒ケース先端からは径方向に伸縮可能な連結ロッド9C2が突出する。挟持板9C3は、連結ロッド9C2の先端に取り付けられる。図示の例では、挟持板9C3が鉛直面内で揺動可能であるように連結ロッド9C2の先端により軸支されている。
エアシリンダ9C4へ圧縮空気を供給するためのエア配管9C6は、エアカプラ9C7を介してさらに、ケーシングパイプ4の管内へと延びるエア配管(図示せず)へ接続される。
回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面へ固定する際には、エアシリンダ9C4に圧縮空気を供給する。これにより、連結ロッド9C2が径方向に伸長し、挟持板9C3がケーシングパイプ4の外周面を押圧する。周方向に等角度間隔で配置された複数の固定手段の各挟持板がそれぞれケーシングパイプ4の外周面を押圧することにより、回収扇部9はケーシングパイプ4の外周面へ固定される。
回収扇部9を解除する際には、エアシリンダ9C4の圧縮空気を抜くことにより、連結ロッド9C2が径方向に収縮し、挟持板9C3はケーシングパイプ4の外周面から離れる。
図26は、図25の回収扇部と同様のエア固定式回収扇部の全体斜視図である。図26の例では、固定手段であるエアシリンダが120度間隔で3個配置されている。羽根板は天板9D11と円筒側板9D12に囲まれ収容されている。天板9D11の上面から円環壁9B11が上方に立設されて、円環壁9B11の内側に固定手段が配設されている。円環壁9B11の上は固定部上板9B10で覆われている。固定部上板9B10の4隅には、吊りワイヤーの下端を接続するための吊りワイヤーフック9A2が設けられる。固定部上板9B10の中心にもケーシングパイプ4を貫通させる貫通孔がある。固定部内壁9B12は、ケーシングパイプ4の貫通孔を囲むように立設している。固定部内壁9B12を貫通して各挟持板9C3が突出しており、その押圧面を見ることができる。
ここで、図27を参照しつつ、図25に示したエア固定式回収扇部9の操作方法の概略を説明する。図27に例示するケーシングパイプ4は、前述のスリット型回収口部を具備し、スリット孔42が穿設されている。エア固定式回収扇部9もまた、シャッター型及びスリット型のいずれの回収口部とも組合せ可能である。ただし、エア固定式回収扇部9と組み合わせる場合には、ケーシングパイプ4の回収口部にエア配管孔45を穿設する必要がある。図27では、カプラ9C7に接続されたエア配管9C8は、ケーシングパイプ4のエア配管孔45を通って管内へ延び、ロータリージョイント9C10へ接続される。ロータリージョイント9C10は、エアホース9C9に連結されている。エアホース9C9を通って圧縮空気が台船上から供給される。
図27の状態は、後述する底質泥土回収方法における第5工程における操作である。第5工程では、地盤表面上の底質泥土の回収作業を行う。第5工程の開始時点では、スリット孔42の下辺は、底質泥土22の表面22aに位置する。この状態で回収扇部9の下端が底質泥土22の表面22aに到達するまで降下させる。そして、エア配管9C8と、カプラ9C7及びロータリージョイント9C10とをそれぞれ接続する作業(潜水夫による)を行った後、圧縮空気を供給する。これにより、回収扇部9はケーシングパイプ4の外周面へ固定される。
その後、ケーシングパイプ4を駆動して回転させつつ下降させる。このときケーシングパイプ4に固定された回収扇部9も回転しつつ下降する。この回転及び下降は、泥土を巻き上げない程度の緩やかな速度で行う。この回収扇部9の動作に伴い、天板9D11と円筒側板9D12で囲まれる円形領域内の底質泥土22が羽根板9D2により外側から内側へと掻き寄せられる。掻き寄せられた底質泥土22は、ケーシングパイプ4に到達すると、そのスリット孔42を通り管内へ入る。ここで、図15を参照すると、スリット孔42を通りケーシングパイプ4内へ入った底質泥土22は、ケーシングパイプ4内に形成されている掘削孔21に落ち、掘削孔21内に堆積する(符号22b)。このようにして、スリット孔42の下辺が地盤表面に到達するまで下降させる。
図28は、図27のB−B断面図であり、ケーシングパイプ4の管外からエア配管9C6が中心に向かって延び、カプラ9C7を経てエア配管9C8がエア配管孔45を通り、中心に位置するロータリージョイント9C10へ連結されている。図29は、図27のC−C断面図である。円環壁9B11の内側に設置されたエアシリンダ9C4から中心に向かって延びる連結ロッド9C2の先端に取り付けられた挟持板9C3が、固定部内壁9B12の孔から突出してケーシングパイプ4の外周面を押圧している。
図30及び図31は、エア固定式回収扇部の別の実施例を示す図である(請求項7に関連)。この例は、羽根板9D2の上縁部を支持する天板9D11の形状が、図25の例との相違点である。図30の断面図に示す通り、天板9D11は、径方向外側へ向かって漸次下降する傾斜を具備する。これは、例えば円すい台の側面形状に相当する。尚、羽根板9D2の上縁部も天板9D11の形状に沿った形となる。このように、天板9D11の中心部が盛り上がった形状とすると、後述する底質泥土回収方法の第5工程における底質泥土の回収能力が、図25の平板形状のものより高い。図31は、図30と同様の天板9D11の形状をもつ回収扇部9の全体斜視図である。
(5)底質泥土回収方法の概要
次に、図32〜図47を参照しつつ、第2発明である底質泥土回収方法について説明する。底質泥土回収方法には前述の底質泥土回収装置を用いるが、ケーシングパイプがシャッター型回収口部を具備するかスリット型回収口部を具備するかにより、回収方法の好適態様が一部工程において相違するので、以下、それぞれの回収口部の場合について説明する。尚、回収扇部の固定手段がくさび固定式であるかエア固定式であるかについては、工程において本質的な相違は生じない。理解し易いように、図32にそれぞれの回収口部を用いた場合の底質泥土回収方法の各工程の流れを示す。第1〜3工程及び第8〜10工程は、内容が共通するのでまとめて示している。第4〜7工程においては相違点がある。また、各工程に対応する図番号を付している。
(6)シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプを用いた底質泥土回収方法(請求項10〜13に関連)
(6-1)第1工程
図33は、台船2及び底質泥土回収装置のセッティングを行う第1工程を模式的に示す図である。海上作業等で広く用いられる台船後部にスパッド(図1参照)を2〜4基装備した台船2を、底質泥土の除去対象領域の水面30上まで曳航する。対象領域の水底には、地盤20の表面20a上に底質泥土22が堆積している。底質泥土22の表面22aから水面30までは、水中または海中である。
次に、台船2の後部に設置した2本のスパッドを落下させて水底の地盤20につき立て台船2を固定する。潮汐流等により安定しない場合は台船2に装備したアンカー装置を併用して台船2が水平方向に移動しないように固定する。
その後、ケーシングパイプ4をクレーン3で吊り上げ、ケーシング回転掘削機6、作業台5、及び作業台5から吊り下げられている回収扇部9を貫通する形でケーシングパイプ4の初期建て込みを行う。通常、ケーシングパイプ4の全長を一度に建て込むのではなく、適宜の長さに分割された複数のブロックを順次連結しつつ建て込み、最終的に必要な長さを得る。必要な長さまで建て込んだならば、ケーシング回転掘削機6によりケーシングパイプ4を一旦固定する。
図33に示すように、ーシングパイプ4の初期建て込み工程の任意の段階において、ケーシングパイプ4の下端からの泥土侵入を防止するために先端キャップ部7を装着する。例えばケーシングパイプ4の最初のブロックを建て込んだ後、先端キャップ部7をクレーン3で吊り下げてケーシングパイプ4の上端から管内に挿入し降下させる。図18示したように、先端キャップ部7にはケーシングパイプ4の内面に沿って鉛直方向に転動するローラが設けられているので、ケーシングパイプ4と同軸状態を保持したまま降下させることができる。
先端キャップ部7が、ケーシングパイプ4の下端の所定位置まで達したならば、図18で示したように、油圧等によりシリンダを作動させ固定脚をケーシングパイプ4の内面へ押圧することにより、先端キャップ部7をケーシングパイプ4に固定する。尚、ケーシングパイプ4の下端近傍内面側に、先端キャップ部7の通過防止にストッパ突起等を溶接等により取付けておくことが好ましい。
先端キャップ部7をケーシングパイプ4に固定した後、ケーシングパイプ4を必要な長さとなるまで建て込む。必要な長さまでケーシングパイプ4を建て込んだならば、ケーシング回転掘削機6により、先端キャップ部7が底質泥土22の表面22aに到達するまでケーシングパイプ4を降下させる。ケーシング回転掘削機6によるケーシングパイプ4の固定手段は、クサビやバンドを用いた種々のものがあるが、いずれでもよい。
(6-2)第2工程
図34は、ケーシングパイプ4の下端を底質泥土表面22aから地盤表面20aまで降下させる第2工程を模式的に示す図である。ケーシング回転掘削機6によりケーシングパイプ4をゆっくり回転させながら、ケーシングパイプ4の下端が地盤表面20aに到達するまで徐々に降下させる。このとき、先端キャップ部7が回転することにより、その円錐体に設けた泥土掻き出し突条が、堆積した底質泥土22をケーシングパイプ4の外周方向に掻き出す。これにより、底質泥土22を不用意に攪拌することなくケーシングパイプ4の周囲に排斥する。
(6-3)第3工程
図35は、先端キャップ部7を取り外し回収する第3工程を模式的に示す図である。図18で示したように、先端キャップ部7のシリンダを収縮させることにより固定脚をケーシングパイプ4から離脱させ、先端キャップ部7を解放する。その後、吊りワイヤを引き上げて先端キャップ部7をケーシングパイプ4の上端から取り出し、台船2上に回収する。
(6-4)第4工程
図36は、ケーシングパイプ4の貫入工程及びケーシングパイプ4の内部土砂の掘削工程を含む第4工程の前半を模式的に示す図である。ケーシング回転掘削機6によりケーシングパイプ4をシャッター孔4B2が閉状態となる方向に回転させつつ、ケーシング回転掘削機6の昇降動作の1ストローク分に相当する長さだけケーシングパイプ4を下降させ、地盤20中へ貫入させる。このとき図18に示したケーシングパイプ4の下端に設けた切削刃により地盤20を切削しつつ貫入することができる。貫入したケーシングパイプ4の内部には地盤20を形成する土砂が詰まっている。次に、ケーシングパイプ4の上端からクレーン3で吊り上げたハンマーグラブ8を管内に挿入下降させ、内部土砂を掘削し、掘削した土砂を把持したまま引き上げ、ケーシングパイプ4から取り出す。ハンマーグラブ8は、例えば、広く普及している公知技術または製品の中から、ケーシングパイプ4の内直径(例えば3m)と、搭載したクレーン3の能力に適合するものを選択する。
このケーシングパイプ4の貫入と内部土砂の掘削取り出し作業を、シャッター孔4B2の下辺が地盤表面20aに到達するまで繰り返す。シャッター孔4B2の下辺が地盤表面20aに到達したときのケーシングパイプ4の貫入深度は、前述の底質地盤回収装置で示した一実施例の場合、地盤表面20aから14mの深さとなる。この作業後、ケーシングパイプ4の下端から地盤表面20aまでの管内には、土砂を除かれた掘削孔21の空間が形成されている。シャッター孔4B2は、この時点では未だ閉状態である。すなわち、ケーシングパイプ4の貫入時の回転方向はシャッター孔を閉状態に維持可能な方向とする(図5A参照)。
図37は、ケーシングパイプ4の所定位置までの引き上げ工程を含む第4工程の後半を模式的に示す図である。ケーシングパイプ4の貫入及び内部土砂掘削取り出しの完了後、シャッター孔4B2の下辺が底質泥土表面22aに到達するまでケーシングパイプ4を引き上げる(矢印方向)。この結果、ケーシングパイプ4の下端は、掘削孔21の下端より引き上げられる。
(6-5)第5工程
図38は、回収扇部9により底質泥土を回収する第5工程を模式的に示す図である。先ず、作業台5の下方に吊り上げていた回収扇部9を、ケーシングパイプ4に沿って吊り降ろす。回収扇部9の非作業時の状態は、回収扇部9がケーシングパイプ4に固定されておらず昇降自在である。回収扇部9に連結された吊りワイヤーを繰り出して降下させ、回収扇部9の下端が底質泥土表面22a近傍に到達した時点で停止させる。続いて、回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面に対して固定する。くさび固定式であれば、水平動くさびを移動させ挟持板によりケーシングパイプ4の外周面を押圧する。くさび調節ねじの操作は潜水夫が行う。エア固定式であれば、圧縮空気を供給してエアシリンダを伸長させ挟持板によりケーシングパイプ4の外周面を押圧する。エア配管の連結操作は潜水夫が行う。回収扇部9の固定を完了したならば、回収扇部9の連結していた吊りワイヤーを取り外す。この作業も潜水夫が行う。
次に、 ケーシング回転掘削機6によりケーシングパイプ4を貫入時とは反対方向に回転させる。上部ケーシングパイプ4Bを反転させる距離は、シャッター孔4B2の幅と突起4A3の幅の和に若干の余裕を持たせた長さ(一実施例では75cm)である。これによりシャッター孔4A2、4B2で形成される回収口部が開状態となる(図5B参照)。
続いて、回収口部が開状態となる方向にケーシングパイプ4を回転させつつ、降下させる(実線矢印)。固定状態の回収扇部9もまた回転しつつ降下することとなる。回転及び降下の速度は、底質泥土22を攪乱しない程度に設定する。図38では回収扇部9の天板9D11が平板形状であるが、さらに好適な形状では、天板の中心近傍が高く周縁が低くなるよう傾斜を設けている。好適形状の場合、回収扇部9を降下させると、その下方の底質泥土22には回収扇部9を降下させた反力として上向きの力がかかり上昇する。そして、底質泥土22が羽根板によりかき集められ天板の下面に到達すると、天板の傾斜に沿って移動しようとする。こうして上向きの力と中心向きの力がかかることにより、回収扇部9直下の円形領域内に存在する底質泥土22が外側から内側へとケーシングパイプ4に向かって掻き寄せられる。尚、天板9D11に傾斜のない場合も羽根板により中心への掻き寄せ効果は得られるが、傾斜を設けた方が中心向きの力が大きくなり、効率的である。
こうして、破線矢印のようにケーシングパイプ4まで掻き寄せられた底質泥土22は、開状態のシャッター孔4B2を通ってケーシングパイプ4内に入り、掘削孔21に落下する。このようにして、シャッター孔4B2の下辺が地盤表面20aに到達するまで降下させ、到達したならば降下及び回転を停止させる。この時点で、掘削孔21内に落とし込まれた底質泥土22bの表面が、地盤表面20aより下方に位置するように、ケーシングパイプ4の貫入深度(掘削孔21の容積に関連)、回収扇部9の径(回収する底質泥土22bの容積に関連)等を設定することが好ましい。前述の実施例においては、地盤表面20aより約1m下方となるようにする。掘削孔21内に落とし込まれた底質泥土22bの表面から地盤表面20aまでの距離は、後述する第7工程で形成する被覆層の長さに相当することとなる。
(6-6)第6工程
図39は、回収扇部9を引き上げ回収する第6工程を模式的に示した図である。1つの貫入箇所における底質泥土22の回収が終了したならば、再び回収扇部9に吊りワイヤーを連結する。この作業は潜水夫が行う。その後、吊りワイヤを巻き上げて回収扇部9を作業台5の下方近傍の初期位置まで引き上げる。
(6-7)第7工程
図40は、ケーシングパイプ4内の掘削孔に落とし込まれた底質泥土の表面を土砂で被覆する(すなわちキャッピングする)第7工程を模式的に示す図である。先ず、ケーシング回転掘削機6を再び逆に回転させることによりシャッター孔4A2、4B2で形成される回収口部を閉じる。その後の被覆作業を効率よく行うためにはトレミー管10を用いることが好適である。ケーシングパイプ4の内部にトレミー管10を挿入し、その下端を、掘削孔(図6、図9の符号21)に落し込まれた底質泥土(図6、図9の符号22b)の表面から例えば約1m上方付近に位置させる。次に、ハンマーグラブ8または別途用意したバケットを用いて、トレミー管10の上部から被覆材20b’である土砂を、例えば約1mの厚さになるまで投入して被覆層(図6、図9の符号20b)を形成した後トレミー管を引上げる。シャッター型ケーシングパイプの第7工程におけるケーシングパイプ4内部の状態は、前述の図6及び図9に示されている。
第7工程の別の実施例では、シャッター孔を閉じた後、ハンマーグラブ8を用いて台船2上に用意した土砂または砂(図示せず)を掴み、ケーシングパイプ4の上端からハンマーグラブ8を挿入してケーシングパイプ4内を吊り降ろし、掘削孔に落とし込まれた底質泥土の表面付近にてハンマーグラブ8を開放して土砂または砂を底質泥土の上に落とす。その後、ハンマーグラブ8を引き上げる。これを繰り返して、例えば約1mの高さの被覆層を形成する。
尚、被覆層の長さは、掘削孔が土砂等により充填されて周囲の地盤表面20aとほぼ均一な面となるように設定する。被覆材20b’として台船2上に用意する土砂または砂は、上記第4工程で掘削孔を掘削した際に取り出したものでもよく、あるいは、別途用意したものでもよい。第4工程で掘削され取り出された土砂を用いると、廃棄土砂が全く発生しないことから環境的に最も好ましい。被覆層に別途用意した砂等を用いる場合としては、例えばケーシングパイプ内を掘削した土砂が粘土質であるために水中で濁りを発生する等、周囲の環境に却って影響を及ぼすおそれがある場合がある。
(6-8)第8工程
図41は、ケーシングパイプ4を引き上げ回収する第8工程を模式的に示す図である。ケーシングパイプ4をケーシング回転掘削機6を回転させながら、上方に引き上げて各ブロックに分割し、台船2上に回収する。ケーシングパイプ4の回収後の水底には、底質泥土が除去されて地盤表面20aが現れた円形領域とその中心の被覆層20bによりキャッピングされた掘削孔21が残される。被覆層20bの下層に回収された底質泥土22bが充填されている。
(6-9)第9工程
第8工程を終了したならば、図1に示したスパッド11及びアンカー等の固定装置を引上げ、台船2を曳航して水平方向に移動して次の底質泥土除去対象領域の水面30上まで曳航し、その後、その新たな対象領域にて上記の第1〜第8工程を繰り返す第9工程を行う。図42Aは、第9工程を繰り返し行った後の水底の状態を示す平面図である。本発明の1作業サイクルにおける底質泥土除去対象領域の形状は、底質泥土回収装置の回収扇部の形状及びその機能から図示のような円形領域となる。円形領域の直径は、回収扇部のそれに一致する。図42Bは、図42Aと同様の状態を示す断面図である。図示の例のように、複数の底質泥土除去対象領域全体を漏れなくカバーするように掘削孔21の位置を決定することが好ましい。すなわち、なるべく少ない繰り返し回数で最大面積をカバーできるように、隣接する円形領域との重複部分が最小面積となるようにする。
(6-10)第10工程
図43は、第9工程を繰り返し行うことにより全対象領域の底質泥土を除去した後、底質泥土除去後の地盤表面上に土砂を埋め戻す第10工程を模式的に示す図である。例えば、台船とは別の掘削土砂仮積用台船12にバックホウ等の掘削機械13と仮積みした土砂を搭載する。台船12は、仮積みした土砂を収納するブルワークを取付けた構造とする。台船12を、底質泥土除去後の地盤表面20a上の水上まで曳航してアンカーワイヤー等で位置を固定する。その後、仮積みしていた土砂をバックホウ等を用いて掘削孔とその周囲に埋め戻し、極端な凹凸ができない程度に土砂23を均す。これにより全作業を完了する。
(7)スリット型回収口部を具備するケーシングパイプを用いた底質泥土回収方法(請求項14〜17に関連)
(7-1)第1〜3工程
スリット型回収口部を具備するケーシングパイプを用いた底質泥土回収方法の第1〜3工程は、前述のシャッター型回収口部を具備するケーシングパイプのそれと共通するので、図33〜35及びそれらの説明(6-1)〜(6-3)を参照されたい。
(7-2)第4工程
図44は、ケーシングパイプ4の貫入工程及びケーシングパイプ4の内部土砂の掘削工程を含む第4工程を模式的に示す図である。ケーシング回転掘削機6によりケーシングパイプ4を回転させつつ、ケーシング回転掘削機6の昇降動作の1ストローク分に相当する長さだけケーシングパイプ4を下降させ、地盤20中へ貫入させる。このとき図18に示したケーシングパイプ4の下端に設けた切削刃により地盤20を切削しつつ貫入することができる。貫入したケーシングパイプ4の内部には地盤20を形成する土砂が詰まっている。次に、ケーシングパイプ4の上端からクレーン3で吊り上げたハンマーグラブ8を管内に挿入下降させ、内部土砂を掘削し、掘削した土砂を把持したまま引き上げ、ケーシングパイプ4から取り出す。ハンマーグラブ8は、例えば、広く普及している公知技術または製品の中から、ケーシングパイプ4の内直径(例えば3m)と、搭載したクレーン3の能力に適合するものを選択する。
このケーシングパイプ4の貫入と内部土砂の掘削取り出し作業を、スリット孔42の下辺が底質泥土表面22aに到達するまで繰り返す。
(7-3)第5工程
図45は、回収扇部9により底質泥土を回収する第5工程を模式的に示す図である。先ず、作業台5の下方に吊り上げていた回収扇部9を、ケーシングパイプ4に沿って吊り降ろす。回収扇部9の非作業時の状態は、回収扇部9がケーシングパイプ4に固定されておらず昇降自在である。回収扇部9に連結された吊りワイヤーを繰り出して降下させ、回収扇部9の下端が底質泥土表面22a近傍に到達した時点で停止させる。続いて、回収扇部9をケーシングパイプ4の外周面に対して固定する。くさび固定式であれば、水平動くさびを移動させ挟持板によりケーシングパイプ4の外周面を押圧する。くさび調節ねじの操作は潜水夫が行う。エア固定式であれば、圧縮空気を供給してエアシリンダを伸長させ挟持板によりケーシングパイプ4の外周面を押圧する。エア配管の連結操作は潜水夫が行う。回収扇部9の固定を完了したならば、回収扇部9の連結していた吊りワイヤーを取り外す。この作業も潜水夫が行う。
続いて、ケーシングパイプ4を回転させつつ、降下させる(実線矢印)。固定状態の回収扇部9もまた回転しつつ降下することとなる。回転及び降下の速度は、底質泥土22を攪乱しない程度に設定する。図45では回収扇部9の天板9D11が平板形状であるが、さらに好適な形状では、天板の中心近傍が高く周縁が低くなるよう傾斜を設けている。好適形状の場合、回収扇部9を降下させると、その下方の底質泥土22には回収扇部9を降下させた反力として上向きの力がかかり上昇する。そして、底質泥土22が羽根板によりかき集められ天板の下面に到達すると、天板の傾斜に沿って移動しようとする。こうして上向きの力と中心向きの力がかかることにより、回収扇部9直下の円形領域内に存在する底質泥土22が外側から内側へとケーシングパイプ4に向かって掻き寄せられる。尚、天板9D11に傾斜のない場合も羽根板により中心への掻き寄せ効果は得られるが、傾斜を設けた方が中心向きの力が大きくなり、効率的である。
こうして、破線矢印のようにケーシングパイプ4まで掻き寄せられた底質泥土22は、スリット孔42を通ってケーシングパイプ4内に入り、掘削孔21に落下する。このようにして、スリット孔42の下辺が地盤表面20aに到達するまで降下させ、到達したならば降下及び回転を停止させる。この時点で、掘削孔21内に落とし込まれた底質泥土22bの表面が、地盤表面20aより下方に位置するように、ケーシングパイプ4の貫入深度(掘削孔21の容積に関連)、回収扇部9の径(回収する底質泥土22bの容積に関連)等を設定することが好ましい。前述の実施例においては、地盤表面20aより約1m下方となるようにする。掘削孔21内に落とし込まれた底質泥土22bの表面から地盤表面20aまでの距離は、後述する第7工程で形成する被覆層の長さに相当することとなる。
(7-4)第6工程
図46は、回収扇部9を引き上げ回収する第6工程を模式的に示した図である。1つの貫入箇所における底質泥土22の回収が終了したならば、再び回収扇部9に吊りワイヤーを連結する。この作業は潜水夫が行う。その後、吊りワイヤを巻き上げて回収扇部9を作業台5の下方近傍の初期位置まで引き上げる。
(7-5)第7工程
図47は、ケーシングパイプ4内の掘削孔に落とし込まれた底質泥土の表面を土砂で被覆する(すなわちキャッピングする)第7工程を模式的に示す図である。被覆作業を効率よく行うためにはトレミー管10を用いることが好適である。ケーシングパイプ4の内部にトレミー管10を挿入し、その下端を、掘削孔(図11、図15の符号21)に落し込まれた底質泥土(図11、図15の符号22b)の表面から例えば約1m上方付近に位置させる。次に、ハンマーグラブ8または別途用意したバケットを用いて、トレミー管10の上部から被覆材20b’である土砂を、例えば約1mの厚さになるまで投入して被覆層(図11、図15の符号20b)を形成した後トレミー管を引上げる。スリット型ケーシングパイプの第7工程におけるケーシングパイプ4内部の状態は、前述の図11及び図15に示されている。
第7工程の別の実施例では、ハンマーグラブ8を用いて台船2上に用意した土砂または砂(図示せず)を掴み、ケーシングパイプ4の上端からハンマーグラブ8を挿入してケーシングパイプ4内を吊り降ろし、掘削孔に落とし込まれた底質泥土の表面付近にてハンマーグラブ8を開放して土砂または砂を底質泥土の上に落とす。その後、ハンマーグラブ8を引き上げる。これを繰り返して、例えば約1mの高さの被覆層を形成する。
尚、被覆層の長さは、掘削孔が土砂等により充填されて周囲の地盤表面20aとほぼ均一な面となるように設定する。被覆材20b’として台船2上に用意する土砂または砂は、上記第4工程で掘削孔を掘削した際に取り出したものでもよく、あるいは、別途用意したものでもよい。第4工程で掘削され取り出された土砂を用いると、廃棄土砂が全く発生しないことから環境的に最も好ましい。被覆層に別途用意した砂等を用いる場合としては、例えばケーシングパイプ内を掘削した土砂が粘土質であるために水中で濁りを発生する等、周囲の環境に却って影響を及ぼすおそれがある場合がある。
(7-6)第8〜10工程
スリット型回収口部を具備するケーシングパイプを用いた底質泥土回収方法の第8〜10工程は、前述のシャッター型回収口部を具備するケーシングパイプのそれと共通するので、図41〜43及びそれらの説明(6-8)〜(6-10)を参照されたい。
水底の地盤表面上に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置の全体構成図である。 ケーシングパイプ及ぶ回収扇部の概略構成図である。 ケーシングパイプにおけるシャッター型回収口部の内管部と外管部の展開図である。 シャッター型回収口部のシャッター閉状態における断面図である。 シャッター型回収口部のシャッター開状態における断面図である。 シャッター型回収口部が閉の状態を示す図である。 シャッター型回収口部が開の状態を示す図である。 シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプを地盤中に貫入した状態の先端部分の断面図である。 エア固定式回収扇部と組み合わせるケーシングパイプにおけるエア配管孔を具備するシャッター型回収口部の内管部と外管部の展開図である。 図7のエア配管孔部分の断面図である。 エア配管孔を具備するシャッター型回収口部を有するケーシングパイプを地盤中に貫入した状態の先端部分の断面図である。 ケーシングパイプにおけるスリット型回収口部を示す部分斜視図である。 スリット型回収口部を有するケーシングパイプを地盤中に貫入した状態の先端部分の断面図である。 エア固定式回収扇部と組み合わせるケーシングパイプにおけるエア配管孔を具備するスリット型回収口部の部分斜視図である。 図12のエア配管孔部分の断面(A断面)図である。 図12のスリット孔部分の断面(B断面)図である。 エア配管孔を具備するスリット型回収口部を有するケーシングパイプを地盤中に貫入した状態の先端部分の断面図である。 先端キャップ部の側面図である。 図16のC−C矢視図である。 先端キャップ部をケーシングパイプの下端に装着した状態を示す一部切り欠き側面図である。 図18のB−B矢視図である。 ケーシングパイプの外周に装着したくさび固定式回収扇部(水平型天板部)の固定状態を示す断面図である。 図20Aに対応するくさび固定式回収扇部の解除状態を示す部分断面図である。 水平型天板部を具備するくさび固定式回収扇部の斜視図である。 図20AのA視図である。 ケーシングパイプの外周に装着したくさび固定式回収扇部(円錐型天板部)の固定状態を示す断面図である。 円錐型天板部を具備するくさび固定式回収扇部の斜視図である。 ケーシングパイプの外周に装着したエア固定式回収扇部(水平型天板部)の固定状態を示す断面図である。 水平型天板部を具備するエア固定式回収扇部の斜視図である。 水平型天板部を具備するエア固定式回収扇部による泥土回収状況を示す一部切り欠き断面図である。 図27のB−B断面図である。 図27のC−C断面図である。 ケーシングパイプの外周に装着したエア固定式回収扇部(円錐型天板部)の固定状態を示す断面図である。 円錐型天板部を具備するエア固定式回収扇部の斜視図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプを用いた底質泥土回収方法の概略的フロー図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第1工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第2工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第3工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第4工程の前半を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第4工程の後半を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第5工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第6工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部の場合の第7工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第8工程を模式的に示す図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第9工程の状況を模式的に示す平面図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第9工程の状況を模式的に示す断面図である。 シャッター型回収口部及びスリット型回収口部の各々を具備するケーシングパイプに共通する第10工程を模式的に示す図である。 スリット型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第4工程を模式的に示す図である。 スリット型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第5工程を模式的に示す図である。 スリット型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第6工程を模式的に示す図である。 スリット型回収口部を具備するケーシングパイプの場合の第7工程を模式的に示す図である。
符号の説明
1 底質泥土回収装置
2 台船
3 クレーン
4 ケーシングパイプ
40 回収口部
4A 下部ケーシングパイプ
4A1 上端部
4A2 シャッター孔
4A3 突起
4B 上部ケーシングパイプ
4B1 下端部
4B2 シャッター孔
4B3 切欠き
4B5 エア配管孔
4F カッター
42 スリット孔
45 エア配管孔
5 作業台
6 ケーシング回転掘削機
7 先端キャップ部
7A 先端キャップ
7A1 円盤
7A2 円錐体
7A3 泥土掻き出し突条
7B1 シリンダ固定フレーム
7B2 シリンダ
7B3 固定脚
7B4 ロータリージョイント
7B5 供給管
7B6 供給管
7C1 ガイドローラ
7C2 ガイドローラフレーム
7D1 ワイヤーフック
7D2 吊りワイヤー
7D3 スイベルジョイント
7D4 吊りワイヤー
8 ハンマーグラブ
9 回収扇部
9A1 吊りワイヤー
9A2 吊りワイヤーフック
9B2 連結ロッド(連結手段)
9B3 挟持板
9B4 解除スプリング(弾性手段)
9B5 くさび調節ねじ(制止手段)
9B6 水平動くさび
9B7 上下動くさび
9B10 固定部上板
9B11 固定部円環壁
9B12 固定部内壁
9C2 連結ロッド(連結手段)
9C3 挟持板
9C4 エアシリンダ
9C5 シリンダ固定具
9C6 エア配管
9C7 カプラ
9C8 エア配管
9C9 エアホース
9C10 ロータリージョイント
9D11 天板
9D12 円筒側板
9D2 羽根板
9D3 貫通孔
10 トレミー管
11 スパッド
12 掘削土砂仮積用台船
13 掘削機械
20 地盤
20a 地盤表面
20b 被覆層
20b’ (被覆層用)被覆材
21 掘削孔
22 底質泥土
22a 底質泥土表面
22b 掘削孔内の底質泥土
23 埋戻材
30 水面

Claims (17)

  1. 水底の地盤表面上に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置において、
    (a)水上における固定足場を形成する台船と、
    (b)前記台船から前記地盤中に建て込み可能なケーシングパイプと、
    (c)前記台船上に設置され前記ケーシングパイプを支持すると共に軸周りの回転及び軸方向移動を行わせるべく駆動可能なケーシング回転掘削機と、
    (d)前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて前記台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面上に着脱可能な固定手段を具備すると共に該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有し、
    (b1)前記ケーシングパイプが、軸方向中間部分に回収口部を具備し、該回収口部には、前記ケーシングパイプを上下に分離した下部ケーシングパイプの上端部と上部ケーシングパイプの下端部とを回動自在に嵌合させた二重管構造部分が形成され、該上端部と該下端部の双方の対応する位置にて周方向に等間隔をもって同寸法の複数のシャッター孔がそれぞれ開口され、かつ前記ケーシング回転掘削機による回転駆動により該上端部と該下端部が相対的に回動して、対応する各シャッター孔がずれた位置となる閉状態と、対応する各シャッター孔が同位置となる開状態とを切り替え可能であり、かつ
    (d1)前記回収扇部が、地盤表面上の底質泥土を掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板と、該複数の羽根板の上縁部を支持しかつ該ケーシングパイプのための貫通孔を設けた天板と、該天板の周縁から下方に延び該複数の羽根板の先端部を支持する円筒側板とを具備することを特徴とする
    底質泥土回収装置。
  2. 水底の地盤表面上に堆積した底質泥土を回収する底質泥土回収装置において、
    (a)水上における固定足場を形成する台船と、
    (b)前記台船から前記地盤中に建て込み可能なケーシングパイプと、
    (c)前記台船上に設置され前記ケーシングパイプを支持すると共に軸周りの回転及び軸方向移動を行わせるべく駆動可能なケーシング回転掘削機と、
    (d)前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて前記台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面上に着脱可能な固定手段を具備すると共に該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有し、
    (b'1)前記ケーシングパイプが、軸方向中間部分に回収口部を具備し、該回収口部には、周方向に等間隔をもって同寸法の複数のスリット孔がそれぞれ開口され、かつ
    (d1)前記回収扇部が、地盤表面上の底質泥土を掻き寄せるべく放射状に延びる複数の羽根板と、該複数の羽根板の上縁部を支持しかつ該ケーシングパイプのための貫通孔を設けた天板と、該天板の周縁から下方に延び該複数の羽根板の先端部を支持する円筒側板とを具備することを特徴とする
    底質泥土回収装置。
  3. (d2)前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
    (d2-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
    (d2-2)前記円環壁の内面に沿って上下移動可能な上下動くさびと、
    (d2-3)前記上下動くさびの上下移動を制止すべく上下方向の所定位置にて固定可能な制止手段と、
    (d2-4)前記上下動くさびと互いに傾斜面にて当接すると共に該上下動くさびの上下移動に伴って前記円環壁の径方向に水平移動可能な水平動くさびと、
    (d2-5)前記水平動くさびと前記挟持板とを連結する連結手段と、
    (d2-6)前記水平動くさびを前記円環壁の径方向外側へと付勢する弾性手段とを有し、
    (d2-7)前記制止手段の上下方向の位置を前記弾性手段による弾性力に抗する方向に移動させたとき、前記上下動くさびが上下移動すると同時に前記水平動くさびが径方向内側へ移動することにより前記連結手段を介して前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする
    請求項1または2に記載の底質泥土回収装置。
  4. (d2')前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
    (d2'-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
    (d2'-2)前記円環壁の内面に固定されたエアシリンダであって該円環壁の径方向に伸縮可能な連結ロッドを具備しかつ該連結ロッドの先端が前記挟持板に連結される該エアシリンダとを有し、
    (d2'-3)前記エアシリンダへ圧縮空気を供給するためのエア配管用の孔を、前記回収口部の前記シャッター孔の上方にて該ケーシングパイプに穿設し、かつ
    (d2'-4)前記エアシリンダに圧縮空気を供給したとき、前記連結ロッドが径方向に伸びることにより前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする
    請求項1に記載の底質泥土回収装置。
  5. (d2')前記回収扇部の前記固定手段が、前記ケーシングパイプと同軸に前記天板上面に立設された円環壁の内側に等角度間隔で複数配置され、該固定手段の各々が、
    (d2'-1)前記ケーシングパイプ外周面を押圧可能な面を具備する挟持板と、
    (d2'-2)前記円環壁の内面に固定されたエアシリンダであって該円環壁の径方向に伸縮可能な連結ロッドを具備しかつ該連結ロッドの先端が前記挟持板に連結される該エアシリンダとを有し、
    (d2'-3)前記エアシリンダへ圧縮空気を供給するためのエア配管用の孔を、前記回収口部の前記スリット孔の上方にて該ケーシングパイプに穿設し、かつ
    (d2'-4)前記エアシリンダに圧縮空気を供給したとき、前記連結ロッドが径方向に伸びることにより前記挟持板が前記ケーシングパイプ外周面を押圧することを特徴とする
    請求項1に記載の底質泥土回収装置。
  6. 前記羽根板が平面形状又は前記回収扇部の回転進行方向側の面が凹面となるべく湾曲した形状であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の底質泥土回収装置。
  7. 前記天板が径方向外側へ向かって漸次下降する傾斜を具備することを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載の底質泥土回収装置。
  8. 前記ケーシングパイプの下端に着脱自在に装着されかつ該ケーシングパイプを底質泥土表面から地盤表面まで建て込む際に使用される先端キャップ部を具備し、
    前記先端キャップ部が、下側の先端キャップと、上側の支持固定手段とから構成され、
    前記下側の先端キャップは、円盤と、該円盤の下面に連設された円錐体と、該円錐体の表面に突設された複数の螺旋状の泥土掻き出し突条とを具備し、
    前記上側の支持固定手段は、前記円盤の上面中心部から上方に延びる円柱状のシリンダ固定フレームと、該シリンダ固定フレームの外周上から径方向外側へ延びる複数の前進後退可能なシリンダと、該シリンダの各々の先端から突出するアームに取り付けられ該ケーシングパイプ内面に当接可能な固定脚とを具備することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の底質泥土回収装置。
  9. 前記上側の支持固定手段がさらに、前記円盤の上面周縁から上方に延びる複数の支柱に支持された円環状のガイドローラフレームと、該ガイドローラフレーム上に等角度間隔で取り付けられた複数のガイドローラとを具備し、該ガイドローラの各々は、前記ケーシングパイプの内面に沿って鉛直方向に転動可能に軸支され、かつ
    前記先端キャップ部を吊り下げる吊りワイヤーを接続するワイヤーフックを具備することを特徴とする
    請求項8に記載の底質泥土回収装置。
  10. 軸方向中間部分に回収口部を具備するケーシングパイプであって該回収口部に設けたシャッター孔が閉状態と開状態とを該ケーシングパイプの軸周りの回動により切り替え可能である該ケーシングパイプと、前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有する底質泥土回収装置を用いて底質泥土を回収する底質泥土回収方法において、
    前記シャッター孔を閉状態とした前記ケーシングパイプの下端に土砂侵入防止用の先端キャップ部を装着すると共に該ケーシングパイプを底質泥土表面まで鉛直方向に建て込む第1工程と、
    前記ケーシングパイプを回転しつつ底質泥土表面から地盤表面まで建て込む第2工程と、
    前記ケーシングパイプの下端から前記先端キャップ部を取り外し回収する第3工程と、
    前記シャッター孔下辺が地盤表面に到達するまで前記シャッター孔を閉状態としたまま前記ケーシングパイプを回転させつつ地盤中に建て込むと共に該ケーシングパイプ内部の土砂を掘削し取り出した後、該シャッター孔下辺が底質泥土表面に到達するまで該ケーシングパイプを引き上げる第4工程と、
    前記回収扇部を底質泥土表面まで吊り降ろし前記ケーシングパイプ外周面へ固定すると共に前記シャッター孔を開状態とした後、該回収扇部が地盤表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ降下させることにより底質泥土を掻き寄せて該シャッター孔から該ケーシングパイプ内部に落とし込む第5工程と、
    前記回収扇部の固定状態を解除し吊り上げて回収する第6工程と、
    前記シャッター孔を閉状態とした後に前記ケーシングパイプの上端から土砂を投入することにより該ケーシングパイプ内部に落とし込まれた底質泥土の表面を該土砂で被覆する第7工程と、
    前記ケーシングパイプを引き上げ回収する第8工程とを有することを特徴とする
    底質泥土回収方法。
  11. 一の底質泥土除去対象領域にて前記第1〜8工程を行った後、水平方向に移動し、移動した後に前記第1〜8工程を繰り返す第9工程を有することを特徴とする請求項10に記載の底質泥土回収方法。
  12. 前記第9工程の後、底質泥土が除去された地盤表面を土砂で埋める第10工程を有することを特徴とする請求項11に記載の底質泥土回収方法。
  13. 前記第7工程において投入する土砂として、前記第4工程において掘削され取り出されたケーシングパイプ内部の土砂を用いることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の底質泥土回収方法。
  14. 軸方向中間部分にスリット孔を具備する回収口部を設けたケーシングパイプと、前記ケーシングパイプを貫通させた状態にて台船から吊下げ可能でありかつ該ケーシングパイプ外周面への固定状態にて該ケーシングパイプと共に回転及び軸方向移動しつつ地盤表面上の底質泥土を掻き寄せる回収扇部とを有する底質泥土回収装置を用いて底質泥土を回収する底質泥土回収方法において、
    前記ケーシングパイプの下端に土砂侵入防止用の先端キャップ部を装着すると共に該ケーシングパイプを底質泥土表面まで鉛直方向に建て込む第1工程と、
    前記ケーシングパイプを回転しつつ底質泥土表面から地盤表面まで建て込む第2工程と、
    前記ケーシングパイプの下端から前記先端キャップ部を取り外し回収する第3工程と、
    前記スリット孔下辺が底質泥土表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ地盤中に建て込むと共に該ケーシングパイプ内部の土砂を掘削し取り出す第4工程と、
    前記回収扇部を底質泥土表面まで吊り降ろし前記ケーシングパイプ外周面へ固定した後、該回収扇部が地盤表面に到達するまで前記ケーシングパイプを回転させつつ降下させることにより底質泥土を掻き寄せて該スリット孔から該ケーシングパイプ内部に落とし込む第5工程と、
    前記回収扇部の固定状態を解除し吊り上げて回収する第6工程と、
    前記ケーシングパイプの上端から土砂を投入することにより該ケーシングパイプ内部に落とし込まれた底質泥土の表面を該土砂で被覆する第7工程と、
    前記ケーシングパイプを引き上げ回収する第8工程とを有することを特徴とする
    底質泥土回収方法。
  15. 一の底質泥土除去対象領域にて前記第1〜8工程を行った後、水平方向に移動し、移動した後に前記第1〜8工程を繰り返す第9工程を有することを特徴とする請求項14に記載の底質泥土回収方法。
  16. 前記第9工程の後、底質泥土が除去された地盤表面を土砂で埋める第10工程を有することを特徴とする請求項15に記載の底質泥土回収方法。
  17. 前記第7工程において投入する土砂として、前記第4工程において掘削され取り出されたケーシングパイプ内部の土砂を用いることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の底質泥土回収方法。
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