JP2005311408A - 平衡伝送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な平衡伝送装置を提供すること。
【解決手段】
送信データ生成部10により出力された平衡な送信用の原信号である平衡原信号をD/A変換器20a、20b、ローパスフィルタ25a、25bを介して、演算処理部30a、30bで増幅して、伝送線路へ送出する送信信号がえられる。演算制御部32は、伝送線路の不平衡状態を検出することで得られる検出信号D1〜D3に基づいて、各演算処理部30a、30bの利得を個別に制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、平衡伝送装置に関する。
図13は、伝送線路上の電流モデルを示す図である。伝送線路は、大地(アース)に対して平衡な一対の導体からなる伝送線路(L1、L2)で構成される。
図13では、伝送線路の左端に一対の電圧源(e10、e20)が設けられている。e10とe20とは波形、振幅、位相などの特性が等しく、各電圧源(e10、e20)から発生する電圧(各々の電圧を“e”とする)が、各線路(L1、L2)に与えられる。
伝送線路の右端には、負荷インピーダンス(正規の負荷)ZLが設けられている。伝送線路(L1、L2)には、互いに逆向きの、ディファレンシャル(ノーマル)モード電流(+Id、−Id)が流れる。
ただし、伝送線路と大地(アース)との間には、寄生インピーダンス(対地インピーダンス)Z1〜Z3が介在する。
ここで、寄生インピーダンスZ2、Z3のインピーダンス値(この値もZ2、Z3と表記する)が等しくないと、その寄生インピーダンス(対地インピーダンス)Z1〜Z3ならびに大地を介して循環電流である、コモンモード電流Icが流れる。
平衡度が十分に高い伝送線路であれば、Z2=Z3とみなすことができ、コモンモード電流Icは流れない。しかし、平衡度が比較的低い線路では、Z2≠Z3となり、コモンモード電流Icが流れる。
コモンモード電流Icの電流量は、以下のように表すことができる。以下の式(1)において、eは、各電圧源(e10、e20)から発生する各電圧を示す。
Ic=e・(Z2−Z3)/(Z1・Z2+Z2・Z3+Z3・Z1) ・・・(1)
このコモンモード電流Icは、二股に分岐し、一対の伝送線路(L1、L2)の各々に同等に流れる。よって、各伝送線路(L1、Lに)には、同じ向きに、コモンモード電流(電流量はIc/2となる)が流れる。
コモンモード電流Icが流れると、線路からの輻射が生じる要因となる。すなわち、一対の線路の各々に、同振幅かつ逆位相の信号を重畳した場合、平衡状態が保たれていた場合には各線路から放射される輻射成分は相殺されるが、不平衡状態では、完全な相殺がなされず、輻射成分が外部に漏れることがある。
図14は、従来の平衡伝送回路の一例の構成を示す図である。図14の平衡伝送回路では、不平衡な送信信号(1系統の送信信号)を、トランス(800)を介して平衡信号に変換し、一対の伝送線路(PL1、PL2)を介して平衡伝送を行う。
平衡度の高いトランスを用いることにより、あるいは、コモンモード電流を除去する働きをするコモンモードチョークコイルを挿入して平衡度を向上させることにより、コモンモード電流を低く抑えることができる。
また、伝送線路(PL1、PL2)として、平衡度が高い線路(例えば、イーサネット(登録商標)のツイストペアケーブル等の通信専用の線路)を用いれば、線路上で発生するコモンモード電流は充分低いレベルに抑制されるため、輻射の問題は生じない。
なお、伝送線路の不平衡成分に起因する輻射については、非特許文献1に詳しく述べられている。
井手口健 外1名著、「情報通信システムの電磁ノイズ問題と対応技術」、森北出版、1997年11月25日、P.99−134
平衡度が高い線路(例えば、通信専用の線路)では、線路上でのコモンモード電流の発生は充分抑制されるため、輻射の問題は生じない。したがって、この場合には、不平衡−平衡変換回路の構成を工夫する等して、送信信号自体の平衡度を極力向上させ、コモンモード電流を可能な限り低減することが重要となる。
しかし、平衡度が比較的低い線路を通信線路として用いる場合、送信信号の平衡度を向上させたとしても、必ずしもコモンモード電流の発生を低減できるとは限らない。
すなわち、通信線路自体がアンバランスな特性を有しているため、従来の、「送信信号自体の平衡度を向上させる」という技術では、コモンモード電流の十分な抑制という効果を得ることができない場合がある。
本発明は上記従来の事情を鑑みてなされたものであって、伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な平衡伝送装置を提供することを目的とする。
本発明の平衡伝送装置は、第1に、1対の導体からなる伝送線路を用いてデータ伝送を行う平衡伝送装置であって、平衡な送信用の原信号である平衡原信号を生成する送信信号生成手段と、前記平衡原信号に演算処理を行う演算処理手段と、前記伝送線路の不平衡状態を検出する検出信号が入力され、前記入力された検出信号に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御する演算制御手段と、を備える。
この構成により、伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な平衡伝送装置を提供することができる。
また、本発明の一態様として、第2に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記1対の導体のそれぞれに送出する信号を独立に制御する。この構成により、各送信線路に送出する信号を独立に制御して、伝送線路の不平衡状態を補償することができる。
また、本発明の一態様として、第3に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記検出信号は、前記伝送線路に生じるコモンモード電流、コモンモード電圧、電界、磁界、および前記伝送線路からの輻射に起因する干渉の程度のいずれかに少なくとも一つを検出する検出信号であるものも含まれる。
この構成により、検出信号は、コモンモード電流、コモンモード電圧、電界、磁界等を直接あるいは間接的に実測し、伝送線路の不平衡状態が検出されたものである。通信線路の不平衡状態が判明することで、その不平衡状態を補償するような特性をもつ送信データの生成が可能となる。
また、本発明の一態様として、第4に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記演算制御によって前記伝送線路のディファレンシャルモード信号が影響を受けず不変であるように、前記演算処理手段の処理を制御するものも含まれる。
この構成により、各可変利得増幅手段の増幅率が個別に制御された場合でも、ディファレンシャルモード(ノーマルモード)の信号出力には影響がないため、送信データそのものにはなんら影響せずに、コモンモードノイズのみを低減させることができる。
また、本発明の一態様として、第5に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記伝送線路の特性、前記送信信号生成手段の特性、および前記検出信号を出力する不平衡検出手段の特性のうち少なくとも一つの特性に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するものも含まれる。
この構成により、伝送線路や、検出手段、送信信号生成手段等の特性も補償することができる。
また、本発明の一態様として、第6に、上記第5の平衡伝送装置であって、前記特性は周波数特性を含むものも含まれる。この構成により、伝送線路や、検出手段、送信信号生成手段等の周波数特性を補償することが可能となり、どの周波数帯域においても、不平衡状態を補償する動作を的確に行うことができる。
また、本発明の一態様として、第7に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記検出信号のレベルと、前記伝送線路からの輻射に起因する干渉のレベルとの間のずれに応じて、前記入力された検出信号に対して前記ずれを補正し、前記補正された検出信号に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するものも含まれる。
この構成により、例えば、コモンモード電流の電流量が所定値を超えると干渉レベルが急激に増大するような非線形の関係にある場合等、検出信号のレベル(コモンモード電流の電流量等)と干渉レベルとの間にずれが生じた場合においても、検出信号のレベルを補正してずれを補償して、演算処理手段を制御することで、現実の干渉を効果的に低減することができる。
また、本発明の一態様として、第8に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記検出信号に応じた補正係数を生成し、出力する補正係数生成手段と、前記補正係数に基づいて、前記円座処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、を備えるものも含まれる。
この構成により、演算処理手段の利得の制御精度を向上させることにより、高精度の不平衡の補償処理を行うことができる。
また、本発明の一態様として、第9に、上記第8の平衡伝送装置であって、前記補正係数生成手段は、前記検出信号と前記送信原信号とに基づいて前記補正係数を生成するものも含まれる。この構成により、検出信号および送信原信号の両方に基づいて補正係数を生成することができる。
また、本発明の一態様として、第10に、上記第8の平衡伝送装置であって、前記演算処理手段は、前記平衡原信号を増幅する可変増幅器、前記平衡原信号と前記制御信号とを乗算する乗算器、電圧制御発振器のうち少なくとも一つを有するものも含まれる。この構成により、簡易な構成で演算処理を行うことができる。
また、本発明の一態様として、第11に、上記第5の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記伝送線路の特性、前記伝走線路の特性、前記送信信号生成手段の特性、および前記検出信号を出力する不平衡検出手段の特性のうちいずれか少なくとも一つの特性を補正する等化手段と、前記検出信号と、前記投下手段の出力信号とに基づいて補正係数を生成する補正係数生成手段と、前記補正係数に基づいて、前記増幅処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、を備えるものも含まれる。
この構成により、伝送線路や、検出手段、送信信号生成手段等の特性も補償することができる。
また、本発明の一態様として、第12に、上記第11の平衡伝送装置であって、前記等化手段は、振幅等化器および位相等化器のいずれか少なくとも一方を含み、前記特性の周波数特性を補正するものも含まれる。この構成により、どの周波数帯域においても、不平衡状態を補償する動作を的確に行うことができる。
また、本発明の一態様として、第13に、上記第11の平衡伝送装置であって、前記等化手段は、前記送信原信号を補正することにより前記特性を補正するものも含まれる。この構成により、送信原信号を利用して上記特性の補正を行うことができる。
また、本発明の一態様として、第14に、上記第11の平衡伝送装置であって、前記等化手段は、前記検出信号を補正することにより前記特性を補正するものも含まれる。この構成により、検出信号を利用して上記特性の補正を行うことができる。
また、本発明の一態様では、第15に、上記第7の平衡伝送装置であって、前記演算制御手段は、前記検出信号について、前記干渉レベルとの間の前記ずれを補正するずれ補正手段と、前記ずれ補正手段によって補正された検出信号に応じた補正係数を生成し、出力する補正係数生成手段と、前記補正係数に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、を備えるものも含まれる。
この構成により、検出信号のレベルと現実の干渉レベルとの間のずれを補正した後、伝送線路の不平衡を補償するための処理(演算処理手段の制御)を実施することができ、他の機器との間の干渉を効果的に低減することができる。
また、本発明の第16に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記演算処理手段の処理を制御する処理は、前記送信信号のレベルを上昇させていく過程で行われるものも含まれる。
この構成により、送信信号レベルを上昇させていくことで、確実に平衡状態でのデータ伝送を行うことができる。
また、本発明の一態様として、第17に、上記第16の平衡伝送装置であって、前記送信信号のレベルの上昇は段階的に行われるものも含まれる。この構成により、送信信号レベルを段階的に上昇させていくことで、確実に平衡状態でのデータ伝送を行うことができる。
また、第18に、上記第1の平衡伝送装置であって、前記平衡伝送装置が非送信モードである場合には、前記平衡送信信号の代わりに、前記伝送線路を介して受信される受信信号を、前記演算制御手段により処理が制御される前記演算処理手段で処理して不平衡補償用信号を生成し、この不平衡補償用信号を前記伝送線路に送出するものも含まれる。
この構成により、伝送装置が通信相手に信号を送信していない場合、すなわち、受信モードや待機モードの場合でも、伝送線路を介して受信される信号に基づいて、コモンモード電流等の不平衡成分をゼロにするための不平衡補償用信号を生成して出力するため、伝送線路のアンバランスが常に補償されることになり、通信線路からの輻射が効果的に抑制される。
また、第19に、上記1の平衡伝送装置であって、前記平衡伝送装置が非送信モードである場合には、前記平衡原信号の代わりに、前記検出信号を、前記演算制御手段により処理が制御される前記演算処理手段で処理して不平候補商用信号を生成し、この不平衡補償用信号を前記伝送線路に送出するものも含まれる。
この構成により、伝送装置が通信相手に信号を送信していない場合、すなわち、受信モードや待機モードの場合でも、既知の信号に基づいて、コモンモード電流等の不平衡成分をゼロにするための不平衡補償用信号を生成して出力するため、伝送線路のアンバランスが常に補償されることになり、通信線路からの輻射が効果的に抑制される。
また、第20に、上記1ないし19のいずれかの平衡伝送装置であって、前記伝送線路として電灯線を利用するものも含まれる。
本発明の平衡伝送装置を用いることで、輻射を低減しつつ、各家庭に備わっている電灯線(電力線)通信を行う場合においても、不平衡状態を補償することができる。
また、本発明の平衡伝送システムは、上記1ないし20のいずれかの平衡伝送装置と、前記送信装置と前記伝送路を介して通信を行う受信装置と、を備える。これにより、伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な平衡伝送システムを提供することができる。
本発明によれば、伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な平衡伝送装置を提供することができる。
まず、本発明の実施形態における、伝送線路のアンバランスを補償する方法について説明する。図1は、本発明の実施形態における、伝送線路のアンバランスを補償するための原理的な構成、ならびに伝送線路上における電流モデルを示す図である。
図1における伝送線路上の電流モデルは、図8に示すものと同様である。ただし、図1の構成では、一対の伝送線路の各々に与える電圧(または位相)を個別に制御し、線路の不平衡を補償する特性をもたせる。これによって、伝送線路自体のアンバランスを自動的に補償することができる。
図1に示されるように、伝送線路は、大地(アース)に対して平衡な一対の導体を有する伝送線路(L1、L2)で構成される。また、伝送線路の左端に一対の電圧源(e1、e2)が設けられ、各電圧源(e1、e2)から発生する電圧(以下の説明では、各々の電圧も“e1”、“e2”と表す)が、各線路(L1、L2)に与えられる。ここで、e1、e2は、e10(e20)と波形が相似で、振幅が異なる電圧源である。
伝送線路の右端には、負荷インピーダンス(正規の負荷)ZLが設けられている。伝送線路(L1、L2)には、互いに逆向きの、ディファレンシャル(ノーマル)モード電流(+Id、−Id)が流れる。
ただし、伝送線路と大地(アース)との間には、寄生インピーダンス(対地インピーダンス)Z1〜Z3が介在する。ここで、寄生インピーダンスZ2、Z3のインピーダンス値(この値もZ2、Z3と表記する)が等しくないと、その寄生インピーダンス(対地インピーダンス)Z1〜Z3ならびに大地(アース)を介して循環電流である、コモンモード電流Icが流れる。
平衡度が十分に高い伝送線路であれば、Z2=Z3とみなすことができ、コモンモード電流Icは流れない。しかし、平衡度が比較的低い線路では、Z2≠Z3となり、コモンモード電流Icが流れる。
コモンモード電流Icの電流量は、以下の式(2)のように表すことができる。なお、式(2)において、e1、e2は、各電圧源(e1、e2)から発生する各電圧を示す。
Ic=(e1・Z2−e2・Z3)/(Z1・Z2+Z2・Z3+Z3・Z1)
・・・(2)
このコモンモード電流Icは、二股に分岐し、一対の伝送線路(L1、L2)の各々に同等に流れる。よって、各伝送線路(L1、L2)には、同じ向きに、コモンモード電流(電流量はIc/2となる)が流れる。
コモンモード電流Icが流れると、伝送線路の平衡度が低下し、このコモンモード電流は、線路からの輻射が生じる要因となる。
そこで、本発明の実施形態では、以下の式(3)、(4)を満たすように、電圧源(e1、e2)の各発生電圧を個別に制御する。
e1・Z2−e2・Z3=0 ・・・(3)
e1+e2=2e ・・・(4)
式(3)では、式(2)の分子部分をゼロにする、すなわち、コモンモード電流Icをゼロであることを示す。また、式(4)において、eは、図13における電圧源e10、e20の各電圧であり、この式は、ディファレンシャルモード出力は不変であることを示している。
これにより、コモンモード電流Ic=0とすることができる。よって、伝送線路のアンバランス(不平衡)を補償することができる。
このように、本発明の実施形態の平衡伝送装置は、一対の伝送線路の各々に対応した、2系統の信号(平衡送信信号)を別個に生成し、また、各平衡送信信号を処理する各演算処理部の処理を個別に、かつ動的に制御し、各平衡送信信号を意図的に不平衡化することにより、平衡送信信号に通信線路のアンバランスを補償する特性を付与して送信信号を生成し、そして、その送信信号を通信線路に向けて出力する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の平衡伝送装置を用いた通信システム(平衡伝送システム)の概略構成、および一対の伝送線路の不平衡状態を検出するための構成の一例を示す図である。
図2に示すように、平衡伝送装置は、基本的な構成として、送信データ生成部10と、D/A変換器20a、20bと、ローパスフィルタ25a、25bと、演算処理部30a、30bと、この演算処理部30a、30bの処理を制御する演算制御部32と、インダクタ40と、を備える。なお、通信線路としては、一対の伝送線路PL1、PL2が使用される。なお、本実施形態の送信データ生成部10は平衡送信信号を生成する送信信号生成手段の機能を、演算処理部30a、30bは演算処理部手段の機能を、演算制御部32は演算制御手段の機能をそれぞれ有する。
次に、通信線路(一対の伝送線路PL1、PL2に至るまでの線路部分も含む)の不平衡を検出する手段(不平衡検出器)の構成とその配置について説明する。
図2では、不平衡検出器50、60、70の3種類の例を記載してある。実際には、これらの不平衡検出器をすべて設ける必要はなく、少なくともいずれか一つがあればよい。
まず、不平衡検出器50について説明する。この不平衡検出器50は、インダクタ40に設けられた中点タップとグランドとの間に生じる電圧を検出して不平衡状態を検出し、その検出信号D1を出力する。
次に、不平衡検出器60は、電界、磁界等の、他の機器や通信への影響の目安となる測定量、他の機器との干渉あるいは所定周波数の電波との干渉の度合い(干渉レベル)等を測定し、これにより、通信線路の不平衡を検出するようにし、その検出信号D2を出力する。この場合は、通信線路の不平衡を間接的に測定していることになる。
また、不平衡検出器70は、受信側の伝送装置に設けられ、その検出信号D3を演算制御部32へ出力する。
次に、送信データ生成部10および演算制御部32の構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の送信データ生成部、演算制御部および演算処理部の具体的構成の一例を示すブロック図である。
図3に示されるように、送信データ生成部10は、送信原信号Tx(n)に係数を乗算するための2個の乗算器M1a、M1bを有する。
送信原信号Tx(n)は、乗算器M1a、M1bにて係数(すなわち1/2、−1/2)が乗算され、Tx(n)/2、−Tx(n)/2(平衡原データ)に変換される。
平衡原データ(Tx(n)/2、−Tx(n)/2)は、D/A変換器20a、20bでアナログ信号に変換され、平衡送信信号となる。
この平衡送信信号は、ローパスフィルタ25a、25bを介することで高調波成分が除去され、次に、演算処理部30a、30bにより演算処理され、伝送線路(通信線路)に向けて送出される。ここで、第1の実施形態では、演算処理部30a、30bの例として、オペアンプP1、P2と、入力抵抗Raと、可変抵抗(抵抗可変の帰還抵抗)Rb、Rcとを有する可変利得増幅器が適用された場合について説明する。
なお、この演算処理部の構成例としては、たとえば、平衡原信号を増幅する可変増幅器、平衡原信号と制御信号とを乗算する(アナログ)乗算器および電圧制御発振器等のうち少なくとも一つを含むものである。
また、本実施形態の演算制御部32は、可変利得増幅器である演算処理部30a、30bの利得を制御する利得制御回路であり、不平衡検出信号(D1〜D3)に含まれる不要な帯域外信号を除去するバンドパスフィルタ102と、A/D変換器104と、不平衡検出信号(D1〜D3)のレベルを基準値(R)と比較し、その比較結果を出力する比較器106と、比較器106による比較結果を示す信号に基づいて補正係数(1+2α、1−2α)を生成する係数制御部108と、生成された係数に基づき、演算処理部30a、30bの可変抵抗(抵抗値可変の帰還抵抗)Rb、Rcの抵抗値を制御するための抵抗制御信号C1、C2を生成する抵抗値制御部110a、110bと、を有する。
抵抗値制御部110a、110bは、各演算処理部30a、30bの増幅率が、係数制御部108から出力される補正係数(1+2α、1−2α)に等しくなるように、各演算処理部30a、30bの可変抵抗(抵抗値可変の帰還抵抗)Rb、Rcの抵抗値を制御する。
すなわち、演算処理部30aの利得は、−(Rb/Ra)=−(1+2α)となり、演算処理部30bの利得は、Rc/Ra=1−2αとなる。
つまり、各演算処理部30a、30bから出力される各平衡送信信号の振幅は、増幅される前の平衡送信信号の(1+2α)倍ならびに(1−2α)倍となる。
この結果、増幅された送信平衡信号の電圧は各々、−(1+2α)・Tx(t)/2ならびに、(1−2α)/Tx(t)/2となる。
これらの平衡送信信号の差分をとると、Tx(t)となる。このことは、平衡送信信号から得られるディファレンシャルモード(ノーマルモード)信号が、送信原信号Tx(n)をアナログ信号としたものと等しいことを意味する。
すなわち、演算処理部の増幅率を動的に変更した場合でも、伝送線路を介して通信されるディファレンシャル信号(ノーマルモード信号)のレベルは変化しない。よって、通信に支障をきたすことがない。
また、−(1+2α)Tx(t)/2を展開すると、−Tx(t)/2−α/Tx(t)となる。すなわち、正規の平衡信号(−Tx(t)/2)に、コモンモード電流を補正するための補償用信号(−α/Tx(t))を加えている(重畳している)ことになる。
したがって、パラメータαの絶対値と符号(正負)を適宜、選ぶことによって、補償用信号の振幅と位相(電流方向)を制御できる。すなわち、パラメータαにより、コモンモード電流等の不平衡成分を補償するための補償用信号の利得と位相を各々、独立に制御できるということである。
すなわち、図3において、係数制御部108は、通信線路(PL1、PL2)の不平衡回路成分によって生じるコモンモード信号成分を相殺する補償用信号が得られるように、パラメータαを適宜、選択し、そのパラメータαを含む係数を出力する。この係数制御部108は、例えば、ルックアップテーブル(LUT)を格納したROMとして構成することができる。
そして、抵抗値制御部110a、110bは、演算処理部30a、30bの増幅率が、出力された係数に等しくなるように、抵抗値制御信号C1、C2を出力し、演算処理部30a、30bの帰還抵抗Rb、Rcの値を調整する。
これにより、平衡送信信号の振幅は、結果的に、係数制御部108から出力される係数倍されることになる。
この抵抗値制御部110a、110bは、例えば、ルックアップテーブル(LUT)を格納したROMとして構成することができる。
このように、不平衡検出信号に応じて、パラメータαを選択し、このパラメータαを含む係数を生成し、平衡送信信号の振幅を係数倍することで、通信線路の不平衡を補償する特性を付与された平衡送信信号を、リアルタイムで生成することができる。
係数生成に際しては、ディジタル技術を使用するため、高速かつ正確な不平衡補償制御が実現される。
また、可変利得増幅器として、利得を細かく制御できる高精度のオペアンプを採用することにより、通信線路の不平衡を精度よく補償することができる。
図4は、図3に示される2個の演算処理部30a、30bの具体的構成の一例を示す回路図である。図4に示されるように、これらの演算処理部30a、30bの可変抵抗(抵抗値可変の帰還抵抗)は、並列接続された抵抗R1〜Rn、抵抗R4〜Rmの合成抵抗で表される。
したがって、図3の抵抗値制御部110a、110bから出力される抵抗値制御信号C1、C2により、スイッチSW1〜SWn、SW4〜SWmの開閉を切換えることにより、演算処理部30a、30bの利得を、段階的に調整することができる。
なお、図4中、RABは、オペアンプP1の入力端Aと出力端Bとの間の合成抵抗を示し、同様に、RCDは、オペアンプP2の入力端Cと出力端Dとの間の合成抵抗を示す。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る係数生成方法を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、初期状態として、パラメータ(ゲイン)αを0としておく。そして、不平衡検出信号の検出値と、基準値とを比較する(S401)。検出値が基準値以下の場合は、S401の処理を繰り返す。
不平衡検出値が基準値より大きい場合は、そのときの不平衡検出値をMとし(S402)、ゲインαを上げる(S403)。その後、検出された不平衡検出値とMとを比較し(S404)、不平衡検出値がM以下の場合にはS401へ戻る。
不平衡検出値がMより大きい場合には、そのときの不平衡検出値をM、すなわちMの値を更新し(S405)、ゲインαを下げる(S406)。その後、検出された不平衡検出値とMとを比較し(S407)、不平衡検出値がMより大きい場合にはS402へ戻る。
不平衡検出値がM以下の場合には、その不平衡検出値と基準値を比較し(S408)、不平衡検出値が基準値より大きければS405へ戻り、不平衡検出値が基準値以下であればS408の処理を繰り返す。
したがって、不平衡検出値が基準値より大きいとき、すなわち不平衡状態が許容範囲を越えている場合にのみ、パラメータαの制御を行うこととなる。また、基準値は伝送線路周辺に影響を与えると予想される最低値より十分に低い値に設定することが好ましい。
図6は、第1の実施形態の演算制御部の具体的構成の第2の例を示すブロック図である。図3の平衡伝送装置と同様の部分には同一の符号を付す。
図6に示すように、この例の演算制御部32には、A/D変換器104の出力である、検出信号(D1〜D3のいずれか少なくとも一つ)が離散データに変換された信号Dx(n)を、送信原信号Tx(n)で除する除算器112を備える。
係数制御部108は、比較器106からの出力と、除算器112からの出力Dx(n)/Tx(n)とに基づいて補正係数(1+2α(n)、1−2α(n))を生成し、出力する。ここで、α(n)=α・Dx(n)/Tx(n)である。
そして、この補正係数に基づいて、抵抗値制御部110a、110bによって抵抗値制御信号C1、C2が生成され、演算処理部30a、30bへ入力され、送信信号(1+2α(t))・Tx(t)/2、ならびに、−(1+2α(t))・Tx(t)/2が得られる。
この構成によれば、係数制御に基づく信号として、送信原信号Tx(n)と不平衡検出信号Dx(n)との比を用いることにより、送信原信号Tx(n)に対する不平衡状態に対して係数制御を行うので、送信原信号のレベルに応じた不平衡状態補償を行うことができる。
なお、この構成においても、図3の構成と同様に、これらの平衡送信信号の差分をとると、Tx(t)となり、補正係数(1+2α、1−2α)を乗算しても、ノーマルモード信号は変化しない。よって、通信に支障をきたすことがない。
また、(1+2α(t))Tx(t)/2を展開すると、Tx(t)/2+α(t)・Tx(t)となる。すなわち、正規の平衡信号(Tx(t)/2)に、コモンモード電流を補正するための補償用信号α(t)・Tx(t)=α・Dx(t)を加えている(重畳している)ことになる。
したがって、パラメータαの絶対値と符号(正負)を適宜、選ぶことによって、補償用信号の振幅と位相(電流方向)を制御できる。すなわち、パラメータαにより、コモンモード電流を補償するための補償用信号の利得と位相を各々、独立に制御できるということである。
このような第1の実施形態の平衡伝送装置によれば、従来のように、不平衡信号を平衡信号に変換するのではなく、伝送線路に向けて送出するための、平衡な2系統のディジタル信号(すなわち平衡送信信号)を各々独立に生成し、各々を演算処理部で制御する。その演算処理部で制御された平衡送出信号が、アンバランスな伝送線路の特性(伝送線路の不平衡)を補償するような特性(すなわち、輻射の原因となるコモンモード電流をゼロとする特性)をもつように、演算処理部の利得を動的に制御する。つまり、伝送線路の不平衡を補償するために、各演算処理部の処理を個別に制御し、伝送線路に送出される2系統の送出信号(平衡送信信号)自体を、意図的に不平衡化する。不平衡検出手段が一対の伝送線路の不平衡(アンバランス)状態を検出し、利得制御手段が、その検出信号に基づいて、各演算処理部の処理を個別に制御する。これにより、平衡伝送装置に、通信線路の不平衡を補償する機能を付与することができ、したがって、伝送線路の不平衡状態をリアルタイムで補償することが可能となる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る平衡伝送装置における送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の他の例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付している。本実施形態の平衡伝送装置は、伝送線路や、不平衡検出器、送信データ生成部等の周波数特性も補償するように、平衡送信信号を生成する。
一般に通信線路のインピーダンスは、リアクタンス成分を伴う複素数となるため周波数特性(周波数依存性)をもつ。また、不平衡検出器(センサ、検知回路)の検出感度が周波数依存性をもつ場合もある。
前者の場合、不平衡成分を補償する制御信号に対する線路の応答が周波数によって異なってくるため、周波数に対して補正を行う必要がある。また、後者の場合、不平衡状態を正しく検知するための補正が必要となる。
そこで、本実施形態では、伝送線路、不平衡検出器、送信データ生成部等の周波数等の特性も補償するように、平衡送信信号の電圧振幅を個別に制御する。
図7に示すように、本実施形態の演算制御部32には、等化器200ならびに除算器202が設けられ、また、係数制御部108の出力側にD/Aコンバータ204a、204bおよびローパスフィルタ206a、206bが設けられている。また、演算処理部30a、30bは、ローパスフィルタ25a、25bの出力に演算制御部32の出力信号を乗算する乗算器M2a、M2bを有している。ここで、乗算器M2a、M2bはアナログ乗算器であり、その構成の一例を図8に示す。図8に示すように、アナログ乗算器は、2入力1出力の乗算器であり、平衡送信信号Tx(n)/2および係数1+2α(n)が入力されると、その乗算した信号である{1+2α(n)}・Tx(n)/2が出力される。
等化器200は、振幅等化器、位相等化器またはこれらの組み合わせを有して構成される。振幅等化器としては、フィルタを有する構成、複数のバンドパスフィルタとバンドパスフィルタの出力の振幅を制御する振幅制御部(乗算器やLUT(ルックアップテーブル)等)と振幅制御された各信号を加算する加算器とを有する構成、離散フーリエ変換器および逆離散フーリエ変換器等を用いて周波数軸上で処理を行う構成等が挙げられる。また、位相等化器としては、位相フィルタを有する構成や、遅延装置を有する構成等が挙げられる。
ここで、制御信号に対する線路応答の振幅特性、位相特性をそれぞれH1(ω)、θ1(ω)とする。また、不平衡検出器の振幅特性、位相特性をそれぞれH2(ω)、θ2(ω)とする。
等化器200は、上記の不平衡検出信号の振幅や位相の応答関数、H1(ω)×H2(ω)、θ1(ω)+θ2(ω)とは逆の特性を有している。すなわち、1/(H1(ω)×H2(ω))、−(θ1(ω)+θ2(ω))の特性を有している。この等化器を用いて、まず、送信原信号Tx(n)を補正し、Tx’(n)を得る。
次に、Tx’(n)を、送信原信号Tx(n)で除算(除算は、除算器202により実行される)する。これにより、送信原信号Tx(n)で正規化されたTx’(n)(すなわち、Tx’(n)/Tx(n))が得られる。
このTx’(n)/Tx(n)は、係数制御部108に送られる。この係数制御部108では、第1の実施形態と同じくパラメータα(第1の実施形態のαと同じものである)を生成し、かつ、そのαを、Tx‘(n)/Tx(n)に乗算して、新しいパラメータα(n)(=α/Tx’(n)/Tx(n))を得る。
そして、1+2α(n)、1−2α(n)という係数を生成し、D/A変換器204、ローパスフィルタ206を介して、それぞれ1+2α(t)、1−2α(t)を乗算器M2a、M2bへ送る。
すなわち、演算処理部30aの利得は、1+2α(t)となり、演算処理部30bの利得は、−(1−2α(t))となる。
したがって、平衡送信信号(Tx(t)/2、−Tx(t)/2)が各々、(1+2α(t))倍、−(1−2α(t))倍されたことになる。
よって、−(1+2α(t))・Tx(t)/2、(1−2α(t))・Tx(t)/2という、通信線路やセンサの周波数特性および通信線路の不平衡の双方を補償する特性をもった、平衡送信信号が得られる。
本実施形態においても、ディファレンシャル(ノーマル)モード信号レベルはTx(t)となり、送信になんら支障が生じない。
また、本実施形態では、正規の平衡信号(Tx(t)/2)に、コモンモード電流を補正するための補償用信号±α(n)・Tx(t)が重畳されていることになる。
ここで、α(n)・Tx(t)=α・Tx(t)・Tx’(t)/Tx(t)=α・Tx’(t)となる。
補償用信号α・Tx’(t)は、通信線路および不平衡検出器の周波数特性を相殺する周波数特性が付与されているため、通信線路等の周波数特性はフラットであるとみなして制御を行うことができる。
あとは、第1の実施形態と同様に、パラメータαの絶対値と符号(正負)を適宜、選択して係数を生成し、この係数に合わせて演算処理部30a、30bの処理を制御することによって、不平衡を補償するための補償用信号の振幅と位相(電流方向)を制御できる。すなわち、パラメータαにより、各補償用信号の利得と位相を各々、独立に制御できる。
図9は、本発明の第2の実施形態の演算処理部の具体的構成の第2の例を示すブロック図である。なお、図6および図7に示された演算処理部と同様の構成要素については同一符号を付している。
図9に示すように、この例の演算処理部32には、A/D変換器104の出力である、検出信号(D1〜D3のいずれか少なくとも一つ)が離散データに変換された信号Dx(n)を補正する等化器210が設けられている。この等化器210は、図7に示された等化器200と同様の特性を有しており、不平衡検出信号Dx(n)を補正して信号Dx’(n)を得る。
次に、Dx’(n)を、送信原信号Tx(n)で除算(除算は、除算器212により実行される)する。これにより、送信原信号Tx(n)で除されたDx’(n)(すなわち、Dx’(n)/Tx(n))が得られる。
係数制御部108は、比較器106からの出力と、除算器212からの出力Dx’(n)/Tx(n)とに基づいて補正係数を生成する。この構成により、係数制御に基づく信号として、送信原信号Tx(n)と補正した不平衡検出信号Dx‘(n)との比を用いることにより、送信原信号Tx(n)に対する不平衡状態に対して係数制御を行うので、送信原信号のレベルに応じた不平衡状態補償を行うとともに、通信線路や、不平衡検出器、送信データ生成部等を含む系の周波数等の特性に追従することも可能となる。
このような第2の実施形態の平衡伝送装置によれば、不平衡検出信号に応じて、パラメータαを選択し、このパラメータαを含む係数を生成し、これに応じて演算処理部の利得を動的に制御することにより、通信線路の不平衡(ならびに、通信線路およびセンサを含む系の周波数特性)を補償する特性をもつ平衡送信信号を、リアルタイムで生成することができる。
さらに、通信線路や不平衡検出器がもつ周波数特性も補償できるため、高精度のコモンモード信号の補償制御を実現することができる。
なお、本実施形態では、通信線路や不平衡検出器、送信データ生成部の周波数特性の補償について説明したが、制御系を構成する他の部分の特性についても、同様に補正を行うことも可能である。すなわち、等化器により、制御系の発生する歪や、その他の非線形歪を除去することも可能となる。
また、本実施形態では、等化器を用いて補正係数を変化させる構成を示したが、補正係数を変化させる代わりに、補正係数を変化させず、例えば補正係数と平衡原信号とを乗算した後に通信線路や不平衡検出器等の特性を補正する手段を設けてもよい。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る平衡伝送装置の送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の例を示すブロック図である。なお、図7に示した第2の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付している。本実施形態の利得制御回路では、A/D変換器104と、比較器106との間に、等化器300が挿入されている。
不平衡検出信号のレベルは、現実には、実際の干渉レベルと比例せずに、両者間に何らかのずれが生じる場合も想定される。
この場合、不平衡検出信号に基づいて上記の平衡送信信号の生成を行い、不平衡検出信号が充分に低い値となっても、実際の干渉は十分に低減されないといった場合も起こり得る。
このような場合には、不平衡検出信号のレベルと実際の干渉レベルとの間のずれを予め実測しておき、そのずれを解消するように、不平衡検出信号を補正することが有効である。
そこで、本実施形態では、不平衡検出信号のレベルと実際の干渉レベルとの間のずれを補償する特性をもつ、等化器300を設け、不平衡検出信号のレベルを補正し、その補正された不平衡検出信号に基づいて、上記のパラメータαの選択、係数の生成、演算処理部の利得制御を実行する。
このような第3の実施形態の平衡伝送装置によれば、現実の干渉レベルを低く抑え、期待される干渉低減の効果が常に発揮される。なお、本実施形態では、第2の実施形態の構成に等化器を設けた場合について説明したが、第1の実施形態の構成にずれ等化器を設けても、現実の干渉レベルを低く抑える効果を得ることができる。さらに、図6や図9に示した演算制御部32の比較器106の前段に等化器300を設けた場合にも、それぞれの構成において現実の干渉レベルを低く抑える効果を得ることができる。
また、本実施形態では、比較器の前段に設けられた等化器を用いて補正係数を変化させる構成を示したが、補正係数を変化させる代わりに、補正係数を変化させず、例えば補正係数と平衡原信号とを乗算した後に検出信号と実際の干渉とのレベルのずれを補正する手段を設けてもよい。
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る平衡伝送装置の送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部30a、30bの具体的構成の例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付している。本実施形態の平衡伝送装置では、スイッチSW1〜SW4、通信線路を介して受信されるアナログ信号(Rx(t))をディジタル信号に変換するA/D変換器20c、およびローパスフィルタ400が設けられている。
また、図11の演算制御部32において、係数制御部108は、3種類の係数(1+2α、1−2α、α)を出力するように構成されている。これに伴い、抵抗値制御部110cが追加されている。
この抵抗値制御部110cは、係数αを受けて、演算処理部30a、30bの利得をαに一致させるべく、抵抗値制御信号C3を生成する。
前掲の実施形態では、送信時において、送信信号を補正することによって通信線路の不平衡を補償していた。
本実施形態では、受信モード、あるいは、待機モードのときでも(すなわち、送信信号は出力しない場合)でも、通信線路の不平衡(すなわち、コモンモード電流)を補償するための補償用信号を生成し、通信線路に向けて送出する構成を採る。
これにより、伝送装置が送信モード以外の状態であっても、常に、通信線路の不平衡が補償される。したがって、常に干渉が低減されることになる。
図11において、送信モード時は、スイッチSW1〜SW4は、各々、b端子側に切換えられる。この場合は、第1の実施形態(図3)にて説明したとおりの動作により、通信線路の不平衡を補償する特性をもつ送信データ(平衡送信信号)が生成される。
一方、受信モードあるいは待機モード時には、スイッチSW1〜SW4は、各々、a端子側に切換えられる。
スイッチSW1、SW2がa端子側に切換えられることにより、送信原信号Tx(n)を通信線路に出力する経路は遮断され、無出力状態となる。
但し、このとき、通信線路を介して受信されるアナログ信号Rx(t)を、A/D変換器20cによりディジタル信号に変換して得られるRx(n)が、ローパスフィルタ400、スイッチSW1、SW2を介して入力され、D/A変換器20a、20bに与えられる。
一方、係数制御回路108から出力される係数αが抵抗値制御部110cに与えられる。これにより、抵抗値制御部110cから抵抗値制御信号C3が出力される。
この抵抗値制御信号C3は、スイッチSW3、SW4を介して2つの演算処理部30a、30bに与えられ、可変抵抗(抵抗値が可変である帰還抵抗)Rb、Rcの抵抗値が調整される。これにより、各演算処理部30a、30bの増幅率は、係数αの値と等しくなる
一方、受信信号Rx(n)は、D/A変換器20a、20bでアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ25a、25bで高調波成分が除去され、Rx(t)が得られる。
このRx(t)は、各演算処理部30a、30bでα倍され、コモンモード信号を補償するための補償用信号(−α・Rx(t))が生成され、通信線路に向けて出力される。
このように、本実施形態では、受信モード、あるいは、待機モードのときでも(すなわち、送信信号は出力しない場合)でも、通信線路の不平衡(コモンモード電流等)を補償するための補償用信号を生成し、通信線路に向けて送出する。
よって、伝送装置が送信モード以外の状態であっても、常に、通信線路の不平衡が補償される。
また、図示はしないが、ローパスフィルタ400の出力側に第2の実施形態で説明した等化器200と同様の機能を備える等化器を設けても良い。この構成により、伝送路や送信データ生成部、不平衡検出器等の特性の補償を行うことができる。
図12は、本発明の第4の実施形態の送信データ生成部の具体的構成の第2の例を示すブロック図である。なお、図11に示した送信データ生成部と同様の構成要素については同一符号を付している。
図12に示すように、この例の演算制御部32には、送信原信号Tx(n)と正論理信号“1”とのいずれか一方を選択するスイッチSW5と、A/D変換器104の出力である検出信号(D1〜D3のいずれか少なくとも一つ)が離散データに変換された信号Dx(n)を、スイッチSW5から出力される信号で除する除算器112を備える。
送信モード時は、スイッチSW1〜SW5は、各々、b端子側に切換えられる。この場合は、第1の実施形態の第2の例(図5)にて説明したとおりの動作により、通信線路の不平衡を補償する特性をもつ送信データ(平衡送信信号)が生成される。
一方、受信モードあるいは待機モード時には、スイッチSW1〜SW5は、各々、a端子側に切換えられる。
スイッチSW1、SW2がa端子側に切換えられることにより、送信原信号Tx(n)を通信線路に出力する経路は遮断され、無出力状態となる。但し、このとき、所定の既知信号“1”がスイッチSW1、SW2を介して、乗算器M2a、M2bに与えられる。
また、スイッチSW5がa端子側に切換えられることにより、送信原信号Tx(n)を除算器110に出力する経路は遮断され、無出力状態となる。但し、このとき、“1”がスイッチSW5を介して、除算器112に与えられる。除算器112はA/D変換器104から出力された信号Dx(n)を1で除算するので、係数制御部108は比較器106からの出力と、除算器110からの出力である信号Dx(n)とに基づいて補正係数を出力する。
一方、係数制御回路108から出力される係数α(n)が、スイッチSW3、SW4を介して演算処理部30a、30bに与えられ、可変抵抗(抵抗値が可変である帰還抵抗)Rb、Rcの抵抗値が調整される。これにより、各演算処理部30a、30bの増幅率は、係数αの値と等しくなる
このように、本実施形態の第2の例においても、受信モード、あるいは、待機モードのとき(すなわち、送信信号は出力しない場合)でも、通信線路の不平衡(コモンモード電流等)を補償するための補償用信号生成し、通信線路に向けて送出する。
よって、伝送装置が送信モード以外の状態であっても、常に、通信線路の不平衡が補償される。
このような第4の実施形態の平衡伝送装置によれば、伝送線路に不平衡回路成分が存在するシステムにおいても、常に、線路からの輻射が低減されることになり、データの送信時以外に、受信側装置とのネゴシエーション処理時等においても伝送線路の平衡状態を保つことができる。
以上説明したように、本発明の第1ないし第4の実施形態によれば、通信線路(伝送線路)の不平衡を補償する機能をもつ平衡伝送装置を実現することができる。
これらの実施形態の平衡伝送装置において、可変利得制御器の利得制御処理は、送信信号のレベルを漸次上昇させていく過程で行われることが好ましい。たとえば、想定される最も特性の悪い線路で干渉を発生しないと予想される出力レベルから、所定の送信出力までに(離散的に)段階的に上げていく、または少しずつ上げていくように出力調整を行う。これにより、確実に干渉が生じない(線路での平衡状態が保たれた状態)でのデータ伝送を行うことができる。
また、通信線路の不平衡を補償する機能は、不平衡検出信号に基づいて、平衡送信信号の各々を増幅するための、各演算処理部の利得を個別に制御することにより達成される。したがって、伝送線路の不平衡状態をリアルタイムで補償することが可能となる。
演算処理部の利得を動的に制御するための処理は、例えば、補正係数の生成処理、ならびに、演算処理部の増幅率が、生成された補正係数の値に一致するように利得を制御する処理からなる。補正係数の生成処理では最新のディジタル技術を用いるため、高速かつ高精度な処理が可能である。演算処理部の利得の制御精度を向上させることにより、高精度の不平衡の補償処理を行うことができる。
また、通信線路(伝送線路)および不平衡検出器を含む系がもつ周波数特性(所定の特性の周波数依存性)を考慮し、その周波数特性も補正するように、演算処理部の利得を制御することにより、通信線路(伝送線路)および不平衡検出器を含む系をフラットな周波数特性をもつ系として取り扱うことができ、どの周波数帯域においても、通信線路の不平衡を補償する効果を得ることができる。
また、不平衡検出信号のレベルと実際の干渉レベルとが比例せず、両者間に何らかのずれが生じる場合には、不平衡検出信号のレベルを補正し、そのずれを解消することで、現実の干渉レベルを低く抑えることができる。
また、伝送装置が受信モードや待機モードの場合でも、通信線路(伝送線路)を介して受信する信号を原データとして用い、利得が制御された演算処理部で増幅して不平衡補償用信号を生成し、これを通信線路に向けて送出することにより、通信線路(伝送線路)の平衡度(バランス)を、常に補償することができる。よって、通信線路のバランスが、常に適正な範囲に保たれる。したがって、通信線路からの輻射を、低く抑えることができる。
なお、データ通信としては、周波数分割多重信号やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)などを用いる電灯線通信や無線LAN、ADSLなどのデータ通信に好適に用いられる。
さらに、本発明の実施形態の平衡伝送装置を、伝送線路として電灯線を用いて、電灯線通信装置として動作させてよい。特に、電灯線は平衡度が低い場合が多いため、電灯線における不平衡状態により、輻射が生じる場合がある。しかしながら、本発明の実施形態の平衡伝送装置は、伝送線路の不平衡状態を補償可能であるため、各家庭に備わっている電灯線を利用した高速通信(例えば、2MHz〜30MHz帯を使用する通信)に本発明の実施形態の平衡伝送装置を用いた場合においても、電灯線からの輻射を低減することができる。
また、本発明の実施形態において、各構成要素は、回路ブロックやインダクタ等の電子素子によって表現した構成例を示したが、同様の作用又は機能を有するものであれば上記構成例に限定されるものではなく、アナログ回路、ディジタル回路、電子素子の組み合わせなど、種々の構成によって実現可能である。また、各構成要素の機能は、ハードウェア処理、或いはソフトウェア処理など、いずれで実現する構成であっても良い。また、回路の一部又は全部を集積化して装置の小型化を図ることも可能である。
また、不平衡成分の検出時の位相補償や、検出した不平衡成分に基づく伝送線路の平衡度の制御など、補正を行う際には、補正目標値に対するズレ量を補正量として補正する構成であっても良いし、これとは逆に、補正目標値とズレ量との差分を補正量として補正する構成であっても良い。
本発明は、伝送線路に不平衡成分が存在する場合でも、その不平衡状態を補償可能な効果を有し、電灯線通信装置等の平衡伝送装置等に有用である。
本発明の実施形態における、伝送線路のアンバランスを補償するための原理的な構成、ならびに伝送線路上における電流モデルを示す図 本発明の実施形態の平衡伝送装置を用いた通信システムの概略構成、および一対の伝送線路の不平衡状態を検出するための構成の一例を示す図 本発明の第1の実施形態に係る平衡伝送装置における送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態の平衡伝送装置で使用される、可変利得増幅器の具体的構成の一例を示す回路図 本発明の第1の実施形態に係る係数生成方法を示すフローチャート 第1の実施形態の演算制御部の具体的構成の第2の例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態に係る平衡伝送装置における送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態の平衡伝送装置で使用されるアナログ乗算器の具体的構成の一例を示す回路図 本発明の第2の実施形態の演算処理部の具体的構成の第2の例を示すブロック図 本発明の第3の実施形態に係る平衡伝送装置における送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の例を示すブロック図 本発明の第4の実施形態に係る平衡伝送装置における送信データ生成部、利得制御回路および演算処理部の具体的構成の例を示すブロック図 本発明の第4の実施形態の送信データ生成部の具体的構成の第2の例を示すブロック図 伝送線路上の電流モデルを示す図 従来の平衡伝送回路の一例の構成を示す図
符号の説明
10 送信データ生成部
20a、20b D/A変換器
25a、25b ローパスフィルタ
30a、30b 演算処理部
32 演算制御部
102 バンドパスフィルタ
104 A/D変換器
106 比較器
108 係数制御部
110a、110b、110c 抵抗値制御部
200、300 等化器
202 除算器
P1、P2 演算処理部を構成するオペアンプ
Ra オペアンプの入力抵抗
Rb、Rc 可変抵抗
M1a、M1b 乗算器

Claims (21)

  1. 1対の導体からなる伝送線路を用いてデータ伝送を行う平衡伝送装置であって、
    平衡な送信用の原信号である平衡原信号を生成する送信信号生成手段と、
    前記平衡原信号に演算処理を行う演算処理手段と、
    前記伝送線路の不平衡状態を検出する検出信号が入力され、前記入力された検出信号に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御する演算制御手段と、
    を備える平衡伝送装置。
  2. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、前記1対の導体のそれぞれに送出する信号を独立に制御する平衡伝送装置。
  3. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記検出信号は、前記伝送線路に生じるコモンモード電流、コモンモード電圧、電界、磁界、および前記伝送線路からの輻射に起因する干渉の程度のいずれかに少なくとも一つを検出する検出信号である平衡伝送装置。
  4. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、前記演算制御によって前記伝送線路のディファレンシャルモード信号が影響を受けず不変であるように、前記演算処理手段の処理を制御する平衡伝送装置。
  5. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、前記伝送線路の特性、前記送信信号生成手段の特性、および前記検出信号を出力する不平衡検出手段の特性のうち少なくとも一つの特性に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御する平衡伝送装置。
  6. 請求項5記載の平衡伝送装置であって、前記特性は周波数特性を含む平衡電送装置。
  7. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、前記検出信号のレベルと、前記伝送線路からの輻射に起因する干渉のレベルとの間のずれに応じて、前記入力された検出信号に対して前記ずれを補正し、前記補正された検出信号に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御する平衡伝送装置。
  8. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、
    前記検出信号に応じた補正係数を生成し、出力する補正係数生成手段と、
    前記補正係数に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、
    を備える平衡伝送装置。
  9. 請求項8記載の平衡伝送装置であって、
    前記補正係数生成手段は、前記検出信号と前記送信原信号とに基づいて前記補正係数を生成する平衡電送装置。
  10. 請求項8記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算処理手段は、前記平衡原信号を増幅する可変増幅器、前記平衡原信号と前記制御信号とを乗算する乗算器、電圧制御発振器のうち少なくとも一つを有する平衡電送装置。
  11. 請求項5記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、
    前記伝走線路の特性、前記送信信号生成手段の特性、および前記検出信号を出力する不平衡検出手段の特性のうちいずれか少なくとも一つの特性を補正する等化手段と、
    前記検出信号と、前記等化手段の出力信号とに基づいて補正係数を生成する補正係数生成手段と、
    前記補正係数に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、
    を備える平衡伝送装置。
  12. 請求項11記載の平衡伝送装置であって、
    前記等化手段は、振幅等化器および位相等化器のいずれか少なくとも一方を含み、前記特性の周波数特性を補正する平衡電送装置。
  13. 請求項11記載の平衡伝送装置であって、
    前記等化手段は前記送信原信号を補正することにより前記特性を補正する平衡電送装置。
  14. 請求項11記載の平衡伝送装置であって、
    前記等化手段は前記検出信号を補正することにより前記特性を補正する平衡電送装置。
  15. 請求項7記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算制御手段は、
    前記検出信号について、前記干渉レベルとの間の前記ずれを補正するずれ補正手段と、
    前記ずれ補正手段によって補正された検出信号に応じた補正係数を生成し、出力する補正係数生成手段と、
    前記補正係数に基づいて、前記演算処理手段の処理を制御するための制御信号を生成し、出力する制御信号生成手段と、
    を備える平衡伝送装置。
  16. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記演算処理手段の処理を制御する処理は、前記送信信号のレベルを上昇させていく過程で行われる平衡伝送装置。
  17. 請求項16記載の平衡伝送装置であって、
    前記送信信号のレベルの上昇は段階的に行われる平衡伝送装置。
  18. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記平衡伝送装置が非送信モードである場合には、前記平衡送信信号の代わりに、前記伝送線路を介して受信される受信信号を、前記演算制御手段により処理が制御される前記演算処理手段で処理して不平衡補償用信号を生成し、この不平衡補償用信号を前記伝送線路に送出する平衡伝送装置。
  19. 請求項1記載の平衡伝送装置であって、
    前記平衡伝送装置が非送信モードである場合には、前記平衡原信号の代わりに、前記検出信号を、前記演算制御手段により処理が制御される前記演算処理手段で処理して不平候補商用信号を生成し、この不平衡補償用信号を前記伝送線路に送出する平衡伝送装置。
  20. 請求項1ないし19のいずれか一項記載の平衡伝送装置であって、前記伝送線路として電灯線を利用する平衡伝送装置。
  21. 請求項1ないし20のいずれか一項記載の平衡伝送装置を有する送信装置と、
    前記送信装置と前記伝送路を介して通信を行う受信装置と、
    を備える平衡伝送システム。
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