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土壌改良肥料およびこれを用いた植物栽培方法
この発明は、土壌改良肥料およびこれを用いた植物栽培方法に関する。
木炭は従来より土壌改良材として用いられている。これは、木炭が多孔質の炭素材料でその内部表面積が非常に大きく、土壌に適用すると、その土壌の通気性・保水性・透水性・保肥力が向上し、また、土壌の保温、土壌微生物の増加、酸性土壌の矯正、ミネラル分の補給などの効果が得られるためである。
特開平10−165824号公報
ところで、重金属、農薬、有機塩素化合物による水質や土壌の汚染は、環境を破壊するものとして問題になっている。これらの有害物質は木炭、活性炭やゼオライト等の吸着材で吸着除去することができるが、陰イオンの形態で存在する硝酸性窒素や亜硝酸性窒素は吸着材による処理が難しい。すなわち、例えば木炭は、活性炭とともに代表的な多孔質炭素材料であり、土壌改良材の他、調湿材、河川浄化材などとして広く用いられ、排ガス中の塩素系ガスや硫黄酸化物などの除去にも利用されている。しかし、これは、活性炭と同様に、多孔質炭素材料の内部の微細孔による吸着特性を利用しているに過ぎず、陰イオンの形態で存在する硝酸性窒素をほとんど吸着しない。
そこで、本発明者らは、酸溶液を炭化物に接触させて得られた素材について検討した結果、炭化処理温度や前記酸溶液の濃度にも依るが、この素材が優れた陰イオン吸着性能を持つことを知見するに至った。
すなわち、例えば、原料植物を炭化処理して得られる炭化物である木炭に、塩酸(HCl)、硫酸(H2 SO4 )等の酸溶液を接触(酸処理)させれば、この素材に陰イオン吸着能が発現される。これは、原料植物の炭化物の微細孔壁面に存在する官能基に、吸着対象の陰イオンとイオン交換可能である陰イオンが結合したためである。
そして、本発明者らは、開発した上記炭素材料、すなわち原料植物を炭化処理して得られる炭化物に酸溶液を接触させることにより陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料に、植物の窒素肥料となる硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を吸着させることに想到した。
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、土壌改良効果に優れ植物の生育を促進することができる土壌改良肥料およびこれを用いた植物栽培方法を提供することである。
上記目的を達成するために、第1発明の土壌改良肥料は、原料植物を炭化処理して得られる炭化物に酸溶液を接触させることにより、吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な陰イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴としている(請求項1)。なお、酸溶液を炭化物に接触させる方法としては、酸溶液の滴下、塗布、吹付、噴霧などが可能であるが、炭化物を酸溶液に浸漬させることが最も効率的である。また、前記酸溶液としては、例えば、水に溶けたときに水素イオンを生じる物質を含む水溶液であるHCl溶液やH2 SO4 溶液などが挙げられる。さらに、炭素材料に硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を吸着させる方法としては、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を含む液体の滴下、塗布、吹付、噴霧などが可能であるが、炭素材料を前記液体に浸漬させることが最も効率的である。
また、本発明者らは、前記炭素材料を得るに際して、原料植物を炭化する前に、当該原料植物にカルシウムイオンを含む溶液(陽イオンとして主にカルシウムイオンが含まれるのが望ましい)、例えば水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )の飽和水溶液(石灰水)または懸濁液(石灰乳)を含浸させて、原料植物にCaを導入処理しておき、その後、このCa導入材を炭化し、得られたCa導入炭をHCl、H2 SO4 等の酸で処理(酸溶液を接触処理)すると、より優れた陰イオン吸着特性が得られることを見出した。
すなわち、前記原料をカルシウムイオンを含む溶液に浸漬させると、溶液が原料に染み込むことでCa導入チップを得ることができる。特に、カルシウムイオンを含む溶液としてアルカリ性の溶液を用いる場合、図11(A)に示すように、原料植物としての木質チップ5を石灰水18に浸漬して石灰水18に接触させると、石灰水18中のCaが木質チップ5に導入され、同図(C)に示すように、Ca導入チップ16が得られる。これは、同図(B)に示すように、アルカリによって木質チップ5中の有機物が溶け出し、Caイオンが木質チップ5の成分と反応するからであると考えられる。なお、原料植物を前処理としての接触処理に用いる石灰水(または石灰乳)の濃度としては、Ca(OH)2 0.1重量%〜50重量%が好ましく、0.2重量%〜10重量%がより好ましい。
続いて、前記Ca導入チップ16を、図12(A)に示すように炭化すると、同図(C)に示すようなCa導入炭化チップ(Ca導入炭)21が得られるが、この炭化時に、Ca導入チップ16(同図(B)参照)中の有機物が熱によって分解するのと同時に、CaイオンがCa導入チップ16の微細孔壁表面に析出する〔同図(C)参照〕と考えられる。この場合、CaイオンがCa導入チップ16の微細孔壁表面に析出してくるので〔同図(B)参照〕、微細で高分散状態となることにより、多くの官能基を微細孔壁の隅々から引き出すものと考えられる。
その後、図13(A)に示すように、Ca導入炭21を酸溶液であるHCl溶液12に浸漬すると、同図(B)および(C)に示すように、Ca導入炭21の表面の官能基に結合したカルシウムイオンおよび前記官能基に塩化物イオン(Cl- )が結合して、同図(D)に示すように、前記官能基に塩化物イオンがカルシウムイオンを介してまたは直接結合している酸処理Ca導入炭21Sが得られると考えられる。そして、このようにして得られる酸処理Ca導入炭21Sは、第1発明の土壌改良肥料と比べて、多くの官能基を有するので、その陰イオン吸着特性がより優れたものとなる。なお、Ca導入炭21を酸溶液12に浸漬させて上記酸処理を行う場合、減圧下で行うのが好ましく、1330Pa〜13.3Paの圧力範囲で行うのが好ましい。
以上のことから、第2発明の土壌改良肥料は、カルシウム導入処理した原料植物を炭化処理して得られる炭化物に酸溶液を接触させることにより、吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な陰イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴としている(請求項2)。ここで、原料植物にカルシウムイオンを含む溶液を接触させることにより前記カルシウム導入処理がなされていることが好ましい(請求項3)。なお、原料植物にカルシウムイオンを含む溶液(例えば石灰水等)を接触させる方法としては、前記溶液の滴下、塗布、吹付け、噴霧などが可能であるが、原料植物を前記溶液に浸漬させることが最も効率的である。 カルシウムを含む溶液としては、石灰水、石灰乳の他、酢酸カルシウム溶液や塩化カルシウム溶液等が挙げられ、カルシウムとして0.03〜30重量%、より好ましくは0.1〜7.0重量%含まれるものが好適である。
また、炭化処理後の原料植物の接触処理に用いる酸溶液は、HCl、H2 SO4 といった、土壌改良肥料の製造時において排水処理に支障のない酸溶液を用いるのが好ましい。そして、この酸溶液の濃度は、0.01mol/L以上(請求項4)が好ましい。これは、酸溶液濃度が0.01mol/Lを下回ると、十分な吸着特性が得られないためである。なお、より詳しくは、前記酸溶液濃度は0.01mol/L〜20mol/Lであり、好ましくは0.1mol/L〜10mol/Lである。また、酸溶液としては、吸着対象陰イオンとイオン交換可能な陰イオンを含むものが望ましいが、炭化前に植物からなる材料を接触させる溶液中に、吸着対象陰イオンとイオン交換が可能な陰イオンを含む場合はこの限りではない。
また、本発明者らは、鋭意研究の結果、植物からなる原料を炭化する前に、当該原料に予め金属塩化物を含む溶液、例えばCaCl2 を含む溶液を接触させて原料内にCaCl2 を導入しておき、その後、このCaCl2 を導入した原料を炭化すれば、これにより得られる炭化材料が優れた陰イオンの吸着性能を有することを知見するに至った。
したがって、第3発明の土壌改良肥料は、金属塩化物を導入処理した原料植物を炭化処理することにより、その炭化物に吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な塩化物イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴としている(請求項5)。炭化物内に含有する金属塩化物の塩化物イオンが陰イオン交換能を発現するため、炭化物は土壌改良肥料として機能するのである。なお、原料植物への金属塩化物の導入処理は、金属塩化物を含む溶液を前記原料植物に接触させることによって行え、この接触方法としては、前記溶液の滴下、塗布、吹付け、噴霧等が可能であるが、前記原料植物を前記溶液に浸漬させることが最も効率的である。
上記第3発明の土壌改良肥料において、原料植物を、金属塩化物としてCaCl2 を含む溶液に浸漬して、原料にCaイオンとClイオンとを導入処理し、その後、このCaCl2 導入材を炭化して得られるCaCl2 導入炭には、優れた陰イオン吸着性能が認められる。
すなわち、例えば、図17(A)に示すように、原料としての木質チップ5をCaCl2 溶液100に浸漬してCaCl2 溶液100に接触させると、CaCl2 溶液100中のCaイオンとClイオンが木質チップ5に導入され、同図(C)に示すように、CaCl2 導入チップ101が得られる。これは、同図(B)に示すように、木質チップ5中の組織、特に通道組織にCaCl2 溶液100が染み込むからである。なお、原料の前処理(接触処理)に用いる前記CaCl2 溶液100の濃度としては、CaCl2 0.1重量%〜50重量%が好ましく、1重量%〜20重量%がコスト的により好ましい。0.1重量%を下回ると高い陰イオン吸着能は発現されず、50重量%を越えても陰イオン吸着能は向上しない。
続いて、前記CaCl2 導入チップ101を、図18(A)に示すように炭化すると、同図(C)に示すように炭素材料1が得られる。この炭化の過程では、CaCl2 導入チップ101中の有機物が熱で分解するのと同時に、ClイオンおよびCaイオンがCaCl2 導入チップ101の微細孔壁表面に析出する。このとき、同図(B)に示すように、ClイオンおよびCaイオンはCaCl2 導入チップ101の微細孔壁表面に微細で高分散状態に析出し、多くの官能基を微細孔壁の隅々から引き出す。その結果、同図(C)に示すように、Clイオンが、微細孔壁表面に引き出された多数の官能基に金属イオン(この場合Caイオン)を介してまたは直接結合された状態になると考えられる。
なお、前記金属塩化物の含有量としては、前記炭化物内に結合される金属塩化物を灰分として2%〜25%含有させてあることが好ましい(請求項6)。炭化物内に結合される金属塩化物とは、炭化物内に単に付着している金属塩化物を除く金属塩化物であり、炭化物内に結合しているため、水や酸で洗い流した後に溶解せずに残留する金属塩化物をいう。2%を下回ると陰イオン吸着能が劣り、25%を上回っても陰イオン吸着能は向上しない傾向がある。
さらに、請求項5および6に係る発明において、前記炭化物を水および/または酸に接触させてあることが好ましい(請求項7)。なお、水および/または酸を前記炭化物に接触させる方法としては、水および/または酸の滴下、塗布、吹付け、噴霧などが可能であるが、前記炭化物を水および/または酸に浸漬させることが最も効率的である。
ここで、前記炭化物に水および/または酸を接触させることが好ましいことの理由は以下のように考えられる。すなわち、図17および図18に示したようにして得られた炭素材料(CaCl2 炭)1を、図19(A)に示すように、例えば塩酸102や硫酸等の酸に浸漬(接触)させると、炭素材料1に付着していた余分な金属塩化物の結晶が除去される。しかも、酸として塩酸102を用いた場合は、前記炭素材料1の官能基と結合するClイオンが新たに増加し、同図(B)から同図(C)に示す状態に変わり、これらのことから、製造した陰イオン吸着能が高まって好ましい。なお、前記炭化物に塩酸102等の酸ではなく水を接触させた場合にも、炭素材料1に付着していた余分な金属塩化物の結晶が除去され、陰イオン吸着能を高めることができる。
具体的には、前記金属塩化物としてCaCl2 またはBaCl2 が挙げられる(請求項8)。
なお、上記第1発明〜第3発明の土壌改良肥料における原料植物としては、植物体であれば何でもよいが、天然繊維や木質材料の1種以上からなり、かつ炭化物が微細孔を有するものが好ましく、例えば、間伐材、伐採木、廃木材等全ての木質材料や麻等の天然繊維を挙げることができる。具体的には、吸水性の高い檜や杉等の針葉樹を例えば50mm以下(好適には10mm以下)のサイズにチップ化した木質チップを用いるのが好ましい。さらに、前記木質チップのほかに、竹、おが屑、籾殻、椰子、ビンロウジュ、ジュート、藁、ミカンやリンゴの皮、ミカンやリンゴの搾りかす等の農産廃棄物を用いてもよい。また、植物体の中で特に通道組織(道管、仮道管または師管)を有する部分が好ましい。
前記原料を接触させる溶液として吸着対象陰イオンとイオン交換可能な陰イオン(例えば塩化物イオン等)をほとんど含まずカルシウムイオンを含む溶液(例えば石灰水や石灰乳等)を用いる場合、前記原料としては、カルシウムを導入した後炭化すると、その炭化物の微細孔に100nm以下の粒径のCa化合物が無数に形成されるようなものが好ましい。
また、吸着対象陰イオンとイオン交換可能な陰イオン(例えば塩化物イオン等)とカルシウムイオンを共に含む溶液(例えば塩化カルシウム溶液や酢酸カルシウム溶液等)を用いる場合は、前記原料として、溶液に浸漬する際、溶液が染み込み易いようなものが望ましい。
そして、上記いずれの発明においても、原料植物の炭化処理温度は、400℃〜1000℃であることが好ましい(請求項9)。これは、炭化処理温度が400℃を下回ると、微細孔が発達せず吸着材としての性能が劣り、前記温度が1000℃を超えると、炭素化が進みすぎることにより吸着特性が得られないからである。なお、炭化処理温度としてより好ましくは500℃〜900℃であり、最も好ましいのは約650℃〜750℃である。
なお、第1発明のように、植物原料にCaを導入しない場合は、炭化処理の際の加熱温度による炭化物の官能基の生成量の差は少ない。一方、第2発明のように、植物原料に予めCaを導入してある場合には、炭化処理過程で、温度および時間を適切に制御すれば炭化物の官能基をより多く生成させることができる。
詳しくは、予めCaを導入した植物原料を炭化するに際して、650〜750℃の炭化処理温度を例えば1時間持続させた後、自然冷却させる場合の方が、約600℃および約800℃の炭化処理温度を1時間持続させた後、自然冷却させる場合に比べて、より多くの官能基が形成できることを本発明者らは確認した。すなわち、Caを導入した場合、電子顕微鏡で観察すると、650〜750℃の炭化処理温度で炭化させた炭化物では、Ca化合物の微粒子が炭化物の微細孔壁面に半ば析出して均一に分散している様子が観察された。一方、約600℃の炭化処理温度では、Ca化合物の微粒子の微細孔壁面への析出が十分行われていない様子が観察された。また、約800℃の炭化処理温度では、Ca化合物の微粒子の微細孔壁面への析出は見られるものの、欠落が多くなっている様子が観察された。このように、Caが炭化物の微細孔壁面から官能基をできるだけ多く引出すために必要な炭化処理温度として約650〜750℃、特に約700℃を挙げることができる。
また、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を含有する液体から硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を除去するための浄化材として前記炭素材料を使用することにより形成してもよい(請求項10)。すなわち、前記炭素材料を浄化材として陰イオンの形態で存在する硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の除去に用いると、予め硝酸性窒素や亜硝酸性窒素が炭素材料に吸着され、この発明に係る土壌改良肥料が得られ、浄化材として使用済みの炭素材料の有効利用を図ることができる。
そして、第4発明の植物栽培方法は、請求項1〜10のいずれかに記載の土壌改良肥料を用いて植物を栽培することを特徴としている(請求項11)。前記土壌改良肥料は、そのままの形状(チップ状)で使用することもできるが、粒体状または粉体状またはペレット状に加工することができる。
また、第5発明の植物栽培方法は、請求項1〜10のいずれかに記載の土壌改良肥料を土壌に混合または土壌表面に積層または土壌下層に埋設して植物を栽培することを特徴としている(請求項12)。この方法は、例えば、チップ状または粒体状または粉体状またはペレット状の前記土壌改良肥料を、土壌に混合したり、撒布(散布)等によって土壌表面に積層したり、土壌下層に埋設することで実施される。また、土壌改良肥料には、単なる木炭等、従来から使用されている材料を併用してもよい。
請求項1に係る発明では、土壌改良効果に優れ植物の生育を促進することができる土壌改良肥料が得られる。すなわち、この発明の土壌改良肥料は炭化物よりなるか、または炭化物を含み、この炭化物が、土壌の通気性・保水性・透水性・保肥力を向上させる他、土壌の保温、土壌微生物の増加、酸性土壌の矯正、ミネラル分の補給など土壌改良材としての効果を発揮する。また、この土壌改良肥料は、他に施肥する肥料から溶脱する硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を吸着して、それらによる汚染を軽減することができるとともに、吸着させた硝酸性窒素や亜硝酸性窒素は植物の窒素肥料となる。
また、請求項2に係る発明では、炭素材料の陰イオン吸着性能が向上し、それに伴って、吸着保持する硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の量を増加させることができるので、植物の生育促進効果がより高まった土壌改良肥料が得られる。
請求項3〜10に係る発明でも、原料植物を炭化処理して得られる炭化物に陰イオン吸着特性を持たせ、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を吸着できる炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むので、環境にやさしいものとなっているとともに、安価に製造することができる土壌改良肥料が得られる。
さらに、請求項11および12に係る植物栽培方法は、例えば、チップ状または粒体状または粉体状またはペレット状の前記土壌改良肥料を土壌に混合したり土壌表面に積層したり土壌下層に埋設することで実施することができ、上記方法によれば、前記土壌改良肥料は優れた土壌改良効果および植物の生育促進効果を発揮するので、植物を良好に栽培することができる。
図1〜図4は、この発明の第1実施例を示す。まず、図1は、この発明の土壌改良肥料を構成する炭素材料1の一例を示すもので、この実施例では、長さが10mm程度のチップ状に形成されている。そして、図2は、前記チップ状の炭素材料1を適宜径の粒体(ペレット)1aに形成した例を示している。
前記炭素材料1を製造する装置および方法について、図3および図4を参照しながら説明する。図3は、炭素材料1を製造する装置の一例を概略的に示すもので、この図において、5は原料植物で、この実施例では木質チップである。この木質チップ5は、例えば、吸水性の高い檜や杉等の針葉樹を50mm以下(好適には10mm以下)の適宜のサイズにチップ化したものである。6は木質チップ5を炭化処理する炭化処理炉で、その内部には適宜の熱源7によって加熱される炭化炉本体8が収容されている。この炭化炉本体8の導入部8aから供給された木質チップ5は、適宜の温度(後述する)、適宜の時間(後述する)加熱することにより炭化され、炭化チップ(炭化物)9として排出部8bから排出される。
そして、図3において、10は前記炭化チップ9を酸処理する装置で、例えば、処理槽11内に適宜濃度のHClが酸溶液12として収容されている。なお、13は処理槽11内に設けられる攪拌用羽根13で、モータ(図示していない)によって回転駆動され、処理槽11内の酸溶液12の濃度を均一になるように攪拌するものである。
また、図3において、14は前記酸処理、中和処理、中和後水洗い処理(以下、酸処理等という)後の炭化チップ(酸処理炭化チップ)9Sを乾燥させる乾燥機で、この乾燥機14には炭化処理炉6から排出される排熱が供給されるようにしてある。
上記装置を用いて、原料植物5から炭素材料1を得る手順の一例を、図4をも参照しながら説明すると、まず、檜や杉等の針葉樹を10mm以下の適宜のサイズにチップ化した木質チップ5を用意する(ステップS11)。
前記木質チップ5は、炭化処理炉6の炭化炉本体8に供給され、400℃〜1000℃の温度範囲で1時間程度加熱され炭化処理される(ステップS12)。これによって、炭化チップ9が得られる。
前記炭化チップ9は、酸処理装置10に供給され、処理槽11内の0.01mol/L〜20mol/Lに調整された酸溶液12に浸漬され、酸処理される(ステップS13)。この酸処理後の酸処理炭化チップ9Sは、一般的には乾燥機14において乾燥処理される(ステップS14)。この場合、酸処理炭化チップ9Sをそのまま乾燥機14に送るようにしてもよいが、適宜のアルカリ溶液に浸漬するなどして中和処理したり、さらには、中和処理後に水洗いしてもよい。なお、酸処理炭化チップ9Sを湿潤状態で使用するときは、乾燥処理をしないこともある。
そして、前記乾燥処理後の酸処理炭化チップ9Sは、加工を施さずにそのままの形状で炭素材料1として使用することもできるが、この実施例では適宜の加工機を用いて適宜径の粒体(ペレット)やより細かな粉体に形成され、これを炭素材料1としてある(ステップS15)。
上述の第1実施例では、原料植物(例えば、木質チップ)5を炭化処理し、この炭化処理によって得られる炭化物(例えば、炭化チップ)9を酸溶液12に浸漬処理して前記炭化物9に陰イオン吸着特性を持たせて炭素材料1を得るようにしていたが、原料植物5としてカルシウム導入処理したものを用いて炭素材料1を得るようにしてもよい。以下、これを第2実施例として、図5および図6を参照しながら説明する。
まず、図5は、炭素材料1を製造する装置の他の例を概略的に示すもので、この図において、図3に示した符号と同一符号は同一物である。この実施例における装置が図3に示した第1実施例の装置と大きく異なる点を説明すると、15は木質チップ5にCaを導入処理し、Ca導入チップ16とするための装置で、例えば、処理槽17内にカルシウムイオンを含む溶液18を収容してなるものであり、この実施例では、前記カルシウムイオンを含む溶液18は適宜濃度の石灰水(または石灰乳)18である。なお、19は処理槽17内に設けられる攪拌用羽根で、モータ(図示していない)によって回転駆動され、処理槽17内のカルシウムイオンを含む溶液18を濃度が均一になるように攪拌するものである。
また、図5において、20は前記Ca導入処理装置15において得られるCa導入チップ16を乾燥させる乾燥機で、この乾燥機20には炭化処理炉6から排出される排熱が供給されるようにしてある。
上記装置を用いて、原料植物5から炭素材料1を得る手順の一例を、図6をも参照しながら説明すると、まず、檜や杉等の針葉樹を10mm以下の適宜のサイズにチップ化した木質チップ5を用意する(ステップS21)。
前記木質チップ5をCa導入処理装置15の処理槽17内の5重量%に調整されたカルシウムイオンを含む溶液18内に例えば、3時間以上浸漬する。この場合、溶液18を木質チップ5へ充分染み込ませるため、或いはカルシウムイオンを木質チップ5の成分と充分反応させるために、木質チップ5の浸漬中に、攪拌羽根19を回転させることが好ましい。これによって、Caイオンが木質チップ5の成分と充分反応することができ、木質チップ5にCaが導入されたCa導入チップ16が得られる(ステップS22)。なお、前記Ca導入処理は、石灰乳を用いた方が処理効率がよい。また、溶液18としては、石灰水や石灰乳に代えて、塩化カルシウム溶液や酢酸カルシウム溶液を用いることもできる。
前記Ca導入処理酸処理後のCa導入チップ16は、乾燥機20に送られて乾燥処理される(ステップS23)。
前記乾燥処理後のCa導入チップ16は、炭化処理炉6の炭化炉本体8に供給され、700℃の処理温度で、1時間程度加熱して炭化処理される(ステップS24)。これによって、Ca導入炭化チップ(Ca導入炭)21が得られる。
前記Ca導入チップ21は、酸処理装置10に供給され、処理槽11内の例えば5mol/Lに調整された酸溶液12に浸漬され、酸処理される(ステップS25)。この場合、攪拌羽根13を回転させるのが好ましく、これによって、Ca導入チップ21の微細孔表面のCaCO3 が酸によって溶解するのを促進させるとともに、塩化物イオンおよびカルシウムイオンをCa導入チップ21の微細孔表面の官能基と充分反応させることができ、所望のCa導入酸処理炭化チップ21Sが得られる。
前記酸処理後のCa導入酸処理炭化チップ21Sは、一般的には乾燥機14において乾燥処理される(ステップS26)。この場合、Ca導入酸処理炭化チップ21Sをそのまま乾燥機14に送るようにしてもよいが、適宜のアルカリ溶液に浸漬するなどして中和処理したり、さらには、中和処理後に水洗いしてもよいことはいうまでもない。
そして、前記乾燥処理後のCa導入酸処理炭化チップ21Sは、加工を施さずにそのままの形状で炭素材料1として使用することもできるが、この実施例では適宜の加工機を用いて適宜径の粒体やより細かな粉体に形成され、これを炭素材料1としてある(ステップS27)。
次に、前記炭素材料1の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の吸着性能について説明する。硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着性能の試験方法および試験結果について説明すると、以下の通りである。
〔硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着性能について〕
〔試験方法〕
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の濃度が50mg/L(50ppm)の硝酸溶液および亜硝酸溶液50mL(標準液)をそれぞれ5つ用意し、
(1)木質チップ5を700℃で炭化させた比較例に用いる木炭9を200mg、
(2)木質チップ5を700℃で炭化させた木炭を1mol/LのFeCl3 溶液に浸漬させた後、水洗いした比較例に用いる塩化鉄木炭200mg、
(3)木質チップ5を700℃で炭化させた木炭を5mol/LのHCl溶液に浸漬させた後、水洗いした酸処理木炭9Sを200mg、
(4)木質チップ5を5重量%の石灰水18に浸漬した後700℃で炭化させた木炭を5mol/LのHCl溶液に浸漬させたCa導入酸処理木炭21Sを200mg、
(5)比較例に用いる陰イオン交換樹脂200mgの5つのサンプルを、それぞれ対応する標準液に入れ、例えば200rpm、20℃の条件下で、10時間振とう後、硝酸溶液および亜硝酸溶液中の硝酸性窒素の濃度および亜硝酸性窒素の濃度をそれぞれ測定し、吸着量を計算した。
〔結果〕
図10は、上記各サンプルの硝酸性窒素および亜硝酸性窒素吸着能の比較を表す。
(1)の700℃炭化の木炭9は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素をほとんど吸着しないのに対して、(2)の塩化鉄木炭は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素をそれぞれ2.75mg/gおよび2.35mg/g吸着した。また、(3)の酸処理木炭9Sは、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素をそれぞれ2.50mg/gおよび2.20mg/g吸着した。(5)の陰イオン交換樹脂は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素をそれぞれ10.80mg/gおよび10.00mg/g吸着した。一方、木質チップ5を石灰水18に浸漬した後炭化し、続いて、HCl溶液に浸漬させてなる(4)のCa導入酸処理木炭21Sは、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素をそれぞれ10.75mg/gおよび9.80mg/g吸着し、(5)の陰イオン交換樹脂と同等以上の吸着能力を示した。
そして、前記Ca導入酸処理木炭21Sが例えば硝酸イオンを吸着するメカニズムは、以下のように考えられる。図14(A)に示すように、Ca導入酸処理木炭21Sを硝酸溶液26に漬けると、Ca導入酸処理木炭21Sの表面の官能基にカルシウムイオンを介してまたは直接結合した塩化物イオン(同図(B)参照)と硝酸溶液26中の硝酸イオンが交換され(同図(C)参照)、硝酸イオンがCa導入酸処理木炭21Sに吸着される(同図(D)参照)。
上述のように、この発明の炭素材料1は、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素等の陰イオンの吸着性能に優れ、この炭素材料1を、そのまま土壌改良肥料として用いてもよいが、例えば、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を含む液体(以下、窒素含有液体という)に予め浸漬させれば、炭素材料1が硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を吸着し、これにより肥料効果の高い土壌改良肥料が得られる。ここで、前記窒素含有液体を工業的に形成してもよいが、例えば、上水、下水、魚類等の飼育に用いられる水槽水や、養殖場を形成する水(海水および淡水)、農牧地で生じた排水などの各種の水は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を含むので前記窒素含有液体として用いることができる。換言すれば、上記各種の水が硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を含むことが環境問題の点から懸念されており、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を除去する浄化材として前記炭素材料1を用いれば、上記各種の水を浄化することができるとともに、炭素材料1に硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を吸着させてなるこの実施例の土壌改良肥料が得られる。
そして、上記のようにして得られる土壌改良肥料を用いて植物を栽培するには、例えば、図7(A)に示すように、土壌と土壌改良肥料とを混合してなり適宜の厚み(例えば0.5〜50cm程度)をもつ混合層31を土壌32の表層部に形成してもよく、あるいは図7(B)に示すように、前記混合層31を土壌32の下層(表層部よりも下側)に形成してもよい。
また、図8に示すように、土壌改良肥料33を土壌32の表面(地表面)に撒布(散布)してもよく、図9に示すように、土壌改良肥料33を土壌32の下層(表層部よりも下側)に適宜の厚み(例えば0.5〜50cm程度)をもたせた状態で埋設してもよい。
ここで、図7(A)および(B)に示した前記混合層31および図8および図9に示した土壌改良肥料33はいずれも、土壌32の表面から0〜200cm程度の深さの位置に設けられる。また、混合層31における土壌と土壌改良肥料との混合比や、混合層31および土壌改良肥料33よりなる層の厚みは、栽培対象の種類や土壌の種類などに応じて適宜に設定される。
上記植物の栽培方法によれば、炭化物を用いてなり硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を吸着した土壌改良肥料を土壌に配置するので、多孔質でその内部表面積が非常に大きい炭化物が有する土壌改良効果(土壌の通気性・保水性・透水性・保肥力を向上させる他、土壌の保温、土壌微生物の増加、酸性土壌の矯正、ミネラル分の補給など)が得られるだけでなく、植物に吸収されその肥料となる硝酸性窒素および亜硝酸性窒素によって植物の生育を促進することができる。なお、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素は、土壌改良肥料に事前に吸着させるほか、土壌改良肥料(炭素材料)を施用した後に吸着させ、吸着されたものを植物に供給することもできる。
また、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が植物に吸収された後は、再度土壌中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を吸着するので、降雨時などに土壌に浸透した水により土壌中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素が溶脱し、河川・湖沼や地下水などに流れ込み環境を汚染することを防止するという効果が得られる。
なお、前記土壌改良肥料は、土壌を耕転するときに定期的に施用するのが効果を持続させる上で好ましい。
上述の第2実施例では、原料植物5としてカルシウム導入処理したものを用いて炭素材料1を得るようにしていたが、原料植物5として、金属塩化物導入処理したものを用いて炭素材料1を得るようにしてもよい。以下、これを第3実施例として、図15および図16を参照しながら説明する。
まず、図15は、炭素材料1を製造する装置のさらに他の例を概略的に示すもので、この図において、図5に示した符号と同一符号は同一物である。そして、図15に示すように、前記木質チップ5は、適宜濃度の金属塩化物溶液(この実施の形態ではCaCl2 溶液)91を収容した処理槽92に送られ、この処理槽92内において木質チップ5に対する金属塩化物(この実施の形態ではCaCl2 )の導入処理が行われ、金属塩化物導入チップ93が形成される。なお、94は処理槽92内に設けられる攪拌用羽根で、モータ(図示していない)によって回転駆動され、処理槽92内の液等を攪拌する際に用いられる。なおここで、金属塩化物溶液に対して、Ca(OH)2 を僅かに加えておくことが、陰イオン吸着能を向上させる上で好ましい。
上記のようにして得られた金属塩化物導入チップ93は、乾燥機20によって乾燥処理された後、炭化処理炉6に送られ、炭化処理される。なお、前記乾燥機20は、炭化処理炉6から排出される排熱を前記乾燥処理に利用するように構成されている。
そして、金属塩化物導入チップ93は、導入部8aを経て前記炭化炉本体8内に供給され、適宜の温度(後述する)および適宜の時間(後述する)の加熱により炭化され、炭素材料1として排出部8bから炭化炉本体8外に排出される。
その後、前記炭素材料1は、水またはHCl溶液(塩酸)96を収容した処理槽97に送られ、この処理槽97内において炭素材料1の水またはHCl溶液96に対する接触(浸漬)処理が行われる。なお、98は処理槽97内に設けられる攪拌用羽根で、モータ(図示していない)によって回転駆動され、処理槽97内の液等を攪拌する際に用いられる。酸への接触処理を行った後に水への接触処理を行うこともあり、またその逆の手順で行ってもよい。
続いて、前記炭素材料1は、乾燥機14に送られ、乾燥処理された後、適宜径の粒体(ペレット)1aやより細かな粉体1bに形成される。なお、前記乾燥機14は、炭化処理炉6から排出される排熱を前記乾燥処理に利用するように構成されている。
次に、図15に示した装置を用いて、原料植物5から炭素材料1を得る手順の一例を、図15および図16を参照しながら詳細に説明する。まず、檜や杉等の針葉樹を10mm以下の適宜のサイズにチップ化した木質チップ5を用意する(ステップT1)。
続いて、前記木質チップ5を処理槽92内の1〜20重量%に調整されたCaCl2 溶液91内に例えば、3時間以上浸漬する。この木質チップ5の浸漬中に、攪拌羽根94を回転させることが好ましい。これによって、CaCl2 溶液91が木質チップ5に染み込むことができ、木質チップ5にCaイオンおよびClイオンが導入された金属塩化物導入チップ93が得られる(ステップT2)。
そして、前記金属塩化物導入チップ93は、乾燥機20に送られて乾燥処理される(ステップT3)。
その後、前記金属塩化物導入チップ93は、炭化処理炉6の炭化炉本体8に供給され、400℃〜1000℃の温度範囲(この実施の形態では700℃)で1時間程度加熱され炭化処理される(ステップT4)。これによって、炭素材料1が得られる。
前記炭素材料1は、処理槽97に供給され、処理槽97内の0.01mol/L〜11mol/L(例えば5mol/L)に調整されたHCl溶液96に浸漬処理される(ステップT5)。この場合、攪拌羽根98を回転させるのが好ましく、これによって、炭素材料1内に残留する余分な金属塩化物(CaCl2 )の結晶を除去することができるとともに、塩化物イオンをさらに付加させることができ、所望の炭素材料1が得られる。
そして、前記浸漬処理後の炭素材料1は、一般的には乾燥機14において乾燥処理される(ステップT6)。この場合、炭素材料1をそのまま乾燥機14に送るようにしてもよいが、適宜のアルカリ溶液に浸漬するなどして中和処理したり、さらには、中和処理後に水洗いしてもよい。なお、炭素材料1を湿潤状態で使用するときは、乾燥処理をしないこともある。
そして、前記乾燥処理後の炭素材料1は、チップ状のまま使用することもできるが、この実施例では適宜の加工機を用いて適宜径の粒体(ペレット)1aやより細かな粉体1bに形成してある(ステップT7)。
なお、前記炭素材料1は、上記ステップT1からステップT7までが全て同一工場内で行われて製造されるものに限られない。例えば、他の工場等にて上記ステップT1〜T7のうちのあるステップまで製造されている場合、途中のステップから始めて炭素材料1を製造すればよい。
なお、上記第3実施例では、金属塩化物として、最も高性能な陰イオン吸着炭素材料が得られるCaCl2 を挙げているが、BaCl2 やMnCl2 等でもよい。
また、上記第3実施例では、処理槽97内において炭素材料1のHCl溶液96に対する接触処理を行っているが、HCl溶液96に代えて水を用いてもよい。この場合、塩化物イオンの付加は行われず、炭素材料1内に残留する余分な金属塩化物の結晶を除去するのみとなる。
さらに、上記実施の形態では、金属塩化物導入チップ93を炭化処理炉6にて炭化処理して炭素材料1を得た後、処理槽97へと送っているが、処理槽97へと送らなくてもよい。この場合、前記炭素材料1を乾燥機14に送る必要がないので、炭素材料1の製造方法は、上記ステップT5,T6が省かれたものとなる。また、この場合、炭素材料1の製造方法としては、ステップT1〜T4で終了してもよいし、その後ステップT7を行ってもよい。
次に、第3実施例の炭素材料1の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着性能を調べるために行った試験について説明する。硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着性能の試験方法および試験結果について説明すると、以下の通りである。
まず、以下に示す計七つのサンプル(1)〜(7)をそれぞれ200mgずつ2組用意した。すなわち、
(1)木質チップ5を700℃で1時間加熱し炭化させて得られた木炭
(2)木質チップ5を700℃で1時間加熱し炭化させ、その後、1mol/LのFeCl3 溶液に浸漬し水洗いして得られた塩化鉄木炭
(3)陰イオン交換樹脂
(4)木質チップ5を10重量%のBaCl2 溶液に浸漬した後700℃で1時間加熱し炭化させて得られたBaCl2
(5)木質チップ5を10重量%のBaCl2 溶液に浸漬した後700℃で1時間加熱し炭化させ、その後、5mol/LのHCl溶液に浸漬処理して得られたHCl処理BaCl2
(6)木質チップ5を10重量%のCaCl2 溶液に浸漬した後700℃で1時間加熱し炭化させて得られたCaCl2
(7)木質チップ5を10重量%のCaCl2 溶液に浸漬した後700℃で1時間加熱し炭化させ、その後、5mol/LのHCl溶液に浸漬処理して得られたHCl処理CaCl2
の計七つのサンプルを2組用意した。なお、(4)〜(7)のサンプルは上記炭素材料1に相当するものであり、(1)〜(3)のサンプルは炭素材料1と比較するためのものである。
そして、一方の組の各サンプルを、硝酸性窒素の濃度が50mg/L(50ppm)の硝酸性窒素溶液50mL(第1標準液)に個別に投入し、また、他方の組の各サンプルを、亜硝酸性窒素の濃度が50mg/L(50ppm)の亜硝酸性窒素溶液50mL(第2標準液)に個別に投入した。その後、200rpm、20℃の条件下で、10時間振とう後、第1標準液中の硝酸性窒素の濃度および第2標準液中の亜硝酸性窒素の濃度をそれぞれ測定し、各サンプルによる硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着量を計算した。
図21は、上記試験によって得られた各サンプルの硝酸性窒素吸着能および亜硝酸性窒素吸着能の比較結果を表す。なお、この図では、各サンプルの硝酸性窒素・亜硝酸性窒素吸着量を一対の棒グラフで示しており、左側の棒グラフが硝酸性窒素吸着量、右側の棒グラフが亜硝酸性窒素吸着量を示している。この図に示す結果から、本発明のサンプルはいずれも高い硝酸性窒素吸着能および亜硝酸性窒素吸着能を持つことがわかる。さらに、(4)のBaCl2 炭と(5)のHCl処理BaCl2 炭の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着量を比較し、また、(6)のCaCl2 炭と(7)のHCl処理CaCl2 炭の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着量を比較することにより、炭素材料1の硝酸性窒素・亜硝酸性窒素吸着能をより高めるためには、炭素材料1をHCl溶液に浸漬する処理(HCl処理)を行ったほうがよいことがわかる。しかし、HCl処理を行わなくても十分に高い硝酸性窒素・亜硝酸性窒素吸着能を持った炭素材料1が得られ、この場合には、HCl溶液の接触処理を行わない分だけ低いコストで炭素材料1を製造することができる。
ここで、前記炭素材料1が例えば硝酸イオンを吸着するのは、図20(A)に示すように、炭素材料(CaCl2 炭)1を硝酸溶液99に浸漬すると、炭素材料1の表面の官能基にCaイオンを介してまたは直接結合されたClイオン(同図(B)参照)と硝酸溶液99中のNO3 イオンが交換され(同図(C)参照)、NO3 イオンが炭素材料1に吸着される(同図(D)参照)からであると考えられる。
次に、上記ステップT2において木質チップ5を浸漬する金属塩化物溶液(CaCl2 溶液)91の濃度が、製造後の炭素材料1の陰イオン吸着能に与える影響を調べるために行った試験について述べる。上記試験は、木質チップ5をCaCl2 溶液91に浸漬した後、700℃で1時間の加熱により炭化し、水洗いして得た炭素材料1を、硝酸性窒素の濃度が50mg/L(50ppm)の硝酸性窒素溶液50mL(標準液)に投入し、前記炭素材料1の硝酸性窒素の吸着能を調べたもので、前記CaCl2 溶液61として、濃度が1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、14重量%、17重量%、20重量%のものが用いられた。また、比較のために、木質チップ5を10重量%のCaCl2 溶液91に浸漬した後、700℃で1時間の加熱により炭化し、HCl処理して得た炭素材料1の硝酸性窒素の吸着能についても調べた。上記試験の結果を図22に示す。
図22に示す結果から明らかなように、炭素材料1の陰イオン吸着能はCaCl2 溶液の濃度に比例して高くなるわけではなく、コスト面等から考えれば、10重量%程度とすることが最も好ましいといえる。また、この図22に示す結果からも、炭素材料1の陰イオン吸着能をより高めるためには、炭素材料1をHCl処理したほうがよいことがわかる。
この発明の炭素材料の一例を示す図である。 前記炭素材料の加工例を示す図である。 前記炭素材料を製造する装置の一例を概略的に示す図である。 前記製造装置を用いて炭素材料を製造する工程の一例を示す図である。 前記炭素材料を製造する装置の他の例を概略的に示す図である。 前記製造装置を用いて炭素材料を製造する工程の一例を示す図である。 植物栽培方法の一例および他の例を示す図である。 植物栽培方法の別の例を示す図である。 植物栽培方法のさらに別の例を示す図である。 この発明の炭素材料の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の吸着試験における各吸着量を示す図である。 石灰水浸漬工程を説明するための図である。 上記石灰水浸漬工程後の炭化工程を説明するための図である。 炭化工程後の酸溶液浸漬工程を示す図である。 硝酸イオン吸着のメカニズムを説明するための図である。 この発明の第3実施例に係る炭素材料を製造する装置の構成を概略的に示す説明図である。 前記製造装置を用いて前記炭素材料を製造する工程の一例を示す図である。 (A)〜(C)は、図16におけるステップT2の工程の詳細を示す図である。 (A)〜(C)は、図16におけるステップT4の工程の詳細を示す図である。 (A)〜(C)は、図16におけるステップT5の工程の詳細を示す図である。 (A)〜(D)は、第3実施例における硝酸イオン吸着の詳細を示す図である。 第3実施例の浄化材および比較材料の硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の吸着量の比較結果を示すグラフである。 ステップT2におけるCaCl2 溶液の濃度を変えて作成された炭素材料およびHCl処理して得られた炭素材料の硝酸性窒素の各吸着量を示すグラフである。
符号の説明
5 原料植物
9 炭化物
12 酸溶液

Claims (12)

  1. 原料植物を炭化処理して得られる炭化物に酸溶液を接触させることにより、吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な陰イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴とする土壌改良肥料。
  2. カルシウム導入処理した原料植物を炭化処理して得られる炭化物に酸溶液を接触させることにより、吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な陰イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴とする土壌改良肥料。
  3. 原料植物にカルシウムイオンを含む溶液を接触させることにより前記カルシウム導入処理がなされている請求項2に記載の土壌改良肥料。
  4. 酸溶液の濃度が0.01mol/L以上である請求項1〜3のいずれかに記載の土壌改良肥料。
  5. 金属塩化物を導入処理した原料植物を炭化処理することにより、その炭化物に吸着対象の陰イオンとイオン交換が可能な塩化物イオンを結合させて陰イオン吸着特性を持たせた炭素材料からなるか、または前記炭素材料を含むことを特徴とする土壌改良肥料。
  6. 前記炭化物内に結合される金属塩化物を灰分として2%〜25%含有させてある請求項5に記載の土壌改良肥料。
  7. 前記炭化物を水および/または酸に接触させてある請求項5または6に記載の土壌改良肥料。
  8. 前記金属塩化物がCaCl2 またはBaCl2 である請求項5〜7のいずれかに記載の土壌改良肥料。
  9. 原料植物の炭化処理温度が400℃〜1000℃である請求項1〜8のいずれかに記載の土壌改良肥料。
  10. 硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を含有する液体から硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を除去するための浄化材として前記炭素材料を使用することにより形成された請求項1〜9のいずれかに記載の土壌改良肥料。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の土壌改良肥料を用いて植物を栽培することを特徴とする植物栽培方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の土壌改良肥料を土壌に混合または土壌表面に積層または土壌下層に埋設して植物を栽培することを特徴とする植物栽培方法。
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