JP2005306339A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 衝突予知時に乗員保護に適した状態となるようにシートを動作させることにより、衝突時の乗員保護効果を更に高めることが可能な車両の乗員保護装置を提供する。
【解決手段】 衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、シートの前後スライド位置Pを検知するスライド位置検知手段と、シートのシートバック傾斜角度θを検知するリクライニング角度検知手段と、シートスライド手段及びリクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、制御手段は、衝突予知手段からの出力に基づいて、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、シートスライド手段及びリクライニング手段を動作させる。
【選択図】 図4
【解決手段】 衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、シートの前後スライド位置Pを検知するスライド位置検知手段と、シートのシートバック傾斜角度θを検知するリクライニング角度検知手段と、シートスライド手段及びリクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、制御手段は、衝突予知手段からの出力に基づいて、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、シートスライド手段及びリクライニング手段を動作させる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、レーダ等を用いた衝突予知機能を備えた車両において、衝突を予知した際にシートベルト等の安全装置により乗員を保護するのに適した位置にシートを動作させて乗員の保護機能を高める車両の乗員保護装置に関する。
従来、車両の乗員保護装置として、以下のようなものが知られている。すなわち、車両の衝突の可能性を予知した際にシートベルトのプリテンショナを作動させ、シートベルトの張力を増加させて乗員をシートのシートバックに拘束することにより保護する構成を備えるものにおいて、シートバックが過度に倒伏している場合等には、シートベルトの張力を増加させても良好な乗員保護効果を得ることができないことから、乗員を適切に保護するために、衝突予知時にシートバックの傾斜角度を検出し、その傾斜角度が所定の範囲以外にあるときには、シートバックを所定の範囲内に変位させる車両の乗員保護装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、シートバックの傾斜角度を変位させてシートバックを起立させたとしても、シートの前後スライド位置が後方にある場合には、シートベルトが張った状態であっても乗員の肩部から胸部にかけての上体とシートベルトとの間に隙間ができる場合がある。その場合には、衝突予知時にシートベルトの張力を増加させたとしても乗員をシートバックに密着させて拘束することが困難であり、衝突時の乗員保護効果を十分に高めることができない可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝突予知時に乗員の上体とシートベルトとの間に隙間ができない位置にシートの各部を動作させることにより、シートベルトの張力を増加させた際に乗員をシートバックに密着させて拘束すること可能とし、衝突時の乗員保護効果を更に高めることが可能な車両の乗員保護装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る車両の乗員保護装置の第1特徴構成は、衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、前記シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記シートスライド手段及び前記リクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記前後スライド位置と前記シートバック傾斜角度とが、それらの相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記シートスライド手段及び前記リクライニング手段を動作させる点にある。
これによれば、車両の衝突の危険性を予知した際に、シートの前後スライド位置及びシートバック傾斜角度の双方を変位させ、乗員の上体とシートベルトとの間に隙間ができない位置に確実にシートを動作させることができる。したがって、シートベルトの張力を増加させた際に乗員をシートバックに密着させて拘束すること可能とし、衝突時の乗員保護効果を高めることができる。また、シートの前後スライド位置及びシートバック傾斜角度をエアバッグ等の他の安全装置に適した位置に変位させることにより、その安全装置による乗員の保護効果を高めることができる。更に、シートの前後スライド位置とシートバック傾斜角度の双方を同時に変位させることが可能であり、その場合には、シートをより迅速に適切な位置に動作させることができる。
本発明に係る車両の乗員保護装置の第2特徴構成は、前記制御手段は、前記前後スライド位置とシートバック傾斜角度との相互関係が前記適正範囲外にあって、前記前後スライド位置及び前記シートバック傾斜角度の一方が所定の制限範囲内にあるときには、前記適正範囲内に入るまで他方を継続して動作させる点にある。
これによれば、シートスライド手段の動作と前記リクライニング手段の動作とを同時に行う場合において、これらの動作制御を適切に行うことができる。
本発明に係る車両の乗員保護装置の第3特徴構成は、衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記シートスライド手段の動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記前後スライド位置が、前記シートバック傾斜角度との相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記シートスライド手段を動作させる点にある。
これによれば、車両の衝突の危険性を予知した際に、シートバック傾斜角度に応じてシートの前後スライド位置を変位させ、乗員の上体とシートベルトとの間に隙間ができない位置に確実にシートを動作させることができる。したがって、シートベルトの張力を増加させた際に乗員をシートバックに密着させて拘束すること可能とし、衝突時の乗員保護効果を高めることができる。また、シートの前後スライド位置及びシートバック傾斜角度をエアバッグ等の他の安全装置に適した位置に変位させることにより、その安全装置による乗員の保護効果を高めることができる。
本発明に係る車両の乗員保護装置の第4特徴構成は、衝突を予知するための衝突予知手段と、前記シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記リクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記シートバック傾斜角度が、前記前後スライド位置との相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記リクライニング手段を動作させる点にある。
これによれば、車両の衝突の危険性を予知した際に、シートの前後スライド位置に応じてシートバック傾斜角度を変位させ、乗員の上体とシートベルトとの間に隙間ができない位置に確実にシートを動作させることができる。したがって、シートベルトの張力を増加させた際に乗員をシートバックに密着させて拘束すること可能とし、衝突時の乗員保護効果を高めることができる。また、シートの前後スライド位置及びシートバック傾斜角度をエアバッグ等の他の安全装置に適した位置に変位させることにより、その安全装置による乗員の保護効果を高めることができる。
本発明に係る車両の乗員保護装置の第5特徴構成は、上記第1から第4の何れかの特徴構成に加えて、前記適正範囲は、前記シートバックの肩部が3点式シートベルトのショルダベルトアンカに対して所定の位置関係を満たす際に、前記前後スライド位置と前記シートバック傾斜角度との相互関係がとり得る範囲として規定されている点にある。
これによれば、衝突予知時のシートの前後スライド位置及びシートバック傾斜角度が、シートベルトが張った状態で乗員の上体とシートベルトとの間に隙間ができない位置及び角度となるように動作制御されるので、シートベルトの張力を増加させた際に乗員をシートバックに確実に密着させて拘束すること可能とし、衝突時の乗員保護効果を更に高めることができる。
以下に、本発明に係る車両の乗員保護装置を自動車のシート1に適用した実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る乗員保護装置のシート1を示す図であり、図2は、本実施形態に係る車両の乗員保護装置の制御ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシート1は、シートクッション2、シートバック3、及びヘッドレスト4を備えている。シートクッション2は、スライドレール5を介して車両の床面6に取り付けられており、前後方向にスライド動作可能とされている。また、シートバック3は、所定の支点7を介してシートクッション2に取り付けられており、傾斜角度を変更可能とされている。そして、図2に示すように、シートクッション2は、シートスライド機構8及びそれを動作させるためのシートスライドモータ9により前後方向にスライド動作される構成となっており、これによりシート1全体も前後方向にスライド動作される。また、シートバック3は、リクライニング機構10及びそれを動作させるためのリクライニングモータ11により傾斜角度が変更動作される構成となっている。本実施形態においては、シートスライド機構8及びシートスライドモータ9がシートスライド手段12を構成し、リクライニング機構10及びリクライニングモータ11がリクライニング手段13を構成している。これらの前後方向のスライド動作及びシートバック3の傾斜角度の変更動作は、乗員14による手動操作スイッチ15の操作や、後述する衝突予知手段16からの出力に基づいて行われる。
また、図2に示すように、シートスライド機構8には、シート1の前後方向のスライド位置を検知するスライド位置検知装置17が設けられている。このスライド位置検知装置17としては、例えば、リニアポテンショメータやリニアエンコーダ等の側長機器を用いることができる。また、リクライニング機構10には、シートバック3の傾斜角度を検知するリクライニング角度検知装置18が設けられている。このリクライニング角度検知装置18としては、例えば、ポテンショメータやロータリエンコーダ等の角度計測機器を用いることができる。本実施形態においては、スライド位置検知装置17がスライド位置検知手段に相当し、リクライニング角度検知装置18がリクライニング角度検知手段に相当する。
また、このシート1には、着座した乗員14を拘束するための3点式のシートベルト19が設けられている。図1に示す実施形態では、シートベルト19は、巻き取りのためのリトラクタ20、起立した状態のシートバック3の後上方の車体、ここではBピラーに固定され、シートベルト19が挿通されるショルダベルトアンカ21、シートクッション2の両側面にそれぞれ設けられ、シートベルトを固定するためのバックル22及びタング23並びに図示しない固定部を備えている。ここで、リトラクタ20は、後述する衝突予知手段16からの出力に基づく衝突予知時に、シートベルト19の張力を増加させて乗員14の拘束力を高めたり、シートベルト19の張力を増減させて乗員14に対して注意を促したりするためのプリテンショナ24(図2参照)を備えている。
本実施形態に係る乗員保護装置が設けられた車両は、衝突予知センサ25と、車両安定制御システム26とを備えている。衝突予知センサ25は、例えば、車両の周囲に存在する障害物を検出するミリ波レーダや画像認識装置等を利用して構成される。そして、この衝突予知センサ25からの出力信号は、制御部27に入力される。制御部27においては、衝突予知センサ25からの出力信号に基づいて、障害物までの距離や相対速度等の情報が演算されるとともに、それらの情報に基づいて車両が衝突する可能性が判断される。一方、車両安定制御システム26は、車両の前輪や後輪の横滑りをセンサ等により検知し、各車輪のブレーキやエンジンの出力を制御することにより車両の安定性を確保するためのシステムである。この車両安定制御システム26が動作したときは車両の衝突の可能性があると判断できることから、ここでは、車両安定制御システム26のECU(Electronic Control Unit)28から車両安定制御システム26の動作状態に応じて制御部27に対して信号が出力される構成としている。そして、制御部27においては、この車両安定制御システム26のECU28からの出力信号に基づいて、車両が衝突する可能性が判断される。したがって、本実施形態においては、これらの衝突予知センサ25と車両安定制御システム26とが、それぞれ衝突を予知するための衝突予知手段16に相当する。また、この車両は、実際の衝突があったことを検知するための衝突検知センサ29を備えている。この衝突検知センサ29は、衝突の衝撃を検知するセンサ等により構成され、エアバッグ30の動作制御等のためにも用いられる。
そして、制御部27は、上記の衝突予知センサ25及び車両安定制御システム26の一方又は双方からの出力に基づいて車両が衝突する可能性を判断し、一定の確率以上で衝突を回避できないと判断したときに衝突予知状態となる。そして、このように衝突予知状態となったときには、制御部27は、シート1のシートクッション2の位置及びシートバック3の傾斜角度が乗員14の保護に適した位置及び角度となるように、シート1を前後方向にスライド動作させ、シートバック3の傾斜角度を変更動作させるための制御を行う。本実施形態においては、この制御部27が制御手段に相当する。以下、このような制御部27による制御方法について詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係るシート1がとり得る前後スライド位置P及びシートバック傾斜角度θの範囲を示す説明図である。この図に示すように、ここでは、前後スライド位置Pのとり得る範囲の最も前方の位置をP(0)、最も後方の位置をP(max)とする。また、シートバック傾斜角度θのとり得る範囲の最も前方に傾斜した角度をθ(0)、最も後方に傾斜した角度をθ(max)とする。
そして、図4は、本実施形態に係るシート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの相互関係を座標(P,θ)として表した場合において、それらの相互関係により規定された適正範囲Rの一例を示すグラフである。制御部27は、上記のように衝突予知状態となったときには、この図4に示すように、シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、シートスライド機構8を動作させるシートスライドモータ9及びリクライニング機構10を動作させるリクライニングモータ11を動作させる。
シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの相互関係により規定された適正範囲Rは、シートベルト19やエアバッグ30等の安全装置による乗員14の保護に適した範囲として規定すると好適である。本実施形態においては、シートベルト19による乗員14の保護に適した範囲として規定することとし、具体的には、シートバック3の肩部3aがシートベルト19のショルダベルトアンカ21に対して所定の位置関係を満たす際に、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの相互関係がとり得る範囲として規定されている。ここで、「シートバック3の肩部3aがシートベルト19のショルダベルトアンカ21に対して所定の位置関係を満たす際」としては、シートバック3の肩部3aが、シートベルト19のショルダベルトアンカ21に対して前方に位置する関係を満たす際とすると好適である。その理由は、例えば、図5に示すように、シートバック3の肩部3aが、シートベルト19のショルダベルトアンカ21に対して相当に後方に位置する場合には、乗員14の肩部から胸部にかけての上体14aとシートベルト19との間に隙間ができる可能性があり、そのような隙間があると、衝突予知時にシートベルト19の張力を増加させたとしても、乗員14を適切にシートバック3に密着させて拘束することができない場合があるからである。なお、上記「所定の位置関係」は、これに限定されるものではなく、乗員14の上体14aとシートベルト19との間に隙間ができなければよいので、シートバック3の肩部3aがショルダベルトアンカ21に対して後方に位置するがその距離が乗員14の上体14aの厚みより少ない範囲までは許容することが可能である。
図4に示す適正範囲Rの境界を構成する線は、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの関数θ=F(P)として表すことができる。この適正範囲Rの境界を構成する線は、前後スライド位置Pが前方にあるときはシートバック傾斜角度θは後方に傾斜していてもよく、逆に前後スライド位置Pが後方にあるときはシートバック傾斜角度θは前方に傾斜している必要があることを示している。そして、制御部27は、この関数θ=F(P)に基づいて、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの相互関係が適正範囲R内に入ったか否かを判断する構成とすると好適である。
制御部27がシートスライドモータ9とリクライニングモータ11とを動作させる際の制御方法は、以下のようにすると好適である。すなわち、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとの相互関係(以下単に「相互関係」という。)を表す座標(P,θ)が適正範囲R内にある場合には、そのままシートスライドモータ9もリクライニングモータ11も動作させないこととし、相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R内にない場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作させ、相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R内に入ったときに停止させる。この際、相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R内に入る前に、前後スライド位置P及びシートバック傾斜角度θの一方が動作可能範囲の限界位置に到達したときには当該一方の動作を停止させ、適正範囲R内に入るまで他方を継続して動作させる。ここで、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作させるのは、衝突予知時に、出来る限り早くシート1の前後スライド位置P及びシートバック傾斜角度θを適正範囲R内とするためである。
図4におけるA点〜E点は、相互関係を表す座標(P,θ)の特徴的な具体例を示している。相互関係を表す座標(P,θ)がA点又はB点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作開始させ、適正範囲Rに到達した時点でそれらを同時に停止させる制御を行う。ここで、適正範囲Rに到達した時点でそれらを同時に停止させるのは、主に、シートベルト19によって必要以上に乗員を締め付けるようなことがないようにするためである。相互関係を表す座標(P,θ)がC点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作開始させ、前後スライド位置Pが動作可能範囲の限界位置である最も前方の位置P(0)に到達したときにシートスライドモータ9の動作を停止させ、リクライニングモータ11のみを継続して動作させ、適正範囲Rに到達した時点でリクライニングモータ11の動作も停止させる制御を行う。相互関係を表す座標(P,θ)がD点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作開始させ、シートバック傾斜角度θが動作可能範囲の限界位置である最も前方に傾斜した角度θ(0)に到達したときにリクライニングモータ11の動作を停止させ、シートスライドモータ9のみを継続して動作させ、適正範囲Rに到達した時点でシートスライドモータ9の動作も停止させる制御を行う。相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R内のE点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11の双方ともそのまま動作させない。なお、この図4に示す例においては、動作可能範囲の限界位置を超える範囲が、本件請求項2における「所定の制限範囲」に相当する。
なお、この「所定の制限範囲」は、図4の例に示されるものに限定されない。そこで、図6に他の例を示す。図6に示す例では、前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとのそれぞれについて、シートスライドモータ9及びリクライニングモータ11の動作可能範囲内に、制限範囲としてスライド禁止範囲S及びリクライニング禁止範囲Tを設定している。ここで、スライド禁止範囲Sは、所定の前後スライド位置P(a)を境界値とし、このP(a)から最も前方の位置P(0)までの範囲に設定し、リクライニング禁止範囲Tは、所定のシートバック傾斜角度θ(a)を境界値とし、このθ(a)から最も前方に傾斜した角度θ(0)までの範囲に設定している。
この場合、相互関係を表す座標(P,θ)がA点、B点又はE点にある場合は、上記図4に示す場合と同様である。一方、相互関係を表す座標(P,θ)がC点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作開始させ、前後スライド位置Pがスライド禁止範囲Sに到達したときにシートスライドモータ9の動作を停止させ、リクライニングモータ11のみを継続して動作させ、適正範囲Rに到達した時点でリクライニングモータ11の動作も停止させる制御を行う。相互関係を表す座標(P,θ)がD点にある場合には、シートスライドモータ9とリクライニングモータ11との双方を同時に動作開始させ、シートバック傾斜角度θがリクライニング禁止範囲Tに到達したときにリクライニングモータ11の動作を停止させ、シートスライドモータ9のみを継続して動作させ、適正範囲Rに到達した時点でシートスライドモータ9の動作も停止させる制御を行う。また、相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R外であってスライド禁止範囲S内のF点にある場合には、リクライニングモータ11のみを動作させ、適正範囲Rに到達した時点でリクライニングモータ11の動作を停止させる制御を行う。相互関係を表す座標(P,θ)が適正範囲R外であってリクライニング禁止範囲T内のG点にある場合には、シートスライドモータ9のみを動作させ、適正範囲Rに到達した時点でシートスライドモータ9の動作を停止させる制御を行う。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態においては、シート1がシートスライドモータ9を含むシートスライド手段12及びリクライニングモータ11を含むリクライニング手段13を備え、衝突予知手段16からの出力に基づく衝突予知時に前後方向のスライド動作とシートバック3の傾斜角度の変更動作の両方を行う構成である場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、以下の(1)〜(3)に示すような構成に適用することも可能である。
(1)シート1は、シートバック3の傾斜角度の変更動作を行うためのリクライニングモータ11を備えておらず、シートバック3の傾斜角度の変更は乗員14が手動で行う構成に適用することも可能である。この場合であっても、手動で動作されるシートバック3の傾斜角度θを検知するリクライニング角度検知装置18を備え、スライド位置検知装置17と合せてシート1の前後方向のスライド位置Pとシートバック3の傾斜角度θとの双方を検知できる構成とする。そして、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、シートスライド機構8を動作させるシートスライドモータ9を動作させる。
(2)シート1は、シート1の前後方向のスライド動作を行うためのシートスライドモータ9を備えておらず、シート1の前後方向のスライドは乗員14が手動で行う構成に適用することも可能である。この場合であっても、手動で動作されるシート1の前後スライド位置Pを検知するスライド位置検知装置17を備え、リクライニング角度検知装置18と合せてシート1の前後方向のスライド位置Pとシートバック3の傾斜角度θとの双方を検知できる構成とする。そして、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、リクライニング機構10を動作させるリクライニングモータ11を動作させる。
(3)シート1が、シートスライド手段12及びリクライニング手段13に加えて、シートクッション2の前部を上方に変位させることにより乗員14がシートベルト19の下に潜り込んで前方に移動するいわゆるサブマリン現象を防止するサブマリン防止手段や、ヘッドレストを前上方に動作させることにより後方からの衝突の際などに乗員14の頸部を保護するためのヘッドレスト動作手段等を備える構成にも適用することが可能である。その場合、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シートスライド手段12及びリクライニング手段13を上記実施形態と同様に動作させるのに加えて、上記のサブマリン防止手段やヘッドレスト動作手段等を動作させる。
上記実施形態においては、シート1がシートスライドモータ9を含むシートスライド手段12及びリクライニングモータ11を含むリクライニング手段13を備え、衝突予知手段16からの出力に基づく衝突予知時に前後方向のスライド動作とシートバック3の傾斜角度の変更動作の両方を行う構成である場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、以下の(1)〜(3)に示すような構成に適用することも可能である。
(1)シート1は、シートバック3の傾斜角度の変更動作を行うためのリクライニングモータ11を備えておらず、シートバック3の傾斜角度の変更は乗員14が手動で行う構成に適用することも可能である。この場合であっても、手動で動作されるシートバック3の傾斜角度θを検知するリクライニング角度検知装置18を備え、スライド位置検知装置17と合せてシート1の前後方向のスライド位置Pとシートバック3の傾斜角度θとの双方を検知できる構成とする。そして、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、シートスライド機構8を動作させるシートスライドモータ9を動作させる。
(2)シート1は、シート1の前後方向のスライド動作を行うためのシートスライドモータ9を備えておらず、シート1の前後方向のスライドは乗員14が手動で行う構成に適用することも可能である。この場合であっても、手動で動作されるシート1の前後スライド位置Pを検知するスライド位置検知装置17を備え、リクライニング角度検知装置18と合せてシート1の前後方向のスライド位置Pとシートバック3の傾斜角度θとの双方を検知できる構成とする。そして、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シート1の前後スライド位置Pとシートバック傾斜角度θとが、それらの相互関係により規定された適正範囲R内に入るように、リクライニング機構10を動作させるリクライニングモータ11を動作させる。
(3)シート1が、シートスライド手段12及びリクライニング手段13に加えて、シートクッション2の前部を上方に変位させることにより乗員14がシートベルト19の下に潜り込んで前方に移動するいわゆるサブマリン現象を防止するサブマリン防止手段や、ヘッドレストを前上方に動作させることにより後方からの衝突の際などに乗員14の頸部を保護するためのヘッドレスト動作手段等を備える構成にも適用することが可能である。その場合、制御部27は、衝突予知手段16からの出力に基づいて上記のように衝突予知状態となったときには、シートスライド手段12及びリクライニング手段13を上記実施形態と同様に動作させるのに加えて、上記のサブマリン防止手段やヘッドレスト動作手段等を動作させる。
本発明は、レーダ等を用いた衝突予知機能を備えた車両において、衝突を予知した際にシートベルト等の安全装置により乗員を保護するのに適した位置にシートを動作させて乗員の保護機能を高めるものであり、自動車等を含む各種の車両の乗員保護装置に利用することができる。
1 シート
2 シートクッション
3 シートバック
3a シートバック3の肩部
12 シートスライド手段
13 リクライニング手段
16 衝突予知手段
17 スライド位置検知装置(スライド位置検知手段)
18 リクライニング角度検知装置(リクライニング角度検知手段)
19 シートベルト
21 ショルダベルトアンカ
27 制御部(制御手段)
P 前後スライド位置
θ シートバック傾斜角度
R 適正範囲
S スライド禁止範囲(制限範囲)
T リクライニング禁止範囲(制限範囲)
2 シートクッション
3 シートバック
3a シートバック3の肩部
12 シートスライド手段
13 リクライニング手段
16 衝突予知手段
17 スライド位置検知装置(スライド位置検知手段)
18 リクライニング角度検知装置(リクライニング角度検知手段)
19 シートベルト
21 ショルダベルトアンカ
27 制御部(制御手段)
P 前後スライド位置
θ シートバック傾斜角度
R 適正範囲
S スライド禁止範囲(制限範囲)
T リクライニング禁止範囲(制限範囲)
Claims (5)
- 衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、前記シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記シートスライド手段及び前記リクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記前後スライド位置と前記シートバック傾斜角度とが、それらの相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記シートスライド手段及び前記リクライニング手段を動作させる車両の乗員保護装置。 - 前記制御手段は、前記前後スライド位置とシートバック傾斜角度との相互関係が前記適正範囲外にあって、前記前後スライド位置及び前記シートバック傾斜角度の一方が所定の制限範囲内にあるときには、前記適正範囲内に入るまで他方を継続して動作させる請求項1に記載の車両の乗員保護装置。
- 衝突を予知するための衝突予知手段と、シートを前後方向にスライド動作させるシートスライド手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記シートスライド手段の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記前後スライド位置が、前記シートバック傾斜角度との相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記シートスライド手段を動作させる車両の乗員保護装置。 - 衝突を予知するための衝突予知手段と、前記シートのシートバックの傾斜角度を変更動作させるリクライニング手段と、前記シートの前後スライド位置を検知するスライド位置検知手段と、前記シートのシートバック傾斜角度を検知するリクライニング角度検知手段と、前記リクライニング手段の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記衝突予知手段からの出力に基づいて、前記シートバック傾斜角度が、前記前後スライド位置との相互関係により規定された適正範囲内に入るように、前記リクライニング手段を動作させる車両の乗員保護装置。 - 前記適正範囲は、前記シートバックの肩部が3点式シートベルトのショルダベルトアンカに対して所定の位置関係を満たす際に、前記前後スライド位置と前記シートバック傾斜角度との相互関係がとり得る範囲として規定されている請求項1から4の何れか1項に記載の車両の乗員保護装置。
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